説明

組織化石鹸組成物

組織化石鹸組成物であって、該組成物100重量部を基準として次のものを含む、組成物、
(i)0より大きく約27重量部まで、の中和脂肪酸、
(ii)0より大きく約18重量部までの、アルカノールアミド界面活性剤、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸、及び脂肪酸エステルから選ばれた、1種又はより多種の組織化剤
(iii)0から約15重量部の、両性界面活性剤及び両性イオン性界面活性剤から選ばれた1種又はより多種の化合物、
但し、(i)、(ii)及び(iii)成分の合計量は5重量部又はより大である、
(iv)(i)、(ii)及び(iii)成分との組合せにおいて、不透明な外観を持ち且つ0パスカルより大きな降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な量の電解質、及び
(v)水。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石鹸組成物に関し、より詳細には組織化(structured)石鹸組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状石鹸及び石鹸を基材とする液状洗剤(liquid detergent)は、幾つかの市場において、人気のある化粧品(personal care product)である。化粧石鹸(toilet soap)は、一般に、皮膚の刺激及び乾燥を防ぐため、鹸化手順において使用された残留アルカリが無いように注意深く洗浄される。保湿剤、皮膚軟化剤(emollient)及びグリセリンのような潤滑剤、は、典型的には、香料(fragrance)、着色剤、及び医薬剤(medicinal agent)のような他の添加剤と共に石鹸中に添加される。酸化防止剤は、石鹸が酸敗するのを防ぐために添加される。特に固体棒状石鹸については、幾らかの脂を残すことにより、乾燥した且つ敏感な皮膚を潤滑し、保湿し、そして平滑にするため、該石鹸を製造するのに使用した脂(fat)の全てを加水分解することはしない。アルカリ性のpHにより、石鹸を基材とする配合物(formula)の好ましい脱脂(degreasing)性及び好ましい性質(risibility)が観察される;典型的な石鹸を基材とする配合物は皮膚乾燥問題を引起す。更に、油(oil)は、典型的には、懸濁及び安定性の問題により、湿潤化の利点が得られるに十分な多い量では、石鹸組成物中に添加できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
皮膚の乾燥を最小限にする、流動性の、石鹸を基材とする製品が求められる。より好ましいのは、皮膚湿潤化の利点を持つ石鹸を基材とする製品であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明は、組成物100重量部を基準として次のものを含む、組織化石鹸組成物を志向する、
(i)0より大きく約27重量部まで、の中和(neutralized)脂肪酸、
(ii)0より大きく約18重量部までの、アルカノールアミド界面活性剤、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸、及び脂肪酸エステルから選ばれた、1種又はより多種の組織化剤(structurant)
(iii)0から約15重量部の、両性(amphoteric)界面活性剤及び両性イオン性(zitterionic)界面活性剤から選ばれた1種又はより多種の化合物、
但し、(i)、(ii)及び(iii)成分の合計量は5重量部又はより大である、
(iv)(i)、(ii)及び(iii)成分との組合せにおいて、不透明な外観を持ち且つ0パスカルより大きな降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な量の電解質、及び
(v)水。
【0005】
第2の態様において、本発明は、組成物100重量部を基準として次のものを含む、組成物を志向する、
(a)約10から100未満重量部の、水性組織化石鹸相、該組織化石鹸相は次のものを含む:
(i)0より大きく約27重量部まで、の中和脂肪酸、
(ii)0より大きく約18重量部までの、アルカノールアミド界面活性剤、脂肪族
アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸、及び脂肪酸エステ
ルから選ばれた、1種又はより多種の組織化剤
(iii)0から約15重量部の、両性界面活性剤、
但し、(i)、(ii)及び(iii)成分の合計量は5重量部又はより大である、
(iv)(i)、(ii)及び(iii)成分との組合せにおいて、不透明な外観を持ち且つ0
パスカルより大きな降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な
量の電解質、及び
(v)水。
(b)0より大きく約75重量部までの、該水性組織化石鹸相中に分散した、不連続の水溶性又は部分的に水溶性の相。
【発明を実施するための形態】
【0006】
組織化界面活性剤組成物は、ホームケア(home care)用途、例えば液体洗剤、洗濯用洗剤、硬表面(hard surface)クレンザー、食器洗い液、及び、例えばシャンプー、体用洗剤(body wash)、ハンドソープ、ローション、クリーム、コンディショナー、シェービング用製品、洗顔料(facial wash)、ベビーケア用配合物、皮膚トリートメントのような化粧品(personal care)配合物に有用な液晶組成物である。該組織化界面活性剤組成物中の界面活性剤は、平面的な(planar)及び/又は球晶の形状におけるラメラ(lamellar)相の形状で存在する。通常、該界面活性剤相は、該水性相中に分散した球晶、即ちラメラ液滴として存在する。球晶は、界面活性剤分子の同心二重層の玉ネギ様形状から成り、層間には水又は電解質溶液がトラップされている。全く平坦なラメラ界面活性剤層又は全く球晶状のラメラ界面活性剤層、或いは両方の形状の組合せが、同じ組成物中に共存し得る。組織化界面活性剤組成物は、典型的には、ポンプ送りし得る(pumpable)非ニュートン性組成物であり、これらラメラ界面活性剤相の存在により水不溶性粒子を物理的に懸濁する能力を持つ。
【0007】
ここで用いる「界面活性剤」という用語は、水に溶解したとき表面張力を下げる化合物を意味する。
【0008】
別に明確に述べるとき以外は、本明細書を通して配合物の全ての成分は重量部(「pbw」)で示され、そして100pbwの該組織化石鹸組成物が基準とされる。
【0009】
