説明

経口投与用製剤

【課題】顆粒分けすることなく1顆粒で安定化され、製造コストの低減された、成分の
均一なイブプロフェンと制酸剤を含有する経口投与用製剤の提供。
【解決手段】イブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤を含有する組成物を湿式造粒すること
により得られる経口投与用製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口投与用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般用医薬品は複数の有効成分を配合することが多く、一方、2種以上の有効成分を配合すると配合変化が生じることが多い。酸性物質と塩基性物質等はそれらの典型である。例えば、酸性薬物であるイブプロフェンは、塩基性薬物である制酸剤と反応し、湿潤・固化及び着色変化を生じる。イブプロフェンと炭酸水素ナトリウムを併用した顆粒は、20℃、75%RHの条件下に14日静置させた場合、淡褐色に色調が変化し、顆粒が湿潤し外観変化するので、特に長期投与には慎重の配慮が望ましいことが報告されている(非特許文献1)。そのため、イブフロフェンを含む顆粒と制酸剤を含む顆粒に顆粒分けした2顆粒として製剤化する方法、更に顆粒にコーティングする方法がとられている。しかしながら、多顆粒製剤とすることによって安定化は達成されるが、製造コストが高くなると同時に、有効成分の混合均一性等の問題が生じる。
また、本発明で使用する膨潤剤は、薬物の不快な味をマスキングできることは知られている(特許文献1、2)が、イブプロフェンと制酸剤を含有する製剤の配合変化を防ぐことは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−208458号公報
【特許文献2】特開2004−189756号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】薬局 Vol.27,No.12,73−78(1976)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、イブプロフェン及び制酸剤を顆粒分けすることなく1つの顆粒中で配合変化を起こさずに、有効成分が均一に配合され、簡易な製造方法で製造できる経口投与用製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、イブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤を含有する組成物を湿式造粒することにより得られる経口投与用製剤を提供するものである。
また、本発明はイブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤を含有する組成物を、水又はアルコール含有量が30質量%以下の含水アルコールと練合わせ、次いで湿式造粒する経口投与用製剤の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の経口投与用製剤は、イブプロフェン及び制酸剤が1つの顆粒中に含有されているにもかかわらず、湿潤・固化及び着色変化が抑制され配合変化を起こさず安定であり、有効成分は均一に配合されている。更に製造が簡便であって製造コストの低減が図られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で使用するイブプロフェン(2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸)は粉末状であって、粉末の平均粒径は、1〜500μm、更に10〜355μm、特に20〜150μmであるのが好ましい。平均粒径は、レーザ回折法で測定した値を用いる。
イブプロフェンは、経口投与用製剤中に1〜95質量%、更に5〜90質量%含有するのが好ましい。
【0009】
本発明で使用する制酸剤としては、酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合物乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、烏賊骨、石決明、ボレイ、アミノ酢酸、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、ロートエキス等が挙げられ、酸化マグネシウム及び炭酸水素ナトリウムが好ましく、特に酸化マグネシウムが好ましい。制酸剤の平均粒径は、0.1〜500μm、更に1〜255μm、特に1〜150μmであるのが好ましい。
制酸剤は、経口投与用製剤中に1〜95質量%、更に5〜90質量%含有するのが好ましい。
【0010】
本発明の経口投与用製剤中のイブプロフェン及び制酸剤の含有質量比率は、イブプロフェン/制酸剤の質量比で0.2〜10、更に0.5〜5.0、特に0.9〜2.0であるのが好ましい。
【0011】
本発明で使用する膨潤剤は、水を吸収して膨潤する物質である。膨潤剤に水又は含水アルコールを添加しイブプロフェンと制酸剤とを練合し、造粒後、乾燥して水又は含水アルコールを除去する過程で、膨潤剤が収縮しイブプロフェンと制酸剤を膨潤剤が隔離することにより、1顆粒中でイブプロフェンと制酸剤が固化せずに安定化する。
【0012】
膨潤剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース(カルボキシメチルセルロース)又はその塩、クロスカルメロースナトリウム(医薬品添加物規格記載:架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム)、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポピドン(架橋型ポリビニルピロリドン)、結晶セルロース・カルメロースナトリウム等が挙げられる。カルメロースの塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。膨潤剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースの塩、クロスカルメロースナトリウムが好ましく、特に低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。膨潤剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0013】
膨潤剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを使用する場合、そのヒドロキシプロピル基の含有量は、5.0〜16.0質量%、更に10.0〜13.0質量%であるのが好ましい。
【0014】
膨潤剤は本発明の経口投与用製剤中に15〜85質量%含有するのが好ましい。また、膨潤剤はイブプロフェンと制酸剤の合計質量に対して、膨潤剤/(イブプロフェン+制酸剤)質量比で0.1〜7.5、更に0.2〜5.0含有するのが好ましい。
【0015】
