説明

組電池

【課題】作業性に優れ、電極タブの破損を防止可能な組電池を提供する。
【解決手段】組電池100は、複数のラミネート形電池1〜nと、複数の絶縁板11〜1n−1とを備える。複数のラミネート形電池1〜nは、積層方向DR1において正極タブ41および負極タブ42が交互に配置されるように複数の絶縁板11〜1n−1を介して積層される。正極タブ41および負極タブ42の各々は、その一部分が積層方向DR1に折り曲げられており、その折り曲げられた一部分がラミネート形電池の平面方向における外側に面している。そして、隣接する2つのラミネート形電池間において、正極タブ41の折り曲げ部が負極タブ42の折り曲げ部に溶接され、複数のラミネート形電池1〜nは、直列に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板状の単電池において、特に、ラミネート形電池は、薄板状の正極端子および負極端子が一方向に延伸した形状が一般的であり、ラミネート形電池を積層することによって、積層体を用いた電池パックの高容量化または高電圧化またはその両方を実現できる。
【0003】
これらの平板状の単電池を積層した後に、溶接等の手段によって端子同士を直列に接続する際には、端子の積層方向に複数枚の端子が連なっていると、接続しようとする2つの端子以外の端子が接続しようとする2つの端子の接続の邪魔になり、接続の作業が困難になる。
【0004】
この問題に対して、接続しようとする端子以外の端子が邪魔にならないように、接続しようとする端子以外の端子を折り曲げることも想定されるが、他の端子に接触し、短絡する可能性が高くなる。
【0005】
一方、上記の問題を解決する方法として、平板状の単電池を積層しながら端子を接続していく方法が挙げられる。しかし、この方法においても、短絡しないように端子を接続しようとすると、積層した平板状の単電池の末端の単電池の端子が接続の邪魔になる。
【0006】
作業性を考慮すると、一気に接続の作業を進めることが好ましいので、平板状の単電池を積層した後に端子同士を接続する方が優れている。従って、より作業性に優れ、短絡の可能性の低い組電池が求められている。
【0007】
そこで、従来、単電池間の電極タブを容易に接続する方法が知られている(特許文献1)。特許文献1では、各ラミネート形電池は、発電要素から一方向に延びた延出部分と、延出部分からラミネート形電池の平面方向において内側にはみ出したはみ出し部分とからなる正極タブおよび負極タブを有する。そして、あるラミネート形電池において、正極タブのはみ出し部分が延出部分との境界でラミネート形電池の厚み方向に折り曲げられ、その折り曲げ部分が隣のラミネート形電池の負極タブの折り曲げ部分に接続される。また、あるラミネート形電池において、負極タブのはみ出し部分が延出部分との境界で正極タブのはみ出し部分と逆方向に折り曲げられ、その折り曲げ部分が逆の隣のラミネート形電池の正極タブの折り曲げ部分に接続される。
【0008】
このように、特許文献1においては、各ラミネート形電池は、はみ出し部分が向き合うように配置されたL字形の正極タブおよび負極タブを有し、正極タブの折り曲げ部分がラミネート形電池の平面方向における内側で一方側の隣のラミネート形電池の負極タブの折り曲げ部分に接続され、負極タブの折り曲げ部分がラミネート形電池の平面方向における内側で他方側の隣のラミネート形電池の正極タブの折り曲げ部分に接続されることによって、複数のラミネート形電池が直列に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−190885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に開示されたラミネート形電池は、L字形の正極タブおよび負極タブを有するので、ラミネート形電池を搬送するときに正極タブおよび負極タブのはみ出し部分が引っ掛かり、正極タブおよび負極タブを破損する可能性がある。また、正極タブの折り曲げ部分は、ラミネート形電池の平面方向における内側で負極タブの折り曲げ部分と接続されるので、接続しようとする正極タブおよび負極タブ以外の正極タブおよび負極タブが邪魔になり作業性が悪くなる可能性がある。
【0011】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、作業性に優れ、電極タブの破損を防止可能な組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の実施の形態によれば、組電池は、複数のラミネート形電池を備える。複数のラミネート形電池の各々は、極性の異なる矩形状の第1および第2の電極タブを有し、複数のラミネート形電池は、第1の電極タブと第2の電極タブとが交互に配置されるように絶縁板を介して積層され、かつ、直列に接続される。そして、複数のラミネート形電池のうちの第1のラミネート形電池の第1の電極タブの先端部から所望の位置で第1の電極タブの幅方向の外側から内側へ向かって第1の切り込み線を設け、第1の切り込み線よりも第1の電極タブの先端部側の一部をラミネート形電池の厚み方向に折り曲げた構造からなる第1の折り曲げ部は、第1のラミネート形電池に隣接する第2のラミネート形電池の第2の電極タブの先端部から所望の位置で第2の電極タブの幅方向の外側から内側へ向かって第2の切り込み線を設け、第2の切り込み線よりも第2の電極タブの先端部側の一部をラミネート形電池の厚み方向に折り曲げた構造からなる第2の折り曲げ部と溶接されている。
【0013】
また、この発明の実施の形態によれば、組電池は、複数のラミネート形電池と、複数の第1の接続端子と、複数の第2の接続端子とを備える。複数のラミネート形電池の各々は、極性の異なる矩形状の第1および第2の電極タブを有し、複数のラミネート形電池は、第1の電極タブと第2の電極タブとが交互に配置されるように絶縁板を介して積層され、かつ、直列に接続される。複数の第1の接続端子は、複数の第1の電極タブに対応して設けられ、複数の第1の接続端子の各々は、第1の電極タブの幅方向の外側に面してラミネート形電池の厚み方向に折り曲げられた第1の折り曲げ部を有し、かつ、対応する第1の電極タブに溶接されている。複数の第2の接続端子は、複数の第2の電極タブに対応して設けられ、複数の第2の接続端子の各々は、第2の電極タブの幅方向の外側に面してラミネート形電池の厚み方向に折り曲げられた第2の折り曲げ部を有し、かつ、対応する第2の電極タブに溶接されている。そして、複数のラミネート形電池のうちの第1のラミネート形電池の第1の電極タブに溶接された第1の接続端子の第1の折り曲げ部は、第1のラミネート形電池に隣接する第2のラミネート形電池の第2の電極タブに溶接された第2の接続端子の第2の折り曲げ部に溶接されている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の実施の形態による組電池においては、直列に接続された複数のラミネート形電池のうちの隣接する第1および第2のラミネート形電池は、第1の電極タブの第1の折り曲げ部が第2の電極タブの第2の折り曲げ部に溶接されることによって接続される。そして、第1および第2の折り曲げ部の各々は、ラミネート形電池の厚み方向に折り曲げられており、かつ、ラミネート形電池の平面方向の外側に面して配置されている。その結果、第1の折り曲げ部は、ラミネート形電池の平面方向の外側から第2の折り曲げ部に溶接され、接続しようとする第1および第2の電極タブ以外の電極タブが邪魔にならない。また、第1および第2の電極タブは、矩形状の形状からなるので、複数のラミネート形電池を搬送するとき、第1および第2の電極タブが引っ掛からない。
【0015】
従って、作業性に優れ、電極タブの破損を防止できる。
【0016】
また、この発明の実施の形態による組電池においては、直列に接続された複数のラミネート形電池のうちの隣接する第1および第2のラミネート形電池は、第1の電極タブに溶接された第1の接続端子の第1の折り曲げ部が第2の電極タブに溶接された第2の接続端子の第2の折り曲げ部に溶接されることによって接続される。そして、第1および第2の折り曲げ部の各々は、ラミネート形電池の厚み方向に折り曲げられており、かつ、ラミネート形電池の平面方向の外側に面して配置されている。その結果、第1の折り曲げ部は、ラミネート形電池の平面方向の外側から第2の折り曲げ部に溶接され、接続しようとする第1および第2の電極タブ以外の電極タブが邪魔にならない。また、第1および第2の電極タブは、矩形状の形状からなるので、複数のラミネート形電池を搬送するとき、第1および第2の電極タブが引っ掛からない。
【0017】
