説明

組織または器官を標的化するための細胞の指向

本発明は、個体中の損傷された組織または器官に対して細胞を指向させる方法を提供し、該個体においてそのような細胞をモニターする方法をさらに提供する。本発明はまた、細胞を損傷された組織または器官に対して指向させることができるように、該細胞をタグ付けするための組成物も提供する。さらに、本発明は、タグ付けされた細胞を損傷された組織または器官に対して指向させることができるようにタグ付けされた、単離された幹細胞を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、細胞の指向に関し、より具体的には損傷されたか、もしくは疾患を有する組織または器官に対する細胞の指向に関する。
【背景技術】
【0002】
心不全は、70歳を過ぎた100人あたり8人が罹患する、ますます一般的な臨床的問題である。梗塞に対して二次的な心筋の領域的な機能喪失からもたらされる機械的過負荷は、長期間の無症候性の左心室機能不全をもたらし得る。この時間の間、筋細胞の肥大が一般的に認められるが、単離された筋細胞の収縮機能は、異常にも拘らず正常なままの心室機能を有する。しかしながら、延長された過負荷は、明白なうっ血性心不全の発生および単離された筋細胞の収縮機能不全の出現をもたらす場合が多い。一般的な意味では、進行性心不全の症候群に関する分子的および細胞的基礎は、損傷され、かつアポトーシス性の筋細胞を置換することが不可能であることからもたらされるが、これは心筋細胞が一般的には最終的に分化していると考えられているからである。
【発明の開示】
【0003】
概要
本発明は、in vivoで移植された幹細胞を指向し、非侵襲的に追跡するための系を確立するものである。それぞれ、幹細胞が組織または器官を標的化するのを指向し、その位置をモニターするために、該幹細胞をタグ付けし、標識することができる。本発明の方法を、再生医療における細胞治療に用いることができ、特に、経壁心筋梗塞ならびに梗塞後のLV再モデリングに対して二次的な心不全を治療するのに用いることができる。
【0004】
一態様においては、本発明は、個体における損傷されるか、もしくは疾患を有する組織または器官に対して細胞を指向する方法を提供する。そのような方法は、細胞を標的細胞結合メンバーでタグ付けした細胞を提供し;および該タグ付けされた細胞を個体の血管系に導入することを含む。そのような方法は、損傷されるか、もしくは疾患を有する組織または器官に対して前記細胞を指向するものである。
【0005】
本発明の方法において用いられる細胞は、前記個体に関して自己由来、同種異系、または異種系のものであってよい。例えば、本発明の細胞において用いられる細胞は幹細胞であってよい。代表的な幹細胞としては、間葉系幹細胞(MSC)、および内皮前駆幹細胞(EPC)が挙げられる。細胞は、一般的には個体の冠状静脈、末梢静脈、または冠状動脈を介して個体に導入される。
【0006】
代表的な標的細胞結合メンバーとしては、アネキシン、心臓特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、心臓特異的トロポニンIに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンIに対して特異的結合親和性を有する抗体、およびミオシンに対して特異的結合親和性を有する抗体が挙げられる。
【0007】
損傷された組織または器官の例としては、心筋組織、心膜組織、膵臓組織、腎臓組織、骨格筋組織、中枢神経系組織、および肝臓組織が挙げられる。
【0008】
本発明の実施形態においては、タグ付けされた細胞はまた、イメージング剤を含んでもよい。代表的なイメージング剤としては、単結晶性酸化鉄ナノ粒子(MION)、超常磁性酸化鉄粒子(SPIO)、および極小超常磁性酸化鉄(USPIO)が挙げられる。そのようなイメージング剤を、タグ付けされた細胞を画像化するために用いることができる。
【0009】
別の態様においては、本発明は個体における心筋梗塞に対して幹細胞を送達する方法を提供する。そのような方法は、アネキシンでタグ付けした幹細胞を提供すること;および個体の血管系にタグ付けされた幹細胞を導入することを含む。そのような方法により、前記幹細胞を心筋梗塞に送達する。代表的な幹細胞としては、MSCおよびEPCが挙げられる。
【0010】
さらに別の態様においては、本発明は、少なくとも1個のリンカー部分;および少なくとも1個の標的細胞結合メンバーを含む組成物を提供する。代表的な標的細胞結合メンバーとしては、アネキシン、心臓特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、心臓特異的トロポニンIに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンIに対する特異的結合親和性を有する抗体、およびミオシンに対する特異的結合親和性を有する抗体が挙げられる。本発明の組成物は、MION、SPIO、およびUSPIOなどのイメージング剤をさらに含んでもよい。
【0011】
本発明の組成物は、リンカーを用いて、標的細胞結合メンバーで個体から収穫された幹細胞である細胞をタグ付けするための説明書を含んでもよく、タグ付けの後、該細胞を用いて該個体上で自己移植を実施するための説明書をさらに含んでもよい。
【0012】
さらに別の態様においては、本発明は、幹細胞を異種性標的細胞結合メンバーでタグ付けした、単離された幹細胞を提供する。そのような幹細胞を、イメージング剤を用いてさらに標識することができる。
【0013】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同じ意味を有するものとする。本明細書に記載されたものと類似した、または等価な方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料を以下で説明する。さらに、材料、方法、および実施例は例示目的のみであり、限定されることを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。競合する場合、定義を含む本明細書が支配するものとする。
【0014】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の記述において説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は該図面および詳細な説明から、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面の説明
図1は、タグ付けを用いる、および用いない間葉系幹細胞(MSC)のフローサイトメトリーのヒストグラムを示す(下部の列)。パネルAは、タグを含まないMSCがFITC-抗アネキシン抗体のみと相互作用したことを示している。蛍光計数はFITC-IgGを表す。パネルBは、アネキシンと架橋された抗CD44抗体でタグ付けされたMSCがFITC-IgGと相互作用したことを示している。蛍光計数はFITC-IgGを表す。パネルCは、アネキシンと架橋された抗CD44抗体でタグ付けされたMSCがFITC-抗アネキシン抗体と相互作用したことを示している。上部の列は、示されたように組み合わせたパネルA、Bおよび/またはCに由来するヒストグラムを示す。
【0016】
種々の図面中の同様の参照記号は同様の要素を示す。
【0017】
詳細な説明
