説明

組織病理学のために組織サンプルを処理するためのシステム及び方法

組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するためのシステムであって、前記組織病理学的処置の少なくとも1つの段階の間に組織生検サンプル(54)を運ぶように構成される組織運搬容器(40)と、前記組織生検サンプルと関連付けられかつ組織処理手順と関連付けられた情報を保存するデータベースと、前記組織生検サンプル(54)と結び付けられた機械読み取り可能参照番号を含むと共に、前記組織運搬容器(40)と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器(50)と、前記参照番号を読み取り、前記参照番号を使用して前記データベース内の前記情報にアクセスし、アクセスされた前記情報に従って前記組織処理手順の少なくとも一部を実施するように機能する電子制御装置(48)とを備えるシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織生検サンプルを処理するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、その開示が参照によってここに十分に組み込まれる、2008年12月30日に出願された未決定の特許仮出願シリアル番号第61/141,324号の利益を要求する。
【0003】
現在の患者の記録は、主として、患者の識別情報及び医者の識別情報、そして、保険範囲及び/または決済範囲に関係する情報を含む。例えば、患者が入院診療室(admitting office)に登録するとき、医療提供者の訪問記録が開始される。一般的に、これらの記録は、病院記録の中のヘルスケア情報システム(healthcare information system:HIS)に保存される。この記録は、患者の処置の間に使用される請求書コード、保険データ、サービス、及び材料(material)を示すことができる。患者が外科生検を必要とする場合に、記録は、時折単に生検材料と言われる生検組織サンプル(biopsy tissue sample)を追跡するために、維持されなければならない。
【0004】
現在、患者の記録は、紙の診療記録、ステッカー、バーコード、及びコンピュータ請求書記録等の寄せ集め(compilation)であるが、しかし、この情報は、組織サンプルそれら自身の特定の扱い方、もしくは特定の履歴を含まないであろう。バッチング(batching:バッチ処理)及び処理パラメータの選択は、サンプル毎に実行されるか、または、例えば組織の種類及び/または組織のサンプルの大きさなどのように、サンプルの基本の分類によって手動でバッチ処理される(batched)。
【0005】
患者から採取された組織の生検の時に、サンプルを追跡するのに必要とされる情報が取得される。多くの異なる段階が、包含されると共に、組織病理学的な(histopathological)処置の間の下流側の手順において有益であり得る情報の誤りまたは損失の影響下にある。今日では、単一の追跡番号が、患者から採取された生検組織サンプル(biopsy tissue sample)に割り当てられる。この追跡番号は、手動で記録され得るか、もしくは、生検容器及び組織準備カセット(cassette)に適用されたラベルまたはステッカー上のバーコードの形式であり得る。生検容器は、組織を組織病理学的な分析のための研究室へ輸送するために使用され、一方、カセットは、組織サンプルをパラフィンに埋め込む(包埋する)こと、顕微鏡切片作成(ミクロトーム切片作成:microtome sectioning)、及び顕微鏡用スライド準備(microscope slide preparation)という目的のために、組織を処理するのに使用され得る。
【0006】
一般的に、診断に用いる組織サンプルを処理するために進められた個々の段階または手順の再検討は、管理においてどのくらいの変更が異なる処理段階の間に発生するかを例証する。管理におけるこれらの変更の各々は、潜在的な誤りに関する状況の原因となる。しかしながら、これらの異なる処理段階の各々は、更に、下流側の段階または手順において組織に特有の処理パラメータを作成する機会をつくる。更に、組織サンプルに特有の情報は、これまでは、組織病理学的な処置における段階及び手順のための機械によって、自動的に使用されない。
【0007】
一般的に、組織サンプルは、手術室(surgical suite)において、様々な方法によって、患者から取得されるか、もしくは採取される。サンプルは、組織病理学研究室(histopathology laboratory)への到着の前に組織を適当な状態にするための緩衝液体(buffering liquid)及び定着液体(fixing liquid)を含む生検容器(biopsy container)に入れられる。更に具体的には、下記の段階は、一般的な処理を例証する。
1.手術室において、日付、患者ID、担当医、及び標本タイプの情報は、各個々のサンプル容器に、そして外科的な記録に、手書きされ得る。
2.組織病理学研究室にサンプルを輸送することは、病院内の確立された送達ルートを使用するのと同じくらい簡単であり得る。地方においては、そのサンプルは、手術室から独立した病理学研究室まで何マイルも移動し得るか、または、サンプルは、更に商業運送業者によって送られるであろう。
3.サンプル容器は、確実にその容器を段階1において作成された患者の外科的な記録と連結することができるように、その上に十分な情報を有していなければならない。
4.一度そのサンプルが病理学研究室に供給されれば、研究室人員は、患者の申し込み用紙(requisition)をサンプル容器と適合させて、同じ情報と共に日誌(log book)に署名して日付を入れる。
5.ログインの後で、組織学の標本またはサンプルの情報が、研究室の記録用のコンピュータデータベースに入力される。データベースソフトウェアは、正しい患者の識別情報を確認するために、誕生日及び名前を調査する。全ての容器は、その容器に割り当てられた固有の登録番号(accession number)を有している。それらのサンプルが組織病理学システムに登録されるので、これらの番号は、連続する順番で生成される。
6.組織病理学の技師(histo-technologist)は、その場合に、申し込み用紙(requisition)及びサンプル容器に登録番号を書く。組織処理カセットは、従ってラベル付けされる。
7.容器をグロスインする(grossing in)病理学者、または彼/彼女のアシスタントは、申し込み用紙、サンプル容器、及びカセット上の登録番号の適合を確認する。
8.内部に組織サンプルを有する組織処理カセットは、組織プロセッサに入れられる。サンプルから体液を除去する処理の後で、組織サンプルは、それらに顕微鏡切片作成機器(microtome:ミクロトーム)における切片作成に対する準備をさせるように、パラフィンブロックに埋め込まれる。
9.パラフィン埋め込まれた組織が顕微鏡切片作成機器(microtome:ミクロトーム)において切片化される段階である顕微鏡切片作成(microtomy)の間に、組織サンプル及びカセットは、スライドガラス上に置かれる薄くスライスされた切片になる。この時点で、容器の登録番号は、パラフィンブロックから作成された各個々のスライドに複写される必要がある。
10.各スライドは、染色され、そしてカバーがはめ込まれる。完成したスライドは、顕微鏡を使用した診断の再検討のために、病理学者に届けられる。
11.病理学者は、外科的な報告、グロスイン(gross-in)情報、及び処理情報が添付された各容器またはスライドを受け取る。その病理学者は、彼の診断/彼女の診断を明確に説明し、外科病理学レポートを完成する。
12.スライド及びパラフィンブロックは、別の診断(second opinion)または別の再検討(second review)が必要とされる場合には保管される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,817,032号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2005/0226770号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
産業界において、商品を追跡するためのRFIDタグまたはチップの使用は、有名である。今日、いくらかの商業用の船積みは、その目的地まで積み荷の位置を監視して記録するために、船舶輸送の間に様々な段階で荷物を追跡するためのRFIDタグを使用する。RFIDタグの使用は、同様に、組織病理学的処置の終りに、RFIDタグを顕微鏡用スライドの適切なエリアに付加することによって提案された。組織病理学的な処置及びその個々の手順を更に分かりやすく制御する目的のために機械読み取り可能表示器を使用するための装置、方法、及びシステムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最初の実例となる実施例において、本発明は、組織病理学的処置の間に組織生検サンプル(tissue biopsy samples)を処理するためのシステムであって、概して、組織運搬容器と、データベースと、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた(physically associated:物理的に結合された)機械読み取り可能表示器と、電子制御装置とを備えることを特徴とするシステムを含む。前記組織運搬容器は、前記組織病理学的処置の段階の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される。前記データベースは、前記組織生検サンプルと関連付けられかつ前記組織病理学的処置の間に使用される組織処理手順と関連付けられた情報を保存する。前記機械読み取り可能表示器は、前記組織生検サンプルと結び付けられた機械読み取り可能参照番号を含む。前記電子制御装置は、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた前記参照番号を読み取り、前記参照番号を使用して前記データベース内の前記情報にアクセスし、アクセスされた前記情報に従って前記組織処理手順の少なくとも一部を実施するように機能する。
【0011】
組織処理装置は、例えばその組織処理装置によって実行される前記組織処理手順の少なくとも一部を実行するように、前記電子制御装置を直接的に含み得る。代りに、前記電子制御装置は、前記組織処理装置から分離されていると共に、更に、前記組織処理装置から遠く離れているかもしれない。例えば、前記組織処理装置は、組織グロスイン装置(tissue gross-in device)、組織プロセッサ(tissue processor)、組織包埋装置(tissue embedding device)、組織顕微鏡切片作成装置(tissue microtomy device)、組織スライド準備装置(tissue slide preparation device)、及び診断スライド読み取り装置(diagnostic slide reading device)であり得る。他の種類の組織処理装置が、その上、本発明を実行する際に、もしくは、これに代るものとして、使用され得る。前記電子制御装置は、前記機械読み取り可能表示器及び/または個別のデータベースに含まれる情報の一部を少なくとも使用することによって、組織処理手順の少なくとも一部を実施するか、または制御することに加えて、前記データベース内の情報を更新すること、前記機械読み取り可能表示器に保存された情報を更新すること、のような様々な機能を有する。前記機械読み取り可能表示器は、様々な形式を含み得る。例えば、その表示器は、RFIDタグ、または別の電子メモリ装置であり得る。代りに、前記機械読み取り可能表示器は、機械読み取り可能なデジタル参照コード(digital reference code:DRC)のような、より簡単な形式を含み得る。例えば、この形式において、デジタル参照コードまたはDRCは、簡単な読み取り専用表示器であり得る。更に具体的には、そのような簡単な読み取り専用表示器は、機械読み取り可能であると共に前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた、バーコード、エッチングされたコード(etched code )、または他の印を含み得る。
【0012】
別の実施例において、システムは、組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するために提供されると共に、概して、組織運搬容器と、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能及び書き込み可能表示器と、電子制御装置とを備える。この実施例において、前記組織運搬容器は、更に、前記組織病理学的処置の少なくとも1つの段階の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される。前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器は、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられると共に、前記生検組織サンプル(biopsy tissue sample)と結び付けられた参照番号を保存し、前記組織生検サンプルの少なくとも1つの物理的な特性に関連付けられた情報を更に保存する。この物理的な特性は、例えば、組織の大きさまたは分量、組織の種類、組織の疑いのある疾患のプロファイルまたは病状、あるいは他の物理的な特性の内の1つ以上であり得る。前記電子制御装置は、前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に保存された前記参照番号及び前記情報を読み取り、アクセスされた前記情報に従って前記組織処理手順の少なくとも一部を実施するように機能する。前記電子制御装置は、更に、新しい情報を前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に書き込むように機能し得る。前記新しい情報は、前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に既に保存された情報の更新を含み得る。前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に保存された情報は、個別のデータベースに保存された情報の少なくとも一部と同じであり得る。前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に加えて、個別のデータベースが、同様に、システムの一部として使用される場合に、前記組織処理手順は、前記電子制御装置と、前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器及び前記データベースの両方との相互作用を通して、前記電子制御装置によって実行され得る。このデータベースは、リモートコンピュータシステムの一部であり得るか、または前記電子制御装置の一部であり得る。様々な他の実施例において、データベースは、前記機械読み取り可能表示器の電子機器に含まれ得る。その代わりに、前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に保存された情報は、前記個別のデータベースに保存された情報と少なくとも部分的に異なり得る。前記システムは、前記電子制御装置を含み、前記組織処理手順の少なくとも一部を実行するように機能する、組織処理装置を更に備え得る。一般的にここで論じられたように、このシステムの更に他の特性が組み込まれ得る。