本発明の経口投与用製剤には、イブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤の他に、イブプロフェン、制酸剤以外の薬物、更に顆粒製剤に通常使用される成分を適宜その目的に応じて配合してもよい。例えば、賦形剤(希釈剤)、結合剤、崩壊剤、甘味料、着香料、色素等が挙げられる。ここで、賦形剤としては、例えば乳糖、精製白糖、ブドウ糖等の糖類;D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール等が挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストリン、アルファー化デンプン等が挙げられる。崩壊剤としては、トウモロコシデンプン等のデンプン類等が挙げられる。甘味料としては、サッカリンナトリウムやアスパルテーム等が挙げられる。香料としては、オレンジやレモン等の柑橘系香料やメントールやハッカ油等が挙げられる。色素としては、天然色素や合成色素等が挙げられる。
【0016】
本発明の経口投与用製剤は、イブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤を含有する組成物を、水又はアルコールの含有量が30質量%以下の含水アルコールと練合わせ、次いで湿式造粒することにより製造される。ここで使用するアルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。水としては、精製水、イオン交換水等が挙げられる。水又は含水アルコールのうち、水が好ましい。
【0017】
湿式造粒としては、攪拌造粒、流動層造粒、押し出し造粒法等の通常医薬品等に利用される湿式造粒法であれば特に限定されないが、好ましくは押し出し造粒法である。
【0018】
本発明の経口投与用製剤は、例えば次の如くして製造することができる。
イブプロフェン及び制酸剤に膨潤剤及び必要に応じて添加する成分を加え、攪拌型混合機で混合後、膨潤剤の2〜5質量倍量の水又は30質量%以下のアルコール水溶液で練合し膨潤状態とする。次いで、この練合物を押し出し造粒機にて造粒後、水又は含水アルコールを箱型乾燥機又は流動層造粒乾燥機で乾燥して顆粒を製造する。また、必要に応じて押し出し造粒後、篩を用いて目的の粒度の顆粒とすることもでき、更にマルメライザーで球形化処理を施し球形の顆粒としてもよい。
また、上記練合物を箱形乾燥機又は流動層造粒乾燥機にて乾燥し、必要により粉砕した後、篩を用いて所望の粒度の顆粒を得ることもできる。顆粒の粒度調節は、水又は含水アルコールの量を調節するか、押し出し造粒時のスクリーン径を0.3〜1.2mmの範囲で変えて行ってもよい。得られた顆粒に、更に服用感や薬物の安定性等を考慮して糖類や高分子等でコーティングを行ってもよい。
【0019】
湿式造粒して得られた顆粒の平均粒径は、100〜1000μm、更に150〜900μm、特に200〜800μmであるのが湿潤・固化の改善、流動性改善の点で好ましい。なお、粒子の粒径は篩分け法で測定した値を用いる。
【0020】
このようにして製造された顆粒剤は、湿潤・固化が改善され、着色変化せず、しかも流動性が良いので、そのまま散剤、細粒剤等として使用できるが、カプセル剤等にして使用してもよく、更に直接打錠して速溶性の錠剤型医薬製剤を容易に製造することがでる。従って、本発明の経口投与用製剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤等が挙げられる。これらの経口投与用製剤を調製するにあたっては、更に固形製剤に通常使用される成分、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、植物末等の賦形剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、光線遮断剤、香味剤、甘味剤等を配合してもよい。
【実施例】
【0021】
実施例1
イブプロフェン150g、酸化マグネシウム100g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH31:信越化学(株)製)466g、カルメロースカルシウム(五徳薬品工業(株)製)144g、無水カフェイン80g、アリルイソプロピルアセチル尿素60gを、バーチカルグラニュレーターVG−25(パウレック(株)製)で混合後、精製水2465gを添加し練合した後、ツインドームグランTDG−80(不二パウダル(株)製)0.6mmスクリーンで押し出し造粒後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、平均粒径500μmの顆粒剤を得た。1包1gの顆粒剤をアルミシートヒール(厚さ:0.012μm)で分包した。
【0022】
実施例2
イブプロフェン300g、酸化マグネシウム200g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH31:信越化学(株)製)620g、無水カフェイン160g、アリルイソプロピルアセチル尿素120gをバーチカルグラニュレーターVG−25(パウレック(株)製)で混合後、精製水2380gを添加し練合した後、ツインドームグランTDG−80(不二パウダル(株)製)0.6mmスクリーンで押し出し造粒、マルメライザー Q−400(不二パウダル(株)製)球形化処理をし、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、平均粒径600μmの顆粒剤を得た。1号カプセルに顆粒剤350mgを充填しカプセル剤を製造した。
【0023】
実施例3
イブプロフェン750g、酸化マグネシウム500g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH31:信越化学(株)製)1290g、無水カフェイン400g、アリルイソプロピルアセチル尿素300gをバーチカルグラニュレーターVG−25(パウレック(株)製)で混合後、精製水5234gを添加し練合した後、ツインドームグランTDG−80(不二パウダル(株)製)0.6mmスクリーンで押し出し造粒後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、クアドロ コーミル((株)パウレック製 スクリーン径:1270μm)整粒し、平均粒径600μmの顆粒剤を得た。
この顆粒剤に、表1に記載の処方で結晶セルロース(アビセルPH101:旭化成(株)製)、クロスカルメロースナトリウム(アクジゾル:旭化成(株)製)、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101:フロイト産業(株)製)、タルク(キハラ化成(株)製)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業(株))を添加し、ロータリー打錠機(製RS-T15-S35:菊水製作所)で、径9mm、1錠250mgの錠剤を製造した。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例4
イブプロフェン450g、酸化マグネシウム300g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH31:信越化学(株)製)219g、無水カフェイン240g、アリルイソプロピルアセチル尿素180gをバーチカルグラニュレーターVG−25(パウレック(株)製)で混合後、精製水100gを添加し練合した後、ツインドームグランTDG−80(不二パウダル(株)製)0.6mmスクリーンで押し出し造粒後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、クアドロ コーミル((株)パウレック製 スクリーン径:1270μm)整粒した。
製造した顆粒剤を用いて表2に記載の組成を有する径9mm、1錠260mgの錠剤を、実施例3と同方法で製造した。
【0026】
【表2】

