説明

経カテーテル僧帽弁置換術のためのデバイスおよびシステム

本発明は、体外循環を行わず、経カテーテル送達システムを使用して、拍動する心臓内に展開することができる、圧縮可能な置換人工弁の設計および機能に関する。説明される設計は、最小侵襲式によるデバイスの展開に焦点を当て、例として弁の導入のために好ましくは肋間または剣状突起下空間を使用する最小侵襲手術について検討する。これを達成するために、弁は、送達システム内に嵌合するように圧縮し、次に送達システムから、僧帽弁または三尖弁などの対象弁の弁輪に放出することができるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月8日に出願された米国仮出願第61/267,739号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府の資金提供を受けた研究開発の記載
本発明の研究または開発において使用された連邦政府基金はない。
【0003】
共同研究契約の当事者の名前
該当せず。
【0004】
参照により本明細書に組み入れられる配列表
該当せず。
【0005】
本発明は、経カテーテル僧帽弁置換術およびその送達システムに関する。
【背景技術】
【0006】
現在の知識の状態は以下の通りである。
【0007】
心臓弁膜症、特に大動脈弁膜症および僧帽弁膜症は、米国における重大な健康問題である。米国内では年間約90,000件の弁置換術が行われている。従来の弁置換術である同所性の心臓弁置換術は、「開胸」手術である。簡略に説明すると、手術では、胸腔に外科的開口を形成し、人工心肺で体外循環を開始し、心臓を停止させて切開し、罹患した弁を切除して置換し、心臓を再開させる必要がある。弁置換術は一般に、他に疾患がない患者で1〜4%の死亡リスクがあるが、この著しく高い死亡率は主に、体外循環を必要とする手術であることに関連する。さらに、開胸手術は高齢者の患者では、忍容性が低いことが多い。
【0008】
したがって、手術の体外機器を使用しないことができれば、死亡率および弁置換治療の費用は著しく低下する。
【0009】
経カテーテル的大動脈弁置換術は熱心に研究される対象であるが、僧帽弁は注目されることが少なかった。これは一部には、生来の僧帽弁装置に伴う複雑性のレベルが高く、したがって置換用人工器官の挿入および繋留の難度が高いことを反映している。
【0010】
カテーテル展開式(経カテーテル)大動脈弁置換のためのいくつかの設計が、様々な開発段階にある。エドワーズ社のSAPIEN経カテーテル心臓弁は、従来の開胸の弁手術は高リスクであると考えられる石灰化性の大動脈弁膜症の患者で、現在臨床試験が行われている。この弁は、逆行性経動脈(経大腿)アプローチまたは順行性経心尖(経心室)アプローチによって展開可能である。エドワーズ社のSAPIENおよび他の経カテーテル大動脈弁置換設計の主要な態様は、これらが一次繋留メカニズムとして弁組織に係合する側方固定(例えば、歯)に依存することである。そのような設計は、心周期中の脱落を防ぐために、基本的に弁ハウジングまたはステントの周りの周方向摩擦を利用する。この繋留メカニズムは、石灰化した大動脈弁輪によって円滑になり、石灰化した大動脈弁輪にある程度依存している。この設計はまた、弁ハウジングまたはステントが一定程度の剛性を有する必要がある。
【0011】
少なくとも1つの経カテーテル僧帽弁の設計が、現在開発中である。Endovalveは、三葉生体弁を形成する折り畳み三脚様設計を使用する。これは、最小侵襲経心房アプローチから展開されるように設計され、最終的に経静脈心房中隔切開術の送達に適合することができる。この設計は、弁輪および弁葉組織に係合するように設計された「知的所有権のある把持特徴」を使用する。したがって、このデバイスの繋留メカニズムは、経カテーテル大動脈弁置換設計によって使用されるものと本質的に等しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,554,185号明細書
【特許文献2】米国特許第7,108,717号明細書
【特許文献3】米国特許第6,440,164号明細書
【特許文献4】米国特許第5,336,616号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、経カテーテル送達システムを使用して、閉じたままの拍動する心臓内に展開することができる、圧縮可能な置換人工心臓弁の設計および機能に関する。説明される設計は、最小侵襲式によるデバイスの展開に焦点を当て、例として弁の導入のために肋間または剣状突起下の空間を使用する最小侵襲手術について検討する。これを達成するために、弁は、送達システム内に嵌合するように圧縮し、次に送達システムから、例えば僧帽弁輪または三尖弁輪などの対象部位に放出することができるように形成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
好ましい実施形態では、僧帽弁輪に局所的に沿うカフを含む人工僧帽弁が提供される。
【0015】
別の好ましい実施形態では、組織または合成カバーを有するカフを備えた人工心臓弁が提供される。
【0016】
別の好ましい実施形態では、様々な長さの連接するワイヤループを有するカフを備えた人工心臓弁が提供される。
【0017】
別の好ましい実施形態では、心臓収縮に関連する生理学的動作または構造的変化中にコンプライアンスをもたらす、少なくとも1つの弾性テザーを含む人工心臓弁が提供される。
【0018】
別の好ましい実施形態では、超弾性金属から形成されるテント本体およびカフを有する人工心臓弁が提供される。
【0019】
別の好ましい実施形態では、カテーテル送達システム内に容易に折りたためるようにあらかじめ定められた形状でレーザ切断された、超弾性金属から形成されるステント本体およびカフを有する人工心臓弁が提供される。
【0020】
別の好ましい実施形態では、弁輪に置かれた後で拡張させるためのバルーンを必要とし、しかし破壊されることなく変形することができる可鍛性の金属、例えばステンレス鋼から作製されるステント本体を有する人工心臓弁が提供される。
【0021】
別の好ましい実施形態では、ニッケル−チタン合金(Naval Ordinance Lab)のニチノール(商標)など、形状記憶合金によって形成される、超弾性ワイヤから作製される人工心臓弁が提供される。
【0022】
別の好ましい実施形態では、繋留のためのテザーを含む、レーザ切断された人工心臓弁が提供される。
【0023】
別の好ましい実施形態では、繋留のためのテザーを含むワイヤから作製された弁が提供される。
【0024】
別の好ましい実施形態では、弁周囲漏出を防ぐように、弁のカフを僧帽弁輪内に配置するために使用されるテザーを含む弁が提供される。
【0025】
別の好ましい実施形態では、生体吸収性であり、人工弁の生物学的固定が起きるまで一時的繋留を行う、テザーが提供される。生物学的固定は、弁葉組織と人工弁との間の線維性付着、または心臓肥大の回復による人工弁への圧縮、またはその両方から構成される。
【0026】
別の好ましい実施形態では、ワイヤから形成され、またはレーザ形成され、2つの部品が心周期にわたって心臓の動きに対応するようにコンプライアントな本体およびカフを呈する、人工心臓弁が提供される。
【0027】
別の好ましい実施形態では、人工心臓弁のためのカフが提供され、カフは組織で覆われている。
【0028】
別の好ましい実施形態では、人工心臓弁のためのカフが提供され、カフは拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)またはポリエステルから選択される合成ポリマーで覆われている。
【0029】
別の好ましい実施形態では、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、心膜および小腸粘膜下組織からなる群から選択される材料から作製された、弁葉材料を有する人工心臓弁が提供される。
【0030】
別の好ましい実施形態では、抗凝固剤で処理した表面を有する人工心臓弁が提供される。
【0031】
別の好ましい実施形態では、カフを有し、カフに取り付けられた繋留テザーを含む、人工心臓弁が提供される。
【0032】
別の好ましい実施形態では、カフを有し、両方の交連部の先端でカフに取り付けられた繋留テザーを含む、人工心臓弁が提供される。
【0033】
別の好ましい実施形態では、カフの本体に対する取り付けが約60度〜約150度の角度である、カフを有する人工心臓弁が提供される。
【0034】
別の好ましい実施形態では、デバイスを僧帽弁輪内に繋留するために有用なテザーと棘との組み合わせを含む、人工心臓弁が提供される。
【0035】
好ましい実施形態では、カフおよび拡張可能な内部弁葉アセンブリを有する拡張可能な管状ステントを含む人工心臓弁が提供され、弁葉アセンブリは構造ワイヤ支持体を含むことも含まないこともでき、カフは安定化させた組織で覆われたワイヤから構成され、弁葉アセンブリはステント内に配設され、弁葉の形態として安定化させた組織から構成される。
【0036】
別の実施形態では、カフのワイヤが、等しいまたは異なる長さの一連の径方向に延びるループから形成されるという特徴が提供される。
【0037】
別の実施形態では、拡張され展開されたステントの高さ(h)と組織上に延びるカフの横方向距離(l)との間の関係の比にしたがって、カフが、拡張された管状ステントを超えて横方向に延びるという特徴が提供される。好ましくは、h/l比は、1:10〜10:1とすることができ、より好ましくは、限定はされないが、1:3、1:2、1:1、2:1およびそれらの間の1.25:2.0、1.5:2.0などの少数範囲を含む。1つの非限定的な例では、カフが横方向(l)に約3〜約30ミリメートル延びることができることが企図されている。
【0038】
別の実施形態では、管状ステントが第1の端部および第2の端部を有し、カフがステント自体から形成され、または代替実施形態では別個に形成され、カフがステントの第1の端部に置かれ、管状ステントの第2の端部が複数のテザー取付構造を有するという特徴が提供される。
【0039】
別の実施形態では、人工心臓弁を組織に繋留するため、および/または人工心臓弁を配置するための複数のテザーをさらに含むという特徴が提供される。
【0040】
別の実施形態では、心外膜テザー固定デバイスをさらに含み、テザーは約3〜約8cmの長さを延び、心外膜テザー固定デバイスに締結されるという特徴が提供される。
【0041】
別の実施形態では、中に配設された人工心臓弁および人工心臓弁を押し出すための塞栓子を有する送達カテーテルを含む、人工心臓弁を送り込むためのカテーテル送達システムが提供される。
【0042】
別の実施形態では、圧縮漏斗、イントロデューサ、ワイヤ・スネア、塞栓子、送達カテーテルおよび人工心臓弁を含むカテーテル送達システムを準備するためのアセンブリ・キットが提供され、圧縮漏斗はイントロデューサに取り付けるための開口部を有し、イントロデューサは送達カテーテルの直径内に嵌合する直径を有する管から構成され、塞栓子は一端のハンドルおよび他端のキャップに嵌合する管から構成され、キャップはワイヤ・スネアを通過させることができる開口を有し、塞栓子はイントロデューサの直径内に嵌合する直径を有し、人工心臓弁は送達カテーテル内で圧縮可能であり嵌合する。