ここで言う、界面活性剤又は石鹸に関する「ラメラ」は、液状媒体の層により分けられた、界面活性剤又は石鹸の、複数の積み重ねられた二重層を含む相である。ラメラ相は、典型的には注入し得る(pourable)、非ニュートン性の、異方性組成物であり、曇って見え、流動時に独特の「汚れた(smeary)」外観を示す。ラメラ相は幾つかの異なる形で存在し得、それらは並行シートの層であって各々のシートが界面活性剤又は石鹸の二重層であるもの、及び同心球状殻(shell)の層から形成された球晶であって各々の殻が界面活性剤又は石鹸の二重層であるもの、を含む。該球晶は、典型的には直径0.1〜50ミクロンでありそれにより基本的にミセルとは異なる。
【0010】
本発明の組成物は、規則的な液晶相、典型的にはラメラ液晶相、より典型的には球晶状のラメラ液晶相を含み、そして、視覚観察において、該規則的な液晶相の存在による不透明な外観を示す。
【0011】
ここで用いる「不透明」という用語は、光に対し完全には透明でないことを意味し、曇った(hazy)半透明から、濁った(turbid)外観を経て、均一で飽和した白色外観までに亘る。1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、濁った外観から均一で飽和した白色外観までに亘る。
【0012】
規則的な液晶相は、単独で又はより通常は水性相が点在した(interspersed)ものとして、システムが静置しているとき任意の懸濁粒子を固定する(immobilize)が、しかしその程度は該システムが正常流体のようにポンプ送りし得る、十分低い流動性を提供する。そのようなシステムは、攪拌され、ポンプ送りされ又は注入されるとき非常に低い見掛け粘度を示し得、それでも粒子、時にはmm又はより大きなサイズのもの、を懸濁状態に保持し得る。
【0013】
1実施態様において、本発明の組成物はせん断減粘性(shear-thinning)粘度を示す。粘度についてここで用いる用語「せん断減粘性」は、せん断速度の増加により粘度が減少することを意味する。せん断減粘性は、「非ニュートン性」挙動として特徴付けられ得、粘度がせん断速度に依存しない、例えば水のような古典的なニュートン性流体のそれとは異なる。
【0014】
ここで用いる「降伏強さ」は、該組成物を流動させるのに必要な適用される力の大きさを意味する。1実施態様において、該組成物は、2様又はより多様の速度において制御された応力/歪流動計を用いる測定により決定された値として、0.1パスカル(「Pa」)より大、より典型的には約1〜約100Pa、更により典型的には約1〜約10Pa、の降伏強さを示す。
【0015】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、水不溶性又は部分水溶性(partially water-soluble)の成分を懸濁し得る。
【0016】
水性組成物の成分に関してここで用いる用語「水不溶性又は部分水溶性の成分」は、該成分が該成分の溶解限度を越える濃度で該水性組成物中に存在することを意味し、それにより、水不溶性成分の場合、該成分は実質的に不溶で該水性組成物中に残留し、そして、部分水溶性成分の場合はそのような成分の少なくとも1部分が溶けないで該水性組成物中に残留する。該水不溶性又は部分水溶性の成分は、例えば、固体粒子、連続又は不連続液相例えば油滴、又は不連続気体相例えば空気泡、の形態であり得る。
【0017】
ここで用いる、「懸濁し得る」又は「懸濁体であり得る」水不溶性又は部分水溶性の成分としての水性組成物の特性、は、該組成物が該組成物中のそのような成分の浮遊(flotation)又は沈降(sinking)を実質的に妨げ、それにより、そのような成分がそのような組成物中に中立的に(neutrally)浮いた状態(buoyant)であるように見え、そして、予定された加工、保管、及びそのような水性組成物の使用条件の下でそのような組成物中に少なくとも実質的に懸濁して残留する、ことを意味する。
【0018】
水不溶性又は部分水溶性の成分を懸濁する能力は、本発明のゼロでない降伏強さの現れ(manifestation)であり、即ち、低い応力での変形に対する本発明の組織化石鹸組成物の抵抗性が水不溶性又は部分水溶性の成分に作用する重力をバランスするのに十分であり、それにより該成分は該組織化石鹸組成物中に懸濁して残留する。
【0019】
本発明の組織化石鹸組成物は、典型的には、100pbwの該組成物を基準として、40pbwより大、より典型的には約40〜約90pbw、更により典型的には約58〜約90pbw、の水を含む。
【0020】
ここで用いる有機基についての用語「(Cx-Cy)」、但しx及びyは各々整数、は、該基が基あたりx個の炭素原子〜y個の炭素原子を含み得ることを示す。
【0021】
ここで用いる用語「アルキル」は、単官能の飽和直鎖又は枝分かれ炭化水素基を意味し、より典型的には、オクチル、ノニル、デシルウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、メチルドデシル、エチルウンデシル、又はジメチルウンデシルのような、単官能飽和(C6-C30)炭化水素基である。アルキル基はまた、それら各々の慣用名でも示され、例えば「ラウリル」及び「ドデシル」は各々C12アルキルを、そして「テトラデシル」及び「ココ(coco)」は各々C14アルキルを示す。
【0022】
ここで用いる用語「アルケニル」は、単官能の不飽和直鎖又は枝分かれ炭化水素基を意味し、より典型的には、オクテニル、ノネニル、デセニルウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、メチルドデセニル、エチルウンデセニル、又はジメチルウンデセニルのような、単官能不飽和(C6-C30)炭化水素基である。
【0023】
ここで用いる用語「カチオン」は、化粧品組成物中で使用可能なカチオンを意味し、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、及びアンモニウム、及び、イソプロピルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、及びトリエタノールアンモニウムカチオンのような(C1-C6)アルキルアンモニウム及び(C1-C6)アルコキシアンモニウムカチオン、を含む。上記カチオンの混合物が使用され得る。
【0024】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、典型的には、100pbwの該組成物を基準として、約1〜約20pbw、より典型的には約2〜約15pbw、更により典型的には約3〜約15pbw、更により典型的には約4〜約15pbw、更により典型的には約4〜約12pbw、の中和脂肪酸を含む。
【0025】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物の中和脂肪酸成分は、次から選ばれる1種又はより多種の化合物を含む:
(a) 構造(I)の化合物及び構造(II)の化合物:
【化1】

