説明

絆創膏及び患者情報を管理する方法

糊の付いた裏面を有する薄いシートと、無線送信機と、患者識別子を保存し、測定閾値、バイタルサイン測定値、治療データを含む患者データを保存するための、無線送信機と結合させたメモリユニットと、バイタルサインを監視し、バイタルサイン測定値を生成するための、メモリユニットに結合させたモニタと、要求された患者データの取得要求を受信するための無線受信機と、バイタルサイン測定値が関連測定閾値に到達した場合に警報を生成するための、メモリユニットと結合させた警報生成器と、無線送信機で要求された患者データ及び患者識別子を送信するか否かを決定し、無線送信機で警報及び患者識別子を送信するか否かを決定するための、無線送信機、無線受信機、メモリユニットに結合させたプロセッサと、を含む絆創膏であって、プロセッサ、警報生成器、無線送信機、メモリ、モニタ、メモリユニット、無線受信機の中から少なくとも1つの構成要素を、薄いシートに接続する絆創膏。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絆創膏及び患者情報を管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全て参照により本明細書に取り込む以下の米国特許公報では、無線でバイタルサインを監視する健康監視装置について記載している。:米国特許出願第2008/0221419号(特許文献1)、米国特許出願第2008/0249379号(特許文献2)、米国特許出願第2008/0275321号(特許文献3)、米国特許出願第2008/0287800号(特許文献4)、米国特許出願第2009/0048518号(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第2008/0221419号
【特許文献2】米国特許出願第2008/0249379号
【特許文献3】米国特許出願第2008/0275321号
【特許文献4】米国特許出願第2008/0287800号
【特許文献5】米国特許出願第2009/0048518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者を入院させると、患者の個人情報を保持するファイルを開く必要が生じる。そうした情報は、病院の電子カルテ(EMR:Electronic medical record)に保管される。患者の情報が書かれたブレスレットが、患者の手に取着され、入院期間中、患者を識別するのに使用される。
【0005】
入院中、患者は、時折部屋に入る看護師によって監視される。問題が発生した場合、遅滞なく発見されない可能性があり、発見が遅れることで健康被害や、死に繋がる可能性さえある。
【0006】
医療部門によっては、患者は絶えず監視装置で監視されるが、この種の監視では、患者に有線装置を取着する必要があることが多く、患者にとって不便で、不快感を与えてしまう。患者がベッドから起き上がりたい場合、患者が配線を外して、非監視状態になることもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、絆創膏を提供する。絆創膏は、糊の付いた裏面を有する薄いシートと、無線送信機と、患者識別子を保存し、測定閾値、バイタルサイン測定値、治療データを含む患者データを保存するための、無線送信機と結合させたメモリユニットと、バイタルサインを監視し、バイタルサイン測定値を生成するための、メモリユニットに結合させたモニタと、要求された患者データの取得要求を受信する無線受信機と、バイタルサイン測定値が関連測定閾値に到達した場合に警報を生成するための、メモリユニットと結合させた警報生成器と、無線送信機によって、要求患者データ及び患者識別子を送信するか否かを決定し、無線送信機によって、警報及び患者識別子を送信するか否かを決定するための、無線送信機、無線受信機、メモリユニットに結合させたプロセッサと、を含むことができる。プロセッサ、警報生成器、無線送信機、メモリ、モニタ、メモリユニット、無線受信機の中から少なくとも1つの構成要素を、薄いシートに接続する。
【0008】
モニタは、バイタルサインを測定するための小型センサを含むことができる。
【0009】
無線受信機を、外部装置から更なるバイタルサイン測定値を受信し、更なるバイタルサイン測定値を警報生成器に転送するように、構成できる。
【0010】
プロセッサを、警報生成器による複数の連続した警報生成の発生に基づいて、警報及び患者識別子を送信するか否かを決定するように、配設できる。
【0011】
無線受信機を、患者データを受信するように構成し、プロセッサを、メモリユニットの患者データの少なくとも一部を保存するか否かを決定するように構成できる。
【0012】
無線受信機を、患者データを受信するように構成し、プロセッサを、無線送信機を介して外部データベースに患者データを送るか否かを決定するように構成できる。
