説明

組電池

【課題】組電池において単電池の配置の自由度を向上する。
【解決手段】組電池1を構成する複数の単電池2は、上端側に外部端子7A,7Bを備える。上キャップ21が単電池2の上端側に装着されている。下キャップ22が単電池2の下端側に装着されている。上挟持部23と下挟持部24の間に上キャップ21と下キャップ22を介して複数の単電池2を挟み込んで保持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池(電池セル)を電気的に接続してモジュール化した組電池(電池モジュール)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一列に配列した複数の単電池を配列方向の前後から一対の側板で挟み込んで固定した構成の組電池が開示されている。
【0003】
特許文献2には、上端が開口した箱状のケース内に複数の単電池を配置し、ケースの開口を蓋体で閉じた構成の組電池が開示されている。
【0004】
特許文献1の構成の場合、配列方向の単電池数の増減であれば比較的簡易な設計変更により可能であるが、それ以外の単電池の配置の変更には大幅な設計変更が必要となる。特許文献2の構成の場合、単電池の配置を変更するにはケースと蓋体の両方の設計変更が必要である。ケースと蓋体は一般に樹脂製であり、設計変更に伴って高価な成型用の金型を新たに製作する必要が生じる。このように従来の組電池は、コスト上の制約も含め単電池の配置の自由度が低く、少量多品種生産を安価で実現することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−346745号公報
【特許文献2】特開2010−15760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は組電池において単電池の配置の自由度を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、複数の単電池と、個々の前記単電池の外部端子を備える一方の端部側に装着された第1のキャップと、前記単電池の前記外部端子を備える前記一方の端部側に配置された第1の挟持部と、前記単電池の他方の端部側に配置された第2の挟持部とを備え、前記第1の挟持部は前記第1のキャップを介して前記複数の単電池を挟み込むことによって、前記第1及び第2の挟持部の間に前記複数の単電池を挟み込んで保持し、かつ前記第1のキャップが前記第1の挟持部に嵌合する組電池を提供する。好ましくは、前記第1のキャップが第1の凸部を備え、前記第1の挟持部が前記第1の凸部が嵌合する第1の凹部を備える。
【0008】
第2の発明は、複数の単電池と、個々の前記単電池の外部端子を備える一方の端部側に配置された第1の挟持部と、個々の前記単電池の前記一方の端部側とは反対の他方の端部側に装着された第2のキャップと、前記単電池の前記他方の端部側に配置された第2の挟持部とを備え、前記第2の挟持部は前記第2のキャップを介して前記複数の単電池を挟み込むことによって、前記第1及び第2の挟持部の間に前記複数の単電池を挟み込んで保持し、かつ前記第2のキャップが前記第2の挟持部に嵌合する組電池を提供する。好ましくは、前記第2のキャップが第2の凸部を備え、前記第2の挟持部が前記第2の凸部が嵌合する第2の凹部を備える。
【0009】
組電池を構成する複数の単電池は、外部端子を設けた一方の端部側に配置された第1の挟持部と外部端子とは反対の他方の端部側に配置された第2の挟持部との間に挟み込まれて保持される。従って、組電池を構成する単電池の個数や配置を変更する場合でも、単電池を挟み込むことができる限り第1及び第2の挟持部の形状や寸法は大幅に変更する必要がなく、単電池の配置の自由度が高い。
【0010】
前記第1及び第2のキャップのうちの少なくとも一方が対応する前記挟持部に嵌合することで、耐振性及び耐衝撃性を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組電池によれば、外部端子を設けた一方の端部側に配置された第1の挟持部と外部端子とは反対の他方の端部側に配置された第2の挟持部の間に複数の単電池を挟み込んで保持しているので、単電池の配置について高い自由度が得られ、少量多品種生産を安価で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の組電池の分解斜視図。
【図2】第1実施形態の組電池を上方から見た斜視図。
【図3】第1実施形態の組電池を下方から見た斜視図。
【図4A】第1実施形態の組電池における単電池の接続経路を示す模式的な平面図。
