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経口摂取用皮膚賦活剤及びその製造方法
説明

経口摂取用皮膚賦活剤及びその製造方法

【課題】リン脂質を含有し、品質管理が容易で、少量の摂取で充分な効果が得られる経口摂取用皮膚賦活剤及び該経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、酸性リン脂質を20質量%以上含有することを特徴とする。上記の酸性リン脂質は、ホスファチジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚組織の新陳代謝を活発にする経口摂取用皮膚賦活剤、及び該経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リン脂質は、タンパク質と共に生体膜の主要な構成成分として知られている。該リン脂質は、細胞の膜様構造部位に特異的に存在するものであり、脳、神経、内臓、血液、卵、種子などの部位に多く含まれ、生命維持のために多くの機能を果たしている。近年、各種リン脂質の機能性が明らかとなりつつある。
【0003】
例えば、リン脂質の一種であるレシチンの主要成分であるホスファチジルコリンは、美白効果を得る作用を有することが知られている(特許文献1、2)。さらに、ホスファチジルコリンは、炎症刺激で誘導されるコラーゲン産生を抑制する作用(非特許文献1)、損傷部皮膚の収縮を抑制して回復を調節する作用(非特許文献2)を有することが報告されている。さらに、リン脂質の一種であるホスファチジン酸はプロテインキナーゼCを活性化して毛髪再生を促進する作用(特許文献3)、腫瘍細胞の膜流動性を向上させ多剤耐性を一変させる作用(特許文献4)を有することが知られている。さらに、リン脂質の一種であるリゾホスファチジン酸は細胞増殖作用を有することや、環状リゾホスファチジン酸には細胞増殖抑制活性(非特許文献3)を有することが報告されている。
【0004】
他にも、リン脂質の一種であるホスファチジルセリンは脳機能改善効果(非特許文献4)や神経突起伸張活性(非特許文献5)を有することが報告されている。また、リン脂質の一種であるホスファチジルエタノールアミンは神経栄養作用(非特許文献6)を有することが報告されている。また、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体に苦味低減作用があることも知られている(特許文献5)。さらに、本発明者らはグリセロリン脂質を正常ヒト皮膚繊維芽細胞及びラットへ投与することで、コラーゲンの産生が促進されることを見出している(特許文献6)。
【0005】
上記のようなリン脂質の作用は、各種細胞・動物への投与やヒトへの経皮吸収等による顕著な効果が主であり、リン脂質の中でも、特に酸性リン脂質を経口摂取することにより、皮膚組織の新陳代謝を活発にするという優れた効果を発現しうる経口摂取用皮膚賦活剤は、未だ得られていないのが現状である。
【0006】
一方、肌のハリ、ツヤの低下や小ジワ等の肌の老化現象は、真皮におけるコラーゲン合成の低下が原因の一つと考えられている。このような皮膚の老化を予防するための手段としては、真皮のコラーゲン合成を促進させることが有効である。しかしながら、経口投与によりコラーゲン合成促進効果を発現する賦活剤は少ないのが現状である。
【0007】
皮膚賦活作用を発現する成分としては、例えば、杜仲と人参とコラーゲンを必須成分とし、これにデオキシリボ核酸、コンドロイチン硫酸、ハトムギエキスの一種又は二種以上を選択して配合することを特徴とする皮膚賦活食品(特許文献7)、Gly−X−Yのトリペプチドを有効成分とするコラーゲン産生促進剤を含む機能性食品(特許文献8)、プルーンの果実若しくはその抽出物(特許文献9)、オウレン解毒湯、サイコ、コウカおよびヨクイニンの水性エキスを有効成分として含有する内服用経口摂取用皮膚賦活剤(特許文献10)や、セリ、サンシン、シヨウキヨウ、コウカ、ウコンおよびヨクイニンからなる生薬混合物の水または水性アルコール抽出エキスを有効成分とする皮膚賦活食品(特許文献11)などが知られている。しかしながら、上記のような皮膚賦活作用を有する従来の成分には、生薬など天然物由来の植物素材が使われているため品質管理が困難であったり、少量の摂取であれば効果を充分に発現することができないため、摂取量が多くなったりするという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−59496号公報
【特許文献2】特開2005−272444号公報
【特許文献3】特開2006−76967号公報
【特許文献4】特開2006−143744号公報
【特許文献5】特許第2717509号明細書
【特許文献6】国際公開第2009/028220号パンフレット
【特許文献7】特許第3308433号明細書
【特許文献8】特開2002−255847号公報
【特許文献9】特開2000−95701号公報
【特許文献10】特公昭62−6690号公報
【特許文献11】特公平3−24号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Lab.Clin.Med.,139(2002)、202−210
【非特許文献2】J.Invest.Surg.,17(2004)、15−22
【非特許文献3】蛋白質 核酸 酵素、Vol.44、No.8(1999)、1118−1125
【非特許文献4】FOOD Style 21、Vol.6、No.11(2002)、108−116
