説明

経口ドラッグデリバリーシステム

化合物の経口薬物投与を含めた、医薬化合物および医薬組成物の投与に適した剤形およびドラッグデリバリーデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第60/433,116号、2002年12月13日出願、および米国仮出願第60/517,464号、2003年11月4日出願、の利益を主張する。
【0002】
本発明は薬物製剤を含んでなる剤形に関するものである。さらに具体的には、本発明は、高粘性液体担体材料(HVLCM)を含む製剤、およびその製剤を使用して薬物送達することに関する。
【背景技術】
【0003】
医薬品のドラッグデリバリーのための技術および組成物は、経口送達も含めて、よく知られている。たとえば、抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬および制酸薬はいずれも通例、固形錠剤の形で送達される。鎮痛薬、たとえば、サリチル酸、モルヒネ、Demerol(商標名)(メペリジン)、コデインおよびPercocet(商標名)(オキシコドン)は、長年、錠剤として経口送達されている。放出制御型および徐放性の医薬組成物も長年、市販されている;たとえば、Contac 400 Time Capsule(商標名)(塩酸フェニルプロパノールアミンおよびマレイン酸クロルフェニラミン)、抗精神病薬、メラトニン製剤は、数時間にわたって活性物質の放出を与える。鎮痛薬は放出制御製剤について特に関心が高いが、よく知られた鎮痛薬の放出制御製剤には、オキシコンチン(OxyContin)(商標名)(オキシコドン)、MSコンチン(MS Contin)(商標名)(モルヒネ)、CSコンチン(CS Contin)(商標名)(コデイン)がある。
【0004】
送達、特に経口送達を目的とする薬物製剤は、ある種の難題を提起する。1つの課題は、当該剤形が消化管を通過する約8時間にわたって比較的安定した薬物の投与を提供する、経口放出制御剤形を製造することである。徐放は、多くの場合、錠剤に、放出を遅らせるコーティングを施すことによって、または錠剤が比較的ゆっくりと崩壊し、そうした崩壊につれて薬物を放出するようにその錠剤を製剤することによって達成される。しかしながら、ひとたび経口摂取された錠剤は、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、大腸および結腸を通過する際に、相当の機械的および化学的ストレスを受けるため、薬物製剤の放出制御を維持するには重大な課題がある。酸、酵素、および蠕動によって、錠剤がバラバラに壊れ、結果として錠剤内部が露出して錠剤を構成する材料の表面積が増大する可能性がある。このことは薬物の送達速度を高めやすく、そうでなくても、そうした剤形の放出制御特性に悪影響を及ぼすと考えられる。
【0005】
もう一つの課題は、経口投与剤形を含めて、薬物濫用を招く可能性を低減する剤形を製造することである。とりわけ、オピオイド、CNS(中枢神経系)抑制薬、および興奮薬は濫用されることが多い。国立薬物濫用研究所(NIDA)による1999年の調査によると、推定400万人、12歳以上人口の約2%が(調査時点で)処方薬を「非医療的に」使用していた。これらのうち、260万人は鎮痛薬を濫用し、130万人は鎮静薬および精神安定薬を濫用し、90万人が興奮薬を濫用した。
【0006】
多くの処方薬が濫用される可能性があるが、濫用される薬物のうち最も多く見られる種類は:(1)オピオイド-疼痛治療にしばしば処方される、(2)CNS抑制薬-不安障害および睡眠障害の治療に使用される、および(3)興奮薬-ナルコレプシーおよび注意欠陥/多動性障害の治療に処方される。
【0007】
オピオイドは、たとえば、モルヒネ、コデイン、オキシコドンおよびフェンタニルを包含する、強力な麻薬類、ならびに関連薬物である。モルヒネは、激しい痛みを緩和するために使用されることが多い。コデインはもう少し軽い痛みに使用される。痛みの緩和のために処方することができるオピオイドの例は、他に、オキシコデイン(たとえば、オキシコンチン(OxyContin)(登録商標)-薬物の経口放出制御剤形);プロポキシフェン(たとえば、Darvon(商標名));ヒドロコドン(たとえば、Vicodin(商標名));ヒドロモルホン(たとえば、Dilaudid(商標名));およびメペリジン(たとえば、Demerol(商標名))がある。痛みの緩和に加えて、オピオイドはまた多幸感を生じさせ、さらに、大量に摂取した場合、致命的になりかねない重篤な呼吸抑制を引き起こす可能性がある。
【0008】
CNS抑制薬は、GABA活性を高めることによって正常な脳の機能を鈍化させ、それによって眠気を誘い鎮静する効果を生じる。高用量では、一部のCNS抑制薬は、全身麻酔状態となる可能性があり、非常に高用量の場合、呼吸不全および死をもたらす可能性もある。CNS抑制薬はしばしば濫用され、アルコールやコカインといった別の物質もしくは薬物の濫用と併せてCNS抑制薬が濫用されることも多い。こうした薬物濫用によって毎年多くの死者が出ている。化学的および薬理学的特性に基づいてCNS抑制薬を2つのグループに分けることができる:(1)バルビツール酸系催眠鎮静薬、たとえば、メフォバルビタール(例、Mebaral(商標名))およびペントバルビタールナトリウム(例、ネンブタール(Nembutal)(商標名))、これらは不安、緊張および睡眠障害の治療に使用される;(2)ベンゾジアゼピン類、たとえばジアゼパム(例、Valium(商標名))、クロルジアゼポキシドHCl(例、Librium(商標名))、およびアルプラゾラム(例、Xanax(商標名))、これらは不安、急性ストレス反応、および恐慌発作を治療するために処方することができる。睡眠障害の短期治療のために、トリアゾラム(例、ハルシオン(Halcion)(商標名))およびエスタゾラム(例、ProSom(商標名))といった、より強い鎮静効果を有するベンゾジアゼピン類を処方することができる。
【0009】
興奮薬は、脳の活動を高揚させる薬物群である-興奮薬は、血圧上昇、心拍の増加および呼吸の亢進に伴う敏捷性、注意力および精力の増進を引き起こす。興奮薬は、ナルコレプシー、注意欠陥多動性障害(ADHD)、および鬱病を治療するためにしばしば処方される。興奮薬は肥満の短期治療のために、また喘息患者のために使用されることもある。
【0010】
デキストロアンフェタミン(Dexedrine(商標名))およびメチルフェニデート(リタリン、Ritalin(商標名))といった興奮薬は、ノルエピネフリンおよびドーパミンを含むモノアミンと呼ばれる重要な脳内神経伝達物質に類似した化学構造を有する。興奮薬はこれらの化学物質の脳内および体内レベルを高める。このことは、言い換えると、血圧および心拍数を高め、血管を収縮させ、血糖を上昇させて、呼吸器系の経路を活発化する。加えて、ドーパミンの増加は、こうした薬物の使用に伴って生じる可能性のある多幸感に関連している。高用量の興奮薬を摂取すると、結果として、不整脈、危険なほどの高体温、および/または心不全もしくは致死性発作を招く可能性をもたらすことがある。ある種の興奮薬を短期間に反復して高用量で摂取することが、一部の個体において敵意もしくは被害妄想を引き起こすことがある。
【0011】
よく知られている特に危険な薬物混合物は、興奮薬を、抗鬱薬と、または鬱血除去薬を含有する市販の風邪薬と混合したときに生じる。抗鬱薬は興奮薬の効果を強め、興奮薬は鬱血除去薬と併用すると血圧を危険なほど高くする、または不規則な心拍を引き起こす可能性があり、これらは極端な場合には致命的となることがある。
【0012】
固形の剤形は、特に濫用に陥りやすい。たとえば、経口薬物送達の錠剤は、すりつぶして粉末にすることができる。薬物常用者および濫用者は、薬物を鼻から吸引するために錠剤を細かくすりつぶす。常用者はまた、錠剤をすりつぶして薬物をアルコールもしくは水の中に抽出し、濃縮された注射可能な薬物溶液を作製する。さまざまな濫用薬物をこのように投与することは、血流内に突然高用量の薬物をもたらし、使用者を多幸感にあふれさせる。このような薬物濫用のためのよく知られたテクニックが、あらゆる種類の薬物について長年にわたって用いられている。
【0013】
粉砕(鼻から吸引するため)および/またはアルコールもしくは水抽出(静脈注射のため)によって広く濫用される、常習性の高い薬物の特に重要な例は、オキシコドンである。オキシコドンは、錠剤として入手可能な強力な鎮痛薬であり(オキシコンチン、Oxycontin(登録商標)、Purdue Pharmaceuticals)、10 mg、20 mg、40 mg、80 mgおよび160 mgの錠剤含量で製造されている。オキシコンチン(登録商標)錠は、徐放性錠剤(約12時間放出)として製剤されているが、当然、錠剤を粉砕および磨砕すると、放出制御特性は破壊される。オキシコンチン(登録商標)濫用の結果これまでのところ死者は世界中で少なくとも120人にのぼるとの主張がなされている(http://www. stopoxycontinaddiction.com/oxycontin-addiction.htm)。オキシコンチン(登録商標)5 mgは、Percocet(商標名)1錠と同量の活性成分(オキシコドン)を有する。したがって、砕いた40 mgオキシコンチン(登録商標)を噛む/鼻で吸引することは、8錠のPercocet(商標名)を一時に摂取するのと同様であり、あるいは、80mgオキシコンチン(登録商標)は、16錠のPercocet(商標名)をすべて一度に摂取するようなものである。過量摂取は瞳孔縮小、緩慢な呼吸、目眩、衰弱、発作、意識消失、昏睡、および時に死を引き起こす。
【0014】
上記の問題は、望ましい薬物放出速度、および濫用可能性の低下を可能にする薬物剤形を製造する、明確でしかも長年の切実な難題を製薬業者に提示する。
【0015】
発明の概要
本発明は製剤を含んでなる剤形に関するものであって、その製剤は薬物、HVLCM、網目形成成分を含んでなり、さらにレオロジー調整剤を含んでいてもよい。製剤はまた、溶媒を包含することもできる。別の態様において、本発明は、薬物を有する製剤を含んでなる経口投与剤形に関するが、ここでこの製剤は、水性環境に曝露されたとき製剤内部に網目構造を形成し、外面を形成する。本発明の製剤は、望ましい薬物放出動態および/または濫用抑止特性を示す。
【0016】
本発明は、製剤を含んでなるドラッグデリバリーデバイスに関するものであって、その製剤は、HVLCM、網目形成成分、および、状況に応じてレオロジー調整剤を含んでなるが、さらにある特定の実施形態においては、溶媒も含んでなる。別の態様において、本発明は製剤を含んでなるドラッグデリバリーデバイスに関するが、ここでその製剤は、水性環境に曝露されたとき、製剤内部に網目構造を形成し、外面を形成する。これらの装置を使用して、薬物、たとえばオピオイド、CNS抑制薬および興奮薬を含めた、どのような生理活性物質も送達することができる。もう一つの実施形態において、本発明は、製剤を含んでなる経口投与剤形に関するが、その製剤はHVLCMおよびオピオイドを含んでなる。より具体的な実施形態において、製剤はオキシコドン、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)および乳酸エチル(EL)を含有する。
【0017】
本発明の剤形およびデリバリーデバイスの特別な利点は、特定の実施形態において、薬物を有する製剤を含んでなる経口投与剤形を与えることであるが、この製剤は、たとえば、水、エタノールもしくは他の溶媒による、薬物の抽出率を低下させるために有効な量で存在するが、一方で同時に望ましい薬物放出動態を与える、1つまたは複数のHVLCM、網目形成成分、レオロジー調整剤および溶媒を含んでなる。この抽出率の低下は濫用抑止および流用のリスクの減少に貢献する。
【0018】
本発明の具体的な実施形態
明細書を通じて使用される略号は次の通りである:
HVLCM:高粘性液体担体材料
SAIB:イソ酪酸酢酸スクロース
EL:乳酸エチル
IM(またはIPM):ミリスチン酸イソプロピル
CAB:酢酸酪酸セルロース
OC(またはOXY):オキシコドンの遊離塩基または塩
化合物の誘導体とは、その構造が元の化合物の構造に基づいている分子を指す。誘導体は置換された置換基を有する、または付加された追加の基を有する、または除去された基を有することができるが、実質的には元の化合物と同じ基本構造を共有する。化合物の誘導体には、たとえば、当該化合物の遊離塩基、塩、および水和物がある。
