説明

経内視鏡的医療具

【課題】マーカー等の部材をより容易かつ安全に射出することができる経内視鏡的医療具を提供する。
【解決手段】経内視鏡的に体腔内に挿入され、体腔内に部材を射出するためのマーカー留置具1は、内腔を有する可撓性のシース4と、シース4の先端側の内腔に突出して設けられ、シース4内に装填された部材がシース4外に脱落することを防止する弾性変形可能なストッパ6と、シース4に進退可能に挿通された、部材をシース4外に押し出して射出するための誘導ユニット3とを備え、ストッパ6は、内腔の全周にわたって連続しないように、内腔の一部領域のみに形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経内視鏡的に体腔内に挿入して、診断や治療等に使用する経内視鏡的医療具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、末梢肺癌等の患者は増加傾向にあり、これらの患者に対して、経内視鏡的な診断や処置を行うケースも増加している。このような疾病の治療においては、定位放射線治療が行われる例が増加しつつある。
【0003】
上述の定位放射線治療においては、特に肺のように呼吸等に伴って大きな動きを示す臓器の場合、放射線照射部を明確にするためにエックス線不透過性のマーカーが病変部近位の末梢気管支腔に嵌め込まれる等して留置される。そして、当該マーカーをターゲットとした照射対象組織の動体追跡を行いつつ、対象組織に対する放射線照射が行なわれる。
【0004】
上述のマーカーを留置するための医療具として、特許文献1に記載のものが知られている。この医療具では、シースにX線不透過材からなるX線マーカー部材が挿入され、留置部位でX線マーカー部材が基端側から誘導ユニットによって先端側に押し込まれる。X線マーカー部材が押し込まれると、内径が先細りに形成されたシースの先端開口部が弾性的に拡径し、先端開口部からマーカーが射出される。
【特許文献1】特許第3960904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の医療具では、略球状のマーカーが先端開口部の周方向の内面に全周にわたって接触するため、大きな摩擦力が発生する。その結果、先端開口部を変形させてマーカーを射出するためには、大きな力で誘導ユニットを押し込む必要がある。
【0006】
上記のような理由で、特許文献1に記載の医療具において、ユーザのマーカー射出動作は決して容易ではない。また、大きな力で誘導ユニットを押し込むと、マーカーが射出されるのに伴って、誘導ユニットの先端が予想以上にシースから突出することがあり、誘導ユニット先端の動作制御が困難となる場合があるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マーカー等の部材をより容易かつ安全に射出することができる経内視鏡的医療具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、経内視鏡的に体腔内に挿入され、前記体腔内に部材を射出するための経内視鏡的医療具であって、内腔を有する可撓性のシースと、前記シースの先端側の前記内腔に突出して設けられ、前記シース内に装填された前記部材が前記シース外に脱落することを防止する弾性変形可能なストッパと、前記シースに進退可能に挿通された、前記部材を前記シース外に押し出して射出するためのプッシャとを備え、前記ストッパは、前記内腔の全周にわたって連続しないように、前記内腔の一部領域のみに形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の経内視鏡的医療具によれば、シース内に装填された部材とストッパとが、シース内腔の全周にわたって当接しないので、部材のシース外への脱落を防止しつつ、大きな押し出し力量を必要とせずに、プッシャで容易に部材の射出を行うことができる。
【0010】
前記シースの先端側の外面には、前記内腔に連通する孔が形成されており、前記孔の周囲の前記外面が前記内腔に向かって突出することによって前記ストッパが形成されてもよい。この場合、シースに孔を形成することによって容易にストッパを設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の経内視鏡的医療具によれば、マーカー等の部材をより容易かつ安全に射出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1から図21(b)を参照して、本発明の第1実施形態の経内視鏡的医療具としてのマーカー留置具(以下、単に「留置具」と称する。)について説明する。
図1に示すように、本実施形態の留置具1は、外套管部2と誘導ユニット(プッシャ)3とを備えて構成されている。そして、外套管部2内に誘導ユニット3を挿入して、互いに進退自在かつ着脱自在に組み合わせ、この組み合わせ状態で患者等の体腔内へ、気管支鏡等の内視鏡を経由して挿通されるものである。
