説明

組織修復のための固形形態

本発明は、軟骨および/または骨の修復、再生、形成の増強、またはそれらの組み合わせのためのアラゴナイト、およびカルサイトに基づく足場、そしてそれらの足場は、少なくとも2相を含み、そこで、それぞれの相は、その化学的内容、または構造に関して異なり、同じものを含んでいるキット、固形アラゴナイトまたはカルサイト足場を産生するための方法、およびそれらの使用の方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
外科的介入および移植は、時々、外傷、腫瘍または普通でない骨の発達の結果、骨および軟骨の機械的機能を修復するためおよび骨および軟骨の形態を再構築するために必要である。
【0002】
合成材料、例えば金属および骨セメントなどは、また何年もの間、骨を修復するためおよび再構築するために使用されているが、しばしば結果として、周囲の骨の応力遮へいおよびインプラントの疲労破壊をもたらす。他の可能性は、自己移植骨移植であるが、自己移植の骨組織の供給は、制限されそしてその採取は痛みを伴い、感染、出血、表面上の身体障害(cosmetic disability)、神経損傷、および骨の機能の喪失のリスクを伴う。さらに、重大な病的状態は、自家移植片採取部位に関連する。これらの問題は、骨髄幹細胞、また間葉系幹細胞(MSC)として知られる幹細胞の接着、移動、増殖および分化を促進する合成または天然生体材料で作られている足場(scaffold)を使用する工学組織によって克服されるかもしれない。生体構成要素と生物学的な再生および修復反応の間の関連性は、骨単位およびそれらの血管の相互接続と一致した空間形態を含む足場を提供することにより促進されうる。
【0003】
隣接した微小環境および3次元(3D)組織は、一般的に分化においてそして特に軟骨形成および骨形成分化において重要な要因である。
【0004】
いくつかの骨組織工学骨格は、例えばコラーゲン、アルギン酸、ヒアルロン酸、およびキトサンなどの天然ポリマーで構成される。天然素材は、それらの親水性の相互作用、低毒性および低慢性炎症性反応のため、有利な特定の細胞相互作用、細胞の容易な播種を提示する。しかしながら、それらの足場は、機械的に不安定でそして移植のための特定の組み込まれた形で組織構造の生成のために直ちに寄与しない。機械的強度を得るために、化学的修飾が必要であり、そしてそれは毒性に繋がるであろう。
【0005】
関節の関節軟骨表面の欠陥および変性は、痛みおよび硬化を引き起こす。関節を保護する軟骨の損傷は、外傷、スポーツまたは反復性ストレスの結果としての身体的損傷(例えば、骨軟骨骨折、十字靭帯負傷による二次的損傷)または疾患(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、無菌性壊死、離断性骨軟骨炎)に起因する。
【0006】
骨関節炎(osteoarthritis)(OA)は、関節の一般的な損傷、もっとも著しく腰および膝関節に起因する。骨関節炎は高齢者において一般的であるが、実際は、40歳までに、個人個人は、彼らの荷重関節についてなんらかの骨関節炎変化を有する。増加する骨関節炎の有病率の他の新出現の傾向は、肥満の増加である。CDCは、30%のアメリカ人の成人(または6000万人)が太りすぎであることを見積もっている。肥満の成人は、通常の体重の成人よりも4倍膝骨関節炎を発症しやすい。関節リウマチは、軟骨の破壊をもたらす炎症性疾患である。少なくとも一部は、本疾患の遺伝的傾向を有する患者の自己免疫疾患であると考えられる。
【0007】
整形外科的予防および損傷した関節の修復は、出費および患者を治療する時間の両方に関して医療専門家の重大な重荷である。一つには、これは軟骨が自己修復のための能力を有しないからである。軟骨欠損の修復のためヒアリン軟骨を再増殖する試みは、不成功のままである。整形外科の手術は、関節について重大な変性変化を未然に防ぐための努力における欠陥の修復および関節の損傷予防のため、有効である。外科的手法の使用は、しばしば、損傷したまたは病気の組織を交換するために健康な組織の除去および提供を必要とする。自己移植、同種移植、異種移植由来の提供された組織を利用する手法は、対象に自己移植はさらに外傷を加えそして同種移植および異種移植は、宿主対象の免疫反応性により制限され、そして病原体の移動の可能性があるとして、全体的に望ましくない。軟骨再生のためにヒトまたは動物組織以外の材料を利用するための外科的試みは、不成功のままである。
【0008】
機械的機能を復活させそして骨および軟骨の形態を再構築する理想的な材料は、今までのところ、存在しない。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの実施態様において、本発明は、軟骨もしくは骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生または形成の増強を誘導または増強のためのサンゴに基づく(coralline‐based)足場を提供し、そこで、前記骨格は、アラゴナイトまたはカルサイトを含む。
【0010】
いくつかの実施態様において、本発明は、組織修復のための足場を提供し、前記足場は、ここで実質的に以下の2相:
・ 前記2相の第一相は、生体適合性ポリマーを含む固形サンゴ(coral)またはバイオラティス(biolattice)を含み、そして第一相は、さらに前記第一相についての縦軸に沿って一連の中空(hollow)を含み、そこで前記生体適合性ポリマーは実質的に前記一連の中空内に位置し;そして
・ 前記2相の第二相は、固形サンゴまたはバイオラティス(biolattice)を含む
からなる。
【0011】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨もしくは骨またはそれらの組み合わせの修復、再生または形成の増強のための足場を提供し、そしてその足場は、アラゴナイトまたはカルサイトの固形からなり、そしてさらに:
・ 少なくとも第一相が、約60‐160μmの範囲の平均直径を有する空間(void)を含み;そして
・ 少なくとも第二相が、約170‐850μmの範囲の平均直径を有する空間を含んでいる
を含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場はさらに約170‐300μmの範囲の平均直径を有する空間を含んでいる第三相を含み、そして前記第二相が、約350‐850μmの範囲の平均直径を有する空間を含み、そして前記第三相が、前記第一および第二相の間に位置する。
【0013】
他の実施態様において、本発明は、軟骨もしくは骨またはそれらの組み合わせの修復、再生または形成の増強のための足場を提供し、そしてその足場は、アラゴナイトまたはカルサイトの固形からなり、そしてさらに:
・ 少なくとも第一相が、約35‐55%の範囲の細孔容積(pore volume)(多孔度)を有する細孔を含み;そして
・ 少なくとも第二相が、約56‐95%の範囲の細孔容積(多孔度)を有する細孔を含んでいる
を含む。
【0014】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場はさらに約56‐80%の範囲の細孔容積を有する細孔を含んでいる第三相を含み、そこで前記第二相が、約81‐95%の範囲の細孔容積(多孔度)を有する空間を含み、そして前記第三相が、前記第一および第二相の間に位置する。
【0015】
他の実施態様において、本発明は、軟骨もしくは骨またはそれらの組み合わせの修復、再生または形成の増強のための足場を提供し、そしてその足場は、サンゴから分離されたアラゴナイトまたはカルサイトの固形形態からなり、そしてさらに:
・ 少なくとも第一相が、平均直径、細孔容積またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてそれは、前記固形形態が分離された天然のサンゴと一致し;そして
・ 少なくとも第二相が、平均直径、細孔容積またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてその平均空間直径、細孔容積またはそれらの組み合わせは、前記第一相のそれよりも約15‐100%より大きい
を含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場はさらに、平均直径、細孔容積またはそれらの組み合わせを有する空間を含んでいる第三相を含み、そしてその平均細孔直径、細孔容積またはそれらの組み合わせは、前記第一相よりも約15‐35%より大きくそして前記第二相は、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてその平均細孔直径、細孔容積またはそれらの組み合わせは、前記第一相よりも約40‐100%より大きく、そして前記第三相は、前記第一および第二相の間に位置する。
【0017】
他の実施態様において、本発明は、軟骨もしくは骨形成もしくは修復、またはそれらの組み合わせを誘導または増強するための多相性の(multi−phasic)足場の調製方法を提供し、以下のステップ:
・ アラゴナイトまたはカルサイトの固形形態の一部と、カルシウムキレート剤および酸を接触させて、前記固形形態の少なくとも一部に拡大された空間を含む固形形態を生成させ;および
・ 適用された陰圧下、前記固形形態を洗浄および乾燥すること
を含む。
【0018】
この態様によれば、およびいくつかの態様によれば、接触は、ある期間にわたってそして条件下実施され、そしてそれは足場の所望する最終形状(final geometry)の結果として変動する。
【0019】
この態様によれば、および他の実施態様によれば、前記方法によって生産される固形形態は、少なくとも2相を含み、そしてそれらの相は、それらの細孔容積(多孔度)において異なり、もしくはそれらの相は、前記空間の平均直径の点で異なる空間、またはそれらの組み合わせを含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の方法に従って生産された足場を提供する。
【0021】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨修復部位内に挿入することができるカルサイトから実質的になるバイオラティスを含んでいる軟骨の修復のための足場を提供する。いくつかの実施態様において、バイオラティスは、テトラクリタ ルホティンクタ(tetraclita rufotincta)に由来する。
【0022】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨もしくは骨形成もしくは修復、またはそれらの組み合わせを誘導もしくは増強する方法を提供し、前記方法は、軟骨もしくは骨形成、修復またはそれらの組み合わせを必要とする部位内に本発明の任意の足場を、対象中に移植することを含む。
【0023】
この態様によれば、そしていくつかの実施態様において、本方法は、軟骨もしくは骨形成もしくは修復またはそれらの組み合わせを必要とする前記部位を露出し、そして場合により、前記足場を移植する前に、軟骨修復または再生を必要とする前記対象について軟骨修復部位の近くに位置する骨組織を露出することを含む。
【0024】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、軟骨修復または再生を誘導または促進するための方法は、軟骨修復の前記部位の近くに位置する骨内に前記足場の少なくとも一部分を取り付けるステップを含む。
【0025】
他の実施態様において、本発明は、サンゴに基づく足場の精製のためのプロセスを提供し、前記プロセスは以下のステップ:
・ 所望のサイズおよび形の固形アラゴナイトを、酸化剤を含む溶液と接触させ;そして
・ 前記固形アラゴナイトを洗浄および乾燥すること
を含み、それによって、前記ステップの一つまたはそれぞれは適用される陰圧下、実施される。
【0026】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、本方法は、穏やかな酸性条件下、前記接触を実施することを含む。いくつかの実施態様において、本溶液は、次亜塩素酸ナトリウムを含む。
【0027】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、本プロセスはさらに、適用される陰圧下、少なくとも275℃の温度に固形アラゴナイトをさらすことを含む。
【0028】
いくつかの実施態様において、適用される陰圧範囲は、約0.2〜0.00001バーの間であり、またはいくつかの実施態様において、適用される陰圧範囲は、0.4〜0.0000001バーの間である。
【0029】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明のこの態様に従った方法により生産されたサンゴに基づく足場を提供する。
【0030】
あたかもそれぞれ個々の刊行物または特許が、明確にそして個々に参照により取り込まれることを示したかのように、明細書に言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、それらの全体について参照することにより本明細書に組み込まれる。本明細書および取り込まれた参照の間の不一致の場合、本明細書を優先すべきである。本明細書において数値範囲が与えられているところでは、エンドポイントが本範囲内に含まれている。さらに、他に示されているまたは文脈および当業者の理解から他に明白でない限り、範囲として表現される値は、決まった範囲内の任意の特定の値またはサブレンジを、場合によってどちらか一方のまたは両方のエンドポイントを含みまたは除いて推測することができ、本発明の異なる実施態様において、本範囲の下限の単位の1/10を、本文脈が他を明らかに規定しない限り、推測できる。パーセンテージが、実質的に整数の単位を有する値を参照において列挙したところは、あらゆる結果の少数は、もっとも近い整数に四捨五入されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、軟骨および骨修復のための部位内のインプラントの配置を示し、そこで足場1‐10は、第一相が軟骨内に位置し、そして第二相が近位(proximal)に位置した骨内に位置するように配置される。
【図2A−2D】図2A‐2Dは、軟骨および骨欠損内に本発明の足場の実施態様の成功した組み込みを示す。図2Aは、ヤギの大腿骨内側顆について、D=6mm、L=7.5mmのドリル穴の写真を示す。図2Bおよび2Cは、傷害部位内の足場の移植の写真を示す。図2Dは、移植後19日にインプラントは、軟骨内に成功裏に組み込まれ、血管新生および無損傷の半月板の兆候が見られる。
【図3A−3B】図3A‐3Bは、本発明の具体化された足場が組み込まれた骨軟骨組織の光学顕微鏡写真を示す。図3Aは、ヤギの大腿骨内側顆;D=5.2mm、L=7.5mmについて本明細書で記載した具体化された足場の挿入後9週間の低倍率(2×)を示し、標準化されたH&E染色で可視化した。図3Bは、マッソントリクロームで染色された組織の同等の部分を示す。移植の領域(3Aにおいて、点線の長方形により強調)は、線維性骨、軟骨および線維状組織と置換されることに注意する。
【図4A−4B】図4A‐4Bは、図3と同様に、本発明の具体化された足場が挿入された骨軟骨組織の、異なる染色プロトコールを受けた光学顕微鏡写真を示す。図4Aは、ヤギの大腿骨内側顆;D=5mm、について、移植後9週間の組織のサフラニンOで染色した低倍率(2×)を表し、そして図4Bは、コラーゲンタイプIIの検出のため染色された同等の部分を示す。図4Aは、正常な骨および欠損の領域を覆う軟骨の均質な赤いバンドの存在を示す。同様に、図4Bは、欠損を覆う軟骨(および内部ポジティブコントロールとして隣接した正常な軟骨)のバンドに沿ってコラーゲンタイプIIのための陽性染色を示す。
【図5A−5B】図5A‐5Bは、H&E染色を受けた、本発明の具体化された足場が移植された骨軟骨組織の光学顕微鏡写真を示す。本部分は、ヤギの大腿骨内側顆、足場の移植後9週間で採取;D=5.2mm、L=7.5mmに由来する。図5Aは、組織の低倍率であり、一方で図5Bは、図5Aについて見られる挿入のより高倍率である。ヒアリン軟骨(インセット)の領域について組織の均一性に注意する。再生の領域内で軟骨細胞のわずかなクラスタリングがあるが、本領域は、他に同等の近隣の軟骨組織に現れる。
【図6A−6D】図6A‐6Dは、本発明の多勾配(multi−gradient)足場の実施態様の調製および使用を示す。浸漬のためのふるい内のプラグの配置の実施態様は、図6Aに示す。図6Bおよび6Cは、プラグ(パネルC)から切り取った上部(パネルB)そして空間の大きさを確認できるようにより高倍率で可視化した光学顕微鏡画像を示す。図6Dは、本発明の多相性足場の実施態様を模式的に示す。
【図7A−7I】図7A‐7Iは、細胞がアラゴナイト(図7D、7E、および7F)、アラゴナイトおよびヒアルロン酸(図7G、7H、および7I)、およびなんらかの足場なし(対照)(図7A、7Bおよび7C)上で長期間、培養したかどうかの機能としてのインプラントの軟骨形成能力を示す、MSC培養組織のサフラニンO/ファストグリーン染色の顕微鏡写真を示す。
【図8A−8B】図8A‐8Bは、アラゴナイト足場、アラゴナイト+ヒアルロン酸足場、およびなんらかの足場なし上で長期間培養したMSCのサフラニンO/ファストグリーン染色の染色細胞領域(図8A)および強度(図8B)を示す。
【図9A−9D】図9A‐9Dは、さまざまな足場上で培養したMSCsの走査型顕微鏡写真を示す。図9Aおよび9Bは、サンゴおよびヒアルロン酸含有足場(図9Cおよび9D)上で培養したMSCの形態と対比して、サンゴに基づく足場上で培養したMSCの形態を示す。
【図10A−10B】図10A‐10Bは、具体化されたインプラントの軟骨の態様におけるドリル穴のパターン、含浸の前(図10A)および1%NaHAで足場を含浸し続いてエバポレーションした後(図10B)を表している本発明の足場の実施態様を示す。
【図11A−11C】図11A‐11Cは、本発明の足場/インプラントの実施態様を示す。この態様によれば、一つの相は、縦軸に沿って一連の穴または空間(11‐30)をともなうアラゴナイトを含みそしてヒアルロン酸(11‐10)を含浸し、そして他の相は、アラゴナイトのみ(11‐20)を含む。この態様による足場の終端は、骨軟骨の修復の部位内にタイトフィットのように挿入の容易さのために先が細くなっている(11‐40)。図11Cは、選択的に足場のヒアルロン酸組成物を染色する、ファストグリーンで染色した具体化した足場を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、とりわけ、対象の軟骨および/または骨組織の修復および/または形成のための足場、ツール、およびそれらの使用方法を提供する。本発明は、さらに対象の軟骨および/または骨組織の修復および/または形成のためのキットを提供する。
【0033】
サンゴは、そしてそれはアラゴナイトまたはカルサイトの結晶形態におけるCaCO3を含み、早い細胞間侵入、接着、増殖、および間葉系幹細胞の軟骨および/または骨組織への分化を助ける利点を有する。
【0034】
3次元(3‐D)サンゴ足場は、設置された組織周辺または近くから間葉系幹細胞を引き付けそして軟骨修復の部位の血管形成を促進する。このような足場は、全層(full‐thickness)軟骨欠損、一部層(partial thickness)軟骨欠損および/または骨軟骨欠損の治療のための対象における軟骨および/または骨の形成の再生、修復、および増強のため使用できる。
【0035】
用語「サンゴ」および「アラゴナイト」は、本明細書では互換的に使用される。
【0036】
本発明のサンゴに基づくまたはカルサイトに基づく(calcite‐based)足場は、また骨状態、疾患または障害の治療のため対象における骨の形成の再生、修復および増強のため使用されてもよい。
【0037】
本発明は、軟骨および/または骨の再生、修復および形成の増強について有用であるサンゴまたはカルサイト足場のみの予期しない適用を提供し、それ以上にサンゴ/カルサイト足場は、軟骨および/または骨の再生、修復および形成の増強の方法のためにそれを必要とする対象における軟骨および/または骨内に特異的におよび最適に調製および挿入することができる。
【0038】
特に、サンゴ足場が実質的に2相からなり、ここで前記2相の第一相が、固形サンゴまたは生体適合性ポリマーを含んでいるバイオラティスおよび第一相がさらに第一相における縦軸に沿って一連の中空を含み、ここで生体適合性ポリマーが実質的に前記一連の中空内に位置し;そして前記2相の第二相が固形サンゴまたはバイオラティスのみを含むとき、本発明は、軟骨および/または骨再生、修復および形成の増強が最適である予期しない適用を提供する。
【0039】
特に、本明細書に記載されたような足場は、軟骨内に挿入される相においてヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーを組み込むとき、本発明は、より多くの軟骨形成に関して予期しない利点を提供する。この態様による足場の他の利点は、例えばヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーを含んでいる相内にドリル前のうねまたは長手方向にある穴の存在であり、そしてその穴は、例えばヒアルロン酸などの生体適合性ポリマーで含浸され、そして軟骨修復の必要部位内に位置する相において例えばヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーのためのタンクとして役立つ。例えばヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーの局在は、軟骨再生および修復を刺激するためのこの足場の相の至るところに移動した前駆細胞のより多くの教示(direction)を許容する。いくつかの実施態様において、足場の相の縦軸に沿った空間内に、例えばヒアルロン酸などの濃縮された生体適合性ポリマーを含んでいるうねは、軟骨形成に関する漸加された細胞のための走化性のガイドを提供し、および/またはいくつかの実施態様において、そこへ移動する細胞の軟骨形成の集団の局所漸加および分化に影響する。いくつかの実施態様において、足場の相の縦軸に沿った空間内に、例えばヒアルロン酸などの濃縮された生体適合性のポリマーを含んでいるうねは、軟骨マトリックス恒常性に寄与する。
【0040】
この態様によれば、第一相と比して第二相の多孔度およびより大きい剛性は、骨内の挿入のためによりふさわしくそして骨軟骨欠損の修復のための支持を提供する。本発明の足場はそれゆえ、いくつかの実施態様において、2の異なるタイプの組織、すなわち骨および軟骨におよぶ欠損部位内に組み込むために理想的にふさわしい。
【0041】
いくつかの実施態様において、本発明は組織修復のための足場を提供し、前記足場は実質的に以下の2相:
・ 前記2相の第一相が、ヒアルロン酸を含んでいる固形サンゴまたはバイオラティスを含み、そして前記第一相はさらに前記第一相において縦軸に沿って一連の中空を含み;そして
・ 前記2相の第二相が、固形サンゴおよびバイオラティスを含む
からなる。
【0042】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、第一相は、1‐3mmの間、いくつかの実施態様において、0.5‐5mmの間、またはいくつかの実施態様において、1‐7mmの間の高さを有する。いくつかの実施態様において、この態様よれば、ヒアルロン酸はこの相内に作られた中空内に優先的に分布する。いくつかの実施態様において、ヒアルロン酸の薄層は、さらにインプラントの上に形成してもよく、そしてそれは、インプラントの頂上の部位において、スポンジ外表面層と推測する。
【0043】
いくつかの実施態様において、例えばヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーは、親水性であり、および関節液(synovial fluid)は、足場の上の頂上層においてそれとともに接触するようになるとき、または生理食塩水は、移植の手順の間、それとともに接触するようになるとき、移植前の水分のない/乾燥した状態と対照的に、インプラントは、体液を吸収しそしてハイドロゲルに戻る。いくつかの実施態様において、この復帰は、移植の部位について機械的な保護を提供する。
【0044】
いくつかの実施態様において、外表面層は、以下のインプラントに記載されるような「再構成」のとき、周囲の部位に足場から溶出してもよくそしてそれによってその部位修復の刺激または促進に関与し、特に、修復プロセスに関係する細胞のためのケモアトラクタント(chemoattractant)として役立つことを含む。
【0045】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、第一相は、さらに一連の縦方向の穴を含む。そのような縦方向の穴は、この態様によるインプラントの縦軸方向に沿った相の至るところに、15‐60の範囲で位置してもよい。いくつかの実施態様において、穴または拡大された空間は、約250‐450μmの直径範囲を有する。いくつかの実施態様において、穴または拡大された空間は、約125‐650μmの直径範囲を有し、またはいくつかの実施態様において、約175‐550μmの範囲を有する。
