組織工学模倣毛包移植片
【課題】組織工学模倣毛包移植片を提供する。
【解決手段】本発明は元のままの毛包の構造を模倣するように構成された改良骨格に関する。また、本発明は生物適合性と所望の生物吸収率とを組合せている骨格を製造する特定の組成物および製造方法の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、生物模倣毛包移植片を製造する方法と、移植片に細胞を接種し、移植片を毛包幹の成長が望まれるような皮膚に移植するための方法とに関する。本発明の更なる実施形態は、細胞を培養し、そして培養されたケラチン生成細胞または他の寓意的細胞との組合せで生物吸収性骨格に等分する毛髪増殖方法に関する。
【解決手段】本発明は元のままの毛包の構造を模倣するように構成された改良骨格に関する。また、本発明は生物適合性と所望の生物吸収率とを組合せている骨格を製造する特定の組成物および製造方法の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、生物模倣毛包移植片を製造する方法と、移植片に細胞を接種し、移植片を毛包幹の成長が望まれるような皮膚に移植するための方法とに関する。本発明の更なる実施形態は、細胞を培養し、そして培養されたケラチン生成細胞または他の寓意的細胞との組合せで生物吸収性骨格に等分する毛髪増殖方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願のクロスリファレンス]
適用なし
[米国国家支援研究または開発に関する供述]
適用なし
【背景技術】
【0002】
男性型はげ頭症はしばしば毛髪移植外科医術により治療される一般的な状態である。この手順では、はげ模様内ではない頭皮の領域からの毛包が切除され、そしてはげ模様内に再移植されてより豊かな毛髪頭のイリュージョンを生じる。この手順によると、新しい毛髪は生じられない。この手順の成果は、採取され、そしてはげ模様に再移植されることができる毛包の数により制限される。しかも、すべての外植されていない毛包が首尾よく移植されるので、この技術は、最良に利用可能であるが、かなりの欠点がある。
毛包内の基礎構造に見られる特定種類の細胞が完全な正常に機能する毛包の形成を誘発する能力を有していることは周知である。このような細胞は毛包幹細胞または毛包前駆細胞として知られている。効果的な毛髪復帰治療のための大きい市場を考慮して、毛髪増殖の目的でこれらの細胞の毛包誘発能力を利用するために多くの試みがなされてきた。従来技術に開示されているすべての案は、明らかに科学的に実行可能であるが、はげのための臨床的に且つ美容的に許容可能な新しい治療を提供する目標に達していないことがわかった。例えば、ネズミのひげからの培養された真皮乳頭細胞をちょうどネズミの耳の皮膚の下に移植し、その結果、移植部位からのひげの成長が生じた。1990年4月24日の米国特許第4,919,664号におけるR.F.オリバーおよびC.A.B.ジャホーダの「毛髪の成長の刺激」(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)を参照されたい。ドクターアンドリューメッセンジャーによる5人のボランティアの未公表の臨床研究では、ボランティアの頭皮生検から切断された毛包表皮乳頭細胞を培養した。これらの細胞を増殖し、培養フラスコの表面を覆って、フラスコの表面からこすり去ることにより取り出し、そして細胞を得た各検体における前腕の下側の皮膚における浅い切り口に植込んだ。細胞植込み部位では、新しい毛髪の成長が認められなかった。6ヵ月後、すべての部位を生検し、頭皮毛包の形成の証拠が無いことで組織学的所見は正常であった。
【0003】
より最近、T.H.バローズは、2002年2月28日の国際出願第WO02/15952号の「組織工学毛髪用の骨格」(その教示は出典を明示することによって本願明細書の開示の一部とされる)において、生物吸収性物質から製造された多孔性「骨格」に同じ種類の培養された細胞を移植する方法を述べている。この場合、後の臨床研究により、培養された細胞の移植から人の検体の皮膚における新しい毛包および毛髪の成長の誘発の初めの実証例を生じた(T.H.バローズ、S.A.コクラン、E.I.グリフィンおよびA.R.ソロモンの「人の組織人口毛髪:予備臨床結果」、TE2002:組織工学についての国際講習会、St.ガレン、スイス、24-27、2002の2月を参照せよ(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)。固形骨格構造体の存在なしに注入された細胞は毛包新生のいずれかの証拠を示すことができなかった。しかしながら、骨格との組合せでの細胞の16回の移植のうちのたった1つ移植の結果、実際に、美容的に有用な毛幹の成長が生じた。多数の細胞プラス移植片部位における毛包新生の疑わしい証拠が組織学的に言及されたが、部分的に分解された骨格破片の残留物に対する永続的な炎症性応答も無かった。この種類の外部身体応答は、毛包の形成のための有害な環境を生じるものとみなされた(K.S.ステンの「毛包の形成および毛髪の成長を所望に配向で誘発するための組成物および方法」と称する2002年4月17日の米国特許出願第10/123,984号を参照されたい(その教示は出典を明示することにより本願明細書に開示に一部とされる))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かくして、毛包前駆細胞を培養し、新しい美容的に実用的な毛包が生じられるように培養された細胞を皮膚に移植するための信頼のある再現可能な方法の満たされていない必要性が残存している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
手短に言えば、1つの面では、本発明は、元のままの毛包の構造を模倣するように構成され、且つ経皮的移植用に設計されている改良骨格である。移植片の諸部分は特定種類の細胞の接種のための支持構造体として役立ち、表皮と接触しているか或いはそこを通って突出している他の部分は表皮下方成長のための部位として役立つ。この下方成長は移植細胞と連通している漏斗状部を生じる際に有利であり、この漏斗状部もまた、新たに形成する毛髪幹の出口角度を制御する際に有用である。
他の面では、本発明は、生物適合性と所望の生物吸収率とを組合せている骨格を製造するための特定の組成物および製造方法である。これらの種類の骨格の性能特性は高首尾の毛包誘発移植片の構成に決定的に重要であり、これにより毛包新生方法を容易にするか或いは高める。
【0006】
更なる面では、本発明は毛包新生の信頼のある再現可能な開始をもたらす培養された細胞の特定の組合せである。(毛包乳頭としても知られている)培養された真皮乳頭細胞の移植は単独で予測できない非再現性の結果を生じる。ケラチン生成細胞、適切には、新生児の皮膚(例えば、幼児の包皮組織)から得られるケラチン生成細胞をも真皮乳頭細胞との組合せで移植しなければならないことがわかった。必要に応じて、高首尾の毛包新生率を向上させるために、他の種類の細胞を真皮乳頭/ケラチン生成細胞の組合せと組合せることもできる。人の胎児、胎児または幼児の頭皮皮膚、幼児の包皮、へその緒血液、大人の骨髄、筋肉、脂肪組織および皮膚に存在するものと知られている幹細胞集団から選択自由な追加の細胞を選択してもよい。
本発明の更なる面は毛包新生方法の対する或いはその向上に対する有利な効果を与える物質としてのコンドロイチン-6-スルフェートの驚くべき発見である。
【0007】
他の面では、本発明は、生物模倣毛包移植片を製造する方法、およびこの移植片に細胞を接種し、そしてそれを新しい毛幹の成長が望まれる皮膚に移植する方法である。
本発明の更なる面は、採取された毛包からの細胞を培養で増殖し、そして培養されたケラチン生成細胞または他の同種異形の細胞との組合せで生物吸収性骨格の培養に等分する毛髪増殖方法である。その結果生じた細胞接種生物模倣移植片の移植は、従来技術の方法により可能であるよりも高い毛髪復帰度をもたらす。かくして、本発明の方法は、限定されないが、特に、男性または女性型はげ頭症および多の毛髪消失状態を含めて毛髪の消失を減じたり、抑制したり、或いは治したりする。
【0008】
[定義]
ここで使用する場合、以下に挙げる語は下記の意味を有する。
「組織工学」は、人体の組織および器官の交換、治療または増高において実用性を有する細胞、生物適合性骨格、通常、生物吸収性骨格の組合せを生じる技術として定義される。
「毛包新生」は、前に何も存在していない皮膚の領域に、或いは既存の毛包に加えて或いはそれらの間に新しい毛包を形成する現象として定義される。
「生物吸収性」は、身体から排泄されるか或いはそこに代謝される非毒性の副産物の中へ身体において粉砕される得る物質の特性として定義される。
「骨格」は、生きている細胞を特定の構成で収容し且つ保持することが可能である非細胞毒の構造体として定義される。
「フィラメント」は、直径より大きい長さを有する円筒形構造体として定義される。
「繊維」は物理的集結度を有するフィラメントとして定義される。
「PLGA」はラクチドおよびグリコシドのコポリマーとして定義される。
「VEGF」血管内皮成長因子として定義される。
「EDC」は塩化N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカーボジイミドとして定義される。
「TFE」は2,2,2-トリフルオロエタノールとして定義される。
「HAX」は架橋されたヒアルロン酸として定義される。
「マンドレル」は、外面に塗布された物質の形状を保持するのに使用され、前記塗布物質から中空フィラメントを生じる方法において取り出される円筒形、テーパ状または円錐形の物体として定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態において、生物模倣毛包移植片の骨格構成要素は、一般的に骨格の一端部から他端部まで延びている内腔を構成する1つまたはそれ以上の生物吸収性ポリマーで構成された中空フィラメントである。この中空フィラメントの内壁部または外壁部は所望の用途に応じて滑らかであるか、或いは多孔性であることができる。例えば、内腔表面に一種の細胞(例えば、人の包皮ケラチン細胞)および周囲の表面結合細胞と接触状態で内腔内に位置決めされた多の種類の細胞(例えば、適切には凝集塊の形態の培養された大人の毛包乳頭細胞)を保持するために、比較的滑らかな表面を有する中空フィラメントを使用することができる。独力で比較的疎水性であってもよく、従って水性流体を吸上げることが可能でないフィラメントの中へ1つまたはそれ以上の種類の細胞の懸濁液を吸上げるために、非常に多孔性の親水性内部を有する中空のフィラメントを使用することができる。
【0010】
多孔性で親水性の内部は、よりゆっくりな生物吸収性のフィラメント壁部により含有され続けながら、フィラメントの内腔内の接種された細胞の再組織化を容易にするために、中空のフィラメントの外部より速い生物吸収率または液化率を有してもよい。さもなければ、骨格ポリマーが、内腔内部から骨格外部までの生物吸収率の変数または勾配を有してもよい。かくして、内部の、すなわち、内腔のポリマー生物吸収率が外部の或いは外部配置のポリマー生物吸収率より高い。
中空フィラメントの製造と、中空フィラメントの内部を埋めるための物質としての使用との両方に適した生物吸収性で生物適合性の物質は、臨床実施および生物医療研究に一般に使用されている様々な生物適合性の合成、天然および半合成材料のうちのいずれかから選択されることができる。中空フィラメントは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリアミノ酸、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリカプロラクタン、ポリパラ-ジオキサン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、コラーゲン、ゼラチン、血清アルブミン、蛋白質、多糖類、ムコ多糖類、炭水化物、グリコサミノグリカン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリレートエステル、ポリメタクリレートエステル、ポリビニルアルコール、および前記ポリマーのコポリマー、ブレンドおよび混合物、ならびに加水分解または分解による解放で代謝可能または排泄可能である非分解性ポリマーとブロック共重合される生物吸収性結合を有するオリゴマーを含むポリマーで構成されてもよい。成長因子、細胞結合部位部分および細胞通信分子による本発明の生物吸収性物質の表面変性、グラフト重合、共重合または混合が、改良された細胞結合および/または改良された細胞機能、凝集、または毛包新生方法の開始のために有利であることがある。
【0011】
中空フィラメントとして、或いは中空フィラメント用の充填物質としての使用に適した天然産ポリマー(またはバイオポリマーまたはバイオ物質)としては、コラーゲン、ゼラチン、セルロース誘導体、澱粉、デキストリン、チトサン、リポ蛋白質、コラーゲンおよびゼラチンの人間の組み換え型形態、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、他の血清蛋白質、多糖類、モコ多糖類、および人体に自然に生じる他のバイオポリマーがある。適当なバイオポリマーが、そのままの形態、または例えば、可溶性を減じるために毒物学的に許容可能な架橋剤による架橋によるような変性された形態で使用されることができる。充填材は、繊維、ゲルおよび多孔性構造体を含む様々な物理的形態で利用されることができる。例えば、細胞が、トロンビンへの露出で生物吸収性ゲルへ変換されることができるフィブリノゲン溶液と化合されることができる。
他の解決法は、BASF社(ニュージャージー州マウントオリーブ)から市販されているプルロニック(登録商標)F-127として知られているエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーの使用を伴う。この界面活性剤は、生きている細胞と適合性であり、臨界濃度以上で、低い温度から体温まで暖められると、ゲルを形成する。かくして、中空フィラメントを、例えば、まず、プルロニック(登録商標)F-127のアルコール溶液で処理し、その後、アルコールが蒸発されてフィラメントの内腔表面に親水性皮膜を与えることができる。次いで、細胞の懸濁液を含有するプルロニック(登録商標)F-127の低温溶液をフィラメントの内腔に吸上げるか或いは注入し、そして暖かい環境に置いてプルロニック(登録商標)F-127をゲル化し、且つ細胞がフィラメントから追い出されるのを防ぐことができる。他の生物適合性のゲル形成物質としては、コラーゲン、ゼラチン、血清アルブミン、マトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス(BDバイオサイエンス、サンジョセ、CA)、およびゲル網を形成するために共有結合反応する末端基を有する種々のポリエチレン分子がある。
【0012】
本発明の構造体のための他の使用が想像される。例えば、他の成分を添加して或いは添加せずに多数の中空フィラメントを単に束ねることによって、連続孔が延びている仕上げ製品として3次元物体を得ることが可能である。このような構造体は組織工学軟骨の分野に有用である。軟骨が本質的に血管を欠いているので、組織工学軟骨のために使用される骨格は、栄養分に容易に接近可能である内部を適当に有している。しかも、このような骨格の接種は、装置を直接通っている孔により容易化される。また、生物化学的荷重の軸線に沿って孔を配向させることによって、接種された軟骨細胞が刺激されて適切に応答し、そして生来の関節軟骨の柱状構造に組織化する。
ヒアルロン酸は組織工学用途のための有用なバイオ物質であることが知られており、組織工学軟骨のための前述の骨格用に適している。縮合剤、適切には、J.Biomed.Mater.Res.、37、243-251(1997)におけるK.トミハタおよびY.イケダの「水溶性カーボジイミドによるヒアルロン酸の架橋」(この文献の教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)により記載されているようなEDCでヒアルロン酸を自己架橋することにより適当な物質が得られる。変更例として、アカデミックプレス2002、539ないし553ページのA.アタラおよびR.P.ランザ版の組織工学方法における45章、Y.ルオ、K.R.カーカーおよびG.D.プレストウイッチによる「天然ポリマーの変性:ヒアルロン酸」(この文献の教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)に記載の方法を含む様々な解決法によりヒアルロン酸を架橋することができる。