本発明は、in vivoで移植された幹細胞を指向し、非侵襲的に追跡するための系を確立する。例えば、自己由来の幹細胞をアネキシンでタグ付けし、イメージング剤で標識して、それぞれ、該幹細胞を標的器官に指向させ、該幹細胞の非侵襲的なモニタリングを可能にする(例えば、磁気共鳴画像化(MRI)を用いる)ことができる。そのようなタグ付けされ、標識された幹細胞を臨床的に用いて、移植された幹細胞の入植を増加させ、非外科的な移植を可能にすることができる。本発明の方法を用いて、限定されるものではないが、心臓、肝臓、腎臓、筋肉、または膵臓などの、損傷された(傷害された)もしくは疾患を有する組織または器官を、幹細胞などの細胞治療を用いて治療することができる。例えば、本発明の方法を用いて、経壁心筋梗塞ならびに梗塞後の左心室(LV)再モデリングに対して二次的な心不全を治療するのに用いることができる。
【0018】
幹細胞
幹細胞は、いくつかの細胞系に分化することができ、移植に際して組織を再集団化することができる、大規模で、時には不明確な、増殖能力を有する細胞と定義される。濃縮された純粋な形の幹細胞は、胚性幹(ES)細胞であり、ES細胞は典型的には未制限の自己再生能力および分化万能性を有する。ES細胞は、胚盤胞の内部細胞集団から誘導されるか、または移植後の胚に由来する原始生殖細胞(胚性生殖(EG)細胞)から誘導することができる。ESおよびEG細胞を、マウス、非ヒト霊長類、およびヒトから誘導した。マウス胚盤胞または他の動物由来の胚盤胞に導入した場合、ES細胞はマウスの全組織に寄与することができる。出生後の動物に移植した場合、ESおよびEG細胞はそれらの多能性を再び証明する、奇形腫を生じる。ESおよびEG細胞を、抗SSEA-1および抗SSEA-4抗体(Thomsonら、1998, Science, 282:114)を用いる陽性染色により同定することができる。分子レベルで、ESおよびEG細胞は、oct-4およびRex-1などの、これらの未分化細胞に高度に特異的ないくつかの転写因子を発現する。ES細胞の別の特徴は、in vitroで未制限の自己再生能力を有するこれらの細胞を提供する、テロメラーゼの存在である。
【0019】
幹細胞は多くの組織においても同定されている。最も特性評価されたものは造血幹細胞であるが、神経性、胃腸性、表皮性、肝性および間葉系幹細胞(MSC)も説明されている。内皮前駆幹細胞(EPC)も説明されている。ES細胞と比較して、組織特異的幹細胞は自己再生能力が低く、これらは複数の系列に分化することができるが、これらは通常は多能性ではない。
【0020】
最近まで、組織特異的幹細胞は組織のその型の細胞にのみ分化することができると考えられていた。しかしながら、いくつかの最近の報告は、成熟した器官特異的幹細胞が異なる組織の細胞に分化することができることを示唆してきた。2つの研究により、骨髄移植の時点で注入された細胞が骨格筋に分化することができることが示された(Ferrariら、1998, Science, 279:528-30; Gussoniら、1999, Nature, 401:390-4)。他の研究は、1つの胚性層由来の幹細胞(例えば、臓側板)が異なる胚性層由来の組織に分化することができることを示唆している。例えば、骨髄移植を受けたヒトもしくは動物中で検出される内皮細胞またはその前駆体は、少なくとも部分的には骨髄ドナー由来のものである(Takahashiら、1999, Nat. Med., 5:434-8; Linら、2000, J. Clin. Invest., 105:71-7)。さらにより驚くべきものは、げっ歯類およびヒトの両方の肝性上皮細胞および胆管上皮細胞がドナーの骨髄由来のものであるという報告である(Wangら、2003, Nature, 422:897-901およびその参考文献)。同様に、神経幹細胞は造血細胞に分化することができる(Orlicら、2001, Nature, 410:701-5; Jacksonら、2001, J. Clin. Invest., 107:1395-1402)。最後に、胚盤胞中に注入された神経幹細胞はキメラマウスの全組織に寄与することができることが報告されている(Asaharaら、1999, Circ. Res., 85:221-8)。
【0021】
正常な分化プロセスを逸脱した細胞型への幹細胞の分化を示す多くの研究が、これがほとんど専ら損傷された器官:内皮移植については虚血(Takahashiら、1999, Nat. Med., 5:434-8)、肝臓および胆管移植については肝硬変(Wangら、2003, Nature, 422:897-901)、毒素投与(Ferrariら、1998, Science, 279:528-30)、もしくは筋肉移植については筋ジストロフィー(Gussoniら、1999, Nature, 401:390-4)において、または器官が成長している場合に起こることを示してきた。
【0022】
幹細胞の例としては、間葉系幹細胞(MSC)および内皮前駆幹細胞(EPC)、ならびに商業的に、または公共の寄託機関(例えば、American Type Culture Collection, Manassas, VA)から入手可能である多くの他のものが挙げられる。米国特許第5,843,780号および同第6,200,806号も参照されたい。幹細胞を多くの臨床設定において同様に用いることができるが、非幹細胞も本明細書に記載のようにタグ付けし、本発明の方法において用いることもできる。
【0023】
幹細胞のタグ付け
本発明の方法は、損傷されるか、もしくは疾患を有する組織または器官に対する幹細胞の標的化された送達を可能にする。幹細胞の標的化された送達は、該幹細胞を「標的細胞結合メンバー」でタグ付けすることにより達成される。本明細書で用いる、「標的細胞結合メンバー」とは、損傷されるか、もしくは疾患を有する組織または器官の標的細胞中で結合のために利用可能である第2の結合メンバー(例えば、ポリペプチド)に対する結合親和性を有するポリペプチド(例えば、抗体)または他の巨大分子(例えば、炭水化物)を指す。そのような第2の結合メンバーは一般的には、損傷されたか、もしくは疾患を有する組織または器官の細胞中で結合のために利用可能ではない。異種性標的細胞結合メンバーは、天然で幹細胞に結合することが判明していない結合メンバーである。損傷されたか、もしくは疾患を有する組織または器官の細胞としては、細胞死を受ける細胞が挙げられる。細胞は傷害または自殺(すなわち、アポトーシス)に起因する細胞死を受けてもよい。
【0024】
幹細胞をタグ付けするのに用いることができる標的細胞結合メンバーの一例はアネキシンVである。アネキシンVは非常に高い親和性(Ka = 7 nM)で、外面化されたホスファチジルセリン(PS)に結合する。この強い結合を用いて、PS外面化を特徴とするアポトーシス細胞を同定した。アネキシンVはまた、壊死細胞にも結合する。凝集壊死は心筋梗塞の特徴であるが、多数のアポトーシス筋細胞が、特に再灌流中に、梗塞中心の壊死細胞と混合されることが見出されている。従って、アネキシンV蓄積により、急性心筋梗塞の領域を同定することができる。放射標識されたアネキシンVも、心臓同種移植片拒絶の非侵襲的な検出に用いられてきた。
【0025】
抗体も標的細胞結合メンバーとして用いることができる。抗体は、放射線医学においてアイソトープを送達し、腫瘍学における特異的な宿主組織細胞または腫瘍細胞に対して細胞傷害性の薬剤化合物を指向させるのに用いられてきた。従って、細胞死に際して結合のために利用可能になるタンパク質に対する特異的結合親和性を有する抗体を、本発明において用いることができる。1種以上の細胞の傷害または疾患に際して結合のために利用可能になる代表的なタンパク質としては、限定されるものではないが、心臓特異的トロポニンT、心臓特異的トロポニンI、骨格筋特異的トロポニンT、骨格筋特異的トロポニンI、およびミオシンが挙げられる。
