説明

組織中の多数の選択可能な深さのところにエネルギーを送出する器械及び方法

臨床医によって選択された多数の選択可能な組織深さのところにエネルギーを送出する治療器械及び方法。治療器械(10)は、少なくとも2つの電極(56,60)を有し、これら電極は、互いに電気的に絶縁されており、それにより種々の治療深さを選択できるよう各電極に別個独立に通電できる。電極(56,60)に単極モードで同一極性の高周波エネルギーを同時に印加してエネルギーを患者の組織(24)中の比較的深い深さのところに送出でき、又は電極(56,60)に双極モードで互い異なる極性の高周波エネルギーを同時に印加して浅い侵入深さを得ることができる。変形例として、電極(56,60)の全てには至らない数の電極に通電することによってエネルギー送出深さを変更しても良い。電極(56,60)に互いに異なる位相関係をなす高周波エネルギーを印加すると、エネルギーを単極モードと双極モードの両方で同時に送出することができ、位相差は、エネルギー送出深さを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、高周波エネルギーを用いて組織を治療する器械及び方法に関し、特に、組織中の多数の選択可能な深さのところに高周波エネルギーを送出する器械及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2005年10月19日に出願された米国仮特許出願第60/728,339号の権益主張出願であり、この米国仮特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
多くの様々な皮膚の状態を治療するために非侵襲的に組織を治療することができる器具が大々的に用いられている。皮膚治療用途の中には、非侵襲的エネルギー送出器具を用いてたるんだ皮膚を引き締めて患者が若く見えるようにしたり、皮膚の斑点又は毛を除去したり、細菌を殺したりすることができる。かかるエネルギー送出器具は、電磁スペクトルの幅全体にわたって分布した波長を持つ電磁エネルギーを放出し、かかるエネルギー送出器具は、インコヒーレントとコヒーレントの両方の紫外光、可視光及び赤外光、マイクロ波及び無線周波(RF)エネルギー、並びに音響エネルギー及び機械的エネルギー源を含む。
【0004】
特に、高周波エネルギー送出器具は、高周波エネルギーを皮膚の表面中に通すことにより皮膚組織を非焼灼的に且つ非侵襲的に治療するために使用できる。高周波エネルギーは、表皮の下に位置する皮膚を、コラーゲンを変性させるのに十分な温度まで加熱し、これは、コラーゲンが縮んで小さくなり、それにより皮膚を引き締めると考えられる。皮膚は、器具の治療先端部の近くの皮膚表皮層の損傷を阻止するよう積極的に冷却される高周波エネルギーによる治療は又、組織の軽度の炎症を引き起こす場合がある。組織の結果的に生じる炎症反応は、新たなコラーゲンを経時的に生じさせる場合があり、それにより、組織収縮度が増大する。
【0005】
かかる高周波エネルギー送出器具と関連して用いられる従来型治療先端部は、先端部の表面全体にわたる一様な送出が可能なように高周波エネルギーを効果的に分布させる。一様なエネルギー送出は、積極的冷却の利用にもかかわらず患者の火傷を生じさせる場合のある先端部上の局所的に高温のスポットを最小限に抑える。しかしながら、皮膚の種類の中には、熱が組織中に深く送出された場合に治療に最も良く応答するものがある。種類の組織の中には、熱が組織中の浅い深さのところに送出された場合に最も良く応答するものもある。エネルギーの送出深さ及び(又は)投与量は、周波数を変えることにより、エネルギー送出器具に電力供給する高周波発生器の電力を調整することにより、又は組織冷却量を調節することにより制御できる。これら調節により組織に送出されるエネルギーの治療深さを変更することができるが、これらアプローチの各々には、これらの用途を制限する或る特定の欠点及び不利益がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エネルギーの送出深さ及び(又は)投与量は又、治療先端部を切り換えてエネルギーを組織に送出する放出電界の特性を変えることによっても制御できる。しかしながら、治療先端部の切り換えは、治療深さを変更する上で時間がかかり且つ不便なアプローチである。さらに、治療先端部の切り換えにより、治療費が著しく増大する。というのは、臨床医は、各々が治療深さを変えるために互いに異なる電界を放出できる多数の互いに異なる治療先端部を購入してストックしておかなければならないからである。
【0007】
したがって、従来型器械及び方法の上記欠点及び他の欠点を解決し、非侵襲的組織治療中、高周波エネルギーが送出される組織中の深さを選択的に調節する器械及び方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般に、非侵襲的組織治療中、組織中への選択的に調整可能な又は可変のエネルギー送出深さをもたらす治療器械及び方法に関する。本発明の一実施形態によれば、治療器械は、治療されるべき患者の組織に隣接して位置決め可能な電極組立体又は構造体を有する。電極構造体は、互いに電気的に絶縁された少なくとも第1の電極と第2の電極を有する。電気的接続手段が、第1の電極及び第2の電極に結合される。電気的接続手段は、エネルギーを組織中の第1の深さのところに送り出すよう第1の電極を通電可能に選択でき、エネルギーを第1の深さとは異なる組織中の第2の深さのところに送出するよう第2の電極を通電可能に選択できるよう構成されている。オプションとして、電気的接続手段は、エネルギーを第1の送出深さ及び第2の送出深さとは異なる組織中の第3の深さのところに送出するよう第1の電極と第2の電極の両方を通電可能に選択できるよう構成されているのが良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願に組み込まれてその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を記載しており、上述の本発明の概要説明及び以下に行う実施形態の詳細な説明と一緒になって、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
図1を参照すると、治療器械又はハンドピース10が、ハウジング12及びハウジング12によって支持された電極構造体又は組立体14を有している。電極組立体14は、多数のコンポーネントで構成されているが、組み立てられたコンポーネントは、ハウジング12と一体として解除自在に結合される構造体を構成するものと理解されたい。ハウジング12は、例えば射出成形法により三次元形状に成形されたポリマー又はプラスチック材料から成るのが良い。電極組立体14の一部分は、ハウジング12の一端部のところに形成されたシュラウド15から突き出ており、電極組立体14を機械的にハウジング12に結合すると、電極アレイ18が露出されて視認できるようになっている。
