説明

組織再生法

本発明は、構造組織の再生を促進するための、造血成長因子、特に、エリスロポエチン(EPO)もしくはトロンボポエチン(TPO)またはその誘導体、アナログもしくは部分の使用に関連している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、特に肝臓再生において、組織の構造成長を誘導するための方法に関連付けられ、そして独特許出願103 61 813.9−41および欧特許出願03 029 961.4の優先権を主張する。該内容は出典明示により本明細書の一部となる。
【0002】
(背景技術)
個体発生では組織を合成するために、基本的な構造過程および細胞数に関する多くの過程を引き起こし得る成長因子が発現される。しかし、成長中の生物体および成体生物体では、構造的かつ機能的に無傷な組織を合成する能力または組織損傷の場合には再生する能力は、実質的に失われている。組織合成に必須である蛋白質の発現を順次制御する成長因子の発現低下は、この再生能力低下に関与していると考えられる。
【0003】
しかし、少なくとも幾つかの器官については、成体生物体においてさえ、それらが損傷過程により誘導され得る自己再生能力を保有することが知られている。故に、例えば、肝臓の再生能力は既に大昔から知られている。事実上全ての他の器官は同様に自発的に構造欠陥を架橋し、元々の組織を再構築することはできない。
【0004】
一般的に、成体生物体の肝臓は休止、すなわち非増殖状態にあり、該器官は該状態で複雑な多種多様の代謝機能を果たす必要がある。しかしインビボでは、例えば肝臓の細胞損傷または外科的介入に起因する細胞集団の損失により、肝臓は再び刺激され、成長する。
【0005】
しかし、増殖肝臓組織は、通常、器官の機能的および解剖学的構造を所望の様式で置換せず、その代わりに、一般的には、元々の肝細胞集団が置換されるまで、残存する肝臓組織の拡大および肥大をもたらす。成長応答の強度は組織損失の程度に依存する。ここで、経時の肝再生過程は反比例の相関を有する。すなわち、小さな肝細胞損失はゆっくりと置換され、大きな肝細胞損失は非常に迅速に置換される。
【0006】
故に、細胞増殖のみによる器官集団の置換は、多量の器官損傷を有する患者の治療のための十分な基盤とはならない。今までに、組織の構造成長、すなわち形状を作り出す成長を誘導するための様々なアプローチが知られているが、いずれも未だ十分な成功に至っていない。しかし、細胞のかかる構造成長は、特に治療またはバイオテクノロジー手法にとって非常に重要であろう。
【0007】
これまで、例えば、「上皮成長因子」(EGF)、「血管内皮増殖因子」(VEGF)または「肝細胞成長因子」(HGF)などの成長因子の投与により、細胞成長の誘導が試みられてきた。しかし、インビトロにおいて、一次細胞の複製へのこれらの因子の効果は限られている。一方で、インビボでのそれらの使用は、副作用の可能性、例えば、癌遺伝子の活性化のために問題がある。
【0008】
別のアプローチは、例えば、培養肝細胞(例えば、米国特許第6,008,047号を参照のこと)の細胞複製を誘導するために、例えば、下垂体または視床下部に由来する複合的な異種組織抽出物の使用に基づく。しかし、動物またはヒト組織抽出物の使用には、実験室操作または臨床使用において、例えば、BSE、ブタまたはヒツジウイルスのごとき伝染性ウイルス性疾患を背景とした問題があり、そして該使用により、複雑な器官構造の合成に関係する過程および実際に関連している因子ならびにそれらの使用および活動電位についての知識不足が示される傾向がある。加えて、抽出物の質を定義することは困難であり、というのも、これはとりわけそのソースおよびそれらの培養条件に依存するからである。
【0009】
しかし、一次組織培養の古典的な応用からは、ほんの少しの知識さえも、組織工学の問題に直接適用することはできない。故に、一般的に理想としては、組織工学は、胎児または胚性細胞からいうよりもむしろ既に分化した患者特異的な成体細胞系から出発する。加えて、インサイツおよびインビトロの両方における組織工学は、古典的な応用では考慮されない共培養状態に関連している。実際にはそれどころか、実質肝細胞が拡大する際に肝臓に生じる、内皮細胞、マクロファージおよび線維芽細胞の所望されない共培養の回避が試みられている。
【0010】
WO 02/092013 A2からは、肝臓損傷を処置し、それ故に、肝臓の天然の再生能力を促進するために、治療上有効量の成長ホルモン(GH)を患者に投与することが知られている。この明細書によれば、GHは、肝細胞において成長因子Fox M1Bの発現を加速させ、それ故に、肝臓成長を再び開始させるという効果を有する。
【0011】
しかし、成長ホルモンは組織の成長に対して非常に広い、およびそれ故に非特異的な作用を有する。そのために、GH投与は望ましくない副作用または過剰反応、例えば、いわゆる先端巨大症、すなわち病的な骨状態を伴う過剰な骨形成の形態ももたらす。さらに一方で、Fox1Mは基底細胞癌においてアップレギュレーションされることが開示されている。Fox蛋白質は、いわゆるSONIC HEDGEHOG(Shh)情報伝達経路の活性化を含む、複製、分化および形質転換における成長遺伝子の調節において重要な役割を担う。これらは順次、ヒト皮膚にある基底細胞癌の活性化に関与する。故に、Tehら(Cancer Research 2002,August 15;62(16):4773−80)は、基底細胞癌においてFoxM1のアップレギュレーションが主な開始機序の1つであることを示すことができた。該機序により、SONIC HEDGEHOG情報伝達経路が基底ケラチノサイトに分裂促進効果を与え、広汎なヒト癌性潰瘍の発症をもたらす。故に、Fox1Mアゴニストのこの腫瘍原性潜在能力ならびに全組織における低い特異性および遍在性は、肝臓再生を促進するためのGHの投与に関して有効である。
【0012】
(発明の開示)
故に、本発明の目的は、組織の本質的な構造成長の開始を誘導する方法を提供することである。好ましくは、この成長は、問題になっている組織に必須な機能および構造機能をもたらすだろう。
【0013】
本目的は、構造的および機能的な肝臓再生のために、本発明に従って、造血サイトカイン、その誘導体またはアナログまたは部分を用いることにより達成される。特に好ましい実施態様において、エリスロポエチン(EPO)またはその誘導体、部分もしくはアナログが投与される。しかし、問題となっている組織への本発明による効果は、トロンボポエチンもしくはその部分を投与することによっても達成され得る。
【0014】
意外にも、EPOおよびTPOなどの造血成長因子の投与は、細胞の複製だけでなく、構造成長も開始させることが見出されている。この成長は、特に、以前損傷を受けた組織において開始する。それにより誘導された成長は、インビボにおいて真の意味での組織再生をもたらす。すなわち、複雑な構造を合成するために、増殖成長だけでなく定方向の分化成長が生じる。
【0015】
本発明に記載の、組織再生のための造血因子の使用は、最も重要な点において本質的に、これまで知られていなかったEPOの2つの作用、すなわち、様々な細胞型が互いに同調および協調する形態で構造成長を刺激すること(例えば、細胞外マトリックス(コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、エンタクチン)を考慮に入れた完全な血管構造の再生と相まった、血管領域にある内皮細胞を伴う線維芽細胞、平滑筋細胞のごとき)および実質組織の結合を完了することに基づく。これは、例えば、クッパー細胞、ピット細胞、伊東細胞および内皮細胞(いわゆる肝臓の非実質細胞)に関連する肝細胞の形成を含む。故に、実際の血管樹の形成およびそれらの相互連結に加えて、原状回復(restitutio ad integrum)の意味での組織再生が本発明に従って誘導される。
【0016】
肝臓において、これは、規則的な3D構造中、肝細胞の実質細胞の結合と一緒に、末端の流域にある洞様毛細血管および供給血管および排出血管の混合物をもたらす。
【0017】
既に述べたように、本発明に記載の造血成長因子の作用は、特に、外傷を受けた組織および細胞において開始する。本明細書中、外傷なる用語は、組織発生(組織形成)過程の対照語として定義される。従って、外傷は、個々の生物体において、問題となっている位置での組織形成過程としての組織発生に対抗する過程または組織発生の結果を打ち消す過程である。組織損傷としての外傷は、多様な事象、例えば、損傷、炎症または自己損傷を伴う自己免疫疾患により開始され得る。この組織損傷または破壊は順次、多様な反応、例えば、走化性、血管作用性および創傷治癒促進因子を分泌し、それにより全身および位置選択的機序を調節するマクロファージ、肥満細胞および免疫担当細胞の活性化を開始する。
【0018】
本発明に従って造血成長因子、特にEPOを用いる利点は、4つの全ての基本的な組織型、すなわち、結合組織、筋肉組織、上皮組織および神経組織の組織再生にまで及ぶ。この組織は、個体発生的には、中胚葉(結合組織、筋肉、内皮(上皮の特定形態として))、内胚葉(胃腸管内上皮)または外胚葉(神経組織)のいずれかに由来する。これまでに、EPO受容体は、中胚葉および内胚葉に由来する細胞および神経細胞の両方において発現されることが示されている。
【0019】
これらの組織において、本発明に記載のEPOまたはTPOの使用は、実質細胞および構造細胞において、組織特異的な始原細胞集団(幹細胞)の局所動員、細胞遊走および細胞の分化または分化転換をもたらす。この組織形成の間および前に、EPOの投与に起因して細胞が増加する。
【0020】
例えば、肝臓再生のために本発明に記載の方法を使用すると、以前損傷を受けた器官が再度完成することにより、クッパー細胞、ピット細胞、伊東細胞および内皮細胞を伴う肝細胞の形成を含む、完全な実質組織の結合が成し遂げられ得る。それ故に、血管樹の連続的な形成と共に、原状回復としての組織再生が本発明に従って可能となる。
【0021】
故に、内皮の発芽を介して刺激される再生組織の微細毛細血管化だけでなく、実質の再生および壁構造の形成が促進されることは、本発明に記載の方法に特有の利点である。唯一このことは、機能器官を合成するための協調的三次元成長という所望の結果をもたらす。
【0022】
故に、本発明に記載の使用は、内皮細胞複製における血管新生因子として今日までに知られているEPO作用(Journal of Nephrology 2002 15,97ないし103)をはるかに超えるEPO作用に基づく。しかし、毛細管および洞様血管などの微細血管構造は内皮細胞膜のみからなり、そしてそれら自体の壁構造を有さないので、これまでは、EPOの血管新生作用に基づいて、EPOが血管再生および創傷治癒において特定の重要性を有するかどうかを推測することしかできなかった(Journal of Nephrology 2002 15,97ないし103)。しかし、これらの推測は未だ実証されていない。
【0023】
故に、本明細書において、血管それ自体の同調および協調成長、すなわち、壁構造の形成および実質の再生を含む成長へのEPOの作用の証拠が初めて提供されることは、一層有意義である。
【0024】
本明細書に記載の方法のさらなる利点は、構造成長が開始点として予め特定された有機または無機三次元構造を必ずしも必要としなくともよく、それどころか、新たに器官(部分−)構造を作り出す点にある。故に、造血成長因子の投与は、損傷組織の自己再生を有意に加速し得、このことは、本発明の臨床治療適用において非常に重要である。
【0025】
本発明の特に有利な実施態様において、外傷性損傷領域を有する組織の再生を誘導するために、造血成長因子が用いられる。これらの組織区分において、血管新生の開始を伴う肉芽組織の形成により、創傷の閉鎖だけでなく、細胞外マトリックス、例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチンまたはエンタクチンに由来する組織特異的な三次元構造の再形成も刺激され得る。
【0026】
本発明に従って造血成長因子が用いられる。これらは特に、トロンボポエチン、エリスロポエチンおよび成長ホルモン(GH)ならびに機能的および構造的に類似するそのアナログ、誘導体および/または部分である。しかし、特にEPOもしくはTPOまたはその部分、誘導体もしくはアナログが用いられる。そのペプチド模倣物(以下参照のこと)も適当である。さらに、造血成長因子はG−CSFおよびGM−CSFを含む。