【0013】
本発明の別の実施例において、組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを包埋するためのシステムが提供されると共に、前記システムは、概して、上述のデータベース、機械読み取り可能表示器、及び電子制御装置と同様に、上述の組織運搬容器を備える。このシステムは、後の顕微鏡切片作成のために前記組織生検サンプルを包埋するように機能する包埋装置を更に備える。この実施例において、前記電子制御装置は、前記データベース内の前記情報にアクセスし、前記情報に従って、前記包埋装置によって行なわれる前記包埋手順の少なくとも一部を実施する。例えば、前記データベースに保存される情報は、前記包埋装置に、包埋材料を受け取るための少なくとも2つの異なるモールドの内の1つに、前記組織運搬容器と共に、あるいは前記組織運搬容器なしで、前記組織生検サンプルを置くように指示するために使用され得る。これは、前記組織生検サンプルを保持する区分可能な運搬容器を使用することを含み得ると共に、前記組織生検サンプルは、前記組織サンプルに対応するモールドに配置される。前記データベースは、前記組織運搬容器から遠く離れていても良いし、または前記機械読み取り可能表示器それ自身に存在しても良い。後者の場合に、前記機械読み取り可能表示器に保存される情報が、前記包埋装置に、包埋材料を受け取るための少なくとも2つの異なるモールドの内の1つに前記組織生検サンプルを置くように指示するために使用され得る。これは、例えば、前記組織運搬容器の大きさに応じて、小さなモールド及び大きなモールドの使用を可能にする。前記データベースに保存される情報は、同様に、あるいはその代わりに、前記包埋装置に、前記組織生検サンプルを包埋するために使用される包埋材料を暖めるか、及び/または冷やすように指示するために使用され得る。更に、この情報は、同様に、あるいはその代わりに、前記機械読み取り可能表示器に、より直接的に保存され得る。その情報は、同様に、あるいはその代わりに、前記組織生検サンプルを包埋するための複数の種類の材料から、例えば組織の種類に従って、一種類の包埋材料を選択するために使用され得る。
【0014】
別の実施例において、組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するためのシステムは、組織運搬容器と、組織プロセッサと、データベースと、機械読み取り可能表示器と、電子制御装置とを備える。前記組織運搬容器と、前記データベースと、前記機械読み取り可能表示器と、前記電子制御装置は、概して、上述のようなものであり得る。前記組織プロセッサは、前記組織生検サンプルが、後の前記組織生検サンプルの包埋を可能にするための前記手順の支配を受けるように機能する。従来の組織プロセッサにおいて、これは、組織から体液を除去し、そしてそれらの体液をパラフィンのような物質と交換し、それによって、完全なパラフィン包埋法(embedding in paraffin)に備えて組織サンプルを準備するために、化学試薬の使用を含む。例えば、他の組織プロセッサは、組織から体液を除去することを目的としたマイクロ波技術を使用し得る。この実施例に従って構成されたシステムにおいて、前記電子制御装置は、前記データベース内の前記情報にアクセスし、アクセスされた前記情報に従って、前記組織プロセッサを使用して、前記手順の少なくとも一部を実施する。例えば、前記情報は、前記組織プロセッサに、前記処理サイクルの間に使用される化学試薬、前記プロセッサのサイクル時間、または前記プロセッサのサイクル温度等に従って指示し得る。
【0015】
別の実施例において、組織病理学的処置の少なくとも一部を実行するためのシステムが提供される。前記システムは、概して、組織生検サンプルを運ぶように構成される組織運搬容器と、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器と、データベースとを備える。前記機械読み取り可能表示器は、前記組織生検サンプルと結び付けられた機械読み取り可能参照番号を提供する。前記データベースは、前記機械読み取り可能表示器の前記参照番号と関連付けられた組織サンプルの記録を保存する。前記組織サンプルの記録における情報は、前記生検組織サンプルの前記組織病理学的処置における少なくとも1つの段階の遂行を支援するために使用可能である。前記組織サンプルの記録における情報は、例えば、前記サンプルの包埋の前の前記組織生検サンプルの処理、前記組織生検サンプルの包埋、前記サンプルの顕微鏡切片作成法スライドの準備、スライド上の前記サンプルの染色、または、前記組織生検サンプルに関する最終の病理学レポートの準備、の内の少なくとも1つの遂行を支援するために使用可能である。
【0016】
別の実施例において、組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するためのシステムが提供されると共に、前記システムは、複数の組織運搬容器と、前記組織病理学的処置の間に少なくとも1つの手順を実行するように機能する機械と、データベースと、それぞれが前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた複数の機械読み取り可能表示器と、電子制御装置とを備える。この実施例において、前記複数の組織運搬容器のそれぞれは、前記組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される。各機械読み取り可能表示器は、対応する前記組織運搬容器と関連付けられた前記組織生検サンプルと結び付けられた機械読み取り可能参照番号を含む。固有の前記参照番号を使用して前記データベース内の前記情報にアクセスした後、前記電子制御装置は、異なる前記参照番号に関して保存された同類の情報に基づいて前記手順の少なくとも一部を実施する。様々な手順が、前記システムを使用して実施され得る。例えば、前記電子制御装置は、前記同類の情報に基づいて、前記手順の中の少なくとも1つの操作が前記組織生検サンプルの内の少なくとも1つに対して実行されることを防止するために使用されることができる。前記電子制御装置は、更に、前記同類の情報に基づいて、前記手順の中の少なくとも1つの操作が前記組織生検サンプルの内の少なくとも1つに対して実行されることをもたらすようにプログラムされ得る。
【0017】
本発明は、更に、様々な方法を検討する。例えば、一実施例において、組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理する方法は、組織運搬容器によって運ばれる組織生検サンプルに関連付けられた参照番号を得るために、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器を読み取る段階と、前記機械読み取り可能表示器から得られた前記参照番号に関連付けられた、データベース内の情報にアクセスする段階と、前記組織病理学的処置の間に前記情報を使用して少なくとも1つの手順を実行する段階とを含む。1つの代替案において、組織処理装置は、前記機械読み取り可能表示器を読み取るために使用され得る読み取り装置を備え得る。前記方法は、更に、前記組織処理装置によって前記手順を実行する段階を含み得る。前記組織処理装置は、例えば、組織グロスイン装置、組織プロセッサ、組織包埋装置、組織顕微鏡切片作成装置、組織スライド準備装置、または診断スライド読み取り装置、あるいは前記組織病理学的処置の間に使用されるあらゆる他の装置を含み得る。
【0018】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理する別の方法は、組織運搬容器によって運ばれる組織生検サンプルに関連付けられた情報を得るために、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器を読み取る段階と、前記組織病理学的処置の間に前記情報を使用して少なくとも1つの手順を実行する段階とを含む。前記方法は、読み取り装置を備える組織処理装置の使用を含み得ると共に、前記読み取り装置は、前記機械読み取り可能表示器を読み取るために使用され得る。前記方法は、更に、前記組織処理装置によって前記手順を実行する段階を含み得る。前記組織処理装置は、以前に説明された装置か、または別の装置の内のいずれかであり得る。
【0019】
実例として、この発明の方法は、下記の、a)前記組織生検サンプルに関する情報を記録するための組織グロスイン手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、b)包埋に備えて前記組織生検サンプルを準備するための組織色留め手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、c)顕微鏡切片作成及び顕微鏡用スライド準備に備えて前記組織生検サンプルを準備するための組織包埋手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、及び、d)前記組織生検サンプルの顕微鏡用スライドの準備をするための顕微鏡切片作成手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、の内の少なくとも1つを実行し得る。
【0020】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理する別の方法は、組織運搬容器によって運ばれる前記組織生検サンプルに関連付けられた情報を得るために、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器を読み取る段階と、前記情報に少なくとも部分的に基づいて電子的な組織サンプルの記録にアクセスする段階と、前記アクセス情報を使用して、前記組織病理学的処置の間に、下記の、組織の色留め、組織の包埋、顕微鏡切片作成、顕微鏡用スライド準備、顕微鏡用スライド染色、及び病理学レポートの準備の内の1つ以上から選択される前記手順によって、少なくとも1つの手順を制御する段階とを含む。
【0021】
この発明の前記方法は、前記組織病理学的処置の後の手順において使用するのための情報によって、前記電子的な組織サンプルの記録内の情報を更新する段階を含み得る。少なくとも1つの手順を制御する前記段階は、更に、包含的に、もしくは、排他的に、異なる組織運搬容器及び/または異なる組織生検サンプルと関連付けられた同類のパラメータまたは類似のパラメータの比較に基づいてバッチ処理判定(batch decision)を実行する段階を含み得る。DRCのような、前記機械読み取り可能表示器に含まれる前記情報または前記参照番号は、前記組織生検サンプルまたは前記組織運搬容器の内の少なくとも1つと関連付けられたデジタル参照コードを含み得ると共に、前記電子的な組織サンプルの記録は、前記組織運搬容器から遠く離れたデータベースに少なくとも部分的に保存され得る。前記電子的な組織サンプルの記録は、前記組織病理学的処置それ自身に使用される装置の制御装置に備えられるデータベースに少なくとも部分的に含まれ得る。例えば、上述されたように、前記組織の処理の間に使用される装置の内のいずれもが、言及された前記データベースを有する電子制御装置を備え得る。代りに、もしくは、更に、前記電子的な組織サンプルの記録は、前記機械読み取り可能表示器に少なくとも部分的に保存され得る。他の実施例において、前記機械読み取り可能表示器は、デジタル参照コードのみを含み、前記電子的な組織サンプルの記録の他の情報は、前記機械読み取り可能表示器から遠く離れたデータベースに保存される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実例となる実施例による患者入院手順の略図である。
【図2】患者入院手続きの次の生検材料採取(biopsy harvesting)手順または段階の略図である。
【図3】生検サンプルが患者から採取された後で使用されるグロスインセンタまたはグロスイン装置の透視図である。
【図4】組織サンプルのグロスイン手順の後で使用される組織処理機械または組織プロセッサの透視図である。
【図5】組織処理手順の後で使用される組織包埋センタまたは組織包埋機械の透視図である。
【図6】組織包埋手順の次に、顕微鏡切片作成手順の間に使用される装置の透視図である。
【図7】代替の自動化された顕微鏡切片作成装置、及びスライド準備センタまたはスライド準備装置の概要の正面図である。
【図8】スライド染色センタまたはスライド染色装置をの透視図である。
【図9】病理学レビュー及びレポート手順の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の様々な追加機能及び利点は、この開示、及び、特に下記の実施例の説明において提供された追加の詳細の更なるレビュー(review:検討)によって認識されることになる。
【0024】