【0013】
プロセッサを、メモリユニットから要求された患者データを検索するか、又は、無線送信機を介して外部データベースから患者データを取得する第2要求を送るかを決定するように構成できる。
【0014】
無線受信機を、外部データベースから第2患者データ要求に対する応答を受信するように構成でき、プロセッサを、応答に含まれる患者識別子が、メモリユニットに保存された患者識別子と相関するか否かを決定するように構成できる。
【0015】
絆創膏は、電源を含むことができる。
【0016】
無線受信機及び無線送信機を、短距離無線周波数伝送を使用するように配設できる。
【0017】
無線受信機及び無線送信機を、ブルートゥース伝送を使用するように配設できる。
【0018】
無線受信機及び無線送信機を、赤外線伝送を使用するように配設できる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、方法を提供する。該方法は:患者に絆創膏を取着し、該絆創膏は、糊の付いた裏面を有する薄いシートと、無線送信機と、メモリユニットと、モニタと、無線受信機と、警報生成器と、プロセッサとを備え、プロセッサ、警報生成器、無線送信機、メモリ、モニタ、メモリユニット、無線受信機の中から少なくとも1つの構成要素を、薄いシートに接続し;メモリユニットに患者識別子及び患者データを保存し、患者データは、測定閾値、バイタルサイン測定値、治療データを含み;モニタによって、バイタルサインを監視し、バイタルサイン測定値を生成し;警報生成器によって、バイタルサイン測定値が関連測定閾値に到達した場合に、警報を生成し;プロセッサによって、警報及び患者識別子を送信するか否かを決定し;プロセッサによって、警報及び患者識別子を送信することを決定した場合、警報及び患者識別子を送信し;無線受信機によって、要求された患者データの取得要求を受信し;プロセッサによって、要求された患者データ及び患者識別子を送信するか否かを決定し;要求された患者データ及び患者識別子を送信することを決定した場合に、要求された患者データ及び患者識別子を送信することを含む。
【0020】
警報及び患者識別子を送信するか否かの決定を、複数の連続した警報生成の発生に対応させることができる。
【0021】
本方法は、患者データを受信し、メモリユニットの患者データの少なくとも一部を保存するか否かを決定することを含むことができる。
【0022】
本方法は、患者データを受信し、外部データベースに患者データを送るか否かを決定することを含むことができる。
【0023】
本方法は、メモリユニットから要求された患者データを検索するか、又は、外部データベースから患者データを取得する第2要求を送るかを決定することを含むことができる。
【0024】
本方法は、外部データベースからの第2患者データ要求に対する応答を受信し、応答で示された患者識別子が、メモリユニットに保存された患者識別子と相関するか否かを決定することを含むことができる。
【0025】
本方法は、体温、心拍動、1誘導心電図測定値、酸素飽和度、血圧から成るリストから選択されるバイタルサインを監視することを含むことができる。
【0026】
本発明とされる主題について、明細書の結論部分で特に指摘し、明確に権利を主張するものである。しかしながら、本発明について、以下の詳細な説明を、添付図を参照しながら読むと、本発明の目的、特徴及び効果と共に、構成と作動方法に関して、最も良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、絆創膏の外部コンピュータとのインタフェースについて説明している。
【図2】図2は、本発明の実施形態による、絆創膏のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態による、絆創膏の略ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態による、人体に取着した絆創膏について示している。
【図5】図5は、本発明の実施形態による、患者データを管理する方法に関するフローチャートを図式的に示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、患者データを管理する方法に関するフローチャートを図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
当然のことながら、図を単純且つ明瞭にするために、図面に示した要素は、必ずしも正確な縮尺で描いていない。例えば、明瞭にするために、要素によってはその寸法を他の要素に対して誇張している場合がある。更に、適切であると認めた箇所では、対応する又は類似の要素を示すために、参照番号を図面間で繰り返すこともある。
【0029】