【0019】
ドラッグデリバリーデバイスは、薬物を保持し、または封じ込める、および薬物を放出する装置を指すが、ここで、このドラッグデリバリーデバイスを被験体、特にヒト被験者に投与した後、薬物はドラッグデリバリーデバイスから被験体内部に放出される。保持または封じ込めためのデバイスは、注射可能デバイス(ポンプなど)および摂取可能デバイスを含めて、いかなるタイプの封じ込めデバイスであってもよく、摂取可能デバイスは、錠剤、丸剤、カプセル剤もしくは製剤を包含する。多くのドラッグデリバリーデバイスが、Encyclopedia of Controlled Drug Delivery (1999), Edith Mathiowitz (Ed.), John Wiley & Sons, Inc.に記載されている。
【0020】
薬物は、疾患、障害もしくは状態の診断、治療、緩和、処置、または予防に使用することを目的とする物質、または食べ物以外に身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことを目的とする物質を指す。薬物は、生物活性を有する、または動物の生理機能を変化させるよう意図されている、いかなる有益な薬剤もしくは物質をも包含することができる。
【0021】
剤形は、薬物およびドラッグデリバリーデバイスを指している。
【0022】
製剤は、1つまたは複数の成分または化合物を指す。たとえば、薬物製剤は、製薬上許容される賦形剤、添加剤、溶媒、担体および他の材料とともに混合された薬物である。
【0023】
高粘性液体担体材料(HVLCM)は、37℃で少なくとも5,000 cPの粘性を有する、重合体でなく水溶性でもない液体であって、環境条件および生理的条件下ではそのままでは結晶化しない液体を指している。HVLCMは炭水化物を基本とすることができるが、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)のような、1つまたは複数のカルボン酸と化学的に結合した1つまたは複数の環状炭化水素を包含することができる。HVLCMはまた、37℃で少なくとも5,000 cPの粘性を有する、1つもしくは複数のカルボン酸の非重合体エステルまたは混合エステルであって、外界または生理的条件下でそのままでは結晶化しない前記エステルも包含するが、ここで、このエステルはアルコール部分(たとえば、グリセロール)を含有する。エステルは、たとえば、約2から約20個までのヒドロキシ酸部分を含んでなる。本発明のドラッグデリバリーシステムとともに使用されるさまざまなHVLCMが、米国特許第5,747,058号;第5,968,542号および第6,413,536号に記載され、いずれもこれにより参考として含めるものとする。本発明は、上記特許に記載された、いかなるHVLCMも使用することができるが、具体的に記載された化合物のいずれにも限定されない。
【0024】
レオロジー調整剤は、疎水性部分と親水性部分を両方とも有する物質を指す。本発明とともに使用されるレオロジー調整剤は、一般に、オクタノール-水分配係数の対数が約−7から+15の間であり、好ましくは−5から+10の間、さらに好ましくは−1から+7の間である。レオロジーは、液体の変形性および/または流動性を表し、レオロジー調整剤は、液体製剤の粘性および流動を加減するために使用される。レオロジー調整剤には、たとえば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Migliol 810)、ミリスチン酸イソプロピル(IMまたはIPM)、オレイン酸エチル、クエン酸トリエチル、フタル酸ジメチルおよび安息香酸ベンジルがある。
【0025】
網目形成成分は、(HVLCMのような)液体媒質中に導入された時に網目構造を形成する化合物を指す。網目形成成分は、(HVLCMのような)液体製剤に添加することができるが、その結果、水性環境に曝露すると、3次元網目構造を製剤内部に形成する。網目形成成分には、たとえば、酢酸酪酸セルロース、炭水化物重合体、炭水化物重合体および他の重合体の有機酸、ヒドロゲル、ならびに、二酸化ケイ素、イオン交換樹脂および/またはガラス繊維といった粒子があるが、これらは、会合、整列または凝固する能力を有し、水性環境において3次元網目構造を形成することができる。
【0026】
溶媒は、別の物質(溶質)を溶解する物質を表す。HVLCM製剤中で溶媒を使用して、薬物、網目形成成分、レオロジー調整剤および安定剤といった他の化合物を溶解することができる。溶媒には、アルコール、有機酸およびその誘導体、有機酸のエステル、ならびにアルコールおよび有機酸残基を有する化合物、たとえば、乳酸エチル(EL)もしくはトリアカセチン(triacacetine)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、炭酸プロピレン、N-メチルピロリドン (NMP)、エチルアルコール、ベンジルアルコール、グリコフロールを含めることができる。
【0027】
安定剤は、その安定剤と混合されている他の物質の分解(たとえば化学的な)を抑制し、または減少させるために使用される物質を表す。安定剤の典型的な例は、酸化による損傷および分解を防ぐ抗酸化剤、たとえば、クエン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコリル、ビタミンA、および没食子酸プロピル、ならびに/または還元剤である。
【0028】
in situは、哺乳動物の消化管での条件をシミュレートする実験室での条件を指す(表1を参照されたい)。
【0029】
プラセボは、活性薬物のない製剤を指す(たとえば、表1の「プラセボ溶液」)。
【0030】
詳細な説明
本明細書に記載の実施例は、例証にすぎず、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
薬物の送達に適した剤形およびドラッグデリバリーデバイスを開示する。これらのデバイスのいくつかは、薬物の経口送達に適している。剤形またはデバイスは、HVLCM、ならびに、網目形成成分、状況に応じてレオロジー調整剤、および/または溶媒のうち1つまたは複数を含む製剤を包含する。とりわけ、製剤は薬物を多量に含むことが可能であって、水性環境、特に哺乳動物の消化管に似た環境におかれると、長期間にわたって薬物を放出することになる。理論に制約されたくはないが、網目形成成分は、水性環境に曝露されると製剤内部で微小な網目の形成を可能にすると考えられる。この微小な網目形成は、少なくともある程度は網目形成成分の転相(たとえば、ガラス転移温度、Tgにおける変化)によると思われる。この結果は、剤形と、消化管の水性環境との境界面で、沈着した網目形成成分の被膜または表層となり、もちろん剤形内部でも沈着した網目形成成分の3次元微小網目構造の形成となると考えられる。
【0032】
本発明のドラッグデリバリーデバイスを含んでなる好ましい剤形は、消化管を通過中は、実質的に乳化された状態とはならず、消化管を通過して薬物を放出する間、完全な状態(可変性および/または表面特性)をほぼ維持する。いかなる理論にも制約されたくはないが、製剤は、表面上で、および/またはバルク相の内部で網目を形成すると考えられる。表面は新しくなり、その結果、濃度勾配は、その表面で、望ましい薬物放出動態のために維持される。本発明者らは、図5に示す結果を与えた、イヌの血漿PK研究の中で、こうした現象を観察した。消化管から出るとき剤形は、相当な割合でその重量を保持している可能性がある;たとえば、望ましい剤形は、経口投与時の剤形重量の少なくとも約50%の重量を保持することができる。この重量の割合は、剤形に使用される製剤の違いによって変化しうるが、少なくとも元の重量の60%, 70%, 80%もしくは90%であることすらあり得る。
【0033】
好ましい実施形態において、製剤は、さまざまな添加剤および賦形剤とともにHVLCMを含んでなる。ある特定の実施形態に用いるHVLCMは、概して、37℃で少なくとも5,000 cPの粘性を示す、疎水性で、重合体でなく、水に不溶性の液体であって、外界または生理的条件下でそのままでは結晶化しない前記液体である。本発明とともに使用されるさまざまなHVLCMが、米国特許第5,747,058号、第5,968,542号、第6,413,536号および米国特許出願番号第09,699,002号、2000年10月26日出願、および第10/316,441号、2002年12月10日出願に記載されており、その全内容を参考として本明細書に含めるものとする。イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)は、本明細書に記載の使用の多くに特に適したHVLCMであることが判明している。
【0034】
本発明の剤形およびドラッグデリバリーデバイスを、どのようなタイプの生理活性物質の送達にも使用することができる。本発明を用いて送達される生理活性物質の例としては、オピオイド、CNS抑制薬および興奮薬、ならびにタンパク質、ホルモン、化学療法薬、制吐薬、抗生物質、抗ウイルス薬および他の作用薬がある。本明細書に開示されたシステムによって送達することができる特に関心の高い薬物群がオピオイドであって、これには、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルヒネ、アポコデイン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン(cyclorphen)、シプレノルフィン(cyprenorphine)、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルヒナン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルヒネ、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine), ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル(ohmefentanyl)、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、フォルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン(propheptazine)、プロメドール(promedol)、プロファドール(profadol)、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナロキソン・メチオダイド、ナロルフィン、ナロキソナジン、ナリド(nalide)、ナルメキソン(nalmexone)、ナルブフィン、ナロルフィン・ジニコチネート、ナルトリンドール(NTI)、ナルトリンドール・イソチオシアネート(NTII)、ナルトリベン(naltriben) (NTB)、ノル-ビナルトルフィミン (nor-BNI)、β-フナルトレキサミン(b-FNA)、BNTX、シプロダイム(cyprodime)、ICI-174,864、LY117413、MR2266、エトルフィン、DAMGO、CTOP、ジプレノルフィン(diprenorphine)、ナロキソン・ベンゾイルヒドラゾン、ブレマゾシン、エチルケトシクラゾシン、U50,488、U69,593、スピラドリン、DPDPE、[D-Ala2,Glu4]デルトルフィン、DSLET、Met-エンケファリン、Leu-エンケファリン、β-エンドルフィン、ダイノルフィンA、ダイノルフィンB、α-ネオエンドルフィン、もしくはナルメフェン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、レボルファノール、メプタジノール、ペンタゾシン、デゾシンと同じ五環系骨格を有するオピオイド、またはそれらの製薬上有効なエステルもしくは塩が含まれる。
【0035】
開示される剤形は、数時間といった長期にわたって、包含する薬物の放出を可能にする。有効な投薬量となるのに十分な量の薬物を放出する全期間は、20時間より長く、または17時間より長く、または15時間より長く、または12時間より長く、または10時間より長く、または8時間より長く、または6時間より長く、または4時間より長く、または2時間より長く、または1時間より長くすることができる。有効な投薬量を与えるのに十分な薬物の量は、薬物の治療域から決定され、その治療域は、たとえば、臨床試験から決定されるが、こうした情報は、当業者にとって容易に利用可能である。
