説明

組電池

【課題】積層された複数の電池モジュール2,2の冷却効率を向上させるとともに、その電池モジュール2の組立の作業性を向上させることができる組電池1を提供する。
【解決手段】リード端子によって互いに電気的に接続された複数のセルがケース15A,15Bの内部に収容されて構成された複数の電池モジュール2を積層して構成された組電池1において、電池モジュール2は、蓋体15Bと本体部15Aとを連結する支柱部材11Aを備え、支柱部材11Aは、積層されて互いに隣接する一方の電池モジュール2と、一方の電池モジュール2に積層される他方の電池モジュール2との間に隙間21を形成するように、蓋体15Bと本体部15Aとのいずれか一方から突出して形成された突出部11Bを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケースの内部に収納された複数の単電池(セル)同士を接続して構成された電池モジュールを電気的に接続し、かつそれらの電池モジュールを積層して構成された組電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平板型などの各種の形状のセルが開発されており、それに伴いセルを単独で使用せずに、複数個をユニット化して取り扱うようになってきている。例えば特許文献1には、平板状もしくはシート状をなす複数のセルを積層して形成されたセルユニットをケースの内部に収容して電池モジュールを形成し、その電池モジュールを積層して組電池を構成することが記載されている。なお、特許文献1に記載された組電池は、積層された電池モジュールをロアケースと拘束板とによって挟持するように構成されており、そのため、各電池モジュールに作用する荷重を受けるためのスペーサを、各電池モジュール同士の間に配置するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−103344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように特許文献1に記載された組電池は、複数のセルをユニット化して積層して電池モジュールを構成しているので、その電池モジュールは電力を出力もしくは入力することによって温度が上昇してしまう。また、特許文献1に記載された組電池は、電池モジュールを積層して構成されているので、各電池モジュールで発生した熱によって、より温度が上昇してしまう。従来知られているように、電池は温度が上昇すると性能が低下したり耐久性が低下したりするので、特許文献1に記載されたように複数のセルをユニット化した電池モジュールを積層して組電池を構成する場合には、それらの電池モジュールを冷却する必要性がある。また、電池モジュールをその電池モジュールの厚み方向に積層するときに、各電池モジュール同士の間にスペーサを挿入するため、組立の作業性が低下してしまう可能性がある。
【0005】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、積層された複数の電池モジュールの冷却効率を向上させるとともに、その電池モジュールの組立の作業性を向上させることができる組電池を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、リード端子によって互いに電気的に接続された複数のセルがケースの内部に収容されて構成された複数の電池モジュールを積層して構成された組電池において、前記ケースは、前記複数の電池モジュールが積層される方向の一方に形成された蓋体と、他方に形成された本体部とを有し、前記電池モジュールは、前記蓋体と前記本体部とを連結する支柱部材を備え、前記支柱部材は、積層されて互いに隣接する一方の電池モジュールと、該一方の電池モジュールに積層される他方の電池モジュールとの間に隙間を形成するように、前記蓋体と前記本体部とのいずれか一方から突出して形成された突出部を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記支柱部材は、前記蓋体と前記本体部との他方から突出して形成された他の突出部を備えていることを特徴とする組電池ものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記電池モジュールは、前記複数のセルが固定され、前記支柱部材によって前記蓋体と前記本体部とのいずれか一方と連結される固定部材を更に備えていることを特徴とする組電池である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、複数のセルが収容されたケースは、複数の電池モジュールが積層される方向の一方に形成される蓋体と、他方に形成される本体部とを有し、その電池モジュールは、蓋体と本体部とを連結する支柱部材を備えているので、その支柱部材によって圧縮荷重を受けることができ、その結果、セルに偏荷重が作用することを抑制もしくは防止することができる。