説明

組込式加熱調理器

【課題】本体前面操作部の左右側方とキッチンキャビネットの前面開口との間にできる隙間を、簡単に美観を保って塞ぐことができ、かつ、施工時に紛失することがないようにする。
【解決手段】加熱調理器本体の前面パネルを覆う前面パネルカバーが、前面視における前記加熱調理器本体の存在領域内に前面視における前記前面パネルカバーの存在領域の全てが包含される第1位置と、前面パネルカバーの延長部がキッチンキャビネットと前面パネルとの隙間を覆う第2位置との間で、軸部を中心として回動自在に、加熱調理器本体前面に設けた軸支部に軸支されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で使用する組込式加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調理器本体をキッチンキャビネットの天板開口部から挿入し、キャビネットの前面開口部に調理器本体の前面に備える操作部をのぞませるように設置した組込式調理器が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
このような設置方法の場合、本体前面の外形寸法はキャビネットの前面開口寸法よりも小さい必要あるが、そのため本体前面の外形と開口との間に隙間が生じる。
【0004】
このような場合、本体前面の外形とキッチンキャビネットの前面開口との隙間が目立ってしまうと外観が悪くなるから、キャビネットに調理器本体を組み込んだ後に、着脱式のカバーを取り付けて隙間を塞ぐのが一般的であった。
【0005】
そして、上記カバーと調理器本体との間に隙間や段差が生じないようにするため、開閉式操作部を有するものでは、操作部前面にキッチンキャビネット前面開口部までを覆う操作部カバーを設け、一体感や外観上の美観を保つ工夫がされている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−323223号公報
【特許文献2】特開2009−002571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成における着脱式のカバーは、調理器本体とは別に梱包されるものであり、施工時に紛失するおそれがあり、また、着脱のための固定箇所が多くなりがちで、取り付けにくく取り外しにくいという課題があり、改善が望まれるものであった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するもので、本体前面操作部とキッチンキャビネットの前面開口との間にできる隙間を簡単に、美観を保って塞ぐことができ、かつ、施工時にカバーを紛失することがない、施工性に優れた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明の組込式加熱調理器は、第1特徴構成として、操作部が配設される前面パネルを前面に有する加熱調理器本体を、キッチンキャビネットの上面に形成した上面開口部から挿入し、前記キッチンキャビネットの前面に形成した前面開口部に前記前面パネルを臨ませて設置し、前記前面パネルの前面を覆う前面パネルカバーを備え、前記前面パネルカバーに前記前面開口部と前記加熱調理器本体の側方との隙間を覆う延長部を備えた組込式加熱調理器において、前記前面パネルカバーにおける前記延長部側と反対側の端部に軸部を設け、前記軸部を前記加熱調理器本体の前面に設けた軸支部において軸支し、前記前面パネルカバーが、前面視における前記加熱調理器本体の存在領域内に前面視における前記前面パネルカバーの存在領域の全てが包含される第1位置と、前記延長部が前記隙間を覆う第2位置との間で、前記軸部を中心として回動自在に構成されるものである。
【0010】
上記構成により、キッチンキャビネットの上面に形成した上面開口部から挿入して加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込むときには前面パネルカバーを、前面視における加熱調理器本体の存在領域内に前面視における前面パネルカバーの存在領域の全てが包含される第1位置に位置させておき、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ後には前面パネルカバーを、軸部を中心として延長部が隙間を覆う第2位置に回動させるだけで、キッチンキャビネットの開口部と本体前面パネルとの隙間を簡単に覆うことができ、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ状態における美観を保つことができる。
【0011】