【非特許文献5】日本農芸化学 2004年大会、3A19p23、「卵黄由来ホスファチジルセリンが神経突起伸張に与える影響」
【非特許文献6】J.Lipid Research、47(2006)、1434−1443
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、酸性リン脂質を含有し、品質管理が容易で、少量の摂取で充分な効果が得られる経口摂取用皮膚賦活剤及び該経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、酸性リン脂質を20質量%以上有する経口摂取用皮膚賦活剤が、特に優れたコラーゲン産生促進効果を有するという事実を見出し、本発明に到達した。さらに、特定の操作を行うことにより、高い作用効果を有する経口摂取用皮膚賦活剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)酸性リン脂質の含有量が20質量%以上であることを特徴とする経口摂取用皮膚賦活剤。
(2)酸性リン脂質がホスファチジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸である(1)の経口摂取用皮膚賦活剤。
(3)コラーゲン類と併用することを特徴とする(1)〜(2)のいずれかの経口摂取用皮膚賦活剤。
(4)(1)〜(3)のいずれかの経口摂取用皮膚賦活剤を配合してなる食品。
(5)(1)〜(3)のいずれかの経口摂取用皮膚賦活剤を製造するに際し、少なくとも中性リン脂質を含有する脂質混合物に酵素を作用させて、該中性リン脂質を酸性リン脂質に変換する工程を含むことを特徴とする経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
(6)中性脂質を除去する工程を含むことを特徴とする(5)の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
(7)微生物由来の酵素及び/または植物由来の酵素を用いることを特徴とする(5)又は(6)の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
(8)該酵素として、少なくともホスホリパーゼDを用いることを特徴とする(5)〜(7)の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
(9)アセトン処理又は膜分離により中性脂質の除去を行うことを特徴とする(6)〜(8)のいずれかの経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、酸性リン脂質を含有し、品質管理が容易であり、且つ少量の摂取で充分な効果が得られる経口摂取用皮膚賦活剤を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、皮膚組織の新陳代謝を活発にし、表皮のターンオーバーを亢進することに加え生体コラーゲン産生を促進することによって、肌のハリ、ツヤの低下を防ぎ、小ジワ、くすみ等を改善するものである。また、美容効果以外にも皮膚損傷や褥創の治癒促進効果も認められるものである。
【0014】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、経口により投与して体内に摂取されるものである。経口投与した場合は、軟膏状やローション状に調製し皮膚に塗布したりして摂取される場合に比べ、皮膚の角質層を経由しないため皮膚の真皮層に到達しやすく、少量の摂取で著しく顕著な皮膚賦活効果に優れる。本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、医薬品や食品として、体内に摂取されることができる。
【0015】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、酸性リン脂質を含有するものである。本発明の酸性リン脂質とは、脂肪酸とリン酸からなる中心骨格を有するリン脂質のうち、生理的食塩水(pH7.0)中での液性が酸性を示すリン脂質をいう。
【0016】
酸性リン脂質としては、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)及びそれらのリゾ体酸性リン脂質などが挙げられる。これらの中でも、高い皮膚賦活作用の観点から、ホスファチジン酸、ホスファチジン酸からC2位の脂肪酸が外れたリゾホスファチジン酸が好ましく、ホスファチジン酸を用いることが特に好ましい。
酸性リン脂質を経口摂取することで顕著な皮膚賦活効果を発現する理由は明らかではないが、リン脂質骨格に負に帯電するリン酸基を有するため、腸細胞との親和性が高く、体内への吸収に優れることから、皮膚賦活効果を顕著に発揮するものと推察される。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、酸性リン脂質の含有量が20質量%以上である必要があり、さらに好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、いっそう好ましくは70質量%以上である。酸性リン脂質の含有量が20質量%以上であることが必要である理由は明らかではないが、本発明の皮膚賦活剤は経口摂取用であるため、摂取時の胃、腸での分解による減量の影響によるものと推定している。
【0017】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、コラーゲン類と併用して用いることが好ましい。コラーゲン類と併用して用いると、酸性リン脂質との相乗効果により、表皮のターンオーバーがさらに亢進し、より優れた皮膚賦活効果が得られる。
