説明

組織層のリアルタイム監視のための方法と装置

開示された方法と装置は、治療されるべき身体組織の組織タイプ組成と各身体組織タイプまたは層における温度をリアルタイムで監視するために超音波ビームを採用する。加えて、開示された方法と装置はまた、美容身体治療セッションの超音波ベースの熱制御も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのリファレンス] 以下の2009年7月15日に出願され、シリアル番号12/503,834を付与された、譲渡人の米国特許出願もまた参照され、その開示はここで引用により組み込まれる。
【0002】
方法と装置は、美容ボディシェ−ピングデバイスの分野に関し、より特定には美容ボディシェ−ピングデバイスによって治療された組織層のリアルタイムの監視のための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0003】
美容ボディシェ−ピングデバイスは、数々の治療の方法を採用することにより、繊細な身体組織層への治療を達成するように動作する。方法は、組織に様々な形のエネルギーを印加し、光、無線周波数(RF)、超音波、エレクトロリポフォレシス、イオントフォレシスおよびマイクロ波とそれらのあらゆる組み合わせの形での組織へのエネルギーの印加からなる温熱療法はその一つである。
【0004】
全ての温熱療法の方法は、およそ40−60℃まで組織温度を上昇させるので、組織温度と治療されている組織層のタイプの監視が絶対必要である。当該技術において使用される方法は特徴的に、それを通してエネルギーが皮膚に印加されるところの電極またはトランスデューサー中に組み込まれた熱電対またはサーミスターのようなセンサーを採用して治療された身体組織温度を監視する。他の方法は、超音波エコー反射および屈折に基づいて温度変化を決定する超音波モニターを採用する。
【0005】
多くの美容ボディシェ−ピング方法はまた、真空チェンバーを採用する。真空チェンバー中の吸引が治療されるべき組織をチェンバー中に引き込み、治療するエネルギーが組織に印加される。一般的に、美容ボディシェ−ピングデバイスアプリケータは、セグメントを構成する組織層の組成の注意深い監視無しに、治療されるべき組織セグメントに結合される。これは、筋肉のような治療されることが意図されていない組織層を真空チェンバー中に引き込むことに結果としてなり得て、加熱エネルギーを印加することは、それへの非可逆的な損傷に結果としてなる。
【0006】
一般的に、超音波エコー撮像はまた、主に治療されている脂肪組織層のみの定量的監視を採用することにより、治療セッションの課程を追従するために美容ボディシェ−ピングセッション中に採用されても良い。
【0007】
ここで上に述べたような現在採用されている監視方法は、離散的な組織層における温度を監視しない。
【発明の概要】
【0008】
開示された方法と装置は、治療されるべき身体組織の組織タイプ組成と各身体組織タイプまたは層における温度をリアルタイムで監視するために超音波ビームを採用する。加えて、開示された方法と装置はまた、美容身体治療セッションの超音波ベースの熱制御も提供する。
【0009】
開示された方法と装置の例示的実施形態に従って、アプリケータは、ハウジングと、組織のセグメント中に超音波ビームを放出するように動作する超音波ビームの第一のトランスデューサーと、放出されたビームを受信するように動作する第二のトランスデューサーを含む。第一のトランスデューサーと第二のトランスデューサーは各々、1つ以上の圧電素子からなる。追加的にまたは代替的に、第一と第二のトランスデューサーの各々は、超音波ビームを放出および/または受信しても良い。
【0010】
開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従って、ハウジングはまた、組織のセグメントをチェンバー中に引き込むための真空を採用する真空チェンバーを含んでいても良い。開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従って、チェンバー壁はまた、放出された超音波ビームの伝播経路を第一の伝播経路からそれと平行な第二の伝播経路にシフトするように動作しても良い。これは、真空チェンバー内の組織突起の先端におけるもののような物理的制約のために以前は監視されていなかった遠隔組織エリアにおける組織組成と温度を監視することを許容する。
【0011】
開示された方法と装置の別の例示的実施形態に従って、トランスデューサー素子は、2次元または3次元の空間的構成の1つ以上に配列されても良い。第一のトランスデューサーは、治療されるべき組織突起を通してパルスの形で超音波ビームを放出するように動作しても良い。コントローラは、第二のトランスデューサーによって受信され、そこから通信された超音波ビームから、情報を取得するために採用されても良い。そのような情報は、伝播速度、振幅および減衰における変化を含んでいても良い。コントローラは、組織組成(例えば、皮膚と脂肪、脂肪と筋肉、等)と層タイプ(例えば、皮膚、脂肪、筋肉、等)と、治療セッション前と最中の各層タイプまたは層における温度を決定するために情報を分析しても良い。
【0012】
開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従って、コントローラはまた、受信した超音波ビーム信号から、離散的な組織層を通したビーム伝播速度における変化を含んだ情報を取得し、組織層タイプ(例えば、皮膚、筋肉または脂肪)と組織層組成における変化(例えば、治療されている脂肪組織層中への筋肉層の入り込み、等)をリアルタイムで決定するために情報を分析するように動作しても良い。
【0013】
開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従って、コントローラは、治療パラメータにおける変化を、パワー発生器に通信しても良い。発生器は、装置コントローラから受け取った入力に従って、第一のトランスデューサーの励起を停止または始動しても良く、また代替的に、励起のレベルを変更しても良い。
【0014】
開示された方法と装置の別の例示的実施形態に従って、アプリケータはまた、光、無線周波数(RF)、超音波、エレクトロリポフォレシス、イオントフォレシスおよびマイクロ波からなるグループの少なくとも1つの形である加熱エネルギーの1つ以上の源を採用しても良い。
【0015】
開示された方法と装置は、図面との関係でとられた時に以下の詳細な記載から理解され認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために美容身体治療アプリケータ真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の例示的実施形態を描いた、図1Bとお互いに直角にある、簡略化された断面図である。
【図1B】図1Bは、組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために美容身体治療アプリケータ真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の例示的実施形態を描いた、図1Aとお互いに直角にある、簡略化された断面図である。