また、支柱部材は、積層されて互いに隣接する一方の電池モジュールと、その一方の電池モジュールに積層される他方の電池モジュールとの間に隙間を形成するように、蓋体と本体部とのいずれか一方から突出して形成された突出部を備えているので、一方の電池モジュールに他方の電池モジュールが積層される際に、その突出部が他方の電池モジュールと当接して、一方の電池モジュールと他方の電池モジュールとの間に隙間を形成することができる。そのため、電力が出力もしくは入力されることにより発生する熱により昇温した電池モジュールを、その隙間に空気を流動させることによって冷却することができ、その結果、電池モジュールの性能や耐久性の低下を抑制もしくは防止することができる。また、他方の電池モジュールが積層されることによる圧縮荷重を突出部によって受けることができるので、セルおよびケースに偏荷重が作用することを抑制もしくは防止することができる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、支柱部材は、蓋体と本体部との他方から突出して形成された他の突出部を備えているので、各電池モジュールを積層すると、一方の電池モジュールの突出部と他方の電池モジュールの他の突出部とが接触する。したがって、セルやケースに偏荷重が作用することを抑制もしくは防止することができるとともに、突出部および他の突出部の突出量を小さくすることができる。
【0011】
そして、請求項3の発明によれば、電池モジュールは、複数のセルが固定され、支柱部材によって蓋体と本体部とのいずれか一方と連結される固定部材を備えている。したがって、支柱部材は、蓋体、本体部、セルを含む固定部材を連結することができるとともに、積層される電池モジュールから作用する偏荷重を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る組電池の構成の一例を説明するための断面図であり、図7におけるI-I断面を示したものである。
【図2】図7におけるII-II断面を示す断面図である。
【図3】その斜視図である。
【図4】その組電池の対象とすることのできる電池モジュールの構成の一例を示す分解斜視図である。
【図5】その電池モジュールに利用することのできる基板ホルダを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】その電池モジュールに利用することのできるリードホルダを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】そのケースにおける本体部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎにこの発明に係る組電池の構成の一例について説明する。この発明に係る組電池1は、図3に示すように複数の電池モジュール2,2が積層して構成されている。図4は、その電池モジュール2の構成を説明するための分解斜視図であり、この電池モジュール2は、平板状もしくは扁平状(以下、これらを単に平板状という)のセルを容器の内部に収納し、かつコネクタCを介在させて積層もしくは配列することにより相互に導通できるように構成されている。図4に示す例は、2枚のセル3A,3Bをケースの内部に収納して構成した電池モジュール2の例であり、各セル3A,3Bは矩形もしくは方形の平板状に形成されており、その所定の一つの辺に相当する側縁部に、アルミや銅などの薄い金属片からなる正極のリード端子4A,4Bおよび負極のリード端子5A,5Bが突出した状態に設けられている。なお、図4における上側のセル3Aにおける各リード端子4A,5Aは、先端部が幾分、図4での下側になるようにクランク状に屈曲しており、また図4における下側のセル3Bにおける各リード端子4B,5Bは、先端部が幾分、図4での上側になるようにクランク状に屈曲している。
【0014】