【0013】
変更例として、フランシスコデラバレおよびオウレリオロメオによる「ヒアルロン酸のエステル」と称する米国特許第4,851,521号((この文献の教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)に記載のように、ヒアルロン酸をエステル化により本発明に使用するための不溶性物質へ変換することができる。この種類の適当な物質はヒアルロン酸のベンジルエステルである。トランスエステル化は、その結果の生成物が生体内における数日以内のエステル結合の加水分解で可溶性ヒアルロン酸に変換され戻るので、適当な架橋方法であるが、他の架橋剤および付加架橋結合形成分子を用いることもできる。限定されないが、脂肪族ジアミン、リシンのアルキルエステルのようなジアミノ酸およびアミノ末端基のポリエチレングリコールを含むアミン末端基の架橋分子も適切である。
骨格の性能を高めるためにヒアルロン酸構造への生物活性分子の共有結合を容易にするのに、ヒアルロン酸を架橋する化学的方法の多くを使用することもできる。例えば、架橋されたヒアルロン酸骨格への細胞の結合を高めるために、アミノ酸の細胞結合主配列Arg-Gly-Asp(RGD)を含有するペプチドを使用することができる。
【0014】
組織工学毛包のための骨格を製造するためのヒアルロン酸の使用において、血管を新形成毛包へ成長させるために、或いは他の有利な目的で骨格の分解中に放出されるようにして成長因子および血管形成因子を骨格に結合させることが望ましいこともある。
骨格への小さい分子の共有結合に加えて、蛋白質のような高分子量分子およびコラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンなどのような他のバイオポリマーを構造に物理的に或いは静電的に結合してより大きい物理的結合性、細胞結合容量または生物活性をもたらすことができる。ヒアルロン酸の代わりに、コンドロイチンスルフェート、ヘパリン、デルマタンスルフェート、バーシカンなどを含む多のグリコサミノグリカンを本発明において有利に使用することもできる。
組織工学毛包用の骨格を製造するための適当な物質はコンドロイチン-6-スルフェートである。毛包新生方法に対するコンドロイチン-6-スルフェートの驚くほどに有利な効果が例6に示されている。適当な組成物は、EDCで架橋され、そして例9に示されるように孔発生体としてセバシン酸粒子を使用して、或いは例10に示されるような繊維素材への変換により微孔性にされたコンドロイチン-6-スルフェートおよびゼラチンの混合物である。
【0015】
毛包の形成は表皮の細胞(すなわち、ケラチン細胞)と真皮の細胞(すなわち、真皮線維母細胞または真皮/毛包乳頭細胞)との相互作用を必要とする。やけど患者の治療に使用しりための組織工学の生きている皮膚同等物の製造に使用するための真皮および表皮細胞は、しばしば、現在のところ、人間の幼児の包皮組織(これが容易に入手可能であるので)から得られる。これらの皮膚同等物は、大きい臨床価値のものでるが、毛包を欠いている。かくして、ケラチン細胞は一般に、またはその源からのケラチン細胞は一般に、新しい毛包の形成を誘発するのに必要とされる組織人口の移植組織片の構成においていずれかの特定の価値を有するものとは考えられていなかった。クーレイおよびボーゲル(WO99/01034)(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示に一部とされる)における開示には、「好ましくは、表皮細胞は…治療されている同じ患者からのものである」が述べられている。
驚くことに、大人の頭皮からのケラチン細胞が特に信頼性ではなく、幼児の包皮からのケラチン細胞が、実際のところ、真皮乳頭細胞との組合せで毛包新生を誘発する能力においてより効果的であることが発見された。この発見の理由は知られていない(いずれかの特定の理論により束縛されたくない)が、毛包新生を開始するために表皮幹細胞、表皮ケラチン細胞の非常に小さい副次集団が必要とされ、そして幼児表皮が大人の表皮よりもこれらの細胞の豊富な源であることと思われる。従って、幼児からの幹細胞の他の源もまた有用であることができる。例えば、へその緒から得られる血液が有用な幹細胞の源であることができ、確立された器官ドナー手順下で、胎児または定着胎児幹細胞線から得られる細胞、または幼児の頭皮からの細胞が有用な源であることができる。
【0016】
本発明の表皮/真皮細胞構成体の真皮成分は、毛髪復帰治療を受ける人から得られる解離毛包から得られることができる。しかしながら、他の可能性は、器官ドナー、適切には、幼児の頭皮から細胞を得ることである。骨格に接種されるべきである細胞は、真皮乳頭、真皮鞘、マトリックスおよび内毛根鞘および外毛根鞘よりなる断片から選択された毛包断片の培養により得られることができる。変更例として、細胞は、元のままの頭皮真皮から、或いはドナーが前記細胞の受容体でもある慣例の毛髪復帰外科手順からドナーサイト組織の毛包単位解離後に残る真皮または毛包組織の断片から調整された細胞混合物から簡単に培養されることができる。
表皮細胞は、それらの出所にかかわらず、内腔内壁部に付着しているか或いは隣接しているか、さもなければその中の多孔性構造に含まれている中空フィラメントの内腔内に適当に含まれている。生物模倣移植片を受けるべきである人からの毛髪支持頭皮の試料から得られ、培養で繁殖された毛包前駆細胞は、主として、毛包の球体に対応するフィラメント内腔の近位区画に適切に含まれている。かくして、移植片は、真皮および表皮成分の両方が互いに正しい関係で存在していて、移植された細胞が移植された移植片を成長させる元のままの表皮および真皮細胞と相互作用する必要が無いと言う点で自己充足的である。これにより、新しい毛包の形成の信頼性および再現性をもたらしている。
【0017】
変更例として、真皮および表皮細胞は、必要に応じて幹細胞を追加して混合物として組み合わされ、そして移植の直前に骨格に接種されることができる。この場合、これらの細胞はその場で会合して再編成する。この細胞供給方法のための適当な骨格の構成が図12ないし図14に示されている。この実施形態では、骨格は、流体を吸収するための受容体として役立つ多孔性のスポンジ状構造を形成するように一端が閉じられた中空のフィラメントとして製造される。かくして、細胞と流体との懸濁液を中空のフィラメントの内腔に注入すると、流体は受容体の中へ吸上げられてフィラメントの閉鎖端部のところの濃縮領域への細胞の収集を引起こす。次いで、細胞を含有する骨格は、毛包移植片が慣例の毛髪復帰外科手順で移植されるのと同じ方法で皮膚の刺傷にすぐに移植される。この実施形態の骨格を製造する方法が図9に示されており、この方法は下記の工程を備えている。
【0018】
1.ピペットチップまたは他の適当な流体供給手段の遠位部分と同じ寸法を有するテーパ状マンドレルを用意する。
2.キャビティ用挿入体として工程1のマンドレルを受け入れる両端部が開放しているモールドキャビティを用意し、このキャビティはマンドレルより長く、余分の長さはマンドレル自身の体積にほぼ等しい空隙容積部を生じる。
3.溶媒Bに溶解された生物吸収性物質と、溶媒Bにではなく溶媒Dに可溶である孔発生粒子Cとの混合物を用意する。
4.工程2のキャビティに工程3の混合物を充填し、そして工程1のマンドレルを挿入する。
5.溶媒Bを除去し、成形品をモールドキャビティから取り出す。
6.工程5の成形品を溶媒Dに入れて孔発生粒子を除去する。
7.工程6の成形品を溶媒Fに溶解された架橋剤Eの溶液に入れる。
8.新鮮な溶媒Fまたは他の適当な溶媒でゆすぎ洗いし、その結果生じた骨格を乾燥する。
9.必要に応じて、工程8の骨格を水溶性物質Gの水溶液で再水和し、そして水を蒸発させて保護皮膜を生じる。
10.溶媒I中の生物吸収性物質Hの溶液を調製する。
11.工程9の骨格を工程10の溶液で被覆し、そして溶媒Iを蒸発させる。
12.骨格を水に漬けて新鮮な水でゆすぎ、そして水を蒸発させることにより物質Gの保護皮膜を除去する。
【0019】
前記工程を含む適切な方法では、Aはコンドロイチン-6-スルフェートおよびゼラチンの混合物であり、Bは水であり、Cは63ミクロン未満のセバシン酸劉氏であり、Dはアセトンであり、EはEDCであり、Fはアセトン対水の9:1の容量比の混合物である。
例10に示された実施形態を行うための前記方法の変更例は下記の工程を備えている。
1.尖った先端を設けるように先端部が僅かに延長されている以外は、ピペットチップまたは他の適当な流体供給手段の遠位部分と同じ寸法を有するテーパ状マンドレルを用意する。
2.工程1のマンドレルを水溶性ポリマーAで被覆する。
3.流体中の細胞の懸濁液から細胞を分離するのに適当である浸透性で生物吸収性の濾過物質Bを工程1のマンドレルの先端部に付着させる。この濾過物質は溶媒Dに可溶な除去可能な保護皮膜Cに実質的に収納されている。
4.マンドレル全体および前記濾過物質を溶媒Fに溶解された生物吸収性のフィルム形成ポリマーEでえ被覆する。
5.工程4の溶媒Fを除去して工程3のマンドレルおよび付着先端部を覆う生物吸収性ポリマーフィルムの連続層を生じる。
6.マンドレルへの付着箇所に対して遠位の濾過物質を覆う工程5のフィルムの小さい区分を除去することにより工程5のフィルムに開口部を生じる。
7.工程6の生成物を水の漬けることによりポリマーAを実質的に除去する。
8.溶媒Dに漬けることにより保護皮膜材Cを実質的に除去する。
9.生成物からマンドレルを除去し、そして必要に応じて、工程7および8を継続して物質A、Cを完全に除去する。
【0020】
前記方法の適当な実施形態では、Aは界面活性剤、例えば、プルロニック(登録商標)F-127であり、Bはコンドロイチン-6-スルフェートおよび架橋ゼラチンの混合物で構成された繊維素材であり、Cはカラメル化蔗糖であり、Dは水であり、EはPLGAであり、Fはジクロロメタンである。
両端部が開放している本発明の長い中空のフィラメント骨格を製造する適当な方法は、種々の成分が付着されていて、後に溶解により除去されるマンドレルとしてのナイロンモノフィラメントの使用を伴う。バイオ物質外皮を損傷することなしに除去されることができる他の物質から製造された繊維もまたこの方法に有用であると思われる。変更例として、中空フィラメントの溶融押出しが、本発明の中空フィラメントを生じるのに使用されることもできる証明された技術である。
【0021】
本発明の方法では、まず、微細ナイロン繊維を粒子で被覆して粘性溶液の形態の生物吸収性物質の塗布物が繊維に付着するようにする。これらの粒子は、ナイロンまたはポリスチレンのような多のポリマーの溶液を使用してナイロン繊維に塗布されたり、付着されたり、或いは結合されたりする。ナイロン(または他のポリマー)粒子は微細ナイロン繊維にしっかり附着し、そして粘性の水溶液、例えば、ヒアルロン酸溶液による繊維のその後の被覆を助成し、そうでなければ、ナイロン表面に密着しない。粒子として使用するための適当な物質は、水(ヒアルロン酸用の溶媒)およびTFE(ナイロン用の溶媒)に実質的に不溶であるが、アセトン(ヒアルロン酸およびナイロン用の非溶媒)に自由に可溶であるセバシン酸である。また、粒子は、これらを除去すると、結果的に生じた中空のフィラメントに多孔性の内腔表面を与えるのに役立つ。被覆された生物吸収性物質を硬化したり、架橋したり、さもなければ、水の不溶性にしたりした後、ナイロンおよびナイロンに付着された粒子を適切な溶媒で除去する。望むなら、次いで、異なる生物吸収性物質の追加の皮膜を付けてもよい。方法のこの段階では、ナイロンおよびナイロン結合粒子が除去された状態で、この第2物質を塗布するために広い選択範囲の溶媒を使用することができる。適当な第2物質はラクチドとグリコリドとのコポリマー(以後、PLGAと称する)であり、それにより、この方法では、HAX内部およびPLGA外部を有する中空フィラメントを生じる。
【0022】
以上から、この方法の詳細な工程は下記の如くである。
1.水溶性物質Wを用意する。
2.溶媒Aに可溶である物質Xの繊維を用意する。
3.溶媒Bに可溶である生物吸収性物質Yを用意する。
4.溶媒Cに可溶である粒子Pを用意する。
5.溶媒Dに可溶である生物吸収性物質Zを用意する。
6.溶媒Nに可溶であるポリマーMを用意する。
7.溶媒Nに可溶であるポリマーMの溶液を調製する。
8.工程7の溶液で工程2の繊維を被覆する。
9.工程8の被覆繊維に工程4の粒子Pを被覆し、そして溶媒Nを蒸発させ、それにより前記粒子を前記繊維に接合する。
10.溶媒B中の物質Yの溶液を調製する。
11.工程9の粒子被覆繊維に工程10の溶液を被覆し、そして溶媒Bを蒸発させる。
12.物質Yが水溶性であれば、物質Yを架橋により水溶性にする。
13.溶媒Nによる溶解およびゆすぎにより工程12の被覆繊維からポリマーMを除去する。
14.溶媒Cによる溶解およびゆすぎにより工程13の被覆繊維から粒子Pを除去する。
15.溶媒Aによる溶解およびゆすぎにより工程14の被覆繊維から繊維XPを除去する。
16.物質Wの水溶液を調製する。
17.必要なら、工程16の溶液の保護皮膜を工程15のフィラメントに付け、そして水を蒸発させる。
18.溶媒D中の生物吸収性物質Zの溶液を調製する。
19.工程18の溶液で工程17の繊維を被覆し、そして溶媒Dを蒸発させる。
20.フィラメントを水に漬けることにより物質Wの保護皮膜を除去し、新鮮な水でゆすぎ、そしてフィラメントを乾燥させる。
21.フィラメントを適切な長さに切断し、そして殺菌する。
22.適切な量の適切な流体中の細胞の懸濁液をフィラメントの内腔に吸い入れることにより適切な細胞をフィラメントに接種する。
23.必要に応じて、フィラメントの一端への挿入により追加の細胞構成体をフィラメントに充填する。
24.毛幹の成長が望まれる皮膚に切り口を形成し、工程22または23のフィラメントを切り口に植込んで端部が皮膚に植込まれた細胞構成体を含有し、且つ遠位端部が皮膚の上方に経皮敵に延びている状態にする。
【0023】
以上の工程を含む適当な方法では、Wはカラメル化蔗糖であり、Xはナイロンであり、AはTFEであり、Yはヒアルロン酸(ナトリウム塩)であり、Bは水であり、Pはセバシン酸(粒径が10ないし500ミクロン、好ましくは50ないし200ミクロン)であり、ZはPLGAであり、DおよびNはジクロロメタンであり、Mはポリスチレンであり、Cはアセトンである。PLGAに多孔性を与えたければ、DはグリコールおよびTFEの溶液として特定されることができる。TFEの蒸発で、PLGAおよびグリコール相は同相エマルジョンに分離する。水への溶解によるグリコールの除去により、残留PLGA皮膜に微孔性構造を与える。
軟骨組織加工用途に使用するための骨格を製造するために、工程10の追加の被覆溶液を接着剤として使用して、前記工程IIの多数の繊維を他の成分の添加なしで束ねることができる。マンドレル繊維を溶解する前に、束を切断してディスクとし、繊維を溶解し且つ処理工程を完成した後、これらのディスクから、所望の製品を構成することができる。
【0024】
例
例1. PLGAは移植された毛包の生存および毛髪の成長を損なわない。
CCAプラックバイオケムbv、ゴリンケミ、オランダ(クロロホルム中の内部粘度1.06dl/gのプラソーブ(登録商標)PLGA)からd,l-ラクチドおよびグリコシド(52:48)のコポリマーを得、これをジクロロメタンに溶解した(10%w/v)。蔗糖を溶解し、カラメル化されるまで加熱し、そして所望サイズのフィラメントが溶融物から引き出されることができるまで、この蔗糖を冷却した。これらのフィラメントを固化するまで冷却し、次いですぐに粉末状塩化ナトリウムで覆われた表面に設置して粘着性になるのを防いだ。粉末状の塩被覆されたカラメル化蔗糖のフィラメントにPLGA溶液を被覆することにより中空フィラメントを調製した。ジクロロメタンを蒸発させ、蔗糖および塩を溶解し、そして被覆されたフィラメントを水に入れることにより蔗糖および塩を除去した。認可されたLACUC下でマーサー大学(アトランタ、GA)において安楽死されたC57B16ネズミ(チャールスリバー)から震毛(ひげ)包を切除した。切除された震毛を同一遺伝子のネズミの剃られた背皮膚における斜めの切り口に再植込みした。次いで、切除された毛包がまず挿入され、ポリマーにより完全に取り囲まれるように(図7)中空のPLGAフィラメントの内腔にぴったり嵌め込んだ状態で、この手順を繰返した。30日後、植込み済みのネズミを安楽死させ、皮膚を切除し、ボール紙の矩形体上に伸ばし、ホルマリン中に固定し、そして光顕微鏡による分析のためにパラフィン埋込み、分断およびH&E色付けの常套方法により処理した。