【0036】
開示されるドラッグデリバリーデバイスは、担体材料(一般にHVLCM)に加えてさまざまな成分を包含することができる。追加の化合物は、全製剤の約75重量%から約0.01重量%ほどの少量までさまざまな量で存在することができる。これら追加の成分は、次のような化合物を包含することができる:
・溶媒、たとえば、乳酸エチル(EL)もしくはトリアセチン、DMSO、炭酸プロピレン、NMP、エチルアルコール、ベンジルアルコール、グリコフロール、α-トコフェロール、Miglyol 810、イソプロピルアルコール、フタル酸ジエチル、PEG 400、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル。
【0037】
・網目形成成分、たとえば、酢酸酪酸セルロース(CAB 171-15、CAB 381-2 およびCAB 381-20、Eastman Chemicals製、これらの性質は表2に記載する);炭水化物重合体、炭水化物重合体および他の重合体の有機酸、ヒドロゲル、ならびに二酸化ケイ素、イオン交換樹脂および/またはガラス繊維といった粒子、これらは、会合、整列または凝固する能力を有し、水性環境において3次元網目構造を形成することができる。他の例としては、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、プルロニック(Pluronic)、オイドラギット(Eudragit)、カルボマー(Carbomer)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、CA 381-2およびセルローストリアセテートといった酢酸セルロース、PMMA、CAB 500-5がある。
【0038】
・レオロジー調整剤、たとえば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Migliol 810)、ミリスチン酸イソプロピル(IMまたはIPM)、オレイン酸エチル、クエン酸トリエチル、フタル酸ジメチルおよび安息香酸ベンジル。
【0039】
・安定剤、たとえば、クエン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、および没食子酸プロピルといった抗酸化剤、および/または還元剤。他の例としては、アスコルビン酸、ビタミンE、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、BHA、アセチルシステイン、モノチオグリセロール、フェニル-α-ナフチルアミン、レシチン、EDTA。
【0040】
本発明のドラッグデリバリーデバイスとともに使用される薬物の放出速度、および/または薬物の最大投与(たとえば溶解度)を制御できるように、上記および他の添加化合物(下記により詳細に論ずる)を変更することができる(Handbook of Pharmaceutical Excipients 3rd ed., A. Kibbe, Am. Pharm. Assn., pub)。
【0041】
ある実施形態において、開示される経口投与ドラッグデリバリーデバイスは、特定の期間にわたって、特定の制御された血漿の薬物レベルを与えるように、製剤することができる。このことは、薬物血漿レベルを適切な、治療に有効な範囲に維持するために、明らかにきわめて重要である。適切な、治療に有効な範囲は、薬物に応じて異なるが、望ましい期間にわたって、フェムトグラム/mlレベルからマイクログラム/ml以上のレベルにまで及ぶことがある。たとえば、本明細書で開示される薬物製剤の単回投与の結果、8時間を越える期間にわたって、薬物の血漿レベルを5 ng/mlより高いレベルに維持することができる(図5を参照されたい、詳細は下記に論ずる)。他の実施形態において、単回投与によって達成される薬物の血漿レベルは、10時間を超える、12時間を超える、14時間を超える、16時間を超える、18時間を超える、または20時間を超える期間にわたって、5 ng/mlより高くすることができる。さらに他の実施形態において、単回投与によって達成される薬物の血漿レベルは、4, 8, 10, 12, 14, 16, 18または20時間という期間にわたって、5 ng/mlより高く、10 ng/mlより高く、15 ng/mlより高く、20 ng/mlより高く、30 ng/mlより高く、40 ng/mlより高く、50 ng/mlより高くすることができる。
【0042】
薬物の最大血漿濃度は、0.1時間から約24時間、または約0.25から10時間、または約0.25から8時間、または約0.5から6時間、または約0.5から4時間、または約0.5から2時間、または約0.5から1時間までの間の、投与後の一時期に到達すると考えられる。最大血漿濃度に至るまでの時間は、本明細書に示すように、ドラッグデリバリーデバイスのさまざまな成分を調整することによって、加減することができる。成分を変更することは、製剤の粘性または他のレオロジー特性を改変し、それにともなって、薬物放出の速度を変化させる(詳細は下記に論ずる)。時間がたって血漿薬物濃度が減少する割合も、ドラッグデリバリーデバイスの成分を変えることによって調整することができる。本明細書に記載のように成分を変更することによって、どのような望ましい放出特性も達成することができる。
【0043】
製剤および他のドラッグデリバリーデバイス成分を調整することによって、得られる血漿レベルを加減することができるが、望ましい血漿レベルは、どのような特別の薬物であれ、治療に有効な値域またはその指数によって決まることになる。望ましい治療指数を決定することは当業者が容易に行うことができるが、本明細書の開示を考慮して、特定の薬物について望ましい放出特性を達成する目的でさまざまな成分を調整することは、日常的な実験の問題であると考えられる。
【0044】
ある実施形態において、放出期間の間の薬物放出特性は、治療に有効な放出期間を通じて用量を与えるのに十分であって、全期間にわたってほぼ安定していることが好ましく、さらに、標準的な錠剤製剤と比べると、低下した破裂の影響を示すことが好ましい。図7からわかるように(後でもっと詳しく検討する)、本発明のドラッグデリバリーデバイスは、薬物(この場合、オキシコドン)を、ほぼ定常的な速度で、少なくとも24時間の期間にわたって放出することができる。放出速度は、約1時間から24時間を超える時間まで特に安定している。これは、最初の5時間の間、実質的な薬物放出を与える市販の錠剤製剤(オキシコンチン、OxyContin(登録商標))とは対照的である。図7に示すような場合において、本発明のドラッグデリバリーデバイスを用いる剤形は、長期間のin vitro放出を与え、市販の剤形が24時間内にほとんど100%近い放出を与えるのに対して、24時間以内に薬物の40%未満が放出される。薬物の90%が放出されるまでの時間は、製剤および他のデバイス成分を変更することによって変えることができるが、最低4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間もしくは20時間、または最長24時間程度とすることができる。
【0045】
剤形からの薬物放出の速度は、使用される薬物および必要とされる用量に応じてさまざまに変化させることができる。放出速度は、消化管のさまざまな部分で異なる可能性があり、消化管を通過する時間(およそ8-24時間)を通して、放出速度を平均することができる。典型的な平均放出速度は、相当異なる可能性がある。多くの薬物について、平均放出速度は、約0.01から500mg/時間、0.5から250mg/時間、0.75から100mg/時間、1.0から100mg/時間、2.0から100mg/時間、5から100mg/時間、10から100mg/時間、10から80mg/時間、20から50mg/時間、または約20から40mg/時間にまでに及ぶと考えられる。
【0046】
医師は標準的な技法に従って、薬物の投与計画を決定することができる。1日あたり1回または1日あたり2回(BID)投与を用いて、たとえば鎮痛を維持するのに十分な臨床効果を保持することができる。
【0047】
本明細書で開示される剤形の重要な利点は、この剤形が濫用抑止特性を有すること、および/または流用の危険を減少させることである。この剤形およびそれに含まれる製剤は、破砕、粉末化、またはエタノールもしくは水による抽出を行い難い。具体的には、HVLCMは粘稠液であるため、HVLCMを含有する製剤は、吸引目的で粉砕する可能性を回避する。加えて、本発明の製剤は、薬物の錠剤製剤と比較したとき、エタノールもしくは水による薬物抽出に対して抵抗する性質を有する。
【0048】
ある好ましい実施形態において、ドラッグデリバリーデバイスは、好ましくは生分解性で、カプセルまたはゼラチンカプセル(「ジェルキャップ」)のような、容器またはカプセル内に封入された薬物製剤からなり、この場合カプセルは哺乳動物の胃腸管に存在する状況に曝されたとき、分解、またはそうでなければ解離する物質から作られる。カプセルおよびジェルキャップはドラッグデリバリー技術においてはよく知られており、当業者は、特定の薬物の送達に適したカプセルを選択することができるであろう。ひとたびカプセルが製剤から溶解または解離したならば、本発明の製剤は概して元の状態のまま残存し、特に疎水性製剤についてはそうであって、乳化もしくは断片化することなく消化管を通過する。
【0049】
より具体的な、ある実施形態において、本発明は、生分解性カプセル内に入れられた製剤を含んでなる経口投与形態を包含するが、ここで、製剤は薬物およびHVLCM含んでなり、しかも、カプセルは哺乳動物の胃腸管に存在する状況に曝されたとき分解する物質から作られている。ある実施形態において、カプセルはゼラチンまたは合成ポリマー(ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのような)を含んでなる。ジェルキャップは硬軟の多様性を有することができる。ゼラチンカプセルはビタミンEおよび肝油といった液体製剤を送達するのに非常に適している。ゼラチンカプセルは、保管中は安定であるが、ひとたび胃の酸性環境(約pH4-5より低いpH)におかれると、そのジェルキャップは10-15分で溶解する。ある実施形態において、ドラッグデリバリーデバイスは、下記からなる一群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる:乳酸エチル、トリアセチン、炭酸プロピレン、グリコフロール、オレイン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、酢酸酪酸セルロースおよびそれらの誘導体。
【0050】
経口投与される、本発明のドラッグデリバリーデバイスの、ある好ましい実施形態は、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)をHVLCM担体材料として含んでなる。SAIBは、−80℃から100℃を超える温度までさまざまな温度で、粘稠性の高い、重合体でない液体であって、それは、名目上、イソ酪酸対酢酸比6対2で、完全にエステル化されたスクロース誘導体である(図6)。これは混合エステルとしてイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)が製造し、得られた混合物は結晶化しないが、非常に粘稠な液体として存在する。これは、疎水性、非晶質、低分子量の分子であって、水に不溶性の、温度によって変化する粘性を有する分子である。たとえば、純粋なSAIBは、室温でおよそ200万センチポアズ(cP)、80℃で約600cPの粘性を示す。いくつかの有機溶媒中のSAIB溶液は粘性値が純粋なSAIBよりも著しく低いという点で、SAIBは独特の溶液−粘性関係を有するが、したがってSAIB-有機溶媒溶液は、ミキサー、液体ポンプおよびジェルキャップ製造機といった従来の装置を用いて加工することが可能になる。SAIBはまた、たとえば、米国特許第5,747,058号、5,968,542号、6,413,536号、6,498,153号に記載のような、薬物製剤および送達に関する出願もあり、いずれも参考として本明細書に含めるものとする。本発明において、SAIBはHVLCMとして使用され、著しく異なる量で存在することができる。たとえば、少なくとも約50, 60, 70, 80, 90, 95, 97, 98, 99, 99.5 または99.9重量%の量を用いることができる。SAIBを含有するさまざまな製剤を実施例において検討する。
