説明

組織を固定し、切断する道具と方法

柔部組織を切断し、留め具を取付けるように操作するための外科器具に関する。この外科器具の実施形態では、組織を調べ、組織を切断し、そして縫糸のような留め具を組織に取付けることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織を操作する外科器具に関し、特に、軟部組織、結合組織、内蔵器官(例えば、子宮)等を切断し、(組織を切断する前か後に)同じ組織に留め具を取付け、さらに選択的に、切断した組織を第2の組織に再度取付けるために用いる道具に関する。また、本発明は、外科手術を行うための道具の使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの外科手術では、組織を切断し、組織を操作し、選択的に、例えば縫糸のような留め具やマーカーを組織に取付けて、さらに望ましくは、切断した組織を他の組織へ取付けることを必要としている。多くの例では、組織の操作は、患者の体のうち離れた、又はアクセスの困難な領域で行われている。切断、操作、又は留め具やマーカーを組織に取付けることを含む手術は、一般的に、患者の領域のうち、アクセスが困難な所、感度が高い所、又は離れた所で行われる時、より一層困難になる。例えば、骨盤底を直す幾つかのタイプでは、比較的に小さな切り口を介して、内部の組織に対して、膣を経由する(transvaginal)アクセスのみが許される場合がある。骨盤底を直すことに含まれる組織には、例えば、(膣腔に取付けられて、腔をつるすために使われる)仙棘靱帯(sacrospinous ligament)や、経膣的子宮摘出での子宮頸部の組織がある。骨盤底を直すことを含む外科手術の例として、尾骨の筋肉や子宮仙骨靱帯や仙棘靱帯の複雑な膣を経由し(膣の切り口を介する)通るように縫糸のような留め具を取付けるものがあるが、例えば、このような組織を膣腔をつるすために取付ける子宮摘出手術や脱出(器官の正常位置からの)を直す際に行っている。他の外科手術の例には、例えば子宮頸部の複雑な所で、子宮のような内蔵器官の組織や他の結合組織を切断するものが含まれる。
【0003】
経膣的な子宮摘出は、腹部又は開腹(abdominal)子宮摘出と同じように、約3分の1で行われている。経膣的な子宮摘出の(腹部子宮摘出に対する)利点は、膣を経由する手術では挿入がより少なく(これは、病的状態がより少なくなることに関係する)、患者の回復がより速く、さらに脱出手術と組合せることができることにある。しかしながら、子宮頸部の複雑な所や結合組織(子宮仙骨靱帯、基靱帯、広靱帯(broad ligamant))や子宮に対する露出とアクセスは限定されているため、経膣的手術は技術的により困難とされている。
【0004】
子宮摘出時には、手術に続き、子宮仙骨靱帯、基靱帯、広靱帯の一つ又は複数を子宮膣部(vaginal cuff)に取付けて膣腔をつるすようにして、後の脱出の可能性を減らすことが望ましい。例えば、子宮仙骨靱帯を子宮膣部に取付ける場合、外科医は、子宮仙骨の折りめに含まれており、子宮を仙骨に接続している子宮仙骨靱帯を切断することを必要とする。しかし、経膣的手術では、子宮仙骨靱帯にアクセスすることが困難な場合がある。さらに、ほとんどの婦人科医が同意しているように、子宮仙骨靱帯を高い位置でつかむことは、一度取付けが行われると、適切に腔をつるすことを可能になる。但し、大抵、一度これら靱帯が切断されると、これら靱帯は、通常、骨盤腔内に引き込まれて、回復することが困難になるため、多くの外科医は、経膣的に子宮摘出を行うことを選択しない傾向にある。
【0005】
医療の研究者達は、より安全に、かつより効率的に外科手術を行えるように、新しい道具の需要に対応するように従事している。例えば、経膣的な子宮摘出や骨盤底に関する他の手術のような、外科手術の安全や効率を高めるために特に構成された道具は、手術の困難性や技術的な問題を減らすことができ、そして、困難な手術を行うように外科医を促して、さらに、患者の手術結果と回復とを良好にさせることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、軟部組織の操作、切断、取付け、結合、“タグをする”、マークをする、又は直すことに用いられる外科器具と方法を提供するが、泌尿器科や婦人科の分野に用いられる手術に限定されない。本発明に係る器具は、組織を切断したり、組織を取除いたり、又は選択的に組織に取付部をつけたり、さらに選択的に、所望なように、組織を他の組織や外科的なインプラントに再度取付ける、任意の外科手術に用いることができる。但し、本発明に係る器具は、特に好ましくは、骨盤底を再構成する手術であって、特に膣を経由して行われるような、アクセスの困難な組織である軟部組織を直すのに用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従う外科器具は、組織をつかんだり、組織を取除くために切断したり、又は再度取付けたり、さらに留め具を組織に取付ける、組合された機能を行うことができるように構成される。選択的に、そして好ましくは、この道具はまた、留め具を再度取付けたり、切断した組織を第二の所望の組織や、外科用インプラントのような他の材料に取付けることを可能にする。これら組合わされた機能によって、外科医は、組織の所望の位置をつかみ、所望の位置で組織を切断し、そして留め具を組織に取付けることを、単一の道具を用いるだけで可能になるが、この操作は、比較的に単一の操作で行われるか、一連のステップで行われて、道具のあご(作用部)を単一の所望の位置や複数の近い位置に配置して、所望の順序で、切断機構と留め具の取付機構を作動させるようにする。本発明の幾つかの実施形態では、道具を外科手術の場所から取除くことなく、切断した組織を第二の組織や他の材料に再度取付ける、さらなるステップを含む。
【0008】
組織に取付けることができる留め具には様々なタイプがあるが、これには縫糸が含まれており、例えば、縫糸と矢(ダート)のアセンブリや縫糸と針(ニードル)のアセンブリを通すようにし、又は、機械コイルやクリンプ用の取付け部や同様物が含まれる。公知なように、縫糸を通す道具は、縫糸と矢のアセンブリや縫糸と針のアセンブリを、道具の一方の領域(例えば、矢や針を送るあご部)から他方の領域(例えば、矢や針を受取るあご部)まで通すことができる。選択的に、そして好ましくは、留め具の取付機構(例えば、縫糸の通し機構)には、2方向の機構を含むことができ、これは、最初に通された後、受取り側のあご部で留め具(例えば、縫糸、針又は矢)を保持して、次に、受取り側のあご部から元の通した側のあご部まで留め具(例えば、縫糸、針又は矢)を再度通すことができ、好ましくは、例えば外科手術の場所から道具を取除くことなく、所望の第二の組織の位置や他の材料に留め具を再度取付けられるようにする。
【0009】
幾つかの実施形態に従う器具は、例えば、骨盤底の領域にある組織にアクセスするため膣を経由して挿入できるように、体の離れた場所に挿入されて、用いられるように、特定の分野に合わせた形状と大きさを有することができる。このような適用分野では、道具のあご部はコンパクトで、細長い延長部の端部に配置され、この細長い延長部により本体の操作機構と装置のハンドルから離れてあご部を配置させる。そして、細長い延長部によって、例えば経膣的な切り口のような小さな切り口を介してあごを挿入できるようにして、そうでなければアクセスの困難な組織に達することができるようにする。
【0010】
