説明

経口投与用固形製剤

【課題】化合物aの良好な溶出性を維持しながら、高速攪拌造粒法により製造可能な化合物a含有経口投与用固形製剤を提供する。
【解決手段】(A)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド又はその酸付加塩、(B)クエン酸、(C)ワックス成分、及び(D)界面活性剤を含有する経口投与用固形製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶出性が向上し、さらに製剤の製造性も改善された経口投与用固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(以下、化合物aという)又はその酸付加塩は、優れたアシルコエンザイム A コレステロール アシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害作用、細胞内コレステロール輸送阻害作用を有し、高コレステロール血症、動脈硬化症及び急性心筋梗塞等の治療剤として有用であることが知られている(特許文献1〜2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO1998/054153
【特許文献2】WO2005/020996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、化合物aは消化管中における医薬組成物からの溶出性が必らずしも十分ではないが、本発明者らによるこれまでの研究から、前記化合物aはクエン酸と組み合わせると製剤中からの化合物aの溶出性が一段と向上することが判明した。経口投与用製剤としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤が一般的であり、通常、固形製剤化には直接粉末圧縮法か湿式顆粒圧縮法を用いるのが一般的であるが、化合物aはその物理化学的性質より直接顆粒圧縮法は適しておらず、湿式顆粒圧縮法を用いることが望ましい。また湿式顆粒圧縮法には高速攪拌造粒法と流動層造粒法があるが、一般的に流動層造粒法では作業時間が延長するため、通常は高速攪拌造粒法を用いる場合が多い。しかしながら、クエン酸は潮解性を有するため、高速攪拌造粒法において結合液と造粒するとアメ状となり、適切な造粒物が得られないとの新たな課題が生じた。
従って本発明の課題は、化合物aの良好な溶出性を維持しながら、高速攪拌造粒法により製造可能な化合物a含有経口投与用固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは種々検討した結果、クエン酸と一緒にワックス成分と界面活性剤を配合することで高速攪拌造粒法でも固形製剤が製造可能であり、化合物aの溶出性も向上することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(化合物a)又はその酸付加塩、(B)クエン酸、(C)ワックス成分、及び(D)界面活性剤を含有する経口投与用固形製剤を提供するものである。
また、本発明は、(C)ワックス成分が、硬化油である上記の固形製剤を提供するものである。
また、本発明は、(D)界面活性剤が、モノステアリン酸グリセリンである上記の固形製剤を提供するものである。
また、本発明は、高速攪拌造粒工程を含む方法により得られるものである上記の固形製剤を提供するものである。
さらに本発明は、(A)化合物a又はその酸付加塩と(B)クエン酸を混合した後、(C)ワックス成分と(D)界面活性剤を溶解した結合液を加えて高速攪拌造粒を行う工程を含むことを特徴とする成分(A)含有固形製剤の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固形製剤は、消化管における化合物aの溶出性が良好であり、製剤の製造性も改善されていることから、高コレステロール血症及び動脈硬化症等に対する治療のための製剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】試験例1の溶出試験の結果を示す。
【図2】試験例2の溶出試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の固形製剤の有効成分である(A)化合物aは、前記特許文献1に記載のように、優れたACAT阻害作用、細胞内コレステロール輸送阻害作用を有し、高コレステロール血症、動脈硬化症等の治療薬として有用であることが知られている。化合物aの酸付加塩としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸の付加塩や酢酸、乳酸、コハク酸等の有機酸の付加塩が挙げられ、このうち塩酸塩が好ましい。また、化合物aは、水和物の形態であってもよい。さらに、化合物aは、前記特許文献1に記載の製造方法により調製することが出来る。
【0010】
本発明の固形製剤中における化合物aの含有量は、治療効果の点から、5mg〜300mgが好ましく、さらに10mg〜200mgであるのが好ましい。使用する化合物aの粒子径は、特に限定されないが、溶出性、吸収性などの点から平均粒子径0.1〜200μm、さらに平均粒子径1〜150μmが好ましい。