この発明の様々な実施例は、概して、その特定のサンプルのための組織病理学的な組織処理パラメータをカスタマイズするために使用され得る生検材料または他の組織検査サンプル(tissue specimen)に関する情報を作成して、記録して、利用する装置、システム、及び方法を含む。ここで組織サンプルの記録またはTSR(Tissue Sample Record)として参照されたデジタル記録は、患者の登録の時に開始される。そのデジタル記録またはTSRは、そのサンプルが組織病理学システムを通して継続するように、組織サンプルを処理することに関するデータのような、組織サンプルに直接関係するかまたは一般的にサンプルに関連付けられたデータを含むように補完されるか、または構築される。患者の組織サンプルと関連付けられた情報は、サンプルの処理及び診断術を向上させる組織サンプルに関するデータと同様に、生検手順記録、組織病理学レポート及び診断のようなデジタル記録またはTSRに加えられる。もちろん、この発明の原理は、多くのサンプルの処理に一度に適用されることになる。
【0025】
TSRは、サンプルに付随する、組織に特有の処理命令を含み得る。TSRは、複数の記録が使用されていて、次に切断された状態になるときに起こり得るような、患者のサンプルを追跡していて見失うことを防止する。更に、研究室処理装置は、各組織サンプルの特有の処理パラメータに関して多変量解析(multivariable analyses)を実行するために、TSRを使用することができる。この発明は、組織病理学的処置の段階または手順において、徐々に、更に知的で、包括的で、有益な記録が構築されて、使用されることを可能にし得る。これは、組織サンプルのような個々のアイテムの逐次的追跡(sequential tracking)を単に包含しない。本発明は、各組織サンプル及びその最高の処理及び診断結果のための必要条件に関する情報のデータベース(すなわちTSR)を頻繁に更新することによって、組織の取り扱い、処理、及びスライド準備過程における自動化された意思決定(decision-making)のために、各個々のサンプルに関する情報が、1つ以上の自動化された機械に利用可能にされることを可能にし得る。更に、この発明は、組織病理学的処置における自動化された機械が、個々の生検材料またはバッチ処理過程(batch process)に関する情報を交信することを可能にし、それによって、個別の機械が、知的に、他の機械から作業の流れ(workflow:ワークフロー)を受け取り、そして他の機械と交信することを可能にする。
【0026】
本発明は、現存する組織追跡システム(tissue tracking system)を向上させるばかりでなく、下流の組織サンプルの処置のために、比類なく有益で多様な方法において、新しい情報が収集されると共に保存され、そして使用されることを可能にする。各組織サンプルに関してデジタル記録またはTSRに保存される新しい情報は、コンピュータ制御の組織処理機械に利用可能である。その情報は、組織サンプルに関連付けられた記録及び処置に関連し得ると共に、以前には不可能であった、あるいは酷使された手動システムによって達成することが非常に重荷であった、新しい処理効率及び診断能力を可能にし得る。
【0027】
デジタル記録またはTSRに記録された情報は、組織特有の処理が、組織の種類、疑いのある疾患の種類、包埋材料の種類等のような状況に関してカスタマイズされることを可能にするために使用され得る。診断の準備は、特別なスライドの染色、異なる包埋材料、異なる組織処理パラメータ等を定義することによるような情報を用いてカスタマイズされ得る。その上、診断レポート、及び病理検査室の処置に関する情報は、報告のために、そして記録の保管のために、デジタル記録またはTSRに保存され得るか、もしくは記録され得る。
【0028】
上述のように、開示されたシステムにおいて、デジタル記録は、生検サンプルが組織サンプルを処理している間に手順から手順に移動するので、連続して更新される動的な組織サンプルの記録(Tissue Sample Record:TSR)を含む。組織病理学的な処置における複数のポイントにおいて、更に多くの情報が、TSRに加えられ得ると共に、それは、次の段階が、処置の全体にわたって、効率、能力、及び正確度を増大させることを可能にすることになる。システムまたは方法のいくらかの構成要素は、システムの構成要素の間で情報の保存及び検索を可能にするために連携し得る。最終的に、これは、組織サンプルに関する診断のレポートになり得る。
【0029】
更に基本的な形において、本発明は、それらと物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器を有する一連の組織運搬容器を備えることができる。機械読み取り可能表示器は、組織運搬容器上のバーコードまたはレーザエッチング画(laser etching)のような基礎技術、または、RFIDタグあるいはRFIDチップのような、より洗練された読み取り専用あるいは読み取り/書き込みメモリ技術を含み得る。機械読み取り可能表示器は、組織運搬容器識別番号と同じくらい単純であり得る参照番号を含む。ここではデジタル参照コード(Digital Reference Code:DRC)と呼ばれる組織運搬容器識別番号は、同様に、中央データベースに保存されると共に、特定の組織運搬容器によって運ばれるサンプルに関するTSRと関連付けられる。そのデータベースが組織サンプルに関する情報によって頻繁に更新されるので、TSRは、動的になると共に、読み取り/書き込み可能になる。TSRが全体の処理において使用される機械の制御装置によってアクセス可能である場合、改良された個々のサンプルの準備(preparation)に関する条件(opportunity)が可能になる。
【0030】
処置における前の段階または手順に関係する情報によりTSRを頻繁に更新することによって、サンプルが最終的な診断レポートに向かって進行するにつれて、TSRは下流で更に有益になる。
【0031】
組織病理学的処置の下記の構成要素または段階は、一部分または全体として、そのようなシステムによるデータ記憶装置(data storage)の使用及び更新を可能にするように、改善されることができる。例えば、下記の段階が包含され得る。
1:患者の入院:もし生検が手順の一部であるならば、患者記録及びTSRを開始する。
2.外科的な組織の採取:例えば、疑いのある疾患の種類、特別な取り扱い方法(handling procedure)、顕微鏡用スライド準備のため染色の必要条件、及び疑いのある診断のための他のパラメータによって、TSRが更新される。
3.研究室への組織の運搬:準備において、例えば、組織サンプルの数、定着液の種類、及び定着液を使用した組織サンプルの最初の液浸の時刻/日付によって、TSRが更新される。
4.病理学研究室の方向付け(orientation)における組織のグロスイン:例えば、組織サンプルの必要条件、グロスインする前の組織サンプルのデジタル記録(例えば、デジタル写真)、この段階で確認された特別な組織処理の必要条件によって、TSRが更新される。
5.溶媒/化学薬品、マイクロ波等による組織の処理:準備において、例えば、使用された試薬、サイクル時間、及びサイクル温度のような、組織に特有の処理パラメータによって、TSRが更新される。
6.組織の包埋:準備において、例えば、包埋材料(例えばパラフィン)を最小限にするための基部モールド選択サイズ(base mold selection size)に対するカセットの種類、パラフィンの種類、及びさらされる温度によって、TSRが更新される。
7.組織の顕微鏡切片作成、及びスライドの準備:準備において、例えば、組織の切片の厚さ、顕微鏡用スライド準備及び染色に備えて準備された切片の数によって、TSRが更新される。
8.組織の染色:準備において、例えば、特定の組織の種類、または病状のための組織染料によって、TSRが更新される。
9.病理学診断及びレポート:例えば、超音波イメージング、デジタル処理で記録された写真またはビデオ、及びデジタル処理で記録された口頭による説明とそれらの説明の複写のような、進歩した組織の識別及び記述方法(tissue identification and description method)によって、TSRが更新される。
10.組織ブロックのスライドとレポートの保管:TSRは、記録されたブロックの更に容易で更に効率的な検索、そしてデジタル病理学レポートを別の医師の診断(second opinion)のために診察のための専門家に簡単に送信することを可能にする。
【0032】
概して、データを読み取り/書き込むための装置、システム、及び方法を利用する3つの主要な特徴が存在すると共に、そのデータから改良された処置を可能にする。
1.組織運搬容器−これは、最初の採取からグロスインを経てカセット内の組織を処理し、そして顕微鏡用スライドに載せるまで、組織サンプルを保持するための、あらゆる機械的な装置または支持器(support)の形式を取り得る。組織運搬容器は、更に、関連するデジタル参照コードまたはDRCを有し得る機械読み取り可能表示器を運ぶ。
2.組織病理学的処置機器または機械−グロスイン装置(gross-in station)、組織プロセッサ、自動化された包埋、顕微鏡切片作成、顕微鏡用スライド準備、診断等。
3.組織サンプルの記録(TSR)及び更新システム−その一部分は機械読み取り可能表示器及び/または処置機器の内部に保存され得るが、しかし、完全なTSRは、望ましい形で組織処置機器によってアクセスされ得る1つ以上のデータベースに存在する。
【0033】
前述の3つの特徴を電子的に連結することによって、改良された能力、及びより完全で正確な記録を有する、更に効率的な処理システムが、それぞれ採取された組織サンプルのために維持され得る。電子TSRもしくはデジタルTSRは、組織採取の時点から最終の病理学診断記録及びレポートになるまで、もしくは、全体の組織病理学的処置の1つ以上の段階の間だけ、組織サンプルの情報を追跡し得る。
【0034】
RFIDタグは、組織運搬容器に取り付けられ、そして機械読み取り可能表示器として使用され得る。RFIDタグ(チップ)は、それらの、情報を読み取る能力及び情報を書き込む能力の両方のために魅力的であるが、各組織サンプルに関連付けられた情報の大多数は、遠く隔たったサーバ上のデータベースのレコード(record:記録)に記録され得る。組織運搬容器は、その患者の外科的記録と関連付けられることができる固有の番号またはコードのような、参照番号を備えることだけが必要とされる。実際には、最初に、物理的に関連付けられたRFIDタグを有する組織運搬容器のような、読み取り及び書き込み能力を備える組織運搬容器を実装する前に、この発明の予測的及び改良された処理特徴を開始することが、更に経済的であり得る。ここでの説明から評価されることになるように、更に完全な利益は、RFID技術の使用、または他の読み取り/書き込みメモリ技術によって実現し得る。
【0035】
RFIDタグは、様々なアンテナ、及び、デジタル保存容量(digital storage capacity)を備える無線周波数の受信及び送信回路構成から成る。RFIDタグまたは装置は、溶媒及び試薬、組織プロセッサからのマイクロ波放射、温度上昇(elevated temperature)及び温度下降(reduced temperature)、正及び負の両方の大気圧、そして一般的な衝撃及び振動を含む可能性がある様々な組織処理段階による劣化を防止するために、各組織運搬容器に、十分に埋め込まれるか、または統合されるべきである。更に、RFIDタグ、及び他のメモリ装置は、保管目的のために、少なくとも10年を超える期間、その記憶をなくしてはいけない。ガラス、または試薬に抵抗力のあるプラスチックに埋め込まれたRFIDタグまたは他のメモリ装置が望ましい。
【0036】
組織サンプルの記録またはTSRは、処置機器が個々のサンプルを追跡することを可能にするばかりでなく、全体の処置の下流の手順または段階における更にそれらのサンプルの処置の強化を勧めることができるように確立され得る。いくらかの研究室は、様々な段階で技術を実行するであろう。従って、組織病理学的処置において以前に実施されたバーコードのような、他の種類の機械読み取り可能表示器を読むことができるシステムを持つことが必要であり得る。これらの他の種類の機械読み取り可能表示器を読むことができる装置が、組み込まれ得ると共に、読み取った内容を、各段階の間に連続して更新され得る組織サンプルの記録(TSR)に記録し得る。デジタルTSRは、必須情報の全てを含む必要がない。大部分の病院システムが請求書の記録を追跡するデータベースコンピュータを持っているので、システムがこれらのデータベースに加えられるであろうソフトウェアを利用するかもしれないことが考えられる。
【0037】
特定のTSRは、採取の時に患者から取得された各組織サンプルに関連していると共に、組織病理学的処置の一部または全体を通じて、新しい情報によって更新される。組織サンプルが処置を通じて移動するので、デジタル更新情報コード(digital update code)は、組織運搬容器に物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器に記録されることができるか、または、それは、組織運搬容器から遠く離れた中央集権化されたデータベースのレコード内のTSRに送られ得るが、しかしDRCを手段として組織運搬容器に参照を付けられ得る。これは、TSRを更新すると共に、この情報を、組織病理学的処置における次の段階のために、準備が整って利用可能な状態に維持することになる。
【0038】
明瞭で簡潔な記録は、組織サンプルの分析過程の管理(chain of custody)を、各患者の組織サンプルに関するTSRの形式のデジタルデータベースを作る能力と連結することによって、全体の処置の至る所で保証される。
【0039】
組織サンプルの記録(TSR)は、例えば、2進コード、または16進コード、または他の種類の組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能なコードであり得るデジタル参照コード(DRC)と連結される。DRCは、従って、TSRが組織運搬容器から遠く離れたデータベースに保存される場合に、患者の組織運搬容器がTSRと連結されることを可能にする特定の識別子として使用され得る。機械読み取り可能表示器を通じて、DRCは、組織運搬容器と物理的に関連付けられており、そして、データベースにおけるTSRと関連付けられている。例えば、実施例は、DRCを含むバーコードラベル、レーザ加工による(laser-engraved)光学読み取り可能コード(DRC)、RFID装置のようにデジタル記憶装置にプログラムされたコード(DRC)であり得る。DRCは、患者から採取されたあらゆる組織サンプルにタグ付けされ得るか、もしくは患者から採取されたあらゆる組織サンプルに関連付けられ得る。RFIDタグ、または他の機械読み取り可能表示器は、組織病理学的処置の間に組織サンプルを輸送するか、もしくは保持するために使用される、容器(container)、スライド、または他の組織運搬容器に組み込まれ得るか、そうでなければ、それらの容器、スライド、または他の組織運搬容器と物理的に接続される。
