説明

組織マーカ

本発明は体組織(6)中の病変(16)をマーキングするための組織マーカに関する。本発明によれば、組織マーカ(1,1’)はトランスポンダ(2)を含んでおり、トランスポンダ(2)は電磁放射(8)によって起動可能であり、また位置特定信号(9)を電磁放射として送信し、該電磁放射に基づいて、体組織(6)中の前記組織マーカ(1)の位置が確認される。本発明の有利な実施形態によれば、組織マーカ(1,1’)は生分解性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体組織中の病変をマーキングする組織マーカに関する。
【0002】
医療では、特に腫瘍、前癌状態又は他の局所的に限定された病気をもつ患者の診断及び処置に当たって、体組織から組織サンプルを取り出すための手術が頻繁に行われる。一般には、医師が周知の技術(触診、レントゲン、MRI、超音波など)を用いて病気の疑いがあると判断した場合、発見された病変部の細胞が癌性であるか否かを確かめるために、生体組織検査が行われる。その際、生体組織検査は直視下生検であることもあれば、経皮生検であることもある。直視下生検の場合、病変部の組織塊が完全に又は部分的に除去される。ふつう針状の器具を用いて行われる経皮生検の場合には、病理検査のために小さな組織塊、場合によっては1つの細胞だけが取り出される。いずれの場合も、手術の精確な実施のためには、病変の場所、つまり、病変の中心の位置と、さらには病変の辺縁部をできるだけ正確に位置特定できることが重要である。手術の際に病変全体が取り除かれることを保証するためには、病変の辺縁部を正確に検出することが重要である。
【0003】
先行技術からは、体組織中の病変をマーキング及び位置特定する様々な技法が公知である。
【0004】
実務では、US5,221,269に記載されているようなワイヤガイドがよく用いられる。このようなワイヤガイドは特に胸部の病変の位置特定に使用される。ワイヤガイドは、遠位端に螺旋状のコイル構造を有するガイドワイヤを含んでいる。ガイドワイヤは中空の針によって胸部に挿入され、撮像システムによる監視の下で病変位置へと導かれる。そして、病変位置でガイドワイヤの遠位端にある螺旋状コイルが体組織に留められる。最後に、病変部の組織の位置に留められたガイドワイヤから中空針が取り除かれる。ワイヤは後で手術中に医師を病変箇所まで導くのに役立つ。ガイドワイヤは組織中に残り、処置が終了してから除去される。
【0005】
さらに、いわゆる能動型組織マーカが先行技術から公知である。このような組織マーカは例えばUS 7,135,978 B2に記載されている。この組織マーカは高周波共振回路の構成部材であるコイルから成っている。コイルは体組織中の病変を相応の位置でマーキングするために体内に埋め込まれる。組織マーカは、適切な励振を目的に高周波共振回路によって放射される電磁場に基づいて、ワイヤレスで位置特定可能である。この種の組織マーカも、治療が終わるまで体組織中に残り、その後、別の手術によって取り除かなければならないという欠点を有している。このため、患者に負担がかかる。
【0006】
これを背景として、本発明の課題はより良い組織マーカを提供することである。とりわけ、体組織中の病変の信頼性の高い位置特定を可能にする組織マーカを作らなければならない。また、この組織マーカによって患者への負担ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
【0007】
本発明によれば、この課題は、組織マーカがトランスポンダを有し、このトランスポンダが電磁放射によって起動可能であり、位置特定信号を電磁放射として送信し、この位置特定信号に基づいて体組織中の組織マーカの位置を確認することができるようにすることで解決される。
【0008】
本発明の基本的なアイデアは、それ自体公知の種類のトランスポンダを体組織中の病変をマーキングする組織マーカとして使用することにある。
【0009】