【0013】
外套管部2は、内視鏡の処置具用チャンネルに挿通可能な可撓性を有する、本体としての長尺なシース4と、シース4の基端側に設けられたコネクタ5とを備えており、図3 に示すようにシース4の基端部分にはコネクタ5が機械的に接続される。また、シース4の内腔とコネクタ5の内腔とは互いに連通している。
【0014】
外套管部2のシース4の先端側には、内腔に連通する孔4Aが形成されている。孔4Aの周囲に位置するシース4の壁面(外面)4Bは、図2に示すように内腔側に落ち込むように突出している。この壁面4Bは、後述するマーカーをシース4内に安定して収容させるためのストッパ6として機能する。壁面4Bは、ストッパとして機能させるために、壁面4Bの内腔側の最突出部における内径が、留置するマーカーの外径よりも小さくなるように突出長を調整する。
【0015】
なお、シース4を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系材料で形成すると、これら材料の有する繊維状の構造によって、針等を外面側から内腔に向かって貫通させて孔4Aを形成するだけで壁面4Bが内腔側に自然に折れ曲がるため、容易にストッパ6を形成することができる。
【0016】
誘導ユニット3は、先端作用部7とそれを操作する操作部8とが、長尺なコイル等からなる金属製のシース9を介して機械的に接続されて構成されている。
誘導ユニット3の操作部8とシース9とは、図3に示すように、操作部8から前方に延出して形成されたスライダーロッド10の先端にシース9が接続されることによって連結されている。
【0017】
スライダーロッド10には、複数の係合溝10a、10b、10cが所定の間隔をおいて形成されている。そして、各係合溝10a、10b、10cが、外套管部2のコネクタ5の内部に内腔側へ突出するように取り付けられた凸状部材11と係合することによって、誘導ユニット3が外套管部2に対して所定位置に係止固定される。
【0018】
凸状部材11は弾性材料等でリング状に形成され、スライダーロッド10との摺動、及び係合溝10a、10b、10cとの着脱自在な係合が可能である。したがって、操作部8全体を押し引きすることで、外套管部2に内設した凸状部材11に対し係合溝10a、10b、10cのいずれかが係合する。これによって、外套管部2に対する誘導ユニット3の係止位置として、第1位置、第2位置、及び第3位置から停止位置を選択できる、いわゆる3段クリック機構が構成されている。
【0019】
すなわち、図3に示す係止位置では、第1の係合溝10aに凸状部材11が係合しており、このとき、誘導ユニット3の先端にある先端作用部7は、図2のように外套管部2のシース4内に収納された状態となっている。この収納状態では誘導ユニット3の先端作用部7はシース4の内壁によって拘束されるため、シース4に沿うストレートな状態を呈している。
【0020】
また、図4に示すように、凸状部材11が最も手元側に位置する係合溝10cに係合した停止状態では、図5に示すように、誘導ユニット3の先端にある先端作用部7がシース4の先端から完全に突き出した状態になる。また、図6に示すように中間に位置する係合溝10bに凸状部材11が係合した停止状態では、図7に示すように先端作用部7の一部のみがシース4の先端から僅かに突き出した状態となる。
【0021】
以上説明したように、コネクタ5と各係合溝との係止位置と、先端作用部7とシース先端との相対位置関係とが、図3ないし図7に示した如く関連付けられるように、誘導ユニット3の長さや各係合溝10a、10b、10c間の距離等のパラメータが設定されている。なお、本実施形態では係合溝の数と設置位置は3ヶ所に等間隔で設けられているが、数と設置位置はスライダーロッド10の許容長さの範囲内で適宜変更されてもよい。
【0022】
図8に示すように、誘導ユニット3の操作部8には、スライダ12と指掛け用のリング13が設けられている。スライダ12には後述する操作ワイヤ14の基端が連結されている。この操作ワイヤ14はシース9の内部とスライダーロッド10の内部を通り先端に案内され、操作ワイヤ14の先端は誘導ユニット3の先端作用部7の可動部材に接続されている。
【0023】
図9に示すように、誘導ユニット3の先端作用部7は、先端部分が球状を呈した先端7Aと基部7Cとを直列に連結して構成されている。先端7Aと基部7Cとは支軸ピン15を介して連結されている。
【0024】
先端7Aと基部7Cとを枢着する支軸ピン15の位置は先端作用部7の中心に対して偏って配置されている。このため、先端作用部7の先端7A及び基部7Cは、図9における上方へ湾曲可能な湾曲部として構成されている。
なお、先端7Aと基部7Cとの連結部位を支軸ピン15ではなく、変形可能な薄肉部で連結するようにしてもよい。
【0025】
