組織破壊治療及びその治療に使用するための組成物
本発明は、組織破壊の治療において活性を有する薬剤に関する。特に、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記混合物は変性されており、且つ、a)組織破壊の治癒;b)アポトーシスの調節;c)TNF活性の調節;d)TNF−R活性の調節;e)TACE活性の調節;並びにf)カスパーゼ活性の調節からなる群の1つ又は複数から選択される活性を有する、組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織破壊の治療において活性を有する薬剤に関する。特に、本発明は、組織治癒特性を有する活性画分の有効量を含む組成物であって、前記活性画分が、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との変性された混合物から分離されている組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
効果的な治療が無いことによって、日焼け、軟組織及び結合組織の損傷、並びに創傷のような組織破壊の治療は遅れている。問題の一部は、治癒の過程についての理解が無いことにある。
【0003】
創傷治癒は、通常、(a)組織破壊及び正常な組織構造の損失、(b)細胞壊死及び出血;血流遮断(血塊形成)、(c)血管のうっ血及び組織浮腫と共に、分葉核及び単核炎症細胞の浸潤、(d)単核細胞(マクロファージ)による血塊並びに損傷細胞及び組織の溶解、並びに(e)肉芽組織の形勢(線維増殖及び血管新生)を含む、一連の協調的で定型の事象である。この一連の細胞事象は、多数の哺乳動物種において生じる全ての組織及び器官の創傷で認められている(Gailet et al., 1994, Curr. Opin. Cell. Biol. 6:717-725)。したがって、上述の細胞の一連の事象は、全ての哺乳動物種の修復の普遍的な態様である。
【0004】
さらに、創傷治癒の過程は、サイトカイン、酵素、増殖因子、例えば、TNF−α、TNFα変換酵素(TACE)、及びカスパーゼを必要とする。例えば、TNF−αは、UV光曝露後の皮膚において放出され、続いて膜受容体に結合し、シグナル伝達を開始させる。同様に、TNF−α受容体(TNF−αR)の発現は、紫外光によって修飾されることが報告されている。TNF−αの発現も、脳損傷に続いて即時に誘導される。TACEインヒビターは、TNF−αの分泌を低減し、TNF−αが細胞膜に結合した状態を維持する。カスパーゼは、アポトーシス、例えば、外傷性脳損傷の動物モデルにおけるアポトーシスと強く関連している。サイトカインインヒビター及びアポトーシスのインヒビターは、原発性の組織破壊後に多くの場合に生じる続発性の損傷に対して作用し、かくして、生じる可能性があった組織損傷の程度をこの処理で低減する。
【0005】
組織破壊の現在の治療用組成物の多くは、最適な要求品質に取り組むという課題を有する。例えば、創傷(組織破壊の一態様)治療の観点からは、最適な要求品質は、創傷収縮の速度の促進、上皮形成の速度の増大、並びに肉芽形成物質の成熟速度の増大、最終的には、それによって治癒した創傷について完全な成熟までの時間を低減することである。
【0006】
同様の問題が、他のタイプの組織破壊においても存在する。例えば、火傷は成功裡に治療されていない。深い軟組織損傷に関しては、過去の治療は、軟組織を修復又は増加するための各種の物質の注射を含んでいる。使用する薬剤の幾つかは、液体シリコーン、化学的架橋形態及び繊維形態のような各種の形態におけるコラーゲン、並びにヒアルロン酸を含む。
【0007】
残念なことに、これらの手法及び物質はいずれも、有効性又は効力における欠点によって理想のものではないと解される。例えば、液体シリコーンは、身体の異なる部位に移動して生理学的及び臨床的な問題を生じさせることが発見された際に、FDAによって禁止された。
【非特許文献1】Gailet et al., 1994, Curr. Opin. Cell. Biol. 6:717-725
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、軟組織及び結合組織損傷、深い軟組織損傷、外傷、並びに開放創を含む、組織損傷を治療するために使用し得る治療用組成物であって、原発性及び続発性の損傷を停止し、且つ、組織修復の速度を促進することによって、損傷の完全な成熟までの時間が低減される組成物を有する事が望ましい。
【0009】
広範な生化学的研究によって、本発明者は、従来技術の組織破壊治療に関する問題の幾つかを克服するか又は少なくとも軽減し得る組成物を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記画分が変性されており、
(a)組織損傷の治癒;
(b)アポトーシスの調節;
(c)TNF−α活性の調節;
(d)TNF−αR活性の調節;
(e)TACE活性の調節;並びに
(f)カスパーゼ活性の調節
からなる群の1つ又は複数から選択される活性を有する、組成物を提供する。
【0011】
ある実施態様では、前記カスパーゼは、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である。
【0012】
前記血漿又は血清は、任意の動物起源から得られて良い。好ましくは前記血漿又は血清は、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から単離される。
【0013】
ある実施態様では、前記血漿及び/又は血清は、使用前に乾燥されているか又は凍結乾燥されている。
【0014】
前記血漿及び/又は血清を得たら、少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩と混合する。前記金属、金属イオン、又はその金属塩は、任意の金属であって良い。ある実施態様では、前記金属は、ニッケル、ナトリウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、銀、及び水銀、それらのイオン又は塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
前記金属、金属イオン、又はその金属塩を血漿及び/又は血清と混合したら、好ましくは少なくとも50℃に加熱する。好ましくは、混合物を約65℃に加熱する。
【0016】
ある実施態様では、1つ又は複数のプロテアーゼ、例えば、トリプシンを加熱前に添加する。加熱後に添加する場合には、結果として得られる混合物を再び加熱し、次いで冷却して、軟組織及び結合組織損傷並びに創傷のような組織破壊を治癒し得る混合物を製造する。
【0017】
第二の加熱工程は、好ましくは、約80℃から約150℃の間、更に好ましくは約90℃から約130℃の間、最も好ましくは約120℃で実施する。
【0018】
本発明の創傷治癒混合物は、直接又は更に分離して使用して、治癒特性を有する更に特定された画分を製造しても良い。
【0019】
本発明の組成物は、上述の混合物の少なくとも1つの画分を含んで良い。ある実施態様では、本発明の組成物は、任意に医薬担体と混合される。任意の当該技術分野において既知の医薬担体を使用して良い。
【0020】
したがって、第二の態様では、本発明は、
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;及び
(b)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が、組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、並びにカスパーゼ活性を調節することが可能である、組成物の調製方法を提供する。
【0021】
前記活性画分を分離する工程は、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用する、アフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、及びゲル濾過クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーによるものであって良い。
【0022】
ある実施態様では、前記方法は、1つ又は複数のプロテアーゼの存在下で前記混合物をインキュベートして、消化された混合物を製造し、前記消化された混合物を加熱する工程を更に含む。これらの工程は、少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩の添加の前又は後に実施して良い。
【0023】
したがって、第三の態様では、本発明は、
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;
(b)プロテアーゼの存在下で前記混合物をインキュベートして、消化された混合物を製造する工程;
(c)前記消化された混合物を加熱する工程;並びに
(d)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が、組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、並びにカスパーゼ活性を調節し得る、組成物の調製方法を提供する。
【0024】
前記活性画分を分離する工程は、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用する、アフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、及びゲル濾過クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーによるものであって良い。
【0025】
ある実施態様では、工程(b)及び(c)は、少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩の添加前に実施する。更に別の実施態様では、工程(a)は、NaHCO3を添加する工程を含む。
【0026】
熱によって混合物を変性する工程は、65℃より高い温度で実施して良い。
【0027】
分画工程(d)は、ポリアミドカラムクロマトグラフィーによって実施して良いが、分画の任意の他の方法を使用して良い。
【0028】
本発明は、本発明の第二及び第三の態様の方法によって調製される組成物を更に提供する。
【0029】
第四の態様では、本発明は、組織破壊、調節されたアポトーシス、調節されたTNF−α活性、調節されたTNF−αR活性、TACE活性、及び調節されたカスパーゼ活性の1つ又は複数と関連する病気又は疾患を治療する方法であって、前記方法が、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から単離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記活性画分が組織損傷を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及び/又はカスパーゼ活性を調節し得る組成物の有効量を対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0030】
前記投与方法は、当該技術分野で既知の任意の方法であって良い。ある実施態様では、前記組成物は、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、経膣、又は吸入によって投与する。最も好ましくは、前記組成物は局所的に投与する。
【0031】
第五の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から単離した活性画分の有効量と製薬学的に許容される担体とを含む、対象の組織破壊を治療するための組成物であって、前記混合物が変性されており、前記活性画分が組織破壊を治癒し得る、組成物を提供する。
【0032】
第六の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との変性された混合物から抽出される、組織破壊を治癒し得る組織破壊治療物質を提供する。
【0033】
組織破壊治療物質は、製薬学的に許容される担体と更に混合して良い。前記担体は、蒸留水、生理食塩水溶液、リンガー溶液、植物油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ラクトース、マンニトール、コーンデンプン、クリスタリンセルロース、アラビアガム、ゼラチン、ジャガイモデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、タルク、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つであって良い。
【0034】
第七の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との混合物から分離した活性画分を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記画分が製薬学的に許容される担体と混合されている組成物の治療量を、組織破壊の治療を必要とする対象に投与する工程を含む、前記対象における組織破壊を治療する方法を提供する。
【0035】
組織破壊は、外傷、創傷、微生物感染、日焼けを含む火傷、潰瘍、腱/靭帯損傷若しくは使いすぎ障害を含む軟組織若しくは結合組織損傷、炎症、並びに皮膚疾患からなる群から選択されて良い。ある実施態様では、組織破壊は、軟組織及び/又は結合組織損傷あるいは日焼けを含む火傷である。
【0036】
第八の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との混合物から分離した活性画分を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記画分が製薬学的に許容される担体と混合されている組成物の治療量を、破壊された組織に適用する工程を含む、組織破壊を治療する方法を提供する。
【0037】
第九の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との変性された混合物から分離した活性画分を含む、組織破壊を治癒することが可能な創傷被覆材を提供する。
【0038】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との活性化画分が、病気又は疾患の治療において使用される医療器具を被覆する為に使用することが更に意図される。かくして被覆されて良い前記医療器具は、例えば、カテーテル、ガイドチャンネル(guide channel)、探針、心臓弁、軟組織代替物、動物起源の代替物、人工腱、骨及び心臓血管の代替物、コンタクトレンズ、血液酸素供給機、人工の腎臓、心臓、膵臓、及び肝臓、血液バッグ、シリンジ、手術器具、濾過システム、実験器具、細胞及び組織の培養物及び再生物の容器、並びにペプチド、タンパク質、及び抗体の支持体である。
【0039】
したがって、第十の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との組織破壊を治癒し得る画分で被覆した医療機器を提供する。
【0040】
本発明の治療用組成物及び/又は創傷被覆剤が、抗菌剤、抗ウイルス剤、増殖因子、抗脱水化合物、ファクターXaのような凝固因子、抗敗血症剤、あるいは生物医学的及び/又は獣医学的な用途に適する他の化合物を含むが、それらに限らない化合物を更に含んで良いことも更に意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明を詳細に開示する前に、本発明は特に例示した方法に限定されず、言うまでも無く変形して良いことが理解されるべきである。本明細書で使用する用語は、本発明の特定の実施態様を記載する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。
【0042】
本明細書に引用した全ての文献、特許、及び特許出願は、上記又は下記のいずれかにおいて、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる。しかしながら、本明細書に記載の文献は、文献内に記載されて本明細書と関連して使用され得るプロトコル及び試薬を記載及び開示する目的のために引用する。本明細書では、本発明が、その様な従来の発明による開示に先行する資格がないことを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0043】
更に、本発明の実施は、他に示さない限り、従来技術の範囲内である従来の化学及び薬理学を利用する。その様な技術は、技術者にも良く知られており、文献、例えば、Coligan, Dunn, Ploegh, Speicher and Wingfield “Current protocols in Protein Science" (1999) Volume I and II (John Wiley & Sons Inc.); The Merck Index, 12th Edition (1996), Therapeutic Category and Biological Activity Index; and Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th Edition, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, USAにおいて十分に説明されている。
【0044】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、背景が明示していない限り、複数のものを含むことを注意しなくてはならない。かくして、たとえば、「a metal(金属)」は、その様な金属の複数を含み、「an isolated protein(単離されたタンパク質)」は、1つ又は複数のタンパク質を示す。他に規定しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載したものと類似又は同等の任意の物質及び方法を使用して、本発明を実施又は試験して良いが、好ましい物質及び方法を本明細書に記載する。
【0045】
広範な態様において、本発明は、組織破壊についての治療として有用な組成物を提供する。用語「組織破壊」は、本発明の薬剤、治療用組成物、及び創傷被覆剤を用いて治療し得るヒトを含む動物に影響を与える異常状態を示す。用語「組織破壊」は、炎症、外傷、創傷、軟組織損傷、結合組織損傷、非空気曝露損傷、例えば、捻挫及び腱/靭帯損傷のような深い軟組織損傷、全てのタイプの日光による損傷を含む火傷、例えば、日焼け、並びに使いすぎ障害を本発明では含んで良い。
【0046】
前記損傷は、軽微な組織破壊、例えば、表皮、真皮、筋肉、又は脂質組織を空気に曝すことであって良い。用語「創傷」は、刺創、切傷、裂傷、穿通創、貫通創、及びトンネル創(tunnel wound)などを含む。創傷は、縫合されているか又は機械的に接着されているが、皮膚、口腔粘膜層、又は結膜及び角膜を含む眼の表面層における切断を治癒又は修復していない開放創も含む。
【0047】
本明細書で使用する用語「外傷」及び「表面外傷」は、病理学的に変化した組織、損傷、又は創傷の限局的な領域を示す。原発性の外傷は、病理学的な状態を即時に生じさせ、切断、擦過傷、小疱、小水胞、水疱下疳、膿疱、あるいは任意の他のその様な皮膚又は口、鼻、肛門、若しくはヒト又は動物の任意の他の開口部の表面、あるいは結膜及び角膜を含む眼の表面層の状態を含むが、それらに限らず、あるいは原発的な外傷の後に発生する続発的な外傷は、裂及び潰瘍並びに他の創傷を含むが、それらに限らない。
【0048】
用語「組織破壊マネージメント」は、壊死のような組織損傷の停止、組織増殖及び修復の促進、損傷の確立された微生物感染の低減又は除去、並びに新しい又は更に別の微生物感染又はコロニー形成の予防を含むが、それらに限らない組織損傷の修復を誘導及び/又は促進する治療方法を意味する。前記用語は、創傷に起因する痛覚を低減又は除去することを更に含んで良い。
【0049】
用語「組織破壊治癒」及び「組織破壊修復」は、部分的又は完全に創傷を修復し、組織内の破損を修復し、並びに組織を部分的又は完全に回復させる組織増殖を必要とする過程を意味する。例えば、皮膚の障壁特性、結膜及び角膜を含む眼の表面層の修復、並びに真皮及び/又は表皮、結合組織、腱、及び靭帯内の破損が修復又は治癒されて良い。
【0050】
任意の理論又は仮説に繋げることを望まないが、本発明者は、本発明の組成物は、TNF−α、TNF−αR、TACE、及びカスパーゼに対する効果によって、組織破壊を修復し得ると解している。さらに、本発明者は、前記TNF−α、TNF−αR、TACE、及びカスパーゼに対する効果は、これらの分子によって生じる続発性の損傷を低減し、アポトーシスを調節すると解している。
【0051】
本明細書で使用する用語「調節する」は、活性における増大又は低減を含む。かくして、例えば、TNF−αの活性は、正常な範囲内でTNF−α活性を有する対象におけるレベルと比較して、より高い又は低いものであって良い。
【0052】
一般的には、用語「治療する」及び「治療」などは、本明細書で使用されて、個々の組織細胞に作用して、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを意味する。前記効果は、組織破壊を部分的又は完全に治癒するという意味で特に治療的である。本明細書で使用する「治療」は、脊椎動物、哺乳動物、特にヒトにおける組織破壊の任意の治療を包含し、(a)組織破壊の阻害、すなわち、その発達の停止;又は(b)組織破壊の症状の軽減又は改善、すなわち、組織破壊の症状の後退を引き起こす事を含む。
【0053】
本明細書で互換的に使用される用語「対象」又は「個体」を使用して、ヒト、並びにチンパンジー、他の類人猿、猿種のような非ヒト霊長類を含む霊長類;ウシ、ヒツジ、ヤギ、及びウマのような家畜;イヌ及びネコのような家畜;マウス、ラット、及びモルモットのようなげっ歯類を含む実験動物のような他の哺乳動物を含むが、それらに限らない哺乳動物種の任意のものを示す。前記用語は特に年齢を示すものではない。かくして、成体及び新生児の双方が包含されることが意図される。
【0054】
かくして、ヒトのような哺乳動物、並びにヒトにとって経済的に重要及び/又は社会的に重要である哺乳動物、例えば、ヒト以外の食肉類(例えば、ネコ及びイヌ)、ブタ類(ブタ、家畜のブタ、及びイノシシ)、反芻類(例えば、ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、及びラクダ)、並びにウマの治療が提供される。
【0055】
用語「有効量」は、対象に投与した際に、組織破壊治癒又は修復を誘導するのに十分な量、例えば、組織治癒量を示す。本発明の組成物の有効量又は用量を構成するのは、他の因子の中でもとりわけ、対象の体重及び治療される損傷の程度に依存する。通常、有効用量は、約1から約6mg/kg体重の範囲に見出されるであろう。平均75kgの対象については、この範囲は約75から約450mgの用量である。比例的に、より小さい又はより大きい用量が、より小さい又はより大きい体重を有する対象に適当であって良い。その様な用量が必要とされて投与されて良いが、典型的には一日に1から約4回投与、大半の場合には、一日に1又は2回の投与が組織破壊の十分な治癒を与える。
【0056】