以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解してもらうために、多数の具体的な詳細について記載する。しかしながら、そうした具体的な詳細抜きでも本発明を実施できることを、当業者は理解するであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素について詳細には記載していない。
【0030】
入院患者に関する情報を管理する絆創膏を提供する。絆創膏を、入院期間中、患者の身体に取着し、絆創膏により患者の全データ:患者の識別子(ID)を含む個人情報、医療情報、治療ログ、検査結果、薬剤処方、投与量、バイタルサイン監視測定値を、管理する。
【0031】
絆創膏は、少なくとも患者データの一部を内部メモリユニットに保存できる、又は患者データベースから患者データを検索するために、及び患者データベースに保存する患者データを送信するために、病院の中央コンピュータと通信できる。
【0032】
絆創膏の内部メモリユニットに保存された患者IDを、絆創膏と病院コンピュータとの間でデータ交換を行う度に、患者データベースの患者記録を識別するのに、使用する。
【0033】
図1は、絆創膏100とその外部インタフェースを示している。絆創膏100は、外部データベース55、例えば患者のEMR記録を保存してある、病院コンピュータ50に存在する患者データベースと、中間デュアルチャネルモデム70を介して、無線通信チャネル82を利用して、通信する。モデム70は、一方で、無線チャネル82で絆創膏100と通信し、他方で、有線チャネル83、例えばローカルエリアネットワークを使用して、病院コンピュータ50と通信する。
【0034】
無線チャネル82は、短距離無線技術、例えば、短距離RF(無線周波数)、IR(赤外線)、ブルートゥース、又は他の短距離無線伝送を使用して実行される。
【0035】
絆創膏100はまた、無線チャネル82と同様な無線技術を実行する無線チャネル81を介して、携帯端末60と通信する。携帯端末60、例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)を、患者を診察する医師が使用して、絆創膏100で管理された患者データを検索できる、又は患者データを更新できる。患者データの検索には、絆創膏100の内部メモリユニットに保存されたデータを読込むこと、又は外部データベース55からのデータ検索を更に要求することを含むことができる。医師の携帯端末60により要求される患者データの更新には、絆創膏100の内部メモリユニットに更新データを保存すること、又は外部データベース55に更新データを送信すること、又は両処理を行うことを含むことができる。後者の場合では、患者データの一部が重複する(内部メモリユニットと外部データベース55との両方に存在する)。
【0036】
患者の入院時(通常、ERで行われる処理中)に、新たな患者記録51を、病院コンピュータ50にある外部データベース55で開き、当該患者の情報を、新たな患者記録に記録する。病院コンピュータ50はメッセージ、すなわち、患者情報メッセージ40を、絆創膏100に送信するが、該メッセージには、患者記録51に保存された患者情報の少なくとも一部を含む。患者情報メッセージ40を、無線通信チャネル82を介して、絆創膏100で受信する。患者情報メッセージ40に含まれる患者情報は、絆創膏100の内部メモリユニットに保存され、該情報には、少なくとも患者IDを含むが、薬剤に対する既知の過敏症、緊急時の連絡先電話番号、入院理由、入院前若しくは入院中に患者が服用したことがある薬剤、他の個人情報等の更なる情報を含むことができる。
【0037】
入院期間中に収集した治療データは、外部データベース55の患者記録51に保存されることで、患者を治療する全ての医師がアクセス可能になる。治療データ又は治療データの一部を、絆創膏100の内部メモリユニットに重複して保存できる。治療データとしては:検査結果、処方箋、投与量、入院中に施したあらゆる医療処置が挙げられる。
【0038】
医師は、患者データを検索する、及びデータを更新するのに携帯端末60を使用する。患者データを検索する場合、携帯端末60により、無線チャネル81で絆創膏100に情報検索要求31を送信し、要求した患者データを取得するよう要求し、絆創膏100は、要求された患者データが内部メモリユニットにあるかをチェックする。要求された患者データが内部メモリユニットで見つかれば、絆創膏100は、要求された患者データを含む情報検索応答32を携帯端末60に送信する。要求された患者データが内部メモリユニットに保存されていなければ、絆創膏100は、内部メモリユニット内に保存された患者IDを読出し、該患者IDを情報検索要求31に付けて、識別情報検索要求41を提供し、モデム70を介して、無線通信チャネル82を使用して、病院コンピュータ50への接続を確立し、識別情報検索要求41を送る。