【図4B】第1実施形態の組電池における単電池の配置を変更した場合の接続経路を示す模式的な平面図。
【図4C】第1実施形態の組電池における単電池の配置を変更した場合の接続経路を示す模式的な平面図。
【図5】単電池、上キャップ、及び下キャップの斜視図。
【図6】単電池へ装着された上キャップの拡大断面図。
【図7】単電池へ装着された下キャップの拡大断面図。
【図8A】上キャップを上方から見た斜視図。
【図8B】上キャップを図8Aと異なる角度で上方から見た斜視図。
【図8C】下キャップを下方から見た斜視図。
【図9A】下キャップを上方から見た斜視図。
【図9B】下キャップを下方から見た斜視図。
【図10】本発明の第2実施形態の組電池の分解斜視図。
【図11】第2実施形態の組電池を上方から見た斜視図。
【図12】第2実施形態の組電池を下方から見た斜視図。
【図13A】第2実施形態の組電池における単電池の接続経路を示す模式的な平面図。
【図13B】第2実施形態の組電池における単電池の配置を変更した場合の接続経路を示す模式的な平面図。
【図13C】第2実施形態の組電池における単電池の配置を変更した場合の接続経路を示す模式的な平面図。
【図14】本発明の第3実施形態の組電池の模式的な平面図。
【図15】第1実施形態の組電池の変形例の模式的な平面図。
【図16】第2実施形態の組電池の変形例の模式的な平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1から図4Cは、本発明の第1実施形態に係る組電池(電池モジュール)1を示す。この組電池1は非水電解質二次電池である7個の角型の単電池(電池セル)2を備える。
【0015】
図5から図7をさらに参照すると、個々の単電池2は、電池容器3内に電解液と共に発電要素4(図6及び図7に模式的に示す。)を収容し、電池容器3の上端側の開口を蓋体5で封止したものである。
【0016】
本実施形態における電池容器3は、長方形状の底壁3aから上方に延びる側壁3b〜3eを備える。側壁は、互いに対向する一対の長側壁3b,3cと、これらの長側壁3b,3cよりも小面積で互いに対向する一対の短側壁3d,3eとを備える。電池容器3を平面視したときの底壁3aが構成する長方形の4辺のうち、一対の長辺から長側壁3b,3cが延び、一対の短辺から短側壁3d,3eが延びている。蓋体5も概ね長方形状であり、電池容器3と蓋体5によって概ね扁平な直方体状の外装体が構成されている。単電池2の蓋体5の両端付近には、正負の外部端子7A,7Bが配置されている。電池容器3の側壁3b〜3eの外周は、図示しない絶縁シートにより覆われている。
【0017】
図4Aに最も明瞭に表れているように、組電池1を構成する7個の単電池2は一列に配置されている。詳細には、蓋体5側(外部端子7A,7Bが設けられている側)から見たときに、互いに隣接する2個の単電池2の電池容器3の長手方向Lが実質的に互いに平行となる配置(平行配置)で7個の単電池2が一列に配置されている。言い換えれば、7個の単電池2は、隣接する他の単電池2と長側壁3b,3cどうしが間隔をあけて対向するように配置されている。個々の単電池2の外部端子7A,7Bは、バスバー(導電部材)8によって隣接する他の単電池2の外部端子7A,7Bに電気的に接続されており、7個の単電池2が直列に接続されている。図4Aにおいて左端の単電池2の外部端子7Aが組電池1の正極を構成し、右端の単電池2の外部端子7Bが組電池1の負極を構成する。
【0018】
図5及び図6に示すように、蓋体5の上面に装着されたパッキン9A,9Bには、外部端子7A,7Bの頭部(図示せず。)と接続杆10A,10Bとが収容されている。雄ねじが形成された外部端子7A,7Bの軸部7aは、頭部から上向きに突出して接続杆10A,10Bを貫通している。外部端子7A,7Bの軸部7aにはバスバー8の一端の貫通孔8aが挿通され、ナット11によりバスバー8の一端が固定されている。接続杆10A,10Bはリベット12により電池容器3内の集電体(図示せず)に接続され、集電体が発電要素4に接続されている。
【0019】
接続杆10A,10Bは、一端(外部端子7A,7Bとは反対側の端部)に細幅の矩形状の検査用端子部10aを備える。図5に最も明瞭に示すように、検査用端子部10aはパッキン9A,9Bから横向きに突出し、蓋体5の上面の上方に間隔を隔てて位置している。検査用端子部10aの先端付近には、電線を接続するためのねじ(図示せず)を螺合するねじ孔10bが設けられている。
【0020】