【化2】

構造中:
R1は、(C6-C30)アルキル又は(C6-C30)アルケニル、
R2は、(C6-C30)アルキレン又は(C6-C30)アルケニレン、及び
Xは、各々の場合、カチオン、及び
(b) 中和脂肪酸オリゴマー。
【0026】
1実施態様において、該中和脂肪酸は、構造(I)のものである。
【0027】
1実施態様において、R1は、ノネニル、トリデセニル、オレイル、ペンタデセニル、ヘプタデセニル、リノレイル、リノレニル、又はベヘニル、より典型的には、ノネニル、トリデセニル、リノレイル、又はリノレニル、である。
【0028】
1実施態様において、Xはカリウムである。
【0029】
適切な中和脂肪酸は、例えば、脂肪酸をアルカリ金属水酸化物で中和することにより得られる。適切な脂肪酸は、飽和又は不飽和モノ-又はジ-脂肪酸、より典型的には、例えばセバチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキジン酸(archidic acid)、ベヘン酸、エルカ酸、及びそれらの混合物のような(C6-C30)脂肪酸を含み、それは、例えばタル(tall)油、ナタネ油、カノーラ(canola)油、大豆油、ヤシ油、ヒマシ油、コーン油、オリーブ油、ヒマワリ油、綿実油、パーム油、ピーナツ油、ゴマ油、サフラワー油、亜麻仁油、亜麻(flax seed)油、パーム仁(kernel)油、及びそれらの混合物のような植物油を含む。
【0030】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物の中和脂肪酸成分は、1種又はより多種の中和脂肪酸オリゴマー、例えば脂肪酸ダイマー及び脂肪酸トリマーを含む。適切な中和脂肪酸オリゴマーは、例えば、セバチン酸の中和ダイマー及びトリマー、オレイン酸の中和ダイマー及びトリマー、ステアリン酸の中和ダイマー及びトリマー、エルカ酸の中和ダイマー及びトリマー、及びそれらの混合物を含む。
【0031】
適切な組織化剤は、アルカノールアミド、脂肪族アルコール、アルコキシ化脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、及びそれらの混合物を含む。1実施態様において、該組織化剤は、アルカノールアミド、脂肪族アルコール、アルコキシ化脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、から選ばれる。
【0032】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、100pbwの該組成物を基準として、約1〜約18pbw、より典型的には約2〜約18pbw、更により典型的には約3〜約15pbw、更により典型的には約3〜約12pbw、更により典型的には約4〜約10pbw、の組織化剤を含む。
【0033】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、1種又はより多種のアルカノールアミド化合物を含み、より典型的にはアルカノールアミド化合物は次の構造(III)のものである:
【化3】

【0034】
構造中:
R3は(C5-C24)飽和又は不飽和、直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
R4及びR5は、同一か又は異なる、C2-C4直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
xは0〜10の整数、yは1〜10の整数、そしてxとyの合計は10又はより少である。
【0035】
適切なアルカノールアミドは、例えばコカミド(cocamide)MEA(ココ モノエタノールアミド)及びコカミドMIPA(ココ モノイソプロパノールアミド)、コカミドDEA(ココ ジエタノールアミド)、ラウラミド(lauramide)MEA(ラウリル モノエタノールアミド)、ラウラミドDEA(ラウリル ジエタノールアミド)のような脂肪酸アルカノールアミド、及び、例えばPEG-5コカミドMEA(R3が(C12-C12)アルキル、R4及びR5が各々C2H4、そしてx+yが5である、上記構造(III)の化合物)のような、アルコキシ化アルカノールアミド、及びそれらの任意の混合物、を含む。
【0036】
1実施態様において、本発明の組成物の組織化剤成分は、1種又はより多種の脂肪族アルコール及び/又はアルコキシ化脂肪族アルコールを含む。より典型的には、該組織化剤成分は、式(IV)の脂肪族アルコール及び/又はアルコキシ化脂肪族アルコール、
【化4】

【0037】
式中
R6は(C8-C22)アルキル又は(C8-C22)アルケニルであり、
Pは2, 3又は4、より典型的には2であり、
Qは0〜100、より典型的には0〜約50の整数である、

