説明

組織学的組織標本処理

【課題】脱水溶液等の汚染物質の組織処理浸透物質を除去する方法、組織学的分析のための組織サンプル用組織処理装置を提供する。
【解決手段】処理装置は、少なくとも1つのレトルト、複数の試薬コンテナ、少なくとも1つの浸透物質コンテナ、前記試薬コンテナの1つから前記レトルトまで試薬を選択的に導く試薬弁、加熱器、および温度センサを有し、前記レトルトから該試薬を蒸発させるために、レトルトを、試薬の蒸発温度と実質的に同じ温度またはそれより高い温度まで加熱する、組織処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、組織学的組織標本の処理システムおよび処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織学的組織標本の作製は、生体学的標本と反応する化学溶液を必要とする物理工程である。生体組織検査および死体解剖による組織サンプルなどの標本は、通常、処理を必要とする。このような処理の最終的な成果は、保存加工されパラフィンで浸透されたサンプルである。組織は、パラフィンに包埋されると安定し、引き続き包埋され、ミクロトームによって薄く切ることが可能である。この工程は4つの異なるサブ工程を通常含む。
(a) 固定
固定とは、細胞タンパクを安定にする工程であり、この工程は、通常化学溶液を用いて行われる。よい固定剤とは通常、組織を縮ませることも膨らませることもない流体のことであり、より詳しくは、組織の成分を分解せず、細菌を殺して酵素を不活性にする。さらに、溶液は、初期状態の組織では損傷してしまう処理を施した場合でも形状を保持するよう組織成分を変えるはずである。最も一般的に用いられる化学溶液は、ホルマリンである。
(b) 脱水
組織標本処理の最終目的は、組織サンプルをパラフィンで浸透することであり、水とパラフィンは混和性がないので、固定ステップ後に標本を脱水しなければならない。脱水は、組織サンプルにアルコール濃度の増加を施すことにより通常実現される。
(c) 除去
パラフィンとアルコールは混和性がないので、脱水後、組織サンプルは依然としてパラフィンを受容することができない。アルコールとパラフィンの双方に混和性がある、選択された化学溶液が、サンプルからアルコールを除去するために用いられる。最も一般的に用いられる化学溶液はキシレンである。ほとんどの組織学的処理研究所が毎日のようにキシレンを使用するが、残念ながらキシレンは有毒であると考えられている。
(d) 浸透
組織サンプル処理における4番目の、また最終のステップは、サンプルを、通常はパラフィンワックスで浸透することである。このステップでは、除去後の組織サンプルは、パラフィンの融解温度よりも数度高い温度まで加熱されたパラフィンの中へ配置される。組織が融解したパラフィンに完全に浸透するよう、残存するキシレンを取り除くために、パラフィンを数回交換してもよい。
【0003】
全ての流体の流体交換時期は、組織サンプルからその前の化学薬品を効率的に排除するための要件に関係する。組織サンプルは中身と大きさにおいてかなり変化することがあり、したがって、別のサンプルから流体を排除するためにかかる時間と比較して、1つのサンプルから流体を排除するために要する時間には大きなばらつきがある可能性がある。さらに、サンプルが、空隙を有し、有意量の流体を吸収する生体検査パッドに挟まれる場合もある。
【0004】
組織処理に関する従来の手動方法の自動化における最初の試みは、最後の加熱されたパラフィン槽に至るまでコンテナからコンテナへサンプルが移動できるよう、溶液を円形配列に配置することを含む。組織学の分野で用いられるこの種の構造を備えた最も良く知られた機器は、Techniconである。この種の機器の大きな欠点の1つは、これらがガスを研究所内へ流出することをそのままほうっておくことであり、したがって研究所の所員を危険な環境にさらしている。この課題を克服するために、次世代の組織処理機器は、中央に配置された組織サンプル用の閉じたチャンバーを含む。組織処理に必要な溶液は、流体を順序どおりにチャンバー内またチャンバー外へ送り込む好適な弁を用い、閉じたチャンバー内に運ばれる。通常チャンバーは処理中に開かないものである。
【0005】
チャンバーは閉じており、また1つの指令しか実行できないため、1回の運転に含めることが出来る組織サンプルの範囲に応じるように、指令を企てなければならない。このことは、一部のサンプルの過剰処理または不足処理のいずれかを招きうる。レトルトの密封された状態から判断すると、処理運転中は組織サンプルを簡単に取り除いたり追加したりすることはできない。
【0006】
もう1つの問題は、サンプルの一部は緊急処理が必要であり、一方、別のサンプルは急を要しないということである。公知の組織サンプル生成装置では、緊急を要するサンプルを処理するために現下のサンプルの運転を停止すること、あるいはより長い処理時間を要する別のサンプルと共に緊急を要するサンプルの処理を可能にする指令を講じることは不可能である。したがって、緊急を要するサンプルを分離して運転するか、別のサンプルに加えるかのどちらかであり、処理時間が長くなる。