【0051】
加えて、開示されたようなドラッグデリバリーデバイスのある実施形態は、従来の経口組成物が胃酸もしくは酵素による活性成分の破壊という結果に陥りやすいために有効に経口投与することはできないと通常考えられていた、タンパク質のような化合物の経口送達を可能にする。
【0052】
本発明のある実施形態は、経口投与に適したオピオイド投与形態に関するものであって、望ましい薬物放出動態を与え、および/または、患者もしくはそれ以外のものによる剤形中のオピオイドの流用が発生する可能性を限定する剤形を含める。この実施形態において、オピオイドは本発明の製剤成分中に溶解し、または分散していると考えられ、その製剤成分は単純にHVLCMとすることができる。本発明にしたがって送達可能な、適当なオピオイド化合物としては、たとえば、一般に鎮痛薬、麻薬および/または麻酔薬として使用される化合物があり、これにはアルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルヒネ、アポコデイン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロファン(cyclorphan)、シプレノルフィン(cyprenorphine)、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルヒナン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルヒネ、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine), ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル(ohmefentanyl)、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、フォルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール(promedol)、プロファドール(profadol)、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナロキソン・メチオダイド、ナロルフィン、ナロキソナジン、ナリド(nalide)、ナルメキソン(nalmexon)、ナルブフィン、ナロルフィンジニコチネート、ナルトリンドール(NTI)、ナルトリンドール・イソチオシアネート(NTII)、ナルトリベン(naltriben) (NTB)、ノル-ビナルトルフィミン (nor-BNI)、β-フナルトレキサミン(b-FNA)、BNTX、シプロジン(cyprodime)、ICI-174,864、LY117413、MR2266、エトルフィン、DAMGO、CTOP、ジプレノルフィン(diprenorphine)、ナロキソン・ベンゾイルヒドラゾン、ブレマゾシン、エチルケトシクラゾシン、U50,488、U69,593、スピラドリン、DPDPE、[D-Ala2,Glu4]デルトルフィン、DSLET、Met-エンケファリン、Leu-エンケファリン、β-エンドルフィン、ダイノルフィンA、ダイノルフィンB、α-ネオエンドルフィン、もしくはナルメフェン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、レボルファノール、メプタジノール、ペンタゾシン、デゾシンと同じ五環系骨格を有するオピオイド、またはそれらの製薬上有効なエステルもしくは塩が含まれる。
【0053】
上記オピオイドの経口投与剤形は、単に、HVLCM、レオロジー調整剤、網目形成成分、活性成分および何らかの添加剤を混合し、その結果得られた混合物をゼラチンカプセル中に入れることによって、調製することができる。他の製剤は、混合物を水に乳化させること、およびこの乳剤をゼラチンカプセルに入れること、または本明細書に記載の、剤形を調製する1つ以上の技法を用いることを含めることができる。
【0054】
本発明の別の実施形態において、微粒子生物活性物質を分散させる際にHVLCMを連続相として使用することができる。たとえば、SAIBは極めて粘稠であるが、凍結乾燥したタンパク質小片、微粒子、ミクロスフェア、または薬物、たとえば生物活性物質の、マイクロカプセルを懸濁するためにこれを使用して、懸濁製剤を調製することができる。懸濁製剤における活性物質の濃度は、上記と同様である。得られた懸濁製剤は優れた保存安定性を示す。
【0055】
本発明の好ましい実施形態は、胃腸管の通過時に、有利な薬物放出動態によって薬剤の徐放を可能とし、しかも現行の錠剤およびカプセル剤形よりも濫用されにくい、効果的で使いやすく安価な、摂取可能な経口投与剤形を与える。本発明は、放出制御経口ドラッグデリバリーデバイスを包含する。本発明の、あるドラッグデリバリーデバイスは、経口送達に適したゼラチンカプセルに封入することができるSAIB-薬物製剤を包含する。さまざまな実施形態が、製剤において下記の追加化合物の一部または全部を用いて、適当なドラッグデリバリー動態をもたらすことができる:溶媒、たとえば、乳酸エチル(EL)またはトリアセチン、DMSO、炭酸プロピレン、NMP、エチルアルコール、ベンジルアルコール、グリコフロール。網目形成成分、たとえば、酢酸酪酸セルロース(CAB 171-15、CAB 381-2 およびCAB 381-20、Eastman Chemicals製)。レオロジー調製剤、たとえば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Migliol 810)、および他の軟化剤、たとえばミリスチン酸イソプロピル(IMまたはIPM)、クエン酸トリエチル、フタル酸ジメチルおよびオレイン酸エチル、安息香酸ベンジル。安定剤の例としては、抗酸化剤、たとえば、クエン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコリル、および没食子酸プロピル。本発明のドラッグデリバリーデバイスに使用する製剤の具体例は、オキシコドン遊離塩基および/または塩酸塩、SAIB、乳酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、およびCABを含有する。本発明者らが本明細書に開示されたデータをとるために使用した典型的な実施形態は、下記のように製剤される:ジェルキャップあたり10mgのオキシコドン遊離塩基、SAIB 65%、乳酸エチル27%、ミリスチン酸イソプロピル3%、およびCAB 381-205%(百分率はすべて、重量パーセントである)。この製剤をソフトジェルキャップに入れる。
【0056】
本発明の剤形は、1つまたは複数の薬物を含んでなることができる。製剤中の薬物の量および成分の割合は変化しうる。典型定な平均値はかなり異なることがある。多くの薬物について、その量は約0.1 mgから1000 mgまで、または約1 mgから約500 mgまで、または約2 mgから約250 mgまで、または約2 mgから約250 mgまで、または約2 mgから約150 mgまで、または約5 mgから約100 mgまで、または約5 mgから約50 mgまで、変動しうる。望ましい正確な薬物量は、薬理学分野によく知られた常法によって決定することができるが、それは薬物のタイプ、ならびにその薬物の薬物動態および薬力学によって決まってくる。
【0057】
HVLCMの重量パーセントは、求められる剤形の特性に応じてさまざまであって、たとえば、およそ30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 95%, 99%, 99.5%からおよそ100%までを包含することができる。本明細書において開示される具体例としての製剤は、99%, 71%, 70%, 65%, 63%, 61.6%, 59%, 50%, 40%, 30%, 20%またはさらに少量のSAIBを含有する。SAIB含量に変化をつけて、製剤の粘性または他のレオロジー特性を改変し、薬物が送達される速度を変化させることができる。本明細書に提示される情報によって、当業者は製剤のSAIB含量を変更して、異なる疎水性もしくは親水性を有するさまざまな薬物に合わせることが可能であり、その製剤からの最適な薬物放出速度を決定することができるであろう。
【0058】
本発明の剤形は1つまたは複数の溶媒を含んでなることができる。溶媒(ELのような)の重量パーセントは、望ましい投与形態の特性に応じて変化しうるが、たとえば、約0%から約60%まで、約20%から約50%まで、または約25%から約48%までとすることができる。本明細書に開示される具体例としての製剤は、48%, 45%, 36.3%, 31.4%, 29.5%, 29%, 27%および23% ELを有する製剤を含めるものとする。やはり、本明細書に提示される情報によって、当業者は溶媒の割合を調整し、特定の薬物の送達に必要とされる最適量を決定することができるであろう。SAIB製剤において、2つ以上の溶媒を使用することができる。
【0059】
本発明の剤形は、1つまたは複数のレオロジー調整剤を含んでなることができる。レオロジー調整剤の重量パーセントは、望ましい剤形の特性に応じて変化しうるが、たとえば、約0.1%から約10%まで、約0.5%から約5%まで、または約1%から約4%までとすることができる。本明細書に開示される具体例としての製剤は、3.5%、3%および1%、ならびに0% IMを有する製剤を含めるものとする。本明細書に提示される情報によって、当業者は、製剤の粘性もしくは他のレオロジーを調整する物質の割合を調整し、特定の薬物の送達に必要とされる最適量を決定することができるであろう。SAIB製剤において、2つ以上のレオロジー調整剤を使用することができる。
【0060】
網目形成成分の重量パーセントは、望ましい剤形の特性に応じて変化しうるが、たとえば、約0%から約20%まで、約0.1%から約%10まで、約0.5%から約9%まで、または約1%から約8.6%までとすることができる。本明細書に開示される具体例としての製剤は、8.6%, 7.8%, 5%, 4.5%, 3%, 2.1%, 2%, 1%, 0.5% および 0% CABを有する製剤を含めるものとする。異なるタイプのCAB(たとえば、CAB 381-20, CAB 381-2およびCAB 171-15)を使用して、望ましい薬物放出特性に影響を及ぼすことができる。この場合もやはり、本明細書に提示される情報によって、当業者は網目形成成分の割合を調整し、特定の薬物の送達に必要とされる最適量を決定することができるであろう。SAIB製剤において、2つ以上の網目形成成分を使用することができる。
【0061】
本発明の製剤は、CAB 381-20, CAB 381-2 および CAB 171-15といった、さまざまなアセチルおよびブチリル含量の酢酸酪酸セルロースのような網目形成成分を利用することができる。CABはSAIB-薬物製剤中で微小網目のin situ形成を可能にする。理論に制約されたくはないが、微小網目形成の機構はある程度は網目形成成分の転相(たとえば、Tgにおける変化)に起因しているように見えることは明らかである。換言すれば、CABタイプの網目形成成分(たとえば、CAB 381-20)を含有するSAIB製剤が、哺乳動物の胃腸(GI)管のような水性環境に曝露され、または浸されたとき、SAIB製剤においてすでに溶解している網目形成成分が、水および他の生物学的に利用可能な液体成分の移動の結果として沈澱することとなり、そのことは結果として重合体沈澱プロセスをもたらし、ドラッグデリバリーデバイス内に重合体の網目を生じる。微小網目の形成は製剤塊の表面から始まり、重合体の網目は徐々に製剤塊の中心に向かって広がって、結果としてin situでSAIB製剤の粘性の漸進的な増加をもたらす。
【0062】
この網目形成成分と併用して、乳酸エチルのような溶媒およびミリスチン酸イソプロピルのようなレオロジー調整剤がSAIB中に調剤されるとき、これらは、HVLCM製剤に、いくつかの予想外の特性を付与すると思われる。その特性は、レオロジー(たとえば、粘性)特性、薬物放出動態、および濫用抑止特性を包含する。
【0063】
