説明

経口投与剤

【課題】 薬物含有層に含有される薬物の味、臭い等を完全にマスキングすることができる経口投与剤を提供する。
【解決手段】 第一の水膨潤性ゲル形成層12a及び第二の水膨潤性ゲル形成層12’が最外層に設けられた経口投与剤1aにおいて、薬物含有層11が経口投与剤1aの内部に封入されるように、第一の水膨潤性ゲル形成層12aの周縁部と第二の水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層13,13’を介して熱融着することにより、結合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経口投与剤に関する。
【背景技術】
【0002】
経口投与剤は、薬物の苦味や渋味等による不快感、服薬による嘔気や嘔吐、服薬拒否等の様々な原因によって服薬コンプライアンスが低下する場合がある。
例えば、経口投与剤の一般的な剤型である固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤等)の場合、そのままでは飲み込み難いため、通常は多量の水とともに服用しなければならず、服薬コンプライアンスが低下する場合がある。特に高齢者や幼児においては、固形製剤を飲み込むことができない場合があり、服薬コンプライアンスの低下が多く見られる。また、固形製剤の場合、誤って気管に詰まらせてしまう危険性や、食道に貼り付いて食道腫瘍が形成してしまう危険性がある。
【0003】
そのため、図5に示すように、薬物含有層11の上面及び下面にそれぞれ水膨潤性ゲル形成層12及び12’が積層されることにより、水膨潤性ゲル形成層12及び12'が最外層に設けられた経口投与剤1gが開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
経口投与剤1gを患者の口腔内に投与すると、水膨潤性ゲル形成層12及び12'は唾液等の水分により膨潤してゲル形成する。これにより、経口投与剤1gは、飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化するので、容易に服用することができるとともに、患者の気管に詰まる危険性が低下し、老人や乳幼児でも安全に服用することができる。また、唾液が少なく水膨潤性ゲル形成層12及び12'が十分に膨潤及びゲル形成しない患者の場合には、少量の水とともに服用させたり、投与前に予め水に浸したりすることで同様の効果を発揮させることができる。このときに必要となる水は、錠剤、カプセル剤等の固形製剤を服用するときに必要となる水と比べて非常に少量である。
【0005】
また、経口投与剤1gを患者の口腔内に投与すると、水膨潤性ゲル形成層12及び12’は唾液等の水分により膨潤してゲル化し、薬物含有層11はゲルで覆われた状態となる。これにより、薬物含有層11に含有される薬物の味(例えば苦味、渋味)、臭い等はマスキングされるので、服薬コンプライアンスの低下を防止することができる。
【0006】
さらに、経口投与剤1gをフィルム状製剤(シート状製剤)に加工することによって、水分を多量に含むゼリー状の製剤に比べ、製剤中の水分含有量を低く抑えることができるので、薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性を向上させることができるとともに、取り扱いが容易となり、さらには包装コストの軽減を図ることができる。
【0007】
さらに、経口投与剤1gは、薬物含有層11と水膨潤性ゲル形成層12及び12’とが別々の層として形成されているので、薬物含有層11の薬物量が増加して薬物含有層11のフィルム強度が低下しても、水膨潤性ゲル形成層12及び12’にフィルム形成性を付与することによってフィルム状製剤全体としての強度を保持することができる。したがって、経口投与剤1gの薬物含有層11には、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物や、フィルム強度の低下を招きやすい不溶性でかさ高い薬物を含有させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO02/087622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図5に示すように、経口投与剤1gの端部には、薬物含有層11が露出した部分がある。この部分は、水膨潤性ゲル形成層12及び12’が唾液等の水分により膨潤してゲル化してもゲルで覆われないため、薬物含有層11が露出したままの状態となる。このため、経口投与剤1gでは、薬物含有層11に含有される薬物の味、臭い等を完全にマスキングすることができない。
そこで、本発明は、薬物含有層に含有される薬物の味、臭い等を完全にマスキングすることができる経口投与剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、第一の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨潤性ゲル形成層が最外層に設けられた経口投与剤であって、薬物が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが結合している前記経口投与剤を提供する。
【0011】
本発明の経口投与剤においては、経口投与剤の内部に含有される薬物全体が第一及び第二の水膨潤性ゲル形成層によって覆われている。したがって、本発明の経口投与剤を患者の口腔内に投与すると、第一及び第二の水膨潤性ゲル形成層が唾液等の水分により膨潤してゲル化し、経口投与剤の内部に含有される薬物全体がゲルで覆われた状態となるので、薬物の味、臭い等は完全にマスキングされる。
【0012】
本発明の経口投与剤において、薬物はいかなる状態で経口投与剤の内部に封入されていてもよい。例えば、薬物は、薬物含有層に含有された状態や、錠剤、粉剤、液剤等の適当な剤形に製剤化された状態で経口投与剤の内部に封入することができる。本発明の経口投与剤の一態様では、前記第一の水膨潤性ゲル形成層と前記第二の水膨潤性ゲル形成層との間に設けられた薬物含有層を有し、前記薬物含有層が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが結合している。
【0013】
本発明の経口投与剤において、第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とは、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層を介して熱融着されたことにより、結合している。
【0014】
本発明の経口投与剤において、「最外層」とは、経口投与剤が患者等の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層を意味する。したがって、「最外層」には、投与前において経口投与剤の外面を構成する層はもちろん、投与前においては経口投与剤の外面を構成しないが、患者の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層も含まれる。例えば、水膨潤性ゲル形成層のさらに外層として別の層が設けられている場合であっても、この外層が、患者の口腔内では唾液等の水分によって分解又は溶解してしまう場合、患者の口腔内においては水膨潤性ゲル形成層が経口投与剤の外面を構成することとなるので、水膨潤性ゲル形成層は経口投与剤の最外層に設けられていることになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薬物含有層に含有される薬物の味、臭い等を完全にマスキングすることができる経口投与剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の経口投与剤の第一実施形態を示す平面図であり、(b)は同実施形態を示す断面図(図1(a)のX−X断面図)である。