組織マーカとしては、RFIDタグが特に適している。RFIDは、周知のように、無接触式の識別及び位置特定のための方法である。RFIDシステムはトランスポンダと読取り器とから構成されており、トランスポンダは識別すべき対象物に付けられ、この対象物に目印をつけるものであり、読取り器はトランスポンダ識別記号を読み取るためのものである。RFIDトランスポンダ(RFIDタグとも呼ばれる)はふつうアンテナと、アナログ部分及びディジタル部分を有する集積電子回路とを含んでいる。アナログ部分(トランシーバ)は電磁放射の送受信に使用される。ディジタル回路はトランスポンダの識別データを記憶するデータメモリを有している。複雑なRFIDトランスポンダの場合、回路のディジタル部分はフォン・ノイマンアーキテクチャを有している。読取り器が発生させた高周波電磁場はRFIDトランスポンダのアンテナを介して受信される。アンテナが読取り器の電磁場内に入るとすぐに、トランスポンダを起動させる誘導電流がアンテナ内に生じる。このようにして起動したトランスポンダは電磁場を介して読取り器から命令を受信する。トランスポンダは読取り器から要求されたデータを含む応答信号を生成する。本発明によれば、この応答信号は体組織中の組織マーカの位置を確認するための位置特定信号である。
【0010】
本発明に従ってRFIDトランスポンダを組織マーカとして使用することの利点は、公知のワイヤガイドのように皮膚を貫通するガイドワイヤを体内に長く残すことなく、組織マーカを完全に体組織内に埋め込むことができる点にある。
【0011】
RFIDタグは非常に小さいので、組織マーカとして特に適している。今日の技術では、塵粒大の小型化されたRFIDトランスポンダを製造することが可能である。公知のRFIDトランスポンダの中には、0.05×0.05mmのサイズのものもある。この種のトランスポンダは1ギガヘルツ以上の非常に高い周波数範囲内で動作する。この種の小型化されたRFIDトランスポンダは体組織中に問題なく留まることができる。治療が終わった後の手術は必要ない。また、この非常に小さなRFIDトランスポンダは体組織中の所望の位置に非常に容易に埋め込むことができる。最も簡単なケースでは、撮像装置による監視の下で小直径の中空針によって埋め込みが行われる。
【0012】
本発明による組織マーカのトランスポンダは有利には受動トランスポンダとして形成されており、電磁放射を受信したときにアンテナ内に生じる誘導電流によって回路への給電が行われる。受動トランスポンダの小さなサイズは有利である。というのも、例えばバッテリの形態をとった、独自の能動的なエネルギー供給なしで済むからである。トランスポンダが位置特定信号を送信するのに必要とするエネルギーは、トランスポンダの起動を生じさせるための電磁放射によって供給される。有利には、トランスポンダは、その集積回路への給電のために、アンテナ内に生じた誘導電流によって充電されるキャパシタを有している。キャパシタによる持続的なエネルギー供給が保証されているので、トランスポンダのアンテナの寸法は非常に小さくすることができる。これもまたトランスポンダを組織マーカとして使用することの利点である。
【0013】
本発明による組織マーカの有利な実施形態によれば、トランスポンダは少なくとも1つのセンサ素子と接続されており、センサ素子のセンサ信号を電磁放射として送信する。したがって、トランスポンダは体組織中の病変のマーキングだけでなく、病変箇所でピックアップしたセンサ信号の伝送にも使用される。トランスポンダは例えば温度センサ、圧力センサ又はpHセンサなどの適切なセンサ素子と接続されている。トランスポンダはセンサ信号をアナログ信号又はディジタル信号としてワイヤレスで伝送する。
【0014】
本発明による組織マーカの特に有利な実施形態は組織マーカを生分解性のものにすることで得られる。組織マーカが生分解性ならば、組織マーカのサイズに関係なく、組織マーカを必要とする治療が終わった後の手術を完全になくすことができる。組織マーカが生分解性ならば、サイズの大きなトランスポンダを使用することもできる。トランスポンダを含めた組織マーカの全部品を生分解性の材料から製造し、組織マーカの全部材の表面を生分解性が保証されるように形成することも可能である。トランスポンダの集積回路は基本的に生分解性と生体適合性のあるシリコンから形成されている。アンテナの材料、さらに場合によっては組織マーカの他の部品の材料には、単純に、生分解性と生体適合性のある周知の材料を選んでよい。本発明による組織マーカのトランスポンダを生分解性の被覆の中に埋め込むのが特に適切である。なお、生分解の時間は被覆の厚さ及び/又は組成によって設定可能である。このようにして、生分解の時間は組織マーカを使用する治療の持続時間に適合させられる。生分解性と生体適合性をもつことで知られる様々なポリマー、セラミック及び金属材料が本発明による組織マーカの被覆として適している。
【0015】
今日の技術によれば、RFIDタグは印刷で製造可能である。このようにして印刷されたRFIDタグは本発明による組織マーカとして非常に適している。例えば、RFIDタグを生分解性材料から成る基板の上に組織マーカとして印刷することが考えられる。