ある実施態様では、本発明の組成物は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩との混合物から本質的に構成される。
【0057】
用語「血漿」は、典型的には、血液細胞が懸濁されている淡黄色流動体を示す。血漿は、タンパク質の高濃縮物(約70g/l)及び各種の微量元素とのナトリウム、カリウム、及びカルシウムなどの各種の無機塩からなる。用語「血清」は、静置させた血餅又は血漿から分離した流動体を示す。血清は、組成が血漿と本質的に類似するが、通常はフィブリノゲン及び凝血過程において使用される他の物質を欠いている。
【0058】
本発明において使用する血漿又は血清は、任意の動物起源から得られて良い。ある実施態様では、前記血漿及び/又は血清は、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から得られた血液から単離される。
【0059】
ある実施態様では、前記血漿又は血清の動物起源はウシである。
【0060】
前記血漿又は血清は、新しく単離されるか又は凍結乾燥されていて良い。ある実施態様では、血液はウシから単離し、ヘモグロビンを標準的な手法によって除去する。次いで、血漿は、重炭酸ナトリウム(約20g/l)と混合して、約80℃に加熱する。次いで、凝固した血漿タンパク質を除去し、更なる使用のために標準的な手法によって凍結乾燥する。
【0061】
ある実施態様では、前記凍結乾燥した血漿又は血清は、水中で再懸濁して(約50g/l)、少なくとも1つの金属と混合する。
【0062】
各種の金属及び/又は金属イオンが本発明の組成物において有用であり、その様なものとして、本発明は、その様な金属又は金属イオンの全てを包含する。
【0063】
ある実施態様では、前記金属は、ニッケル、ナトリウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、銀、及び水銀からなる群から選択される。
【0064】
ある実施態様では、前記組成物は、凍結乾燥した血漿を水中に再懸濁する(約50g/l)ことによって調製される。次いで、前記血漿は、約1%から約4%の重炭酸ナトリウムに曝露する。用語「約」は、血漿が1%の前後約10%、例えば0.9%又は1.1%の最終濃度を有することを意味する。本明細書で使用する「曝露する」は、血漿と重炭酸ナトリウムとが共に混合されるか又は互いに接触される時間を示す。ある実施態様では、血漿は4から5時間に亘って重炭酸ナトリウムに曝露する。次いで、血漿/重炭酸ナトリウム混合物の温度を室温から70〜80℃にゆっくりと上昇させる。
【0065】
前記金属が十分に塩基性又は酸性であり安定な非毒性の酸又は塩基の塩を形成する場合には、塩としての金属の使用が適当である。適当な金属塩の例は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、炭酸塩、α−グリセロリン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、又はトシル酸塩を含む。
【0066】
金属塩は、当該技術分野において良く知られた標準的な手法を用いて、例えば、アミンのような塩基性化合物を生理学的に許容されるアニオンを与える適切な酸と十分に反応させて得られて良い。アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム)又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩が作製されて良い。
【0067】
ある実施態様では、例えば、前記金属は、銀(I)であって、その硝酸塩が適当な遊離の金属(I)イオンを提供し、必要な金属の量を提供する。一方で、塩化物塩は、より可溶性でないこと及び低い解離定数によって、より少ない銀を提供し、そのため本発明においてあまり有用ではない。当業者は、本発明に必要な特性を提供する金属イオンの適切な塩の形態を容易に決定し得るであろう。さらに、当業者は、金属及び組成物の他の成分の塩の形態の相溶性に注意して、金属イオンの十分なレベルを維持するであろう。
【0068】
ある実施態様では、前記組成物で使用する金属は、多数の金属の混合物を含む。例えば、前記金属の混合物は、NiSO4.7H2O、NH4VO3、NaF、CuSO4.5H2O、ZnCl2、(NH4)6MO7O24.4H2O、COCl2.6H2O、FeSO4.7H2O、MgSO4.7H2O、H3BO3、MnCl2.4H2O、及びK2CrO4から本質的に構成されるであろう。
【0069】
金属、金属イオン、又はその金属塩を血漿及び/又は血清と混合したら、少なくとも50℃まで加熱して良い。ある実施態様では、前記混合物を約65℃に加熱する。
【0070】
ある実施態様では、トリプシン、キモトリプシン、ファクターXa、毒プロテアーゼ、トロンビン、プラスミン、及びスブチリシンファミリーのセリンプロテアーゼからなる群から選択される1つ又は複数のプロテアーゼを、加熱の前又は後に添加して良い。前記プロテアーゼはトリプシンであって良い。
【0071】
前記プロテアーゼは、金属、金属イオン、又は金属塩の添加前又は後に添加して良い。どちらにしても、プロテアーゼを添加したら、結果として得られる血漿/血清とプロテアーゼとの混合物を、金属、金属イオン、又は金属塩と共に、少なくとも30分に亘って約30℃から45℃の間でインキュベートする。次いで、前記混合物を再び加熱する。第二の加熱工程は、約80℃から約150℃の間で実施して良い。ある実施態様では、前記第二の加熱工程は、約90℃から約130℃の間で実施して良い。他の実施態様では、前記第二の加熱工程は、約120℃で実施して、前記組織破壊治療用混合物を製造する。
【0072】
前記組織破壊治療用混合物を得たら、直接使用するか又は分画して更に精製した組織破壊治療用活性画分を得て良い。タンパク質含有混合物を分画するための技術は、当該技術分野において良く知られている。例えば、参照によって本明細書に組み込む“Plasma Protein Fractionation” Heide K, Haupt H & Schwick H; in The Plasma Proteins, 2nd Edition Vol 3 (1977) Putnam F. (Ed); 双方が“Fractionation of protein mixtures”と題されたUS Pat. No. 4,351,710及びUS Pat. No. 4,322,275;“Method of fractionating plasma proteins”と題されたUS Pat. No. 5,138,034を参照のこと。
【0073】
上述のように、ある実施態様では、本発明は、本発明の組成物の効果的に組織破壊を治療する量を対象に投与する工程を含む、対象の組織破壊を治療する方法を提供する。
【0074】
本発明の方法は、上述の組織破壊の全てのタイプを治療するために使用されて良い。本発明の方法は、家畜及び珍しい動物、例えば、イヌ及びウマ並びに動物園の動物などの非ヒト哺乳動物である対象を治療するために有用であるが、ヒトの対象の治療に特に有用である。
【0075】
本発明の組成物は、オピオイド、並びに麻薬性鎮痛剤、μ受容体アンタゴニスト、κ受容体アンタゴニスト、非麻薬性(すなわち、非依存性)鎮痛剤、モノアミン取り込みインヒビター、アデノシン調節剤、カンナビノイド誘導体、サブスタンスPアンタゴニスト、ノイロキニン−1受容体アンタゴニスト及びナトリウムチャンネル遮断薬などを含めた他の鎮痛剤との併用療法にも使用して良い。ある実施態様では、前記併用療法は、本発明の方法において有用な組成物と、アセクロフェナク(aceclofenac)、アセメタシン(acemetacin)、α-アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸(アスピリン)、S−アデノシルメチオニン、アルクロフェナク(alclofenac)、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルミノプロフェン(alminoprofen)、アロキシプリン、アルファプロジン、アルミニウムビス(アセチルサリチレート)、アムフェナク(amfenac)、アミノクロルテノキサジン(aminochlorthenoxazin)、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、2−アミノ−4−ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン(amixetrine)、サリチル酸アンモニウム、アンピロキシカム(ampiroxicam)、アムトレメチン グアシル(amtolemetin guacil)、アニレリジン(anileridine)、アンチピリン、アンチピリン サリチレート、アントラフェニン(antrafenine)、アパゾン(apazone)、ベンダザク(bendazac)、ベノリレート(benorylate)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、ベンジダミン(benzydamine)、ベンジルモルフィン、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ベジトラミド(bezitramide)、α−ビスアボロール(α-bisabolol)、ブロムフェナク(bromfenac)、p−ブロモアセトアニリド、5−ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、ブセチン(bucetin)、ブクロキシ酸(bucloxic acid)、ブコローム(bucolome)、ブフェキサマク(b
ufexamac)、ブマジゾン(bumadizon)、ブプレノルフィン (buprenorphine)、ブタセチン(butacetin)、ブチブフェン(butibufen)、ブトファノール(butophanol)、アセチルサリチル酸カルシウム、カルマバゼピン(carbamazepine)、カルビフェン(carbiphene)、カルプロフェン (carprofen)、カルサラム(carsalam)、クロロブタノール、クロルテノキサジン(chlorthenoxazin)、サリチル酸コリン、シンチョフェン(cinchophen)、シンメタシン(cinmetacin)、シラマドール(ciramadol)、クリダナク (clidanac)、クロメタシン(clometacin)、クロニタゼン(clonitazeen) 、クロニキシン(clonixin)、クロピラク(clopirac)、クローブ、コデイン、コデイン臭化メチル、リン酸コデイン、硫酸コデイン、クロプロパミド(cropropamide)、クロテタミド(crotethamido)、デソモルフィン (desomorphine)、デキソキサドロール(dexoxadrol)、デキストロモラミド(dextromoramide)、デゾシン (dezocine)、ジアンプロミド(diampromide)、ジクロフェナク(diclofenac)ナトリウム、ジフェナミゾール (difenamizole)、ジフェンピラミド(difenpiramide)、ジフルニザル(diflunisal)、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノンエノールアセテート、ジヒドロモルフィン、アセチルサリチル酸ジヒドロキシアルミニウム、ジメノキサドール(dimenoxadol)、ジメフェプタノール(dimepheptanol)、ジメチルチアムブテン (dimethylthiambutene)、酪酸ジオキサフェニル、ジピパノン (dipipanone)、ジプロセチル(diprocetyl)、ジピロン(dipyrone)、ジタゾール(ditazol)、ドロキカム (droxicam)、エモルファゾン(emorfazone)、エンフェナム酸(enfenamic acid)、エピリゾール(epirizole)、エプタゾシン(eptazocine)、エテルサレート(etersalate)、エテンザミド (ethenzamide)、エトヘプタジン(ethoheptazine)、エトキサゼン(ethoxazene)、エチルメチルチアムブテン (ethylmethylthiambutene)、エチルモルフィン、エトドラク(etodolac)、エトフェナメート(etofenamate)、エトニタゼン(etonitazene)、オイゲノール、フェルビナク(felbinac)、フェンブフェン(fenbufen)、フェンクロズ酸(fenclozic acid)、フェンドサル(fendosal)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フェンタニル(fentanyl)、フェンチアザク (fentiazac)、フェプラジノール(fepradinol)、フェプラゾン(feprazone)、フロクタフェニン (floctafenine)、フルフェナム酸(flufenamic acid)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルオレゾン(fluoresone)、フルピルチン(flupirtine)、フルプロカゾン(fluproquazone)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、フォスフォザル(fosfosal)、ゲンチシン酸、グラフェニン(glafenine)、グルカメタシン(glucametacin)、サリチル酸グリコール、グアイアズレン(guaiazulene)、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン(hydroxypethidine)、イブフェナク(ibufenac)、イブプロフェン (ibuprofen)、イブプロキサム(ibuproxam)、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク (isofezolac)、イソラドール(isoladol)、イソメタドン、イソニキシン(isonixin)、イソキセパク(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトベミドン(ketobemidone)、ケトプロフェン、ケトロラク、p−ラクトフェネチド(p- lactophenetide)、レフェタミン(lefetamine)、レボルファノール(levorphanol)、ロフェンタニル (lofentanil)、ロナゾラク(lonazolac)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、アセチルサリチル酸リシン、アセチルサリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、メフェナム酸(mefenamic acid)、メペリジン(meperidine)、メプタジノール(meptazinol)、メサラミン(mesalamine)、メタゾシン (metazocine)、塩酸メタドン、メトトリメプラジン(methotrimeprazine)、メチアジン酸(metiazinic acid)、メトフォリン(metofoline)、メトポン(metopon)、メフェブタゾン(mefebutazone)、モフェゾラク (mofezolac)、モラゾン(morazone)、モルフィン、塩酸モルフィン、硫酸モルフィン、サリチル酸モルフィン、ミロフィン (myrophine)、ナブメトン(nabumetone)、ナルブフィン(nalbuphine)、サリチル酸1−ナフチル、ナプロキセン (naproxen)、ナルセイン(narceine)、ネフォパム(nefopam)、ニコモルフィン(nicomorphine)、ニフェナゾン (nifenazone)、ニフルム酸(niflumic acid)、ニメスリド(nimesulide)、5’−ニトロ−2’−プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール (norlevorphanol)、ノルメタドン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オルサラジン(olsalazine)、オピウム、オキサセプロール (oxaceprol)、オキサメタシン(oxametacine)、オキサプロジン(oxaprozine)、オキシコドン、オキシモルホン、オキシフェンブタゾン、パパベレタム、パラニリン(paranyline)、パルサルミド(parsalmide)、ペンタゾシン、ペリソキサール (perisoxal)、フェナセチン、フェナドキソン(phenadoxone)、フェナゾシン、塩酸フェナゾピリジン、フェノコール (phenocoll)、フェノペリジン、フェノピラゾン(phenopyrazone)、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール(phenyramidol)、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピミノジン(piminodine)、ピペブゾン(pipebuzone)、ピペリロン(piperylone)、ピプロフェン(piprofen)、ピラゾラク(pirazolac)、ピリトラミド(piritramide)、ピロキシカム(piroxicam)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プログルメタシン (proglumetacin)、プロヘプタジン(proheptazine)、プロメドール(promedol)、プロパセタモール (propacetamol)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、プロピフェナゾン (propyphenazone)、プロカゾン(proquazone)、プロチジン酸(protizinic acid)、ラミフェナゾン(ramifenazone)、レミフェンタニル(remifentanil)、リマゾリウムメチルサルフェート(rimazolium metilsulfate)、サラセタミド(salacetamide)、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミドo−酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、サルベリン(salverine)、シメトリド(simetride)、サリチル酸ナトリウム、スフェンタニル (sufentanil)、スルファサラジン(sulfasalazine)、スリンダク(sulindac)、スーパーオキシドジスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン(suxibuzone)、タルニフルメート(talniflumate)、テニダプ(tenidap)、テノキシカム (tenoxicam)、テロフェナメート(terofenamate)、テトランドリン(tetrandrine)、チアゾリノブタゾン (thiazolinobutazone)、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)、チアラミド(tiaramide)、チリジン(tilidine)、チノリジン(tinoridine)、トルフェナム酸(tolfenamic acid)、トルメチン(tolmetin)、トラマドール(tramadol)、トロペシン(tropesin)、ビミノール(viminol)、キセンブシン(xenbucin)、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)およびゾメピラク (zomepirac)から選択される1つ又は複数の化合物とを含む(The Merck Index, 12th Edition (1996), Therapeutic Category and Biological Activity Index, lists therein headed “Analgesic”, “Anti-inflammatory” and “Antipyretic”参照のこと)。
【0076】
本発明に使用するための更に他の適切な製剤が、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, Pa. 17th ed. (1985)において確認されて良い。
【0077】
用語「投与」、「投与する」、及び「投与された」は、本明細書において互換的に使用される。本発明の組織破壊治癒用組成物は、舌下を含む経口、局所的、又は全身に、従来の非毒性の製薬学的に許容される担体、アジュバント、及びビヒクルを含有する単位投与形態において投与されて良い。本明細書で使用する用語「非経口」は、皮下注射、エアロゾル、静脈内、筋肉内、鞘内、頭蓋内、注射又は輸液技術、あるいは経直腸又は経膣を含む。ある実施態様では、本発明の組織破壊治癒用組成物は、前記組成物と適合する製薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に投与される。その様な組成物の調製において、任意の従来の製薬学的に許容される担体を使用して良い。
【0078】
担体物質は、経口投与に適切な有機又は無機の不活性担体物質であって良い。適切な担体は、水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレン−グリコール、及びワセリンなどを含む。さらに、前記製薬学的に活性な製剤は、他の製薬学的活性剤を含有して良い。さらに、添加剤、例えば、香味剤、保存剤、安定剤、乳化剤、及び緩衝剤などが、医薬の配合の認可されている方法に従って添加されて良い。
【0079】
皮膚又は粘膜への局所的な適用については、上述の本発明の組織破壊治癒用組成物は、軟膏剤、チンキ剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、スプレー剤、エアロゾル剤、吸入のためのドライパウダー剤、及び懸濁剤などとして調製されて良い。事実、局所的な組成物を調製するための任意の従来の方法が本発明において使用されて良い。好ましい適用方法のうち、本発明の組織破壊治癒用組成物は、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、スプレー剤、エアロゾル剤、又はドライパウダー剤の形態であって良い。皮膚への局所的な投与のための医薬製剤は、本発明の組織破壊治癒用組成物と、その様な医薬製剤に習慣的に使用されている非毒性の治療上不活性の固体又は液体の担体とを混合することによって調製されて良い。これらの医薬製剤は、通常、組成物の全重量に対して0.01から5.0質量%、好ましくは0.1から1.0質量%の本発明の組織破壊治癒組成物を含有する。
【0080】
上述の局所的な医薬製剤の調製において、局所的な製剤の製薬学的な配合の技術分野における従来の添加剤、例えば、保存剤、増粘剤、及び香料などを使用して良い。さらに、従来の抗酸化剤又は従来の抗酸化剤の混合物が、上述の薬剤を含有する局所的な調製物に含んでも良い。これらの製剤において使用して良い従来の抗酸化剤には、N−メチル−α−トコフェロールアミン、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びエトキシキンなどが含まれる。本願に従って使用される、抗原調製物を含有するクリーム系医薬製剤は、脂肪酸アルコール、半固体石油炭化水素、エチレングリコール、及び乳化剤を含有する水性エマルションからなる。