【図2】(a)は、本発明の経口投与剤の第二実施形態を示す平面図であり、(b)は同実施形態を示す断面図(図2(a)のX−X断面図)である。
【図3】本発明の経口投与剤の別の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の経口投与剤のさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図5】従来の経口投与剤を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
〔第一実施形態〕
図1(a)は本発明の経口投与剤の第一実施形態を示す平面図、図1(b)は同実施形態を示す断面図(図1(a)のX−X断面図)である。
図1に示すように、第一実施形態に係る経口投与剤1aは、経口投与剤1aの最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層12及び12’と、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の間に積層された薬物含有層11とを有し、薬物含有層11が経口投与剤1aの内部に封入されるように、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とが直接結合している。
【0018】
経口投与剤1aは、好ましくはフィルム状製剤(シート状製剤)である。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、製剤中の水分含有量を低く抑えることができるので、水分を多量に含むゼリー状の製剤に比べ、薬物含有層11に含有される薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性を向上させることができる。また、製剤の取り扱いが容易となるとともに、製剤の包装コストの軽減を図ることができる。
【0019】
薬物含有層11は、投与すべき薬物を含有する層である。薬物含有層11に含有される薬物は、通常、フィルム剤、粉剤、錠剤等の適当な剤形に製剤化された状態で薬物含有層11に含有される。薬物含有層11に含有される薬物の剤形は薬物含有層11の形成を損なわない限り特に限定されるものではない。薬物含有層11は、投与すべき薬物のみからなっていてもよいが、通常、投与すべき薬物を所望の状態で薬物含有層に保持するための基剤として、薬学的に許容され得る賦形剤、結合剤、崩壊剤、マスキング剤、着色剤等を含有する。
【0020】
薬物含有層11の厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、薬物含有層11の厚さは0.1〜1000μmであることが好ましく、10〜200μmであることがさらに好ましい。薬物含有層11の厚さが0.1μm未満であると精度よくフィルム化することが困難となる(すなわち、薬物含有層11の薬物含有量にバラツキが生じる)一方、薬物含有層11の厚さが1000μmを超えるとフィルムのコシが強くなり服用し難くなる。
【0021】
薬物含有層11に薬物とともに含有される基剤は特に限定されるものではなく、添加目的に応じて適宜選択することができる。薬物含有層11に含有される基剤の具体例としては、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース等のセルロース及びその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩(例えばナトリウム塩);α−デンプン、酸化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、デキストリン、デキストラン等のデンプン及びそれらの誘導体;白糖、麦芽糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、プルラン、キサンタンガム、シクロデキストリン等の糖類;キシリトール、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール類;メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸コポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸エチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸塩化メチルコポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸塩化エチルコポリマー等のアクリル酸誘導体;シエラック;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体;アラビアゴム、トラガカントゴム等の天然ゴム類;キチン、キトサン等のポリグルコサミン類;ゼラチン、カゼイン、ダイズ蛋白等の蛋白質;酸化チタン;リン酸一水素カルシウム;炭酸カルシウム;タルク;ステアリン酸塩;メタケイ酸アルミン酸マグネシウム;ケイ酸マグネシウム;無水ケイ酸等が挙げられ、添加目的に応じて、これらのうちの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0022】
薬物含有層11に含有される基剤は、可食性高分子であることが好ましい。可食性高分子は、合成高分子及び天然高分子のいずれであってよく、その種類は特に限定されるものではない。
可食性高分子は、胃溶性高分子又は腸溶性高分子が好ましい。
可食性高分子のうち、好ましいものとしては、セルロース又はセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、特に好ましいものとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル及びビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体は、フィルム形成性に優れているため、薬物含有層11をフィルム状とする場合に有用である。
【0023】
薬物含有層11に含有される基剤の量は、薬物含有層11を形成することが可能となる量であり、その量は基剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層11の通常20重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。基剤の総含有量が20重量%未満であると薬物含有層11の形成が不十分となる。なお、基剤の含有量の上限値は、100重量%から薬物含有層11に含有される薬物の最小含有量を差し引いた値であり、薬物の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、薬物の最小含有量が薬物含有層11の0.01重量%である場合、基剤の含有量の上限値は薬物含有層11の99.99重量%である。
【0024】