【0043】
別の実施形態では、人工心臓弁を、例えば患者の僧帽弁輪および三尖弁輪など、対象の弁構造の弁輪に外科的に展開するステップを含む、患者の僧帽弁逆流および/または三尖弁逆流を治療する方法が提供される。
【0044】
別の実施形態では、心尖部アプローチを使用して、肋間腔を通して心臓に直接アクセスし、左(または右)心室に進入し、人工心臓弁を、カテーテル送達システムを使用して弁輪内に展開することによって人工心臓弁が展開されるという特徴が提供される。
【0045】
別の実施形態では、開胸術、胸骨切開または最小侵襲的胸椎、胸腔鏡または経横隔膜アプローチによって心臓に直接アクセスして左(または右)心室に進入し、人工心臓弁を、カテーテル送達システムを使用して弁輪内に展開することによって人工心臓弁が展開されるという特徴が提供される。
【0046】
別の実施形態では、側方アプローチを使用して、肋間腔を通して心臓に直接アクセスし、左または右心室に進入し、人工心臓弁を、カテーテル送達システムを使用して弁輪内に展開することによって人工心臓弁が展開されるという特徴が提供される。
【0047】
別の実施形態では、順行性−経(心房)中隔(経静脈−経(心房)中隔)アプローチまたは逆行性(経動脈−経大動脈)カテーテルアプローチのいずれかを使用して左心にアクセスし、左心に進入し、人工心臓弁を、カテーテル送達システムを使用して僧帽弁輪内に展開することによって人工心臓弁が展開されるという特徴が提供される。
【0048】
別の実施形態では、心室中隔の心尖部を通って(経静脈−経(心室)中隔アプローチ)左心室にアクセスすることによって、逆行性アプローチから人工心臓弁が僧帽弁輪内に展開されるという特徴が提供される。
【0049】
別の実施形態では、逆行性経心室中隔アプローチを使用して、人工心臓弁が僧帽弁位置内に展開され、テザーが心室中隔の右心室側に、または右心室側に繋留されるという特徴が提供される。
【0050】
別の実施形態では、人工心臓弁を左心室内で組織に繋留することをさらに含むという特徴が提供される。
【0051】
別の実施形態では、心外膜テザー固定デバイスを使用して、人工心臓弁が左心室の心尖部に繋留されるという特徴が提供される。
【0052】
別の実施形態では、スネア取付具を有するカテーテルで1つまたは複数のテザーを捕えるステップと、捕えられたテザーを除去カテーテルに結合された圧縮可能な漏斗型取付具に導くステップと、人工心臓弁が折りたたまれ圧縮された構成になるように、テザーを引っ張るステップと、圧縮された人工心臓弁を、その後で取り出すために、除去カテーテルまで引っ張るステップとを含む、1つまたは複数のテザーを有する人工心臓弁を、最小侵襲心臓カテーテル技術を使用して、患者から迅速に除去するための回収方法が提供される。回収方法は、本明細書で説明された人工心臓弁、または適切に繋留された圧縮可能な医療デバイスを捕えるための使用が企図されている。好ましい実施形態では、方法は、人工心臓弁を左または右心室のいずれかから取り出すように使用される。方法は、手術による展開を中止するとき、補綴物を取り出すために特に有用となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による人工弁の一実施形態の斜視図である。
【図2A】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を使用しない、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図2B】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を使用しない、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図2C】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を使用しない、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図2D】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を使用しない、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図3A】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を組み込んだ、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図3B】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を組み込んだ、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図3C】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を組み込んだ、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図3D】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を組み込んだ、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図3E】弁尖/弁葉のための構造ワイヤ支持体を組み込んだ、本発明による人工弁の一実施形態の斜視分解図である。
【図4】本発明による人工弁の実施形態を示す上面図であり、二葉構造を示す図である。
【図5】カフの底面を示すように、本発明による人工弁の一実施形態の水平面よりわずかに下から見た側面図である。弁葉のための構造ワイヤ支持体がなく、テザーを示す図である。
【図6】本発明による人工弁の一実施形態の水平面よりわずかに上から見た上面図であり、カフの上面およびステントの長さを超えて延びる構造ワイヤ支持ループを示す図である。
【図7】カフ・スピンドルが任意で可変の長さおよびサイズを有することができることを示す、本発明による人工弁の一実施形態の図である。
【図8】カフ・スピンドルが任意で可変の長さおよびサイズを有することができることを示す、本発明による人工弁の一実施形態の図である。ここでは細長いカフを形成することを示す。
【図9】三葉構造を示す、本発明による人工弁の一実施形態の上面図である。
【図10A】カフが元の構成を有するように形成することができ、ステント本体に対するカフの配置が鋭角、直角または鈍角になることを示す、本発明による人工弁の一実施形態の一連の側面図である。
【図10B】カフが元の構成を有するように形成することができ、ステント本体に対するカフの配置が鋭角、直角または鈍角になることを示す、本発明による人工弁の一実施形態の一連の側面図である。
【図10C】カフが元の構成を有するように形成することができ、ステント本体に対するカフの配置が鋭角、直角または鈍角になることを示す、本発明による人工弁の一実施形態の一連の側面図である。
【図11】人工弁を弁輪に据え付ける助けとなる棘部品の使用を示す、本発明による人工弁の一実施形態の側面図である。
【図12A】本発明による人工弁の一実施形態の一対の側面図であり、開いているが、ステント本体が人工弁を弁輪に据え付ける助けとなるように拡張されると、環状組織上で、または環状組織内に閉じる、棘部品の使用を示す図である。
【図12B】本発明による人工弁の一実施形態の一対の側面図であり、開いているが、ステント本体が人工弁を弁輪に据え付ける助けとなるように拡張されると、環状組織上で、または環状組織内に閉じる、棘部品の使用を示す図である。
【図13】テザーが、ステント本体への取り付けに加えて、カフ部分にも取り付けられていることを示す、本発明による人工弁の一実施形態の側面図である。
【図14】人工弁を圧縮および展開するために使用される、本発明による送達システム機器の一実施形態を示す図である。
【図15A】本発明による送達システムの一実施形態を示す一連の図である。
【図15B】本発明による送達システムの一実施形態を示す一連の図である。
【図15C】本発明による送達システムの一実施形態を示す一連の図である。
【図15D】本発明による送達システムの一実施形態を示す一連の図である。
【図15E】本発明による送達システムの一実施形態を示す一連の図である。
【図15F】本発明による送達システムの一実施形態を示す一連の図である。
【図16】送達カテーテルの実施形態の詳細な断面図であり、送達カテーテル内に配設された本発明による圧縮された人工弁の一実施形態を示す図である。
【図17】本発明による人工弁を含み、心尖部アプローチを使用して心臓にアクセスしている送達カテーテルとともに示す、心臓の断面図である。送達カテーテルが、人工弁を展開するために僧帽弁を通り、左心房に進められていることを示す図である。
【図18A】送達カテーテルから、すなわち塞栓子によって、押し出されるあらかじめ取り付けられた人工弁を含む、本発明による送達カテーテルの一実施形態の先端の一連の図であり、弁が完全にカテーテル内にある図である。
【図18B】送達カテーテルから、すなわち塞栓子によって、押し出されるあらかじめ取り付けられた人工弁を含む、本発明による送達カテーテルの一実施形態の先端の一連の図であり、カフ部分が見えている図である。
【図18C】送達カテーテルから、すなわち塞栓子によって、押し出されるあらかじめ取り付けられた人工弁を含む、本発明による送達カテーテルの一実施形態の先端の一連の図であり、ステント本体が後に続いている図である。
【図18D】送達カテーテルから、すなわち塞栓子によって、押し出されるあらかじめ取り付けられた人工弁を含む、本発明による送達カテーテルの一実施形態の先端の一連の図であり、人工弁に弁を組織に配置および/または調整および/または固定するためのテザーが取り付けられている図である。
【図19】心臓の僧帽弁輪内で展開された、本発明による人工弁の一実施形態の詳細な断面図であり、(a)心房カフおよび(b)固定プレジェットによって固定されて示されている、心尖部に結合された心室テザーを使用して、人工弁が繋留されていることを示す図である。
【図20】心臓の僧帽弁輪内で展開され、(a)心房カフおよび(b)1つまたは複数の組織固定繋留具によってそれぞれが固定されている、乳頭筋および/または心室壁および/または中隔に結合された心室テザーを使用して繋留される、本発明による人工弁の一実施形態の詳細な側面斜視図である。
【図21A】本発明による心室テザー取付具の一実施形態を示す一対の図である。部分的に固定された心尖部閉鎖/組織強化材料を有する4つの縫合糸とともに、左心室心尖部に挿入された可撓性送達カテーテルを示す詳細な図である。
【図21B】本発明による心室テザー取付具の一実施形態を示す一対の図である。心室テザーが、左心室心尖部および部分的に固定されたプレジェットに通されて示されており、完全に固定された心尖部閉鎖材料も示されている、人工弁の繋留システムの詳細な図である。
【図22A】本発明による人工弁の一実施形態の側方展開の一対の図である。