【0011】
ハウジング12は、以下に説明する電気的接続手段を収容する内部キャビティを有し、かかる電気的接続手段は、電極組立体14をエネルギー送出源、例えば高周波エネルギー源又は電力供給源16(図3A)に電気的に結合する。高周波電力供給源16は、高周波エネルギー又は電圧を電極組立体14によって支持された1つ又は2つ以上の稼働状態の(アクティブな)電極56,60(図3)に供給し、それにより稼働電極56,60が通電されて高周波エネルギーが患者の組織24(図3A)に送出される。ハウジング12は、電極組立体14を高周波電力供給源16に電気的に結合する絶縁されると共に遮蔽された導体又は電線(図示せず)を備えた電気的接続ケーブル19に接続可能な適当な内部インターフェイスを提供する。
【0012】
ハンドピース10のスムーズな輪郭の把持部分20は、臨床医による把持及び取り扱いに適した形状を有している。露出状態の作動ボタン21が、電極アレイからの高周波エネルギーの送出を制御するために押し下げられて解除されるよう把持状態のハンドピース10の外部から接近可能である。把持部分20は、ハンドピース10を操作して電極組立体14を患者の皮膚22(図3A)及びその下に位置する標的組織24に隣接した場所に配置するために臨床医の少なくとも片手で把持されるようになっている。好ましくは、電極組立体14の電極アレイ18は、皮膚22の表皮表面22aと接触状態にある。作動ボタン21を押し下げると、電極アレイ18から輻射された高周波電磁エネルギーが、標的組織24に送られる。
【0013】
高周波電力供給源10内の回路(図示せず)が、電磁スペクトルの無線周波数(RF)領域の高周波電流を生じさせるよう動作し、この高周波電流は、少なくとも電極アレイ18の稼働電極に送られる。電力供給源16の動作周波数は、有利には、治療効果を組織24に与えるために数百kHz〜約20MHzの範囲内にあるのが良い。電力供給源16の回路は、当業者には理解されるように、臨床医によって選択された電力の大きさ及び動作モードに適したエネルギー内容量及びデューティサイクルを有する駆動信号の状態に線間電圧を変換する。
【0014】
制御装置25が、制御部26,27の形態をしたユーザ入力装置を有し、これら制御部を用いると、例えば、電極アレイ18に印加された電圧レベルを調節したり電極アレイ18を互いに異なる動作モード相互間で切り換えたりすることができ、かかる動作モードとしては、単極動作モード、双極動作モード及び三極動作モードが挙げられるが、これらには限定されない。制御装置25は、電力供給源16から電極組立体14に送出される電力を調節するために高周波電力供給源16を制御したり監督したりするプロセッサを有し、かかるプロセッサは、任意適当な従来型マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はディジタル信号プロセッサであって良い。制御装置25は、プログラムされた指令又はプロセッサのためのデータを記憶する不揮発性メモリ(図示せず)を有するのが良く、かかる制御装置をオプションとして電力供給源16に組み込むことができる。
【0015】
図1及び図2を参照すると、電極組立体14は、外側シェル28と、内部キャビティを閉鎖するよう外側シェル28の開口した後方端部と結合されるニップル30とを有している。流体送出部材32が、電極アレイ18の温度を制御するためにノズル34からの冷却剤を電極アレイ18の後側に差し向けるよう構成されている。導管38が、中央流体結合部材36から後方に延びており、この導管38は、冷却剤の流れをノズル34まで運ぶ流体経路を構成するルーメンを有している。冷却剤は、管を通って冷却剤供給源(図示せず)から圧送され、この管は、ニップル30に形成された継手40に機械的に結合されると共に導管38のルーメンに油圧的に結合されている。
【0016】
電極アレイ18は、外側シェル28の前方開口端部に形成された窓42を介して露出されている。電極アレイ18は、支持部材46の前方端部に巻き付けられた材料の可撓性シート又は基板44上に形成されているものとして示されている。支持部材46の後方端部は、支持部材46をニップル30に結合するために用いられるフランジ48を有している。可撓性基板44は、僅かな介在する隙間によって互いに電気的に絶縁された薄いベースポリマー(例えば、ポリイミド)フィルム50と薄い導電性(例えば、銅)トレース又はリード線52を有するのが良い。可撓性基板44は、ベースポリマー(又は他の非導電性材料)フィルム50又は例えば真空蒸着法、例えばスパッタ蒸着によりベースポリマーフィルム50上に直接被着されたパターン化導電性(即ち、銅)金属化層に積層されたパターン化導電性(即ち、銅)箔を有するフレックス回路から成るのが良い。フレックス回路は、可撓性且つ高密度の電子内部接続用途に通常用いられ、かかるフレックス回路は、当業者によって理解される構成を備えている。
【0017】
可撓性基板44に対する機械的支持体として役立つ支持部材51が、窓42を跨いでいる。基板44は、支持部材46に巻き付けられていて、導電性リード線52がニップル30の周囲に沿って設けられたスロット54を介して露出されるようになっている。導電性リード線52は、電極アレイ18を高周波電力供給源16に電気的に結合するために用いられている。導電性リード線52は又、他の構造体、例えばインピーダンスセンサ、圧力センサ又は温度センサ(図示せず)を電力供給源16のプロセッサ又はハウジング12の内部かハウジング12の外部かのいずれかに位置する別の制御要素に結合するために使用できる。
【0018】
図3及び図3Aを参照すると、本発明の一実施形態によれば、電極アレイ18は、ボイド58のアレイを備えた導電性シート電極56と、各々がボイド58の各々の中にそれぞれ位置決めされた複数の2次電極60とを有している。ボイド58及び2次電極60は、シート電極56の周囲境界部内に行と列から成るマトリックスの状態に配置されている。ただし、本発明はこれには限定されない。シート電極56及び2次電極60は、各々、導電性材料、例えば銅、金、銀、アルミニウム、これら材料の合金等で構成されている。シート電極56及び2次電極60は、実質的に平らな平板状交互配置構造を有する。
【0019】