【図2】図2は、遠隔組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために美容身体治療アプリケータの真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の別の例示的実施形態を描いた簡略化された断面図である。
【図3A】図3Aは、組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために美容身体治療アプリケータの真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態における圧電素子の構成の簡略化された描写である。
【図3B】図3Bは、組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために美容身体治療アプリケータの真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態における圧電素子の構成の簡略化された描写である。
【図3C】図3Cは、組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために美容身体治療アプリケータの真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態における圧電素子の構成の簡略化された描写である。
【図4A】図4Aは、開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従った、第一と第二のトランスデューサーにおける圧電素子の構成の簡略化された描写と、その制御のための電子システムのブロック図である。
【図4B】図4Bは、開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従った、第一と第二のトランスデューサーにおける圧電素子の構成の簡略化された描写と、その制御のための電子システムのブロック図である。
【図5】図5は、組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために、図1Aと1Bおよび/または3Aと3Bのもののような、美容身体治療アプリケータの真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の別の例示的実施形態の電子システムの構成の簡略化されたブロック図である。
【図6】図6は、開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従った、受信された超音波ビームパルスの信号を描いたグラフである。
【図7A】図7Aは、開示された方法と装置の例示的実施形態に従った超音波伝播を描いた簡略化された図である。
【図7B】図7Bは、開示された方法と装置の例示的実施形態に従った超音波伝播を描いた簡略化された図である。
【図7C】図7Cは、開示された方法と装置の例示的実施形態に従った超音波伝播を描いた簡略化された図である。
【図7D】図7Dは、開示された方法と装置の例示的実施形態に従った超音波伝播を描いた簡略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示で使われる「トランスデューサー」および「送受信機」という用語は、超音波ビームを放出および/または受信する、圧電素子のようなエネルギー変換デバイスを意味し、お互いに交換可能に使われ得て、以下に詳細に記載されるように、それらの機能性(超音波ビームを放出することまたは受信することのような)は装置中のそれらの予め決められた位置とコントローラへの電気的接続によって規定される。
【0018】
「身体組織」という用語は、本開示では、あらゆる表面的な身体組織層、主に以下の身体組織層の1つ以上である:皮膚、脂肪および筋肉、を意味する。
【0019】
本開示で使われる「シリンダー」という用語は、真っ直ぐな平行したサイドと、円形、正方形、三角形等のような幾何学的形状のグループから選択された断面をもった3次元的形状を意味する。
【0020】
ここで図1Aと図1Bを参照すると、それらは、組織治療エリアの組成および/または温度を監視するために美容身体治療アプリケータ真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の例示的実施形態を描いた、お互いに直角にある、簡略化された断面図である。
【0021】
アプリケータ100は、1つ以上の真空チェンバー104、それは例えば2009年7月15日に出願され、シリアル番号12/503,834を付与された、譲渡人の米国特許出願、その開示はここで引用により組み込まれる、に開示されたタイプのものであっても良い、を含んだハウジング102を含む。身体組織層:皮膚108、脂肪110および筋肉112を含んだ、治療されるべき組織突起106は、真空チェンバー104内に位置する。
【0022】
開示された方法と装置の例示的実施形態では、ハウジング102は、閉じた部分114で密封された第一の端部と第二の開いた端部を有し、真空チェンバー104も包絡している1つ以上の壁116、118、136および138(図1B)によって規定された、シリンダーである。
【0023】
チェンバー104は、ハウジングの閉じた部分114と、1つ以上の壁120、122、130および132と、皮膚組織層108の表面によって規定される。
【0024】
壁116と120、および122と118の各ペアは、それらの間に空洞124を規定する。空洞124は、水、ゲル、油またはポリウレタンのような当該分野で周知のあらゆる超音波整合材料で満たされていても良い。
【0025】
壁116、118、136と138および壁120、122、130と132は、General Electric Advanced Materials, U.S.A. (http://www.geadvancedmaterials.com)によって製造されたUItem(登録商標)1000として知られるポリエーテルイミドのようなポリマー樹脂で作られていても良い。各々が1つ以上の圧電素子134からなる第一の超音波トランスデューサー126と第二の超音波トランスデューサー128は、それぞれ壁116と118の外側表面上に配置される。第一の超音波トランスデューサー126は、治療セッションの前、最中または後に組織突起106中に超音波ビームを放出するように動作する。第二の超音波トランスデューサー128は、トランスデューサー126によって放出され、組織突起106を通して実質的に直接的な経路で伝播され、それにより放出された、超音波ビームを受信するように動作する(図は概略的であり、異なる境界における超音波ビーム屈折を示していない)。超音波トランスデューサー128は、トランスデューサー126と128が突起106の組織層108、110および112を挟み込むように、トランスデューサー126と、予め決められた距離において実質的に平行に、対向して配置される。
【0026】
第一のトランスデューサー126は、全体的に直接的なやり方で、矢印150によって示された経路に沿って、壁116、空洞124および真空チェンバー壁120を通して伝播され、組織突起106を通り、続けて真空チェンバー壁122、空洞124および壁118を通して第二のトランスデューサー128によって受信される、超音波ビームを放出する。代替的に、方法と装置の別の例示的実施形態に従って、壁ペア116と120、および122と118は、以下で詳細に記載されるように、超音波ビームの経路を第一の伝播経路からそれと平行な第二の伝播経路にシフトするように動作しても良い。