子宮摘出の特定の例では、子宮は取除かれて、そして望ましいステップでは、手術に続いて、一つ又は複数の周囲の靱帯を、残りの子宮頸部の組織や子宮膣部に取付けて、膣部や膣腔を支持させている。(選択的に、本明細書で説明した道具の切断機構は、子宮頸部で子宮を切断するステップを行うために用いることができる。)用られる靱帯は、例えば、子宮仙骨靱帯、基靱帯、広靱帯でもよい。最も望ましくは、外科医は、組織を再度取付けるために望ましい量を提供し、例えば、子宮頸部のリングのような、膣腔に固定できるようにする、複雑な子宮頸部からこれら靱帯を切断する。しかしながら、一度子宮仙骨靱帯、基靱帯又は広靱帯が切断されると、縫糸、マーカー又は他のタグ用の機構が取付けられておらず、靱帯を識別して回復することができない場合には、通常、靱帯は、配置され、回復することが困難になる骨盤腔内に深く引き込まれることになる。このため、本発明では、このような手術のステップにおいて有用となるように、子宮仙骨靱帯、基靱帯又は広靱帯の一つ又は複数を切断して、靱帯にタグを付けて(例えば、靱帯に取付部を配置する)、手術中に後で靱帯の配置を容易に行えるようにする。
【0011】
本発明に従う道具によって、外科医は、例えば一つ又は複数の靱帯のような、所望の組織をつかみ、組織に留め具を取付けてマークしたり、タグをして、組織の切断に続いて靱帯が引き込まれる場合には、靱帯の組織を回復できるようにする。同じ道具を用いて、そして選択的に同じ位置や近くの位置で靱帯をつかみながら、外科医は、機械的又はエネルギー供給型の切断機構(例えば、機械的な刃やはさみの機構や、熱、高周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザーエネルギー等)を用いて、靱帯を切断することができる。そして、所望の位置で切断されて、“タグ”又は留め具を含む組織(例えば、靱帯)が、骨盤腔内に引き込まれるのを防ぐようにして、少なくともこのような引き込みが生じる場合には、外科医が組織(例えば、靱帯)を回復できるようにする。
【0012】
次に、取付けた留め具(例えば、縫糸)を用いて、組織を他の材料や組織、例えば、外科用インプラントや、子宮膣部や子宮頸部のリングの組織に再度取付けるのに用いられるようにする。
【0013】
この道具は、例えば靱帯のような、任意の所望な組織を切断するために用いることができ、子宮摘出の場合には、同一の切断機構を用いて、子宮頸部の組織の複雑な所から子宮を切断して、取除けるようにする。
【0014】
さらに、この道具は、切断機構や留め具の取付機構と組合せて用いることができる、他の選択的な特徴を有していてもよく、例えば、あご部やこの近くに光源を有していてもよく、例えば道具の本体の一方又は両側部に縫糸の操作素子を配置していてもよく、順応でき、ピボットしたり、徐々に移動するように、移動可能又は調整可能なあご部を有していてもよく、モジュール状の構成物を有していてもよく、あご部や、道具の本体とあご部の間の延長部に沿った位置で、関節状又は順応性の端部を有していてもよく、あご部の開閉、切断機構の作動、留め具の取付機構の作動等の一つ又は複数を停止させる特徴を有していてもよい。また、この道具や、モジュール状の道具の様々な構成部は、使い捨てされてもよく、又は再利用されてもよい。
【0015】
一例を示すと、本発明に関する外科用の道具は、本体部と、本体部から延びる延長部と、延長部の端部に設けられる第1と第2のあご部を含み、各あご部に組織との接触面を備えたあご部のアセンブリと、第1と第2のあご部の少なくとも一方を第1と第2のあご部の他方に対して移動することができ、あご部を開閉位置の間で操縦させるようにあご部の少なくとも一方と操作可能なように接続されたあご部の作動部と、あご部のアセンブリに配置された切断機構と、あご部の間に保持された組織を切断するように切断機構の操作を可能にする切断機構の作動部とを有し、あご部のアセンブリは、あご部の間に保持された組織に留め具を取付けるように作動可能な留め具の取付機構を含む。
【0016】
他の例では、本発明は、子宮摘出を行う方法に関する。この方法では、本明細書で説明したような外科用の道具を提供し、靱帯の組織をつかむように、道具のあご部のアセンブリを挿入し、切断機構を作動させて、靱帯を切断し、留め具の取付機構を作動させて、留め具を靱帯に取付ける、各ステップを有する。本発明に従う幾つかの方法では、子宮仙骨靱帯、基靱帯及び広靱帯から、靱帯を選択することができる。
【0017】
他の例では、本発明は、子宮摘出を行う方法に関する。この方法では、本明細書で説明したような外科用の道具を提供し、靱帯の組織をつかむように、道具のあご部のアセンブリを挿入し、切断機構を作動させて、靱帯を切断し、留め具の取付機構を作動させて、留め具を靱帯に取付け、留め具を子宮頸部の組織に取付ける、各ステップを有する。
【0018】
さらに他の例では、本発明は、組織を切断する方法に関する。この方法では、本明細書で説明したような外科用の道具を提供し、第1の組織をつかむように、外科用の場所にあご部のアセンブリを挿入し、切断機構を作動させて、第1の組織を切断し、留め具の取付機構を作動させて、留め具を前記第1の組織に取付ける、各ステップを有する。さらに、この方法では、選択的に、第2の組織に留め具を取付けてもよい。
【0019】
さらに他の例では、本発明は、本明細書で説明したような道具と、留め具とを含むキットに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付した図を参照して、本発明に従う幾つかの好適な実施形態について説明するが、これらは例示的にのみ示されたものであり、本発明を限定させるものではない。他の実施形態については、当該外科器具の分野における通用の知識を有する者ならば、本明細書の説明から明らかになるであろう。
また、添付された図は全て概略的に示されており、寸法は異なっている。
【0021】
本発明では、外科用の道具は、選択された組織に留め具を取付け、留め具の近くの組織の同じ部位を切断するため、組合された機構を含む。切断機構と留め具の取付機構は、切断と、留め具の取付けを行えるように組織に配置できる、道具の1つ又は2つのあご部に設けられる。あご部は、本体又はハンドルそして作動機構から離れた、細長い延長部の端部に設けられる。道具の端部にはあご部が含まれ、基部には本体とハンドルが含まれる。典型的な実施形態では、ハンドルは、組織上であご部を閉ざすように作動可能である(例えばスライド機構等の、他の閉鎖機構も可能である)。
【0022】
この道具は、例えば内蔵器官のような所望の組織を取除くために切断し、又は組織や靱帯を後の利用のために加えられるようにすることを含む外科手術に有用であり、この場合には、例えば、組織や靱帯は、他の組織や、合成又は生物学的な移植材料や同等物のような外科用インプラントに後で取付けられてもよい。本発明に係る道具は、組織を切断し、また組織に留め具を取付ける特徴を有しており、両方の機能を行える単一の道具を用いることで、外科医が、切断と留め具の取付け機能の双方を容易に行えるようにする。
【0023】
本発明は、切断と留め具の取付けを含むことがある任意の外科手術に広く適用することができる。この手術には、例えば、腹部、経膣、又は腹腔鏡(laparoscopically)状に行われることがある子宮摘出が含まれる。本発明は、特に、アクセスが困難な場所に置かれている組織に対して、切断したり、留め具を取付けるのに有用である。例えば、子宮仙骨靱帯、基靱帯又は広靱帯のような靱帯に対して、切断し、留め具を取付ける、経膣又は腹腔鏡状の子宮摘出のような、膣を経由する手術に用いることができる。例えば、靱帯の切断に先立つように、手術中に幾度か靱帯をマークするように縫糸を用いることで、外科医を助けることができ、そして手術中に、任意の場所で、後に靱帯の再度の取付けを行えるようにする。縫糸や他の留め具やマーカーを靱帯に取付けることで、切断された靱帯が引き込められても、失われることはなく、取付けた留め具を用いて、靱帯を容易に配置できるようにする。
【0024】