組電池1は、7個の単電池2を前述の配置で保持するために保持構造20を備える。保持構造20は、個々の単電池2に装着される上キャップ(第1のキャップ)21と下キャップ(第2のキャップ)22を備える。これら上キャップ21と下キャップ22は、本実施形態では樹脂製である。また、保持構造20は、上キャップ21と下キャップ22を装着した単電池2を図において上下方向に挟み込んで保持する上挟持部(第1の挟持部)23と下挟持部(第2の挟持部)24とを備える。さらに、保持構造20は上挟持部23と下挟持部24とを連結する一対の側部25,26を備える。一方の側部25には監視装置37が取り付けられている。
【0021】
図5、図6、及び図8Aから図8Cを参照して上キャップ21を説明する。一対の外部端子7A,7Bをそれぞれ覆うように、単電池2の上端側に2個の上キャップ21が装着されている。上キャップ21は、矩形状の頂壁部21aと、頂壁部21aの前後の辺から延びる前壁部21b及び後壁部21cと、頂壁部21aの左右の辺から延びる側壁部21d,21eを備える。頂部壁21aの下面にはリブ構造21fが設けられている。
【0022】
前壁部21bの下端とリブ構造21fの後壁部21c付近の下端とが電池容器3の上端に載置されることで、上キャップ21は単電池2に装着された状態で保持される。単電池2に装着した上キャップ21は、外部端子7A,7B及びその周辺を取り囲む。具体的には、単電池2に装着された状態では、上キャップ21の頂壁部21aは外部端子7A,7B、上パッキン9A,9B、及び接続杆10A,10Bの上方に位置している。また、後壁部21cは電池容器3の短側壁3d,3eの上端部(蓋体5付近)に沿って延びる。さらに、側壁部21d,21eはそれぞれ電池容器3の一対の長側壁3b,3cの上端部(蓋体5付近)に沿って延びる。さらにまた、後壁部21cと側壁部21d,21eが構成する角隅部21g,21hは、電池容器3の短側壁3d,3eと長側壁3b,3cとが構成する角隅部に沿って延びている。
【0023】
上キャップ21の頂壁部21aの上面(外面)には、1個の上凸部(第1の凸部)27が形成されている。本実施形態における上凸部27は、全体として概ね扁平な円柱である。詳細には、本実施形態の上凸部27は、頂壁部21aの上面から突出する一定径の円柱状部27aと、円柱状部27aの先端(上端)に形成された最先端に向けて漸次縮径するテーパ状部27bとを備える。また、上凸部27の先端面27cは概ね平坦である。
【0024】
図6に最も明瞭に示すように、上凸部27の直下に外部端子7A,7Bが位置している。上凸部27の先端面27cから上キャップ21の頂壁部21aの下面まで貫通する検査用貫通孔28が形成されている。つまり、検査用貫通孔28は、上キャップ21の外部から上キャップ21で囲まれた外部端子7A,7Bまで達している。
【0025】
上キャップ21の後壁部21cと側壁部21d,21eには、バスバー開口部29A,29B,29Cが厚み方向に貫通するように設けられている。これらのバスバー開口部29A〜29Cは、外部端子7A,7Bに接続したバスバー8を挿通して上キャップ21から突出させるために設けられている。例えば、図5では、外部端子7A,7Bに一端が接続されたバスバー8が上キャップ21のバスバー開口部29Bに挿通され、上キャップ21から突出して他の単電池の外部端子(図5で図示せず)に向けて延びている。本実施形態では、バスバー開口部29Aは後壁部21cの下端から頂壁部21aに向けて延びる切り込みであり、バスバー開口部29B,29Cは側壁部21d,21eの下端から頂壁部21aに向けて延びる切り込みである。ただし、バスバー8の挿通が可能であるならば、バスバー開口部29A〜29Cは後壁部21cや側壁部21d,21eを厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。
【0026】
上キャップ21の前壁部21bには、接続杆10A,10Bの検査用端子部10aを挿通するための端子開口部31が厚み方向に貫通するように設けられている。接続杆10A,10Bの大部分は上パッキン9A,9B内に収容されているが、接続杆10A,10Bの一部である検査用端子部10aは、端子開口部31を介して上パッキン9の外側に突出している。本実施形態では、端子開口部31は前壁部21bの下端から頂壁部21aに向けて延びる切り込みである。ただし、検査用端子部10aの挿通が可能であるならば、端子開口部31は前壁部21bを厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。
【0027】
端子開口部31を介して上キャップ21から外部に突出する検査用端子部10aを保護するために、上キャップ21の前壁部21bに保護部32が設けられている。本実施形態における保護部32は、前壁部21bの端子開口部31の両側の部分から検査用端子部10aの両側部に沿って延びる一対の板状のリブ33A,33Bを備える。図5を参照すると、リブ33A,33Bの上端は検査用端子部10aよりも上方(単電池2の蓋体5から離れた位置)に位置している。