しかも、前面パネルカバーは、加熱調理器本体の前面に設けた軸支部において軸支されるものであるから、施工時に前面パネルカバーを紛失することがない。
【0012】
また、第2特徴構成として、前記操作部が、前記加熱調理器本体から引出し収納自在な開閉式操作部であり、前記前面パネルカバーが、前記開閉式操作部を前記加熱調理器本体に収納した状態における前記開閉式操作部の前面を覆うものであり、前記加熱調理器本体に収納した状態における前記開閉式操作部の前面と前記開閉式操作部の側面との境界部に前記軸支部が形成されるように構成することが好ましい。
【0013】
このように構成した場合、上記効果に加えて、使用頻度が高くない操作スイッチなどを開閉式操作部に配置しておき、加熱調理器において普段露出するスイッチ類の種類や数を少なくすることで操作の単純化が行えるものとなり、そして、上記操作の単純化を行った場合にも、開閉式操作部の前面を覆う前面パネルカバーが開閉式操作部の前面と側面との境界部に軸支されることで、開閉式操作部の引出しと収納に伴い前面パネルカバーが開閉式操作部の前面と共に移動することになるから、簡単な構成でキッチンキャビネットの開口部と本体前面パネルとの隙間を覆うことができるものとなる。
【0014】
因みに、開閉式操作部を備える場合に、前面パネルカバーの軸支部を、開閉式操作部の前面と側面との境界部ではなく、開閉式操作部が引出し収納自在に配置される加熱調理器本体側に設けた場合には、開閉式操作部の引出し時における前面パネルカバーと開閉式操作部との干渉を回避するために、前面パネルカバーにおける開閉式操作部の前面の位置と対応する箇所に、開口部を設ける必要があり、しかも、開閉式操作部の引出し時における前面パネルカバーと開閉式操作部との干渉を十分回避するためには、この前面パネルカバーに設ける開口部の開口寸法は開閉式操作部の前面の外形より大きくする必要があるから、外観を損なうものとなってしまう。
【0015】
つまり、第2特徴構成により、普段露出するスイッチ類の種類や数を少なくすることで操作の単純化が行えるものとすることが可能で、このように構成した場合にも、簡単な構成でキッチンキャビネットの開口部と本体前面パネルとの隙間を覆うことができ、しかも、外観を美麗に保つことができる。
【0016】
また、第3特徴構成として、前記加熱調理器本体内にはグリル庫を備え、前記グリル庫への被調理物の出し入れ用開口を前記操作部の横に設け、前記軸支部を、前記被調理物の出し入れ用開口と前記操作部との間に設け、前記前面パネルカバーが第1位置にあるとき、前記前面パネルカバーが前記被調理物の出し入れ用開口に位置するように構成することが好ましい。
【0017】
このように構成した場合、上記第1特徴構成による効果または上記第2特徴構成による効果のいずれかに加えて、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込むに当たって前面パネルカバーが邪魔にならず、また、また、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込む際に前面パネルカバーを第1位置に位置させておくことで前面パネルカバーの表面(前面)が、傷つきにくいものとすることができる。
【0018】
つまり、前面パネルカバー回動の軸支部を、グリル庫の被調理物の出し入れ用開口と操作部との間に設け、前面パネルカバーが第1位置にあるとき、前面パネルカバーがグリル庫の被調理物の出し入れ用開口に位置させたときには、前面パネルカバーの裏面(背面)が加熱調理器の前面を向くことになるから、前面パネルカバーが第1位置にある状態で加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込む際に、もし、第1位置にある前面パネルカバーがキッチンキャビネットと接触してしまったときにも、前面パネルカバーの裏面(背面)がキッチンキャビネットと接触することになり、前面パネルカバーの表面(前面)は傷つきにくいものとなるのである。
【0019】
また、前面パネルカバーをグリル庫の被調理物の出し入れ用開口に位置させることで、前面パネルカバーが第1位置にあるときの前面パネルカバーの加熱調理器の前面方向への飛び出し寸法を小さくすることができるから、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込むに当たって前面パネルカバーが邪魔にならないものとなる。
【0020】
要するに、第3特徴構成によって、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込むに当たって、前面パネルカバーが邪魔にならず、また、前面パネルカバーの表面(前面)を美麗に保つことができるものとすることができる。
【0021】