誘電体の薄い層64が、シート電極56と2次電極60との間に介在して配置され、層64と同じ材料であるのが良い誘電体層62が、電極56,60の患者に向いた側を覆っている。電極アレイ18を皮膚22に近接して位置決めすると、薄い誘電体層62は、皮膚22の表面22aに少なくとも部分的に接触する実質的に平らな組織治療面を構成する。2次電極60は、電気絶縁体として働く誘電体層64の部分によってシート電極56から電気的に絶縁されている。層62及び層64の適当な誘電体としては、当業者によって理解されているように適当な誘電定数及び誘電強度を備えた任意のセラミック、ポリマー又はガラスが挙げられる。誘電体層62は、電極56,60と接触状態にあるのが良い。
【0020】
電極アレイ18のシート電極56及び2次電極60は、電極56,60に通電して組織24を治療する際、電気キャパシタに類似した構造体(例えば、非導電性絶縁体によって分離された2つの導体)を構成するよう誘電体層62に対して配置されている。電気キャパシタの一導体は、シート電極56と2次電極60とから成り、第2の導体は、皮膚22又は治療対象の組織24によって表され、2つの導体を互いに分離する誘電体層62は、非導電性絶縁体を構成している。このコンポーネントの構成は、シート電極56及び2次電極60を通って下に位置する皮膚22及び組織24に至る電流が、誘電体層62を省いた場合よりも一様なので有利である。誘電体層62の容量効果は、層62の厚さ、表面積及び誘電定数の選択並びに電力供給源16から供給される高周波電力の周波数の制御によって制御できる。
【0021】
本発明の一実施形態では、電極アレイ18は、可撓性基板44の表面上に形成された導電性特徴部を有するのが良い。変形例として、電極アレイ18をベースポリマーフィルム50に結合されると共に導電性リード線52に電気的に結合され又は別の仕方で高周波電力供給源16に電気的に結合された別個の基板(図示せず)、例えばセラミック基板上に作製しても良い。
【0022】
電極アレイ18のシート電極56は、導体又は電気的接続手段66のネットワークによって正の電圧極性を備えた高周波電力供給源16の端子65に電気的に結合されている。電極アレイ18の2次電極60も、同様に、導体又は電気的接続手段68のネットワークによって高周波電力供給源16の正の電圧極性の端子65に電気的に結合されている。高周波電力供給源16は、電気的接続手段68を操作することにより、シート電極56及び2次電極60に選択的に通電してそれぞれエネルギーを組織24に第1の深さのところで送出し、エネルギーを組織24に第2の肩のところで送出するようになっている。電気的接続手段66,68は、電気接続ケーブル19(図1)により高周波電力供給源16に配線されるのが良く、かかる電気的接続手段は、導電性リード線52(図2)を含むのが良い。
【0023】
スイッチ69、例えば継電器又は別の形式の切り換え装置又は回路を開離状態と閉成状態との間で切り換えてそれぞれ、信号経路又は回路を電気的接続手段68のネットワークを介して2次電極60と高周波電力供給源16の正電圧極性端子65との間で開閉するのが良い。図3A及び図3Bの実施形態では、シート電極56は、スイッチ69の設定又は状態とは無関係に、電気的接続手段66により正電圧極性端子65に電気的に結合されている。スイッチ69を閉成すると、シート電極56と2次電極60を高周波電力供給源16と並列に電気的に結合する第1の回路が構成される。スイッチ69を開離すると、シート電極56だけを高周波電力供給源16に電気的に結合する第2の回路が構成される。スイッチ69は、例えば制御部26,27のうちの一方を用いてスイッチ69を開閉できるように制御装置25に電気的に結合されているのが良い。スイッチ69を制御装置25内に又は電力供給源16内に組み込むことができ、又は、スイッチは、制御装置25か電力供給源16かのいずれかによって制御される電気的接続手段68の回路要素を構成することができる。
【0024】
電気的接続手段66,68は、導電性トレース又は特徴部の多数の層又は段から成るのが良く、この場合、個々の導電性特徴部層は各々、隣りの段から電気的に絶縁され、導体で満たされたバイアが、段相互間の電路を構成し、又は変形例として、電気的接続手段66,68は、別々の導体又は電線から成っていても良い。電気的接続手段66,68は、高周波電力供給源16に電気的に結合されるように設計され又は構成された電気接点を有するのが良い。
【0025】
非治療的受動又は戻り電極70が、患者の体の表面、例えば患者の下肢又は背中に取り付けられる。戻り電極70は、ハウジング12又は電極アレイ18の一部をなさず、この戻り電極は、ハウジング12及び電極アレイ18から見て遠くの又は離れて位置する場所で患者上に位置決め可能である。高周波電力供給源16は、逆の負の電圧極性のもう1つの端子63を更に有し、戻り電極70は、回路を構成するよう信号経路又は電気的接続手段67によってこの端子63に電気的に結合されている。
【0026】
電極アレイ18に単極動作モードで付勢する患者治療手技の実施中、高周波電流は、シート電極56(オプションとしてスイッチ69が閉成されている場合には2次電極60)と戻り電極70との間で患者のバルクを通って流れる。電流は、戻り電極70によって集められた後、戻り電極70から高周波電力供給源16に戻される。スイッチ69が開離状態にあるか閉成状態にあるかとは無関係に、戻り電極70と高周波電力供給源16の負電圧極性端子69を互いに接続する。戻り電極70は、戻り電極70の比較的広い表面領域全体にわたって送られる電流密度が低いので患者の体へのその取り付け部位のところではそれほど加熱を生じさせないので非治療的である。
【0027】
動作の際、図3A及び図3Bを参照すると、スイッチ69を用いてハンドピース10の動作を変更して組織24を2つの別々の深さで治療する。スイッチ69を閉成して図3Aに示すような2次電極60を含む第1の回路を形成すると、高周波電流を電気的接続手段68のネットワークにより高周波電力供給源16の正電圧極性端子65からシート電極56に流し、更に2次電極60に送る。高周波エネルギー72を単極モードで通電状態のシート電極56及び2次電極60から組織24に送出する。シート電極56及び2次電極60は、高周波エネルギー72を放出する稼働電極として動作し、この高周波エネルギーは、誘電体層62及び皮膚22を貫通して皮膚22の下に位置する標的組織24と容量結合し、それにより有益な効果を生じさせる。シート電極56及び2次電極60は、導電性材料の中実シートをエミュレートして高周波エネルギー72が皮膚22の下の組織24中の比較的深い深さまで送出されるようにする。具体的に言えば、スイッチ69が閉成された状態で電極アレイ18に通電すると、高周波エネルギー72が皮膚表面22aの組織24中の比較的深い第1の深さまで送出される。
【0028】