従って、作業性に優れ、電極タブの破損を防止できる。また、接続端子の材質面の自由度が増し、溶接手段に対して最適な材料構成で電極タブ間の溶接が可能となり、第1および第2のラミネート形電池間における接続部の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、この発明の実施の形態による組電池の概略図である。
【図2】図2は、図1に示すラミネート形電池の平面図である。
【図3】図3は、図2に示す線III−III間におけるラミネート形電池の断面図である。
【図4】図4は、図1に示すラミネート形電池の一部の拡大平面図である。
【図5】図5は、図1に示すラミネート形電池の一部の斜視図である。
【図6】図6は、図1に示すラミネート形電池および絶縁板の一部の斜視図である。
【図7】図7は、図1に示すC方向から見た組電池の側面図である。
【図8】図8は、図1に示す組電池の製造方法を示す工程図である。
【図9】図9は、正極タブおよび負極タブの折り曲げ部を作製する他の作製方法を説明するための平面図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態による他の組電池の概略図である。
【図11】図11は、図10に示すラミネート形電池の一部の斜視図である。
【図12】図12は、図10に示すラミネート形電池および絶縁板の一部の斜視図である。
【図13】図13は、図10に示すC方向から見た組電池の側面図である。
【図14】図14は、図10に示す組電池の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0020】
図1は、この発明の実施の形態による組電池の概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による組電池100は、ラミネート形電池1〜n(nは2以上の整数)と、絶縁板11〜1n−1とを備える。
【0021】
ラミネート形電池1〜nの各々は、正極タブ41および負極タブ42を有する。ラミネート形電池1〜nは、積層方向DR1において正極タブ41および負極タブ42が交互に配置されるように絶縁板11〜1n−1を介して積層される。
【0022】
絶縁板11〜1n−1の各々は、例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリカーボネートからなる。そして、絶縁板11は、ラミネート形電池1,2間に配置される。また、絶縁板12は、ラミネート形電池2,3間に配置される。以下、同様にして、絶縁板1n−1は、ラミネート形電池n−1,n間に配置される。
【0023】
ラミネート形電池1の負極タブ42は、ラミネート形電池2の正極タブ41に溶接され、ラミネート形電池2の負極タブ42は、ラミネート形電池3の正極タブ41に溶接される。また、ラミネート形電池3の負極タブ42は、ラミネート形電池4の正極タブ41に溶接され、ラミネート形電池4の負極タブ42は、ラミネート形電池5の正極タブ41に溶接される。以下、同様にして、ラミネート形電池n−2の負極タブ42は、ラミネート形電池n−1の正極タブ41に溶接され、ラミネート形電池n−1の負極タブ42は、ラミネート形電池nの正極タブ41に溶接される。
【0024】
なお、ラミネート形電池1の正極タブ41およびラミネート形電池nの負極タブ42は、組電池100を収納する電池パックの保護回路にそれぞれ接続される。
【0025】
このように、組電池100は、n個のラミネート形電池1〜nを直列に接続した構造からなる。
【0026】
図2は、図1に示すラミネート形電池2の平面図である。また、図3は、図2に示す線III−III間におけるラミネート形電池2の断面図である。図2および図3を参照して、ラミネート形電池2は、長方形の平面形状からなり、正極タブ41と、負極タブ42と、発電要素43と、ラミネートフィルム44とを含む。
【0027】
発電要素43は、正極と、負極と、セパレータとを含む。そして、発電要素43は、正極および負極がセパレータを介して積層された構造からなる。また、発電要素43は、ラミネートフィルム44によってラミネートされる。
【0028】
正極タブ41は、その一方端が発電要素43の正極に接続され、他方端側がラミネートフィルム44を介して外部へ引き出される。そして、正極タブ41は、外部へ引き出された部分の一部分411がラミネート形電池2の厚み方向(図2の紙面に垂直な方向)に折り曲げられている。
【0029】
負極タブ42は、その一方端が発電要素43の負極に接続され、他方端側がラミネートフィルム44を介して外部へ引き出される。そして、負極タブ42は、外部へ引き出された部分の一部分421がラミネート形電池2の厚み方向(図2の紙面に垂直な方向)に折り曲げられている。
【0030】
ラミネートフィルム44は、長方形の平面形状を有し、例えば、70〜330μmの厚みを有する。そして、ラミネートフィルム44は、正極タブ41の一部、負極タブ42の一部、および発電要素43をラミネートする。また、ラミネートフィルム44は、シール部441と、突出部442とを含む。突出部442は、ラミネート形電池2の面内方向DR2においてシール部441の内側に配置される。そして、突出部442は、発電要素43に対応してシール部441よりも突出している。
【0031】
シール部441は、シール部4411〜4414からなる。シール部4411,4412は、ラミネートフィルム44の長方形の長辺側に形成され、シール部4413,4414は、ラミネートフィルム44の長方形の短辺側に形成される。
【0032】
そして、正極タブ41および負極42は、シール部4413を介して外部へ引き出される。
【0033】
なお、図2においては、正極タブ41および負極タブ42は、ラミネートフィルム44の同一辺から引き出されているが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、正極タブ41および負極タブ42は、ラミネートフィルム44の異なる辺から引き出されていてもよい。
【0034】
発電要素43の正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダ等を含有する正極合剤からなる層(正極合剤層)を集電体の片面または両面に形成した構造からなる。
【0035】
正極活物質は、例えば、ラミネート形電池2がリチウムイオン二次電池である場合、リチウムイオンを吸蔵・放出できる活物質からなる。このような正極活物質は、例えば、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co,Ni,Mn,Al,Mg等)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMn、元素の一部を他の元素で置き換えたスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、およびLiMPO(M:Co,Ni,Mn,Fe等)で表されるオリビン型化合物等のいずれかからなる。
【0036】
そして、層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、LiCoO、LiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3,0.01≦y≦0.2)、および少なくともCo,NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn5/12Ni5/12Co1/6,LiNi3/5Mn1/5Co1/5)のいずれかからなる。
【0037】
正極の集電体は、例えば、アルミニウム箔、およびアルミニウム合金箔のいずれかからなる。そして、集電体の厚みは、電池の大きさおよび容量によって異なるが、例えば、0.01〜0.02mmである。
【0038】
正極は、次の方法によって作製される。正極活物質と、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、および繊維状炭素等の導電助剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のバインダとを含む正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤を用いて均一に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を調整する(バインダは、溶剤に溶解していてもよい)。そして、この組成物を正極の集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理により正極合剤層の厚みを調整する。これによって、正極が作製される。
【0039】
なお、この発明の実施の形態においては、上述した方法以外の方法を用いて正極を作製してもよい。
【0040】