また、第4特徴構成として、前記前面パネルに電池収納用の開口を設け、前記前面パネルカバーによって前記電池収納用の開口を覆うように構成することも好ましい。
【0022】
このように構成した場合、上記第1特徴構成〜上記第3特徴構成による効果のいずれかに加えて、加熱調理器の制御用電源やバックアップ用電源として電池を用いる場合にも、前面パネルに電池収納用の開口を設けて電池の交換が容易にでき、また、電池収納用の開口を閉塞する蓋を前面パネルカバーによって兼用したものを、軸部を中心として延長部が隙間を覆う第2位置に回動させるだけで、キッチンキャビネットの開口部と本体前面パネルとの隙間を簡単に覆うことができ、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ状態における美観を保つことができるものとなる。
【0023】
また、第5特徴構成として、前記前面パネルカバーが第2位置に位置するときに、前記前面パネルカバーの第1位置に向けての回動を牽制する牽制手段を設ける構成とすることが好ましい。
【0024】
このように構成した場合、上記第1特徴構成〜上記第4特徴構成による効果のいずれかに加えて、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ後において、前面パネルカバーが第2位置に位置した使用状態にある加熱調理器の操作部の操作などによっても、前面パネルカバーが第2位置にある状態が維持されるから、加熱調理器の使用状態において、キッチンキャビネットの開口部と本体前面パネルとの隙間を前面パネルカバーによって覆う状態を良好に維持することができるものとすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の組込式加熱調理器は、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込む際に、前面パネルカバーが邪魔にならず、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ後は、軸部を中心として前面パネルカバーを回動させるだけで、キッチンキャビネットの開口部と本体前面パネルとの隙間を簡単に覆うことができ、加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ状態における美観を保つことができ、しかも、パネルカバーは、加熱調理器本体の前面に設けた軸支部において軸支されるものであるから、施工時にパネルカバーを紛失することがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態における組込式加熱調理器の全体構成図
【図2】同上の組込式加熱調理器で、前面パネルカバーが第1位置にある状態を示す図で、天板を省略した図
【図3】同上の組込式加熱調理器がキッチンキャビネットに設置され、前面パネルカバーが第2位置にある状態を示す図
【図4】同上の組込式加熱調理器で、前面パネルカバーが第1位置と第2位置との間にある状態を示す図
【図5】同上の組込式加熱調理器で、前面パネルカバーが第1位置と第2位置との間にあり開閉式操作部が収納位置にある状態を示す図
【図6】同上の組込式加熱調理器で、前面パネルカバーが第2位置にあり開閉式操作部が引出し位置にある状態を示す図
【図7】同上の組込式加熱調理器で、前面パネルカバーが第1位置と第2位置との間にある状態を示す拡大図
【図8】同上の組込式加熱調理器がキッチンキャビネットに設置された状態を示す図
【図9】同上の組込式加熱調理器がキッチンキャビネットに設置され、前面パネルカバーが第1位置にあり天板を装着する前の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の組込式加熱調理器の第1実施形態としてのドロップインコンロAの全体構成を示すものであり、図8は上記ドロップインコンロAがキッチンキャビネット23に設置された状態を示す。
【0029】
図8に示すように、ドロップインコンロの本体1はキッチンキャビネット23の上面開口部7a(図3参照)から落とし込まれて設置されている。また、キッチンキャビネット23の上面開口部7aよりも大きい、本体1の上部開口を覆うための天板2(図1)と、天板2の下方には図示しないバーナ本体を備え、バーナの炎口部3が天板2に設けた開口を貫通して天板2の上方に露出させている。
また、図2、図3に示すように、キッチンキャビネット23の前面開口部7bには本体前面の操作部Sが配列される前面パネル8を臨ませて設置されており、前面パネル8は後述する前面パネルカバー10(図1参照)によって前面を覆われている。
【0030】