【図22B】本発明による人工弁の一実施形態の側方展開の一対の図である。僧帽弁輪内に据え付けられ、左心室の乳頭筋に留め付けられた人工弁を示す詳細な図である。
【図23】本発明による人工弁を含み、心尖部アプローチを使用して心臓の右心室にアクセスしている送達カテーテルとともに示す、心臓の断面図である。人工弁を展開するために三尖弁を通り、右心房に進められている送達カテーテルを示す図である。
【図24A】リングまたはハロー特徴を有する人工弁の実施形態を示す図である。カフの底面およびハロー特徴を示すように、本発明による人工弁の一実施形態の水平面よりわずかに上から見た底面図である。
【図24B】リングまたはハロー特徴を有する人工弁の実施形態を示す図である。カフの上面を示すように、本発明による人工弁の一実施形態の水平面よりわずかに上から見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、一実施形態では、弁を繋留する一体型カフおよび心臓に繋留される1つまたは複数のテザーを使用して心臓の僧帽弁内に繋留される、自己拡張式弁アセンブリを含む人工心臓弁を提供する。組織に繋留するための一体型カフまたはカラーおよび1つまたは複数のテザーの両方を繋留システムとして有する人工心臓弁を提供することは、本発明の範囲内として企図されている。
【0055】
人工心臓弁は、一端にカフを有し、他端にテザーを取り付けるためのテザー・ループを有する自己拡張式管状ステントを含み、管状のステント内には弁葉を含む弁葉アセンブリが配設され、弁葉は安定化させた組織もしくは他の適切な生物学的または合成材料から形成されている。一実施形態では、弁葉アセンブリは、成形されたワイヤ構造が、1、2、3または4弁葉のいずれか、もしくはそこに配設される弁尖を有することができる弁葉支持構造を形成するように、安定化させた組織とともに使用されるワイヤ・フォームを含む。別の実施形態では、弁葉アセンブリは、ワイヤレスであり、安定化させた組織およびステント本体のみを使用して、ワイヤを使用することなく、同じく1、2、3または4つの弁葉、もしくはそこに配設される弁尖のいずれを有することもできる弁葉支持構造を形成する。
【0056】
カフの機能
カフは様々に機能する。カフの第1の機能は、人工弁周囲での血液の弁周囲漏出/逆流を阻止することである。弁輪および心房の凹凸のある輪郭にわたって撓み、封止することによって、漏出が最小限化および/または防止される。
【0057】
カフの第2の機能は、調節可能および/またはコンプライアントな生体弁を提供することである。心臓およびその構造は、心周期中に複雑な形状的変化を行う。例えば、僧帽弁輪は、ホーンが前側、背凭れが後側、左右の谷が内側および外側に位置する鞍の形によく似た、双曲放物面として知られる複雑な形状を有する。この複雑性に加えて、僧帽弁輪の領域は心周期中にわたって変化する。さらに、三尖弁および三尖弁輪の形状は引き続き研究の対象になっており、独自の特別な問題を呈示している。したがって、コンプライアンスは、心臓デバイスの要件として非常に重要ではあるが、残念ながら見過ごされることが多い。ここではコンプライアンスとは、弁が心周期中に構造的位置および完全性を維持できる能力をいう。心臓動作とのコンプライアンス、特に下にある面が隣接する面と異なる動きをする場合に局所的なコンプライアンスを示す能力は、特に重要な特徴である。心周期を通して変化するこの能力によって、弁を据え付けたままで、これまでに提供されていない方法で弁を適切に展開することが可能になる。
【0058】
さらに、コンプライアンスはテザーの使用によって達成することができ、テザーは好ましくは弾性材料から形成される。テザーに基づいたコンプライアンスは、単独で、またはカフに基づいたコンプライアンスと組み合わせて、使用することができる。
【0059】
カフ弁の第3の機能は、手術中に据え付けることができ、心房の凹凸のある表面に沿わせることができる弁を提供することである。独立したテザーを使用することにより、弁を弁輪内で左右に嵌め込むことができる。例えば、3つのテザーを使用する場合、これらは互いに対して周方向に約120度とし、外科医は、弁周囲漏出が起きているかどうか、またはどこで起きているかを観察し、一方または他方の側を引っ張って、局所的圧力を生成し、漏出を低減または排除することができる。
【0060】
カフの第4の機能は、心室充満中に人工弁を心室に向かって/心室内に変位させるように作用する力(すなわち心房内圧および血流によって生成されるせん断応力)に対抗することである。
【0061】
カフの別の特徴は、追加的構造を提供することによって、弁葉アセンブリ/ステントの組み合わせを強化するように機能することを含む。さらに、カフは展開中に、構造全体、人工弁を、展開中に僧帽弁輪の定位置に導き、展開後に弁を定位置に維持するように機能する。
【0062】
カフの構造
カフは、縁またはへりを形成するように管状ステントの直径を超えて突出する実質的に平坦なプレートである。本明細書で使用される、カフ、フランジ、カラー、ボンネット、エプロンまたはスカーティングという用語は、機能的に等しいとみなされる。管状ステントが僧帽弁開口部、僧帽弁輪を通ってテザー・ループによって左心室の方向に引っ張られると、カフは、管状ステントが僧帽弁開口部を通ってそれ以上移動しないように止めるカラーとして作用する。左心房に据え付けられたカフと僧帽弁輪との間の長手方向の力および左心室に取り付けられた心室テザーによって、人工弁全体が保持される。
【0063】
カフは、安定化させた組織もしくは他の適切な生体適合性または合成材料によって覆われたニッケル−チタン合金材料のニチノール(商標)ワイヤなどの、硬く可撓性の形状記憶材料から形成される。一実施形態では、カフ・ワイヤの形態は、(一体型カフにおいて)カフが管状ステントに移行する、またはカフがステントに取り付けられた(これらは別個だが連結された部品である)、湾曲部または継目の外周の周りを軸方向に延びるローブまたはセグメントを形成する独立したワイヤのループから作製される。
【0064】
安定化させた組織または材料によって覆われると、ループは、カフが管状ステントの中心を通る長手方向軸に沿って、連接するように上下に移動することが可能になる。言い換えると、個々のスピンドルまたはループは、独立して上下に動くことができ、ワイヤの相対的な硬さにより、元の位置に戻ることができる。カフ・ワイヤを覆う組織または材料は一定の弾性係数を有しており、カフのワイヤに取り付けられると、ワイヤ・スピンドルが動くことを可能にしている。この可撓性によって、カフは、患者の心臓内で展開されると、特定の用途に必要な解剖学的形状に一致することが可能になる。人工僧帽弁の例では、カフは、左心房の凹凸および僧帽弁輪の形状に一致し、僧帽弁輪に隣接する心房組織および僧帽弁輪内の組織に対して密封することができる。上記で述べたように、この特徴は重要なことに、僧帽弁のサイジングにある程度の柔軟性を与え、植え込まれた人工心臓弁の周りで血液が漏出することを防ぐ。
【0065】
カフの寸法および形状の別の重要な態様は、完全に据え付けられ固定されたとき、カフの縁部が好ましくは、心房壁を貫通または切断する動作を起こす可能性があるように心房壁内に横向きにならないことである。
【0066】
1つの好ましい実施形態では、カフのワイヤ・スピンドルは実質的に均一な形状およびサイズである。本発明の別の好ましい実施形態では、それぞれのループまたはスピンドルは、可変の形状およびサイズとすることができる。この例では、弁が展開される場所によって、ループが交互の大小ループのパターンを形成することができることが企図されている。人工僧帽弁の場合、術前画像検査によって、特定の患者の僧帽弁輪近傍の解剖学的形状に応じて、カフの構造をカスタマイズすることが可能である。
【0067】
カフのワイヤ・フォームは、潰れることなく心臓内の力に耐える十分な構造的完全性を提供するように作製される。カフのワイヤ・フォームは好ましくは、ニチノール(商標)(登録商標)などの超弾性金属から作製され、構造的変形または弁の変位を起こすことがある長手方向の力がかかる間、管状ステントの封止カラーとしての機能を維持することができる。Cu−Zn−Al−Ni合金およびCu−Al−Ni合金などの他の形状記憶合金を任意で使用することが、本発明の範囲内として企図されている。心臓は、約8〜30mmHg(約0.15〜0.6psi)の平均左心房圧を生成することが知られている。この左心房の充満圧は、人工弁がカフの外側に開いているとき、カフを僧帽弁に隣接する心房組織に保持する繋留力として、左心室方向にかかると予想される概算圧力である。カフは、弁が変位しないように、または心室内に滑り落ちないように、人工弁に対して左心室方向にかかるこの長手方向の圧力に対抗する。反対に、通常約120mmHgである左心室の収縮期圧は、閉じた人工弁に、左心房方向の力を加える。テザーはこの力に対抗し、心室の収縮すなわち収縮期中に、弁の位置を維持し、心室の力に耐えるために使用される。したがって、カフは、脱落したり、左心室に引っ張られることなく、テザーに必要な張力を与えるように、十分な構造的完全性を有する。ある期間経過後、心臓の形状の変化および/または人工弁と周辺心臓組織との間の線維性付着が、心室収縮中に人工弁にかかる長手方向の力に抵抗する心室テザーの機能を助け、またはこれに代わることができる。
【0068】
ステントの構造
好ましくは、ニチノール(商標)ワイヤなどの超弾性金属ワイヤが、ステント、ステント内に配設される内部ワイヤに基づいた弁葉アセンブリ、およびカフのワイヤ・フォームに使用される。上記のように、Cu−Zn−Al−Ni合金およびCu−Al−Ni合金などの他の形状記憶合金を任意で使用することが、本発明の範囲内として企図されている。ステントを編組ステントまたはレーザ切断ステントとして作製することができることが企図されている。そのようなステントは、Pulse Systems社など、いくつもの製造業者から市販されている。レーザ切断ステントは、好ましくはニッケル−チタン(ニチノール(商標))から形成されるが、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン、および他の機能的に等しい金属および合金からも形成されるがこれに限定されず、または固定具または心棒上で熱処理することによって形成されるPulse Systems社の編組ステントである。
【0069】
ステント設計の1つの主要な態様は、圧縮可能であり、解放されると元の(圧縮されていない)形状に戻るという、上記の特性を有することである。この要件によって、可能な材料選択が、形状記憶特性を有する金属およびプラスチックに限られる。金属については、ニチノールが、オーステナイト、マルテンサイト、または超弾性に加工することができるので特に有用であることが明らかになっている。マルテンサイトおよび超弾性合金は、必要な圧縮特徴を発揮するように加工することができる。
【0070】
レーザ切断ステント
ステントの1つの可能な構成は、細い等直径のニチノール管のレーザ切断を想定している。レーザ切断によって、細いニチノール管に規則的な切欠きを形成する。次に、管を所望の形状のモールド上に置き、マルテンサイト温度に加熱し、冷却する。ステントをこのように処理することによって、形状記憶特性を有し、較正温度で記憶形状に容易に戻るステントまたはステント/カフを形成する。