【0007】
公知の自動組織処理機械の実例は、特許文献に見いだされ、典型例にはLouderの米国特許第4,141,312号およびRepasi et al.の米国特許第5,049,510号が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術ではそのため、多様なサンプルを安全かつ効率的に処理できることを確保し、適切に対応することが不可能であった。
【0009】
あるシステムでは、ワックスまたは組織サンプルをマイクロ波で加熱することがある。しかしながら、マイクロ波のシステムでは、自動化が困難であり、試薬ではなく組織サンプルを優先的に加熱する。
【0010】
組織処理の自動化を提供する組織処理装置のための技術が必要である。
【0011】
組織処理に用いられる有害な化学薬品の使用を削減する必要もある。
【0012】
さらに、汚染物質の浸透物質を除去する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
1つめの形態では、本発明は、2つのレトルトと、コントローラと、試薬導管と弁の配置によってレトルトと流体的に接続された一組の試薬コンテナとを有し、コントローラによって命令がなされたとき、弁で配置を調節し、試薬コンテナからレトルトの一方へ試薬を導く組織処理装置に関する。
【0014】
別の形態では、本発明は、組織サンプルを脱水溶液にさらすことにより固定した組織を脱水するステップと、
該組織を浸透物質にさらすことにより脱水した組織サンプルを浸透させるステップとを有し、
該脱水流体を取り除くステップは、該浸透物質を、実質的に該脱水溶液の沸点以上の温度まで加熱し、該サンプルの表面の脱水溶液が沸騰して該浸透物質が該組織サンプルに浸透することができるよう、該組織サンプルを浸透物質に接触させることにより達成される、
組織サンプル処理方法に関する。
【0015】
別の形態では、本発明は、該浸透物質を除去温度まで加熱するステップと、
揮発性汚染物質の沸点を低くするために該浸透物質を低い圧力にさらすステップとを含み、該除去温度は実質的に、前記低い圧力における該汚染物質の沸点以上の温度である、
揮発性汚染物質の組織処理浸透物質を除去する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、組織処理装置の基本構成要素を示す本発明の組織処理装置の第1の実施形態の概略ブロック図である。
【図2】図2は、空気と試薬ラインを示す組織処理装置のより総合的な概略ブロック図である。
【図3】図3は、図2に示す組織処理装置の一実施形態の斜視図を示す。
【図4】図4は、図3に示す組織処理装置のレトルトの切欠斜視図を示す。
【図5】図5は、カセット籠を所定の位置に収納した、図4のレトルトの同様な切欠斜視図を示す。
【図6】図6は、図4に示すレトルトの正面図を示す。
【図7】図7は、真空圧力に対するイソプロパノールの沸点温度のグラフを示す。
【図8a】図8aは、本発明の組織処理装置に用いる試薬弁の一例の図を示す。
【図8b】図8bは、本発明の組織処理装置に用いる試薬弁の一例の図を示す。
【図9】図9は、図3に示す組織処理装置の背面図を示す。
【0017】
本発明の組織処理装置の実施形態を、添付の図面を参照して、以下により詳細に記載する。
【0018】
好適な実施形態の説明
図1は、レトルト12と14、4つの浸透槽16〜22、コンテナ26、試薬弁40、多岐管38、ならびに空気ポンプ44等の主要物を示す、処理装置10の概略図の一例である。主要な構成要素に接続している3つの主な流体サブシステムがある。1つ目のサブシステムは、ポンプ44から浸透槽16〜22ならびにレトルト12と14への空気ライン30である。2番目のサブシステムは、浸透槽16〜22とレトルト12と14を接続する浸透ライン32である。3番目のサブシステムは、コンテナ26と、試薬弁40ならびにレトルト12と14とを接続する試薬ライン34である。図2に示すように、弁を調節することにより、流体がラインに沿って適正な行先へ流動することを確保し、また図2は、先に言及した構成要素に関する流体ラインの接続および弁の配置の具体的な実施例を示す。コントローラ25、弁、ポンプ44および他の構成要素間の電気的接続は、見やすいように図2から省略し、標準的な取り付け品とみなす。多数のコンテナ26およびそれらの試薬バルブ40と各々の接続も、見やすいように図2から省略した。省略した接続は、図2に示す接続と同一のものである。
【0019】
概略図2は、図3および図9に示す実施例に具体化されている。
【0020】
図3および図9を参照すると、処理装置10は、コントローラ25によってユーザが処理装置を操作することを可能にするためのグラフィカルユーザインターフェイスを用いる制御インターフェイスを含む。本実施形態では、コントローラ25は筐体11の中に配置されているが、インターフェイス24とコントローラ25は、例えば独立型のパソコンの一部として独立して配置してもよい。コントローラ25は、ETXフォームファクタPCBに配置されたインテル社によるセレロンチップなどのパーソナルコンピュータプロセッサ(不図示)を含んでも良い。コントローラは、組織を処理するための、多数の所定の指令(またはステップ)を含めることができ、これらの指令はハードドライブ等の不揮発性メモリに記録されている。通常の指令要素は、どの試薬をサンプルに加えるのか、試薬をどのぐらい長く加えるのか、加える試薬の温度、攪拌を行うかどうか、レトルト内の大気圧を変えるかどうかを含む。