薬物含有層11に含有される薬物は、患者等に投与すべき薬物であり、経口投与可能な薬物であれば特に限定されるものではない。経口投与可能な薬物として、例えば、中枢神経に作用する薬物としては、アモバルビタール、エスタゾラム、トリアゾラム、ニトラゼパム、ペントバルビタール等の催眠薬;塩酸アミトリプチン、塩酸イミプラミン、オキサゾラム、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、ジアゼパム、スルピリド、ハロペリドール等の向精神薬;トリヘキシフェニジル、レボドパ等の抗パーキンソン薬;アスピリン、イソプロピルアンチピリン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、ストレプトキナーゼ、ストレプトドルナーゼ、セラペプターゼ、プロナーゼ等の鎮痛薬及び抗炎症薬;ATP、ビンポセチン等の中枢神経代謝賦活薬;呼吸器に作用する薬物としては、カルボシステイン、塩酸プロムヘキシン等の去痰薬;塩酸アゼラスチン、オキサトミド、テオフィリン、硫酸テルブタリン、トラニラスト、塩酸プロカテロール、フマル酸ケトチフェン等の抗喘息薬;循環器系に作用する薬物としては、アミノフィリン、ジギトキシン、ジゴキシン等の強心薬;アジマリン、ジソピラミド、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシレチン等の抗不整脈薬;亜硝酸アミル、塩酸アルプレノロール、硝酸イソソルビド、ニコランジル、オキシフェドリン、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、塩酸ジルチアゼム、ニトログリセリン、ニフェジピン、塩酸ベラパミル等の抗狭心症薬;カリジノゲナーゼ等の末梢血管拡張薬;アテノロール、カプトプリル、塩酸クロニジン、酒石酸メトプロロール、スピロノラクトン、トリアムテレン、トリクロルメチアジド、ニカルジピン、塩酸ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、塩酸プラゾシン、フロセミド、塩酸プロプラノロール、マレイン酸エナラプリル、メチルドパ、塩酸ラベタロール、レセルピン等の抗高血圧薬;クロフィブラート、デキストラン硫酸、ニコモール、ニセリトロール等の抗動脈硬化薬;血液及び造血作用薬として、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸等の止血薬;塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム等の抗血栓症薬;硫酸鉄等の貧血治療薬;消化器系に作用する薬物として、アズレン、アルジオキサ、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、テプレノン、レバミピド等の抗潰瘍薬;ドンペリドン、メトクロプラミド等の制吐剤;センノシド等のしゃ下薬;消化酵素製剤;グリチルリチン、肝臓エキス製剤等の肝疾患治療薬;代謝性疾患に作用する薬物として、グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド等の抗糖尿病薬;アロプリノール、コルヒチン等の痛風治療薬;眼科領域の薬物として、アセタゾラミド;耳鼻科領域の薬物として、塩酸ジフェニドール、メシル酸ベタヒスチン等の抗めまい薬;化学療法薬及び抗生物質として、イソニアジド、塩酸エタンブトール、オフロキサシン、ステアリン酸エリスロマイシン、セファクロル、ノルフロキサシン、ホスホマイシンカルシウム、塩酸ミノサイクリン、リファンピシン、ロキタマイシン等;抗悪性腫瘍薬として、シクロホスファミド、テガフール等;免疫抑制薬として、アザチオプリン等;ホルモン類及び内分泌治療薬として、黄体ホルモン、唾液腺ホルモン、チアマゾール、プレドニゾロン、ベタメタゾン、リオチロニン、レボチロキシン等;生体内活性物質(オータコイド)として、フマル酸クレマスチン、D−マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬;アルファカルシドール、コバマミド、ニコチン酸トコフェロール、メコパラミン等のビタミン等が挙げられ、治療・予防目的等に応じて、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0025】
薬物含有層11に含有される薬物の量は特に限定されず、薬物の種類に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層11の通常80重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。薬物含有量が80重量%を越えると、経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合にフィルム強度が低下する。なお、薬物含有量の下限値は、薬物含有層11に含有させる薬物の種類に応じて適宜設定され、通常は0.01重量%程度である。
【0026】
薬物含有層11には、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物を含有させることができる。ここで、投与量が微量とは1回の投与量が1mg以下を意味し、投与量が大量とは1回の投与量が300mg以上を意味する。
【0027】
経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合にも、薬物含有層11には、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物や、フィルム強度の低下を招きやすい不溶性でかさ高い薬物を含有させることができる。これは、薬物含有層11と水膨潤性ゲル形成層12及び12’とが別々の層として形成されているので、薬物含有層11の薬物含有量が増加して薬物含有層11のフィルム強度が低下しても、水膨潤性ゲル形成層12及び12’にフィルム形成性を付与することによってフィルム状製剤全体としての強度を保持することができるからである。
【0028】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’は、水膨潤性ゲル形成剤を含有し、水分により膨潤してゲルを形成し得る層である。
水膨潤性ゲル形成層12及び12’の厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができるが、経口投与剤1がフィルム状製剤である場合、10〜1000μmであることが好ましく、20〜500μmであることがさらに好ましい。水膨潤性ゲル形成層12及び12’の厚さが10μm未満であるとゲル形成が不十分となり、水膨潤性ゲル形成層12及び12’による薬物の味、臭い等のマスキング作用が不十分なものとなる一方、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の厚さが1000μmを超えると患者等の口腔内に投与したときに唾液だけでは十分に膨潤してゲルを形成することができず、服用し難くなる。
【0029】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’に含有される水膨潤性ゲル形成剤は、水分により膨潤してゲルを形成し得る限り、その種類は特に限定されるものではなく、架橋されたものであっても架橋されていないものであってもよい。
水膨潤性ゲル形成剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、デンプン及びその誘導体、寒天、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン、キサンタンガム等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0030】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’に含有される水膨潤性ゲル形成剤は、架橋化カルボキシビニルポリマーが好ましく、架橋化ポリアクリル酸が特に好ましい。架橋化カルボキシビニルポリマー、特に架橋化ポリアクリル酸は、フィルム形成剤のフィルム形成能に悪影響を及ぼさず、膨潤時に程よいゲル強度を示すことができる。
架橋化は、架橋される分子の種類に応じた架橋剤によって行なうことができる。カルボキシビニルポリマーは、例えば、多価金属化合物によって架橋することができる。このような多価金属化合物の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0031】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’に含有される水膨潤性ゲル形成剤の量は、水膨潤性ゲル形成剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは水膨潤性ゲル形成層の15〜70重量%である。
【0032】