上記のセル3A,3Bの間には、これらのセル3A,3Bに挟み込まれた状態に配置されるサポートプレート6が設けられている。サポートプレート6は上記のセル3A,3Bの一方の面とほぼ等しい面積、あるいはそれより広い面積の平板状の部分6Aと、その平板状の部分6Aにおける対向する二辺側に設けられた複数の台座部6B,6C,6Dとを備えている。なお、以下の説明では、これらの台座部6B,6C,6Dを、順に、第一台座部6B、第二台座部6C、第三台座部6Dとする。これらの台座部6B,6C,6Dのうち、セル3A,3Bにおける前記リード端子4A,5A,4B,5Bが形成されている側縁とは反対側の側縁に近い第一台座部6Bは、平板状の部分6Aの一つの側縁の全長に亘って形成され、この第一台座部6Bは、平板状の部分6Aに対してその一方の面側(図4の下面側)にオフセットしている。すなわち、平板状の部分6Aに対してクランク状に折り曲げられている。また、この第一台座部6Bの長手方向の両端部に比較的大径の固定孔7が形成され、これに近接して小径のピン孔8が形成されている。
【0015】
平板状の部分6Aの上記の第一台座部6Bとは反対側の側縁における各端部に幅(もしくは長さ)の小さい第二台座部6Cがそれぞれ形成されており、これらの第二台座部6Cには上記の固定孔7およびピン孔8と同様の固定孔7およびピン孔8が形成されている。また、これらの第二台座部6Cは、上記の長い第一台座部6Bと同様に平板状の部分6Aに対してその一方の面側(図4の下面側)にオフセットしている。すなわち、平板状の部分6Aに対してクランク状に折り曲げられている。
【0016】
さらに、平板状の部分6Aの周縁部のうち上記の長短(大小)の第一および第二台座部6B,6Cが形成されていない一対の側縁部は、一方の面側(図4の下側)に折り曲げられている。その折り曲げ幅(深さ)は、セル3A,3Bの厚さ以下であって、セル3A,3Bの側面が引っ掛かる程度である。したがって、サポートプレート6は、上記の各台座部6B,6Cが平板状の部分6Aに対してクランク状に屈曲し、これ以外の側縁部が上記のように折り曲げられていることにより、全体として深さの浅い箱形になっている。その深さは、一つのセル3Bの厚さ程度であって、セル3Bを前後左右に相対的に移動しないようにその箱形の部分に嵌め込むことができるようになっている。また、箱形にすることにより、平板状の部分6Aに対して垂直ないわゆる壁部が形成されるので、サポートプレート6の全体としての剛性が高くなって撓みなどの変形が生じにくくなっている。なお、このような剛性の向上のためには、上記のような箱形に構成する以外に、平板状の部分6Aのいずれかの箇所にビードもしくはリブを形成してよい。
【0017】
上記の一対のいわゆる小さい第二台座部6Cの間に、前記正負のリード端子4A,5A(もしくは4B,5B)の間隔より小さい幅(もしくは長さ)の第三台座部6Dが形成されている。この第三台座部6Dは、平板状の部分6Aに対して屈曲せずに平板状の部分6Aを延長した板状の部分であり、後述するバスバー9A,9Bを固定するための部分である。したがって、この第三台座部6Dには、バスバー9A,9Bを取り付けるための複数の取り付け孔が形成されている。
【0018】
図4に示す電池モジュール2は、マイクロコンピュータやセンサ、それらを接続しているFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)やFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)などからなる基板10を備えている。この基板10は、上述した第一台座部6Bの幅と同程度の幅の細長い部材であって、信号を授受するポート部10Aがその中央部に設けられている。また、この基板10を上記のサポートプレート6に取り付けるための基板ホルダ11が設けられている。基板ホルダ11は、前述した第一台座部6Bに載せられて固定されるように、第一台座部6Bと同程度の幅の細長い部材であり、図5に示すように、その両端部には中空の円柱部11Aがそれぞれ一体に形成されている。また、基板ホルダ11は、樹脂材料によって形成されており、円柱部11Aには、その円柱部11Aの強度を向上させるための円筒状の金属部材11Fがインサート成形によって一体に形成されている。これらの円柱部11Aの間隔は、前述した第一台座部6Bに形成されている二つの固定孔7の間隔と同じである。また、各円柱部11Aは、上記固定孔7の内径より外径が大きく形成されており、円柱部11Aの高さ(長さ)は、後述するケースによって挟み付けられる程度の高さ(長さ)、つまり、ケースの厚み方向の空間の長さから第一台座部6Bの板厚を引いた分の高さ(長さ)に形成されている。その円柱部11Aの上下両端には、上記の固定孔7の内径とほぼ等しい外径でかつ第一台座部6Bとケースを形成している金属板との板厚を合わせた高さ(長さ)以上もしくはケースを形成している金属板の板厚以上の突出部11Bが形成されている。具体的には、図5(b)に示す左側に突出した突出部11Bの長さが、ケースを形成している金属板の板厚以上に形成され、右側に突出した突出部11Bの長さが、第一台座部6Bとケースを形成する金属板との板厚を合わせた高さ(長さ)以上に形成されている。