【0016】
上で述べたように、手術の精確な実施のためには、病変の場所、つまり、病変の中心の位置と、さらには病変の周縁部もできるだけ正確に位置特定できることが重要である。このためには、本発明による組織マーカを複数用いると有利である。例えば、病変の中心をマーキングするために組織マーカを1つだけ使用し、一方で、病変の正確な境界を手術医が識別できるようにするためには、複数の組織マーカを病変の辺縁部に配置するようにしてよい。組織マーカの個々のRFIDタグはマーキングすべき病変に関する医学的データをそれぞれの電子データメモリに記憶することができるので、医師は各RFIDタグへの問合せにより手術の実施にとって重要な病変に関するさらなる情報を得ることができる。例えば、病変の中心をマーキングする組織マーカとして使用されるRFIDタグのデータメモリに、病変の大きさに関する情報を格納しておくことができる。このようにして、医師は確実に病変全体を取り除くことができるように、除去すべき組織塊に関する情報を得る。個々のRFIDタグは個々の識別データによって区別可能であるから、これらの識別データを実施すべき手術のいわば「ウェイポイント」をマーキングするために利用することができる。医師は手術時にこれらの「ウェイポイント」に予め決められた順序で次々にアクセスすることができる。
【0017】
本発明による組織マーカの体組織中での位置を求めるためのシステムは、組織マーカのトランスポンダを起動するための電磁放射を送信する送信ユニット、トランスポンダが発した位置特定信号を受信する受信ユニット、及び位置特定信号を評価する評価ユニットを含む。送信ユニット、受信ユニット及び評価ユニットの全体で、一般によくあるRFIDタグの読取りのための読取り器を形成している。複数の受信ユニットを使用して、トランスポンダから送られてきた位置特定信号を受信するようにすることも考えられる。各受信ユニットの位置での位置特定信号の電界強度から、受信ユニットからトランスポンダまでの距離を推定してもよい。空間内の所定の位置に置かれた様々な受信ユニットからトランスポンダまでの距離が分かっていれば、トランスポンダの正確な位置、したがってまた体組織中の組織マーカの正確な位置を評価ユニットで計算することができる。
【0018】
問題なのは、位置特定信号の電界強度が体組織によって弱められてしまうことである。体組織はその電気的特性のゆえにトランスポンダが放射した電磁放射を部分的に吸収する。このため、位置特定信号の電界強度に基づいた位置測定は状況によっては十分な正確度で行うことができない。この問題を解決するために、評価ユニットが各受信ユニットの位置における位置特定信号の電磁放射の位相位置に基づいて組織マーカの位置を求めるようにしてもよい。位置特定信号の周波数を適切に選択すれば、体組織の電気的特性が位置特定信号の位相に及ぼす影響は小さくなる。トランスポンダは位置特定信号をコヒーレントに、つまり、一定の決められた位相位置で放射するようにすべきである。
【0019】
前に述べた通り、位置特定信号の電磁放射の位相位置に基づいて位置測定を行う場合、空間内の位置への位相値の一意的な対応付けは位置特定信号の波長よりも短い距離の範囲内でしか可能でないことに注意しなければならない。距離がそれよりも長い場合には、さらに、トランスポンダと各受信ユニットとの間の電磁波のゼロ交差の数を求めなければならない。
【0020】
位置測定の際にできるだけ高い正確度を達成するには、トランスポンダと相応の受信ユニットが2つ以上の異なる周波数で動作するようにするとよい。そうすることで、位置測定の正確度を漸次上げていく段階的な位置特定方法が実現される。位置特定信号の周波数を低くし、相応して波長を長くすることによって、まずは大まかではあるが一意的な位置測定が行われる。その後は、正確度を上げるために、より高い周波数に移行するか、位置特定信号の周波数がさらに漸次上げられていく。周波数が高ければ、所定の空間的分解能を達成するために位相位置の測定時に課される分解能に対する要求が低くなる。周波数を漸次上げていく際、トランスポンダと受信ユニットの間の正確な距離を求めるために、ゼロ交差の数を求めてもよい。できるだけ正確な位置測定をするために、双方向に周波数を変化させること、つまり、低い周波数から高い周波数へ又は高い周波数から低い周波数へと周波数を変化させることも考えられる。位置測定のためにカバーしなければならない周波数範囲に応じて、トランスポンダの回路に接続された2つ以上のアンテナを設けることが必要になる。なお、これらのアンテナの各々には、それぞれ所定の周波数範囲が割り当てられている。同様に、様々な周波数で動作するそれぞれ複数の別個のトランスポンダを含んだ組織マーカを使用することも考えられる。