図1に示すように、前面パネルカバー10は、前面パネル8において、後述する手動操作部SSが配設される領域を覆う右上用前面パネルカバー70、後述するコンロ用の設定入力パネル50の前面を覆う右下用前面パネルカバー71、後述する電池を本体1内に収納するための開口を覆う左上用前面パネルカバー72、後述するグリル用の設定入力パネル60の前面を覆う左下用前面パネルカバー73によって構成される。
【0031】
図1に示すように、ドロップインコンロAは、3つのコンロバーナ1a,1b,1c、及び、グリルバーナ(図示せず)を具備するグリル庫6を備えたビルトインタイプのガスコンロにて構成されており、3つのコンロバーナ1a,1b,1cは高火力バーナ1aと、小バーナ1bと、高火力バーナ1cとによってダブル高火力仕様に構成されている。
【0032】
又、図1に示すように、グリル庫6の燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成され、ガラス製の天板2にてガスコンロ上面が覆われており、この天板2の上部に、高火力バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cに対する被加熱物(鍋など)を受け止め支持するための五徳3aが載置支持されている。
【0033】
又、図1に示すように、ガスコンロ前側面の前面パネルには、高火力バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cとグリルバーナとの点火及び消火や火力調節と各種の設定とを指令する操作部Sが設けられ、各種の制御を実行するように構成された燃焼制御部H(図示せず)が、その操作部Sにて指令された運転状態に基づいて、高火力バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cとグリルバーナを制御するように構成されている。又、上記前面パネル8には自動復帰型の押し操作式の電源スイッチ40(図2、図7)も設けられている。なお、前面パネル8の左右方向における中央付近には、上記グリル庫6に調理物を収納、取出しを行うためのグリル用開口6a(図4)を備える。
【0034】
図2に示すように、上記前面パネル8の、ドロップインコンロAの前面から見て右上には、3つのコンロバーナ1a,1b,1cの点火及び消火や火力調節を行うための手動操作部SSが配設されており、また、ドロップインコンロAの前面から見て右下には、3つのコンロバーナ1a,1b,1cの各種の設定を指令するコンロ用の設定入力パネル50(図6)が配設されている。
【0035】
上記前面パネル8の、ドロップインコンロAの前面から見て左下には、グリルバーナに対して、点火及び消火や火力調整を指令するためのグリル用の設定入力パネル60(図6)が配設されており、また、ドロップインコンロAの前面から見て左上には、燃焼制御部Hの電源となる電池を本体1内に収納するための開口14が設けられている。なお、コンロ用の設定入力パネル50及びグリル用の設定入力パネル60は開閉式になっている。
【0036】
手動操作部SSの構成について説明する。手動操作部SSは、
前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態において、前面パネルカバー10に形成した挿通孔39(図4)を通して裏面側から挿通する状態で円筒状の回転操作部80(図4、図7)が設けられているものであり、そして、この円筒状の回転操作部80は、その回転軸心方向の移動により、本体内に備える点消火スイッチ(図示せず)を消火指令を指令する消火指令状態に操作する消火指令用に押し込み位置と、その押し込み位置よりも突出して上記点消火スイッチ(図示せず)を点火指令を指令する点火指令状態に操作する点火指令用の突出位置とに切り換え自在に構成され、且つ、上記突出位置にて前記燃焼量を調整すべく回転操作自在に構成されている。
【0037】
詳述すると、上記円筒状の回転操作部80は、押し操作される毎に回転軸心方向に移動して、図示しない位置保持機構によって、前面パネルカバー10の前面とほぼ面一になる押し込み位置と前方に突出する突出位置とに切り換え自在に構成され、上記円筒状の回転操作部80が前記突出位置に切り換えられているときに、正転方向及び逆転方向の夫々にその軸心周りで回動操作可能となるように構成されている。そして、上記円筒状の回転操作部80が押し込み位置に切り換えられるとそれに伴って上記点消火スイッチ(図示せず)がOFF(オフ)状態となり、上記円筒状の回転操作部80が突出位置に切り替えられるとそれに伴って上記点消火スイッチ(図示せず)がON(オン)状態となるように連動して切り換わる構成となっている。上記点消火スイッチ(図示せず)の切り換え信号は燃焼制御部Hに入力されており、燃焼制御部Hはこの上記点消火スイッチ(図示せず)がON状態に切り換わると対応するバーナに対する点火作動を開始し、OFF状態に切り換わると対応するバーナの燃焼作動を停止するように構成されている。