初期および/または後期の薬物放出速度が、さまざまな濃度の乳酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルの存在下で網目形成重合体の含量の増加に伴って、増加することが明らかになった。しかしながら、乳酸エチル(EL)の効果はさまざまで、たとえば、初期(0-6時間)にはEL濃度の増加は薬物放出速度を増加させたが、後期(6-24時間)にはEL濃度の増加に伴って薬物放出速度は減少した。また、注目すべきことに、エタノール溶液によるSAIB薬物製剤からの薬物抽出可能性は、乳酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルの濃度にかかわらず、CAB重合体の添加にともなって一貫して減少した。
【0064】
また、SAIB製剤におけるCAB重合体の添加は、37℃の水性媒体中に浸漬する前および後にSAIB製剤の粘性を一貫して高めることも明らかになった。しかしながら、他の成分、すなわち乳酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルの添加は、浸水前には粘性を減少させるが、浸水後には粘性を増加させることが明らかになった。これらの観察は、SAIB薬物製剤における溶媒および流動化剤に関する事前の理解からはまったく予想外である。
【0065】
本発明は、溶媒、レオロジー調整剤および網目形成成分といった個々の製剤成分の比率を加減することによって、HVLCM製剤のいくつかの性能特性を最適化することも含めて、調整することを可能にする。本発明はまた、製剤成分間の新規の驚くべき相互関係を明らかにするが、そうした相互関係は、結果として、独特であって自明でない製剤レオロジー、薬物放出動態、速度およびin vivoでの薬物吸収の広がりをもたらし、および/または、たとえばアルコール溶液または水溶液による薬物抽出可能性の低下を含めて、望ましい濫用抑止特性をもたらした。
【0066】
本発明は、薬物濫用を減少させる、または無くすような剤形を与えるが、ここで、その濫用経路はたとえば、鼻でかぐ、吸引する、静脈内、舌下、口内、皮下、経皮、膣、直腸または眼内の手段を包含することができる。本発明の剤形は、いくつかの重要な濫用抑止特性を有する:その剤形は粉砕不可能であって(鼻から吸引して濫用するため)、たとえば薬物のアルコール抽出または水抽出を極めて困難にしてわずかな薬物収量しか生じない、製剤を提供する。
【0067】
本発明の剤形は、予想外に好ましい薬物放出動態を示す。たとえば、SAIB/オキシコドン製剤は、現在市販されている製剤(たとえば、オキシコンチン(登録商標))と比較したとき、短いTmax、大きい、および/または等しいCmaxおよびAUC(濃度曲線下面積)といった改善された薬物動態パラメーター、ならびに改善された薬物のバイオアベイラビリティを与える。
【0068】
本発明の製剤の別の予期せぬ好ましい特性は、製剤塊がGI管を通過するとき、実質的に無傷なままであると思われることである。たとえば、SAIB製剤はカプセルが溶解するときゼラチンカプセルから放出されるが、製剤塊そのものは胃、腸、または結腸を通過するとき胃腸の運動性(蠕動運動)によって揉まれ、または変形すると考えられるにもかかわらず、乳化されることはない。理論に制約されることは望まないが、表面の再生は、塊の内部からの薬物の拡散による、および表面の変形および再折り畳みによる、または前記メカニズムの何らかの組み合わせによる、比較的一定の表面薬物濃度の復元によって生じる。
【0069】
特別な実施形態において、本発明は、生分解性カプセルに封入された製剤を含んでなる経口投与剤形を提供するが、ここで、製剤は、薬物、HVLCM、レオロジー調整剤、網目形成成分および溶媒を含んでなり、さらにこの場合カプセルは、哺乳動物の胃腸管に存在する状態に曝されると分解する物質から作られている。好ましい実施形態において、HVLCMはSAIBとし、カプセルはゼラチンまたは合成ポリマーから作ることができる。特別な実施形態において、薬物はオキシコドンのようなオピオイドとすることができる。さまざまな製剤を組み込んだ剤形の薬物放出動態はオキシコドンのような薬物の送達について予想外でもあり好ましくもあると考えられる。
【0070】
製剤の調製
本発明の具体例となる製剤を調製する方法は、HVLCMとしてSAIBを使用して提示される。他のSAIB製剤は、この方法を変更することによって調製することができる。比率は、それぞれ、SAIB/乳酸エチル/ミリスチン酸イソプロピル/CAB 381-20の重量パーセント比を表す。
【0071】
SAIB/EL/IPM/CAB (65:27:3:5)を含んでなる製剤は次のように作製された:適当な量の乳酸エチルをビーカーに入れた;ゆっくり撹拌しながらCABおよびIPMを加えた(撹拌プレート上、撹拌子);完全に溶液の状態となるようにしておいた(撹拌プレート上、撹拌子)−得られた混合物を37℃にて3日間放置した;熱した(80℃)SAIB(手で振り混ぜた後撹拌プレートにおく)を添加した−65:27:3:5混合物を48時間にわたって37℃で放置した;混合物を〜2時間、70℃に加熱し、20-30秒間4000rpmにて20mmプローブでホモジナイズした;オキシコドン塩基を添加し(9 mg/g)、混合物を1時間70℃に加熱した後、一晩放置した。混合物を70℃に再加熱して、皮下注射針および対応する注射器を用いてソフトジェルキャップを満たす。
【0072】
製剤、粘性および溶解(表1)
表1は、さまざまな製剤に関する粘性および溶解データを示す。粘性値は、26℃および37℃にて(+/−0.1から0.3℃)、Brookfield Digital Rheometer Models LV DV IIIおよびHBDVおよびCPE 52コーン(およそn=1)を用いて測定した。オキシコドンの含量は、SAIB製剤においてジェルキャップあたり9から12 mgまでとした(ロット#X03502はSAIBおよびオキシコドンのみを含有する)。
【0073】
SAIB製剤の組成に加えて、表1は、37℃の水に6時間浸漬する前後の、その製剤に関する37℃での粘度を示す(「プラセボ−H2O」と書かれた列は、水に浸漬する前の溶液の粘度を示し、「プラセボ+H2O」と書かれた列は水に浸漬後の溶液の粘度を示す)。37℃および浸水という条件は、in vivo条件をシミュレートすることを目的とした。
【0074】
表1はまた、2つの異なる時期に放出されたオキシコドンの累計量(mg)を示す。一方の期間は0から6時間までの間であり、他方は6から24時間までの間である。
【0075】
表1の情報を分析し、下記の半経験的な式を導いた(式1-3を参照されたい)。式1-3は、SAIB オキシコドン ジェルキャップ製剤 X03511 からX03518 (8個の異なる製剤)に関する表1の情報から導かれた。
【0076】
式1は、EL, IPM および CAB重合体の濃度が増加するにつれて、0-6時間の期間から得られる薬物の溶解速度が増加することを示す(統計的信頼度は高く、r=0.9)。
【0077】
式2は、6-24時間から得られる薬物溶解速度がIPMおよびCABの増加につれて増加するが、ELの増加では減少することを示した。
【0078】
式3は、EL, IPM および CABが増加するにつれて、0-24時間から得られる薬物溶解速度が増加することを示す。
【0079】
式1-3において与えられる結果は、予想外である。CABの増加は溶解速度を低下させると予想されていた。ところがそうではなくて、CABの増加はELおよびIPMの存在下で溶解速度を増加させると思われる。加えて、ELの役割は目的とする期間に依存して変化する。
【0080】
式4-5は、37℃にて6時間浸漬する前の製剤粘性値を用いて計算された。式4-5に示すように、相関係数は優れている(r2 = 0.93から0.96)。いずれの式も、CABの増加に伴って粘性は増加するのに対して、ELおよびIPMの増加では粘性が減少することを予測する。溶液レオロジーの理論に基づいて、上記が予想された。
【0081】
式6-7は、37℃にて5時間浸水後の製剤粘性値から導かれた。これらの式からわかるように、予想通り、CABの増加は浸水後の粘性を増加させる。しかしながら、式6および7はいずれも、ELの増加が浸漬粘度を増加させることを予測する。これは想定外である。浸漬粘度に対するEL増加の影響は粘性を低下させると予測する。
【0082】
表1は、SAIB-オキシコドン製剤X03502のデータを示す。X03502は製剤成分をまったく含有しない(純粋SAIB)が、溶解テストの間に相当量のオキシコドンを送達した(0-6時間まで0.42 mg、および6-24時間で0.65 mg)。in situ粘性データ(51,200cP)により明らかなように、粘性はin situで相当低下し、製剤はゆっくりした速度であるが良好な速度制御機構によりオキシコドンを放出した。
【0083】
表1はまた、多数の他の興味深い製剤を示す。たとえば、X03503(SAIB/IPM 99/1)は1% IPMの有意なレオロジー調整効果を示すが、純SAIB製剤と比べて高いドラッグデリバリー速度を示した。
【0084】
さらに、表1はCAB 171-15を含有するSAIB製剤を提示する。X03505からX03508までの製剤において示されるように、浸水前後の粘性は、CAB 381-20BPを含有する製剤の粘性とはまったく著しく異なっている。結果として、CAB 171-15を含有するSAIBオキシコドン製剤は、等しい重量パーセントのCAB 381-20を含有する製剤とは極めて異なるオキシコドンの放出動態を示した。
【0085】
下記は、溶解実験データから導き出された半経験的な等式である。これらの式を用いて、オキシコドン遊離塩基の溶解および抽出、ならびに37℃の水に5時間浸漬した前後のプラセボSAIB溶液の粘度を算出することができる。
【0086】
1. 成分の重量%を変化させて薬物を溶解する
累計の薬物溶解を、EL, IPMおよびCAB 381-20BPの重量パーセントの関数として測定した。対応するin vitro溶解データを有する8個のSAIB-オキシコドン製剤を示した。非GLPおよびGLPのイヌの薬物動態(PK)研究に製剤を使用した。ロットX03511からX03518(n = 8)。
【0087】
下記の等式に関して、Y=溶解した累計薬物量(mg)または抽出された累計薬物量(重量パーセント)であり、x1,x2およびx3は、それぞれEL, IPMおよびCAB 381-20BPの重量パーセントである。
【0088】
a. 0から6時間までの期間
【数1】

b. 6-24時間までの期間
【数2】

c. 0-24時間までの期間
【数3】

2. 浸水前後の37℃でのSAIBプラセボ溶液の粘度
(a) 37℃にて水に浸漬する前のCAB 381-20BP含有SAIBプラセボ溶液(n = 13)について:
Z = 3359.02 - 192.26 x1 - 227.88 x2 + 1240.29 x3 : : r2 = 0.93(式4)
もう一つの相関
Ln Z = 8.47 - 0.1x1 - 0.137x2 + 0.585x3 : : r2 = 0.96(式5)
(b) 37℃にて5時間水に浸漬した後のCAB 381-20BP含有SAIBプラセボ溶液(n = 13)について:
Ln Z1 = 3.8 + 0.056x1 - 0.00911x2 + 1.02x3 : : r2 = 0.96(式6)
もう一つの相関は
Z1 = - 42327.04 + 292.95x1 + 405.64 x2 + 12173.84x3 : : r2 = 0.8 (式7)
であるが、式中、ZおよびZ1は37℃の水に5時間浸漬する前後のSAIBプラセボ溶液の粘度(cP)である。
【0089】
上記の式、および下記で与えられる式8は、具体的な薬物(オキシコドン)に関して導かれているが、これらの式は、剤形において濫用抑止および薬物放出動態ならびに他の特性を変化させて、望ましくどのようにも最適化することができる、そういった剤形を製剤することを可能にする。他の具体的な薬物について同様の式を作成することができる。
【表1】

【表2】

【0090】
低pH溶液における薬物溶解速度の測定(図7)