【0018】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤がコラーゲン類と併用されて用いられることにより皮膚賦活の相乗効果を奏する理由は明らかではないが、コラーゲン類が不足している皮膚細胞に、酸性リン脂質及びコラーゲン類が供給されることにより、酸性リン脂質により賦活化された皮膚細胞がコラーゲン類を材料として皮膚を再生させるものと推定される。
【0019】
本発明に用いられるコラーゲン類とは、例えば牛、豚、鶏や魚類などの動物の皮膚、鱗、骨および腱などの結合組織から抽出したコラーゲン、コラーゲンを加熱抽出して得られるゼラチン、コラーゲン構造中のテロペプチド部分のペプチド結合を酵素或いはアルカリで加水分解し可溶化した可溶性コラーゲン、コラーゲン又はゼラチンを加水分解したコラーゲン加水分解物をいう。
【0020】
コラーゲン類の中でも、体内への吸収性に優れる観点から、可溶性コラーゲン及びコラーゲン加水分解物が好適であり、その中でもGly−X−Yで表される分子量が400以下のペプタイドは、体内への吸収性が特に優れる観点から好適である。ここで、Glyはグリシンを表す。XおよびYはグリシン以外のアミノ酸残基、例えば、アラニンやバリンなどを表す。
【0021】
コラーゲンの加水分解はコラゲナーゼ酵素による加水分解でもよく、酸あるいはアルカリによる加水分解でもよい。コラゲナーゼ酵素としては、Clostridium histoticum、Streptomyces parvulusなどの細菌、放線菌あるいは真菌など由来のものを使用できる。また、経済的な観点から、これらの微生物により発酵させてコラーゲンを得ることも有効である。さらに、コラーゲンの分解能を有する他のタンパク質加水分解酵素を使用してもよい。
【0022】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤がコラーゲン類と併用されて用いられる場合、その併用量は、酸性リン脂質を基準とする。すなわち、酸性リン脂質とコラーゲン類の併用比は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、質量比で、(酸性リン脂質)/(コラーゲン類)=2/1〜1/1000であることが好ましく、1/1〜1/500の範囲であることが特に好ましい。酸性リン脂質の併用量が2/1を超えると、経口摂取用皮膚賦活剤の原料コストが高くなる場合があるという問題がある。一方、1/1000未満であると酸性リン脂質による皮膚賦活効果が低くなる場合があるという問題がある。
【0023】
次に、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法について説明する。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法に用いられる原料は、少なくとも中性リン脂質を含む脂質混合物である。該脂質混合物中の中性リン脂質に酵素を作用させて酸性リン脂質に変換することにより、酸性リン脂質を高濃度に含む経口摂取用皮膚賦活剤を製造することができる。なお、該脂質混合物中には、上述の酸性リン脂質が含有されていてもよい。
【0024】
本発明における酸性リン脂質は、例えば大豆、卵黄、菜種などの天然物にも含まれているものの、天然物中の酸性リン脂質の含有量は、例えば大豆レシチンの場合10〜20%程度と少量ではあるため、該脂質混合物から酸性リン脂質を抽出する操作が煩雑となり実用的ではない。本発明においては、酸性リン脂質の含有量を増加させるために、少なくとも中性リン脂質を含む脂質混合物に酵素を作用させる工程を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明における中性リン脂質とは、脂肪酸とリン酸からなる中心骨格を有するリン脂質のうち、生理的食塩水(pH7.0)中での液性が中性を示すリン脂質をいい、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びそれらのリゾ体などが例示される。
【0026】
なお、本発明においては、酸性リン脂質と中性リン脂質を総称して、「リン脂質」と記載することがある。
該酸性リン脂質や中性リン脂質は上述のように脂肪酸とリン酸にて構成される。該脂肪酸は、例えば、炭素数8〜24の飽和又は不飽和度が1以上で炭素数4〜30の不飽和の脂肪酸であることが好ましい。炭素数が上記の範囲内であると、特にコラーゲン産生促進の効果の観点から好ましい。
【0027】
該範囲の脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−及びγ−リノレイン酸、エルシン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸等を挙げられる。
該範囲の不飽和脂肪酸としては、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、オクタコセン酸、トリアコンテン酸、ペンタジエン酸、ヘプタジエン酸、オクタジエン酸、ノナジエン酸、デカジエン酸、ウンデカジエン酸等が挙げられる。
これらの脂肪酸は、単独であるいは2種以上組み合わせて、酸性リン脂質や中性リン脂質を構成しうる。
【0028】
該脂質混合物には、中性脂質が含有されていてもよい。中性脂質は、脂肪酸のグリセリンエステルをいい、例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドが例示される。なお、本発明においては、中性脂質には中性リン脂質が含まれないものとする。