正極における正極合剤層の厚みは、片面当たり、30〜100μmであることが好ましい。また、正極合剤層における各構成成分の含有量は、正極活物質:90〜98質量%、導電助剤:1〜5質量%、バインダ:1〜5質量%とすることが好ましい。
【0041】
正極タブ41は、アルミニウムまたはアルミニウム合金または合金を含むアルミニウムとニッケルとの部分クラッド等の金属の箔またはリボンからなる。
【0042】
そして、正極タブ41の厚みは、50〜300μmである。即ち、正極タブ41の厚みを50μm以上に設定することによって、正極タブ41の溶接時において、正極タブ41が切断されるのを防止できるとともに、正極タブ41が引っ張りおよび折り曲げによって断裂するのを防止できる。また、正極タブ41の厚みを300μm以下に設定することによって、ラミネートフィルム44のシール部4413に厚み方向の隙間が生じるのを防止できる。
【0043】
なお、正極タブ41とラミネートフィルム44との接着強度を高めるために、正極タブ41においてシール部4413に位置することが予定される箇所に、予め、樹脂製の接着層(例えば、ラミネートフィルム44を構成する金属ラミネートフィルムが有する熱融着樹脂層を構成する樹脂と同種の樹脂により構成された接着層)を設けてもよい。
【0044】
正極における集電体と、正極タブ41との接続方法としては、例えば、抵抗溶接、超音波溶接、レーザー溶接、カシメ、および導電性接着剤による方法等、各種の方法を採用することができる。
【0045】
負極は、例えば、ラミネート形電池2がリチウムイオン二次電池である場合、リチウムイオンを吸蔵・放出できる活物質を含有するものからなる。このような負極活物質は、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、および炭素繊維等のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物からなる。
【0046】
また、負極活物質は、Si,Sn,Ge,Bi,Sb,In等の元素、Si,Sn,Ge,Bi,Sb,Inの合金、リチウム含有窒化物、およびリチウム酸化物等のリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物(LiTi12等)、リチウム金属、およびリチウム/アルミニウム合金のいずれかからなる。
【0047】
これらの負極活物質に導電助剤(正極の導電助剤と同じ材料からなる)と、バインダ(PVDF、スチレンブタジエンゴム(SBR)のようなゴム系バインダとカルボキシメチルセルロース(CMC)との混合バインダ等)とを、適宜、添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたもの、または、上述した各種の合金、またはリチウム金属の箔を集電体の表面に積層したもの等が負極として用いられる。
【0048】
そして、負極は、次の方法によって作製される。上述した負極活物質と、バインダと、必要に応じて、黒鉛、アセチレンブラック、およびカーボンブラック等の導電助剤等を含む負極合剤を、NMP等の溶剤を用いて均一に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を調整する(バインダは、溶剤に溶解していてもよい)。そして、この組成物を負極集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理により負極合剤層の厚みまたは密度を調整する。これによって、負極が作製される。
【0049】
なお、この発明の実施の形態においては、上述した方法以外の方法を用いて負極を作製してもよい。
【0050】
負極の集電体としては、銅箔が好適である。そして、集電体の厚みは、電池の大きさまたは容量によるが、例えば、0.05〜0.02mmであることが好ましい。
【0051】
負極における負極合剤層の厚みは、片面当たり、30〜100μmとすることが好ましい。また、負極合剤層における各構成成分の含有量は、負極活物質:90〜98質量%、バインダ:1〜5質量%であることが好ましい。また、導電助剤を負極に用いる場合には、負極合剤層中の導電助剤の含有量は、1〜5質量%であることが好ましい。
【0052】
負極タブ42は、ニッケル、ニッケルメッキをした銅、およびニッケル−銅クラッド等の金属の箔またはリボンからなる。また、負極タブ42の厚みは、正極アブ41と同様に50〜300μmであることが好ましい。
【0053】
即ち、負極タブ42の厚みを50μm以上に設定することによって、負極タブ42の溶接時において、負極タブ42が切断されるのを防止できるとともに、負極タブ42が引っ張りおよび折り曲げによって断裂するのを防止できる。また、負極タブ42の厚みを300μm以下に設定することによって、ラミネートフィルム44のシール部4413に厚み方向の隙間が生じるのを防止できる。
【0054】
なお、負極タブ42とラミネートフィルム44との接着強度を高めるために、負極タブ42においてシール部4413に位置することが予定される箇所に、予め、樹脂製の接着層(例えば、ラミネートフィルム44を構成する金属ラミネートフィルムが有する熱融着樹脂層を構成する樹脂と同種の樹脂により構成された接着層)を設けてもよい。
【0055】
負極における集電体と、負極タブ42との接続は、例えば、抵抗溶接、超音波溶接、レーザー溶接、カシメおよび導電性接着剤による方法等、各種の方法を採用することができる。
【0056】
セパレータは、例えば、ポリエチレン、ポリオレフィン(ポリプロピレンおよびプロピレンの共重合体など)、ポリエチレンとポリプロピレンとの融合体、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート等で構成された多孔質フィルムまたは不織布からなる。
【0057】
セパレータの厚みは、10〜50μmであることが好ましく、空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
【0058】
また、多孔質フィルムと不織布とを重ねる等、複数枚のセパレータを用いることによって、短絡を防止する効果を高め、電池の信頼性をより向上させることができる。
【0059】
ラミネート形電池2に用いられる電解液は、ラミネート形電池2がリチウムイオン二次電池である場合、例えば、高誘電率溶媒または有機溶媒にLiPF,LiBF等の溶質を溶解した溶液(非水電解液)からなる。高誘電率溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびγ−ブチロラクトン(BL)のいずれかからなる。有機溶媒は、直鎖状のジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、およびメチルエチルカーボネート(EMC)等の低粘度溶媒からなる。
【0060】
なお、電解液溶媒には、上述した高誘電率溶媒と、低粘度溶媒との混合溶媒を使用することが好ましい。また、上述した溶液に、PVDF、ゴム系の材料、脂環エポキシ、およびオキセタン系の三次元架橋構造を有する材料等を混合して固化し、ポリマー電解液としてもよい。
【0061】
なお、図1に示すラミネート形電池3〜n−1の各々は、上述したラミネート形電池2と同じ構成からなり、図1に示すラミネート形電池1は、上述したラミネート形電池2の正極タブ41の一部分411がラミネート形電池2の厚み方向に折り曲げられていない以外は、ラミネート形電池2と同じ構成からなり、図1に示すラミネート形電池nは、上述したラミネート形電池2の負極タブ42の一部分421がラミネート形電池2の厚み方向に折り曲げられていない以外は、ラミネート形電池2と同じ構成からなる。
【0062】
図4は、図1に示すラミネート形電池2の一部の拡大平面図である。図4を参照して、ラミネート形電池2は、矩形状の正極タブ41および負極タブ42を有する。そして、矩形状の正極タブ41は、ラミネート形電池2の平面方向DR2における外側から内側に向かって切り込み線412に沿って切り込まれる。これによって、一部分411が形成される。
【0063】
切り込み線412は、切り込みの始端である始端部412Aと、切り込みの終端である終端部412Bとを有する。そして、始端部412Aと正極タブ41の先端部との距離L1は、距離L2よりも大きい値に設定される。
【0064】
また、矩形状の負極タブ42は、ラミネート形電池2の平面方向DR2における外側から内側に向かって切り込み線422に沿って切り込まれる。これによって、一部分421が形成される。
【0065】
切り込み線422は、切り込みの始端である始端部422Aと、切り込みの終端である終端部422Bとを有する。そして、始端部422Aと負極タブ42の先端部との距離は、距離L1に設定され、終端部422Bと負極タブ42の先端部との距離は、距離L2に設定される。