道具のあご部には、組織に留め具を取付けるのに有用な留め具の取付機構が含まれる。この留め具は、利用可能な任意のタイプの留め具でもよく、例えば、理解可能なように、縫糸、縫糸と矢のアセンブリ、縫糸と針のアセンブリ、縫糸の締付部、コイルの留め具、クリンプ型の留め具等のような、機械的な留め具を用いることができる。また、道具に備えられる留め具の取付機構は、利用可能な任意のタイプの機構でもよく、例えば、理解可能なように、縫糸、縫糸と矢のアセンブリ、縫糸と針のアセンブリ、縫糸の締付部、コイルの留め具、クリンプ型の留め具等を取付ける機械的な留め具用の取付機構を用いることができる。留め具の取付機構のタイプは、従来公知のものでもよく、又は、後に開発されるものでもよい。特に従来公知の留め具の取付機構として、例えば、2002年5月24日に出願された、米国特許出願番号第10/155,710号の、“外科用の縫糸の通し装置と方法”に関する明細書に開示されたものがあり、これは、単一の通し機構を用いて、縫糸と矢のアセンブリを組織に取付ける道具と方法について説明している。但し、他のタイプの留め具の取付機構を用いることは任意であり、例えば、2方向に縫糸を通すことができる、縫糸の通し機構を用いてもよい。縫糸と針のアセンブリを2方向に、そして選択的に複数通すことができる利用可能な機構として、例えば、タイコ・ヘルスケア・アンド・ユナイテッドステーツ・サージカル(Tyco Healthcare and United States Surgical)によって、登録商標ARTHROSEWの名前で、市場で販売されている縫糸の装置がある。さらに他の留め具の取付機構として、生物学的な接着剤や熱を及ぼすことで組織を固定するような、他の機構を用いることも可能である。
【0025】
道具のあご部には、切断機構も含まれる。一般に、切断機構は、あご部の一方又は双方に配置された任意の切断機構でもよく、所望の組織を切断できるようにして、留め具の取付けも可能にする。切断機構は、あご部のいずれか又はあご部の双方等の任意の有用で所望の部位に設けられてもよく、例えば、道具の本体(例えば、ハンドル)に対して留め具の取付機構から遠くに、又は近くに設けられてもよい。子宮仙骨靱帯、基靱帯、広靱帯等の一つ又は複数を切断するため、又は、子宮摘出時に、子宮頸部から子宮を切断するために構成された道具では、切断機構は、留め具の取付機構に対して、道具のハンドル部の近くに置かれてもよい。このような構成では、使用中、組織が切断された後で、留め具が、例えば、子宮仙骨靱帯のような靱帯の一つに対して取付けられた後、留め具を、仙骨と接続されたままの切断された靱帯の部位に対して取付けて、子宮と接続されたままの切断された靱帯の部位に対して取付けないようにする。
【0026】
あご部と切断機構は、特定の組織を切断するために、大きさと形状が定められていてもよい。このことは、例えば、特に、体のアクセスが困難な部位や離れた所でも、特定の組織にあご部がアクセスできるように、あご部の全体の大きさを定めるような、特定の外科手術に有用なように大きさ定めることを含む。さらに、切断機構が特定の組織を完全に切断できるように、切断機構の大きさと形状を定めていてもよい(例えば、有用な幅や長さを有するようにする)。切断機構は、あご部のセットに対して任意の方向に沿って延びる切れめをつくように、配置されて、位置決めされてもよく、例えば、あご部のセットの幅に沿ったり(図2a〜2fに示すように、あご部に対して本体から延びる道具の軸に対して垂直に)、あご部の長さに沿ったり(図4に示すように、道具のあご部に対して本体から延びる軸と平行に)、又は、他の異なる角度で行われてもよい。(本明細書の説明では、あご部の“長さ”は、道具の長手軸方向又は長手方向と平行な大きさに関し、例えば、細長い延長部に関する。道具の“幅”は、長さに対して垂直な大きさに関し、例えば、添付した図に示されているように、あご部を互いに対して開閉させるように作動する時、あご部の移動方向に対して垂直である。図示した道具のあご部では、図4を参照すると、長手方向の大きさを“l:length”で示し、図5を参照すると、幅方向の大きさを“w:width”で示している。)
【0027】
本発明の道具の実施形態では、あご部の大きさと道具の切断機構は、例えば、通常、2〜5ミリメートルの範囲内の幅を有することがある、子宮仙骨靱帯を切断するのに特に有用なように構成することができる。本発明の道具のあご部と切断機構は、切断機構の単一の操作で靱帯を完全に切断できるように、同様の範囲内の大きさの幅又は長さでもよい(あご部の幅又は長さに沿った、切断機構の方向に基づく)。より大きな又は小さな組織のためには、あご部はより大きな又は小さな幅又は長さを有していてもよい(同様に、あご部の幅又は長さに沿った、切断機構の方向に基づく)。
【0028】
道具のあご部は、夫々、あご部の開閉中、例えば、道具の本体部に対してあご部を接続する延長部の軸に沿って移動するように、道具に対して別々に移動可能にされていてもよい。あるいは、あご部の一方は移動可能で、他方は道具の残りの部位に対して固定されていてもよい。さらに、双方が道具に対して移動可能なあご部の場合には、あご部の双方とも単一のピボット点に対してピボットしてもよく、又はあご部が夫々、異なるピボット点に対してピボットしてもよい(この場合、あご部は夫々、異なるピボット点を有し、全部で二つのピボット点がある)。あご部は、湾曲状でもよく、又は直線状でもよい。直線状のあご部は、本発明の幾つかの実施形態で好まれることがあるように、平行に配置されてもよく(図4参照)、このような実施形態では、平行なあご部は切断時に均一に組織を圧縮して、エネルギーを伝達するため、熱エネルギー(例えば、RFやマイクロ波等)を利用する切断機構を備えることができる。例えば、図2a〜2fを参照すると、夫々、道具に対して開閉移動して、異なるピボット点を有する、分離した湾曲状のあご部が示されている。一方、図4を参照すると、第1のあご部を道具に対して固定させて、第2のあご部を道具と第1のあご部に対してピボットさせるように、平行なあご部を有する道具の実施形態が示されている。
【0029】
切断機構は、従来公知なものや、後に開発され得る、任意の様々な切断機構でもよく、上述したように、道具のあご部に設けることができる。例えば、利用可能な切断機構は、道具の二つのあご部の間に保持された組織を切断するために、所望の位置に置かれた、移動可能な(例えば、ピボットや、伸縮移動)、鋭利な切断面(例えば、刃)のような、機械的な機構でもよい。他の切断機構として、熱、電流の流れ、超音波エネルギーや、他のエネルギー形態、例えば、加熱素子、レーザーエネルギー、マイクロ波エネルギー、高周波(RF)エネルギー、さらには他の電磁エネルギーであって、組織を切断できるものに基づくものがある。これら切断機構の機能部位は、道具のあご部の一方又は双方に置かれてもよく、そして、あご部を閉鎖位置に作動させる時、接触したり、並んだり、所望の位置決めをされて、組織を切断できるようにしてもよい。選択的に、切断機構は、さらに、必要に応じて、あご部に対して移動可能又は、ピボット可能にされていてもよい。あご部を(閉鎖させるように)作動すると、切断機構の間に保持された組織を切断するように、切断機構を作動することができる。
【0030】
熱、光、又は他の電磁エネルギーの利用に基づく切断機構は、離間されたエネルギー源から切断用のエネルギーの源を所望なように供給されてもよく、そして、機械的又は他のタイプの感知スイッチを用いて作動されて、切断面又はあご部の表面にエネルギーを放出させてもよい。このようなシステムでは、離間されたエネルギー源を、例えば、操作室内に置くことができる。また、本発明の道具、例えば、道具の本体やハンドル部にアダプターを備えて、離間した源から切断用のエネルギーを受取れるようにしてもよい。また、道具は、切断機構の作動部を作動させる時、アダプターから受取ったエネルギーを、あご部と切断機構に送ることができるように、伝達機構を有する。
【0031】
切断機構は、例えば、本体やハンドルのような、道具の基部に設置可能な切断機構の作動部によって作動することができる。切断機構の作動部は、特定の切断機構に有用なタイプでよい。例えば、移動可能な刃のような機械的な切断機構では、一つ又は複数の切断面を、あご部を(閉鎖させるように)作動する際、閉鎖して、組織を切断するように、作動させてもよい。又は、切断機構は、あご部の移動とは関係せず、あご部とは別に、あご部が閉鎖された後に、操作可能なように、別の作動機構を用いて作動されてもよい。
【0032】