【0039】
絆創膏100が病院コンピュータ50から識別情報検索応答42を受信すると、絆創膏100は、応答で示された患者識別子がメモリユニットに保存された患者識別子と相関しているかを決定し、相関関係が検証されると、絆創膏100は情報検索応答32を、情報を要求した医師の携帯端末60に送信する。
【0040】
医師が治療データを更新したい、又は新たな治療データを追加したい場合は、新規又は更新治療データを自分の携帯端末60にタイプ入力し、次にメッセージ―治療情報33を、絆創膏100に送信する。絆創膏100は、メッセージ―識別治療情報43を提供するように、その内部メモリユニットに保存された患者IDを治療情報33に付け、識別治療情報43を、外部データベース55の患者記録51に新規又は更新治療情報を保存するために、病院コンピュータ50に送信する。
【0041】
絆創膏100により、定期的に患者のバイタルサインを監視して、バイタルサイン測定値を所定の測定閾値と比較できる。監視は、以下のバイタルサイン:体温、心拍動、心電図、酸素飽和度(血液酸素レベル)、血圧、他のバイタルサイン、の測定値を読込むことを含むことができる。
【0042】
患者に適した測定閾値を、患者の入院時に医師によって予め決めておき、その場合、測定閾値を外部データベース55から絆創膏100に、メッセージ―患者情報40の一部として、送る。医師は、入院中いつでも測定閾値を変更できるが、その場合、新たな閾値を、医師が携帯端末60を使用して入力し、メッセージ―測定閾値34によって絆創膏100に送る。測定閾値としては、測定目標の下限値、上限値又は両限界値を挙げることができる。
【0043】
絆創膏100は、所定の時間間隔内に定期的にバイタルサインを読込む。また、所定の間隔については、患者の入院期間中にも変更できる。少なくとも1つのバイタルサイン測定値が、測定目標の下限値より低下する、又は上限値を超えて上昇したなら、絆創膏100は、閾値到達警報44を病院コンピュータ50又は警報を処理する他のコンピュータに送る。閾値到達警報44としては、患者ID、測定値が閾値に到達したバイタルサイン、少なくとも1つの測定の値、及び任意には以前に測定した値が挙げられる。
【0044】
バイタルサイン閾値としては:要求体温範囲: 36.5°〜37.5°;酸素飽和度:95%等が挙げられる。測定閾値は、絆創膏に保存され、病院コンピュータに送信される。
【0045】
図2は、絆創膏100の監視保存用モジュール180を説明するブロック図である。監視保存用モジュール180は、絆創膏100の主なモジュールで、(i)患者のバイタルサインを読込むモニタ150を含む。モニタ150は、纏めて113で示す小型センサ群を含む。
【0046】
3個の小型センサ113(1)〜113(3)を図2では示したが、他のいかなる個数のセンサも実装できる。センサ113は、バイタルサイン:温度、心拍動、血圧、酸素飽和度、1誘導心電図等だがこれらに限定するものではない、あらゆる種類のバイタルサインを読込むことができる。
【0047】
モニタ150は、アナログ信号を処理する様々な構成要素:演算増幅器111、アナログデジタル変換器109、少なくともフィルタを含む前処理ユニット107を更に含み、監視保存用モジュール180は、(ii)無線通信を送受信できる無線送信機と無線受信機の両方を含み、携帯端末60及び病院コンピュータ50又は他のコンピュータと通信する無線トランシーバ101、(iii)モニタ150からバイタルサイン測定値を受信し、バイタルサイン測定値が関連測定閾値に達した場合に警報を生成する警報生成器108、(iv)警報生成器で生成した警報に基づいて閾値到達警報44を送るか否かを決定し;無線トランシーバ101と内部記憶装置105を制御し;絆創膏100と病院コンピュータ50の間の全ての通信メッセージ、及び、絆創膏100と携帯端末60又は他のコンピュータとの間の全ての通信メッセージを処理するプロセッサ103、(v)患者識別子、患者データ、治療データ、測定閾値、任意には、先の少なくとも1つの監視サイクルで読込んだバイタルサイン測定値を保存するメモリユニット105、を更に含む。
【0048】
無線トランシーバ101は、外部装置からバイタルサイン測定値を受信し、そのバイタルサイン測定値を警報生成器に転送することができる。例えば、血圧又は心電図を、外部装置で無線送信し、絆創膏100の無線トランシーバ101で受信できる。
【0049】
絆創膏100は個人用とし、一回使い切りを意図している。図3では、粘着片150に取着する監視保存用モジュール180を含む絆創膏100について説明しており、粘着片150を、患者の身体に取着するように適合させる。粘着片150は、糊の付いた裏面を有する薄いシートとする。粘着片150は、皮膚を刺激する可能性があり、接着力が無くなることがあるので、粘着片150を交換する必要があるかも知れない。監視保存用モジュール180を、粘着片150から脱着して、新たな粘着片を再取着できる。粘着片150は、電源120を保持できるので、粘着片150を交換する度に電源120も交換できる。