操作ワイヤ14は、シース9から基部7Cを経て先端7Aに至り、先端7Aに操作ワイヤ14の先端が接続されている。具体的には、先端7Aにはワイヤ接続ピン17が先端7Aの幅方向に略平行に設けられており、環状に形成された操作ワイヤ14の先端部分にワイヤ接続ピン17が挿通されることによって、両者が接続されている。
【0026】
そして、操作部8のスライダ12を前後に押し引き操作することによって操作ワイヤ14が進退して先端作用部7が湾曲される湾曲操作手段が構成されている。
つまり、スライダ12を手元側に引き、図9に示すように先端作用部7の先端7Aを操作ワイヤ14によって牽引すると、基部7Cに対し先端7Aが支軸ピン15を軸として回動して回動して先端作用部7が湾曲する。この屈曲(湾曲)の度合は、スライダ12の移動距離によって任意に調節することができる。
【0027】
上記のように構成された留置具1を用いて、内視鏡が到達できない気管支内病変部またはその近傍にX線マーカーを留置する際の動作について説明する。
まずユーザは、X線透視像等を用いて病変等の対象組織の位置を確認し、対象組織に向かって、気管支鏡の先端が進入できる部位まで先端を気管支内に進めていく。
【0028】
図10に示すように、気管支鏡100の先端が、進入できない程度に小さい内径の細気管支110の手前付近まで移動したところで、ユーザは気管支鏡100の鉗子口(不図示)から留置具1を気管支鏡100の処置具用チャンネルに挿入し、図11に示すように、先端を気管支鏡100の先端から突出させる。なお、留置具1は、気管支鏡100を体腔内に挿入する前に予め処置具用チャンネルに挿入しておいてもよい。
【0029】
続いてユーザは、X線透視下で留置具1を細気管支110内に進入させて、対象組織Tに接近させる。
このとき、誘導ユニット3の操作部8においてスライダ12を押し引きしながら、適宜先端作用部7を屈曲(湾曲)させ、進入すべき細気管支110を選択して先端作用部7を進入させていく。また、このとき、気管支鏡100の湾曲部100Aの湾曲操作を適宜組み合わせて留置具1のアプローチを行ってもよい。
【0030】
図12に示すように、誘導ユニット3の先端の先端作用部7が対象組織T付近のマーカー留置位置まで到達したところで、ユーザはシース4の先端をマーカー留置位置付近に残して誘導ユニット3を一端内視鏡から抜去する。そして、シース4基端のコネクタ5側から外套管部2の内腔にX線不透過材料からなる公知の生体内留置用球状マーカーを装填し、再度誘導ユニット3をシース4に挿入する。
【0031】
図13(a)は、シース4内に装填された部材である生体内留置用球状マーカー(以下、単に「マーカー」と称する。)101を示す図であり、図13(b)は図13(a)のA−A線における断面図である。外套管部2に装填されたマーカー101は、続いて挿入された誘導ユニット3によって、図14に示すようにシース4の先端側へと押し出されるように前進する。しかし、シース4の先端付近には、壁面4Bが内腔側に突出して形成されたストッパ6があるため、マーカー101は、その一部がストッパ6と当接して一旦停止する。これにより、手技中に意図しないタイミングでマーカー101がシース4から脱落することが防止される。
【0032】
本実施形態では、ストッパ6が設けられた位置におけるシース4内腔の径方向の最小寸法D1(図13(a)参照)は1.0ミリメートル(mm)であり、マーカー101の外径D2は1.5mmに設定されている。これはあくまで一例であるが、この場合でもシース4の内腔には、ストッパ6によって0.5mm程度の、マーカー101の外径に対して比較的大きい段差が形成されている。
【0033】
マーカー101がストッパ6によって一旦シース4内で停止した後、ユーザは、マーカー101を留置するためにさらに誘導ユニットを押し込んで外套管部2に対して前進させる。すると、マーカー101は、図15に示すようにストッパ6の壁面4Bを弾性変形させ、ついには図16に示すようにストッパ6を乗り越えてシース4のより先端側に移動する。
【0034】
ユーザがさらに誘導ユニット3を押し出すと、図17に示すように、シース4の先端からマーカー101が射出され、留置部位に留置される。ユーザは射出されたことをX線透視下で確認すると同時に、スライダーロッド10と凸状部材11とが係合することによって発生するクリック感によっても確認することができる。
【0035】
マーカー101の留置後、ユーザは、留置具1が挿入される細気管支を適宜変更しながら上述の動作を繰り返し、処置対象組織Tの周囲に必要な数だけマーカーを留置していく。その後、留置されたマーカーを指標として、公知の装置を用いて対象組織Tに対して放射線照射等の各種手技を行う。
【0036】
本実施形態の留置具1によれば、側壁4Bからなるストッパ6が、マーカー101のうち、シース4の内壁側に位置する一部領域のみと当接することによって、マーカー101がシース4から意図しないタイミングで脱落することが防止される。
【0037】