【0021】
図3では、浸透槽16〜22の手前にレトルト12と14を見ることができる。レトルト12と14用の蓋は、浸透槽用の蓋と同様に、見やすいように取り外している。本実施形態では、各レトルト12、14は、蓋(不図示)を有し、各1対の浸透槽も蓋17と19(図9に示す)を有する。蓋は閉じた位置にあるとき、レトルトと槽を密閉する。コンテナ26は、利用者が利用しやすいよう、レトルト12と14の下に配置してもよい。図3と図9の制御インターフェイス24は、タッチスクリーンを用いるが、別の入力表示装置を用いてもよい。処理装置10から排出された空気から蒸気を吸収する炭素フィルタを主に含むフィルタユニット52もレトルト12と14の下に配置する。
【0022】
図9においては、試薬弁40に取り付けられた試薬コンテナ26からの試薬ライン34等の各種の流体ラインを見ることができる。試薬弁40は、全てのコンテナ27からの入力と、レトルト12および14への1つの出力を有することができる。多岐管38と試薬ボトル26を接続する多数の空気ラインも見ることができる。図9における各種構成要素間の接続を、図2に概略的に示す。
【0023】
組織サンプルを収容する収納籠62用の容器13を含むレトルト12の一実施形態を図4〜図6に示す。容器は5.5リットルの可使容積を有するが、各指令のステップの間必ずしも完全にいっぱいにしなくてもよい。レトルトは、処理装置に配置されると、処理装置10の前面に向かって、10度前方に回転する。これにより、籠へのより容易なアクセスが可能となり、さらに容器13内の最下部の排出先端部を提供して排出後にレトルト12内の残留物を最少にする。
【0024】
先に記載したように、コントローラ25がいつ、ポンプ44をオンまたはオフにし、また適当な弁を開け閉めするか確認出来るよう、センサ52がレトルト12内の流体のレベルを検知するために用いられる。図6においては、3つのセンサ52が配置されていることが分かる。最下部のセンサは、例えば試薬または浸透流体の液体のレベルが、最少レベルよりも上にある場合を検知する。最少レベルは、節約モードで運転するときに望ましい一部が満たされた容器を表すことができる。これは、同時に2つ以下の籠を早急に処理するときに望ましく、それ故、籠とそれに収容されたサンプルを覆うために約3.8リットルの流体しか必要でない。籠は多様なサイズであってもいいので、最下段のセンサとのレベルと、それゆえ節約モード用の充填量は、レトルト12の異なる実施形態によって変えてもよい。中央のセンサ52は、液体のレベルが、通常の積載量である3つの籠を概して覆う場合を検知する。一番上のセンサ52は、一杯にし過ぎる状態を検知する。この特定の実施形態では、センサは、液体がセンサのプリズム(不図示)に接した状態になるときの屈折率の変化を基に、光学的に配置される。各籠は約100個のサンプルを、個々のカセット内にまたは籠内に直接収納して保持することができる。したがって、図4〜図6に示すレトルト12の満載の実施形態では、約300のサンプルがある。レトルトは、要請に応じ、より大きくもしくはより小さくしてもよい。
【0025】
さらに、レトルト12に直接取り付けられた温度センサ53と、加熱マット55に取り付けられた温度センサ54を図6に示す。レトルト12は、試薬または浸透流体の温度を確実に調整するように加熱される。使用される流体の熱伝導率が低い場合は特に、温度センサをレトルトに直接配置すると、加熱マットの温度を測定するよりも内部の流体温度をより正確に測定することが可能になる。レトルトの温度が最高値よりも低い間、加熱マットの温度を最大値に保つことができ、1つの温度センサのみを用いる場合より、より迅速な加熱を提供する。
【0026】
図6に示される開口部56は、レトルト12への空気ライン30の接続を可能にする。レトルト多岐管57もまた、容器13の底面の共有入り口先端部(不図示)を介し、浸透ライン30と試薬ライン34の接続を可能にする。図2においては、レトルト多岐管57は、弁ret1−vrgtとret1−vwaxを内蔵し、レトルトの10度の傾斜角度により全ての流体が共有入り口先端部へ向かって排出するように、処理装置10の前面に配置される。
【0027】
図4と図5においては、容器13の内部を、攪拌器70を含めて示す。攪拌器70は電気モータ58と磁気的に連結しており、コントローラ25によって指示されたスピードで駆動することができる。籠62は、各々が100までの組織サンプルを収容する。籠62は、図4に示す支柱59の上に、攪拌器から離れて支持される。
【0028】
本実施例では、レトルト12と14は同一の構造、大きさ、動作をするものであるが、一方のレトルトが、他方のレトルトよりも大きくても、または容積が大きくてもよい。レトルト12への、またレトルト12からの接続は、レトルト14にもあてはまる。