経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、水膨潤性ゲル形成層12及び12’をフィルム状とする必要があり、この場合には、水膨潤性ゲル形成層12及び12’のフィルム形成性を向上させるために、水膨潤性ゲル形成層12及び12’にフィルム形成剤を含有させることが好ましい。
【0033】
フィルム形成剤は、フィルム形成能を有する限り、その種類は特に限定されるものでない。フィルム形成剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、(メタ)アクリル酸及びそのエステル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0034】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’に含有されるフィルム形成剤の量は、フィルム形成剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは水膨潤性ゲル形成層12及び12’の30〜85重量%である。
【0035】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’に含有されるフィルム形成剤は水溶性であることが好ましい。フィルム形成剤が水溶性であると、水膨潤性ゲル形成層12及び12’に水分が浸入しやすくなり、口腔内において水膨潤性ゲル形成層12及び12’の膨潤及びゲル形成を速やかに生じさせることができる。
【0036】
水溶性のフィルム形成剤としては、例えば、ポリビニルアルコール;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ポリビニルピロリドン;キサンタンガム;カラギーナン;アルギン酸等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0037】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’には、水膨潤性ゲル形成層12及び12’に適度な柔軟性を付与するために、可塑剤を含有させてもよい。可塑剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グリセリントリアセテート、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ラウリル酸、ショ糖等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類を選択して使用することができる。
【0038】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’には、薬物含有層11に含有される薬物の味、臭い等をマスキングするためのマスキング剤を含有させてもよい。水膨潤性ゲル形成層12及び12’がマスキング剤を含有することによって、水膨潤性ゲル形成層12及び12’による薬物の味、臭い等のマスキング作用を向上させることができる。マスキング剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸等の酸味を与えるもの、サッカリン、グリチルリチン酸、白糖、果糖、マンニトール等の甘味剤、メントール、ハッカ油、ペパーミント、スペアミント等の清涼化剤、天然又は合成の香料等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0039】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’がフィルム形成剤としてポリビニルアルコール等を含有する場合、これらのフィルム形成剤がマスキング剤としての役割も果たすことができる。このようにマスキング作用を有するフィルム形成剤を使用することが好ましく、同様にマスキング作用を有する水膨潤性ゲル形成剤を使用することが好ましい。
【0040】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’には、ヒドロキシ安息香酸メチル、プロピル等の防腐剤;食用レーキ着色剤等の着色剤等を含有させてもよい。
【0041】
水膨潤性ゲル形成層12及び12’への添加剤の混入は、一般的に、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の強度を減少させるので、水膨潤性ゲル形成層12及び12’に水分が浸入しやすくなり、水膨潤性ゲル形成層12及び12’に浸入した水分により水膨潤性ゲル形成剤の膨潤及びゲル形成が生じやすくなる。
【0042】
図1に示すように、経口投与剤1aにおいて、薬物含有層11の上面及び下面は、それぞれ水膨潤性ゲル形成層12及び12’の中央部(周縁部によって囲繞された部分)によって覆われ、薬物含有層11の側面は、結合した水膨潤性ゲル形成層12及び12’の周縁部によって覆われている。すなわち、薬物含有層11は、その全体が水膨潤性ゲル形成層12及び12’によって覆われている。したがって、経口投与剤1aを患者の口腔内に投与すると、水膨潤性ゲル形成層12及び12’が唾液等の水分により膨潤してゲル化し、薬物含有層11の全体がゲルで覆われた状態となるので、薬物含有層11に含有される薬物の味、臭い等は完全にマスキングされる。
【0043】
図1に示すように、経口投与剤1aの最外層には、水膨潤性ゲル形成層12及び12’が設けられている。したがって、水膨潤性ゲル形成層12及び12’がゲル化すると、経口投与剤1aは飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化する。これにより、患者は経口投与剤1aを容易に服用することができる。また、服用の際、経口投与剤1aが患者の気管に詰まる危険性が低下するので、患者が老人や乳幼児の場合であっても安全に服用することができる。唾液が少なく水膨潤性ゲル形成層12及び12’が十分にゲル化しない患者の場合には、少量の水とともに服用させたり、投与前に予め水に浸したりすることで同様の効果を発揮させることができる。このときに必要となる水は、錠剤、カプセル剤等の固形製剤を服用するときに必要となる水と比べて非常に少量である。
【0044】
経口投与剤1aは、例えば、以下の方法に従って製造することができる。
〔第一の製造方法〕
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えば精製水)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12を形成させ、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12が積層された第一の積層体を製造する。
一方、上記と同様にして、プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、水膨潤性ゲル形成層12’を形成させた後、水膨潤性ゲル形成層12’の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有層11を形成させる。この際、薬物含有層11の下面の大きさは、水膨潤性ゲル形成層12’の上面の大きさよりも小さくなるように(すなわち、薬物含有層11が水膨潤性ゲル形成層12’の上面の中央部に形成され、水膨潤性ゲル形成層12’の上面の周縁部が露出した状態のままとなるように)調節する。薬物含有層11の形成方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法等の公知の方法を利用した印刷により、薬物含有層11を水膨潤性ゲル形成層12’の上面に形成させることもできる。こうして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’及び薬物含有層11が順次積層された第二の積層体を製造する。