したがって、シース4の先端側を縮径する等の方法によって、マーカー101のうちシース4の内壁側に位置する領域と全周にわたって当接させるのに比較して、マーカー101を射出する際に必要となる誘導ユニット3の押し出し力量を著しく小さくすることができる。その結果、留置操作が容易になると共に、射出時の誘導ユニット3の先端の制御もより確実に行うことができる。
【0038】
また、上述のように、マーカー101の射出に必要な押し出し力量を小さくすることができるために、ストッパ6のシース4内腔への突出長を、マーカーの径に対して20%〜30%程度の比較的大きい割合にすることができる。したがって、射出・留置操作の容易性を保持しつつ、マーカーの脱落をより確実に防止することができる。
【0039】
本実施形態では、ストッパ6がシース4に1箇所だけ設けられる例を説明したが、これに代えて、図18(a)及び図18(b)に示す変形例のように、孔4Aにほぼ対向する位置に孔4Cを形成することによって、シース4の内腔側に突出する側壁4Bを2箇所に形成することによってストッパ6が構成されてもよい。
【0040】
また、本実施形態のように、孔を形成することによってストッパを設けるのに代えて、シース4の一部を熱成形等の方法により変形させて、図19(a)及び図19(b)に示す変形例のように、シース4の内壁の一部を内腔側に突出させることによってストッパ6Aを構成してもよい。
なお、いずれの場合も、内腔側に突出する構造の数や位置を適宜調節することによって、射出時に必要とされる誘導ユニットの押し出し力量を所望の値に調節することが可能である。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について、図20(a)ないし図21(b)を参照して説明する。本実施形態の留置具と、上述の第1実施形態の留置具1との異なるところは、ストッパがシースの先端に形成されている点である。
なお、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図20(a)は、本実施形態の留置具21のシース22の先端付近の軸線方向における断面図であり、図20(b)は、シース22を先端側から見た図である。シース22の先端は、一部が熱成形等により直線状に形成された直線部23となっている。
【0043】
すなわち、図20(b)に示すように、シース22は、先端において、直線部23を含む略D字状の内腔形状を有している。そして、直線部23におけるシース22の内壁は、それよりも基端側の、断面が円形の部位の内壁よりもより内腔側に突出しているため、マーカー101のシース22からの脱落を防止するストッパとして機能する。
【0044】
本実施形態の留置具21によっても、第1実施形態の留置具1と同様の効果を得ることができる。
さらに、ストッパとして機能する直線部23がシース22の先端に設けられているので、シース22内に装填されたマーカー101が、より先端に近い位置でシース4の内部に収容される。したがって、マーカー101を射出する際の誘導ユニット3の軸線方向における移動量(押し出し量)を小さくすることができ、より確実に誘導ユニットの先端の挙動を制御することができる。その結果、細気管支の末梢付近等の慎重な手技が要求される部位であっても、安全に手技を行うことができる。
【0045】
本実施形態では、シースの先端を直線部を有するD字状に形成することによってストッパを設ける例を説明したが、ストッパを設けるためのシース先端の形状はこれには限定されない。
【0046】
例えば、図21(a)の変形例のように、直線部23を2箇所に有する略長円状にシース22の先端を形成してもよいし、図21(b)の変形例のように、シース22の先端を直線部23のみからなる三角形や他の多角形状に形成することによってシース22の先端にストッパを形成してもよい。
また、シースの先端に図19(a)に示すストッパ6Aのような、直線状でなく内腔側に突出する構造を形成することによってストッパが設けられてもよい。
さらに、上述の熱成形に代えて、所望の形状の弾性部材等をシースの内腔に設置することによって、シース内腔の一部を変形させてストッパを形成してもよい。
【0047】
ただし、マーカー101とストッパとが当接する面積が増加するにつれて、射出に必要な誘導ユニット3の押し出し力量が増加するので、それを考慮した上でストッパの形状が設定されるのが好ましい。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、図22に示す変形例のように、ストッパ6を形成する側壁4Bに、X線不透過性の部材24を埋設する等の方法によって、ストッパ6をX線透視下で視認できるように構成してもよい。このようにすると、ユーザはX線透視下で、マーカーがストッパを乗り越えて移動したことを視認することができる。したがって、マーカーの射出及び留置操作をより確実に行うことができる。
【0050】