いくつかのSAIB-オキシコドン製剤のうち1つを含有するソフトジェルキャップ1個を、スターラー機構とともに標準的なガラスビーカーに入れた(米国薬局方装置II(United States Pharmacopia Apparatus II)に記載のとおり; VK 7000 米国薬局方溶出試験器(USP II Dissolution Tester))。37℃の0.1N HCl溶液900 mlをそのビーカーにいれ、その溶液を50 rpmで2時間撹拌した。この間に、ジェルキャップは溶解し、SAIB薬物製剤は低pHの溶液に曝露され、さらに、オキシコドンの溶解が始まる。多数の1mlサンプルを採取し、オキシコドン濃度をHPLC(Perkin Elmer Series 200 LC Pump、または同等な物;UV検出器、Perkin Elmer ダイオードアレイ検出器(Diode Array Detector) 235C、または同等な物)によって測定した。この最初の溶解ステップ後、ビーカー内容物に変更を加え、リン酸ナトリウムバッファーを添加することによってpHを1から6.8に調整した。温度は37℃に維持して、薬物の溶解をさらに22時間続けた。さまざまな時点で追加の1mlサンプルを採り、オキシコドン濃度をHPLCによって測定した。媒体中に溶解したオキシコドンの累計パーセントを各期間について算出し、グラフを描いた(図7)。
【0091】
図7は、薬物溶解実験から得られたデータを示す。グラフはソフトジェルキャップ中のSAIB-薬物製剤に関するデータ(四角のデータポイント)を、対照として使用した市販のオキシコドン錠剤(オキシコンチン(登録商標))(菱形のデータポイント)と比較して示す。Y軸は放出されたオキシコドンの累計パーセントを表し、X軸は時間(時間)を表す。
【0092】
図7のSAIBオキシコドン製剤は、次の重量パーセントの成分を含有していた:ジェルキャップあたり10mgのオキシコドン遊離塩基;SAIB、65%;乳酸エチル、27%;ミリスチン酸イソプロピル、3%;およびCAB 381-20、5%。市販のオキシコドン製品は80mgのオキシコドンを含有していた。いくつかの他のSAIBオキシコドンジェルキャップ製剤の薬物溶解を調べ、結果を表1に示す。
【0093】
市販のオキシコドン錠剤が、初期に大きく爆発的なオキシコドン放出を示し、最初の1時間のうちに50%近くを、6時間以内に80%を放出したことは、図7から明らかである。一気に放出した後の薬物放出は、初期の放出に比べてゆっくりであった。他方、SAIBオキシコドン製剤は、突発的な結果を示すことはなく、より制御され持続する薬物放出を全テスト期間にわたって示した。
【0094】
エタノールによる薬物抽出
本発明の重要な特徴は、旧来のエタノール抽出を用いた製剤からの薬物抽出(これまで薬物乱用者によって用いられた抽出)が、先行技術の錠剤およびカプセル製剤には有効であるのに比べて、はるかに非効率となるように、製剤を製造することができるという点である。
【0095】
図1-4および11は、濫用抑止研究から得られた結果を示すグラフである。その目的は、SAIB/オキシコドン製剤をソフトジェルキャップ中に含んでなる剤形から、薬物濫用者が行うような簡単なアルコール抽出によって抽出することができる、オキシコドンの量を測定することであった。グラフの単位は、時間(分)に対する放出累計のパーセンテージである。
【0096】
濫用抑止研究のデータをとるために使用した方法は、次の通りとした。それぞれのソフトジェルキャップを0.75mlの製剤で満たし、60-ml褐色ビン中18mlの0.1N HClに入れて、オービタルシェーカーで30分間240rpmにて振盪した。30分後、200°(200プルーフ=100%)エタノール12mlを、それぞれのビンに加えた。溶液を手で回して撹拌し、1mlのサンプルをT=0としてそれぞれのビンからサンプリングした。溶液をオービタルシェーカーにもどし240rpmでさらに振盪した。それぞれのビンからさらに10, 20, 30, 40, 60および180分振盪後に1mlサンプルを採取した。結果を、累計放出(%)の時間(分)に対する線状目盛りのグラフで示した。
【0097】
図1は、9個の製剤に関する時間(分)に対する、SAIB製剤に加えた初発の薬物のパーセンテージで表した、抽出された薬物のパーセンテージ累計量を示す。各製剤は12mg/mlオキシコドンを含有する。製剤のID番号および製剤成分比率は、符号対応表に示す。各成分の比率(重量パーセント)は、SAIB:EL:IM:CABに相当する。
【0098】
図1で与えられたデータから、全成分およびそれらの比が薬物の抽出可能性に影響を及ぼすことが理解されるはずである。回帰分析を用いて、抽出された薬物の累計パーセントに関する、各成分の重量パーセントの関数としての下記の経験的な等式。
【0099】
Ln Cum% = 4.04 + 0.0132 x1 + 0.0518 x2 - 0.1994 x3 : r2= 0.75 (式8)
式中、Cum%は、全期間にわたって抽出された薬物の累計パーセントを示し、x1, x2およびx3はEL, IPMおよびCAB 381-20の重量パーセントである。図に示すように、上記のアルコール溶液によって抽出される薬物の重量パーセントは、CAB 381-20の増加に伴って減少した(製剤256-62-02, 256-62-04, 256-62-06 および 256-62-08を参照されたい)。しかしながら、よく知られているレオロジー調整剤IPMの添加が、4重量パーセントのCAB 381-20を含有する製剤に添加したとき、製剤256-62-16によって示されるように薬物のアルコール抽出に影響しないということは、明らかではなかった。これは、医薬製剤技術の常識に反する。すなわち、IPMはSAIBのレオロジー調整剤であって、SAIB製剤をゆるめて薬物抽出を促進すると予想されたが、そうではなかった。CAB含量が256-62-12のように3重量パーセントである場合、3重量パーセントのIPMの添加が、製剤256-62-04のようにIPMを含有しない製剤と対比して、アルコール溶液による薬物の抽出可能性を相当増加させることも明らかになった。したがって、CABの最適な重量パーセントに起因するのみならず、CABとIPM間の最適な比率によって、アルコールによるSAIB製剤からの薬物抽出可能性の低下をもたらすことができると結論付けられた。
【0100】
図2は、4個の製剤について、アルコールによって抽出されたオキシコドン遊離塩基の累計パーセントを時間(分)に対して示す。各製剤はソフトジェルキャップに詰めた。各ジェルキャップは12mg/mlオキシコドン遊離塩基を含有した。
【0101】
この実験において、CABに対する、さまざまな比率のIPMの影響を、アルコールによるSAIB製剤からの薬物抽出可能性について評価した。比率は0.25から0.78まで変化させた。
【0102】
与えられた比率の範囲に対して、驚くべきことに、乳酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルおよびCABの含量をそろって増加させるとアルコール溶液による薬物抽出可能性が減少することが見出された。この実験から、IPMおよびCABは定量的に相互に交換可能であって、一方の成分を増加させ、他方を同じ重量パーセントだけ減少させると、結果として不変のレオロジー特性を有する製剤となることが明らかになった。これは、IPMが、SAIB製剤をゆるめる(粘性を下げる)レオロジー調整剤であるのに対して、CABはその製剤の粘着性を高めて変形し難くすると推定されているという事実に照らして、特に驚くべき発見である。
【0103】
図3は、4つの製剤について、さまざまなSAIB製剤からアルコール溶液によって抽出された薬物の累計パーセンテージを、時間(分)に対して示す。各製剤は12mg/mlのオキシコドンを含有する。これらの製剤はIPMのCABに対する比が0.6から0.78までの範囲であって、乳酸エチルの含量は27-29重量パーセントと計算された。この図は、180分の抽出実験の終了時点で、抽出された割合が4つの製剤のすべてについてほぼ同じとなることを示す。しかしながら、最初の60分の終わりでは、抽出された薬物のパーセントは、より多くの量の乳酸エチルを含有する製剤の方が高いことが明らかになった。また、乳酸エチル含量の極めて少量の増加が薬物抽出の多大な増加をもたらすことも判明した。
【0104】
図4は、3つの製剤について、アルコールによって抽出された薬物の累計パーセンテージを、時間(分)に対して示す。各製剤は9mg/mlのオキシコドンを含有する。この実験は、乳酸エチルが、アルコールによる薬物抽出可能性に対して、CABより2倍を超えて大きな影響を及ぼすことを示した。これは、CABが極めて有効なマトリクス/網目形成物質であると考えるのが妥当であるとおもわれたので、また別の意外な発見であった。
【0105】
図11は、アルコール抽出実験の結果を示す。グラフは、40%エタノール+ 0.1N HCl中に抽出された総オキシコドン%の時間に対するプロットを表す。対照として用いた製剤は、市販の10mgオキシコンチン(登録商標)錠とした。この実験で使用する実験製剤は、IPMを含有せず、SAIB:EL:CABは下記の割合とした:「基本調合、高レベル」=50:45:5;「基本調合、中レベル」=60.8:37:2.2;「基本調合、低レベル」=50:48:2。この実験において、およそ30分の時点で、本明細書に記載の製剤を含有するゼラチンカプセルを半分に切り、錠剤はスパーテルで砕いた。図からわかるように、オキシコンチン(登録商標)錠の製剤は破砕後速やかに薬物を100%放出する。およそ60分後には、薬物はすべて放出されている。しかしながら、3つのSAIB製剤に関しては、60分後の放出された薬物のパーセントは、低レベル、中レベル、および高レベル製剤についてそれぞれ、わずかに約13%、23%および30%である。これらの結果は、本発明の製剤が、現行製剤のオキシコンチン(登録商標)錠と比べて、著しく改善された濫用抑止特性を有することを明示する。
【0106】
薬物の水への抽出
別の実験を実施して、本発明の製剤が濫用抑止特性を有する度合いを判定し、具体的には水へのオキシコドンの抽出可能性を測定した。一般的に、薬物乱用者はオキシコドン錠剤を砕いてすりつぶし、水に溶解して、注射目的で水溶液中に薬物を抽出することがある。本発明の実験において、実験用剤形は、SAIB:EL:IPM:CAB比が67:26:3:4である製剤をソフトジェラチンカプセル中に含有し、さらに9mgの薬物(オキシコドン遊離塩基)を含有するSAIB-オキシコドンジェルキャップとした。対照として使用した剤形は、9mgオキシコンチン(登録商標)錠であった。それぞれの剤形を乳鉢と乳棒で破砕し、水5mlを入れてすりつぶした。次に、得られた溶液/懸濁液を、0.45ミクロンフィルターを通して濾過してフラスコに入れ、水で希釈して50mlとした。その後、オキシコドン濃度をHPLCで定量した。結果は次の通りである:対照(オキシコンチン(登録商標)錠)については、100%のオキシコドンが粉砕された錠剤から水中に抽出された。実験用SAIB製剤については、約21%のオキシコドンしか水中に抽出されなかった。このことは、薬物を効率よく水中に抽出することができないので、本製剤が、オキシコンチン(登録商標)錠と比べて、少なからぬ薬物濫用抑止特性を有することを示している。
【0107】
物理的処理
薬物濫用のためのもう一つの可能性のある方法は、吸引可能な、または注射用溶液に溶解可能な粉末を生じることができるように、温度を下げて製剤を機械的に壊すことである。現行製剤のこうした特性を、特に温度低下と粉砕について判定するために、実験を行った。この手順において、製剤を研究用冷凍庫に入れて−80℃に8時間おいた後、ハンマーで鋭くたたいた。ある製剤は、100% SAIBを含んでなり、別の製剤はSAIBに加えて溶媒(26% EL)を含んでなり、またある製剤は、SAIB:EL:IPM:CAB比が67:26:3:4であってオキシコドン遊離塩基からなる製剤(上記)とした。最初の製剤(100% SAIB)に関する結果は、下記の通りであった:破砕されて約45秒以内に、破片が溶けて高粘性な液体の状態に戻った。製剤の放出制御マトリクス構造は保存された。2番目の製剤(SAIB + 溶媒)について:破砕されて30秒以内に、製剤塊は高粘性で粘着性に見えるようになり、破砕してばらばらの破片にはならなかった。やはり、放出制御マトリクス構造は保存された。PTI-821製剤について:破砕されて30秒以内に、製剤塊は高粘性で粘着性に見えるようになり、破砕してばらばらの破片にはならなかった。ここでもやはり、放出制御マトリクス構造は保存された。結局、温度を低下させて破砕することによる濫用の試みは、容易に濫用できる形態の薬物をもたらすことはないと思われた。図8-10を参照されたい。
【0108】
血漿レベルの研究