【0026】
標的細胞結合メンバーとして用いることができるか、または標的細胞結合メンバーを作製するのに用いることができるタンパク質の多くの例が存在する。例えば、梗塞後の心筋層の異なる相における病理学的変化は、壊死、アポトーシス、ならびにサイトカインカスケード、増殖因子、化学誘引物質、接着分子、細胞浸透、血管新生、および細胞成分、例えば、ミオシン、またはトロポニンTの放出などの他の炎症応答により組織化される。従って、標的組織もしくは器官の細胞中で、または細胞上で第2の結合メンバーに結合する標的細胞結合メンバーを用いて、損傷された組織または器官(例えば、梗塞された心筋領域)に対して幹細胞を指向させることができる。
【0027】
本明細書で用いる「タグ付け」とは、幹細胞に標的細胞結合メンバーを付着させる作用を指す。幹細胞を、いくつかの異なる「リンカー」を用いて、標的細胞結合メンバーによりタグ付けすることができる。例えば、細胞表面タンパク質に対する特異的結合親和性を有する抗体を用いることができる。例えば、抗CD44抗体を標的細胞結合メンバーに付着させ、これを用いて該結合メンバーを間葉系幹細胞に連結することができる。あるいは、抗CD31抗体または抗CD34抗体を標的細胞結合メンバーに付着させ、これを用いて該結合メンバーを循環するEPCに連結することができる。さらに、標的細胞結合メンバーおよび/またはイメージング剤を付着させるのに利用可能な部位数を増加させるために、抗体をビオチン化し(抗体を幹細胞に付着させる前でも後でもよい)、アビジン-標的細胞結合メンバー複合体と接触させることができる。アビジンは複数の結合部位を有し、従って、複数の部分(例えば、複数の標的細胞結合メンバー、および/または1種以上のイメージング剤)を供給することができる。
【0028】
個体中で損傷された組織または器官を標的化する標的細胞結合メンバーの能力を、in vitroでの方法および本明細書に記載の動物モデルを用いて評価することができる。
【0029】
タグ付けされた幹細胞の送達方法
幹細胞をタグ付けすれば、これらをいくつかの異なる経路を用いて個体の血管系に送達することができる。幹細胞を、前方血管内静脈カテーテルを介して個体中に導入することができる。幹細胞を導入した後、決糸により冠状静脈を閉じるのが有利でありうる。あるいは、幹細胞を、冠状動脈を介して導入することができる。一般的には、100〜50,000,000個の幹細胞を個体中に移植する(例えば、1000個の細胞、10,000個の細胞、100,000個の細胞、1,000,000個の細胞、10,000,000個の細胞、または50,000,000個の細胞)。カテーテルを個体の血管系に導入する方法は当業者には公知である。
【0030】
個体に送達される幹細胞は、種々の起源に由来するものであってよい。幹細胞を受容する個体に対して、幹細胞は同種異系(すなわち、同じ種(例えば、ヒト)由来であるが、異なる個体(例えば、近親者))であってもよいし、異種(すなわち、レシピエント個体(例えば、ヒト)とは異なる種(例えば、ブタまたは非ヒト霊長類)由来)であってもよい。最も一般的な臨床適用においては、幹細胞は自己由来のものである。例えば、幹細胞を個体から取得し(例えば、治療の時点で、または誕生時に回収する)、タグ付けし、必要に応じて標識し、同じ個体中に導入し戻すことができる。
【0031】
幹細胞を非侵襲的にモニターする方法
一度、幹細胞が個体中に導入されれば、種々の型のMRI方法を好適なイメージング剤と組み合わせて用いて、この幹細胞をモニターすることができる。イメージング剤としては、1種以上の金属イオンと複合体化された1種以上の環式もしくは非環式有機キレート化剤からなる生理学的に適合可能な金属キレート化合物、ヨウ化された有機分子、重金属イオンのキレート、ガス充填された気泡、放射活性分子、有機および無機染料、ならびに常磁性形態の金属イオンの金属リガンド複合体が挙げられる。MRIのためのキレート化剤は当業界で公知であり、マグネビストガドペンテタートジメグルミン(DTPA)、ドタレムガドテラートメグルミン(DOTA)、オムニスキャンガドジアミド(DTPA-BMA)、およびProHanceガドテリドール(HP-DO3A)が挙げられる。イメージング剤の特定例としては、単結晶性酸化鉄ナノ粒子(MION)、超常磁性酸化鉄粒子(SPIO)、および極小超常磁性酸化鉄(USPIO)が挙げられる。イメージング剤は、例えば、Advanced Magnetics (Cambridge, MA)から商業的に入手可能である。細胞中にイメージング剤を導入する方法は当業界で公知である。
【0032】
MRIにおいては、器官または組織の画像を、被験体を強力な外部磁場中に置き、該器官または組織中、およびその周囲に含まれるプロトン(水素核)の磁気特性に対するこの磁場の効果を観察することにより取得する。T1およびT2と呼ばれる、プロトン緩和時間が主に重要である。T1(スピン-格子または縦緩和時間とも呼ぶ)およびT2(スピン-スピンまたは横緩和時間とも呼ぶ)は、器官または組織のプロトンの化学的および物理的環境に依存し、Rfパルシング技術を用いて測定し;この情報を、コンピューターにより距離の関数として分析した後、それを用いて画像を作製する。
【0033】
イメージング剤に関して効率的に画像化するためには、該薬剤は、他の生物分子上で、水プロトンもしくは他の画像化核もしくは分光核、例えば、プロトンの緩和率1/T1(縦、またはスピン-格子)および/または1/T2(横、またはスピン-スピン)を増強することができなくてはならない。緩和度R1およびR2は、金属イオンの1mMあたりの、それぞれ1/T1または1/T2を増加する能力として定義される(mM-1s-1)。臨床MRIの最も一般的な形態は水プロトンMRIである。双極子-双極子相互作用を介して組織核の1/T1または1/T2を増加させることに加えて、イメージング剤は2つの他の磁気特性に影響し、これを臨床的に利用することができる。第1に、高い磁気感受性を有する鉄粒子または金属キレート、特に、Dy、Gd、もしくはHoのキレートは、顕微鏡的磁気感受性勾配を作製することにより、組織のMRIシグナル強度を変化させることができる。第2に、鉄粒子または金属キレートを用いて、他の生物分子上の、水プロトンもしくは他の画像化核もしくは分光核、例えば、プロトンの共鳴頻度をシフトさせることもできる。用いる戦略に応じて、0〜3つの開口配位部位を用いることができる。
【0034】
イメージング剤、細胞へのイメージング剤の導入、および画像化技術の記載および概説については、例えば、Lauffer, 1987, Chem. Rev., 87:901-27; Caravanら、1999, Chem. Rev., 99:2293-2352; および米国特許第4,951,675号を参照されたい。
【0035】
組成物および製品
本発明はまた、幹細胞をタグ付けするための組成物をも含む。本発明の組成物は、少なくとも1個のリンカー部分;および少なくとも1個の標的細胞結合メンバーを含んでもよい。代表的な標的細胞結合メンバーは上記されており、アネキシン、心臓特異的トロポニンTに対する特異的結合親和性を有する抗体、心臓特異的トロポニンIに対する特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンTに対する特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンIに対する特異的結合親和性を有する抗体、およびミオシンに対する特異的結合親和性を有する抗体が挙げられる。同様に、リンカーも上記されており、細胞特異的表面抗原に対する特異的結合親和性を有する抗体、およびアビジン/ビオチン対が挙げられる。本発明の組成物はまた、in vivoで幹細胞をモニターするための上記のものなどのイメージング剤を含んでもよい。イメージング剤の特定例としては、MION、SPIO、およびUSPIOが挙げられる。