【0029】
図2に、空気ライン30、レトルト12と14、ならびに浸透糟を備える流体連絡の中に圧力解放弁48を示す。これらのライン内に超過気圧があると、多岐管およびフィルタ47を介して余分な空気は放出され排気される。
【0030】
弁の機能の内訳は以下のとおりである。
弁ret1−vwstとret2−vwstは、廃物サイクルが必要な場合、レトルト12と14と廃物コンテナ72を接続する。一度に1つのレトルトだけ空にするので、それ故、これらの弁は一度に1つ開くだけである。別の実施形態では、弁ret1−vwstとret2−vwstを省略し、廃物コンテナ72と試薬弁40を直接接続してもよい。廃物場所まで試薬を排出するためには、試薬弁40を、廃物コンテナ72に接続された試薬ライン34に接続し、レトルトの弁を開いて、試薬を直接廃物コンテナ72に排出する。
【0031】
弁ret1−vrgtとret2−vrgtは、レトルトの充填中または排出中に、各レトルト内へのまたは外への試薬の流動を可能にする。レトルトの排出を行う場合は、試薬が試薬ラインを逆流し、出てきたのと同じ試薬コンテナ26内に戻ることができるよう、これらの弁を開く。空気弁ret1−vflsとret2vflsは、ret1vrgtとret2−vrgt弁の下方の試薬ライン34と接続されていることが分かる。これらの空気弁は、1つのレトルトを充填した後、試薬ラインから過剰な試薬を取り除くために用いられる。レトルト内へ流体をくみ上げるために減圧を用いると、試薬ライン34全体の流体圧力が下がり、従って試薬ライン34の圧力が元に戻ったとき、一部の試薬は充填されていないレトルトのラインを移動することが出来るので、このことは望ましい。これらの弁を開き、または弁を開きさらに空気を空気ラインから試薬ラインへ送り込むと、余分な試薬を取り除くことができ、交差汚染を防止または減らすことができる。
【0032】
弁ret1−vwaxとret2−vwaxは、浸透ライン32および弁wb1−vwxからwb4−vwxを介し、レトルトと浸透槽を接続する。浸透流体がレトルト12に流れ込みまたはレトルト12から排出するとき、弁ret1−vwaxは開く。弁wb1−vwxからwb4−vwxは、浸透流体がどこから供給されるかにより1つずつ開く。浸透槽とレトルトの間の浸透ライン32は、浸透物質がライン内で硬化しないことを保証するよう、加熱される。
【0033】
弁ret1−vairとret2−vairは、空気ポンプからレトルトまで空気を制御するために用いる。空気は、大気に対して正の圧力で供給しても、レトルトの1つまたは双方の内部圧力が大気圧より低くなるようレトルトから引き出してもよい。これらの弁は、どちらのレトルトを空気ポンプと流体接続するかを決定する。ポンプと弁との間の連絡を可能にするために、air−vprsも開かなければならない。そうしないと、空気はwax−air弁へむかって導かれ、浸透槽と接続される。
【0034】
図8aおよび図8bに試薬弁40を示し、試薬弁40は、入力側の試薬コンテナ26からの試薬ライン34と、レトルト12と14と流体的に接続された流出口35との間の連結部を含む。試薬弁40は、どの試薬コンテナを、レトルトに接続された試薬ラインと流体的に接続するか選択する。本実施形態では、試薬コンテナ26からの試薬ライン34は、試薬弁筐体37に取り付けられ、円形に配置されている。本実施形態では、試薬弁40は、回転弁の形をしており、2つのセラミックのディスク39と41を有し、ディスク39は、試薬用の導管を形成するために、アパーチャ43bと整合するアパーチャ43aを有する。これらのディスクは、互いに同軸上かつ隣接して取り付けられており、コントローラ25によって指示された位置に基づいて一緒に回転する。図8bでは断面図の平面に1つのアパーチャしかないが、ディスク45は各試薬ライン34用のアパーチャを有する。回転ディスク39と41は、ディスク45に対して回転し、アパーチャが、流出口35(したがって1つのレトルト)から試薬コンテナ26までの流路を提供するように配列するよう、ステッピングモータ49によって駆動される。ディスク39、41および45の間の密閉を補助するために、プレート51がディスクを押圧する。このように、任意の試薬ライン34およびしたがって任意の試薬コンテナがコントローラ25によって選択され、レトルト12または14の1つと流体的に接続される。この種の弁は、内部容積が小さいので、交差汚染を最少にする。さらに、試薬は、各ステップ後に試薬コンテナ内へ逆流するため、次の試薬を汚染する試薬はほとんど残らない。浸透流体は試薬弁を通過しないということに留意されたい。流体の流動のこの分離は、試薬弁の目詰まりを防止し、弁の清掃回数を削減する。
【0035】
使用する際は、処理される組織サンプルを、籠62内に配置するためのカセット(不図示)内に通常収納する。一般的に、ほぼ同じ処理時間を有し、さらに同じ処理指令を受けることが望まれる組織サンプルは、同じ籠62の中に一緒に収納される。組織サンプルを収容した籠62は、次にレトルト12または14のいずれかに収納され、蓋が閉められ、密閉状態が形成される。オペレータは次に、コントローラ25が行う指令を指示するために、制御インターフェイス24にデータを入力することができる。指令は例えば各ステップの時間、温度、圧力、攪拌および試薬を指示して順番にプラグラムすることができ、また全てのステップを網羅する予めプログラムされた指令を選択することもできる。