【0040】
従って、DRCは、組織運搬容器と、組織運搬容器内の組織サンプルまたは組織運搬容器上の組織サンプルと、TSRとの間のリンクである。現在のRFIDチップの、データ保存に関する制限、及びコストのために、組織運搬容器に物理的に存在している情報の量を制限することは、有利であり得る。費用効果(Cost efficiency)は、各組織運搬容器、及び、従って各組織サンプルにデータを結び付けるための最も安価な手段を達成する際に、重要であろう。あらゆるデジタル記憶装置と同様に、更に多くのビットの情報が保存されるほど、コストは更に増える。従って、ハイブリッドシステムは、バーコードまたは類似のもの、いくらかの組織運搬容器上の単純な機械読み取り可能表示器、そして他のものの上のRFIDタグまたは他の読み取り/書き込みメモリ装置(read/write memory device)のような、より複雑な機械読み取り可能表示器の組み合わせを使用することが望ましいかもしれない。従って、1つ以上のデータベースは、TSRの全てのもののための中央リポジトリとして、望ましいかもしれないと共に、費用効率が高いかもしれない。更に、これらのレコードは、病院または研究室の情報技術スタッフによって、バックアップされ得ると共に、記録され得る。
【0041】
そのシステムは、更に、データを機械読み取り可能表示器に書き込むための装置及び方法を含むことができると共に、このデータは、処置機器によって、組織処理の連続する段階において使用され得る。例えば、もし機器の一部分の1つ以上がデータベースに電子的に接続されていないならば、そして、遠く隔たって保存されたデータベース内のデータを検索することができないならば、これは有益であろう。光学式読み取り装置のような読み取り装置が、組織運搬容器に書かれたコードを読み取るために、機械または装置において使用され得る。ある量の情報が、組織運搬容器に物理的に関連付けられたか、または接続されたRFIDチップに直接的に転送され得る。他の情報は、組織運搬容器から遠く離れている1つ以上のデータベースにおけるTSRから取り出され得る。DRCは、1つ以上の中央データベースに保存されたTSRに、患者の全ての組織サンプル及び診断の仕事を、連結することができるであろう。今日のRFIDタグは、TSRを形成するのに必要とされるデータ全てを扱うために実用的ではないと同時に、将来において、全体のTSRが組織運搬容器と関連付けられたRFIDチップに保存されるであろうということが考えられる。この状況において、そのような洗練された機械読み取り可能表示器に保存される参照番号は、対応する組織サンプルのための処置と関連付けられた更に詳細な情報及び/または命令を含むであろう。ルックアップテーブルと連結されるイベントコードを割り当てることが、同様に可能である。この方法において、単純な2進コードが、いくらかのTSRと関連付けられることができるであろう。例えば、組織サンプルを包埋するために使用され得る単に3種類のパラフィンがあり得ると共に、従って、2ワードの2進コードが、3つ全てをカバーすることになる。
【0042】
組織運搬容器と関連付けられた機械読み取り可能表示器の保存レベルが進化するので、より多くの保存を考慮しながら、システムは計画されることができるであろう。RFID技術のような読み取り/書き込み記憶装置がはるかに高価ではなくなるまで、情報をコンピュータ化された(smart)組織処置機械に利用可能にするために、そのデジタルTSRにアクセスするための効率的方法と遠隔データ保存との混成物(hybrid)に頼る更に単純なシステムが、実施されるであろう。以下は、洗練化の3つの異なる代表的なレベルにおけるDRCの移動経路を示す。
【0043】
第1のレベルは、1つの組織識別子DRCのみが各患者のために処置の至る所で使用されるものであろう。1つの組織識別子DRCは、その場合に、各組織処理装置において、ヘルスケア情報システムのデータベースに保存されるもとのTSRに連結されるであろう。これは、組織運搬容器と物理的に関連付けられた最小量のメモリを必要とするであろうと共に、RFIDチップまたは他の洗練されたメモリ装置は組織運搬容器に必要とされないであろう。例えば、DRCは、単に、特定の患者からの特定の組織サンプルまたは複数のサンプルに割り当てられると共に、適当な方法で組織運搬容器に適用される固有のバーコードまたは他の機械読み取り可能表示器の形式であろう。このシステムは、まだ、その特定の組織サンプルに関してコンピュータ化された処理決定(smart processing decision)を行うのを助けるために、組織運搬容器に限られた情報が保存されることを可能にし得る。
【0044】
次のシナリオまたは第2のレベルにおいて、少量の読み取り/書き込みメモリ装置に保存されたTSRが、機械読み取り可能表示器上で利用可能である。この場合、機械読み取り可能表示器は、RFIDチップまたは他の読み取り/書き込みメモリ装置を含むであろう。これは、機械読み取り可能表示器が組織病理学的処置の様々な装置を通過し、それによって組織処置の下流のカスタマイゼーションのために有益な情報を加えるので、システムが機械読み取り可能表示器を更新することを可能にするであろう。処置における機械の1つ以上は、処置される各サンプルに関するTSRを個々に読むであろう。このシナリオにおいて、各機械は、バッチ処理(batch)において一般に実行される組織サンプルのためのその意思決定過程では基本的に独立型(stand-alone)である。
【0045】
第3のレベルにおいて、組織の特定の検査及び処理パラメータに関する情報は、あつらえの(custom)処理パラメータが各サンプルのために指示されることを可能にする、包括的で動的なデジタルファイル(TSR)を作るように構成される。その場合に、病院システムの中で、機械読み取り可能表示器は、サンプルが処理段階を終了するたびに更新される固有のデータベースのレコードにアクセスする固有の番号を単に有することが可能であろう。その場合に、各処置機械は、各段階がサンプルの記録を適切に更新することを保証するように、組織運搬容器と関連付けられたDRCを参照することによって、データベースに問い合わせを行うことができる。組織サンプルが診断のために病理学者に対して進むので、保管における各変化が特定の機械またはユーザに追跡され得ると共に、TSRの遺産のレコード(legacy record)が作成されるという点で、これは、望ましい段階である。組織運搬容器上でRFIDチップを直接プログラムすることにデータが必要以上に関与する状況において、組織運搬容器がその段階においてプログラムされたことを示すために、短いコードが保存され得る。同様に、これは、全体の処置の段階を通じてサンプルを追跡する方法であると共に、例えばサンプルが適切な順番で各段階を達成されたことを裏付けている。機械読み取り可能表示器から遠く離れた1つ以上の他のデータベースに電子的に保存されるTSRを持つことがまだ望ましいであろうが、機械読み取り可能表示器の最も洗練されたバージョンは、少なくともバックアップ及び記録保管の目的のために、全部ではないが、大部分のTSRを運ぶであろう。
【0046】
組織サンプルがTSRと連結される最初の場所は、そのサンプルが患者から採取される手術室(surgical suite)にある。各サンプルまたはサンプルのセットは、生検容器のような組織運搬容器内に置かれる。各生検容器は、患者の入院処理の間、または研究室のシステム(laboratory system)に入るときに割り当てられたDRCを含むであろう、例えばRFIDタグ、バーコード、レーザエッチングされたコード等のような機械読み取り可能表示器を備えているであろう。機械読み取り可能表示器は、更に、病理検査室(pathology laboratory)における次の工程段階、または手順に伝えられる必要がある他の情報を含むであろう。この情報は、疑いのある病理学の種類に関しての外科医の観測を含むであろう。この情報は、例えば特定の細胞または疾病の種類に対する特有のスライド染色のような、サンプルを処理することに関連付けられた後の段階の間重要であろう。以下で説明されることになるように、そのような情報は、病理学者または“histotechnologist”、もしくは、自動化されたグロスインシステムにとって有益であろう。TSRは、更に、手術を遂行した医者の名前、及びサンプルの容器に置かれた生検サンプルの数のような外科的処置に特有の情報を含むであろう。現存する病院の追跡システムにおいて熟考されたように、もし機器が追跡番号を与えられるならば、TSRは、その機器が生検材料を採取するために使用されたことを示す情報によって更新されるであろう。特有の疾患もしくは組織タイプは、その場合に、組織タイプに応じて、特別な組織処理命令を受け取ることができるであろう。いくらかの奇病(rare disease)は、特別なスライド染色を必要とするかもしれない。この状況において、組織は、標準の実行バッチ処理(standard run batch)から自動的に選り抜かれ、そして、個別の染色設定によって処理され得る。
【0047】
米国特許第5,817,032号において、デジタルビデオグロスイン(digital video gross-in)を含んだシステムが説明された。グロスイン装置は、病理検査室に位置しているであろう。これは、その下にサンプルが置かれるであろうデジタルカメラシステムを有する領域として想定される。サンプルのカセットに対する配置の前に、そして、化学薬品/溶媒処理、包埋処理、及び、切片作成処理の前に、サンプルを描写する立体画像(three-dimensional image)を記録することが可能であるように、ステレオカメラシステムが使用されるであろう。写真における“大きさの十字線(size reticule)”は、システムソフトウェアが組織サンプルの全体の領域を計算することを可能にするであろう。超音波映像は、組織サンプルの高さまたは分量を判定するために使用され得る。記録されたこれらのパラメータによって、ソフトウェアは、組織サンプルを包埋するための使用に最も適しているカセットのタイプを、判断するか、または提案する。このグロスイン装置は、更に、RFIDタグのような機械読み取り可能表示器を読み書きするためのシステム、または組織運搬容器に付けられたバーコードラベルもしくはレーザエッチングされたコードのような更に単純な機械読み取り可能表示器を作成するためのシステムを備えているであろう。読み取りシステムは、例えば手術室からのサンプルの情報及び特定の処理命令を、組織運搬容器(例えばサンプルの容器)上の機械読み取り可能表示器を用いて読み取るであろう。
【0048】
デジタルビデオグロスイン(digital video gross-in)は、手動のグロスインシステム(manual gross-in system)にとって代わり、それによって、組織の全体の(gross)属性は、手術室から組織を受け取り次第、病理学者によって口述システムに対して説明される。ビデオグロスインによって、与えられ得るあらゆる口頭による説明は、ビデオデータと共に記録され、その後、“.wav”ファイルのようなデジタル形式に置き換えられる。これらのファイルは、TSR内に音声記録(voice record)として保存され得るか、または、これらのファイルは、その場合に、口述ソフトウェア(dictation software)を用いて複写されるか、あるいは記録転写士(transcriptionist)によってタイプされる得るであろう。いずれにせよ、これらの記録の全ては、病院の外での検索に利用可能であろう。例えば、遠隔地の記録転写士(transcriptionist)は、その日の仕事に関して、特定のTSRの記録に対するアクセス権を与えられるであろう。各TSRが固有のDRCを有しているので、書かれた複写は、完成すると、TSRに連結され得る。この情報は、デジタル処理でTSRに加えられるであろう。TSRは、患者の生検、及び、診断の処理と報告に関する情報の全てを預ける中心地になる。前述したように、TSRは、1つ以上の遠隔データベースに、もしくは、組織運搬容器それ自身に、もしくは、両方の組み合わせを用いて、電子的に保存され得る。
【0049】
グロスインデータが記録された後で、その病理学者は、組織サンプルの準備をすると共に、それらを例えばカセットの形式の個々の組織運搬容器内に収納する。その場合に、それらのカセットは、個々にそれぞれ、各患者に固有のデジタル参照コード(DRC)によって直列化される。その番号またはコードは、更に、そのカセットと物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器に関連する機械読み取り可能なコードを用いて、各カセットに関連付けられる。病理学者が最初に患者からの組織サンプルに遭遇するとき、グロスイン装置(gross-in station)は、DRCを獲得するために、サンプルの容器に問い合わせを行うことになる。その問い合わせは、視覚的に読みやすいコード、RF識別子、または更にはコンピュータキーボード上の手動入力のような、あらゆるフォーマットであり得る。更に、このグロスイン装置の制御パネルは、どのようにその組織が処置のもっと先において処理されると共に区分されるべきであるかに関して、病理学者が、例えば選択メニューから命令を加えること、あるいは、TSRを更新することになるプロセッサコードを従って各個々のカセットに関係させること、を可能にするであろう。そして、この情報は、必要とされた人間/サンプルの相互作用(interaction)を著しく減少させると共に、機械が自動処理決定を行うことを可能にする、後続のコンピュータ化された処理(smart-processing)及び包埋機械の使用を可能にし得る。コンピュータ化された処理は、組織の種類、組織の位置付け(orientation)、または特定の疾患または組織の種類に関して必要とされる特別なスライドの染色、のような情報を含み得る。従って、特別な組織処理特性または要求を有するように示されたサンプルは、正確にそれらの特性または要求に従って処理され得る。