【0036】
本発明の製品は、一般的には、上記の組成物および包装材料(例えば、バイアル、または容器)を含む。製品はさらに、説明書を含んでもよい。この説明書には、リンカーおよび標的細胞結合メンバーを用いて細胞をタグ付けする方法を記載してもよい。前記説明書は個体から収穫された細胞をタグ付けすることに特化したものであってよく、タグ付けされた細胞を用いて該個体上で自己移植を実施するための説明書をさらに含んでもよい。
【0037】
本発明の製品はまた、幹細胞をタグ付けし、および/または標識するための追加試薬を含んでもよい。追加試薬はバッファー、酵素、コファクター、またはタグ付けおよび/もしくは標識を確認するための物質であってよい。本発明の製品はまた、個体から幹細胞を収穫し、タグ付けおよび/もしくは標識プロセスのためにこれらを調製するための材料または試薬を含んでもよい。さらに、本発明の製品は、前記個体中で幹細胞をモニターするための材料(例えば、追加コントラスト剤)を含んでもよい。
【0038】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、これは特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0039】
実施例1-実験群
群1の動物(n = 10頭のブタ)を、細胞移植せずに冠状連結にのみ曝露した。群2の動物(n = 10頭のブタ)を、梗塞後のLV再モデリングに曝露し、自己由来MSCを用いて移植した。群3の動物(n = 15頭のブタ)はアネキシンでタグ付けされたMSCを受けた。群4の動物(n = 15頭のブタ)はアネキシンでタグ付けされ、MIONで標識された自己由来MSCを受けた。
【0040】
簡単に述べると、Yorkshireブタ(45日齢;約10 kg)を静脈内ペントバルビタールナトリウム(20 mg/kg、静脈内(iv))で麻酔した。左開胸術を実施した。最初の対角容器に対して遠位の約0.5 cmの左前方下行(LAD)冠状動脈を切り剥がし、シリコンエラストマーカテーテル(0.3 mm、同上)をLAD冠状動脈中に入れた。群1の動物については、胸を閉じ、動物を回復させた。群2、3、および4の動物については、LAD冠状動脈を、カテーテルに近い結糸部または冠状洞に由来する前方心室内静脈の起源での結糸部により閉塞させ、10,000,000個のMSC(0.5 ml生理食塩溶液中の自己由来細胞)を、カテーテルを介してLAD冠状動脈中にゆっくりと注入した。次いで、カテーテルを除去し、動脈を修復させた。2時間のLAD冠状動脈閉塞の後、閉塞結糸を除去した。これにより、2時間の残留時間、MSCが虚血性心筋層に曝露された。再灌流不整脈を除細動で処理した。次いで、胸を閉じた。移植した自己由来MSCを受けた動物はシクロスポリンA(食餌を用いて毎日15 mg/kg)を用いる免疫抑制を受けた。全動物を、2週間毎に1回、MRIまたは磁気共鳴分光測定(MRS)を用いて試験し、心筋梗塞の8週間後に最終試験を受けた。
【0041】
実施例2-標識された幹細胞および心臓に対するそれらの効果をモニターする方法
非侵襲的試験のために、動物を、ケタミン(20 mg/kg、筋肉内(im))を用いて鎮静させた後、ペントバルビタールナトリウム(30 mg/kg, iv)で麻酔した。最後のMRI試験で、カテーテルを左大腿動脈中に入れ、LV圧力を記録するためにLV室中に進行させた。MRI試験の後、大腿カテーテルを除去し、傷を修復させた。
【0042】
非侵襲的31P-MRS
閉胸されたイヌのモデル中で外部コイルを用いた31P-MRS試験を用いて、心筋のリン酸を非侵襲的に試験するための技術を開発した。この非侵襲的試験においては、閉胸されたイヌモデルのIV壁を横断する円柱状領域に由来する31P代謝物の経壁分布を測定した。MRI試験を、4.7 T/40 cmのSISCO系上で行った。分光画像化をFourie変換法を用いて行った場合、スペクトルは、交叉ボクセル夾雑に由来する有意な誤差で長方形の領域から生じた。本実験においては、Fourier Series Windows (FSW)および選択的Fourier変換法により所望のフィルターを用いてデータサンプリングを加重し、それにより、Fourier変換の予想点差関数に起因する交叉ボクセル夾雑を消失させ;スペクトルは、所定の形状の空間的に位置するボクセルから生じ、その位置を相コード方向に任意にシフトさせることができる。この試験においては、3-D B0 FSW技術を用いて、円柱状ボクセルを定義し;このボクセル形状はIV壁の形状をよく確認するだけでなく、長方形ボクセルについて必要なものよりも少ない相コード工程を必要とする。7.3 cm直径の表面コイルを31P分光測定に用いた。解剖学的画像を、組織および血液の間で高いコントラストを生成する磁気転位準備期間で、高速勾配エコー配列を用いる二重ループ1Hコイルを用いて獲得した。
【0043】
体重13〜26 kgの9匹の成長した雑種イヌを麻酔し、挿管した。カテーテルを大腿静脈中に導入し、LV圧をモニターするために進行させた。動物を、31P表面コイル状で心臓を直接、コイルプラットフォーム上にうつぶせの位置に置いた。骨格筋と心筋との区別をより明確に証明するために、胸壁の骨格筋を、肋骨に圧力を印加することにより虚血させ、動物をプラットフォーム上に安全に配置した。31P分光測定のための3-D B0 FSW配列を、5タームは19 mmの半最大シグナル強度の完全幅(FWHM)を有する円筒直径を得るための循環係数であり、9タームは5 mmの円筒高さを得るための直交係数である(円筒FWHM体積=1418 mm3)、10 x 10 x 6 cm3 FOV上で実施した。データ獲得を心臓サイクルのみに同期化させたが、呼吸行動は試験したLV壁の領域中で最小となることが見出された。無線周波数(RF)パルス長は33μsであり、1 ms相コード勾配は円筒直径を規定する0.091 G/cmと、円筒高さを規定する0.152 G/cmにより、合計681個の異なる勾配組合せについて増加した。合計1959のトランジェントを26分以内に集めた。各相コード工程についてのデータ獲得数を、Fourier係数に従って加重し;実際の係数と、累積の整数との差異を、得られたシグナルに相関係数を掛けることにより計数した。単一ボクセルに由来するスペクトルを、相コードドメインに関して加算することにより作製し;任意に規定された空間位置に由来するスペクトルを、獲得後処理を用いてデータをボクセルシフトさせることにより作製した。
【0044】
核磁気共鳴(NMR)分光測定
空間的に局在化された31P NMR分光測定を、RAPP-ISIS法(例えば、Wangら、2002, Amer. J. Pathol., 161:565-74およびそこに引用される参考文献を参照されたい)を用いて、開胸動物において実施した。各共鳴ピークの積分に対応するリン酸クレアチン(CP)、ATP、およびPiのレベルを、試験を通して連続的にモニターした。CPの化学シフトに対するPiの化学シフトを用いて、細胞質のpHを算出した。Mg2+を、α-およびβ-ATPの間の化学シフトから決定した(Verhovenら、1995, J. Exp. Med., 182:1597-1601)。実験の終わりに心外膜生検から得られた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)-測定されたATP値を、即時の生検前心外膜下のスペクトルピーク積分上でのピークの積分と共に用いて、全てのスペクトルを定量した。