図3Bに示すように2次電極60を省いた第2の回路を形成するようスイッチ69を開離した状態では、高周波電力又は電流が、電気的接続手段66のネットワークにより高周波電力供給源16の正電圧極性端子65からシート電極56に流される。高周波電流は、電気的接続手段68のネットワークによっては高周波電力供給源16の正電圧極性端子65から2次電極60にはもはや送られない。この場合、シート電極56だけが稼働電極として動作し、2次電極60は、非動作状態になり、これにはもはや通電されない。高周波エネルギー74は、多数のボイド58が開けられた導電性材料のシートをエミュレートする仕方で容量結合により誘電体層62を通ってシート電極56から組織24に送出される。その結果、高周波エネルギー74は、高周波エネルギー72(図3A)の送出深さと比較して比較的浅い皮膚22の下の組織24中の第2の深さまで送出される。
【0029】
高周波エネルギー送出の2つの別々の深さの特定の値は、多くの要因、例えば電極アレイ18に送られる高周波電力の周波数及び電力大きさ並びに通電される窓42の面積の割合で決まる。エネルギー送出深さを皮膚表面22aに対する平均又はピーク深さか皮膚22と組織24との間のインターフェイスかのいずれか或いは別の相対的な仕方で測定できる。結果として、ハンドピース10は、患者の組織24中の選択可能な可変のエネルギー送出深さを備えた治療器械を備える。このように電極アレイ18中の2次電極60から組織24への高周波エネルギーの送出を選択的に制御できることにより、単一の電極組立体14を用いて電力供給源16の所与の電力設定値で治療対象の組織24中の加熱プロフィールの種々の形式及び深さを確立するのに適した種々の磁界を発生させることができる。
【0030】
シート電極56とオプションとしての2次電極60と戻り電極70との間の高周波電圧差により、高周波エネルギーを組織24に伝達するのに有効な電界が標的組織24の部位の近くに生じる。高周波エネルギー72,74を患者の皮膚22の表皮表面を通して組織24に通し又は伝達することにより高周波エネルギー72,74は非焼灼的に且つ非侵襲的に組織24を治療し、他方、皮膚22を積極的に冷却して皮膚22の表皮層の損傷を阻止する。戻り電極70は、シート電極56及びオプションとしての2次電極60と高周波電力供給源16との間の電流経路を完全なものにする。
【0031】
治療深さは、電力供給源16から供給される高周波電力の種々の出力パラメータをプログラムすることによっても更に調節可能である。具体的に言えば、スイッチ69を閉成した状態で種々の互いに異なる高周波電流及び電圧を高周波電力供給源16から電極アレイ18に供給することができる。その結果、単一の電極組立体14を用いて多数の追加の治療深さを達成することができる。というのは、高周波電流及び電圧を広い範囲の値で変化させることができるからである。
【0032】
本発明の変形実施形態では、スイッチ69と類似した別のスイッチ69a(図3A)を、シート電極56と高周波電力供給源16を結合する電気的接続手段66のネットワーク中に設けても良い。スイッチ69aを開離し、スイッチ69を閉成すると、2次電極60を用いて高周波エネルギーを単極モードで動作した状態で組織24中の更に別の深さのところに送出することができる。この場合、付勢状態の2次電極60だけが、稼働電極として動作し、シート電極56は非動作状態にされ、もはや通電されず又は電力供給されない。スイッチ69aを制御装置25又は電力供給源16中に組み込むことができ又はこのスイッチは、制御装置25か電力供給源16かのいずれかによって制御される電気的接続手段66の回路要素となることができる。
【0033】
同一の参照符号が図1〜図3の同一の特徴を示している図3Cを参照すると、本発明の変形実施形態では、電極組立体14(図1及び図2)の電極アレイ18は、別の1組の電気的に絶縁された2次電極59を備えても良く、図3Cには、これらのうちのたった1つの2次電極59が見える。2次電極59は各々、2次電極60の各々と一緒にシート電極56のボイド58の対応の各々の中にそれぞれ配置されている。各2次電極59は、環状の誘電体で満たされた隙間61により対応関係にある各2次電極60から且つ別の環状の誘電体で満たされた隙間57によってボイド58周りに形成されたシート電極56の縁から分離されている。誘電体で満たされた隙間57,61は、2次電極59をシート電極56及び2次電極60から電気的に絶縁している。
【0034】
電的接続手段66,68に類似した電気的接続手段(図示せず)の独立したネットワークが、スイッチ69,69aに類似した別のスイッチ(図示せず)を介して追加の2次電極59を高周波電力供給源16の正電圧極性端子65に結合している。高周波エネルギーを放出するよう別々の組をなす電極の考えられる組み合わせの中からの選択により、治療深さを変化させることができる。例えば、高周波RMS電圧が一定に保たれる場合、高周波エネルギーがシート電極56から組織24にのみ送出される結果として、比較的浅い送出深さが得られることになる。シート電極56に加えて2次電極60に一定の高周波RMS電圧で通電すると、エネルギー送出深さが増大することになる。というのは、シート電極56中のボイド58の有効面積が、小刻みに減少するからである。シート電極56に加えて2次電極59及び2次電極60に一定の高周波RMS電圧で通電すると、エネルギー送出深さが一段と増大することになる。変形例として、継電器を用いて切り換えにより回路に出し入れできる受動コンポーネント、例えばキャパシタ、インダクタ又は抵抗を用いて2次電極59,60の組のうちの1つに供給される高周波電圧を減衰させても良い。本発明は、電極アレイ18が可能なエネルギー送出深さの数を増大させるために2次電極59,60の3つ以上の組を有することを想定している。
【0035】
同一の参照符号が図1〜図3の同一の特徴を示す図4〜図6を参照すると、本発明の変形実施形態によれば、ハンドピース10に用いられる電極アレイ18aは、臨床医が電極アレイ18aを単極エネルギー送出モードと双極エネルギー送出モードとの間で切り換えることができるようにする形態を有しても良い。電極アレイ18aは、導電性材料(例えば、銅)で構成された1組の稼働電極80及び電極80が設けられる皮膚接触誘電体層又は基板82を有する。隣り合う稼働電極80は、非導電性の隙間84によって互いに分離されている。ほぼ導電性の構造体がハウジング12(図1)内に位置した状態で、隣り合う稼働電極80相互間の電気的絶縁を保証すると共にこれらの間の短絡を阻止するために、誘電体の層86(図5)は、稼働電極80相互間且つこれらの周りの容積部を満たしている。稼働電極80は、誘電体基板82上に平行な配置関係を有する。ただし、本発明はこれには限定されない。
【0036】
本発明は、稼働電極80が図4の例示の実施形態に示されている幾何学的形状及び配置とは異なる幾何学的形状及び配置を有しても良いことを想定している。
【0037】