【0019】
この突出部11Bを固定孔7に嵌合させることにより、基板ホルダ11と第一台座部6Bもしくはケースとを連結し、かつ上下の突出部11Bに嵌合させられている部材の間隔を保持するようになっている。なお、各円柱部11Aの近傍には、前述したピン孔8と位置および径が一致するピン孔11Cが形成されている。さらに、基板ホルダ11の適宜な位置に、基板10を取り付けるためのピン11Dが設けられ、また長手方向の中央部には、基板10を挟み込む一対の板片からなる挟持部11Eが設けられている。
【0020】
ここで、バスバー9A,9Bについて説明すると、各セル3A,3Bのリード端子4A,4B,5A,5Bを外部に導通させるためのものであって、矩形断面の棒状材であり、その表面は絶縁処理され、一方の端部にアルミや銅などからなる導電性の端子12A,12Bが長手方向に突出して設けられている。また、バスバー9A,9Bの中心部には、上記の端子12A,12Bに導通したコネクタ(図示せず)が内部に露出して設けられたコネクタ孔13A,13Bが設けられている。なお、一方のバスバー9Aが正極で、他方のバスバー9Bが負極とされ、したがって一方のバスバー9Aにおける端子12Aが、各セル3A,3Bにおける正側のリード端子4A,4Bに挟み込まれ、他方のバスバー9Bにおける端子12Bが、各セル3A,3Bにおける負側のリード端子5A,5Bに挟み込まれるように構成されている。
【0021】
これらのバスバー9A,9Bが設けられている側でサポートプレート6をケースに対して固定するリードホルダ14が設けられている。そのリードホルダ14の一例を図6に示してあり、ここに挙げてあるリードホルダ14は両端部に中空の円柱部14Aが一体化されている細長い部材であって、その円柱部14Aは前述した基板ホルダ11における円柱部11Aと同様の形状に構成されている。すなわち、円柱部14Aは、円柱部14Aの強度を向上させるための円筒状の金属部材14Fがインサート成形によって一体に形成され、その円柱部14Aの間隔は、前述した第二台座部6Cに形成されている二つの固定孔7の間隔と同じである。また、各円柱部14Aは、上記固定孔7の内径より外径が大きく形成されており、円柱部14Aの高さ(長さ)は、ケースによって挟み付けられる程度の高さ(長さ)、つまり、ケースの厚み方向の空間の長さから第二台座部6Cの板厚を引いた分の高さ(長さ)に形成されている。その円柱部14Aの上下両端部には、上記の固定孔7の内径とほぼ等しい外径でかつ第二台座部6Cとケースを形成している金属板との板厚を合わせた高さ(長さ)以上もしくはケースを形成している金属板の板厚以上の突出部14Bが形成されている。具体的には、図6(b)に示す左側に突出した突出部14Bの長さが、ケースを形成している金属板の板厚以上に形成され、右側に突出した突出部14Bの長さが、第二台座部6Cとケースを形成する金属板との板厚を合わせた高さ(長さ)以上に形成されている。
【0022】
この突出部14Bを固定孔7に嵌合させることにより、リードホルダ14と第二台座部6Cもしくはケースとを連結し、かつ上下の突出部14Bに嵌合させられている部材の間隔を保持するようになっている。なお、各円柱部14Aの近傍には、前述したピン孔8と位置および径が一致するピン孔14Cが形成されている。
【0023】
上記のセル3A,3Bやサポートプレート6などを収容するケースは、薄い(浅い)凹断面形状のいわゆる本体部15Aと、その開口端に取り付けられて閉鎖する蓋体15Bとから構成されている。これら本体部15Aと蓋体15Bとは、上記のサポートプレート6の輪郭程度もしくはそれより幾分大きい内法をもった矩形もしくは方形に形成されており、本体部15Aおよび蓋体15Bにおける四つのコーナ部で前記サポートプレート6の第一および第二の台座部6B,6Cにおける各固定孔7に対応する位置に、各固定孔7と同様の固定孔16が形成されている。図7は本体部15Aの平面図である。また、本体部15Aにおけるこれらの固定孔16に隣接する位置で前記サポートプレート6の第一および第二の台座部6B,6Cにおける各ピン孔8に対応する位置に、各ピン孔8と同様のピン孔17が形成されている。さらに、本体部15Aには、前述した一方のバスバー9Bにおけるコネクタ孔13Bに対応してこのコネクタ孔13Bより大径のコネクタ窓孔18Aが形成されている。これと同様にこの蓋体15Bには、前述した他方のバスバー9Aにおけるコネクタ孔13Aに対応してこのコネクタ孔13Aより大径のコネクタ窓孔18Bが形成されている。さらに、本体部15Aおよび蓋体15Bのそれぞれには、前述したポート部10Aを外部に対して開口させるポート孔19A,19Bが、前記ポート部10Aに対応する箇所に形成されている。