機械的な切断機構では、切断機構の作動部は、例えば、移動可能、伸縮可能、又はピボット可能な刃や切断エッジに対して、直接的又は非直接的に取付けられたロッドやワイヤーのような機械的な作動部でもよい。そして、あご部が閉鎖位置にあり、切断機構を作動できるように道具が準備されると、使用者が簡単に操作できるような道具の位置に置かれた切断機構の作動部によって、ロッドやワイヤーの作動機構を移動できるようにする(例えば、スライド状の作用、カムレバー、ノブ又はトリガー等により行う)。切断機構の作動部の移動により、刃は、機械的に、あご部と切断機構の間の組織を閉ざして、切断させる。非機械的な切断機構の場合には、作動部は、スイッチ、レバー、ノブ等でもよく、例えば、熱、光、又は他の切断用のエネルギーである、切断用のエネルギーを道具のあご部の切断機構部で放出させて、あご部の間に置かれた組織を切断させてもよい。
【0033】
図1を参照すると、本発明に従う外科装置10の実施形態が例示されている。この装置10は、組織をつかみ、組織を切断し、そして組織に留め具を取付ける機能を行うのに適している。選択的に、そして好ましくは、この装置は、さらに切断された組織を第2の組織や、外科用インプラント材料のような他の材料に、所望なように、再度取付けることを可能にする。そして、例えば、道具の本体やハンドル部のような、道具の上に置かれた様々な制御機構や作動部の異なる、又は関連した移動を用いて、様々な機能を行うことを可能にする。
【0034】
好ましくは、装置10は、組織を実際に切断するのに先立って、また組織に留め具を取付けるのに先立って、組織の健全さについて調べたり、テストを行えるようにしてもよい。このような道具の好適な実施形態を用いることで、組織が損傷したり、傷付くことがないように、組織の強度、特性、丈夫さ、又は十分な全体的な健全さについてテストして、この結果、組織が留め具を支持するのに適切であることを、外科医が決定できるようにする。例えば、装置10は、外科医が調べられた組織の健全さについて認知できるように、触覚によるフィードバックを外科医に提供できるようにする。一度、適切な組織が識別されると、この組織は切断されて、例えば縫糸のような留め具を組織に取付けられてもよく、後で、組織を他の組織や外科用インプラントのような他の材料に接続できるようになる。
【0035】
図1に例示した装置10は、本体部20と、第1と第2の湾曲したあご部54と52を含むあご部40と、本体部20から離れるように延びる細長い延長部30と、あご部52と54を開閉させるあご部の操作部(例えば、レバーやハンドル)22と、留め具の取付機構の作動部(例えば、縫糸の取付機構の作動部)24と、切断機構の作動部25を有している。あご部52と54は、あご部の操作部22を作動させると同時に、ピボット51と53に関して、開閉位置の間でピボットする。あご部52と54の先端部48の間に保持された組織に留め具を取付けられるように配置された留め具の取付機構の構成部の位置と比べて、図示された切断機構55は、一般に、あご部52と54の本体部20の近くにある位置に設けられている。
【0036】
図1を参照すると、留め具の取付機構の作動部24は、第1と第2の位置の間で本体部20に対して移動できるように本体部20上に取付けられている。図には詳しく示していないが、道具の留め具の取付機構の機能位置は、あご部52と54に沿って置かれており、例えば、第1のあご部52から第2のあご部54まで、あご部の先端48の間に置かれた組織を通って、縫糸と矢のアセンブリを効果的に通せるようにする。あるいは、留め具の取付機構の作動部は、道具の任意の場所に置かれていてもよく、例えば、本体の他の位置や、あご部の操作部22の一方又は他方の位置に置かれていてもよく、また、あご部の操作部22の移動と関連することができる。
【0037】
また図1を参照すると、図示された切断機構55は概略的に示されており、切断機構について詳しく示していないが、切断機構は任意の形態の切断機構でもよく、例えば、機械的に操作されるもの(例えば、機械的に操作される刃)や、熱エネルギー、電磁エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波、レーザーあるいは他のエネルギーの形態であって、組織を切断するのに有用なものに基づいて操作されるものでもよい。切断機構の作動部25も概略的に示されているが、切断機構のタイプに基づいて、機構を作動させる様々な形態を有していてもよい。切断機構の作動部25は、例えば、機械的、電気的、又は電子的なボタンであって、作動モードと非作動モードの間で、交互に押込められたり、解放されるものでもよい。切断機構が電磁や熱エネルギー等の形態のエネルギーの使用に基づく場合には、電気的又は電子的なスイッチを用いるのが好ましい。あるいは、切断機構の作動部25は、例えば、機械的なスライド、ノブ、カム又はレバーであって、作動モードと非作動モードの間で移動できるものでもよい。
【0038】
図示するように、切断機構の作動部25は、外科手術中に容易に操作されるように、外科医の親指や人差し指が容易に達するようにするため、道具10の本体部20に置くことができる。あるいは、切断機構の作動部は、道具の他の場所に置かれてもよく、例えば、本体の他の位置や、あご部の操作部22の一方又は他方の位置に置かれてもよく、あご部の操作部22の移動と関連していてもよい。
【0039】
再度図1を参照すると、留め具の取付機構は、特に、一方のあご部から、あご部の間に置かれた組織を通って、他方のあご部まで、矢と縫糸のアセンブリを通することができるようにした、縫糸の取付機構でもよい。このような縫糸の通し機構として、例えば、本発明の出願人によって特許出願中の、2002年5月24日に出願された、米国特許出願番号第10/155,710号の、“外科用の縫糸の通し装置と方法”に関する明細書に開示されたものがある。このような留め具の取付機構のタイプでは、作動部24は、あご部52の内側に配置されたダートカムを作動させるように、手動的に作動することができる。ダートカムは、作動されると、あご部52からあご部54の受取り部まで、縫糸と矢のアセンブリを移動させる。図示する形態では、縫糸の通し機構の作動部24は、外科医の親指や人差し指が容易に達するように置かれた、一対の始動部材を有する。また、図1に示すように、作動部24は一体で移動して、使用者が一つの部材を引き戻すと、双方の部材が戻るようにしている。道具10は、ダートカムを進ませるため、外科医の人差し指や親指によって始動されてもよい(以下において説明する)。
【0040】
本発明の道具の切断機構は、任意の有用な切断機構でもよく、例えば、図2a〜2f及び図4に例示されるように、切断機構の様々なタイプでもよい。図示された本発明の実施形態のあご部と切断機構は、特定の外科手術で、好ましくは、切断機構の単一の作動で組織を切断するように、大きさ(例えば、長さと幅)と形状を定められていてもよい。
【0041】
例えば、図2a〜2fでは、あご部と切断機構の幅について特定していないが、この大きさ(例えば、幅)は、単一の位置決めステップと単一の切断機構の作動ステップで、あご部が所望の組織(例えば、子宮仙骨靱帯)をつかみ、そして、切断機構が組織にまたがって、組織を切断するのに適するようにできる。より特徴的には、図2a〜2fに示した切断機構は、全てあご部に長さに対して垂直であり、つまり、切断面があご部の幅と並ぶようにしている。この場合、切断と留め具の取付けステップとの間で、あご部を移動させることなく、あご部が組織をつかみ、留め具を組織に取付けて、組織を切断することができる。切断機構の単一の作動だけで切断ステップを効果的に行うため、あご部により組織をつかまえながら、切断機構が組織の全幅にまたがるようにするのが好ましい。
【0042】