図5を参照すると、稼働電極80を高周波電力供給源16に電気的に結合して電極アレイ18aが双極モードで動作するようにするのが良い。具体的に説明すると、稼働電極80の極性を交互にして任意の2つの隣り合う電極80が互いに逆の極性を有するようにする。その結果、戻り電極80は、高周波電力供給源16と協働して電流経路を完成させる上で患者に載せる必要はない。双極動作を達成するため、1つ置きの稼働電極80は、導体又は電気的接続手段81のネットワークによって高周波電力供給源16の正極性電圧端子65に結合され、介在して位置する稼働電極80は、導体又は電気的接続手段83のネットワークによって高周波電力供給源16の負極性電圧端子63に結合されている。稼働電極80が双極モードで動作しているとき、戻り電極70は、回路に参加せず、したがって、高周波電力供給源16には電気的には結合されない。このために、スイッチ85、例えば継電器又は別の形式の切り換え阻止又は回路を開離状態に切り換えて高周波電力供給源16の負の電圧極性端子63と戻り電極70との間の信号経路又は電気的接続手段87を開く。スイッチ85を制御装置25又は電力供給源16中に組み込むことができ又はこのスイッチは、制御装置25か電力供給源16かのいずれかによって制御される電気的接続手段87の回路要素となることができる。
【0038】
高周波エネルギー88は、容量結合により電極80から誘電体基板82及び皮膚22を通って組織24中の比較的浅い深さまで送出される。高周波電力供給源16への戻り電流経路は、患者のバルクを通らない。代わりに、稼働電極80の一部は、高周波エネルギー88を送出するよう動作し、稼働電極80の別の一部は、戻り電流経路に給電して電極80の送出サブセットと戻りサブセットの両方が治療効果を有するようにする。
【0039】
図6を参照すると、稼働電極80の同一の組を高周波電力供給源16に電気的に結合して電極アレイ18が単極モードで動作するようにすることができる。具体的に言えば、全ての稼働電極80は、電気的接続手段81,83によって高周波電力供給源16の正極電圧端子63に結合される。スイッチ85を閉成状態に切り換えて電気的接続手段87を高周波電力供給源16の負の電圧極性端子63と戻り電極70との間で閉じる。高周波エネルギー90は、容量結合により誘電体基板82及び皮膚22を通って、双極モードの動作(図5)の場合と比較して組織24中の比較的深い深さまで送出される。
【0040】
組織24中へのエネルギーの送出深さを変えるために電気的接続手段81,83を再構成することにより稼働電極80の動作を双極モード(図5)と単極モード(図6)との間で切り換えるための切り換え阻止又は回路78を設けるのが良い。1つ又は2つ以上の個々のスイッチを含むのが良い切り換え回路78を切り換えて制御装置25の制御下で高周波エネルギーの信号経路を変更するのが良い。切り換え回路78は、端子63への信号経路を構成する電気的接続手段を開閉することにより電気的接続手段81,83,87のネットワークと電力供給源16の端子結線を構成する。切り換え回路78は、稼働電極80を双極動作モードと単極動作モードとの間で切り換えるよう電力供給源16の端子63,65からの信号経路に関する少なくとも第1及び第2の状態を有する。切り換え回路78を制御装置25又は電力供給源16中に組み込むことができ又はこのスイッチは、制御装置25か電力供給源16かのいずれかによって制御される電気的接続手段81,83,87の回路要素となることができる。電気的接続手段81,83を電気的接続ケーブル19(図1)を介して高周波電力供給源16に引き回すのが良く、これら電気的接続手段は、導電性リード線52(図2)を含むのが良い。
【0041】
ハンドピース10の切り換え動作により、患者の組織24中にエネルギーを送出する選択可能な可変深さを有する治療器械が提供され、かかる選択可能な可変深さは、単極動作モードか双極動作モード化のいずれかを生じさせる切り換え回路78の状態で決まる。高周波エネルギー88(図5)は、ハンドピース10が双極モードで動作しているときに、高周波エネルギー90(図6)と比較して、組織24中の浅い深さのところに送出される。
【0042】
図7を参照すると、高周波電力供給源16の回路構成は、周波数が同一であるが位相角が異なる状態で動作する互いに異なる極性の3つの端子91,92,93を備えるのが良い。稼働電極80の極性を交互にして任意の2つの隣り合う電極80が互いに異なる位相角度で駆動されるようにする。加うるに、戻り電極70は、稼働電極80の位相角とは異なる位相角で駆動される。本発明のこの実施形態では、エネルギーは、双極モードと単極モードの両方で同時に組織24に送出される。電極供給源16は、電極70,80に送出される電力の位相角度を制御してエネルギーが所望に応じて稼働電極80相互間及び更に稼働電極80と戻り電極70との間で流れるようにする。
【0043】
例えば、1つの電圧端子92に結合された稼働電極80の半分は、180°の位相ずれで駆動されるのが良く、稼働電極80の他の半分は、別の電圧端子91に結合される。第3の電圧端子93に結合されている戻り電極70は、稼働電極80の半分と−90°の位相ずれで、稼働電極80のもう半分とは+90°の位相ずれで駆動されるのが良い。特定の理論により限定されることを願うものではないが、これは、組織24中の比較的浅い深さのところに高周波エネルギー88を送出する主要な双極成分と組織24中にかなり深い深さのところに高周波エネルギー90を送出する2次的な単極成分を含む混合成分から成る「三極」動作モードが結果として得られると考えられる。双極成分の強度は、3つの電圧端子91,92,93相互間の位相角の開きの大きさによって制御される。平均で考えると、高周波エネルギー88,90は、組織24中の比較的浅い深さのところに送出される。
【0044】
図8を参照すると、個々の位相角は、組織24への高周波エネルギー88,90の深い送出を可能にするよう単極モードが双極モードに勝るように変更されるのが良い。例えば、1つの電圧端子93に結合された稼働電極80の半分は、40°の位相ずれで駆動されるのが良く、稼働電極80のもう半分は、別の電圧端子91に結合される。第3の電圧端子92に結合された戻り電極70は、稼働電極80の半分とは−160°の位相ずれで、稼働電極80のもう半分とは−200°の位相ずれで駆動されるのが良い。特定の理論により限定されることを願うものではないが、これは、組織24中の比較的深い深さのところに高周波エネルギー90を送出する主要な単極成分と組織24中にかなり浅い深さのところに高周波エネルギー88を送出する2次的な双極成分を含む混合成分から成る別の「三極」動作モードが結果として得られると考えられる。平均で考えて高周波エネルギー88,90の送出深さは、図7の位相角の組とは対照的に図8の位相角の組み合わせで動作する場合に増大する。
【0045】