【0027】
比較例1
イブプロフェン150g、酸化マグネシウム100g、結晶セルロース(アビセルPH101:旭化成(株)製)258g、無水カフェイン80g、アリルイソプロピルアセチル尿素60gをバーチカルグラニュレーターVG−10(パウレック(株)製)で混合後、精製水120gを添加し練合した後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、クアドロ コーミル((株)パウレック製 スクリーン径:1270μm)整粒した。
製造した顆粒剤を用いて表3に記載の組成を有する径9mm、1錠250mgの錠剤を、実施例3と同方法で製造した。
【0028】
【表3】

【0029】
比較例2
イブプロフェン300g、結晶セルロース(アビセルPH101:旭化成(株)製)258g、無水カフェイン160g、アリルイソプロピルアセチル尿素120gをバーチカルグラニュレーターVG−10(パウレック(株)製)で混合後、精製水80gを添加し練合した後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、クアドロ コーミル((株)パウレック製 スクリーン径:1270μm)整粒し顆粒Aを製造した。
酸化マグネシウム300g、結晶セルロース(アビセルPH101:旭化成(株)製)387gをバーチカルグラニュレーターVG−10(パウレック(株)製)で混合後、精製水120gを添加し練合した後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、クアドロ コーミル((株)パウレック製 スクリーン径:1270μm)整粒し顆粒Bを製造した。
次いで、この顆粒A及びBを用いて表4に記載の組成を有する径9mm、1錠250mgの錠剤を、実施例3と同方法で製造した。
【0030】
【表4】

【0031】
比較例3
イブプロフェン300g、結晶セルロース(アビセルPH101:旭化成(株)製)317g、無水カフェイン160g、アリルイソプロピルアセチル尿素120gをバーチカルグラニュレーターVG−25(パウレック(株)製)で混合後、精製水120gを添加し練合した後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、クアドロ コーミル((株)パウレック製 スクリーン径:1270μm)整粒し顆粒を得た。次いで、この顆粒に表5に記載のクロスカルメロースナトリウム(クジゾル:旭化成(株)製)、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101:フロイト産業(株)製)、タルク(キハラ化成(株)製)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業(株))を添加し外層顆粒を製造した。
一方、酸化マグネシウム300g、結晶セルロース(アビセルPH101:旭化成(株)製)415.5gをバーチカルグラニュレーターVG−10(パウレック(株)製)で混合後、精製水100gを添加し練合した後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、クアドロ コーミル((株)パウレック製 スクリーン径:1270μm)整粒し顆粒を得た。次いで、この顆粒に表5に記載のクロスカルメロースナトリウム(アクジゾル:旭化成(株)製)、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101:フロイト産業(株)製)、タルク(キハラ化成(株)製)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業(株))を添加し内層顆粒を製造した。
更に、この外層顆粒及び内層顆粒を用いてロータリー打錠機(RT−3L−14:菊水製作所製)で、径9mm、1錠250mgの3層(外層80mg×2:内層90mg)錠剤を製造した。
【0032】
【表5】