【0024】
上記の電池モジュール2は、前記本体部15Aにセル3A,3Bやサポートプレート6などを図4に示す順序で配列して収容し、その本体部15Aを蓋体15Bによって閉じることにより構成される。その組み立ての順序は任意であるが、例えばサポートプレート6に他の各部材を取り付け、そのユニット化されたものを本体部15Aに入れて蓋体15Bによって閉じればよい。先ず、サポートプレート6における第三台座部6Dに上下のバスバー9A,9Bを取り付ける。その場合、それぞれの端子12A,12Bが対応する極側のリード端子4A,5A,4B,5B側に延びているように向きを定めて取り付ける。なお、その取付は、上下のバスバー9A,9Bに形成されているピンを第三台座部6Dに貫通孔を通して互いに嵌合させることにより行えば良く、あるいはネジ止めや接着などの方法を採用してもよい。
【0025】
ついで、サポートプレート6の上下のそれぞれにセル3A,3Bを組み付ける。その場合、サポートプレート6が前述したように浅い箱状に構成されているので、図4での下側のセル3Bはその内部に嵌め込まれることになる。このセル3Bは両面テープなどの粘着材を介してサポートプレート6の下面に貼り付けてもよい。また、図4での上側のセル3Aはサポートプレート6の上面に載せられるが、その場合、粘着材を介してサポートプレート6の図4での上面に貼り付けてもよい。サポートプレート6の上下両面にセル3A,3Bを配置することにより、正極のリード端子4A,4Bが正極側のバスバー9Aの端子12Aを挟み付けて電気的に導通し、また負極のリード端子5A,5Bが負極側のバスバー9Bの端子12Bを挟み付けて電気的に導通する。なお、電気的な導通を確実にするためにハンダ付け、レーザー溶接、超音波接合などにより連結もしくは結合されていてもよい。
【0026】
セル3A,3Bおよびバスバー9A,9Bが上記のように組み付けられたサポートプレート6をケースを構成している前記本体部15Aの内部に嵌め込むと、第一台座部6Bおよび第二台座部6Cにそれぞれ形成されている固定孔7が、本体部15Aに形成されている固定孔16に一致し、またピン孔8が本体部15Aに形成されているピン孔17に一致する。この状態で第一台座部6Bの上に基板ホルダ11を載せると、その両端部に形成されている円柱部11Aにおける突出部11Bがサポートプレート6の固定孔7および本体部15Aの固定孔16に嵌合してこれらが連結される。
【0027】
また同様に、第二台座部6Cの上にリードホルダ14を載せると、その両端部に形成されている円柱部14Aにおける突出部14Bがサポートプレート6の固定孔7および本体部15Aの固定孔16に嵌合してこれらが連結される。そして、本体部15Aの図4における底面側からピン孔17に固定ピン20を挿入すると、その先端部は各ホルダ11,14におけるピン孔11C,14Cまで到り、したがってその先端部をカシメルなどによりサポートプレート6が各ホルダ11,14を介して本体部15Aに固定される。このようにして固定された基板ホルダ11に基板10を載せると、基板ホルダ11におけるピン11Dや挟持部11Eに基板10が係合し、基板10が基板ホルダ11によって保持される。なお、図4における下側のバスバー9Bにおけるコネクタ孔13Bが本体部15Aに形成されているコネクタ窓孔17Aを介して外部に開口する。また同様に、基板10におけるポート部10Aが、本体部15Aに形成されているポート孔19Aを介して外部に開口している。
【0028】
上記のようにして各セル3A,3Bやサポートプレート6などを本体部15Aに納めた状態で、本体部15Aに対する向きを整えた状態で蓋体15Bを本体部15Aの開口端に被せると、蓋体15Bが本体部15Aの開口端に嵌り込むとともに、前述した各円柱部11A,14Aにおける突出部11B,14Bが蓋体15Bに形成されている固定孔16と嵌合し、両者が連結される。また、図4における上側のバスバー9Aにおけるコネクタ孔13Aが蓋体15Bに形成されているコネクタ窓孔18Bを介して外部に開口し、同様に、基板10におけるポート部10Aが、蓋体15Bに形成されているポート孔19Bを介して外部に開口する。なお、蓋体15Bの周縁と本体部15Aの側壁面の端部とを巻き締めや溶接などによって強固に連結してもよい。