30日後、8つの対照例の毛包移植片のうちの7つは成長している震毛の毛幹であるとわかった。また、3つのPLGA/毛包移植片のうちの2つは同様に成長している毛条であるとわかった(図8)。組織学はPLGAにシース被覆して或いはシース被覆することなしに再生移植された毛包にいずれの異常を現さなかった。
【0025】
例2.微孔性PLGA中空フィラメントの調製
TFE(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)中のグリセロール(グリセリンU.S.P.)およびPLGA(レサマー(登録商標)RG504、ボーリンガーインゲルへイン、ドイツ)の溶液をグリセロール対PLGAの比が80:20(w/w)であるように調製した。この溶液を(例1に記載にように調製された)カラメル化蔗糖フィラメントに、乾燥のために被膜間に時間を割り当てて数層に被覆した。TFE、すなわち、グリセロールおよびPLGA用の溶媒の蒸発により、グリセロールがもはや混和性のままではなくなるまで溶質の濃度を高めた。PLGA/TFEからのグリセロールの相分離の結果、同相エマルジョンが形成された。次いで、被覆されたフィラメントを水に入れて蔗糖およびグリセロールならびにいずれの残留TFEをも急速に溶解し、そのときに微孔性のPLGAから浸出させた。その結果の多孔性の中空フィラメントを水でゆすぎ、そしてデシケーターで完全に乾燥させた。乾燥PLGA中空フィラメントの多孔性構造が図4および図5に示されたSEM写真に示されている。
【0026】
例3.親水性のPLGA中空フィラメントの調製
無水エタノール中のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーであるほぼ5%(w/v)プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤(シグマケミカル社、セントロイス、MO)の溶液を穏やかな加熱で調製した。例1に記載のように、PLGAの中空フィラメントを調整した。プルロニック(登録商標)F-127の透明無色の溶液をPLGAフィラメントのうちの1つに吸込み、エタノールを完全に蒸発させた。赤の食品着色染料の液滴をガラス板に設置した。長さ15mmのプルロニック(登録商標)F-127処理PLGA中空フィラメントおよび長さ15mmの同じ直径の未処理の対照例フィラメントを、各フィラメントの一端を液体の表面に触れさせることにより、染料と接触させた。プルロニック(登録商標)F-127処理フィラメントはその全長を通して染料水溶液を急速に吸上げたが、未処理のフィラメントはその長さの4mmまで染料をゆっくり吸上げただけであった。
【0027】
例4.PLGA被覆HAXフィラメント
セバシン酸(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)を乳鉢および乳棒により粉砕し、篩にかけて大きさが63ミクロンより大きく212ミクロンより小さい粒子を得た。長さ1mの微細モノフィラメントナイロン繊維(直径0.0076cm(0.003インチ)、シェ‐クスピアーモノフィラメントディビジョン、コロンビア、SC)をTFE中ナイロンの溶液(10%w/v)で被覆し、そして直ぐに、繊維を溶液収容ピペットに、次いでピペット先端部の出口に設置されたセバシン酸粒子の積重体に引き通すことによりセバシン酸粒子で覆った。この繊維を一端で吊り下げ、そして垂直位置に垂らした。180gのヒアルロン酸ナトリウム粉末(分子量1,400,000、ライフコア、無い尾メディカルチャスカ、MN)と10mlの水とを組合せることによりヒアルロン酸ナトリウム塩の溶液を製造し、これを水和し、室温で夜通し溶解した。この溶液をよく混合し、次いでゼリー状液体の一滴を手で繊維に下らせることにより繊維に被覆した。ヒアルロン酸塩溶液の薄い被膜を乾燥し、次いで2つの追加の被膜を、乾燥のために両者間に時間を割り当てて付けた。次いで、繊維をほぼ4cmの長さに切断し、10%(v/v)の水を含有するアセトン中に0.2%(w/v)のN,N'-イソプロピルエチルアミノカーボジイミド(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を収容したバイアルに入れた。室温で3時間後、溶液をデカントし、純粋なアセトンで置換した。アセトンをデカントし、残留アセトンを蒸発により除去した。次いで、バイアルにTFE(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)を充填し、そしてバイアルを室温で夜通し放置した。TFEをデカントし、新鮮なTFEで置換し、数時間後、これをデカントし、アセトンで置換した。アセトンをデカントし、そして残留アセトンを蒸発により除去してHAXフィラメントを生じた。
【0028】
蔗糖を、溶融され且つカラメル化されるまで、試験管において攪拌しながら裸火上で加熱した。暗褐色の溶融物を移し出して固化させた。これを水に溶解することにより(ほぼ20%w/v)シロップを調製した。乾燥HAXフィラメントをシロップに入れ、それでフィラメントは液体を急速に吸収し、直径が著しく大きくなった。これらのフィラメントをシロップから取出して部分的に乾燥させた。次いで、これらのフィラメントを塩化ナトリウム(<64ミクロン)で被覆し、そしてデシケーターに入れて夜通し乾燥させた。これらの剛性の脆い琥珀着色されたフィラメントをジクロロメタン(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI))中のPLGA(クロロホルム中の内部粘度1.06dl/gのプラソーブ(登録商標)PDLG、CCAプラックバイオケムbv、ゴリンケミ、オランダ)の10%(w/v)溶液に漬け、溶媒を蒸発させた。次いで、琥珀色の消失により立証されるように蔗糖および塩が溶解されるまで、被覆されたフィラメントを水に漬けた。次いで、フィラメントをデシケーターに戻し、完全に乾燥させた。HAXを含有していないPLGAの対照例の中空フィラメントを例1の方法により調製した。
水生流体を吸上げるこれらのフィラメントの能力を、赤色食品着色染料を含有する水の液滴に一端を漬けることにより試験した。赤色着色された水はHAXを含有するフィラメントの内腔に急速に侵入し、この内腔を完全に満たし、それによりフィラメントに赤色を与えた。しかしながら、HAXを含有していないフィラメントは水を吸上げなく、撥水性であり、水の表面に浮遊された。
【0029】
例5.PLGA中空フィラメント骨格に収容されたネズミの細胞からの生体内の毛包新生および毛幹成長
先にのべたように(S.Mプロウティ、L.ローレンス等(1996)の「人間の一般的な青色母斑と類似するネズミの皮膚病斑の線維母細胞依存性誘発」、AmJPathol、148(6):1871−85(その教示は出典の明示することにより本願明細書の開示に一部とされる))、生まれたばかりのネズミの子供から表皮および真皮細胞を分離した。公表された手順からの2つの逸脱点は、新生児ネズミの皮膚の真皮から表皮の分離を容易にすべくC57/B16ネズミの使用(チャールスリバー研究所)およびトリプシンではなくディスペース(ギブコ)の使用であった。細胞、すなわち、真皮および表皮の両固体群が別々に分離されたら、それらの細胞を、真皮細胞対表皮芽としても知られている表皮細胞の比が100:1であるように再混合した。次いで、この細胞混合体を900rpmで5分間、回転させた。その結果生じたペレットをPBSに再懸濁して1mlあたり少なくとも計10,000,000個の細胞の細胞濃度を得、そして繊維を細胞懸濁液に単に入れることにより、例1で論述した方法により調製されたPLGA中空フィラメントにすばやく装填した。次いで、19ゲージの皮下注射針を皮膚に刺し、開放斜面の半分が露出されるまで針を抜き、中空フィラメント移植片を開口部に挿入し、次いでフィラメントを皮膚の下に押しながら、針を完全に抜き取ることにより、これらの細胞接種フィラメントを裸(Nu/Nu)のネズミの背皮膚の下に移植した。移植後3週間で、ネズミを解剖し、皮膚を切除した。フィラメント移植部位における皮膚の皮下側のPLGA骨格物質と関連された毛包状構造および毛幹が認められた。図9に示すように、良好に形成された毛包球および長い毛幹がこの写真でわかる。骨格物質は、これが無色で部分的に分解されるので、目に見え難い。
【0030】
例6.細胞懸濁液中の添加剤としてのコンドロイチン-6-スルフェートの使用
例5に記載の方法を利用して裸のネズミへの注射に先立って細胞の懸濁液に添加された可溶性物質の数を評価した。同じネズミに位置されている対照例および試験例の物質注射部位の両方に正確に同じ数の各細胞の種類を注射した。図10に示すように、細胞に注射後3日で皮下空間に形成された毛包は、初めの5%の濃度のコンドロイチン-6-スルフェート(シグマケミカル社、セントルイス、MO)の存在下で正確に同じ倍率ではっきり大きかった。
【0031】
例7.細胞懸濁液中の添加剤としてのプルロニック(登録商標)F-127の使用
コンドロイチン-6-スルフェートの代わりに20%プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を使用して例6の実験を繰返した。図11に示すように、細胞の注射後13日で皮下空間に形成された毛包は、プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤が注射された流体中に存在しない場合の対照例の注射部位における毛包よりも同じ倍率ではっきり大きかった。
【0032】
例8.架橋されたゼラチン中空フィラメントの調製
豚の皮膚ゼラチン(300鮮度、シグマケミカル社、セントルイス、MO)を温水に溶解して5%(w/v)溶液を得た。この溶液を例4で述べたようにセバシン酸で覆われた微細のナイロンフィラメントに塗布した。乾燥するために被膜のための塗布間に時間を割り当てて幾つかの被膜を付けた。次いで、繊維をほぼ4cmの長さに切断し、10%(v/v)水を含有するアセトン中に0.2%(w/v)のEDC(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を収容したバイアルに入れた。室温で3時間後、溶液をデカントし、純粋のアセトンで置換した。アセトンをデカントし、残留アセトンを蒸発により除去した。次いで、バイアルにTFE(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)を充填し、バイアルを室温で夜通し放置した。TFEをデカントし、新鮮なTFEで置換し、数時間後、これをデカントし、アセトンで置換した。アセトンをデカントし、残留アセトンを蒸発により除去して水溶性ゼラチン中空フィラメントを生じた。
【0033】
例9.架橋されたコンドロイチン-6-スルフェート/ゼラチン骨格の調製
セバシン酸(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を乳鉢および乳棒で粉砕して63ミクロンシーブを通る粒子にした。使い捨ての10ミクロリットルのピペットチップ(エペンドルフepTIPS(登録商標)、ブリンクマンインストルメント、ウエストバリー、NY)を3つの等しい部片に切断した。近位に部片を廃棄し、中間の部片にセバシン酸粉末を充填した。コンドロイチン-6-スルフェート(80mg)および豚の皮膚ゼラチン(80mg)を20mlの温水に溶解した。この溶液を、セバンシン酸が充填されたピペットチップ部分の大きい開口部にちょうど嵌るステンレス鋼管を備えた注射器に装填した。次いで、この溶液を充填されたセバシン酸に注入して、流体が充填物を通って移動されるときに空気が粉末から追い出されるようにした。次いで、ピペットチップから切断された遠位部片を充填された部片に挿入した。開放端部から押出された過剰のペーストを取り去った。
これらの組み付けられた部片をデシケーターに夜通し貯蔵することにより完全に乾燥した。次いで、これらの部片を9:1(v/v)のアセトンおよび水中のEDCの0.2%(w/v)溶液に入れた。約1時間後、ピペットチップの2つの部片を穏やかに引き離し、成形された製品を取り出し、更に3時間、EDC溶液に戻し、そこで架橋された骨格を純粋なアセトンに1時間浸し、次いで乾燥させた。
【0034】
例10.PLGAおよび架橋されたゼラチン/コンドロイチン-6-スルフェートフィラメントのピペットチップシース骨格
コンドロイチン-6-スルフェートおよび豚の皮膚ゼラチン(各々100mg)を2.0mlの脱イオン化温水に溶解し、26ゲージ針を通して、上昇された溜め部からビーカーの中へ流れているアセトンが充填されたシリコーンゴム管にゆっくり注入した。その結果生じた微細の白色フィラメントを収集し、9:1(v/v)のアセトンおよび水中のEDCの0.2%(w/v)溶液に約4時間入れた。次いで、これらのフィラメントを純粋のアセトンでゆすぎ、乾燥させた。水中の30%(w/v)カラメル化蔗糖の溶液を乾燥フィラメントに添加し、フィラメントが完全に飽和されるまで浸した。飽和された繊維素材の束を内径1.0mmのテフロン(登録商標)管に入れ、デシカーターで完全に乾燥させた。褐色の蔗糖収容フィラメント円筒体を管から取り出し、エペンドルフピペットチップ(10ミクロリットルのepTIPS、ブリンクマンインストルメント社、米国)の端部を通ってちょうど突出している30ゲージの針の先端部に取り付けた。蔗糖収容フィラメントが取付けられたピペットチップをジクロロメタン中のプルロニック(登録商標)F-127の30%(w/v)溶液に漬け、乾燥させ、次いでジクロロメタン中のPLGAの15%(w/v)溶液に漬け、チップを下方に吊るして乾燥させた。乾燥されたPLGAの遠位端部をはさみで切り離し、ピペットチップ全体を水に入れた。数分後、PLGAフィルムを水和プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤被膜によりピペットチップから容易にすべり去らした。その結果生じた骨格をカラメル化蔗糖の褐色すべてが消えるまで更に浸した。
濾過媒体として、従って毛包誘導細胞を収集して移植する手段として機能するPLGAシースに収容された繊維材の能力を試験するために、木炭粒子(100ないし400メッシュ、ノリットCAI活性化木炭、シグマケミカル社、セントロイス、MO)の水中スラリーを10ミクロリットルピペットチップに吸入し、チップをPLGA骨格シースに挿入し、そしてスラリーをピペットから骨格の端部を通して取り出した。図15に示すように、木炭粒子は、水が通るときにこれらの粒子が収集された繊維材の近位端部においてはっきり目に見えた。
【0035】
例11.組織工学軟骨用の結束中空フィラメントHAX骨格
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量1.4×106ドルトン、製品第80081、ライフコアバイオメディカル社、チャスカ、MN55318)を脱イオン化水に溶解し、透析管に入れ、脱イオン化水100mlあたり1グラムでカチオン交換セルロース(BIO-RADラボラトリーズ社、ヘラクレス、CAから販売されているドウェックスAG50W-X4)に対して透析し、そして4℃で2日間、磁気棒により攪拌した。この溶液を透析管から取り出し、凍結乾燥させて綿毛状の白色固体を得、これを脱イオン化水に再溶解して3.4%(w/v)のヒアルロン酸を含有する粘性の溶液を得た。
ナイロンモノフィラメント糸(直径0.0076cm(0.003インチ)、SN-38ワンダースレッド(登録商標)、シェ‐クスピアーモノフィラメントディビジョン、コロンビア、SC)を3mの長さに曳き、そして球の一部を切り離して繊維を使い捨て移送ピペット(cat.第231、サンコサイエンティフィック社、サンフランシスコ、CA)に通し、ジクロロメタン中のほぼ5%(w/v)のポリスチレンの溶液中のセバシン酸粉末(<63ミクロン)のスラリーで被覆し、この被覆は、このスラリーを球開口部を通してピペットに注入し、次いでピペットチップが一様なスラリー分散のためのオリフィスとして作用するようにピペットを繊維の長さだけ下げることによって行なわれた。ジクロロメタンを蒸発させると、被覆された繊維は色が全くの白色であり、未被覆の繊維よりも著しく粗い感触を有していた。次いで、前記のヒアルロン酸溶液を同様にして被覆繊維に塗布した。ヒアルロン酸の各被膜の塗布間でほぼ1時間の乾燥時間で5つの被膜が付けられた。次いで、これらの繊維を注意深くコイル巻きし、10%(v/v)の脱イオン化水を含有するアセトン中のEDCの0.2%(w/v)溶液を収容した覆われた皿に入れ、そしてこの液体に入れながら夜通し浸した。次いで、これらの繊維を純粋のアセトンでゆすぎ、そして再び曳き、この時間はほぼ10本の繊維を1つの連続したトウに束ねた。このトウを、ヒアルロン酸溶液により手で被覆し、すなわち、3本の指の接合部に形成された隙間にトウを位置させた状態で一方の手の親指と初めの2本の指との間に少量の粘性溶液を保持し、そして手をトウの長さだけ下げることによって被覆した。各塗布間で乾燥のために時間を割り当てて幾つかの被膜を付けた。次いで、被覆されたトウをコイル巻きし、前述のようにRDC溶液の覆われた皿に入れ、夜通し浸した。次いで、このトウを純粋なアセトンでゆすぎ、乾燥させた。