個々の位相角の選択により、エネルギーを患者の組織24中に送出する選択可能な可変深さを備えた治療器械が提供される。
【0046】
本発明の更に別の変形実施形態では、稼働電極80及び戻り電極70は、電極アレイ18aが全体の治療時間の一部分の間単極モード(図6)で動作し、全治療時間の残りの部分の間双極モード(図5)で動作するデューティサイクルモードで動作できる。電力供給源16を単極モードと双極モードとの間で切り換えると、半導体スイッチ等を用いてデューティサイクルモードを提供することができる。単極モードと双極モードとの間の切り換えは、約1Hzよりも高い周波数で起こるのが良く、オプションとして、数百Hz高い周波数で起こることができる。
【0047】
制御装置25中の回路又は回路構成は、高周波電力供給源16が臨床医の望むエネルギー送出深さに応じて電極70,80に単極モードか双極モードかのいずれか或いは三極モードで通電するよう構成されているのが良い。制御装置25は、電力制御部27とは別個であり、エネルギー送出深さを変更するためにどの電極70,80に通電するかを変更する臨床医モード設定制御部26を有するのが良い。電力制御部27とは別個の臨床医設定制御部26は、組織24中へのエネルギー送出深さを変更するために電極70,80の単極動作モード/双極動作モードを変化させる。臨床医設定制御部26に関する任意の数の種々の設定レベルは、ディジタル制御回路又はアナログ制御回路を用いて提供できる。例えば、2つ又は3つという少ない数のレベルを制御部26の使用により設定でき又は10個、50個、100個又は数百という多くのレベルを制御部26の使用により設定できる。
【0048】
ハンドピース10を用いると、高周波エネルギーを送出して組織24を改変することができ、かかる組織としては、脂肪組織を含む表皮、真皮及び皮下組織中のコラーゲン含有組織が挙げられるが、これには限定されない。組織24の改変は、組織24の物理的特徴、組織24の構造又は組織24の物理的性質の変更を含む場合がある。組織改変は、コラーゲン含有組織を改変し、コラーゲン収縮を生じさせ且つ(或いは)新たな又は発生期のコラーゲンの堆積を含む創傷治癒反応等を生じさせるのに十分なエネルギーを送出することよって達成できる。
【0049】
ハンドピース10は、皮膚22及び下に位置する組織24の多くの治療を実施するために使用でき、かかる治療としては、真皮再造形及び引き締め、しわの減少、弾力線維症の軽減、瘢痕減少、アクネの治療、脂線除去/非活動化及び脂線の活動度の減少、毛嚢の除去、脂肪組織の再造形/除去、クモ状静脈除去、皮膚表面の輪郭のでこぼこの修正、瘢痕又は発生期コラーゲンの生成、皮膚の細菌活動度の減少、皮膚の細孔サイズの減少、皮膚細孔の詰まりの除去等が挙げられるが、これらには限定されない。高周波エネルギー送出器具に適した種々の治療法及びかかるエネルギーを提供すると共に皮膚22を積極的に冷却して表面の皮膚22又は組織24の損傷を最小限に抑える種々の最適構造体が、共通譲渡人の米国特許第5,660,836号明細書、同第6,350,276号明細書及び同第6,425,912号明細書に開示されており、これら米国特許の各々を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0050】
本発明の電極組立体14は、“Method and Apparatus for Estimating a Local Impedance Factor”を発明の名称とする米国特許出願(願番及び出願日は現在未確定)(代理人事件番号THERM-28US)に開示されているように局所インピーダンス要因を評価するために使用できる。なお、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0051】
本発明を種々の実施形態の説明により開示すると共にこれら実施形態をかなり詳細に説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲をかかる細部に制限し又は限定することは本出願人の意図ではない。追加の利点及び改造は、当業者には容易に明らかになろう。かくして、本発明はその広義の特徴において特定の細部、代表的な器械及び方法並びに図示すると共に説明した例示の実施例には限定されない。したがって、本出願人の一般的な発明概念の精神又は範囲から逸脱することなくかかる細部の変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態による電極組立体を含むハンドピースの斜視図である。
【図2】図1の電極組立体の分解組立て図である。
【図3】本発明の実施形態による図1の電極組立体の端面図であり、説明を分かりやすくするために、電極アレイのための電気的絶縁を可能にする誘電体層が省かれている状態を示す図である。
【図3A】図3の3A−3A線矢視概略断面図であり、電極アレイが単極モードで動作しているものとして記載されている図である。
【図3B】図3Aと類似した概略断面図であり、電極アレイ中の2次電極エネルギー送出深さが図3Aの構成により送出されるエネルギー送出深さよりも浅いように通電されていない状態を示す図である。
【図3C】本発明の変形実施形態による電極組立体の一部分を示す図である。
【図4】本発明の変形実施形態による図1の電極組立体中に用いられる電極アレイの端面図であり、分かりやすくするために誘電体層が省かれている状態を示す図である。
【図5】図4の電極アレイの概略断面図であり、図4の電極アレイが双極モードで動作している状態を示す図である。
【図6】図5と類似した概略断面図であり、図4の電極アレイが単極モードで動作している状態を示す図である。
【図7】図6と類似した概略断面図であり、主要な双極コンポーネントを備えた状態において三極モードで動作している図4の電極アレイを示す図である。
【図8】図7と類似した概略断面図であり、主要な単極コンポーネントを備えた状態において三極モードで動作している図4の電極アレイを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織中の選択可能な可変のエネルギー送出深さを有する治療器械であって、前記治療器械は、
前記組織に隣接して位置決め可能な電極組立体を有し、前記電極組立体は、互いに電気的に絶縁された少なくとも第1の電極と第2の電極とを含み、
前記第1及び前記第2の電極に結合された電気的接続手段を有し、前記電気的接続手段は、前記組織中の第1の深さのところにエネルギーを送出するために少なくとも前記第1の電極に通電する第1の形態(first configuration)と、前記第1の深さとは異なる前記組織中の第2の深さのところにエネルギーを送出するために少なくとも第2の電極に通電する第2の形態(second configuration)とを有する、治療器械。