【0081】
本発明の組織破壊治癒用組成物を含有する軟膏製剤は、半固体石油炭化水素と組織破壊治癒用組成物の溶媒分散物との混合物を含んで良い。本発明の組織破壊治癒用組成物を含有するクリーム組成物は、湿潤剤、粘度安定剤、及び水の水相、脂肪酸アルコール、半固体石油炭化水素、及び乳化剤の油相、並びに水性の安定剤緩衝液に分散された組織破壊治癒用組成物を含有する相から形成されるエマルションを含んで良い。安定剤は局所的な製剤に添加されて良い。任意の従来の安定剤が、本発明に従って使用されて良い。前記油相では、脂肪酸アルコール成分が安定剤として働く。これらの脂肪酸アルコール成分は、少なくとも14の炭素原子を含有する長鎖飽和脂肪酸の還元から得られて良い。
【0082】
エアロゾルの製剤は、Drugs and Pharmaceutical Sciences, Marcel Dekker, New York, 72: 547-574 (1996)に開示されている。更に、本発明の組織破壊治癒用組成物は、ドライパウダー吸入によって送達されて良い。その様な製剤及び器具は、Pharmaceutical Technology, June 1997, pp.117-125に開示されている。
【0083】
投与の態様及び種類及び組織破壊の重度に依存して、治療計画が変化されて良い。
【0084】
ある実施態様では、本発明の組成物は、創傷被覆材として直接使用される。例えば、上述のように、結果として得られる組成物は、創傷被覆材として直接使用して良い。しかしながら、更に別の実施態様では、本発明の組成物は、「伝統的な」創傷被覆材、例えば、硬膏剤、包帯、ガーゼ、又はパッドに含まれて良い。
【0085】
使用において、本発明の創傷被覆材は、創傷床と直接接触させるか又は創傷床に対して現実に近接させる主要な被覆材として好ましく使用される。前記被覆剤は、包装材として役立って良く、必要な場合には、ラップ、テープ、ガーゼ、又はパッドのような任意の適切な第二の創傷被覆材で固定されて良い。しかしながら、前記固定材は一時的なものであり、治癒される組織に永続的に含まれることは意図されない。必要な際には、前記創傷被覆材は、任意の更なる被覆材をまず除去し、次いで前記被覆材を除去し、それによって任意の蓄積した壊死組織及び浸出液が取り除かれる。本発明の創傷被覆材は、新しい被覆材又は他の適切な創傷被覆材に置き換えて良い。
【0086】
前記被覆材は、その全体において、創傷に配置して良い。本発明の創傷被覆材は、切断、成形、及び修飾して、多数の使用及び用途に対応して良い。
【0087】
本発明の治療用組成物の更に別の使用は、上述の任意のものを含む治療活性剤の送達における使用である。治療活性剤は、治癒過程に寄与し、及び治癒過程を改善するものであり、抗真菌剤、抗細菌剤、抗ウイルス剤、及び駆虫剤を含む抗菌剤、増殖因子、血管新生因子、麻酔剤、ムコ多糖、金属、並びに他の治癒剤を含む。
【0088】
本発明において使用して良い抗菌剤の例は、イソニアジド、エタムブトール、ピラジナムニド(pyrazinamnide)、ストレプトマイシン、クロファジミン、リファブチン、フルオロキノロン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、リファムピン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ダプソン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、アンピシリン、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、フルコナゾール、ピリメタミン、スルファジアジン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ペンタミジン、パロモマイシン、ジクラザリル(diclazaril)、アシクロビル、トリフルオロウリジン、フォスカーネット、ペニシリン、ゲンタマイシン、ガンシクロビル、イアトロコナゾール(iatroconazole)、ミコナゾール、Zn−ピリチオン、金、白金、銀、亜鉛、及び銅を含むが、それらに限らない重金属、並びに塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、及び過ヨウ化物塩、担体との複合物、及び他の形態を含むそれらの組み合わせた形態を含むが、それらに限らない。
【0089】
本発明の組織破壊/創傷被覆材器具に含まれて良い増殖因子は、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)、神経増殖因子(NGF)、表皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子1及び2(IGF−1及びIGF−2)、血小板由来増殖因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TAF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、コルチコトロピン放出因子(CRF)、形質転換増殖因子α及びβ(TGF−α及びTF−β)、インターロイキン−8(IL−8)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン、及びインターフェロンを含むが、それらに限らない。
【0090】
本発明の被覆材に含まれて良い他の薬剤は、ヘパリン、ヘパリンスルフェート、ヘパリノイド、デルマタンスルフェート、ペントサンポリスルフェート、セルロース、アガロース、キチン、デキストラン、カラギーナン、リノール酸、及びアラントインを含むが、それらに限らない酸ムコ多糖である。
【0091】
ある特定の好ましい実施態様では、本発明の治療用組成物は、ファクターXaのような凝固剤と混合する。
【0092】
前記治療活性剤は、当該技術分野において良く知られた方法によって、前記治療層組成物に生理学的又は化学的に結合して良い。
【0093】
本明細書全体に亘って、用語「含む(comprise)」及びその変形、例えば、「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「を含むが、それらに限らない」を意味し、他の添加剤、成分、値、又は工程を除外することを意図しない。「からなる」は、その用語「からなる」に続くものを含み、それらに限られることを意味する。かくして、用語「からなる」は、記載した要素が必要とされ、又は必須のものであり、他の要素が存在しないことを示す。「から本質的に構成される」は、その用語の後に記載した任意の要素を含み、記載した要素についての本明細書に記載した活性又は作用に干渉又は作用しない他の要素に限られる事を意味する。かくして、用語「から本質的に構成される」は、記載した要素が必要とされ、又は必須であるが、他の要素が任意には存在せず、記載した要素の活性又は作用に影響を与えないかどうかに依存して存在するか又はしなくてよい。
【0094】
本発明は、以下の非制限的な実施例のみを参照することによって更に開示されるであろう。しかしながら、以下の実施例は説明するのみであり、いずれにおいても、上述の本発明の一般性を限定するものとして受け取られるべきではない事が理解されるべきである。特に、本発明は、特定の動物の血漿及び金属の使用に関連して詳細に記載されるが、個々での発見はこれらの成分に限定されない事は明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0095】
(実施例1)
組織破壊治療用組成物の調製
200Lの滅菌ウシ血液を1000〜1300×gで10分間遠心分離して、血漿からヘモグロビンを除去した。遠心分離後に、約100Lの血漿が得られ、加熱及び連続的な混合に適切なディッシュに移した。2kg重炭酸ナトリウム(NaHCO3)を血漿に添加して、NaHCO3が溶解するまで混合し、次いで溶液を80℃まで加熱した。次いで、変性した血漿タンパク質を回収し、濾紙上に置いて乾燥させた。次いで、固体の堆積物を押圧して、60kgの固体血漿タンパク質「ブロック」を製造し、次いで標準的な手法によって凍結乾燥した。
【0096】
この工程の後に、約8kgの前記血漿タンパク質を、下記の組織破壊治療用組成物の調製に使用した。
【0097】
次いで、152Lの水、8kgの上述のように調製した乾燥血漿タンパク質、及び200mlの金属含有溶液を含む溶液を調製した。金属含有溶液の構成成分は表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
金属含有溶液は水で200mlにし、次いで少なくとも20分間に亘って攪拌した。
【0100】
次いで、前記混合物を120℃に加熱して、常に混合しながら2時間に亘って当該温度に維持した。この時間の間に、前記血漿タンパク質は溶解され、滅菌された。結果として得られた物質を、次いで、約35℃の温度に保持して、0.125g/lのトリプシンを添加した。次いで、前記物質を約2時間に亘ってインキュベートした。消化した物質を、次いで、オートクレーブし、冷却して、本発明の組織破壊治療用組成物を製造した。
【0101】
図3及び4(ME1)は、この方法によって得られた可溶性血漿タンパク質断片を示す。図3では、SDS−PAGEによって分離した未処理の血漿において表れた主要なタンパク質バンドが、50〜80kDaのサイズにある(レーン5)。これらのバンドのプロテオーム分析は、それらが主にアルブミン、イムノグロブリン、フィブリノゲン、及びトランスフェリンからなることを同定した(図4)。
【0102】
対照的に、プロテアーゼ処理前の血漿タンパク質は、主に、50kDaより小さいポリペプチドからなるが(図3、レーン2)、トリプシン消化及び金属添加後には、前記可溶性血漿タンパク質断片は、25kDa未満の分子量に低減されている(10〜20%トリシン勾配ゲル、図3、レーン3)。
【0103】
(実施例2)
局所的治療用組成物の製造
表2に示した成分を含む組成物を、アンカーミキサー及びターボミキサーを備え付けた250L減圧ホモジナイザー中で75から80℃で混合した。次いで、表3に示した成分を添加して、ターボミキサーを使用して混合を10分間に亘って80から83℃で継続した。
【0104】
次いで、アンカーミキサーを使用して、ゆっくりとした冷却工程を実施した。前記物質が60℃に達した際に、減圧のスイッチを冷却が終わるまで入れた。
【0105】
40から45℃で、表4に示した成分を添加して、10分間に亘って混合した。アンカーミキサーを使用する混合を、混合物が25℃に達するまで継続した。
【0106】
約24時間の静置期間後に、組織破壊治療用組成物が使用可能な状態となった。
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
方法論
1)250Lスチームパン中に項目1から10を添加し、75℃に加熱する
2)150Lのパンの中で項目15及び18を沸騰させ、Veegumを添加し、均質になるまで混合する;
3)90℃よりも高い温度で150Lのスチームパン中において精製水B.P.の残部に項目14を添加して、混合する。溶解したら、項目12、13、及び16を添加して、連続的に攪拌しながら75℃に温度を維持する;
4)水相(工程5)を油相(工程3)に添加し、ショートシャフトエアミキサーを使用して混合する。次いで、プラスチックのふるいを使用して、塊が含まれないことを確実にする工程4をこれに追加する;
5)実施例1に由来する血漿タンパク質を添加して、20分間乳化し、次いで連続的に攪拌し、40℃まで水冷する;
6)項目19から21を攪拌しながら数分間で添加する。30℃未満まで冷却する
【0111】
(実施例3)
局所的軟組織損傷治療の臨床試験
図1に示すように、患者を800mJで10分間に亘ってUV光に暴露した。光感光剤として1%のオクソラレン(C12H8O4)ローションの局所的な適用を領域5、6、及び7に用いた。領域8は暴露対照として残した。領域7は、暴露後の治療を受けなかった。領域6は、暴露の240分後に、実施例2に記載した組織破壊治療用組成物を使用する局所的な治療を受けた。領域5は、暴露の5分後に組織破壊治療用組成物の同様の量を受けた。
【0112】
図1に示す写真は、暴露の24時間後に撮影した。明確に認められるように、処理及び未処理の領域の双方において、並びに前記組織破壊治療用組成物で暴露の5分後と240分後の間には大きな違いが存在した。認められる様に、対照領域7は、24時間後に流動体で満たされた病変を有している。暴露の240分後における組織破壊治療用組成物の適用(領域6)は、生じる病変の重度を低減した。暴露の5分以内の領域5への組織破壊治療用組成物の適用は、病変から皮膚を保護するようであった。
【0113】
図2は、暴露の7週後の上記の領域を示す。領域1、6、及び7は別として、全ての領域で正常な皮膚に戻った。
【0114】
(実施例4)
LPS刺激ヒト単球によるTNF−α生産に対する組成物の試験
実施例1の可溶性血漿試験組成物をTNF−αレベルに与える機能についてアッセイした。TNF−αは、組織破壊の治癒に関与する事が既知のサイトカインであり、かくして、TNF−αレベルがアッセイにおいて低減した場合は、可溶性血漿試験組成物が組織破壊治癒において活性を有していることを示す。本実験における目的は、可溶性血漿試験組成物がTNF−αの存在を調節するか又はそれに影響を与え得ることを示す。
【0115】
ヒト単球の単離:The Australian Red Cross Blood Serviceにおけるドナーからのクエン酸抗凝固剤処理したヒト全血から遠心分離によって、軟膜を分離した。軟膜をRPMI1640培地(LIFE Technologies)に希釈して、末梢血液単球細胞(PBMC)をFicool−Hypaque(Amershanm Pharmacia Biotech)を用いた密度勾配遠心単離によって単離した。単球をカウンターカレント溶出遠心分離(counter−current elutriation centrifugation)(Lund et al.,2000)によってPBMCから単離した。単球の純度をCD14免疫表現決定によって測定した。この方法によって単離した単球は、典型的には80〜90%の純度であった。
【0116】
10%ウシ胎仔血清(FCS)及び25ng/mLマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)を添加したRPMI中で95%の空気及び5%のCO2の存在下において37℃で、単球を一晩培養した。
【0117】
翌日、単球を計数し、5×105細胞/穴を96穴組織培養プレートの穴に入れた。容量は1つの穴に500μlとし、次いで1%ウシ胎仔血清(FCS)の存在下において、試験組成物の濃度を変化させながら、24時間に亘ってE.coli 0111:B4由来の500ng/mLのリポ多糖(LPS)(Sigma−Aldrich)で細胞を刺激した。
【0118】
培養物の上清におけるTNF−αを、製造業者の説明書に従ってELISA Opti EIA(BD Bioscience)によって測定した。要約すると、24時間のインキュベート後に、培養培地サンプルを回収し、細胞及び粒子を遠心分離によって除去した。清澄な上清を−70℃で保存し、バッチでアッセイした。培養上清中のTNF−α濃度は、製造業者の説明書に従って市販のサイトカインELIZAセット(BD Bioscience)を使用して測定した。培養培地中のTNF−α濃度は、基準曲線(125−8000pg/ml)から得られた。
【0119】
これらのELISAから選択された検出システムは、ユーロピウムを用いた時間分解蛍光であった。バックグラウンドの蛍光を低減し、且つ、感度を増大する手段として、TRFは多数の生物学的システムにおいて使用されている。ユーロピウムのようなランタニドは、500nmより大きい放射波長とUV光の吸収による励起を生じるとともに、大きなストークスシフトを示す。ユーロピウムは、340nmで励起を示し、615nmで放射を示す。
【0120】
本実験では、実施例1の可溶性血漿試験組成物を塩化亜鉛(0.006157g/L)及びグリシン(0.1965g/L)と混合した。
【0121】
使用した試験組成物の濃度は、40%(200μl);20%(100μl);10%(50μl);及び0%であった。対象はLPS(500μg/ml)であり、三回繰り返した。
【0122】
データ分析:結果を得て、平均値及び標準誤差(SEM)を各実験条件について計算した。培養培地への単球によるTNF−α分泌はpg/mlとして表わした。LPS及び試験組成物処理の前記上清中のTNF−α濃度に対する効果を、フィッシャーの最小有意差(LSD)post hoc比較と共にLPS処理(LPSレベルを用いて及びLPS無しで)分散分析(ANOVA)によって評価した。処理因子は、未処理、10、20、及び40%の試験組成物のレベルを有した。群の間の差は、関連する確率(p value)が0.05未満であった場合に統計的に信頼性があるものと解した。
【0123】
【表5】
【0124】
統計分析:LPS攻撃は、インキュベートの24時間後に未処理の細胞において大量のTNF−α分泌を生じさせた(LPS:F1,16=10.17、p<0.01)。前記処理は、LPS攻撃に対するTNF−α応答に対して作用した(処理:F3,16=9.69、p<0.001;LPSによる処理:F3,16=9.19、p<0.001)。pot hoc比較は、試験サンプル処理したLPS攻撃した細胞が、未処理のLPS攻撃した細胞より少ないTNF−α分泌を生じさせることを明らかにした。攻撃しなかった細胞は、いずれの処理においても測定可能な量のTNF−αを生じなかった。試験サンプルを用いた処理は、未処理の細胞と区別が付かないレベルにまでTNF−αの抑制を生じさせた。
【0125】
結論として、可溶性血漿試験組成物は、ヒト単球におけるLPS誘導TNF−α分泌を低減し、組織破壊の修復を促進する効力を示すという結果が導かれる。
【0126】
(実施例5)
LPS誘導ヒト単球によるTNF−α生産に対する可溶性試験組成物の効果
この実験は、硫酸銅のみを含有する金属含有溶液(0.00262g/L)と実施例1の可溶性血漿試験組成物とを混合したことを除いて、本質的には実施例4に記載した実験の繰り返しである。
【0127】
表2及び図6は結果を示す。
【0128】
結論として、前記可溶性血漿試験組成物は、LPS攻撃に対するヒト単球の炎症応答を阻害するという結果が導かれる。
【0129】
【表6】
【0130】
(実施例6)
LPS刺激ヒト単球によるTNF−α生産に対する可溶性血漿試験組成物の低濃度における効果
LPS刺激ヒト単球によるTNF−α生産に対して実施例4で使用して可溶性血漿試験組成物の試験を、より低濃度で実施した。
【0131】
他の実験手法は実施例4のものと同一であった。
【0132】
表3及び図7は結果を示す。
【0133】
結論として、前記可溶性血漿試験組成物の組織破壊修復効果は用量依存的であり、実施例4の結果を更に支持するものであり、すなわち、LPS誘導TNF−α分泌は前記試験組成物によって阻害されるという結果が導かれる。
【0134】
【表7】
【0135】
(実施例7)
可溶性血漿試験組成物の各種の濃度の効果の滴定
FCSの各種の濃度(10%、5%、1%、及び0%)を用い、実施例4で使用した可溶性血漿試験組成物(10%、5%、2.5%、及び0%)の市松模様のパターンで、浄化した単球を24時間に亘ってインキュベートした。実施例2に記載したように、培養物上清中のTNF−αをELISAによって測定した。
【0136】
結果を表4及び図8に示す。
【0137】
結論として、前記可溶性血漿試験組成物は、TNF−α分泌の阻害においてFCSとは競合しないという結果が導かれる。
【0138】
【表8】
【0139】
(実施例8)
水性の非放射性増殖アッセイ
本発明の可溶性試験組成物がin vitroにおいて細胞代謝を妨害せず、かくして、TNF−α抑制効果が細胞代謝上の問題によるものではないことを示すために、非放射性増殖アッセイを実施した。
【0140】
使用した具体的なアッセイは、CellTiter 96(登録商標)AQueous Non−Radioactive Cell Proliferation Assay(Promega)であった。この方法は、[3H]チミジン取り込み細胞増殖アッセイの非放射性の代替的な方法である。本質的には、製造業者の説明書に従ったが、簡単には、5%ウシ胎仔血清(FCS)を添加したRPMI中の100μlの5×106 K562(ヒト慢性骨髄性白血病)細胞を、96穴プレートの穴に添加した。次いで、5%CO2雰囲気下の加湿条件で37℃において20時間に亘って細胞をインキュベートした。次いで、培地を交換して、1時間平衡させ、次いで、3−(4,5−ジメチルチアゾールー2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩;(MTS)及びフェニアジンメトスルフェート(PMS)を含む20μlの溶液を各穴に添加した。490nmの0時間での吸収を直ぐに読み取り、次いで、その後の1時間ごとに吸収を測定した。MTS/PMS溶液の添加の21及び45時間後の読み取りも実施した。
【0141】
これらの細胞が増殖しないことが図9から認められる。染色は、より高い代謝で徐々に消えていき、より高い吸収(y軸)を反映する。TL処理+LPS攻撃細胞からのデータは、試験サンプルが対照よりも僅かに低い代謝活性であるが、同じ時間でTNF−α分泌を抑制することを示す。未処理+LPS攻撃細胞と比較した際により高い代謝である必要性はこれらの細胞に関してはあまりないので、これらのデータは全く予想されないわけではない。非LPS攻撃細胞は、可溶性血漿試験組成物を使用して処理したか否かにかかわらず代謝について違いは無い。
【0142】
これらのデータから、実施例4、5、及び6において認められたTNF−αの阻害は、細胞の代謝作用の低減によるものではないと結論付けられる。
【0143】
(実施例9)
TACEの阻害
まず、TNF−αは、26kDaのタイプII膜貫通型の前駆型として細胞表面上で発現される。膜に結合したプロTNF−αは、次いで、ZnメタロプロテアーゼであるTNF−α変換酵素(TACE)によってAla−76とVal−77との間で切断され、17kDaの成熟した可溶性サイトカインの形成を生じさせ得る。
【0144】
TACEは、メタロプロテアーゼディスインテグリンファミリー(ADAM又はMDCファミリーとしても知られている)に属し、亜鉛依存性触媒ドメインを有するモジュラー膜貫通型タンパク質である。メタロプロテアーゼディスインテグリンは、触媒ドメイン活性を阻害するプレドメインを含有する不活性な前駆体として合成される。TACEは可溶性TNF−αの産生に寄与する主なプロテアーゼである。TACEΔZn/ΔZnノックアウトマウス由来のT細胞は、プロTNF−αをプロセシングする機能における90%の低減を有する。RA患者の滑膜組織中のTACEタンパク質及びその酵素活性のレベルは、変形性関節症患者のものよりも有意に高い。そのため、細胞膜上のプロTNF−αのプロセシングを阻害するTACEインヒビターは、生物学的作用物質によるTNF−αの中和の魅力的な代替物である。
【0145】
TACEは、in vivoにおいて上皮増殖因子受容体(EGFR)の活性化及びヌードマウスにおける腫瘍の発生にも必要とされ、腫瘍形成におけるTACEの重大な役割を示す。この見解と同じように、TACEは、分析した哺乳動物腫瘍の大多数において劇的に過剰発現している。まとめると、この証拠は、TACEを、抗腫瘍治療の期待できる標的として示す。