【0033】
比較例4
イブプロフェン150g、酸化マグネシウム100g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH31:信越化学(株)製)490.6g、タルク5.7g、ステアリン酸マグネシウム3.7gを混合し、ロータリー打錠機(製RS-T15-S35:菊水製作所)で、径9mm、1錠250mgの錠剤を製造した。
【0034】
試験例1
実施例1〜4及び比較例1〜4の経口投与用顆粒製剤をガラス容器(6号規格ガラス瓶:容積61.5mL、口径24.7mm)に入れ、表6及び表7に記載の加速条件下での湿潤・固化及び着色変化を、次の評価基準を用いて目視評価により評価した。
【0035】
*湿潤・固化試験:− 変化なし
+ 湿潤を認めた
++ 僅かに固化を認めた
+++ 固化を認めた
*着色試験: − 変化なし
+ 僅かに黄色の着色を認めた
++ 黄色の着色を認めた
+++ 褐色の着色を認めた
【0036】
湿潤・固化試験の結果を表6及び着色試験の結果を表7に示す。
【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
1顆粒中にイブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤を含有する本発明の経口投与用製剤は、いずれも湿潤・固化、着色変化が起こらず安定性に優れていた。
【0040】
実施例5
イブプロフェン200g、炭酸水素ナトリウム200g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH31:信越化学(株)製)1600gをバーチカルグラニュレーターVG−25(パウレック(株)製)で混合後、精製水5200gを添加し練合した後、ツインドームグランTDG−80(不二パウダル(株)製)0.6mmスクリーンで押し出し造粒後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、16号及び42号篩を使用して、粒径355〜500μmの顆粒剤を製造した。
【0041】
比較例5
イブプロフェン200g、炭酸水素ナトリウム200g、乳糖(200M:DMV社製)1600gをバーチカルグラニュレーターVG−25(パウレック(株)製)で混合後、精製水500gを添加し練合した後、ツインドームグランTDG−80(不二パウダル(株)製)0.6mmスクリーンで押し出し造粒後、流動層乾燥機WSG−5(大川原製作所(株)製)にて乾燥し、16号及び42号篩を使用して、粒径355〜500μmの顆粒剤を製造した。
【0042】
試験例2
実施例5及び比較例5で製造した顆粒剤1.0gをアルミヒートシール(12mμ)に分包した。50℃、75%RHに保存したときの外観変化を目視観察により評価した。
結果を表8に示す。
【0043】
【表8】

【0044】
本発明の顆粒剤は、湿潤・固化の外観変化を起こさず安定であった。
【0045】
実施例6
実施例5の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースに代えて、カルメロースナトリウム(ECG−505:五徳薬品(株)製)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−sol:旭化成工業(株)製)、カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル:松谷化学工業(株)製)、クロスポピドン(コリドンCL:BASF武田(株)製)又は結晶セルロース・カルメロースナトリウム(アビセルRC−A591NF:旭化成工業(株)製)を用いて、同方法で顆粒剤を製造した。これらの顆粒剤は、50℃、75%RHに30日静置させても、湿潤・固化の外観変化を起こさず安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤を含有する組成物を湿式造粒することにより得られる経口投与用製剤。
【請求項2】
制酸剤が、酸化マグネシウム又は炭酸水素ナトリウムである請求項1記載の経口投与用製剤。
【請求項3】
膨潤剤が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース又はその塩、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポピドン及び結晶セルロース・カルメロースナトリウムの群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1又は2記載の経口投与用製剤。
【請求項4】
膨潤剤の含有量が、15〜85質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の経口投与用製剤。
【請求項5】
イブプロフェン、制酸剤及び膨潤剤を含有する組成物を、水又はアルコールの含有量が30質量%以下の含水アルコールと練合わせ、次いで湿式造粒する経口投与用製剤の製造方法。
【請求項6】
水又は含水アルコールの量が、膨潤剤の2〜5質量倍である請求項5記載の経口投与用製剤の製造方法。

【公開番号】特開2012−12411(P2012−12411A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219037(P2011−219037)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【分割の表示】特願2005−155014(P2005−155014)の分割
【原出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000102496)エスエス製薬株式会社 (50)
【Fターム(参考)】