【0027】
トランスデューサー126と128の圧電素子134は、セラミックス、ポリマーおよび複合物からなるグループから選択された1つ以上の圧電材料から構築されていても良く、2次元および3次元の空間的構成からなるグループから選択された1つ以上の予め決められた構成に配置されても良い。例えば、図1Aと1Bでは、圧電素子134は、2次元アーチ状構成を形成している単一の平面上に配置される。図3Aと3Bでは、圧電素子134は、2次元平行構成を形成している単一の平面上に配置される。
【0028】
信号から抽出され得る情報の量は、パルス形状に依存する。上り時間が短ければ短いほど(数ナノ秒)、それが提供し得る情報の量はより大きくなる。音響波のソースとそのサイズは、そのようなパルスを生成することを可能とするように選択されるべきである。開示された方法と装置の例示的実施形態に従って、素子134は、圧電特性を有した高分子材料、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)で作られている。別の実施形態は、セラミックスとポリマーの組成物であるピエゾコンポジット材料を使っても良い。PVDFの選択は、波長の広いスペクトルと短いパルス信号上り時間をもった超音波パルスの生成を許容する。これは、組織層内部のビーム伝播の振る舞い(例えば、音速、振幅、周波数および/または減衰)に関する最も多くの情報を受信することを許容する。受信された情報は、それを通してビームが伝播した組織のタイプとその温度を同定するために更に分析されても良い。パルス信号上り時間は、200ns未満、典型的には100ns未満、より典型的には50ns未満、であっても良い。受信されたセンターライン(音響軸)周波数スペクトルは、500KHzと10MHzの間、典型的には1.5MHzと4MHzの間、より典型的には2.5MHzと3.5MHzの間、であっても良い。
【0029】
8ミクロンから220ミクロンの厚さで商業的に入手可能なPVDF素子の厚さは、超音波ビームの帯域幅に影響を与える。典型的には、圧電素子の厚さ(D)は、
(fmax)においてD<1/2λ
となるように最大周波数(f)における波長(λ)の半分より小さくなるように構成される。加えて、より小さな厚さはピエゾ素子のより大きなキャパシタンスを許容して、より小さな電圧値での音響エネルギーの発生をサポートする。例えば、8ミクロンのPVDFの厚さは、25MHzまでの帯域幅を提供し得る。開示された方法と装置の例示的実施形態に従って、典型的な帯域幅は、およそ15MHz、より典型的には10MHz、より典型的には3MHzであっても良い。そのような帯域幅値を提供するためのPVDF素子の厚さは、典型的には500ミクロン未満、より典型的には250ミクロン未満、100ミクロン未満またはより典型的には50ミクロン未満である。
【0030】
圧電材料の物理的電気的性質のために、トランスデューサー126と128は各々また、発生器から受信した電圧によって励起された時に超音波ビームを放出するか、または受信した超音波ビームをコントローラに通信される電気信号に変換する、送受信機として機能しても良いことが理解されるであろう。トランスデューサー126と128の機能性は、装置100の電気回路構成に依存していても良いし、トランスデューサー126からトランスデューサー128へかまたはその逆の送信された超音波ビームの指向性を制御しているコントローラ(図示せず)によって決定されても良い。追加的かつ代替的に、トランスデューサー126と128は、各々が、超音波ビームを放出するように動作する少なくとも1つの素子134と超音波ビームを受信するように動作する少なくとも1つの素子134からなることによって、送受信機として機能するように動作しても良い。
【0031】
開示された方法と装置の別の例示的実施形態によると、コントローラはまた、音速、振幅、周波数および減衰における変化に関する情報をトランスデューサー128から取得し、治療セッションの前と最中に各組織層において、組織組成(例えば、皮膚と脂肪、脂肪と筋肉、等)、層タイプ(例えば、皮膚、脂肪、筋肉、等)と温度を決定するために情報を分析する、ように動作する。コントローラはそれから、組織層タイプまたはその中の温度の変化を予め決められた治療プロトコルと比較し、同定された組織層タイプの身体組織に施されるべき懸案の治療との整合性および/または身体組織層温度における変化の危険度を決定し、変化と危険度に基づいて1つ以上のアクションを取ることに結果としてなっても良い。そのようなアクションは、例えば、以下の1つ以上であっても良い:変化と危険度に関係する情報をデータベースに記録する、情報をディスプレイ上に表示する、変化と危険度を遠隔ユーザに通信する、情報をプリントアウトに印刷する、危険度に基づいて変化についてユーザに警告する、危険度に基づいて治療の課程を変更する。
【0032】
コントローラはまた、トランスデューサー126と128中の各素子134を個別的に制御し、超音波ビームパルス配送のシーケンスを決定するように動作しても良い。
【0033】
図1Bに描かれた開示された方法と装置の例示的実施形態では、真空チェンバー104の壁130と132はまた、その内側表面上に配置された加熱エネルギー配送表面140を含む。加熱エネルギー配送表面140は、光、無線周波数(RF)、超音波、エレクトロリポフォレシス、イオントフォレシスおよびマイクロ波からなるグループから選択された1つ以上の形で加熱エネルギーを印加するように動作する。トランスデューサー126と128はまた、例えば、エネルギー配送表面140に実質的に垂直に、またはエネルギー配送表面140と同じ平面上に隣接して、のように、加熱表面140との関係で複数の予め決められた構成で配置されていても良い。
【0034】
開示された装置の別の例示的実施形態はまた、例えば熱伝導性液体媒体、例えば譲渡人の米国特許出願出版番号2006/0036300に記載されたような、を採用することによって同時にその表面を外部的に冷却しながら、皮膚組織層108にRFエネルギーを印加する方法を採用しても良い。
【0035】
開示された方法と装置の別の例示的実施形態に従って、それに沿ってトランスデューサー126と128の素子が配列されているところの平面は、その緩んだ状態(例えば、チェンバー104の外側)において、実質的にお互いと平行であり、皮膚組織層108の表面と全体的に垂直である一方、壁120、122、130および132の面は、美容治療を受けている主体に増加した快適さを提供するために傾斜させられている。傾斜の角度は、主体の皮膚の特性に依存しても良い。硬くて突っ張った皮膚は、より少なく傾斜したチェンバー壁でもより容易に快適になり得る緩くて弾力性のある皮膚よりも、より大きな傾斜および/またはより浅いチェンバーの深さを要求しても良い。壁の空間的向きの間の差によって形成された空洞124は、トランスデューサー126と128の表面とチェンバー壁120と122の表面とその内側表面に対して引き込まれた組織突起106の間に距離を開ける。空洞124の存在は、ここにより詳細に説明されるように、音響的損失を最小化し、音響波伝播の望ましい方向と速度を維持し、トランスデューサー効率を向上するために、その中に、それぞれトランスデューサー126および128と壁120および122の間に、屈折率整合媒体を提供することを必要とする。