【0028】
図5、図7、図9A、及び図9Bを参照して下キャップ22を説明する。下キャップ22は上端が開口した細長い箱状であり、単電池2の電池容器3の下端側に装着される。詳細には、下キャップ22は、概ね長方形状の底壁部22aと、この底壁部22aの4辺から延びる側壁部22b,22c,22d,22eとを備える。下キャップ22を単電池2の下端側に装着すると、底壁部22aに電池容器3の底壁3aが載置され、側壁部22b,22cは電池容器3の長側壁3b,3cに沿って延び、側壁部22d,22eは電池容器3の短側壁3d,3eに沿って延びる。
【0029】
下キャップ22の底壁部22aの下面(外面)には、一対の下凸部35,35が形成されている。本実施形態における下凸部35は全体として概ね扁平な円柱である。
【0030】
本実施形態における上挟持部23は、金属板をプレス成形等で長方形状に成形した一体構造であり、上キャップ21の上凸部27が嵌合する円形の上貫通孔(第1の凹部)23aが厚み方向に貫通するように形成されている。図1及び図2を参照すると、7個の単電池2のうち図において左右両端の2個を除く5個の単電池2には、それぞれ一対の上キャップ21が装着されている。また、外部端子7Aが組電池1の正極となる図において左端の単電池2と、外部端子7Bが組電池1の負極となる図において右端の単電池2には、それぞれ1個の上キャップ21が装着されている。つまり、本実施形態では、組電池1は合計12個の上キャップ21を含み、各上キャップ21は前述のように1個の上凸部27を備える。上挟持部23には、合計12個の上貫通孔23aが上キャップ21の上凸部27と対応する位置に形成されている。
【0031】
上挟持部23のうち、図1及び図2において左端の単電池2の外部端子7A(組電池1の正極)と対応する隅部、右端の単電池2の外部端子7B(組電池1の負極)に対応する隅部には、これらの外部端子7A,7Bを露出させるために切欠状のモジュール開口部23b,23cが設けられている。各モジュール開口部23b,23cには端子保護カバー36A,36Bが着脱可能に装着されている。
【0032】
本実施形態における下挟持部24は、金属板をプレス成形等で成形した概ね一体構造である。下挟持部24は、外形が概ね長方形状であって中央に大面積の長方形状の通気開口24aが形成されているので、全体として矩形枠状を呈している。下挟持部24には下キャップ22の下凸部35が嵌合する円形の下貫通孔(第2の凹部)24bが厚み方向に貫通するように形成されている。図1から図3を参照すると、7個の単電池2のすべてに下キャップ22が装着され、各下キャップ22は前述のように2個の下凸部35を備える。下挟持部24には、合計14個の下貫通孔24bが下凸部35と対応する位置に形成されている。
【0033】
図1から図3を参照すると、単電池2の上端側に装着された上キャップ21は、上凸部27が上貫通孔23aに嵌合し、頂壁部21aが上挟持部23の下面に当接している。一方、単電池2の下端側に装着された下キャップ22は、下凸部35が下貫通孔24bに嵌合し、底壁部22aが下挟持部24の上面に当接している。上挟持部23と下挟持部24は、上キャップ21と下キャップ22を介して7個の単電池2を挟み込んで保持した状態で、側部25,26により互いに連結されている。監視装置37が取り付けられた一方の側部25は図において左端の単電池2に隣接して配置され、他方の側部26は図において右端の単電池2に隣接して配置されている。本実施形態における側部25,26は金属板をプレス成形等で長方形状に成形した概ね一体構造である。本実施形態では、側部25,26の上端側と下端側はそれぞれねじ止めで上挟持部23と下挟持部24に連結されている。上キャップ21の上凸部27が上挟持部23の上貫通孔23aに嵌合し、下キャップ22の下凸部35が下挟持部24の下貫通孔24bに嵌合することで、上挟持部23と下挟持部24に対する単電池2の連結強度が向上し、耐振性と耐衝撃性が向上する。
【0034】
本実施形態では、図4Aに示すように隣接する単電池2間で長手方向Lが実質的に互いに平行となる平行配置で、7個の単電池2が配置されている。隣接する単電池2の間の間隔を図4Aから均一に拡大した配置(図4B)へ変更する場合について説明する。かかる単電池2の配置の変更には、上挟持部23の上貫通孔23aの位置の変更と下挟持部24の下貫通孔24bの位置の変更とが必要である。つまり、単電池2の間の間隔の拡大に対応して、図1において左右方向について、隣接する上貫通孔23a間の間隔と、隣接する下貫通孔24b間の間隔を拡大する必要がある。しかし、個々の単電池2に装着される上キャップ21と下キャップ22の形状については変更する必要がない。樹脂製の上キャップ21と下キャップ22の形状を変更するには成型用の金型の新たな製作が必要であるが、上挟持部23と下挟持部24は金属板をプレス成形等で成形したものであるので、上貫通孔23aや下貫通孔24bの間隔の変更のために金型を新たに製作する必要はない。