【0027】
造血成長因子は、左巻き4本へリックスバンドル蛋白質であり、up−up−down−downに配向し、最初の2つおよび最後の2つのへリックス構造を互いに連結する2つの連結ループを有する(Livnah O.ら.,Science 1999,283(5404):987−90およびUltsch M.H.ら,Blood 1995,86(2):540−7)。それぞれのRBDドメイン(受容体結合ドメイン)は、EPOと顕著な相同性を有する。トロンボポエチン、エリスロポエチンおよび成長ホルモンは、MPL受容体複合体に結合する。Youssoufianhらによる文献(Blood 1993,819 2223ないし36,Structure function and activation of the Erythropoietin receptor)では、生産的な二量体形成が記載されている。エリスロポエチンおよびトロンボポエチン、ペプチド模倣物(EMPおよびDMP)およびさらに非ペプチド小分子は、より小さいモル濃度に基づくけれども、同様に機能する(文献:Wrighton NCら.Small peptides as mimetics of the protein hormone erythropoietin Science 1996,273(5274)458−64およびCwirla SEら.Peptide agonist of the thrombopoietin receptor as potent as the natural cytokine,Science 1997,27653191696−9およびQureshi S.A.ら.Mimicry of Erythropoietin by non peptide molecules,Proceedings National Academy of Sciences PNAS USA 1999,(9621):12156−61)。EMP1とその受容体との結合は、成長ホルモン受容体化合物のホットスポットに類似する結合部位で生じる。トロンボポエチンの構造配列は、EP 1 201 246 A2に詳細に記載されている。エリスロポエチンの構造配列は、欧特許出願EP 84 308 654.7に詳細に記載されている。
【0028】
本発明の特に有利な一の実施態様は、インビボにおいて赤血球の形成ならびに赤血球始原細胞の細胞分裂および分化を刺激するEPOを利用する。EPOは、尿から単離されるか、または組換え手法のいずれかにより調製され得る。組換えヒトEPOの調製は、WO 86/03520の主題である。さらにEPOは、EP 0 148 605、EP 0 205 564、EP 0 209 539、EP 0 267 678またはEP 0 411 678の主題である。
【0029】
しかし、天然または組換えEPOの誘導体を用いることも可能である。故に、例えば、22個のシアル酸残基と共にさらなるグリコシル化部位を有し、それ故に、より高い炭水化物含量を有するEPO誘導体が知られている(EP 0 640 619 B1)。この修飾の利点は、シアル酸化されていないEPOのみがEPO分解に関与する肝臓のガラクトース受容体に結合することができるために、血漿中のEPOの半減期がシアル酸含量の増加に伴って増大する点にある。省略形、NESP(新規赤血球産生刺激蛋白質またはダーベポエチン)で知られているこのEPO誘導体は、組換えEPOと比較して5箇所で修飾されているアミノ酸配列を有するが、赤血球形成の刺激への作用については、それは本質的に天然または組換えEPOに相当する(Fisher,J.W.:Erythropoietin:Physiology and Pharmacology Update.Erythropoietin 2003,1−14)。EP 0 640 619 B1は、出典明示により、NESPの構造および調製に関する全範囲において本明細書の一部となる。
【0030】
有利にも、NESPは、それに関連する生物学的活性における変化を伴うことなくインビボでの半減期をさらに拡大するために、ポリエチレングリコール(PEG)に化学的にコンジュゲートもされ得る。このように修飾されたNESPは、WO 01/76640から知られており、該文献は、出典明示によりこのEPO誘導体の構造および調製に関する全範囲において本明細書の一部となる。
【0031】
同様に、WO 02/49673 A2およびWO 01/02017 A2は、血漿中半減期の拡大に加えて、より高い臨床効力も示すEPOのペグ化誘導体を開示している。この目的のために、例えば、1ないし6個のさらなるグリコシル化部位が、標的突然変異誘発により、EPOのアミノ酸配列に導入される。この誘導体は同様に本発明に従って用いられ得る。
【0032】
対応する生物学的機能を有するEPOおよびEPO誘導体に加えて、例えば、TPOもしくはその部分のごとき他の造血成長因子も、本発明に従って用いられ得る。
【0033】
TPO(c−Mplリガンド、mplリガンド、メガポエチンまたは巨核球成長および発達因子としても知られている)は、複雑な生物学的作用を有する造血成長因子であり、とりわけ、巨核球および血小板の発達および増殖を調節する。成熟TPOは、332個のアミノ酸からなり、ここで、154個のアミノ酸を有するN−末端領域(RBDドメイン)は、EPOとかなり高い配列および構造相同性を有する(20%の同一性およびさらに25%の類似性)。特に、TPOは、高度に保存された2つのシステイン架橋を形成し、該架橋は、EPOの相同位置においても見出される。
【0034】
これまでに、TPOのN−末端領域は、サイトカイン受容体への結合およびJAK/STAT経路を介して誘導されるシグナルカスケードに関与することが示されている(Geddis A.E.,Linden H.M.,Kaushansky K:Thrombopoietin:a pan−haematopoietic cytokine Cytokine&Growth Factor Reviews 13(2002)61−73)。故に、本発明に従って、TPOの部分、特にN−末端断片だけを用いることもさらに可能である。
【0035】
TPOおよびその変異体の調製および特徴が、例えば、EP 1 201 246、WO95/21919、WO95/21920およびWO95/26746において記載されている。これらは出典明示により開示目的に関するその全てが本明細書の一部となる。胎児肝細胞へのTPOの作用は、E.Schmelzerによる研究から知られている(E.Schmelzer:Optimierung der Kultur und Charakterisierung primaerer embryonaler Hepatozyten der Ratte [Optimization of the Culturing and Characterization of Primary Embryonic Rat Hepatocytes];Dissertation Goettingen 2002)。
【0036】
TPOの適当な変異体は、例えば、WO95/21919に記載されているTPO誘導体またはWO95/21920に記載されている対立遺伝子変異体もしくは種ホモログまたはWO95/26746およびEP 1 201 246に記載されているペグ化TPOであるが、これらに限定されない。本発明の目的のために、ペグ化TPOは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンのごとき有機ポリマーに結合されているTPO誘導体を意味することが意図される。TPOのさらなる変異体は、配列同一性が100%未満であるにも関わらずTPO活性を有するもの、好ましくはEP 1 201 246において記載されているもののごときTPOの誘導体を意味することも意図される。TPO誘導体は、通常、TPO活性を有するその断片を含むヒトTPOと比較して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも80%およびさらには少なくとも85%の配列同一性を有する。本発明の目的のために特に好ましいTPO活性は、TPOまたはその変異体による、巨核球または巨核球始原細胞の血小板産生形態への増殖、分化および/または成熟の加速である。
【0037】
本発明に従って、EPOおよびTPOは、ヒトおよびヒトでない形態の両方において用いられ得る。故に、例えば、ヒトTPOは、ブタまたはマウスTPOと70%を上回る相同性を有する。
【0038】
本発明の別の実施態様において、造血成長因子それ自体ではなく、その代わりに、外傷組織において成長因子の発現を誘導する因子を患者に投与することが可能である。
【0039】
故に、例えば、Naughton BAら(Age−related variations in hepatic regeneratrion and erythropoietin production in the rat,Am J Anat.1977 Jul;149(3):431−8)により、エリスロポエチンが新生児の段階において肝臓および脾臓において主に形成されること、および腎摘出の場合、肝臓のEPO形成現象は肝切除後に再び増大し得るということが記載されている。この能力は年齢とともに減少する。その後、低酸素状態への応答として再生肝がエリスロポエチンを産生することも認識された(Hepatic regeneration and erythropoietin production in the rat.Naughton BA,Kaplan SM,Roy M,Burdowski AJ,Gordon AS,Piliero SJ.Science,1977 Apr 15;196(4287):301−2)。EPO産生は肝臓の再生段階に依存することも見出されており、最も高いEPO濃度は最も強い肝臓の成長段階において見出される。
【0040】
Dornfestらは1981年に、肝臓がEPO誘導因子形成の主なソースであることを記載した(Recovery of an erythropoietin inducing factor from the regenerating rat liver.Dornfest BS,Naughton BA,Kolks GA,Liu P,Piliero SJ,Gordon AS.Ann Clin Lab Sci.1981 Jan−Feb;11(1):37−46)。腎摘出の場合、肝臓での因子の形成が増大する。故に、本発明に記載のEPO作用は、EPOの発現を誘導する因子を投与することにより間接的に成し遂げられ得る。
【0041】
同様に、内因性EPO発現は、例えば、成長ホルモン(GH)を中期または長期的に投与することによりEPO分泌を刺激することにより成し遂げられ得る(Sohmiya,M.,Y.Kato.Effect of long−term administration of recombinant human growth hormone(rhGH)on the plasma erythropoietin(EPO)and haemoglobin levels in anaemic patients with adult GH deficiency. Clinical Endocrinology(2001)55,749−754)。
【0042】
溶液中の成長因子の個々の濃度は、約1ないし約100ng/ml、好ましくは約10ないし約50ng/ml、特に約10ないし約20ng/mlであり得る。しかし、局所コーティング(局所投与)の場合、成長因子の濃度はその数倍であってもよい。
【0043】
有利には、造血成長因子は、インビトロでの組織培養のためにも用いられ得る。この目的のために、装置中かつ組織に特に適する方法により、例えば、500mの大きさを有する交差ネット構造を有するメッシュ上で細胞を培養し、常に、肝細胞の新しい娘細胞凝集体を形成させる。特にインビトロにおいて、EPOとGHの組み合わせは有利である。
【0044】
特に、非接触型の自動もしくは手動制御型ポンプシステムを用いることが可能であり、該システムは、例えば、ピストンポンプから構成されるか、または磁力的もしくは圧縮空気によるホースの圧縮により生じる定方向の流れをもたらす。内皮細胞の存在下、灌流バイオリアクター中の剪断応力は、凝集体表面に内皮細胞の自然発生的な集密をもたらし得、これはさらなる使用のために有利であってもよい。