【0046】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、一連の穴または空間は、インプラントの物理的な処置により組み込まれてもよく、例えば、そしていくつかの実施態様において、固形アラゴナイトまたはカルサイトは、本明細書に記載されたように分離され、洗浄されおよび他に調製され、そしてドリルは、本明細書に記載されたような一連の穴/空間を作るために使用されてもよい。いくつかの実施態様において、縦軸方向に沿った選択的な溶解は、他の方法、例えば足場材料の選択的な溶解が遂行され、そしてそこで本明細書において記載されそして例示された方法を含む、周知技術の方法により遂行される。
【0047】
この態様によれば、第二相は、固形サンゴおよびバイオラティスを含み、そしてそれはさらに相の多孔度を変更するために修飾されておらず、またはいくつかの実施態様において、相において細孔容積または平均細孔直径を特異的に変更するための下、本明細書にさらに記載されたように変更されてもよく、それによってそのような修飾は、相の至るところで実質的に均一である。
【0048】
インプラントの第一相における例えばヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーの組み込みは、圧力駆動適用を含む、例えば、真空、遠心力、機械的圧力下の適用によってなどの、任意の方法によって遂行される。いくつかの実施態様において、重力は、本明細書に記載されたように第一相を作り、インプラントの所望する深さにヒアルロン酸を適当にそして比較的均一な浸透を許容するために十分である。この態様によれば、一つの実施態様において、インプラントの外観検査は、例えば、ファストグリーン/サフラニンOで染色を使用し、相の至るところにヒアルロン酸の均一な分布および時間および適用の条件の機能として所望する深さを示す。
【0049】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、骨および/または軟骨修復の部位に足場を適用するとき、またはいくつかの実施態様において、骨および軟骨の両方に影響を及ぼしそして修復および/または再生を必要とする欠損部位に足場を適用するとき、当業者は、第一相が軟骨欠損部位内に挿入される一方で、足場の第二相は、骨欠損部位内に挿入されることを認識するであろう。
【0050】
いくつかの態様において、そのような足場は、修復を必要とする骨欠損を伴う対象に適用してもよく、そこで骨欠損に近づくことは、覆っている軟骨について欠損を生む結果となり、そして本発明の足場は、両方の影響を受ける組織の治癒を可能にする。他の実施態様において、そのような足場は、修復を必要とする軟骨欠損を伴う対象に適用してもよく、そこで軟骨修復の刺激のための足場の最適な挿入は、例えば足場の挿入のため下にある骨に最小限の空間を作ることにより、下にある骨に足場の固着を必要とし、そして一旦挿入されると、足場は覆っている軟骨および下にある骨の両方の修復を容易にする。
【0051】
他の実施態様において、そのような足場は、骨軟骨欠損を伴う対象に適用してもよく、そこで骨および軟骨組織の両方が、障害の病変形成の一部として修復を必要とする。この態様による足場は、いくつかの実施態様において、特にそのような適用のために適している。
【0052】
サンゴ足場が少なくとも2相を含み、そしてそれらの相が空間を含み、そしてそれぞれの相内の空間の平均直径に関して異なるとき、本発明はまた、軟骨および/または骨再生、修復および形成の増強が最適である予期しない適用を提供し、サンゴ足場が少なくとも2相を含み、そしてそれらの態様がそれらのそれぞれの細孔容積(多孔度)に関して異なるとき、本発明はまた、軟骨および/または骨再生、修復および形成の増強が最適である予期しない適用を提供する。
【0053】
用語「サンゴ(coral)」は、アラゴナイトおよび/またはカルサイトが分離されるかもしれない出発材料をさすことが認識される。
【0054】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨もしくは骨再生、形成の増強またはそれらの組み合わせを誘導もしくは増強するための足場を提供し、そしてその足場は、アラゴナイトまたはカルサイトの固形形態からなりそしてさらに:
・ 少なくとも第一相が、約60‐160μmの範囲の平均直径を有する空間を含み;そして
・ 少なくとも第二相が、約170‐850μmの範囲の平均直径を有する空間を含んでいる
を含む。
【0055】
この態様によれば、用語「第一相(first phase)」および「第二相(second phase)」は、骨軟骨欠損内の相の挿入に関して特別の順序を適用せず、そして第一相または第二相のいずれかが、第一相が、軟骨修復部位の近位に挿入される本明細書の上に記載された足場の先の実施態様と対照的に、修復部位内の近位の軟骨に適応してもよいことが認識されるであろう。この態様によれば、足場は両示された空間平均直径を含むようにさらに修飾されてもよく、そしていずれかの相は、ヒアルロン酸などの生体適合性ポリマー、および前記相の縦軸に沿った一連の空間または穴をさらに含んでもよく、そこでヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーは、そのような一連の空間または穴内に実質的に位置する。
【0056】
いくつかの実施態様において、アラゴナイトに関する用語「固形形態(solid form)」は、サンゴから採取される固形アラゴナイトをさし、そしてそのアラゴナイトは、デブリ、タンパク質および他の特別な物質を取り除くために取り扱われ、しかしながらそのようなサンゴ由来の材料は、水熱で変形せず、粉にならず、そして再懸濁しない。
【0057】
いくつかの実施態様において、本発明の足場の調製において使用するためのサンゴは、例えばPCT国際出願番号 PCT/IL2009/000828に記載されたような周知技術の任意の方法によって加工されてもよく、そしてそれは、あたかも本明細書に完全に述べられたように参照により取り込まれる。いくつかの実施態様において、サンゴは本発明の方法に従って加工されてもよい。
【0058】
いくつかの実施態様によると、本発明はサンゴに基づく足場の精製のための方法を提供し、前記方法は以下のステップ:
・ 所望するサイズおよび形の固形アラゴナイトを、酸化剤を含む溶液と接触させ;そして
・ 前記固体アラゴナイトを洗浄および乾燥すること
を含み、それによって前記ステップの一またはそれぞれは、適用された陰圧下行われる。
【0059】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様によると、適用された陰圧範囲は、0.2〜0.00001バー、いくつかの実施態様によると、適用された陰圧範囲は、0.4〜0.0000001バーである。
【0060】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、本発明の方法について使用するための酸化剤は、任意の適当な酸化剤でよく、サンゴに基づく足場から有機デブリの除去を容易にする。
【0061】
いくつかの実施態様において、酸化剤は、特に硝酸カリウム(KNO3)、次亜塩素酸塩および他の次亜ハロゲン酸塩化合物、ヨウ素および他のハロゲン、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、6価クロム化合物、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、およびクロム酸塩/重クロム酸塩化合物、過酸化物化合物、スルホキシド、過硫酸、または硝酸、アセトン、過硫酸アンモニウム、1,4‐ベンゾキノン、N‐tert-ブチルベンゼンスルフィニルミドリル(N‐tert‐butylbenzensulfinilmidoyl)、塩化物、tret‐ブチルヒドロペルオキシド、tert‐ブチル次亜塩素酸塩、3‐クロロ過安息香酸、メタ‐クロロ過安息香酸、クメンヒドロペルオキシド、ジメチルスルホキシド、過酸化水素、酸化マンガン、メタ‐クロロ過安息香酸、N‐メチルモルホリン‐N‐オキシド、メチルトリオキソレニウム(MTO)、オキサリルクロリド、N‐tert‐ブチルベンゼンスルフィニミドリル(N‐tert‐butylbenzensulfinimidoyl)塩化物、オキソン、酸素、オゾン、過酢酸、過ヨウ素酸、過酸、ピバルデヒド、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ一硫酸カリウム、2‐プロパノン、次亜塩素酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、スチレン、トリクロロイシシアヌル酸(TCCA)、2,2,6,6‐テトラメチルピペリジノキシ(TEMPO)、tert‐ブチルヒロドペルオキシド、tert‐ブチル次亜塩素酸塩、テトラブチルアンモニウムペルオキシジスルファート、トリメチルアセトアルデヒドを含む。いくつかの実施態様において、酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウムである。
【0062】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様によると、方法は、穏やかな酸性条件下前記接触を行うことを含む。
【0063】
この態様によれば、およびいくつかの実施態様によると、方法は、適用される陰圧下少なくとも275℃の温度で固体アラゴナイトをさらすことを含む。
【0064】
本発明のこの態様によれば、方法は適用される陰圧下、酸化剤でアラゴナイトを接触すること、適用される陰圧下アラゴナイトを洗浄することおよび乾燥すること、または両ステップが適用される陰圧下行われることを含む。本発明のこの態様によれば、適用される陰圧は、0.2〜0.00001バーの間、またはいくつかの実施態様において約0.4〜0.0000001バーの間の範囲である。
【0065】
本発明の足場、キット、プロセス、および方法は、固形サンゴ形態(solid coralline forms)を利用する。
【0066】
本発明の固形形態または足場は、アラゴナイトまたはカルサイト起源であってもよい。
【0067】
いくつかの実施態様において、カルサイトに関する用語「固形形態」は、サンゴから分離したカルサイトをさし、そしてそのカルサイトは、デブリ、タンパク質および他の特別な物質を取り除くために取り扱われ、しかしながらそのようなサンゴ由来の材料は、水熱で変形せず、粉にならず、そして再懸濁しない。いくつかの実施態様において、「固形形態」カルサイトは、アラゴナイト固形形態の調製により得られるカルサイトをさし、そしてその形態は、その後、当該技術において周知の方法、例えば真空下高温にその形態を暴露することによりカルサイトに変換する。
【0068】
周知技術としてアラゴナイトをカルサイトに変換するいずれの方法も、本発明のカルサイト足場の調製に使用されてもよい。
【0069】
本発明の足場は、いくつかの実施態様において、一連の空間を含み、そして本発明の足場について存在する少なくとも2相は、それぞれの相において存在する空間の平均直径に関して異なる。いくつかの実施態様において、足場は、約60‐160μmの平均直径範囲を有する空間を含んでいる少なくとも第一相を含む。いくつかの実施態様において、第一相は、約60‐90μm、いくつかの実施態様において約80‐130μm、またはいくつかの実施態様において約120‐160μmの平均直径範囲を有する空間を含む。
【0070】
いくつかの実施態様において、足場は、約170‐850μmの平均直径範囲を有する空間を含んでいる少なくとも第二相を含む。いくつかの実施態様において、第二相は、約170‐400μm、またはいくつかの実施態様において約250‐500μm、またはいくつかの実施態様において約450‐700μm、またはいくつかの実施態様において約550‐850μmの平均直径範囲を有する空間を含む。
【0071】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場はさらに、約150‐300μmの平均直径範囲を有する空間を含んでいる第三相を含み、そして前記第二相は、約350‐850μmの平均直径範囲有する空間を含み、そして前記第三相は、前記第一および第二相の間に位置する。いくつかの実施態様において、そのような少なくとも第三相は、「中間相」として互換できるように本明細書において称されてもよい。
【0072】
いくつかの実施態様において、足場は円柱状の形であり、そして約5‐15mmの直径、そして約5‐25mmの高さを有する。いくつかの実施態様において、足場は、約1‐35mmの直径、約1‐45mmの高さ、または約5‐40mm直径、および5‐60mmの高さ、または約5‐15mm直径、および5‐45mmの高さを有する。
【0073】
本発明の足場の相内の空間の平均直径は、さらに本明細書の以下で例示する、デジタル画像分析を含む、任意の方法によって決定されてもよい。一つの実施態様において、本発明の足場について使用するためのサンゴは、細胞播種および/または血管系発達のために適当な平均空間直径を含む。
【0074】
本発明の固形形態は、少なくとも2相を含み、そしてそれらの相は、足場が多孔性の性質の材料を含むために、細孔を含む。いくつかの実施態様において、相はそれぞれの相の細孔容積(多孔性)に関して異なる。
【0075】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨の修復のための足場を提供し、そしてその足場は、アルゴナイトまたはカルサイトの固形形態からなりそしてさらに:
・ 少なくとも第一態様が、約35‐55%の細孔容積範囲を有する細孔を含んでおり;そして
・ 少なくとも第二態様が、約56‐95%の細孔容積範囲を有する細孔含んでいる
を含む。
【0076】
この態様によれば、用語「第一相」および「第二相」は、欠損部分内、例えば骨軟骨欠損内の相の挿入に関して特別の順序を適用せず、そして第一相または第二相のいずれかが、第一相が、軟骨修復部位の近位に挿入される本明細書の上に記載された足場の先の実施態様と対照的に、修復部位内の近位の軟骨に適応してもよいことが認識されるであろう。この態様によれば、足場は両示された空間平均直径を含むようにさらに修飾されてもよく、そしていずれかの相は、ヒアルロン酸などの生体適合性ポリマー、および前記相の縦軸に沿った一連の空間または穴をさらに含んでもよく、そこでヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーは、そのような一連の空間または穴内に実質的に位置する。
【0077】
明細書で使用されるように、用語「細孔容積」は、本発明の多孔性の足場内の容積または空地(open space)をさす。細孔容積は、周知技術の任意の方法により決定される。多孔度は、標準方法、さらに本明細書の下で提供される実例、例えば、Karageorgiou V,Kaplan D.(2005)「Porosity of 3D biomaterial scaffolds and osteogenesis」を参照し、計算することができ、そしてそれは、これによって、そのすべてについて参照により取り込まれる。
【0078】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場は、約35‐45%の細孔容積範囲を有する細孔を含んでいる、少なくとも第一相を含み、そしていくつかの実施態様において、足場は、約40‐55%の細孔容積範囲を有する細孔を含んでいる、第一相を含む。
【0079】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場は、約56‐70%、およびいくつかの実施態様において、約60‐74%の細孔容積範囲を有する細孔を含んでいる、少なくとも第二相を含み、または足場は、約65‐75%、またはいくつかの実施態様において70‐85%、またはいくつかの実施態様において、80‐95%の細孔容積範囲を有する細孔を含んでいる第二相を含む。
【0080】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場はさらに約80‐95%の細孔容積範囲を有する細孔を含んでいる、第三相を含み、そこで、前記第二相は、約56‐80%の細孔容積範囲を有する空間を含み、そして前記第二相は、前記第一態様と第三相の間に位置する。
【0081】
一つの実施態様において、分散が、100%を超える値になるべきではないことを示す文脈を除き、用語「約(about)」は、1‐10%の分散、または他の実施態様において、5‐15%、または他の実施態様において、10%まで、または他の実施態様において、示した値から25%までの分散をさす。
【0082】
いくつかの実施態様において、本発明は、軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強のための足場を提供し、そしてその足場は、サンゴから分離されたアラゴナイトまたはカルサイトの固形形態からなり、そしてさらに:
・ 少なくとも第一態様が、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてそれは天然のサンゴから分離した前記固形形態に相当する;そして
・ 少なくとも第二相で、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてそれらの平均空間直径、細孔容積またはそれらの組み合わせは、前記第一相のそれよりも約15‐100%大きい
を含む。
【0083】
この態様によれば、用語「第一相」および「第二相」は、欠損部分内、例えば骨軟骨欠損内の相の挿入に関して特別の順序を適用せず、そして第一相または第二相のいずれかが、第一相が、軟骨修復部位の近位に挿入される本明細書の上に記載された足場の先の実施態様と対照的に、修復部位内の近位の軟骨に適応してもよいことが認識されるであろう。この態様によれば、足場は示された細孔容積、または示された空間平均直径を有する空間を有する細孔を含んでいる相を含むようにさらに修飾されてもよく、そしていずれかの相は、ヒアルロン酸などの生体適合性ポリマー、および前記相の縦軸に沿った一連の空間または穴をさらに含んでもよく、そこでヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーは、そのような一連の空間または穴内に実質的に位置する。
【0084】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場は、平均直径、細孔容積またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてそれらの平均細孔直径、細孔容積またはそれらの組み合わせは、約15‐35%、いくつかの実施態様において、60‐74%の範囲で前記第一相のそれよりも大きく、または足場は、45‐65%細孔容積範囲、またはいくつかの実施態様において約50‐85%の範囲、またはいくつかの実施態様において、約80‐95%の範囲を有する細孔を含んでいる第二相を含む。
【0085】
いくつかの実施態様において、本発明は、軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強のための足場を提供し、そしてその足場は、サンゴから分離されたアラゴナイトまたはカルサイトの固体形態からなり、そしてさらに:
・ 少なくとも第一態様で、平均直径、細孔容積またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてそれは、天然のサンゴから分離した前記固体形態に相当する;そして
・ 少なくとも第二態様で、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてそれらの平均空間直径、細孔容積またはそれらの組み合わせは、前記第一態様のそれよりも約15‐900%大きい
【0086】
この態様によれば、用語「第一相」および「第二相」は、欠損部分内、例えば骨軟骨欠損内の相の挿入に関して特別の順序を適用せず、そして第一相または第二相のいずれかが、第一相が、軟骨修復部位の近位に挿入される本明細書の上に記載された足場の先の実施態様と対照的に、修復部位内の近位の軟骨に適応してもよいことが認識されるであろう。この態様によれば、足場は示された細孔容積、または示された空間平均直径を有する空間を有する細孔を含んでいる相を含むようにさらに修飾されてもよく、そしていずれかの相は、ヒアルロン酸などの生体適合性ポリマー、および前記相の縦軸に沿った一連の空間または穴をさらに含んでもよく、そこでヒアルロン酸のような生体適合性ポリマーは、そのような一連の空間または穴内に実質的に位置する。
【0087】
いくつかの実施態様において、この態様によれば、足場は平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を有する第二および第三相を含み、そしてその平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせは、前記第一相のそれよりも約15‐900%大きく、そこで、いくつかの実施態様において、第三相は、約300‐900%の範囲の平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、またはいくつかの実施態様では、300‐450%、またはいくつかの実施態様においては、425‐600%、いくつかの実施態様においては、575‐900%、そして足場は、第一相についてのそれの約15‐200%の範囲の平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせ、またはいくつかの実施態様において、50‐125%、またはいくつかの実施態様において、125‐200%を有する空間を含んでいる第二相を含む。
【0088】
この態様によれば、および実施態様においては、足場は、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含んでいる、第三相を含み、そしてその平均細孔直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせは、前記第一相のそれよりも約15‐35%大きく、そして前記第二相は、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてその平均細孔直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせは、前記第一相のそれより約40‐100%大きく、そして前記第三相は、前記第一および第二相の間に位置する。
【0089】
サンゴの異なる種は、それらの平均細孔直径および細孔容積に関して異なり、そして本発明は、本明細書に記載されるような足場の調製のための出発材料として任意のそのようなサンゴの使用を考慮し、足場は、それが少なくとも2相を有することで特徴づけ、そこで、第一相は、足場が調製されるサンゴ由来の空間、および細孔容積を含み、そして第二相は、そしてその空間が拡大し、そしてその全体の細孔容積が増加し、またはそれらの組み合わせである。
【0090】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨修復の部位内に挿入することができるカルサイトから実質的になるバイオラティスを含んでいる軟骨の修復のための足場を提供する。いくつかの実施態様において、テトラクリタ ルホティンクタ(tetraclita rufotincta)に由来する。
【0091】
用語「バイオラティス」は、結晶性またはアモルファスのCaCo3を含んでいる生体材料、そして特にサンゴまたはフジツボ種に由来する。
【0092】
石灰石由来の炭酸カルシウムのカルサイト多形は、Fujita Y,Yamamuro T,Kotani S,Ohtsuki C,Kokubo T,J Bimed Mater Res.1991 Aug;25(8):991‐1003に記載されている。天然サンゴから分離したアラゴナイトを熱することによる、インビトロでのカルサイトへの変質は、同様に、Fricain JC,Bareille R,Ulysse F,Dupuy B,Amedee J.J.Biomed Mater Res.1998 Oct;42(1):96‐102に記載されている。
【0093】
他の実施態様において、本発明は、組織修復のための足場を提供し、前記足場は、そこで前記2相の第一相が、サンゴまたはバイオラティスを含み、そして第二相が、生体適合性ポリマーまたはポリマーを含む、少なくとも2相を含んでいる。
【0094】
一つの実施態様において、用語「近位の」は、何かが、特定の場所に接して位置することをさす。一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨修復の部位に位置するまたは近位の組織に接触している足場の膨隆性領域により、軟骨修復の部位内の位置において強制的に固定させる。
【0095】