また、図23に示す変形例のように、ストッパ6がシース4の軸線方向に所定の距離をおいて複数設けられてもよい。このようにすると、予め複数のマーカー101をシース4に装填することによって、マーカー101の射出及び留置を連続して行うことができ、手技の効率を向上させることができる。
【0051】
さらに、上述の各実施形態では、留置具を用いてX線不透過性のマーカーを射出、留置する例を説明したが、これ以外に、放射線同位元素等を含むカプセル状の小線源を射出、留置することによって、小線源治療に本発明の留置具が用いられてもよい。
【0052】
加えて、上述の各実施形態では、気管支鏡と組み合わせて肺内の気管支において放射線治療のためのマーカー留置に本発明の留置具が使用される例を説明したが、放射線治療以外にも、胸腔鏡を用いた肺切除術において、切除線を把握するための術前マーカー留置に本発明の留置具が使用されてもよい。
さらに、腹腔鏡等の各種内視鏡と組み合わせることによって、肝臓や前立腺等の肺以外の他の臓器の手技に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の経内視鏡的医療具であるマーカー留置具の全体図である。
【図2】同マーカー留置具の先端部分の断面図である。
【図3】同マーカー留置具の外套管部基端の断面図である。
【図4】同外套管部基端の断面図である。
【図5】同外套管部基端が図4に示す状態における、同マーカー留置具の先端側を示す図である。
【図6】同外套管部基端の断面図である。
【図7】同外套管部基端が図6に示す状態における、同マーカー留置具の先端側を示す図である。
【図8】同マーカー留置具の誘導ユニットの操作部を示す図である。
【図9】同誘導ユニットの先端が湾曲した状態を示す図である。
【図10】同マーカー留置具を肺内で使用するときの動作を示す図である。
【図11】同マーカー留置具を肺内で使用するときの動作を示す図である。
【図12】同マーカー留置具を肺内で使用するときの動作を示す図である。
【図13】(a)は、同マーカー留置具にマーカーが装填された状態を示す図であり、(b)は、(a)のA−A線における断面図である。
【図14】同マーカーを射出するときの動作を示す図である。
【図15】同マーカーを射出するときの動作を示す図である。
【図16】同マーカーを射出するときの動作を示す図である。
【図17】同マーカー留置具を肺内で使用するときの動作を示す図である。
【図18】(a)は、同実施形態の変形例のマーカー留置具にマーカーが装填された状態を示す図であり、(b)は、(a)のB−B線における断面図である。
【図19】(a)は、同実施形態の変形例のマーカー留置具にマーカーが装填された状態を示す図であり、(b)は、(a)のC−C線における断面図である。
【図20】(a)は、本発明の第2実施形態のマーカー留置具の先端部分の断面図であり、(b)は、同マーカー留置具を先端側から見た図である。
【図21】(a)及び(b)は、いずれも同実施形態の変形例のマーカー留置具を先端側から見た図である。
【図22】本発明の変形例のマーカー留置具のストッパを示す図である。
【図23】本発明の変形例のマーカー留置具のストッパを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1、21 マーカー留置具(径内視鏡的医療具)
3 誘導ユニット(プッシャ)
4、22 シース
4A 孔
4B 壁面(外面)
6、6A ストッパ
23 直線部(ストッパ)
101 生体内留置用球状マーカー(部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経内視鏡的に体腔内に挿入され、前記体腔内に部材を射出するための経内視鏡的医療具であって、
内腔を有する可撓性のシースと、
前記シースの先端側の前記内腔に突出して設けられ、前記シース内に装填された前記部材が前記シース外に脱落することを防止する弾性変形可能なストッパと、
前記シースに進退可能に挿通された、前記部材を前記シース外に押し出して射出するためのプッシャと、
を備え、
前記ストッパは、前記内腔の全周にわたって連続しないように、前記内腔の一部領域のみに形成されていることを特徴とする経内視鏡的医療具。
【請求項2】
前記シースの先端側の外面には、前記内腔に連通する孔が形成されており、前記孔の周囲の前記外面が前記内腔に向かって突出することによって前記ストッパが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の経内視鏡的医療具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−35770(P2010−35770A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201260(P2008−201260)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】