【0021】
システムの有利な実施形態によれば、組織マーカの位置に対する医療機器の相対的な位置を求めるターゲット装置が設けられている。このターゲット装置は、手術に使用される医療機器の、本発明による組織マーカに対する相対的な位置及び/又は向きを求める。このようにして、ターゲット装置は、医療機器(又はその先端)で体組織、ひいては病変の位置に達するためには医療機器をどの方向に持って行けばよいかを、医師に知らせることができる。それと同時に、ターゲット装置は組織マーカから機器までの距離も医師に知らせることもできるので、医師は病変箇所まで達するために機器が移動しなければならない道程に関する情報を得ることができる。ターゲット装置の通知は例えば矢印表示を含むものであってよい。この場合、医師には、どの方向に機器を動かすべきかを示す矢印が示される。同様に、音響信号又は振動信号による通知も考えられる。ターゲット装置は医療機器に直接取り付けられているか、取付可能としてよい。同様に、ターゲット装置を医療機器とは別個にしてもよい。組織マーカの位置に対する医療機器の相対的な位置及び/又は向きを求めるために、医療機器にも1つ又は複数のRFIDタグを設け、これらRFIDタグの位置を上記のようにして求めてもよい。それ自体は公知の印刷方法によって医療機器をRFIDタグに取り付けることが考えられる。あるいは、本発明によるシステムの送信ユニット及び/又は受信ユニットを医療機器に接続し、このようにして機器と組織マーカとの相対位置を検知するようにしてもよい。システムの送信ユニット及び/又は受信ユニットは、組織マーカから放射される位置特定信号が医療機器の向きに対してどの方向を向いているかを検知するために、指向性を有していると有利である。
【0022】
本発明による組織マーカを使用すると、マーカが体組織内を「さまよう」という問題が生じる可能性があるため、病変の位置がもはや組織マーカの位置と一致しなくなってしまう。これを調べて、生じさせないようにするためには、2つ以上の組織マーカを所定の幾何学的配置構成で埋め込むことが有効である。個々の組織マーカの位置を調べる際に、体内での相対的な位置が元の配置構成から変化していることが確認された場合、それは少なくとも1つのマーカの「さまよい」を示唆している。この場合、マーカはもはや使いものにならないと見なされる。複数の組織マーカがまったく同じように「さまよい」、相対的な幾何学的配置構成を維持することは極めてありそうにないことと考えられる。
【0023】
本発明による組織マーカは放射線治療における焦点マーカに適している。マーキングされた病変は、体組織中の組織マーカの位置が求められた後、自動的に放射線治療の放射源のビームパスないし焦点に移される。同様に、放射線源ないしそのコリメーション光学系を自動的に病変位置に向けるようにしてもよい。非常に良いことに、放射線源のコリメータを(有利には本発明による複数の組織マーカでマーキングされた)病変の境界に沿った目標輪郭に自動調節することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による組織マーカの概略図である。
【図2】組織マーカの位置を求める本発明によるシステムを示す。
【図3】本発明によるターゲット装置を有する医療機器を示す。
【0025】
以下では図面に基づき本発明の実施例を説明する。
【0026】
図1に示されている組織マーカは全体的に参照番号1で表されている。組織マーカは集積電子回路3とアンテナ4とから成るトランスポンダ2を含んでいる。組織マーカ1は生分解性を有している。生分解時間を効果的に制御できるように、組織マーカ1はトランスポンダ2を包囲する生分解性の被覆5を有している。生分解時間は被覆5の厚さ、組成及び表面構造化によって決定されている。さらには、体組織中の組織マーカの「さまよい」を被覆5の適切な表面構造化によって防ぐこともできる。粗い又は有孔性の表面構造化は生分解性にとって有益であると同時に、被覆内への組織の内殖も生じさせるので、組織マーカ1はマーキングすべき病変位置にしっかりと固定されている。
【0027】