【0045】
心筋遊離ADPレベルの算出
心筋遊離ADPレベルを、1.66 x 109の平衡定数、および細胞質pH=7.1:[ADP] = ([ATP][CRfree])/([CP][H+]Keq)を用いて、クレアチンキナーゼ平衡発現から算出した(Verhovenら、1995, J. Exp. Med., 182:1597-1601)。CPおよびATP値を、生検測定されたATPレベルにより補正されたスペクトルから得た。遊離クレアチンを、生検により得られた総クレアチンの測定値からCP値を減算することにより算出した。
【0046】
H-MRS測定
1H-MRSデオキシミオグロブリン測定を、LAD灌流ベッド中の心外膜表面上に置いた二重調整された表面コイルを用いて、開胸動物において上記のように実施した。このMb-δシグナルのT1およびT2は短いため、空間局在化を相コード化およびシグナル励起後の勾配スイッチングを必要とする他の戦略を用いては実施することができなかった。従って、経壁局在化を、表面コイルの下にあるLV壁表面に直交する1D頻度コード化を用いて実施し、小さいコイル次元を、コイル平面上の他の2つの次元におけるシグナルに制限させた。頻度コード化を、最初のシグナル励起の前に勾配上で回転させ、それを全体の獲得およびそれに続く全てのシグナル励起の間ならびにシグナル平均化の間のデータ獲得の間に置くことにより実施した。この戦略は、水とMb-δ共鳴の間の大きな頻度シフトの利点を取った。勾配規模は、典型的には1 cmの厚みがLV壁を横切るように、約0.1〜0.2 G/cmであり、頻度差異は約450〜900 Hzであった。ミオグロビン飽和(%)を100と定義し(測定されたデオキシミオグロビン共鳴強度/総閉塞中のデオキシミオグロビン共鳴強度)、以前に報告されたように(Zhangら、2001, Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol., 280:H318-H326)、ミオグロビン飽和-PO2曲線を用いてPO2に変換する。
【0047】
MRI映像技術
1.5Tでセグメント化された映像配列のパラメーターは:FOV = 17.5 cmについてはTR/TE/フリップ角=33 ms/6.1 ms/25度および256 x 256に内挿された87 x 128(ピクセルサイズ:2 mm x 1.4 mm)のマトリックスおよび7〜10 mmのスライス厚であった。この10分間プロトコルは心臓全体をカバーする映画様映像配列にノイズを与える高いシグナルを提供した。
【0048】
高解像度の解剖学的な心臓画像を得るために、マルチスライススピンエコー画像を獲得して心臓全体をカバーした。これらの画像により、心臓の損傷領域の程度の正確な輪郭描写が可能になる。
【0049】
画像化データを、自動化分割プログラムを用いて評価した。心室容積、駆出率、LV拡張期および収縮期容積を得た。次いで、マルチスライス、マルチ相MR映像画像に由来する絶対心筋質量を自動的に算出した。各スライスの左心室の最終拡張期容積(Vd)および最終収縮期容積(Vs)を、心臓内により囲まれた面積により表した。総左心室容積を、全スライスの容積を加えることによりコンピューター計算した。LV EFを、100% X (Vd-Vs)/Vdにより算出した。LV質量およびLV容積の算出に関する観察者間および観察者内誤差は、それぞれ3 gmおよび3 ml未満であると以前に示されている。頂点壁張力を、以前に記載のように(Grossmanら、1975, J. Clin. Invest., 56:56-84)、LV圧およびLV MRI(LV腔直径および遠隔LV壁の平均厚)の短い軸視点から同時に得られたLV半径測定からコンピューター計算した。
【0050】
Gd-EDTAにより増強されたMRIは、心筋の生存能力を評価するための信頼できる方法であると証明されてきた(Kimら、1999, Circulation, 100:1992-2002)。最初のMRI試験で、梗塞サイズを、Gd-MP(心筋の生存能力を試験するのに用いられてきたMRIコントラスト剤)を梗塞後約3時間で注入することにより定量することができる。トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)染色とよく相関するこの技術は、梗塞サイズのGd-MP評価をTTC測定された梗塞と比較する検証試験をもたらす。LV心筋の総質量に対するGd-MP輝度を証明する心筋質量の比は、梗塞されたLVの%であると考えられた。次いで、この変数により示される最初の心筋損傷の重篤度を、各群におけるLV再モデリングの重篤度、駆出率、ならびに心筋生体エネルギーを反映する変数を用いて分析した。最後に、この比を、最終的な損傷重量と比較した。
【0051】
全てのMRI試験を、1.5 Teslaで操作する標準的なSiemens Medical System VISION(登録商標)上で実施した。画像化配列は全て、毛剃りした表面上に置いた導線から得られた電気カルジオグラフシグナルに関してゲートしたが、呼吸ゲートはデータ獲得間の心臓周期に対してベンチレーターの引き金を引くことにより達成した。
【0052】
実施例3 - in vitroプロトコル
in vitro実験を行って、それぞれの細胞標識技術(β-ガラクトシダーゼまたはMION)がMSCの特徴を変化させないことを確実にした。MSCを以前に記載のようにMIONで標識した。あるいは、MSCを、アネキシン/MION複合体を用いて細胞表面上でナノ粒子によりタグ付けした。
【0053】
以下の方法を用いて、アネキシンVにより幹細胞をタグ付けした。2.5μgのマウス抗ブタ-CD44 IgG2a(第1抗体)(VMRD, Inc.;カタログ番号PORC24A)を、5 mlチューブ中の100μlの1%ウシ血清アルブミン/リン酸緩衝生理食塩水(pH 7.2-7.4) (BSA/PBS)中の5 x 105個のMSCに加えることにより、抗CD44抗体をMSCに結合させ、よく混合し、4℃にて30〜40分間インキュベートし、5 mlのBSA/PBSで洗浄して遊離抗体を除去し、1200 rpmで5分間遠心分離した。MSCに結合した抗ブタ-CD44 mAbのペレットを100μlのBSA/PBS中に懸濁した。
【0054】
ビオチン化されたウサギ抗マウスIgG(第2抗体)とストレプトアビジンのコンジュゲートを以下のように調製した。平行して、1.25μgのビオチン化されたウサギ抗マウスIgG(カタログ番号EO464、DAKO)および100μgのストレプトアビジン(カタログ番号62300、ICN)を、最大500μlのBSA/PBSを含む1.5 mlエッペンドルフチューブ中で混合し、よく混ぜ、暗室中、室温にて60分間インキュベートした。
【0055】
上記のように得られたこのコンジュゲート(ストレプトアビジン x ビオチン化抗体)を、第1抗体に結合したMSCに加え、よく混合し、暗室中、4℃にて30分間インキュベートすることにより、ヘテロ凝集物を形成させた。次いで、細胞を5 mlのBSA/PBSで洗浄して未結合の物質を除去した。
【0056】
架橋としてストレプトアビジンを用いて、アネキシンVをヘテロ凝集連結された細胞に結合させた。第1に、0.6μgのアネキシンVをコンジュゲートされたビオチン(カタログ番号PF036、Oncogene)に加えた。次いで、アネキシン-ビオチン複合体を、ヘテロ凝集連結されたMSCに加え、混合し、暗室中、4℃にて30分間インキュベートした。BSA/PBSを用いて洗浄し、遠心分離後にペレットを回収した。
【0057】