【0038】
又、本体1の内部には、上記円筒状の回転操作部80の回転操作に伴ってパルス信号を出力するパルス発生手段としてのロータリーエンコーダ(図示せず)が設けられている。つまり、このロータリーエンコーダの操作軸に上記円筒状の回転操作部80が一体回動自在に且つ軸心方向での相対移動を許容する状態で接続されている。上記ロータリーエンコーダは、上記円筒状の回転操作部80の一方向への回転操作に伴って2つのパルス信号のうちの一方のパルス信号が他方のパルス信号より位相が進み、上記円筒状の回転操作部80の他方向への回転操作に伴って前記他方のパルス信号が前記一方のパルス信号より位相が進む状態で、上記円筒状の回転操作部80の回転操作に伴って互いに異なる位相の2つのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、このロータリーエンコーダ33は、2つの出力端子を備えており、その2つの出力端子から上述したような位相の異なるパルス信号が出力される構成である。このようなロータリーエンコーダ33は周知のものであり詳細な構成についての説明は省略する。
【0039】
ここで、図2〜図4により本実施の形態1のドロップインコンロAに備えられた前面パネルカバー10を説明すると、前面パネルカバー10には、上記前面パネル8を覆ったときに、上記キッチンキャビネット23の前面開口部7bと本体1の側方との隙間18(図9)を覆う延長部17を備えている。
また、前面パネルカバー10における上記延長部17側と反対側の端部には軸部13を設けてあり、上記軸部を本体1の前面に設けた軸支部12において前面パネルカバー10が遥動自在に軸支されている。
【0040】
手動操作部SSが配設される領域を覆う右上用前面パネルカバー70の軸支部12は、上記グリル用開口6aと手動操作部SSとの間に設けてあり(図4)、また、コンロ用の設定入力パネル50の前面を覆う右下用前面パネルカバー71の軸支部12は、コンロ用の設定入力パネル50が配設される開閉式操作部8a(図2)の前面と側面の境界部に設けてあり(図4)、また、ドロップインコンロAの制御用の電源となる電池を本体1内に収納するための電池収納用の開口14を覆う左上用前面パネルカバー72の軸支部12は、上記グリル用開口6aと電池収納用の開口14との間に設けてあり(図6)、また、グリル用の設定入力パネル60の前面を覆う左下用前面パネルカバー73の軸支部12は、コンロ用の設定入力パネル50が配設される開閉式操作部8a(図2)の前面と側面の境界部に設けてある(図6)。
【0041】
前面パネルカバー10には、3つの上記円筒状の回転操作部80を裏面から挿通するための挿通孔39が3つ設けられている(図7)のに加えて、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態において上記電源スイッチ40(図2、図7)を前面パネルカバー10の前面から操作自在にするための電源スイッチボタン41を備える(図7)。この電源スイッチボタン41は、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態において、前後に移動自在に上記電源スイッチ40の前面頂部に当接し、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態における電源スイッチボタン41の押し操作により電源スイッチ40のON/OFF操作ができるように構成されている。
【0042】
さらに、上記前面パネル8には自動復帰型の押し操作式のチャイルドロックスイッチ20が設けられており(図7)、前面パネルカバー10には、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態において上記チャイルドロックスイッチ20を前面パネルカバー10の前面から操作自在にするためのチャイルドロックスイッチボタン21を備える(図7)。このチャイルドロックスイッチボタン21は、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態において、前後に移動自在に上記チャイルドロックスイッチ20の前面頂部に当接し、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態におけるチャイルドロックスイッチボタン21の押し操作によりチャイルドロックスイッチ20のON/OFF操作ができるように構成されている。