足場の特定の位置を最適にすることにより、以下に記載した、本発明の多孔性結晶性構造のサンゴ足場は、組織環境内に位置する有益な組成物を利用できる。例えば、サンゴの多孔性結晶性構造は、軟骨修復の間、足場を浸潤する軟骨のために血管供給を作るように血管の内殖を可能にする。骨髄空間内に浸透することにより、骨髄内に位置する間葉系幹細胞は、足場の露出した表面に直ちに近づく。一つの実施態様において、骨髄空間内に浸透する足場の領域は、骨髄由来の間葉系幹細胞を引きつけ、そして軟骨修復の部位の血管形成を促進する。一つの実施態様において、骨髄空間内に浸透する足場の領域は、接着、増殖、または分化、またはそれらの組み合わせを促進し、間葉系幹細胞は、足場に引きつけられる。
【0096】
従って、軟骨修復の部位内の足場の特定の位置が、軟骨修復のため足場がもっとも効果的であるように、本発明の足場を配置することは、当業者に明らかであろう。
【0097】
いくつかの実施態様において、骨を通じて浸透しそして骨髄内に安定に挿入した足場の部分は、また軟骨修復の部分内の足場を位置しそして限定する足場の領域であり、またはいくつかの実施態様において、骨を通じて浸透しそして骨髄内に安定に挿入した足場の部分は、軟骨修復の部位内の足場を位置しそして制限する部位ではない。一つの実施態様において、領域は、足場の他の部分が、その部位について組織と接触しないそのような方法において挿入される。他の実施態様において、領域は、足場の側壁が、軟骨修復の部位で組織と接するそのような方法において挿入される。
【0098】
いくつかの実施態様において、足場は、修復の部位を順応させる形である。
【0099】
いくつかの実施態様において、足場は、円柱、円錐、鋲(tack)、ピン、スクリュー、長方形棒、プレート、ディスク、ピラミッド、顆粒(granule)、ボール、またはキューブの形に近似する。
【0100】
いくつかの実施態様において、本発明の足場は、骨および/または軟骨修復を刺激/増強するための、他の周知および/または入手可能な材料と一体となって使用されてもよい。いくつかの実施態様において、本発明の足場は、接着するための追加の足場を、例えば、全関節修復もしくは靭帯修復、または他の結合組織修復について使用するため、利用してもよい。
【0101】
いくつかの実施態様において、本発明の足場は、骨修復または再生などのための他の足場と一体として、例えば、ピンとして使用されてもよい。単独または骨および/または軟骨の成長の治療、修復または刺激のための適当な材料と一体として、本発明の足場の何らかの使用は、本発明の一部として考慮されることを理解する。
【0102】
本発明の足場は、本発明の方法に従ってその適用を適応するための何らかの適当な形またはサイズであってもよいことを認識するであろう。例えば、およびいくつかの実施態様によると、対象の長骨内の本発明の足場の適用のための、足場の寸法は、足場が移植される部位内にほぼ正確に調製され、そして、必要とされるように、ミリメーターからセンチメーターの等級尺度(magnitude scaling)のオーダーでもよい。同様に、本発明の足場の形は、本発明の足場が、機械で作られまたは加工されてもよい任意の形でもよく、そして骨および/または軟骨の所望する成長、修復または再生を達成するために適当であるような任意の形状であってもよい。
【0103】
いくつかの実施態様において、足場は、中空または前記足場のデカルト座標軸に沿った中空を含み、そしていくつかの実施態様において、軸は、前記足場の長軸である。
【0104】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の足場を、軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生または形成の増強について前記足場を利用するための教示および場合によりツールまたは前記足場の最適な挿入のためのツール、細胞とともに足場、またはそれらの組み合わせを播種するための用法を含んでいる軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強のためのキットを提供する。
【0105】
一つの実施態様において、サンゴは前駆細胞とともに播種される。一つの実施態様において、前駆細胞は、間葉系幹細胞である。他の実施態様において、細胞は、間葉系細胞;軟骨細胞;線維軟骨細胞;骨細胞;骨芽細胞;破骨細胞;滑膜細胞;骨髄細胞;間質細胞;幹細胞;胚幹細胞;脂肪組織由来の前駆細胞;末梢血前駆細胞;成体組織から分離された幹細胞;遺伝的形質転換細胞;またはそれらの組み合わせであってもよい。他の実施態様において、前駆細胞は、軟骨細胞および他の細胞の組み合わせ;骨細胞および他の細胞の組み合わせ;滑膜細胞および他の細胞の組み合わせ;骨髄細胞および他の細胞の組み合わせ;間葉系細胞および他の細胞の組み合わせ;間質細胞および他の細胞の組み合わせ;幹細胞および他の細胞の組み合わせ;胚幹細胞および他の細胞の組み合わせ;成体組織から分離した前駆細胞および他の細胞の組み合わせ;末梢血前駆細胞および他の細胞の組み合わせ;成体組織から分離した幹細胞および他の細胞の組み合わせ;および遺伝的形質転換細胞および他の細胞の組み合わせをさしてもよい。本発明の一つの実施態様において、本発明の方法において使用するための前駆細胞は、レシピエント哺乳類(すなわち、自己由来)、または同一遺伝子の哺乳類の器官組織から調製される。他の実施態様において、同種間の(allogeneic)および異種間の(xenogeneic)細胞が、利用されてもよい。
【0106】
いくつかの実施態様において、足場は、前記第一相から組成が異なるサンゴを含んでいる第三相を含む。
【0107】
いくつかの実施態様において、第三相は、前記第一相および前記第二相の間に位置する。
【0108】
いくつかの実施態様において、第三相は、前記第一相の近位に位置し、そして前記第二相の遠位に位置する。
【0109】
いくつかの実施態様において、第三相は、前記第二相の近位に位置し、そして前記第一相の遠位に位置する。
【0110】
いくつかの実施態様において、第一相または前記第二相は、肋軟骨下の近位である部位内に挿入される。
【0111】
いくつかの実施態様において、足場は、第三相を含んでもよく、そしてそれは、肋軟骨下の近位である部位内に挿入されてもよい。
【0112】
いくつかの実施態様において、挿入される相が少なくとも末端修飾を含み、そしてそれは組織修復を増強する。
【0113】
一つの実施態様において、軟骨修復の部位は、軟骨および/または欠損または潜在的な欠損の部位の近位における3次元空間を考慮してもよい。一つの実施態様において、この3次元空間は、壁もしくは床、またはそれらの組み合わせを少なくとも含み、そしてそのような部位内の位置は、本明細書に記載されてもよく、前記壁または床に関連し、またはいくつかの実施態様において、位置は、前記壁または床の近位の組織部位内の挿入に関連してもよい。いくつかの実施態様において、位置決めは、骨組織内の挿入が起こるように、足場の挿入またはそれらの部位を過ぎて、軟骨および/または骨組織の壁および/または床または欠損、もしくは傷害、もしくは潜在的な欠損部位、もしくは軟骨および/または骨組織についての傷害を含む。
【0114】
当業者は、軟骨および/または骨修復の部位の形および本発明の3次元足場の形が、軟骨および/または骨修復の部位内の足場を安定に位置決めするために多くの異なる組み合わせを提供することを認識するであろう。一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨および/または骨修復のための本発明の方法についての使用の前に、形作られる。一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨および/または骨修復のための本発明の方法について使用するために同時発生的(concurrent)に形作られる。本発明の方法における足場の使用と同時に起こる足場の形作りによって、足場の寸法は、修復部位内の足場の特定の位置決めのため正確に選択されてもよい。本発明の多様な足場が、軟骨および/または骨修復の部位内に配置され、または、形作られそして配置されることを認識するであろう。
【0115】
いくつかの実施態様において、本明細書で使用される「足場」、「インプラント」または「プラグ」の言及は、本発明の記載された側面について含まれていると考えられる足場に関して、本明細書に記載されるように任意の実施態様または組み合わされた実施態様をさす。例えば、本明細書で使用される「足場」の言及は、指示された目的のため適応可能であるか、指示された特質を含むなどとして本明細書に記載される足場の任意の実施態様をさすことが理解される。
【0116】
一つの実施態様において、「足場」は、軟骨および/または骨修復のため使用される形作られたプラットフォームをさし、そこで、形作られたプラットフォームは、軟骨および/または骨再生のための部位を提供する。一つの実施態様において、足場は、一時的なプラットフォームである。一つの実施態様において、「一時的なプラットフォーム」は、軟骨および/または骨修復の間、長期間発生する本発明のサンゴの自然分解をさし、そこで、サンゴの自然完全または部分分解は、長期間の足場の形の変化および/または長期間の足場のサイズについての変化の結果である。
【0117】
一つの実施態様において、サンゴは、成長するための組織の形について形作られる。例えば、サンゴは、例えば膝またはひじのためのメニスカス(meniscus);関節;骨の関節面、胸郭、股、骨盤、耳、鼻、靭帯、気管支、および椎間板などの軟骨性の組織の部分として形作ることができる。
【0118】
本発明は、いくつかの実施態様において、身体の外傷に関連する軟骨および/または骨組織の欠損、または対象の疾患もしくは障害に関連する軟骨および/または骨組織の欠損修復において使用するためのサンゴ足場を提供する。
【0119】
本発明の一つの実施態様において、用語「サンゴ」は、サンゴの単一(a single)部分から切断したサンゴをさす。一つの実施態様において、サンゴは、細孔様の空洞または隙間を有する。
【0120】
一つの実施態様において、サンゴ足場は、軟骨および/または骨修復の方法について使用する前に形作られる。一つの実施態様において、サンゴ足場は、軟骨および/または骨修復の方法と同時発生的に形作られる、例えば、サンゴ足場は、修復部分が、一番観察されるとき、手術の間に形作られてもよく、従って、足場の形の最適化が、使用されてもよい。
【0121】
一つの実施態様において、本発明の足場、方法および/またはキットは、サンゴの使用を利用する。一つの実施態様において、サンゴは、特に、ハマサンゴ(Porites)、ミドリイシ(Acropora)、アナサンゴモドキ(Millepora)、またはそれらの組み合わせを含んでいる任意の種を含む。
【0122】
一つの実施態様において、ハマサンゴ種(Porites species)由来である。一つの実施態様において、サンゴは、コブハマサンゴ(Porites Lutea)である。たいていの種は、空間の固形比(solid ratio)が、一般的に0.4〜0.6の範囲で、そして、空間相は、固形炭酸カルシウム相を浸透する高度に規則的なネットワークを形成する完全な相互接続である。一つの実施態様において、この均一のおよび相互接続構造は、特に本発明の足場、方法および/またはキットについての構成として有用である。
【0123】
一つの実施態様において、サンゴは、ミドリイシ種由来である。一つの実施態様において、サンゴはクロマツミドリイシ(Acropora grandis)であり、そしてそれは、一つの実施態様において非常に一般的であり、成長が早く、そして培養中で容易に成長する。従って、一つの実施態様において、ミドリイシサンプルは、サンゴ礁の保護された領域中で容易に採取できそしてサンゴ礁からの採取は、培養サンゴ材料を使用することにより避けられる。
【0124】
クロマツミドリイシの平均骨格密度は、2.7g/mlである。本サンゴ種の骨格は高密度で強いので、例えば研磨によって、異なるサイズの形作られた製品または構造の形状の多様性を容易に作ることができる。この材料は、特にインプラントデバイス、特に、例えば膝および股関節のような荷重関節用に使用するために適当であり、そして強度は、インプラントデバイスの必須の特性である。従って、一つの実施態様において、ミドリイシサンゴは、本発明の足場、方法および/またはキット中の構成として有用である。
【0125】
他の実施態様において、サンゴは、アナサンゴモドキ種由来である。一つの実施態様において、サンゴは、アナサンゴモドキである。一つの実施態様において、サンゴは、150μmの細孔サイズを有し、そして本発明の足場、方法および/またはキット中の構成として有用であるアナサンゴモドキを作るために、クローン化しおよび培養できる。
【0126】
他の実施態様において、サンゴは、一またはそれ以上の以下の種:マルカメノコキクメイシ(Favites halicora);コモンキクメイシ(Goniastrea retiformis);オオトゲキクメイシ(Acanthastrea echinata);ヒラタオオトゲキクメイシ(Acanthastrea hemprichi);イシガキオオトゲキクメイシ(Acanthastrea ishigakiensis);ヒメマツミドリイシ(Acropora aspera);コイボミドリイシ(Acropora austera);ミドリイシ種「褐色指状」((Acropora sp.brown digitate);ツツミドリイシ(Acropora carduus);ミギノホミドリイシ(Acropora cerealis);アクロポラ チェスターフィールデンシス(Acropora chesterfieldensis);サンボウミドリイシ(Acropora clathrata);アクロポラ コフォダクティラ(Acropora cophodactyla);ミドリイシ種「ダナイ様」(Acropora sp.danai−like);ヤッコミドリイシ(Acropora divaricata);アクロポラ ドネイ(Acropora donei);トゲツツジミドリイシ(Acropora echinata);アクロポラ エフォレッセンス(Acropora efflorescens);オヤユビミドリイシ(Acropora gemmifera);アクロポラ グロビセプス(Acropora globiceps);ツツハナガサミドリイシ(Acropora granulosa);アクロポラ cf ヘンプリッヒ(Acropora cf hemprichi);アクロポラ コスリニ(Acropora kosurini);オオヅツミドリイシ(Acropora longicyathus);マルヅツハナガサミドリイシ(Acropora loripes);アクロポラ ルトケニ(Acropora cf lutkeni);アクロポラ パニキュレート(Acropora paniculata);アクロポラ プロキシマリス(Acropora proximalis);アクロポラ ルディス(Acropora rudis);タチハナガサミドリイシ(Acropora selago);エンタクミドリイシ(Acropora solitaryensis);アクロポラ cf スピシフェラ アズ パー ベロン(Acropora cf spicifera as per Veron);アクロポラ cf スピシフェラ アズ パー ワランス(Acropora cf spicifera as per Wallance);ウスエダミドリイシ(Acropora tenuis);アクロポラ ワレンキアンネシ(Acropora valenciennesi);ボーンミドリイシ(Acropora vaughani);アクロポラ バーミキュレート(Acropora vermiculata);センベイアナサンゴ(Asteopora gracilis);アナサンゴ(Astreopora myriophthalma);アストレオポラ ランダリ(Astreopora randalli);アストレオポラ スグゲスタ(Astreopora suggesta);ヒラサンゴ(Australomussa rowleyensis);ヤスリサンゴ(Coscinaraea columna);ノマヤスリサンゴ(Coscinaraea crassa);コハナガタサンゴ(Cynarina lacrymalis);ムラサキサンゴモドキ(Distichopora violacea);ヒラキッカサンゴ(Echinophyllia echinata);エチノフィリア cf エチノポロイデス(Echinophyllia cf echinoporoides);オオリュウキュウキッカサンゴ(Echinopora gemmacea);エチノポラ ヒルスティシマ(Echinopora hirsutissima);ナガレハナサンゴ(Euphyllia ancora);コエダナガレハナサンゴ(Euphyllia divisa);ハナブサツツマルハマサンゴ(Euphyllia yaeyamensis);アツキクメイシ(Favia rotundata);ファビア トランカタス(Favia truncatus);ファビテス アクチコリス(Favites acuticollis);ゴカクキクメイシ(Favites pentagona);ナミクサビライシ(Fungia granulosa);(Fungia Klunzingeri);ネジレクサビライシ(Fungia moluccensis);ギャラクスィア アクレーリア(Galaxea acrhelia);ヒラカメノコキクメイシ(Goniastrea edwardsi);ゴニアステア ミニュタ(Goniastea minuta);イボサンゴ(Hydnophora pilosa);センベイサンゴ(Leptoseris explanata);フトウネセンベイサンゴ(Leposeria incrustans);アバタセンベイサンゴ(Leptoseris mycetoseroides);ハシラセンベイサンゴ(Leptoseris scabra);チジミセンベイサンゴ(Leptoseris yabei);カワラサンゴ(Lithophyllon undulatum);オオハナガタサンゴ(Lobophyllia hemprichii);ウスサザナミサンゴ(Merulina scabricula);アナサンゴモドキ(Millepora dichotoma);カンボクアナサンゴモドキ(Millepora exaesa);ホソエダアナサンゴモドキ(Millepora intricate);ミレポラ ムライエンシス(millepora murrayensis);イタアナサンゴモドキ(Millipora platyphylla);モナストリア クルタ(monastrea curta);モナストリア コレマニ(Monastrea colemani);モンティポラ カリクレート(montipore caliculate);モンティポラ キャピタタ(Montipora capitata);オオクボミコモンサンゴ(Montipora foveolata);モンティポラ メアンドリナ(montipora meandrina);ヒメイボコモンサンゴ(Montipora tuberculosa);モンティポラ cf ヴィエトナメンシス(montipora cf vietnamensis);オウロフィリア リービス(Oulophyllia laevis);オキシポラ クラシスピノサ(oxypora crassispinosa);アナキッカサンゴ(Oxypora lacera);パボナ ビパーティタ(pavona bipartita);シコロキクメイシ(Pavona venosa);アザミウミバラ(Pectinia alcicornis);レースウミバラ(Pectinia paeonia);プラティジラ アキュータ(platygyra acuta);ヒメノウサンゴ(Platygyra pini);「ミドリ」ノウサンゴ属(Platygyra sp 「green」);プラティジラ バーウェイ(Platygyra verweyi);ポダバシア cf ラナケンシス(Podabacia cf lanakensis);イワハマサンゴ(Porites annae);ユビエダハマサンゴ(Porites cylindrica);ポリテス エウェルマンニ(Porites evermanni);ポリテス モンティキュロサ(porites monticulosa);ヤスリアミメサンゴ(Psammocora digitata);プサモコラ エクスプラニュレータ(psammocora explanulata);トゲアミメサンゴ(Psammocora haimeana);ベルベットサンゴ(Psammocora superficialis);サンダロリサ デンタタ(Sandalolitha dentata);フトトゲサンゴ(Seriatopora caliendrum);ヒメムカシサンゴ(Stylocoeniella armata);ムカシサンゴ(Stylocoeniella guentheri);サンゴモドキ属(Stylaster sp.);クダサンゴ(Tubipora musica);ヒメスリバチサンゴ(Turbinaria stellulata);もしくは当該技術分野において知られる任意のサンゴ、またはそれらの組み合わせである。
【0127】
他の実施態様において、本発明の足場、方法および/またはキットについて使用するためのサンゴは、イシサンゴ類(Madreporaria)、アオサンゴ目のアオサンゴ類(Helioporida of the order Coenothecalia)、クダサンゴ目のクダサンゴ類(Tubipora of the order Stolonifera)、アナサンゴモドキ目のアナサンゴモドキ類(Millepora of the order Milleporina)、または当該技術分野において知られた他のサンゴであってもよい。いくつかの実施態様において、本発明の足場、方法および/またはキットについて使用するためのサンゴは、いくつかの実施態様において、ハナガササンゴ属およびその他を含んでいる、イシサンゴ目(Scleractinian)サンゴであってもよい。いくつかの実施態様において、本発明の足場、方法および/またはキットについて使用するためのサンゴは、アワサンゴ(Alveoppora)を含んでもよい。いくつかの実施態様において、本発明の足場、方法および/またはキットについて使用するためのサンゴは、いくつかの実施態様において、タケサンゴ(Isididae)科、ジェネラ ケラトイシス(genera Keratoisis)、イシデラ(Isidella)、および他のサンゴを含んでいるタケサンゴ(bamboo coral)を含んでもよい。
【0128】
上述したように、本発明の足場を配置しおよびとどめるための足場の領域の能力は、領域の形状および足場が移植される軟骨および/または骨修復の部位の形状に依存する。一つの実施態様において、領域の形状は、鋭角端を含む。一つの実施態様において、領域の形状は、丸みのある端を含む。一つの実施態様において、領域の形状は、ぎざぎざした端を含む。
【0129】
本発明の一つの実施態様において、軟骨および/骨修復の部位内の最適な深さおよびアングルは、軟骨および/または骨修復のためのもっとも有利な深さおよびアングルを含む。一つの実施態様において、もっとも有益な最適な深さおよびアングルは、本発明の足場が、間葉系幹細胞のプール、組織環境、血管、栄養、エフェクター化合物、もしくは治療上の化合物(therapeutic compound)、またはそれらの組み合わせを利用できるための位置を含む。
【0130】
本発明の一つの実施態様において、用語「深さ」は、修復部位の開曲面に載っている想像線(imaginary line)から軟骨および/または骨修復の部位における組織床(tissue floor)の真下の場所まで伸びている本発明の足場の指標をさす。
【0131】
足場の他の領域の深さは、任意の組織表面の下方でないかもしれないことを当業者は認識するであろう。例えば、および本発明のある実施態様において、円柱状のピット様形状である軟骨修復の部位に基づき、ピットの穴を横切って載るように描かれた想像線は、ピットの頂上を示す。一つの実施態様において、足場の位置は、結果として、ピットの頂上より下である足場の全体となり、そしてそれゆえ穴を横切る想像線より下の深さである。一つの実施態様において、足場の位置は、結果として、ピットの頂上の上方である足場の一部となり、そしてそれゆえ完全に軟骨修復の部位内ではない。所定の深さに足場を打込む利点は、軟骨修復の部位内または軟骨修復の部位の近位のいずれかで、周辺組織との作る足場の接触結果に依存してもよい。
【0132】
同様に、および本発明の他の態様によると、骨内の本発明の足場の移植に関して、移植の部位は、ピットとして認識するのがよく、ピットの穴を横切って載るように描かれた想像線で、ピットの頂上を示す。この態様によると、足場の位置決めは、結果として、ピットの頂上下方にある足場の全体となり、またはいくつかの実施態様において、足場の位置決めは、結果として、ピットの頂上上方である足場の一部となり、そしてそれゆえ全体的に骨修復の部位内ではない。定めたれた深さに足場を打込むことの利点は、結果として、骨修復の部位内または骨修復の部位の近位のいずれかで、周辺組織で作る足場と接触する結果となることに依存してもよい。
【0133】