【0050】
組織サンプルがグロスインされた後、準備ができたサンプルは、生検カセットのような1つ以上の個々の組織運搬容器の中に置かれると共に、それらのカセットは、包埋及び切片作成に備えて組織を準備するために、溶媒及び化学薬品のような試薬、またはマイクロ波等を使用し得る組織処理機械の中に移される。カセットの機械読み取り可能表示器は、処理機械の処理室(processing chamber)に入る前のポイントで問い合わせが行われ得ると共に、サンプルの厚さまたはサイズ、及び組織の種類等に基づいて、必要とされる処置の長さ、試薬パラメータ、熱または真空度(vacuum)の制約に照らして保存され得る。これは、各サンプルのグロスインの時にTSRに加えられた情報である。これは、更に、サンプルに関する照合が、それらが適切に処理されることを確実にすることを可能にすることになる。例えば、小さな生検材料は、大きな生検サンプルより更に速い周期(cycle)の処理機械において処理される。小さな生検材料が更に速く実行され得るので、もしその処理室が完全に小さな生検材料で満ちているならば、その処置は短い周期で実行され得る。その場合に、その機械は、同様の処理要求を有するバッチサンプル(batch sample)に対する包括的な(inclusionary)決定を行うと共に、サンプルのこのバッチ処理を組織病理学的処置の1つ以上の部分を通じて一緒に実行する。逆に、もし1つ以上のサンプルが残りと異なるならば、その機械は、バッチ処理から1つ以上のサンプルを除外すると共に、独立してサンプルの処理を実行することができるか、あるいは別の処理機械にサンプルを迂回させることができる。更なる例によって、胸の組織は、高脂肪の内容物を有しており、ある試薬は、他のものより、さらに脂肪を除去する。そのようなシステムは、各組織サンプルのニーズに基づいて組織処理パラメータに変更を加えるように装備された機械によって利用可能な組織の種類に特有の処理(tissue-type-specific processing)を有するように、時間、及び温度、及び化学的(試薬の)組成を調整し得る。
【0051】
十分に自動化された機械は、更に、処置の種類によってカセットを分類すると共に、その処置のサンプルの種類に対する正しいサンプルを、適切な処理室に投入(load)し得る。このシステムは、更に、厚い組織に浸透するために、もしくは他の理由のために、専門の試薬及び/または反応促進剤が特定のサンプルに関して実施されることを可能にする。そのシステムは、これらのサンプルを選り抜き、そして、それらが標準のバッチ処理において処理されることを防止するであろう。その機械は、処理室におけるサンプルの組成に従って処理パラメータを自動的に調整するであろう。
【0052】
一度組織サンプルが処理されれば、それらは、自動化された包埋装置または包埋センタに導かれ得る。前と同じように、各組織運搬容器の機械読み取り可能表示器と関連付けられた情報は、自動化された包埋機械によって読み込まれ得る。例えば、もし組織運搬容器(例えばカセット)が例えばRFIDタグ、またはバーコード上のDRCを含むならば、そのサンプルのためのデータベースのレコードは、包埋機械及び下流の機械による使用のために検索され得る。同じことが処置における上流の機械のために遂行され得る。もし組織運搬容器の機械読み取り可能表示器がこの情報そのものを含まないならば、その機械は、その組織運搬容器と関連付けられた個々のDRCに関して遠く離れたもしくはローカルなデータベースのレコードを単に照会すると共に、そのサンプルの特定の包埋必要条件を獲得するためにTSRを呼び出す。
【0053】
この段階または手順の間、包埋機械は、どのように個々のカセット毎にその特定のサンプルを包埋するかについて指示されることになる。TSRにおける情報は、更に、その生検材料の特定の種類に対して投与される特別な包埋媒体(embedding media)を制御するであろう。例えば、パラフィン切片の異なる分子の重さは、異なる種類の組織によって改善される。胸の組織のような脂肪組織の切片は、筋肉または胆のうの組織と非常に異っている。数百もの異なる種類の組織、及び多くのサイズのカセット及びベースモールド(base mold)があるので、可能な組み合わせの数は、非常に大きくなり得る。例えば、自動システムは、各機械に保存されるルックアップテーブルが提供する多くの可能な順列を管理することになる。拡張されたTSRへのアクセスを有するシステムのような、多くのプログラム可能な変数を有するシステムは、組織病理学の技師(histotechnologist)またはコンピュータ化された処理機械が、正確なサンプル準備のために各機械を制御するための適切な処理及び包埋情報によって、各カセットもしくは他の組織運搬容器のために選択された最高の処理パラメータを実行することを可能にする。
【0054】
顕微鏡切片作成が可能な(microtome sectionable)様々な組織運搬容器が知られている。切片作成が可能な組織取り扱い技術(Sectionable tissue handling technology)は、異なる種類の組織固定化技術(tissue immobilization)に発展することになる。これらの異なる種類の固定化技術が異なる組織処理段階を必要とすることになるということが想定される。従って、機械読み取り可能表示器上の組織サンプルの情報に加えて、特定の組織の処理及び包埋情報は、使用されているカセットまたは他の組織サンプル固定化装置の種類に関連付けられた、前もってプログラムされたコードから生じ得る。TSRに保存される情報は、組織ばかりでなく使用される組織固定化システムの種類のために必要とされる特定の種類の処理と関係があり得る。
【0055】
特定のサンプルに関するか、または特定のサンプルに関連付けられた情報の利用可能性は、包埋機械が、組織サンプルとカセットの大きさ及び数量に基づいて、どのくらいのパラフィンが投与されるべきかを判定することを可能にする。サンプルの種類が包埋センタで確認される場合に、更なる自動化(automation)及び工程管理(process control)に関する他のオプションが、利用可能になり得る。例えば、特定のサンプルは、パラフィンから非常に小さな気泡を引き抜くのに真空補助(vacuum assistance)を必要とし得ると共に、この段階は、TSRにおける情報に基づく命令によって自動的に開始されるであろう。例えば、更に長い処理パラメータ、もしくは、更に短い処理パラメータが、更に、あらゆる特定のカセットまたは他の固定化装置と関連付けられた包埋材料の流量特性(flow characteristic)に基づいて起動され得る。
【0056】
その処置が継続すると、各包埋されたカセット(または他の固定化装置あるいは組織運搬容器)は、その場合に、顕微鏡用スライドに貼り付けるように、パラフィンに埋め込まれた組織サンプル及び硬化した包埋材料(例えばパラフィン)が薄切りに切片化される顕微鏡切片作成(microtomy)装置に移される。自動化された顕微鏡切片作成装置は、更に、顕微鏡切片作成機器(microtome:ミクロトーム)にアクセス可能であろう情報を有することによって、使用可能にされ得る。この情報は、特定のカセットまたは組織の切片作成能力(sectionability)に基づくあるパラメータを含み得る。最初に直面する切片の厚さのようなパラメータは、組織を露出してカットする前に除去されるのに必要とされる材料の正確な厚さを確立するようにプログラムされ得る。コンピュータ化された顕微鏡切片作成機器(microtome:ミクロトーム)は、組織運搬容器と関連付けられたDRCを読み取るであろう。以前に論じられたように、DRCは、顕微鏡切片作成段階または手順の間に使用されるべき関連したパラメータによって顕微鏡切片作成機器を更新し得るデータベースにおけるTSRに関連している。例えば、これらのパラメータは、刃(blade)の適切な種類、及び、その特定の種類の組織またはカセットに対する刃またはチャック(chuck:押さえ装置)の設定値(setting:セッティング)を含み得る。ここで再び、以前の包埋処置を理解することの重要性は、重要であり得る。自動化された包埋センタにおいて、各個々の組織運搬容器装置に使用された特定の種類のパラフィンが記録されることになる。異なる種類のパラフィン切片は、異なる温度において、そして顕微鏡切片作成機器の刃による異なる種類の研磨によって、改善される。従って、特定のサンプルに関して使用されるパラフィンの種類の可動の(traveling)記録(TSR)を提供することによって、自動化された顕微鏡切片作成センタは、ある温度、刃の速度、及び切片の厚さにおいて組織を切片化するために、そのパラメータを調整することができるか、あるいは、ユーザに、特別な刃及び/または刃の設定もしくは他のパラメータを示すことができる。
【0057】
もしRFIDタグのような読み取り/書き込みメモリ装置を装備していたならば、読み取り/書き込み装置(reader/writer)は、特にそのサンプルに関するTSRにアクセスするために、カセット上のコードを読み取ることになると共に、薄切片がスライドへ移されるので、それらのスライドは、関連する組織運搬容器と同じDRCを与えられることになる。これは、各スライドを、特にその生検材料に関する患者の情報と同様に他の関連する処置の情報の全てを含んでいる、そのサンプルと関連付けられたTSRにおける情報に対して、相互的に関連付けることになる。このように、TSR内に構成される、元の患者から、そして患者の登録の時に獲得されたリストバンド(wrist band)から、病理学者による顕微鏡を用いた診断解析まで伸びるデジタル参照番号(digital reference)の完全で切れ目のない鎖が存在する。
【0058】
要するに、診断のスライド分析までの生検サンプルの検索の工程は、現在、所定の組織サンプルと共に後続しなければならない関連情報を記録するための多くの手動システムを包含する。ここで概説されるシステム及び方法を使用することによって、患者/課金情報の全ては、サンプルのために必要とされる特別な処理を定義するのを助けるために、あらゆる組織病理学情報と共に含まれ得る。診断における病理学者にとって有益な情報は、機械読み取り可能表示器の使用によって、機械読み取り可能表示器と関連付けられた洗練化のレベルに応じた個別のデータベースへの参照の有無にかかわらず、各サンプルに結び付けられ得る。システムは、そのあらゆる形態において、単一のTSRが、作成されると共に、それらのサンプルが検索から診断まで進行するにつれて更新されることを可能にする。下記では、図を参照して、実例となる実施例の更に詳細な説明が行われる。
【0059】
図1は、患者の入院時におけるTSRの開始を例証する。リストバンド10は、病院または他の医療機関に入院するときに各患者12に与えられる。このバンド10は、患者12と彼(患者)の医者(図示せず)を特定する。バンド10は、上で論じられたように、望まれた洗練化のレベルに応じて、デジタル参照コード(digital reference code:DRC)のような固有の参照番号を割り当てるバーコードラベルまたはRFIDタグ14を備えている。この例において、リストバンド10上のRFIDタグ14は、患者の固有の識別DRCがプログラムされる。その場合に、このDRCは、患者の記録、またはTSR15を、診断工程の各部分と関連付けるために使用され得る。RFIDタグ14は、例えば、WiFiまたはワイヤレス機能を備えるコンピュータ20を使用して、病院従業員16によってプログラムされ得る。ここで説明された全体の工程において発生するデータ伝送のうちのいずれもが、無線、有線、あるいはそのあらゆる組み合わせであり得るということが認識されることになる。インターネット及び/または更にローカライズされたイントラネットは、データ伝送のためによく使用され得る。
【0060】
入院の際、DRCと関連付けられた、患者の記録またはTSRが開始されると共に、TSRは、医者及び手順の詳細情報(例えば、医者に参照された検査(doctor-referred testing)、及び指示された外科的処置)と同様に、患者の情報(名前、住所、及び社会保障番号(Social Security Number))、保険情報、手続き日を受け取り得る。これは、最終的な診断のレポートのための組織サンプルの記録(TSR)を確立する。
【0061】
無線インタフェースまたはWiFiを使用して、ハードウェアに組み込まれているコンピュータキーボード入力装置またはスキャニング装置30、及びコンピュータ20によって、入院情報またはTSRは、これより先の生検サンプル処理のあらゆるポイントでそこから情報が検索され得る、コンピュータデータベース15に転送されることになる。
【0062】
例えば、図2は、手術室(surgical suite)において発生する処置の段階を例証する。手術室において、患者12の身元(identity)は、機械コード読み取り装置またはスキャナ30を使用して、バーコードもしくはRFIDタグ14を含むリストバンド10によって確認される。看護婦または医学の専門家32は、TSRサーバファイルまたはデータベース15に、患者の外科的情報を記録し得ると共に、どのような手順が実行されるべきであるかを確認し得る。
【0063】
指示された特定の外科的処置は、TSRにおいて調べられる。実行されるべき特定の手順は、どの医療機器が使用されることになるか、及び、どの種類の、そしてどのくらいの組織サンプルが、患者12から、回収または採取されることになるか、を指示することになる。携帯用の読み取り装置(reader)/プログラム装置(programmer)30は、専門の取り扱い方法の必要性を全体の処置の後の方で誘発し得る外科医によって使用されるべきあらゆる機器からデータを取得することができると共に、この情報は、その場合に、サーバデータベース15内の特定のTSRと連結することによって、専門家、または自動システム、または機械に利用可能にされ得る。
【0064】