【0146】
多数の強力且つ個別選択的な化合物が、炎症疾患の推定上の治療のためのTACEインヒビターとして設計され、合成され、特許出願されている。比較的多数の化合物が、細胞及び動物アッセイにおいてTNF−αレベルを低減させ、炎症疾患の細胞及び動物モデルにおいて良好な効果、効力、及びバイオアベイラビリティーを示す。複数の高い効力を有する化合物、例えば、BMS−561392(慢性関節リウマチについてフェーズII)が、フェーズIからフェーズIIの臨床試験を実施しているが、TACEインヒビターは未だ市販されていない。他の提案は、Ro 32−7315に似た、選択されたMPP及びTACEの阻害の二重の阻害効果である。
【0147】
本発明の可溶性血漿試験組成物は、実施例4及び6に記載したLPS攻撃に対する単球によるTNF−αの放出を低減することを示した。前記可溶性血漿試験組成物がTACEも阻害することを示唆する。組換え昆虫sf21細胞におけるヒトTACE活性の直接測定によって、本発明の可溶性血漿試験組成物が、1.3%の可溶性血漿試験組成物の溶液のIC50でTACE活性を阻害することが明らかになった(図9参照)。
【0148】
(実施例10)
カスパーゼ阻害
インターロイキン−1b変換酵素であるICE(現在はカスパーゼ−1と再命名されている)は、システインエンドプロテアーゼである。前記酵素は、プロIL−1を直接切断して、細胞外環境に放出される成熟したサイトカインIL−1bにする。これまでに10種を超えるカスパーゼが知られている。多数の証拠が蓄積されて、カスパーゼ−1の阻害がin vitroおよびin vivoにおけるIL−1bの低下を直接生じさせることを示している。この効果は、動物及びヒトにおける炎症の多数のモデルにおける炎症の症状の改善における効力と関連する。pralnacasan及びVX−765に対する臨床試験のデータは、カスパーゼ−1インヒビターが、一般的に、慢性関節リウマチ、変形性関節症、及び乾癬について効果的であり得ることを示している。他の薬理学的試験も、これらのインヒビターが、虚血/再灌流障害及び脳卒中のような多数の病気の状態について治療剤として有益であり得ることを示している。臨床試験に入った数少ないインヒビターの全てが、可逆的な共有結合性インヒビター(例えば、アルデヒド、pralnacasan、及びVX765)であるか又は不可逆的なインヒビター(例えば、アシルオキシメチルケトン45)である。これらの化合物の1つの可能性がある問題は、それらの固有の反応性の性質であり、これは一般的に所望の薬剤様特性であるとは解されていない。
【0149】
カスパーゼは、アポトーシスの媒介において重要な役割を担っている。ヒトカスパーゼファミリーの13種が同定されている。幾つかはアポトーシスに関与しており、これらは2つの亜群に分けることができる。第一の群は、カスパーゼ8、カスパーゼ9、及びカスパーゼ10からなり、細胞死プロセスの開始因子として作用する。第二の群は、カスパーゼ3、カスパーゼ6、及びカスパーゼ7を含有し、エフェクターとして作用して、各種の基質を切断し、最終的には、アポトーシス細胞において認められる形態的変化及び生化学的変化を生じさせる。
【0150】
アポトーシスは、UV光、化学的損傷又は物理的損傷、あるいはウイルス感染のような細胞傷害に対する細胞応答である。この傷害は、「プログラムされた細胞死」と度々称される細胞の破壊を誘導する事象のカスケードを開始させる。それは、生物の残りの部分を保護する細胞の本来の応答である。アポトーシスの悪化は組織損傷を生じさせる。肝炎、インスリン炎、対宿主性移植片病、及びアレルギー性脳炎は、細胞傷害性リンパ球において発現されたFasリガンドによる過剰なアポトーシスによるものである。アポトーシス細胞は、虚血又はアルツハイマー病患者の脳において検出され、アポトーシスが病気の発現に少なくとも部分的には関与していることを示している。脳卒中では、証拠が蓄積されて、虚血性半影におけるニューロンがアポトーシスを起こしていることを示している。CD95(APO−1/Fas)欠損マウス及びTNF−α欠損マウスでは、脳の虚血性病変がより低減した。脳卒中の誘導の30分後に抗TNF及び抗CD95L中和抗体の混合物を注射したマウスは、梗塞の容量及び死亡率の双方における顕著な低減を示すことが報告されている。パーキンソン患者の脳では、カスパーゼ1及び3のような炎症性サイトカインのレベルの増大が報告されている。
【0151】
既知のカスパーゼの全ての内、カスパーゼ−3は、アポトーシスの主要な実行者であると解されている。活性化メカニズムに依存するカスパーゼの活性化は、クロマチン凝縮、DNA断片化及びDNA修復酵素ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの切断、並びに最終的にプログラムされた細胞死を誘導し得る。カスパーゼ−3の阻害は、in vitroにおいて細胞のアポトーシスを直接阻害し得る。アルツハイマー病及び外傷性脳損傷の動物モデルにおいて、薬理学的なカスパーゼ−3阻害は、脳損傷の程度を低減し、並びに多数のAβ沈着を抑制した。
【0152】
本発明の可溶性血漿試験組成物は、8.1%の前記可溶性血漿試験組成物溶液のIC50でヒトカスパーゼ1を阻害することが認められた。カスパーゼ3は、2.8%の前記可溶性血漿試験組成物溶液のIC50で阻害した。カスパーゼ9は、10%の前記可溶性血漿試験組成物溶液によって、57%阻害した(図11及び12参照)。
【0153】
前記可溶性血漿試験組成物の各種のカスパーゼに対する阻害効果は、アポトーシスにおける可溶性血漿試験組成物の潜在的に有益な活性及び各種のカスパーゼの広範な調査を動機付ける。
【0154】
まとめ
表5は、本発明の可溶性血漿試験組成物によって示された標的及び効果を示す。
【0155】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、未処理の皮膚と比較した、本発明の組成物で処理したUV光に曝露したヒトの皮膚の領域を示す。
【図2】図2は、曝露の7週後の図1と同じ皮膚を示す。
【図3】図3(左図)は、10−20%トリシン勾配ゲルを示す。タンパク質は、クマシーブルーで染色した。レーン1は、分子量マーカーを含有する。レーン2は、トリプシン消化前のウシ可溶性タンパク質を示し、レーン3はトリプシン消化後のものを示す。このゲルは、製剤中の大半のタンパク質が50キロダルトン未満の範囲のサイズにあることを示す。図3(右図)は、12%SDS−PAGEトリシンゲルを示す。タンパク質は銀染色した。レーン4は分子量マーカーを含有する。レーン後は未処理のウシ血漿を示す。このゲルは、未精製のウシ血漿中のタンパク質の大半は、50−80キロダルトンの範囲のサイズにあることを示す。
【図4】図4は、Talamo et al.,2003,Proteomics,3:440−460の方法を用いた二次元電気泳動図によるウシ血漿を示す。
【図5】図5は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む本発明の組成物の1つの形態の、LPS刺激したヒト単球によるTNF−α生産に対する効果を示す。
【図6】図6は、金属含有溶液として銅を含有する本発明の組成物の、LPS刺激したヒト単球によるTNF−α生産に対する効果を示す。
【図7】図7は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む本発明の組成物の1つの形態の低濃度の、LPS刺激したヒト単球によるTNF−α生産に対する効果を示す。
【図8】図8は、本発明の組成物の異なる濃度の効果の滴定を示す。その目的は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む試験サンプルが、培養培地において使用するFCSと競合しないことを実証することであった。
【図9】図9は、非放射活性増殖アッセイ(CellTiter 96(登録商標)AQueos Assay)における、LSP刺激をするか又はしないで、in vitroにおける細胞代謝に対する前記組成物の効果を示す。その目的は、前記試験組成物が細胞代謝を低減しないことを実証することであった。
【図10】図10は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む試験サンプルの影響下におけるヒト組換え昆虫sf21におけるヒトTACE活性の直接的な測定を示す。この試験サンプルは、試験サンプル溶液の1.3%のIC50でTACE活性を阻害した。TACE阻害は、試験組成物は炎症応答を低減し得る更に別の経路を示す。
【図11】図11は、図10と同じ試験サンプル溶液の8.1%のIC50でのin vitroにおけるヒトカスパーゼ1阻害を示す。
【図12】図12は、図10と同じ試験サンプルによって誘導されたin vitroにおけるヒトカスパーゼ3の阻害を示す。前記試験サンプルは、2.8%のIC50でカスパーゼ3を阻害した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織破壊の治療において活性を有する薬剤に関する。特に、本発明は、組織治癒特性を有する活性画分の有効量を含む組成物であって、前記活性画分が、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との変性された混合物から分離されている組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
効果的な治療が無いことによって、日焼け、軟組織及び結合組織の損傷、並びに創傷のような組織破壊の治療は遅れている。問題の一部は、治癒の過程についての理解が無いことにある。
【0003】
創傷治癒は、通常、(a)組織破壊及び正常な組織構造の損失、(b)細胞壊死及び出血;血流遮断(血塊形成)、(c)血管のうっ血及び組織浮腫と共に、分葉核及び単核炎症細胞の浸潤、(d)単核細胞(マクロファージ)による血塊並びに損傷細胞及び組織の溶解、並びに(e)肉芽組織の形勢(線維増殖及び血管新生)を含む、一連の協調的で定型の事象である。この一連の細胞事象は、多数の哺乳動物種において生じる全ての組織及び器官の創傷で認められている(Gailet et al., 1994, Curr. Opin. Cell. Biol. 6:717-725)。したがって、上述の細胞の一連の事象は、全ての哺乳動物種の修復の普遍的な態様である。
【0004】
さらに、創傷治癒の過程は、サイトカイン、酵素、増殖因子、例えば、TNF−α、TNFα変換酵素(TACE)、及びカスパーゼを必要とする。例えば、TNF−αは、UV光曝露後の皮膚において放出され、続いて膜受容体に結合し、シグナル伝達を開始させる。同様に、TNF−α受容体(TNF−αR)の発現は、紫外光によって修飾されることが報告されている。TNF−αの発現も、脳損傷に続いて即時に誘導される。TACEインヒビターは、TNF−αの分泌を低減し、TNF−αが細胞膜に結合した状態を維持する。カスパーゼは、アポトーシス、例えば、外傷性脳損傷の動物モデルにおけるアポトーシスと強く関連している。サイトカインインヒビター及びアポトーシスのインヒビターは、原発性の組織破壊後に多くの場合に生じる続発性の損傷に対して作用し、かくして、生じる可能性があった組織損傷の程度をこの処理で低減する。
【0005】
組織破壊の現在の治療用組成物の多くは、最適な要求品質に取り組むという課題を有する。例えば、創傷(組織破壊の一態様)治療の観点からは、最適な要求品質は、創傷収縮の速度の促進、上皮形成の速度の増大、並びに肉芽形成物質の成熟速度の増大、最終的には、それによって治癒した創傷について完全な成熟までの時間を低減することである。
【0006】
同様の問題が、他のタイプの組織破壊においても存在する。例えば、火傷は成功裡に治療されていない。深い軟組織損傷に関しては、過去の治療は、軟組織を修復又は増加するための各種の物質の注射を含んでいる。使用する薬剤の幾つかは、液体シリコーン、化学的架橋形態及び繊維形態のような各種の形態におけるコラーゲン、並びにヒアルロン酸を含む。
【0007】
残念なことに、これらの手法及び物質はいずれも、有効性又は効力における欠点によって理想のものではないと解される。例えば、液体シリコーンは、身体の異なる部位に移動して生理学的及び臨床的な問題を生じさせることが発見された際に、FDAによって禁止された。
【非特許文献1】Gailet et al., 1994, Curr. Opin. Cell. Biol. 6:717-725
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、軟組織及び結合組織損傷、深い軟組織損傷、外傷、並びに開放創を含む、組織損傷を治療するために使用し得る治療用組成物であって、原発性及び続発性の損傷を停止し、且つ、組織修復の速度を促進することによって、損傷の完全な成熟までの時間が低減される組成物を有する事が望ましい。
【0009】
広範な生化学的研究によって、本発明者は、従来技術の組織破壊治療に関する問題の幾つかを克服するか又は少なくとも軽減し得る組成物を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記画分が変性されており、
(a)組織損傷の治癒;
(b)アポトーシスの調節;
(c)TNF−α活性の調節;
(d)TNF−αR活性の調節;
(e)TACE活性の調節;並びに
(f)カスパーゼ活性の調節
からなる群の1つ又は複数から選択される活性を有する、組成物を提供する。
【0011】
ある実施態様では、前記カスパーゼは、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である。
【0012】
前記血漿又は血清は、任意の動物起源から得られて良い。好ましくは前記血漿又は血清は、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から単離される。
【0013】
ある実施態様では、前記血漿及び/又は血清は、使用前に乾燥されているか又は凍結乾燥されている。
【0014】
前記血漿及び/又は血清を得たら、少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩と混合する。前記金属、金属イオン、又はその金属塩は、任意の金属であって良い。ある実施態様では、前記金属は、ニッケル、ナトリウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、銀、及び水銀、それらのイオン又は塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
前記金属、金属イオン、又はその金属塩を血漿及び/又は血清と混合したら、好ましくは少なくとも50℃に加熱する。好ましくは、混合物を約65℃に加熱する。
【0016】
ある実施態様では、1つ又は複数のプロテアーゼ、例えば、トリプシンを加熱前に添加する。加熱後に添加する場合には、結果として得られる混合物を再び加熱し、次いで冷却して、軟組織及び結合組織損傷並びに創傷のような組織破壊を治癒し得る混合物を製造する。
【0017】
第二の加熱工程は、好ましくは、約80℃から約150℃の間、更に好ましくは約90℃から約130℃の間、最も好ましくは約120℃で実施する。
【0018】
本発明の創傷治癒混合物は、直接又は更に分離して使用して、治癒特性を有する更に特定された画分を製造しても良い。
【0019】
本発明の組成物は、上述の混合物の少なくとも1つの画分を含んで良い。ある実施態様では、本発明の組成物は、任意に医薬担体と混合される。任意の当該技術分野において既知の医薬担体を使用して良い。
【0020】
したがって、第二の態様では、本発明は、
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;及び
(b)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が、組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、並びにカスパーゼ活性を調節することが可能である、組成物の調製方法を提供する。
【0021】
前記活性画分を分離する工程は、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用する、アフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、及びゲル濾過クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーによるものであって良い。
【0022】
ある実施態様では、前記方法は、1つ又は複数のプロテアーゼの存在下で前記混合物をインキュベートして、消化された混合物を製造し、前記消化された混合物を加熱する工程を更に含む。これらの工程は、少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩の添加の前又は後に実施して良い。
【0023】
したがって、第三の態様では、本発明は、
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;
(b)プロテアーゼの存在下で前記混合物をインキュベートして、消化された混合物を製造する工程;
(c)前記消化された混合物を加熱する工程;並びに
(d)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が、組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、並びにカスパーゼ活性を調節し得る、組成物の調製方法を提供する。
【0024】
前記活性画分を分離する工程は、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用する、アフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、及びゲル濾過クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーによるものであって良い。
【0025】
ある実施態様では、工程(b)及び(c)は、少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩の添加前に実施する。更に別の実施態様では、工程(a)は、NaHCO3を添加する工程を含む。
【0026】
熱によって混合物を変性する工程は、65℃より高い温度で実施して良い。
【0027】
分画工程(d)は、ポリアミドカラムクロマトグラフィーによって実施して良いが、分画の任意の他の方法を使用して良い。
【0028】
本発明は、本発明の第二及び第三の態様の方法によって調製される組成物を更に提供する。
【0029】
第四の態様では、本発明は、組織破壊、調節されたアポトーシス、調節されたTNF−α活性、調節されたTNF−αR活性、TACE活性、及び調節されたカスパーゼ活性の1つ又は複数と関連する病気又は疾患を治療する方法であって、前記方法が、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から単離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記活性画分が組織損傷を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及び/又はカスパーゼ活性を調節し得る組成物の有効量を対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0030】
前記投与方法は、当該技術分野で既知の任意の方法であって良い。ある実施態様では、前記組成物は、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、経膣、又は吸入によって投与する。最も好ましくは、前記組成物は局所的に投与する。
【0031】
第五の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から単離した活性画分の有効量と製薬学的に許容される担体とを含む、対象の組織破壊を治療するための組成物であって、前記混合物が変性されており、前記活性画分が組織破壊を治癒し得る、組成物を提供する。
【0032】
第六の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との変性された混合物から抽出される、組織破壊を治癒し得る組織破壊治療物質を提供する。
【0033】
組織破壊治療物質は、製薬学的に許容される担体と更に混合して良い。前記担体は、蒸留水、生理食塩水溶液、リンガー溶液、植物油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ラクトース、マンニトール、コーンデンプン、クリスタリンセルロース、アラビアガム、ゼラチン、ジャガイモデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、タルク、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つであって良い。
【0034】
第七の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との混合物から分離した活性画分を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記画分が製薬学的に許容される担体と混合されている組成物の治療量を、組織破壊の治療を必要とする対象に投与する工程を含む、前記対象における組織破壊を治療する方法を提供する。
【0035】
組織破壊は、外傷、創傷、微生物感染、日焼けを含む火傷、潰瘍、腱/靭帯損傷若しくは使いすぎ障害を含む軟組織若しくは結合組織損傷、炎症、並びに皮膚疾患からなる群から選択されて良い。ある実施態様では、組織破壊は、軟組織及び/又は結合組織損傷あるいは日焼けを含む火傷である。
【0036】
第八の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との混合物から分離した活性画分を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記画分が製薬学的に許容される担体と混合されている組成物の治療量を、破壊された組織に適用する工程を含む、組織破壊を治療する方法を提供する。
【0037】
第九の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との変性された混合物から分離した活性画分を含む、組織破壊を治癒することが可能な創傷被覆材を提供する。
【0038】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との活性化画分が、病気又は疾患の治療において使用される医療器具を被覆する為に使用することが更に意図される。かくして被覆されて良い前記医療器具は、例えば、カテーテル、ガイドチャンネル(guide channel)、探針、心臓弁、軟組織代替物、動物起源の代替物、人工腱、骨及び心臓血管の代替物、コンタクトレンズ、血液酸素供給機、人工の腎臓、心臓、膵臓、及び肝臓、血液バッグ、シリンジ、手術器具、濾過システム、実験器具、細胞及び組織の培養物及び再生物の容器、並びにペプチド、タンパク質、及び抗体の支持体である。
【0039】
したがって、第十の態様では、本発明は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との組織破壊を治癒し得る画分で被覆した医療機器を提供する。