【0011】
本発明の固形製剤に含有する(B)クエン酸は、固形製剤からの化合物aの溶出性を顕著に改善する作用を有する。クエン酸としては、無水クエン酸、クエン酸水和物のいずれを使用してもよいが、無水クエン酸を使用するのが好ましい。これらの市販品としては、例えば、日本薬局方無水クエン酸(微粉)、日本薬局方クエン酸水和物(小松屋株式会社製)、無水クエン酸(細粒)、クエン酸水和物(クエン酸(結晶))(細粒)(DSMニュートリションジャパン株式会社製)等が入手可能である。また、クエン酸の平均粒子径は、化合物aの溶出性改善効果の点から、1000μm以下、特に500μm以下が好ましい。
【0012】
クエン酸の配合量は、化合物aの溶出性の点から、化合物a1質量部に対して0.2質量部を超える量であるのが好ましく、さらに0.3質量部以上であるのが好ましい。また、クエン酸の配合量の上限は特に限定されないが、固形製剤の製造上の点から、化合物a1質量部に対して20質量部以下とするのが好ましく、さらに5質量部以下とするのが好ましい。よって、固形製剤中における成分(A)中の化合物aと(B)クエン酸の質量比(A/B)は、5/1〜1/20の範囲内とするのが好ましく、さらに10/3〜1/20の範囲内とするのが好ましく、より好ましくは2/1〜1/5の範囲内である。また、固形製剤中におけるクエン酸の含有量は、固形製剤全量に対して、1質量%〜30質量%(以下、単に%で示す)が好ましく、さらに5%〜15%であるのが好ましい。
【0013】
本発明の固形製剤に含有する(C)ワックス成分は、クエン酸が有する潮解性によって生じる製剤の製造性の欠点を改善する。このようなワックス成分としては、例えば、硬化油、カスターワックス等が挙げられる。このうち、硬化油が特に好ましい。
【0014】
硬化油とは、魚油等の動物性脂肪油又は植物性脂肪油に水素を添加して得た脂肪である。硬化油の市販品としては、例えば、C−WAX #100(小倉合成工業)、ヒマ硬(伊藤製油)、ラブリワックス−101、ラブリワックス−103(フロイント産業)、ソフチザン154(ミツバ貿易)、硬化油(三栄源エフ・エフ・アイ、新日本理化)等が入手可能である。
【0015】
カスターワックスとは、ヒマシ油に水素を添加して得た脂肪である。カスターワックスの市販品としては、例えば、カスターワックス(日本油脂)等が入手可能である。
【0016】
本発明の固形製剤中における(C)ワックス成分の含有量は、固形製剤全量に対して、0.5%〜10%が好ましく、さらに0.8%〜3%であるのが好ましい。ワックス成分の含有量が0.5%未満だと、高速攪拌造粒時にアメ状となってしまい好ましくない。また、ワックス成分の含有量が10%を超えると、化合物aの溶出性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0017】
本発明の固形製剤に含有する(D)界面活性剤も、クエン酸が有する潮解性によって生じる製剤の製造性の欠点を改善する。このような界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤の具体例としては、モノステアリン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン及びモノオレイン酸グリセリン等のモノC8−C20脂肪酸グリセリン;モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10EO)及びモノラウリン酸ポリエチレングリコール(10EO)等のポリエチレングリコールC8−C20脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル等のポリオキシエチレンC8−C20アルキルエーテル;モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン及びモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタンC8−C20脂肪酸エステル等が挙げられる。このうち、モノC8−C20脂肪酸グリセリンがより好ましく、モノステアリン酸グリセリンが特に好ましい。モノステアリン酸グリセリンの市販品としては、例えば、ニッコール MGS−AMV、ニッコール MGS−BMV、ニッコール MGS−F50、ニッコール MGS−F75(日光ケミカルズ)、エキセルT−95、エキセルVS−95(花王)、ポエムP−100、ポエムS−100、ポエムV−100(理研ビタミン)、モノグリM(日本油脂)、モノステアリン酸グリセリンP−100(理研ビタミン)等が入手可能である。
【0018】
本発明の固形製剤中における(D)界面活性剤の含有量は、固形製剤全量に対して、0.5%〜10%が好ましく、さらに1%〜5%であるのが好ましい。界面活性剤の含有量が0.5%未満だと、高速攪拌造粒時にアメ状となってしまい好ましくない。また、界面活性剤の含有量が10%を超えると、打錠時における圧縮成型や化合物aの溶出性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0019】