例えば、生検サンプル容器40は、例えばバーコードラベルもしくはRFIDタグ42を使用して、患者のDRCによってラベル付けされる。TSRは、容器40が含んでいる、容器40内に入れられた患者の組織の種類、及び後の処置段階においてその組織がどのように扱われるべきであるか、によって更新される。各サンプル容器40上のDRCは、特定の患者12及び外科的処置を、一意的に特定することになる。これは、患者12から採取された全ての組織サンプルの追跡を、たとえ病理検査室に着く前であっても、それらが容器40に入れられるとすぐに始めることを可能にさせる。サーバ15上のデータベースのような患者のTSRは、採取された組織サンプルの数、及びどのようにサンプルが獲得されたかを含んでいる、完全なサンプルの記録を含むように、更新されることになる。この情報は、後の最終の診断のレポートにおいて呼び戻され得る。
【0065】
図3は、デジタルグロスインセンタまたはコンポーネント46の使用を含む、病理検査室のグロスイン段階を例証する。生検容器40は、病理検査室に到着する。病理検査室において、サンプル容器40は、デジタルグロスインセンタ46を通って処理される。容器40は、全体の組織病理学的処置に使用され得る多くの種類の組織運搬容器の内の1つである。他のものは、包埋手順の間に使用される組織カセット、プラットフォーム、または他の構造、そして、調査/分析目的のために使用される顕微鏡用スライドを含む。デジタルグロスインセンタ46は、無線を使用してサンプル容器40上のDRCを読み取ることによって、TSR15からサンプルに関する情報を取り出し、そしてこれより先、技術者または他の専門家による、あるいは自動化された機械による処理に使用されるべきあらゆる新しい情報を記録するように、TSRと対話する。
【0066】
デジタルグロスインセンタ46は、読み取り装置を備え、それによって、特定のサンプル容器40が、具体的にグロスインセンタ46に識別される。グロスインセンタ46は、その中に組織サンプル54が容器40の内の1つから移されるカセット52のような組織運搬容器に固定されるRFIDタグ50のような機械読み取り可能表示器をプログラムする。プログラミング機能は、コンピュータまたは他の電子プロセッサのような適当な電子制御装置48を使用して達成され得る。ここで開示された他の組織病理学的処理装置と関連付けられた他の電子制御装置は、同様に、必要とされる能力に応じた、コンピュータ化された制御装置、または電子プロセッサから構成され得る。3次元画像処理を可能にするステレオのデジタルカメラ60、または赤外線のカメラ、及びライト62、マイクロ波、超音波、あるいは他の種類の画像処理システムは、組織サンプル54がカセット52または他の組織運搬容器の上に現れると、組織サンプル54が切片化される前の組織サンプル54の物理的な記録を提供する、組織サンプル54の画像を記録する。これは、後の参照及び立証目的のために、組織運搬容器52と関連付けられるように、サンプルの数及びそれらの外観を含んでいる組織の保存画像を、TSR15に与える。これは、更に、組織処理機械において必要とされる処理時間の長さ、サンプル当たりに必要とされる包埋材料の分量、及び/または自動化された包埋処理の間の全体のパラフィンの分量の要求、または他の変数を指定するために使用され得るサンプル54の分量の計算が行われることを可能にし得る。包埋機械を通って移動する多くのカセットと関連付けられた各サンプルまたは複数のサンプルのために必要とされる包埋材料(例えばパラフィン)の分量の決定は、包埋機械に供給される包埋材料の自動化された在庫管理を提供することになる。もし組織の種類が病理学者によって確認されると共に、TSR15に記録されるならば、自動ルックアップテーブルが、組織サンプル54の密度を決定するために使用されるであろう。この情報は、他の入力または測定されたパラメータと共に、コンピュータアルゴリズムを用いて、各組織サンプル54に処理コードを割り当てるために使用され得る。これは、例えば、前立腺組織のような小さな高密度の組織が、あまり高密度ではない肝臓のずっと大きな一片と同じ処理コードを割り当てられないことを保証することになる。従って、同類または同様の組織の種類が、処理のために更に能率的にバッチ処理されることができ得る。例えば、同類の組織の種類は、同類の処理試薬及び処理サイクルタイム、そして更に、同類の種類のパラフィンを使用し得る。処理効率は、組織サンプルのように手動でバッチ処理する代りに、コンピュータプログラムと共にサンプルの情報の全てを使用する能力によって、向上することになる。
【0067】
グロスインの間に各サンプル54について取得された画像は、更に、最終レポートを作成する際に、サンプル54の書面による物理的記述に取って代わるか、またはサンプル54の書面による物理的記述を補完し、その工程を単純化すると共に、それを更に完全にするように、サーバ上のTSR15から呼び戻され(recall)得る。
【0068】
デジタルグロスインセンタ46は、更に、病理学者による従来の物理的記述を音声記録し、“.wav”ファイルとして情報をセーブすることができ、その場合に、それは、複写ソフトウェアによって、もしくは記録転写士によってTSR15に自動的に複写され得る。これは、TSRサーバ15上に情報のデジタルレコードを形成し続けると共に、その情報は、最終レポートを生成することを援助するために、処理の終りに利用可能になる。
【0069】
デジタルグロスインセンタ46は、更に、病理学者が、カセット52上の機械読み取り可能表示器50に、組織54に対する関心のその特定の特徴が診断のために最もよく視覚化されることを保証するために、例えば工程における後の方で使用される、組織処理センタ、包埋センタ、及び/または染色センタに関する特定の指示を追加することを可能にする。これは、個別に各組織サンプル54を扱うと共に、可能な限りの最も良い診断の情報を獲得するために適切な手順が実行されることを保証する機会を、病理学者に与える。例えば、病理学者は、単一のサンプル54を取得して、それを複数の断片に切り、そして、サンプルにおける異なる特徴を強調するために、工程におけるこれより先で、各個別の断片またはサンプルに適用されるべき異なる手順及び/または染色を指定し得る。更なる処理のための指示が、カセットのRFIDタグ50にプログラムされるか、もしくはTSR15から取り出されるので、各サンプルの必要とされた処置を区別するための、それ以上の人間の干渉は必要ではないであろう。
【0070】
グロスインセンタ46は、更に、作業者の効率的追跡を可能にし得る。各従業員がそれらのセッションの最初に作業番号を入力することを要求することによって、生産性は、サンプルのスループットに基づいて監視され得る。サブルーチンは、サーバ15に保存されたTSRの全てに関して実行され得ると共に、組織病理学的処置における段階または手順を完了するのに必要とされる時間に関する比較が行われ得る。これは、例えば人間の効率が生産性において重要な要素である顕微鏡切片作成を含む、ここで論じられた手順の内のいずれに関してもあてはまる。これは、序列(billing)及び監査目的のためのワークフロー分析及び原価比較を可能にする。その場合に、材料使用を管理すると共に、例えば減速(slowdown)または障害(bottleneck)を提示する全体の工程のあらゆる部分の研究を通じてワークフロー効率を増加させるプログラムを実装するために、予測モデルが使用され得る。
【0071】
図4は、組織処理手順を例証する。グロスインの後で、処理を待つために、カセット52は、ランダムにラック70に挿入される。組織処理は、多くの場合、組織固定(tissue fixation)または組織固着(tissue fixing)と言われる。それは、その組織がパラフィンを染みこまされ得るように、包埋に備えて組織を準備する段階である。理想的に、組織サンプルは、その場合に、同様の密度を有すると共に、サンプルを包含する部分を含有するその全体の断面を横断する切断特性を有しているあろうパラフィンのブロックに包埋される。組織包埋手順は、図5に関連して後で論じられる。時折組織プロセッサ80と言われる組織処理機械は、DRC、すなわちバーコードまたはRFIDタグ50を読み取ることによって、各カセット52に問い合わせを行うと共に、その組織サンプルに関するサーバ内のTSR15にアクセスする。適切な電子制御装置84が、読み取り、アクセス、及び他の必要な処理機能を容易にするために、プロセッサ80に関連して使用され得る。TSRは、デジタルグロスインセンタ46において、またはデジタルグロスインセンタ46より前に、外科的問題においてTSR15に追加されたいくつかあるパラメータの中で、カセットサイズ、サンプルの厚さ、必要とされた試薬または温度によって指定される、その特定のサンプルのための最善の処理サイクルを決定するのに必要とされるデータを含む。その場合に、プロセッサ80は、個別のグループ82において、どのサンプルを一緒にバッチ処理するべきか、そしてどんな種類の処理サイクルを実行するべきか、を決定し得る。プロセッサまたは処理機械80は、各カセット52を、その処理パラメータに基づいて、選択し、そして処理室に置くことができるであろう。この方法において、カセット52は、プロセッサ試薬及び処理時間を節約する効率的なグループにおいて処理される。更に、殺到する指示のために促進された方法(expedited manner)において処理される必要がある組織サンプルは、機械80によって自動的に選び出され、そして、適切に扱われるであろう。有意の人間の介入、または、管理を必要とせずに、これは、効率的な自動化された処理を提供する。
【0072】
組織プロセッサ80は、どのように各組織サンプルが処理されたかに関して、TSR15にデータを書き込むことができる。最終レポートは、それによって、特定のサンプルが処置の全体を通じてどのように扱われたかに関する正しい情報を含むことが保証される。搭載コンピュータ(onboard computer)を備えるそのようなシステムにおいて、プロセッサ80は、更に、いくつのカセット52が処理され、そしてどのような種類のカセット52が処理されたかについて、経過を追跡することができる。これは、消耗品の会計処理(accounting)または発注処理(ordering)にとって有益であり得る。システムは、更に、プロセッサ80が、使用された各試薬、そして実際の使用に基づいて提案された維持管理を追跡することを可能にする。
【0073】
図5は、自動化された包埋センタ100、及びその使用法を例証する。1度処理されると、各カセット52はパラフィンに包埋されなければならない。“Sakura”による“オートテック包埋センタ(Auto TEC Embedding Center)”のような、あるいはその開示が参照によってここに組み込まれる米国特許公開第2005/0226770号明細書において説明されたような、自動化された包埋センタ100における包埋処理を待つために、カセット52は、再度ラック110にランダムに挿入される。適切な電子制御装置102を使用して、包埋センタ100は、RFIDタグ50または他の機械読み取り可能表示器と関連付けられたDRCを読み取ることによって、各カセット52に問い合わせを行う。(と共に、包埋用モールドのサイズ、必要とされる包埋材料(パラフィンパラメータ)、サンプルの優先順位等のような必要とされる包埋パラメータを決定するために、TSR15にアクセスする。)カセット52は、あまねく、必要とされる包埋用モールドのサイズを決定するために読み込まれ得る物理的な照会ポイント(physical query point)を有している。更に詳細な処置の仕様が、TSR15またはカセット52上のRFIDチップ50を用いて特定のサンプルと連結され得ると共に、TSR15は、自動的に更新される。包埋センタ100は、その場合に、グループ120内の同等の処理パラメータによって、カセット52を自動的にバッチ処理するか、または、そのRFIDタグ50、及び対応するTSR15を読み取った後で、各個々のカセット52のために処理パラメータを再構成する。カセット52は、パラフィンまたは他の包埋材料に包埋される。
【0074】
包埋センタ100は、どのように各サンプルが処理されたかを証明する情報によって各TSR15を更新する。最終レポートは、特定のサンプルが処置の全体を通じてどのように扱われたかに関する正しい情報を含むことが保証される。
【0075】
図6は、顕微鏡切片作成センタ130、及びその使用法を例証する。顕微鏡切片作成装置132は、例えば、電子光学の、もしくはRFの読み取り装置136によって、各個々のカセット52上の表示器50を読み取ると共に、カセット52から切片を受け取る顕微鏡用スライド150上の機械読み取り可能表示器140上のDRCを適切に記録するプログラム装置138に、識別情報を送信する。適切な電子制御装置142は、全体の手順の他の部分と同様に、例えば読み取り装置136とプログラム装置138との間の情報の必要な交換、そして更に、TSR15との情報の交換を容易にするために使用される。顕微鏡切片作成装置132は、カセット52から薄いリボン切片152を作成すると共に、それは、その場合に、水槽154内の顕微鏡用スライド150上に浮かべられる。カセット52上のRFIDタグまたは他の表示器50は、それらの切片が取得されるパラフィンブロックに埋め込まれた状態を維持する。更なる切片が後の試験のために必要とされるならば、このブロックは、その場合に、保管されると共に、(ブロック保管設備における電子RFID照会によって)呼び戻され得る。保管の場所は、サーバ15上のTSRに記録され得る。顕微鏡用スライド150は、RFIDタグ140を用いてカセット/パラフィンブロックDRCでラベル付けされ、従って、オリジナルの組織サンプルのTSR15に対する追跡可能性が保証される。これは、サンプルのオリジナルのグロスインから生じると共に、例えば、どんな種類の染色が組織サンプルのために必要とされるかを指定する情報へのアクセスを提供する。各カセット/パラフィンブロックから作成された顕微鏡用スライドの番号の記録が、追跡可能性のためにTSR15内に作成される。
【0076】
図7は、代替の自動化された顕微鏡切片作成及び顕微鏡用スライド準備センタ、またはコンポーネント170、及びその使用法を例証する。このコンポーネント170は、図6において説明された工程を自動化する。カセット/パラフィンブロック上の機械読み取り可能表示器50から取り出された情報を使用して、スライド準備センタ170は、カセット/パラフィンブロック52を受け取る処理、それを切片化し、リボン切片152を、関連する機械読み取り可能表示器140によって適切にラベルを付けられた顕微鏡用スライド150に貼り付ける処理を自動化する。例えば、表示器140は、プログラム装置172の使用によって、例えば、対応する組織サンプルに適合するDRCを有するように符号化される。ここに開示された他の装置と同様に、(コンピュータまたは電子プロセッサのような)適切な電子制御装置174が、情報の交換及び制御機能の遂行を容易にするために使用される。