【0036】
ここで図2を参照すると、それは、組織突起206の先端に位置している組織エリア260のような遠隔組織治療エリアを監視するために美容身体治療アプリケータ200の真空チェンバー204中に採用された開示された方法と装置の別の例示的実施形態の簡略化された断面図である。
【0037】
図2は、ハウジング202と、第一のトランスデューサー226と、第二のトランスデューサー228を含んだアプリケータ200を描いている。治療エリア260は、突起206の頂上に位置している。代替的に、治療エリアは、弛緩した(休んだ)状態にあるとき皮膚組織208の表面(図示せず)まで例えば約0.5から1cmの深さに位置していても良い。
【0038】
受信された最も正確な情報は、以下に詳細に記載されるように、超音波ビームセンターラインから得られる。そのような構成では、放出された超音波ビームのセンターラインは、(例えば突起206の頂上、または皮膚層208までの深さにおける)望ましい組織エリアを通して伝播するように屈折されても良い。
【0039】
屈折は、トランスデューサー226によって放出された超音波ビームの経路を、第一の伝播経路240からそれと平行な第二の伝播経路250にシフトし、第二の伝播経路250からの超音波ビームの経路をトランスデューサー228によって受信されるべき第一の伝播経路240に再度シフトし戻して、突起206の頂上における治療エリア260の組織層210のタイプおよび/または温度を正確に監視することを許容し、監視すべき皮膚組織層および/またはセグメントを選択する際により大きな柔軟性を許容する。これはまた、以下により詳細に説明されるように、トランスデューサー226からトランスデューサー228への実質的に直接的な超音波ビーム伝播を確かなものとする。
【0040】
詳細Kは図2の一部の拡大であり、放出された超音波ビーム230の第一の伝播経路240からそれと平行な第二の伝播経路250へのシフトを描いている。詳細Kにおいて、(C1)は空洞224中の音速を表し、(C2)は壁216と220が同じ材料(例えば、UItem(登録商標)1000)から作られていると仮定して壁216と220中の音速を表し、(C3)は組織突起206内部の音速を表す。代替的に、壁216と220はまた、複数の予め決められた速度での音伝播を許容するために、その他の材料から作られていても良い。空洞224は、当該技術で周知であり以下に詳細に記載されるような、あらゆる超音波屈折率整合材料で満たされていても良い。
【0041】
音響的インピーダンスのような空洞224中の屈折率整合材料の音響的性質は、そこを通して伝わっているビームの振る舞いを指図し、音速や屈折角のようなパラメータに影響を与える。よって、インピーダンスのような材料の性質のマッチングは、超音波の減衰(即ち、情報の損失または歪曲)と屈折を最小化するように、監視されている組織のものと同様である必要がある。そのような屈折は、例えばハウジング壁230と空洞224および/または空洞224とチェンバー壁220および/またはチェンバー壁220と組織突起206の表面、の間の例えば境界を跨ぐときに起こり得る。例えば、人間の組織のインピーダンスは約1.5MRayl(Rayleigh)である。ひまし油のような材料や水はなおさら、約1.4−1.5MRaylの音響的インピーダンスを有する。これは、超音波ビームが、最小の音響的減衰、反射および屈折をもって組織層と平行に伝播することを許容する。そのような材料はまた、プラスチックまたはポリウレタンのような楔型挿入具を含んでも良い。これもまた人体のそれに近い音響的インピーダンスを有するポリウレタンのようなポリマー材料は、スペクトルの上部において高い減衰を作り出す傾向がある。プラスチックの薄壁で作られ水で満たされた楔は、上述したような関心のあるスペクトルに渡って最も低い減衰を有する。整合した楔とその充填物の温度もまた監視されて熱電対を採用して制御されても良く、温度値は波動伝播パラメータ分析に組み込まれても良い。追加的かつ代替的に、整合材料の温度は、加熱または冷却によって制御されても良い。
【0042】
開示された方法と装置の別の例示的実施形態では、元の超音波ビーム伝播経路240と望ましい伝播経路250の間のシフト距離である(D)の値は、以下の表現を使って決定されても良い。
【0043】
C1=C3(α=α)と仮定して、
【数1】

【0044】
表現(1)と(2)から、
【数2】

【0045】
ここで、
【数3】

【0046】
および
【数4】

【0047】
であるから、
【数5】

【0048】
上記から(D)を外挿すると、
【数6】

【0049】
または
【数7】

【0050】
距離(D)は、なかんずく、真空チェンバー壁220の組成と壁を構成している材料の屈折率、ハウジング壁216とチェンバー壁220の間の角度(β)の微分でもある角度(α)、壁220の厚さ、空洞224中の整合材料およびその温度、のようないくつかのファクターに依存していることが、上記の表現から理解されるであろう。それらのファクターは、予め決められていても良く、いくつかは施されるべき治療セッションのタイプに従って監視されるべき望ましいエリアに調節されても良い。
【0051】
ここで図3Aと3Bを参照すると、それらは、治療されている組織層および/またはその温度の同定のために美容身体治療アプリケータの真空チェンバー中に採用された開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態における圧電素子の構成の、お互いに直角にある、簡略化された断面図である。
【0052】
開示された例示的実施形態では、第一のトランスデューサー326と第二のトランスデューサー328それぞれの圧電素子334と344は、2次元構成中の1つの平面上に配置された3つの平行な素子のアレイに配列されている。この構成では、素子はお互いと平行であるばかりでなく、対応するペア334a−344a、334b−344bおよび334c−344cの各々はまたその主要な部分が1つの離散的な組織層によって占有されている組織のセグメントを挟み込む。例えば、図3Aでは、素子334aと344aのペアは、組織層308だけからなる組織の離散的なセグメントを挟み込む。素子334bと344bのペアは、主に組織層310と層308の小さな部分とからなる組織のセグメントを挟み込む。素子334cと344cのペアは、主に組織層312と層308および310の小さな部分とからなる組織のセグメントを挟み込む。
【0053】
素子334と344の各々は、予め決められた深さに位置しており、ここで上に説明されたように、組織タイプ、楔整合材料等に従って適当な寸法を有するように構成されている。これは、トランスデューサー326の素子334によって放出された各ビームからの情報がその対応するトランスデューサー328の素子344によって個別に受信されることを許容する。これは、それぞれ矢印348、350および352によって示されるように層308、310および312の概ね各々において正確な治療組織タイプ同定および加熱温度測定を提供する。
【0054】