【0043】
上記前面パネル8の、上記円筒状の回転操作部80の上部には、3つのコンロバーナ1a,1b,1cの火力を表示するための火力表示LED30が配設してあり(図7)、前面パネルカバー10には、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態において上記火力表示LED30の点灯/消灯を前面パネルカバー10の前面から視認するための導光部31を備える(図7)。
この導光部31は、透明な樹脂の成型品を前面パネルカバー10の前面から後面に挿通することで構成されているもので、前面パネルカバー10が前面パネル8を覆った状態において上記火力表示LED30の点灯/消灯を前面パネルカバー10の前面から視認可能に構成されている。
【0044】
ドロップインコンロAをキッチンキャビネット23に設置する手順を説明する。
図2に示すように、ドロップインコンロAをキッチンキャビネット23に設置する前には、前面パネルカバー10が、前面視におけるドロップインコンロAの本体1の存在領域内に前面視における前記前面パネルカバー10の存在領域の全てが包含される第1位置になるように、延長部17が本体1の側方とは反対の方向、つまり、グリル用開口6a側に回動した状態で、図示しない固定用テープによって仮止めされて拘束されている、
【0045】
前面パネルカバー10が第1位置にあるときには、本体1の前面をキッチンキャビネット23の上面開口部7aから挿入するときに前面パネルカバー10がキッチンキャビネット23の上面開口部7aの周縁と干渉せず、無理なく本体1をキッチンキャビネット23の上面開口部7aから挿入することができ、その後、本体1の上部開口周縁に具備する鍔部1fが本体1の前面をキッチンキャビネット23の上面開口部7a周縁に係止して、前面パネル8をキッチンキャビネット23の前面開口部7bに臨ませた図9に示す状態となる。
【0046】
キッチンキャビネット23の前面開口部7bの前面視における開口寸法を前面パネル8の前面視寸法と同じ寸法にすると、前面パネル8をキッチンキャビネット23の前面開口部7bに挿通する際に、前面パネル8とキッチンキャビネット23の前面開口部7bの周縁とが干渉しやすく、施工が困難となるため、キッチンキャビネット23の前面開口部7bの前面視における開口寸法は前面パネル8の前面視寸法より十分大きくする必要があるため、前面パネル8をキッチンキャビネット23の前面開口部7bに臨ませた図9の状態においては、前面パネル8の周縁とキッチンキャビネット23の前面開口部7bの周縁との間には隙間が生じることになる。
【0047】
この図9の状態において、前面パネル8の下方の隙間は前面パネル8が存在するため目立ちにくいものであり、前面パネル8の上方の隙間はキッチンキャビネット23上面において前方に突出するカウンタートップ前端24が存在するため目立ちにくいものであるが、前面パネル8の両側方の隙間18は目立ったものとなっており、以下に示す手順で前面パネル8の両側方の隙間18を塞ぐ工程を行うことですっきりとした外観を保つものである。
【0048】
図9の状態から、図示しない全面保護部材固定用テープを取り除き、前面保護部材固定用テープによる仮止め拘束を解除した後、軸部13を中心に前面パネルカバー10の延長部17が前面パネル8の両側方の隙間18を覆う第2位置となるまで前面パネルカバー10を回動させることで、延長部17によって前面パネル8の両側方の隙間18が覆われて、キッチンキャビネット23の前面と前面パネルカバー10の前面とが一体感を持ったすっきりとした外観を保つ図3の状態となる。なお、前面パネルカバー10が第1位置から第2位置に至る途中の状態では、図4に示すように前面パネルカバー10が本体1の前方に突出した状態を経由することになる。
【0049】
その後、天板2を本体1に装着することでキッチンキャビネット23へのドロップインコンロAの組込みが完了する。なお、図5に示すように、前面パネルカバー10の背面には爪15bを突設してあり、前面パネル8の爪15bと対応する位置には、爪15bと係合する穴部15aが穿設してあり、前面パネルカバー10が上記第2位置に回動した時に爪15bが穴部15aと係合して、前面パネルカバー10が第2位置に位置するときに、前面パネルカバー10が第1位置に向かって不用意に回動することがないように牽制手段15を設けてある。なお、爪15bが穴部15aと係合した状態においても、少し強い目の力を以ってすれば、前面パネルカバー10を第1位置に向かって回動させることが可能である。
【0050】
以下、電池収納用の開口14および開閉式操作部8aと前面パネルカバー10との関連について補足する。