又はその塩、を含む。
1実施態様において、qは0である。
1実施態様において、qは1〜約30の整数である。
【0038】
適切な脂肪族アルコールは、例えば、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、及びそれらの混合物、を含む。
【0039】
適切なアルコキシ化アルコール界面活性剤化合物は、例えば、エトキシ化(15)トリデシルアルコール、エトキシ化(7)ラウリルアルコール、エトキシ化(20)オレイルアルコール、エトキシ化(15)ステアリルアルコール、及びそれらの混合物、を含む。各々の場合、その化合物についてのエチレンオキシド鎖中のエチレンオキシド由来繰り返し単位のモル数、即ち該化合物についての対応する式(IV)における「q 」の値が( )中に示される。
【0040】
1実施態様において、本発明の組成物の組織化剤成分は、1種又はより多種の脂肪酸又は脂肪酸エステルを含む。
【0041】
適切な脂肪酸は、飽和又は不飽和モノ-又はジ-脂肪酸、より典型的には(C6-C30)脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノール酸、エライジン酸、アラキドン酸、ミリストール(myristoleic)酸、脂肪酸ダイマー及びトリマーのような脂肪酸オリゴマー、及びそれらの混合物、を含む。
【0042】
適切な脂肪酸エステルは、例えば、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸セチル、オレイン酸デシル、ラウリン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル、リノール酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレート、プロピレングリコールステアレート、及びプロピレングリコールイソステアレート、を含む。
【0043】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、更に両性(amphoteric)界面活性剤を含む。
【0044】
適切な両性界面活性剤は、例えば、脂肪族第2及び第3アミンであって該脂肪族基は直鎖又は枝分かれであり得且つ該脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含みそして1つはアニオン性水溶性基を含むもの、及びそれらの混合物、を含む。適切な両性界面活性剤の具体例は、例えば、アルキル アンホ(ampho)カルボキシ グリシネート及びアルキル アンホカルボキシプロピオネート、アルキル アンホジプロピオネート、アルキル アンホジアセテート、アルキル アンホグリシネート、及びアルキル アンホプロピオネート、及びアルキル イミノプロピオネート、アルキル イミノジプロピオネート、及びアルキル アンホプロピルスルホネート、例えばココアンホアセテート ココアンホプロピオネート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、ラウロアンホジプロピオネート、ココアンホプロピル スルホネート カプロアンホジアセテート、カプロアンホアセテート、カプロアンホジプロピオネート、及びステアロアンホアセテート、の、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及び置換アンモニウム、の塩、を含む。
【0045】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、100pbwの該組成物を基準として、0〜約15pbw、より典型的には約1〜約12pbw、更により典型的には約3〜約8pbw、の両性界面活性剤を含む。
【0046】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、更に両性イオン性(zwitterionic)界面活性剤を含む。
【0047】
適切な両性イオン性界面活性剤は、例えばココジメチル カルボキシメチル ベタイン(betaine)、ラウリル ジメチル カルボキシメチル ベタイン、ラウリル ジメチル アルファ-カルボキシ-メチル ベタイン、セチル ジメチル カルボキシメチル ベタイン、ラウリル ビス-(2-ヒドロキシ-エチル)カルボキシ メチル ベタイン、ステアリル ビス-(2-ヒドロキシ-プロピル)カルボキシメチル ベタイン、オレイル ジメチル ガンマ-カルボキシプロピル ベタイン、及びラウリル ビス-(2-ヒドロキシプロピル)アルファ-カルボキシエチル ベタイン、アミドプロピル ベタイン、のようなアルキルベタイン、及び、例えばココジメチル スルホプロピル ベタイン、ステアリルジメチル スルホプロピル ベタイン、ラウリルジメチル スルホエチル ベタイン、ラウリル ビス-(2-ヒドロキシ-エチル)スルホプロピル ベタイン、及びアルキルアミドプロピルヒドロキシ スルタイン(sultaine)のようなスルタイン、を含む。
【0048】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、100pbwの該組成物を基準として、0〜約15pbw、より典型的には約1〜約10pbw、更により典型的には約2〜約6pbw、の両性イオン性界面活性剤を含む。
【0049】
1実施態様において、該組織化石鹸組成物の成分(i)及び(ii)の組み合わせた全量は、該組織化石鹸組成物100pbwあたり、約3pbw又はより大、より典型的には約4pbw又はより大、更により典型的には約6pbw又はより大、更により典型的には約8pbw又はより大、である。
【0050】
1実施態様において、該組織化石鹸組成物の成分(i)、(ii)及び(iii)の組み合わせた全量は、該組織化石鹸組成物100pbwあたり、約6pbw又はより大、より典型的には約8pbw又はより大、更により典型的には約10pbw又はより大、更により典型的には約12pbw又はより大、である。幾つかの実施態様において、該組織化石鹸組成物の成分(i)、(ii)及び(iii)の組み合わせた全量は、該組織化石鹸組成物100pbwあたり、約15pbw又はより大である。
【0051】
本発明の該組織化石鹸組成物の電解質成分は、該中和脂肪酸、組織化剤及び本発明の組織化石鹸組成物の界面活性剤成分との組合せにおいて、ラメラ液晶界面活性剤相の形成を引起し、それにより、本発明の該組織化石鹸組成物の不透明外観と非ゼロ降伏強さが生じる。
【0052】
1実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、100pbwの該組成物を基準として、0〜約20pbw、より典型的には約1〜約15pbw、更により典型的には約1〜約12pbw、更により典型的には約2〜約12pbw、更により典型的には約3〜約10pbw、の電解質を含む。幾つかの実施態様において、本発明の組織化石鹸組成物は、100pbwの該組成物を基準として、約3〜約20pbw、より典型的には約5〜約20pbw、更により典型的には約7〜約18pbw、の電解質を含む。
【0053】
適切な電解質は、有機塩、無機塩、及びそれらの混合物、及び、例えば非キャップ(uncapped)ポリアクリレート、ポリマレエート、又はポリカルボキシレート、リグニンスルホネーと又はナフタレンスルホネート ホルムアミド コーポリマー、のようなポリ電解質、を含む。該電解質は、典型的には、カチオン成分とアニオン成分を持つ塩を含む。
【0054】