一つの実施態様において、用語「アングル」は、足場の長軸に沿った想像線、およびこの想像測鉛線周囲に時計周りの方向に進んでいる弧で、上述した軟骨および/または骨修復の部位の穴に載っている線と垂直である想像測鉛線によって形成される弧の指標をさす。従って、一つの実施態様において、本発明の足場は、垂直な線と平行であるように最適な深さおよびアングルで配置されおよびとどめられてもよく、そして従ってアングルは0度であろう。この発明の足場の一つの実施態様において、想像測鉛線と垂直に位置されてもよく、そしてそれゆえアングルは90度であろう。一つの実施態様において、足場は、同等または10度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または35度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または55度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または75度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または95度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または115度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または125度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または145度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または165度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。一つの実施態様において、足場は、同等または180度未満のアングルで位置されそしてとどめられる。
【0134】
いくつかの実施態様において、多様な足場は、それぞれの足場材料が、軟骨および/または骨修復の部位内の所望する領域内の適当な挿入を順応するための異なるアングルおよび/または形状および/または深さおよび/または多孔度において挿入されてもよいように、欠損部位を最大限に占めるように挿入される。上の位置決めのアングルの言及は、特定の軟骨および/または骨欠損部位について挿入される一またはそれ以上の足場に関してであってもよい。
【0135】
足場の露出した表面および軟骨および/または骨修復の部位のまたは近位の組織の間の接触は、軟骨および/または骨修復を誘導しまたは増強するであろう本発明の使用方法についての生理活性表面を提供する。例えば、一つの実施態様において、足場の露出した表面は、間葉系幹細胞を引き付ける生理活性表面を提供する。他の実施態様において、露出した表面は、軟骨修復を誘導しまたは増強するすべての方法、間葉系幹細胞接着、成長、増殖、もしくは分化、またはそれらの組み合わせのための場所を提供する。さらに、足場の露出した表面は、血管を引き付ける。さらに、軟骨および/または骨修復の部位のまたは近位の組織は、栄養、エフェクター化合物、治療上の化合物、またはそれらの組み合わせの豊富な資源であろう、そしてそれは、足場の露出した表面および軟骨および/または骨修復を誘導しそして増強するそのような組織間の接触をするために軟骨および/または骨修復において有益であろう。
【0136】
一つの実施態様において、足場の配置のアングルは、足場が、軟骨および/または骨修復の部位内の壁の領域と接触するようにする。一つの実施態様において、本発明の足場は、足場および軟骨および/または骨修復の部位のまたは近位の組織の間の最大限の接触があるように配置しおよびとどめてもよい。一つの実施態様において、本発明の足場は、足場の領域が、肋軟骨下の骨および/または骨髄空間を浸透しそして足場および軟骨および/または骨修復の部位のまたは近位の組織の間の最大限の接触があるように配置しおよびとどめてもよい。一つの実施態様において、足場の露出した表面および軟骨および/または骨修復の部位のまたは近位の組織の間の接触は、間葉系幹細胞、血管、エフェクター化合物、もしくは組織環境の他の化合物、およびそれらの組み合わせの集合の相互作用のための足場の最大限の表面領域を提供する。
【0137】
本発明の足場は、多様な突起を含んでもよい。異なる機能を提供するための足場の異なる部分が可能である。例えば、足場の突起の一つの実施態様は、軟骨および/または骨修復の部位内の場所について足場を持ってもよく、または足場の突起は、間葉系幹細胞の誘引、成長、増殖または分化のための露出した表面として働いてもよく、または足場の突起は、本発明のツール、もしくはそれらの組み合わせを適用するために働いてもよい。
【0138】
一つの実施態様において、多様な突起の100%が、特異的に、サンゴを配置しおよびとどめる。一つの実施態様において、多様な突起の少なくとも80%が、特異的に、サンゴを配置しおよびとどめる。一つの実施態様において、多様な突起の少なくとも60%が、特異的に、サンゴを配置しおよびとどめる。多様な突起の少なくとも40%が、特異的に、サンゴを配置しおよびとどめる。多様な突起の少なくとも20%が、特異的に、サンゴを配置しおよびとどめる。多様な突起の少なくとも10%が、特異的に、サンゴを配置しおよびとどめる。多様な突起の少なくとも1%が、特異的に、サンゴを配置しおよびとどめる。
【0139】
一つの実施態様において、軟骨および/または骨修復部位内に最適な深さおよびアングルにおける本発明の足場を配置しとどめることは、骨組織を通じて、足場の露出した表面の一部の浸透のために提供する。
【0140】
下に記述するように、足場の特定の配置を最適化することにより、本発明の足場の多孔性の結晶質の構造は、組織環境内に位置する有用組成物を利用できる。例えば、足場の多孔性の結晶質の構造は、軟骨および/または骨修復の間、足場を浸潤する軟骨および/または骨のための血液供給を生むための血管の内殖を許容する。一つの実施態様において、足場は、間葉系幹細胞を誘引しそして軟骨修復の部位の血管形成を促進する。
【0141】
従って、軟骨および/または骨修復の部位内の足場の特定の配置が、足場が軟骨および/または骨修復のためにもっとも効果的であるように本発明の足場を配置することは、当業者にとって明白である。
【0142】
一つの実施態様において、「足場」は軟骨および/または骨修復のために使用される形作られたプラットフォームをさし、そこで、形作られたプラットフォームは、軟骨および/または骨形成および/または再生のための部位を提供する。一つの実施態様において、足場は一時的なプラットフォームである。一つの実施態様において、「一時的なプラットフォーム」は、軟骨および/または骨修復の間、長期間発生する本発明のサンゴの自然分解をさし、そこで、サンゴの自然完全または部分分解は、長期間の足場の形の変化および/または長期間の足場のサイズについての変化の結果である。
【0143】
一つの実施態様において、サンゴは、成長するように組織の形成について形作る。例えば、サンゴは、例えば膝またはひじのためのメニスカス(meniscus);関節;骨の関節面、胸郭、股、骨盤、耳、鼻、靭帯、気管支、および椎間板などの軟骨性または骨性の組織の部分として形作ることができる。
【0144】
この発明は、いくつかの実施態様において、身体的な外傷に関連する軟骨および/または骨組織欠損、または対象の疾患および障害に関連する軟骨および/または骨組織欠損の修復について使用するためのサンゴ足場を提供する。
【0145】
本発明の一つの実施態様において、用語「サンゴ」は、サンゴの単一部分から切断したサンゴをさす。一つの実施態様において、サンゴは、細孔様の空洞または隙間を有する。
【0146】
一つの実施態様において、サンゴ足場は、軟骨および/または骨修復の方法について使用する前に形作られる。一つの実施態様において、サンゴ足場は、軟骨および/または骨修復の方法と同時発生的に形作られる、例えば、サンゴ足場は、修復部分が、一番観察されるとき、手術の間に形作られてもよく、従って、足場の形の最適化が、使用されてもよい。
【0147】
一つの実施態様において、足場のサイズは、当業者に知られるような、本発明の目的のために有用な任意のサイズであってもよい。一つの実施態様において、足場またはそれの一部は、およそ軟骨および/または骨修復の部位のサイズであってもよい。一つの実施態様において、足場またはそれの一部は、足場が軟骨および/または骨修復の部位内に位置してもよいように、およそ軟骨および/または骨欠損のサイズであってもよい。他の実施態様において、足場は、軟骨および/または骨欠損のサイズよりも大きくてもよい。例えば、一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨および/または骨欠損のサイズよりも大きく、それによって足場は、間葉系細胞有効性の部位を拡張してもよい。一つの実施態様において、足場は、軟骨および/または骨欠損のサイズよりも小さくてもよい。
【0148】
いくつかの実施態様において、足場のサイズは、例えば、少なくとも約2‐200mmの一つの長軸を有する、またはいくつかの実施態様において、約1‐18mm、またはいくつかの実施態様において、約0.5‐3mm、またはいくつかの実施態様において、約6‐12mm、またはいくつかの実施態様において、約10‐15mm、またはいくつかの実施態様において、約12‐40mm、またはいくつかの実施態様において30‐100mm、またはいくつかの実施態様において、約50‐150mm、またはいくつかの実施態様において、約100‐200mmのミリメートル規模上である。
【0149】
いくつかの実施態様において、足場のサイズは、例えば少なくとも約0.5‐30cmの一つの長軸を有するセンチメーター規模上である。
【0150】
一つの実施態様において、足場は、組織修復の部位における組織空間とおよそ同じサイズである。この組織空間は、軟骨および/または骨欠損、軟骨および/または骨分解、もしくは軟骨および/または骨修復の方法の間に人工的に生じたかもしれない、またはそれらの任意の組み合わせによるかもしれない。一つの実施態様において、組織空間は、軟骨および/または骨組織の欠如を含む。一つの実施態様において、足場またはそれの一部は、足場が、軟骨および/または骨修復の部位についての軟骨および/または骨形成を促進するために軟骨および/または骨修復の部分内に位置してもよいように軟骨および/または骨欠損のサイズであってもよい。他の実施態様において足場が、間葉系幹細胞有効性の部位に到達してもよいように、足場は、軟骨および/または骨欠損のサイズよりも大きくてもよい。
【0151】
いくつかの実施態様において、タイトフィットは、組織修復の部位内のインプラントの取付けに関して望ましい。この態様によると、およびいくつかの実施態様によると、インプラントの最適なタイトフィットのための狭いスペース内の容易挿入のため、本発明の足場の末端を細くすることが、望ましい。例えば図11は、本発明の具体化された足場の図解を示し、それによって骨内に挿入する末端が、足場の第二相において、より容易なタイトフィットに順応するために細くされる(11‐40)。
【0152】
本発明の一つの実施態様において、「約」は品質をさし、ここで特異的な要求を満たすための方法が満たされ、例えば、軟骨および/または骨修復の部位において軟骨および/または修復の特異的な必要性を満たすが、特定されるサイズは、全体的でないが大部分であってもよい。一つの実施態様において、「約」は、接近してまたは近似であることをさすが、正確ではない。エラーの小さなマージンは存在する。エラーのこのマージンは、同じ整数値のプラスまたはマイナスを超えない。例えば、約0.1マイクロメーターは、0より低くないが0.2より高くないことを意味する。
【0153】
一つの実施態様において、用語「空間」は、占有されていないスペースをさす。本発明において、例えば、一つの実施態様において、空間は、天然に占有されていない足場についてのスペースであってもよい。一つの実施態様において、空間は、修復の部位において占有されていないスペースであってもよい。一つの実施態様において、空間は、本発明の足場内で占有されていないスペースであってもよい。一つの実施態様において、空間は、細孔または細孔領域の容積であってもよい。
【0154】
一つの実施態様において、サンゴは、洗浄され、漂白され、凍結され、乾燥され、殺菌され、またはそれらの組み合わせをなされる。いくつかの実施態様において、サンゴは、本発明の足場内に一旦処置され、軟骨および/または骨修復の部位内に移植する前、細胞の所望する集団または細胞の集団で播種される。
【0155】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨の修復のための多相性の足場の調製のための方法を提供し、前記方法は、以下のステップ:
・ アラゴナイトまたはカルサイトの固形形態の一部のみと、カルシウムキレート剤および酸を接触させて、前記固形形態の少なくとも一部に拡大した空間を含む固形形態を生成させ;および
・ 適用された陰圧下で、前記固相を洗浄しおよび乾燥すること
を含む。
【0156】
いくつかの実施態様において、カルシウムキレート剤は、EDTAである。一つの実施態様において、キレート剤は、エチレンジアミン‐N,N,N’,N’‐四酢酸(EDTA)、O,O’‐bis(2‐アミノフェニルエチレングリコール)エチレンジアミン‐N,N,N’,N’‐四酢酸(BAPTA)、N,N‐bis(2‐ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、trans‐1,2‐ジアミノシクロヘキサン‐エチレンジアミン‐N,N,N’,N’‐四酢酸(CyDTA)、1,3‐ジアミノ‐2‐ヒドロキシプロパン‐エチレンジアミン‐N,N,N’,N’‐四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン‐N,N,N’N’’,N’’‐五酢酸(DPTA)、エチレンジアミン‐N,N’‐ジプロピオン酸二塩酸塩(EDDP)、エチレンジアミン‐N,N’‐bis(メチレンホスホン酸)ヘミハイドレイト(EDDPO)、N‐(2‐ヒドロキシエチル)エチレンジアミン‐N,N’N’‐三酢酸(EDTA‐OH)、エチレンジアミン‐N,N,N’N’‐テトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、O,O’‐bis(2‐アミノエチル)エチレングリコール四酢酸(EGTA)、N,N’‐bis(2‐ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン‐N,N’‐二酢酸(HBED)、1,6‐ヘキサメチレンジアミン‐N,N,N’,N’‐三酢酸(HDTA)、N‐(2‐ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、1,6‐ヘキサメチレンジアミン‐N,N,N’,N’‐四酢酸(IDA)、1,2‐ジアミノプロパン‐N,N,N’,N’‐四酢酸(methyl‐EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)三ナトリウム塩(NTPO)、N,N,N’,N’‐テトラキス(2‐ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)、およびトリエチレンテトラアミン‐N,N,N’,N’’,N’’‐六酢酸(TTHA)、rhod‐2、DMSA、FLUO3、FURA2、INDO1、QUIN2、もしくは当該技術分野において知られた他のキレート剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0157】
いくつかの実施態様において、酸は、ギ酸である。いくつかの実施態様において、酸は、例えば、ピクリン酸、酢酸、または当業者に知られた他の酸などの弱酸である。いくつかの実施態様において、酸は、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、または当業者に知られた他の酸などの強酸である。いくつかの実施態様において、酸は、例えば、次亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、フルオロ硫酸、硝酸、リン酸、フルオロアンチモン酸、フルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、またはクロム酸などのハロゲン化水素、ハロゲンオキソ酸である。
【0158】
理論により拘束されることなく、本発明の方法は、カルシウムキレート剤を使用し、そしてそれは、サンゴ材料のゆっくりした脱灰剤として作用する。キレート剤は、例えば、EDTAであり、ミネラル結晶の外層上に存在するイオン化したカルシウムを結合し、結晶のサイズをゆっくりと減らす。キレート剤単体の添加は、いくつかの実施態様において、本発明の足場に到達するために十分かもしれない。
【0159】
この態様に従って、サンゴ材料は、さらに酸、例えばギ酸で、接触する。理論により拘束されることなく、酸の添加は、結果として、キレート剤単体で接触したサンプルと比較して、より早い分解となる。
【0160】
いくつかの実施態様において、キレート剤と酸の複合適用は、結果として均質な細孔サイズおよび容積を提供するための、制御された分解となる。
【0161】
いくつかの実施態様において、キレート剤、もしくは酸、それぞれの濃度、またはそれらの組み合わせの選択は、それによって生産された本発明のサンゴに基づく足場内の拡大した空間のさらなる制御のために提供されるであろう。当業者は、本明細書に記載されたように足場について拡大された空間のための所望する細孔容積または平均直径に到達するため、弱または強酸、高または低濃度、および好む特定のカルシウムキレート剤を選び、本発明の方法により生産されそしてそのような選択が、本発明の方法の実施態様を考慮することを認識するであろう。例えば、およびいくつかの実施態様において、キレート剤は、約5分〜約24時間の時間経過とともに、約0.1%〜約20%の範囲にわたり、およびいくつかの実施態様において、この態様によれば、酸濃度は、約0.1分〜約24時間の時間経過とともに、約0.01%〜約10%の範囲にわたる。
【0162】
この実施態様によれば、およびいくつかの実施態様において、接触は、足場の所望する最終形状の結果として変動する期間および条件下、行われる。
【0163】
本発明の一つの実施態様において、用語「一部」は、全体の限られた部分をさす。一つの実施態様において、用語「一部」は、本発明の方法の結果として露出した表面に関して、全露出面の制限された一部をさす。例えば、一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の100%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の90%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の80%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の70%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の60%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の50%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の40%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の30%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の20%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の10%未満を含む。一つの実施態様において、露出した表面の一部は、露出した表面の1%未満を含む。
【0164】
本発明の一つの実施態様において、用語「表面」は、対象の外側または上部をさす。
【0165】
本発明の一つの実施態様において、用語「露出」は、接触が、本発明の足場および浸漬媒体の間で発生するかもしれないような、開けている周囲環境をさす。
【0166】
この態様によれば、および他の実施態様によると、前記方法により生産される固形形態は、少なくとも2相であり、そしてそれらの相は、細孔容積について異なり、もしくはそれらの相は、前記空間の平均直径に関して異なる空間を含み、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、明細書に記載されたような方法は、明細書の上で記載されたように足場が、調製されてもよい一つの方法である。
【0167】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の方法に従って生産した足場を提供する。
【0168】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、結果として相を含んで生産される足場となり、そしてそれは、その中に含まれる空間の平均直径に関して異なり、またはそれによって足場において作られる相内の細孔容積に関して異なり、またはそれらの組み合わせに関して異なり、そしてその平均直径および/または細孔容積は、本明細書に記載されるような範囲よりも小さいか、または大きい。本発明の方法により作られたようなそのような足場は、本発明の想像される実施態様および本発明の一部を示す。
【0169】
一つの実施態様において、本発明の足場は、足場全体にわたって固形を含む。当業者は、本発明の固形足場は、まだ細孔様空洞および/または隙間を含むことが認識される。
【0170】
一つの実施態様において、本発明の足場は、足場のデカルト座標の軸に沿った中空を含む。一つの実施態様において、中空は、本発明の足場の長軸に沿っている。一つの実施態様において、用語「中空(hollow)」は、本発明の足場内の空洞をさす。一つの実施態様において、中空は、空洞が、外部環境に露出するような足場について少なくとも単一穴を含む。一つの実施態様において、中空は、本発明の足場のための追加的な露出された表面領域を提供する。
【0171】
いくつかの実施態様において、本発明の足場は、任意の方向にあってよい多様な中空を含み、またはいくつかの実施態様において、本発明の足場は、足場内の中空のネットワークを含み、またはいくつかの実施態様において、多様な足場は、修復部位の中に移植され、そこで足場の中空は、インプラント足場の全体に中空のネットワークの形成を配置させる。
【0172】
本発明の足場内の中空または空間(これらの言葉は、全体にわたって交換できるように使用されてもよい)の選択的な生成のための方法が、当業者に知られた任意の方法、例えば、本明細書に記載されるような方法に関し、例えば、本発明の足場内の空間を選択的に作るために浸漬溶液のドリップ適用で足場の一部の浸漬を置き換えることにより調製されてもよいことが、当業者によって認識される。
【0173】
本発明の足場の露出した表面領域は、間葉系幹細胞、軟骨細胞、骨芽細胞などの接着、成長、増殖、もしくは分化、または組み合わせのための場所、および血管形成のための場所を提供する。それゆえ、本発明の足場の表面領域は、最終的に、軟骨および/骨組織の再生のための有益な場所を提供する。本発明の一つの実施態様において、足場は、中空を含み、そこで中空の存在は、中空のない類似の足場と比較して、足場の露出した表面を増加する。
【0174】
本発明の一つの実施態様において、足場はポリマーコーティングを含む。
【0175】
用語「ポリマーコーティング」は、いくつかの実施態様において、足場材料の少なくとも一部との関連でポリマー素材の層の存在をさす。いくつかの実施態様において、そのようなコーティングは、足場の全体にわたってもよく、そしていくつかの実施態様において、そのようなコーティングは、足場の空間および/または細孔および/または中空内を浸透してもよい。いくつかの実施態様において、そのようなコーティングは、足場上に個々の層を作るような、足場の特定の領域を選択的に適用してもよく、いくつかの実施態様において、そのようなポリマーは、厚みのあるポリマー層または層が足場の一部と関連するように適用してもよく、それによって、本明細書に記載されたように、足場と関連する個々のポリマー層を生じる。
【0176】
一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、足場を強くし、そしていくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、結果として、足場へのより大きな細胞の誘引、および接着となり、そしてそれは次々に、特に、結果として、修復の量、品質およびタイミングに関して増強された修復となる。いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、次々に、特に、結果として修復の量、品質およびタイミングに関して増強された修復となる軟骨および/または骨内の細胞増殖および/または分化を増強する。
【0177】