比較として、図4を参照すると、あご部の長さと平行な切断機構、つまり、あご部の長さと並ぶ切断機構を含むあご部のセットが示されている。これらあご部では、留め具の取付機構が置かれる所(例えば、あご部の先端部)で、あご部の第1の位置であご部が組織をつかめるようにしている。そして、留め具を組織に取付けることを可能にする。次に、あご部の長さに沿って切断機構の間に組織を置くようにあご部を移動することができ、そして、組織を切断するように切断機構が作動可能になる。また、切断機構の単一の作動で効率的に切断ステップを行うため、切断機構の作動によって組織が切断される位置であご部の間に置かれるときに、切断機構が(あご部の長さに沿って)組織の全幅にまたがるようにするのが好ましい。図4に示されるように、留め具の取付機構(あご部の先端に設置される)に対して、道具の本体部の近くに、道具のあご部の長さに沿って切断機構が置かれている。あるいは、切断機構に対して、道具の本体部の近くに、あご部のピボット点付近に留め具の取付機構が置かれていてもよい。この構成もまた、留め具の取付機構から離れて、あご部の長さに沿った、あご部の切断機構部を用いて組織を切断するように、あご部の移動に続いて、あご部のピボット点の近く又は向う留め具の取付機構を用いて、留め具の取付けを行えるようにする。
【0043】
図2aと2bを参照すると、これら図には、縫糸の通し機構と切断機構を含む、移動可能(閉鎖可能)な湾曲状のあご部の実施形態が示されている。あご部62と63は、つかみ面70を有し、夫々、作動機構(図示せず)の操作により、ピボット151と153に対して、別々にかつ同時にピボットする。一度、あご部の間で組織が閉ざされると、縫糸の通し機構により、あご部62の先端から、組織(図示せず)を通って、第2のあご部63の先端まで、縫糸と矢のアセンブリ、72と74を通することができる。縫糸の通し機構(図には詳細に示していない)は、あご部62の先端から、つかみ面70の間の組織を通って、あご部63の受取り用のチャンバ76まで、縫糸と矢のアセンブリ(縫糸74と矢72を含む)を機械的に押す機構(例えば、カム等)を含んでいる。
【0044】
図2aに示されるあご部62と63は、さらに、ピボット可能な刃64、固設された切断面66及びワイヤー68から構成される切断機構を含んでいる。この例示された実施形態の切断機構は、あご部の長さの方向の軸に対してほぼ垂直な角度で、組織を切断するように並んでいる。ワイヤー68は、道具(図示せず)の基部側の端部で切断機構の作動部に取付けられている。つかみ面70の間に組織を挟み、ワイヤー68を操作すると、刃64と切断面67は組織を切断する位置につき、刃64を切断面67に向ってピボットさせる。従って、使用時には、図2bに示すように、あご部62と63は閉ざされて、縫糸と矢のアセンブリ72と74が、あご部62から63まで通ることができ、そして、刃64が作動されて、刃64の切断面と切断面67の間で組織を切断できる。
【0045】
図2cと2dには、機械的な切断機構の他の例が示されており、この場合もまた、例示された道具のあご部62と63は、縫糸の通し機構を含んでいる。あご部62と63は、つかみ面70を有し、道具12の基部に置かれた作動機構(図示せず)の操作により、ピボット151と153に対して同時にピボットする。一度、あご部62と63の間で組織が閉ざされると、縫糸の通し機構は、あご部(62)の先端から、組織を通って、第2のあご部(63)の先端まで、縫糸74を通すことができる。この縫糸の通し機構は、例えば、あご部62の先端から、つかみ面70の間に置かれた組織を通って、あご部63の受取り用のチャンバ76まで、縫糸と矢のアセンブリ(縫糸74と矢72を含む)を押すように、あご部62内にカム(図示せず)を含んでいてもよい。
【0046】
図2cと2dに示されるあご部62と63は、さらに、作動用ロッド87の操作により、スロット84と86を通って伸縮可能な、刃80と82から構成される切断機構を有している。(また、この例示的な実施形態の切断機構は、あご部の長さ方向の軸に対してほぼ垂直な角度で、組織を切断するように並んでいる。)ロッド87は、硬い金属や他の剛性の材料から形成することができ、刃80と82を押して、スロット84と86を通って伸ばすようにしてもよい。道具(図示せず)の基部側の端部では、切断機構の作動部(図示せず)に作動用ロッド87が取付けられている。そして、つかみ面70の間に組織を挟んで、あご部の長さに対してほぼ垂直な方向(例えば、あご部の幅に沿う方向)で、組織を切断するように刃80と82を伸ばすように作動させる。刃80と82の作動は、作動用ロッド87の操作により行われて、刃80と82が合わさって、組織(図示せず)を切断する。従って、使用時には、図2cと2dに示すように、あご部62と63は閉ざされて、縫糸と矢のアセンブリ72と74が、あご部のつかみ面70の間の組織を通るように、あご部62から63まで通ることができ、そして、刃80と82が作動されて、二つの刃の間で組織を切断する。
【0047】
図2eと2fには、非機械的な切断機構(例えば、刃のような機械的な切断作用と異なり、電磁的又は他の切断エネルギーの形態に基づいて作用する切断機構)が例示されており、この場合もまた、道具のあご部62と63には縫糸の通し機構が含まれている。あご部62と63は、つかみ面70を有し、作動機構(図示せず)の操作により、ピボット151と153に対して同時にピボットする。一度、あご部62と63の間で組織が閉ざされると、縫糸の通し機構は、一方のあご部(62)の先端から、組織(図示せず)を通って、第2のあご部(63)の先端まで、縫糸74を通すことができる。
【0048】
あご部62と63は、さらに、プローブ88と89を含む切断機構を有している。プローブ88と89は、あご部62と63を閉鎖させると、組織と接触するように合わさる。そして、プローブ88と89は、切断エネルギーを組織の内部に又は通過するように放出して、組織を切断させる。プローブ88と89は、分れた(例えば、単極又は双極の)切断エネルギー源でもよく、このエネルギーは、例えば、高周波(RF)、マイクロ波エネルギー、超音波、レーザー又は他の光のエネルギー、あるいは他の適当なエネルギー源であって、組織を切断するのに用いることができるものでもよい。また、エネルギー源は離間されていてもよく、例えば、操作室内に配置可能なリモートコンソールから発生して、外科手術中に使用されるように道具と接続されていてもよい。図示するように、プローブ88と89は、あご部62と63が閉鎖される時、組織と接触するように大きさと形状が定められており、そして、あご部の軸に対してほぼ垂直な角度で組織を切断するように並べられている。プローブ88と89は、作動機構(図示せず)により電気的に作動することができ、この作動機構は、電気的又は電子的な配線、又はレーザーの場合には光学ファイバーを有して、道具(図示せず)の基部側の端部に向って、また選択的に離間したエネルギー源に向って延びていてもよい。つかみ面70とプローブ88と89の間に組織が挟まれると、プローブ88と89から切断エネルギーが放出されて、組織を切断させる。従って、使用時には、図2eと2fに示すように、あご部62と63は閉ざされて、縫糸と矢のアセンブリ72と74が、あご部62から63まで通ることができ、そして、プローブ88と89が切断エネルギーを生じさせるように作動されて、二つのプローブの間で組織を切断する。
【0049】
図4を参照すると、本発明の道具のあご部の異なる形態が例示されている。図4では、道具110のあご部112と114は比較的に直線状であって、閉鎖される時(図示するように)、互いに対して、かつ道具の長手方向軸に対して、平行になる。このあご部の直線状でかつ平行な形状は、あご部112と114が組織にまたがるように閉鎖される時、あご部112と114の長さに沿って組織と良好に接触することができる。あご部112と114の先端部120と122は、上述した留め具の取付機構の任意のものを含むことができる。図示したものは、留め具の取付機構は縫糸の通し機構として示されており、これは、単一に通す機構でもよいが、好ましくは2方向の機構であって、針や縫糸や矢をあご部114の先端部122からあご部112の先端部120まで送った後、所望のように、再度戻すように送ることができる。これは、図示するように、受取り用のチャンバ121を用いて、針を通している。この例示した道具の切断機構は、あご部112と114の夫々の長さに沿って延びるように、二つのエネルギー放出素子124を有している。この素子124は、マイクロ波エネルギー、RFエネルギー、超音波エネルギー、レーザーエネルギー等の任意の一つ又は複数の形態で、切断エネルギーを放出するものでもよい。図4を参照すると、あご部112は固設されており、あご部114はピボット点126に関してピボットして、あご部112と114が互いに対して開閉できるようにしている。