【0045】
カプセル化に適するものは、当業者に知られている適当な物質であり、その中へ、例えば、構築された形態または容器が組み込まれ、インサイツでの構造成長または拡大を促進する。別法では、カプセルは取り除かれ得、そして内皮細胞形成およびそれ故に最適な血液適合性が、例えば、内皮細胞の存在下で成し遂げられる。
【0046】
本発明に記載のEPOまたはTPO投与は、生物組織の置換において、単独か、または比較的大きな構造欠損の場合には、足場物質と組み合わせて実施されることになる。これらの支持物質は、インビトロまたは体外でプレコロニー化されてもよく、生物学的にモデリング可能(生分解性)であってもよく、そして理想的には、ミクロ−およびマクロ構造的ならびに生化学的に、置換される構造に可能な限り類似している。生化学的近接性または同一性は、コラーゲンおよびマトリックス蛋白質(エラスチン、フィブロネクチンおよび組織特異的な形状の体内の全ての既知のマトリックス成分)によるインビボ組成物の再構築物を含む。
【0047】
幹細胞は、患者体内に存在する様々なソース:骨髄、末梢血細胞、脂肪組織、組織それ自体、臍帯血または臍帯組織から得ることができる。同種幹細胞は同様に得ることができるが、免疫学的不都合に悩まされる。胚性細胞を用いることができるが、同様の不都合に悩まされる。
【0048】
特に好ましい実施態様において、培養細胞の構造成長過程は、本明細書に記載の成長因子を用いてコーティングされたマトリックスにより誘導され得る。この目的のために、マトリックスは、1またはそれ以上の該成長因子を用いて連続的に処理され得る。
【0049】
生物マトリックスの場合、最近のものは、通常、インプラント(ステント、パッチまたはカテーテル)、グラフト(例えば、皮膚グラフト)、細胞成長のための支持物質、例えば、いわゆる徐放性物質(例えば、フィブリンおよび/または、例えばポリ乳酸またはポリヒドロキシアルカン酸および/またはアルギン酸のごときポリマーに基づくヒドロゲル)、骨補充材(例えば、リン酸三カルシウム)、同種、自家または異種の無細胞化されたもしくは無細胞化されていない組織(例えば、心臓弁、静脈弁、動脈弁、皮膚、血管、大動脈、腱、角膜、軟骨、骨、気管、神経、半月板、椎間板、尿管、尿道または膀胱(例えば、EP 0 989 867またはEP 1 172 120を参照のこと))またはマトリックス(例えば、ラミニン、コラーゲンIVおよび/またはマトリゲルマトリックス)または好ましくは、例えばコラーゲンI、3T3および/またはMRC−5支持細胞層のごとき支持細胞層またはコラーゲンフリースである。
【0050】
有利には、生物マトリックスは、組織特異的細胞、前駆細胞、骨髄細胞、末梢血細胞、脂肪組織および/または繊維組織、例えば、骨髄に由来する成体の前駆細胞を用いてプレコロニー化される。プレコロニー化することにより、予めインビトロにおいて再生過程を開始させ、その結果、マトリックスを体内に埋め込んだ後のインビボでの再生時間が短縮される。
【0051】
用いるマトリックスは予め活性化されていてもよい。生物マトリックスまたは支持構造の活性化は、例えばプラズマイオン化により、例えば過酸化水素を用いて、またはレーザー活性化により行われ得る。
【0052】
別法では、1または複数の前記成長因子を含む生分解性(バイオ)ポリマー層を用いるコーティングも行われ得る。この目的のために、例えば、フィブリン、血漿、血液、コラーゲンおよび/またはポリ乳酸が適する。
【0053】
本明細書に記載の方法は、特に、成体細胞、すなわち、胚性または胎児表現型をもはや有さない、主に分化を終えた細胞に適する。それは特に、ヒト成体細胞、例えば成体始原細胞、組織特異的細胞、好ましくは、骨芽細胞、線維芽細胞、肝細胞および/または平滑筋細胞に適する。
【0054】
記載の成長因子の培養物への供給を終了または減少させることに加えて、ソマトスタチンおよび/またはTGFベータおよび/またはプロスタグランジンも、本発明に記載の成長過程を終了させるのに適する。
【0055】
本発明に記載の方法をインビボにて局所的に用いることは特に有利である。この目的のために、例えば、器官(例えば、肝臓)の切除表面に成長因子が適用され得る。それらは局所的に投与され得、またはカテーテルの補助により局所もしくは全身投与もされ得る。肝切除の場合、それらは、処置の前、その間または後に、代わりまたは追加として投与され得る。同様に、問題となっている組織または関節に(例えば、軟骨再生を促進するために)直接成長因子を注入することが可能である。故に、成長因子は滑液を介して新しい軟骨構造の形成に直接作用することが可能である。
【0056】
一の特定の実施態様において、造血成長因子に加えて、1またはそれ以上の以下の成長因子が投与され得る:「トランスフォーミング成長因子ベータ」(TGFベータ)、プロスタグランジン、顆粒球−(マクロファージ)−刺激因子(G(M)−CSF)、「成長ホルモン放出ホルモン」(GHRH)、「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン」(TRH)、「生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン」(GnRH)、「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン」(CRH)、ドーパミン、「抗利尿ホルモン」(ADH)、オキシトシン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン、ベータ−セルトロピン、ルトロトロピンおよび/またはバソプレッシンまたはさらなる1またはそれ以上の神経再生因子、好ましくは「神経成長因子」(NGF)および/または1またはそれ以上の血管再生因子、好ましくは「血管内皮増殖因子」(VEGF)および/または「血小板由来成長因子」(PDGF)。
【0057】
造血成長因子は、注入可能なミクロスフェア、侵食性粒子、ポリマー化合物(ポリペプチド、ポリグリコール酸を伴う)、リポソームおよび小粒子として非経口投与される。注入可能または埋め込み可能なドラックデリバリーデバイスも同様に可能である。該物質は吸引されるか、皮下、筋内に注入されてもよく、または局所適用のために皮膚用プラスター剤として投与されてもよい。
【0058】
加えて、局部充血に達し、それにより皮膚浸透性を増大させる物質(例えば、ハチ毒)が、プラスター剤と混合され得る。塩を直接EPOでカップリングまたはコーティングするかに関わらず、ハイパーイオン構造は皮膚バリアを通してより良好に輸送され得、そして好ましくは、陽イオン化構造に結合され得る。陰イオン化も可能である。該因子は、腸領域または皮膚にある粘膜を介する輸送を促進するために、アーモンド油またはホホバ油と一緒に用いられ得る。
【0059】
輸送バリア(口腔、胃、腸の粘膜;粘膜、角膜)を乗り越えるために、ポリエチレングリコール(PEG)との結合も可能である。
【0060】
混合調製物は蛋白質から調製され得ることが知られている。懸濁液、ゲルエマルジョン、固形化合物、脱水または凍結乾燥粉末も可能である。成長因子は粒子中に吸収されるか、またはカプセル化され得る。
【0061】
組織再生のためにEPO/TPOと一緒に幹細胞(真の意味での始原細胞)を用いることは特に有利であり、その結果、再生過程のための4つの基本的な組織型に由来する組織細胞の動員を有意に加速する。EPO/TPOおよび記載した他の因子は、幹細胞および例えば支持マトリックスとしてのフィブリン接着剤との混合物として投与され得る。必要に応じて、支持マトリックスは省かれるか、またはより強力に予め構築かつ形成された支持マトリックスによって置換され得る。該因子は、生物学的支持マトリックスをいずれも伴うことなく、例えば、単に水性懸濁液中にて、全身または局所投与もされ得る。
【0062】
本発明に記載のEPO投与は、幹細胞の組織特異的形状化ならびに複製および統合後の分化により組織再生を促進し、そして基本組織型に関連する成長に協調する。
【0063】
I.適用部位
1.扁平上皮
本発明に従ってEPOを用いて基底膜(上皮下の細胞外支持層)の形成を促進する。EPOは乳頭辺縁部の形成を支持する。
【0064】
本発明に従ってEPOを用いて腺上皮の形成を支持する。EPOは、円盤状立方および円柱上皮(食道の扁平上皮、精管の円柱上皮、膀胱の移行上皮)の再生をもたらす。
【0065】
EPOは、構造成長過程において、デスモソーム、すなわち、細胞とその接着構造の間のコネクタの再形成を惹起する。例えば、小腸(精巣上体、気管)の上皮にある、いわゆる微絨毛の形成。
【0066】
EPOは、単層扁平上皮、心臓、血管およびリンパ管の内膜ならびに円柱上皮(胃、小腸および大腸、胆嚢、卵管、子宮)の再生への直接作用を有する。本発明に従ってEPOを用いて二層上皮(口腔、涙鼻管の唾液腺、精巣上体管、精管)を形成する。円柱上皮(鼻腔、上咽頭、喉頭、気管支樹、尿道、耳管)のために、さらには、非角化および角化扁平上皮の形成のために、本発明に従ってEPOが用いられる。実質再生において構造を促進するEPOの態様は、外分泌腺の形成を支持する。これらは、とりわけ、膵臓、小腸上皮にある腺(杯細胞(beaker cells)、顎下唾液腺、インスリン産生のための島細胞)を含む。EPOは内分泌腺の再生を支持する。
【0067】
2.結合組織
EPOは、周囲の実質の腺構造(surrounding parenchymal gland structures)と協調して結合組織の基本構成成分を修復することができる。それにより作用される基本構成成分は基本物質(グルコサミノグリカン)であり、結合組織細胞、線維芽細胞、肥満細胞およびコラーゲン線維ならびにエラスチン線維および挿入マクロファージ(例えば、肝臓にあるクッパー細胞、ピット細胞、伊東細胞)および毛細管内皮細胞に加えて、いわゆる血漿細胞、脂肪細胞、血管および周囲の平滑筋細胞と協調する。毛細管は内皮細胞膜のみを有する。
【0068】
しかし、EPOは、本明細書において概略される微小環境において広範な協調的態様を有する。これは、外傷により開始状態に入る。これらの開始カスケードが外傷後に加速されるならば、EPOは本発明に従って治療的に投与され得る。EPOは、触媒ならびに全身および局部的な組織再生プロモーターとして、マクロファージにより局部的に開始される免疫調節作用を本発明に従って支持する。該作用は、血漿細胞と組み合わせたマクロファージ中のインターロイキンおよびサイトカインの免疫調節および遊離を含む。本発明に記載のこの相互作用能力は、必要部位(外傷、炎症、自己免疫疾患)におけるEPO/TPOの治療的投与に高い位置選択性をもたらす。
【0069】
本発明に従って、EPOは治療的使用において全身性内因性応答と共にこの局所的な免疫賦活を調整する。それによりEPOは治療効果としてのカスケード加速という意味において炎症反応の開始を促進する。それは内因性成長ホルモンの遊離を増大させ、そしてそれ故にそれらの副作用の可能性も制御する。故に、成長ホルモンの全身投与を回避することができ、そして該生理作用状態の過程での腫瘍形成の可能性に関してそれらの制御不能な作用が回避される。
【0070】
本発明に従って結合組織構造は修復され得る。これらは、コラーゲン線維、細網線維、例えばリンパ節、エラスチン線維および基本物質(プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン)の形態を含む。調節される結合組織細胞は、特にリンパ組織および器官における、線維芽細胞、細網細胞、間葉細胞、脂肪細胞、単球およびマクロファージである。単球は分化してマクロファージになり得ることが知られている。EPOは、炎症および感染反応において、その後のおよび必要な組織修復および3D再生について、マクロファージの防御を加速し得る。
【0071】
マクロファージの走化性機能はEPOにより共に調整される。結合組織に位置する局部的な単球はEPOによる組織動員に含まれ得、これらは、全身および局部で利用可能な始原細胞という意味において、ならびに局部的な修復のために、直接寄与し得る。
【0072】