ヘテロ凝集された抗体(抗-CD44 x アネキシンV)の二重特異性の結合効率を試験するために、1.5μgのヤギ抗アネキシンV IgG(カタログ番号:アネキシンV (C-20) SC-1928, Santa Cruz Biotechnology, Inc.)および1μlのウサギ抗ヤギIgG-FITC(製品番号F7363, Sigma)を混合し、4℃にて30分間インキュベートした。混合物をBSA/PBSで洗浄し、遠心分離し、ペレットを、0.4 mlの固定溶液を含む0.1 mlのBSA/PBS中に懸濁した。次いで、混合物を蛍光活性化細胞分取装置(FACS)により分析した。ヤギ抗アネキシンVの代わりに、ヤギIgGを陰性対照として用いた。
【0058】
以下は、画像化のために極小超常磁性酸化鉄(USPIO)粒子を用いて幹細胞を標識するための手順を説明するものである。簡単に述べると、フリデックス(5 mg/ml)とフゲン(1μl/ml)とを、60%低グルコースDMEM(Gibco BRL)、40% MCDB-201 (Sigma)、1Xインスリントランスフェリンセレニウム、1Xリノレン酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA)、0.05μMデキサメタゾン(Sigma)、0.1 mMアスコルビン酸2-リン酸、10 ng/ml血小板由来増殖因子(PDGF)、10 ng/ml上皮増殖因子(EGF)、100 U/mlペニシリンおよび100 U/mlストレプトマイシンからなる無血清改変Dulbecco/Vogt改変イーグル最少必須培地(DMEM)中で30分間、同時インキュベートした。幹細胞(10 x 106)を播種し、2%ウシ胎児血清(FCS)を含む幹細胞培地中で培養した。12時間後、培養液を上記の標識培地と交換し、さらに24時間インキュベートした。
【0059】
実施例4-in vivoプロトコル
動物モデル調製、カテーテルに基づく冠状動脈幹細胞送達、およびMRI/MRSを用いる生理学的実験を実施例1に記載した。in vivoでタグ付けされた幹細胞を標的化するために、初代継代ブタMSCを培養し、Ad5-RSV-LacZでトランスフェクトした。細胞を、実施例3で上記された抗CD44抗体を用いてアネキシンでタグ付けしたが、これはアネキシンおよびPS結合により梗塞された領域に幹細胞を指向させるものである。タグ付け効率の評価の後、約20 x 106細胞/ml生理食塩水の静脈内投与またはカテーテルに基づく冠状動脈投与を輸液注入し、次いで1 mlの生理食塩水でフラッシュした。16日後、LV機能およびエネルギー論を、実施例2で上記されたMRI/MRSを用いて試験した。
【0060】
LVを切り出し、タグ付けされ移植されたMSCの運命を評価するために以下の実験を行った:(a) 可視性青色による細胞の移植を評価するための全標本β-ガラクトシダーゼ染色;(b) タグ付けされていないMSC移植と比較した、光学顕微鏡下でβ-ガラクトシダーゼを発現する細胞を計数するためのβ-ガラクトシダーゼ染色された組織切片;(c) MSCから誘導された細胞を同定し、ギャップ結合部を探索するための特異的心筋タンパク質(例えば、心臓特異的トロポニンT)を検出するための異なる抗体を用いる免疫組織染色;および(d) β-ガラクトシダーゼシグナルが移植された細胞に由来するものであり、低レベルのβ-ガラクトシダーゼを発現し得る内因性免疫細胞に由来するものではないことを確認するためのAd5-RSV-LacZベクター断片DNA配列を増幅するための凍結サンプルのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)。
【0061】
実施例5-アネキシンによるMSCのin vivoにおけるタグ付け
in vitro試験からのデータはアネキシンによるMSCのタグ付けが成功したことを示し、タグ付けされたMSCがアポトーシス性ジャーカット細胞に結合することを示していた(図1)。タグ付けを用いる、または用いないMSCのフローサイトメトリーのヒストグラムを図1に示す。パネルAは、タグを含まないMSCがFITC-抗アネキシン抗体のみと相互作用することを示している。蛍光計数はFITC-IgGを表す。結果は、MSCが細胞表面アネキシンを有さないことを示していた。パネルBは、抗CD44抗体でタグ付けされ、アネキシンで架橋されたMSCがFITC-IgGと相互作用したことを示している。蛍光計数はFITC-IgGを表す。この実験は、パネルCの実験のための陰性対照として行ったものである。パネルCは、アネキシンで架橋された抗CD44抗体でタグ付けされたMSCがFITC抗アネキシン抗体と相互作用したことを示している。蛍光強度は幹細胞への結合の結果として異なっているようであった。上部の列は、示されるように合わせたパネルA、Bおよび/またはCに由来するヒストグラムを示す。これらのデータは、2つのピークがほとんど重複していないため、MSCへのアネキシンの結合が90%を超えることを示していた。
【0062】
また、免疫組織化学を用いて、アネキシンによりタグ付けされたMSCの特異性を証明した。Ad5-RSV-LacZ感染され、アネキシンによりタグ付けされたMSC(5 x 105)を、冷結合バッファー中でアポトーシス性ジャーカット細胞(5 x 106)と同時インキュベートした。アポトーシスを誘導するために、ジャーカット細胞を、10%FBS-RPMI1640培地中の0.5μg/mlアクチノマイシンDで、37℃にて15時間、予備処理した。細胞スメアを、TUNEL技術(in situ細胞死検出キット、Roche)を用いて、in situでジャーカット細胞死の証明のために作製した。抗CD44でタグ付けされ、アネキシンと架橋したMSCは、MSC細胞の周囲のアポトーシス細胞に結合し、ロゼットを形成した。MSCにより発現されたβ-ガラクトシダーゼを、X-Gal染色キット(Invitrogen)を用いて証明した。
【0063】
実施例6-アネキシンによりタグ付けされたMSCはアポトーシス性ジャーカット細胞に結合する
Ad5-RSV-LacZをトランスフェクトされ、アネキシンによりタグ付けされたMSC(5 x 105)を、冷結合バッファー中で2時間、アポトーシス性ジャーカット細胞(5 x 106)と同時インキュベートした後、これを幹細胞培地と置換し、細胞を37℃にてさらに2時間培養した。アポトーシスを誘導するために、ジャーカット細胞を、10%FBS-RPMI1640培地中の0.5μg/mlアクチノマイシンDで、37℃にて15時間、予備処理した。細胞スメアを、形質導入されたMSC中でのβ-ガラクトシダーゼ発現を証明するために作製した(X-Gal染色キット、Invitrogen)。MSCはいくつかのアポトーシス性ジャーカット細胞に結合し、培養皿の基層に沿って広がり始めた。
【0064】
実施例7-タグ付けされたMSC移植のin vivoにおける試験
2000万個のアネキシンによりタグ付けされた同種異系MSCを、実施例1で上記されたように調製された2頭のブタに、耳静脈カテーテルを通して送達した。光学顕微鏡評価により、MSCが損傷周辺領域に向かい、生存し、心筋梗塞領域中で分化することが示されたが、これはタグ付けされていない細胞が末梢静脈を介して送達された2頭の対照動物においては観察されなかった。
【0065】
アネキシンによりタグ付けされたMSC(2000万個)を別のin vivo試験においてLADカテーテルを介して送達した場合、有意に多い数の幹細胞が心筋梗塞領域に向かった。これらの結果は、アネキシンタグ付け系が、特に、幹細胞を冠状静脈カテーテルを介して送達する場合、損傷された心筋への幹細胞の移動を促進することを示している。
【0066】
実施例8-in vitroでの移植された幹細胞の部位特異的指向性および非侵襲的モニタリング