適切なカチオンは、1価又は多価のものであり得、有機性又は無機性であり得、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、セシウム、及びリチウムカチオン、及び第1,第2、第3及び第4アンモニウム又はピリジニウムカチオン、を含む。適切なアニオンは、1価又は多価のものであり得、有機性又は無機性であり得、例えば塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、炭酸、クエン酸、シアン酸、酢酸、安息香酸、酒石酸、シュウ酸、リン酸,及びホスホン酸アニオン、を含む。
【0055】
適切な電解質は、例えば、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、及びクエン酸ナトリウムのような多価アニオンと1価カチオンとの塩、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ハロゲン化亜鉛、塩化バリウム、及び硝酸カルシウムのような多価カチオンと1価アニオンとの塩、及び塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、沃化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、アルカリ金属硝酸塩、及び硝酸アンモニウムのような1価カチオンと1価アニオンとの塩、を含む。
【0056】
電解質は、別個の成分として、又は本発明の組成物のその他の成分と組み合わせて、添加され得る。
【0057】
該組織化石鹸組成物は、所望により更に、100pbwの該組成物を基準として、約2pbwまで、より典型的には約1pbwまで、の付加的な界面活性剤を含み得、それらはカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、上記した組織化剤として用いられる量より多い、両性界面活性剤、及び両性イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物を含む。
【0058】
適切なカチオン界面活性剤は、セチル トリメチル アンモニウム ブロマイド(CETAB又はセトリモニウム(cetrimonium) ブロマイドとしても知られる)、セチル トリメチル アンモニウム クロライド(セトリモニウム クロライドとしても知られる)、ミリスチル トリメチル アンモニウム ブロマイド(ミトリモニウム(mytrimonium)ブロマイド又はクオーターニウム(Quaternium)-13としても知られる)、ステアリル ジメチル ジステアリルジモニウム(distearyldimonium) クロライド、ジセチル ジモニウム クロライド、ステアリル オクチルジモニウム メトサルフェート(methosulfate)、ジヒドロゲネーテド パルモイルエチル(palmoylethyl) ヒドロキシエチルモニウム(hydroxyethylmonium)メトサルフェート、イソステアリル ベンジルイミドニウム(benzylimidonium) クロライド、ココイル ベンジル ヒドロキシエチル イミダゾリニウム(imidazolinium) クロライド、ジセチル ジモニウム クロライド及びジステアリルジモニウム クロライド;イソステアリルアミノプロパルコニウム(aminopropalkonium) クロライド又はオレアルコニウム(olealkonium) クロライド;ベヘントリモニウム(behentrimonium) クロライド;及びそれらの混合物、のような第4アンモニウム化合物を含む。
【0059】
適切なノニオン界面活性剤は、ラウラミン(lauramine) オキシド、コカミン オキシド、ステアラミン オキシド、ステアラミドプロピルアミン(stearamidopropylamine) オキシド、デシルアミンn オキシドのようなアミンオキシド、脂肪族アルコール、アルコキシ化脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、及びそれらの混合物、を含む。適切な脂肪族アルコール、アルコキシ化脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステルは、上に組織化剤として記載した物を含む。
【0060】
本発明の組織化石鹸組成物は、所望により更に、ベンジルアルコール、メチルパラベン(paraben)、プロピルパラベン、又はイミダゾリジニル(imidazolidinyl)尿素、及びDMDMヒダントイン、のような1種又はより多種の防腐剤(preservatives)を含み得、そして所望により更に、クエン酸、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、又は炭酸ナトリウム、のような1種又はより多種のpH調節剤を含み得る。
【0061】
一般に、本発明の組織化石鹸組成物は、中和脂肪酸、組織化剤、界面活性剤及び電解質、及び水成分を一緒にし、混合することにより作られる。該中和脂肪酸成分は、その他の成分に中和脂肪酸の形で添加され得、又は脂肪酸の形で添加され次いで、例えば、NaOH又はKOHのような塩基の添加により、中和され現場で中和脂肪酸を形成し得る。1実施態様において、該組織化石鹸組成物は、中和脂肪酸と水を一緒にし、混合し、組織化剤と界面活性剤を添加し、次いで電解質を添加し、所望により、pHを調節及び/又は防腐剤を添加、することにより作られる。或いは、該電解質は、中和脂肪酸及び水と共に添加され得る。該組織化石鹸組成物はまた、高せん断混合に付され得る。ここで用いる「高せん断混合」という用語は、高いせん断条件、典型的には約1,000s−1又はより高、より典型的には約3,500s−1又はより高、のせん断速度での混合を意味する。
【0062】
該組織化石鹸組成物は、例えば高せん断混合機又はホモジナイザーのような公知の混合装置中での高せん断混合に付され得る。
【0063】
1実施態様において、本発明の該組織化石鹸組成物のpHは、8.2〜11、より典型的には8.5〜10.6である。
【0064】
本発明の組成物は、植物油、炭化水素油、シリコーン油、固体粒子、研磨剤、及び同様の物品、のような、水不溶性又は部分水溶性成分を懸濁し得る。該組成物は、他の手段では混和するのが困難な成分を界面活性剤混合物に含ませる手段を提供し、それにより、ある場合において、クレンジング、皮膚湿潤化、改善された皮膚感覚(feel)、皮膚表面剥離(exfoliation)/研磨(abrasion)、新しい外観(novel appearance)、又はこれらの組合せ、を含む多機能の利点(benefit)を持つ化粧品(cosmetic)調製をもたらす。
【0065】
組成物の、水不溶性又は部分水溶性成分を懸濁する能力は、典型的には、該混合物を十分な激しさで混合して該組成物中に気泡を取込み、次いで、決められた時間例えば12〜24時間、例えば室温のような決められた環境条件下で、その気泡が取込まれたままで組成物中に残留するかどうかを目視観察することにより評価される。1実施態様において、本発明の組成物は、気泡を、少なくとも1週間、より典型的には少なくとも3ヶ月懸濁し得る。室温で少なくとも12時間気泡を懸濁し得る組成物は、一般に、そのような組成物の一般に予測される加工、貯蔵、及び使用条件下で、該組成物中に水不溶性又は部分水溶性成分を懸濁し得るとみなされる。空気以外の成分について、該空気懸濁試験の結果が、目的成分を用いた類似の懸濁試験を行うことにより確認されるべきである。
【0066】
普通でない激しい加工、貯蔵及び/又は使用条件については、より激しい試験が適切であり得る。