【0050】
本発明の実施形態によると、絆創膏100は、例えばGPS又はRFIDといった、病院環境で患者位置を探知できる位置追跡要素を含む。
【0051】
図4では、絆創膏100を患者の身体に取着する様々なオプションについて説明している。絆創膏100は、手首410、腕の内側420、腋下430又は胸部440に取着できる。
【0052】
図5は、本発明の実施形態による患者データを管理する方法500のフローチャートである。
【0053】
方法500は、患者に絆創膏を取着する段階505から開始し、絆創膏は、糊の付いた裏面を持つ薄いシート、無線送信機、メモリユニット、モニタ、無線受信機、警報生成器、プロセッサを備え、プロセッサ、警報生成器、無線送信機、メモリ、モニタ、メモリユニット、無線受信機の中から少なくとも1つの構成要素を薄いシートに接続する。
【0054】
段階505の次には、患者情報を受信し、患者情報を絆創膏のメモリユニットに保存する段階510を続ける。この段階は、患者の入院時に行われる。患者情報を、入院期間中に各患者の記録を保持してもよい外部データベースから、受信する。患者情報としては、少なくとも患者識別子(ID)を含み、他の個人情報、緊急時の連絡先電話番号、薬剤に対する既知の過敏症、入院理由、入院前に患者が服用したことがある薬剤等を含んでもよい。患者情報には、バイタルサインの所定測定閾値やバイタルサインを監視する時間間隔を更に含んでもよい。段階510を、測定閾値を更新する等、患者情報を更新するために、後で繰り返してもよい。
【0055】
方法500は、段階520、530、540を更に含む。
【0056】
治療データを受信し、管理する段階520は、治療データ及び患者識別子を、病院患者データベース等の外部データベースに送る段階522を含む。段階522は、絆創膏のメモリユニットから患者識別子を読込むことを含む。治療データとしては、処方箋及び投与量又は他のいかなる治療指示や医療処置を含んでもよい。
【0057】
段階520は、任意には、メモリユニットに少なくとも治療データの一部を保存する段階524を含む。
【0058】
方法500は、監視されたバイタルサインを処理する段階530を含んでもよい。段階530は、測定閾値を受信する段階532から開始する。測定閾値の受信は、患者の入院時に行われる段階510の一部とすることができ、その場合、測定閾値を、段階510で受信する患者情報の一部とすることができる。或いは又は更に、測定閾値の受信は、入院期間中何時でも行うことができる、即ち、医師は、段階510で決定した測定閾値の初期値を変更できる。
【0059】
段階530は、センサ又は外部装置によってサンプリングしたバイタルサイン測定値を受信する段階534を更に含む。バイタルサイン測定値の受信は、絆創膏100に含まれるセンサから測定値を読込むことを含むことができる。かかるセンサは、体温、心拍動、1誘導心電図、酸素飽和度、血圧、又は他のいかなるバイタルサインも感知することができる。或いは、バイタルサイン測定値の受信は、無線トランシーバ101と通信する外部装置、例えば血圧計から測定値を受信することを含むことができる。
【0060】
任意には、段階530は、メモリユニットにバイタルサイン測定値を保存する段階536を含む。保存したバイタルサイン測定値を、後の検索に使用できる、又は複数の測定値に基づく閾値到達警報を送り、これにより異常な測定値全てに警報を送らないようにするのに使用できる。
【0061】
段階530は、測定閾値及び少なくとも1つのバイタルサイン測定値に基づいて閾値到達警報を送るか否かを決定し、警報を中央コンピュータに送る段階538を含む。各測定閾値は、測定値に対して許容できる下限及び上限の少なくとも1つを含む。バイタルサイン測定値が、測定閾値によって規定した下限より低下した、又は上限を超えた場合に、測定閾値に到達したと見なすことができる。その決定を、単一の測定値に従い、又は段階536でメモリユニットに保存した複数の連続する異常な測定値に従い行うことができる。閾値に到達したと決定したなら、次に、閾値到達警報を、無線トランシーバを介して警報センタに送る。
【0062】
閾値到達警報を送信すると(段階538中に)決定したなら、段階538の後に、閾値到達警報を無線で送信する段階539を続けることができる。
【0063】
方法500は、患者データを検索する段階540を含む。段階540は、必要な患者データを示す情報検索要求を受信する段階542から開始する。情報検索要求では、以下の項目の何れかを要求できる:患者ID、住所、電話番号等の患者情報、及び他の何れかの個人情報、薬剤に対する既知の過敏症、既知の病気/症状、又は他の何れかの医療履歴情報;入院中に施した医療処置のログ等の治療情報;患者に対して決定した測定閾値;及び記録した監視されたバイタルサイン測定値。