図5は、9 mgオキシコドン製剤を含有する3つのSAIBソフトジェルキャップ(A, BおよびC)、およびオキシコンチン(登録商標)について、時間(時間)に対する血漿濃度(ng/ml)を示す、イヌの薬物動態研究から得られたグラフである(A=SAIB:EL:CAB; B=SAIB:EL:CAB; C=SAIB:EL:CAB, CAB=CAB 171-15)。それぞれのオキシコドン製剤を約0.75g含有する1つのジェルキャップをイヌに経口で投与した。12時間にわたって定期的に血液を採取し、オキシコドンの血漿濃度を時間の関数として測定した。
【0109】
3つの製剤A, BおよびCに関する血漿vs時間の図を、オキシコンチン(登録商標)の図と比較した。SAIBジェルキャップ製剤およびオキシコンチン(登録商標)錠は、それぞれ同一量のオキシコドン遊離塩基(9mg)を含有していた。
【0110】
SAIB製剤AおよびCは、オキシコンチン(登録商標)錠 製剤より高いCmax(薬物の最大血漿濃度)値を示した。2つのSAIB製剤AおよびBはオキシコンチン(登録商標)に比較して、かなり短いTmax(最大血漿レベルに至るまでの時間)値を有していた。他方では、A, BおよびCのうち最大粘度を有するSAIB製剤Bは、オキシコンチン(登録商標)対照と比較して同等のCmax値を示したが、Tmax値はもっと長かった。
【0111】
また、SAIB製剤AおよびCは、そのユニークなレオロジー(流動)特性によって、オキシコンチン(登録商標)対照より大きいAUC(時間に対する血漿薬物濃度曲線下の面積)値およびバイオアベイラビリティを示した。最適なSAIB製剤は望ましい薬物動態特性を示すが、そうしたSAIB製剤は次のような粘性特性を有するべきであることが見出された:37℃でのSAIB溶液の粘度は、1,000-30,000 cpの範囲になければならない。さらに、37℃の水または水性バッファー(pH1-10)に4-5時間浸漬後、SAIB製剤は好ましくは、37℃にて3,000-50,000 cPの粘度を有するべきである。
【0112】
上記で与えられたいくつかの実施例は、SAIB製剤ジェルキャップあたり約10mgの量のオキシコドンを含有する本発明の組成物に関するが、それより多量または少量の薬物(たとえば5 mg, 20 mg, 40 mg, 80mg, 160 mgなど)を本発明のSAIBジェルキャップに組み入れることができる。
【0113】
本発明の利益はオピオイドのような特定の薬物について述べられてきたが、本発明の製剤を下記のような多種多様な薬物とともに使用するとき、上記利益の一部または全部が達成される:免疫抑制薬、抗酸化薬、麻酔薬、化学療法薬、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗増殖薬、抗ヒスタミン薬、抗凝固薬、光老化防止薬、メラニン刺激ペプチド、非ステロイド系およびステロイド系抗炎症性化合物、抗精神病薬、およびUV吸収剤を含む放射吸収剤、化学療法剤、嘔吐抑制薬など。本発明において使用するのに適した薬理作用物質もしくは薬物の限定的でない例としては、抗感染薬、たとえば、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、抗生物質、これはペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ナイスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、およびアジスロマイシンを含む;スルホンアミド、これはスルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファジアジン、およびスルフィソキサゾールを含む、ならびにイドクスウリジンを含めた抗ウイルス薬;抗アレルギー薬、たとえば、アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、ピリラミン、プロフェンピリダミン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、21-リン酸デキサメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリソン、プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロン21-ナトリウムおよび酢酸プレドニゾロン;減感作薬、たとえば、ブタクサ花粉抗原、花粉症抗原、ハウスダスト抗原、および牛乳抗原;ワクチン、たとえば天然痘、黄熱病、ジステンバー、豚コレラ、水痘、抗毒素血清、猩紅熱、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、鳩痘、百日咳、インフルエンザ、狂犬病、流行性耳下腺炎、麻疹、灰白髄炎、およびニューカッスル病;鬱血除去薬、たとえば、フェニレフリン、ナファゾリン、およびテトラヒドラゾリン;縮瞳および抗コリンエステラーゼ薬、たとえばピロカルピン、サリチル酸エゼリン、カルバコール、フルオロリン酸ジイソプロピル、フォスフォリンアイオダイド、および臭化デメカリウム;副交感神経遮断薬、たとえば、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、およびヒドロキシアンフェタミン;交感神経興奮剤、たとえば、エピネフリン;鎮静および催眠薬、たとえばペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(α-ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマール;精神賦活剤、たとえば、3-(2-アミノプロピル)インドールアセテートおよび3-(2-アミノブチル)インドールアセタート;精神安定剤、たとえば、レゼルピン、クロルプロマジン、およびチオプロパゼート;アンドロゲンステロイド、たとえば、メチルテストステロンおよびフルオキシメステロン;エストロゲン、たとえば、エストロン、17-βエストラジオール、エチニルエストラジオール、およびジエチルスチルベステロール;プロゲステロン剤、たとえば、プロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、ノルエチノドレル、19-ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドキシプロゲステロンおよび17-βヒドロキシプロゲステロン;液性作用物質、たとえば、プロスタグランジン類であるPGE1, PGE2およびPGF2;解熱薬、たとえば、アスピリン、サリチル酸ナトリウムおよびサリチルアミド;鎮痙薬、たとえば、アトロピン、メタンテリン、パパベリン、および臭化メトスコポラミン;抗マラリア薬、たとえば、4-アミノキノリン類、8-アミノキノリン類、クロロキン、およびピリメタミン;抗ヒスタミン薬、たとえば、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレナミン、ペルフェナジンおよびクロルフェナジン(chlorphenazine);心臓作用薬、たとえば、ジベンズヒドロフルメチアジド、フルメチアジド、クロロチアジド、およびアミノトレート(aminotrate);栄養物質、たとえば、ビタミン類;天然および合成生理活性ペプチドおよびタンパク質、たとえば、増殖因子、細胞接着因子、サイトカインおよび生物学的応答調節物質が挙げられる。
【0114】
本明細書に記載の実施形態は単なる例証であって、本発明を制限することを意図するものでなく、本発明は請求項によってのみ解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】濫用抑止研究から得られた代表的な結果を示すグラフである。グラフの単位は、累計放出の相対百分率 対 時間(分)である。
【図2】濫用抑止研究から得られた代表的な結果を示すグラフである。グラフの単位は、累計放出の相対百分率 対 時間(分)である。
【図3】濫用抑止研究から得られた代表的な結果を示すグラフである。グラフの単位は、累計放出の相対百分率 対 時間(分)である。
【図4】濫用抑止研究から得られた代表的な結果を示すグラフである。グラフの単位は、累計放出の相対百分率 対 時間(分)である。
【図5】代表的な、イヌの薬物動態(PK)研究から得られたグラフであって、オキシコンチン(登録商標)錠と比較して、オキシコドン製剤を含有する3つのSAIBソフトジェルキャップ(A、BおよびC)に関する、血漿濃度(ng/ml)と時間(時間)との関係を示す。
【図6】SAIBの構造を示す化学構造式であるが、このSAIBは、疎水性の、完全エステル化されたスクロース誘導体であって、イソ酪酸エステル対酢酸エステルの名目上の比は6対2である。
【図7】シミュレートした胃腸環境における薬物の代表的な溶解結果を示すグラフである(累計%放出 対 時間)。
【図8】−80℃の温度に8時間曝露した後にハンマーで砕いた100% SAIB製剤の代表的な写真である。放出制御マトリクス構造が保存されていることに注目されたい。
【図9】−80℃の温度に8時間曝露した後にハンマーで砕いた、SAIB+溶媒を含んでなる製剤の代表的な写真である。
【図10】−80℃の温度に8時間曝露した後にハンマーで砕いた、9 mgの薬物を含有する、ソフトゼラチンカプセル中に入れられた本発明の製剤(PTI-821、SAIB:EL:IPM:CABの比が67:26:3:4である)の代表的な写真である。
【図11】濫用抑止研究から得られた代表的な結果を示すグラフである。グラフの単位は、累計放出の相対百分率 対 時間(分)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性環境に曝露されたときに製剤内部に網目構造を形成し、さらに外面を形成する製剤を含んでなる経口投与剤形であって、その製剤が薬物を含んでなる、前記経口投与剤形。
【請求項2】
外面もしくは網目構造、またはその両方が、少なくともある程度は、網目形成成分と水性環境との間の相互作用に起因している、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
HVLCM、網目形成成分および薬物を含んでなる製剤を含んでなる、経口投与剤形。
【請求項4】
外面もしくは網目構造、またはその両方が、少なくともある程度は、網目形成成分とHVLCMとの間の相互作用に起因している、請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
HVLCMがSAIBである、請求項3に記載の剤形。
【請求項6】
網目形成成分が重合体を含んでなる、請求項2に記載の剤形。
【請求項7】
網目形成成分がCABを含んでなる、請求項6に記載の剤形。
【請求項8】
網目形成成分が、約17%から約38%までのブチリル含量、約13%から約30%までのアセチル含量、約0.8%から約1.7%までのヒドロキシル含量、またはそれらの組み合わせを有するCABである、請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
レオロジー調整剤を追加して含んでなる、請求項3に記載の剤形。
【請求項10】
レオロジー調整剤のオクタノール-水分配係数の対数が−7から+15までである、請求項9に記載の剤形。
【請求項11】
レオロジー調整剤のオクタノール-水分配係数の対数が−1から+7までである、請求項9に記載の剤形。
【請求項12】
レオロジー調整剤が、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Migliol 810)、IPM、オレイン酸エチル、クエン酸トリエチル、フタル酸ジメチルおよび安息香酸ベンジルからなる一群から選択される、請求項9に記載の剤形。
【請求項13】
製剤がカプセル中に含まれている、請求項1に記載の剤形。
【請求項14】
カプセルがゼラチンカプセルである、請求項13に記載の剤形。
【請求項15】
カプセルがハードゼラチンカプセルである、請求項13に記載の剤形。
【請求項16】
カプセルがソフトゼラチンカプセルである、請求項13に記載の剤形。
【請求項17】
製剤がさらに安定剤を含んでなる、請求項1に記載の剤形。
【請求項18】
安定剤が抗酸化剤である、請求項17に記載の剤形。
【請求項19】
HVLCMが重量として約20%から99%までの量、含まれている、請求項3に記載の剤形。
【請求項20】
HVLCMが重量として約30%から90%までの量、含まれている、請求項19に記載の剤形。
【請求項21】
HVLCMが重量として約40%から80%までの量、含まれている、請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