【0036】
このトウを4cmの長さに切断し、各部片を十分な量のヒアルロン酸溶液で被覆した。被覆された部片を束ね、次いで個々のループを束のまわりに結ぶことにより直径0.0228cm(0.009インチ)のナイロンモノフィラメント(シェークスピア)で縛った。各ループを締めて結ぶと、過剰のヒアルロン酸溶液が束から押出され、次いでこの束を一端で吊るして乾燥させた。過剰の溶液が端部から垂れ去り、1日後、束は硬い軽量な複合体であった。次いで、この束をレザー刃で直径3mmのディスクに切断し、これらのディスクを新しいバッチの前述のEDC溶液に夜通し入れてヒアルロン酸を架橋し、且つ他の夜通し期間、セバシン酸をジクロロメタンに溶解してポリスチレンの溶解を終了した。次いで、これらをTFEに入れてナイロンを溶解した。1時間後、TFEを新鮮なTFEで置換し、ディスクを夜通しこのTFEに浸した。次いで、これらを新鮮なTFEで、次いでアセトンでゆすぎ、乾燥させた。乾燥ディスクをグルタルアルデヒド(フィッシャーサイエンティフィック社、フェアローン、NJ)から販売されているアクロス第41096-5000)の50%水溶液に入れ、そしてジャーナルオブバイオメディカルレサーチ、47巻、79ないし84ページ(1999)におけるM.Hu、E.E.サベルマン、S.Lai、E.K.ティメク、F.ザング、V.R.ヘンツおよびW.C.リニアウィーバーによる「ヒアルロンストランドへの線維母細胞の付着を改良するポリペプチド再表面処理方法」(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)に薦められているように、室温で72時間浸した。この処理はEDC架橋HAXを組織工学軟骨用途に良く適したゆっくり分解する物質へ変換した。グルラルアルデヒドからディスクを取り出すと、これらのディスクを脱イオン化水で数回ゆすぎ、次いで水に夜通し浸した。次いで、これらのディスクを再びゆすぎ、細胞接種/生物反応研究用に使用する前に消毒剤としての70%(v/v)イソプロパノール/水溶液に入れた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】生物吸収性ポリマーの固形外側フィラメント(1)と、同じまたは異なる生物吸収性ポリマーの多孔性内側フィラメント(2)と、中央の内腔(3)とを示している本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図2】細胞懸濁液をフィラメントの内腔に吸い入れることによって多孔性内側フィラメントに接種された細胞(4)(例えば、ケラチン生成細胞)と、フィラメントの開放端部に機械的に押し入れることによりフィラメントの内腔に接種された細胞集団(5)(例えば、培養された真皮乳頭細胞または毛包断片)とを示す図1の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図3】近位端部(6)が真皮(7)にあり、遠位端部(8)が下方成長された表皮(9)により取り囲まれるように皮膚への移植のすぐ後の図2のフィラメントの横断面概略図である。
【図4】d,l-ラクチドおよびグリコシドの多孔性コポリマー(PLGA)で製造された本発明の中空フィラメントの走査電子写真(SEM)である。
【図5】管を切り開くことにより露出された図4の中空フィラメントの多孔性内面の走査電子写真(SEM)である。
【図6】外側フィラメント(1)が固形PLGAで製造されており、多孔性内側フィラメント(2)が架橋されたヒアルロン酸(HAX)で製造されている図1に示される構成を有するフィラメント(10)を示しており、またHAXを含有していないPLGAで製造されたフィラメント(11)を示している光顕微鏡写真である。両フィラメントは食品着色染料で赤に着色された水滴(12)に設置されている。PLGAのみの繊維(11)は水の頂部に浮上しており、繊維の内腔にいずれの水も吸込んでおらず、他方、HAX含有PLGA繊維(10)は水を内腔に急速に吸込んで繊維を赤色にしていた。
【図7A】ネズミの震毛(ひげ)包(13)と、切除された毛包を受け入れるのに十分な大きさの内径を有するPLGA中空フィラメントとの写真である。
【図7B】毛包(13)が内腔に挿入された図7AのPLGA中空フィラメントの写真である。
【図8】PLGA中空フィラメントに含有されている新毛包の移植後30日の再成長された剃られた毛皮毛(16)の背景に対してネズミの背に成長していると観察されたネズミにひげ(15)の写真である。
【図9】PLGA中空フィラメント(19)に含有されている新生児のネズミの皮膚から得られた細胞混合物の移植後30日の皮膚の下に成長している毛包球(17)および毛幹(18)の顕微鏡写真である。
【図10】生まれたばかりの黒ネズミの表皮および真皮から得られた細胞が13日前に注射された裸のネズミから切除された皮膚の下側の同じ倍率で撮られた2つの写真の並行比較図である。パネルAは対照例の注射部位を示しており、パネルBは、注射液体が5%(w/v)のコンド路イチン-6-スルフェートを含有しており、その結果、対照例より大きく且つ数の多い毛包の新生を生じた以外、正確に同じ数の細胞を含む注射部位を示している。
【図11】生まれたばかりの黒ネズミの表皮および真皮から得られた細胞が13日前に注射された裸のネズミから切除された皮膚の下側の同じ倍率で撮られた2つの写真の並行比較図である。パネルAは図10と同じ対照例の注射部位を示しており、パネルCは、注射液体が20%(w/v)のプルロニック(登録商標)F-127界面活性剤(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー)を含有しており、その結果、対照例より大きく且つ数の多い毛包の新生を生じた以外、正確に同じ数の細胞を含む注射部位を示している。
【図12】内腔(20)が多孔性プラグ(22に取付けられた閉鎖端部(21)まで僅かにテーパ状である本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図13】細胞(24)および流体(25)を収容していて、テーパ状内腔に挿入された細いピペットチップ(23)を示している本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図14】ピペットチップ(23)から放出され、それにより細胞が内腔(21)の閉鎖端部に集中し、流体(25)が多孔性プラグ(22)に十分に吸収されている流体(25)および細胞(24)の懸濁液を示している本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図15】例10の中空フィラメント骨格と、本発明のこの実施形態を行なうための方法においてマンドレルとして使用されたものと同じ10ミクロリットルのピペットチップ(26)との写真である。シース(27)はPLGAで製造されており、球状のチップ(29)に収容された繊維素材(28)は架橋されたゼラチン/コンドロイチン-6-スルフェートのフィラメントで製造されている。木炭粒子および水のスラリーを骨格シースに挿入されたピペットチップを通して骨格に注入したときに、木炭粒子(30)が繊維骨格の近位部分に集中した。
【技術分野】
【0001】
[関連出願のクロスリファレンス]
適用なし
[米国国家支援研究または開発に関する供述]
適用なし
【背景技術】
【0002】
男性型はげ頭症はしばしば毛髪移植外科医術により治療される一般的な状態である。この手順では、はげ模様内ではない頭皮の領域からの毛包が切除され、そしてはげ模様内に再移植されてより豊かな毛髪頭のイリュージョンを生じる。この手順によると、新しい毛髪は生じられない。この手順の成果は、採取され、そしてはげ模様に再移植されることができる毛包の数により制限される。しかも、すべての外植されていない毛包が首尾よく移植されるので、この技術は、最良に利用可能であるが、かなりの欠点がある。
毛包内の基礎構造に見られる特定種類の細胞が完全な正常に機能する毛包の形成を誘発する能力を有していることは周知である。このような細胞は毛包幹細胞または毛包前駆細胞として知られている。効果的な毛髪復帰治療のための大きい市場を考慮して、毛髪増殖の目的でこれらの細胞の毛包誘発能力を利用するために多くの試みがなされてきた。従来技術に開示されているすべての案は、明らかに科学的に実行可能であるが、はげのための臨床的に且つ美容的に許容可能な新しい治療を提供する目標に達していないことがわかった。例えば、ネズミのひげからの培養された真皮乳頭細胞をちょうどネズミの耳の皮膚の下に移植し、その結果、移植部位からのひげの成長が生じた。1990年4月24日の米国特許第4,919,664号におけるR.F.オリバーおよびC.A.B.ジャホーダの「毛髪の成長の刺激」(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)を参照されたい。ドクターアンドリューメッセンジャーによる5人のボランティアの未公表の臨床研究では、ボランティアの頭皮生検から切断された毛包表皮乳頭細胞を培養した。これらの細胞を増殖し、培養フラスコの表面を覆って、フラスコの表面からこすり去ることにより取り出し、そして細胞を得た各検体における前腕の下側の皮膚における浅い切り口に植込んだ。細胞植込み部位では、新しい毛髪の成長が認められなかった。6ヵ月後、すべての部位を生検し、頭皮毛包の形成の証拠が無いことで組織学的所見は正常であった。
【0003】
より最近、T.H.バローズは、2002年2月28日の国際出願第WO02/15952号の「組織工学毛髪用の骨格」(その教示は出典を明示することによって本願明細書の開示の一部とされる)において、生物吸収性物質から製造された多孔性「骨格」に同じ種類の培養された細胞を移植する方法を述べている。この場合、後の臨床研究により、培養された細胞の移植から人の検体の皮膚における新しい毛包および毛髪の成長の誘発の初めの実証例を生じた(T.H.バローズ、S.A.コクラン、E.I.グリフィンおよびA.R.ソロモンの「人の組織人口毛髪:予備臨床結果」、TE2002:組織工学についての国際講習会、St.ガレン、スイス、24-27、2002の2月を参照せよ(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)。固形骨格構造体の存在なしに注入された細胞は毛包新生のいずれかの証拠を示すことができなかった。しかしながら、骨格との組合せでの細胞の16回の移植のうちのたった1つ移植の結果、実際に、美容的に有用な毛幹の成長が生じた。多数の細胞プラス移植片部位における毛包新生の疑わしい証拠が組織学的に言及されたが、部分的に分解された骨格破片の残留物に対する永続的な炎症性応答も無かった。この種類の外部身体応答は、毛包の形成のための有害な環境を生じるものとみなされた(K.S.ステンの「毛包の形成および毛髪の成長を所望に配向で誘発するための組成物および方法」と称する2002年4月17日の米国特許出願第10/123,984号を参照されたい(その教示は出典を明示することにより本願明細書に開示に一部とされる))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かくして、毛包前駆細胞を培養し、新しい美容的に実用的な毛包が生じられるように培養された細胞を皮膚に移植するための信頼のある再現可能な方法の満たされていない必要性が残存している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
手短に言えば、1つの面では、本発明は、元のままの毛包の構造を模倣するように構成され、且つ経皮的移植用に設計されている改良骨格である。移植片の諸部分は特定種類の細胞の接種のための支持構造体として役立ち、表皮と接触しているか或いはそこを通って突出している他の部分は表皮下方成長のための部位として役立つ。この下方成長は移植細胞と連通している漏斗状部を生じる際に有利であり、この漏斗状部もまた、新たに形成する毛髪幹の出口角度を制御する際に有用である。
他の面では、本発明は、生物適合性と所望の生物吸収率とを組合せている骨格を製造するための特定の組成物および製造方法である。これらの種類の骨格の性能特性は高首尾の毛包誘発移植片の構成に決定的に重要であり、これにより毛包新生方法を容易にするか或いは高める。
【0006】
更なる面では、本発明は毛包新生の信頼のある再現可能な開始をもたらす培養された細胞の特定の組合せである。(毛包乳頭としても知られている)培養された真皮乳頭細胞の移植は単独で予測できない非再現性の結果を生じる。ケラチン生成細胞、適切には、新生児の皮膚(例えば、幼児の包皮組織)から得られるケラチン生成細胞をも真皮乳頭細胞との組合せで移植しなければならないことがわかった。必要に応じて、高首尾の毛包新生率を向上させるために、他の種類の細胞を真皮乳頭/ケラチン生成細胞の組合せと組合せることもできる。人の胎児、胎児または幼児の頭皮皮膚、幼児の包皮、へその緒血液、大人の骨髄、筋肉、脂肪組織および皮膚に存在するものと知られている幹細胞集団から選択自由な追加の細胞を選択してもよい。
本発明の更なる面は毛包新生方法の対する或いはその向上に対する有利な効果を与える物質としてのコンドロイチン-6-スルフェートの驚くべき発見である。
【0007】
他の面では、本発明は、生物模倣毛包移植片を製造する方法、およびこの移植片に細胞を接種し、そしてそれを新しい毛幹の成長が望まれる皮膚に移植する方法である。
本発明の更なる面は、採取された毛包からの細胞を培養で増殖し、そして培養されたケラチン生成細胞または他の同種異形の細胞との組合せで生物吸収性骨格の培養に等分する毛髪増殖方法である。その結果生じた細胞接種生物模倣移植片の移植は、従来技術の方法により可能であるよりも高い毛髪復帰度をもたらす。かくして、本発明の方法は、限定されないが、特に、男性または女性型はげ頭症および多の毛髪消失状態を含めて毛髪の消失を減じたり、抑制したり、或いは治したりする。
【0008】
[定義]
ここで使用する場合、以下に挙げる語は下記の意味を有する。
「組織工学」は、人体の組織および器官の交換、治療または増高において実用性を有する細胞、生物適合性骨格、通常、生物吸収性骨格の組合せを生じる技術として定義される。
「毛包新生」は、前に何も存在していない皮膚の領域に、或いは既存の毛包に加えて或いはそれらの間に新しい毛包を形成する現象として定義される。
「生物吸収性」は、身体から排泄されるか或いはそこに代謝される非毒性の副産物の中へ身体において粉砕される得る物質の特性として定義される。
「骨格」は、生きている細胞を特定の構成で収容し且つ保持することが可能である非細胞毒の構造体として定義される。
「フィラメント」は、直径より大きい長さを有する円筒形構造体として定義される。
「繊維」は物理的集結度を有するフィラメントとして定義される。
「PLGA」はラクチドおよびグリコシドのコポリマーとして定義される。
「VEGF」血管内皮成長因子として定義される。
「EDC」は塩化N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカーボジイミドとして定義される。
「TFE」は2,2,2-トリフルオロエタノールとして定義される。
「HAX」は架橋されたヒアルロン酸として定義される。
「マンドレル」は、外面に塗布された物質の形状を保持するのに使用され、前記塗布物質から中空フィラメントを生じる方法において取り出される円筒形、テーパ状または円錐形の物体として定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態において、生物模倣毛包移植片の骨格構成要素は、一般的に骨格の一端部から他端部まで延びている内腔を構成する1つまたはそれ以上の生物吸収性ポリマーで構成された中空フィラメントである。この中空フィラメントの内壁部または外壁部は所望の用途に応じて滑らかであるか、或いは多孔性であることができる。例えば、内腔表面に一種の細胞(例えば、人の包皮ケラチン細胞)および周囲の表面結合細胞と接触状態で内腔内に位置決めされた多の種類の細胞(例えば、適切には凝集塊の形態の培養された大人の毛包乳頭細胞)を保持するために、比較的滑らかな表面を有する中空フィラメントを使用することができる。独力で比較的疎水性であってもよく、従って水性流体を吸上げることが可能でないフィラメントの中へ1つまたはそれ以上の種類の細胞の懸濁液を吸上げるために、非常に多孔性の親水性内部を有する中空のフィラメントを使用することができる。