【0036】
指令の第1ステップでは、レトルトの蓋を固定すると、選択したレトルト(この例ではレトルト12を選択した)を固定溶液で充填することができる。通常の固定溶液は、1以上の試薬コンテナに入れることがあるホルマリンである。レトルト12に固定溶液を充填する目的で、ポンプ44をスイッチ入れて作動させ、弁はレトルト12からポンプの吸気口までの空気ラインを開き、レトルト12チャンバーから空気を送り込む。試薬弁は、レトルト12の試薬ラインと特定のホルマリン用の試薬コンテナを流体的に接続する位置に設定される。レトルト12から試薬弁40までの試薬ラインに沿って、残りの弁は開かれる。レトルト12内の減圧は、試薬弁を介し、試薬ライン34内へまたレトルト12内へ試薬コンテナの中から流体をくみ上げるのに十分である。レトルトは、コントローラによって選択され制御された所定の温度に加熱パッドによって加熱される。レトルト、ならびにそれ故、組織とそれに含まれている試薬の温度を制御するために、センサ53と54を用いてもよい。図4と図6に示すレトルト内の1以上のセンサ52は、試薬レベルを検知するために用いることができる。レトルト内の試薬レベルが十分であるとき、通常図5に示す籠62を覆い、ポンプを止めてもよいし、またはそうでなければ、例えば図2に示す弁ret1−vrgtを閉めることによってレトルト12から解放してもよい。
【0037】
コントローラ25によって指定された時間(通常ユーザによりプログラムされている)がたってから、試薬はレトルト12から取り除かれる。これは、空気ライン30内の弁ret1−vairを開き、さらに試薬ライン34内の弁ret1−vrgtを開くことにより達成される。試薬は、プログラムされた指令によって決定された試薬弁40の位置に従い、レトルト12からそれが生じた試薬コンテナ、または別の試薬コンテナ、または廃物場所に排出される。排出を補助するため、レトルト12は空気ライン30に沿って供給されるポンプ44からの空気によって、プラス方向に加圧してもよい。本実施形態では、試薬は元のコンテナに排出され戻される。試薬が汚染され、または所定数のサンプルまたは洗浄に用いられた場合は、試薬は別の排物サイクルを用いて排出される。
【0038】
試薬コンテナからの試薬でレトルトを充填する間、レトルト12から送り込まれた空気は、空気ライン30を伝って流動し、その一部は、多岐管38を介し逆流し、試薬コンテナ内に流動し、レトルト12からの空気の一部は再循環する。レトルト12から送り込まれた余分な空気は、大気に達する前に、空気から揮発性有機化合物または他の化合物を取り除くように設計された凝縮コイル51および/またはカーボンフィルタ47などの凝縮機構を介して流出する。処理装置10は、フィルタにかけられた空気を放出しまたは処理装置10の外部装置によってさらにフィルタにかけられることを可能にする、流出口連結部を有してもよい。
【0039】
組織処理における第2のステップは脱水ステップである。レトルト12内へ脱水試薬をくみ上げるために用いるやりかたは、脱水試薬が試薬コンテナ27に蓄えられるので、先に述べたのと同じでもよい。脱水流体は、アルコール等の流体、例えばエタノールを含んでもよい。脱水流体は意図的に加えられた水、または脱水流体を再利用するときには、前のサンプルから取り除かれた水を含んでもよい。レトルト内で脱水流体がサンプルに加えられる場合、指令には多数のステップがあってもよく、各ステップで異なる脱水流体を用いてもよい。例えば、各洗浄においてサンプルからより多くの水分を引き出すために、前の流体より水の少ない流体を用いてもよい。脱水流体はさらにまたはかわりにイソプロパノールを含んでもよい。後にイソプロパノールで洗浄すると、以下に記載するように、有利になることがある特性を提供する。本実施形態は公知の脱水流体に適合することを意図しているので、さらに組織処理装置脱水流体に一般的に用いられている添加物を用いてもよい。
【0040】
脱水流体で最後に洗浄した後、流体はレトルトから完全に排出される。これは、空気ポンプからの弁を開け、さらに試薬ラインのなかに空気を送り込むことにより達成され、試薬が除去される。脱水流体などの試薬による蒸気を除去するために、ポンプでレトルト内へ新鮮な空気を勢いよく流して蒸気の噴出を行ってもよい。脱水流体は、レトルト運転温度で高い分圧を有することがあるので、かなりの蒸気が存在するかもしれない。脱水ステップ後、乾燥ステップを用いてもよく、レトルトは加熱マット55によって加熱され、さらに空気が空気ライン30を経由してチャンバーを介して送り込まれる。これにより余分な脱水流体を取り除く。乾燥ステップは、選択された脱水流体に応じ、さらに加熱する組織サンプルの感度に応じ、数分以上行ってもよく、またレトルトを摂氏85度まで加熱してもよい。
【0041】