本発明の一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、浸透性である。一つの実施態様において、浸透性のポリマーコーティングは、特別な多孔性のメンバーを含む。一つの実施態様において、用語「浸透性」は、細孔および穴を有することをさす。一つの実施態様において、本発明の浸透性ポリマーコーティングは、栄養、治療上の化合物、細胞集合、キレート剤、またはそれらの組み合わせの進入を許容する細孔および穴を有する。一つの実施態様において、本発明の浸透性のポリマーコーティングは、栄養、治療上の化合物、細胞集合、キレート剤、またはそれらの組み合わせの出口/放出を許容する細孔および穴を有する。
【0178】
一つの実施態様において、本発明のポリマーコーティングは、不連続である。一つの実施態様において、本発明のサンゴのサブ領域の領域または大多数(plurality)は、サンゴおよび周囲の間の直接接触を許容するポリマーコーティング欠乏(absence)を含む。いくつかの実施態様において、足場は、その中に生体適合性ポリマーを組み込み、そしてそれは、任意の物理的または化学的結合を通じて、アラゴナイトまたはカルサイト成分と一体となる。いくつかの実施態様において、ポリマーは、ハイドロゲルの一部であり、そしてそれは、本発明の足場において組み込まれる。いくつかの実施態様において、そのようなハイドロゲル含有足場は、その後凍結乾燥または乾燥され、およびその後再構成されてもよい。
【0179】
いくつかの実施態様において、足場は、生体適合性ポリマーをその中に組み込み、そしてそれは、任意の物理的または化学的関連を通じて、アラゴナイトまたはカルサイト成分と一体となる。いくつかの実施態様において、ポリマーは、ハイドロゲルの一部であり、そしてそれは、本発明の足場中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、そのようなハイドロゲルを含んでいる足場は、その後、凍結乾燥されまたは乾燥され、およびその後、再構成されてもよい。
【0180】
2の個々の相(separate phases)を含んでいる本発明の足場のいくつかの実施態様において、生体適合性ポリマーは、第一相のみ、または第二相のみにおいて組み込まれる。
【0181】
そのようなポリマー含有足場は、軟骨修復、再生またはそれらの形成の促進のため、特に適する。いくつかの実施態様において、この態様によれば、例えば、骨軟骨の欠損の治療において、サンゴに基づく足場は、影響を受ける骨内に組み込まれる寸法であり、そしてさらにポリマー含有相を含み、その相が、影響を受ける欠損部位内に挿入されるとき、影響を受ける軟骨の近位である。他の態様および本発明の実施態様の表示において、足場は、ポリマーを含み、そしてそれは、足場の空間および細孔内に浸透し、そしてその足場は、軟骨修復の部位内に挿入され、そしてそのポリマーは、欠損部位の軟骨成長、再生、または治癒を促進する。
【0182】
そのようなポリマー含有足場は、骨修復、再生またはそれらの形成の増強のために特に適してもよい。いくつかの実施態様において、この態様によれば、骨の破損もしくは切断、疾患または欠損の治療において、サンゴに基づく足場は、影響を受ける骨内に組込むために適した寸法であり、そしてさらにポリマーを含み、そしてそのポリマーは、足場の空間または細孔内を浸透し、そしてその足場は、骨内に挿入され、そしてそのポリマーは、欠損部位の骨の成長、再生または治癒を促進する。
【0183】
一つの実施態様において、本発明のポリマーコーティングは、コラーゲン、エラスチン、シルク、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、架橋ヒアルロン酸、キトサン、架橋キトサン、アルジネート、カルシウムアルジネート、架橋カルシウムアルジネートおよびそれらの任意の組み合わせを含んでいる天然ポリマーを含む。
【0184】
一つの実施態様において、本発明のポリマーコーティングは、合成的に修飾した天然ポリマーを含み、そして例えば、アルキルセルロース、ヒロドキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエーテルおよびニトロセルロースなどのセルロース誘導体を含んでもよい。適当なセルロース誘導体の例は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロースおよびセルロース硫酸ナトリウムを含む。
【0185】
本発明の一つの実施態様において、ポリマーは、生分解性合成ポリマーを含む。本発明の一つの実施態様において、生分解性合成ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、それらの光学異性体、それらのコポリマー、ポリオルトエステル、それらの組み合わせを含んでいるアルファヒドロキシ酸を含む。
【0186】
一つの実施態様において、本発明のポリマーは、ポリ(シアノアクリル酸)、ポリ(アルキル‐シアノアクリル酸)、ポリ(ケタール)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(アセタール)、ポリ(α‐ヒドロキシ‐エステル)、ポリ(ヒドロキシ‐アルカノエート)、ポリ(プロピレン‐フマレート)、ポリ(イミノカルボネート)、ポリ(エステル)、ポリ(エーテル)、ポリ(カルボネート)、ポリ(アミド)、ポリ(シロキサン)、ポリ(シラン)、ポリ(スルフィド)、ポリ(イミド)、ポリ(ウレア)、ポリ(アミド‐エナミン)、ポリ(有機酸)、ポリ(電解質)、ポリ(p‐ジオキサノン)、ポリ(オレフィン)、ポロキサマー、無機または有機金属ポリマー、エラストマー、または任意のそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせにより得られるコポリマーを含む。
【0187】
一つの実施態様において、本発明のポリマーは、ポリ(D,L‐ラクチド‐co‐グリコライド)(PLGA)を含む。他の実施態様において、ポリマーは、ポリ(D,L‐ラクチド)(PLA)を含む。他の実施態様において、ポリマーは、ポリ(D,L‐グリコライド)(PGA)を含む。一つの実施態様において、ポリマーはグリコサミノグリカンを含む。
【0188】
一つの実施態様において、ポリマーは、分解性合成ポリマーを含み、そしてそれは、これらに限定されないが、例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコライド)およびそれらのコポリマー;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリ(ヒドロキシブチル酸);ポリ(ヒドロキシペンタン酸);ポリ[ラクチド‐co‐(ε‐カプロラクトン)];ポリ[グリコライド‐co(ε‐カプロラクトン)];ポリ(カルボネート);ポリ(擬似アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリ(アンハイドライド);ポリ(オルトエステル);並びに混合物およびそれらのコポリマーなどのポリヒドロキシ酸を含んでもよい。
【0189】
本発明の一つの実施態様において、ポリマーは、例えば、ゼイン、修飾されたゼイン、カゼイン、ゼラチン、グルテン、血清アルブミン、コラーゲン、アクチン、α‐フェトプロテイン、グロブリン、マクログロブリン、コヒーシン、ラミニン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、オステオカルシン、オステオポンチン、オステオプロテジェリン、または当業者によって認識されるような他のタンパク質などのタンパク質を含む。他の実施態様において、ポリマーは、環状糖、シクロデキストリン、シクロデキストリンの合成誘導体、グリコリピド、グリコサミノグリカン、オリゴサッカライド、例えば、アルギン酸、カラギナン(χ、λ、μ、κ)、キトサン、セルロース、コンドロイチン硫酸、カードラン、デキストラン、エルシナン、フルセララン、ガラクトマンナン、ゲラン、グリコーゲン、アラビアゴム、ヘミセルロース、イヌリン、カラヤゴム、レバン、ペクチン、ポルラン(pollulan)、プルラン(pullulane)、ポルフィラン、スクレログルカン、スターチ、トラガカントゴム、ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ヒアルロン酸、キチンなど、もしくはポリ(3‐ヒドロキシアルカノエート)、例えば、ポリ(β‐ヒドロキシブチレート)、ポリ(3‐ヒドロキシオクタノエート)、もしくはポリ(3‐ヒドロキシ脂肪酸)など、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0190】
一つの実施態様において、ポリマーは、例えば、ポリ(ラクチド‐co‐グリコライド)、ポリ(アンハイドライド)、およびポリ(オルトエステル)などの生体侵食性(bioerodible)ポリマーを含み、そしてそれは、ポリマー侵食の平滑表面のような外部表面上に露出されたカルボキシル基を有し、そしてそれは、また、使用される。一つの実施態様において、ポリマーは、例えば、ポリアンハイドライドおよびポリエステルなどの不安定な結合を含む。
【0191】
一つの実施態様において、ポリマーは、それらの化学的誘導体(例えば、アルキル、アルキレンなどの化学基の置換、付加、および除去、ヒドロキシル化、酸化、および当業者により行われる他のルーチン的な修飾)、例えば、タンパク質または炭水化物単体または合成ポリマーと一緒の混合物を含んでもよい。
【0192】
本発明の一つの実施態様において、ポリマーは、生分解性である。一つの実施態様において、用語「生分解性」またはそれについての文法形式は、本発明の材料をさし、そしてそれは、それが見出される対象の生体環境内で分解される。一つの実施態様において、生分解性材料は、分解を受け、そしてその間、酸性産物、他の実施態様において塩基性産物が放出される。一つの実施態様において、生分解は、例えば、生化学的プロセスのよる消化を通じて、材料のその成分サブユニットへの分解を含む。一つの実施態様において、生分解は、例えば、本発明のポリマー骨格について、結合(共有またはその他であろうとなかろうと)の開裂を含んでもよい。他の実施態様において、生分解は、側鎖の内部の結合(共有またはその他であろうとなかろうと)または、側鎖に結合している結合、例えばポリマー骨格の開裂を含んでもよい。
【0193】
一つの実施態様において、本発明のサンゴは、架橋剤の使用を通じて、共有的に、ポリマーコーティングと一体となる。一つの実施態様により、用語「架橋剤(cross‐linking agent)」は、2原子間の共有結合の形成を促進する剤をさす。一つの実施態様において、架橋剤は、ゼロ長(zero‐length)架橋剤である。
【0194】
一つの実施態様において、架橋剤は、1‐エチル3‐(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、N‐スルホヒドロキシスクシンイミド(Sulfo NHS)、5‐ヨードピリミジン、N‐カルボアルコキシジヒドロキノリン、ピロロキノリンキノン、またはそれらの組み合わせである。
【0195】
一つの実施態様において、架橋剤は、例えば、N ‐ヒドロキシスクシンイミドエステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレートまたはジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、ホモ二官能性イミドエステル(例えば、ジメチルアジピミダートまたはジメチルピメリミダート)、スルフヒドリル反応性架橋剤(例えば、1,4 ‐ ジ - [3’‐(2’‐ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン)、ジフルオロベンゼン誘導体(例えば、1,5‐ジフルオロ‐2,4‐ジニトロベンゼン)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド) 、ビス‐エポキシド(例えば、1,4‐ブタンジオールジグリシジルエーテル)、ヒドラジド(例えば、アジピン酸ジヒドラジド)、ビス‐ジアゾニウム誘導体(例えば、o‐トリジン)、ビス‐ハロゲン化アルキル、またはそれらの組み合わせのようなホモ二官能基架橋剤である。
【0196】
一つの実施態様において、架橋剤は、例えば、アミノ反応およびスルフヒドリル架橋剤(例えば、N‐スクシンイミジル3‐(2‐ピリジルジチオ)プロピオネート、カルボニル反応およびスルフヒドリル反応架橋剤(例えば、4‐(4‐N‐マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド)、またはそれらの組み合わせなどのヘテロ二官能基である。
【0197】
いくつかの実施態様において、架橋剤は、例えば、4‐アジド‐2‐ニトロフェニルビオシチン‐4‐ニトロフェニルエステル、スルホスクシンイミジル‐2‐[6‐(ビオチンアミド)‐2‐(p‐アジドベンザミド)ヘキサノアミド]エチル‐1,3’‐ジチオプロピオネート(スルホ‐SBED)、またはそれらの組み合わせなどの三官能基架橋剤である。
【0198】
いくつかの実施態様において、架橋剤は、酵素である。本発明の一つの実施態様において、架橋剤は、トランスグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ポリメラーゼ、もしくはリガーゼ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0199】
活性のために利用される架橋剤の濃度の選択は、与えられた適用において、当業者によって、認識されるように、容量の機能、剤およびポリマーの選択として変動する。
【0200】
一つの実施態様において、本発明のポリマーコーティングで、本発明のサンゴの結合は、物理的および/または機械的な結合を含む。例えば、一つの実施態様において、物理的および/または機械的結合は、液体を消費する任意の方法、空気乾燥、架橋剤を使用し、熱を適用し、真空を適用し、凍結乾燥方法を適用し、凍結し、機械力を適用し、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよく、本明細書に記載したように、サンゴおよびポリマーコーティングの間の物理的結合を促進する。
【0201】
ポリマーコーティングおよびそれについての構成要素の物理的および/または化学的特性は、軟骨および/または骨修復を誘導しまたは増強するための本発明およびそれについてのキットの使用の方法に影響を及ぼすかもしれない。
【0202】
一つの実施態様において、本発明のポリマーコーティングは、2.0μm‐0.1μmの間の厚さを有する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、約1.0μmの厚さを有する。一つの実施態様において、本発明のポリマーコーティングは、10μm‐50μmの間の厚さを有する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、約10‐25、または約15‐30、または約25‐50μmの厚さである。
【0203】
いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、薄膜コーティングであり、そしてそれは、本発明の足場と関連し、本明細書の上で示したように、厚さを有する。
【0204】
いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、いくつかの実施態様において、本発明の足場内の細孔および空間が、本明細書において記載したようにポリマーで満たされるように、本発明の足場をくまなく適用し、そしてそのようなポリマーコーティングは、約60‐900μmの厚みを有してもよい。
【0205】
いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、本発明の足場上の追加のポリマー層を形成するコーティングの末端または一部に適用される。この態様によれば、およびいくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、約0.1‐10mmの間の厚さである。
【0206】
いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングを含んでいる多様な足場は、修復部位の中に移植され、そこで第一足場の厚さのコーティングは、修復部位中に移植された第二足場の厚さのコーティングと比較して、異なってもよい。コーティングの厚さにおけるバリエーションは、本明細書に記載された範囲を反映してもよい。
【0207】
一つの実施態様において、ポリマーコーティングの厚さは、本発明の足場の物理的性質に影響する。例えば、ポリマーコーティングの厚さは、本発明の足場の弾性、引張強度、接着性、もしくは保持力、またはそれらの任意の組み合わせに影響する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、本発明の足場の弾性を増加する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、本発明の足場の引張強度を増加する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングの接着性は、間葉系幹細胞、血管、軟骨修復の部位の組織、軟骨組織、もしくは骨組織、またはそれらの組み合わせの接着に関係する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、本発明の足場の接着性を減少する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、本発明の足場の接着性を増加する。他のアイテムのために接着性を減少する一方で、ポリマーコーティングが、アイテムのための接着性を増加してもよいことを、当業者は認識するであろう。例えば、一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、間葉系細胞のための接着性を増加しそして感染性因子の接着性を減少する。一つの実施態様において、ポリマーコーティングの保持力は、細胞集団(cell population)の保持に関係する。一つの実施態様において、ポリマーコーティング内に保持された細胞集団は、間葉系幹細胞集団、軟骨細胞集団、骨芽細胞集団などである。一つの実施態様において、ポリマーコーティングの保持力は、エフェクター化合物の保持に関係する。
【0208】
一つの実施態様において、ポリマーコーティングの厚さは、本発明の足場に適用する間葉系幹細胞の増殖および/または分化に影響し、本発明の足場の軟骨および/または骨形成もしくは修復、およびそれらの組み合わせに影響する。
【0209】
本発明の一つの実施態様において、本発明の使用の方法またはキットで、足場に従って使用されるような細胞は、所望する産物を発現するように設計される。
【0210】
一つの実施態様において、本発明のポリマーコーティングは、エフェクター化合物を含む。一つの実施態様において、エフェクター化合物は、本発明の足場のポリマーコーティングに直接的に適用される。一つの実施態様において、エフェクター化合物は、本明細書で記載するように本発明の足場の中に組み込むために使用するため本発明のキットの構成要素を含む。一つの実施態様において、エフェクター化合物は、任意の溶媒中に分散させることなしに、本発明のポリマーコーティングを直接的に適用する。
【0211】
本発明の一つの実施態様において、ポリマーコーティングは、サイトカイン、骨形成タンパク質(BMP)、成長因子、キレート剤、細胞集団、治療上の化合物、もしくは抗生物質、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいるエフェクター化合物を含む。
【0212】
一つの実施態様において、足場および/または本発明のキットおよび/または本発明の方法における使用のためのエフェクター化合物は、特に、サイトカイン、骨形成タンパク質(BMP)、成長因子、キレート剤、細胞集団、治療上の化合物、抗炎症性化合物、血管新生促進化合物、もしくは抗生物質、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0213】
一つの実施態様において、用語「細胞集団」は、形質移入された細胞集団、形質導入された細胞集団、形質転換された細胞集団、もしくは対象から分離された細胞集団、またはそれらの組み合わせをさす。いくつかの実施態様において、形質移入された、形質導入されたまたは形質転換された細胞は、ポリマーコーティング、もしくは本発明の足場、またはそれらの組み合わせ中に組み込まれてもよい。
【0214】
一つの実施態様において、形質移入された、形質導入された、形質転換された細胞は、ポリマーコーティング、または本発明の足場の中に組み込まれる。
【0215】
一つの実施態様において、本発明の細胞集団は、間葉系幹細胞を含む。一つの実施態様において、間葉系幹細胞は、形質転換される。一つの実施態様において、細胞集団は、例えば、軟骨芽細胞もしくは軟骨細胞;線維軟骨細胞;骨細胞;骨芽細胞;破骨細胞;滑膜細胞;骨髄細胞;間質細胞;幹細胞;胚幹細胞;脂肪組織由来の前駆細胞;末梢血前駆細胞;成体組織から分離された幹細胞;遺伝的に形質転換された細胞;またはそれらの組み合わせなどの軟骨および/または骨形成および/または修復について有益な細胞を含む。他の実施態様において、前駆細胞は、軟骨細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;骨細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;滑膜細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;骨髄細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;間葉系細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;間質細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;幹細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;胚幹細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;成体組織から分離された前駆細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;末梢血前駆細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;成体組織から分離された幹細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;成体組織から分離された幹細胞ならびに他の細胞の組み合わせ;および遺伝的に形質転換された細胞ならびに他の細胞の組み合わせをさしてもよい。本発明の方法について使用するための前駆細胞は、レシピエント哺乳類(すなわち、自己由来)、または同系の哺乳類の器官細胞から調製される。他の実施態様において、同種および異種前駆細胞が、使用されてもよい。
【0216】
本発明の一つの実施態様において、用語「治療上の化合物(therapeutic compound)」は、ペプチド、タンパク質、核酸、またはそれらの組み合わせをさす。他の実施態様において、治療上の化合物は、抗菌性、抗ウィルス性、抗真菌性または抗寄生虫化合物である。他の実施態様において、治療上の化合物は、細胞毒性または抗癌活性を有する。他の実施態様において、治療上の化合物は、酵素、レセプター、チャネルタンパク質、ホルモン、サイトカイン、成長因子である。他の実施態様において、治療上の炎症性または免疫反応を阻害する。一つの実施態様において、治療上の化合物は、血管新生促進因子を含む。
【0217】
一つの実施態様において、用語「治療上の化合物」は、分子をさし、そしてそれは、必要な対象に提供されるとき、有益な効果を提供する。いくつかの場合において、分子は、対象においてそのような分子の欠乏または存在の減少を置換するように働く点で治療的である。一つの実施態様において、例えば、外来タンパク質の発現により補われる内因性ヌル突然変異体のような場合には、当該分子は、タンパク質の発現をコードする核酸であるが、欠損している。他の実施態様において、内因性タンパク質は、変異し、そして非機能性タンパク質を生産し、異種の機能性タンパク質の発現によって補われる。一つの実施態様において、異種タンパク質の発現は、低い内因性のレベルの添加物であり、結果として、与えられたタンパク質の累積的な増強発現となる。他の実施態様において、分子は、発現、または分泌、または細胞のまたは宿主機能のための重要な要素の他のものを提供するシグナルカスケードを刺激する。
【0218】