【0035】
図4Aに示す配置から図4Cに示すように左端から4個目と5個目の単電池2間の間隔のみを拡げた配置に変更する場合も、上挟持部23の上貫通孔23aの位置と下挟持部24の下貫通孔24bの位置を変更すればよく、上キャップ21と下キャップ22の形状については何らの変更も必要がない。
【0036】
第1実施形態の組電池1において単電池2の数を増減する場合には、それに応じて上挟持部23の上貫通孔23aの位置と下挟持部24の下貫通孔24bを増減すればよく、上キャップ21と下キャップ22の形状については何らの変更も必要がない。
【0037】
(第2実施形態)
図10から図13Aは、本発明の第2実施形態に係る組電池1を示す。この組電池1は第1実施形態のものと同じ角型の単電池2を8個備える。具体的には、単電池2が4個ずつ2列に配置されている。図13Aに示すように、左下隅の単電池2から左上隅の単電池2まで、個々の単電池2の外部端子7A,7Bがバスバー8により同一又は異なる列の隣接する他の単電池2の外部端子7A,7Bに接続されており、8個の単電池2が直列に接続されている。
【0038】
8個の単電池2の配置についてより具体的に説明する。まず、これらの単電池2は平行配置(互いに隣接する2個の単電池2の電池容器3の長手方向Lが実質的に互いに平行となる配置)で4個ずつ一列に配置されている。また、異なる列に属する互いに隣接する2個の単電池2(図13Aにおいて左右方向に隣接する2個の単電池2)は、蓋体5側(外部端子7A,7Bが設けられている側)から見たときに、電池容器3の長手方向Lが実質的に直線状に配置される配置(直線配置)で配置されている。
【0039】
図13Aに示す配置を図13Bに示すように隣接する単電池2の間の間隔を均一に拡大した配置に変更する場合、上挟持部23の上貫通孔23aの位置の変更と下挟持部24の下貫通孔24bの位置の変更とが必要である。つまり、単電池2の間において上下左右の方向の間隔の拡大に対応して、上挟持部23の上貫通孔23aと下挟持部24の下貫通孔24bについて上下左右の方向の間隔を拡大する必要がある。しかし、個々の単電池2に装着される上キャップ21と下キャップ22の形状については変更する必要がない。
【0040】
図13Aに示す配置から図13Cに示すように各列の図において上から2個目と3個目の単電池2間の間隔を拡げた配置に変更する場合も、上挟持部23の上貫通孔23aの位置と下挟持部24の下貫通孔24bの位置を変更すればよく、上キャップ21と下キャップ22の形状については何らの変更も必要がない。
【0041】
第2実施形態のその他の構成及び作用は第1実施形態と同様であるので、同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
(第3実施形態)
図14は本発明の第3実施形態に係る組電池1を示す。この組電池1は第1実施形態のものと同じ角型の単電池2を3個備える。本実施形態の組電池1の図14に図示していない他の構造については、第1実施形態と同様である。3個の単電池2のうち図において中央の単電池2と左側の単電池2とは、蓋体5側から見たときに電池容器3の長手方向Lが互いに交差(この例では実質的に直交)する配置(交差配置)で配置されている。同様に、中央の単電池2と右側の単電池2も交差配置で配置されている。
【0043】
第3実施形態のその他の構成及び作用は第1実施形態と同様であるので、同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
図15は、第1実施形態の組電池1の変形例であり、図において右端の2個の単電池2を平行配置から交差配置に変更している。同様に、図16は第2実施形態の組電池1の変形例であり、図において下側の2個の単電池2を直線配置から交差配置に変更している。このような平行配置又は直線配置から交差配置への変更も、上挟持部23の上貫通孔23aの位置と下挟持部24の下貫通孔24bの位置の設定で実現でき、個々の単電池2に装着される上キャップ21と下キャップ22の形状を変更する必要はない。
【0045】