【0029】
中性リン脂質を少なくとも含む脂質混合物は、天然物でもあってもよいし、合成物であってもよい。
脂質混合物の天然物としては、レシチンなどが挙げられる。レシチンは、通常、酸性リン脂質、中性リン脂質、中性脂質、及び糖脂質を主な成分として含むものである。具体的には、大豆レシチン、菜種レシチン、卵黄レシチンなどのレシチンが挙げられる。レシチンは、食品、医薬品など様々な分野で利用されているが、工業的な利用では、安価に提供できる大豆由来のものが好適である。
【0030】
レシチンを利用した例を、以下に挙げる。例えば、界面活性剤としては、大豆粗原油から分離した、クルードレシチン(大豆レシチン)と称されるものが用いられ、これは、一般に、リン脂質70〜65%、トリグリセリド、ジグリセリド、及びモノグリセリドなどからなる中性脂質を含む大豆油33〜35%を主成分として、その他に、脂肪酸、炭水化物、蛋白質、無機質、ステロール、及び色素などを含んだ脂質混合物である。
【0031】
またこのレシチンをアセトン等の溶剤で中性脂質等を除去した、脱脂レシチンは、リン脂質分を90%以上の割合で含有する高純度レシチンであり、健康食品、医薬品などとしてそのまま利用されている。
【0032】
脂質混合物の合成物としては、例えば、ジ−又はモノ−グリセリン脂肪酸エステルと、五酸化二リンあるいはオキシ塩化リン等のリン酸化剤との反応生成物が挙げられる。
【0033】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法においては、上記の脂質混合物を原料とする。該脂質混合物中の中性リン脂質の含有量は、特に限定されないが、酸性リン脂質を高濃度に含有する経口摂取用皮膚賦活剤を得る観点からは、10〜100質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがさらに好ましく、50〜80質量%であることが特に好ましい。本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法において用いる原料の脂質混合物においては、酸性リン脂質、中性脂質の含有量については特に限定されない。
【0034】
本発明における経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法は、原料である脂質混合物に酵素を作用させて、中性リン脂質を酸性リン脂質へ変換し、酸性リン脂質の含有量を高めた皮膚賦活物質を得る工程(以下、「酵素作用工程」と称する場合がある)を含む。
【0035】
酵素作用工程について説明する。上述のように、酵素作用工程とは、原料となる脂質混合物に酵素を作用させて、中性リン脂質を酸性リン脂質へ変換し、酸性リン脂質の含有量を高めた経口摂取用皮膚賦活剤を得る工程である。この工程を経ることにより、経口摂取用皮膚賦活剤は、酸性リン脂質を高い割合で含有することができ、皮膚賦活効果を顕著に向上させることができる。
【0036】
上記酵素作用工程において用いられる酵素は、中性リン脂質に作用し、中性リン脂質を、酸性リン脂質に変換し得るものであれば、特に限定されないが、生体への安全性の観点から、微生物由来の酵素や植物由来の酵素が好ましく用いられる。
【0037】
リン脂質に作用する酵素としては、例えば、ホスホリパーゼD、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2を挙げることができるが、本発明の酵素作用工程においては、中性リン脂質を酸性リン脂質へ変換することから、少なくともホスホリパーゼDを用いることが必要である。さらに、ホスホリパーゼA1又はホスホリパーゼA2のいずれかを含んでもよい。なお、ホスホリパーゼD、ホスホリパーゼA1及びホスホリパーゼA2の3種を同時に作用させると、リン脂質がグリセリンへと変換され好ましくない。
【0038】
酵素作用工程における上記酵素の使用量は、特に限定されないが、リン脂質1g当り、0.01〜1000ユニットであることが好ましく、0.05〜100ユニットであることがより好ましく、0.1〜10ユニットであることが特に好ましい。上記使用量が、0.01ユニット未満であると、酸性リン脂質への変換速度が非常に遅くなる場合がある。一方、上記使用量が1000ユニットを超えると、経口摂取用皮膚賦活剤の製造コストが高くなる場合がある。なお酵素活性単位のユニットとは、1分間に1μmolのホスファチジルコリンを加水分解する酵素量を表す。
【0039】
酵素作用工程における反応温度は、酵素が失活しない温度を選択すれば良く、5〜90℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。また反応時間は、酵素の使用量によって適宜選択できるが、上記製造コストの観点から、2〜72時間で反応が終了するように設定することが好ましい。
【0040】
本発明においては、中性脂質の除去及び酸性リン脂質の濃縮を目的として、酵素を作用させる前後に溶剤分画を組み合わせて行っても良い。溶剤分画に用いることができる溶剤としては、例えば、アルコール、含水アルコール、非極性有機溶剤及びこれらの混合液から選ばれる溶剤を挙げることができる。なかでも、取扱いの容易さの観点から、アルコールが好ましい。
【0041】