HVLCMが重量として約50%から70%までの量、含まれている、請求項21に記載の剤形。
【請求項23】
レオロジー調整剤が重量として約0.1%から10%までの量、含まれている、請求項9に記載の剤形。
【請求項24】
レオロジー調整剤が重量として約0.5%から5%までの量、含まれている、請求項23に記載の剤形。
【請求項25】
レオロジー調整剤が重量として約1%から4%までの量、含まれている、請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
網目形成成分が重量として、剤形の約20%未満の量、含まれている、請求項1に記載の剤形。
【請求項27】
網目形成成分が重量として約0.1%から10%までの量、含まれている、請求項26に記載の剤形。
【請求項28】
網目形成成分が重量として約0.5%から9%までの量、含まれている、請求項27に記載の剤形。
【請求項29】
薬物がオピオイドである、請求項1に記載の剤形。
【請求項30】
オピオイドが、モルヒネ、メタドン、エトルフィン、レボルファノール、フェンタニル、スフェンタニル、フェンタニル関連薬物、DAMGO、ブトルファノール、ブプレノルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、CTOP、ディプレノルフィン(diprenorphine)、β-フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナロルフィン、ペンタゾシン、ナルブフィン、ナロキソン・ベンゾイルヒドラゾン、ブレマゾシン、エチルケトシクラゾシン、U50,488、U69,593、スピラドリン、ノル-ビナルトルフィミン、ナルトリンドール、DPDPE、[D-Ala2,Glu4]デルトルフィン、DSLET、Met-エンケファリン、Leu-エンケファリン、β-エンドルフィン、ダイノルフィンA、ダイノルフィンB、α-ネオエンドルフィン、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レバロルファン、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、およびナルメフェンからなる一群から選択される、請求項29に記載の剤形。
【請求項31】
薬物がオキシコドンである、請求項30に記載の剤形。
【請求項32】
薬物がヒドロコドンである、請求項30に記載の剤形。
【請求項33】
薬物がオキシモルホンである、請求項30に記載の剤形。
【請求項34】
薬物がヒドロモルホンである、請求項30に記載の剤形。
【請求項35】
薬物がCNS抑制薬である、請求項30に記載の剤形。
【請求項36】
CNS抑制薬がバルビツレートである、請求項35に記載の剤形。
【請求項37】
CNS抑制薬がベンゾジアゼピン類である、請求項35に記載の剤形。
【請求項38】
薬物が興奮薬である、請求項1に記載の剤形。
【請求項39】
興奮薬がデキストロアンフェタミンおよびメチルフェニデートからなる一群から選択される、請求項38に記載の剤形。
【請求項40】
薬物が、免疫抑制薬、抗感染薬、抗酸化薬、麻酔薬、化学療法薬、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、サルファ剤、抗アレルギー薬、減感作薬、ワクチン、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗増殖薬、抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬、抗凝固薬、光老化防止薬、メラノトロピンペプチド、非ステロイド系およびステロイド系抗炎症性化合物、抗精神病薬、放射吸収剤、縮瞳および抗コリンエステラーゼ薬、副交感神経遮断薬、交感神経遮断薬、精神安定薬、アンドロゲンステロイド、プロゲステロン剤、液性作用物質、化学療法薬、解熱薬、鎮痙薬、抗マラリア薬、嘔吐抑制薬、心臓作用薬、栄養物質、ならびに天然および合成生理活性ペプチドおよびタンパク質からなる一群から選択される、請求項1に記載の剤形。
【請求項41】
薬物が約0.1mgから1000mgまでの量として存在する、請求項1に記載の剤形。
【請求項42】
薬物が約1mgから500mgまでの量として存在する、請求項1に記載の剤形。
【請求項43】
薬物が約2mgから250mgまでの量として存在する、請求項1に記載の剤形。
【請求項44】
薬物が約5mgから100mgまでの量として存在する、請求項1に記載の剤形。
【請求項45】
薬物が約5mgから50mgまでの量として存在する、請求項1に記載の剤形。
【請求項46】
剤形が薬物を20時間より長期間送達する、請求項1に記載の剤形。
【請求項47】
剤形が薬物を12時間より長期間送達する、請求項1に記載の剤形。
【請求項48】
剤形が薬物を6時間より長期間送達する、請求項1に記載の剤形。
【請求項49】
剤形が薬物を4時間より長期間送達する、請求項1に記載の剤形。
【請求項50】
剤形が薬物を1時間より長期間送達する、請求項1に記載の剤形。
【請求項51】
さらに溶媒を含んでなる、請求項3に記載の剤形。
【請求項52】
溶媒がアルコールを含んでなる、請求項51に記載の剤形。
【請求項53】
溶媒が有機酸を含んでなる、請求項51に記載の剤形。
【請求項54】
溶媒が有機酸誘導体を含んでなる、請求項51に記載の剤形。
【請求項55】
溶媒が有機酸エステルを含んでなる、請求項51に記載の剤形。
【請求項56】
溶媒がアルコールおよび有機酸残基を含んでなる、請求項51に記載の剤形。
【請求項57】
溶媒が、EL、トリアセチン、DMSO、炭酸プロピレン、NMP、エチルアルコール、ベンジルアルコール、グリコフロール、α-トコフェロール、Miglyol 810、イソプロピルアルコール、フタル酸ジエチル、PEG 400、クエン酸トリエチル、および安息香酸ベンジルからなる一群から選択される、請求項51に記載の剤形。
【請求項58】
溶媒が重量として約60%未満の量、含まれている、請求項51に記載の剤形。
【請求項59】
溶媒が重量として約20%から50%までの量、含まれている、請求項58に記載の剤形。
【請求項60】
溶媒が重量として約25%から48%までの量、含まれている、請求項59に記載の剤形。
【請求項61】
SAIB、CAB、IPM、EL、およびオピオイドを含んでなる製剤を含んでなる、経口投与剤形。
【請求項62】
SAIB、EL、IPM、ならびに約36重量%のブチリル含量、約15.5重量%のアセチル含量、および約0.8重量%のヒドロキシル含量を有するCABが、65:27:3:5の重量比で含まれている、請求項61に記載の剤形。
【請求項63】
オピオイドが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルヒネ、アポコデイン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン(cyclorphan)、シプレノルフィン(cyprenorphine)、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルヒナン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルヒネ、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine), ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル(ohmefentanyl)、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、フォルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール(promedol)、プロファドール(profadol)、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナロキソン・メチオダイド、ナロルフィン、ナロキソナジン、ナリド(nalide)、ナルメキソン(nalmexone)、ナルブフィン、ナロルフィンジニコチネート、ナルトリンドール(NTI)、ナルトリンドール・イソチオシアネート(NTII)、ナルトリベン(naltriben )(NTB)、ノル-ビナルトルフィミン (nor-BNI)、β-フナルトレキサミン(b-FNA)、BNTX、シプロダイム(cyprodime)、ICI-174,864、LY117413、MR2266、エトルフィン、DAMGO、CTOP、ジプレノルフィン(diprenorphine)、ナロキソン・ベンゾイルヒドラゾン、ブレマゾシン、エチルケトシクラゾシン、U50,488、U69,593、スピラドリン、DPDPE、[D-Ala2,Glu4]デルトルフィン、DSLET、Met-エンケファリン、Leu-エンケファリン、β-エンドルフィン、ダイノルフィンA、ダイノルフィンB、α-ネオエンドルフィン、もしくはナルメフェン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、レボルファノール、メプタジノール、ペンタゾシン、デゾシンと同じ五環系骨格を有するオピオイド、またはそれらの製薬上有効なエステルもしくは塩、およびそれらの組み合わせ、からなる一群から選択される、請求項61に記載の剤形。
【請求項64】
オピオイドがオキシコドンである、請求項63に記載の剤形。
【請求項65】
オピオイドがヒドロコドンである、請求項63に記載の剤形。
【請求項66】
オピオイドがオキシモルホンである、請求項63に記載の剤形。
【請求項67】
オピオイドがヒドロモルホンである、請求項63に記載の剤形。
【請求項68】
レオロジー調整剤がミリスチン酸イソプロピルである、請求項9に記載の剤形。
【請求項69】
SAIBが約50重量%から約80重量%までの量で存在し、乳酸エチルが約10重量%から約40重量%までの量で存在し、IPMが約10重量%以下の量として存在し、さらにCABは約10重量%以下の量として存在する、請求項61に記載の剤形。
【請求項70】
薬物、ならびに1つまたは複数のHVLCM、網目形成成分、レオロジー調整剤および溶媒を含んでなる製剤を含んでなる、経口投与剤形であって、これらが薬物の溶媒による抽出率を減少させるのに有効な量含まれているが、同時に、投与に際して望ましい薬物放出動態を与える、前記経口投与剤形。
【請求項71】
薬物がオピオイドである、請求項70に記載の経口投与剤形。
【請求項72】
オピオイドが、オキシコドン、ヒドロコドン、オキシモルホンおよびヒドロモルホンからなる一群から選択される、請求項71に記載の経口投与剤形。
【請求項73】
網目形成成分がCABである、請求項70に記載の経口投与剤形。
【請求項74】
レオロジー調整剤がミリスチン酸イソプロピルである、請求項70に記載の経口投与剤形。
【請求項75】
広範な温度および濃度にわたって抽出率の低下が起こる、請求項70に記載の経口投与剤形。
【請求項76】
溶媒が乳酸エチルである、請求項70に記載の経口投与剤形。
【請求項77】
水性環境に曝露されたときに製剤内部に網目構造を形成し、外面を形成する製剤を含んでなる、ドラッグデリバリーデバイス。
【請求項78】
HVLCM、網目形成成分および薬物を含んでなる製剤を含んでなる、ドラッグデリバリーデバイス。
【請求項79】
SAIB、CAB、IPM、EL、およびオピオイドを含んでなる製剤を含んでなる、ドラッグデリバリーデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2006−522013(P2006−522013A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508335(P2005−508335)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/040156
【国際公開番号】WO2004/054542
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(505080839)デュレクト コーポレーション (8)
【出願人】(306025709)
【出願人】(306025721)
【出願人】(306025732)
【出願人】(306025743)
【出願人】(306025765)
【Fターム(参考)】