次いで、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部表面及び水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部表面を水で濡らしてゲル化し、ゲル化した周縁部同士を圧着した後、乾燥させる。この際、接触部分が一体となってゲル化及び乾燥するので、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とが直接接着する。こうして、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを直接接着させることにより、薬物含有層11が内部に封入された経口投与剤1aを製造することができる。
【0045】
〔第二の製造方法〕
第一の製造方法と同様にして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12が積層された第一の積層体、並びに、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’が積層された第二の積層体を製造する。
一方、プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有フィルムを形成させる。こうして形成された薬物含有フィルムを保持基材から剥がし、得られた薬物含有フィルムを第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12又は第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の上面に設置する。
次いで、上記と同様にして、第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを直接接着させることにより、薬物含有フィルムが内部に封入された経口投与剤1aを製造することができる。
【0046】
上記第一又は第二の製造方法により、水膨潤性ゲル形成層12’、薬物含有層11及び水膨潤性ゲル形成層12が順次積層され、薬物含有層11が内部に封入された経口投与剤1aが製造される。経口投与剤1aは、必要に応じて、円形状、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いてもよい。経口投与剤1aを打ち抜く際には、第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを接着させた部分を打ち抜き、薬物含有層11が露出しないようにする。
【0047】
〔第二実施形態〕
図2(a)は本発明の経口投与剤の第二実施形態を示す平面図、図2(b)は同実施形態を示す断面図(図2(a)のX−X断面図)である。
図2に示すように、第二実施形態に係る経口投与剤1bは、経口投与剤1bの最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層12及び12’と、水膨潤性ゲル形成層12の下面に積層された接着剤層13と、水膨潤性ゲル形成層12’の上面に積層された接着剤層13’と、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の間に接着剤層13及び13’を介して積層された薬物含有層11とを有し、薬物含有層11が経口投与剤1の内部に封入されるように、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とが接着剤層13及び13’を介して結合している。なお、図2中、図1と同一の部材は同一の符号で示し、特に必要がある場合を除き、説明を省略する。
【0048】
経口投与剤1bは、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部との接着態様が経口投与剤1aと異なるが、経口投与剤1aと同様に、薬物含有層11はその全体が水膨潤性ゲル形成層12及び12’によって覆われている。また、経口投与剤1aと同様、水膨潤性ゲル形成層12及び12’が最外層に設けられている。したがって、経口投与剤1bは経口投与剤1aと同様の作用効果を発揮することができる。
【0049】
接着剤層13及び13’に含有される接着剤は、薬学的に許容され得る接着剤である限り特に限定されるものではない。溶媒を含んだ状態で用いることによって接着性を示す接着剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸又はその薬学的に許容される非毒性塩、アクリル酸共重合体又はその薬学的に許容される塩、カルボキシメチルセルロース及びナトリウム塩等の親水性セルロース誘導体、プルラン、ポビドン、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、トラガント、アルギン酸、アラビアゴム、酸性多糖類又はその誘導体若しくはその薬学的に許容される塩等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。また、加熱によって接着性を示す(すなわち熱融着可能な)接着剤としては、例えば、酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等のホモポリマー、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
【0050】
接着剤層13及び13’の厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができるが、経口投与剤1bがフィルム状製剤である場合、1〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。接着剤層13及び13’の厚さが1μm未満であると接着不良を招くおそれがある一方、接着剤層13及び13’の厚さが50μmを超えると、経口投与剤1bの服用時に唾液等による膨潤を妨げるおそれがあるとともに、接着剤層13又は13’に含まれる接着剤が水に不溶性のものである場合には服用感の悪化を招くおそれがある。
【0051】
経口投与剤1bは、例えば、以下の方法に従って製造することができる。
〔第一の製造方法〕
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えば精製水)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12を形成させる。次いで、水膨潤性ゲル形成層12の上面に、接着剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて接着剤層13を形成させる。こうして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12及び接着剤層13が順次積層された第一の積層体を製造する。
一方、上記と同様にして、水膨潤性ゲル形成層12’及び接着剤層13’を順次形成させる。次いで、接着剤層13’の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有層11を形成させる。この際、薬物含有層11の下面の大きさは、接着剤層13’の上面の大きさよりも小さくなるように(すなわち、薬物含有層11が接着剤層13’の上面の中央部に形成され、接着剤層13’の上面の周縁部が露出した状態のままとなるように)調節する。薬物含有層11の形成方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法等の公知の方法を利用した印刷により、薬物含有層11を接着剤層13’の上面に形成させることもできる。こうして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’、接着剤層13’及び薬物含有層11が順次積層された第二の積層体を製造する。