EPOは細網内皮系(RES)の機能を調整する。これは、細網線維のネットワーク中に組み合わされ、そして、肝臓、脾臓および骨髄の内皮細胞を統合する。加えて、EPOはリンパ球の活性、血漿細胞、マクロファージの活性および免疫調節様式で肥満細胞の活性を調整する。
【0073】
外傷過程後、EPOは、他に関係なく知られている、構造合成および位置選択的組織再生に対するこれらの細胞の個々の機能を合わせる。次いで、炎症反応は、逆カップリング効果を介して治まり、そしてそれ故に、抗体形成により介され得る自己免疫現象も治まる。本明細書中、EPOは本発明に従って医薬として治療的に用いられる。
【0074】
組織再生の間、結合組織構造が形成され、および緩い結合組織構造(皮膚の皮下組織、中空器官内、特殊化されていない結合組織)が構築される。EPOは、結合組織の形成(不規則および規則的な結合組織、帯、靱帯、筋膜、腱における形成、ならびに組織特異的に混合されるか、またはゼラチン様式にて提示される、弾性構造およびその三次元架橋との連携)をもたらす。
【0075】
EPOは細網細胞の合成を支持し、特に、細網結合組織を修復する。EPOは、脂肪組織ならびにEPOの増殖機能の動員および利用によりそこに分類される始原細胞の合成を支持する。
【0076】
本発明に記載の作用は、これらの結合組織の構成成分の支持機能および力の伝達の改善を惹起する。結合組織は体の脈管をもたらすので、物質交換における改善が生じる。脂質、グリコサミノグリカンの貯蔵と一緒に、結合組織構造の貯蔵機能における改善が生じる。EPOは、水および電解液の機能において治療的改善をもたらす。
【0077】
EPOは、原因病原体に対するバリア機序が修復されるために、保護機能における改善も惹起する。組織構造が修復されるために、炎症後に修復過程が生じる。本発明に従って、EPOは実質および構造再生を支持する。
【0078】
これは、創傷治癒という意味で、置換組織およびそれ故に置換機能のみをもたらす肉芽組織の形成(いわゆる創傷治癒の特徴として)と対照をなすものと見なされるべきである。これは、瘢痕組織および緩い繊維組織の形成を意味するものと解釈され、欠損の被覆を成し遂げ得るが、高度な機能損失に関連している。本発明に従って、本明細書中、EPOは、それ以前の組織の修復という意味において、構造形成過程を有する。しかし、特に大きな欠損においては、位置標識物質との組み合わせが、組織形成過程を(形態的および機能的に)支持および促進し得る。統合のために用いられる任意の足場物質(例えば、血管、心臓弁、移植片のための支持物質)がEPOと組み合わされ得るために、このことは、組織工学にとって大きな意義を有する。永久インプラント(非生分解性物質)はより良好な組織統合のためにコーティングされ得る(例えば、金属およびセラミック製プロテーゼ)。
【0079】
3.血管およびリンパ循環系
これまで知られているように、EPOは、血管系ならびに毛細管構造だけでなく主要血管の再形成をもたらす。主要血管の構造は、静脈および動脈(大循環および小循環)も含む。
【0080】
さらに、EPOは、リンパ循環系およびリンパ管それ自体にも関連する組織構造内での再生過程を促進する。EPO統合による修復は、内膜、内皮に関連しているだけでなく、むしろ特に結合組織および筋細胞からなる中膜に関連している。さらには、結合組織縦層を形成する外膜に関連している。様々な型の動脈は、血管形成において重要である。例えば、弾性筋構築型および異なる結合組織構造の動脈があり、それらは、再生過程、すなわち、内弾性膜および外弾性膜ならびに血管の形成により共に誘導される。ここで、脂肪細胞は壁層に統合される。弾性構築型の動脈の場合、EPOは、血管を伴うその外膜に加えて内弾性膜の再生を促進する。横断面が0.1ないし7mmの筋構築型の動脈の場合、EPOは、培地中、平滑筋の活発な形成を促進する。さらに、EPOは、内皮下結合組織層の形成を促進する。これまでに内皮細胞の構成成分として知られている内膜のごとき典型的な合成形態だけでなく、特に、内弾性膜、弾性相構造、筋細胞、中膜、弾性膜および外膜が修復される。近接する特異的な幾何学的配置となった伴行静脈の領域における静脈筋の形成のごとき空間的幾何学的配置も、EPOの治療的投与により促進される。
【0081】
これらは集合体形成の推進を伴う2次元結合過程ではなく、むしろ特異的な3次元構造再形成過程である。故に、本発明によれば、EPOおよびTPOは、古典的な成長因子という意味での既知の増殖因子に相当せず、むしろ「3D再生因子」という意味において作用する。
【0082】
内膜、中膜および外膜の形成を伴う静脈内のEPO刺激領域において、同様の結果が見出される。さらに静脈弁構造は、幾何学的形状にて、特に足場物質に連結して、或いは外傷および変性過程後の拡張された血管領域において可能であるならばさらには足場に連結して、再生され得る。
【0083】
比較的大量の欠損の場合、特定状況下にて支持物質を埋め込むこともでき、結果として、EPO作用は概してリモデリング過程および生物体への統合に集中する。しかし、完全な変性過程の場合、特に実質構造の場合、これらの管は同時に形成される。
【0084】
様々な血管構造、例えば、動静脈吻合に限定されない。特に、血管および変性構造における加齢により誘導される変化も、EPOの治療的投与と併せて改善され得る。加齢過程において、平滑筋の縦筋構造が形成される。変性過程は、組織構造の構築原理に従って開始される新規構造の形成活動を意味する。これらは、新しく形成される血管として組織構造中に構築され得、そして主として病理学的に変化されない。
【0085】
本発明に従って、炎症反応は、EPO投与によりモデリングされ得る。EPOの投与により、心内膜ならびに心筋の領域において再生過程が生じる。心外膜は、EPO投与により再生が開始される心膜の一葉である。壁側葉の心膜は、結合組織層にある中皮細胞層からなる漿膜である。心臓領域において、特に、幹細胞のコロニー化およびEPO投与と併せて構造補助(足場)がもたらされるならば、心臓弁ならびに腱索の再生が生じる。刺激伝導系の再形成は、局所的な破壊後に生じ得る。これらは、修復もされ得るプルキンエ線維および房室結節を含む。加えて、リンパ管、心臓神経叢、冠状動脈構造は互いに組み合わされる。
【0086】
通常の形状の管および集合管(内膜、中膜および外膜)に対応するリンパ管および毛細リンパ管は、EPOの投与により構築される。修復過程は、胸管領域に関連付けられてもよい。
【0087】
弁および集合管は、構造合成過程において同様に統合される層である。血管系の場合、血管形成の活性化が生じ、その幾つかは、末梢性始原細胞だけでなく局所性始原細胞からも動員される。初めに、内皮細胞構造からなる毛細管の構築が生じる。しかし、EPOを適用する領域において、その後に筋肉構造および結合組織構造を構築することにより、構造合成が開始され得ることが重要である。
【0088】
刺激伝導系は、調節細胞および結節の相互作用を提供するので、EPO作用を調整するために主要な役割を果たす。
【0089】
免疫系の細胞は、リンパ球、マクロファージ、血漿細胞、幹細胞を含む。細網結合組織の網目構造は、免疫系の免疫装置である細胞に連結する。EPO投与は、細網結合組織、細網細胞および細網線維の修復に加速効果を与える。同様に、胸腺構造は、再度修復され得る。そこで、皮質および髄質構造は組織学的に修復される。EPOの投与は、リンパ節の組織学的再生ももたらし、それは順次、中間洞、髄洞、辺縁洞、被膜組織および結合組織性中隔ならびに輸送リンパ管、リンパ節または髄索を形成し得る。
【0090】
修復過程の完了および協調的連携後の組織構築化は、被膜組織および結合組織性中隔、門部結合組織および輸入/輸送リンパ管、リンパ節、髄索および輸送リンパ管を伴う通常の構造に相当する。
【0091】
再生原理は、脾臓領域において、通常の被膜、粒子構造および門部の修復ももたらし得る。さらに、白脾髄の修復については、脾洞板のマルピギー小体が乳汁分泌性の索(lactiferous cords)において見出されている。脾臓の血液循環は、脾臓動脈、脾洞静脈および一緒にもたらされる歯髄静脈と共に修復される。白脾髄およびリンパ鞘の連結が修復される。
【0092】
損傷後のEPO投与は、基底膜、細網細胞、細網線維および赤血球の三次元相互作用を惹起する。開いたおよび閉じた循環系が形成される。ここで、骨髄細胞から生じ得るマクロファージとの相互作用は、体内の内因性カスケードの開始および成長メディエーター(成長ホルモン)の媒介を可能にするために重要である。
【0093】
4.皮膚/真皮
皮膚領域における火傷、外傷、熱傷、機械的損傷または炎症後の修復過程は非常に多様である。EPOまたはTPOの投与は、構造置換を伴うおよび伴うことなく再生を成し遂げ得る。
【0094】
特に、慢性疾患、灌流障害、糖尿病性潰瘍ならびに免疫学的性質の現象の場合、EPOはそこでモデリング作用に関与し得る。組織学的な表現をすると、通常の表皮、真皮および皮下組織の再形成が生じ、それが、マクロ構造を伴う対応する血管新生化を成し遂げる。手掌および足底では、基底層、顆粒層、透明層、角質層の形成が生じる。真皮および外側では、真皮乳頭の形成が生じる。表皮(内表面)では、対応する上皮陥凹が再度形成される。加えて、付属器官および始原細胞に由来するその形成も支持される。今日まで、組織工学における1つの問題は、皮膚領域において、構造修復が皮膚付属器官の形成と連結することであった。
【0095】
EPO投与は、ヒトメラノサイト系領域において相互作用過程を成し遂げ得る。眼、髄膜および色素沈着形成の間の生理学的な逆カップリング過程が考慮され、というのも、これらは単離細胞の連結ではなく、むしろ器官特有の再生産物であるからである。
【0096】
皮膚部分の修復過程は、筋構造(立毛筋)、触覚構造、外毛根鞘および内毛根鞘ならびに毛球構造を含む。特定の状況下では、これは脂肪組織に突き出る。毛および毛包において、結合組織毛根鞘が形成され、それは再生において重要な機能構造を含む。そこから、硝子膜、外毛根鞘、内毛根鞘および最終的に毛が形成する。同様の過程が、爪再生領域においても支持され、かつ成し遂げられ得る。組織構造内にて、汗腺も形成される。皮膚構造では、毛包周囲ネットワーク構造、ネットワーク、毛細管下動脈ネットワーク、末端静脈ネットワークが再度形成される。
【0097】
5.消化器系
EPO投与は、粘膜最内層、粘膜およびいわゆる固有層の結合組織層の修復に作用する。最深層は、平滑筋層、粘膜筋層を形成する。該層構造は以下の通り:漿膜細胞および筋層、粘膜下層および粘膜である。これらの構造は消化腺を通り抜け、および粘膜腺は粘膜内に位置する。加えて、粘膜下腺および筋層間神経叢(Auerbach)および粘膜下神経叢(Meissner)が再生する。舌領域では、葉状乳頭が再生する。口腔領域では、味蕾も組織再生領域において再生される。これらは、4型基底細胞、1型支持細胞、3型受容体細胞、糖蛋白質および味孔から構築される。漿粘液性唾液腺は、条片部分、連結部分、粘膜末端部分、基底膜、筋上皮バスケット細胞および漿膜末端部分からなる。重要な修復過程は、歯周症において、歯領域においても生じ得る。例えば、これは、歯槽骨および根尖部を伴う根管に関連する歯周組織構造に関連している。該修復過程は、幹細胞をコロニー化したリン酸カルシウム構造またはEPOをコーティングした他のミネラル補充物質を加えることにより成し遂げられ得る。EPOが支持する再生過程の形成は、歯根を除去し、およびこれらの構造をインビボにおいて局所的に再修復した後に、上顎洞、顎下構造領域中にある嚢胞部分において生じる。
【0098】
同様に、対応する物質および象牙芽細胞がEPO投与によりインビトロで調製され得る。
【0099】
例えば、骨軟骨性シリンダーなどの骨軟骨性構造は、EPO投与を用いて成長再生を促進する様式でインビトロで調製され得、そしてインビボで移植され得る。新しい神経支配を伴う根管構造の形成は、加えられる、EPOコーティングされたガイド構造を介して促進される。コーティング過程においてペプチド構造としてももたらされ得る細胞外マトリックスの分子がここで役立つ。エナメル器構造は、歯髄・象牙芽細胞、中間帯エナメル髄と一緒になって、損傷および外傷過程後の成長過程において支持され得る。修復および再生過程は、周囲結合組織の領域および歯構造または顎領域におけるインプラントの統合に集中する。歯髄結合組織および根管根尖部を閉塞または遮断する血管を伴うその形成は、ここで、神経支配について主要な働きを担う。このように、歯周組織(歯根膜)が再生される。シャーピー線維は歯根膜を通り抜け、そしてセメント質または歯槽骨中に係留される。