図2に示されているシステムは患者の体組織6中の組織マーカ1の位置を求めるために使用される。システムは電磁放射8を送出する送信ユニット7を含んでいる。放射8は組織マーカ1のトランスポンダによって受信される。トランスポンダは受信した放射8によって励起され、高周波電磁放射9として位置特定信号を送信する。組織マーカ1のトランスポンダから放射された位置特定信号9は、空間内の決められた位置にある3つの受信ユニット10,11及び12によって受信される。受信ユニット10,11及び12は評価ユニット13と接続されており、評価ユニット13は、受信ユニット10,11及び12のそれぞれの場所における位置特定信号9の電磁放射の強度と位相位置とに基づいて組織マーカ1の位置を計算する。
【0028】
図3には、ターゲット装置15を備えた医療機器14が示されている。ターゲット装置15は、体組織6中にある組織マーカ1ないし1’の位置に対する医療機器14の相対的な位置を求めるために使用される。組織マーカ1は病変16の中心をマーキングするために使用される。組織マーカ1は、病変16の大きさを認識できるようにするため、病変16の辺縁に沿って配置されている。ターゲット装置15は送信ユニット7と受信ユニット10を含んでいる(図2参照)。ターゲット装置15は電磁放射8を送信し、組織マーカ1ないし1’のトランスポンダはこの電磁放射8によって起動し、位置特定信号9を放射するように励起される。ターゲット装置15は、受信した位置特定信号15に基づいて、組織マーカ1ないし1’に対する機器14の相対的な位置及び/又は向きを求める。個々の組織マーカ1ないし1’は個々のトランスポンダの識別データに基づいて区別できる。医師は手術実施時に所定の組織マーカ1ないし1’を選び、機器14を用いてアクセスすることができる。ターゲット装置15は医療機器14のガイド方向ないし向きを表示するディスプレイ17に接続されているので、医療機器14は選択された組織マーカ1ないし1’の位置へガイドされる。このために、ディスプレイ17には、機器14を正しく向き付けるための一義的な指示を医師に与える矢印18が表示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体組織(6)中の病変(16)をマーキングするための組織マーカであって、該組織マーカ(1,1’)はトランスポンダ(2)を含んでおり、該トランスポンダ(2)は電磁放射(8)によって起動可能であり、また位置特定信号(9)を電磁放射として送信し、該電磁放射に基づいて、体組織(6)中の前記組織マーカ(1)の位置が確認されることを特徴とする組織マーカ。
【請求項2】
前記トランスポンダ(2)は、集積電子回路(3)と、該集積電子回路に接続された、電磁放射送受信用のアンテナ(4)とを有している、請求項1記載の組織マーカ。
【請求項3】
前記トランスポンダは受動トランスポンダとして形成されており、前記回路(3)への給電は電磁放射を受信したときに前記アンテナ(4)内に生じる誘導電流によって行われる、請求項2記載の組織マーカ。
【請求項4】
前記組織マーカ(1,1’)は前記トランスポンダ(2)に接続されたセンサ素子を有しており、前記トランスポンダ(2)は前記センサ素子のセンサ信号を電磁放射として送信する、請求項1から3のいずれか1項記載の組織マーカ。
【請求項5】
前記組織マーカ(1)は生分解性である、請求項1から4のいずれか1項記載の組織マーカ。
【請求項6】
前記組織マーカ(1,1’)は前記トランスポンダ(2)を包囲する生分解性の被覆(5)を有しており、該被覆(5)の厚さ及び/又は組成によって生分解時間が決まる、請求項5記載の組織マーカ。
【請求項7】
前記トランスポンダ(2)はRFIDタグである、請求項1から6のいずれか1項記載の組織マーカ。
【請求項8】
前記RFIDタグの電子データメモリに、マーキングすべき病変に関する医療データが格納されている又は格納できる、請求項7記載の組織マーカ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の組織マーカ(1,1’)の位置を求めるためのシステムであって、前記組織マーカ(1,1’)のトランスポンダ(2)を起動するための電磁放射(8)を送信する送信ユニット(7)と、前記トランスポンダが送信した位置特定信号(9)を受信する受信ユニット(10,11,12)と、前記位置特定信号(9)を評価する評価ユニット(13)を有していることを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記評価ユニット(13)は、前記受信ユニット(10,11,12)の位置における前記位置特定信号(9)の電磁放射の位相位置に基づいて、前記組織マーカ(1,1’)の位置を求めるように構成されている、