次いで、第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを接着剤層13及び13’を介して接着させることにより、薬物含有層11が内部に封入された経口投与剤1bを製造することができる。この際、接着剤層13及び13’に含有される接着剤の種類を選択することにより、所望の接着態様を選択することができる。接着剤層13及び13’に熱融着可能な接着剤が含有される場合には、熱融着により接着させることができる。熱融着は、通常60〜150℃、好ましくは90〜120℃、通常0.1kgf/cm以上、好ましくは0.5kgf/cm以上、通常0.1〜5秒間、好ましくは0.5〜3秒間の条件で行うことができる。
【0052】
〔第二の製造方法〕
第一の製造方法と同様にして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12及び接着剤層13が順次積層された第一の積層体、並びに、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層12’及び接着剤層13’が順次積層された第二の積層体を製造する。
一方、プラスチックフィルム、台紙等の保持基材の上面に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて薬物含有層11を形成させる。こうして形成された薬物含有層11を保持基材から剥がして薬物含有フィルムを得、これを第一の積層体の接着剤層13又は第二の積層体の接着剤層13’の上面に設置する。
次いで、上記と同様にして、第一の積層体の接着剤層13の周縁部と第二の積層体の接着剤層13’の周縁部とを接着させることにより、薬物含有フィルムが内部に封入された経口投与剤1bを製造することができる。
【0053】
上記第一又は第二の製造方法により、水膨潤性ゲル形成層12’、接着剤層13’、薬物含有層11、接着剤層13及び水膨潤性ゲル形成層12が順次積層され、薬物含有層11が内部に封入された経口投与剤1bが製造される。経口投与剤1bは、必要に応じて、円形状、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いてもよい。経口投与剤1bを打ち抜く際には、第一の積層体の水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と第二の積層体の水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを接着させた部分を打ち抜き、薬物含有層11が露出しないようにする。
【0054】
経口投与剤1a及び1bにおいて、以下の変更が可能である。
経口投与剤1a及び1bは、薬物含有層、水膨潤性ゲル形成層及び接着剤層以外の機能性層を有していてもよい。機能性層としては、フィルム厚を調整するための層が挙げられる。経口投与剤1a及び1bがフィルム状製剤である場合、このような層を設けてフィルム厚を増加させることによって、経口投与剤1a及び1bの取り扱い易さを改善することができる。このような機能性層は、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の間に設けられる。
【0055】
経口投与剤1a及び1bは1つの薬物含有層を有するが、薬物含有層の数は特に限定されるものではなく、経口投与剤1a及び1bは複数の薬物含有層を有していてもよい。経口投与剤1a及び1bが複数の薬物含有層を有する場合、薬物含有層同士を直接又は中間層を介して積層することができる。また、1つの薬物含有層は、横並びに形成された複数の薬物含有層によって形成されていてもよい。
【0056】
経口投与剤1a及び1bは2つの水膨潤性ゲル形成層を有するが、さらに別の水膨潤性ゲル形成層を有していてもよい。このような水膨潤性ゲル形成層は水膨潤性ゲル形成層12と水膨潤性ゲル形成層12’との間に設けられてもよいし、水膨潤性ゲル形成層12及び12’の外側に設けられてもよい。
【0057】
経口投与剤1a及び1bの内部には薬物含有層が封入されているが、薬物含有層を形成していない薬物が封入されていてもよい。例えば、錠剤、粉剤等の適当な剤形に製剤化された薬物が薬物含有層を形成することなく封入されていてもよい。製剤化された薬物を利用することにより、経口投与剤1a及び1bの内部に薬物を容易に封入することができる(上記第二の製造方法を参照のこと)。また、製剤化された薬物を経口投与剤1a及び1bの内部に封入することにより、経口投与剤1a及び1bの製造にあたり消費される無駄な薬物量を抑制することができ、コストリダクションを図ることができる。
【0058】
経口投与剤1bにおいては、接着剤層13及び13’が、それぞれ水膨潤性ゲル形成層12の下面全体及び水膨潤性ゲル形成層12’の上面全体に積層されているが、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを結合させることができる限り、接着剤層13及び13’の大きさ、接着剤層13及び13’が設けられる位置等は特に限定されるものではない。例えば、図3に示す経口投与剤1cのように、接着剤層13及び13’が、それぞれ水膨潤性ゲル形成層12の下面の一部(周縁部)及び水膨潤性ゲル形成層12’の上面の一部(周縁部)に積層されていてもよい。
【0059】
経口投与剤1bは、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部との間に2つの接着剤層13及び13’を有するが、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部とを結合させることができる限り、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部との間に設けられる接着剤層の数は特に限定されるものではない。例えば、図4(a)〜(c)に示す経口投与剤1d〜1fのように、水膨潤性ゲル形成層12の周縁部と水膨潤性ゲル形成層12’の周縁部との間に設けられる接着剤層の数は1個であってもよい。
【実施例】
【0060】
以下、製造例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明する。
(1)水膨潤性ゲル形成層形成液(塗工液A)の調製
水膨潤性ゲル形成層を形成させるために以下の組成の塗工液Aを調製した。すなわち、精製水140gを取り、その中にカリミョウバン1gを添加し、約10分間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリアクリル酸(カーボポール974P(BFグッドリッチ))6gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約1時間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05T(日本合成化学))17gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に加温しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。
なお、カリミョウバンが電離して生じるアルミニウムイオンによってポリアクリル酸は架橋され、架橋されたポリアクリル酸が水膨潤性ゲル形成剤としての役割を果たし、ポリビニルアルコールはフィルム形成剤としての役割を果たす。
【0061】
(2)接着剤層形成液(塗工液B)の調製
接着剤層を形成させるために以下の組成の塗工液Bを調製した。すなわち、エタノール25gを取り、その中にポリビニルピロリドン(PVP K−90(ISPジャパン))6gを攪拌しながらゆっくりと添加し、さらにグリセリン1gを添加した後、約20分間攪拌して完全に溶解させた。なお、ポリビニルピロリドンは熱可塑性高分子であるので熱融着可能である。
【0062】
(3)薬物含有層形成液(塗工液C)の調製
薬物含有層を形成させるために以下組成の塗工液Cを調製した。すなわち、エタノール又は精製水中に胃潰瘍薬であるファモチジン7g及び酸化チタン0.2gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、その中に下記(a)〜(k):