【0010】
多孔性で親水性の内部は、よりゆっくりな生物吸収性のフィラメント壁部により含有され続けながら、フィラメントの内腔内の接種された細胞の再組織化を容易にするために、中空のフィラメントの外部より速い生物吸収率または液化率を有してもよい。さもなければ、骨格ポリマーが、内腔内部から骨格外部までの生物吸収率の変数または勾配を有してもよい。かくして、内部の、すなわち、内腔のポリマー生物吸収率が外部の或いは外部配置のポリマー生物吸収率より高い。
中空フィラメントの製造と、中空フィラメントの内部を埋めるための物質としての使用との両方に適した生物吸収性で生物適合性の物質は、臨床実施および生物医療研究に一般に使用されている様々な生物適合性の合成、天然および半合成材料のうちのいずれかから選択されることができる。中空フィラメントは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリアミノ酸、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリカプロラクタン、ポリパラ-ジオキサン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、コラーゲン、ゼラチン、血清アルブミン、蛋白質、多糖類、ムコ多糖類、炭水化物、グリコサミノグリカン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリレートエステル、ポリメタクリレートエステル、ポリビニルアルコール、および前記ポリマーのコポリマー、ブレンドおよび混合物、ならびに加水分解または分解による解放で代謝可能または排泄可能である非分解性ポリマーとブロック共重合される生物吸収性結合を有するオリゴマーを含むポリマーで構成されてもよい。成長因子、細胞結合部位部分および細胞通信分子による本発明の生物吸収性物質の表面変性、グラフト重合、共重合または混合が、改良された細胞結合および/または改良された細胞機能、凝集、または毛包新生方法の開始のために有利であることがある。
【0011】
中空フィラメントとして、或いは中空フィラメント用の充填物質としての使用に適した天然産ポリマー(またはバイオポリマーまたはバイオ物質)としては、コラーゲン、ゼラチン、セルロース誘導体、澱粉、デキストリン、チトサン、リポ蛋白質、コラーゲンおよびゼラチンの人間の組み換え型形態、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、他の血清蛋白質、多糖類、モコ多糖類、および人体に自然に生じる他のバイオポリマーがある。適当なバイオポリマーが、そのままの形態、または例えば、可溶性を減じるために毒物学的に許容可能な架橋剤による架橋によるような変性された形態で使用されることができる。充填材は、繊維、ゲルおよび多孔性構造体を含む様々な物理的形態で利用されることができる。例えば、細胞が、トロンビンへの露出で生物吸収性ゲルへ変換されることができるフィブリノゲン溶液と化合されることができる。
他の解決法は、BASF社(ニュージャージー州マウントオリーブ)から市販されているプルロニック(登録商標)F-127として知られているエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーの使用を伴う。この界面活性剤は、生きている細胞と適合性であり、臨界濃度以上で、低い温度から体温まで暖められると、ゲルを形成する。かくして、中空フィラメントを、例えば、まず、プルロニック(登録商標)F-127のアルコール溶液で処理し、その後、アルコールが蒸発されてフィラメントの内腔表面に親水性皮膜を与えることができる。次いで、細胞の懸濁液を含有するプルロニック(登録商標)F-127の低温溶液をフィラメントの内腔に吸上げるか或いは注入し、そして暖かい環境に置いてプルロニック(登録商標)F-127をゲル化し、且つ細胞がフィラメントから追い出されるのを防ぐことができる。他の生物適合性のゲル形成物質としては、コラーゲン、ゼラチン、血清アルブミン、マトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス(BDバイオサイエンス、サンジョセ、CA)、およびゲル網を形成するために共有結合反応する末端基を有する種々のポリエチレン分子がある。
【0012】
本発明の構造体のための他の使用が想像される。例えば、他の成分を添加して或いは添加せずに多数の中空フィラメントを単に束ねることによって、連続孔が延びている仕上げ製品として3次元物体を得ることが可能である。このような構造体は組織工学軟骨の分野に有用である。軟骨が本質的に血管を欠いているので、組織工学軟骨のために使用される骨格は、栄養分に容易に接近可能である内部を適当に有している。しかも、このような骨格の接種は、装置を直接通っている孔により容易化される。また、生物化学的荷重の軸線に沿って孔を配向させることによって、接種された軟骨細胞が刺激されて適切に応答し、そして生来の関節軟骨の柱状構造に組織化する。
ヒアルロン酸は組織工学用途のための有用なバイオ物質であることが知られており、組織工学軟骨のための前述の骨格用に適している。縮合剤、適切には、J.Biomed.Mater.Res.、37、243-251(1997)におけるK.トミハタおよびY.イケダの「水溶性カーボジイミドによるヒアルロン酸の架橋」(この文献の教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)により記載されているようなEDCでヒアルロン酸を自己架橋することにより適当な物質が得られる。変更例として、アカデミックプレス2002、539ないし553ページのA.アタラおよびR.P.ランザ版の組織工学方法における45章、Y.ルオ、K.R.カーカーおよびG.D.プレストウイッチによる「天然ポリマーの変性:ヒアルロン酸」(この文献の教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)に記載の方法を含む様々な解決法によりヒアルロン酸を架橋することができる。
【0013】
変更例として、フランシスコデラバレおよびオウレリオロメオによる「ヒアルロン酸のエステル」と称する米国特許第4,851,521号((この文献の教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)に記載のように、ヒアルロン酸をエステル化により本発明に使用するための不溶性物質へ変換することができる。この種類の適当な物質はヒアルロン酸のベンジルエステルである。トランスエステル化は、その結果の生成物が生体内における数日以内のエステル結合の加水分解で可溶性ヒアルロン酸に変換され戻るので、適当な架橋方法であるが、他の架橋剤および付加架橋結合形成分子を用いることもできる。限定されないが、脂肪族ジアミン、リシンのアルキルエステルのようなジアミノ酸およびアミノ末端基のポリエチレングリコールを含むアミン末端基の架橋分子も適切である。
骨格の性能を高めるためにヒアルロン酸構造への生物活性分子の共有結合を容易にするのに、ヒアルロン酸を架橋する化学的方法の多くを使用することもできる。例えば、架橋されたヒアルロン酸骨格への細胞の結合を高めるために、アミノ酸の細胞結合主配列Arg-Gly-Asp(RGD)を含有するペプチドを使用することができる。
【0014】
組織工学毛包のための骨格を製造するためのヒアルロン酸の使用において、血管を新形成毛包へ成長させるために、或いは他の有利な目的で骨格の分解中に放出されるようにして成長因子および血管形成因子を骨格に結合させることが望ましいこともある。
骨格への小さい分子の共有結合に加えて、蛋白質のような高分子量分子およびコラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンなどのような他のバイオポリマーを構造に物理的に或いは静電的に結合してより大きい物理的結合性、細胞結合容量または生物活性をもたらすことができる。ヒアルロン酸の代わりに、コンドロイチンスルフェート、ヘパリン、デルマタンスルフェート、バーシカンなどを含む多のグリコサミノグリカンを本発明において有利に使用することもできる。
組織工学毛包用の骨格を製造するための適当な物質はコンドロイチン-6-スルフェートである。毛包新生方法に対するコンドロイチン-6-スルフェートの驚くほどに有利な効果が例6に示されている。適当な組成物は、EDCで架橋され、そして例9に示されるように孔発生体としてセバシン酸粒子を使用して、或いは例10に示されるような繊維素材への変換により微孔性にされたコンドロイチン-6-スルフェートおよびゼラチンの混合物である。
【0015】
毛包の形成は表皮の細胞(すなわち、ケラチン細胞)と真皮の細胞(すなわち、真皮線維母細胞または真皮/毛包乳頭細胞)との相互作用を必要とする。やけど患者の治療に使用しりための組織工学の生きている皮膚同等物の製造に使用するための真皮および表皮細胞は、しばしば、現在のところ、人間の幼児の包皮組織(これが容易に入手可能であるので)から得られる。これらの皮膚同等物は、大きい臨床価値のものでるが、毛包を欠いている。かくして、ケラチン細胞は一般に、またはその源からのケラチン細胞は一般に、新しい毛包の形成を誘発するのに必要とされる組織人口の移植組織片の構成においていずれかの特定の価値を有するものとは考えられていなかった。クーレイおよびボーゲル(WO99/01034)(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示に一部とされる)における開示には、「好ましくは、表皮細胞は…治療されている同じ患者からのものである」が述べられている。
驚くことに、大人の頭皮からのケラチン細胞が特に信頼性ではなく、幼児の包皮からのケラチン細胞が、実際のところ、真皮乳頭細胞との組合せで毛包新生を誘発する能力においてより効果的であることが発見された。この発見の理由は知られていない(いずれかの特定の理論により束縛されたくない)が、毛包新生を開始するために表皮幹細胞、表皮ケラチン細胞の非常に小さい副次集団が必要とされ、そして幼児表皮が大人の表皮よりもこれらの細胞の豊富な源であることと思われる。従って、幼児からの幹細胞の他の源もまた有用であることができる。例えば、へその緒から得られる血液が有用な幹細胞の源であることができ、確立された器官ドナー手順下で、胎児または定着胎児幹細胞線から得られる細胞、または幼児の頭皮からの細胞が有用な源であることができる。
【0016】
本発明の表皮/真皮細胞構成体の真皮成分は、毛髪復帰治療を受ける人から得られる解離毛包から得られることができる。しかしながら、他の可能性は、器官ドナー、適切には、幼児の頭皮から細胞を得ることである。骨格に接種されるべきである細胞は、真皮乳頭、真皮鞘、マトリックスおよび内毛根鞘および外毛根鞘よりなる断片から選択された毛包断片の培養により得られることができる。変更例として、細胞は、元のままの頭皮真皮から、或いはドナーが前記細胞の受容体でもある慣例の毛髪復帰外科手順からドナーサイト組織の毛包単位解離後に残る真皮または毛包組織の断片から調整された細胞混合物から簡単に培養されることができる。
表皮細胞は、それらの出所にかかわらず、内腔内壁部に付着しているか或いは隣接しているか、さもなければその中の多孔性構造に含まれている中空フィラメントの内腔内に適当に含まれている。生物模倣移植片を受けるべきである人からの毛髪支持頭皮の試料から得られ、培養で繁殖された毛包前駆細胞は、主として、毛包の球体に対応するフィラメント内腔の近位区画に適切に含まれている。かくして、移植片は、真皮および表皮成分の両方が互いに正しい関係で存在していて、移植された細胞が移植された移植片を成長させる元のままの表皮および真皮細胞と相互作用する必要が無いと言う点で自己充足的である。これにより、新しい毛包の形成の信頼性および再現性をもたらしている。
【0017】
変更例として、真皮および表皮細胞は、必要に応じて幹細胞を追加して混合物として組み合わされ、そして移植の直前に骨格に接種されることができる。この場合、これらの細胞はその場で会合して再編成する。この細胞供給方法のための適当な骨格の構成が図12ないし図14に示されている。この実施形態では、骨格は、流体を吸収するための受容体として役立つ多孔性のスポンジ状構造を形成するように一端が閉じられた中空のフィラメントとして製造される。かくして、細胞と流体との懸濁液を中空のフィラメントの内腔に注入すると、流体は受容体の中へ吸上げられてフィラメントの閉鎖端部のところの濃縮領域への細胞の収集を引起こす。次いで、細胞を含有する骨格は、毛包移植片が慣例の毛髪復帰外科手順で移植されるのと同じ方法で皮膚の刺傷にすぐに移植される。この実施形態の骨格を製造する方法が図9に示されており、この方法は下記の工程を備えている。
【0018】
1.ピペットチップまたは他の適当な流体供給手段の遠位部分と同じ寸法を有するテーパ状マンドレルを用意する。
2.キャビティ用挿入体として工程1のマンドレルを受け入れる両端部が開放しているモールドキャビティを用意し、このキャビティはマンドレルより長く、余分の長さはマンドレル自身の体積にほぼ等しい空隙容積部を生じる。
3.溶媒Bに溶解された生物吸収性物質と、溶媒Bにではなく溶媒Dに可溶である孔発生粒子Cとの混合物を用意する。
4.工程2のキャビティに工程3の混合物を充填し、そして工程1のマンドレルを挿入する。
5.溶媒Bを除去し、成形品をモールドキャビティから取り出す。
6.工程5の成形品を溶媒Dに入れて孔発生粒子を除去する。
7.工程6の成形品を溶媒Fに溶解された架橋剤Eの溶液に入れる。
8.新鮮な溶媒Fまたは他の適当な溶媒でゆすぎ洗いし、その結果生じた骨格を乾燥する。
9.必要に応じて、工程8の骨格を水溶性物質Gの水溶液で再水和し、そして水を蒸発させて保護皮膜を生じる。
10.溶媒I中の生物吸収性物質Hの溶液を調製する。
11.工程9の骨格を工程10の溶液で被覆し、そして溶媒Iを蒸発させる。
12.骨格を水に漬けて新鮮な水でゆすぎ、そして水を蒸発させることにより物質Gの保護皮膜を除去する。
【0019】
前記工程を含む適切な方法では、Aはコンドロイチン-6-スルフェートおよびゼラチンの混合物であり、Bは水であり、Cは63ミクロン未満のセバシン酸劉氏であり、Dはアセトンであり、EはEDCであり、Fはアセトン対水の9:1の容量比の混合物である。
例10に示された実施形態を行うための前記方法の変更例は下記の工程を備えている。
1.尖った先端を設けるように先端部が僅かに延長されている以外は、ピペットチップまたは他の適当な流体供給手段の遠位部分と同じ寸法を有するテーパ状マンドレルを用意する。
2.工程1のマンドレルを水溶性ポリマーAで被覆する。
3.流体中の細胞の懸濁液から細胞を分離するのに適当である浸透性で生物吸収性の濾過物質Bを工程1のマンドレルの先端部に付着させる。この濾過物質は溶媒Dに可溶な除去可能な保護皮膜Cに実質的に収納されている。
4.マンドレル全体および前記濾過物質を溶媒Fに溶解された生物吸収性のフィルム形成ポリマーEでえ被覆する。
5.工程4の溶媒Fを除去して工程3のマンドレルおよび付着先端部を覆う生物吸収性ポリマーフィルムの連続層を生じる。
6.マンドレルへの付着箇所に対して遠位の濾過物質を覆う工程5のフィルムの小さい区分を除去することにより工程5のフィルムに開口部を生じる。
7.工程6の生成物を水の漬けることによりポリマーAを実質的に除去する。
8.溶媒Dに漬けることにより保護皮膜材Cを実質的に除去する。
9.生成物からマンドレルを除去し、そして必要に応じて、工程7および8を継続して物質A、Cを完全に除去する。
【0020】
前記方法の適当な実施形態では、Aは界面活性剤、例えば、プルロニック(登録商標)F-127であり、Bはコンドロイチン-6-スルフェートおよび架橋ゼラチンの混合物で構成された繊維素材であり、Cはカラメル化蔗糖であり、Dは水であり、EはPLGAであり、Fはジクロロメタンである。
両端部が開放している本発明の長い中空のフィラメント骨格を製造する適当な方法は、種々の成分が付着されていて、後に溶解により除去されるマンドレルとしてのナイロンモノフィラメントの使用を伴う。バイオ物質外皮を損傷することなしに除去されることができる他の物質から製造された繊維もまたこの方法に有用であると思われる。変更例として、中空フィラメントの溶融押出しが、本発明の中空フィラメントを生じるのに使用されることもできる証明された技術である。
【0021】