本発明の固形製剤は、経口用固形製剤であり、具体的には、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、散剤、丸剤等が挙げられるが、このうち錠剤、顆粒剤及びカプセル剤が好ましく、錠剤が服用性の点から特に好ましい。
【0020】
本発明の固形製剤には、上記した化合物a又はその酸付加塩、クエン酸、ワックス成分及び界面活性剤の他に必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を添加することができる。賦形剤としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム等が挙げられる。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0021】
本発明の固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤及び滑沢剤の含有量は、化合物aの溶出性を考慮すると、固形製剤全量に対して、賦形剤5%〜95%、結合剤0.5%〜10%、崩壊剤0.5%〜15%、滑沢剤0.01%〜5%とするのが好ましい。
【0022】
本発明の固形製剤の製造方法は、汎用の高速攪拌造粒工程を含むものであり、具体的には、(A)化合物a又はその酸付加塩と(B)クエン酸を混合した後、(C)ワックス成分と(D)界面活性剤を溶解した結合液を加えて高速攪拌造粒を行う工程を含むことを特徴とする。得られた造粒物は、乾燥、整粒した後、顆粒剤やカプセル剤とすることができる。また、錠剤は、得られた造粒物を、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤等と混合し、打錠することにより製造することができる。
ここで高速攪拌造粒法は、湿式高速攪拌造粒法ともいい、高速で回転する攪拌羽根(メインブレード)やチョッパー(クロススクリュー)により粉体を混合しておき、そこに結合液を加えて混合物を高速で攪拌することによる造粒法である。ここで攪拌羽根の回転数は、例えば50rpm〜500rpmが好ましく、70rpm〜400rpmがより好ましい。またチョッパーの回転数は、例えば800rpm〜3000rpmが好ましく、1000rpm〜2500rpmがより好ましい。また、造粒時間は10分以内が好ましく、5分以内がより好ましい。なお、造粒時間は0.5分以上が好ましい。更に、造粒時における作業温度は40℃以下が好ましく、室温(1〜30℃)がさらに好ましい。
結合液としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコールや、精製水等が挙げられる。
【0023】
さらに本発明の固形製剤、例えば錠剤は、必要に応じてフィルムコーティング、糖衣、徐放性コーティング等を施すこともできる。この場合、コーティング剤としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化チタン、タルク、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ステアリン酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が、糖衣剤としては、例えば、アラビアゴム、精製ゼラチン、ゼラチン、精製白糖、白糖、沈降炭酸カルシウム、タルク、リン酸二水素カルシウム水和物等が、徐放性コーティング剤としては、例えば、メタクリル酸コポリマーLD、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ヒプロメロース等が挙げられる。
【実施例】
【0024】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらに制限されるものではない。
【0025】
以下の実施例では、化合物aの1塩酸塩(以下、化合物a塩酸塩という)を用いて行なった。なお、化合物a塩酸塩は、前記特許文献1に記載された方法及び公知の方法を用いて合成した。
【0026】
参考例1
53.65mgの化合物a塩酸塩(化合物aとしては50mg)と無水クエン酸50mgを乳鉢で粉砕・混合して試料1(103.65mg)を得た。
【0027】
参考例2
53.65mgの化合物a塩酸塩を乳鉢で粉砕して試料2(53.65mg)を得た。
参考例3
53.65mgの化合物a塩酸塩とサリチル酸50mgを乳鉢で粉砕・混合して試料3(103.65mg)を得た。
参考例4
53.65mgの化合物a塩酸塩とソルビン酸50mgを乳鉢で粉砕・混合して試料4(103.65mg)を得た。
参考例5
53.65mgの化合物a塩酸塩と無水フタル酸50mgを乳鉢で粉砕・混合して試料5(103.65mg)を得た。
参考例6
53.65mgの化合物a塩酸塩とホウ酸50mgを乳鉢で粉砕・混合して試料6(103.65mg)を得た。
【0028】
試験例1 溶出試験
試料1〜6の溶出性について、日局一般試験法 溶出試験法第2法(パドル法)に従って確認した。