1実施態様において、水不溶性又は部分水溶性成分を懸濁する能力は、より激しい条件下で評価され、即ち、該混合試料は、夫々の凍結/解凍サイクルが−10℃で12時間及び25℃で12時間である、1回又はより多数回の凍結/解凍サイクルに付された後目視評価される。1実施態様において、本発明の組成物は、1回の凍結/解凍サイクル、より典型的には3回の凍結/解凍サイクルの後、気泡を懸濁維持し得る。
【0067】
本発明の組成物は、例えば、シャンプー、体用洗剤、ハンドソープ、ローション、クリーム、コンディショナー、シェービング用製品、洗顔料、中和用(neutralizing)シャンプー、拭取り用製品(personal wipe)、及び皮膚トリートメントのような化粧品(personal care)用途、及び、液体洗剤、洗濯用洗剤、硬表面(hard surface)クレンザー、食器洗い液、便器(toilet bowl)洗剤のようなホームケア用途、及び、油田及び農薬(agrochemical)用途のようなその他の用途、に有用である。
【0068】
1実施態様において、本発明の化粧品組成物は、1種又はより多種の「利点付与剤(benefit agents)」、即ち該化粧品組成物のユーザーに皮膚湿潤化又はコンディショニングのような化粧上の利点を提供する材料、を含み、それらは例えば、皮膚軟化剤、グリセリンのような保湿剤、皮膚湿潤化剤、コンディショナー、ポリマー、ビタミン、研磨剤、UV吸収剤、抗微生物剤、フケ(dandruff)防止剤、香料、及び/又は、例えば着色粒子又は反射性粒子のような外観改質添加剤であり、それらは固体、液体、又は気体であり得、そして該組織化石鹸組成物に不溶又は極部分的に可溶であり得る。利点付与剤の混合物が使用され得る。
【0069】
1実施態様において、該化粧品組成物は、該組成物100pbwを基準として、約50〜100pbwより少、より典型的には約70〜約99pbwの、上記した本発明の水性組織か石鹸組成物を含む水性組織化石鹸相、及び、0より大きく約50pbwまで、より典型的には約1〜約30pbwの、該水性組織化石鹸組成物中に分散した、水不溶性又は部分水溶性の不連続相、を含む。
【0070】
1実施態様において、該水不溶性又は部分水溶性相は油を含む。適切な油は、アラキス(arachis)油、ヒマシ油、ココアバター、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム仁油、ナタネ油、ヒマワリ油、サフラワー実油、ゴマ実油、大豆油、シア(shea)バター、アボカド油、米ヌカ油、ジョジョバ(jojoba)油、ブドウ実油、スィートアーモンド油、カノーラ油、アプリコット油、クルミ油、小麦麦芽油、石油のような鉱油、ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン油、及びそれらの任意の混合物、のような植物油を含む。
【0071】
1実施態様において、該化粧品組成物は、該組成物100pbwを基準として、次のものを含む:
(a)約5〜100pbwより少、より典型的には約10〜約25pbwの、水性組織化石鹸相、該組織化石鹸相は次のものを含む:
(i)0より大で約27pbwまでの中和脂肪酸、
(ii)0より大で約18pbwまでの、アルカノールアミド界面活性剤、脂肪族アルコール、アルコキシ化アルコール、脂肪酸、及び脂肪酸エステルから選ばれた1種又はより多種の組織化剤、
(iii)0〜約15pbwの、両性界面活性剤及び両性イオン性界面活性剤から選ばれた1種又はより多種の化合物、
但し、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計量は5pbw又はより大、
(iv)成分(i)、(ii)及び(iii)との組合せにおいて不透明外観を持ち且つ0パスカルより大の降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な量の電解質、及び
(v)水、及び
(b)0より大で約75pbwまで、より典型的には約5〜約55pbwの、1種又はより多種の油、より典型的には1種又はより多種の植物油を含み、そして該水性組織化石鹸組成物中に分散された、水不溶性又は部分水溶解性の不連続相。
【0072】
該化粧品組成物の水性組織化石鹸相は、上記した本発明の組織化石鹸組成物に対応し、本発明の組織化石鹸組成物についての上の記載は、かくて、該化粧品組成物の組織化石鹸相にも適用する。
【0073】
該化粧品組成物は、典型的には、該化粧品組成物の水性組織化石鹸相を形成する本発明の組織化石鹸組成物を、該化粧品組成物の水不溶性又は部分水溶解性の不連続相を形成する1種又はより多種の水不溶性又は部分水溶解性成分と組み合わせることにより作られる。
【0074】
本発明の化粧品組成物は、典型的には、中和脂肪酸、組織化剤、界面活性剤、電解質、及び水成分を一緒にし、混合して化粧品組成物の水性組織化石鹸相を形成し、次いで1種又はより多種の油を添加して、化粧品組成物の水不溶性又は部分水溶性不連続相を形成することにより作られる。
【0075】
1実施態様において、該化粧品組成物はスキンケア組成物であり、100pbwの該組成物を基準として、約5〜100pbwより少、より典型的には約5〜約25pbw、更により典型的には約10〜約15pbw、の水性組織化石鹸相、及び0より大で約75pbwまで、より典型的には約5〜約55pbw、更により典型的には約10〜約30pbw、更により典型的には約10〜約25pbw、の水不溶性又は部分水溶性不連続相を含む。
【0076】
他の実施態様において、該化粧品組成物はヘアケア組成物であり、100pbwの該組成物を基準として、約5〜100pbwより少、より典型的には約5〜約25pbw、更により典型的には約10〜約15pbw、の水性組織化石鹸相、及び0より大で約75pbwまで、より典型的には約5〜約55pbw、更により典型的には約10〜約30pbw、の水不溶性又は部分水溶性不連続相を含む。
【0077】
本発明の組織化石鹸組成物は、ポリマー成分が無くても非ゼロの降伏強さを持つ、安定な組織化組成物を提供する。
【0078】
幾つかの用途で、ポリマー成分は、該組成物に望ましくないべとついた皮膚感覚をもたらすと認められ、ポリマーは組成物中に無いか又はポリマーの量は最小限であるのが好ましい。
【0079】
幾つかの用途で、ポリマー成分の存在は許容される。その場合、本発明の化粧品組成物の1実施態様は、更に、100pbwの該組成物を基準として、約5pbwまで、より典型的には約2pbwまで、のポリマーを含む。
【0080】
適切なポリマーは、例えば、寒天、アルギン酸塩、アラビノキシラン(arabinoxylanes)、カラゲーナン(carrageenans)、ゼラチン、ゼラン(gellan)、β-グルカン、アラビアゴム、ローカストビーンゴム、ペクチン、スクシノグリカン(succinoglycans)、キサンタン(xanthan)ゴム、グアー(guar)ゴム、ヒドロキシプロピル グアー(JaguarTM HP-8、JaguarTM HP-60、JaguarTM HP-120、JaguarTM C-162)のようなグアーゴム誘導体、澱粉及びナトリウム ヒドロキシプロピル 澱粉 ホスフェート(Grain Processing CorporationからのPure-Gel 980及びPure-Gel 998)のような澱粉誘導体、セルロース及びカルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース アルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースの第4アンモニウム誘導体のようなセルロース誘導体、アクリレート/アミノアクリレート/C10-30アルキルPEG-20イタコネート コーポリマー(National StarchからのStructure-PlusTM)のようなアクリレートポリマー、カチオン性ポリマー(CibaからのRheovis CSP、Rheovis CDE、Rheovis CDP)、ポリアクリルイミドメチルプロパン スルホネート/ポリクオーターニウム(polyquaternium)-4(ISPからのPlexagelTMASC)、疎水性化ノニオン性ポリオール(Rohm & HaasからのAcusolTM880、AcusolTM882)、及びPEG-150 ジステアレート、を含む。
【0081】
所望のポリマー成分を更に含む,本発明の化粧品組成物のそれらの実施態様において、該ポリマーは、増加した粘度を提供し、改良された安定性を提供し得、そして、ポリマーを含まない類似組成物に比べて該組織化石鹸組成物の降伏強さを増加させ得る。
【0082】
本発明の化粧品組成物は、所望により更に、該化粧品組成物100pbwを基準とし各々の成分について独立に、約0〜約10pbw、典型的には約0.5〜約5.0pbwの、公知の他の成分を含み得、それらは例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン及びイミダゾリジニル(imidazolidinyl)尿素のような防腐剤、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、及びクエン酸ナトリウムのような電解質;クエン酸、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムのようなpH調整剤;染料、及びエチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウムのような金属イオン封鎖剤、である。
【0083】
1実施態様において、本発明の化粧品組成物は、第1の巨視的「相」(それは、自体、水性相、平板状ラメラ界面活性剤相及び上記したような球晶状ラメラ界面活性剤相、を含む複数の相を含む)を形成する本発明の組織化石鹸成分を含み、そして該組成物は更に、そのような第1の相とは少なくとも実質的に異なる1種又はより多種の付加的巨視的相を含む。本発明の多相実施態様の相としてここに引用される場合、「実質的に相異」という用語は、該相の各々が与えられた相の中で実質的に均質な性質を示し、且つ相同士は、例えば色、透明度、真珠光沢のような見た目の特性、又は粘度、潤滑性のような物理的/化学的性質及び/又は利点付与剤濃度のような少なくとも1つの特性又は性質について相違する、ことを意味する。
【0084】
本出願の組織化石鹸組成物及び本出願の化粧品組成物の組織化石鹸相としての使用は、該油相の高充填(high loading)を可能にする。
【実施例】
【0085】
下記表1中の配合物は、下記表1に示された相対量で成分を一緒にする事により作られた。
【0086】
ラウリン酸はKOHで中和され、C12アルキル鎖を持つ純石鹸ベースを得た。オレイン酸はKOHで中和され、C18アルキル鎖を持つ純石鹸ベースを得た。
【表I】