【0071】
編組ワイヤステント
ステントは、単純な編組技術を使用して作製することができる。ニチノール・ワイヤ(例えば0.012インチ・ワイヤ)および単純な編組固定具を使用して、一本のワイヤから等直径の管が形成されるまで、単純な上/下編組パターンでワイヤを編組固定具上に巻き付ける。ワイヤの2つの結んでいない端部は、結んでいない端部を中に置いて圧着する、ステンレス鋼またはニチノールの結合管を使用して結合する。約60度の編組角度が、特に有用であることが明らかになっている。次に、編組ステントを形成固定具上に置き、特定温度のマッフル炉内に置いて、所望されるマルテンサイトまたは超弾性特性を発揮するように、ステントを所望の形状に形成する。
【0072】
1つの好ましい実施形態で想定されるステントは、繋留縫合糸が接合されるステントの心室側面が2〜5の位置になるように設計されている。繋留縫合糸(テザー)は心室を横切り、最終的にほぼ心尖部の位置で心臓の心外膜面に繋留される。テザーは、わずかな張力を受けて固定されたとき、弁を定位置に保持する、すなわち収縮期中に弁周囲漏出を防ぐ働きをする。
【0073】
弁葉およびアセンブリ構造
弁葉は、弁葉アセンブリによって、または弁葉アセンブリ内に、保持される。本発明の1つの好ましい実施形態では、弁葉アセンブリは弁葉が取り付けられる弁葉ワイヤ支持構造を含み、弁葉アセンブリ全体がステント本体内に収容される。この実施形態では、アセンブリは、弁葉を取り付けるための適切なプラットホームを形成するように、ワイヤおよび安定化させた組織から構成される。この態様では、ワイヤおよび安定化させた組織は、人工弁が展開カテーテル内で圧縮されているとき弁葉構造が圧縮され、展開中に人工弁が開くとき適正な機能的形状にばねによって開くことを可能にする。この実施形態では、弁葉アセンブリを、安定化させた組織または材料によって形成された別個の円筒形ライナー内に任意で取り付け、収容することができ、次いで、ステント本体の内側を裏打ちするようにライナーを取り付ける。
【0074】
この実施形態では、弁葉ワイヤ支持構造は、折りたたみ可能/拡張可能な形状を有するように作製される。好ましい実施形態では、構造はワイヤの単一部品である。一実施形態では、ワイヤ・フォームは、ニチノールなどの形状記憶合金から形成される。構造は任意で2〜10のワイヤを含む複数のワイヤから形成することができる。さらに、ワイヤ・フォームの形状は、弁葉が取り付けられるとき、生来の弁輪の鞍に似た形状を模倣するように、限定はされないが、任意で、一連の放物線状の圧縮可能な逆アーチとすることができる。あるいは、任意で、同心円状のリング、または折りたたむ/圧縮することができ、その後機能的形状に拡張する、圧縮可能な他の同様の形状として作製することができる。ある好ましい実施形態では、2、3または4つのアーチを設けることができる。別の実施形態では、閉じた円形または楕円形構造の設計が企図されている。別の実施形態では、ワイヤ・フォームは傘状の構造、または他の同様の非折り畳み式のロック解放設計とすることができる。好ましい実施形態は、直径約0.015インチの超弾性ニチノール・ワイヤを使用する。この実施形態では、ワイヤは、2〜3の交連部の支柱が形成されるように、形成固定具の周りに巻きつけられる。巻き付けられたワイヤを含む固定具を所定の温度のマッフル炉内に置いて、ワイヤ・フォームの形状を形成し、その超弾性特性を与える。次に、ワイヤ・フォームの結んでいない端部をステンレス鋼またはニチノール管に結合し、連続した形状を形成するように圧着する。別の好ましい実施形態では、支柱の内向きの撓みを最小限化するための円形結合リングまたはハローによって、ワイヤ・フォームの交連部の支柱がその先端で接合される。
【0075】
別の好ましい実施形態では、弁葉アセンブリは、別個のワイヤ支持構造なしで、安定化させた組織または他の適切な材料のみによって作製される。この実施形態では、弁葉アセンブリもステント管腔内に配設され、弁葉アセンブリとステントの内壁とを封止結合するように、ステントに取り付けられている。定義では、ステント内での弁葉の支持に関して、安定化させた組織および/またはワイヤから形成されたどのような構造も弁葉アセンブリを構成することが、本発明の範囲内に企図されている。この実施形態では、安定化させた組織または適切な材料は、任意でステントの内壁のライナーとして使用することもでき、弁葉アセンブリの一部とみなされる。
【0076】
ライナー組織または生体適合性材料は、弁葉組織から、例えば厚さ、耐久性など、同じまたは異なる機械的品質を有するように処理することができる。
【0077】
弁輪内での展開
人工心臓弁は、一実施形態では、カテーテル・システムを使用して、心臓の左心室心尖部を通って経心尖的に送り込まれる。心尖部送達の1つの態様では、カテーテル・システムは、肋間送達によって心臓および心膜腔にアクセスする。別の送達アプローチでは、カテーテル・システムは、可撓性カテーテル・システムを使用して、一般に使用される剛性の管システムを使用せずに、順行性または逆行性送達アプローチのいずれかを使用して、人工心臓弁を送り込む。別の実施形態では、カテーテル・システムは、経中隔アプローチによって心臓にアクセスする。
【0078】
1つの非限定的な好ましい実施形態では、ステント本体が心室内に、開口した僧帽弁の弁葉の縁部付近まで延びる(弁輪と心室心尖部との間の距離の約25%)。開口した生来の弁葉はステントの外壁に押し付けられ、ステントの長手軸に平行となる(すなわち、ステントが生来の僧帽弁を開口した状態に維持する)。
【0079】
1つの非限定的な好ましい実施形態では、直径は僧帽弁輪の直径とほぼ一致する。任意で、弁は、大動脈弁を通る血流を遮ることがないように、わずかに大動脈弁から遠ざかる角度で僧帽弁輪内に嵌まるように配置することができる。任意で、ステントの流出部(底部)は、人工弁を通る血流と干渉することがある位置であるので、心室の側壁または乳頭筋に接近し過ぎないようにする。これらの選択肢は三尖弁に関連するため、三尖弁の位置は僧帽弁の位置とほぼ同様とすることができる。
【0080】
別の実施形態では、人工弁は、右心房と右心室との間の三尖弁を含むがこれに限定されない、僧帽弁輪以外の領域で使用するためのサイズおよび構成である。代替実施形態は、任意で、右心室と肺動脈との間の肺動脈弁および左心室と大動脈との間の大動脈弁の展開に対応する、カフ構造の変形例を含むことができる。一実施形態では、人工弁は、任意で、大静脈、大腿、鎖骨下、肺、肝臓、腎臓および心臓を含むがこれらに限定されない静脈系のための静脈逆流弁として使用される。この態様では、漏出に対する追加的な保護を提供するためにカフの特徴を使用する。
【0081】
テザー
1つの好ましい実施形態では、心臓内の1つまたは複数の組織繋留位置に延びる、人工心臓弁に取り付けられたテザーがある。1つの好ましい実施形態では、テザーは左心室を通って下向きに延び、心臓の心尖部で左心室から出て、心臓の外側の心膜面に締結される。同様の繋留は、三尖弁、または人工弁を必要とする他の弁構造に関連するので、本明細書で企図されている。好ましくはステントに取り付けられた、2〜8のテザーを設けることができる。
【0082】
別の好ましい実施形態では、テザーは、任意で、位置、調整およびコンプライアンスについて追加的な制御を提供するように、カフに取り付けることができる。この好ましい実施形態では、ステントに取り付けられたテザーに加えて、または任意で、ステントに取り付けられたテザーの代わりに、1つまたは複数のテザーが任意でカフに取り付けられる。カフおよび/またはステントに取り付けることによって、展開中に、配置、調整およびコンプライアンスについて、より高度な制御を術者に提供することもできる。
【0083】
展開中に、術者は、テザーを特定の患者の解剖学的構造に合わせて正しい長さに調整またはカスタマイズすることができる。テザーはまた、術者が、テザーを引っ張ることによって、カフを弁輪の周りの組織に締結できるようにし、漏出のない封止を形成する。
【0084】
別の好ましい実施形態では、テザーは、任意で、人工心臓弁の特定の用途によって、他の組織の位置に繋留される。僧帽弁、または三尖弁の場合は、任意で、乳頭筋、中隔、および/または心室壁の一方または両方に繋留される1つまたは複数のテザーがある。
【0085】
テザーは、カフとともに、これまで利用可能でなかったコンプライアントな弁を可能にする。テザーは、生体適合性ポリマー縫合糸材料など、手術用材料から形成される。そのような材料の例は、2−0exPFTE(拡張ポリテトラフルオロエチレン)または2−0ポリプロピレンを含む。一実施形態ではテザーは非弾性である。心周期中に、弁のさらに高いコンプライアンスをもたらすように、1つまたは複数のテザーを任意で弾性とすることができることも、企図されている。テザーは、心臓の心尖部へ、および心尖部を通して引っ張られると、テザーが心室内に後退することを防ぐように、プレジェットまたは同様の調節可能なボタンタイプの繋留デバイスへの結び付けなど、適切なメカニズムによって、締結することができる。テザーを生体再吸収性/生体吸収性とすることができ、それにより、組織と人工弁との間の生物学的線維性付着および/または心室の肥大度の軽減による径方向圧縮など、他のタイプの固定が定着するまで一時的な固定を提供することもまた、企図されている。
【0086】
さらに、人工心臓弁を任意でステントまたはカフのいずれかまたは両方に取り付けられた取付用テザーと永久的テザーとの組み合わせを使用して展開することができることができ、取付用テザーは弁が首尾良く展開された後に取り外されることが、企図されている。展開のため、および心周期中に弁の構造的および位置的コンプライアンスをもたらすために、非弾性テザーと弾性テザーとの組み合わせを任意で使用することができることもまた、企図されている。
【0087】
プレジェット
一実施形態では、心尖部の送達システムの進入位置で組織が裂開する可能性を制御するために、円形、半円形または多部品プレジェットが使用される。プレジェットは、PFTEフェルトなどの半剛性材料から作製することができる。送達システムが心尖部を穿刺する前に、心尖部が中心に位置するように、フェルトを心臓に確実に取り付ける。次に、送達システムを、プレジェットの中心部、またはオリフィスを通して適宜導入する。このようにして配置され、取り付けられると、プレジェットは心尖部の裂開の可能性を制御するように作用する。
【0088】
歯/棘
別の実施形態では弁は、歯または棘を使用して弁輪内に据え付けることができる。これらは、1つまたは複数のテザーとともに、または1つまたは複数のテザーの代わりに使用することができる。歯または棘は、隣接する組織への取り付けを行うように位置している。1つの好ましい実施形態では、歯は任意でステントとカフとの間の湾曲/移行領域の周りに周方向に位置する。そのような歯は、バルーン・カテーテルの使用など、機械的手段によって、環状組織内に押し込まれる。1つの非限定的な実施形態では、歯は、任意で、ステント本体が拡張すると、環状組織を確実に穿通し、その中に回転し、保持する、半円形のフックとすることができる。
【0089】
安定化させた組織または生体適合性材料