【0100】
EPOは、この領域において、炎症および外傷反応後に再生過程をもたらす。歯肉領域では、歯周症における炎症現象へのEPO投与は、修復過程の改善を惹起する。
【0101】
のど:
再生過程は、EPO投与により細胞質多層上皮が修復された咽頭領域にまでも及び得る。ここでも、筋層および外膜は協調様式で修復され得る。扁桃内にあるリンパ球構造中の陰窩構造および被膜構造が修復される。再生過程は、扁桃炎においてのような炎症性構造の位置特異的再生も促進し得る。
【0102】
体幹/腸:
腸領域には、24ないし48時間以内に自身で再生し得る、高度再生型の上皮構成成分がある。炎症反応の場合、この修復活性に欠損が生じ、結果として、EPO/TPOによる支持効果が身体の補填反応を促進し得る。これは、上皮構造、例えば、固有層、粘膜;粘膜筋層、粘膜下層、輪筋層、筋層ならびに縦筋層および外膜の再形成を惹起し、それは、修復過程の際に、腸壁全領域を通り抜け、結果として、特異的な、壁表面ならびに壁内および壁深部の再生が促進される。これらの原理は、のどから始まって、口腔および食道および直腸に至るまでの、胃腸管の全領域にわたって継続され得る。食道では、粘膜筋板、固有層および重層扁平上皮が再生され得る。EPO投与により漿膜構造が統合および修復される。
【0103】
特に、胃小窩を伴う胃部、胃腺、粘膜筋板、中皮外側および漿膜下結合組織、筋層、粘膜下層および粘膜の領域において、胃壁の再構築が可能である。表面上皮と同様に、該構造では、壁細胞、胃腺、主細胞、固有層、筋粘膜および粘膜が再生される。胃底腺領域の細胞領域を含む再生過程は、主細胞の再形成を含む。壁細胞への連結が提供される。本発明に従ってEPOによりもたらされる刺激は、ポリペプチドのごとき血管作用性物質を遊離する細胞の再生およびセロトニンを遊離する腸クロマフィン細胞(ECN)の形成も含む。胃腺が再生され得る。胃の表面上皮が3日以内に自身で再生し得ることが知られている。重度の外傷、炎症性損傷、再生障害の場合、EPO投与はこの再生能力を回復するために役立つ。小腸領域において、固有層、粘膜筋層、孤立リンパ小節、粘膜下層、輪筋層、縦筋層、漿膜の再形成が生じる。該構造において腸絨毛が再形成され、同様に、孤立リンパ小節およびKerkring像が形成される。同様に、陰窩が修復される。陰窩は、いわゆるパネート細胞を含む。これらは、腺底において分泌産生をもたらし得る。バイエル板は、十二指腸の固有層に位置する。EPO後のブルンナー腺の末端部の再生は、特徴的な粘膜細胞、淡色の細胞質および細胞底に位置する扁平細胞の核を示す。EPO投与による大腸再生は特に外科的切除後に重要な役割を担う。
【0104】
6.骨格
EPOは、ピンと張られた(taut)コラーゲン性結合組織、軟骨組織および骨組織への細分化を伴って、骨格組織の再生をもたらす。軟骨細胞の場合、EPOは、細胞間物質の形成を促進し、そして、機能改善、軟骨細胞構造をもたらす。EPOは、外傷を受けた後に、成長帯の形成および周囲組織(pericondium)(関節を除く周囲結合組織構造)の形成を支持する。知られているように、周囲組織の軟骨形成活性は成体年齢前の身体成長期間に限られているために、成体において軟骨細胞はもはや増殖できない。EPO投与はこれらの再生過程に治療的効果を与え、そしてさもなければ阻害される、欠損充填物質のごとき結合組織細胞の形成を可能にする。幾つかの場合、形成過程、すなわち、EPO投与による動員における線維芽細胞および軟骨細胞の変換が、主要な役割を果たす。EPOは、例えば、喉頭末端、気管、気管支および鼻骨格部分についての関節表面領域の硝子軟骨のごとき軟骨構造の再生において治療的に用いられる。本発明に従って、EPOは、軟骨被膜の形成およびプロテオグリカン/コラーゲンの形成を促進する。本発明に従って、幹細胞との組み合わせが可能である。しかし、EPOは、単離形態でも用いられ、例えば、喉頭蓋軟骨領域に位置する弾性軟骨を再生する。これらは、外耳および耳管の軟骨も含む。本発明に従って、EPOは、関節領域に連結した繊維性軟骨を修復するために用いられる。これらは、椎間板、関節内突出部、円板および半月板の領域における再生過程も含む。成体生物体において、さもなければ失われてしまう軟骨における再生変化は、本発明に従って再度活性化され、軟骨細胞の再生、再構築およびプロテオグリカン/コラーゲン合成が再度開始し得る。軟骨の石灰化は、所望しない箇所では防がれ得る。
【0105】
本発明に従って、EPOは治療領域において、血管を含む完全な構造として骨組織の協調的3D再生をもたらす。比較的大きな欠損の場合、無機または生物的支持物質の置換構造が導入され得る。ここで、相的に純粋なリン酸三カルシウムおよびEPOコーティングが組み合わされ得る。
【0106】
別法では、ヒドロキシルアパタイトまたは同種もしくは異種に由来する生物の骨が、対応する処置の後に同様に用いられ得る。本発明に従って、EPO投与は、骨膜および骨内膜に作用し、そして、そこに位置する始原細胞の動員および増殖をもたらす。次いで、ラメラの形成、骨細胞ならびに対応する小腔および小管の形成が生じる。本発明に従って、EPOは、骨再生ならびにハバース管、間質性骨層板、小腔、同心円性骨層板の骨経路の形成のために用いられ、近接する骨層板系の分界および連結を促進する。意外にも、血管の骨経路として、ヴォルクマン管が見出されている。EPOは、骨始原細胞の誘導、骨芽細胞、骨細胞および破骨細胞を刺激する。骨芽細胞において、EPOは、骨の細胞間物質の新規合成および誘導をもたらす。該組織形成は、骨特異的細胞の形成を含む。EPOは、骨化チャネルの形成および骨梁の形成および血管結合組織構造の統合を促進する。損傷、例えば、事故、外傷ならびに炎症反応から始まって、EPOは、組織構造の修復において協調的作用をもたらすことができ、軟骨が分解したゾーンの形成、軟骨が石灰化したゾーン、軟骨細胞が肥大化したゾーン、分裂したゾーン(円柱、軟骨および貯蔵軟骨のゾーン(高密度の軟骨))を伴う骨の再形成をもたらす。
【0107】
本発明に従ってEPOは骨領域においても血管形成を促進し、特に栄養動脈、骨幹端の血管および骨端の血管の形成を促進する。加えて、骨膜の血管は位置特異的に統合される。
【0108】
EPOは、椎間板領域において、髄核および髄輪ならびに硝子軟骨の形成を促進する。関節構造において、外側靱帯、内側靱帯および被膜強化靱帯の形成が促進される。本明細書中、滑膜の修復過程も含まれる。本発明に従ってEPOは平滑筋、堅い筋肉および心筋組織の再形成を促進する。
【0109】
7.平滑筋
平滑筋細胞の組織形成は、形成および分化においてEPOにより促進され、間葉細胞から筋芽細胞を与える。骨格筋において、EPOは、筋周膜および筋内膜の形成を促進する。EPOは、運動神経線維の内部成長ならびに運動終板の形成の統合および協調を惹起する。EPOは、心筋の組織形成を促進する。通常、心筋は再生能力を全く有さないか、または非常に低い再生能力しか有さない。EPOは本発明に従って用いられて、平滑筋細胞構造、骨格筋および心筋組織の組織再生を成し遂げ、および逆カップリングに起因して免疫調節付与効果を成し遂げる。これは、炎症性自己免疫筋疾患における治療のために重要である。
【0110】
8.神経組織
三次元組織再生において、神経系および新生過程への連結は大きな役割を担う。EPOは本発明に従って用いられ、ニューロン新生を伴う血管形成を調節し、そして実質の腺、組織および器官の新生においてこれらの構造を統合する。これは、シナプス接合の再形成、薄膜および垂直単位としてのニューロンの形成ならびに神経線維および繊維束の形成をもたらす。神経節・神経叢領域において、結合構造が形成される。脳神経および頭部神経が含まれ、脊髄神経が分離後に再生し、そして遠心性および求心性運動構造の両方または知覚構造が再度連結する。神経を導くレールは、バイオポリマー(生分解性または非生分解性(シリコン、ポリウレタン))から構成されていてもよく、または生物に由来するか、または合成に由来してもよく(例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、絹)、および幹細胞と併せて用いられ得、支持様式にて用いられ得る。幹細胞は間葉に由来し得る。しかしそれらは神経構造の組織構造から直接動員され得る。これはアポトーシスの回避ではなく、むしろ神経繊維の成長および定方向三次元構造への増殖の開始である。
【0111】
EPO作用の重要な効果は、中枢神経系の結合組織構造領域、特に、髄膜およびそれに付随する血管における組織再生である。この作用は、神経節および知覚器官の再生のために非常に重要である。本発明に従って、軸索構造の形成および軸索の形成が促進される。架橋が成し遂げられるとすぐに、電気生理学的活性および軸索輸送が修復される。ビタミン、例えばビタミンCとの併用投与は、これらの過程を支持してもよい。しかし、本発明に記載の作用は、局部の血漿細胞、マクロファージ、リンパ球、特定状況下での肥満細胞による、細胞動員をもたらす活性化および修復作用(EPOの治療的投与後)の間の相互作用における組織再生において重要である。中枢神経系において、EPOは、変性した構造領域における再生のためにも、本発明に従って用いられ得る。これらは、パーキンソン病および線条体領域における変性およびアルツハイマー病および筋萎縮性側索硬化症を含み、末梢および多発性硬化症および器官で誘導される変性にも及ぶ。ここで、炎症刺激を用いた処置は重要であり、結果として、EPOにより決定される活性化カスケードが開始され得る。間葉始原細胞および神経始原細胞を用いた定位的移植ならびに局部的な単球および末梢単球の局部的な始原細胞の使用は、EPOにより治療的に増強され、そして再生が駆動され得る。本目的は、中枢神経系の新しい神経細胞を形成することである。本発明に従って、該細胞は、続いて、向神経活性ペプチドおよびエンドルフィン、例えば、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンの形成を伴って、機能し始める。シナプス過程は再度連結される。再生の二次的機能には、例えば、原形質性星状膠細胞、繊維性星状膠細胞、オリゴデンドロサイト、ミクログリア(グリア芽細胞腫)および上衣細胞のごときCNSの神経細胞はいずれも含まれない。神経再生においてだけでなく、いわゆる神経膠細胞の付随支持細胞構造においても、神経組織はEPOにより形成される。神経膠細胞は、10個までの因子に比例して、神経細胞を上回る。それらはCNSの結合組織構造フレームワークを形成し、血管をもたらす。これは構造再構築のために重要な再生構成成分を有する。上衣は、CNSにある脳室の内表面の上皮膜を意味するものとする。
【0112】
本発明に従って、EPOは、軸索鞘、いわゆるシュワン鞘の再生をもたらす。EPOはミエリン鞘(髄鞘)の形成を促進する。CNSにおいて、オリゴデンドロサイトは、ミエリン鞘を供給する。これは特に、髄鞘形成疾患において治療的に重要である。末梢神経では、付随する細胞が誘導されて神経節を覆う。シュワン細胞は再生過程の領域においてEPOにより刺激され、さらに末梢神経の新規形成を促進する。ここで、ミエリンセグメントの周期間ライン(interperiodic lines)の形成が生じる。
【0113】
本発明に従ってEPOは、CNSにおいて、灰質および白質の形成ならびにそれらの組織特異的分化を促進する。EPOは、神経節(CNS外側にある神経細胞の群)の形成を支持する。外傷事象の後、これらの構造の再生が生じる。再生領域を含む再生過程は、EPOによる調節を介して新しい神経支配を促進し、ここで、新しい神経支配は修復過程として生じ、涙壺腺、顎下腺、舌下腺および耳下腺、心臓、喉頭、気管、気管支、肺、胃、小腸、腹腔の血管および他の血管、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、副腎髄質、大腸、直腸、腎臓、膀胱および生殖器官から開始する。修復過程は、交感神経幹および交感神経幹神経節(白交通枝および灰白交通枝および内臓神経、腹腔神経節および上腸間膜動脈神経節)の領域に生じる。神経終末は再生過程により重層扁平上皮構造へも統合され得る。
【0114】