【0087】
実施例1-8の組成物は、各々安定、均質、不透明、可動性、及び球結晶性である。該組成物は、各々が、実験室の室温において3ヵ月後も分離(separate)しない、安定な懸濁液であった。これら配合物の性質は、表IIに要約され、「+」印は、該実施例が、これらの性質を測定する方法の記載に従い、該表中に載せた性質を示したことを示す。
【表II】

【0088】
実施例1-8の組成物の目視外観は、濁り測定の目視法により、定性的に測定された。簡単に言えば、該目視法は、目視ターゲットまでの決まった長さの配合物を通して目視し、該ターゲットが読める即ち認識できるか否かを測定することを含む。このターゲットは、白紙に印刷された、直線、一式の平行線、数又は文字であり得る。各々の場合、試料は、ビーカーの底から配合物の頂部表面までの高さが4インチであるように、ガラスビーカー中に置かれた。該試料が気泡を含まないことを確認した後、目視ターゲットのある紙片が該ビーカーの下に置かれた。該ターゲットは試料の頂部表面から見られた。もし、試料を通して見えたターゲットが、試料が無い場合に見えたターゲットと同じに見えれば、該配合物は、許容できる透明度であると判定され、「合格」点を受けた。もし、試料を通して見えたターゲットが、試料が無い場合に見えたターゲットに比べて顕著に曇っている(hazy)か、又は焦点が合わない場合、該試料は許容できない透明度であると判定され、「不合格」点を受けた。
【0089】
実施例1-8の組成物の安定性は、次のようにして測定された。試料は、密閉容器中室温で少なくとも70日、そして高められた温度(50℃)で14日間、保持された。「安定性」は、そのような時間と温度の組合せの下で均質な物理的外観を保ち且つ粘度が40%を越える減少を示さない、組成物の能力として定義された。
【0090】
実施例1-8の組成物のpH値は、pHメーター(Horiba, Kyoto, Japan, Model: D-51及びF-21)により測定された。
【0091】
降伏応力、即ち降伏点、は半固体の流動を開始させるのに要する力の量であり、実施例1-8の組成物について次のようにして測定された。コーンとプレート(4cm、1度)を備えたレオメーター(REOLOGOCA instruments AB rheometer)が、1秒当たり1サイクル、測定間隔20秒で0.1%から500%の歪(γ)を発振(oscillate)し、弾性率(G')、粘性率(viscous modulus)(G")、及び応力(σ)分布を得るようにプログラムされた。低い変形度(歪γ)では、弾性率G'は粘性率G"より大きく、該配合物はより固体様である。高い変形度(歪γ)では、G" > G'であり、該配合物はより液体様である傾向がある。降伏応力(構造を破壊し流動を開始させるのに必要な最小せん断応力の尺度)の定義によれば、G'とG"との交錯点に対応する応力値は、降伏応力σとして決定される。該降伏応力σは、記録保持された。温度は25℃の一定に維持された。
【0092】
粘度測定
粘度は、1
10回転/分の回転子(spindle at 10 rpm)S04又はS05を備えたBrookfield DV-II+viscometerを用い、次のようにして測定された。広口ビン(幅1.5インチ、高さ3インチ(〜1.5 inches wide〜3 inches tall))が、25℃の試料組成物で満たされた。各々の場合、該広口ビン中の試料組成物の高さは少なくとも3インチであり、該回転子は該製品中に降ろされ(lowered)(1インチ(〜1 inch))、モーターオフで2分間ビン中に放置され、次いでモーターをオンにして回転子を1分間回転させた後粘度を読み取った。
【0093】
この発明は特別の実施態様に関して記載されたが、発明の多くの他の形と変形は当業者に明らかであろうことは明らかである。付加した特許請求の範囲及びこの発明は、一般に、本発明の真の意図と範囲の内にある全てのそのような明らかな形と変形を包含すると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織化石鹸組成物であって、該組成物100重量部を基準として次のものを含む、組成物、
(i)0より大きく約27重量部まで、の中和脂肪酸、
(ii)0より大きく約18重量部までの、アルカノールアミド界面活性剤、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸、及び脂肪酸エステルから選ばれた、1種又はより多種の組織化剤
(iii)0から約15重量部の、両性界面活性剤及び両性イオン性界面活性剤から選ばれた1種又はより多種の化合物、
但し、(i)、(ii)及び(iii)成分の合計量は5重量部又はより大である、
(iv)(i)、(ii)及び(iii)成分との組合せにおいて、不透明な外観を持ち且つ0パスカルより大きな降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な量の電解質、及び
(v)水。
【請求項2】
該組成物が、該組成物100重量部を基準として約2〜約15重量部の中和脂肪酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が、該組成物100重量部を基準として約4〜約12重量部の中和脂肪酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
本発明の組織化石鹸組成物の中和脂肪酸成分が、次から選ばれる1種又はより多種の化合物を含む、請求項1に記載の組成物:
(a) 構造(I)の化合物及び構造(II)の化合物:
【化1】