一実施形態では、複数のタイプの組織および生体適合性材料を使用して、カフを覆い、弁葉を形成し、ワイヤレス弁葉アセンブリを形成し、および/またはステントの内側および/または外側側壁を裏打ちすることができることが、企図されている。上記で述べたように、弁葉部品は、ワイヤを使用せず、安定化させた組織のみから、弁葉アセンブリおよび弁葉を形成するように作製することができる。この態様では、組織のみの弁葉部品を、ワイヤ・フォームを使用して、またはワイヤ・フォームを使用せずに、ステントに取り付けることができる。好ましい実施形態では、1、2、3または4弁葉のいずれか、または弁尖を設けることができる。
【0090】
組織を使用して、ステント本体の内側、ステント本体の外側、およびカフ・ワイヤ・フォームの上側および/または下側、またはそれらの組み合わせを覆うことができることが、企図されている。
【0091】
1つの好ましい実施形態では、本明細書で使用される組織は、任意で、生物学的組織であり、ブタなどの動物の化学的に安定化させた弁とすることができる。別の好ましい実施形態では、生物学的組織を使用して、金属フレームに縫い付けられ、または取り付けられた弁葉を形成することができる。この組織は、ウシ(ウシ心膜)またはヒツジ(ヒツジ心膜)またはブタ(ブタ心膜)またはウマ(ウマ心膜)などの、動物の化学的に安定化させた心膜組織である。
【0092】
好ましくは、組織はウシ心膜組織である。適切な組織の例は、Duraguard(登録商標)、Peri−Guard(登録商標)およびVascu−Guard(登録商標)の製品で使用されるものを含み、すべての製品は現在、手術で使用されており、一般に30月齢未満のウシから採取されて販売されている。例えば、Blockの米国特許第5,554,185号、カバーされたステントアセンブリを開示するDesign&Performance−Cyprus Limitedの米国特許第7,108,717号、植込みのための生体弁を開示するScimed Life Systems, Inc.の米国特許第6,440,164号、および移植のための細胞コラーゲンを基にした組織マトリクスを開示するLifeCell Corporationの米国特許第5,336,616号を含む、他の特許および公報は、植込み可能なステントのための生体適合性「ジャケット」またはスリーブとして本明細書で適切とされている、採取された生体適合性の動物の薄片組織の手術での使用を開示している。
【0093】
1つの好ましい実施形態では、弁葉は任意でポリウレタンまたはポリテトラフルオロエチレンなどの合成材料から形成することができる。例えばカフを覆うために、薄く耐久性のある合成材料が企図されている場合、拡張ポリテトラフルオロエチレンまたはポリエステルなどの合成ポリマー材料を任意で使用することができる。他の適切な材料は、任意で、熱可塑性ポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレタン、セグメント化ポリエーテルウレタン、シリコーンポリエーテルウレタン、シリコーン−ポリカーボネートウレタンおよび超高分子量ポリエチレンを含むことができる。別の生体適合性ポリマーは、任意で、ポリオレフィン、エラストマー、ポリエチレン−グリコール、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、他のフッ素重合体、シリコーンポリエステル、シロキサン重合体および/またはオリゴマーおよび/またはポリラクトン、およびこれを使用するブロック共重合体を含むことができる。
【0094】
別の実施形態では、弁葉は任意で、限定はされないが、固定化ヘパリンなどの抗凝固剤で処理した(反応させた)表面を含むことができる。そのような現在利用可能なヘパリン化された重合体は既知であり、当業者が利用可能である。
【0095】
あるいは、弁葉は任意で心膜組織または小腸粘膜下組織から形成することができる。
【0096】
安定化させた超薄組織の製造
好ましい実施形態では、蒸気架橋した超薄の安定化させた生体弁または植込み組織材料が、企図されている。(a)組織標本をアルデヒド、エポキシド、イソシアナート、カルボジイミド、イソチオシアナート、グリシジルエーテルおよびアシルアジドからなる群から選択される架橋剤の蒸気に曝露することによって、消化前の圧縮された組織標本を蒸気架橋させるステップ、および(b)蒸気架橋された組織標本を、アルデヒド、エポキシド、イソシアナート、カルボジイミド、イソチオシアナート、グリシジルエーテルおよびアシルアジドからなる群から選択される架橋剤の液体相を含む架橋浴などの水性架橋浴に、あらかじめ定められた時間にわたって曝露することによって、化学的に架橋するステップを含む方法を使用して、0.003インチ(0.0762mm)〜約0.010インチ(0.254mm)を有する組織を形成することができる。[para15]そのような組織は、ブタ、ヒツジ、ウマまたはウシ由来とすることができ、好ましくは初期材料は30日齢以下のウシから採取されるが、それより成長した動物からの組織も、本発明の範囲内として企図されている。1つの好ましい実施形態では、組織標本は、架橋前に化学的脱水/圧縮および機械的圧縮を施す。
【0097】
前消化は、1%ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を含む溶液に、採取した清浄した心膜組織を温浸することによって行われる。化学的脱水/圧縮ステップは、組織標本を高浸透圧食塩溶液に浸けることを含む。さらに、機械的圧縮は、組織標本を約0.003インチ(0.0762mm)〜約0.010インチ(0.254mm)の厚さに圧縮することができるローラー装置にかけることによって、実施することができる。
【0098】
次いで動物コラーゲン組織標本を、最初に組織をホルムアルデヒド蒸気に約10分間暴露し、次に組織をグルタルアルデヒド溶液に、約24時間ずつ連続2セッション浸漬することによって、化学的に架橋する。
【0099】
回収システム
別の実施形態では、最小侵襲心臓カテーテル技術を使用して、手術による展開を中止するとき、人工弁を迅速に除去するための回収システムが企図されている。この実施形態では、テザーは、スネア取付具を有するカテーテルによって捕えられる。テザーが捕えられると、心室内漏斗型取付具が、テザーを引っ張ることによって、したがって、その後で取り出すために、圧縮された人工弁を除去カテーテル内まで引っ張ることによって、人工弁を折りたたまれた圧縮構造に導く。
【0100】
本発明の主題の理解をより助けるために、以下の用語をより詳細に定義する。
【0101】
図の説明
ここで図を参照すると、図1は、一端ではテザー取付構造114を有し、他端では管状ステント112がカフ116に取り付けられている管状ステント112を含む、本発明による人工心臓弁110の一実施形態を示す。弁葉アセンブリ118(図示せず)がステント112内に配設され、弁葉120(同じく図示せず)を支持する。カフ116は、独立した連接するワイヤのループ122およびカバー124を有する。
【0102】
上記のように、管状ステント112は、拡張可能なレーザ切断ステントまたは拡張可能な編組ステントとすることができる。管状ステント112は、マルテンサイトまたは超弾性金属合金から作製することができる。管状ステント112は、その長手方向軸に沿って圧縮することができ、カテーテルに基づいたステント送達システムに嵌め込まれる。管状ステント112が固定される位置に送り込まれると、管状ステント112は塞栓子によってカテーテルから押し出され、展開される場所に配設される。
【0103】
管状ステント112は、テザー(図示せず)を結合することができる複数のテザー取付具114を含む。図1は、ステント112の遠位部に組み込まれた3つのテザー取付具を有する実施形態を示す。
【0104】
弁葉アセンブリ118は、ステント112内に配設された、別個であるが組み込まれた構造である。弁葉アセンブリ118は、弁葉または弁尖120を置く構造を提供するように機能する。弁葉アセンブリ118は、安定化させた組織から完全に形成することができ、またはワイヤと組織構造との組み合わせとすることもできる。弁葉アセンブリ118が、組織から完全に形成される場合、弁葉アセンブリ、弁葉支持構造および弁葉または弁尖120が組織から形成されることが企図されている。異なる品質、すなわち薄型または厚型、構造的に剛性または可撓性の安定化させた組織を適宜、カフカバー124、ステントカバー、弁葉アセンブリ118および弁葉120という様々な部品に使用することができることが、本発明の範囲内として企図されている。弁葉アセンブリ118がワイヤおよび組織から構成される場合、アセンブリまたは支持体、またはその両方をワイヤから形成することができ、弁尖120は必然的に組織から形成されることが企図されている。
【0105】
人工心臓弁110はまた、カフ116を含む。図1は、一実施形態では、安定化させた組織124によって覆われるカフ・ワイヤ・フォーム122から形成されたカフ116を示す。一実施形態では、カフ・ワイヤ・フォームは、ステント自体の延長であり、ステントが、カフの平坦なカラープレートの細長いスピンドルを形成するように、型の上で加熱され、操作されたものである。別の実施形態では、カフ・ワイヤ・フォーム122は、ステント112と別個に形成され、内側縁130および外側縁132を含むように作製された平坦なカラープレートとして取り付けられ、ローブまたはセグメントを形成する独立したワイヤのループ122が、内側縁の外周の周りの、カフ116が管状ステント112と交わる連結部130で、軸方向に延びている。
【0106】
ここで図2を参照すると、図2Aのカフカバー124を示す、部品分解図が示されている。図2Bでは、ワイヤ・カフ・ループすなわちスピンドル122が、ステント本体112およびテザー取付具114とともに図示されている。カフカバー124の安定化させた組織とワイヤ・カフ・スピンドルとの組み合わせが、カフ構造を構成し、カフを心房肉柱と僧帽弁輪内の僧帽弁輪内およびそれに隣接する組織とに接して封止する助けとなる半剛性のフォームを形成する。
【0107】
ステント本体を参照すると、レーザ切断ステント技術および/または編組ステント技術の両方を含むことが、本発明の範囲内として企図されている。カフ・ワイヤ・フォーム122が単に編組ステントの延長であり、一体成形のステント−カフ構造を形成する場合、スピンドルは、カフまたはカラー部分を形成するのに必要な適正な延長および角度を形成するように、ニチノール(商標)ステントをモールド上で加熱することによって形成される。
【0108】
ステントがレーザ切断される場合、カフ・ワイヤ・フォーム122は、一体成形のレーザ切断されたステント−カフ構造として製造することができる。この実施形態では、カフ・ワイヤ・フォームおよびステントは、同じ全体的製造工程内でレーザ切断される。カフ・ワイヤ・フォームがステントとは別個に形成され、平坦なカラープレートとして取り付けられる場合、カフ・ワイヤ・フォームおよびステントは、別個に製造/レーザ切断し、展開されながら弾性コンプライアンスを維持することが可能な、疲労しない弾性ステント−カフ連結を形成するように、レーザ溶接または他の同様の技術を使用して、取り付けることができる。
【0109】