本発明の方法では、まず、微細ナイロン繊維を粒子で被覆して粘性溶液の形態の生物吸収性物質の塗布物が繊維に付着するようにする。これらの粒子は、ナイロンまたはポリスチレンのような多のポリマーの溶液を使用してナイロン繊維に塗布されたり、付着されたり、或いは結合されたりする。ナイロン(または他のポリマー)粒子は微細ナイロン繊維にしっかり附着し、そして粘性の水溶液、例えば、ヒアルロン酸溶液による繊維のその後の被覆を助成し、そうでなければ、ナイロン表面に密着しない。粒子として使用するための適当な物質は、水(ヒアルロン酸用の溶媒)およびTFE(ナイロン用の溶媒)に実質的に不溶であるが、アセトン(ヒアルロン酸およびナイロン用の非溶媒)に自由に可溶であるセバシン酸である。また、粒子は、これらを除去すると、結果的に生じた中空のフィラメントに多孔性の内腔表面を与えるのに役立つ。被覆された生物吸収性物質を硬化したり、架橋したり、さもなければ、水の不溶性にしたりした後、ナイロンおよびナイロンに付着された粒子を適切な溶媒で除去する。望むなら、次いで、異なる生物吸収性物質の追加の皮膜を付けてもよい。方法のこの段階では、ナイロンおよびナイロン結合粒子が除去された状態で、この第2物質を塗布するために広い選択範囲の溶媒を使用することができる。適当な第2物質はラクチドとグリコリドとのコポリマー(以後、PLGAと称する)であり、それにより、この方法では、HAX内部およびPLGA外部を有する中空フィラメントを生じる。
【0022】
以上から、この方法の詳細な工程は下記の如くである。
1.水溶性物質Wを用意する。
2.溶媒Aに可溶である物質Xの繊維を用意する。
3.溶媒Bに可溶である生物吸収性物質Yを用意する。
4.溶媒Cに可溶である粒子Pを用意する。
5.溶媒Dに可溶である生物吸収性物質Zを用意する。
6.溶媒Nに可溶であるポリマーMを用意する。
7.溶媒Nに可溶であるポリマーMの溶液を調製する。
8.工程7の溶液で工程2の繊維を被覆する。
9.工程8の被覆繊維に工程4の粒子Pを被覆し、そして溶媒Nを蒸発させ、それにより前記粒子を前記繊維に接合する。
10.溶媒B中の物質Yの溶液を調製する。
11.工程9の粒子被覆繊維に工程10の溶液を被覆し、そして溶媒Bを蒸発させる。
12.物質Yが水溶性であれば、物質Yを架橋により水溶性にする。
13.溶媒Nによる溶解およびゆすぎにより工程12の被覆繊維からポリマーMを除去する。
14.溶媒Cによる溶解およびゆすぎにより工程13の被覆繊維から粒子Pを除去する。
15.溶媒Aによる溶解およびゆすぎにより工程14の被覆繊維から繊維XPを除去する。
16.物質Wの水溶液を調製する。
17.必要なら、工程16の溶液の保護皮膜を工程15のフィラメントに付け、そして水を蒸発させる。
18.溶媒D中の生物吸収性物質Zの溶液を調製する。
19.工程18の溶液で工程17の繊維を被覆し、そして溶媒Dを蒸発させる。
20.フィラメントを水に漬けることにより物質Wの保護皮膜を除去し、新鮮な水でゆすぎ、そしてフィラメントを乾燥させる。
21.フィラメントを適切な長さに切断し、そして殺菌する。
22.適切な量の適切な流体中の細胞の懸濁液をフィラメントの内腔に吸い入れることにより適切な細胞をフィラメントに接種する。
23.必要に応じて、フィラメントの一端への挿入により追加の細胞構成体をフィラメントに充填する。
24.毛幹の成長が望まれる皮膚に切り口を形成し、工程22または23のフィラメントを切り口に植込んで端部が皮膚に植込まれた細胞構成体を含有し、且つ遠位端部が皮膚の上方に経皮敵に延びている状態にする。
【0023】
以上の工程を含む適当な方法では、Wはカラメル化蔗糖であり、Xはナイロンであり、AはTFEであり、Yはヒアルロン酸(ナトリウム塩)であり、Bは水であり、Pはセバシン酸(粒径が10ないし500ミクロン、好ましくは50ないし200ミクロン)であり、ZはPLGAであり、DおよびNはジクロロメタンであり、Mはポリスチレンであり、Cはアセトンである。PLGAに多孔性を与えたければ、DはグリコールおよびTFEの溶液として特定されることができる。TFEの蒸発で、PLGAおよびグリコール相は同相エマルジョンに分離する。水への溶解によるグリコールの除去により、残留PLGA皮膜に微孔性構造を与える。
軟骨組織加工用途に使用するための骨格を製造するために、工程10の追加の被覆溶液を接着剤として使用して、前記工程IIの多数の繊維を他の成分の添加なしで束ねることができる。マンドレル繊維を溶解する前に、束を切断してディスクとし、繊維を溶解し且つ処理工程を完成した後、これらのディスクから、所望の製品を構成することができる。
【0024】
例
例1. PLGAは移植された毛包の生存および毛髪の成長を損なわない。
CCAプラックバイオケムbv、ゴリンケミ、オランダ(クロロホルム中の内部粘度1.06dl/gのプラソーブ(登録商標)PLGA)からd,l-ラクチドおよびグリコシド(52:48)のコポリマーを得、これをジクロロメタンに溶解した(10%w/v)。蔗糖を溶解し、カラメル化されるまで加熱し、そして所望サイズのフィラメントが溶融物から引き出されることができるまで、この蔗糖を冷却した。これらのフィラメントを固化するまで冷却し、次いですぐに粉末状塩化ナトリウムで覆われた表面に設置して粘着性になるのを防いだ。粉末状の塩被覆されたカラメル化蔗糖のフィラメントにPLGA溶液を被覆することにより中空フィラメントを調製した。ジクロロメタンを蒸発させ、蔗糖および塩を溶解し、そして被覆されたフィラメントを水に入れることにより蔗糖および塩を除去した。認可されたLACUC下でマーサー大学(アトランタ、GA)において安楽死されたC57B16ネズミ(チャールスリバー)から震毛(ひげ)包を切除した。切除された震毛を同一遺伝子のネズミの剃られた背皮膚における斜めの切り口に再植込みした。次いで、切除された毛包がまず挿入され、ポリマーにより完全に取り囲まれるように(図7)中空のPLGAフィラメントの内腔にぴったり嵌め込んだ状態で、この手順を繰返した。30日後、植込み済みのネズミを安楽死させ、皮膚を切除し、ボール紙の矩形体上に伸ばし、ホルマリン中に固定し、そして光顕微鏡による分析のためにパラフィン埋込み、分断およびH&E色付けの常套方法により処理した。
30日後、8つの対照例の毛包移植片のうちの7つは成長している震毛の毛幹であるとわかった。また、3つのPLGA/毛包移植片のうちの2つは同様に成長している毛条であるとわかった(図8)。組織学はPLGAにシース被覆して或いはシース被覆することなしに再生移植された毛包にいずれの異常を現さなかった。
【0025】
例2.微孔性PLGA中空フィラメントの調製
TFE(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)中のグリセロール(グリセリンU.S.P.)およびPLGA(レサマー(登録商標)RG504、ボーリンガーインゲルへイン、ドイツ)の溶液をグリセロール対PLGAの比が80:20(w/w)であるように調製した。この溶液を(例1に記載にように調製された)カラメル化蔗糖フィラメントに、乾燥のために被膜間に時間を割り当てて数層に被覆した。TFE、すなわち、グリセロールおよびPLGA用の溶媒の蒸発により、グリセロールがもはや混和性のままではなくなるまで溶質の濃度を高めた。PLGA/TFEからのグリセロールの相分離の結果、同相エマルジョンが形成された。次いで、被覆されたフィラメントを水に入れて蔗糖およびグリセロールならびにいずれの残留TFEをも急速に溶解し、そのときに微孔性のPLGAから浸出させた。その結果の多孔性の中空フィラメントを水でゆすぎ、そしてデシケーターで完全に乾燥させた。乾燥PLGA中空フィラメントの多孔性構造が図4および図5に示されたSEM写真に示されている。
【0026】
例3.親水性のPLGA中空フィラメントの調製
無水エタノール中のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーであるほぼ5%(w/v)プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤(シグマケミカル社、セントロイス、MO)の溶液を穏やかな加熱で調製した。例1に記載のように、PLGAの中空フィラメントを調整した。プルロニック(登録商標)F-127の透明無色の溶液をPLGAフィラメントのうちの1つに吸込み、エタノールを完全に蒸発させた。赤の食品着色染料の液滴をガラス板に設置した。長さ15mmのプルロニック(登録商標)F-127処理PLGA中空フィラメントおよび長さ15mmの同じ直径の未処理の対照例フィラメントを、各フィラメントの一端を液体の表面に触れさせることにより、染料と接触させた。プルロニック(登録商標)F-127処理フィラメントはその全長を通して染料水溶液を急速に吸上げたが、未処理のフィラメントはその長さの4mmまで染料をゆっくり吸上げただけであった。
【0027】
例4.PLGA被覆HAXフィラメント
セバシン酸(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)を乳鉢および乳棒により粉砕し、篩にかけて大きさが63ミクロンより大きく212ミクロンより小さい粒子を得た。長さ1mの微細モノフィラメントナイロン繊維(直径0.0076cm(0.003インチ)、シェ‐クスピアーモノフィラメントディビジョン、コロンビア、SC)をTFE中ナイロンの溶液(10%w/v)で被覆し、そして直ぐに、繊維を溶液収容ピペットに、次いでピペット先端部の出口に設置されたセバシン酸粒子の積重体に引き通すことによりセバシン酸粒子で覆った。この繊維を一端で吊り下げ、そして垂直位置に垂らした。180gのヒアルロン酸ナトリウム粉末(分子量1,400,000、ライフコア、無い尾メディカルチャスカ、MN)と10mlの水とを組合せることによりヒアルロン酸ナトリウム塩の溶液を製造し、これを水和し、室温で夜通し溶解した。この溶液をよく混合し、次いでゼリー状液体の一滴を手で繊維に下らせることにより繊維に被覆した。ヒアルロン酸塩溶液の薄い被膜を乾燥し、次いで2つの追加の被膜を、乾燥のために両者間に時間を割り当てて付けた。次いで、繊維をほぼ4cmの長さに切断し、10%(v/v)の水を含有するアセトン中に0.2%(w/v)のN,N'-イソプロピルエチルアミノカーボジイミド(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を収容したバイアルに入れた。室温で3時間後、溶液をデカントし、純粋なアセトンで置換した。アセトンをデカントし、残留アセトンを蒸発により除去した。次いで、バイアルにTFE(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)を充填し、そしてバイアルを室温で夜通し放置した。TFEをデカントし、新鮮なTFEで置換し、数時間後、これをデカントし、アセトンで置換した。アセトンをデカントし、そして残留アセトンを蒸発により除去してHAXフィラメントを生じた。
【0028】
蔗糖を、溶融され且つカラメル化されるまで、試験管において攪拌しながら裸火上で加熱した。暗褐色の溶融物を移し出して固化させた。これを水に溶解することにより(ほぼ20%w/v)シロップを調製した。乾燥HAXフィラメントをシロップに入れ、それでフィラメントは液体を急速に吸収し、直径が著しく大きくなった。これらのフィラメントをシロップから取出して部分的に乾燥させた。次いで、これらのフィラメントを塩化ナトリウム(<64ミクロン)で被覆し、そしてデシケーターに入れて夜通し乾燥させた。これらの剛性の脆い琥珀着色されたフィラメントをジクロロメタン(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI))中のPLGA(クロロホルム中の内部粘度1.06dl/gのプラソーブ(登録商標)PDLG、CCAプラックバイオケムbv、ゴリンケミ、オランダ)の10%(w/v)溶液に漬け、溶媒を蒸発させた。次いで、琥珀色の消失により立証されるように蔗糖および塩が溶解されるまで、被覆されたフィラメントを水に漬けた。次いで、フィラメントをデシケーターに戻し、完全に乾燥させた。HAXを含有していないPLGAの対照例の中空フィラメントを例1の方法により調製した。
水生流体を吸上げるこれらのフィラメントの能力を、赤色食品着色染料を含有する水の液滴に一端を漬けることにより試験した。赤色着色された水はHAXを含有するフィラメントの内腔に急速に侵入し、この内腔を完全に満たし、それによりフィラメントに赤色を与えた。しかしながら、HAXを含有していないフィラメントは水を吸上げなく、撥水性であり、水の表面に浮遊された。
【0029】
例5.PLGA中空フィラメント骨格に収容されたネズミの細胞からの生体内の毛包新生および毛幹成長
先にのべたように(S.Mプロウティ、L.ローレンス等(1996)の「人間の一般的な青色母斑と類似するネズミの皮膚病斑の線維母細胞依存性誘発」、AmJPathol、148(6):1871−85(その教示は出典の明示することにより本願明細書の開示に一部とされる))、生まれたばかりのネズミの子供から表皮および真皮細胞を分離した。公表された手順からの2つの逸脱点は、新生児ネズミの皮膚の真皮から表皮の分離を容易にすべくC57/B16ネズミの使用(チャールスリバー研究所)およびトリプシンではなくディスペース(ギブコ)の使用であった。細胞、すなわち、真皮および表皮の両固体群が別々に分離されたら、それらの細胞を、真皮細胞対表皮芽としても知られている表皮細胞の比が100:1であるように再混合した。次いで、この細胞混合体を900rpmで5分間、回転させた。その結果生じたペレットをPBSに再懸濁して1mlあたり少なくとも計10,000,000個の細胞の細胞濃度を得、そして繊維を細胞懸濁液に単に入れることにより、例1で論述した方法により調製されたPLGA中空フィラメントにすばやく装填した。次いで、19ゲージの皮下注射針を皮膚に刺し、開放斜面の半分が露出されるまで針を抜き、中空フィラメント移植片を開口部に挿入し、次いでフィラメントを皮膚の下に押しながら、針を完全に抜き取ることにより、これらの細胞接種フィラメントを裸(Nu/Nu)のネズミの背皮膚の下に移植した。移植後3週間で、ネズミを解剖し、皮膚を切除した。フィラメント移植部位における皮膚の皮下側のPLGA骨格物質と関連された毛包状構造および毛幹が認められた。図9に示すように、良好に形成された毛包球および長い毛幹がこの写真でわかる。骨格物質は、これが無色で部分的に分解されるので、目に見え難い。
【0030】
例6.細胞懸濁液中の添加剤としてのコンドロイチン-6-スルフェートの使用
例5に記載の方法を利用して裸のネズミへの注射に先立って細胞の懸濁液に添加された可溶性物質の数を評価した。同じネズミに位置されている対照例および試験例の物質注射部位の両方に正確に同じ数の各細胞の種類を注射した。図10に示すように、細胞に注射後3日で皮下空間に形成された毛包は、初めの5%の濃度のコンドロイチン-6-スルフェート(シグマケミカル社、セントルイス、MO)の存在下で正確に同じ倍率ではっきり大きかった。
【0031】
例7.細胞懸濁液中の添加剤としてのプルロニック(登録商標)F-127の使用
コンドロイチン-6-スルフェートの代わりに20%プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を使用して例6の実験を繰返した。図11に示すように、細胞の注射後13日で皮下空間に形成された毛包は、プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤が注射された流体中に存在しない場合の対照例の注射部位における毛包よりも同じ倍率ではっきり大きかった。
【0032】
例8.架橋されたゼラチン中空フィラメントの調製
豚の皮膚ゼラチン(300鮮度、シグマケミカル社、セントルイス、MO)を温水に溶解して5%(w/v)溶液を得た。この溶液を例4で述べたようにセバシン酸で覆われた微細のナイロンフィラメントに塗布した。乾燥するために被膜のための塗布間に時間を割り当てて幾つかの被膜を付けた。次いで、繊維をほぼ4cmの長さに切断し、10%(v/v)水を含有するアセトン中に0.2%(w/v)のEDC(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を収容したバイアルに入れた。室温で3時間後、溶液をデカントし、純粋のアセトンで置換した。アセトンをデカントし、残留アセトンを蒸発により除去した。次いで、バイアルにTFE(アルドリッチケミカル社、ミルウォーキー、WI)を充填し、バイアルを室温で夜通し放置した。TFEをデカントし、新鮮なTFEで置換し、数時間後、これをデカントし、アセトンで置換した。アセトンをデカントし、残留アセトンを蒸発により除去して水溶性ゼラチン中空フィラメントを生じた。