アルコールとしては、中性脂質などの溶解性の観点から、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、安全性を考慮するとエタノールが好ましい。含水アルコールは、中性脂質などの溶解性の観点から、30質量%以下、好ましくは、5〜25質量%の水分を含む低級アルコールが好ましい。非極性有機溶剤は、レシチンを溶解し得るものであれば、特に限定されないが、人体への安全性の観点から、炭素数4〜16の液状炭化水素が好ましい。非極性有機溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、及びヘキサデカン等のアルカンを挙げることができる。非極性有機溶剤は、一種単独で用いられてもよいし、二種以上を混合して用いられても良い。
【0042】
上記の溶剤分画において、溶剤の使用量は、上記脂質混合物を構成する成分などによっても異なるが、取扱い易さの観点から、脂質混合物の0.2〜100質量倍であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜30質量倍、特に好ましくは1〜10質量倍である。
【0043】
上記溶剤分画においては、脂質混合物中に酸性リン脂質が含まれる場合には、酸性リン脂質を濃縮する操作が含まれる。酸性リン脂質を濃縮させる際には、脂質混合物中のPCやPE等の中性リン脂質が、溶剤に溶け易いことを利用する。
【0044】
一例を説明すると、大豆レシチンのように中性リン脂質として、PC、PE、酸性リン脂質として、PI、PAが主に含まれるものを原料として用いた場合、溶剤による抽出操作により、まず脂質混合物中のPCの含有量が減り、続いてPEの含有量が減少する。この抽出操作を繰り返すことにより、最終的に酸性リン脂質であるPI、PAの含有量の高いものを得ることができる。
【0045】
上記の溶剤分画は、液−液系で行っても良い。例えば、非極性有機溶剤と含水低級アルコールとで液−液抽出を繰り返すことにより、酸性リン脂質を非極性有機溶剤側に濃縮することができる。その操作の一例を以下に挙げる。すなわち、原料となる脂質混合物中に酸性リン脂質が含有される場合には、該脂質混合物を酸性リン脂質の量に対して0.1〜100質量倍、好ましくは、0.2〜40質量倍の非極性有機溶剤に溶解する。次いで得られた非極性有機溶剤溶液に対して5〜25質量%の含水低級アルコール溶液を0.05〜14質量倍、好ましくは、0.1〜1.5質量倍の使用量で抽出することにより、酸性リン脂質を非極性溶剤側に濃縮することができる。
【0046】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤中の酸性リン脂質と中性リン脂質との比率(質量比)は、皮膚賦活効果の観点から、酸性リン脂質を基準として、(酸性リン脂質)/(中性リン脂質)=2/1以下(すなわち、酸性リン脂質が中性リン脂質の2倍以上)であることが好ましく、1/5以下であることがさらに好ましく、1/50以下であることが最も好ましい。
【0047】
次いで、中性脂質除去工程について説明する。中性脂質除去工程とは、上記の酵素作用工程により副生する中性脂質、あるいは原料に含まれていた中性脂質を除去する工程である。中性脂質除去工程を経ることにより、経口摂取用皮膚賦活剤中の酸性リン脂質の濃度を高め、皮膚賦活効果をより顕著にすることが可能となる。
【0048】
中性脂質の除去は、酵素作用工程の後に行ってもよいし、予め原料の脂質混合物から中性脂質を除去し、その後、中性脂質を除去した脂質混合物を酵素作用工程に付しても良い。あるいは中性脂質除去工程を、酵素作用工程の前後の双方で実施しても良い。本発明においては、酸性リン脂質の高含有化の観点から、酵素作用工程の後に、中性脂質除去工程を実施することが好ましい。
【0049】
中性脂質の除去の具体的な手段としては、アセトン処理、あるいは膜分離を挙げることができる。特に、簡易な除去操作の観点から、アセトン処理が好ましい。
【0050】
アセトン処理について、以下に説明する。アセトン処理を行うことにより、中性脂質であるトリグリセリド、ジグリセリド、そしてモノグリセリドの成分、あるいは、その他に含まれる、脂肪酸、ステロイド、カロチノイド等の成分は、アセトン液中に溶解する。一方アセトン不溶成分である、酸性リン脂質成分、中性リン脂質成分などは沈殿する。リン脂質成分が含まれる沈殿部をろ過により取り出して、中性脂質の含有量の低減したリン脂質を含む脂質混合物を得ることができる。上記の操作を繰り返すことによって、中性脂質の含有量を低減させることができ、酸性リン脂質の含有量をさらに高めた皮膚賦活物質を得ることができる。本発明においては、最終的に得られる皮膚賦活物質中の、アセトン不溶分の量が95%を越えるように、さらに好ましくは98%を超えるように、アセトン処理を行うことが好ましい。アセトン処理後、得られた皮膚賦活物質からアセトンを減圧乾燥などの方法で取り除くことにより、中性脂質を除去することができる。
【0051】
アセトン処理におけるアセトンの使用量は、特に制限はないが、取扱いの容易性の観点から、中性脂質に対して0.1〜100質量倍であることが好ましく、特に、1〜50質量倍であることが好ましい。
【0052】
中性脂質除去工程において、膜分離法を採用する場合は、各種公知の方法を用いることが可能であるが、操作の容易性の観点から、限外濾過法を利用することができる。
【0053】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、上記のように酸性リン脂質の含有量を高めることにより、少量の摂取であっても、皮膚賦活効果に優れた経口摂取用皮膚賦活剤を得ることができる。
【0054】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の中性脂質の含有量は、皮膚賦活効果の観点から、5質量%未満であることが好ましく、4質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