標的組織または器官(例えば、心筋梗塞(MI)および周辺領域)に向かう移植された幹細胞の移動を追跡するために、in vivoおよびin vitroで移植されたMSCを新規な3重タグ(超常磁性ナノ粒子および二重特異的抗体、ここで一方の抗体結合部位は幹細胞表面抗原CD44であり、他方はアネキシンである)を用いてタグ付けした。非標識MSCをSPIOと共にインキュベートし、4℃にて30分間混合し、PBSで3回洗浄することにより、細胞を超常磁性酸化鉄粒子(SPIO)で標識した。
【0067】
3重タグ付けされたMSCを、100 mlの1%低融点アガロース中に、1 x 107細胞/mlの密度で再懸濁し、2層のアガロースゲル間にロードした。MRI検出を1.5T磁石を用いて行った。複数スライスインターリーブデータ獲得スキームを用いる2D勾配エコー(GE)画像化技術を適用した。データマトリックス:256 x 256、TR/TE=600/30 msec; FOV=200 mm、スライス厚=3 mm。小さい環状極性化鳥かごコイル(12 cm ID)を用いた。この試験により、SPIO表面マーカーで標識されたMSCがMRIを用いてin vitroで明確に検出可能であることが示され、従って、MRIを用いる移植された幹細胞の部位特異的標的化および非侵襲的追跡の実現可能性が示された。
【0068】
実施例9-冠状動脈を介して移植された自己由来MSC
虚血心臓におけるin vivoでの自己由来MSCの増殖および分化能力を試験するために、自己由来MSCを移植された8頭のブタにおいて実験を行った。LAD閉塞を実施して、細胞移植を含む領域および細胞移植から離れた領域を試験した。動物を2〜3週間追跡した。開胸MRS試験を実施して、LV肥大化画分および心筋エネルギーを試験した。幹細胞が注入された領域では、少ない損傷希薄化(LV動脈瘤形成なし)および心収縮後の静止期間が観察された。この知見は試験した7頭全てのブタについて一致していた。死亡後試験に際して、β-gal染色された細胞が梗塞領域中に認められた。PCr/ATP高エネルギーリン酸比は、細胞移植された領域においては約1.0であった。リンのシグナルが閉塞された動脈により灌流された領域に由来する(MSCを播種した場合)ように、表面コイルに対して直交する10 x 10 mm2のISISカラムを用いて、31P-MRSを獲得した。このPCr/ATP比を、細胞移植を用いないLV梗塞における約0、心不全における約1.40、および正常な心臓における約2.2と比較した。MSCが移植された領域に存在する高エネルギーリン酸(PCrおよびATP)の知見は、MSC移植の存在を示している。
【0069】
これらのデータは、1)虚血心臓環境は幹細胞分化に関して許容性である;2)高エネルギーリン酸代謝は幹細胞移植を用いるか、または用いない損傷された心筋間で有意に異なる;および3)自己由来MSCはブタの心臓の虚血心筋において筋細胞に分化する、ことを示している。
【0070】
実施例10-結果
in vivoで外因的に移植された細胞を力学的に追跡するためのMRIの使用は、細胞治療を用いる遺伝子疾患および変性疾患の治療の評価において重要な進歩である。切り出された組織の組織細胞学的分析と組み合わせたin vivoにおけるMRI観察および磁気標識された細胞の回復は、移植された細胞の埋込みおよび再生能力のより良い理解をもたらす。これらの試験はまた、細胞治療のための組織学的試験を究極的に置き換えるコントラスト増強されたMRIの能力を試験する価値あるデータを提供する。
【0071】
in vivoで移植された細胞を可視化し、追跡するために、Ad5-RSV-LacZ遺伝子を形質導入されたMSCを、磁気共鳴コントラスト剤で標識し、細胞を、成分結合部位の1つが幹細胞表面抗原CD44に対して指向されるが、他の成分結合部位は標的部位(すなわち、梗塞領域)抗原に対して指向された二特異的抗体でタグ付けした。約2 x 107細胞/mlの生理食塩水を、心臓周辺の空間に送達するか、またはブタにおける第1対角冠状動脈の連結によりもたらされた急性心筋梗塞後の虚血領域に直接注入した。MRI画像化を用いて、長時間に渡って移植された細胞の運命を追跡するために、移植された細胞の移動および位置、ならびにLV機能およびLV壁の厚さを、連続する5週間に渡って直後および週間隔で評価した。
【0072】
最後のMRI測定の後、心臓を切り出し、二特異的抗体を用いた幹細胞の磁気的標識の効果を評価するために試験した。例えば、全標本を取得して、β-ガラクトシダーゼ染色に基づいてLacZ発現細胞の埋め込みを評価した。さらに、切り出された心臓(特に、損傷および損傷周辺領域)のMRI試験を行って、in vivoにおけるMRIの結果を確認した。切り出された心臓組織(例えば、損傷および損傷周辺領域)からの切片を、免疫組織化学染色(トロポニンTなど)と組み合わせて、鉄(Perls' Prussian blue反応)およびβ-ガラクトシダーゼ(LacZ)発現のために染色して、移植された細胞を検出し、同定する異なる手段を評価および検証する。切り出された新鮮な心臓組織(損傷周辺の心筋)を酵素的に分散させ、磁気を負荷された細胞を、磁気カラムを用いて回収して、それらの埋め込みおよび細胞の運命を分析および確認した。本明細書に記載の実験で得られたデータを、タグ付けされていないMSCを用いる実験からのデータと比較した。
【0073】
in vitro試験からのデータにより、アネキシンによるMSCのタグ付けが成功したことが示された。従って、本実験により、末梢静脈を介して送達されたタグ付けされた幹細胞は心筋梗塞領域に移動することができることが示された。心筋梗塞領域への移動は、末梢静脈を介して送達されたタグ付けされていない幹細胞を用いる実験では起こらなかった。同じ戦略を、MION抗体を含むアビジン/ビオチンを介してタグ付けされたMSCに用いた。これらの実験により、MION-標識された細胞の位置および通行の画像化(例えば、MRIを用いる)が可能になり、それによって傷害されたか、または梗塞された心筋の領域中への前記細胞の移動を増強するための方法の評価が容易になった。本明細書に記載の結果に基づいて、タグ付けされ、標識された自己由来MSCを臨床的に用いて、非外科的な様式でMSCの埋め込みを増加させ、心臓修復のための細胞治療においてMRIを用いて非侵襲的に細胞の通行を追跡することができる。
【0074】
別の実施形態においては、自己由来MSCを、同じアビジン/ビオチン結合系を用いて、補体(C3またはC5)に連結した。心筋傷害の領域における補体の蓄積に対する免疫応答はさらなる組織損傷を引き起こすことが知られていた。MSCへの補体(例えば、C5)の結合は、心臓の傷害された領域においてそれらが「ニッチ」を発見するように幹細胞を指向し、内因性補体結合と競合し、それによって補体蓄積により誘導される細胞傷害を減少させることができる。
【0075】
実施例11-幹細胞移動の指向:表面改変されたMyoD-/-細胞
筋芽細胞は、移植に際して報告された不整脈に起因する心筋梗塞後の幹細胞治療のための最適の選択ではないかもしれないが、MyoD-/-筋芽細胞はこの研究にとってそれらを有利にするいくつかの特徴を有する。MyoD-/-筋芽細胞を、少なくとも30回の継代に渡ってin vitroで培養することができ、それらはアネキシンVへの分子架橋を作ることができる高レベルの表面タンパク質を連続的に発現する。MyoDは、骨格筋およびその前駆体においてのみ発現され;それは非筋細胞においては特異的遺伝子によって抑制される。MyoD遺伝子の除去により、筋芽細胞はその初期段階を維持することが可能になり、自発的に骨格筋に分化することが防止される。MyoDは骨格筋分化を調節するため、MyoDのノックアウトにより、筋芽細胞は梗塞された心筋への注入に際して心筋細胞または内皮細胞に分化することが可能になる。