組織処理におけるもう1つのステップは、サンプルの浸透である。これは通常、パラフィンワックス等の浸透物質により達成される。ワックスは、浸透槽16〜22に保たれており、浸透槽はワックスの融解温度よりも高い所望の温度に加熱され、その温度は通常摂氏54度である。通常ワックスペレットを浸透槽に加え、ペレットが融解し好適な温度に達するまで加熱する。あるいは、予め融解したワックスを直接槽に加えてもよい。ワックスは、必要とされるまで、通常摂氏65度の高温に保たれる。本実施形態は4つの浸透槽を示すが、レトルトおよび浸透槽の容積に応じ、より多くてもより少なくてもよい。浸透ライン32は、浸透槽16〜22から2つのレトルト12と14までわたり、1つの、またはいくつかの、または全ての槽がレトルトの1つと流体的に接続することを可能とするret1−vwaxやret2−vwaxなどの弁を含む。浸透槽、弁、および浸透物質ラインの配列は、1つのレトルト内のサンプルが4つまでの異なる浸透物質によって洗浄されることを可能にする。さらに、処理装置10を運転し、残りの槽から浸透物質をくみ上げる間に、浸透物質を1以上の槽で加熱することが出来る。
【0042】
浸透段階の間は、レトルトと、ret1−vfls等の適当な浸透槽との間の弁を開き、次にポンプ44を用い、さらに弁air−vprsとret1−vairを開けてレトルト内の圧力を低くすることにより、ワックスをレトルト12内にくみ上げる。レトルト内の減圧は、ワックスをレトルト12内にくみ上げる。通常圧力は−20から−80kpaゲージであるが、広範な種類の圧力を用いることができ、圧力はコントローラを介して利用者がプログラム可能である。ワックスは、最後または最後の数回の洗浄に用いた脱水流体の沸点より高い温度またはだいたい同じ温度まで加熱してもよい。イソプロパノールを用いる場合、沸点温度は大気圧で約摂氏82度になる。エタノールは通常摂氏78度で沸騰する。レトルトが脱水流体を流出した後、一部の流体は組織サンプルの表面に残存するか組織サンプルに吸収される。組織サンプルには、さらに脱水流体を取り除くため先に記載したように、次に乾燥段階が施され、レトルトは新鮮な空気で洗い流される。次に、ワックスがレトルト内にくみ上げられる。加熱されたワックスと接触すると、残りの脱水流体は蒸発し、または組織サンプルから沸騰して取り除かれ、ワックスは脱水流体と置き換わり、こうして組織サンプルに浸透する。ポンプは、レトルト内の圧力を下げるために、レトルトから空気や蒸気を排出しても良く、これにより脱水溶液の蒸発温度を下げることができる。例えば、レトルト内の圧力を50kpaまで下げてもよく、結果としてイソプロパノールの沸点は約摂氏52度になる。真空圧力と比較した沸点のグラフを図7に示す。組織サンプルに密着しているワックスの温度を低くすると、例えばある種のタイプの組織が高温にさらされると十分機能しない場合、利点を提供することがある。用いるパラフィンワックス(オックスフォード研究所のパラプラスト+)は、通常約摂氏54度で溶解する。組織サンプルを浸透させるために組織学的処理に用いる樹脂を含め、他の浸透物質を用いてもよい。本実施例では、最後の段階で用いるアルコールである、イソプロパノールは、パラフィンワックスと実質的に混和性がない。レトルト内の前の流体が浸透溶液と非混和性であれば、この流体を浸透させる方法では、組織サンプルに浸透しない。揮発性の脱水物質を沸騰して取り除くと、アルコールとパラフィンワックスと混和性のキシレン等の中間流体を必要とするステップを省略することが出来る。キシレンは実験室内では好ましくない性質のものである。しかしながら、キシレンも、約80度にさらすと、特にレトルト内の圧力をここに記載したように真空を用いることにより低くすると蒸発する。このように、本実施形態では、キシレン洗浄サイクルなしで組織サンプルを用いることを可能にするだけでなく、キシレン等の流体とともに用いることもできる。キシレンはワックスと混和性があり、したがって汚染物質としてワックス内に吸収され得るということを含め、キシレンを用いないことには利点がある。しかしながらある場合、例えば組織の除去が必要な場合でかつイソプロパノールなどの脱水流体が不十分だと判断した場合は、キシレンを用いることが望ましい。さらに、処理サイクル後に、レトルトから余分なワックスを除去するためにキシレンを用いることができ、従ってキシレンは処理装置内にあってもよい。
【0043】
槽内にワックスを保持し、槽内の圧力を下げることにより、脱水溶液、キシレン等の洗浄流体等の、揮発性汚染物質の一部の浸透流体を除去することが可能である。この除去サイクルは、槽の蓋を閉めた状態で行い、これにより、圧力を下げ、浸透物質を約摂氏60度から100度の間の高い温度で保持する。ある実施例では、温度は摂氏65度から85度の間に保つことができる。揮発性の物質により、ここに記載した温度および/または低い圧力で、物質は沸騰または蒸発する。
【0044】
コンテナの空気中の脱水流体の蒸気圧力も、例えば圧力を低く維持するか圧力範囲で循環させるかしながらレトルト内の空気を放出することにより、下げることができる。汚染物質を一掃するために、浸透溶液を何時間もの間高温の槽内に保ってもよい。