【0055】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、水又は油脂に分散させた液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等として用いることができる。
【0056】
さらに、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、酸性リン脂質、コラーゲン類以外にも、必要に応じて、デキストリン、乳糖、コーンスターチ、乳化剤、防腐剤、賦形剤、増量剤、甘味剤、香味剤、着色剤等の添加剤を併用することができる。このような添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の段階で添加される。
【0057】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の一日摂取量(酸性リン脂質として)は、特に制限されないが、例えば、成人男性(60kg)では0.005〜10g程度が好ましく、より好ましくは0.01〜1gである。なお、摂取量は、性別、体重、体調などにより適宜増減が可能である。
【0058】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤を食品に添加する場合には、その有効成分(酸性リン脂質として)の含有量が、該食品の全量に対して0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。該含有量が0.001質量%未満であると、皮膚賦活効果が低くなる場合がある。一方、該含有量が10質量%を超えると、皮膚賦活効果に対して原料コストが高くなる場合がある。
【0059】
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤が配合される食品(飲料を含む)の例としては、具体的には、次のものを挙げることができる。例えば、グレープフルーツ、オレンジ、レモン等の柑橘類及びこれらを含む果汁;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス等の野菜及びこれらを含む野菜汁及び野菜ジュース;ソース、醤油、味噌、うま味調味料及び唐辛子等の調味料;豆乳、豆乳などの大豆食品;クリーム、ドレッシング、マヨネーズ及びマーガリン等の乳化食品;魚肉、すり身及び魚卵等の水産加工食品;ピーナツ等のナッツ類;納豆等の発酵商品;肉類及び食肉加工品;ビール、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、発酵茶、半発酵茶、清涼飲料、及び機能性飲料等の飲料;漬物類;めん類;粉末スープを含むスープ類;チーズ、牛乳等の乳製品類;パン・ケーキ類;スナック菓子、チューインガム、チョコレートなどの菓子類;キャンディー類;美容飲食品を含む健康食品等が挙げられる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
攪拌装置を備えた500ml容量の4口フラスコに、大豆レシチン(辻製油社製、商品名「SLP−ペースト」)20gをとり、0.1Mトリス・塩酸緩衝液(pH6〜8)250mlを加え攪拌した。これに、さらにヘキサン/酢酸エチル=2/1(体積比)の溶液を340ml加え攪拌し、塩化カルシウム水溶液(1M濃度)150mlを加えた。次いで微生物起源のホスホリパーゼD(名糖産業社製、Actinomadura SP起源)300ユニットを加え、反応混合物の温度を30℃に保ちながら14時間攪拌を続けた。
【0061】
反応後、反応生成物を静置して溶剤層を分離し、次いで、減圧下にて、溶剤層から溶剤を留去した。得られた脂質混合物(17g)をビーカーに移し、氷冷下で冷アセトン85mlを加え、スパテルでつぶしながら不溶成分であるリン脂質を分散させ、静置してアセトン液中にリン脂質を沈殿させた。この沈殿物をろ過し、得られたろ過ケーキを冷アセトン85ml中に分散させ、静置してリン脂質を沈殿させろ過するアセトン処理を二回繰り返して、経口摂取用皮膚賦活剤10gを得た。この経口摂取用皮膚賦活剤を1mg/mlとなるように水道水に懸濁し、液剤を得た。
【0062】
[実施例2]
キヤベツ25gを50mM塩化カルシウム入りの0.1M酢酸緩衝液(pH6)150gに加えて、常温で湿式粉砕し、遠心分離(3000rpm、10分)により、上澄み(抽出液)120gを得た(ホスホリパーゼDのユニット数:10ユニット)。
【0063】
攪拌装置を備えた500ml容量の4口フラスコに、大豆レシチン(辻製油社製、商品名「SLP−ペースト」)25gをとり、上記で調製したキヤベツ粉砕抽出液120gを加えた。混合物を攪拌しながら、これに酢酸エチル(250ml)を加え、さらに水32.5gを加え、攪拌を続けた。得られた反応混合物を30℃にて20時間攪拌し、次いで、酢酸エチル(A)を除いて残渣(B)を得、(B)を(クロロホルム)/(メタノール)=2/1(体積比)の溶液で二回抽出した。(B)を含む抽出液をフォルチ分配に付し、先に得た(A)より酢酸エチルを除去した残渣と合わせて、クロロホルムとメタノールの溶液を除去して、経口摂取用皮膚賦活剤20.5gを得た。この経口摂取用皮膚賦活剤を1mg/mlとなるように水道水に懸濁し、液剤を得た。
【0064】
[実施例3]
上記実施例2で得られた脂質混合物15gをビーカーに移し、氷冷下でアセトン85mlを加えた。次いで、スパテルでつぶしながら不溶成分であるリン脂質を分散させ、静置してアセトン液中にリン脂質を沈殿させた。この沈殿物をろ過し、得られたろ過物に対して実施例1と同様にアセトン処理を二回繰り返し、経口摂取用皮膚賦活剤9gを得た。この皮膚賦活物質を1mg/mlとなるように水道水に懸濁し、液剤を得た。