(a)ポリビニルピロリドン(PVP K−30(ISPジャパン))
(b)ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(S−630(ISPジャパン))
(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学)
(d)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC SL グレード(日本曹達))
(e)アラビアゴム
(f)グアーガム
(g)キサンタンガム
(h)トラガントガム
(i)ローカストビーンガム
(j)カラギーナン
(k)アルギン酸ナトリウム
のいずれかの基剤(結合剤)20gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約20分間攪拌して完全に溶解させた。この際の溶媒量は粘度が2000〜6000mPa・sとなるように適宜調節した。
【0063】
〔製造例1〕経口投与剤Aの製造
(1)水膨潤性ゲル形成層の形成
塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の厚さが30μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約10分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層が積層された積層体Aを製造した。また、同様にして別の積層体Aを製造した。
【0064】
(2)薬物含有層の形成
塗工液Cを十分に脱泡した後、そのうちの100μLを、上記積層体Aの水膨潤性ゲル形成層の上面に滴下し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。このとき、薬物含有層は、水膨潤性ゲル形成層の上面全体ではなく、上面の一部に形成させた。すなわち、薬物含有層は、水膨潤性ゲル形成層の上面(面積:約4.9cm)の中央部(面積:約1.8cm)に積層され、水膨潤性ゲル形成層の周縁部には積層されないように形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層及び薬物含有層が順次積層された積層体Bを製造した。
【0065】
(3)水膨潤性ゲル形成層同士の直接接着による経口投与剤の製造
積層体Aの水膨潤性ゲル形成層の周縁部表面及び積層体Bの水膨潤性ゲル形成層の周縁部表面に精製水を塗布してゲル化させ、ゲル化させた周縁部同士を圧着した後、片方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、80℃で約5分間乾燥させることにより、積層体Aの水膨潤性ゲル形成層の周縁部と積層体Bの水膨潤性ゲル形成層の周縁部とを直接接着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、薬物含有層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有層が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Aを製造した。積層体を打ち抜く際、水膨潤性ゲル形成層同士を接着させた部分を打ち抜き、薬物含有層が露出しないようにした。
【0066】
〔製造例2〕経口投与剤Bの製造
(1)水膨潤性ゲル形成層の形成
塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の厚さが30μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約10分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。
【0067】
(2)接着剤層の形成
塗工液Bを十分に脱泡し、乾燥後の厚さが20μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、上記水膨潤性ゲル形成層の上面全体に展延塗布し、80℃で約3分間乾燥して接着剤層を形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層及び接着剤層が順次積層された積層体Cを製造した。また、同様にして別の積層体Cを製造した。
【0068】
(3)薬物含有層の形成
塗工液Cを十分に脱泡した後、そのうちの100μLを、上記積層体Cの接着剤層の上面に滴下し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。このとき、薬物含有層は、接着剤層の上面全体ではなく、上面の一部に形成させた。すなわち、薬物含有層は、接着剤層の上面(面積:約4.9cm)の中央部(面積:約1.8cm)に積層され、接着剤層の周縁部には積層されないように形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層及び薬物含有層が順次積層された積層体Dを製造した。
【0069】
(4)接着剤層同士の熱融着による経口投与剤の製造
積層体Cの接着剤層の周縁部と積層体Dの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物含有層、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有層が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Bを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物含有層が露出しないようにした。
【0070】
〔製造例3〕経口投与剤C〜Fの製造
(1)経口投与剤Cの製造
エタノール中に胃潰瘍薬であるファモチジン7g及び酸化チタン0.2gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、その中にポリビニルピロリドン(PVP K−90(ISPジャパン))20gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約20分間攪拌して完全に溶解させた。この際の溶媒量は粘度が2000〜6000mPa・sとなるように適宜調節した。
こうして調製した塗工液を十分に脱泡し、乾燥後の厚さが70μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。次いで、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムから薬物含有層を剥離し、薬物含有フィルムを得た。
薬物含有フィルムを積層体Cの接着剤層上に設置した後、当該積層体Cの接着剤層の周縁部と別の積層体Cの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm、2秒間の条件にて熱融着させた。なお、薬物含有フィルムは、接着剤層の上面(面積:約4.9cm)の中央部(面積:約1.8cm)に設置した。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物含有フィルム、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有フィルムが封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Cを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物含有フィルムが露出しないようにした。
【0071】
(2)経口投与剤Dの製造