【0040】
本発明の治療用組成物及び/又は創傷被覆剤が、抗菌剤、抗ウイルス剤、増殖因子、抗脱水化合物、ファクターXaのような凝固因子、抗敗血症剤、あるいは生物医学的及び/又は獣医学的な用途に適する他の化合物を含むが、それらに限らない化合物を更に含んで良いことも更に意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明を詳細に開示する前に、本発明は特に例示した方法に限定されず、言うまでも無く変形して良いことが理解されるべきである。本明細書で使用する用語は、本発明の特定の実施態様を記載する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。
【0042】
本明細書に引用した全ての文献、特許、及び特許出願は、上記又は下記のいずれかにおいて、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる。しかしながら、本明細書に記載の文献は、文献内に記載されて本明細書と関連して使用され得るプロトコル及び試薬を記載及び開示する目的のために引用する。本明細書では、本発明が、その様な従来の発明による開示に先行する資格がないことを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0043】
更に、本発明の実施は、他に示さない限り、従来技術の範囲内である従来の化学及び薬理学を利用する。その様な技術は、技術者にも良く知られており、文献、例えば、Coligan, Dunn, Ploegh, Speicher and Wingfield “Current protocols in Protein Science" (1999) Volume I and II (John Wiley & Sons Inc.); The Merck Index, 12th Edition (1996), Therapeutic Category and Biological Activity Index; and Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th Edition, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, USAにおいて十分に説明されている。
【0044】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、背景が明示していない限り、複数のものを含むことを注意しなくてはならない。かくして、たとえば、「a metal(金属)」は、その様な金属の複数を含み、「an isolated protein(単離されたタンパク質)」は、1つ又は複数のタンパク質を示す。他に規定しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載したものと類似又は同等の任意の物質及び方法を使用して、本発明を実施又は試験して良いが、好ましい物質及び方法を本明細書に記載する。
【0045】
広範な態様において、本発明は、組織破壊についての治療として有用な組成物を提供する。用語「組織破壊」は、本発明の薬剤、治療用組成物、及び創傷被覆剤を用いて治療し得るヒトを含む動物に影響を与える異常状態を示す。用語「組織破壊」は、炎症、外傷、創傷、軟組織損傷、結合組織損傷、非空気曝露損傷、例えば、捻挫及び腱/靭帯損傷のような深い軟組織損傷、全てのタイプの日光による損傷を含む火傷、例えば、日焼け、並びに使いすぎ障害を本発明では含んで良い。
【0046】
前記損傷は、軽微な組織破壊、例えば、表皮、真皮、筋肉、又は脂質組織を空気に曝すことであって良い。用語「創傷」は、刺創、切傷、裂傷、穿通創、貫通創、及びトンネル創(tunnel wound)などを含む。創傷は、縫合されているか又は機械的に接着されているが、皮膚、口腔粘膜層、又は結膜及び角膜を含む眼の表面層における切断を治癒又は修復していない開放創も含む。
【0047】
本明細書で使用する用語「外傷」及び「表面外傷」は、病理学的に変化した組織、損傷、又は創傷の限局的な領域を示す。原発性の外傷は、病理学的な状態を即時に生じさせ、切断、擦過傷、小疱、小水胞、水疱下疳、膿疱、あるいは任意の他のその様な皮膚又は口、鼻、肛門、若しくはヒト又は動物の任意の他の開口部の表面、あるいは結膜及び角膜を含む眼の表面層の状態を含むが、それらに限らず、あるいは原発的な外傷の後に発生する続発的な外傷は、裂及び潰瘍並びに他の創傷を含むが、それらに限らない。
【0048】
用語「組織破壊マネージメント」は、壊死のような組織損傷の停止、組織増殖及び修復の促進、損傷の確立された微生物感染の低減又は除去、並びに新しい又は更に別の微生物感染又はコロニー形成の予防を含むが、それらに限らない組織損傷の修復を誘導及び/又は促進する治療方法を意味する。前記用語は、創傷に起因する痛覚を低減又は除去することを更に含んで良い。
【0049】
用語「組織破壊治癒」及び「組織破壊修復」は、部分的又は完全に創傷を修復し、組織内の破損を修復し、並びに組織を部分的又は完全に回復させる組織増殖を必要とする過程を意味する。例えば、皮膚の障壁特性、結膜及び角膜を含む眼の表面層の修復、並びに真皮及び/又は表皮、結合組織、腱、及び靭帯内の破損が修復又は治癒されて良い。
【0050】
任意の理論又は仮説に繋げることを望まないが、本発明者は、本発明の組成物は、TNF−α、TNF−αR、TACE、及びカスパーゼに対する効果によって、組織破壊を修復し得ると解している。さらに、本発明者は、前記TNF−α、TNF−αR、TACE、及びカスパーゼに対する効果は、これらの分子によって生じる続発性の損傷を低減し、アポトーシスを調節すると解している。
【0051】
本明細書で使用する用語「調節する」は、活性における増大又は低減を含む。かくして、例えば、TNF−αの活性は、正常な範囲内でTNF−α活性を有する対象におけるレベルと比較して、より高い又は低いものであって良い。
【0052】
一般的には、用語「治療する」及び「治療」などは、本明細書で使用されて、個々の組織細胞に作用して、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを意味する。前記効果は、組織破壊を部分的又は完全に治癒するという意味で特に治療的である。本明細書で使用する「治療」は、脊椎動物、哺乳動物、特にヒトにおける組織破壊の任意の治療を包含し、(a)組織破壊の阻害、すなわち、その発達の停止;又は(b)組織破壊の症状の軽減又は改善、すなわち、組織破壊の症状の後退を引き起こす事を含む。
【0053】
本明細書で互換的に使用される用語「対象」又は「個体」を使用して、ヒト、並びにチンパンジー、他の類人猿、猿種のような非ヒト霊長類を含む霊長類;ウシ、ヒツジ、ヤギ、及びウマのような家畜;イヌ及びネコのような家畜;マウス、ラット、及びモルモットのようなげっ歯類を含む実験動物のような他の哺乳動物を含むが、それらに限らない哺乳動物種の任意のものを示す。前記用語は特に年齢を示すものではない。かくして、成体及び新生児の双方が包含されることが意図される。
【0054】
かくして、ヒトのような哺乳動物、並びにヒトにとって経済的に重要及び/又は社会的に重要である哺乳動物、例えば、ヒト以外の食肉類(例えば、ネコ及びイヌ)、ブタ類(ブタ、家畜のブタ、及びイノシシ)、反芻類(例えば、ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、及びラクダ)、並びにウマの治療が提供される。
【0055】
用語「有効量」は、対象に投与した際に、組織破壊治癒又は修復を誘導するのに十分な量、例えば、組織治癒量を示す。本発明の組成物の有効量又は用量を構成するのは、他の因子の中でもとりわけ、対象の体重及び治療される損傷の程度に依存する。通常、有効用量は、約1から約6mg/kg体重の範囲に見出されるであろう。平均75kgの対象については、この範囲は約75から約450mgの用量である。比例的に、より小さい又はより大きい用量が、より小さい又はより大きい体重を有する対象に適当であって良い。その様な用量が必要とされて投与されて良いが、典型的には一日に1から約4回投与、大半の場合には、一日に1又は2回の投与が組織破壊の十分な治癒を与える。
【0056】
ある実施態様では、本発明の組成物は、血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩との混合物から本質的に構成される。
【0057】
用語「血漿」は、典型的には、血液細胞が懸濁されている淡黄色流動体を示す。血漿は、タンパク質の高濃縮物(約70g/l)及び各種の微量元素とのナトリウム、カリウム、及びカルシウムなどの各種の無機塩からなる。用語「血清」は、静置させた血餅又は血漿から分離した流動体を示す。血清は、組成が血漿と本質的に類似するが、通常はフィブリノゲン及び凝血過程において使用される他の物質を欠いている。
【0058】
本発明において使用する血漿又は血清は、任意の動物起源から得られて良い。ある実施態様では、前記血漿及び/又は血清は、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から得られた血液から単離される。
【0059】
ある実施態様では、前記血漿又は血清の動物起源はウシである。
【0060】
前記血漿又は血清は、新しく単離されるか又は凍結乾燥されていて良い。ある実施態様では、血液はウシから単離し、ヘモグロビンを標準的な手法によって除去する。次いで、血漿は、重炭酸ナトリウム(約20g/l)と混合して、約80℃に加熱する。次いで、凝固した血漿タンパク質を除去し、更なる使用のために標準的な手法によって凍結乾燥する。
【0061】
ある実施態様では、前記凍結乾燥した血漿又は血清は、水中で再懸濁して(約50g/l)、少なくとも1つの金属と混合する。
【0062】
各種の金属及び/又は金属イオンが本発明の組成物において有用であり、その様なものとして、本発明は、その様な金属又は金属イオンの全てを包含する。
【0063】
ある実施態様では、前記金属は、ニッケル、ナトリウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、銀、及び水銀からなる群から選択される。
【0064】
ある実施態様では、前記組成物は、凍結乾燥した血漿を水中に再懸濁する(約50g/l)ことによって調製される。次いで、前記血漿は、約1%から約4%の重炭酸ナトリウムに曝露する。用語「約」は、血漿が1%の前後約10%、例えば0.9%又は1.1%の最終濃度を有することを意味する。本明細書で使用する「曝露する」は、血漿と重炭酸ナトリウムとが共に混合されるか又は互いに接触される時間を示す。ある実施態様では、血漿は4から5時間に亘って重炭酸ナトリウムに曝露する。次いで、血漿/重炭酸ナトリウム混合物の温度を室温から70〜80℃にゆっくりと上昇させる。
【0065】
前記金属が十分に塩基性又は酸性であり安定な非毒性の酸又は塩基の塩を形成する場合には、塩としての金属の使用が適当である。適当な金属塩の例は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、炭酸塩、α−グリセロリン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、又はトシル酸塩を含む。
【0066】
金属塩は、当該技術分野において良く知られた標準的な手法を用いて、例えば、アミンのような塩基性化合物を生理学的に許容されるアニオンを与える適切な酸と十分に反応させて得られて良い。アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム)又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩が作製されて良い。
【0067】
ある実施態様では、例えば、前記金属は、銀(I)であって、その硝酸塩が適当な遊離の金属(I)イオンを提供し、必要な金属の量を提供する。一方で、塩化物塩は、より可溶性でないこと及び低い解離定数によって、より少ない銀を提供し、そのため本発明においてあまり有用ではない。当業者は、本発明に必要な特性を提供する金属イオンの適切な塩の形態を容易に決定し得るであろう。さらに、当業者は、金属及び組成物の他の成分の塩の形態の相溶性に注意して、金属イオンの十分なレベルを維持するであろう。
【0068】
ある実施態様では、前記組成物で使用する金属は、多数の金属の混合物を含む。例えば、前記金属の混合物は、NiSO4.7H2O、NH4VO3、NaF、CuSO4.5H2O、ZnCl2、(NH4)6MO7O24.4H2O、COCl2.6H2O、FeSO4.7H2O、MgSO4.7H2O、H3BO3、MnCl2.4H2O、及びK2CrO4から本質的に構成されるであろう。
【0069】
金属、金属イオン、又はその金属塩を血漿及び/又は血清と混合したら、少なくとも50℃まで加熱して良い。ある実施態様では、前記混合物を約65℃に加熱する。
【0070】
ある実施態様では、トリプシン、キモトリプシン、ファクターXa、毒プロテアーゼ、トロンビン、プラスミン、及びスブチリシンファミリーのセリンプロテアーゼからなる群から選択される1つ又は複数のプロテアーゼを、加熱の前又は後に添加して良い。前記プロテアーゼはトリプシンであって良い。
【0071】
前記プロテアーゼは、金属、金属イオン、又は金属塩の添加前又は後に添加して良い。どちらにしても、プロテアーゼを添加したら、結果として得られる血漿/血清とプロテアーゼとの混合物を、金属、金属イオン、又は金属塩と共に、少なくとも30分に亘って約30℃から45℃の間でインキュベートする。次いで、前記混合物を再び加熱する。第二の加熱工程は、約80℃から約150℃の間で実施して良い。ある実施態様では、前記第二の加熱工程は、約90℃から約130℃の間で実施して良い。他の実施態様では、前記第二の加熱工程は、約120℃で実施して、前記組織破壊治療用混合物を製造する。
【0072】
前記組織破壊治療用混合物を得たら、直接使用するか又は分画して更に精製した組織破壊治療用活性画分を得て良い。タンパク質含有混合物を分画するための技術は、当該技術分野において良く知られている。例えば、参照によって本明細書に組み込む“Plasma Protein Fractionation” Heide K, Haupt H & Schwick H; in The Plasma Proteins, 2nd Edition Vol 3 (1977) Putnam F. (Ed); 双方が“Fractionation of protein mixtures”と題されたUS Pat. No. 4,351,710及びUS Pat. No. 4,322,275;“Method of fractionating plasma proteins”と題されたUS Pat. No. 5,138,034を参照のこと。
【0073】
上述のように、ある実施態様では、本発明は、本発明の組成物の効果的に組織破壊を治療する量を対象に投与する工程を含む、対象の組織破壊を治療する方法を提供する。
【0074】
本発明の方法は、上述の組織破壊の全てのタイプを治療するために使用されて良い。本発明の方法は、家畜及び珍しい動物、例えば、イヌ及びウマ並びに動物園の動物などの非ヒト哺乳動物である対象を治療するために有用であるが、ヒトの対象の治療に特に有用である。
【0075】
本発明の組成物は、オピオイド、並びに麻薬性鎮痛剤、μ受容体アンタゴニスト、κ受容体アンタゴニスト、非麻薬性(すなわち、非依存性)鎮痛剤、モノアミン取り込みインヒビター、アデノシン調節剤、カンナビノイド誘導体、サブスタンスPアンタゴニスト、ノイロキニン−1受容体アンタゴニスト及びナトリウムチャンネル遮断薬などを含めた他の鎮痛剤との併用療法にも使用して良い。ある実施態様では、前記併用療法は、本発明の方法において有用な組成物と、アセクロフェナク(aceclofenac)、アセメタシン(acemetacin)、α-アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸(アスピリン)、S−アデノシルメチオニン、アルクロフェナク(alclofenac)、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルミノプロフェン(alminoprofen)、アロキシプリン、アルファプロジン、アルミニウムビス(アセチルサリチレート)、アムフェナク(amfenac)、アミノクロルテノキサジン(aminochlorthenoxazin)、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、2−アミノ−4−ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン(amixetrine)、サリチル酸アンモニウム、アンピロキシカム(ampiroxicam)、アムトレメチン グアシル(amtolemetin guacil)、アニレリジン(anileridine)、アンチピリン、アンチピリン サリチレート、アントラフェニン(antrafenine)、アパゾン(apazone)、ベンダザク(bendazac)、ベノリレート(benorylate)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、ベンジダミン(benzydamine)、ベンジルモルフィン、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ベジトラミド(bezitramide)、α−ビスアボロール(α-bisabolol)、ブロムフェナク(bromfenac)、p−ブロモアセトアニリド、5−ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、ブセチン(bucetin)、ブクロキシ酸(bucloxic acid)、ブコローム(bucolome)、ブフェキサマク(b
ufexamac)、ブマジゾン(bumadizon)、ブプレノルフィン (buprenorphine)、ブタセチン(butacetin)、ブチブフェン(butibufen)、ブトファノール(butophanol)、アセチルサリチル酸カルシウム、カルマバゼピン(carbamazepine)、カルビフェン(carbiphene)、カルプロフェン (carprofen)、カルサラム(carsalam)、クロロブタノール、クロルテノキサジン(chlorthenoxazin)、サリチル酸コリン、シンチョフェン(cinchophen)、シンメタシン(cinmetacin)、シラマドール(ciramadol)、クリダナク (clidanac)、クロメタシン(clometacin)、クロニタゼン(clonitazeen) 、クロニキシン(clonixin)、クロピラク(clopirac)、クローブ、コデイン、コデイン臭化メチル、リン酸コデイン、硫酸コデイン、クロプロパミド(cropropamide)、クロテタミド(crotethamido)、デソモルフィン (desomorphine)、デキソキサドロール(dexoxadrol)、デキストロモラミド(dextromoramide)、デゾシン (dezocine)、ジアンプロミド(diampromide)、ジクロフェナク(diclofenac)ナトリウム、ジフェナミゾール (difenamizole)、ジフェンピラミド(difenpiramide)、ジフルニザル(diflunisal)、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノンエノールアセテート、ジヒドロモルフィン、アセチルサリチル酸ジヒドロキシアルミニウム、ジメノキサドール(dimenoxadol)、ジメフェプタノール(dimepheptanol)、ジメチルチアムブテン (dimethylthiambutene)、酪酸ジオキサフェニル、ジピパノン (dipipanone)、ジプロセチル(diprocetyl)、ジピロン(dipyrone)、ジタゾール(ditazol)、ドロキカム (droxicam)、エモルファゾン(emorfazone)、エンフェナム酸(enfenamic acid)、エピリゾール(epirizole)、エプタゾシン(eptazocine)、エテルサレート(etersalate)、エテンザミド (ethenzamide)、エトヘプタジン(ethoheptazine)、エトキサゼン(ethoxazene)、エチルメチルチアムブテン (ethylmethylthiambutene)、エチルモルフィン、エトドラク(etodolac)、エトフェナメート(etofenamate)、エトニタゼン(etonitazene)、オイゲノール、フェルビナク(felbinac)、フェンブフェン(fenbufen)、フェンクロズ酸(fenclozic acid)、フェンドサル(fendosal)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フェンタニル(fentanyl)、フェンチアザク (fentiazac)、フェプラジノール(fepradinol)、フェプラゾン(feprazone)、フロクタフェニン (floctafenine)、フルフェナム酸(flufenamic acid)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルオレゾン(fluoresone)、フルピルチン(flupirtine)、フルプロカゾン(fluproquazone)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、フォスフォザル(fosfosal)、ゲンチシン酸、グラフェニン(glafenine)、グルカメタシン(glucametacin)、サリチル酸グリコール、グアイアズレン(guaiazulene)、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン(hydroxypethidine)、イブフェナク(ibufenac)、イブプロフェン (ibuprofen)、イブプロキサム(ibuproxam)、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク (isofezolac)、イソラドール(isoladol)、イソメタドン、イソニキシン(isonixin)、イソキセパク(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトベミドン(ketobemidone)、ケトプロフェン、ケトロラク、p−ラクトフェネチド(p- lactophenetide)、レフェタミン(lefetamine)、レボルファノール(levorphanol)、ロフェンタニル (lofentanil)、ロナゾラク(lonazolac)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、アセチルサリチル酸リシン、アセチルサリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、メフェナム酸(mefenamic acid)、メペリジン(meperidine)、メプタジノール(meptazinol)、メサラミン(mesalamine)、メタゾシン (metazocine)、塩酸メタドン、メトトリメプラジン(methotrimeprazine)、メチアジン酸(metiazinic