図3Cには、開示された方法と装置の別の例示的実施形態に従った3素子送受信機およびそのコネクターの簡略化された描写が示されている。3つの圧電素子334の各々は、装置の電気回路構成に依存してかまたはコントローラ(図示せず)によって決定された通りに超音波ビームを放出または受信するように動作しても良い。
【0055】
ここで図4Aと4Bを参照すると、それらは、開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従った、第一のトランスデューサー426と第二のトランスデューサー428の圧電素子430a−430eの構成の例の簡略化された描写と、その制御のための電子システムのブロック図である。
【0056】
図4Aは、トランスデューサー426を描いており、その素子430a−430eは、図1Bのもののようなアーチ状構成と図3Bのもののような平行構成を組み合わせた構成に配列されている。
【0057】
発生器402は、コントローラ404から受け取った入力に従ってパワーを発生する。開示された方法と装置の例示的実施形態によると、コントローラ404はまた、上述したように伝播速度、振幅および減衰における変化に関する受信した超音波ビームから取得した情報とその分析および提供された治療プロトコルに従って、パルサー406と408を通して、あるいは代替的にスイッチ(図示せず)を通して、圧電素子430a、430b、430c、430dおよび430eの励起を同期しても良い。
【0058】
開示された方法と装置の別の例示的実施形態では、ここで上に記載された素子構成は、組織層温度変化および組織層タイプのようないくつかの異なるパラメータを同時に決定するのに使われても良い。この場合、例えば、素子430a、430bおよび430cは、ここで上に図3に記載したように組織層タイプを決定するために採用されても良い一方、素子430dおよび430eは、治療された組織層温度を測定するために採用されても良い。
【0059】
図4Bは、開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従った、第二のトランスデューサー428の圧電素子432a−eの構成の例の簡略化された描写と、その制御のための電子システムのブロック図である。図4Bは、トランスデューサー426中の素子430a−eの構成(図4A)の鏡像となる構成に配列された素子432a、432b、432c、432dおよび432eを描いている。素子432a−eの各々は、それらの対応する第一のトランスデューサー素子430a−eから放出された超音波ビームを受信し、それらはそれから対応するプリアンプ402a−eによって増幅される信号に変換され、ここで上に記載されたように分析のためにコントローラ404に個別に通信される。
【0060】
ここで図5を参照すると、それは、治療されている組織層および/またはその温度の同定のために、図3Aと3Bのもののような、美容身体治療アプリケータの真空チェンバー504中に採用された開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態の電子システムの構成の簡略化されたブロック図である。
【0061】
ここで上に記載された構成の1つ以上に配列された第一のトランスデューサー526の圧電素子(図示せず)は、矢印550によって示されるように、真空チェンバー504中で治療された組織突起506を通して超音波ビームを放出する。第二のトランスデューサー528によって受信された放出された超音波ビームは、プリアンプ508によって増幅される信号に変換される。
【0062】
増幅された電気パルスは、受信した超音波ビーム信号から、音速、振幅、周波数および減衰における変化に関する情報を取得し、組織層タイプおよび/または組織層温度のような治療効果のような少なくとも1つの組織特性を決定するために情報を分析し、適当なアクションを取るように動作するコントローラ510に通信される。
【0063】
そのようなアクションは、以下の1つ以上を含んでいても良い:変化と危険度に関係する情報をデータベース512に記録する、情報をコンピューターモニターまたは装置ディスプレイのようなディスプレイ514上に表示する、情報をプリントアウト516に印刷する、変化とその危険度を遠隔ユーザ518に通信するかまたは警報を鳴らすことや警告ランプを起動することまたはあらゆるその他のタイプの警告のような警告520を採用することによってユーザに警告する、ここで上に記載されたように例えば治療加熱エネルギー印加のレベルを増加するかまたは減少すること、治療加熱エネルギー印加の持続時間を変更することまたは治療セッションを完全に停止することによって、危険度に基づいて治療の課程を変更する。コントローラ510は、決定された危険度のカテゴリー化から結果として得られる治療パラメータにおける望ましい変化を電力発生器522に通信し、それはそれに応じて、第一のトランスデューサー526の素子の励起を、始動するか、そのレベルを変更するか、または停止する。
【0064】
ここで図6を参照すると、それは、開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従った、受信された超音波ビームパルスの正弦信号を描いたグラフである。
【0065】
様々な身体組織を通した音波伝播の速度は、良く資料化されており、また経験的に達成されても良い。組織を通した音ビームの伝播速度は温度依存性であり、組織温度のあらゆる増加または減少によって変更されることも良く資料化されている。正常な体温における組織中の音速の近似値は以下の通りである。
【0066】
皮膚: 速度(V)〜1700−1800メートル毎秒(m/s)
脂肪: V〜1460m/s
筋肉: V〜1580m/s
図6は、既知の時間(Tτ=0)において放出され、信号受信時間(τ)においてポイント(I)で受信されたビームパルスの信号を描いている。ビーム信号伝播時間はよって、以下の表現を使うことによって容易に計算することができる。
【0067】
V=L/τ
しかしながら、ポイント(I)の厳密な位置の決定は不正確であり、校正エラー係数が計算中にファクターとして取り入れられなければならない。この方法は、超音波ビーム伝播速度を決定するための唯一の方法として当業者によって一般的に実施されている。
【0068】
開示された方法と装置の例示的実施形態に従って、超音波ビーム伝播速度計算の正確さは、ポイント(II)として図6のグラフ中に示された、最初の信号零交叉ポイントにおける信号受信時間(τ)を読み取ることによって増加される。ポイント(II)と(I)の間の距離の測定と、前述した校正エラー係数をファクターとして取り入れることは、ポイント(I)のみに頼ることからの速度測定エラーを削減し、超音波パルス伝播速度のきわめて正確な計算を提供する。一定の組織温度では、第一のトランスデューサーと第二のトランスデューサー間の距離が周知であり変化せずに留まるので、連続して放出されたパルスは、長さや振幅のようなそれらの性質を保持する。また、信号送信と受信の間のそのような短い時間間隔では、超音波ビーム拡散は無限小に小さい。組織温度における変化は、超音波ビームの伝播速度を変化させ、よってポイント(II)−ポイント(I)ギャップを増加または減少させ、差Δτ=(τ)−(τ)を増加または減少させる。この差は、組織温度変化を決定するために、例えば経験的に導出された参照テーブルによって、容易に外挿されることができる。例えば、組織温度の増加は、より速い超音波ビーム伝播を許容し、よってポイント(II)−ポイント(I)ギャップを減少させる。