上記(1)で調製した塗工液を、60メッシュ(線径140μm)のスクリーンに15mmφの版を形成したものを用いたスクリーン印刷法により、積層体Cの接着剤層の上面(面積:約4.9cm)の中央部(面積:約1.8cm)に印刷し、80℃で約15分間乾燥した。これを乾燥後の厚さが70μmとなるまで繰り返し、薬物含有層を形成させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層及び薬物含有層が順次積層された積層体Eを製造した。積層体Cの接着剤層の周縁部と積層体Eの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物含有層、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物含有層が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Dを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物含有層が露出しないようにした。
【0072】
(3)経口投与剤Eの製造
ファモチジンと乳糖(賦形剤)とを1:49(重量比)で乳鉢に添加し十分に混合して得られた粉末500mgを、積層体Cの接着剤層の上面にまぶした後、当該積層体Cの接着剤層の周縁部と別の積層体Cの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、薬物粉末、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に薬物粉末が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Eを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、薬物粉末が露出しないようにした。
【0073】
(4)経口投与剤Fの製造
ファモチジンとポリビニルピロリドン(PVP K−90(ISPジャパン))とを1:49(重量比)で混合した粉末を、KBr錠剤法で用いられる打錠器にて打錠した。得られた錠剤を積層体Cの接着剤層の上面に設置した後、当該積層体Cの接着剤層の周縁部と別の積層体Cの接着剤層の周縁部とを、100℃、1kgf/cm、2秒間の条件にて熱融着させた。このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、接着剤層、錠剤、接着剤層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層され、内部に錠剤が封入された積層体を製造し、当該積層体を打ち抜いて経口投与剤Fを製造した。積層体を打ち抜く際、接着剤層同士を熱融着させた部分を打ち抜き、錠剤が露出しないようにした。
【0074】
〔試験例1〕薬物の味のマスキングに関する評価試験
製造例1で製造した経口投与剤A及び製造例2で製造した経口投与剤Bを、無作為に抽出した被験者10に水なしで服用してもらい、薬物の味のマスキング能について以下の3段階の評価基準に従って評価した。経口投与剤Aに関する結果を表1に、経口投与剤Bに関する結果を表2に示す。
[マスキング能に関する評価基準]
1・・・薬物の味を感じる。
2・・・薬物の味をやや感じる。
3・・・薬物の味を感じない。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
表1及び表2に示すように、水膨潤性ゲル形成層の周縁部同士を直接接着させた場合(経口投与剤A)及び水膨潤性ゲル形成層の周縁部同士を接着剤層を介して接着させた場合(経口投与剤B)のいずれの場合も、薬物含有層に含有される基剤の種類に関わらず、薬物含有層に含有される薬物の味は完全にマスキングされていた。
【0078】
〔試験例2〕
製造例3で製造した経口投与剤C〜Fについて、試験例1と同様にして薬物の味のマスキング能を評価した。結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
表3に示すように、経口投与剤の内部に封入される薬物の剤形に関わらず、薬物含有層に含有される薬物の味は完全にマスキングされていた。
【符号の説明】
【0081】
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g・・・経口投与剤
11・・・薬物含有層
12,12’・・・水膨潤性ゲル形成層
13,13’・・・接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨潤性ゲル形成層が最外層に設けられた経口投与剤であって、
薬物が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層を介して熱融着されたことにより、結合している前記経口投与剤。
【請求項2】
前記第一の水膨潤性ゲル形成層と前記第二の水膨潤性ゲル形成層との間に設けられた薬物含有層を有し、
前記薬物含有層が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層を介して熱融着されたことにより、結合している請求項1記載の経口投与剤。
【請求項3】
前記熱融着可能な接着剤が、ポリビニルピロリドンのホモポリマーである請求項1又は2記載の経口投与剤。
【請求項4】
前記第一の水膨潤性ゲル形成層及び前記第二の水膨潤性ゲル形成層は、水膨潤性ゲル形成剤と架橋剤とを含む水膨潤性ゲル形成層形成液から形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項記載の経口投与剤。
【請求項5】
前記水膨潤性ゲル形成剤が、カルボキシビニルポリマーである請求項4記載の経口投与剤。
【請求項6】
前記架橋剤が、多価金属化合物である請求項4又は5記載の経口投与剤。
【請求項7】
経口投与剤の製造方法であって、
第一の水膨潤性ゲル形成層、及び熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層が、第一の保持基材の上面に順次積層された第一の積層体を製造する工程と、
第二の水膨潤性ゲル形成層、熱融着可能な接着剤を含有する接着剤層、及び薬物含有層が、前記第二の水膨潤性ゲル形成層の上面の大きさよりも、前記薬物含有層の下面の大きさが小さくなるように、第二の保持基材の上面に順次積層された第二の積層体を製造する工程と、
前記薬物含有層が前記経口投与剤の内部に封入されるように、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と、前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とを、前記第一の水膨潤性ゲル形成層に積層された前記接着剤層と前記第二の水膨潤性ゲル形成層に積層された前記接着剤層とを介して、熱融着により接着させる工程と
を有する経口投与剤の製造方法。
【請求項8】
前記熱融着可能な接着剤が、ポリビニルピロリドンのホモポリマーである請求項7記載の経口投与剤の製造方法。
【請求項9】
前記第一の水膨潤性ゲル形成層及び前記第二の水膨潤性ゲル形成層は、水膨潤性ゲル形成剤と架橋剤とを含む水膨潤性ゲル形成層形成液から形成されたものである請求項7又は8記載の経口投与剤の製造方法。
【請求項10】
前記水膨潤性ゲル形成剤が、カルボキシビニルポリマーである請求項9記載の経口投与剤の製造方法。
【請求項11】
前記架橋剤が、多価金属化合物である請求項9又は10記載の経口投与剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41366(P2012−41366A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251869(P2011−251869)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【分割の表示】特願2004−106854(P2004−106854)の分割
【原出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】