acid)、メトフォリン(metofoline)、メトポン(metopon)、メフェブタゾン(mefebutazone)、モフェゾラク (mofezolac)、モラゾン(morazone)、モルフィン、塩酸モルフィン、硫酸モルフィン、サリチル酸モルフィン、ミロフィン (myrophine)、ナブメトン(nabumetone)、ナルブフィン(nalbuphine)、サリチル酸1−ナフチル、ナプロキセン (naproxen)、ナルセイン(narceine)、ネフォパム(nefopam)、ニコモルフィン(nicomorphine)、ニフェナゾン (nifenazone)、ニフルム酸(niflumic acid)、ニメスリド(nimesulide)、5’−ニトロ−2’−プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール (norlevorphanol)、ノルメタドン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オルサラジン(olsalazine)、オピウム、オキサセプロール (oxaceprol)、オキサメタシン(oxametacine)、オキサプロジン(oxaprozine)、オキシコドン、オキシモルホン、オキシフェンブタゾン、パパベレタム、パラニリン(paranyline)、パルサルミド(parsalmide)、ペンタゾシン、ペリソキサール (perisoxal)、フェナセチン、フェナドキソン(phenadoxone)、フェナゾシン、塩酸フェナゾピリジン、フェノコール (phenocoll)、フェノペリジン、フェノピラゾン(phenopyrazone)、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール(phenyramidol)、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピミノジン(piminodine)、ピペブゾン(pipebuzone)、ピペリロン(piperylone)、ピプロフェン(piprofen)、ピラゾラク(pirazolac)、ピリトラミド(piritramide)、ピロキシカム(piroxicam)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プログルメタシン (proglumetacin)、プロヘプタジン(proheptazine)、プロメドール(promedol)、プロパセタモール (propacetamol)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、プロピフェナゾン (propyphenazone)、プロカゾン(proquazone)、プロチジン酸(protizinic acid)、ラミフェナゾン(ramifenazone)、レミフェンタニル(remifentanil)、リマゾリウムメチルサルフェート(rimazolium metilsulfate)、サラセタミド(salacetamide)、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミドo−酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、サルベリン(salverine)、シメトリド(simetride)、サリチル酸ナトリウム、スフェンタニル (sufentanil)、スルファサラジン(sulfasalazine)、スリンダク(sulindac)、スーパーオキシドジスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン(suxibuzone)、タルニフルメート(talniflumate)、テニダプ(tenidap)、テノキシカム (tenoxicam)、テロフェナメート(terofenamate)、テトランドリン(tetrandrine)、チアゾリノブタゾン (thiazolinobutazone)、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)、チアラミド(tiaramide)、チリジン(tilidine)、チノリジン(tinoridine)、トルフェナム酸(tolfenamic acid)、トルメチン(tolmetin)、トラマドール(tramadol)、トロペシン(tropesin)、ビミノール(viminol)、キセンブシン(xenbucin)、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)およびゾメピラク (zomepirac)から選択される1つ又は複数の化合物とを含む(The Merck Index, 12th Edition (1996), Therapeutic Category and Biological Activity Index, lists therein headed “Analgesic”, “Anti-inflammatory” and “Antipyretic”参照のこと)。
【0076】
本発明に使用するための更に他の適切な製剤が、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, Pa. 17th ed. (1985)において確認されて良い。
【0077】
用語「投与」、「投与する」、及び「投与された」は、本明細書において互換的に使用される。本発明の組織破壊治癒用組成物は、舌下を含む経口、局所的、又は全身に、従来の非毒性の製薬学的に許容される担体、アジュバント、及びビヒクルを含有する単位投与形態において投与されて良い。本明細書で使用する用語「非経口」は、皮下注射、エアロゾル、静脈内、筋肉内、鞘内、頭蓋内、注射又は輸液技術、あるいは経直腸又は経膣を含む。ある実施態様では、本発明の組織破壊治癒用組成物は、前記組成物と適合する製薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に投与される。その様な組成物の調製において、任意の従来の製薬学的に許容される担体を使用して良い。
【0078】
担体物質は、経口投与に適切な有機又は無機の不活性担体物質であって良い。適切な担体は、水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレン−グリコール、及びワセリンなどを含む。さらに、前記製薬学的に活性な製剤は、他の製薬学的活性剤を含有して良い。さらに、添加剤、例えば、香味剤、保存剤、安定剤、乳化剤、及び緩衝剤などが、医薬の配合の認可されている方法に従って添加されて良い。
【0079】
皮膚又は粘膜への局所的な適用については、上述の本発明の組織破壊治癒用組成物は、軟膏剤、チンキ剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、スプレー剤、エアロゾル剤、吸入のためのドライパウダー剤、及び懸濁剤などとして調製されて良い。事実、局所的な組成物を調製するための任意の従来の方法が本発明において使用されて良い。好ましい適用方法のうち、本発明の組織破壊治癒用組成物は、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、スプレー剤、エアロゾル剤、又はドライパウダー剤の形態であって良い。皮膚への局所的な投与のための医薬製剤は、本発明の組織破壊治癒用組成物と、その様な医薬製剤に習慣的に使用されている非毒性の治療上不活性の固体又は液体の担体とを混合することによって調製されて良い。これらの医薬製剤は、通常、組成物の全重量に対して0.01から5.0質量%、好ましくは0.1から1.0質量%の本発明の組織破壊治癒組成物を含有する。
【0080】
上述の局所的な医薬製剤の調製において、局所的な製剤の製薬学的な配合の技術分野における従来の添加剤、例えば、保存剤、増粘剤、及び香料などを使用して良い。さらに、従来の抗酸化剤又は従来の抗酸化剤の混合物が、上述の薬剤を含有する局所的な調製物に含んでも良い。これらの製剤において使用して良い従来の抗酸化剤には、N−メチル−α−トコフェロールアミン、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びエトキシキンなどが含まれる。本願に従って使用される、抗原調製物を含有するクリーム系医薬製剤は、脂肪酸アルコール、半固体石油炭化水素、エチレングリコール、及び乳化剤を含有する水性エマルションからなる。
【0081】
本発明の組織破壊治癒用組成物を含有する軟膏製剤は、半固体石油炭化水素と組織破壊治癒用組成物の溶媒分散物との混合物を含んで良い。本発明の組織破壊治癒用組成物を含有するクリーム組成物は、湿潤剤、粘度安定剤、及び水の水相、脂肪酸アルコール、半固体石油炭化水素、及び乳化剤の油相、並びに水性の安定剤緩衝液に分散された組織破壊治癒用組成物を含有する相から形成されるエマルションを含んで良い。安定剤は局所的な製剤に添加されて良い。任意の従来の安定剤が、本発明に従って使用されて良い。前記油相では、脂肪酸アルコール成分が安定剤として働く。これらの脂肪酸アルコール成分は、少なくとも14の炭素原子を含有する長鎖飽和脂肪酸の還元から得られて良い。
【0082】
エアロゾルの製剤は、Drugs and Pharmaceutical Sciences, Marcel Dekker, New York, 72: 547-574 (1996)に開示されている。更に、本発明の組織破壊治癒用組成物は、ドライパウダー吸入によって送達されて良い。その様な製剤及び器具は、Pharmaceutical Technology, June 1997, pp.117-125に開示されている。
【0083】
投与の態様及び種類及び組織破壊の重度に依存して、治療計画が変化されて良い。
【0084】
ある実施態様では、本発明の組成物は、創傷被覆材として直接使用される。例えば、上述のように、結果として得られる組成物は、創傷被覆材として直接使用して良い。しかしながら、更に別の実施態様では、本発明の組成物は、「伝統的な」創傷被覆材、例えば、硬膏剤、包帯、ガーゼ、又はパッドに含まれて良い。
【0085】
使用において、本発明の創傷被覆材は、創傷床と直接接触させるか又は創傷床に対して現実に近接させる主要な被覆材として好ましく使用される。前記被覆剤は、包装材として役立って良く、必要な場合には、ラップ、テープ、ガーゼ、又はパッドのような任意の適切な第二の創傷被覆材で固定されて良い。しかしながら、前記固定材は一時的なものであり、治癒される組織に永続的に含まれることは意図されない。必要な際には、前記創傷被覆材は、任意の更なる被覆材をまず除去し、次いで前記被覆材を除去し、それによって任意の蓄積した壊死組織及び浸出液が取り除かれる。本発明の創傷被覆材は、新しい被覆材又は他の適切な創傷被覆材に置き換えて良い。
【0086】
前記被覆材は、その全体において、創傷に配置して良い。本発明の創傷被覆材は、切断、成形、及び修飾して、多数の使用及び用途に対応して良い。
【0087】
本発明の治療用組成物の更に別の使用は、上述の任意のものを含む治療活性剤の送達における使用である。治療活性剤は、治癒過程に寄与し、及び治癒過程を改善するものであり、抗真菌剤、抗細菌剤、抗ウイルス剤、及び駆虫剤を含む抗菌剤、増殖因子、血管新生因子、麻酔剤、ムコ多糖、金属、並びに他の治癒剤を含む。
【0088】
本発明において使用して良い抗菌剤の例は、イソニアジド、エタムブトール、ピラジナムニド(pyrazinamnide)、ストレプトマイシン、クロファジミン、リファブチン、フルオロキノロン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、リファムピン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ダプソン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、アンピシリン、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、フルコナゾール、ピリメタミン、スルファジアジン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ペンタミジン、パロモマイシン、ジクラザリル(diclazaril)、アシクロビル、トリフルオロウリジン、フォスカーネット、ペニシリン、ゲンタマイシン、ガンシクロビル、イアトロコナゾール(iatroconazole)、ミコナゾール、Zn−ピリチオン、金、白金、銀、亜鉛、及び銅を含むが、それらに限らない重金属、並びに塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、及び過ヨウ化物塩、担体との複合物、及び他の形態を含むそれらの組み合わせた形態を含むが、それらに限らない。
【0089】
本発明の組織破壊/創傷被覆材器具に含まれて良い増殖因子は、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)、神経増殖因子(NGF)、表皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子1及び2(IGF−1及びIGF−2)、血小板由来増殖因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TAF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、コルチコトロピン放出因子(CRF)、形質転換増殖因子α及びβ(TGF−α及びTF−β)、インターロイキン−8(IL−8)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン、及びインターフェロンを含むが、それらに限らない。
【0090】
本発明の被覆材に含まれて良い他の薬剤は、ヘパリン、ヘパリンスルフェート、ヘパリノイド、デルマタンスルフェート、ペントサンポリスルフェート、セルロース、アガロース、キチン、デキストラン、カラギーナン、リノール酸、及びアラントインを含むが、それらに限らない酸ムコ多糖である。
【0091】
ある特定の好ましい実施態様では、本発明の治療用組成物は、ファクターXaのような凝固剤と混合する。
【0092】
前記治療活性剤は、当該技術分野において良く知られた方法によって、前記治療層組成物に生理学的又は化学的に結合して良い。
【0093】
本明細書全体に亘って、用語「含む(comprise)」及びその変形、例えば、「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「を含むが、それらに限らない」を意味し、他の添加剤、成分、値、又は工程を除外することを意図しない。「からなる」は、その用語「からなる」に続くものを含み、それらに限られることを意味する。かくして、用語「からなる」は、記載した要素が必要とされ、又は必須のものであり、他の要素が存在しないことを示す。「から本質的に構成される」は、その用語の後に記載した任意の要素を含み、記載した要素についての本明細書に記載した活性又は作用に干渉又は作用しない他の要素に限られる事を意味する。かくして、用語「から本質的に構成される」は、記載した要素が必要とされ、又は必須であるが、他の要素が任意には存在せず、記載した要素の活性又は作用に影響を与えないかどうかに依存して存在するか又はしなくてよい。
【0094】
本発明は、以下の非制限的な実施例のみを参照することによって更に開示されるであろう。しかしながら、以下の実施例は説明するのみであり、いずれにおいても、上述の本発明の一般性を限定するものとして受け取られるべきではない事が理解されるべきである。特に、本発明は、特定の動物の血漿及び金属の使用に関連して詳細に記載されるが、個々での発見はこれらの成分に限定されない事は明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0095】
(実施例1)
組織破壊治療用組成物の調製
200Lの滅菌ウシ血液を1000〜1300×gで10分間遠心分離して、血漿からヘモグロビンを除去した。遠心分離後に、約100Lの血漿が得られ、加熱及び連続的な混合に適切なディッシュに移した。2kg重炭酸ナトリウム(NaHCO3)を血漿に添加して、NaHCO3が溶解するまで混合し、次いで溶液を80℃まで加熱した。次いで、変性した血漿タンパク質を回収し、濾紙上に置いて乾燥させた。次いで、固体の堆積物を押圧して、60kgの固体血漿タンパク質「ブロック」を製造し、次いで標準的な手法によって凍結乾燥した。
【0096】
この工程の後に、約8kgの前記血漿タンパク質を、下記の組織破壊治療用組成物の調製に使用した。
【0097】
次いで、152Lの水、8kgの上述のように調製した乾燥血漿タンパク質、及び200mlの金属含有溶液を含む溶液を調製した。金属含有溶液の構成成分は表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
金属含有溶液は水で200mlにし、次いで少なくとも20分間に亘って攪拌した。
【0100】
次いで、前記混合物を120℃に加熱して、常に混合しながら2時間に亘って当該温度に維持した。この時間の間に、前記血漿タンパク質は溶解され、滅菌された。結果として得られた物質を、次いで、約35℃の温度に保持して、0.125g/lのトリプシンを添加した。次いで、前記物質を約2時間に亘ってインキュベートした。消化した物質を、次いで、オートクレーブし、冷却して、本発明の組織破壊治療用組成物を製造した。
【0101】
図3及び4(ME1)は、この方法によって得られた可溶性血漿タンパク質断片を示す。図3では、SDS−PAGEによって分離した未処理の血漿において表れた主要なタンパク質バンドが、50〜80kDaのサイズにある(レーン5)。これらのバンドのプロテオーム分析は、それらが主にアルブミン、イムノグロブリン、フィブリノゲン、及びトランスフェリンからなることを同定した(図4)。
【0102】
対照的に、プロテアーゼ処理前の血漿タンパク質は、主に、50kDaより小さいポリペプチドからなるが(図3、レーン2)、トリプシン消化及び金属添加後には、前記可溶性血漿タンパク質断片は、25kDa未満の分子量に低減されている(10〜20%トリシン勾配ゲル、図3、レーン3)。
【0103】
(実施例2)
局所的治療用組成物の製造
表2に示した成分を含む組成物を、アンカーミキサー及びターボミキサーを備え付けた250L減圧ホモジナイザー中で75から80℃で混合した。次いで、表3に示した成分を添加して、ターボミキサーを使用して混合を10分間に亘って80から83℃で継続した。
【0104】
次いで、アンカーミキサーを使用して、ゆっくりとした冷却工程を実施した。前記物質が60℃に達した際に、減圧のスイッチを冷却が終わるまで入れた。
【0105】
40から45℃で、表4に示した成分を添加して、10分間に亘って混合した。アンカーミキサーを使用する混合を、混合物が25℃に達するまで継続した。
【0106】
約24時間の静置期間後に、組織破壊治療用組成物が使用可能な状態となった。
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
方法論
1)250Lスチームパン中に項目1から10を添加し、75℃に加熱する
2)150Lのパンの中で項目15及び18を沸騰させ、Veegumを添加し、均質になるまで混合する;
3)90℃よりも高い温度で150Lのスチームパン中において精製水B.P.の残部に項目14を添加して、混合する。溶解したら、項目12、13、及び16を添加して、連続的に攪拌しながら75℃に温度を維持する;
4)水相(工程5)を油相(工程3)に添加し、ショートシャフトエアミキサーを使用して混合する。次いで、プラスチックのふるいを使用して、塊が含まれないことを確実にする工程4をこれに追加する;
5)実施例1に由来する血漿タンパク質を添加して、20分間乳化し、次いで連続的に攪拌し、40℃まで水冷する;
6)項目19から21を攪拌しながら数分間で添加する。30℃未満まで冷却する
【0111】
(実施例3)
局所的軟組織損傷治療の臨床試験
図1に示すように、患者を800mJで10分間に亘ってUV光に暴露した。光感光剤として1%のオクソラレン(C12H8O4)ローションの局所的な適用を領域5、6、及び7に用いた。領域8は暴露対照として残した。領域7は、暴露後の治療を受けなかった。領域6は、暴露の240分後に、実施例2に記載した組織破壊治療用組成物を使用する局所的な治療を受けた。領域5は、暴露の5分後に組織破壊治療用組成物の同様の量を受けた。
【0112】
図1に示す写真は、暴露の24時間後に撮影した。明確に認められるように、処理及び未処理の領域の双方において、並びに前記組織破壊治療用組成物で暴露の5分後と240分後の間には大きな違いが存在した。認められる様に、対照領域7は、24時間後に流動体で満たされた病変を有している。暴露の240分後における組織破壊治療用組成物の適用(領域6)は、生じる病変の重度を低減した。暴露の5分以内の領域5への組織破壊治療用組成物の適用は、病変から皮膚を保護するようであった。
【0113】
図2は、暴露の7週後の上記の領域を示す。領域1、6、及び7は別として、全ての領域で正常な皮膚に戻った。
【0114】
(実施例4)
LPS刺激ヒト単球によるTNF−α生産に対する組成物の試験
実施例1の可溶性血漿試験組成物をTNF−αレベルに与える機能についてアッセイした。TNF−αは、組織破壊の治癒に関与する事が既知のサイトカインであり、かくして、TNF−αレベルがアッセイにおいて低減した場合は、可溶性血漿試験組成物が組織破壊治癒において活性を有していることを示す。本実験における目的は、可溶性血漿試験組成物がTNF−αの存在を調節するか又はそれに影響を与え得ることを示す。
【0115】
ヒト単球の単離:The Australian Red Cross Blood Serviceにおけるドナーからのクエン酸抗凝固剤処理したヒト全血から遠心分離によって、軟膜を分離した。軟膜をRPMI1640培地(LIFE Technologies)に希釈して、末梢血液単球細胞(PBMC)をFicool−Hypaque(Amershanm Pharmacia Biotech)を用いた密度勾配遠心単離によって単離した。単球をカウンターカレント溶出遠心分離(counter−current elutriation centrifugation)(Lund et al.,2000)によってPBMCから単離した。単球の純度をCD14免疫表現決定によって測定した。この方法によって単離した単球は、典型的には80〜90%の純度であった。
【0116】
10%ウシ胎仔血清(FCS)及び25ng/mLマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)を添加したRPMI中で95%の空気及び5%のCO2の存在下において37℃で、単球を一晩培養した。
【0117】
翌日、単球を計数し、5×105細胞/穴を96穴組織培養プレートの穴に入れた。容量は1つの穴に500μlとし、次いで1%ウシ胎仔血清(FCS)の存在下において、試験組成物の濃度を変化させながら、24時間に亘ってE.coli 0111:B4由来の500ng/mLのリポ多糖(LPS)(Sigma−Aldrich)で細胞を刺激した。
【0118】