【0050】
本発明の道具のさらに選択的で、かつ幾つかの好適な特徴として、道具は、留め具を第1の組織に取付けて、第1の組織を切るか切断して(これら最初の二つのステップは、任意の有用な順序で行われる)、そして、切断した第1の組織を第2の組織又は他の材料に再度取付けるように構成することができる。本明細書で記載したように、第1の組織に取付けられる留め具は、縫糸、縫糸と矢のアセンブリ、縫糸と針のアセンブリ、縫糸の締付部、コイルの留め具、クリンプ型の留め具等を含む、留め具の様々な形態の任意のものでもよい。特定の実施形態では、例えば、留め具は縫糸と針のアセンブリであって、道具の一方のあご部から、組織(例えば、子宮仙骨靱帯)を通って、針を保持することができる他方のあご部まで通ることができる。あご部は開かれて、第1(今、切断された)組織から、第2の組織又は他の外科用の材料まで移動することができ、そして、第2の組織(例えば、子宮頸部の組織)や材料をつかむように、あご部を閉ざすことができる。縫糸は、受取り側のあご部から、第1のあご部に向って、第2の組織又は材料を通るように押し戻されて、二つの組織又は第1の組織と材料を接続することができる。従って、特に図示していないが、図1と2a〜2fに示した道具の任意の実施形態は、図示した任意の切断機構と組合せて、複数通すことができる、2方向の縫い合わせ装置を含むことができる。
【0051】
本発明の道具は、さらに他の選択的な特徴を有していてもよく、例えば、有用であると理解されるように、あご部に又はこの近くにライトを備えて、外科医が切断手術の場所を視認できるようにしてもよい。他の可能なものとして、例えば、道具の本体の一方又は両側に、縫糸の操作素子を道具に備えていてもよい。縫糸の操作素子は、柔らかい材料を含むスリット又はスロットでもよく、この柔らかい材料は、例えばシリコン、C−フレックス、発泡、又は他の弾性材料(エラストマー)であって、外科手術中に、道具のハンドル部の所望の位置で縫糸の材料を保持するようなグリップ力を提供するものでもよい。他の選択的な特徴の例として、道具は、多くの特徴のうち、調整可能なあご部(例えば、順応性のある、ピボットする、又は徐々に移動するあご部)、再装填可能なあご部(例えば、カートリッジを用いる)、取外し可能な(例えば、使い捨てできる)あご部、モジュール状の構成物、関節状の端部(例えば、道具の延長部に沿う)、機能を停止させる特徴等の一つ又は複数を有していてもよい。道具は、使い捨て可能でもよく、又は再利用可能なものでもよい。選択的に、道具のある部位は再利用可能(減菌可能)であって、他の部位は分離可能で、使い捨て可能にされてもよく、この分離可能で、使い捨て可能なあご部の区間により、道具の使い捨てされない部分を何度も利用できるようにしてもよい。また、あご部が閉鎖位置にない限り、留め具の取付機構の作動部か、切断機構の作動部を防ぐように、停止させる特徴を備えていてもよい。選択的に、道具は、腹腔鏡的に用いられるように、大きさと形状を特に定めていてもよい。
【0052】
さらに、道具のあご部には、組織の切断を補助するさらなる機構を備えていてもよい。例えば、道具の基部と接続されて、液体や他の流体を切断場所に分配する分配機構をあご部に備えていてもよい。特定の例を示すと、道具は、塩性や同様のヨー素処理された溶液を切断場所に分配できるようにして、切断場所を洗浄して、例えば、双極モードで、電磁エネルギーを発生する切断機構を用いる道具のあご部に沿って、均一に熱の伝達を行うことを容易にしてもよい。
【0053】
これら道具、この構成物、例えば縫糸、縫糸と矢のアセンブリ、縫糸の針のアセンブリ、クリンプ、クリップ、又はコイルのような留め具、そして選択的に、例えば、膣腔の脱出の処理に役立つメッシュ材料のような外科用インプラントは、例えば、貯蔵寿命、減菌の要求、さらには他の優先事項等の様々な要因に基づいて、一体、又は別体、又はサブアセンブリで、パッケージされていてもよい。
【0054】
外科用の材料又は外科用インプラントは、例えば、膣腔の脱出の状態を処理するのに用いられる、任意のインプラント可能な外科用の物品でもよい。これら物品には、メッシュ材料や、合成又は生物学的な組織の材料、コネクター等と組合せられたメッシュ材料から形成されたインプラントを含むことができる。膣腔の脱出の状態を処理するのに有用な製品は様々知られており、例えば、アメリカン・メディカル・システムズ(American Medical Systems)から供給されているAPOGEE製品がある。非常に一般的であるが、これら装置は、例えば、単一の材料又は接続された材料(例えば、メッシュ、テープ、選択的に合成又は生物学的な組織に部位を含むもの)の部位の“ストリップ”を膣腔の一部に取付けて、そしてストリップの他の部位を、膣腔を支持するために人体の一部に取付けている。
【0055】
他、任意の、有用で、便利で、経済的な減菌手順を用いて、キットの内容物を別々に、又は一体で減菌させてもよく、これには、スチーム、酸化エチレン、電子ビーム又は他の放射、蒸気(例えば、過酸化水素や過酢酸等)、プラズマ手順等を用いる方法が含まれる。
【0056】
他の面では、本発明は、例えば、軟部組織を直すような、外科方法に関する。本発明に従う道具は、組織を切断することと合わせて、また選択的に、組織をつかんだり、組織の健全さを調べることと合わせて、縫糸のような留め具を組織に取付けることに利点がある様々な外科手術の任意のものに用いられるように構成できる。本発明を用いることが特に有用な、軟部組織を直す例には、例えば、経膣状、腹腔鏡状、又は腹部状に行われることがある、骨盤底を再構成する手術が含まれる。特定の適用分野として、例えば、子宮仙骨靱帯の固定や、管のバイパス中に任意の脈管又は動脈の結紮を提供したり、子宮の動脈の結紮のような止血を提供するための、切断管の閉鎖や、腔の脱出の直しや、仙棘靱帯の固定や、膣傍欠損(paravaginal defect)の直しや、膀胱瘤、直腸瘤及び腸内ヘルニア(enteroceles)の直しや、脱出の直しや、そして、下腹部の動脈の結紮のような深部での骨盤を縫うことや、卵巣摘出や、管の結紮(ファロピーオ管)や、さらに同様物であって、例えば、経膣的に、腹腔鏡的に、あるいは異なるように行われるものがある。尚、これらは、単に例示されたものであって、本発明を限定させるものではない。
【0057】
一般に、本発明に係る方法は、開閉位置の間で移動可能な第1と第2のあご部の有する装置、あご部に設けられた切断機構、及び留め具の取付機構を含む。本明細書で説明上、示される幾つかの実施形態では、道具のあご部の間で、選択された一つ又は複数の組織や外科用の材料を通るように縫糸を通す、縫糸の通し機構の形態で、留め具の取付機構を含んでいる。このような縫糸の通し機構は、縫糸を単一に通すものでもよく、又は、複数、2方向に縫糸を通すものでもよく、また、切断した組織を組織の他の部位や外科用の材料に再度取付けることが続けられるように、組織を切断することと組合せられて組織に縫糸を取付けることを可能にしてもよい。
【0058】
例示的な方法では、第1のあご部に留め具(例えば、縫糸のアセンブリ)を装填して、組織の様々な位置であご部を開閉位置の間で移動させることで組織を調べて、選択された組織に留め具を取付けることを含む。留め具が縫糸の場合には、縫付けられた組織から装置を引き出すことで、組織を通る縫糸をきつく締めることができる。あるいは、上述したように、異なる組織を通すように第2のあご部から縫糸を送ってもよく、この後、装置を引き出すことで、双方の組織を通る縫糸をきつく締めることができる。第1の組織に留め具(例えば、縫糸)を取付ける前か後に、機械的又は非機械的な切断機構を用いて組織を切断することができる。
【0059】