【0045】
2つのレトルトを用いると、2組の籠を同時にまたは重複して処理することが可能になる。したがって、1つのレトルトが装着され指令が始まる一方で、他方のレトルトが同じまたは異なる指令中にあるということが可能である。このことは、処理装置のさらなる自由度を提供する。
【0046】
ここで述べた組織サンプルは、人間若しくは動物の組織サンプル、または植物性の素材であってもよい。
【0047】
3mmパンチの人間生検標本等の組織サンプルに対する指令の一例を以下に記載する。
ステップ 試薬 時間(分) 温度(c) レトルト圧力 攪拌
1 ホルマリン 5 60 大気圧 あり
2 50/50エタノール水 25 60 大気圧 あり
3 80/20エタノール水 35 60 大気圧 あり
4 イソプロパノール 30 60 大気圧 あり
5 パラフィンワックス 40 85 真空 あり
6 パラフィンワックス 5 85 真空 あり
合計時間 140
【0048】
別の指令は以下の通り
ステップ 試薬 時間(分) 温度(c) レトルト圧力 攪拌
1 ホルマリン 60 40 大気圧 あり
2 80%エタノール 45 40 大気圧 あり
3 90%エタノール 45 40 大気圧 あり
4 100%エタノール 60 40 大気圧 あり
5 100%エタノール 60 40 大気圧 あり
6 100%エタノール 60 40 大気圧 あり
7 100%エタノール 60 40 大気圧 あり
8 イソパラまたはd−リモネン 60 40 大気圧 あり
9 イソパラまたはd−リモネン 75 40 大気圧 あり
10 イソパラまたはd−リモネン 75 60 真空 あり
11 パラプラスト 60 60 真空 あり
12 パラプラスト 60 60 真空 あり
処理時間合計 790
【0049】
先に記載したことから、キシレンはこの指令では必要なく、指令は少ない段階を有し、時間が節約されていることが分かる。
【0050】
1つの実施形態では、試薬内の汚染物質の存在を検知するために試薬ライン34内に汚染物質検出器68を配置してもよい。
【0051】
レトルト12を排出するために、レトルト12内に試薬をくみ上げるために用いたのと同じ空気ライン34に沿って空気を送り込むことにより、レトルト12内の圧力を上げてもよい。不要な試薬は試薬コンテナ内へ排出することができ、廃物引き込み口72へ排出することもできる。浸透流体もこの方法でレトルト12から廃物場所70へ排出することができ、同様に浸透流体を正の圧力を用いて槽から排出することができる。
【0052】
上記実施例では、脱水流体は浸透物質と非混和性である。しかしながら、除去流体が脱水流体および浸透物質と混和性がある場合、たとえ除去サイクルを用いても上記処理は利点を提供する。さらに、脱水および浸透段階における流体の混和性を大きくするとともに、脱水物質の除去特性を大きくするために、添加剤を用いてもよい。
【0053】
脱水試薬(または除去試薬)の沸点以上に浸透溶液の温度を上げると、試薬をより迅速に取り除くことが出来るが、所与の温度でレトルト内の分圧が試薬の分圧よりも低ければ、沸点温度でもしくは沸点温度付近でさらに試薬を取り除くことができる。これはレトルト内の圧力を低くし、次にレトルト内にいくらかの突風を与えることにより達成できる。蒸気で満たされた空気を取り除きながらレトルト内に新鮮な空気を取り込むと、レトルト内の空気中の試薬の分圧が減り、したがって試薬のさらなる蒸発が促進される。試薬が浸透流体と混和性があれば、浸透を得るために全ての試薬を取り除くことは必要ではないかもしれない。しかしながら、サンプルが温度に持ちこたえられれば、レトルト内の浸透流体の温度を、所与の圧力で試薬の沸点温度より高い温度まで上げることが好ましい。所与の圧力での試薬の沸点温度付近の温度は、通常沸点温度の例えば摂氏5度等の数度でもよい。
【0054】
本装置で使用することが出来るよう、他の脱水流体を検討する。例えば、
メタノール
ブタノール
エチレングリコール
プロピレングリコール
工業用メタノール変性アルコール
変性アルコール(ケロシン、ベンゼンまたはブルシンで変性されたアルコールを含む)
試薬等級アルコール
アセトン
およびこれらの組み合わせ。しかしながら、上記リストは単に代表的なものであり、ここに記載した処理装置に有用な試薬の包括的なリストを網羅することを意図するわけではない。
【0055】
ジペンテン、d−リモネン、1、1、1−トリクロロエタン、トルエン、およびジオキサン等の除去試薬も検討し、またこの場合もやはり、このリストは包括的なリストというよりもむしろ用いられる試薬の種類を示す。脱水、除去またはこれらの組み合わせ等の組織学的用の上記試薬および別の試薬は、残留物を残さないで試薬が蒸発すれば、浸透流体の加熱を用いてサンプルから試薬を蒸発するステップがある本装置に用いることができる。ブタノールなどの試薬は、大気圧で約摂氏118度の沸点を有するが、沸点は周囲圧力が下がると激減する。ほとんどの組織は、摂氏85度以上に加熱しないことが好ましいと考えられているが、ある種の十分に固定した組織は、損傷しないでこの温度を切り抜け、従ってより高い温度を用いてもよく、先に述べた処理に有効な試薬の範囲が増える。したがって、用いる最高温度は組織によって決まり、したがって十分に固定した組織では、温度は摂氏100度を超えることもある。レトルト内の圧力を低くすると、試薬の沸点が低くなるので、レトルト内の温度を低くする補助となる。