【請求項2】
前記電気的接続手段は、高周波エネルギー源に電気的に結合されるようになった電気接点を有する、請求項1記載の治療器械。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の電極と接触状態にある誘電体層を更に有し、前記誘電体層は、前記第1及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方に通電すると、前記組織と電気キャパシタを形成するよう前記第1の電極及び前記第2の電極に対して配置されている、請求項1記載の治療器械。
【請求項4】
前記電気的接続手段により前記第1及び前記第2の電極に電気的に結合された高周波エネルギー源を更に有する、請求項3記載の治療器械。
【請求項5】
前記高周波エネルギー源は、無線周波源である、請求項4記載の治療器械。
【請求項6】
前記誘電体層、前記第1の電極、及び前記第2の電極は、前記第1及び前記第2の電極からの前記エネルギーを前記誘電体層を介して組織中に送り、前記エネルギーが患者の皮膚の表皮表面を通過することにより前記組織中への非侵襲的エネルギー送出を可能にするよう構成されている、請求項3記載の治療器械。
【請求項7】
前記第1及び前記第2の電極は、実質的に平らな平板状交互配置構造を有し、前記電極組立体は、前記第1の電極を前記第2の電極から分離する電気絶縁体を更に有する、請求項1記載の治療器械。
【請求項8】
前記電気的接続手段は、前記第1及び前記第2の電極に双極モード又は単極モードで通電できるよう構成されている、請求項7記載の治療器械。
【請求項9】
前記電気的接続手段は、前記第1及び前記第2の深さとは異なる前記組織中の第3の深さのところにエネルギーを送出するよう前記第1及び前記第2の電極に同時に通電できる第3の形態を有する、請求項7記載の治療器械。
【請求項10】
前記電極組立体は、前記第1及び前記第2の電極から電気的に絶縁された第3の電極を更に含む、請求項1記載の治療器械。
【請求項11】
前記電気的接続手段は、前記第1、前記第2、及び前記第3の電極に単極モード、双極モード、又は単極モードと双極モードの組み合わせで通電できるよう構成されている、請求項10記載の治療器械。
【請求項12】
前記電極組立体とは別個の戻り電極を更に有し、前記戻り電極は、前記電極組立体から離れた場所で前記患者の上に位置決め可能である、請求項10記載の治療器械。
【請求項13】
前記電気的接続手段により前記第1及び前記第2の電極に電気的に結合された電気回路を有するエネルギー送出源を更に有し、前記電気回路は、前記電気的接続手段が前記第1の形態を取っているとき、前記第1の電極に通電し、前記電気的接続手段が前記第2の形態を取っているとき、前記第2の電極に通電する、請求項1記載の治療器械。
【請求項14】
前記電気回路は、更に、前記第1及び前記第2のエネルギー送出深さとは異なる前記組織中の第3の深さのところにエネルギーを送出するよう前記第1の電極及び前記第2の電極に同時に通電するように構成されている、請求項13記載の治療器械。
【請求項15】
前記電極組立体から離れた場所で前記患者上に位置決めされた戻り電極を更に有し、前記電気回路は、前記第1及び前記第2の電極に単極モードで通電するよう構成され、前記戻り電極により戻り電流が前記エネルギー送出源に戻る、請求項13記載の治療器械。
【請求項16】
前記電気回路は、前記第1及び前記第2の電極に単極モード又は双極モードで通電できるよう構成されている、請求項13記載の治療器械。
【請求項17】
前記電極組立体は、前記第1及び前記第2の電極から電気的に絶縁された第3の電極を更に含み、前記電気回路は、臨床医の望むエネルギー送出深さに応じて前記電極に単極モード、双極モード、又は単極モードと双極モードの組み合わせで通電するよう構成されている、請求項13記載の治療器械。
【請求項18】
前記エネルギー送出源は、電力制御装置及び前記電力制御装置とは別個であって、前記エネルギー送出深さを変更する臨床医設定制御装置を備えた高周波エネルギー源を更に有する、請求項17記載の治療器械。
【請求項19】
前記臨床医設定制御装置は、前記エネルギー送出深さを変更するために前記第1、前記第2、及び前記第3の電極の動作モードを単極モード、双極モード、又は単極モードと双極モードの組み合わせ相互間で変化させる、請求項18記載の治療器械。
【請求項20】
前記電気的接続手段によって前記第1の電極に電気的に結合されていて、前記第1の電極に通電する高周波エネルギー源を更に有する、請求項1記載の治療器械。
【請求項21】
前記高周波エネルギー源を前記第2の電極に電気的に結合する切り換え要素を更に有し、前記スイッチは、前記第2の電極が非通電状態にある開離状態及び前記電気的接続手段が前記第2の電極に通電するために前記高周波エネルギー源を前記第2の電極に電気的に結合する閉成状態を有する、請求項20記載の治療器械。
【請求項22】
前記高周波電力供給源は、送出された電力のデューティサイクルを前記第1の電極に合わせて調節し、前記スイッチが前記閉成状態にあるとき、前記第2の電極に合わせて調節するユーザ入力装置を有する制御装置を含む、請求項21記載の治療器械。
【請求項23】
前記高周波電力供給源は、第1の端子を有し、前記第1の電極は、前記第1の端子に電気的に結合され、前記スイッチは、前記スイッチが前記閉成状態にあるとき、前記第2の電極を前記第1の電子の端子に電気的に結合する、請求項21記載の治療器械。
【請求項24】
前記高周波電力供給源は、前記第1の端子とは極性が逆の第2の端子を有し、前記治療器械は、前記組織中に送出された前記エネルギーの電流経路を構成するよう前記組織を前記第2の端子に電気的に結合する第3の電極を更に有する、請求項23記載の治療器械。
【請求項25】
前記スイッチの前記開離状態は、単極動作モードを提供し、前記スイッチの前記閉成状態は、前記第2の深さが前記第1の深さよりも浅い双極動作モードを提供する、請求項23記載の治療器械。
【請求項26】
前記スイッチが前記開離状態にあるとき、前記組織中に送出された前記エネルギーの電流経路を前記第2の端子と協働して構成するよう前記組織に電気的に結合された第3の電極を更に有する、請求項25記載の治療器械。
【請求項27】
前記第1の電極は、複数のボイドを備えた導電性シートから成り、前記第2の電極は、複数個の電気的に結合された導電性部材から成り、前記導電性部材は各々、前記導電性シート中の前記ボイドの各々の中にそれぞれ位置決めされている、請求項1記載の治療器械。
【請求項28】
前記電気的接続手段により前記第1及び前記第2の電極に電気的に結合された制御装置を更に有し、前記制御装置は、前記電気的接続手段を前記第1の形態と前記第2の形態との間で再構成する、請求項1記載の治療器械。