他の実施態様において、治療上の化合物は、天然または非天然のインスリン、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、カルボキシペプチダーゼ、ホルモン、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼA2、エラスターゼ、アミラーゼ、血液凝固因子、UDPグルクロニルトランスフェラーゼ、オルニチントランスカルバモイラーゼ、P450酵素、アデノシンデアミナーゼ、血清胸腺因子、胸腺液性因子、サイモポイエチン、成長ホルモン、ソマトメジン、共刺激因子、抗体、コロニー刺激因子、エリスロポエチン、上皮成長因子、肝エリスロポエチン因子(ヘパトポエチン)、肝細胞成長因子、インターロイキン、インターフェロン、マイナス成長因子、線維芽細胞成長因子、αファミリーのトランスフォーミング増殖因子、βファミリーのトランスフォーミング増殖因子、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、ソマトスタチン 、セロトニン、サブスタンスP、転写因子またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0219】
一つの実施態様において、エフェクター化合物は、抗ぜん虫剤、抗ヒスタミン剤、免疫調節性剤、抗凝固剤、界面活性剤、抗体、β‐アドレナリン受容体阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー,ace阻害剤、成長因子、ホルモン、DNA、siRNA、もしくはベクター、またはそれらの組み合わせを含む。
【0220】
一つの実施態様において、用語「エフェクター化合物」は、任意の剤または化合物をさし、本発明の足場、キットおよび/または方法を適用するとき、そしてそれは、感染、疾患、障害、または状態の発生率の治療、回避、阻害、抑制、遅延または減少において有用である特定の目的または適用を有する。本発明のエフェクター化合物は、一つの実施態様において、化合物をイメージするための能力に限定される所望する効果を生み出す。いくつかの実施態様において、エフェクター化合物は、化合物が存在する部位の画像化について有用であるかもしれないが、そのような能力は、化合物の使用の目的または選択について二次的である。
【0221】
本発明の一つの実施態様において、用語「エフェクター化合物」は、本明細書でさすとき、同様に用語「薬」および「剤」を含むことが理解され、および本発明の足場および/またはキット内に組み込み、またはそれらの分子の使用が所望される分子を示す。一つの実施態様において、剤は、本発明の足場および/またはキット内に直接組み込まれる。他の実施態様において、剤は、本発明のポリマーコーティング、サンゴ、もしくはサンゴ部分、および/または本発明のキット、またはそこへの結合のいずれかで、物理的に相互作用により足場および/または本発明のキット内に組み込まれる。
【0222】
一つの実施態様において、足場および/または本発明のキットおよび/または本発明の方法における使用のための化合物は、特に、抗体または抗体フラグメント、ペプチド、オリゴヌクレオチド、生物学的ターゲットのためのリガンド、免疫コンジュゲート、ケモミメティク(chemomimetic)官能基、グリコリピド、標識剤、酵素、金属イオンキレート、酵素補因子、細胞毒性化合物、殺菌性化合物、静菌性化合物、殺真菌性化合物、静真菌性化合物、化学療法、成長因子、ホルモン、サイトカイン、毒素、プロドラッグ、代謝拮抗物質、微小管阻害剤、放射性物質、または標的部分、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0223】
一つの実施態様において、足場および/または本発明のキットおよび/または本発明の方法は、オリゴヌクレオチド、核酸、またはベクターを含みまたは利用する。いくつかの実施態様において、用語「オリゴヌクレオチド」は、用語「核酸」と互換性があり、および分子をさしてもよく、そしてそれは、それらに限定されないが、原核生物の配列、真核生物のmRNA、真核生物のmRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳類の)DNA由来のゲノムDNA配列、および合成DNA配列を含んでもよい。用語は、またDNAおよびRNAの任意の既知の塩基アナログを含む配列をさす。
【0224】
足場および/または本発明のキットおよび/または本発明の使用の方法は、核酸を含んでもよく、一つの実施態様おいて、または他の実施態様において、足場および/または本発明のキットおよび/または本発明の使用の方法は、特定のベクターの一部として同様の送達を含んでもよい。一つの実施態様において、目的の配列をエンコードするポリヌクレオチドセグメントは、哺乳類細胞を形質導入/形質転換するために適した商業的に入手できる発現ベクターシステムおよび形質導入細胞内に組み替え産物の発現を導くためライゲートされる。そのような商業的に入手できるベクターシステムは、存在するプロモーターまたはエンハンサー配列を置換し、複製し、または変異し、および/または任意の追加的なポリヌクレオチド配列、例えば、追加の選択マーカーをエンコードする配列またはレポーターポリペプチドをエンコードする配列などを導入するために、一般的に使用される組み換え技術を通じて容易に修飾され得ることを認識するであろう。
【0225】
一つの実施態様において、本発明の足場は、幹、始原または前駆細胞を組み込む。そのような細胞は、哺乳類のドナー、例えば、患者自身の細胞、ドナー由来の細胞培養から、または確立された細胞培養ラインから直接的に得られる。いくつかの実施態様において、哺乳類は、マウス、ラット、ラビット、モルモット、ハムスター、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、類人猿またはヒトである。同じ種の細胞および/または同じ免疫学特性の細胞は、患者または近親者のいずれかから、生検によって得られる。標準培養細胞技術および条件を使用することにより、細胞はその後、コンフルエントまで培地中で培養され必要時に使用される。十分な細胞の数が、特定の適用のために得られるまで、細胞は培養されてもよい。
【0226】
一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨および/または骨形成または修復に関与するであろう任意の細胞を組み込む。いくつかの実施態様において、そのような細胞は、本発明の足場上に細胞を播種するために、細胞が、エクスビボで培養されたことについて、自家移植片を表し、そしてそのような接種された足場は、対象内に移植される。
【0227】
いくつかの実施態様において、そのような細胞は、自己移植片または異種移植片を示し、そしてそれは本発明の足場内に組み込まれて、そして修復部位内に移植される。
【0228】
一つの実施態様において、本発明のサンゴは、サンゴ中の細胞を播種するために十分な期間のためのサンゴのインビトロ培養由来の細胞集団を含む。一つの実施態様において、細胞集団は、間葉系幹細胞集団、軟骨細胞;線維軟骨細胞;骨細胞;骨芽細胞;破骨細胞;滑膜細胞;骨髄細胞;間質細胞;幹細胞;胚幹細胞;脂肪組織由来の前駆細胞;末梢血前駆細胞;成体組織から分離された幹細胞;遺伝的に形質転換された細胞;またはそれらの組み合わせである。一つの実施態様において、インビトロで播種された間葉系幹細胞;軟骨細胞;線維軟骨細胞;骨細胞;骨芽細胞;破骨細胞;滑膜細胞;骨髄細胞;間質細胞;幹細胞;胚幹細胞;脂肪組織由来の前駆細胞;末梢血前駆細胞;成体組織から分離された幹細胞;遺伝的に形質転換された細胞;またはそれらの組み合わせは、形質転換される。一つの実施態様において、細胞集団は、軟骨修復のために有益な細胞集団を含む。一つの実施態様において、培養物は、キレート剤を含む。本発明の一つの実施態様において、培養物中のキレート剤は、カルシウムキレート剤を含む。
【0229】
一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨形成および/または修復を誘導または増強し、そこで方法は、軟骨および/または骨形成および/または修復の部位内に本発明の足場を対象中に移植することを含み、そこで足場の領域は骨を通じて浸透し、結果として、軟骨および/または骨形成および/または修復の部位の近位、骨髄空間内に挿入する領域となる。
【0230】
一つの実施態様において、用語「軟骨修復」は、より健康的な状態に軟骨欠損を復元することをさす。一つの実施態様において、軟骨復元は、結果として、軟骨組織の再生となる。一つの実施態様において、軟骨復元は、結果として、関節軟骨全層または一部欠損の再生となる。一つの実施態様において、軟骨復元は、結果として、完全なまたは部分的な軟骨修復の部位における軟骨組織の再生となる。一つの実施態様において、軟骨修復は、結果として、欠損したまたは欠陥のある骨組織の復元/修復となり、そこで、軟骨欠損の修復は、軟骨修復の部位において骨組織の除去を必要とする。一つの実施態様において、軟骨復元は、結果として、骨軟骨の欠損の再生となる。一つの実施態様において、軟骨修復は、関節(例えば、膝、肘、股、肩関節)、耳、鼻、気管の軟骨欠損復元を含む。
【0231】
一つの実施態様において、用語「骨修復」は、より健康的な状態に骨欠損を復元することをさす。一つの実施態様において、骨復元は、結果として、骨組織の再生となる。一つの実施態様において、骨復元は、結果として、骨組織内の任意の骨折または空間の充填剤となる。一つの実施態様において、骨復元は、結果として、骨修復の部位における骨組織の完全なまたは部分的な再生となる。一つの実施態様において、骨修復は、結果として、欠損または欠陥のある骨組織の復元/修復となってもよい。一つの実施態様において、骨修復は、必要に応じ、任意の骨の骨欠損復元を含む。
【0232】
いくつかの実施態様において、用語「骨修復」は、骨粗しょう症、パジェット病、線維性骨異形成症(fibrous dysplasias)、または骨形成異常症を伴う対象の治療をさす。他の実施態様において、対象は、骨および/または軟骨虚弱を有する。他の実施態様において、対象は、他の骨再形成障害、骨軟化症、くる病、関節リウマチ、軟骨無形成症、骨軟骨炎、副甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、先天性低ホスファターゼ血症、線維腫性病変、多発性骨髄腫、異常な骨代謝、溶骨性骨疾患、歯周病、またはそれらの組み合わせを含む。一つの実施態様において、骨再形成障害は、有機マトリックス、骨石灰化、骨再形成、内分泌、骨格およびミネラルホメオスタシスを調節する栄養および他の因子、またはそれらの組み合わせにおける妨害により特徴付けられる代謝骨疾患を含む。そのような障害は、遺伝性または後天性かもしれず、および一つの実施態様において、全身性であり、および全骨格システムに影響する。
【0233】
本発明の足場、キットおよび方法は、骨および/または軟骨欠損が骨再形成障害以外の因子により引き起こされる条件において、骨および/または軟骨形成を促進するために使用されてもよい。そのような軟骨欠損は、骨折、骨の外傷、外傷後の骨の手術に関連する条件、人工関節手術後(post‐prosthetic joint surgery)、プラスティック骨手術後、骨化学療法、歯科手術後および骨放射線療法を含む。骨折は、微視的なおよび巨視的な骨折のすべての種類を含む。一つの実施態様において、骨折のいくつかの例は、剥離骨折、粉砕骨折、横骨折、斜骨折、らせん骨折、分節骨折、転位骨折、嵌没骨折、若木骨折、隆起骨折、疲労骨折、関節内骨折(骨端骨折)、皮下骨折(単純骨折)、開放骨折(複雑骨折)と不顕性骨折を含む。一つの実施態様において、本発明の方法を使用して治療することになっている骨折は、偽関節骨折である。
【0234】
一つの実施態様において、本発明の足場、キットおよび方法は、また長骨骨折の修復を増大するために;分節性欠損について骨を再生するために;骨折のために置換する骨移植片を提供するために;腫瘍再構築または脊椎固定を容易にするために;弱いまたは骨粗しょう症骨用の局所治療(注射による)、例えば股、脊椎、もしくは手首、またはそれらの組み合わせを提供するために使用されてもよい。他の実施態様において、本発明の足場、キット、および方法は、また長骨の修復を促進するための;長骨骨折の遷延治癒もしくは偽関節または脊椎固定の偽関節の治療のための;股もしくは膝、またはそれらの組み合わせの無腐性骨壊死についての新たな骨形成を誘導するための方法について使用されてもよい。
【0235】
一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨修復を誘導および増強することを含み、そこで、軟骨および/または骨修復の部位内に本発明の足場を移植することは、軟骨および/または骨修復に影響を及ぼしまたは改善する。
【0236】
一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨修復を誘導しまたは増強し、そこで、足場は、細胞集団を足場に引きつけ、それにより軟骨および/または骨修復に影響を及ぼしまたは改善する。
【0237】
本発明の3次元構造および化学的構成要素は、軟骨および/または骨修復またはそれらの組み合わせを誘導しまたは増強する細胞集団の細胞の認識、接着、増殖および分化のため、軟骨および/または骨修復の部位内の足場を特異的に位置決めしおよび制限するために非常に重要である。
【0238】
一つの実施態様において、本発明の方法について利用される本発明の足場は、対象について移植する前に細胞集団の播種を含む。一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨修復を誘導しおよび増強し、そこで、本発明の足場を対象に移植することは、形質転換された間葉系幹細胞の接着、増殖、もしくは分化、またはそれらの組み合わせを促進する。一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨修復を誘導しまたは増強し、そこで、本発明の足場を対象に移植することは、血管形成を促進する。
【0239】
一つの実施態様において、本発明の方法について利用する足場は、対象について足場を移植することが、軟骨および/または骨修復を誘導しまたは促進するように、軟骨および/または骨修復の部位内に最適な深さおよびアングルでサンゴ足場を特異的に配置しおよび限定する領域を少なくとも含む。一つの実施態様において、本発明の方法について利用される足場は、足場の移植が、本発明の足場と軟骨および/骨修復の部位の間の接触面積を最大にするように、軟骨および/または骨修復の部位内に最適な深さおよびアングルでサンゴを特異的に配置しそして限定する領域を少なくとも含む。
【0240】
一つの実施態様において、本発明の方法について利用される足場は、軟骨および/または骨修復もしくは再生過程を助け、または他の所望される治療上の活性を有する他の治療上の活性物質を吸収し、または結合し、および送達するために使用されてもよい。そのような物質は、例を通して、形作られた産物または構造の細孔空洞の中に導入されてもよい既知の合成または半合成抗生物質、または例えば形質転換する成長因子または骨の成長を助けまたは促進するために使用され得る骨形態形成タンパク質のうちの一つのような成長因子を含む。
【0241】
本明細書の任意の実施態様において、本発明の方法について使用するための足場は、他の化合物、例えば、抗酸化剤、成長因子、サイトカイン、抗生物質、抗炎症剤、免疫抑制剤、防腐剤、鎮痛剤、他の治療剤、および賦形剤などを含み、またはともに移植されてもよい。一つの実施態様において、HMG‐CoAレダクターゼ阻害剤のほかに施してもよい成長因子の例は、これらに限定されないが、上皮成長因子(EGF)、α型トランスフォーミング増殖因子(TGF‐α)、β型トランスフォーミング増殖因子(TGF‐β)、ヒト内皮細胞増殖因子(ECGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)、骨形成タンパク質(BMP)、神経成長因子(NGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)、軟骨由来形成タンパク質(CDMP)、血小板由来成長因子(PDGF)、またはこれらについての組み合わせを含む。抗生物質の例は、抗菌剤および抗細菌剤を含む。
【0242】
一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨欠損または障害または疾患で苦しむ対象について、本発明の足場を移植することを含む。
【0243】
一つの実施態様において、用語「移植すること」は、対象の生きている部位、軟骨および/または骨修復の部位を含んでいる部位中に、本発明の足場を挿入しおよび固定することをさす。一つの実施態様において、本発明の方法は、間葉系幹細胞、栄養、血管、もしくはエフェクター化合物、またはそれらの任意の組み合わせを現在利用する足場の領域のような足場を移植する。一つの実施態様において、本発明の方法は、本発明の足場を対象に移植することを含み、そこで、方法は、結果として、足場の領域が、軟骨および/または骨および/または他の組織を通じて浸透するために、軟骨および/または骨および/または他の組織の領域を除去することになり、そしていくつかの実施態様において、骨髄空間に到達する。
【0244】
当該技術分野について知識を有する臨床医は、本発明の方法が、そして軟骨および/または骨修復部位内に必要とする足場を移植することが、軟骨および/または骨修復の部位の調製を必要とするであろうことを認識するであろう。これらの調製は、足場のインプラントの前にまたはインプラントと同時に、生じてもよい。例えば、軟骨および/または骨組織および/または軟骨および/または骨修復の部位の近位の他の組織は、本発明の方法を使用する足場のために適当な寸法の溝(channel)を作るため、最初に穴を開けてもよい。その後、足場は、足場の領域が、穴を開けた軟骨および/または骨組織を浸透するように、部位内にインプラントされる。代替的に、足場は、軟骨および/または骨もしくは他の組織、またはそれらの組み合わせを通って浸透できる本発明のツールを接着してもよい。この場合、ツールが、軟骨および/または骨組織を通って浸透するときには、接着した足場は、同時に移植される。
【0245】
いくつかの実施態様において、修復部位内の足場の、または修復部位内のいくつかの足場の以下の移植は、足場が、組み込みを最適にするため、および最適な軟骨および/または骨修復のために処理される。いくつかの実施態様において、そのような処理は、最適な修復のため、切断、研磨または別の足場もしくは足場(複数)の表面の平滑化を含んでもよい。
【0246】
一つの実施態様において、本発明の方法は、ヒト対象において足場を移植することを含む。
【0247】
一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨修復の部位の表面上の足場の配置を含む。一つの実施態様において、本発明の方法は、サンゴの露出した表面を移行するサンゴ修復の部位における組織環境の構成要素を含んでもよく、そして本発明のサンゴ間の接触は、従って環境を作るであろう。
【0248】
一つの実施態様において、本発明の方法は、足場の膨隆性露出表面が、軟骨および/または骨修復の部位または近隣で組織と強烈に接触するように、足場を移植することを含む。このように、現在軟骨および/または骨修復の部位の近位のサンゴの露出した表面は、軟骨組織、骨組織、骨髄組織、間葉系幹細胞、栄養、血管もしくは他のエフェクター化合物、またはそれらの組み合わせを含んでいる環境の近位であり、そしてそれは、軟骨および/または骨修復に有用であろう。
【0249】
本発明の一つの実施態様において、用語「足場の長軸(long axis)」および「足場の縦方向の軸(longitudinal axis)」は、互換的に使用され、そして足場縦方向と平行に伸びている線をさす。用語「縦方向(lengthwise)」は、足場の長さの方向をさす。独自の幾何学的な形状は、独自の足場の水平方向の部分を産生するために切断される。
【0250】
本発明の足場の物理的および/または化学的特性およびそれらの構成要素が、軟骨および/または骨修復を誘導しまたは促進するため、本発明の使用の方法およびそれについてのキットに影響を及ぼすかもしれないことは当業者に明らかであろう。
【0251】
一つの実施態様において、軟骨および/または骨修復を誘導しまたは促進するための本発明の方法は、軟骨および/または骨修復の部位内に特異的な配置決めおよび限定する足場を提供するために、本発明の足場の3次元幾何学形状を利用する。
【0252】
一つの実施態様において、用語「近位の」は、特定の場所の近くになにかが位置していることをさす。一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨および/または骨修復の部位の近位に位置する組織と接触している足場の膨隆性の領域によって、軟骨および/または骨修復の部位内の所定の場所に強制的に保持される。
【0253】
軟骨および/または骨修復の部位の形状および本発明の3次元足場の形状は、軟骨および/または骨修復の部位内に足場を安定に位置決めするための多くの異なる組み合わせを提供することを当業者は認識するであろう。一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨および/または骨修復のための本発明の方法の使用前に、形作られる。一つの実施態様において、本発明の足場は、軟骨および/または骨修復のための本発明の方法についての使用のために、同時に形作られる。本発明の方法について足場の使用と同時に起こる足場を形作ることによって、足場の寸法は、修復部位内に足場の特異的な配置決めのため正確に選択されるであろう。
【0254】
一つの実施態様において、本発明の方法は、ヒトでない哺乳類および哺乳類でない対象について足場を移植することを含む。一つの実施態様において、本発明の方法は、ウマ、競走馬、ウシ、去勢ウシ、ブタ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、家畜、ペット、イヌ、ネコ、サル、類人猿、トリおよび鳥類について足場を移植することを含む。
【0255】
一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨欠損または障害または疾患の修復を誘導しまたは増強するために利用される。一つの実施態様において、軟骨欠損は、外傷、裂傷、スポーツ傷害、全層関節軟骨欠損、関節欠損、または反復性ストレス傷害(例えば、骨軟骨骨折、十字靭帯負傷による二次的損傷)に由来する。一つの実施態様において、軟骨障害は、軟骨の疾患を含む。一つの実施態様において、本発明の方法は、骨関節炎、関節リウマチ、無菌性壊死、離断性骨軟骨炎、関節軟骨傷害、膝蓋軟骨軟化症、軟骨肉腫、頭および首軟骨肉腫、肋軟骨炎、内軟骨腫、強剛母趾、股唇裂傷(hip labral tear)、半月板損傷、再発性多発軟骨炎、イヌの関節炎(canine arthritis)、第四鰓弓欠損またはカリフラワー耳(fourth branchial arch defect or cauliflowerear)についての軟骨修復を誘導しおよび増強する。一つの実施態様において、本発明の方法は、筋肉、滑液包(滑膜)、腱、および線維組織を含んでいる関節または関連する構造だけでなく、成長板、半月板のシステム、および椎間板を含んでいる、身体の結合組織の変性または代謝障害によって、少なくとも一部、特徴づけられる障害を含んでいる変性軟骨の障害について軟骨修復を誘導しまたは増強する。
【0256】
一つの実施態様において、足場および/または少なくとも本発明のツールを利用している本発明の方法によって修復される軟骨および/または骨欠損または障害または疾患は、対象の関節(例えば、膝、肘、かかと、肩、または股関節)、回旋腱板(rotator cup)、耳、鼻、気管、骨盤、脊椎、肋骨、顎、頭蓋、または対象内に見られる軟骨および/または骨欠損または障害または疾患の任意の部位を含む。
【0257】
一つの実施態様において、本発明の方法および/またはキットについて使用した本発明の足場の3次元形状および構成は、通常の知識を有する臨床医によって、例えば、治療される条件の正確な性質、状態の重症度、対象の年齢および一般的な身体の状態、体重、および対象個々の反応などの因子に基づき決定される。
【0258】
一つの実施態様において、本発明の方法の間の本発明の足場の特異的な位置決めは、通常の知識を有する臨床医によって、例えば、治療される条件の正確な性質、状態の重症度、対象の年齢および一般的な身体の状態、体重、および対象個々の反応などの因子に基づき決定される。
【0259】
一つの実施態様において、本発明の方法は、軟骨および/または骨組織修復の部位を検査することによって評価され、そこで、評価は、組織学、組織化学、触診、生検、内視鏡検査、関節鏡検査、またはX線写真、コンピュータX線デンシトメトリー、コンピュータ蛍光デンシトメトリー、CT、MRIもしくは当該技術分野に既知の他の方法、もしくはそれらの任意の組み合わせを含んでいる画像技術による。
【0260】
一つの実施態様において、本発明は、軟骨および/または骨修復の部位において最適なアングルで本発明の足場を先導するためのツール、軟骨および/または骨修復の部位において本発明の足場を送達するためのツール、足場が、軟骨および/または骨を通じて浸透し、そして軟骨および/または骨修復の前記部位の近位の骨髄空間内に挿入するために、軟骨および/または骨修復の部位において本発明の足場を挿入するツール、軟骨および/または骨修復の部位において本発明の足場を放出するためのツール、またはそれらの組み合わせを提供できるツールを含んでいる軟骨および/または骨修復について支援するための器具を提供する。