上記のように、縁は、ステントの最上部分の形状および角度を変えるようにステントが加熱され、または弁が全体的なワイヤ・フォームを形成するようにレーザ切断された、ステントとカフとの間の人工的な移行部から構成することができ、または、縁は、2つの部品を取り付けるためのレーザ溶接された連結部などの移行部から構成することができる。
【0110】
カフが安定化させた組織124によって覆われると、ループ122によって、カフ116は、ステントの長さ方向の軸によって定義される長手方向軸に沿って上下に移動し、または撓むことが可能になる。上記のように、この可撓性またはコンプライアンスによって、人工心臓弁、特にカフは、患者の心臓内で展開されると、左心房の解剖学的形状に一致し、一致した形状を心周期中に維持することが可能になり、僧帽弁開口部に隣接する心房組織に対する密封を形成する。この特徴によって、術前の僧帽弁のサイジングを伴うことが多い当て推量が少なくなり、またはなくなる。これにより、より良い嵌合を行うことによって、植え込まれた人工心臓弁の周りでの血液の漏出が必然的に防止される。
【0111】
カフ組織126は薄く、耐久性があり、カフ116の上側、下側、またはその両方に取り付けることができる。
【0112】
ここで図2Cを参照すると、ステント・ライナー128が組織から形成されており、任意で弁葉を支持するように機能することができる。このライナーは、本明細書で開示された組織または生体適合性材料から形成されることが企図されている。ステントは任意で内側ステント・ライナーおよび/または外側(表面)ステント・ライナーを含むこともできる。図2Dは、弁葉120から形成された二部品構造の一実施形態の斜視図である。この実施形態では、弁葉構造は、僧帽弁の形状である、構造的完全性の1つの特定の形態をもたらす双曲放物面を構成する「鞍型」を有する人工心臓弁として示されている。
【0113】
ここで図3A〜Eの分解図を参照すると、カフカバー124が図3Aに示されている。ステント本体112およびカフ・スピンドル122は、図3Bに示されている。図3Cは、組織から形成され、任意で弁葉を支持することができるステント・ライナー128を示す。図3Dは、弁葉120から形成された二部品構造の一実施形態の斜視図であり、僧帽弁の形状である「鞍型」を有する人工心臓弁として示されている。
【0114】
図3Eは、弁葉120のための構造ワイヤ支持体126の使用を示す。この弁葉構造ワイヤ支持体はまた、人工心臓弁が、圧縮された保管形状から最終的な機能的形状に拡張されると、弁葉の適正な向きを助けるために、ばね様の張力を与える。図3Eは、3つの交差部146(交連部先端)および弁葉構造ワイヤ支持体126の(本実施形態の)3つのアーチ形ワイヤ148を示す。弁葉ワイヤ・フォームは好ましくは、最終形状に成形され、捻じられ、および/または操作された単一のワイヤとして構成される。別の実施形態では、弁葉ワイヤ・フォームは、例えばレーザ溶接によって取り付けられた、一連のワイヤである。一実施形態では、交差部146は、ステントから独立して動く。具体的には、弁葉アセンブリの交差端部を、上側部分を除いて、ステントに取り付けないことができる。内向きに撓むことが可能で、より重要なことには、外向きに拡張することが可能な、取り付けられていない交差部を有することによって、弁葉ワイヤ・フォームは、圧縮されたとき折りたたまれ、展開されたとき拡張することが構造的に可能になる。互いに独立して圧縮し、拡張することが可能であることによって、組織への機械的ストレスが軽減される。
【0115】
ここで図4を参照すると、図4は、カフ116の内側縁130および外側縁132を示す。スピンドル122は、外側縁128と内側縁130との間に示されている。弁葉120は、内側縁130内に示されている。
【0116】
図5は、カフの底面を示すように、本発明による人工弁の一実施形態の水平面よりわずかに下から見た側面図を示す。図5は、ステント112の遠位端から突出する、テザー138を取り付けるための3つのテザー取付構造114を有するステント112を示す。
【0117】
図5は、カフ116が、ステント112から加熱および成形によって形成される実施形態の例を示す。
【0118】
図6は、カフ116およびステント112が2つの連結部品から形成される、実施形態の例を示す。図6はまた、テザー138が、弁葉アセンブリまたは弁葉ワイヤ・フォーム148および146(図示のために示すが、例えばライナーなどの組織または合成材料を通して見ることができない)には取り付けられていないが、テザー138が、ステント112、カフ116の基部、カフ116の上側部分、またはこれらの組み合わせに取り付けられていることが企図されている。
【0119】
ここで図7を参照すると、カフ・スピンドルがサイズおよび形状の設計を変えることができる例が示されている。図7は、カフ・ワイヤ・フォーム122、カフ組織カバー124、テザー138、管状ステント112、テザー取付具114およびテザー138を含む可撓性送達カテーテルから十分に押し出され、完全に拡張された人工弁110を示す。図7は、スピンドルが1つおきに隣より長く、交互パターンを示すものである。これは、人工弁を弁輪に向かって、弁輪内で、調整し、または移動し、そこで人工弁を定位置に据え付け、調整し、締結して展開を完了させるために、テザー138を引っ張り、短くする方法とあわせて、様々なカフ設計のさらなるカバーおよびコンプライアンスの利点をもたらす。図7はまた、テザー138が、この実施形態では、弁葉アセンブリまたは弁葉ワイヤ・フォーム148および146に取り付けられていないことも示す(図示のために示すが、例えばライナーなどの組織または合成材料を通して見ることができない)。
【0120】
図8は、スピンドルが交互ではなく、各側の2つのスピンドルが人工弁のための細長いカフを形成し、これにより利点がもたらされる、本発明の1つの好ましい実施形態の別の変形例を示す。
【0121】
図9は、左心房の内部から左心室を見下ろすように三葉構造156の上面図を示し、僧帽弁輪内で密封を形成するように据え付けられ、調整された、完全に拡張された人工心臓弁110を示す。図9はまた、弁葉120、カフ116および独立したワイヤのループ122も示す。
【0122】
ここで図10を参照すると、カフの様々な位置、例えば角度を形成するために、カフおよびステント本体をどのように形成することができるかが示されている。カフ116とステント112との間の角度関係は、人工心臓弁を僧帽弁開口部に対して封止し、漏出を防ぐように機能する。図10Aは、一実施形態では、カフの角度はより鋭角の逆漏斗形の角度を含むこともできることを示す。限定はされないが、一例では、角度は60度である。図10Bは、ほぼ垂直な角度を示す。図10Cは、ステントの長手方向軸に対して、より鈍角の漏斗形の角度、例えば150度を示す。
【0123】
図11は、歯または棘が、僧帽弁輪または三尖弁輪などの組織への取り付けをどのように容易にすることができるかを示す。図11は、カフがステント本体と交わり、またはステント本体に移行する、人工弁のネックに棘158が取り付けられている、ステント本体112に取り付けられたカフ116を示す。
【0124】
図12A〜Bは、特定の形態のフック状の棘158を示し、フック状の棘は、棘とステント本体との間に開口が形成されるように調整されており、術者が弁輪組織を、弁の据え付けを助けるように方向付ける。人工弁110がそこに置かれると、バルーン・カテーテルまたは他の拡張手段をステント112内に挿入して内径を拡張し、それにより、フック状の棘158をステント112に向かって内向きに後方へ回転させ、弁輪組織をステント本体に捕え、固定する。
【0125】
図13は、ステント本体のテザー138の取付具114に加えて、任意のカフ−テザー取付具162によってカフ部分116に取り付けられたテザー160を示す、本発明による人工弁を示す。外科医が、ステント形状に対するカフ形状の制御、調整、締結が可能になることによって、従来技術ではこれまで利用可能であると知られていなかった多くの選択肢が提供される。
【0126】
ここで図14を参照すると、人工弁を圧縮し、人工弁を心臓に挿入するために使用される、本明細書で記載された機器の1つの好ましい実施形態の図が示されている。図14は、漏斗型圧縮具142、イントロデューサ144、スネア150、可撓性展開カテーテル134、カテーテル・インサート152および塞栓子136を示し、その実施が図15でさらに説明される。
【0127】
ここで図15A〜Fを参照すると、本発明による人工弁のための送達システムのアセンブリの一実施形態の一連の図が示されている。図15A〜Fは、人工弁を可撓性送達カテーテル内に取り付ける方法を示すことによって、心臓に植え込むための人工弁の準備を示す。図15Aは、イントロデューサ144を圧縮漏斗142に取り付ける最初のステップを示す。図15Bは、テザー138を圧縮漏斗142に引っ張り、イントロデューサ144に通すスネア150を示す。図15Cは、圧縮漏斗142内に引き込まれる直前に、テザー138を使用してイントロデューサ144内に後方へ引っ張られている人工弁110を示す。図15Dは、イントロデューサ144の後面から延びる繋留テザー138によって、イントロデューサ144内に挿入された人工弁110(図示せず)を示す。図15Eおよび15Fは、圧縮された人工弁110(図示せず)を可撓性送達カテーテル132内に導入し、または挿入するために、イントロデューサ144に取り付けられている可撓性送達カテーテル132を示す。まとめると、図15は、イントロデューサ144に取り付けられた漏斗型圧縮具142に、スネア150を使用して通されたテザー138を有する人工弁110を示す。テザー138を引っ張ると、人工弁110は漏斗142によって機械的に圧縮され、イントロデューサ144内に挿入される。次いで、イントロデューサ144は、送達カテーテルに取り付ける準備のために送達カテーテル132内に挿入される。次いで、イントロデューサおよび送達カテーテルよりわずかに小さい直径を有する塞栓子136が、圧縮され、テザーの付いた人工弁を送達カテーテルに押すために、イントロデューサの後面部分に挿入される。この工程は、弁を患者に固定する直前に、手術室で実施されることが企図されている。別の実施形態では、既製のあらかじめ充填されたカテーテル/弁送達システムが提供される。
【0128】
ここで図16を参照すると、送達カテーテル134内に配設された、本発明による圧縮された人工弁110を含む、カテーテル送達システム132の詳細な断面図が示されている。図16は、圧縮された弁110から出ているテザー138をさらに含む、ステント112に取り付けられたカフ116を有する人工弁110を示す。
【0129】
図17は、本発明による人工心臓弁を含み、心尖部アプローチを使用して心臓にアクセスしている送達カテーテルとともに示す、心臓の断面図である。心臓、および僧帽弁以外の弁への他の手術アプローチも、本明細書に記載された本発明の主題の範囲内として企図されている。図17は、人工弁110の展開のために、僧帽弁を通り、左心房内に進められた送達カテーテル134を示す。
【0130】