試料1〜6それぞれ103.65mg(試料2のみ53.65mg)を日本薬局方溶出試験第2液900mL中に投入し、温度37±0.5℃、パドル回転数50rpmの条件で試験し、5,10,15,30,45,60分後の化合物aの濃度を測定した。各時間に採取した試料溶液は細孔径0.45μmのPTFE製メンブランフィルター(東洋濾紙製DISMIC−25HP)にて濾過し、逆相系カラム(ノムラケミカル製:Develosil ODS−HG−5)を用いた高性能液体クロマトグラフ法により測定し溶出率を算出した。結果を図1に示す。
【0029】
図1より、化合物aは単体ではほとんど溶出されず、また、クエン酸以外の有機酸又はホウ酸との配合においても溶出率の改善は見られなかったが、クエン酸との配合のみ溶出率が著しく向上した。
【0030】
実施例1
エタノール45gに硬化油(小倉合成工業:C−WAX #100)24g、モノステアリン酸グリセリン30g(日光ケミカルズ:ニッコール MGS−BMV)を溶解し、結合液とした。別途、室温にて化合物a塩酸塩160.95g(化合物aとしては150g)、無水クエン酸(小松屋株式会社:日本薬局方無水クエン酸(微粉))150gを高速攪拌造粒機(FM−VG−5、パウレック社製)にて混合した後、前述の結合液を加えて高速攪拌造粒(攪拌羽根回転数:400rpm、クロススクリュー回転数:1200rpm、造粒時間:3分間)を行った。次に得られた造粒物を真空棚式乾燥機(KSV1−1/4、日空工業製)にて乾燥し、整粒機(ニュースピードミル、岡田精工製)にて整粒した。得られた顆粒に乳糖水和物1486.05g、結晶セルロース375g及びクロスポビドン150gを加え、容器型混合機(ボーレミキサー、コトブキ技研製)にて混合し、さらにステアリン酸マグネシウム24gを加えて混合した。これを打錠機(HT−CVX−SS−U、畑鐵工所製)にて1錠が160mgとなるように打錠した。
【0031】
比較例1
室温にて化合物a塩酸塩160.95g、無水クエン酸(小松屋株式会社:日本薬局方無水クエン酸(微粉))150gを高速攪拌造粒機(FM−VG−5、パウレック社製)にて混合した後、結合液としてエタノール45gを加えて高速攪拌造粒(攪拌羽根回転数:400rpm、クロススクリュー回転数:1200rpm)を行ったが、アメ状となり造粒物を得ることができなかった。
【0032】
比較例2
エタノール45gに硬化油(小倉合成工業:C−WAX #100)24gを溶解し、結合液とした。別途、室温にて化合物a塩酸塩160.95g、無水クエン酸(小松屋株式会社:日本薬局方無水クエン酸(微粉))150gを高速攪拌造粒機(FM−VG−5、パウレック社製)にて混合した後、前述の結合液を加えて高速攪拌造粒(攪拌羽根回転数:400rpm、クロススクリュー回転数:1200rpm)を行ったが、アメ状となり造粒物を得ることができなかった。
【0033】
比較例3
エタノール45gにモノステアリン酸グリセリン30g(日光ケミカルズ:ニッコール MGS−BMV)を溶解し、結合液とした。別途、室温にて化合物a塩酸塩160.95g、無水クエン酸(小松屋株式会社:日本薬局方無水クエン酸(微粉))150gを高速攪拌造粒機(FM−VG−5、パウレック社製)にて混合した後、前述の結合液を加えて高速攪拌造粒(攪拌羽根回転数:400rpm、クロススクリュー回転数:1200rpm)を行ったが、アメ状となり造粒物を得ることができなかった。
【0034】
試験例2 溶出試験
実施例1の錠剤の溶出性について、1錠を日本薬局方溶出試験第2液900mL中に投入した以外は試験例1に記載の方法と同様に行って確認した。結果を表1及び図2に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
以上より、ワックス成分と界面活性剤を配合することで製剤の製造性も改善され、クエン酸を配合することで化合物aの溶出性も向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド又はその酸付加塩、(B)クエン酸、(C)ワックス成分、及び(D)界面活性剤を含有する経口投与用固形製剤。
【請求項2】
(C)ワックス成分が、硬化油である請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
(D)界面活性剤が、モノステアリン酸グリセリンである請求項1又は2記載の固形製剤。
【請求項4】
高速攪拌造粒工程を含む方法により得られるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の固形製剤。
【請求項5】
(A)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド又はその酸付加塩と(B)クエン酸を混合した後、(C)ワックス成分と(D)界面活性剤を溶解した結合液を加えて高速攪拌造粒を行う工程を含むことを特徴とする成分(A)含有固形製剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−6785(P2013−6785A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139043(P2011−139043)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】