図2に示すように、前面パネル8における、グリル用の設定入力パネル60が配設される開閉式操作部8aの上部、つまり、前面パネル8における左上には、燃焼制御部Hの電源となる電池を本体1に収納するための電池収納用の開口14を設けてある。
【0051】
軸支部12を電池収納用の開口14とグリル用開口6aとの間に設けてあり、左上用前面パネルカバー72が上記第2位置にあるときには、電池収納用の開口14は左上用前面パネルカバー72に覆われた美観を保ち、電池収納用の開口14からの異物の浸入を保った状態とするものであり、電池を交換するときには、少し強い目の力を以って左上用前面パネルカバー72を回動させて左上用前面パネルカバー72を第1位置に位置するようにすることで電池の交換が容易に行える。電池の交換が終了すれば、左上用前面パネルカバー72を回動させて第2位置に位置するようにすることで通常の使用状態とすることができる。
【0052】
開閉式操作部8aの前面を覆う前面パネルカバー10、すなわち、右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73用の軸支部12は、開閉式操作部8aの前面と、開閉式操作部8aのグリル用開口6a側の側面との境界部に設けてあり(図5、図6参照)、開閉式操作部8aの前方への引出しや本体1への収納に伴い、前面パネルカバー10(右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73)も開閉式操作部8aと共に前後に移動することになる。
【0053】
開閉式操作部8aの前方への引出しや本体1への収納に伴い、前面パネルカバー10も開閉式操作部8aと共に前後に移動することで、右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73が開閉式操作部8aと共に前後に移動するように構成することで、右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73と開閉式操作部8aとの干渉を防止するための特別な構造が不要となる。
【0054】
たとえば、本体1に右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73用の軸支部12を設けた場合には、開閉式操作部8aの引き出し時に生じる右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73と開閉式操作部8aとの干渉が発生しないようにするために、右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73に開閉式操作部8aの前方への引出しを許容する開口部を設ける等の構造とする必要があるが、この場合、この開口部周縁と開閉式操作部8aの前面周縁との隙間を目立たなくする構成とする必要があるものであり、これには困難を伴うものである。
【0055】
これに対し、本実施形態では、右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73用の軸支部12は、開閉式操作部8aの前面と、開閉式操作部8aのグリル用開口6a側の側面との境界部に設けてあり、開閉式操作部8aの前方への引出しや本体1への収納に伴い、前面パネルカバー10(右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73)も開閉式操作部8aと共に前後に移動するように構成するものであり、右下用前面パネルカバー71および左下用前面パネルカバー73が第2位置にあるときの美観を良好に保つことができる。
【0056】
因みに、上述のように、前面パネルカバー10が第1位置にあり、前面パネルカバー10がグリル用開口6aに位置するときには、グリル扉6b(図1参照)は取り外してあり(図3、図4参照)、上述の施工が完了して前面パネルカバー10が第2位置に移動した後に、グリル扉6bが所定の位置に装着される。(図1参照。)
【0057】
なお、図5、図7に示すように、前面パネルカバー10には爪15bを備え、前面パネル8には穴部15aを備えており、前面パネルカバー10が第1位置に向けて不用意に回動することを牽制する、つまり、爪15bと穴部15aとで牽制手段15を構成するものであるが、上述のように、爪15bが穴部15aと係合した状態においても、少し強い目の力を以ってすれば、前面パネルカバー10を第1位置に向かって回動させることが可能である。
【0058】
〔別実施例〕