図18A〜Dは、本発明による人工弁の一実施形態の展開の一連の図である。図18A〜Dは、送達カテーテルから、すなわち塞栓子によって、押し出されるあらかじめ取り付けられた人工弁を含む、本発明による送達カテーテルの一実施形態の先端の一連の図であり、(A)弁が完全にカテーテル内にあり、(B)カフ部分が見えており、(C)ステント本体が後に続き、(D)弁を組織に配置および/または調整および/または固定するためのテザーが人工弁に取り付けられている図である。図18A〜Dは、人工弁110が可撓性展開カテーテル134からどのように展開されるかを示す。図18Bは、カテーテル134から現れるカフ116を示す。図18Cは、一部が送達カテーテル134から押し出されたカフ116およびステント112を示す。図18Dは、送達カテーテル134から完全に押し出された人工弁を示し、テザー138がステント本体に取り付けられ、カテーテル内に続いている。図18Dはさらに、ステント112に取り付けられたテザー138を示し、送達カテーテル134が例えば心房などの対象部位から引き戻されると、人工弁110がここで拡張され、送り込まれる(が、配置または調整されていない)。
【0131】
ここで図19を参照すると、図19は、心臓の左心室心尖部に取り付けられたテザー138を有する、心臓の左僧帽弁に固定された、完全に展開された人工心臓弁110の図を示す。この実施形態では、テザー138は、心筋を通って延び、ここでは心外膜面に置かれてテザーが締結されたプレジェットとして示す、固定デバイス140に取り付けられている。
【0132】
この実施形態では、プレジェット140は、テザー138が取り付けられる繋留具としての機能を実施する。テザー138は、左心室心尖部を通って繋がれ、人工弁110を心房弁の領域に据え付けるように、下向きに引っ張れられる。完全に固定された人工弁が、カフ116によって左心房内に保持され、テザー138によって心臓の心尖部に固定される。テザーは、本発明のこの態様では、テザーが、結び目を結ぶことによって、または留め付け部によって、通され固定されたプレジェット140である、固定デバイスによって定位置に保持することができる。
【0133】
ここで図20を参照すると、心臓の僧帽弁開口部内で展開され、代替実施形態では、(A)心房カフによって据え付けられ固定された位置と、(B)1つまたは複数の組織固定繋留具、繋留デバイス、または繋留方法によってそれぞれが固定されている、乳頭筋166に結合された心室テザーおよび/または心室壁および/または中隔164に取り付けられたテザーとの間で繋留された、本発明による人工心臓弁の一実施形態の(心臓の)詳細な断面図を示す。
【0134】
図21A〜Bは、人工弁110の展開後に、テザー138を心臓の心尖部でどのように結び付けるかを示す。図21Aは、部分的に固定された心尖部閉鎖/組織強化材料158を有する縫合糸156とともに、左心室心尖部に挿入された可撓性送達カテーテル134を示す。図21Bは、心室テザー138が、左心室心尖部および部分的に固定されたプレジェット140に通されて示されている人工弁の繋留システムを示し、完全に固定された心尖部縫合糸−閉鎖材料156/158も示されている。組織強化材料は、一実施形態では任意でプレジェット・フェルトとすることができる。
【0135】
ここで図22A〜Bを参照すると、図22A〜Bは、本発明による人工弁の一実施形態の側方展開の一対の図であり、心臓の左心室の側壁を通って、側方経心室壁アプローチを使用して、左心室を通って左心房にアクセスした人工弁送達カテーテルを示す。図22A〜Bは、(A)人工弁を左心房内に配設するように、心臓の左心室の側壁を通る側方経心室壁アプローチを使用して、左心室を通って左心房にアクセスし、テザーを調整するために送達カテーテルを引き戻し、(B)弁を僧帽弁輪内で調整し展開する、人工弁送達カテーテルを示す。
【0136】
図22Bは、僧帽弁輪内に据え付けられ、この実施形態では、左心室内の乳頭筋テザー166を有する人工心臓弁110の図である。図22Bはまた、ここでは任意で、ステントからカフ158への移行位置およびカフ168自体のいずれかの位置の両方に示す、弁輪棘158を示す。
【0137】
図23は、本発明による人工心臓弁を含み、心尖部アプローチを使用して心臓の右心室にアクセスしている送達カテーテルとともに示す、心臓の断面図である。図23は、人工心臓弁を展開するために三尖弁を通り、右心房に進められている送達カテーテルを示す。
【0138】
ここで図24A〜Bを参照すると、リングまたはハロー特徴154を有する人工弁110の実施形態が示されている。図24Aは、カフ116の底面およびハロー特徴154を示すように、本発明による人工弁の一実施形態の水平面よりわずかに上から見た底面図である。図24Bは、カフ116の上面を示すように、本発明による人工弁の一実施形態の水平面よりわずかに上から見た上面図である。
【0139】
図24A〜Bは、弁葉アセンブリ118のアーチ形ワイヤ148の交差部146に取り付けられたリングまたはハロー特徴154を有する人工弁の実施形態を示す。
【0140】
本明細書で述べた引用例は、特に当業者のレベルの教示および記載された発明の主題を一般人が理解するために必要な開示に関する場合、その全体が本明細書に援用される。上記の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、改変することができ、またはごくわずかな変更を行うことができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフおよび拡張可能な内部弁葉アセンブリを有する拡張可能な管状ステントを含み、前記カフが安定化させた組織または合成材料で覆われたワイヤから構成され、前記弁葉アセンブリが前記ステント内に配設され、安定化させた組織または合成材料から構成される、人工心臓弁。
【請求項2】
弾性的なものであり、患者の体内で展開するために送達カテーテル内に圧縮され、前記送達カテーテルから押し出されるとその機能的形状に拡張する、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項3】
前記カフワイヤが前記ステントの一端からのワイヤを含み、前記カフワイヤが一連の径方向に延びるループとして形成されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項4】
前記カフの前記径方向に延びるループが超弾性金属から形成され、弁輪に局所的に沿うように連接する、請求項3に記載の人工心臓弁。
【請求項5】
前記径方向に延びるループの1つまたは複数が様々な長さで外向きに延びる、請求項4に記載の人工心臓弁。
【請求項6】
前記超弾性金属がニッケル−チタン合金である、請求項4に記載の人工心臓弁。
【請求項7】
前記ステントおよびカフが超弾性金属の同じ部品から形成される、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項8】
前記超弾性金属がニッケル−チタン合金である、請求項7に記載の人工心臓弁。
【請求項9】
前記ステントおよびカフが、カテーテル送達システム内に容易に折りたためるようにあらかじめ定められた形状でレーザ切断される、請求項7に記載の人工心臓弁。
【請求項10】
前記ステントが、前記弁が弁輪に配置された後で拡張させるためのバルーンを必要とする可鍛性の金属から作製される、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項11】
前記安定化させた組織が、30日齢のウシ、ヒツジ、ウマまたはブタの心膜、または動物の小腸粘膜下組織から採取される、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項12】
前記合成材料が、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項13】
前記安定化させた組織または合成材料が抗凝固剤で処理されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項14】
前記安定化させた組織または合成材料がヘパリン化されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項15】
前記カフの前記ステントに対する角度が約60〜約150度を含む、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項16】
前記拡張され展開されたステントの高さ(h)と心臓組織上に延びる前記カフの横方向距離(l)との間の関係の比が、約1:10〜約10:1である、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項17】
前記カフが、前記拡張された管状ステントの壁を超えて横方向に約8〜約20ミリメートル延びる、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項18】
前記管状ステントが第1の端部および第2の端部を有し、前記カフが前記管状ステントの前記第1の端部で前記管状ステントに結合され、前記管状ステントの前記第2の端部が複数のテザー取付構造を有する、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項19】
人工心臓弁を組織に繋留するために、複数のテザーがさらに取り付けられている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項20】
前記複数のテザーの少なくとも1つが弾性テザーである、請求項19に記載の人工心臓弁。
【請求項21】
前記複数のテザーの少なくとも1つが生体再吸収性テザーである、請求項19に記載の人工心臓弁。
【請求項22】
前記複数のテザーの少なくとも1つが配置テザーであり、前記複数のテザーの少なくとも1つが繋留テザーである、請求項19に記載の人工心臓弁。
【請求項23】
前記カフが複数のテザーに結合されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項24】
前記複数のテザーの少なくとも1つが弾性テザーである、請求項23に記載の人工心臓弁。
【請求項25】
前記複数のテザーの少なくとも1つが生体再吸収性テザーである、請求項23に記載の人工心臓弁。
【請求項26】
前記複数のテザーの少なくとも1つが配置テザーであり、前記複数のテザーの少なくとも1つが繋留テザーである、請求項23に記載の人工心臓弁。
【請求項27】
前記カフに取り付けられた少なくとも1つのテザーと、前記ステント本体に取り付けられた少なくとも1つのテザーとをさらに含む、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項28】
前記複数のテザーの少なくとも1つが弾性テザーである、請求項27に記載の人工心臓弁。
【請求項29】
前記複数のテザーの少なくとも1つが生体再吸収性テザーである、請求項27に記載の人工心臓弁。
【請求項30】
前記複数のテザーの少なくとも1つが配置テザーであり、前記複数のテザーの少なくとも1つが繋留テザーである、請求項27に記載の人工心臓弁。
【請求項31】
複数のテザーがさらに取り付けられており、前記複数のテザーの1つが心外膜テザー固定デバイスに取り付けられている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項32】