【0029】
上述したように電池モジュール2を構成することによって、その電池モジュール2の表裏両面には突出部11B,14Bが突出した状態となる。そして、電池モジュール2を複数積層して上記円柱部11A,14Aにシャフトやボルト(図示せず)を通すことによって各電池モジュール2,2を挟持して組電池1を形成すると、図1や図2に示すように、各電池モジュール2,2から突出した突出部11B,14Bが接触して積層される。したがって、各電池モジュール2,2から突出部11B,14Bが突出した量に応じて、互いに隣接する一方の電池モジュール2の蓋体15Bの上面と、他方の電池モジュール2の本体部15Aの下面とに隙間21が形成される。なお、図1は図7におけるI-I断面図、図2は図7におけるII-II断面図を示す。そのため、この隙間21に空気を流動させることができるので、各電池モジュール2を冷却することができ、その結果、各電池モジュール2,2の性能や耐久性の低下を抑制もしくは防止することができる。また、ワッシャなどの他の部材を要せずに、上記隙間21を形成することができるので、部品点数を低減することができるとともに、組電池1の組立の作業性を向上させることができる。さらに、各電池モジュール2,2を積層して挟持する際に、各電池モジュール2,2に作用する圧縮荷重を突出部11B,14Bが受けるので、ケースに作用する偏荷重を低下させることができ、その結果、各セル3A,3Bがケースによって圧縮されてしまうことを抑制もしくは防止することができる。
【0030】
なお、上述した構成では、突出部11B,14Bが各電池モジュールの両面に突出するように構成されているが、この発明に係る組電池は、各電池モジュールの間に隙間を形成することができればよいので、電池モジュール2の上下いずれか一方の面から各突出部11B,14Bが突出するように構成されたものであってもよい。また、一方の突出部11B(14B)の端面に更に外径の小さい突起部を形成し、その突起部と嵌合する凹部を他方の突出部14B(11B)の端面に形成してもよい。さらに、上述したように上下両端に突出した突出部11B(14B)を形成することによって、それら突出部11B(14B)によって圧縮荷重を受けることができるが、特にこれに限定されず、突出部11B(14B)が他の電池モジュールの下面もしくは上面に接触するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…組電池、 2…電池モジュール、 3A,3B…セル、 4A,4B…正極のリード端子、 5A,5B…負極のリード端子、 11B,14B…突出部、 15A…本体部、 15B…蓋体、21…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード端子によって互いに電気的に接続された複数のセルがケースの内部に収容されて構成された複数の電池モジュールを積層して構成された組電池において、
前記ケースは、前記複数の電池モジュールが積層される方向の一方に形成された蓋体と、他方に形成された本体部とを有し、
前記電池モジュールは、前記蓋体と前記本体部とを連結する支柱部材を備え、
前記支柱部材は、積層されて互いに隣接する一方の電池モジュールと、該一方の電池モジュールに積層される他方の電池モジュールとの間に隙間を形成するように、前記蓋体と前記本体部とのいずれか一方から突出して形成された突出部を備えていることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記支柱部材は、前記蓋体と前記本体部との他方から突出して形成された他の突出部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記電池モジュールは、前記複数のセルが固定され、前記支柱部材によって前記蓋体と前記本体部とのいずれか一方と連結される固定部材を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37912(P2013−37912A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173421(P2011−173421)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】