本発明の好適な実施形態の幾つかでは、例えば、骨盤底の領域内の組織にアクセスするため膣を経由して挿入されるように、本体の離れた領域に挿入されて、操作されることに合わせて、あご部と全道具(例えば、あご部と基部の本体又はハンドルの間の細長い延長部)の大きさと形状を構成できる。選択的に、腹腔鏡的に用いられるように、大きさと形状を定めてもよい。このような適用分野では、道具のあご部はコンパクトで、特定の本体の組織を切断できる長さと幅を有する大きさにされていてもよい。コンパクトで適切な大きさのあご部は、細長い延長部の端部に置かれるが、これは本体、ハンドル、又は道具の基部に設けられる選択的な操作機構から離間してあご部を設けて、外科手術中、患者に対して実質的に外部に留まり続ける。細長い延長部により、例えば、経膣的な切れ目やカニューレ等の小さな切れ目を通って、あご部を挿入できるようにして、アクセスが困難な組織に達することを可能にする。
【0060】
子宮摘出手術は、子宮頸部のリングの周りで切開することを含むステップにより、子宮を取除いている。通常、外科医は、子宮頸部のリングの組織をできるだけ多く失われないように努めている。特に経膣的な子宮摘出の例では、子宮頸部のリングでの切断によって子宮を取除くが、望ましいステップでは、子宮仙骨靱帯、基靱帯又は広靱帯の一つ又は複数を、残りの子宮頸部の組織又は子宮膣部に取付けて、膣腔を支持させている。この手術の重要なステップは、これら靱帯の一つ又は複数を切断して、タグを付け(例えば、取付部を設ける)、後で、靱帯を子宮頸部の組織に対して取付けられるようにすることにある。最も望ましくは、子宮頸部のリングのような膣腔に対して、再度取付けられるように組織の量を提供する位置で、外科医が靱帯を切断できるようにする。しかしながら、靱帯を識別させて、引き込まれた後で靱帯を回復させるように縫糸が靱帯に最初に取付けられていなければ、一度、靱帯が切断されると、通常、靱帯を配置させることが困難な骨盤腔内に深く靱帯が引き込められることになる。
【0061】
本発明に係る方法では、上述した装置を用いることで、靱帯(例えば、子宮仙骨靱帯)のような第1の組織をつかみ、例えば、縫糸、クリップ又はコイル等のような留め具を組織に取付けられるようにする。靱帯の場合、留め具は、一つ又は複数の靱帯にマーク又はタグを付けるように機能する。同じ装置を使って、選択的に、組織を同じ位置でつかみながら、外科医が、道具のあご部に設けられる機械的又はエネルギー供給型の切断機構(例えば、熱、RFエネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザーエネルギー等)を用いて、組織を切断できるようにする。切断ステップは、道具の様々な特徴と、外科手術中の好適な順序に基づいて、留め具の取付けステップの前か後に行うことができる。靱帯は処理されると、靱帯に“タグ”、又は留め具を含み、靱帯が骨盤腔内に引き込まれることを防ぎ、又は少なくとも、このような引き込み時に外科医が靱帯を回復できるようにする。
【0062】
次に、取付けられた留め具(例えば、縫糸)を用いて、組織を第2の組織又は外科用インプラントや他の外科用の材料に、所望なように再度取付けることができる。切断され、タグが付けられた組織を再度取付けることは、任意の有用な方法を用いて行うことができる。例えば、道具を外科用の場所から引き戻して、第2の留め具の取付装置(例えば、縫糸の通し装置)内に縫糸を再度挿入して、第2の組織に留め具を取付けるようにしてもよい。あるいは、道具に、第1の留め具の取付けステップ中に縫糸が通されたあご部で縫糸を保持するように機構を備えてもよく、このため、第1のあご部から戻すように縫糸を再度通すことで、縫糸を第2の組織に直接的に再度取付けられるようにしてもよい。
【0063】
図3a〜3fには、本発明の方法について例示しているが、これは、本発明を限定させるものではない。この例は子宮摘出手術に関し、子宮仙骨靱帯を切断して、子宮仙骨靱帯を子宮頸部の組織に再度取付けて、子宮膣部を支持させることを含む。しかしながら、理解されるように、他の外科手術のタイプにおいても、任意の所望の組織に対して、切断して、留め具を取付ける同様のステップを行うことは可能であり、そして選択的に、組織を第2の組織又は他の外科用の材料に再度取付けるようにしてもよい。
【0064】
図3aを参照すると、例えば道具10のような道具が示されており、これは、非機械的な切断機構と、2方向の縫糸の通し機構を含む、あご部を有している。あご部62と63はつかみ面70を有し、作動機構(図示せず)の操作によりピボット151と153に対してピボットする。一度、あご部62と63の間で組織を閉鎖させると、縫糸の通し機構は、針72と縫糸74を、あご部62の先端から、組織100を通って、組織63の先端にある受取り用チャンバ76(大きさは合わせていない)まで通すことができる。
【0065】
あご部62と63に含まれる切断機構はプローブ88と89を有し、これらは組織100と実質的に接触するように合わさり、あご部の閉鎖時に、組織100の幅(図示せず)を測ることを含む。図3bを参照されたい。そして、プローブ88と89は、組織100を切断するため、組織100内に切断エネルギーを放出するように作動できる。
【0066】
図3aを参照すると、道具10のあご部は、外科用の場所に挿入されて、子宮仙骨靱帯100と接触して、つかむようにする。そして、図3bに示すように、あご部62と63を閉ざして、あごの表面70の各々を組織100の反対側の表面と接触させるが、同時に、プローブ88と89を組織100の反対側の表面と接触させる。2方向の縫糸の通し機構(詳しくは示していない)の第1の機構が作動されると、あご部62から、組織100を通って、あご部63の受取り用のチャンバ76で受取られるように、針72と縫糸74が通される。針72と縫糸74が組織100を通る前か後に、プローブ88と89を含む切断機構が作動されて、プローブ88と89の間の位置で組織100を切断する。組織100が切断されると、針72と縫糸74が切断された組織100を抜けて通されて、あご部63の受取り機構によって針72が受取られて、保持される。
【0067】
図3cを参照すると、本発明の例示した実施形態は、子宮頸部の組織102として例示されている、第2の組織に対して、比較的に直接的に縫糸74を再度取付ける場合を示している。この実施形態の方法によると、道具10は、子宮頸部の組織102をつかめる位置にあご部62と63を配置させるように移動させている。縫糸74は、組織100を通り、針72に向って延びている。図3dに示すように、あご部62と63の表面70が子宮頸部の組織102をつかむと、2方向の縫糸の通し機構の第2の構成部を用いて、針72を子宮頸部の組織102に通すことが準備される。2方向の縫糸の通し機構(図示せず)の第2の構成部をこのように作動させると、針72と縫糸74は、あご部63の先端から、子宮頸部の組織102を通って、あご部62まで戻されるように通されて、あご部62にて、針72は再度、受取られて、保持される。図3eを参照されたい。次に、図3fに示すように、あご部62と63が開かれて、道具10を引き出すことが可能になり、組織100を組織102に固定させるように、縫糸74をきつく締めることが可能になる。
【0068】
本発明の方法の他の例では、図4に示す道具110のような道具を用いて、組織を切断して、留め具を組織に取付けてもよい。図5aを参照すると、道具110のあご部112と114は、断面で示されているが(あご部の幅は“W”で示されている)、これはあご部112と114の各々に対する切断素子124の位置である。図5aに示すように、この方法では、あご部112と114の先端を用いて組織128をつかむステップを含み、上方のあご部114から下方のあご部112まで針(図示せず)を通すことで、留め具(縫糸118)を組織に取付けている。あご部112と114は次に開かれて、同じ組織の異なる部位に移動でき、組織128を通るように配置させながら(そして、針が通される、あご部112によって針を保持させながら)、縫糸118を張りわせるようにする。図5bに示すように、切断素子124を組織128と接触させるため、あご部112と114を閉ざすことができ、この時、切断素子124を作動して、素子124と接触する組織128を切断できる。図5aを参照すると、縫糸118は、外科用の場所、132、に対して外側の位置から延びて、あご部114の先端部を通り、組織128を通って、組織の下方で、あご部112の先端で保持された針と接続されている。