【0077】
図8は、染色センタ200、及びその使用法を例証する。顕微鏡用スライド150は、染色センタ200に任意の順序で挿入される。各スライド150上の表示器140からDRCを読み取ることを通して獲得された情報を使用すると共に、電子制御装置202を用いてTSR15からデータを検索して、染色センタ200は、スライド150を、それらをグループ210における同様の処理パラメータによってバッチ処理をするように、選択して配置することができる。これらのパラメータは、共通の染色配列、タイミング、優先順位等を含むことができる。患者に関するサーバレコードまたはデータベース15は、各スライド150がこのセンタ200を通って処理されたことを確認する情報によって、更新される。情報は、例えば準備されたスライドの数及び行われたあらゆる特別な手順を含んで、請求書作成目的のために使用されることになるTSR15に転送される。
【0078】
染色センタ200は、病理学者によるレビューのために、スライド150を、患者毎の適切なスライドトレイに分類する。(既に患者の記録に記録された情報から)患者毎に生成されるスライド150の総数を追跡する能力によって、分類装置は、他のものが全てのスライドの処置の完了を待つ一方、どのトレイが完全であるか、そしてレビューの準備が整っているかを識別し得る。
【0079】
図9は、病理学者のレビュー及び最終のレポート作成を例証する。病理学者220は、顕微鏡222の下でスライド150をレビューする。顕微鏡222は、電子制御装置224を含むことができるか、または制御装置224は、個別のコンポーネントであり得る。いずれにせよ、それは、情報の交換、及び/または、ここで説明された手順の制御機能に関係した機能を実行し得る。レポーティングシステムを使用して、彼または彼女は、患者の入院から手術室におけるサンプルの採取、そしてスライド準備工程を通して保存された情報の全てを呼び戻すことができる。彼は、サンプルの適切な識別情報及び扱いを確認することができる。標準化されたレポート書式230は、顕微鏡用スライド150上にある表示器140に記録されたDRCに基づいて自動的に記入されることになる情報ブロック及びデジタル画像リンク(digital picture link)を含む。スライド150の顕微鏡分析のデジタル記録は、同様に記録され得る。追加の情報及び診断が、マイクロホン232を使用した口述筆記(dictation)、及び、それに続く自動化された複写、及び/または、手動のキーボード入力によって、レポート及びTSR15に加えられ得る。例えば、病理学者220は、マイクロホン232を使用して彼の/彼女の分析について説明すると共に、例えばそれは“.wav”ファイルのようなオーディオファイルとして記録され得る。このファイルは、TSR15におけるオーディオファイル及び/またはテキストファイルとして保存され得る。顕微鏡222は、好ましくは、病理学者が組織サンプルのデジタル画像を取得することを可能にする能力を有していると共に、これらの画像は、病理学レポートの一部にされ得るか、または他の場合はTSR15の一部にされ得る。このデジタル記録は、その場合に、患者の医者240に電子的に送り返され得る。
【0080】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【0081】
本発明が様々な好ましい実施例の説明により例証されたと同時に、そして、これらの実施例が少し詳細に説明される一方、添付された請求項の範囲を、そのような詳細に制限すること、及び何らかの方法で制限することは、出願人の意図ではない。追加の利点及び修正は、当業者に容易に発明されるであろう。ここで論じられた様々な特徴は、単独で使用され得るか、ユーザのニーズ及び好みに応じてあらゆる組み合わせにおいて使用され得る。これは、現在知られている本発明を実行する好ましい方法と同様に、本発明の実例となる特徴及び実施例の記述であった。しかしながら、発明そのものは、添付された請求項によって単に定義されるべきである。
【符号の説明】
【0082】
10 リストバンド
12 患者
14 バーコードラベルまたはRFIDタグ
15 TSR
16 病院従業員
20 コンピュータ
30 機械コード読み取り装置またはスキャナ
32 看護婦または医学の専門家
40 生検サンプル容器
42 バーコードラベルもしくはRFIDタグ
46 デジタルグロスインセンタまたはコンポーネント
48 電子制御装置
50 RFIDタグ
52 カセット(組織運搬容器)
54 組織サンプル
60 デジタルカメラ
62 ライト
70 ラック
80 組織プロセッサ
82 個別のグループ
84 電子制御装置
100 自動化された包埋センタ
102 電子制御装置
110 ラック
120 グループ
130 顕微鏡切片作成センタ
132 顕微鏡切片作成装置
136 読み取り装置
138 プログラム装置
140 機械読み取り可能表示器
142 電子制御装置
150 顕微鏡用スライド
152 薄いリボン切片
154 水槽
170 自動化された顕微鏡切片作成及び顕微鏡用スライド準備センタまたはコンポーネント
172 プログラム装置
174 電子制御装置
200 染色センタ
202 電子制御装置
210 グループ
220 病理学者
222 顕微鏡
224 電子制御装置
230 標準化されたレポート書式
232 マイクロホン
240 患者の医者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するためのシステムであって、
前記組織病理学的処置の少なくとも1つの段階の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される組織運搬容器と、
前記組織生検サンプルと関連付けられかつ組織処理手順と関連付けられた情報を保存するデータベースと、
前記組織生検サンプルと結び付けられた機械読み取り可能参照番号を含むと共に、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器と、
前記参照番号を読み取り、前記参照番号を使用して前記データベース内の前記情報にアクセスし、アクセスされた前記情報に従って前記組織処理手順の少なくとも一部を実施するように機能する電子制御装置と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電子制御装置を含み、前記組織処理手順の少なくとも一部を実行するように機能する、組織処理装置を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記組織処理装置が、組織グロスイン装置、組織プロセッサ、組織包埋装置、組織顕微鏡切片作成装置、組織スライド準備装置、及び診断スライド読み取り装置から成るグループの中から選択される
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子制御装置が、前記データベース内の前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記機械読み取り可能表示器が、組織生検サンプルの処理パラメータを定める際に使用するのための情報を保存する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電子制御装置が、前記機械読み取り可能表示器に保存された前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記機械読み取り可能表示器が、更に、RFIDタグを備える
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記参照番号が、更に、デジタル参照コードを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記機械読み取り可能表示器が、読み取り専用表示器である
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記読み取り専用表示器が、更に、前記組織運搬容器上のバーコードまたはエッチング画を含む
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するためのシステムであって、
前記組織病理学的処置の段階の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される組織運搬容器と、
前記組織生検サンプルと結び付けられた参照番号を保存し、前記組織生検サンプルの少なくとも1つの物理的な特性に関連付けられた情報を更に保存すると共に、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能及び書き込み可能表示器と、
前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に保存された前記参照番号及び前記情報を読み取り、アクセスされた前記情報に従って前記組織処理手順の少なくとも一部を実施するように機能する電子制御装置と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記電子制御装置が、更に、新しい情報を前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に書き込むように機能する
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記新しい情報が、前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に既に保存された情報の更新を含む
ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に保存された情報が、個別のデータベースに保存された情報の少なくとも一部と同じである
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記機械読み取り可能及び書き込み可能表示器に保存された情報が、前記データベースに保存された情報と少なくとも部分的に異なる
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記電子制御装置を含み前記組織処理手順の少なくとも一部を実行するように機能する、組織処理装置を更に備える
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記組織処理装置が、組織グロスイン装置、組織プロセッサ、組織包埋装置、組織顕微鏡切片作成装置、組織スライド準備装置、及び診断スライド読み取り装置から成るグループの中から選択される
ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記電子制御装置が、前記データベース内の前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記機械読み取り可能表示器が、組織生検サンプルの処理パラメータを定める際に使用するのための情報を保存する
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記電子制御装置が、前記機械読み取り可能表示器に保存された前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記機械読み取り可能表示器が、更に、RFIDタグを備える
ことを特徴とする請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記参照番号が、更に、デジタル参照コードを含む
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項23】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを包埋するためのシステムであって、
包埋手順の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される組織運搬容器と、
後の顕微鏡切片作成のために前記組織生検サンプルを包埋するように機能する包埋装置と、
前記包埋処理に関連付けられた情報を保存するデータベースと、
前記組織生検サンプルと結び付けられた機械読み取り可能参照番号を含むと共に、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器と、
前記機械読み取り可能表示器に保存された前記参照番号及び前記情報を読み取り、前記データベース内の前記情報にアクセスし、前記情報に従って前記包埋手順の少なくとも一部を実施することが可能であると共に、動作可能なように前記包埋装置と連結された電子制御装置と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記データベースに保存される情報が、前記包埋装置に、包埋材料を受け取るための少なくとも2つの異なるモールドの内の1つに前記組織生検サンプルを置くように指示するために使用される
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記情報が、前記機械読み取り可能表示器に保存されると共に、前記包埋装置に、包埋材料を受け取るための少なくとも2つの異なるモールドの内の1つに前記組織生検サンプルを置くように指示するために使用される
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記データベースに保存される情報が、前記包埋装置に、前記組織生検サンプルを包埋するために使用される包埋材料を暖める及び/または冷やすように指示するために使用される
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記情報が、前記機械読み取り可能表示器に保存されると共に、前記包埋装置に、前記組織生検サンプルを包埋するために使用される包埋材料を暖める及び/または冷やすように指示するために使用される
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記データベースに保存される情報が、前記組織生検サンプルを包埋するための包埋材料を選択するために使用される