【0066】
距離L3は、ラミネート形電池2に流れる最大電流値によって決定される。
【0067】
ラミネート形電池3〜n−1の正極タブ41および負極タブ42も、それぞれ、図4に示すラミネート形電池2の正極タブ41および負極タブ42と同じようにそれぞれ一部分411,421を有する。また、ラミネート形電池1の正極タブ41は、ラミネート形電池1の平面方向DR2において平坦なままであり、ラミネート形電池1の負極タブ42は、図4に示すラミネート形電池2の負極42と同じように一部分421を有する。更に、ラミネート形電池nの正極タブ41は、図4に示すラミネート形電池2の正極タブ41と同じように一部分411を有し、ラミネート形電池nの負極タブ42は、ラミネート形電池nの平面方向DR2において平坦なままである。
【0068】
このように、ラミネート形電池2〜n−1の正極タブ41および負極タブ42は、それぞれ、ラミネート形電池2〜n−1の平面方向DR2における外側から内側へ向かった切られた一部分411,421を有し、ラミネート形電池1の負極タブ42は、ラミネート形電池1の平面方向DR2における外側から内側へ向かった切られた一部分421を有し、ラミネート形電池nの正極タブ41は、ラミネート形電池nの平面方向DR2における外側から内側へ向かった切られた一部分411を有する。
【0069】
そして、始端部412Aと正極タブ41の先端部との距離L1が終端部412Bと正極タブ41の先端部との距離L2よりも長く設定され、始端部422Aと負極タブ42の先端部との距離L1も終端部422Bと負極タブ42の先端部との距離L2よりも長く設定される。これは、終端部412Bから正極タブ41の先端部までの線分Ln1に沿って正極タブ41の一部分411を折り曲げ易くし、終端部422Bから負極タブ42の先端部までの線分Ln2に沿って負極タブ42の一部分421を折り曲げ易くするためである。
【0070】
即ち、L1>L2に設定した場合、一部分411,421を折り曲げる力は、それぞれ、正極タブ41の線分Ln1に沿った部分または負極タブ42の線分Ln2に沿った部分に集中し、線分Ln1,Ln2に沿った部分を起点として一部分411,421が折り曲げられるので、一部分411は、必ず線分Ln1に沿って折り曲げられ、一部分421は、必ず線分Ln2に沿って折り曲げられるからである。
【0071】
図5は、図1に示すラミネート形電池1〜3の一部の斜視図である。図5の(a)を参照して、ラミネート形電池1の正極タブ41は、折り曲げ部を有さず、ラミネート形電池1の負極タブ42は、折り曲げ部42Aを有する。折り曲げ部42Aは、負極タブ42の一部分421をラミネート形電池1の突出部442側へ折り曲げることによって形成される。そして、折り曲げ部42Aは、ラミネート形電池1の平面方向DR2における負極タブ42の外側に面して配置される。
【0072】
図5の(b)を参照して、ラミネート形電池2の正極タブ41は、折り曲げ部41Aを有し、ラミネート形電池2の負極タブ42は、折り曲げ部42Aを有する。折り曲げ部41Aは、正極タブ41の一部分411をラミネート形電池2の突出部442側へ折り曲げることによって形成され、折り曲げ部42Aは、負極タブ42の一部分421をラミネート形電池2の突出部442と反対側へ折り曲げることによって形成される。そして、折り曲げ部41A,42Aは、それぞれ、ラミネート形電池2の平面方向DR2における正極タブ41および負極タブ42の外側に面して配置される。
【0073】
図5の(c)を参照して、ラミネート形電池3の正極タブ41は、折り曲げ部41Aを有し、ラミネート形電池2の負極タブ42は、折り曲げ部42Aを有する。折り曲げ部41Aは、正極タブ41の一部分411をラミネート形電池2の突出部442と反対側へ折り曲げることによって形成され、折り曲げ部42Aは、負極タブ42の一部分421をラミネート形電池2の突出部442側へ折り曲げることによって形成される。そして、折り曲げ部41A,42Aは、それぞれ、ラミネート形電池3の平面方向DR2における正極タブ41および負極タブ42の外側に面して配置される。
【0074】
そして、図1に示すラミネート形電池4,6,・・・の正極タブ41および負極タブ42は、それぞれ、図5の(b)に示すラミネート形電池2の正極タブ41および負極タブ42と同じように折り曲げ部41A,42Aを有し、ラミネート形電池2の正極タブ41および負極タブ42と同じように折り曲げられる。また、図1に示すラミネート形電池5,7,・・・の正極タブ41および負極タブ42は、それぞれ、図5の(c)に示すラミネート形電池3の正極タブ41および負極タブ42と同じように折り曲げ部41A,42Aを有し、ラミネート形電池3の正極タブ41および負極タブ42と同じように折り曲げられる。更に、図1に示すラミネート形電池nの正極タブ41は、図5の(c)に示すラミネート形電池3の正極タブ41と同じように折り曲げ部41Aを有し、ラミネート形電池3の正極タブ41と同じように折り曲げられる。更に、ラミネート形電池nの負極タブ42は、図5の(c)に示すラミネート形電池3の負極タブ42の一部分421を折り曲げない構造からなる。
【0075】
図6は、図1に示すラミネート形電池1〜3および絶縁板11,12の一部の斜視図である。
【0076】
図6を参照して、ラミネート形電池1の正極タブ41は、折り曲げ部を有さず、ラミネート形電池1の負極タブ42は、折り曲げ部42A(=421)を有する。また、ラミネート形電池2,3の各々において、正極タブ41は、折り曲げ部41A(=411)を有し、負極タブ42は、折り曲げ部42A(=421)を有する。
【0077】
ラミネート形電池1は、突出部442(図示せず)が上を向くように配置され、ラミネート形電池2は、突出部442(図示せず)がラミネート形電池1の突出部442(図示せず)と向き合うように絶縁板11を介して配置される。ラミネート形電池3は、突出部442が上を向くように絶縁板12を介して配置される。
【0078】
ラミネート形電池1の負極タブ42の一部分421は、上述したようにラミネート形電池1の突出部442側へ折り曲げられ、ラミネート形電池2の正極タブ41の一部分411は、上述したようにラミネート形電池2の突出部442側へ折り曲げられる。従って、突出部442がラミネート形電池1の突出部442に向き合うようにラミネート形電池2をラミネート形電池1上に配置した場合、ラミネート形電池2の正極タブ41の折り曲げ部41Aは、ラミネート形電池1の負極タブ42の折り曲げ部42Aに接触する。そして、ラミネート形電池2の正極タブ41の折り曲げ部41Aは、ラミネート形電池1の負極タブ42の折り曲げ部42Aに抵抗溶接機、超音波溶接機およびレーザー溶接機のいずれかを用いて溶接される。これによって、接続部CN1が形成される。
【0079】
また、ラミネート形電池2の負極タブ42の一部分421は、上述したようにラミネート形電池2の突出部442と反対側へ折り曲げられ、ラミネート形電池3の正極タブ41の一部分411は、上述したようにラミネート形電池3の突出部442と反対側へ折り曲げられる。従って、ラミネート形電池2の突出部442を下向きに配置し、ラミネート形電池3の突出部442を上向きに配置した場合、ラミネート形電池3の正極タブ41の折り曲げ部41Aは、ラミネート形電池2の負極タブ42の折り曲げ部42Aに接触する。そして、ラミネート形電池3の正極タブ41の折り曲げ部41Aは、ラミネート形電池2の負極タブ42の折り曲げ部42Aに抵抗溶接機、超音波溶接機およびレーザー溶接機のいずれかを用いて溶接される。これによって、接続部CN2が形成される。
【0080】
接続部CN1が形成される場合、溶接用アンビル(受台等)を正極タブ41と負極タブ42との間に設置し、ラミネート形電池1,2の面内方向DR2の外側(図6に示すB方向)から正極タブ41の折り曲げ部41Aが負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接される。また、接続部CN2が形成される場合、同様に、溶接用アンビル(受台等)を正極タブ41と負極タブ42との間に設置し、ラミネート形電池2,3の面内方向DR2の外側(図6に示すA方向)から正極タブ41の折り曲げ部41Aが負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接される。
【0081】
その結果、溶接しようとする正極タブ41および負極タブ42の上側に配置されたラミネート形電池3の負極タブ42が邪魔になることはない。また、溶接しようとする正極タブ41および負極タブ42の下側に配置されたラミネート形電池1の正極タブ41が邪魔になることはない。更に、正極タブ41および負極タブ42は、上述したように矩形状を有するので、ラミネート形電池1〜3を搬送するときに正極タブ41および負極タブ42が引っ掛かることはない。