組織学的に、繊細な構造上にある終末小体構造、小体およびいわゆるパチーニ小体が修復される。EPOは硬膜の形成を支持し、該構造は、順次、繊細な神経血管の結合組織ガイド構造を含む。これは、硬膜下腔(脊髄硬膜の形成)および硬膜外腔の形成を惹起する。脳硬膜は頭蓋骨に付着し、そして再生過程の間、EPO刺激により再構築される。くも膜はくも膜下腔にまで及ぶ。EPO再生過程は、くも膜下腔および軟膜の修復も刺激する。これは、心臓血管(Virchow腔)との関係を形成し得る。EPOは、脳および脊髄髄質の表面を覆う結合組織の薄膜の再生をもたらす。くも膜絨毛の静脈洞の再生が生じる。特に、脈絡叢および脳室が再生される。炎症過程において、本発明に記載のEPO投与は、構造組織再生により血液−脳バリアの再形成をもたらす。神経性下垂体を除く延髄を含む全脳組織に及ぶこの再生の機能的有意性は、CNSのホメオスタシスにとって非常に重要である。該バリアはEPO投与により星状膠細胞と共に再度形成される。
【0115】
EPO作用に起因する神経系の組織形成
中枢神経領域における外傷および変性過程の後、グリア細胞、オリゴデンドロサイト、ニューロン、硬膜下腔および血管の間の相互作用が妨害される。これらの空間連結部およびそこに位置する付随細胞は、生理学的に組織形成に関与する。それにも関わらず、損傷の場合、神経成体組織が所望の程度まで再生することができないために、治癒的問題が生じる。EPO投与はこの過程を再生の方向へと駆り立てて、本発明に従って程度を加速させ、そして実質構成成分へ構造構成成分を連結させることにより構造修復を成し遂げることを可能にする。胚の発達において、この発達段階は確定された過程に従って進行する。EPOは、例えば神経成長因子(NGF)と組み合わせた、CNS中の仲介構造である。成体生物体におけるCNSの再生能力の低さは、局部細胞、免疫調節性細胞、スカベンジャー細胞(マクロファージ)および幹細胞の動員を引き起こし得るという点で、EPO投与により補填される。幹細胞(例えば、末梢血細胞CD45陽性細胞、間葉幹細胞、脂肪組織、臍帯組織に由来する自家細胞)および他の幹細胞が組み合わせられ得る。自家組織の使用は、同種細胞(例えば、胚性細胞)の使用よりも好ましい。これは、免疫学的な理由のためにEPO作用と区別されるべきであるが、排除される必要はない。
【0116】
定位的手術または注入と組み合わせて始原細胞を位置特異的に配置することができる。切断または損傷された末梢神経線維は、ガイド構造、ガイド用レールと併せて、または(周辺環境に由来する)局部的な生物学的構造、例えばフィブリン構造と併せて、EPO投与により所望の領域へ導かれ得る。線維芽細胞構造も幹細胞およびEPOと共に他の領域へ統合され得る。或いは、組換え形態にあるかまたはペプチド配列からなる、コラーゲンまたはエラスチンに基づいた生物マトリックス分子も、注入溶液を加えることにより混合物へ導入され得、これはEPO投与により介され得る。同時に、EPO投与により全身的な再生も支持され得る。EPO投与および幹細胞がなければ、1850年代から知られているいわゆるWaller変性が生じる。再生過程は、いわゆるBuengner帯に沿って生じる。末端の変性現象は、CNSにおいて、病変から12ないし24時間後に生じる。細胞体は染色質融解に起因して分解する。EPOにより加速される再生過程は軸索合成をもたらす。EPOは刺細胞(nettle matter)およびゴルジ体を再生する。細胞体の膨潤が減少し、一方で、病変後の初めの1週間において生理学的な様式で末梢軸索において再生現象が生じる。本発明に記載のEPO投与は、再生の加速を惹起し、結果として再生現象、例えば成長部(philopodia)および原形質成長部の形成が1週間以内に促進される。軸索成長部(philopodia)は、シュワン細胞の遠位セグメント中へ腔を発達させるために、通常2週間を必要とする。完全な切断の場合、これらの構造は生物学的構造およびコラーゲンにより架橋され得る。神経を固定するために用いる形態は、例えば、EPOコーティングしたコラーゲンチューブである。他の支持物質、例えば、ポリ乳酸またはポリヒドロキシアルカン酸も同様に用いられ得る。幹細胞およびガイド構造としての自家または同種フィブリンの組み合わせも可能である。
【0117】
多発性筋炎状態において、EPO投与は神経周膜の新規合成を成し遂げる。これはCNSにおいて側枝の発芽形成を促進する。
【0118】
9.肝臓
肝臓のウイルス感染(例えば、A型、B型、C型、D型肝炎)後、肝臓の再生に障害が生じるかもしれない。肝硬変は肝臓の再生障害の最終段階であり、ここでは、実質細胞の結合組織置換が生じ、というのも、内因性の再生が、絶え間のない再生に起因する、病毒が誘導する損傷の速度に対応することができないからである。
【0119】
外傷および外科的介入、例えば、肝臓の腫瘍切除の後に、生存組織の急激な損失および組織破壊が生じる。
【0120】
本発明に従って、EPO投与後に、原状回復に関する限りにおいて、肝細胞および肝臓の非実質細胞の再生の加速が生じる。この特徴は、通常の肝臓小葉構造の再形成であり、肝細胞に加えて、小葉間の結合組織、中心静脈および肝三つ組:胆管、リンパ管、門脈周囲の結合組織、小葉間動脈および静脈の再形成がそこで確かに修復される。
【0121】
小葉内細網線維ネットワークおよび肝臓洞様血管の特異的形成が修復される。再生後の組織構築は典型的な縞構造を示す。内皮細胞領域にある腔(windowing)は、典型的な肝臓形を有する。外傷後の重要な開始細胞は、IL−6、IL−1、TNF−アルファを放出するクッパー細胞である。
【0122】
EPO投与は、固体発生的に若い肝臓の肝臓組織と比較したとしても、有意に、より高度な再生過程をもたらす。インビトロの因子の10〜30倍の増大が成し遂げられる。
【0123】
10.胆嚢
胆嚢炎症の場合ならびに胆嚢へ損傷を機械的に誘導した後に、EPOを治療的に投与すると、通常の壁構造の修復が以下のとおり生じる:結合組織(被膜、肝臓被膜に付着)、筋層、Luschka孔、固有層(血管に富んだ)および粘膜(上皮、単層、円柱を伴う)、リンパ管、迷走神経領域に由来する神経が再度連結される。
【0124】
11.膵臓再生
EPO投与は、膵臓のB細胞、D細胞およびA細胞の再生を支持する。再生は分泌管から広がる小さな上皮索から開始する。膵臓の静脈および動脈は同時に再生する。
再生過程は、外傷、炎症性疾患または自己免疫学的過程後の、内分泌および外分泌成分に関連している。
【0125】
12.鼻腔および副鼻腔
損傷およびEPO投与後に、鼻中隔、鼻前庭、鼻腔、鼻筋は再生過程に曝される。上皮が修復され、そして同様に、固有層(管状胞状漿粘液腺を伴う、ピンと張られたコラーゲン性結合組織)、動静脈吻合および海綿体を伴う血管、アドレナリン作用性およびコリン作用性神経が修復される。嗅粘膜領域において、非常に高いところにある上皮および漿液性ボーマン腺が再構築される。
【0126】
13.咽頭領域
多層、円柱繊毛上皮、固有層、漿液腺および漿粘液混合腺が、幹細胞と組み合わせておよび組み合わせることなく、EPO/TPOの投与により修復される。
【0127】
14.気管
軟骨膜、硝子軟骨、軟骨膜、漿粘液腺を伴う固有層、粘膜下層、固有層および上皮を伴う典型的な壁構造が修復される。外膜がその周りに再生され、そして気管軟骨が平滑筋と連結される。上皮は、杯細胞、基底細胞および繊毛細胞を含む。同様に、内分泌(Pa)細胞、I型およびII型の刷子細胞を含む。
【0128】
15.肺
肺の複雑な3D構造および構造は、本発明に従って以下のとおり修復される。気管支動脈、腺、気管支、肺動脈支、細気管支、平滑筋および肺静脈支、肺胞管、肺胞嚢および胸膜被覆は、一緒に三次元的にもたらされる。気管支肺セグメントにおいて、セグメント間中隔、静脈セグメントおよび動脈セグメントが再生される。気管支において、上皮、固有層、筋層、腺および軟骨が修復される。肺胞において、血液−空気バリア機能が修復される。エラスチン構造が修復される。肺胞の上皮細胞(I型およびII型)が再度生じる。EPOおよび/または幹細胞との統合により、三次元的協調様式で、血管、リンパ管および神経(肺神経叢)が挿入される。
【0129】
16.泌尿器系
腎臓領域における再生効果は今日まで依然として知られておらず、というのも、慢性的に不十分な腎臓の場合、EPO欠損のためにEPOが代用されているからである。外傷、炎症性損傷および毒性損傷または免疫学的損傷の場合、幹細胞/始原細胞を伴うおよび伴わないEPO投与は本発明に従って泌尿器系の再生をもたらす。腎臓において、皮質、腎杯、髄質、放射組織、腎錐体および腎柱の再生が生じる。
【0130】
メサンギウムマトリックス、メサンギウム細胞、糸球体(疎性内層、緻密層、疎性外層を伴う)の再生が生じる。コラーゲンフィラメント束、メサンギウム細胞、有足細胞および内皮細胞の構造的関係が修復される。腎皮質において、集合管、主要部、中間部、緻密斑、傍糸球体細胞および輸入リンパ管が再生される。腎髄質では、特徴的な間質性細胞および乳頭管の再形成が生じる。
【0131】
外膜、粘膜の輪筋層および縦筋層、固有層および上皮(粘膜)において、尿管構造が再生される。膀胱は、上皮、固有層(粘膜)、粘膜下層(縦筋および輪筋)および外縦筋の修復へ駆り立てられる。
【0132】
EPOおよび/または幹細胞により、女性の尿道は、筋層、静脈ネットワーク、腺小腔、固有層および主に角化していない扁平上皮の再生に駆り立てられる。男性の尿道では、前立腺部、尿道括約筋および尿生殖隔膜、前立腺小室、膜性部、海綿体部および舟状窩が再生される。海綿体部の粘膜は海綿体に続く。外傷または外科的介入後、幹細胞を伴うおよび伴わない、フィブリン接着剤と組み合わせたEPOは、構造欠損へ連結する様式で注入されるか、またはそれに対応するように局所適用され得る。
【0133】
17.内分泌腺
下垂体、骨端、甲状腺、副甲状腺、膵臓(ランゲルハンス島)、副腎腺、卵巣および精巣領域では、外傷、手術(例えば、腫瘍切除)に起因して、組織損傷が生じ得る。これらの場合、自家骨髄に由来する幹細胞、臍帯幹細胞、末梢血細胞(単球)に由来する始原細胞と組み合わせて、または局部的な始原細胞を動員することにより、EPOは本発明に従って組織再生をもたらすかまたは支持し得る。下垂体前葉では、好塩基性細胞、上および下下垂体静脈、コイル状動脈および門脈血管が修復される。視床下部では、神経性下垂体が、下垂体細胞、神経分泌ニューロンに由来する無髄神経線維と一緒になって再生される。この目的のために、EPO−フィブリン束を本発明に従って幹細胞を伴うガイド構造として該領域の間に配置する。被膜構造は他の脳領域において同様に再生される。骨端において、手綱、松果陥凹、小葉構造、脳砂、結合組織中隔および軟脳膜(被膜)が修復される。神経線維、松果体細胞、星状膠細胞は、骨端の特異的構造に結合する。
【0134】
甲状腺は外科的介入に頻繁に曝される。濾胞上皮細胞、C細胞、結合組織構造は同様に再生する。
本発明に記載の再生後、副腎は、被膜、球状帯、束状帯、網状層から構成される。神経膠細胞は束状帯に位置する。
【0135】
18.生殖系
本発明に従って、再生修復過程は、卵巣での構造的過程を介して、機能構造の修復をもたらす。この目的のために、特に、卵巣支質、白膜、顆粒膜細胞、内卵胞膜および外卵胞膜の再生過程が関わる。損傷後、中皮膜は再度閉じる。卵管では、壁構造(上皮、固有層(粘膜))、輪筋、縦筋(筋層)、漿膜下結合組織、中皮(漿膜))が修復される。
【0136】
卵管膨大部において、腺細胞、固有層および繊毛細胞が再生する。子宮内膜、子宮筋層および子宮外膜では、子宮体が構造的に再生する。粘膜(上皮、固有層)、筋層(縦筋、球海綿体筋)および膣外膜が再生する。リンパ管および神経の供給が修復される。女性生殖器官の全組織領域に加えて、男性生殖器官においても、外傷および他の損傷後に修復過程が可能である。故に、とりわけ、精巣、精巣上体、ペニス(陰茎海綿体を含む)、精細管、前立腺ならびに周囲の軟組織および硬組織へのそれらの構造結合が、協調的様式で再生し得る。血液を供給する構造、リンパ管および神経が再度統合される。
【0137】
19.乳腺
小葉、結合組織、乳管洞、組織学的にきめ細かい構造の腺胞を伴う分泌管、小葉内および小葉間結合組織、乳管、筋上皮細胞への構造合成は、再生により再度生じる。特に、腫瘍切除または形成術的介入後に、乳腺組織は、生物学的にモデリング可能な足場、EPOおよび幹細胞と併せて再生され得る。