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記組織マーカ(1,1’)の位置に対する医療機器(14)の相対的な位置及び/又は向きを求めるターゲット装置(15)を有している、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記ターゲット装置(15)は、前記医療機器(14)を案内する人に、前記医療機器(14)が前記組織マーカ(1,1’)の位置へと案内されるように、前記医療機器(14)の案内方向及び/又は向きを知らせるディスプレイ(17)を有している、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記ターゲット装置(15)は前記医療機器(14)に取り付けられている又は取付能である、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記送信ユニット及び/又は前記受信ユニット(7,10,11,12)は指向性を有している、請求項9から13のいずれか1項記載のシステム。
【請求項15】
前記組織マーカ(1,1’)は、前記組織マーカ(1,1’)のトランスポンダ(2)によって送信され、前記受信ユニット(10,11,12)によって受信された識別信号に基づいて、前記評価ユニット(13)により識別可能である、請求項9から14のいずれか1項記載のシステム。
【請求項16】
体組織(6)中の組織マーカ(1,1’)の位置を求める方法において、送信ユニット(7)により電磁放射(8)を送信し、前記組織マーカ(1,1’)のトランスポンダ(2)により前記電磁放射(8)を受信し、続いて前記トランスポンダ(2)が位置特定信号(9)を送信し、受信ユニット(10,11,12が前記位置特定信号(9)を受信し、前記受信ユニット(10,11,12)に接続された評価ユニット(13)により、前記位置特定信号(9)から前記組織マーカ(1,1’)の位置を求めるようにしたことを特徴とする、体組織(6)中の組織マーカ(1,1’)の位置を求める方法。
【請求項17】
前記組織マーカ(1,1’)は生分解性である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ターゲット装置(15)により、前記組織マーカ(1,1’)の位置に対する医療機器(14)の相対的な位置及び/又は向きを求め、前記医療機器(14)を案内する人に、前記医療機器(14)が前記組織マーカ(1,1’)の位置へと案内されるように、前記医療機器(14)の案内方向及び/又は向きを知らせる、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
求められた前記組織マーカ(1,1’)の位置に応じて、マーキングされた病変を放射線治療の放射線源のビームパスに移動させる、及び/又は、前記放射線源の放射を病変位置に向ける、請求項16から18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
体組織(6)中の病変をマーキングする組織マーカ(1,1’)としてのRFIDタグの使用。
【請求項21】
前記RFIDタグは生分解性である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
放射線治療の焦点マーカとしてのRFIDタグの使用。
【請求項23】
前記RFIDタグは生分解性の被覆(5)を有している、請求項21記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−540049(P2010−540049A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526206(P2010−526206)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008071
【国際公開番号】WO2009/043512
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(508375572)アメド スマート トラッキング ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】Amedo smart tracking solutions GmbH
【住所又は居所原語表記】Universitaetsstrasse 142, D−44799 Bochum, Germany
【Fターム(参考)】