培養物の上清におけるTNF−αを、製造業者の説明書に従ってELISA Opti EIA(BD Bioscience)によって測定した。要約すると、24時間のインキュベート後に、培養培地サンプルを回収し、細胞及び粒子を遠心分離によって除去した。清澄な上清を−70℃で保存し、バッチでアッセイした。培養上清中のTNF−α濃度は、製造業者の説明書に従って市販のサイトカインELIZAセット(BD Bioscience)を使用して測定した。培養培地中のTNF−α濃度は、基準曲線(125−8000pg/ml)から得られた。
【0119】
これらのELISAから選択された検出システムは、ユーロピウムを用いた時間分解蛍光であった。バックグラウンドの蛍光を低減し、且つ、感度を増大する手段として、TRFは多数の生物学的システムにおいて使用されている。ユーロピウムのようなランタニドは、500nmより大きい放射波長とUV光の吸収による励起を生じるとともに、大きなストークスシフトを示す。ユーロピウムは、340nmで励起を示し、615nmで放射を示す。
【0120】
本実験では、実施例1の可溶性血漿試験組成物を塩化亜鉛(0.006157g/L)及びグリシン(0.1965g/L)と混合した。
【0121】
使用した試験組成物の濃度は、40%(200μl);20%(100μl);10%(50μl);及び0%であった。対象はLPS(500μg/ml)であり、三回繰り返した。
【0122】
データ分析:結果を得て、平均値及び標準誤差(SEM)を各実験条件について計算した。培養培地への単球によるTNF−α分泌はpg/mlとして表わした。LPS及び試験組成物処理の前記上清中のTNF−α濃度に対する効果を、フィッシャーの最小有意差(LSD)post hoc比較と共にLPS処理(LPSレベルを用いて及びLPS無しで)分散分析(ANOVA)によって評価した。処理因子は、未処理、10、20、及び40%の試験組成物のレベルを有した。群の間の差は、関連する確率(p value)が0.05未満であった場合に統計的に信頼性があるものと解した。
【0123】
【表5】
【0124】
統計分析:LPS攻撃は、インキュベートの24時間後に未処理の細胞において大量のTNF−α分泌を生じさせた(LPS:F1,16=10.17、p<0.01)。前記処理は、LPS攻撃に対するTNF−α応答に対して作用した(処理:F3,16=9.69、p<0.001;LPSによる処理:F3,16=9.19、p<0.001)。pot hoc比較は、試験サンプル処理したLPS攻撃した細胞が、未処理のLPS攻撃した細胞より少ないTNF−α分泌を生じさせることを明らかにした。攻撃しなかった細胞は、いずれの処理においても測定可能な量のTNF−αを生じなかった。試験サンプルを用いた処理は、未処理の細胞と区別が付かないレベルにまでTNF−αの抑制を生じさせた。
【0125】
結論として、可溶性血漿試験組成物は、ヒト単球におけるLPS誘導TNF−α分泌を低減し、組織破壊の修復を促進する効力を示すという結果が導かれる。
【0126】
(実施例5)
LPS誘導ヒト単球によるTNF−α生産に対する可溶性試験組成物の効果
この実験は、硫酸銅のみを含有する金属含有溶液(0.00262g/L)と実施例1の可溶性血漿試験組成物とを混合したことを除いて、本質的には実施例4に記載した実験の繰り返しである。
【0127】
表2及び図6は結果を示す。
【0128】
結論として、前記可溶性血漿試験組成物は、LPS攻撃に対するヒト単球の炎症応答を阻害するという結果が導かれる。
【0129】
【表6】
【0130】
(実施例6)
LPS刺激ヒト単球によるTNF−α生産に対する可溶性血漿試験組成物の低濃度における効果
LPS刺激ヒト単球によるTNF−α生産に対して実施例4で使用して可溶性血漿試験組成物の試験を、より低濃度で実施した。
【0131】
他の実験手法は実施例4のものと同一であった。
【0132】
表3及び図7は結果を示す。
【0133】
結論として、前記可溶性血漿試験組成物の組織破壊修復効果は用量依存的であり、実施例4の結果を更に支持するものであり、すなわち、LPS誘導TNF−α分泌は前記試験組成物によって阻害されるという結果が導かれる。
【0134】
【表7】
【0135】
(実施例7)
可溶性血漿試験組成物の各種の濃度の効果の滴定
FCSの各種の濃度(10%、5%、1%、及び0%)を用い、実施例4で使用した可溶性血漿試験組成物(10%、5%、2.5%、及び0%)の市松模様のパターンで、浄化した単球を24時間に亘ってインキュベートした。実施例2に記載したように、培養物上清中のTNF−αをELISAによって測定した。
【0136】
結果を表4及び図8に示す。
【0137】
結論として、前記可溶性血漿試験組成物は、TNF−α分泌の阻害においてFCSとは競合しないという結果が導かれる。
【0138】
【表8】
【0139】
(実施例8)
水性の非放射性増殖アッセイ
本発明の可溶性試験組成物がin vitroにおいて細胞代謝を妨害せず、かくして、TNF−α抑制効果が細胞代謝上の問題によるものではないことを示すために、非放射性増殖アッセイを実施した。
【0140】
使用した具体的なアッセイは、CellTiter 96(登録商標)AQueous Non−Radioactive Cell Proliferation Assay(Promega)であった。この方法は、[3H]チミジン取り込み細胞増殖アッセイの非放射性の代替的な方法である。本質的には、製造業者の説明書に従ったが、簡単には、5%ウシ胎仔血清(FCS)を添加したRPMI中の100μlの5×106 K562(ヒト慢性骨髄性白血病)細胞を、96穴プレートの穴に添加した。次いで、5%CO2雰囲気下の加湿条件で37℃において20時間に亘って細胞をインキュベートした。次いで、培地を交換して、1時間平衡させ、次いで、3−(4,5−ジメチルチアゾールー2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩;(MTS)及びフェニアジンメトスルフェート(PMS)を含む20μlの溶液を各穴に添加した。490nmの0時間での吸収を直ぐに読み取り、次いで、その後の1時間ごとに吸収を測定した。MTS/PMS溶液の添加の21及び45時間後の読み取りも実施した。
【0141】
これらの細胞が増殖しないことが図9から認められる。染色は、より高い代謝で徐々に消えていき、より高い吸収(y軸)を反映する。TL処理+LPS攻撃細胞からのデータは、試験サンプルが対照よりも僅かに低い代謝活性であるが、同じ時間でTNF−α分泌を抑制することを示す。未処理+LPS攻撃細胞と比較した際により高い代謝である必要性はこれらの細胞に関してはあまりないので、これらのデータは全く予想されないわけではない。非LPS攻撃細胞は、可溶性血漿試験組成物を使用して処理したか否かにかかわらず代謝について違いは無い。
【0142】
これらのデータから、実施例4、5、及び6において認められたTNF−αの阻害は、細胞の代謝作用の低減によるものではないと結論付けられる。
【0143】
(実施例9)
TACEの阻害
まず、TNF−αは、26kDaのタイプII膜貫通型の前駆型として細胞表面上で発現される。膜に結合したプロTNF−αは、次いで、ZnメタロプロテアーゼであるTNF−α変換酵素(TACE)によってAla−76とVal−77との間で切断され、17kDaの成熟した可溶性サイトカインの形成を生じさせ得る。
【0144】
TACEは、メタロプロテアーゼディスインテグリンファミリー(ADAM又はMDCファミリーとしても知られている)に属し、亜鉛依存性触媒ドメインを有するモジュラー膜貫通型タンパク質である。メタロプロテアーゼディスインテグリンは、触媒ドメイン活性を阻害するプレドメインを含有する不活性な前駆体として合成される。TACEは可溶性TNF−αの産生に寄与する主なプロテアーゼである。TACEΔZn/ΔZnノックアウトマウス由来のT細胞は、プロTNF−αをプロセシングする機能における90%の低減を有する。RA患者の滑膜組織中のTACEタンパク質及びその酵素活性のレベルは、変形性関節症患者のものよりも有意に高い。そのため、細胞膜上のプロTNF−αのプロセシングを阻害するTACEインヒビターは、生物学的作用物質によるTNF−αの中和の魅力的な代替物である。
【0145】
TACEは、in vivoにおいて上皮増殖因子受容体(EGFR)の活性化及びヌードマウスにおける腫瘍の発生にも必要とされ、腫瘍形成におけるTACEの重大な役割を示す。この見解と同じように、TACEは、分析した哺乳動物腫瘍の大多数において劇的に過剰発現している。まとめると、この証拠は、TACEを、抗腫瘍治療の期待できる標的として示す。
【0146】
多数の強力且つ個別選択的な化合物が、炎症疾患の推定上の治療のためのTACEインヒビターとして設計され、合成され、特許出願されている。比較的多数の化合物が、細胞及び動物アッセイにおいてTNF−αレベルを低減させ、炎症疾患の細胞及び動物モデルにおいて良好な効果、効力、及びバイオアベイラビリティーを示す。複数の高い効力を有する化合物、例えば、BMS−561392(慢性関節リウマチについてフェーズII)が、フェーズIからフェーズIIの臨床試験を実施しているが、TACEインヒビターは未だ市販されていない。他の提案は、Ro 32−7315に似た、選択されたMPP及びTACEの阻害の二重の阻害効果である。
【0147】
本発明の可溶性血漿試験組成物は、実施例4及び6に記載したLPS攻撃に対する単球によるTNF−αの放出を低減することを示した。前記可溶性血漿試験組成物がTACEも阻害することを示唆する。組換え昆虫sf21細胞におけるヒトTACE活性の直接測定によって、本発明の可溶性血漿試験組成物が、1.3%の可溶性血漿試験組成物の溶液のIC50でTACE活性を阻害することが明らかになった(図9参照)。
【0148】
(実施例10)
カスパーゼ阻害
インターロイキン−1b変換酵素であるICE(現在はカスパーゼ−1と再命名されている)は、システインエンドプロテアーゼである。前記酵素は、プロIL−1を直接切断して、細胞外環境に放出される成熟したサイトカインIL−1bにする。これまでに10種を超えるカスパーゼが知られている。多数の証拠が蓄積されて、カスパーゼ−1の阻害がin vitroおよびin vivoにおけるIL−1bの低下を直接生じさせることを示している。この効果は、動物及びヒトにおける炎症の多数のモデルにおける炎症の症状の改善における効力と関連する。pralnacasan及びVX−765に対する臨床試験のデータは、カスパーゼ−1インヒビターが、一般的に、慢性関節リウマチ、変形性関節症、及び乾癬について効果的であり得ることを示している。他の薬理学的試験も、これらのインヒビターが、虚血/再灌流障害及び脳卒中のような多数の病気の状態について治療剤として有益であり得ることを示している。臨床試験に入った数少ないインヒビターの全てが、可逆的な共有結合性インヒビター(例えば、アルデヒド、pralnacasan、及びVX765)であるか又は不可逆的なインヒビター(例えば、アシルオキシメチルケトン45)である。これらの化合物の1つの可能性がある問題は、それらの固有の反応性の性質であり、これは一般的に所望の薬剤様特性であるとは解されていない。
【0149】
カスパーゼは、アポトーシスの媒介において重要な役割を担っている。ヒトカスパーゼファミリーの13種が同定されている。幾つかはアポトーシスに関与しており、これらは2つの亜群に分けることができる。第一の群は、カスパーゼ8、カスパーゼ9、及びカスパーゼ10からなり、細胞死プロセスの開始因子として作用する。第二の群は、カスパーゼ3、カスパーゼ6、及びカスパーゼ7を含有し、エフェクターとして作用して、各種の基質を切断し、最終的には、アポトーシス細胞において認められる形態的変化及び生化学的変化を生じさせる。
【0150】
アポトーシスは、UV光、化学的損傷又は物理的損傷、あるいはウイルス感染のような細胞傷害に対する細胞応答である。この傷害は、「プログラムされた細胞死」と度々称される細胞の破壊を誘導する事象のカスケードを開始させる。それは、生物の残りの部分を保護する細胞の本来の応答である。アポトーシスの悪化は組織損傷を生じさせる。肝炎、インスリン炎、対宿主性移植片病、及びアレルギー性脳炎は、細胞傷害性リンパ球において発現されたFasリガンドによる過剰なアポトーシスによるものである。アポトーシス細胞は、虚血又はアルツハイマー病患者の脳において検出され、アポトーシスが病気の発現に少なくとも部分的には関与していることを示している。脳卒中では、証拠が蓄積されて、虚血性半影におけるニューロンがアポトーシスを起こしていることを示している。CD95(APO−1/Fas)欠損マウス及びTNF−α欠損マウスでは、脳の虚血性病変がより低減した。脳卒中の誘導の30分後に抗TNF及び抗CD95L中和抗体の混合物を注射したマウスは、梗塞の容量及び死亡率の双方における顕著な低減を示すことが報告されている。パーキンソン患者の脳では、カスパーゼ1及び3のような炎症性サイトカインのレベルの増大が報告されている。
【0151】
既知のカスパーゼの全ての内、カスパーゼ−3は、アポトーシスの主要な実行者であると解されている。活性化メカニズムに依存するカスパーゼの活性化は、クロマチン凝縮、DNA断片化及びDNA修復酵素ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの切断、並びに最終的にプログラムされた細胞死を誘導し得る。カスパーゼ−3の阻害は、in vitroにおいて細胞のアポトーシスを直接阻害し得る。アルツハイマー病及び外傷性脳損傷の動物モデルにおいて、薬理学的なカスパーゼ−3阻害は、脳損傷の程度を低減し、並びに多数のAβ沈着を抑制した。
【0152】
本発明の可溶性血漿試験組成物は、8.1%の前記可溶性血漿試験組成物溶液のIC50でヒトカスパーゼ1を阻害することが認められた。カスパーゼ3は、2.8%の前記可溶性血漿試験組成物溶液のIC50で阻害した。カスパーゼ9は、10%の前記可溶性血漿試験組成物溶液によって、57%阻害した(図11及び12参照)。
【0153】
前記可溶性血漿試験組成物の各種のカスパーゼに対する阻害効果は、アポトーシスにおける可溶性血漿試験組成物の潜在的に有益な活性及び各種のカスパーゼの広範な調査を動機付ける。
【0154】
まとめ
表5は、本発明の可溶性血漿試験組成物によって示された標的及び効果を示す。
【0155】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、未処理の皮膚と比較した、本発明の組成物で処理したUV光に曝露したヒトの皮膚の領域を示す。
【図2】図2は、曝露の7週後の図1と同じ皮膚を示す。
【図3】図3(左図)は、10−20%トリシン勾配ゲルを示す。タンパク質は、クマシーブルーで染色した。レーン1は、分子量マーカーを含有する。レーン2は、トリプシン消化前のウシ可溶性タンパク質を示し、レーン3はトリプシン消化後のものを示す。このゲルは、製剤中の大半のタンパク質が50キロダルトン未満の範囲のサイズにあることを示す。図3(右図)は、12%SDS−PAGEトリシンゲルを示す。タンパク質は銀染色した。レーン4は分子量マーカーを含有する。レーン後は未処理のウシ血漿を示す。このゲルは、未精製のウシ血漿中のタンパク質の大半は、50−80キロダルトンの範囲のサイズにあることを示す。
【図4】図4は、Talamo et al.,2003,Proteomics,3:440−460の方法を用いた二次元電気泳動図によるウシ血漿を示す。
【図5】図5は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む本発明の組成物の1つの形態の、LPS刺激したヒト単球によるTNF−α生産に対する効果を示す。
【図6】図6は、金属含有溶液として銅を含有する本発明の組成物の、LPS刺激したヒト単球によるTNF−α生産に対する効果を示す。
【図7】図7は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む本発明の組成物の1つの形態の低濃度の、LPS刺激したヒト単球によるTNF−α生産に対する効果を示す。
【図8】図8は、本発明の組成物の異なる濃度の効果の滴定を示す。その目的は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む試験サンプルが、培養培地において使用するFCSと競合しないことを実証することであった。
【図9】図9は、非放射活性増殖アッセイ(CellTiter 96(登録商標)AQueos Assay)における、LSP刺激をするか又はしないで、in vitroにおける細胞代謝に対する前記組成物の効果を示す。その目的は、前記試験組成物が細胞代謝を低減しないことを実証することであった。
【図10】図10は、塩化亜鉛、グリシン、及びトリプシン消化したタンパク質を含む試験サンプルの影響下におけるヒト組換え昆虫sf21におけるヒトTACE活性の直接的な測定を示す。この試験サンプルは、試験サンプル溶液の1.3%のIC50でTACE活性を阻害した。TACE阻害は、試験組成物は炎症応答を低減し得る更に別の経路を示す。
【図11】図11は、図10と同じ試験サンプル溶液の8.1%のIC50でのin vitroにおけるヒトカスパーゼ1阻害を示す。
【図12】図12は、図10と同じ試験サンプルによって誘導されたin vitroにおけるヒトカスパーゼ3の阻害を示す。前記試験サンプルは、2.8%のIC50でカスパーゼ3を阻害した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記混合物は変性されており、且つ、
a)組織破壊の治癒;
b)アポトーシスの調節;
c)TNF−α活性の調節;
d)TNF−αR活性の調節;
e)TACE活性の調節;並びに
f)カスパーゼ活性の調節
からなる群の1つ又は複数から選択される活性を有する、組成物。
【請求項2】
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;及び
(b)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及びカスパーゼ活性を調節することが可能である、組成物を調製する方法。
【請求項3】
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;
(b)プロテアーゼの存在下において前記混合物をインキュベートして、消化された混合物を製造する工程;
(c)前記消化された混合物を加熱する工程;並びに
(d)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が、組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及びカスパーゼ活性を調節することのうち1つ又は複数が可能である、組成物を調製する方法。
【請求項4】
前記カスパーゼが、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である、請求項1に記載の組成物あるいは請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記血漿又は血清が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から単離される、請求項1又は4に記載の組成物あるいは請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性画分を分離する工程が、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用するアフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフフィー、又はゲル濾過クロマトグラフィーによるものである、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
プロテアーゼの存在下で前記混合物をインキュベートして消化された混合物を製造し、さらに前記消化された混合物を加熱する更に別の工程によって得られる、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩の添加前に前記更に別の工程を実施する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩の添加後に前記更に別の工程を実施する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記血漿及び/又は血清が使用前に乾燥又は凍結乾燥されている、請求項2から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属が、ニッケル、ナトリウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、銀、及び水銀、それらのイオン又は塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1、4、又は5に記載の組成物あるいは請求項2から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属が、NiSO4.7H2O、NH4VO3、NaF、CuSO4.5H2O、ZnCl2、(NH4)6MO7O24.4H2O、COCl2.6H2O、FeSO4.7H2O、MgSO4.7H2O、H3BO3、MnCl2.4H2O、及びK2CrO4から本質的に構成される、請求項1、4、5、又は11に記載の組成物あるいは請求項2から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記熱変性工程が少なくとも50℃の温度で実施される、請求項2から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記熱変性工程が約65℃の温度で実施される、請求項2から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プロテアーゼが加熱の前又は後に添加される、請求項2から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記プロテアーゼが、トリプシン、キモトリプシン、ファクターXa、毒プロテアーゼ、トロンビン、プラスミン、及びスブチリシンファミリーのセリンプロテアーゼからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロテアーゼがトリプシンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物がトリプシンの添加後に更に加熱される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記更に加熱する工程が、約80℃から約150℃の間の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記更に加熱する工程が、約90℃から約130℃の間の温度で実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記更に加熱する工程が、約120℃の温度で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項2から21のいずれか一項に記載の方法によって製造される、組織治癒用組成物。
【請求項23】
任意に医薬担体と混合される、請求項1又は22に記載の組成物。
【請求項24】