【0138】
20.中枢神経系:
脳および脊髄領域において、組織変性または構造切断後の機械的および虚血性傷害は、特に、臨床的に重要な役割をに担う。灰質および白質、小脳、中脳および大脳、核域および繊維束は、構造統合され、かつ再生される。
【0139】
間脳は、視床下部、背側視床、腹側支障および視床下部を含む。終脳領域は、構造的に再生される必要がある約50個の領域を細胞構築学的に包含する。主な領域は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉および後頭葉である。中隔領域、嗅球および皮質領が再生され得る。基底神経節の再生領域は、尾状核および被殻を伴う線条体、腹側線条体ならびに側坐核および基底核を含む。再生過程は、麻痺に関連する運動領域の障害および感覚ニューロンの障害を改善できる。結果として痙攣性麻痺を伴う運動皮質領域における損傷(例えば、出産時外傷および事故に起因する)が改善され得る。弛緩性麻痺に関連する前角への損傷の場合、再生過程が同様に誘導され得る。海馬機能における障害は、空間認識および記憶の領域において重篤な障害を惹起する(コルサコフ症候群)。皮質ニューロンへの損傷の場合、アルツハイマー病の発症に関連する危険性が軽減され得る。脳血管不全またはさらには脳梗塞の場合、再生により、修復過程が開始され得る。
【0140】
21.眼:
再生過程は、角膜、結膜、虹彩、シュレム管、毛様体筋、水晶体、小帯線維、鋸状縁、内側直筋、硝子体、網膜、血管、硬膜、くも膜、視神経、網膜中心動脈および静脈、網膜、脈絡膜および強膜にまで及ぶ。コラーゲンラメラ、線維芽細胞、エラスチン線維、コラーゲンラメラ、ボーマン膜、上皮膜を伴う角膜の特定構造が修復される。強膜は、強膜褐色板、固有質および上強膜へ修復される。水晶体上皮、上皮および真皮成分を伴う瞼、皮下組織、汗腺、毛嚢、上皮、固有層、瞼板、Melborn腺、Moll腺、上眼瞼挙筋、眼輪筋が修復される。
【0141】
22.耳:
本発明に従って、耳筋、中耳、鼓膜、鼓室、耳小骨、鐙骨筋、鼓膜張筋、乳突洞、乳突蜂巣および耳管、内耳および骨迷路、神経に関連する蝸牛、迷路および付随するコルチ器が、再生過程に含まれる。
【0142】
II.実施例
1.細胞移植
肝細胞:
通常の方法で、コラゲナーゼ消化により、移植不可能な器官または切除された肝臓から肝細胞を単離する(Bader,A.,Rinkes,I.H.B.,Closs,I.E.,Ryan,C.M.,Toner,M.,Cunningham,J.M.,Tompkins,G.R.,Yarmush,M.L.(1992)A stable long−term hepatocyte culture system for studies of physiologic processes:Cytokine stimulation of the acute phase response in rat and human hepatocytes Biotechnol Prog.8,219−225)。
【0143】
単離または前培養した細胞を液体窒素中に貯蔵する。知られているプロトコル(Karim,N.,Allmeling,C.,Hengstler,J.−G.,Haverich,A.,Bader,A.(2000)Diazepam metabolism and albumin secretion of porcine hepatocytes in collagen−sandwich after cryopreservation.Biotechnol Letters 22:1647−1652)に従って細胞を解凍した後、100−150IU/kg/BW(レシピエントに基づく)のエポエチン・アルファを含有する懸濁/培養液を肝細胞に加える。この目的のために、エポエチン・アルファを、2−10百万細胞/mlの濃度を有する10mlの肝細胞懸濁液から1−1.5mlの用量で、滅菌溶液中に加える。
【0144】
この懸濁液を徐々に(1ml/分)門脈内注入する。さらに、1000IUのヘパリンを懸濁液へ加えて、凝固を防ぐ。
【0145】
別法では、細胞/EPO混合物を、複数箇所の肝臓被膜下または肝臓実質へ直接注入してもよい。この目的のために、肝細胞の濃度を2〜5倍増大させ、および対応する注入容量を軽減することが望ましい。
【0146】
市販のフィブリン接着剤(Baxter Tissucol)を用いて、穿刺チャネルをふさぐ。別法では、コラーゲンフリースを伴うタンポンが用いられ得る。同様に、エポエチン・アルファ溶液がタンポンに加えられ得る。タンポンの接着部位が乾燥したままであることを確かめる必要がある。
【0147】
フィブリン接着剤は2つの成分の混合物である。通常、一つの成分はフィブリノーゲンからなり、他は、Ca++およびプロテアーゼ阻害剤(例えば、アプロチニン)を含有する活性化溶液である。エポエチン・アルファは、最終濃度100−150IU/kg/BWで混入することにより、活性化溶液へ加えられ得る。
【0148】
骨髄に由来する幹細胞、脂肪組織、特定の実質または臍帯血に由来する血液(Buffy Coatsから精製、CD34陽性細胞)および臍帯組織に由来する間葉細胞が、同様に用いられ得る。
【0149】
虚血性、毒性、感染性または機械的(外傷による)損傷を受けた領域への細胞移植と並行して、細胞は、フィブリン接着剤または自家血漿中に導入され、およびエポエチン・アルファ(100−150IU/kg/BW)を加えることで、重合がもたらされ得る。
【0150】
同時に、各場合において、10,000IU s.c.のEPO投与を開始し、結果として、一週間以内に、全40,000IUが投与される。
【0151】
結果として、組織再生が2〜3倍増大し、構造修復がもたらされる。
【0152】
2.術後投与
患者生命に危険をもたらし得る、心臓胸郭の血管領域における拡大手術、内臓手術、形成術ならびに広範な外傷に起因する欠損状態の後。
【0153】
本明細書中、エポエチン・アルファを100−150IU/kg/BWの濃度で投与する。
【0154】
EPO投与は、2つの因子により成長ホルモンの内因性増大をもたらし、術後の組織再生を加速させる。EPO投与なしと比較すると、処置患者では約1−2週間早く原状回復が生じる。
【0155】
部分肝移植または肝移植後に肝臓再生を誘導するためにも、EPOは投与され得る。
【0156】
肝移植後の移植組織、または肝臓ドナーの場合にはその残りの組織は、十分に迅速に増え、十分な量となる活性組織として利用できない。この場合、手術の最大24時間前および手術の間およびその後24時間間隔で、100−150IU/kg/BWのエポエチン・アルファが投与され得る。これは有意に肝臓再生の加速をもたらし、特に4−5日目に、超音波により術後の容量増大を診断することが可能である。
【0157】
3.良性および悪性腫瘍の場合における、外科的肝臓切除後の投与
広範な肝臓切除において、十分な量の細胞集団の利用可能性が患者の生存に重要であるので、再生の加速を成し遂げる必要がある。外科的切除後、全身投与の場合には100−150IU/kg/BWの、または局所投与(フィブリン接着剤、血漿中)の場合には対応する用量のエポエチン・アルファが投与され得る。
【0158】
持続的な腫瘍の侵襲または切除不能な腫瘍転移が疑われるならば、腫瘍型および予後に対応して、慣用的な細胞分裂阻害剤がEPOと併せて全身および局所投与され得る。
【0159】
切除およびEPO投与後、未処置群と比較して処置群のサイズ成長は30%だけ加速される。特に、切除領域にある肝細胞は構造成長過程に入り、程度を増大させる。血管樹および周囲組織の完全な形成が生じる。ここで、血管供給を伴う小葉中にある通常の器官、非実質細胞(クッパー細胞、ピット細胞、伊東細胞および内皮細胞)を伴う細胞板に対応する典型的な様式で、肝細胞は配置される。
【0160】
全身的なサイズ成長が生じる。初めのサイズに達すると、サイズ成長は終了する。
【0161】
周術期のEPO投与を伴う群は、術後たった1−2日で、約0.5g/dlより高いHb値を有する。これは、EPOの既知作用の指標と見なされるべきである。しかし、同時に肝臓再生も生じる。肝細胞だけでなく、肝臓の組織構造となる全ての細胞型および特に結合組織構造がここで増殖する。
【0162】
実験手順:
28匹の雌のブタ(重量40.0−62.0kg)を、偶然の原理に従って3群に分けた。胃内視鏡検査の技法を用いて、肝臓の左側の部分切除を行った。
【0163】
対照群(n=16)にはEPOを投与しなかった。群2(n=6)には10,000単位のEPOおよびフィブリンシーラント(Quixil)の組み合わせを肝臓切除表面に局所投与した。群3も同様に処置したが、さらにそのブタには、局所EPO処置の0、3、7および11日目に10,000単位のEPOを全身投与した。
【0164】
肝臓試料を肝臓の切断片から得た。該片は、0日目、切除24時間後に、切除表面下1cmの領域から、および切除後14日目に、切除表面下および右葉から得た。
【0165】
Ki−67抗原、PCNA(増殖性細胞核抗原)およびアポトーシスを測定するために、ホルマリンを用いて固定し、かつパラフィンワックス中に包埋した肝臓組織において、ストレプトアビジン−ビオチン免疫ペルオキシダーゼアッセイを行った。
結果
【0166】
【表1】

【表2】


相加平均および標準偏差p≦0.05
【0167】
4.内部人工器官またはインプラント最適化
インプラントは、生分解性ならびに永久物質から構成され得る。それらの例は、例えば臀部領域における金属製の内部人工器官である。金属製の粗い鋳型が形成された後、研磨、エッチングまたはレーザー処理により、微小構造が成し遂げられる。これにより、0.1ないし50−60μmの範囲において孔および粗さを形成することができる。
【0168】
続いて、これらの構造を相的に純粋なベータリン酸三カルシウムの溶液中に充填し、結果として均一な表面コーティングを成し遂げる。理想的には、次いで、該構造を連続する焼結過程に付し、ベータ−TCP構造を凝固する。
【0169】
可溶性の塩/糖を鉱物構造中に組み込むか、または気体形成を誘導することにより、さらなる連結孔を形成することができる。この製造過程の後、本発明に記載の成長因子またはその誘導体、部分もしくはアナログを該構造に添加するか、またはそれらを用いて該構造をコーティングする。同様に、EPOを用いて空洞を充填するか、または徐放性物質を用いることにより、表面にデポーをセットすることができる。別法では、パッケージから滅菌様式で取り出されたインプラントも、インプラント直前に、EPOおよびそのアナログを用いてコーティングされ得る。
【0170】
これにより、インプラントに対する組織結合過程の改善がもたらされる。加速的および永久的に、骨はマクロ血管に結合し、およびインプラントは骨に統合される。
【0171】
口腔、下顎および顔領域におけるインプラントは、同様の形態(歯用インプラント)で調製され得る。
【0172】
バイオリアクター中、幹細胞を用いた細胞コロニー化との組み合わせが可能である。
【0173】
生物学的インプラント(血管、心臓弁、皮膚)および膜は、同様に、EPOおよび/またはGHおよび/またはTPOを用いてコーティングされ得る。
【0174】
5.骨粗鬆症の処置
自家血漿溶液中のEPOコーティングされたリン酸三カルシウム顆粒を、穿刺法により、不十分/希薄な椎体へ導入する。そこでその顆粒は内因性骨に加速的に再構築され、そして変性過程は同化作用へと変換される。
【0175】
該作用は、崩壊の急激な危険性がある椎体の場合に利用され得る。コロニー化過程、有利には、自家骨髄または骨膜および血液および/または脂肪組織に由来する幹細胞と組み合わされる。
【0176】
6.軟骨再生の指標
軟骨細胞は、非常に代謝緩慢な組織である。局所的な外傷および剥離は、関節炎をもたらし得る炎症過程を惹起する。関節の隙間または全身への、および/または軟骨細胞もしくは軟骨性シリンダーの細胞移植と併せたEPO投与は、組織再生および構造再構築を促進する。10,000IU/日の全身または皮下投与との組み合わせが可能である。
【0177】
7.皮膚疾患の指標
創傷床を調製した後、本発明に従ってEPOまたはTPO(誘導体、アナログ、部分)を用いて、治癒が不十分な創傷をコーティングする。この目的のために、好ましくは、機械的な壊死組織切除を行う。10,000IUのEPOを血塊中に導入する。創傷の底部がきれいになるまで、この過程が繰り返され得る。
