説明

経口摂取用天然精油含有カプセル服用後体外放出香気成分の確認方法

【課題】体臭を改善することを目的とした経口用天然精油を含有したカプセルを服用後の、体外放出香気成分の確認方法に関するものである。
【解決手段】従来は体の表面に香水を噴霧したりしていたが、芳香成分を含有する各種の天然精油をカプセル内に注入したカプセルを、経口服用後、服用した芳香成分が体の皮膚の表面から服用した芳香成分が放出された事をGC/MS分析により確認する。精油そのものや芳香成分を配合したカプセルを水で経口摂取した後、一定の時間例えば30〜60分の間隔を開けた後、体の皮膚表面の汗を捕集する。捕集した汗をそのままか又は水で希釈するか、水で洗いとるなどの方法により集めて有機溶媒により抽出しGS/MSで測定する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
古来より人間が出している口臭以外の体臭を消すための方法として香水を使用したり、汗からの体臭を防止するために様々な方法がとられてきた。
本発明は、体臭改善物質である天然精油をカプセルに含有せしめ後、体内に摂取した後、身体の皮膚の表面より体臭改善物質を放出することにより体臭改善物質の摂取者及びその周辺の人たちにも精神的な安定をもたらすことができる経口摂取用天然精油含有カプセル服用後放出される香気成分を分離し、分析確認する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体臭を消すための方法として古くより香水が使用されたり、皮膚上の細菌の増殖を抑制するデオドラント製品の使用などが行なわれてきたが、近年になってオットローズやその芳香成分を配合したソフトカプセルを服用したり芳香成分を配合したガムを噛むという方法(特許公開番号WO206/129876 出願人クラシエフーズ株式会社)などが報告されている。
近年ではバラの天然精油を含有するカブセルを体内に摂取すると血液を通じて汗腺より汗と一緒にバラの芳香成分が放出されて体の表面から、ほのかにバラの芳香が感じられる効果があると謳った商品が多く市販されるようになっている。
しかし、バラの芳香成分が体の表面から放出されているという科学的な根拠に関するものとしてはAROMA RESEARCH 9(33),2008に報告されているのみである。この報告書によればバラの芳香成分であるゲラニオールとシトロネロールが経時的に人の皮膚から発散していることをガスクロマトグラフ/質量分析計(以後はGC/MSという)で確認されている。
さらにWO2006/129876によれば様々な芳香成分を配合したチューインガムを摂取して、手の表面から放出された成分をGC/MSにより測定した結果、ゲラニオール、テルピネン−4−オールやパニリンが顕著に放出されているのを確認したと報告されている。
しかしながら、この報告による皮膚からガス成分を分析するためには最初に皮膚透過ガス収集装置と言う極めて特殊な機器類が必要なこと、さらにガス分析で得られる芳香成分の検出量がナノグラムオーダーとされるので、僅かな量であった。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は従来より医薬品を服用する時その補助剤として開発されてきたカプセルを使用して、これにバラ、ジャスミン、ラベンダー、ネロリ、ローズマリー、イランイラン、レモン、スウィートオレンジ、ローマンカモミール等々の天然精油を含有したカプセルを服用すれば、やがて体の皮膚表面より服用した香りが放出されて精神的な安定を得られることを目的とし、さらに体外に放出された香気成分をGC/MS分析により確認する方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
医薬品を服用しやすくするため専用に開発されたカプセルに、芳香成分を配合した天然精油を注入、そのカプセルを服用することにより体から服用した芳香成分が放出され、この放出された香気成分をGC/MS分析により確認するようにしたことを大きな特徴とするものである。
【実施例】
【0005】
本発明の実施形態は以下の通りである。
本発明で用いる天然精油及び芳香成分を配合したカプセルは既に医薬品などに使用されている市販のカプセルを利用するか又は新たに製造したものを用いることになる。
カプセルの体内への摂取は経口摂取とするのが最良である。
一般的に医薬品を経口摂取するタイミングは腸管吸収が食事の影響を強く受けるため用いる精油の成分や使用する化合物により異なってくる。
芳香成分が体から放出される量を調べるには被験者が空腹時または飽食時において腸管からの吸収阻害の影響が最も少ないタイミングに経口摂取することが重要となる。
実験で使用する精油の量は1〜100mg/回、または芳香成分の場合には01〜50mg/回が最適である。精油そのものや芳香成分を配合したカプセルを水で経口摂取した後、一定の時間例えば30〜60分の間隔を開けた後、体の皮膚表面の汗を捕集する。汗の捕集方法としては軽い運動したり、室温や湿度の高い部屋に入って強制的に汗をかき、その汗を脱脂綿等によりふき取ったり、肌着に吸収させることで実施する。
捕集した汗をそのままか又は水で希釈するか、水で洗いとるなどの方法により集めて有機溶媒により抽出する。この場合抽出する有機溶剤としては低沸点のジエチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、n−ヘキサンや酢酸エチルなどがある。
今回オットローズ含有カプセルを経口摂取後捕集した汗はジエチルエーテルで抽出、抽出した液を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシュウムで乾燥。室温・常圧下で溶媒を流去後、残渣をアセトン10mlに溶解しこの溶液をGC/MCによるオットローズの主要芳気成分であるシトロネロールとゲラニオールの定量用サンプルにした。
定量方法は予めシトロネロールとゲラニオールのアセトン溶液を用いて6点検量線を作成した後、シトロネロールとゲラニオールの共通したフラグメントである質量数m/z=69.00のイオンクロマト抽出法によりそれぞれの含有量を定量した。
GS/MSでの分析条件は以下に示す通りである。

津田孝雄氏は「ヒト皮膚から揮散される化学物質と香り」と題する論文にてクラシェフーズ株式会社が2007年に発売したバラの香料成分の一つであるゲラニオールを含有するガムを咀嚼した後で被験者の皮膚から放出される皮膚ガスを捕集・濃縮してGS/MSにより分析した結果、皮膚ガスからゲラニオールが確認出来たと報告している。(WO2006/129876)
このヒトの皮膚から放出されるゲラニオールの分析結果を表1で示したのが次の表1である。
【表1】

【発明の効果】
【0006】
汗から抽出した成分のガスクロマトグラムは表2で、ローズオイル経口摂取後0〜30分間の試料である。
【表2】

ボランテイア9名によるシトロネロールとゲラニオールの検出量は表3に示す通りであり、個体差が大きく、さらに各時間帯の増減もばらつきが多かったが検出量がマイクログラムと皮膚ガスの検出量であるナノグラムに比べ多くの量が検出できた。ボランテイア9人の平均では0〜30分間(2,03μg)よりも30〜60分間(2,49μg)の試料の方が表4に示したごとく多く検出されている。
【表3】

【表4】

天然ローズオイルを含有するカプセルを経口摂取すると、ローズオイルの香気成分は消化管から素早く吸収されて肝臓を経て血液中に移行する。各香気成分がいかなる経路を経て体の皮膚の表面に放出されるのかの詳細は不明であるが、代謝を受けなかったシトロネロールやゲラニオールなどが血液中から皮膚の細孔や汗線またはエクリン線を経由して皮膚の外表面に到着するものと考えられている。
以上の結果により本発明による経口用天然精油含有カプセルを服用すれば、体表面の皮膚から服用した香気が発散されること確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体臭改善物質の天然精油を摂取することにより体臭の改善を行なうための経口摂取用天然精油含有カプセル服用後体外放出香気を分離しGC/MS分析により確認する方法