【0056】
組織学的組織処理に用いる樹脂や他の流体等の浸透物質も上記実施形態で検討した。本発明は、ここに言及した浸透物質に限定することを意図するものではない。浸透剤は、ミネラルオイルやパラフィンワックス等の混合物質であってもよいということも検討される。
【0057】
本発明の他の態様は以下を含む。
(1)弁に接続された2つのレトルトと、同様に前記弁に接続された試薬コンテナのセットとを有し、該弁は、該試薬コンテナの1つを前記レトルトの1つに、流体的に接続するよう、選択的に接続させる組織処理装置。
(2)コントローラが、該試薬コンテナの1つを前記レトルトの1つに流体的に接続させるために弁の位置を選択する、(1)に記載の組織処理装置。
(3)該弁が回転弁である、(2)に記載の組織処理装置。
(4)該弁が、試薬コンテナを前記レトルトの1つと選択的に接続するために、互いに対して回転する複数のセラミックプレートを有する、請求項2または3に記載の組織処理装置。
(5)浸透槽が、各レトルトと流体的に接続された、(1)〜(4)のいずれかに記載の組織処理装置。
(6)該浸透槽が、該試薬導管とは別の浸透導管により前記レトルトと接続される、(5)に記載の組織処理装置。
(7)ポンプが、該各レトルト内へまたは各レトルトから試薬または浸透物質を引き出しまたは押し出すために、該レトルトの少なくとも1つに正または負の圧力をもたらす、(1)〜(6)のいずれかに記載の組織処理装置。
【符号の説明】
【0058】
10 処理装置
12,14 レトルト
16〜22 浸透槽
25 コントローラ
26 コンテナ
34 試薬ライン
38 多岐管
40 試薬弁
44 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透物質を除去温度まで加熱するステップと、
汚染物質の沸点を低くするために該浸透物質を低い圧力にさらすステップとを含み、該除去温度は、前記低い圧力で該汚染物質の沸点と実質的に同じまたはそれより高い温度である、
汚染物質の組織処理浸透物質を除去する方法。
【請求項2】
該浸透物質がパラフィンワックスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該汚染物質が脱水溶液である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該汚染物質が除去溶液である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
該脱水溶液がアルコールである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
該アルコールが、イソプロパノールおよびエタノールの1つ以上より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのレトルト、複数の試薬コンテナ、少なくとも1つの浸透物質コンテナ、前記試薬コンテナの1つから前記レトルトまで試薬を選択的に導く試薬弁、加熱器、および温度センサを有し、前記レトルトから該試薬を蒸発させるために、レトルトを、試薬の蒸発温度と実質的に同じ温度またはそれより高い温度まで加熱する、組織処理装置。
【請求項8】
該レトルト内の圧力を低くし、該レトルトの内容物を除去することを補助するために該レトルト内の圧力を上げるポンプを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
レトルトの本体に直接取り付けられた第1の温度センサと、該レトルトの加熱マットに取り付けられた第2の温度センサとを備えるレトルトを有する、組織処理装置。
【請求項10】
レトルトの温度を測定するステップと、
該レトルトに接している少なくとも1つの加熱装置を用いて該レトルトを加熱するステップと、
該レトルトに接している加熱装置の温度を測定するステップと、
該レトルトの温度が所望の温度になるまで、該加熱装置を、所望のレトルト温度より高く最大運転温度より低い温度に保つステップとを含む、
組織処理装置のレトルトを所望の温度まで加熱する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−59133(P2011−59133A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284970(P2010−284970)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【分割の表示】特願2008−18603(P2008−18603)の分割
【原出願日】平成14年10月1日(2002.10.1)
【出願人】(504127832)ライカ バイオシステムズ メルボルン ピーティーワイ エルティーディー (3)
【Fターム(参考)】