【0082】
従って、作業性を良くして正極タブ41および負極タブ42が破損するのを防止できる。
【0083】
なお、ラミネート形電池4〜n−1の正極タブ41は、それぞれ、隣接するラミネート形電池3〜n−2の負極タブ42に上述した方法によって溶接され、ラミネート形電池4〜n−1の負極タブ42は、それぞれ、ラミネート形電池5〜nの正極タブ41に上述した方法によって溶接される。
【0084】
ここで、接続部CN1において、面内方向DR2の外側(図6に示すB方向)から正極タブ41の折り曲げ部41Aが負極タブ42の折り曲げ部42Aに重なるとしたが、これに代え、面内方向DR2の外側(図6に示すB方向)から負極タブ42の折り曲げ部42Aが正極タブ41の折り曲げ部41Aに重なるようにしても良い。また、同様に、接続部CN2において、面内方向DR2の外側(図6に示すA方向)から負極タブ42の折り曲げ部42Aが正極タブ41の折り曲げ部41Aに重なるようにしても良い。ラミネート形電池4〜n−1についても同様に重ねあわせても良い。
【0085】
図7は、図1に示すC方向から見た組電池100の側面図である。図7を参照して、ラミネート形電池1,2、ラミネート形電池2,3、・・・、およびラミネート形電池n−1,nは、積層方向DR1において、それぞれ、絶縁板11〜n−1を中心として対称に配置される。
【0086】
そして、ラミネート形電池1,2の突出部442は、絶縁板11に接し、ラミネート形電池2,3の突出部442と反対側の面が絶縁板12に接し、ラミネート形電池3,4の突出部442は、絶縁板13に接し、ラミネート形電池4,5の突出部442と反対側の面が絶縁板14に接する。以下、同様にして、ラミネート形電池n−2,n−1の突出部442は、絶縁板1n−1に接し、ラミネート形電池n−1,nの突出部442と反対側の面が絶縁板1nに接する。
【0087】
また、接続部CN1は、ラミネート形電池1の負極タブ42の折り曲げ部42Aと、ラミネート形電池2の正極タブ41の折り曲げ部41Aとが溶接された構造からなり、接続部CN2は、ラミネート形電池2の負極タブ42の折り曲げ部42Aと、ラミネート形電池3の正極タブ41の折り曲げ部41Aとが溶接された構造からなり、接続部CN3は、ラミネート形電池3の負極タブ42の折り曲げ部42Aと、ラミネート形電池4の正極タブ41の折り曲げ部41Aとが溶接された構造からなり、接続部CN4は、ラミネート形電池4の負極タブ42の折り曲げ部42Aと、ラミネート形電池5の正極タブ41の折り曲げ部41Aとが溶接された構造からなる。以下、同様にして、接続部CNn−2は、ラミネート形電池n−2の負極タブ42の折り曲げ部42Aと、ラミネート形電池n−1の正極タブ41の折り曲げ部41Aとが溶接された構造からなり、接続部CNn−1は、ラミネート形電池n−1の負極タブ42の折り曲げ部42Aと、ラミネート形電池nの正極タブ41の折り曲げ部41Aとが溶接された構造からなる。
【0088】
接続部CN1を形成する場合、正極タブ41の折り曲げ部41Aは、溶接用アンビル(受台等)を空間SP1に配置して平面方向DR2の外側(図7に示すB方向)から負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接される。また、接続部CN2を形成する場合、正極タブ41の折り曲げ部41Aは、溶接用アンビル(受台等)を空間SP2に配置して平面方向DR2の外側(図7に示すA方向)から負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接される。以下、同様にして、接続部CN3〜CNn−1を形成する場合、正極タブ41の折り曲げ部41Aは、溶接用アンビル(受台等)を正極タブ41と負極タブ42との間の空間に配置して平面方向DRの外側(図7に示すA方向またはB方向)から負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接される。
【0089】
従って、接続しようとする正極タブ41および負極タブ42を溶接する場合、接続しようとする正極タブ41および負極タブ42以外の正極タブ41および負極タブ42が邪魔になることはない。
【0090】
なお、接続部CN1,CN3,・・・,CNn−2において、面内方向DR2の外側(図7に示すB方向)から正極タブ41の折り曲げ部41Aが負極タブ42の折り曲げ部42Aに重なるとしたが、これに代え、面内方向DR2の外側(図7に示すB方向)から負極タブ42の折り曲げ部42Aが正極タブ41の折り曲げ部41Aに重なるようにしても良い。また、同様に、接続部CN2,・・・,CNn−1において、面内方向DR2の外側(図7に示すA方向)から負極タブ42の折り曲げ部42Aが正極タブ41の折り曲げ部41Aに重なるようにしても良い。
【0091】
図8は、図1に示す組電池100の製造方法を示す工程図である。図10を参照して、組電池100の製造が開始されると、n個のラミネート形電池1〜nを作製し(ステップS1)、n−1個の絶縁板11〜1n−1を作製する(ステップS2)。
【0092】
そして、ラミネート形電池1の負極タブ42の一部分421を上述した方法によって折り曲げ、ラミネート形電池2〜n−1の正極タブ41の一部分411および負極タブ42の一部分421を上述した方法によって折り曲げ、ラミネート形電池nの正極タブ41の一部分411を上述した方法によって折り曲げる(ステップS3)。
【0093】
その後、隣接するラミネート形電池間で正極タブ41の折り曲げ部41Aが負極タブ42の折り曲げ部42Aに接触するようにラミネート形電池1〜nを絶縁板11〜1n−1を介して積層する(ステップS4)。
【0094】
引き続いて、隣接するラミネート形電池間で平面方向DR2の外側から正極タブ41の折り曲げ部41Aを負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接する(ステップS5)。これによって組電池100が製造される。
【0095】
上述したように、正極タブ41の一部分411および負極タブ42の一部分421を折り曲げたラミネート形電池1〜nを絶縁板11〜1n−1を介して積層した後に、隣接するラミネート形電池間で平面方向DR2の外側から正極タブ41の折り曲げ部41A(=一部分411)を負極タブ42の折り曲げ部42A(=一部分421)に溶接する。その結果、接続しようとする正極タブ41および負極タブ42以外の正極タブ41および負極タブ42が邪魔にならずに接続部CN1〜CNn−1が一気に形成される。
【0096】
また、正極タブ41および負極タブ42は、矩形状の形状からなるので、ラミネート形電池1〜nを搬送するとき、正極タブ41および負極タブ42は、引っ掛からない。
【0097】
更に、この発明の実施の形態におけるラミネート形電池1〜nにおいては、正極タブ41および負極タブ42に切り込み線412,422を設け、正極タブ41の一部分411および負極タブ42の一部分421を折り曲げる構成としているが、折り曲げ位置を精度良く制御する必要がある。折り曲げ部41A,42Aの長さ寸法(各ラミネート形電池1〜nの厚み方向の長さ)が短ければ、後の溶接工程で必要な重なりシロを得ることができず、最悪時には、溶接不可能となってしまう。一方、折り曲げ部41A,42Aの長さ寸法が長すぎた場合、積層後に他の正極タブ41および負極タブ42と接触する可能性が高くなり、最悪時には、短絡状態になってしまう。
【0098】
しかし、この発明の実施の形態においては、上述したように、距離L2が距離L1よりも短くなるように設定されるので、正極タブ41の一部分411および負極タブ42の一部分421を折り曲げる力が線分Ln1,Ln2に沿った部分に集中し、正極タブ41の一部分411および負極タブ42の一部分421を線分Ln1,Ln2に沿った部分で精度良く折り曲げることができる。
【0099】
更に、特許文献1においては、正極タブおよび負極タブは、L字状の平面形状からなるので、単電池の製造時の設備面においては、電極タブに方向性が発生し、電極タブの供給時に方向性を判別する判別機構が必要になる。また、はみ出し部分が引っ掛かりの原因となるので、はみ出し部分が引っ掛からないような逃げ機構も必要になる。
【0100】
しかし、この発明の実施の形態におけるラミネート形電池1〜nの正極タブ41および負極タブ42は、上述したように矩形状の平面形状からなるので、電極タブを作製するときの材料取り数が向上し、結果として低コストの電極タブを作製できる。また、特許文献1におけるラミネート形電池の作製時に必要な判別機構および逃げ機構を必要としない。
【0101】