【0064】
情報検索要求は、医師が操作する携帯端末から絆創膏に送ることができる。
【0065】
段階542の後に、必要な患者データが絆創膏のメモリユニット上に存在するか否かを決定する段階544を続ける。患者データは、病院の中央データベース、メモリユニットと中央データベースの両方に存在させることができ、データによっては、メモリユニットのみに存在させることができる、例えば:最新のバイタルサイン測定値は、メモリユニットにのみ保存し、閾値に到達しない限り、警報センタに報告しない。
【0066】
患者データがメモリユニット上に存在していると決定したなら、次に段階542の後に、メモリユニットから必要な患者データを検索する段階546を続ける。
【0067】
患者データがメモリユニット上に存在していないと決定したなら、次に外部データベースから検索する必要があり、その場合、段階542の後に、識別情報検索要求を提供し、該識別情報検索要求を外部データベースに送るために、メモリユニットから患者IDを検索し、患者IDを情報検索要求に加える段階548を続ける。
【0068】
段階548の後には、外部データベースから識別情報検索応答を受信する段階550を続ける。
【0069】
段階550の後には、情報検索応答を携帯端末に送る段階552を続ける。段階552は、識別情報検索応答で示された患者IDが、メモリユニットに保存された患者IDと同じであることを検証することを含んでもよい。
【0070】
本発明の特定の特徴について、本明細書に図示し、記載したが、多くの変形例、代替例、変更例、及び同等物が、当業者には思い浮かぶであろう。従って、当然ながら、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に含まれる変形例や変更例全てを包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊の付いた裏面を有する薄いシートと、
無線送信機と、
患者識別子を保存し、測定閾値、バイタルサイン測定値、治療データを含む患者データを保存するための、前記無線送信機と結合させたメモリユニットと、
バイタルサインを監視し、前記バイタルサイン測定値を生成するための、前記メモリユニットに結合させたモニタと、
要求された患者データの取得要求を受信する無線受信機と、
バイタルサイン測定値が関連測定閾値に到達した場合に警報を生成するための、前記メモリユニットと結合させた警報生成器と、
前記無線送信機で前記要求された患者データ及び前記患者識別子を送信するか否かを決定し、前記無線送信機で前記警報及び前記患者識別子を送信するか否かを決定するための、前記無線送信機と、前記無線受信機と、前記メモリユニットとに結合させたプロセッサとを備える絆創膏であって、
前記プロセッサ、前記警報生成器、前記無線送信機、前記メモリ、前記モニタ、前記メモリユニット、前記無線受信機の中から少なくとも1つの構成要素を、前記薄いシートに接続すること
を特徴とする、絆創膏。
【請求項2】
前記モニタは、前記バイタルサインを測定する小型センサを含むことを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項3】
前記無線受信機を、外部装置から更なるバイタルサイン測定値を受信し、前記更なるバイタルサイン測定値を前記警報生成器に転送するように、構成することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項4】
前記プロセッサを、前記警報生成器による複数の連続した警報生成の発生に基づいて、前記警報及び前記患者識別子を送信するか否かを決定するように、配設することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項5】
前記無線受信機を、患者データを受信するように構成し、前記プロセッサを、前記メモリユニットの前記患者データの少なくとも一部を保存するか否かを決定するように構成することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項6】
前記無線受信機を、患者データを受信するように構成し、前記プロセッサを、前記無線送信機を介して外部データベースに患者データを送るか否かを決定するように構成することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項7】
前記プロセッサを、前記メモリユニットから要求された患者データを検索するか、又は、前記無線送信機を介して外部データベースから患者データを得るために第2要求を送るかを決定するように構成することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項8】