(1)第1実施形態では、加熱部としてガスバーナを用いたが、加熱部はガスバーナに限定されるものではなく、加熱部として、電気ヒータ、IHヒータ等を用いるなど、本発明は、種々方式の加熱部を用いた加熱調理器に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる組込式加熱調理器は、キッチンキャビネット前面開口部と本体前面操作部との隙間に、取り付け・取り外しが容易であり、美観を良好に保つことができる前面パネルカバーを、前記隙間を覆うように構成することができるものであり、一般家庭で使用するキッチンキャビネットの前面開口部に操作部を配置する組込式加熱調理器等の用途に広く適用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 ドロップインコンロ本体
1f 鍔部
2 天板
3 バーナ(炎口部)
3a 五徳
4 排気口
6 グリル庫
6a グリル用開口
6b グリル扉
7a 上面開口部
7b 前面開口部
8 前面パネル
8a 開閉式操作部
10 前面パネルカバー
12 軸支部
13 軸部
14 電池収納用の開口
15 牽制手段
15a 穴部
15b 爪
17 延長部
18 側方の隙間
20 チャイルドロックスイッチ
21 チャイルドロックスイッチボタン
23 キッチンキャビネット
24 カウンタートップ前端
30 火力表示LED
31 導光部
39 挿通孔
40 電源スイッチ
41 電源スイッチボタン
50 コンロ用の設定入力パネル
60 グリル用の設定入力パネル
70 右上用前面パネルカバー
71 右下用前面パネルカバー
72 左上用前面パネルカバー
73 左下用前面パネルカバー
80 円筒状の回転操作部
A ドロップインコンロ
H 燃焼制御部
S 操作部
SS 手動操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部が配設される前面パネルを前面に有する加熱調理器本体を、キッチンキャビネットの上面に形成した上面開口部から挿入し、前記キッチンキャビネットの前面に形成した前面開口部に前記前面パネルを臨ませて設置し、前記前面パネルの前面を覆う前面パネルカバーを備え、前記前面パネルカバーに前記前面開口部と前記加熱調理器本体の側方との隙間を覆う延長部を備えた組込式加熱調理器において、
前記前面パネルカバーにおける前記延長部側と反対側の端部に軸部を設け、前記軸部を前記加熱調理器本体の前面に設けた軸支部において軸支し、
前記前面パネルカバーが、前面視における前記加熱調理器本体の存在領域内に前面視における前記前面パネルカバーの存在領域の全てが包含される第1位置と、前記延長部が前記隙間を覆う第2位置との間で、前記軸部を中心として回動自在に構成されていることを特徴とする組込式加熱調理器。
【請求項2】
前記操作部が、前記加熱調理器本体から引出し収納自在な開閉式操作部であり、前記前面パネルカバーが、前記開閉式操作部を前記加熱調理器本体に収納した状態における前記開閉式操作部の前面を覆うものであり、前記加熱調理器本体に収納した状態における前記開閉式操作部の前面と前記開閉式操作部の側面との境界部に前記軸支部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の組込式加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱調理器本体内にはグリル庫を備え、前記グリル庫への被調理物の出し入れ用開口を前記操作部の横に設け、前記軸支部を、前記被調理物の出し入れ用開口と前記操作部との間に設け、前記前面パネルカバーが第1位置にあるとき、前記前面パネルカバーが前記被調理物の出し入れ用開口に位置することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の組込式加熱調理器。
【請求項4】
前記前面パネルに電池収納用の開口を設け、前記前面パネルカバーによって前記電池収納用の開口を覆うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の組込式加熱調理器。
【請求項5】
前記前面パネルカバーが第2位置に位置するときに、前記前面パネルカバーの第1位置に向けての回動を牽制する牽制手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の組込式加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−24494(P2013−24494A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160769(P2011−160769)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(301071893)株式会社ハーマン (94)