前記複数のテザーの少なくとも1つが弾性テザーである、請求項31に記載の人工心臓弁。
【請求項33】
前記複数のテザーの少なくとも1つが生体再吸収性テザーである、請求項31に記載の人工心臓弁。
【請求項34】
弁を局所組織内に繋留するために、複数の繋留棘がさらに取り付けられている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項35】
弁を局所組織内に繋留するために、繋留テザーおよび繋留棘の組み合わせがさらに取り付けられている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項36】
少なくとも1つの配置テザーがさらに取り付けられている、請求項35に記載の人工心臓弁。
【請求項37】
前記繋留テザーの少なくとも1つが弾性テザーである、請求項35に記載の人工心臓弁。
【請求項38】
前記繋留テザーの少なくとも1つが生体再吸収性テザーである、請求項35に記載の人工心臓弁。
【請求項39】
前記弁葉アセンブリが別個のワイヤ支持構造を使用せず、安定化させた組織または合成材料のみから作製され、前記弁葉アセンブリが、弁葉ハウジングに取り付けられた複数の弁葉を含み、前記弁葉アセンブリが、前記弁葉アセンブリと前記ステントの内壁との間の封止結合を形成するように、前記ステントの管腔内に配設され、前記ステントに取り付けられている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項40】
前記弁葉アセンブリが、複数の弁葉が取り付けられる弁葉ワイヤ支持構造を含み、前記弁葉アセンブリ全体が前記ステント本体内に収容され、前記弁葉が安定化させた組織または合成材料から形成され、前記弁葉ワイヤ支持体が超弾性金属から形成され、前記弁葉アセンブリが、前記弁葉アセンブリと前記ステントの内壁との間の封止結合を形成するように、前記ステントの管腔内に配設され、前記ステントに取り付けられている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項41】
前記弁葉アセンブリが、交連部を画成する双曲放物形状を有するように成形されている、請求項39または40のいずれかに記載の弁葉アセンブリ。
【請求項42】
前記弁葉アセンブリの前記交連部に取り付けられた少なくとも1つのテザー、および前記ステント本体、前記カフ、またはその両方に取り付けられた複数のテザーをさらに含む、請求項41に記載の弁葉アセンブリ。
【請求項43】
安定化させた組織または合成材料で覆われた超弾性金属から形成される連接構造を有する、人工心臓弁のためのカフ。
【請求項44】
前記連接構造が、複数の径方向に延びるループを含む、請求項43に記載のカフ。
【請求項45】
前記径方向に延びるループが様々な長さで外向きに延びる、請求項44に記載のカフ。
【請求項46】
前記超弾性金属がニッケル−チタン合金である、請求項43に記載のカフ。
【請求項47】
前記安定化させた組織が30日齢のウシ、ヒツジ、ウマまたはブタの心膜、または動物の小腸粘膜下組織から採取される、請求項43に記載のカフ。
【請求項48】
前記合成材料が、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される、請求項43に記載のカフ。
【請求項49】
前記安定化させた組織または合成材料が抗凝固剤で処理されている、請求項43に記載のカフ。
【請求項50】
前記安定化させた組織または合成材料がヘパリン化されている、請求項43に記載のカフ。
【請求項51】
中に配設された請求項1の前記人工心臓弁および前記人工心臓弁を押し出すための塞栓子を有する送達カテーテルを含む、請求項1の前記人工心臓弁を送り込むためのカテーテル送達システム。
【請求項52】
圧縮漏斗、イントロデューサ、ワイヤ・スネア、塞栓子、送達カテーテルおよび請求項1の人工心臓弁から構成される、請求項51の前記カテーテル送達システムを準備するためのアセンブリ・キットであって、前記圧縮漏斗が前記イントロデューサに取り付けるための開口部を有し、前記イントロデューサが前記送達カテーテルの直径内に嵌合する管から構成され、前記塞栓子が一端がハンドルおよび他端がキャップに嵌合する管から構成され、前記キャップが前記ワイヤ・スネアを通過させることができる開口を有し、前記塞栓子が前記イントロデューサの直径内に嵌合し、前記人工心臓弁が前記送達カテーテル内で圧縮可能であり嵌合するアセンブリ・キット。
【請求項53】
患者の僧帽弁逆流を治療する方法であって、請求項1の前記人工心臓弁を前記患者の僧帽弁輪に外科的に展開するステップを含む方法。
【請求項54】
心尖部アプローチを使用して、肋間腔を通して心臓に直接アクセスし、左心室に進入し、前記人工心臓弁を、請求項51の前記カテーテル送達システムを使用して僧帽弁輪内に展開することによって前記人工心臓弁が展開される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
開胸術、胸骨切開または最小侵襲的胸椎、胸腔鏡または経横隔膜アプローチによって心臓に直接アクセスして左心室に進入することによって前記人工心臓弁が展開される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
心室側壁を通るアプローチを使用して、肋間腔を通して心臓に直接アクセスし、左心室に進入することによって前記人工心臓弁が展開される、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記人工心臓弁が、経静脈心房中隔切開術アプローチを使用して、心臓の左心房にアクセスすることによって展開される、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記人工心臓弁が、経動脈逆行性大動脈弁アプローチを使用して、心臓の左心室にアクセスすることによって展開される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記人工心臓弁が、経静脈心室中隔切開術アプローチを使用して、心臓の左心室にアクセスすることによって展開される、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
請求項51の前記カテーテル送達システムを使用して、前記人工心臓弁を展開するステップをさらに含む、請求項53から59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記人工心臓弁を左心室内の組織に留め付けるステップをさらに含む、請求項53から59のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記人工心臓弁が、心外膜テザー固定デバイスを使用して、左心室の心尖部に留め付けられる、請求項53から59のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記組織が、乳頭筋組織、中隔組織または心室壁組織から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記人工心臓弁が心室中隔の心尖部に留め付けられる、請求項53に記載の方法。
【請求項65】
患者の三尖弁逆流を治療する方法であって、請求項1の前記人工心臓弁を前記患者の三尖弁輪に外科的に展開するステップを含む方法。
【請求項66】
心尖部アプローチを使用して、肋間腔を通して心臓に直接アクセスし、右心室に進入することによって前記人工心臓弁が展開される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
開胸術、胸骨切開または最小侵襲的胸椎、胸腔鏡または経横隔膜アプローチによって、心臓に直接アクセスし、右心室に進入することによって前記人工心臓弁が展開される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
心室側壁を通るアプローチを使用して、肋間腔を通して心臓に直接アクセスし、右心室に進入することによって前記人工心臓弁が展開される、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記人工心臓弁が、経静脈アプローチを使用して、心臓の右心房にアクセスすることによって展開される、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
請求項51の前記カテーテル送達システムを使用して、前記人工心臓弁を展開するステップをさらに含む、請求項65から69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記人工心臓弁を前記右心室内の組織に留め付けるステップをさらに含む、請求項65から69のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記人工心臓弁が、心外膜テザー固定デバイスを使用して、右心室の心尖部に留め付けられる、請求項65から69のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記組織が、乳頭筋組織、中隔組織または心室壁組織から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
1つまたは複数のテザーを有する人工心臓弁を、患者から迅速に除去するための回収方法であって、スネア取付具を有するカテーテルで前記1つまたは複数のテザーを捕えるステップと、前記捕えられたテザーを除去カテーテルに結合された圧縮可能な漏斗型取付具に導くステップと、前記人工心臓弁が折りたたまれ圧縮された構成になるように、前記テザーを引っ張るステップと、前記圧縮された人工心臓弁を、その後で取り出すために、前記除去カテーテルまで引っ張るステップとを含む回収方法。
【請求項75】
前記人工心臓弁が請求項1の前記人工心臓弁である、請求項74に記載の回収方法。
【請求項76】
1つまたは複数のテザー−組織繋留具を除去するステップをさらに含む、請求項74に記載の回収方法。
【請求項77】
前記人工心臓弁が人工僧帽弁である、請求項74に記載の回収方法。
【請求項78】
前記人工心臓弁が人工三尖弁である、請求項74に記載の回収方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【公表番号】特表2013−512765(P2013−512765A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543269(P2012−543269)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059582
【国際公開番号】WO2011/072084
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512149891)アヴァロン メディカル リミテッド (1)
【出願人】(512149905)コロラド ステイト ユニバーシティー リサーチ ファンデーション (1)
【Fターム(参考)】