従って、組電池100を製造するときの作業性に優れるとともに、正極タブ41および負極タブ42の破損を防止できる。また、短絡を防止できる。
【0102】
なお、図8においては、ラミネート形電池1〜nの全てを絶縁板11〜1n−1を介して積層した後に、隣接するラミネート形電池間で正極タブ41の折り曲げ部41Aを負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、1つのラミネート形電池を積層する毎に正極タブ41の折り曲げ部41Aを負極タブ42の折り曲げ部42Aに溶接する工程をラミネート形電池2〜nの全てについて実行するようにしてもよい。
【0103】
図9は、正極タブ41および負極タブ42の折り曲げ部を作製する他の作製方法を説明するための平面図である。
【0104】
図9を参照して、貫通孔415を正極タブ41に設ける。貫通孔415は、例えば、1mmφの直径を有する。そして、正極タブ41の外側に位置する始端部414Aから内側へ向かって貫通孔415まで正極タブ41を切り、切り込み線414を設ける。これによって、正極タブ41の一部分413が形成される。この場合、終端部414Bは、貫通孔415よりも正極タブ41の先端部側に位置する。そして、始端部414Aと正極タブ41の先端部との間の距離L4は、図4に示す距離L1に等しく、終端部414Bと正極タブ41の先端部との間の距離L5は、図4に示す距離L2に等しい。従って、距離L5は、距離L4よりも短い。
【0105】
また、同様にして、貫通孔425を負極タブ42に設ける。貫通孔425は、例えば、1mmφの直径を有する。そして、負極タブ42の外側に位置する始端部424Aから内側へ向かって貫通孔425まで負極タブ42を切り、切り込み線424を設ける。これによって、負極タブ42の一部分423が形成される。この場合、終端部424Bは、貫通孔425よりも負極タブ42の先端部側に位置する。そして、終端部424Bと負極タブ42の先端部との間の距離L5は、始端部424Aと負極タブ42の先端部との間の距離L4よりも短い。
【0106】
正極タブ41および負極タブ42にそれぞれ切り込み線414,424を設けると、正極タブ41の一部分413および負極タブ42の一部分423をそれぞれ線分Ln3,Ln4に沿ってラミネート形電池2の厚み方向に折り曲げ、上述した折り曲げ部41A,42Aを作製する。
【0107】
貫通孔415,425をそれぞれ正極タブ41および負極タブ42に設けて一部分413,423を形成し、その形成した一部分413,423をラミネート形電池2の厚み方向に折り曲げる場合も、L4>L5が成立するので、一部分413,423を折り曲げる力は、線分Ln3,Ln4に沿った部分に集中する。従って、正極タブ41の一部分413および負極タブ42の一部分423をそれぞれ線分Ln3,Ln4に沿った位置で精度良く折り曲げることができる。
【0108】
ラミネート形電池3〜n−1の正極タブ41および負極タブ42、ラミネート形電池1の負極タブ42およびラミネート形電池nの正極タブ41にも、図9において説明した方法によって一部分413,423を形成し、その形成した一部分413および/または一部分423をラミネート形電池1,3〜nの厚み方向に折り曲げる。
【0109】
正極タブ41および負極タブ42にそれぞれ一部分413,423を形成して折り曲げ部41A,42Aを作製する場合も、組電池100は、図8に示す工程図に従って製造される。この場合、ステップS3における一部分411,421をそれぞれ一部分413,423に読み替えればよい。
【0110】
図10は、この発明の実施の形態による他の組電池の概略図である。この発明の実施の形態による組電池は、図10に示す組電池100Aであってもよい。図10を参照して、組電池100Aは、図1に示す組電池100において、ラミネート形電池1〜nの正極タブ41および負極タブ42をそれぞれ正極タブ141および負極タブ142に代え、接続端子143,144を追加したものであり、その他は、組電池100と同じである。
【0111】
ラミネート形電池1〜nは、積層方向DR1において正極タブ141および負極タブ142が交互に配置されるように絶縁板11〜1n−1を介して積層される。
【0112】
正極タブ141および負極タブ142の各々は、矩形状の平面形状からなる。そして、正極タブ141は、上述した正極タブ41と同じ材料からなり、負極タブ142は、上述した負極タブ42と同じ材料からなる。
【0113】
ラミネート形電池1の負極タブ142は、接続端子143,144を介してラミネート形電池2の正極タブ141に接続される。ラミネート形電池2の負極タブ142は、接続端子143,144を介してラミネート形電池3の正極タブ141に接続される。ラミネート形電池3の負極タブ142は、接続端子143,144を介してラミネート形電池4の正極タブ141に接続される。ラミネート形電池4の負極タブ142は、接続端子143,144を介してラミネート形電池5の正極タブ141に接続される。以下、同様にして、ラミネート形電池n−2の負極タブ142は、接続端子143,144を介してラミネート形電池n−1の正極タブ141に接続され、ラミネート形電池n−1の負極タブ142は、接続端子143,144を介してラミネート形電池nの正極タブ141に接続される。
【0114】
正極に接続する接続端子143は、例えば、Niあるいは正極に接続する正極タブ141と同じ材料からなり、負極に接続する接続端子14は、負極タブ142と同じ材料からなる。そして、接続端子143は、正極タブ141に溶接され、接続端子144は、負極タブ144に溶接される。また、接続端子143,144は、隣接するラミネート形電池間において相互に溶接される。この場合、溶接は、抵抗溶接機、超音波溶接機およびレーザー溶接機のいずれかを用いて行なわれる。
【0115】
なお、ラミネート形電池1の正極タブ141およびラミネート形電池nの負極タブ142は、組電池100Aを収納する電池パックの保護回路にそれぞれ接続される。
【0116】
このように、組電池100Aも、n個のラミネート形電池1〜nを直列に接続した構造からなる。
【0117】
図11は、図10に示すラミネート形電池1〜3の一部の斜視図である。図11の(a)を参照して、接続端子144は、L字状の断面形状を有し、折り曲げ部144Aを有する。そして、接続端子144は、折り曲げ部144Aがラミネート形電池1の突出部442側へ延伸するように負極タブ142に溶接される。また、折り曲げ部144Aは、ラミネート形電池1の平面方向DR2の外側に面して配置される。更に、ラミネート形電池1においては、正極タブ141は、接続端子143,144のいずれも溶接されない。
【0118】
図11の(b)を参照して、接続端子143は、L字状の断面形状を有し、折り曲げ部143Aを有する。そして、接続端子143は、折り曲げ部143Aがラミネート形電池2の突出部442側へ延伸するように正極タブ141に溶接される。また、折り曲げ部143Aは、ラミネート形電池2の平面方向DR2の外側に面して配置される。
【0119】
接続端子144は、折り曲げ部144Aがラミネート形電池2の突出部442と反対側へ延伸するように負極タブ142に溶接される。また、折り曲げ部144Aは、ラミネート形電池2の平面方向DR2の外側に面して配置される。
【0120】
図11の(c)を参照して、ラミネート形電池3において、接続端子143は、折り曲げ部143Aがラミネート形電池3の突出部442と反対側へ延伸するように正極タブ141に溶接される。また、接続端子144は、折り曲げ部144Aがラミネート形電池3の突出部442側へ延伸するように負極タブ142に溶接される。そして、折り曲げ部143A,144Aは、ラミネート形電池3の平面方向DR2における外側に面して配置される。
【0121】
図10に示すラミネート形電池4,6,・・・においては、接続端子143,144は、それぞれ、図11の(b)に示す接続端子143,144と同じようにラミネート形電池4,6,・・・の正極タブ141および負極タブ142に溶接される。また、図10に示すラミネート形電池5,7,・・・においては、接続端子143,144は、それぞれ、図11の(c)に示す接続端子143,144と同じようにラミネート形電池5,7,・・・の正極タブ141および負極タブ142に溶接される。更に、図10に示すラミネート形電池nにおいては、接続端子143は、図11の(c)に示す接続端子143と同じようにラミネート形電池nの正極タブ141に溶接され、負極端子142には、接続端子143,144のいずれも溶接されない。
【0122】
図12は、図10に示すラミネート形電池1〜3および絶縁板11,12の一部の斜視図である。
【0123】
図12を参照して、ラミネート形電池1,3は、突出部442が上方向を向くように配置されており、ラミネート形電池2は、突出部442(図示せず)が下方向を向くように配置されている。