【請求項29】
組織中の選択可能な可変のエネルギー送出深さを有する治療器械であって、前記治療器械は、高周波エネルギー源と共に用いられ、前記治療器械は、
前記組織に隣接して位置決め可能な電極組立体を有し、前記電極組立体は、少なくとも第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1の電極と前記第2の電極は、互いに電気的に絶縁されており、
前記第1及び前記第2の電極と接触状態にある誘電体層を有し、前記誘電体層は、組織の治療中、前記第1及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方に高周波エネルギー源によって通電すると、前記誘電体層並びに前記第1及び前記第2の電極が前記組織と電気キャパシタを形成するよう前記第1及び前記第2の電極に対して配置されている、治療器械。
【請求項30】
前記第1及び前記第2の電極に結合された電気的接続手段を更に有し、前記電気的接続手段は、エネルギーを前記組織中の第1の深さのところに送出するよう前記第1の電極に通電する第1の形態、エネルギーを第2の深さのところに送出するよう前記第2の電極に通電する第2の形態、及びエネルギーを前記組織中の第3の深さのところに送出するよう前記第1の電極と前記第2の電極に同時に通電する第3の形態を有する、請求項29記載の治療器械。
【請求項31】
前記電極組立体は、前記第1及び前記第2の電極から電気的に絶縁された戻り電極を更に有し、前記治療器械は、複数個の端子を備えた高周波電力供給源を更に有し、前記複数個の端子は、高周波電力を対応関係にある複数の位相角で供給し、前記第1の電極は、第1の端子に電気的に結合され、前記第2の電極は、第2の端子に電気的に結合され、前記戻り電極は、第3の端子に電気的に結合され、前記第1の端子、前記第2の端子、及び前記戻り端子の位相角は、前記組織中への前記高周波エネルギーの送出深さを変えるよう可変である、請求項29記載の治療器械。
【請求項32】
患者の組織中の選択可能な可変深さのところにエネルギーを送出する治療方法であって、前記治療方法は、
第1の電極と第2の電極を電気的に互いに接続してエネルギーを前記組織中の第1の深さのところに送出するステップと、
前記第1及び前記第2の電極の前記電気的接続手段を再構成してエネルギーを前記組織中の第2の深さのところに送出するステップとを有する、治療方法。
【請求項33】
前記第1及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方からのエネルギーを前記組織に容量結合して前記エネルギーを前記第1の深さのところに送出するステップを更に有する、請求項32記載の治療方法。
【請求項34】
前記第1及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方からのエネルギーを前記組織に容量結合して前記エネルギーを前記第2の深さのところに送出するステップを更に有する、請求項32記載の治療方法。
【請求項35】
前記第1の電極と前記第2の電極を電気的に接続する前記ステップは、
戻り電極を高周波電力供給源の第1の端子に電気的に接続するステップと、
単極モードでの動作が可能なように前記戻り電極と協働するよう前記第1及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方を前記高周波電力供給源の第2の端子に電気的に接続するステップとを更に含む、請求項32記載の治療方法。
【請求項36】
前記第1の電極と前記第2の電極の前記電気的接続手段を再構成するステップは、
前記戻り電極を前記高周波電力供給源の前記第1の端子から切り離すステップと、
前記第1の電極を前記高周波電力供給源の前記第1の端子に電気的に接続するステップと、
前記第2の電極を前記高周波電力供給源の前記第2の端子に電気的に接続して双極動作モードを確立するステップとを更に含む、請求項35記載の治療方法。
【請求項37】
前記第1の電極と前記第2の電極の前記電気的接続手段を再構成する前記ステップは、
前記第1の電極を前記高周波電力供給源の前記第2の端子に電気的に接続するステップと、
前記第2の電極を前記高周波電流供給源の前記第2の端子に電気的に接続するステップとを更に含む、請求項35記載の治療方法。
【請求項38】
前記第1の電極と前記第2の電極を電気的に接続する前記ステップは、
前記第1の電極を高周波電力供給源の第1の端子に電気的に接続するステップと、
前記第2の電極を前記高周波電力供給源の第2の端子に電気的に接続して双極動作モードを確立するステップとを更に含む、請求項32記載の治療方法。
【請求項39】
前記第1の電極と前記第2の電極の前記電気的接続手段を再構成する前記ステップは、
戻り電極を前記高周波電力供給源の前記第1の端子に電気的に接続するステップと、
単極モードでの動作が可能なように前記戻り電極と協働するよう前記第1及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方を前記高周波電力供給源の第2の端子に電気的に接続するステップとを更に含む、請求項38記載の治療方法。
【請求項40】
前記第1の電極と前記第2の電極を電気的に接続する前記ステップは、
前記第1の電極を高周波電力供給源の第1の端子に電気的に接続するステップと、
前記第2の電極を前記高周波電力供給源の第2の端子に電気的に接続するステップと、
戻り電極を前記高周波電力供給源の第3の端子に電気的に接続するステップと、
電力を前記第1、前記第2、及び前記第3の端子に対応の1組の第1、第2、及び第3の位相角で供給するステップとを更に含む、請求項32記載の治療方法。
【請求項41】
前記第1の電極と前記第2の電極の前記電気的接続手段を再構成する前記ステップは、 電力を前記第1、前記第2、及び前記第3の端子に対応の1組の第4、第5、及び第6の位相角で供給するステップを更に含む、請求項40記載の治療方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2009−512496(P2009−512496A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536562(P2008−536562)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/022586
【国際公開番号】WO2007/046886
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(501356341)サーメイジ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】