前記無線受信機を、前記外部データベースから第2患者データ要求に対する応答を受信するように構成し、前記プロセッサを、前記応答に含まれる患者識別子が、前記メモリユニットに保存された前記患者識別子と相関するか否かを決定するように構成することを特徴とする、請求項7に記載の絆創膏。
【請求項9】
電源を更に含む、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項10】
前記無線受信機と前記無線送信機を、短距離無線周波数伝送を使用するように配設することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項11】
前記無線受信機及び前記無線送信機を、ブルートゥース伝送を使用するように配設することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項12】
前記無線受信機及び前記無線送信機を、赤外線伝送を使用するように配設することを特徴とする、請求項1に記載の絆創膏。
【請求項13】
患者データを管理する方法であって、前記方法は、
患者に絆創膏を取着し、前記絆創膏は、糊の付いた裏面を有する薄いシートと、無線送信機と、メモリユニットと、モニタと、無線受信機と、警報生成器と、プロセッサとを備え、前記プロセッサ、前記警報生成器、前記無線送信機、前記メモリ、前記モニタ、前記メモリユニット、前記無線受信機の中から少なくとも1つの構成要素を、前記薄いシートに接続し、
前記メモリユニットに患者識別子及び患者データを保存し、前記患者データは、測定閾値、バイタルサイン測定値、治療データを含み、
前記モニタによって、バイタルサインを監視し、前記バイタルサイン測定値を生成し、
前記警報生成器によって、バイタルサイン測定値が関連測定閾値に到達した場合に、警報を生成し、
前記プロセッサによって、前記警報及び前記患者識別子を送信するか否かを決定し、
前記プロセッサによって、前記警報及び前記患者識別子を送信することを決定した場合、前記警報及び前記患者識別子を送信し、
前記無線受信機によって、要求された患者データの取得要求を受信し、
前記プロセッサによって、前記要求された患者データ及び前記患者識別子を送信するか否かを決定し、
前記要求された患者データ及び前記患者識別子を送信することを決定した場合に、前記要求された患者データ及び前記患者識別子を送信すること
を特徴とする、方法。
【請求項14】
前記警報及び前記患者識別子を送信するか否かの決定を、複数の連続した警報生成の発生に対応させることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者データを受信し、前記メモリユニットの前記患者データの少なくとも一部を保存するか否かを決定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記患者データを受信し、外部データベースに前記患者データを送るか否かを決定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記メモリユニットからの前記要求された患者データを検索するか、又は、外部データベースから患者データを取得する第2要求を送るかを決定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記外部データベースから第2患者データ要求に対する応答を受信し、前記応答で示された患者識別子が、前記メモリユニットに保存された前記患者識別子と相関するか否かを決定することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
体温、心拍動、1誘導心電図測定値、酸素飽和度、血圧から成るリストから選択されるバイタルサインを監視することを含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−517042(P2013−517042A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548528(P2012−548528)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050193
【国際公開番号】WO2011/083453
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512182315)カード ガード サイエンティフィック サヴァイヴァル リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CARD GUARD SCIENTIFIC SURVIVAL LTD.
【住所又は居所原語表記】Kipnis 6,76305 Rehovot Israel
【Fターム(参考)】