【0124】
そして、ラミネート形電池1の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aは、上述したようにラミネート形電池1の突出部442側へ延伸しており、ラミネート形電池2の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aは、上述したようにラミネート形電池2の突出部442(図示せず)側へ延伸している。従って、突出部442がラミネート形電池1の突出部442に向き合うようにラミネート形電池2をラミネート形電池1上に配置した場合、ラミネート形電池2の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aは、ラミネート形電池1の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aに接触する。そして、ラミネート形電池2の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aは、ラミネート形電池1の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aに抵抗溶接機、超音波溶接機およびレーザー溶接機のいずれかを用いて溶接される。これによって、接続部CN1’が形成される。
【0125】
また、ラミネート形電池2の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aは、上述したようにラミネート形電池2の突出部442と反対側へ折り曲げられており、ラミネート形電池3の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aは、上述したようにラミネート形電池3の突出部442と反対側へ折り曲げられている。従って、ラミネート形電池2の突出部442を下向きに配置し、ラミネート形電池3の突出部442を上向きに配置した場合、ラミネート形電池3の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aは、ラミネート形電池2の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aに接触する。そして、ラミネート形電池3の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aは、ラミネート形電池2の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aに抵抗溶接機、超音波溶接機およびレーザー溶接機のいずれかを用いて溶接される。これによって、接続部CN2’が形成される。
【0126】
接続部CN1’が形成される場合、溶接用アンビル(受台等)を正極タブ141と負極タブ142との間に設置し、ラミネート形電池1,2の面内方向DR2の外側(図12に示すB方向)から接続端子143の折り曲げ部143Aが接続端子144の折り曲げ部144Aに溶接される。また、接続部CN2’が形成される場合、同様に、溶接用アンビル(受台等)を正極タブ141と負極タブ142との間に設置し、ラミネート形電池2,3の面内方向DR2の外側(図12に示すA方向)から接続端子143の折り曲げ部143Aが接続端子144の折り曲げ部144Aに溶接される。
【0127】
その結果、接続しようとする正極タブ141および負極タブ142の上側に配置されたラミネート形電池3の負極タブ142が邪魔になることはない。また、接続しようとする正極タブ141および負極タブ142の下側に配置されたラミネート形電池1の正極タブ141が邪魔になることはない。更に、正極タブ141および負極タブ142は、上述したように矩形状を有するので、ラミネート形電池1〜3を搬送するときに正極タブ141および負極タブ142が引っ掛かることはない。
【0128】
従って、作業性を良くして正極タブ141および負極タブ142が破損するのを防止できる。
【0129】
なお、ラミネート形電池4〜n−1の正極タブ141は、それぞれ、隣接するラミネート形電池3〜n−2の負極タブ142に上述した方法によって接続され、ラミネート形電池4〜n−1の負極タブ142は、それぞれ、ラミネート形電池5〜nの正極タブ141に上述した方法によって接続される。
【0130】
ここで、接続部CN1’において、面内方向DR2の外側(図12に示すB方向)から接続端子144の折り曲げ部144Aが接続端子143の折り曲げ部143Aに重なるとしたが、これに代え、面内方向DR2の外側(図12に示すB方向)から接続端子143の折り曲げ部143Aが接続端子144の折り曲げ部144Aに重なるようにしても良い。また、同様に、接続部CN2’において、面内方向DR2の外側(図12に示すA方向)から接続端子144の折り曲げ部144Aが接続端子143の折り曲げ部143Aに重なるようにしても良い。ラミネート形電池4〜n−1についても同様に重ねあわせても良い。
【0131】
図13は、図10に示すC方向から見た組電池100Aの側面図である。図13を参照して、ラミネート形電池1〜nは、組電池100における積層方法と同じように絶縁板11〜1n−1を介して積層される。
【0132】
また、接続部CN1’は、ラミネート形電池1の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aと、ラミネート形電池2の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aとが溶接された構造からなり、接続部CN2’は、ラミネート形電池2の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aと、ラミネート形電池3の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aとが溶接された構造からなり、接続部CN3’は、ラミネート形電池3の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aと、ラミネート形電池4の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aとが溶接された構造からなり、接続部CN4’は、ラミネート形電池4の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aと、ラミネート形電池5の正極タブ141に接続された接続端子143の折り曲げ部143Aとが溶接された構造からなる。以下、同様にして、接続部CNn−2’は、ラミネート形電池n−2の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aと、ラミネート形電池n−1の正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aとが溶接された構造からなり、接続部CNn−1’は、ラミネート形電池n−1の負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144Aと、ラミネート形電池nの正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aとが溶接された構造からなる。
【0133】
接続部CN1’を形成する場合、接続端子144の折り曲げ部144Aは、溶接用アンビル(受台等)を空間SP3に配置して平面方向DR2の外側(図13に示すB方向)から接続端子143の折り曲げ部143Aに溶接される。また、接続部CN2’を形成する場合、接続端子143の折り曲げ部143Aは、溶接用アンビル(受台等)を空間SP4に配置して平面方向DR2の外側(図13に示すA方向)から接続端子144の折り曲げ部144Aに溶接される。以下、同様にして、接続部CN3’〜CNn−1’を形成する場合、接続端子143の折り曲げ部143Aは、溶接用アンビル(受台等)を正極タブ141と負極タブ142との間の空間に配置して平面方向DRの外側(図13に示すA方向またはB方向)から接続端子144の折り曲げ部144Aに溶接される。
【0134】
従って、接続しようとする正極タブ141および負極タブ142にそれぞれ溶接された接続端子143,144の折り曲げ部143A,144Aを溶接する場合、接続しようとする正極タブ141および負極タブ142以外の正極タブ141および負極タブ142が邪魔になることはない。
【0135】
また、隣接するラミネート形電池間において、正極タブ141は、接続端子143,144を用いて負極タブ142に接続される。従って、接続端子143,144の材質面での自由度が増し、溶接手段に対して最適な材料構成で電極タブ間の溶接が可能となり、接続部CN1’〜CNn−1’の信頼性を向上できる。