組電池1は上挟持部23と下挟持部24で上キャップ21と下キャップ22を介して7個の単電池2を挟み込んで保持する構成としている。そのため、第1から第3実施形態からも明らかなように、単電池2の個数や配置(平行配置、直線配置、交差配置)は、金属板をプレス成形したものであって比較的に安価に製作できる上挟持部23と下挟持部24の上貫通孔23aと下貫通孔24bの位置により、自由に設定できる。そして、単電池2の個数や配置を変更する場合でも、高価な樹脂成形のための金型の新たな製作が必要となる上キャップ21と下キャップ22の形状は変更は必要がない。これらの点で、組電池1は単電池の配置について高い自由度が得られ、少量多品種生産を安価で実現できる。
【0046】
本実施形態における上挟持部23と下挟持部24一体構造であるが、上キャップ21と下キャップ22を介して単電池2を挟み込んで確実に保持できる限り、複数の部材で構成されていてもよい。同様に、側部25,26も上挟持部23と下挟持部24を単電池2を挟み込んで保持状態で保持できる限り、複数の部材で構成されてもよく、ねじ止め以外の手段で上挟持部23と下挟持部24に連結してもよい。さらに、側部25,26の一方又は両方を上挟持部23や下挟持部24と一体構造としてもよい。要するに、上キャップ21と下キャップ22を介して単電池2を挟み込んで確実に保持できる限り、上挟持部23、下挟持部24、及び側部25,26の具体的な構成は特に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 組電池
2 単電池
3 電池容器
3a 底壁
3b,3c 長側壁
3d,3e 短側壁
4 発電要素
5 蓋体
7A,7B 外部端子
7a 軸部
8 バスバー
8a 貫通孔
9A,9B パッキン
10A,10B 接続杆
10a 検査用端子部
10b ねじ孔
11 ナット
12 リベット
20 保持構造
21 上キャップ
21a 頂壁部
21b 前壁部
21c 後壁部
21d,21e 側壁部
21f リブ構造
21g,21h 角隅部
22 下キャップ
22a 底壁部
22b,22c,22d,22e 側壁部
23 上挟持部
23a 上貫通孔
23b,23c モジュール開口部
24 下挟持部
24a 通気開口
24b 下貫通孔
25,26 側部
27 上凸部
27a 円柱状部
27b テーパ状部
27c 先端面
28 検査用貫通孔
29A,29B,29C バスバー開口部
31 端子開口部
32 保護部
33A,33B リブ
35 下凸部
36A,36B 端子保護カバー
37 監視装置
L 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池と、
個々の前記単電池の外部端子を備える一方の端部側に装着された第1のキャップと、
前記単電池の前記外部端子を備える前記一方の端部側に配置された第1の挟持部と、
前記単電池の他方の端部側に配置された第2の挟持部と
を備え、
前記第1の挟持部は前記第1のキャップを介して前記複数の単電池を挟み込むことによって、前記第1及び第2の挟持部の間に前記複数の単電池を挟み込んで保持し、かつ前記第1のキャップが前記第1の挟持部に嵌合する組電池。
【請求項2】
前記第1のキャップが第1の凸部を備え、前記第1の挟持部が前記第1の凸部が嵌合する第1の凹部を備える、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
複数の単電池と、
個々の前記単電池の外部端子を備える一方の端部側に配置された第1の挟持部と、
個々の前記単電池の前記一方の端部側とは反対の他方の端部側に装着された第2のキャップと、
前記単電池の前記他方の端部側に配置された第2の挟持部と
を備え、
前記第2の挟持部は前記第2のキャップを介して前記複数の単電池を挟み込むことによって、前記第1及び第2の挟持部の間に前記複数の単電池を挟み込んで保持し、かつ前記第2のキャップが前記第2の挟持部に嵌合する組電池。
【請求項4】
前記第2のキャップが第2の凸部を備え、前記第2の挟持部が前記第2の凸部が嵌合する第2の凹部を備える、請求項3に記載の組電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図13C】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−227176(P2012−227176A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185731(P2012−185731)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2011−70568(P2011−70568)の分割
【原出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】