【0033】
例9.架橋されたコンドロイチン-6-スルフェート/ゼラチン骨格の調製
セバシン酸(シグマケミカル社、セントルイス、MO)を乳鉢および乳棒で粉砕して63ミクロンシーブを通る粒子にした。使い捨ての10ミクロリットルのピペットチップ(エペンドルフepTIPS(登録商標)、ブリンクマンインストルメント、ウエストバリー、NY)を3つの等しい部片に切断した。近位に部片を廃棄し、中間の部片にセバシン酸粉末を充填した。コンドロイチン-6-スルフェート(80mg)および豚の皮膚ゼラチン(80mg)を20mlの温水に溶解した。この溶液を、セバンシン酸が充填されたピペットチップ部分の大きい開口部にちょうど嵌るステンレス鋼管を備えた注射器に装填した。次いで、この溶液を充填されたセバシン酸に注入して、流体が充填物を通って移動されるときに空気が粉末から追い出されるようにした。次いで、ピペットチップから切断された遠位部片を充填された部片に挿入した。開放端部から押出された過剰のペーストを取り去った。
これらの組み付けられた部片をデシケーターに夜通し貯蔵することにより完全に乾燥した。次いで、これらの部片を9:1(v/v)のアセトンおよび水中のEDCの0.2%(w/v)溶液に入れた。約1時間後、ピペットチップの2つの部片を穏やかに引き離し、成形された製品を取り出し、更に3時間、EDC溶液に戻し、そこで架橋された骨格を純粋なアセトンに1時間浸し、次いで乾燥させた。
【0034】
例10.PLGAおよび架橋されたゼラチン/コンドロイチン-6-スルフェートフィラメントのピペットチップシース骨格
コンドロイチン-6-スルフェートおよび豚の皮膚ゼラチン(各々100mg)を2.0mlの脱イオン化温水に溶解し、26ゲージ針を通して、上昇された溜め部からビーカーの中へ流れているアセトンが充填されたシリコーンゴム管にゆっくり注入した。その結果生じた微細の白色フィラメントを収集し、9:1(v/v)のアセトンおよび水中のEDCの0.2%(w/v)溶液に約4時間入れた。次いで、これらのフィラメントを純粋のアセトンでゆすぎ、乾燥させた。水中の30%(w/v)カラメル化蔗糖の溶液を乾燥フィラメントに添加し、フィラメントが完全に飽和されるまで浸した。飽和された繊維素材の束を内径1.0mmのテフロン(登録商標)管に入れ、デシカーターで完全に乾燥させた。褐色の蔗糖収容フィラメント円筒体を管から取り出し、エペンドルフピペットチップ(10ミクロリットルのepTIPS、ブリンクマンインストルメント社、米国)の端部を通ってちょうど突出している30ゲージの針の先端部に取り付けた。蔗糖収容フィラメントが取付けられたピペットチップをジクロロメタン中のプルロニック(登録商標)F-127の30%(w/v)溶液に漬け、乾燥させ、次いでジクロロメタン中のPLGAの15%(w/v)溶液に漬け、チップを下方に吊るして乾燥させた。乾燥されたPLGAの遠位端部をはさみで切り離し、ピペットチップ全体を水に入れた。数分後、PLGAフィルムを水和プルロニック(登録商標)F-127界面活性剤被膜によりピペットチップから容易にすべり去らした。その結果生じた骨格をカラメル化蔗糖の褐色すべてが消えるまで更に浸した。
濾過媒体として、従って毛包誘導細胞を収集して移植する手段として機能するPLGAシースに収容された繊維材の能力を試験するために、木炭粒子(100ないし400メッシュ、ノリットCAI活性化木炭、シグマケミカル社、セントロイス、MO)の水中スラリーを10ミクロリットルピペットチップに吸入し、チップをPLGA骨格シースに挿入し、そしてスラリーをピペットから骨格の端部を通して取り出した。図15に示すように、木炭粒子は、水が通るときにこれらの粒子が収集された繊維材の近位端部においてはっきり目に見えた。
【0035】
例11.組織工学軟骨用の結束中空フィラメントHAX骨格
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量1.4×106ドルトン、製品第80081、ライフコアバイオメディカル社、チャスカ、MN55318)を脱イオン化水に溶解し、透析管に入れ、脱イオン化水100mlあたり1グラムでカチオン交換セルロース(BIO-RADラボラトリーズ社、ヘラクレス、CAから販売されているドウェックスAG50W-X4)に対して透析し、そして4℃で2日間、磁気棒により攪拌した。この溶液を透析管から取り出し、凍結乾燥させて綿毛状の白色固体を得、これを脱イオン化水に再溶解して3.4%(w/v)のヒアルロン酸を含有する粘性の溶液を得た。
ナイロンモノフィラメント糸(直径0.0076cm(0.003インチ)、SN-38ワンダースレッド(登録商標)、シェ‐クスピアーモノフィラメントディビジョン、コロンビア、SC)を3mの長さに曳き、そして球の一部を切り離して繊維を使い捨て移送ピペット(cat.第231、サンコサイエンティフィック社、サンフランシスコ、CA)に通し、ジクロロメタン中のほぼ5%(w/v)のポリスチレンの溶液中のセバシン酸粉末(<63ミクロン)のスラリーで被覆し、この被覆は、このスラリーを球開口部を通してピペットに注入し、次いでピペットチップが一様なスラリー分散のためのオリフィスとして作用するようにピペットを繊維の長さだけ下げることによって行なわれた。ジクロロメタンを蒸発させると、被覆された繊維は色が全くの白色であり、未被覆の繊維よりも著しく粗い感触を有していた。次いで、前記のヒアルロン酸溶液を同様にして被覆繊維に塗布した。ヒアルロン酸の各被膜の塗布間でほぼ1時間の乾燥時間で5つの被膜が付けられた。次いで、これらの繊維を注意深くコイル巻きし、10%(v/v)の脱イオン化水を含有するアセトン中のEDCの0.2%(w/v)溶液を収容した覆われた皿に入れ、そしてこの液体に入れながら夜通し浸した。次いで、これらの繊維を純粋のアセトンでゆすぎ、そして再び曳き、この時間はほぼ10本の繊維を1つの連続したトウに束ねた。このトウを、ヒアルロン酸溶液により手で被覆し、すなわち、3本の指の接合部に形成された隙間にトウを位置させた状態で一方の手の親指と初めの2本の指との間に少量の粘性溶液を保持し、そして手をトウの長さだけ下げることによって被覆した。各塗布間で乾燥のために時間を割り当てて幾つかの被膜を付けた。次いで、被覆されたトウをコイル巻きし、前述のようにRDC溶液の覆われた皿に入れ、夜通し浸した。次いで、このトウを純粋なアセトンでゆすぎ、乾燥させた。
【0036】
このトウを4cmの長さに切断し、各部片を十分な量のヒアルロン酸溶液で被覆した。被覆された部片を束ね、次いで個々のループを束のまわりに結ぶことにより直径0.0228cm(0.009インチ)のナイロンモノフィラメント(シェークスピア)で縛った。各ループを締めて結ぶと、過剰のヒアルロン酸溶液が束から押出され、次いでこの束を一端で吊るして乾燥させた。過剰の溶液が端部から垂れ去り、1日後、束は硬い軽量な複合体であった。次いで、この束をレザー刃で直径3mmのディスクに切断し、これらのディスクを新しいバッチの前述のEDC溶液に夜通し入れてヒアルロン酸を架橋し、且つ他の夜通し期間、セバシン酸をジクロロメタンに溶解してポリスチレンの溶解を終了した。次いで、これらをTFEに入れてナイロンを溶解した。1時間後、TFEを新鮮なTFEで置換し、ディスクを夜通しこのTFEに浸した。次いで、これらを新鮮なTFEで、次いでアセトンでゆすぎ、乾燥させた。乾燥ディスクをグルタルアルデヒド(フィッシャーサイエンティフィック社、フェアローン、NJ)から販売されているアクロス第41096-5000)の50%水溶液に入れ、そしてジャーナルオブバイオメディカルレサーチ、47巻、79ないし84ページ(1999)におけるM.Hu、E.E.サベルマン、S.Lai、E.K.ティメク、F.ザング、V.R.ヘンツおよびW.C.リニアウィーバーによる「ヒアルロンストランドへの線維母細胞の付着を改良するポリペプチド再表面処理方法」(その教示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)に薦められているように、室温で72時間浸した。この処理はEDC架橋HAXを組織工学軟骨用途に良く適したゆっくり分解する物質へ変換した。グルラルアルデヒドからディスクを取り出すと、これらのディスクを脱イオン化水で数回ゆすぎ、次いで水に夜通し浸した。次いで、これらのディスクを再びゆすぎ、細胞接種/生物反応研究用に使用する前に消毒剤としての70%(v/v)イソプロパノール/水溶液に入れた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】生物吸収性ポリマーの固形外側フィラメント(1)と、同じまたは異なる生物吸収性ポリマーの多孔性内側フィラメント(2)と、中央の内腔(3)とを示している本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図2】細胞懸濁液をフィラメントの内腔に吸い入れることによって多孔性内側フィラメントに接種された細胞(4)(例えば、ケラチン生成細胞)と、フィラメントの開放端部に機械的に押し入れることによりフィラメントの内腔に接種された細胞集団(5)(例えば、培養された真皮乳頭細胞または毛包断片)とを示す図1の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図3】近位端部(6)が真皮(7)にあり、遠位端部(8)が下方成長された表皮(9)により取り囲まれるように皮膚への移植のすぐ後の図2のフィラメントの横断面概略図である。
【図4】d,l-ラクチドおよびグリコシドの多孔性コポリマー(PLGA)で製造された本発明の中空フィラメントの走査電子写真(SEM)である。
【図5】管を切り開くことにより露出された図4の中空フィラメントの多孔性内面の走査電子写真(SEM)である。
【図6】外側フィラメント(1)が固形PLGAで製造されており、多孔性内側フィラメント(2)が架橋されたヒアルロン酸(HAX)で製造されている図1に示される構成を有するフィラメント(10)を示しており、またHAXを含有していないPLGAで製造されたフィラメント(11)を示している光顕微鏡写真である。両フィラメントは食品着色染料で赤に着色された水滴(12)に設置されている。PLGAのみの繊維(11)は水の頂部に浮上しており、繊維の内腔にいずれの水も吸込んでおらず、他方、HAX含有PLGA繊維(10)は水を内腔に急速に吸込んで繊維を赤色にしていた。
【図7A】ネズミの震毛(ひげ)包(13)と、切除された毛包を受け入れるのに十分な大きさの内径を有するPLGA中空フィラメントとの写真である。
【図7B】毛包(13)が内腔に挿入された図7AのPLGA中空フィラメントの写真である。
【図8】PLGA中空フィラメントに含有されている新毛包の移植後30日の再成長された剃られた毛皮毛(16)の背景に対してネズミの背に成長していると観察されたネズミにひげ(15)の写真である。
【図9】PLGA中空フィラメント(19)に含有されている新生児のネズミの皮膚から得られた細胞混合物の移植後30日の皮膚の下に成長している毛包球(17)および毛幹(18)の顕微鏡写真である。
【図10】生まれたばかりの黒ネズミの表皮および真皮から得られた細胞が13日前に注射された裸のネズミから切除された皮膚の下側の同じ倍率で撮られた2つの写真の並行比較図である。パネルAは対照例の注射部位を示しており、パネルBは、注射液体が5%(w/v)のコンド路イチン-6-スルフェートを含有しており、その結果、対照例より大きく且つ数の多い毛包の新生を生じた以外、正確に同じ数の細胞を含む注射部位を示している。
【図11】生まれたばかりの黒ネズミの表皮および真皮から得られた細胞が13日前に注射された裸のネズミから切除された皮膚の下側の同じ倍率で撮られた2つの写真の並行比較図である。パネルAは図10と同じ対照例の注射部位を示しており、パネルCは、注射液体が20%(w/v)のプルロニック(登録商標)F-127界面活性剤(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー)を含有しており、その結果、対照例より大きく且つ数の多い毛包の新生を生じた以外、正確に同じ数の細胞を含む注射部位を示している。
【図12】内腔(20)が多孔性プラグ(22に取付けられた閉鎖端部(21)まで僅かにテーパ状である本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図13】細胞(24)および流体(25)を収容していて、テーパ状内腔に挿入された細いピペットチップ(23)を示している本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図14】ピペットチップ(23)から放出され、それにより細胞が内腔(21)の閉鎖端部に集中し、流体(25)が多孔性プラグ(22)に十分に吸収されている流体(25)および細胞(24)の懸濁液を示している本発明の中空フィラメントの横断面概略図である。
【図15】例10の中空フィラメント骨格と、本発明のこの実施形態を行なうための方法においてマンドレルとして使用されたものと同じ10ミクロリットルのピペットチップ(26)との写真である。シース(27)はPLGAで製造されており、球状のチップ(29)に収容された繊維素材(28)は架橋されたゼラチン/コンドロイチン-6-スルフェートのフィラメントで製造されている。木炭粒子および水のスラリーを骨格シースに挿入されたピペットチップを通して骨格に注入したときに、木炭粒子(30)が繊維骨格の近位部分に集中した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔を構成するフィラメントを備えており、組織工学に使用するようになっている生物吸収性構造体。
【請求項2】
毛包の組織工学に使用するようになっている請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
束が、骨、軟骨および骨軟骨細胞よりなる群から選択された組織工学用途に使用するようになっている請求項1に記載の束ねられた複数の構造体。
【請求項4】
フィラメントが内層および外層を備えており、内層は内腔を構成する内面を有している、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリアミノ酸、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリカプロラクタン、ポリパラ-ジオキサン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、コラーゲン、ゼラチン、血清アルブミン、蛋白質、多糖類、ムコ多糖類、炭水化物、グリコサミノグリカン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および前記生物吸収性物質のコポリマー、ブレンドおよび混合物、ならびに加水分解または分解による解放で代謝可能または排泄可能である非分解性ポリマーとブロック共重合される生物吸収性結合を有するオリゴマーよりなる群から選択された1つまたはそれ以上の生物吸収性物質で構成されている請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記外層は実質的に非多孔性であり、前記内層は多孔性である、請求項4に記載の構造体。
【請求項7】
前記内層は、コラーゲン、ゼラチン、セルロース誘導体、澱粉、デキストリン、キトーサン、リポ蛋白質、コンドロイチン-6-スルフェート、コラーゲンおよびゼラチンの人間の組み換え型形態、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、血清蛋白質、多糖類、モコ多糖類、人体に自然に生じる天然バイオポリマー、および前記バイオ物質のコポリマーおよび混合物およびそれらの架橋誘導体よりなる群から選択されたバイオ物質で構成されている、請求項4に記載の構造体。
【請求項8】
前記外層はラクチドおよびグリコシドのコポリマーで構成されており、前記内層は架橋されたヒアルロン酸およびコンドロイチン-6-スルフェートよりなる群から選択された生物吸収性物質で構成されている、請求項4に記載の構造体。
【請求項9】
a.第1生物吸収性物質および孔発生体よりなる成形構造体を調整する工程と、
b.工程aの成形構造体から孔発生体を除去する工程と、
c.生物吸収性物質を架橋する工程と、
d.構造体を第2生物吸収性物質で被覆する工程と、
を備えている請求項4に記載の生物吸収性構造体を製造するための方法。
【請求項10】