【0065】
[実施例4]
大豆レシチン(辻製油社製、商品名「SLP−ペースト」)20gをビーカーに移し、氷冷下で冷アセトン85mlを加え、スパテルでつぶしながら不溶成分であるリン脂質を分散させ、静置してアセトン液中にリン脂質を沈殿させた。この沈殿物をろ過し、得られたろ過物に対して実施例1と同様にアセトン処理を二回繰り返し、脂質混合物12gを得た。攪拌装置を備えた500ml容量の4口フラスコに、脂質混合物10gをとり、0.1Mトリス・塩酸緩衝液(pH6〜8)250mlを加え攪拌した。これに、さらにヘキサン/酢酸エチル=2/1(体積比)の溶液を340ml加え攪拌し、塩化カルシウム水溶液(1M濃度)150mlを加えた。次いで微生物起源のホスホリパーゼD(名糖産業社製、Actinomadura SP起源)300ユニットを加え、反応混合物の温度を30℃に保ちながら14時間攪拌を続けた。
【0066】
反応後、反応生成物を静置して溶剤層を分離し、次いで、減圧下にて、溶剤層から溶剤を留去し、経口摂取用皮膚賦活剤9.6gを得た。この経口摂取用皮膚賦活剤を1mg/mlとなるように水道水に懸濁し、液剤を得た。
【0067】
[比較例1]
大豆レシチン(辻製油社製、商品名「SLP−ペースト」)を1mg/mlとなるように水道水に懸濁し、液剤を得た。
【0068】
上記実施例1〜4、比較例1で得られた経口摂取用皮膚賦活剤の組成を以下の表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
なお、各組成分析は、二次元薄層クロマトグラフィー(メルク社製、シリカゲルプレート、商品名「kieselgel」)を用いて行った。展開溶媒としては、一次元:クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水溶液(体積比:65/35/5)、二次元:クロロホルム/メタノール/酢酸/水(体積比:10/4/2/2/1)を用いた。分離した後掻き取り、クロロホルム/メタノール(体積比:2/1)で抽出し、溶剤を除去した後、秤量して求めた。
表1において、略称は以下のものを示す。
PC:ホスファチジルコリン
PE:ホスファチジルエタノールアミン
PI:ホスファチジルイノシトール
PA:ホスファチジン酸
PS:ホスファチジルセリン
LPA:リゾホスファチジン酸
【0071】
[評価1]
コラーゲン合成能が低下した擬似老化ラットに対する本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の影響を検討した。
Wistar系ラット(オス、4週齢、5匹/群)をタンパク質6%の飼料で3週間飼育し、擬似老化モデルラットとした。実施例1〜4で得られた経口摂取用皮膚賦活剤の溶剤を、擬似老化モデルラットの体重100gに対して1mLを一日一回、5週間連続でそれぞれ経口摂取させた(経口摂取用皮膚賦活剤として、10mg/day/kg−BW相当)。なお、BW相当とは、体重1kg当たりの1日の摂取量を示す。
なお、水道水を擬似老化モデルラットの体重100gに対して1mLを一日一回、5週間連続でそれぞれ経口摂取させた群を基準値とした。
【0072】
投与終了後、ラット背部の体毛を除去し、皮膚を2×2.5cmの長方形に皮下組織ごと摘出し秤量した。秤量後、摘出皮膚を氷冷した蒸留水10mLを加えて十分にホモジナイズし、遠心分離(7000rpm×20min)で沈殿を回収した。氷冷した0.1N水酸化ナトリウム10mLを得られた沈殿物に加えて冷蔵下(6℃)で一晩振盪し、遠心分離で沈殿を回収し、再度同様の操作を行った。遠心分離で回収した沈殿を氷冷した蒸留水で洗浄し、遠心分離後に再度回収した沈殿物に氷冷した0.5M酢酸15mLを加えて、冷蔵下(6℃)で一晩コラーゲン抽出を行ない、遠心分離により抽出上清を得た。得られた抽出溶液中の可溶性コラーゲンを、Sircol Collagen Assay Kit(フナコシ社製)を用いて定量した。定量結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
表2から明らかなように、実施例1〜4に示した酸性リン脂質を含有した経口摂取用皮膚賦活剤は、コラーゲン合成を顕著に促進し、皮膚賦活効果に優れることが分かり、特に実施例1、3、4に示した酸性リン脂質の含有量が50質量%を超える経口摂取用皮膚賦活剤においては、コラーゲン産生促進効果が顕著であった。
【0075】
[実施例5]
コラーゲン加水分解物を配合した経口摂取用皮膚賦活剤の調製
実施例1で得られた経口摂取用皮膚賦活剤に、コラーゲン加水分解物(ゼライス株式会社製、コラーゲン・トリペプチドHACP―01)を、質量比で1:9になるように配合し、1mg/mlとなるように水道水に懸濁し、液剤を得た。
【0076】
[評価2]
実施例5で得られた経口摂取用皮膚賦活剤の皮膚賦活作用を擬似老化ラットで評価した。実施例5の経口摂取用皮膚賦活剤の溶剤を擬似老化モデルラットの体重100gに対して1mLを一日一回、5週間連続でそれぞれ経口摂取させた(経口摂取用皮膚賦活剤として、10mg/day/kg−BW相当)。同様に、コラーゲン・トリペプチドHACP―01を0.9mg/mlとなるように水道水に懸濁し、擬似老化モデルラットの体重100gに対して1mLを一日一回、5週間連続でそれぞれ経口摂取させて(9mg/day/kg−BW相当)比較例2とした。また、実施例1で得られた経口摂取用皮膚賦活剤を0.1mg/mlとなるように水道水に懸濁して溶剤とし、擬似老化モデルラットの体重100gに対して1mLを一日一回、5週間連続でそれぞれ経口摂取させたもの(経口摂取用皮膚賦活剤として、1mg/day/kg−BW相当)を実施例6とした。