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項29】
前記情報が、前記機械読み取り可能表示器に保存されると共に、前記組織生検サンプルを包埋するために使用される包埋材料を選択するために使用される
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項30】
前記電子制御装置が、前記データベース内の前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項31】
前記電子制御装置が、前記機械読み取り可能表示器に保存された前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項32】
前記機械読み取り可能表示器が、更に、RFIDタグを備える
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項33】
前記参照番号が、更に、デジタル参照コードを含む
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項34】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するためのシステムであって、
前記組織生検サンプルの後の包埋を可能にするための手順の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される組織運搬容器と、
前記組織生検サンプルが、前記組織生検サンプルの後の包埋を可能にするための前記手順の支配を受けるように機能する組織プロセッサと、
前記手順と関連付けられた情報を保存するデータベースと、
前記組織生検サンプルと結び付けられた機械読み取り可能参照番号を含むと共に、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器と、
前記参照番号を読み取り、前記参照番号を使用して前記データベース内の前記情報にアクセスし、前記情報に従って前記手順の少なくとも一部を実施することが可能であると共に、動作可能なように前記組織プロセッサと連結された電子制御装置と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項35】
前記データベースに保存される情報が、前記組織プロセッサに、前記手順の間に使用される化学試薬、サイクル時間、またはサイクル温度の内の少なくとも1つに関して指示するために使用される
ことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記情報が、前記機械読み取り可能表示器に保存されると共に、前記組織プロセッサに、前記手順の間に使用される化学試薬、サイクル時間、またはサイクル温度の内の少なくとも1つに関して指示するために使用される
ことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記電子制御装置が、前記データベース内の前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記データベースが、前記機械読み取り可能表示器に存在する
ことを特徴とする請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記機械読み取り可能表示器が、更に、RFIDタグを備える
ことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
前記参照番号が、更に、デジタル参照コードを含む
ことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項41】
組織病理学的処置の少なくとも一部を実行するためのシステムであって、
組織生検サンプルを運ぶように構成される組織運搬容器と、
前記組織生検サンプルと結び付けられた機械読み取り可能参照番号を提供すると共に、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器と、
前記機械読み取り可能表示器の前記参照番号と関連付けられた組織サンプルの記録を保存し、それにより前記組織サンプルの記録における情報が前記生検組織サンプルの前記組織病理学的処置における少なくとも1つの段階の遂行を支援するために使用可能である、データベースと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項42】
前記組織サンプルの記録における情報が、
前記組織生検サンプルの包埋の前の前記組織生検サンプルの処理、
前記組織生検サンプルの包埋、
前記組織生検サンプルの顕微鏡切片作成法スライドの準備、
スライド上の前記組織生検サンプルの染色、または、
前記組織生検サンプルに関する最終の病理学レポートの準備、
の内の少なくとも1つの遂行を支援するために使用可能である
ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理するためのシステムであって、
それぞれが、前記組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを運ぶように構成される複数の組織運搬容器と、
前記組織病理学的処置の間に少なくとも1つの手順を実行するように機能する機械と、
前記手順と関連付けられた情報を保存するデータベースと、
それぞれが対応する前記組織運搬容器に関連付けられた前記組織生検サンプルと結び付けられた固有の機械読み取り可能参照番号を含むと共に、それぞれが前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた複数の機械読み取り可能表示器と、
前記参照番号を読み取り、固有の前記参照番号を使用して前記データベース内の前記情報にアクセスし、異なる前記参照番号に関して保存された同類の情報に基づいて前記手順の少なくとも一部を実施することが可能であると共に、動作可能なように前記機械と連結された電子制御装置と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項44】
前記電子制御装置が、前記同類の情報に基づいて、前記手順の中の少なくとも1つの操作を、前記組織生検サンプルの内の少なくとも1つに対して実行されることから除外する
ことを特徴とする請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記電子制御装置が、前記同類の情報に基づいて、少なくとも1つの操作を、前記組織生検サンプルの内の少なくとも1つに対して実行されるべき前記手順の中に含む
ことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記電子制御装置が、前記データベース内の前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記電子制御装置が、前記機械読み取り可能表示器に保存された前記情報を更新するように機能する
ことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項48】
前記機械読み取り可能表示器が、更に、RFIDタグを備える
ことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項49】
前記参照番号が、更に、デジタル参照コードを含む
ことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項50】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理する方法であって、
組織運搬容器によって運ばれる組織生検サンプルに関連付けられた参照番号を得るために、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器を読み取る段階と、
前記機械読み取り可能表示器から得られた前記参照番号に関連付けられた、データベース内の情報にアクセスする段階と、
前記組織病理学的処置の間に前記情報を使用して少なくとも手順を実行する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
組織処理装置が、前記機械読み取り可能表示器を読み取るために使用される読み取り装置を備え、
前記方法が、更に、前記組織処理装置によって前記手順を実行する段階を含む
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記組織処理装置が、組織グロスイン装置、組織プロセッサ、組織包埋装置、組織顕微鏡切片作成装置、組織スライド準備装置、及び診断スライド読み取り装置から成るグループの中から選択される
ことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理する方法であって、
組織運搬容器によって運ばれる組織生検サンプルに関連付けられた情報を得るために、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器を読み取る段階と、
前記組織病理学的処置の間に前記情報を使用して少なくとも1つの手順を実行する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
組織処理装置が、前記機械読み取り可能表示器を読み取るために使用される読み取り装置を備え、
前記方法が、更に、前記組織処理装置によって前記手順を実行する段階を含む
ことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記組織処理装置が、組織グロスイン装置、組織プロセッサ、組織包埋装置、組織顕微鏡切片作成装置、組織スライド準備装置、及び診断スライド読み取り装置から成るグループの中から選択される
ことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記手順を実行する前記段階が、更に、下記の、
a)前記組織生検サンプルに関連付けられた情報を記録するための組織グロスイン手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、
b)包埋に備えて前記組織生検サンプルを準備するための組織色留め手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、
c)顕微鏡切片作成及び顕微鏡用スライド準備に備えて前記組織生検サンプルを準備するための組織包埋手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、及び/または、
d)前記組織生検サンプルの顕微鏡用スライドの準備をするための顕微鏡切片作成手順のパラメータを選択するために前記情報を使用する段階、
の内の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項57】
組織病理学的処置の間に組織生検サンプルを処理する方法であって、
組織運搬容器によって運ばれる前記組織生検サンプルに関連付けられた情報を得るために、前記組織運搬容器と物理的に関連付けられた機械読み取り可能表示器を読み取る段階と、
前記情報に少なくとも部分的に基づいて電子的な組織サンプルの記録にアクセスする段階と、
アクセスされた前記情報を使用して、前記組織病理学的処置の間に、組織の色留め、組織の包埋、顕微鏡切片作成、顕微鏡用スライド準備、顕微鏡用スライド染色、及び病理学レポートの準備からなるグループから選択される少なくとも1つの手順を制御する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
更に、前記組織病理学的処置の後の手順において使用するのための情報によって、前記電子的な組織サンプルの記録内の情報を更新する段階を含む
ことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つの手順を制御する前記段階が、更に、包含的に、もしくは、排他的に、異なる組織運搬容器及び/または異なる組織生検サンプルと関連付けられた同類のパラメータまたは類似のパラメータの比較に基づいてバッチ処理判定を実行する段階を含む
ことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記機械読み取り可能表示器に含まれる前記情報が、前記組織生検サンプルまたは前記組織運搬容器の内の少なくとも1つと関連付けられたデジタル参照コードを含み、
前記電子的な組織サンプルの記録が、前記組織運搬容器から遠く離れたデータベースに少なくとも部分的に保存される
ことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記電子的な組織サンプルの記録が、前記組織病理学的処置に使用される装置の制御装置に備えられるデータベースに少なくとも部分的に含まれる
ことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記電子的な組織サンプルの記録が、前記機械読み取り可能表示器に少なくとも部分的に保存される
ことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記機械読み取り可能表示器が、デジタル参照コードのみを含み、
前記電子的な組織サンプルの記録の他の情報が、前記機械読み取り可能表示器から遠く離れたデータベースに保存される
ことを特徴とする請求項57に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−514201(P2012−514201A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543703(P2011−543703)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/069573
【国際公開番号】WO2010/078240
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505077404)バイオパス・オートメーション・エル・エル・シー (8)
【Fターム(参考)】