【0069】
組織層タイプのような情報はまた、ビーム伝播速度における変化からだけではなく、信号振幅における変化およびビーム信号の減衰から達成されても良い。変化の度合いとその危険度は、情報をルックアップテーブル(LUT)または経験的に達成されたデータのような1つ以上のデータ参照値と比較することから外挿されても良い。
【0070】
受信された最初の信号を分析することは、受信信号の間の時間分離を許容する。これは、ここで下に詳細に記載するように、隣接するビーム間の干渉無しに同じトランスデューサーを離散的な組織層の組成および/または温度を監視するために採用することを許容する。典型的には、パルス繰り返しは10kHz未満である。
【0071】
ここで図7A−7Dを参照すると、それらは、開示された方法と装置の例示的実施形態に従った超音波伝播を描いた簡略化された図である。
【0072】
図7Aは、トランスデューサー734aによって放出され、組織層708および712を通してと、可能性としてその他の組織層を通して伝播し、トランスデューサー744aによって受信された超音波ビーム700を描いた簡略化された断面図である。超音波ビーム700は、円筒形状を保持しないが、その代わりにそれが組織層708を通して伝播するにつれて基本的な波動伝播の物理法則に従って拡がる。ビーム拡散は考慮に入れられなければならないが、それでも、最大音圧は常にトランスデューサーのセンターライン710(音響軸)に沿って見つけられる。
【0073】
ビーム拡散は、超音波周波数とトランスデューサーの放出表面の表面積寸法(直径、幅および高さ等のような)によって大体決定される。ビーム拡散は、高い周波数のトランスデューサーを使う時よりも低い周波数のトランスデューサーを使うときにより大きくなる。トランスデューサーの放出表面の表面積が増加するにつれて、ビーム拡散は削減される。
【0074】
図3Aと3Bに描かれた素子334と344のような平行構成のいくつかの圧電素子を採用する時には、ビーム拡散は、図7Bに描かれているように、隣接する放出されたビームの重複をもたらし得て、受信された信号の不正確さに結果としてなる放出された超音波ビーム間の干渉に結果としてなる。開示された方法と装置の例示的実施形態に従って、超音波ビームは予め決められた時間間隔において予め決められたシーケンスで放出されても良く、例えば、超音波ビームは、最初素子744bによって受信されるように素子734bによって放出され、素子744aによって受信されるように素子734aによって放出された第二のビームが続き、その後第三のビームが素子744cによって受信されるように素子734cによって放出される。シーケンスは、連続スキャンまたはスウィープモード、例えば734a、734b、734c、734a、734b、734c等々または734a、734b、734c、734b、734a、734b、734c等々、を提供するように繰り返し、変更または決定されても良い。この動作のモードは、各送信機について別々のドライバーおよび/またはトランスデューサー間で単一のドライバー出力を切り替えることを要求し、よって装置を起動するのに必要なリソースの量を削減する。その他の実施形態は、放出されたビームと受信されたビームの間の干渉を削減するビームデザインを使用しても良い。そのようなデザインは、望ましい波長に対して送信機および受信機の寸法を選択することに基づいている。ドライバーによる印加電圧は、50Vと1000Vの間、典型的には100Vと500Vの間、より典型的には250Vと350Vの間、の範囲にあっても良い。
【0075】
追加的かつ代替的に、ビームは、単一のトランスデューサー、例えばトランスデューサー734b、から放出され、同時にトランスデューサー(受信機)744a、744bおよび744cによって受信されても良い。これは、治療されている組織のタイプと施されている治療プロトコルに最も好適なビームパラメータの選択を許容する。
【0076】
開示された方法と装置の別の例示的実施形態に従って、圧電素子は、開示された方法と装置の例示的実施形態に従った超音波伝播を描いている斜めの図である図7Cに描かれたように、実質的に長方形であっても良い。
【0077】
圧電素子734の狭い寸法(Wpe)は、その長さ(Lpe)よりも実質的に小さい。そのような長方形の素子によって放出された音響ビームは、素子734のサイズと比較可能な素子734からの距離において波動回折によって楕円形断面750の形にされる。これに続いて、ビームは伝播経路に沿って拡大し始める。狭いサイド(Wpe、角度α)に沿った拡大は、広いサイド(Lpe、角度β)に沿った拡大よりも速い。ビームの発散角は、波長に対するプレートサイズの比に依存する。比が大きければ大きいほど発散角はより小さくなる。Wstの外側の次の皮膚層中の音速はWst層中よりも高いかも知れないので、プレートの寸法(Wpe)を選ぶ時には、波長が考慮に入れられなければならない。従って、ビーム発散のためにこの層の中に伝播する信号は、層Wstを通して伝播する信号よりも早く受信機に到達するかも知れない。これは測定エラーに繋がり得る。
【0078】
ここで上に説明したように、狭い寸法(Wpe)を増加することは、ビーム拡散を削減し、よって受信された超音波信号の分解能を増加する。(Wpe)の値は、対応する組織層の幅(Wst)によって、および/または素子734の間の距離によって決定される。
【0079】
圧電素子134、144、334、344、430、432、634および734の外部形状は、卵形、三角形、円形等のようなあらゆる幾何学的形状のものであっても良いことが理解されるであろう。追加的かつ代替的に、各トランスデューサー中の圧電素子134、144、334、344、430、432、634および734のいずれか2つ以上は、トランスデューサー素子の空間的構成、治療されている組織のタイプおよび選択された治療プロトコルに従って、サイズ、即ち長さ(Lpe)、幅(Wpe)および厚さ、においてお互いと異なっていても良い。いくつかの実施形態では、列挙された圧電素子は、交換可能かまたは廃棄可能にさえされていても良い。
【0080】
開示された方法と装置の更に別の例示的実施形態に従って、素子734は、どの2つの隣接した素子734も同時に励起されないように励起されても良い。開示された方法の例示的実施形態に従った超音波伝播の簡略化された断面図である図7Dは、対応する素子734aと734cによって同時に放出され、それぞれ素子744aと744cによって受信されたビーム720と740を描いている。素子734bと744bはこの時には不活性にされる。素子744bによって受信されるように素子734bがビームを放出することがこれに続いても良い。これは、ビームの重複と干渉を防止し、受信された超音波ビームから導出された情報の正確さを増加する。シーケンスは繰り返しまたは変更されても良い。
【0081】
ビーム拡散と受信されたビームパルス信号の形状はまた、圧電素子の厚さによっても影響される。
【0082】
本方法と装置は、ここで上に特に示されて記載されたものに限定はされないことが当業者によって認識されるであろう。寧ろ、方法と装置の範囲は、ここで上に記載された様々な特徴のコンビネーションおよびサブコンビネーションの両方と、従来技術にはなく前述した記載を読んだ当業者に起こるであろうそれらの変更および変形を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容ボディシェ−ピングデバイスによって治療された組織層のリアルタイム監視のための装置であって、