【0069】
組織128を切断するこの手順に続いて、組織128を、他の組織や外科用の材料に、任意の方法で再度取付けてもよい。特定の方法では、道具110は2方向の縫糸の通し機構を含み、第2の組織、130、をつかむために、あご部112と114を、再度移動させて、閉鎖させてもよい。例えば、図5cに示すように、縫糸118は端部132(外科用の領域の外側)から延びて、上方のあご部114内に入って、通り(組織130を通ることなく)、組織128を通って、下方のあご部112に戻されるが、ここで針を用いて、あご部内で縫糸を保持させる。針又は矢、そして縫糸118は、次に組織130を通って、上方のあご部114によって再度受取られる。そして、あご部112と114を開くことができ、そして縫糸の両端部を外科用の領域から運び出すことができる。さらに、縫糸は、組織128と130の双方を通って、ゆるみを締め付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に従う道具を示す図である。
【図2】本発明に従う道具のあごのアセンブリの様々な実施形態を、2a〜2fに分けて示す図である。
【図3】本発明に従う外科手術の例のステップを、3a〜3fに分けて示す図である。
【図4】本発明に従う道具のあごのアセンブリの他の実施形態を示す図である。
【図5】本発明に従う他の外科手術の例のステップを、5a〜5cに分けて示す図である。
【符号の説明】
【0071】
10 装置
20 本体部
22 あご部の操作部
24 留め具の取付機構の作動部
25 切断機構の作動部
30 延長部
40 あご部(あご部のアセンブリ)
48 先端部
51、53 ピボット点
52、54 第1と第2のあご部
55 切断機構
62、63 第1と第2のあご部
70 つかみ面
72 矢
74 縫糸
76 受取り用チャンバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用の道具であり、
本体部と、
前記本体部から延びる延長部と、
前記延長部の端部に設けられる第1と第2のあご部を含み、各あご部に組織との接触面を備えたあご部のアセンブリと、
前記第1と第2のあご部の少なくとも一方を前記第1と第2のあご部の他方に対して移動することができ、前記あご部を開閉位置の間で操縦させるように前記あご部の少なくとも一方と操作可能なように接続されたあご部の作動部と、
前記あご部のアセンブリに配置された切断機構と、
前記あご部の間に保持された組織を切断するように前記切断機構の操作を可能にする切断機構の作動部と、を有し、
前記あご部のアセンブリは、前記あご部の間に保持された組織に留め具を取付けるように作動可能な留め具の取付機構を含むことを特徴とする道具。
【請求項2】
前記留め具は縫糸であり、前記留め具の取付機構は前記あご部のアセンブリに設けられる縫糸の通し機構を構成することを特徴とする請求項1に記載の道具。
【請求項3】
前記留め具の取付機構は、前記第1のあご部から前記第2のあご部まで、縫糸のアセンブリを通すことができる縫糸の通し機構であり、
前記第1のあご部は、前記縫糸のアセンブリを通す大きさの経路を有し、
前記第2のあご部は、前記縫糸と矢のアセンブリをつかまえられる大きさと形状の表面を有することを特徴とする請求項1に記載の道具。
【請求項4】
前記縫糸の通し機構はさらに、前記第1のあご部から前記第2のあご部まで前記縫糸のアセンブリを通した後、再度、前記第1のあご部まで前記縫糸のアセンブリを戻すように通すことができることを特徴とする請求項3に記載の道具。
【請求項5】
前記縫糸の通し機構は、前記切断機構から離れた、前記あご部のアセンブリ上に配置されることを特徴とする請求項3に記載の道具。
【請求項6】
前記切断機構は、機械的な刃のアセンブリを含むことを特徴とする請求項1に記載の道具。
【請求項7】
前記切断機構は、電磁エネルギーの放出源を含むことを特徴とする請求項1に記載の道具。
【請求項8】
前記切断機構は、高周波エネルギー、レーザーエネルギー、マイクロ波エネルギー、及びこれらの組合せからなるグループから選択されたエネルギー源を含むことを特徴とする請求項7に記載の道具。
【請求項9】
前記電磁エネルギーの離間した源と接続されることを特徴とする請求項7に記載の道具。
【請求項10】
経膣的に又は腹腔鏡的に用いられるように、大きさと形状を定めたことを特徴とする請求項1に記載の道具。
【請求項11】
子宮摘出を行うための方法であって、
請求項1に記載の外科用の道具を提供し、
靱帯の組織をつかむように、前記道具の前記あご部のアセンブリを挿入し、
前記切断機構を作動させて、前記靱帯を切断し、
前記留め具の取付機構を作動させて、前記留め具を前記靱帯に取付ける、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記靱帯は、子宮仙骨靱帯、基靱帯、及び広靱帯から選ばれることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記留め具を前記靱帯に取付けた後、前記留め具を子宮頸部の組織に取付けて、前記靱帯を前記子宮頸部の組織に接続するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、経膣的に又は腹腔鏡的に行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
子宮摘出を行うための方法であって、
請求項4に記載の外科用の道具を提供し、
靱帯の組織をつかむように、前記道具の前記あご部のアセンブリを挿入し、
前記切断機構を作動させて、前記靱帯を切断し、
前記留め具の取付機構を作動させて、前記留め具を前記靱帯に取付け、
前記留め具を子宮頸部の組織に取付ける、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記方法は、経膣的に又は腹腔鏡的に行われることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組織を切断するための方法であって、
請求項1に記載の外科用の道具を提供し、
第1の組織をつかむように、外科用の場所に前記あご部のアセンブリを挿入し、
前記切断機構を作動させて、前記第1の組織を切断し、
前記留め具の取付機構を作動させて、留め具を前記第1の組織に取付ける、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項18】
さらに、前記留め具を第2の組織に取付けるステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、経膣的に又は腹腔鏡的に行われることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の道具と留め具を含むことを特徴とするキット。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2007−526800(P2007−526800A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551274(P2006−551274)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001844
【国際公開番号】WO2005/072626
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(504338069)エーエムエス・リサーチ・コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】