【0261】
一つの実施態様において、本発明の器具は、少なくとも単一のツールを含む。
【0262】
一つの実施態様において、本発明の方法は、本発明の器具を利用し、そこで本発明の足場を移植することは、軟骨および/または骨修復の部位内に最適な深さおよびアングルでサンゴを特異的に位置決めおよび限定することを含む。
【0263】
いくつかの実施態様において、そのようなツールは、修復部位中への足場の挿入のためのツールを含んでもよく、そしてそのツールは、特異的に足場を保持するために構築され、そして部位内にそれを最適に配置する。いくつかの実施態様において、異なるサイズまたは形状の足場のための多様なツールは、軟骨および/または骨修復の部位または部位(複数)内に異なった足場の移植を適応するために、本発明のキット内に組み込まれる。いくつかの実施態様において、本発明のキットは、最適な軟骨および/または骨修復のための平滑な最適な表面に影響するため、次の修復部位内の挿入の足場の加工のためのツールを含む。いくつかの実施態様において、本発明のキットは、修復部位および間葉系幹細胞の供給源の間の空間を作るためのツールをさらに含んでもよい。いくつかの実施態様において、キットは、断片(piece)を含み、そしてそれは、そのような空間に変化をもたらすための普通のツール内に挿入し、例えば、ドリルビット(drill bit)は、足場が、軟骨および/または骨修復の部位において挿入されてもよい目的で骨の近くを通じて容易にそして適当に穴を開けるためのサイズおよび深さである本発明のキットについて含む。少なくとも足場の一部、または隣接する足場を、軟骨および/または骨修復部位内に挿入し、軟骨および/または骨修復に変化をもたらすための間葉系幹細胞を移動させるための供給源として役立つように、根底にある骨髄に到達する。
【0264】
当業者は、骨髄空間に到達するために組織を通ってドリルにより作った通路は、本発明の足場を骨髄空間に到達することおよびこの部位において安定に移植されることを許容するようなことを認識するであろう。足場は、接合関節(joint articulate)として除去しないために、軟骨および/または骨修復の部位内に十分安全でなければならない。当該技術分野における通常の知識を有する臨床医は、ドリル通路の拡張が、足場が安全に保持されるが、通路が、周辺組織に増加する傷害をもたらすようなあまりに広範でないようなことをまた認識するであろう。
【0265】
軟骨および/または骨修復の部位の調製は、また傷害性の軟骨もしくは骨組織、またはそれらの組み合わせの除去を含む。それゆえ、一つの実施態様において、本発明のツールは、修復部位または修復部位近位に傷害性の組織が除去されるような通路をあける。
【0266】
本発明のツールは、通路を調製してもよく、足場がその後に続き、移植される足場を先導し、および同時発生的に足場を移植する。同時発生的に部位を調製しおよび足場を移植することによって、対象は、短縮されるであろう侵入時間または最小限の侵入の外科手術を受ける。
【0267】
一つの実施態様において、足場の領域は、次の軟骨修復の部位内の足場の配置をツールから分離する。一つの実施態様において、領域は、ツールから分離し、そこで、足場からツールの分離は、UV光活性化分離、レーザー活性化分離、ねじれ依存分離、もしくは化学的活性化分離、またはそれらの組み合わせを含む。一つの実施態様において、足場から器具の分離は、修復部位内に特異的に配置された足場を残す。分離のメカニズムは、また修復部位のさらなる外傷を引き起こすべきではない。
【0268】
一つの実施態様において、足場からの器具の分離は、結果として、軟骨および/または骨修復の部位内に最適な深さおよびアングルで、特異的に位置決めおよび限定されることになる。一つの実施態様において、足場からの器具の分離は、結果として、足場が、軟骨および骨修復の部位内に対象中に移植され、そこで、足場の領域は、軟骨および/または骨を通って浸透し、結果として、領域が、軟骨および/または骨修復の部位の近位の骨髄空間内に挿入する。
【0269】
一つの実施態様において、本発明は、本発明の足場、少なくとも本発明の器具、および組織修復について足場を利用するための教示を含んでいる組織の修復のためのキットを提供する。
【0270】
当業者は、通常の知識を有する臨床医によるキットの選択が、治療される条件の正確な性質、状態の重症度、対象の年齢および一般的な身体の状態、体重、および対象個々の反応などの因子に依存することを理解するであろう。
【0271】
従って、一つの実施態様において、本発明のキットを含んだ足場は、異なるサイズ、形状、もしくは化学的成分、またはそれらの組み合わせを含む。一つの実施態様において、本発明は、本発明の足場、少なくとも本発明のツール、および軟骨修復についての足場を利用するための教示を含んでいる軟骨および/または骨修復のためのキットを提供する。
【0272】
様々な修飾およびバリエーションは、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく、本発明の足場、キット、プロセスおよび方法についてなすことができる。
【0273】
いくつかの実施態様において、用語「含む(comprise)」またはそれについての文法形式は、本発明の示された構成要素の包含と同様に、他の活性剤の包含、および医薬産業において知られているような、医薬的に許容できる担体、賦形剤、軟化剤、安定剤などの包含をさす。
【0274】
一つの実施態様において、本発明は、結合された調製を提供する。一つの実施態様において、用語「組み合わされた調製(a combined preparation)」は、上で定義されたように組み合わせ相手(combination partner)が、独立的にまたは異なる組み合わせ、すなわち、同時に、同時発生的に、別々にまたは順次使用され得るという意味で、特に「パーツのキット(kit of parts)」を定義する。
【実施例】
【0275】
実施例1 本発明のサンゴに基づく足場の適用
本発明のサンゴに基づく足場は、それを必要とする対象について、軟骨、骨またはそれらの組み合わせの中に挿入されてもよい。
【0276】
いくつかの実施態様において、そのような配置は、移植を所望する部位を露出するために領域について穴を開けること、および欠損/部位内に足場のタイトフィットを含むであろう。
【0277】
軟骨修復、再生などのための移植のために、足場は所望する軟骨部位、および近位に位置する骨内について移植され、そのため、このようにして、サンゴ足場は、軟骨および骨、2種類の組織を通って移植される。図1は、模式的に、軟骨/骨修復の部位内に本発明の足場の漫画の配向を示す。
【0278】
足場は、本明細書に記載したように任意の実施態様に従って調製されてもよく、同様に当業者によって認識される。
【0279】
足場は、ヒト対象の治療ばかりでなく、獣医学の適用について使用するためも想像される。動物実験は、最適な構成およびインプラントパラメーター並びに手順を決定するために試みられてもよいことが理解される。
【0280】
例えば、動物実験は、動物対象内に本明細書に記載したように足場の移植を含んでもよく、そして足場は、手術後、長期間を越えて検査されおよび観察される。それぞれの動物の処置されなかった膝は、以下のそのような手術の比較のために対照として使用される。適当な間隔で、動物は、屠殺し、および組織学的検査を行う。軟骨修復の部位を検査するための適当な期間は、手術後、2.5、4、9、12、26、52週である。現時点で、関節の表面は、写真を撮られそして組織は、修復部位から採られおよび組織学的な観察のために調製される。特異的に、移植領域からなるブロックおよび周囲組織は、鋭いのこぎりを使用して採取される。材料は、定期的な組織学的検査のために、さらに処理され、そしてそれは、ゆっくりとした脱灰を含む。
【0281】
実施例2 骨軟骨欠損の復元
骨軟骨欠損の復元は、成熟したヤギについて、直径6mmおよび長さ8mmの丸みを帯びたインプラントを使用することで行った。軟骨および骨組織の5.5×8mmコアは、それぞれのヤギの大腿骨内側顆の外に穴を開け(図2A)、そしてインプラントを軟骨および骨修復の部位の中に押し込んだ(図2Bおよび2C)。
【0282】
インプラントが自己の組織の中にうまく組み込まれ、そして軟骨組織がインプラントの近位に発達し、さらに血管形成の兆候が見られる兆候を示した何匹かの動物は、手術後2.5週において採取した(図2C)。
【0283】
一群の動物は、手術後9週で、屠殺しそして組織を移植部位から採取した。組織のH&Eおよびマッソントリクローム組織学的評価(図3Aおよび3Bそれぞれ)は、移植の領域が、新たに形成された軟骨および線維性骨によって置換され、そして軟骨が、平滑であり、そしてほとんど完全に再生されたことを示した。サフラニンO染色およびコラーゲンタイプII発現のための探査(probing)は、軟骨が覆っている普通の骨の均質な赤いバンドの存在を表し(図4A)、そして軟骨のバンドに沿ったコラーゲンタイプII堆積(deposition)を表す(図4B)。再生した軟骨は、実質的に、隣接した通常の軟骨から区別がつかなかった。修復表面は、細線維化を伴わず平滑であった。さらに、関節軟骨のレベルの欠損の完全なクロージングという事実および新たな肋軟骨下骨の形成および再構築(破骨細胞による)で間葉系細胞の骨軟骨細胞および骨芽細胞への形質転換の事実が存在した。図11Aおよび図11Bは、再生した軟骨を示している同じ部分のH&E染色を示す。
【0284】
実施例3 多相性固形アラゴナイト足場の調製
それぞれの相の細孔容積(多孔度)に関して変化し、および/またはそれぞれの相に存在する空間の直径に関して変化する多相性の足場を作るために、直径5.2mmおよび長さ7.5mmのプラグを、シリコンホルダー内に配置し、それによってただ1mmのプラグが露出し、そしてプラグを有するホルダーを、反転された位置に配置し、そして反応混合物の中に浸漬し、プラグの上部1mmのみが、混合物と直接接触するようにした。
【0285】
プラグは、まず室温で2時間、5%二ナトリウム塩溶液に浸漬し、その後、0.5%最終濃度をもたらすように99%蟻酸溶液を添加し、そこでプラグは、さらに20分間、当該溶液中に再度浸漬した。混合物は、放出されそしてプラグは、約0.2〜0.00001バー気圧の条件下、真空の適用を通じて、次に続く密閉したコンテナ中にプラグの配置およびチャンバーを真空に適用し、終夜、蒸留水中で、洗浄した。プラグは、室温で終夜、真空乾燥した。
【0286】
図6Aは、本明細書に記載したように、浸漬するためプラグの露出している部分のホルダーの実施態様を示す。
【0287】
表1は、本例において記載したように処理された同じ種類のサンゴ(コブハマサンゴ)の異なる領域から分離した浸漬している15プラグの結果を示す。ダイヤモンドのこぎりを、個々の相から断片を取り除くために使用し、そして断片を、光学顕微鏡分析のために処理し、そして二焦点光学顕微鏡を、足場を映すために使用し;そして画像を取り込み、そして空間直径を標準方法論によってサイズを評価した。
【0288】
30の空間は、反応混合物内に浸漬されたプラグの領域内の3の異なるインプラントについて同定し、41の空間は、浸漬領域近位に位置する領域内の4の異なるインプラントについて同定し、および46の空間は、浸漬領域の遠位に位置する領域内の4の異なるインプラントについて同定し、そしてそれぞれの空間の直径を決定した。これらの決定の結果は、本明細書の下の表3にある。
【0289】
【表1】

【0290】
図6Bおよび6Cは、プラグ(パネルC)から切断した上部(パネルB)の光学顕微鏡画像を示し、そして空間のサイズが確認できる所でより高い倍率で可視化した。
【0291】
細孔容積(多孔度)に関して、浸漬部分は、多孔性であるプラグの約85〜90%を示し、それに近位の領域は(縦方向の軸に沿って、約0.5〜1mmの長さを有し、浸漬領域近位に位置し)、約65〜75%多孔度、一方では遠位の領域は、約45〜50%多孔度を示した。
【0292】
多孔度は、(Karageorgiou V,Kaplan D.(2005)「Porosity of 3D biomaterial scaffolds and osteogenesis」Biomaterials.;26(27):5474‐91)に記載されたように、由来する。
【0293】
多孔度のレベルは、例えば、使用されるキレート剤の種類および濃度、使用される酸の種類および濃度、当該方法が行われる温度および反応時間などのパラメーターによって制御でき、一方では、すべての拡大された多孔性相のサイズは、反応混合物と直接接触して配置されるプラグの長さによって制御できた。
【0294】
多孔度および異なる相のサイズの制御は、異なる強度を示す異なる目的、異なる天然の骨および軟骨構造を模倣するための可能性を有する物理的および構造的特性のためのインプラントの設計を許容する。この制御は、それぞれの特定の軟骨/骨または骨欠損のみを必要とするように、インプラントの正確な所望する位置にインプラントのより高い適合性を提供する。
【0295】
実施例4 ヒアルロン酸を浸透させたアラゴナイト足場はインビトロにおいてアラゴナイトに基づく足場よりもより軟骨形成をする
インプラントの軟骨相の軟骨形成の可能性を評価するため、アラゴナイトに基づく足場をヒアルロン酸を浸透させたアラゴナイトの足場と比較した。インビトロアッセイは、マウス間葉系幹細胞(MSCs)ATCC/CRL‐12424を使用して行い、そしてそれらの軟骨形成系列に向かった分化を評価した。MSCsを、ヒアルロン酸(NaHA 1%)を含むまたは含まないサンゴ(コブハマサンゴ類)に基づくアラゴナイトの1mgの小さい粒子(〜1mmのサイズ)の上に5000のMSCsを播種した。任意のインプラントも含まない1/3の群を、対象として利用した。足場浸透の方法は、本明細書に記載した。使用したヒアルロン酸(HA)は、Bio‐Technology General(Israel)LTD.Lot:RDO131Bのアースレース(商標)として市場に出される1%ヒアルロン酸ナトリウムの注射用ゲルである。
【0296】
それぞれの粒子は、個々に培養し、そして別々に播種した。細胞を、任意の軟骨形成誘導剤の添加をしないDMEM培地中で生育した。培地を、21日の期間、2‐3日毎に交換した。管理は、培地交換の間、培養中の粒子を妨害しないように行った。アッセイは、三連で行った。
【0297】
培養物について次の1、2,3週間、培養物の染色によるMSCs分化を、4%グルタルアルデヒド溶液で固定した細胞のサフラニンO/ファストグリーン染色[Kahveci Z,Minbay FZ,Cavusoglu L(2000)Safranin O staining using a microwave oven.Biotech Histochem.75(6):264‐8]でアッセイした。染色細胞のデジタル画像を、処理した。
【0298】
図7は、明るい緑色についてすべての細胞の細胞質のファストグリーン染色を示し、一方で細胞外基質の中に骨軟骨細胞によって分泌されるグリコサミノグリカン(GAG)のサフラニンO染色は、特徴的なピンク色によってはっきり表れていた。
【0299】
画像は、ImageJ softwareを使用して分析した。色の強度は、軟骨形成を測定するために使用した。それぞれの画像は、サフラニンOで染色した細胞の領域(8A)およびピンク色のその積分した密度(8B)を分析し、算定から粒子の領域を除き、画像の特定した領域についてピンク色のピクセルの数をカウントすることにより、計算した。
【0300】
全研究の間、ヒアルロン酸を浸透させたアラゴナイトは、染色領域(細胞量)および色の強度(ECMにおけるGAG量)の両方に関して、アラゴナイト単体と比較してより大きな骨軟骨形成を示した。
【0301】
対照アッセイは、同じように培養された細胞のアッセイを含み、足場がないときには、そしてそれはGAG染色に向かう顕著により少ない特性を示した。
【0302】
細胞の形態は、電界放射型走査電子顕微鏡(JEOL,JSM‐7400F)を使用して可視化した。ヒアルロン酸を伴うアラゴナイト上に播種したMSCsは、丸い形態および発達した高密度な細胞間基質を示し、そしてそれは、典型的な成熟した軟骨細胞である(図9C‐D)。対照的に、HAなしのアラゴナイト生育したMSCsは、平らにされ、線維芽細胞様形態を示した(図9A‐B)。
【0303】
アラゴナイト‐HA複合体は、従って、MSC接着、増殖、および軟骨形成表現型への分化を可能にした。
【0304】
ヒアルロン酸を浸透させたアラゴナイトの軟骨形成の潜在能力は、優れた軟骨形成を提供することが本明細書に示され、それによって、軟骨相が、ヒアルロン酸などの生体適合性ポリマーを浸透された穴/空間を伴うアラゴナイトを構成し、およびアラゴナイトまたはカルサイト単体で構成される骨相の二相性インプラントに関する発明の範囲を支持する。
【0305】
実施例5 アラゴナイトおよびカルサイトに基づく足場は、インビトロにおいて軟骨形成する
インプラントは、例えば、膝関節修復のための、任意の適当な配置であってもよく、インプラントは、大腿骨内側顆(MFC)、大腿骨外側顆(LFC)、膝蓋骨、滑車切痕(Trochlear Groove(TG))、および脛骨(Tibia)内であってもよい。
【0306】
ヒツジ、ヤギ、またはウマを使用するモデルシステムは、本発明のある具体化された足場をテストするために利用されてもよい。選択された移植位置について、例えば、MFCの加重負荷の領域について、欠損は、穿孔器(punch)の使用を行う。欠損の寸法は、例えば、直径および深さそれぞれについて、5‐10mmおよび6‐12mmのように測定される。
【0307】
インプラントの直径は、テストされる骨軟骨欠損の直径に適合するであろう。例えば、インプラントの選択された直径は、圧入(press fit)態様において欠損によい固定を保証するために、欠損の5.8mm直径を切望するためには、6mmであろう。非体重負荷部分における第二位置は、例えばTG内と比較して選択されるであろう。大きな軟骨傷害を治療するために、同じまたは異なる幾何学的な形状および特性を有するいくつかのインプラントは、欠損を埋めるために導入できる。移植は、関節鏡で、または開放切開(関節切開)により、なされ得る。
【0308】
X線、CT、またはMRI造影が、インプラントの位置を確認するためになされてもよい。
【0309】
実施例6 パッケージングおよび分布のための軟骨相に穴およびヒアルロン酸を含んでいる二相性アラゴナイト足場の調製
アラゴナイトコア足場の調製:100‐150μmの平均細孔サイズを有するコブハマサンゴ(hydrocoral Porites Lutea)由来のサンゴを、採取し、その外観、密度、多孔度について視覚的に評価し、そしてFTIR分析を行った。アミノ酸定量を、また決定した。サンゴは、その時、外部の有機組織の除去のため5%次亜塩素酸ナトリウム中に浸漬した。
【0310】
理論に拘束されることなく、この方法により産生される優れた足場による一つの手段は、サンゴ内の深い浸透の結果であり、他方では精製の間の陽圧の浸漬方法または適用は、足場の細孔ネットワーク内の捕らえられて残っているような気泡を許容し、結果として、サンゴの内部区画に溶媒の乏しい到達性をもたらす。さらに、精製方法は、もっとも完全な方法で使用される酸化剤の除去を容易にし、生物において、後に移植される足場のために明らかに好ましい結果である。
【0311】
のこぎり、例えば、ダイヤモンドディスクのこぎりは、外側のサンゴ層を除去するために使用され、そして所望する直径のプラグは、より大きなサンゴブロックから切断された。一連の穴は、その後プラグの一部を通って穴をあけられ、このように、例えば、図10Aおよび10B参照のように、所望する深さおよび所望するパターン/数について得られた。
【0312】
有機物は、以下のようにサンゴから除去する:プラグは、最初に陰圧下、酸化剤を含んでいる液体、例えば、5%次亜塩素酸ナトリウム溶液に30分、3交換、温度範囲、RT‐50℃、および0.2‐0.00001バーの真空圧範囲で使用する低大気圧にさらした。プラグは、その後、10%過酸化水素溶液に、15分間、温度範囲RT‐50℃、および0.2‐0.00001バーの範囲で、真空圧力を使用する低大気圧にさらした。清潔なプラグを、その後、蒸留水30分間、温度範囲RT‐50℃で3交換、および範囲0.2‐0.00001バーの真空圧力を使用する低大気圧で洗浄した。
【0313】
サンゴは、少なくとも22.5kGyの強さでガンマ線照射することにより殺菌し、そしてその後、パッケージング材料中で、無菌的に保存した。
【0314】
1%ヒアルロン酸ナトリウム(本明細書の上で記載した、リン酸緩衝液生理食塩水中において1%ヒアルロン酸溶液)を、プラグの頂端に適用した。プラグの頂端部分は、リング内、例えばシリコンリング内に制約され、そしてそれは、プラグの終端でリザーバーを作っているプラグの終端上方領域におよぶ。ヒアルロン酸溶液は、その後リザーバー領域に適用され、例えば、溶液70mlが軟骨欠損を治療するためのヒアルロン酸を浸透する穴を伴うサンゴの2mmの均質相を産生するために6mmの直径のプラグを覆って適用され、そしてそれを、プラグ終端および終端の4mm上方におよぶシリコンリング中に固定した。ヒアルロン酸溶液の適用は、45‐60分間行われ、そしてその後リングを除去した。リングは、無菌パッケージングおよび密閉中に挿入した。密閉されたパッケージングは、その後、プラグの軟骨相の乾燥したHAコーティングを形成するように(例えば、凍結乾燥/脱水により)、1%NaHA溶液からプラグを乾燥させるために真空条件下で、エバポレーションを受けた。乾燥産物を含んでいる無菌パックをそれにより得た。
【0315】
図11は、模式的に本発明の具体化された足場を示し、それにおいて一連の穴または空間11‐30を含んでいる第一相11‐10は、第二相11‐20の頂上に示される。第二相の終端は、当の足場の容易なタイトフィットを許容するために11‐40を先細にさせてもよい。
【0316】
形態および詳細についてのさまざまな変化は、付随するクレームについて明らかにするように本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくその中でなされてもよいことを当業者は理解するであろう。当業者は、本発明の特定の実施態様の多くの同義語を本明細書に記載したことを理解するであろうし、または、ただの通例の実験法を使用することにより確かめることができるであろう。そのような同義語は、クレームの範囲において包含することを意図する。
【0317】
本発明の一つの実施態様において、「約(about)」は品質をさし、ここで特異的な要求を満たすための方法が満たされ、例えば、軟骨および/または骨修復の部位において軟骨および/または修復の特異的な必要性を満たすが特定されるサイズは、全体的でないが大部分であってもよい。一つの実施態様において、「約」は、接近してまたは近似であることをさすが、正確ではない。エラーの小さなマージンは存在する。エラーのこのマージンは、同じ整数値のプラスまたはマイナスを超えない。例えば、約0.1マイクロメーターは、0より低くないが0.2より高くないことを意味する。いくつかの実施態様において、参考値に関する用語「約」は、5%以下、10%以下、または20%以下で示した値の上方または下方の量からの偏差を包含する。
【0318】
クレーム項目において、例えば「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈から反対または他の事実を示さない限り、一または一超を意味する。グループのメンバーの間の「または(or)」、または「および/または(and/or)」含むクレームまたは説明は、もし一、一超、またはグループメンバーのすべてが、中に現され、中に利用され、または他に与えられた産物または方法と関連すれば、文脈から反対または他の事実を示さない限り、熟考のうえで満たされる。本発明は、正確にグループの一つのメンバーが、中に現され、中に利用され、または他に与えられた産物または方法と関連する実施態様を含む。本発明は、また一超、グループメンバーのすべてが現され、利用され、または他に与えられた産物またはプロセスと関連する実施態様を含む。さらに、他に示されないかぎりまたは矛盾または不一致が起こらないことが当業者に明白なかぎり、本発明は、一またはそれ以上の列挙されたクレームからの一またはそれ以上の制限、要素、条項、説明的な用語などが、同じベースクレームに依存する他のクレームに導入されるさまざまな実施態様、すべてのバリエーション、組み合わせ、および並び替えについて、提供する。要素がリストとして示された場合、例えば、マーカッシュグループ形式またはそのような形式について、要素のそれぞれのサブグループは、また開示され、そして任意のエレメント(1または複数)が、グループから除去できることを認識するであろう。一般的に、本発明、または本発明の態様が、特定の要素、特徴などを含んでいるようにさされる場合、本発明のある実施態様または本発明の態様は、そのような要素、特徴などを構成し、または実質的に構成することを理解すべきである。単純な目的のために、それらの実施態様は、本明細書のこの通りの言葉で、すべての場合については、具体的に明らかにされない。あるクレームは、便宜のために従属形式で表されるが、出願人は、独立クレームの要素または制限およびそのようなクレームが依存する他のクレーム(一または複数)を含む独立形式に任意の従属クレームを書き直す権利を保留し、そして書き直されたクレームは、どのような形式でも(補正されたまたは補正されない)、独立形式について書き直される前に、従属クレームすべてに関して、熟考される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織修復のための足場であって、前記足場が以下の2相:
前記2相の第一相が、生体適合性ポリマーを含む固形のサンゴまたはバイオラティス(biolattice)を含み、そして前記第一相がさらに、前記第一相において縦軸(longitudinal axis)に沿って一連の中空(hollow)を含み、そこで前記生体適合性ポリマーが、前記一連の中空内に実質的に位置し;および
前記2相の第二相が、固体のサンゴまたはバイオラティスを含む
から実質的になる、足場。
【請求項2】
前記生体適合性ポリマーが、ヒアルロン酸、キトサンのヒアルロン酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の足場。
【請求項3】
前記サンゴが、ハマサンゴ種(Porites species)、サンゴモドキ種(Millepora species)、またはミドリイシ種(Acropora species)由来である、請求項1に記載の足場。
【請求項4】
前記サンゴが、コブハマサンゴ(Porites Lutea)である、請求項3に記載の足場。
【請求項5】
前記サンゴが、アナサンゴモドキ(Millepora dichotoma)である、請求項3に記載の足場。
【請求項6】
前記サンゴが、クロマツミドリイシ(Acropora grandis)である、請求項3に記載の足場。
【請求項7】
前記生体適合性ポリマーが、さらに抗炎症性化合物、抗感染性化合物、成長因子、キレート剤、抗生物質、細胞集団、血管新生促進因子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の足場。
【請求項8】
前記第一相が、軟骨近位の領域の中に挿入され、そして前記第二相が、肋軟骨下の骨近位の領域の中に挿入される、請求項1に記載の足場。
【請求項9】
軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強のための足場であって、そしてその足場が、アラゴナイトまたはカルサイトの固形形態からなり、そしてさらに以下:
約60‐160μmの範囲の平均直径を有する空間(void)を含む少なくとも第一相;および
約170‐850μmの範囲の平均直径を有する空間を含む少なくとも第二相
を含む、足場。
【請求項10】
約170‐300μmの範囲の平均直径を有する空間を含む第三相をさらに含んでおり、そして前記第二相が、約350‐850μmの範囲の平均直径を有する空間を含み、そして前記第三相が、前記第一および第二相の間に位置する、請求項9に記載の足場。
【請求項11】
軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強のための足場であって、そしてその足場が、アラゴナイトまたはカルサイトの固形形態からなり、そしてさらに以下:
約35‐55%の範囲の細孔容積(pore volume)を含んでいる少なくとも第一相;および
約56‐95%の範囲の細孔容積を含んでいる少なくとも第二相
を含む、足場。
【請求項12】
第三相をさらに含んでおり、細孔が、約56‐80%の範囲の細孔容積を有し、そこで、前記第二相が、約81‐95%の範囲の平均細孔容積を有する空間を含み、そして前記第三相が、前記第一および第二相の間に位置する、請求項11に記載の足場。
【請求項13】
前記固形形態が、ハマサンゴ種、サンゴモドキ種、またはミドリイシ種から分離される、請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場。
【請求項14】
前記固形形態が、コブハマサンゴから分離される、請求項13に記載の足場。
【請求項15】
前記固形形態が、クロマツミドリイシから分離される、請求項13に記載の足場。
【請求項16】
修復部位に適応する形状である、請求項1‐4のいずれか一項に記載の足場。
【請求項17】
円柱、円錐、スクリュー、長方形棒(rectangular bar)、プレート、ディスク、ピラミッド、顆粒(granule)、ボール、またはキューブの形に近似する、請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場。
【請求項18】
さらに中空または少なくとも前記第一相または少なくとも前記第二相における前記足場のデカルト座標軸に沿った中空を含む、請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場。
【請求項19】
生体適合性ポリマーを含む、請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場。
【請求項20】
前記生体適合性ポリマーが、前記第一相のみ、または前記第二相のみに組み込まれている、請求項19に記載の足場。
【請求項21】
前記生体適合性ポリマーが、グルコサミノグリカンを含んでいる天然ポリマーを含む、請求項19に記載の足場。
【請求項22】
前記グルコサミノグリカンが、ヒアルロン酸である、請求項19に記載の足場。
【請求項23】
さらにサイトカイン、骨形成タンパク質(BMP)、キレート剤、治療上の化合物、または抗生物質、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場。
【請求項24】
前記治療上の化合物が、抗炎症化合物、抗感染性化合物、成長因子、血管新生促進因子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の足場。
【請求項25】
細胞集団を播種され、そしてその集団が、間葉系幹細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、またはそれらの組み合わせを含む、請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場。
【請求項26】
円柱状の形で、約5‐15mmの直径を有し、および約5‐25mmの高さである、請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場。
【請求項27】
軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強を誘導しまたは増強する方法であって、軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強を必要とする部位内に、請求項1、または請求項9‐12のいずれか一項に記載の足場を、対象中に移植することを含む、方法。
【請求項28】
軟骨修復の前記部位を露出することを含み、および場合により前記足場を移植する前に、前記対象中の軟骨修復の部位の近位に位置する骨組織を露出することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
軟骨修復の前記部位の近位に位置する骨内の前記足場の少なくとも一部を接着するためのステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記足場の細胞集団の接着、増殖、または分化、またはそれらの組み合わせを促進する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記移植の前に、間葉系幹細胞で前記足場を播種することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記対象が、軟骨および/または骨欠損、または障害、あるいは疾患に罹患している、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記対象がヒト対象である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が動物対象である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記軟骨欠損および障害が、軟骨関節全および部分層欠損;骨軟骨欠損;骨関節炎、関節欠損または外傷、スポーツ、または反復性ストレスによる欠損を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記足場が、少なくとも前記第二多孔性相が、軟骨組織内または近位に移植され、そして少なくとも第一多孔性相が、骨組織内または近位に移植されるように配置される、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
請求項1または請求項9‐12の足場;組織修復における前記足場の利用のための使用方法;および場合により前記足場の最適な挿入のためのツールを含む、軟骨の修復のためのキット。
【請求項38】
異なるサイズ、形状、またはそれらの組み合わせの一連の足場を含む、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
軟骨の修復のための多相性の足場の製造方法であって、以下のステップ:
アラゴナイトまたはカルサイトの一部のみとカルシウムキレート剤および酸を接触させて、前記固形形態の少なくとも一部に拡大された空間を含む固形形態を生成させ;および
適用された陰圧下、前記固形形態を洗浄しおよび乾燥すること
を含む、方法。
【請求項40】
前記カルシウムキレート剤がEDTAであり、前記酸がギ酸である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記接触が、当該足場の所望の最終形状の結果として変動する期間および条件下で行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記固形形態が、少なくとも2相を含む前記方法によって製造され、そしてそれらの相が、それらの細孔容積(多孔度)において異なり、またはそれらの相が、前記空間の平均径の点で異なる空間を含み、またはそれらの組み合わせである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法に従って製造される足場。
【請求項44】
請求項43に記載の足場、組織修復について前記足場を利用するための教示、および場合により前記足場の最適な挿入のためのツールを含む、キット。
【請求項45】
異なるサイズ、形状、またはそれらの組み合わせの一連の足場を含む、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
軟骨または骨修復の誘導、増強、再生、形成の再生もしくは誘導、またはそれらの組み合わせの方法であって、軟骨または骨修復、再生もしくは形成の誘導、またはそれらの組み合わせを必要とする部位内に、請求項43に記載の足場を、対象中に移植することを含む、方法。
【請求項47】
前記足場を移植する前に、軟骨修復、再生、もしくは形成の誘導、またはそれらの組み合わせを必要とする前記部位を露出すること、および場合によっては、前記対象中の前記部位の近位に位置する骨組織を露出することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記部位の近位に位置する骨内の前記足場の少なくとも一部を接着するステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記移植前に、間葉系幹細胞で前記足場を播種することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記足場と自己のまたは同種の生物学的産物を接触させるステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記生物学的産物が、血液、血漿、血清、またはそれらから分離された材料である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記対象が、軟骨もしくは骨欠損、障害、または疾患に罹患している、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記対象が、ヒト対象である、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、動物対象である、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記軟骨欠損、障害または疾患が、全もしくは部分層(full or partial thickness)関節軟骨欠損;骨軟骨欠損;骨関節炎、関節欠損、または外傷、スポーツ、もしくは反復性ストレスに起因する欠損を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記足場が、円錐、鋲(tack)、スクリュー、円柱、長方形棒、プレート、ディスク、ピラミッド、顆粒、ボール、またはキューブを含んでいる形状を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
サンゴに基づく足場の精製のための方法であって、以下のステップ:
所望のサイズおよび形状の固形アラゴナイトを、酸化剤を含む溶液と接触させ;そして
前記固形アラゴナイトを洗浄しおよび乾燥すること
を含み、それによって一つまたはそれぞれの前記ステップが、陰圧下で行われる、方法。
【請求項58】
穏やかな酸性条件下、前記接触を行うことを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記溶液が、次亜塩素酸ナトリウムを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
適用される陰圧下、固形アラゴナイトを少なくとも275℃の温度にさらすことを含む、請求項57に記載のプロセス。
【請求項61】
前記適用される陰圧が、0.2‐0.00001バーの範囲にわたる、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
請求項57に記載の方法により製造される、サンゴに基づく足場。
【請求項63】
軟骨、骨またはそれらの組み合わせの修復、再生または形成の増強のための足場であって、そしてその足場が、サンゴから分離されたアラゴナイトまたはカルサイトの固形形態からなり、そして以下:
少なくとも第一相が、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてそれが、当該天然サンゴ形態から分離された前記固形形態のそれに相当し;そして
少なくとも第二相が、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてその平均細孔直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせが、前記第一相のそれよりも約15‐100%大きい
を含む、足場。
【請求項64】
第三相をさらに含み、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてその平均細孔直径、細孔容積またはそれらの組み合わせが、前記第一相のそれよりも約15%‐35%大きく、そして前記第二相が、平均直径、細孔容積、またはそれらの組み合わせを有する空間を含み、そしてその平均細孔直径、細孔容積またはそれらの組み合わせが、第一相のそれよりも約40‐100%大きく、そして前記第三相が、前記第一および第二相の間に位置する、請求項63に記載の足場。
【請求項65】
前記固形形態が、ハマサンゴ種、サンゴモドキ種、またはミドリイシ種から分離される、請求項63に記載の足場。
【請求項66】
前記固形形態が、コブハマサンゴから分離される、請求項65に記載の足場。
【請求項67】
修復部位に適応する形状である、請求項63に記載の足場。
【請求項68】
円柱、円錐、スクリュー、長方形棒、プレート、ディスク、ピラミッド、顆粒、ボール、またはキューブの形に近似する、請求項63に記載の足場。
【請求項69】
中空または前記足場のデカルト座標軸に沿った中空を含む、請求項63に記載の足場。
【請求項70】
生体適合性ポリマーを含む、請求項63に記載の足場。
【請求項71】
前記生体適合性ポリマーが、前記足場の少なくとも一部内に組み込まれる、請求項70に記載の足場。
【請求項72】
細胞集団で播種され、そしてその集団が、間葉系幹細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、軟骨芽細胞、骨軟骨細胞、線維芽細胞、またはそれらの組み合わせを含む、請求項63に記載の足場。
【請求項73】
骨、軟骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生、または形成の増強を誘導しまたは増強する方法であって、軟骨、骨、またはそれらの組み合わせの修復、再生または形成の増強を必要とする部位内に、請求項63に記載の足場を、対象中に移植することを含む、方法。
【請求項74】
前記足場を移植する前に、軟骨修復の部位を露出すること、および場合によって、対象の軟骨修復の部位の近位に位置する骨組織を露出することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
軟骨修復の前記部位の近位に位置する骨内に前記足場の少なくとも一部を接着するステップをさらに含んでいる、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象が、軟骨および/または骨欠損または障害または疾患に罹患している、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記軟骨欠損、または障害が、全もしくは部分層関節軟骨欠損;骨軟骨欠損;骨関節炎、関節欠損、または外傷、スポーツ、もしくは反復性ストレスに起因する欠損を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
請求項63に記載の足場、組織修復において前記足場を利用するための教示、および場合により前記足場の最適な挿入のためのツールを含む、軟骨修復のためのキット。
【請求項79】
異なるサイズ、形状、またはそれらの組み合わせの一連の足場を含む、請求項78に記載のキット。
【請求項80】
軟骨の修復のための足場であって、軟骨修復の部位内に挿入することができる実質的にカルサイトからなるバイオラティスを含む、足場。
【請求項81】
前記バイオラティスが、テトラクリタ ルホティンクタ(Tetraclita rufotincta)由来である、請求項80に記載の足場。
【請求項82】
修復の部位に順応する形状である、請求項80に記載の足場。
【請求項83】
円柱、円錐、スクリュー、長方形棒、またはキューブの形状に近似する、請求項80に記載の足場。
【請求項84】
前記バイオラティスが、前記足場のデカルト座標軸に沿った中空を含む、請求項80に記載の足場。
【請求項85】
前記軸が、前記足場の長軸である、請求項83に記載の足場。
【請求項86】
前記バイオラティスが、生体適合性ポリマーを含む、請求項80に記載の足場。
【請求項87】
前記ポリマーが、コラーゲン、エラスチン、シルク、ヒアルロン酸、キトサン、およびそれらの任意の組み合わせを含む、請求項86に記載の足場。
【請求項88】
前記ポリマーが、生分解性合成ポリマーを含む、請求項86に記載の足場。
【請求項89】
前記生分解性合成ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、それらの光学異性体、それらのコポリマー、ポリオルトエステル、それらの組み合わせを含んでいる、アルファヒドロキシ酸を含む、請求項88に記載の足場。
【請求項90】
サイトカイン、骨形成タンパク質(BMP)、キレート剤、細胞集団、治療上の化合物、もしくは抗生物質、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項80に記載の足場。
【請求項91】
前記細胞集合が、間葉系幹細胞および/または軟骨修復に関連する他の細胞を含む、請求項90に記載の足場。
【請求項92】
前記治療上の化合物が、抗炎症性化合物、抗感染性化合物、成長因子、血管新生促進因子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項90に記載の足場。
【請求項93】
軟骨修復の誘導または増強方法であって、軟骨修復の部位内に請求項80に記載の足場を、対象中に移植することを含む、方法。
【請求項94】
前記足場の細胞集団の接着、増殖、もしくは分化、またはそれらの組み合わせを促進する、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記細胞集団が、間葉系幹細胞を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記対象が、軟骨欠損、および障害に罹患している、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記対象が、ヒト対象である、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
前記対象が、動物対象である、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
前記軟骨欠損、または障害が、全層関節軟骨欠損;骨関節炎、関節欠損、または外傷、スポーツ、もしくは反復性ストレスに起因する欠損を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
前記足場が、円錐、鋲、またはスクリューを含んでいる形状を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項101】
請求項80に記載の当該足場、組織修復ついての前記足場、場合によって前記足場の最適な挿入のためのツール、間葉系幹細胞、またはそれらの組み合わせを利用するための教示を含む、軟骨修復のためのキット。
【請求項102】
前記足場が、異なるサイズおよび形状を含む、請求項101に記載のキット。
【請求項103】
前記足場、前記器具のセット、および軟骨修復の部位に依存した前記教示を含む、請求項101に記載したキット。
【請求項104】
軟骨修復の誘導もしくは増強、または軟骨疾患もしくは障害の処置を必要とする対象の、当該誘導もしくは増強、または処置における請求項1、9、11、43、63または80またはそれらの組み合わせの足場の使用。

【図1】
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【図2A−2D】
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【図3A−3B】
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【図4A−4B】
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【図5A−5B】
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【図6A−6D】
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【図7A−7I】
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【図8A−8B】
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【図9A−9D】
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【図10A−10B】
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【図11A−11C】
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【公表番号】特表2012−529964(P2012−529964A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515624(P2012−515624)
【出願日】平成22年5月23日(2010.5.23)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000410
【国際公開番号】WO2010/146575
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511304361)カルティヒール(2009)リミティド (1)
【Fターム(参考)】