治療されるべき組織層中に超音波ビームを放出するように動作する第一のトランスデューサーと、
前記第一のトランスデューサーと対向し前記組織層を挟み込むように配置され、前記組織を通した実質的に直接的な経路中を伝播されそれにより放出された前記超音波ビームを受信するように動作する第二のトランスデューサーと、
前記受信した超音波ビームから、ビーム信号パラメータに関する情報を取得し、少なくとも1つの組織特性を決定するために前記情報を分析する、ように動作するコントローラと、
を含んだハウジング、を含む装置。
【請求項2】
前記ビーム信号パラメータは、音速、振幅、周波数および減衰からなるグループから選択される、請求項1による装置。
【請求項3】
前記組織特性は、組織層の同定および組織層構成における変化からなるグループから選択される、請求項1による装置。
【請求項4】
前記第一のトランスデューサーおよび第二のトランスデューサーの表面は、お互いに平行である、請求項1による装置。
【請求項5】
前記第一のトランスデューサーおよび第二のトランスデューサーは各々また、セラミックス、ポリマーおよび複合物からなるグループから選択された少なくとも1つの圧電材料から構築された少なくとも1つの圧電素子を含む、請求項1による装置。
【請求項6】
前記素子の厚さ(D)は、(fmax)においてD≦1/2λとなるように最大周波数(f)における波長(λ)の半分以下である、請求項5による装置。
【請求項7】
前記第一のトランスデューサーおよび第二のトランスデューサーは各々また、2次元および3次元の空間的構成からなるグループから選択された少なくとも1つの予め決められた構成に配置された少なくとも2つの圧電素子を含む、請求項1による装置。
【請求項8】
前記素子は、セラミックス、ポリマーおよび複合物からなるグループから選択された少なくとも1つの材料から構築される、請求項7による装置。
【請求項9】
単一のドライバーが、前記少なくとも2つの圧電素子を励起する、請求項7による装置。
【請求項10】
前記トランスデューサーの各々中の前記素子の少なくとも2つは、サイズにおいてお互いと異なる、請求項7による装置。
【請求項11】
前記第一のトランスデューサーおよび第二のトランスデューサーは各々また、前記組織層中に超音波ビームを放出するように動作する第一の送受信機と、前記組織層から放出された超音波ビームを受信するように動作する第二の送受信機からなる、送受信機の少なくとも1つのペアを含む、請求項1による装置。
【請求項12】
前記第一の送受信機はまた、前記組織層から放出された超音波ビームを受信するようにも動作し、前記第二の送受信機はまた、前記組織層中に超音波ビームを放出するようにも動作する、請求項11による装置。
【請求項13】
第一のトランスデューサー中の前記素子の各々は、前記第二のトランスデューサー中の少なくとも1つの素子とペアになっている、請求項5による装置。
【請求項14】
第一のトランスデューサー中の前記素子の各々は、前記第二のトランスデューサー中の対応する素子とペアになっている、請求項5による装置。
【請求項15】
第一のトランスデューサー中の前記素子の各々は、前記第二のトランスデューサー中の対応する素子とペアになっており、各ペアは実質的に離散的な組織層を挟み込むように配置される、請求項5による装置。
【請求項16】
前記ハウジングはまた、少なくとも1つの真空チェンバーを含む、請求項1による装置。
【請求項17】
前記チェンバーはまた、前記超音波ビームの前記経路を、第一の伝播経路からそれと平行な第二の伝播経路にシフトするように動作する壁を含む、請求項16による装置。
【請求項18】
前記ハウジングと前記チェンバーはまた、それらの間に少なくとも1つの空洞を含み、前記空洞は、音響的ビーム減衰、反射および屈折を最小化するように動作する音屈折率整合材料を含む、請求項16による装置。
【請求項19】
前記組織層は、皮膚、皮下脂肪および筋肉からなるグループから選択された少なくとも1つの組織層を含む突起である、請求項1による装置。
【請求項20】
前記組織は、前記真空チェンバー内に位置し、皮膚、皮下脂肪および筋肉からなるグループから選択された少なくとも1つの組織層を含む突起である、請求項16による装置。
【請求項21】
前記第一のトランスデューサーはまた、平行な経路に沿って少なくとも2つの超音波ビームを放出するようにも動作する、請求項1による装置。
【請求項22】
前記第一のトランスデューサーはまた、予め決められたシーケンスで少なくとも2つの超音波ビームを放出するようにも動作する、請求項1による装置。
【請求項23】
前記第一のトランスデューサーはまた、予め決められたシーケンスで前記少なくとも2つの超音波ビームを放出するようにも動作する、請求項21による装置。
【請求項24】
前記装置はまた、前記第一のトランスデューサーを励起するように動作する少なくとも一つの発生器を含む、請求項1による装置。
【請求項25】
前記ビームは、パルスモードで放出される、請求項1による装置。
【請求項26】
前記装置はまた、前記第二のトランスデューサーから受信した超音波ビーム信号を増幅するように動作する少なくとも1つの増幅器を含む、請求項1による装置。
【請求項27】
前記コントローラはまた、リアルタイムで、前記ビーム信号パラメータと組織特性を予め決められた治療プロトコルと比較し、前記パラメータと特性中の変化を同定して前記変化の危険度を決定し、前記変化と危険度に基づいて少なくとも1つのアクションを取る、ようにも動作する、請求項1による装置。
【請求項28】
前記アクションは、前記変化と危険度に関係する情報をデータベースに記録することと、前記情報をディスプレイ上に表示することと、前記変化と危険度を遠隔ユーザに通信することと、前記情報をプリントアウトに印刷することと、前記危険度に基づいて前記変化についてユーザに警告することと、前記危険度に基づいて治療の課程を変更すること、の少なくとも1つを含む、請求項27による装置。
【請求項29】
前記美容ボディシェーピングデバイスは、皮下脂肪細胞破壊、皮下脂肪の量の低減、緩んだ皮膚の引き締め、体表面の引き締めと落ち着かせ、皮膚中の皺の削減およびコラーゲンリモデリングからなるグループから選択された少なくとも1つの美容ボディシェーピング治療を施すように動作する、請求項1による装置。
【請求項30】
美容ボディシェ−ピングデバイスによって治療された組織層のリアルタイム監視のための装置であって、
真空チェンバーと、
前記チェンバー内の組織層中に超音波ビームを放出するように動作する第一のトランスデューサーと、
前記第一のトランスデューサーと対向し前記組織層を挟み込むように配置され、前記組織を通した実質的に直接的な経路中を伝播されそれにより放出された前記超音波ビームを受信するように動作する第二のトランスデューサーと、
前記受信した超音波ビームから、ビーム信号パラメータに関する情報を取得し、少なくとも1つの組織特性を決定するために前記情報を分析する、ように動作するコントローラと、
を含んだハウジング、を含む装置。
【請求項31】
前記装置はまた、加熱エネルギーの源によって供給された少なくとも1つの加熱エネルギー配送表面を含む、請求項30による装置。
【請求項32】