【化2】

構造中:
R1は、(C6-C30)アルキル又は(C6-C30)アルケニル、
R2は、(C6-C30)アルキレン又は(C6-C30)アルケニレン、及び
Xは、各々の場合、カチオン、及び
(b) 中和脂肪酸オリゴマー。
【請求項5】
該組成物が、該組成物100重量部を基準として約2〜約18重量部の組織化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
該組成物が、該組成物100重量部を基準として約4〜約10重量部の組織化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
該組織化剤が、1種又はより多種の、構造(III)のアルカノールアミド化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【化3】

構造中:
R3は(C5-C24)飽和又は不飽和、直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
R4及びR5は、同一か又は異なる、C2-C4直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
xは0〜10の整数、yは1〜10の整数、そしてxとyの合計は10又はより少である。
【請求項8】
該組成物が、該組織化石鹸組成物100重量部を基準として約20重量部までの電解質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
該組成物が、該組織化石鹸組成物100重量部を基準として約1〜約12重量部の電解質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
更に、両性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組織化石鹸組成物であって、該組成物100重量部を基準として次のものを含む組成物、
(i)約4〜約12重量部の中和脂肪酸であって、構造(I)の化合物及び構造(II)の化合物から選ばれる1種又はより多種の化合物を含む:
【化4】

【化5】

構造中:
R1は、(C6-C30)アルキル又は(C6-C30)アルケニル、
R2は、(C6-C30)アルキレン又は(C6-C30)アルケニレン、及び
Xは、各々の場合、カチオン、
(ii)約4〜約10重量部の、構造(III)のアルカノールアミド化合物から選ばれる1種又はより多種の組織化剤:
【化6】

構造中:
R3は(C5-C24)飽和又は不飽和、直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
R4及びR5は、同一か又は異なる、C2-C4直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
xは0〜10の整数、yは1〜10の整数、そしてxとyの合計は10又はより少である。
(iii)0〜約15重量部の、両性界面活性剤及び両性イオン性界面活性剤から選ばれる1種又はより多種の化合物、
但し、(i)、(ii)及び(iii)成分の合計量は5重量部又はより大である、
(iv)約1〜約12重量部の、(i)、(ii)及び(iii)成分との組合せにおいて、不透明な外観を持ち且つ0パスカルより大きな降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な量の電解質、及び
(v)水。
【請求項12】
更に、両性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はそれらの混合物を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物であって、各々の場合該組成物100重量部を基準として、次のものを含む、組成物:
(a)約5〜100重量部より少の水性組織化石鹸相、該組織化石鹸相は次のものを含む:
(i)0より大で約27重量部までの中和脂肪酸、
(ii)0より大で約18重量部までの、アルカノールアミド界面活性剤、脂肪族アルコール、アルコキシ化アルコール、脂肪酸、及び脂肪酸エステルから選ばれた1種又はより多種の組織化剤、
(iii)約0〜約15重量部の、両性界面活性剤、
但し、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計量は5重量部又はより大、
(iv)成分(i)、(ii)及び(iii)との組合せにおいて不透明外観を持ち且つ0パスカルより大の降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な量の電解質、及び
(v)水、及び
(b)0より大で約75重量部までの、該水性組織化石鹸組成物中に分散された、水不溶性又は部分水溶解性の不連続相。
【請求項14】
該水不溶性又は部分水溶性相が、皮膚軟化剤、皮膚湿潤化剤、コンディショナー、ポリマー、ビタミン、研磨剤、UV吸収剤、抗微生物剤、フケ防止剤、香料、及び水不溶性又は部分水溶性外観改質添加剤、から選ばれる1種又はより多種の利点付与剤を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
該水不溶性又は部分水溶性相が油を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
該油が、アラキス油、ヒマシ油、ココアバター、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム仁油、ナタネ油、ヒマワリ油、サフラワー実油、ゴマ実油、大豆油、シアバター、アボカド油、米ヌカ油、ジョジョバ油、ブドウ実油、スィートアーモンド油、カノーラ油、アプリコット油、クルミ油、小麦麦芽油、鉱油、及びシリコーン油、から選ばれる1種又はより多種の化合物を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
組織化石鹸組成物であって、該組成物100重量部を基準として次のものを含む組成物、
(a)約10〜100重量部より少の水性組織化石鹸相、該組織化石鹸相は次のものを含む:
(i)約4〜約12重量部の中和脂肪酸であって、構造(I)の化合物及び構造(II)の化合物から選ばれる1種又はより多種の化合物を含む:
【化7】

【化8】

構造中:
R1は、(C6-C30)アルキル又は(C6-C30)アルケニル、
R2は、(C6-C30)アルキレン又は(C6-C30)アルケニレン、及び
Xは、各々の場合、カチオン、
(ii)約4〜約10重量部の、構造(III)のアルカノールアミド化合物から選ばれる1種又はより多種の組織化剤:
【化9】

構造中:
R3は(C5-C24)飽和又は不飽和、直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
R4及びR5は、同一か又は異なる、C2-C4直鎖又は枝分かれ脂肪族基であり、
xは0〜10の整数、yは1〜10の整数、そしてxとyの合計は10又はより少である、
(iii)0〜約15重量部の、両性界面活性剤及び両性イオン性界面活性剤から選ばれる1種又はより多種の化合物、
但し、(i)、(ii)及び(iii)成分の合計量は5重量部又はより大である、
(iv)約1〜約12重量部の、(i)、(ii)及び(iii)成分との組合せにおいて、不透明な外観を持ち且つ0パスカルより大きな降伏強さを示す組織化石鹸組成物を提供するのに有効な量の電解質、及び
(v)水、及び
(b)5〜約30重量部の、アラキス油、ヒマシ油、ココアバター、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム仁油、ナタネ油、ヒマワリ油、サフラワー実油、ゴマ実油、大豆油、シアバター、アボカド油、米ヌカ油、ジョジョバ油、ブドウ実油、スィートアーモンド油、カノーラ油、アプリコット油、クルミ油、小麦麦芽油、鉱油、及びシリコーン油、から選ばれる1種又はより多種の油を含む水性組織化石鹸組成物中に分散した水不溶性又は部分水溶性不連続相。
【請求項18】
更に、両性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はそれらの混合物を含む、請求項17に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−536978(P2010−536978A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521500(P2010−521500)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003759
【国際公開番号】WO2009/060312
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510044062)ローディア アジア パシフィック プライベート リミティド (1)
【Fターム(参考)】