【0076】
アネキシンVを、実施例3で上記された方法を用いてMyoD-/-細胞の細胞表面に付着させた。マウスにおいて左冠状動脈の連結により、心筋梗塞および虚血をもたらした。胸を閉じた後、1 x 106または2 x 106個のLacZ発現MyoD-/-筋芽細胞を、大腿静脈を介して注入した。マウスは心エコー評価を受け、心筋梗塞の誘導および細胞送達の6日後に屠殺した。全心臓のX-gal染色により、アネキシンVにより改変された細胞(n=5)の有意な移植が示されたが、「青色」細胞は未標識細胞(n=3)を注入されたマウスの心臓において観察されなかった。予備データは、アネキシンVでタグ付けされたMyoD-/-筋芽細胞による移動および移植の効率が増加することを強く示唆している。表面改変された幹細胞を、末梢静脈経路を介して送達し、所与の器官における特定の組織に対して指向させた。
【0077】
移植を定量するために、心臓を8μmの切片に切断し、LacZ陽性の「青色」細胞を計数した。移植された細胞の分化の運命を、筋原マーカーおよび内皮マーカーの免疫組織化学染色および免疫蛍光染色により決定した。
【0078】
他の実施形態
本発明を、本明細書に記載の詳細な説明と関連して説明したが、前記説明は添付の特許請求の範囲の範囲により定義される本発明の範囲を例示するものであり、それを限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。他の態様、利点、および改変は特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、タグ付けを用いる、および用いない間葉系幹細胞(MSC)のフローサイトメトリーのヒストグラムを示す(下部の列)。上部の列は、示されたように組み合わせたパネルA、Bおよび/またはCに由来するヒストグラムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体において損傷されたか、もしくは疾患を有する組織または器官に対して細胞を指向させる方法であって、
標的細胞結合メンバーでタグ付けされた細胞を提供する工程;および
タグ付けされた細胞を前記個体の血管系に導入し、それによって前記細胞を前記損傷されたか、もしくは疾患を有する組織または器官に対して指向させる工程、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記細胞が幹細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記幹細胞が、間葉系幹細胞(MSC)、および内皮前駆幹細胞からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞が、前記個体に関して自己由来、同種異系、または異種のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標的細胞結合メンバーが、アネキシン、心臓特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、心臓特異的トロポニンIに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンIに対して特異的結合親和性を有する抗体、およびミオシンに対して特異的結合親和性を有する抗体からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導入が、前記個体の冠状静脈、末梢静脈、または冠状動脈を介するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記損傷された組織または器官が、心筋、心膜、膵臓、腎臓、骨格筋、中枢神経系、および肝臓からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記タグ付けされた細胞が、イメージング剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記イメージング剤が、単結晶性酸化鉄ナノ粒子(MION)、超常磁性酸化鉄粒子(SPIO)、および極小超常磁性酸化鉄(USPIO)からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記イメージング剤が、前記タグ付けされた細胞を画像化するために使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
個体における心筋梗塞に対して幹細胞を送達する方法であって、
アネキシンでタグ付けされた幹細胞を提供する工程;および
タグ付けされた幹細胞を前記個体の血管系に導入し、それによって前記幹細胞を前記心筋梗塞に対して送達する工程、
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記幹細胞が、MSCおよびEPCからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1個のリンカー部分;および少なくとも1個の標的細胞結合メンバーを含む組成物。
【請求項14】
前記標的細胞結合メンバーが、アネキシン、心臓特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、心臓特異的トロポニンIに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンTに対して特異的結合親和性を有する抗体、骨格筋特異的トロポニンIに対して特異的結合親和性を有する抗体、およびミオシンに対して特異的結合親和性を有する抗体からなる群より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
イメージング剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記イメージング剤がMION、SPIOおよびUSPIOからなる群より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項13に記載の組成物、および前記リンカーを用いて、前記標的細胞結合メンバーで、個体から収穫された幹細胞をタグ付けするための説明書を含む製品。
【請求項18】
前記タグ付けの後に、前記細胞を用いて、前記個体上での自己移植を実施するための説明書をさらに含む、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
異種性標的細胞結合メンバーでタグ付けされた、単離された幹細胞。
【請求項20】
前記幹細胞がイメージング剤でさらに標識された、請求項19に記載の幹細胞。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−500756(P2007−500756A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533766(P2006−533766)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018776
【国際公開番号】WO2004/110270
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(301078489)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ (24)
【Fターム(参考)】