前記加熱エネルギーは、光、RF、超音波、エレクトロリポフォレシス、イオントフォレシスおよびマイクロ波からなるグループの少なくとも1つの形である、請求項31による装置。
【請求項33】
前記第一のトランスデューサーおよび第二のトランスデューサーはまた、前記エネルギー配送表面に実質的に垂直に配置された少なくとも1つの圧電素子を含む、請求項31による装置。
【請求項34】
前記第一のトランスデューサーおよび第二のトランスデューサーは各々また、少なくとも1つの圧電素子を含み、前記加熱エネルギー配送表面は同じ平面上にお互いに隣接して配置される、請求項31による装置。
【請求項35】
美容ボディシェ−ピングデバイスによって治療された組織層のリアルタイム監視のための装置であって、
各々が少なくとも2つの圧電素子を含む第一のトランスデューサーと第二のトランスデューサーであって、前記第一のトランスデューサーは、治療されるべき組織層中に超音波ビームを放出するように動作し、前記第二のトランスデューサーは、前記第一のトランスデューサーと対向して配置され前記ビームを受信するように動作し、前記第二のトランスデューサー中の各素子は、前記第一のトランスデューサーの対応する素子とペアにされており、それらの間に実質的に離散的な組織層を挟み込むように配置されたものと、
前記離散的な組織層によって放出された前記受信した超音波ビームから、ビーム信号パラメータに関する情報を取得し、少なくとも1つの組織特性を決定するために前記情報を分析する、ように動作するコントローラと、
を含んだハウジング、を含む装置。
【請求項36】
美容ボディシェ−ピングデバイスによって治療された組織層のリアルタイム監視のための装置であって、
RFエネルギーを配送するように動作する少なくとも1つのRF配送表面を有する真空チェンバーと、
前記チェンバー内の組織層中に超音波ビームを放出するように動作する第一のトランスデューサーと、
前記第一のトランスデューサーと対向し前記組織層を挟み込むように配置され、前記組織を通した実質的に直接的な経路中を伝播されそれにより放出された前記超音波ビームを受信するように動作する第二のトランスデューサーと、
前記受信した超音波ビームから、ビーム信号パラメータに関する情報を取得し、RF治療効果と組織層タイプの少なくとも1つを決定するために前記情報を分析する、ように動作するコントローラと、
を含んだハウジング、を含む装置。
【請求項37】
前記第一のトランスデューサーはまた、前記RFエネルギーの配送と同時に超音波ビームを放出するようにも動作する、請求項36による装置。
【請求項38】
前記ハウジングはまた、前記組織層の表面とRF配送表面の少なくとも1つを外部的に冷却するように動作する伝導性液体媒体導管を含む、請求項36による装置。
【請求項39】
美容ボディシェ−ピングデバイスによって治療された組織層のリアルタイム監視のための方法であって、
治療されるべき組織層中に超音波ビームを放出することと、
前記組織を通した実質的に直接的な経路中を伝播されそれにより放出された前記超音波ビームを受信することと、
前記受信した超音波ビームから、ビーム信号パラメータに関する情報を取得することと、
少なくとも1つの組織特性を決定するために前記情報を分析することと、
を含む方法。
【請求項40】
前記組織層は、皮膚、皮下脂肪および筋肉からなるグループから選択された少なくとも1つの組織層を含む突起である、請求項39による方法。
【請求項41】
平行な経路に沿って少なくとも2つの超音波ビームを放出することも含む、請求項39による方法。
【請求項42】
予め決められたシーケンスで少なくとも2つの超音波ビームを放出することも含む、請求項39による方法。
【請求項43】
予め決められたシーケンスで少なくとも2つの超音波ビームを放出することも含む、請求項41による方法。
【請求項44】
前記超音波ビームは、パルスの形である、請求項39による方法。
【請求項45】
放出されて受信された前記超音波ビームの信号を増幅することも含む、請求項39による方法。
【請求項46】
そこを通して伝えられたところの離散的な組織層によって放出された超音波ビームを受信することも含む、請求項39による方法。
【請求項47】
前記方法はまた、前記ビーム信号パラメータと組織特性を予め決められた治療プロトコルと比較し、前記パラメータと特性中の変化を同定して前記変化の危険度を決定し、前記変化と危険度に基づいて少なくとも1つのアクションを取る、請求項39による方法。
【請求項48】
前記アクションは、前記変化と危険度に関係する情報をデータベースに記録することと、前記情報をディスプレイ上に表示することと、前記変化と危険度を遠隔ユーザに通信することと、前記情報をプリントアウトに印刷することと、前記危険度に基づいて前記変化についてユーザに警告することと、前記危険度に基づいて治療の課程を変更すること、の少なくとも1つを含む、請求項47による方法。
【請求項49】
前記ボディシェーピングデバイスによって施された前記治療は、皮下脂肪細胞を破壊すること、皮下脂肪の量を低減すること、緩んだ皮膚を引き締めること、体表面を引き締めて落ち着かせること、皮膚中の皺を削減することおよびコラーゲンをリモデリングすることも含む、請求項39による方法。
【請求項50】
前記組織に加熱エネルギーを印加することも含む、請求項39による方法。
【請求項51】
前記加熱エネルギーは、光、RF、超音波、エレクトロリポフォレシス、イオントフォレシスおよびマイクロ波からなるグループの少なくとも1つの形である、請求項50による方法。
【請求項52】
前記放出された超音波ビームの方向と実質的に垂直な方向に前記加熱エネルギーを印加することも含む、請求項50による方法。
【請求項53】
前記放出された超音波ビームの方向と全体的に平行な方向に前記加熱エネルギーを印加することも含む、請求項50による方法。
【請求項54】
美容ボディシェ−ピングデバイスによって治療された組織層のリアルタイム監視のための方法であって、
治療されるべき組織層にRFエネルギーを印加することと、それから
治療されるべき組織層中に超音波ビームを放出することと、
前記組織を通した実質的に直接的な経路中を伝播されそれにより放出された前記超音波ビームを受信することと、
前記受信した超音波ビームから、ビーム信号パラメータに関する情報を取得することと、
RF治療効果と組織層タイプの少なくとも1つを決定するために前記情報を分析することと、
を含む方法。
【請求項55】
治療されるべき組織層を冷却することも含む、請求項54による方法。
【請求項56】
同時に印加し、放出し、受信し、取得し、分析することも含む、請求項54による方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2013−508065(P2013−508065A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534819(P2012−534819)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000814
【国際公開番号】WO2011/048586
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504359488)シネロン メディカル リミテッド (25)
【Fターム(参考)】