前記医薬担体が、蒸留水、生理食塩水溶液、リンガー溶液、植物油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ラクトース、マンニトール、コーンデンプン、クリスタリンセルロース、アラビアガム、ゼラチン、ジャガイモデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、タルク、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
凝固剤を更に含む、請求項1、4、5、11、12、及び22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記凝固剤がファクターXaである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記活性画分を分離する工程が、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用するアフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、又はゲル濾過クロマトグラフィーによるものである、請求項2から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
工程(b)及び(c)が、少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩の添加前に実施される、請求項2から21及び27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
工程(a)がNaHCO3の添加を更に含む、請求項2から21、27、及び28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記混合物を熱変性させる工程が、65℃より高い温度で実施される、請求項2から21及び27から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
a)組織破壊;
b)調節されたアポトーシス;
c)調節されたTNF−α活性;
d)調節されたTNF−αR活性;
e)調節されたTACE活性;並びに
f)調節されたカスパーゼ活性
からなる群の1つ又は複数と関連する病気又は疾患の治療を提供する方法であって、
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記活性画分が組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及び/又はカスパーゼ活性を調節することが可能である組成物の有効量を対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項32】
前記カスパーゼが、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネコ、又はイヌである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記投与の方法が、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、及び/又は経膣である、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記投与の方法が局所的である、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記組織破壊が、外傷、創傷、微生物感染、火傷、潰瘍、軟組織損傷、結合組織損傷、炎症、及び皮膚疾患からなる群の1つ又は複数から選択される、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記組織破壊が、軟組織損傷、結合組織損傷、又は火傷である、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記火傷が日焼けである、請求項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記軟組織損傷又は結合組織損傷が、腱/靭帯損傷又は使いすぎ障害である、請求項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
a)組織破壊;
b)調節されたアポトーシス;
c)調節されたTNF−α活性;
d)調節されたTNF−αR活性;
e)調節されたTACE活性;並びに
f)調節されたカスパーゼ活性
の1つ又は複数と関連する病気又は疾患を治療するための組成物であって、血漿及び/又は血清と少なくも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量と製薬学的に許容される担体とを含み、前記混合物は変性されており、前記活性画分は組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及び/又はカスパーゼ活性を調節することが可能である、組成物。
【請求項41】
前記カスパーゼが、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記対象が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネコ、又はイヌである、請求項40又は41に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物が、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、及び/又は経膣で投与される、請求項40から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
局所的に投与される、請求項40から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記組織破壊が、外傷、創傷、微生物感染、火傷、潰瘍、軟組織損傷、結合組織損傷、炎症、及び皮膚疾患からなる群から選択される、請求項40から44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記組織破壊が、軟組織損傷、結合組織損傷、又は火傷である、請求項40から45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記火傷が日焼けである、請求項46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記軟組織損傷又は結合組織損傷が腱/靭帯損傷又は使いすぎ障害である、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記画分が製薬学的に許容される担体と混合されている組成物の治療量を、軟組織又は結合組織に適用する工程を含む、軟組織損傷又は結合組織損傷を治療する方法。
【請求項50】
前記血漿又は血清が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から単離される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記投与の方法が、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、及び/又は経膣である、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記投与の方法が局所的である、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記軟組織損傷又は結合組織損傷が腱/靭帯損傷又は使いすぎ障害である、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との変性された混合物から単離した活性画分を含む、組織破壊を治癒することが可能である創傷被覆材。
【請求項1】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記混合物は変性されており、且つ、
a)組織破壊の治癒;
b)アポトーシスの調節;
c)TNF−α活性の調節;
d)TNF−αR活性の調節;
e)TACE活性の調節;並びに
f)カスパーゼ活性の調節
からなる群の1つ又は複数から選択される活性を有する、組成物。
【請求項2】
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;及び
(b)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及びカスパーゼ活性を調節することが可能である、組成物を調製する方法。
【請求項3】
(a)血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物を熱変性させる工程;
(b)プロテアーゼの存在下において前記混合物をインキュベートして、消化された混合物を製造する工程;
(c)前記消化された混合物を加熱する工程;並びに
(d)前記変性した混合物から活性画分を分離する工程
を含み、前記活性画分が、組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及びカスパーゼ活性を調節することのうち1つ又は複数が可能である、組成物を調製する方法。
【請求項4】
前記カスパーゼが、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である、請求項1に記載の組成物あるいは請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記血漿又は血清が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から単離される、請求項1又は4に記載の組成物あるいは請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性画分を分離する工程が、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用するアフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフフィー、又はゲル濾過クロマトグラフィーによるものである、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
プロテアーゼの存在下で前記混合物をインキュベートして消化された混合物を製造し、さらに前記消化された混合物を加熱する更に別の工程によって得られる、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩の添加前に前記更に別の工程を実施する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの金属、金属イオン、又は金属塩の添加後に前記更に別の工程を実施する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記血漿及び/又は血清が使用前に乾燥又は凍結乾燥されている、請求項2から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属が、ニッケル、ナトリウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、銀、及び水銀、それらのイオン又は塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1、4、又は5に記載の組成物あるいは請求項2から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属が、NiSO4.7H2O、NH4VO3、NaF、CuSO4.5H2O、ZnCl2、(NH4)6MO7O24.4H2O、COCl2.6H2O、FeSO4.7H2O、MgSO4.7H2O、H3BO3、MnCl2.4H2O、及びK2CrO4から本質的に構成される、請求項1、4、5、又は11に記載の組成物あるいは請求項2から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記熱変性工程が少なくとも50℃の温度で実施される、請求項2から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記熱変性工程が約65℃の温度で実施される、請求項2から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プロテアーゼが加熱の前又は後に添加される、請求項2から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記プロテアーゼが、トリプシン、キモトリプシン、ファクターXa、毒プロテアーゼ、トロンビン、プラスミン、及びスブチリシンファミリーのセリンプロテアーゼからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロテアーゼがトリプシンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物がトリプシンの添加後に更に加熱される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記更に加熱する工程が、約80℃から約150℃の間の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記更に加熱する工程が、約90℃から約130℃の間の温度で実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記更に加熱する工程が、約120℃の温度で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項2から21のいずれか一項に記載の方法によって製造される、組織治癒用組成物。
【請求項23】
任意に医薬担体と混合される、請求項1又は22に記載の組成物。
【請求項24】
前記医薬担体が、蒸留水、生理食塩水溶液、リンガー溶液、植物油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ラクトース、マンニトール、コーンデンプン、クリスタリンセルロース、アラビアガム、ゼラチン、ジャガイモデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、タルク、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
凝固剤を更に含む、請求項1、4、5、11、12、及び22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記凝固剤がファクターXaである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記活性画分を分離する工程が、適切な溶媒又は溶媒混合物を使用するアフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、又はゲル濾過クロマトグラフィーによるものである、請求項2から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
工程(b)及び(c)が、少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩の添加前に実施される、請求項2から21及び27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
工程(a)がNaHCO3の添加を更に含む、請求項2から21、27、及び28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記混合物を熱変性させる工程が、65℃より高い温度で実施される、請求項2から21及び27から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
a)組織破壊;
b)調節されたアポトーシス;
c)調節されたTNF−α活性;
d)調節されたTNF−αR活性;
e)調節されたTACE活性;並びに
f)調節されたカスパーゼ活性
からなる群の1つ又は複数と関連する病気又は疾患の治療を提供する方法であって、
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記活性画分が組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及び/又はカスパーゼ活性を調節することが可能である組成物の有効量を対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項32】
前記カスパーゼが、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネコ、又はイヌである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記投与の方法が、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、及び/又は経膣である、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記投与の方法が局所的である、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記組織破壊が、外傷、創傷、微生物感染、火傷、潰瘍、軟組織損傷、結合組織損傷、炎症、及び皮膚疾患からなる群の1つ又は複数から選択される、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記組織破壊が、軟組織損傷、結合組織損傷、又は火傷である、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記火傷が日焼けである、請求項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記軟組織損傷又は結合組織損傷が、腱/靭帯損傷又は使いすぎ障害である、請求項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
a)組織破壊;
b)調節されたアポトーシス;
c)調節されたTNF−α活性;
d)調節されたTNF−αR活性;
e)調節されたTACE活性;並びに
f)調節されたカスパーゼ活性
の1つ又は複数と関連する病気又は疾患を治療するための組成物であって、血漿及び/又は血清と少なくも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分の有効量と製薬学的に許容される担体とを含み、前記混合物は変性されており、前記活性画分は組織破壊を治癒し、アポトーシスを調節し、TNF−α活性を調節し、TNF−αR活性を調節し、TACE活性を調節し、及び/又はカスパーゼ活性を調節することが可能である、組成物。
【請求項41】
前記カスパーゼが、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、及び/又はカスパーゼ−9である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記対象が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネコ、又はイヌである、請求項40又は41に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物が、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、及び/又は経膣で投与される、請求項40から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
局所的に投与される、請求項40から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記組織破壊が、外傷、創傷、微生物感染、火傷、潰瘍、軟組織損傷、結合組織損傷、炎症、及び皮膚疾患からなる群から選択される、請求項40から44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記組織破壊が、軟組織損傷、結合組織損傷、又は火傷である、請求項40から45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記火傷が日焼けである、請求項46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記軟組織損傷又は結合組織損傷が腱/靭帯損傷又は使いすぎ障害である、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はその金属塩との混合物から分離した活性画分を含む組成物であって、前記混合物が変性されており、前記画分が製薬学的に許容される担体と混合されている組成物の治療量を、軟組織又は結合組織に適用する工程を含む、軟組織損傷又は結合組織損傷を治療する方法。
【請求項50】
前記血漿又は血清が、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヤギ、及びイヌからなる群から選択される動物から単離される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記投与の方法が、局所的、全身的、筋肉内、皮下、腹膜内、胸膜内、関節内、鞘内、経直腸、及び/又は経膣である、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記投与の方法が局所的である、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記軟組織損傷又は結合組織損傷が腱/靭帯損傷又は使いすぎ障害である、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
血漿及び/又は血清と少なくとも1つの金属、金属イオン、又はそれらの塩との変性された混合物から単離した活性画分を含む、組織破壊を治癒することが可能である創傷被覆材。
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−506992(P2009−506992A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528298(P2008−528298)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001288
【国際公開番号】WO2007/025351
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508064975)ケンブリッジ・サイエンティフィク・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001288
【国際公開番号】WO2007/025351
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508064975)ケンブリッジ・サイエンティフィク・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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