【0136】
なお、接続部CN1’,CN3’,・・・,CNn−2’において、面内方向DR2の外側(図13に示すB方向)から接続端子144の折り曲げ部144Aが接続端子143の折り曲げ部143Aに重なるとしたが、これに代え、面内方向DR2の外側(図13に示すB方向)から接続端子143の折り曲げ部143Aが接続端子144の折り曲げ部144Aに重なるようにしても良い。また、同様に、接続部CN2’,CN4’,・・・,CNn−1’において、面内方向DR2の外側(図13に示すA方向)から接続端子144の折り曲げ部144Aが接続端子143の折り曲げ部143Aに重なるようにしても良い。
【0137】
図14は、図10に示す組電池100Aの製造方法を示す工程図である。図14に示す工程図は、図8に示す工程図のステップS3〜ステップS5をそれぞれステップS3A〜ステップS5Aに代えたものであり、その他は、図8に示す工程図と同じである。
【0138】
図14を参照して、組電池100Aの製造が開始されると、上述したステップS1,S2の工程が順次実行される。
【0139】
そして、ラミネート形電池1の負極タブ142に接続端子144を溶接し、ラミネート形電池2〜n−1の正極タブ141および負極タブ142にそれぞれ接続端子143,144を溶接し、ラミネート形電池nの正極タブ141に接続端子143を溶接する(ステップS3A)。
【0140】
その後、隣接するラミネート形電池間で正極タブ141に溶接された接続端子143の折り曲げ部143Aが負極タブ142に溶接された接続端子144の折り曲げ部144に接触するようにラミネート形電池1〜nを絶縁板11〜1n−1を介して積層する(ステップS4A)。
【0141】
引き続いて、隣接するラミネート形電池間で平面方向DR2の外側から接続端子143の折り曲げ部143Aを接続端子144の折り曲げ部144Aに溶接する(ステップS5A)。これによって、組電池100Aが完成する。
【0142】
このように、隣接するラミネート形電池間において、正極タブ141は、接続端子143の折り曲げ部143Aを接続端子144の折り曲げ部144Aに溶接することによって負極タブ142に接続される。従って、接続端子143,144の材質面での自由度が増し、溶接手段に対して最適な材料構成で電極タブ間の溶接が可能となり、接続部CN1’〜CNn−1’の信頼性を向上できる。その他、組電池100Aは、組電池100について上述した効果と同じ効果を享受する。
【0143】
なお、上記においては、ラミネート形電池1の正極タブ41(または正極タブ141)の一部分がラミネート形電池1の厚み方向に折り曲げられず、ラミネート形電池nの負極タブ42(または負極タブ142)の一部分がラミネート形電池nの厚み方向に折り曲げられないと説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、ラミネート形電池1の正極タブ41(または正極タブ141)の一部分をラミネート形電池1の厚み方向に折り曲げ、かつ、ラミネート形電池1の負極タブ42(または負極タブ142)の一部分をラミネート形電池1の厚み方向に折り曲げないようにし、ラミネート形電池nの負極タブ42(または負極タブ142)の一部分をラミネート形電池nの厚み方向に折り曲げ、かつ、ラミネート形電池nの正極タブ41(または正極タブ141)の一部分をラミネート形電池nの厚み方向に折り曲げないようにしてもよい。
【0144】
この場合、図7における正極タブ41および負極タブ42の表示を相互に入れ替えればよく、図13において、正極タブ141および負極タブ142の表示を相互に入れ替え、かつ、接続端子143および接続端子144の表示を相互に入れ替えればよい。
【0145】
従って、この発明の実施の形態においては、ラミネート形電池1〜nの各々は、正極タブ41および負極タブ42のいずれか一方からなる第1の電極タブと、正極タブ41および負極タブ42のいずれか他方からなる第2の電極タブとを有し、隣接する第1および第2のラミネート形電池間において、第1のラミネート形電池の第1の電極タブの折り曲げ部が第2のラミネート形電池の第2の電極タブの折り曲げ部に溶接されていればよい。
【0146】
また、この発明の実施の形態においては、ラミネート形電池1〜nの各々は、正極タブ41および負極タブ42のいずれか一方からなる第1の電極タブと、正極タブ41および負極タブ42のいずれか他方からなる第2の電極タブとを有し、隣接する第1および第2のラミネート形電池間において、第1のラミネート形電池の第1の電極タブに溶接された接続端子(接続端子143,144のいずれか一方)の折り曲げ部が第2のラミネート形電池の第2の電極タブに溶接された接続端子(接続端子143,144のいずれか他方)の折り曲げ部に溶接されていればよい。
【0147】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0148】
この発明は、組電池に適用される。
【符号の説明】
【0149】
1〜n ラミネート形電池、11〜1n−1 絶縁板、41,141 正極タブ、41A,42A,143A,144A 折り曲げ部、42,142 負極タブ、43 発電要素、44 ラミネートフィルム、100,100A 組電池、143,144 接続端子、412,422 切り込み線、441,4411〜4414 シール部、442 突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が極性の異なる矩形状の第1および第2の電極タブを有し、前記第1の電極タブと前記第2の電極タブとが交互に配置されるように絶縁板を介して積層され、かつ、直列に接続された複数のラミネート形電池を備え、
前記複数のラミネート形電池のうちの第1のラミネート形電池の第1の電極タブの先端部から所望の位置で前記第1の電極タブの幅方向の外側から内側へ向かって第1の切り込み線を設け、前記第1の切り込み線よりも前記第1の電極タブの先端部側の一部を前記ラミネート形電池の厚み方向に折り曲げた構造からなる第1の折り曲げ部は、前記第1のラミネート形電池に隣接する第2のラミネート形電池の第2の電極タブの先端部から所望の位置で前記第2の電極タブの幅方向の外側から内側へ向かって第2の切り込み線を設け、前記第2の切り込み線よりも前記第2の電極タブの先端部側の一部を前記ラミネート形電池の厚み方向に折り曲げた構造からなる第2の折り曲げ部と溶接されている、組電池。
【請求項2】
前記第1の切り込み線の始端である第1の始端部と前記第1の電極タブの先端部との距離は、前記第1の切り込み線の終端である第1の終端部と前記第1の電極タブの先端部との距離よりも長く、
前記第2の切り込み線の始端である第2の始端部と前記第2の電極タブの先端部との距離は、前記第2の切り込み線の終端である第2の終端部と前記第2の電極タブの先端部との距離よりも長い、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
各々が極性の異なる矩形状の第1および第2の電極タブを有し、前記第1の電極タブと前記第2の電極タブとが交互に配置されるように絶縁板を介して積層され、かつ、直列に接続された複数のラミネート形電池と、
前記複数の第1の電極タブに対応して設けられ、各々が前記第1の電極タブの幅方向の外側に面して前記ラミネート形電池の厚み方向に折り曲げられた第1の折り曲げ部を有し、かつ、対応する第1の電極タブに溶接された複数の第1の接続端子と、
前記複数の第2の電極タブに対応して設けられ、各々が前記第2の電極タブの幅方向の外側に面して前記ラミネート形電池の厚み方向に折り曲げられた第2の折り曲げ部を有し、かつ、対応する第2の電極タブに溶接された複数の第2の接続端子とを備え、
前記複数のラミネート形電池のうちの第1のラミネート形電池の第1の電極タブに溶接された第1の接続端子の前記第1の折り曲げ部は、前記第1のラミネート形電池に隣接する第2のラミネート形電池の第2の電極タブに溶接された第2の接続端子の前記第2の折り曲げ部に溶接されている、組電池。
【請求項4】
前記第1の折り曲げ部は、抵抗溶接または超音波溶接によって前記第2の折り曲げ部と溶接されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−221804(P2012−221804A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87495(P2011−87495)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(511084555)日立マクセルエナジー株式会社 (212)
【Fターム(参考)】