【0077】
なお、水道水を擬似老化モデルラットの体重100gに対して1mLを一日一回、5週間連続でそれぞれ経口摂取させた群を基準値とした。皮膚賦活作用の効果は、評価1と同様に測定した投与終了後の皮膚中の可溶性コラーゲン量に加えて、表皮のターンオーバーの亢進具合を観察することにより行った。
【0078】
表皮のターンオーバーの評価はダンシルクロライド法により行った。すなわち、投与開始2週間後にラット背部を剃毛し、2%ダンシルクロライド/EtOH溶液5μLをラット背部(ラット自身で触れることができない部分)に塗布した。塗布後、24時間目よりUV照射(365nm)下、目視で蛍光を観察し、蛍光の消失日を観察した。評価結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
表3から明らかなように、実施例5で得られたコラーゲン加水分解物を併用した経口摂取用皮膚賦活剤は、比較例2のコラーゲン・トリペプチド単独の場合と較べて、皮膚可溶性コラーゲン量を顕著に増加させたのみならず、表皮のターンオーバーをも顕著に亢進した。実施例6は、コラーゲンまたはコラーゲン加水分解物を含有していないため、コラーゲン産生促進効果が顕著であるものの、表皮のターンオーバー促進作用に改善の余地を残す結果となった。
【0081】
[実施例7、及び比較例3]
飲料の調製と評価
実施例7にて調製された飲料の処方と配合量(g)を以下に示す。
1.実施例1で得られた経口摂取用皮膚賦活剤:0.1(g)
2.コラーゲンペプチド(ゼライス株式会社製、コラーゲン・トリペプチドHACP―01社製):5.0(g)
3.クエン酸(関東化学株式会社製):0.7(g)
4.果糖ブドウ糖液糖(三和デンプン工業株式会社製、F−550、果糖56%/ブドウ糖40%):6.0(g)
5.香料:0.01(g)
上記の成分を精製水にて溶解し全量を100mLとする。すなわち、各成分を上記組成にて、攪拌し完全に溶解させてろ過し、85℃で30分殺菌後、100mLの瓶に充填した。ここで、実施例1で得られた経口摂取用皮膚賦活剤を用いずに全量を100mLとしたものを、比較例3とした。
【0082】
[評価3]
実施例7の飲料と比較例3の飲料を用いて、各々女性30人(30〜45才)を対象に1ヶ月間の使用試験を行った。すなわち、経口により1日1回摂取した。使用後の肌のハリ、ツヤ、小ジワ、透明感及びくすみの改善に関するアンケート調査により、美肌効果を判定した。評価結果を表4に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
表4より明らかなように、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤を配合した飲料(実施例5)は比較例4のコラーゲン配合飲料と比較して、優れた皮膚賦活効果を示し、皮膚の老化防止に優れることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性リン脂質の含有量が20質量%以上であることを特徴とする経口摂取用皮膚賦活剤。
【請求項2】
酸性リン脂質がホスファチジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸である請求項1に記載の経口摂取用皮膚賦活剤。
【請求項3】
コラーゲン類と併用することを特徴とする請求項1又は2に記載の経口摂取用皮膚賦活剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの項に記載の経口摂取用皮膚賦活剤を配合してなる食品。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかの項に記載の経口摂取用皮膚賦活剤を製造するに際し、少なくとも中性リン脂質を含有する脂質混合物に酵素を作用させて、該中性リン脂質を酸性リン脂質に変換する工程を含むことを特徴とする経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
【請求項6】
中性脂質を除去する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
【請求項7】
微生物由来の酵素及び/または植物由来の酵素を用いることを特徴とする請求項5又は6に記載の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
【請求項8】
該酵素として、少なくともホスホリパーゼDを用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれかの項に記載の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
【請求項9】
アセトン処理又は膜分離により中性脂質の除去を行うことを特徴とする請求項6〜8のいずれかの項に記載の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。

【公開番号】特開2011−207857(P2011−207857A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79954(P2010−79954)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】