【0178】
構造成長が2−3日後に開始し、肉芽組織の形成の加速がもたらされる。
【0179】
8.炎症性腸疾患の指標
体重減少および貧血を伴う腸管の炎症現象において、貧血は、栄養吸収の不良に起因する続発性現象ではなく、元々のEPO欠損に付随する現象であり得ることが見出されている。10,000IU/日でのEPO投与は、腸の修復/再生に改善をもたらす。
【0180】
9.神経再生の指標
脊髄断絶の後、EPOは、ニューロンの構造成長および軸索の再発芽をもたらす。ビタミンCの投与は支持作用を有する。
【0181】
EPOは、フィブリン接着剤/自家血漿および/または内因性幹細胞(骨髄、血液CD34、脂肪細胞由来、骨膜、臍帯)と併せて局所投与され得る。
【0182】
10.パーキンソン病の指標/既に小康状態となった炎症反応を伴う慢性疾患の例
分解性粒子を用いて刺激された自家性マクロファージを変性領域中へ定位的に統合する。同時に、自家幹細胞(0.3ml)と併せて、EPO(10,000IU)をその領域中に注入する。同時に、二週間の期間にわたって、EPOを全身投与する。マクロファージにより炎症を誘導するというこの刺激原理は、急性外傷または急性炎症反応がない他の慢性疾患においても用いられ得る。
【0183】
11.火傷後の創傷治癒
8人の火傷患者において、EPOを投与すると、皮膚グラフトのドナー部位は、50%よりも迅速に治癒した。EPOが患者に投与されたならば、2秒間の(グレード2B)顔面の火傷創傷は瘢痕化を伴わずに治癒した。EPOを投与しないと、この種の創傷は瘢痕化を伴って治癒した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造組織の再生を促進するための医薬の調製のための、造血成長因子、特にエリスロポエチン(EPO)もしくはトロンボポエチン(TPO)またはその誘導体、アナログもしくは部分の使用。
【請求項2】
組織が以前損傷を受けた点で特徴付けられる、請求項2記載の使用。
【請求項3】
成長因子またはその誘導体もしくはアナログの受容体結合ドメインの使用により特徴付けられる、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
成長因子の1つ、特にEMPまたはDMPの模倣ペプチドが用いられる点で特徴付けられる、請求項1または2記載の使用。
【請求項5】
成長因子またはその誘導体、アナログもしくは部分が天然の成長因子と比べてさらなるグリコシル化部位を有する点で特徴付けられる、請求項1ないし4いずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
成長因子またはその誘導体、アナログもしくは部分がPEGにコンジュゲートされている点で特徴付けられる、請求項1ないし5いずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
新規赤血球新生刺激蛋白質(NESP)の使用により特徴付けられる、請求項1または2記載の使用。
【請求項8】
構造組織の再生を促進するための医薬の調製のためのEPO誘導因子の使用。
【請求項9】
以下の因子:ソマトスタチン、白血病抑制因子(LIF)、「繊毛様神経栄養因子」(CNTF)、「トランスフォーミング成長因子ベータ」(TGFベータ)、プロスタグランジン、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM−CSF)、顆粒球刺激因子(G−CSF)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、ドーパミン、抗利尿ホルモン(ADH)、オキシトシン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン、ベータ−セルトロピン、ルトロトロピン、バソプレッシン、神経再生因子、好ましくは神経成長因子(NGF)、血管再生因子、好ましくは血管内皮増殖因子(VEGF)または血小板由来成長因子(PDGF)の1つがさらに用いられる点で特徴付けられる、請求項1ないし8いずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
内皮細胞が存在する点で特徴付けられる、請求項1ないし9いずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
組織の再生が局所的に制御される点で特徴付けられる、請求項1ないし10いずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
請求項1ないし9いずれか1項に記載の1またはそれ以上の因子を含有する医薬が局所投与される点で特徴付けられる、請求項1ないし10いずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
請求項1ないし9いずれか1項に記載の1またはそれ以上の因子を含有する医薬が全身投与される点で特徴付けられる、請求項1ないし10いずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
成長過程が支持構造に支えられる点で特徴付けられる、請求項1ないし13いずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
支持構造が請求項1ないし9いずれか1項に記載の因子の1つを用いて処理される点で特徴付けられる、請求項13記載の使用。
【請求項16】
用いられる支持構造がインプラント、移植片または細胞成長のための支持物質である点で特徴付けられる、請求項14または15記載の使用。
【請求項17】
支持構造が、細胞、好ましくは、組織特異的細胞、前駆細胞、骨髄細胞、末梢血細胞、脂肪組織もしくは繊維組織を用いてプレコロニー化されているか、またはインビボでのコロニー化もしくはインビトロでのリモデリング誘導のために調製されている点で特徴付けられる、請求項14ないし16いずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
用いられる細胞が、成体の始原細胞、組織特異的細胞、好ましくは、骨芽細胞、線維芽細胞、肝細胞または平滑筋細胞である点で特徴付けられる、請求項17記載の使用。
【請求項19】
再生過程中に形成する細胞凝集体がカプセル化され、かつ凍結されてもよい点で特徴付けられる、請求項1ないし18いずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
神経、筋肉、上皮または結合組織ならびにそれらに由来する器官および構造の再生により特徴付けられる、請求項1ないし19いずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
特に肝硬変、肝炎、急性または慢性肝不全における肝臓の再生のための、請求項1ないし20いずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
骨、軟骨および内分泌器官の組織、心筋、心臓弁、静脈弁、動脈弁、皮膚、血管、大動脈、腱、角膜、気管、神経、半月板、椎間円板、腸管上皮、尿管、尿道または膀胱を再生するための処置ならびに変性疾患の処置、或いは例えばクローン病、糖尿病性潰瘍の潰瘍性大腸炎、歯肉炎のごとき慢性炎症において組織再生を支持するための処置、或いは組織損傷後の血管新生を刺激するための処置により特徴付けられる、請求項1ないし20いずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
請求項1ないし7いずれか1項に記載の少なくとも1つの造血成長因子またはその誘導体、アナログもしくは部分或いは請求項8記載のEPO誘導因子を含む、支持構造。
【請求項24】
少なくとも1つの以下の成長因子:ソマトスタチン、白血病抑制因子(LIF)、「繊毛様神経栄養因子」(CNTF)、「トランスフォーミング成長因子ベータ」(TGFベータ)、プロスタグランジン、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM−CSF)、顆粒球刺激因子(G−CSF)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、ドーパミン、抗利尿ホルモン(ADH)、オキシトシン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン、ベータ−セルトロピン、ルトロトロピン、バソプレッシン、神経再生因子、好ましくは神経成長因子(NGF)、血管再生因子、好ましくは血管内皮増殖因子(VEGF)または血小板由来成長因子(PDGF)をさらに含む、請求項23記載の支持構造。
【請求項25】
支持構造が、インプラント、移植片もしくはグラフト、細胞成長のための支持物質、ステント、パッチ、カテーテル、皮膚、ヒドロゲル、骨補充材、同種、自家もしくは異種の無細胞化されたもしくは無細胞化されていない組織、合成組織、支持細胞層またはフリースである点で特徴付けられる、請求項23または24記載の支持構造。
【請求項26】
支持構造が、細胞、好ましくは、組織特異的細胞、前駆細胞、骨髄細胞、末梢血細胞、脂肪組織または繊維組織を用いてプレコロニー化される点で特徴付けられる、請求項23ないし25いずれか1項に記載の支持構造。
【請求項27】
請求項1ないし9いずれか1項に記載の成長因子またはその誘導体、アナログもしくは部分が生分解性ポリマー層中に埋め込まれる点で特徴付けられる、請求項23ないし25いずれか1項に記載の支持構造。
【請求項28】
支持構造が、請求項1ないし9いずれか1項に記載の少なくとも1つの成長因子、その誘導体、アナログもしくは部分を用いてコーティングされる点で特徴付けられる、細胞再生のための支持構造の調製方法。
【請求項29】
好ましくはプラズマイオン化またはレーザー照射による支持構造の活性化により特徴付けられる、請求項28記載の方法。
【請求項30】
支持構造が、細胞、好ましくは、組織特異的細胞、前駆細胞、骨髄細胞、末梢血細胞、脂肪組織または繊維組織を用いてインビトロでプレコロニー化される点で特徴付けられる、請求項28および29の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項31】
組織再生を促進するための工程段階の少なくとも幾つかが完全または部分的にインビトロで行われる点で特徴付けられる、請求項1ないし22いずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
成長過程が、骨髄、血液、組織、脂肪組織、臍帯組織または臍帯血に由来する幹細胞の投与により支持される、請求項31記載の使用。
【請求項33】
幹細胞が、造血成長因子、特に、エリスロポエチン(EPO)もしくはトロンボポエチン(TPO)またはその誘導体、アナログもしくは部分を用いてインビトロで前処理される点で特徴付けられる、請求項32記載の使用。
【請求項34】
造血成長因子、特に、エリスロポエチン(EPO)もしくはトロンボポエチン(TPO)またはその誘導体、アナログもしくは部分を用いてインビトロで予め前処理されている細胞を含む、医薬組成物。
【請求項35】
インビトロで前処理された幹細胞により特徴付けられる、請求項34記載の医薬組成物。
【請求項36】
創傷治癒および肝臓再生のための、請求項34または35記載の医薬組成物の使用。


【公表番号】特表2007−517001(P2007−517001A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546111(P2006−546111)
【出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014839
【国際公開番号】WO2005/063965
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506226153)ビオネトス・ホールディング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Bionethos Holding GmbH
【Fターム(参考)】