第1生物吸収性物質はコンドロイチン-6-スルフェートおよびゼラチンの咬合物よりなり、孔発生体はセバシン酸粒子よりなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項2の構造体を備えている毛包の成長を誘発するための移植片であって、フィラメントは、毛包断片から得られる細胞、真皮乳頭細胞、真皮鞘細胞、マトリックス細胞、内毛根鞘および外毛根鞘、大人または幼児を源とする表皮細胞、大人または幼児源の真皮細胞、胎児から得られる幹細胞、へその緒血液細胞、骨髄細胞、脂肪組織細胞、筋肉細胞、皮膚細胞および前記細胞の任意の組合せよりなる群から選択された細胞が接種されている、移植片。
【請求項12】
前記細胞は前記フィラメントに接種される前に培養で増殖されている、請求項11に記載の移植片。
【請求項13】
前記表皮細胞はフィラメントの内腔の壁部に接種されており、毛包細胞は前記フィラメントの一端に挿入されている、請求項11に記載の移植片。
【請求項14】
前記毛包細胞は真皮乳頭細胞よりなる、請求項13に記載の移植片。
【請求項15】
前記表皮細胞はフィラメントの内腔に接種されており、培養された乳頭細胞の集団が前記フィラメントの内腔の一端に挿入されている、請求項14に記載の移植片。
【請求項16】
a.頭皮毛包細胞を得る工程と、
b.数を増やすために毛包細胞を培養する工程と、
c.請求項2による構造体を用意する工程と、
d.前記構造体に表皮細胞を接種する工程と、
e.表皮細胞を有する構造体に工程bで得た毛包細胞を接種する工程と、
f.新しい毛髪の成長が望まれる皮膚に前記構造体を移植する工程と、
を備えている毛髪成長または復帰方法。
【請求項17】
工程dの細胞を人間の幼児の毛包から得る、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程dの細胞を、胎児細胞、へその緒血液細胞、骨髄細胞、脂肪組織細胞、筋肉細胞、皮膚細胞および前記細胞の任意の組合せよりなる群から選択された幹細胞で補う、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程aの細胞を、真皮頭皮、真皮鞘、マトリックスおよび内毛根鞘および外毛根鞘よりなる断片から選択された毛包断片から培養する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記構造体はコンドロイチン-6-スルフェートよりなる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
a.繊維を粒子で被覆する工程と、
b.工程aの粒子被覆繊維を生物吸収性物質の溶液で被覆する工程と、
c.前記生物吸収性物質を水に不溶性にする工程と、
d.繊維および粒子を除去する工程と、
を備えている生物吸収性構造体を製造する方法。
【請求項22】
結果的生じた構造体を第2生物吸収性物質で被覆する工程を更に備えている請求項21に記載の方法。
【請求項23】
繊維はナイロンであり、粒子はセバシン酸であり、生物吸収性物質はヒアルロン酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
繊維はナイロンであり、粒子はセバシン酸であり、生物吸収性物質はヒアルロン酸であり、第2生物吸収性物質はラクチドおよびグリコシドのコポリマーである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
a.骨および軟骨前駆細胞を得る工程と、
b.請求項3の構造体に工程aの細胞を接種する工程と、
c.工程bの構造体を新しい骨または軟骨組織の成長が望まれる部位に移植する工程と、
を備えている骨および軟骨の成長方法。
【請求項26】
前記構造体は架橋されたヒアルロン酸よりなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリアミノ酸、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリカプロラクタン、ポリパラ-ジオキサン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、および前記ポリマーのコポリマー、ブレンドおよび混合物、ならびに加水分解または分解による解放で代謝可能または排泄可能である非分解性ポリマーとブロック共重合される生物吸収性結合を有するオリゴマーから選択された生物吸収性物質を備えており、セルロース誘導体、澱粉、デキストリン、キトーサン、リポ蛋白質、コラーゲンおよびゼラチンの人間の組み換え型形態、コンドロイチン-6-スルフェート、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、他の血清蛋白質、多糖類、モコ多糖類、元のままの形態または架橋剤により架橋することにより不溶性にされた人体に自然に生じる他のバイオポリマー、蛋白質、炭水化物、グロコサミノグルカン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリレートエステル、ポリメタクリレートエステル、ポリビニルアルコール、および前記ポリマーのコポリマー、ブレンドおよび混合物から選択された生物吸収性物質で内面(内腔)面が被覆されている、請求項2に記載の構造体。
【請求項28】
前記物質はラクチドおよびグリコシドのコポリマーよりなる、請求項27に記載の構造体。
【請求項29】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーで被覆されている請求項28に記載の構造体。
【請求項30】
a.水溶性ポリマーでテーパ状マンドレルを被覆する工程と、
b.生物吸収性物質をマンドレルの先端部に付着させる工程と、
c.マンドレルおよび生物吸収性物質をフィルム形成用生物吸収性ポリマーで被覆する工程と、
d.マンドレルを構造体から取り出す工程と、
を備えている請求項2に記載の構造体を製造する方法。
【請求項31】
生物吸収性物質はコンドロイチン-6-スルフェートおよび架橋されたゼラチンで構成された繊維素材よりなり、フィルム形成用生物吸収性ポリマーはラクチドおよびグリコシドのコポリマーよりなる、請求項30に記載の方法。
【請求項1】
内腔を構成するフィラメントを備えており、組織工学に使用するようになっている生物吸収性構造体。
【請求項2】
毛包の組織工学に使用するようになっている請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
束が、骨、軟骨および骨軟骨細胞よりなる群から選択された組織工学用途に使用するようになっている請求項1に記載の束ねられた複数の構造体。
【請求項4】
フィラメントが内層および外層を備えており、内層は内腔を構成する内面を有している、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリアミノ酸、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリカプロラクタン、ポリパラ-ジオキサン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、コラーゲン、ゼラチン、血清アルブミン、蛋白質、多糖類、ムコ多糖類、炭水化物、グリコサミノグリカン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および前記生物吸収性物質のコポリマー、ブレンドおよび混合物、ならびに加水分解または分解による解放で代謝可能または排泄可能である非分解性ポリマーとブロック共重合される生物吸収性結合を有するオリゴマーよりなる群から選択された1つまたはそれ以上の生物吸収性物質で構成されている請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記外層は実質的に非多孔性であり、前記内層は多孔性である、請求項4に記載の構造体。
【請求項7】
前記内層は、コラーゲン、ゼラチン、セルロース誘導体、澱粉、デキストリン、キトーサン、リポ蛋白質、コンドロイチン-6-スルフェート、コラーゲンおよびゼラチンの人間の組み換え型形態、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、血清蛋白質、多糖類、モコ多糖類、人体に自然に生じる天然バイオポリマー、および前記バイオ物質のコポリマーおよび混合物およびそれらの架橋誘導体よりなる群から選択されたバイオ物質で構成されている、請求項4に記載の構造体。
【請求項8】
前記外層はラクチドおよびグリコシドのコポリマーで構成されており、前記内層は架橋されたヒアルロン酸およびコンドロイチン-6-スルフェートよりなる群から選択された生物吸収性物質で構成されている、請求項4に記載の構造体。
【請求項9】
a.第1生物吸収性物質および孔発生体よりなる成形構造体を調整する工程と、
b.工程aの成形構造体から孔発生体を除去する工程と、
c.生物吸収性物質を架橋する工程と、
d.構造体を第2生物吸収性物質で被覆する工程と、
を備えている請求項4に記載の生物吸収性構造体を製造するための方法。
【請求項10】
第1生物吸収性物質はコンドロイチン-6-スルフェートおよびゼラチンの咬合物よりなり、孔発生体はセバシン酸粒子よりなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項2の構造体を備えている毛包の成長を誘発するための移植片であって、フィラメントは、毛包断片から得られる細胞、真皮乳頭細胞、真皮鞘細胞、マトリックス細胞、内毛根鞘および外毛根鞘、大人または幼児を源とする表皮細胞、大人または幼児源の真皮細胞、胎児から得られる幹細胞、へその緒血液細胞、骨髄細胞、脂肪組織細胞、筋肉細胞、皮膚細胞および前記細胞の任意の組合せよりなる群から選択された細胞が接種されている、移植片。
【請求項12】
前記細胞は前記フィラメントに接種される前に培養で増殖されている、請求項11に記載の移植片。
【請求項13】
前記表皮細胞はフィラメントの内腔の壁部に接種されており、毛包細胞は前記フィラメントの一端に挿入されている、請求項11に記載の移植片。
【請求項14】
前記毛包細胞は真皮乳頭細胞よりなる、請求項13に記載の移植片。
【請求項15】
前記表皮細胞はフィラメントの内腔に接種されており、培養された乳頭細胞の集団が前記フィラメントの内腔の一端に挿入されている、請求項14に記載の移植片。
【請求項16】
a.頭皮毛包細胞を得る工程と、
b.数を増やすために毛包細胞を培養する工程と、
c.請求項2による構造体を用意する工程と、
d.前記構造体に表皮細胞を接種する工程と、
e.表皮細胞を有する構造体に工程bで得た毛包細胞を接種する工程と、
f.新しい毛髪の成長が望まれる皮膚に前記構造体を移植する工程と、
を備えている毛髪成長または復帰方法。
【請求項17】
工程dの細胞を人間の幼児の毛包から得る、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程dの細胞を、胎児細胞、へその緒血液細胞、骨髄細胞、脂肪組織細胞、筋肉細胞、皮膚細胞および前記細胞の任意の組合せよりなる群から選択された幹細胞で補う、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程aの細胞を、真皮頭皮、真皮鞘、マトリックスおよび内毛根鞘および外毛根鞘よりなる断片から選択された毛包断片から培養する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記構造体はコンドロイチン-6-スルフェートよりなる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
a.繊維を粒子で被覆する工程と、
b.工程aの粒子被覆繊維を生物吸収性物質の溶液で被覆する工程と、
c.前記生物吸収性物質を水に不溶性にする工程と、
d.繊維および粒子を除去する工程と、
を備えている生物吸収性構造体を製造する方法。
【請求項22】
結果的生じた構造体を第2生物吸収性物質で被覆する工程を更に備えている請求項21に記載の方法。
【請求項23】
繊維はナイロンであり、粒子はセバシン酸であり、生物吸収性物質はヒアルロン酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
繊維はナイロンであり、粒子はセバシン酸であり、生物吸収性物質はヒアルロン酸であり、第2生物吸収性物質はラクチドおよびグリコシドのコポリマーである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
a.骨および軟骨前駆細胞を得る工程と、
b.請求項3の構造体に工程aの細胞を接種する工程と、
c.工程bの構造体を新しい骨または軟骨組織の成長が望まれる部位に移植する工程と、
を備えている骨および軟骨の成長方法。
【請求項26】
前記構造体は架橋されたヒアルロン酸よりなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリアミノ酸、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリカプロラクタン、ポリパラ-ジオキサン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、および前記ポリマーのコポリマー、ブレンドおよび混合物、ならびに加水分解または分解による解放で代謝可能または排泄可能である非分解性ポリマーとブロック共重合される生物吸収性結合を有するオリゴマーから選択された生物吸収性物質を備えており、セルロース誘導体、澱粉、デキストリン、キトーサン、リポ蛋白質、コラーゲンおよびゼラチンの人間の組み換え型形態、コンドロイチン-6-スルフェート、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、他の血清蛋白質、多糖類、モコ多糖類、元のままの形態または架橋剤により架橋することにより不溶性にされた人体に自然に生じる他のバイオポリマー、蛋白質、炭水化物、グロコサミノグルカン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリレートエステル、ポリメタクリレートエステル、ポリビニルアルコール、および前記ポリマーのコポリマー、ブレンドおよび混合物から選択された生物吸収性物質で内面(内腔)面が被覆されている、請求項2に記載の構造体。
【請求項28】
前記物質はラクチドおよびグリコシドのコポリマーよりなる、請求項27に記載の構造体。
【請求項29】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーで被覆されている請求項28に記載の構造体。
【請求項30】
a.水溶性ポリマーでテーパ状マンドレルを被覆する工程と、
b.生物吸収性物質をマンドレルの先端部に付着させる工程と、
c.マンドレルおよび生物吸収性物質をフィルム形成用生物吸収性ポリマーで被覆する工程と、
d.マンドレルを構造体から取り出す工程と、
を備えている請求項2に記載の構造体を製造する方法。
【請求項31】
生物吸収性物質はコンドロイチン-6-スルフェートおよび架橋されたゼラチンで構成された繊維素材よりなり、フィルム形成用生物吸収性ポリマーはラクチドおよびグリコシドのコポリマーよりなる、請求項30に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−530575(P2007−530575A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505161(P2007−505161)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/009785
【国際公開番号】WO2005/097221
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(503159380)アデランス リサーチ インスティテュート インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/009785
【国際公開番号】WO2005/097221
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(503159380)アデランス リサーチ インスティテュート インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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