説明

経口治療用化合物の供給系

【解決課題】本発明は、治療用配合剤に関する。
【解決手段】薬理学的、生理学的または生化学的な作用を備えた塩基、塩基の塩、または
両性化合物もしくは両性化合物の塩からなるか、またはそれらの前駆作用的形態からなる
治療用化合物のための経口投与系を提供する。さらに特定すると、循環器系への治療用化
合物の急速な供給を容易にする塩基、塩基の塩、両性化合物、または両性化合物の塩から
なる治療用化合物を含む服用配合剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して治療用配合剤に関する。さらに特定すると本発明は、薬理学的、生理学的または生化学的な作用を備えた塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなるか、またはそれらの前駆作用的形態からなる治療用化合物のための経口投与系を提供する。本発明はさらに特定すると、循環器系への治療用化合物の急速な供給を容易にする塩基、塩基の塩、両性化合物、または両性化合物の塩からなる治療用化合物を含む服用配合剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
この明細書で述べられている刊行物である引用文献の詳記もこの説明書の終わりに集められている。
【0003】
この明細書において何らかの従来技術に関しては、この従来技術がどの分野においても共通の一般的な知識の一部を形成するという認識もしくは何らかの形態の示唆ではなく、またはその認識もしくは示唆であるととらえるべきではない。
【0004】
化合物の経口配合剤の吸収速度および吸収範囲を改善することが実質的な研究課題である。一般的に一旦固形の服用組成物が胃に到達すると消化および/または溶出が行われてから小腸を通過し、そこで活性成分が小腸壁を横切って吸収され、作用部位に到達する前に門脈と肝臓を経て循環器系に入る。
【0005】
投与する前に水に崩壊させたり、および/または溶解させたりする発泡性の錠剤からなる製剤は周知である。そのような製剤は一般に、大量のクエン酸と重炭酸ナトリウムのような発泡性の組み合わせを含んでいる。例えば米国特許第6,245,353号には、投与する前に水に崩壊させるようにセトリジンと発泡性の組み合わせを含む錠剤が記載されている。投与する前に分散させたり、および/または溶解させたりすることを意図した種々の発泡性配合剤は、例えば米国特許明細書第4,704,269号、米国特許明細書第4,309,408号、および米国特許明細書第4,942,039号に開示されている。
【0006】
いくつかの刊行物は、胃内を等張性条件にするために服用錠剤に約630mgもの重炭酸ナトリウムを包含させることを教示している。例えば米国特許明細書第6,316,025号には、一錠剤あたり300mgから1000mgの重炭酸ナトリウムを含むパラセタモール(パラセタモール)の服用錠剤であって、パラセタモールの重炭酸ナトリウムに対する比率が0.74および1の間であるような錠剤が記載されている。GrattanらのEur.J.Pharm.Biopharm 49(3):225−229,2000は、630mgの重炭酸ナトリウムを用いた製剤が薬物動態学上、好結果をもたらすことを後に報告した。このことは、100mLの水と共に摂取した場合に等張性となる、重炭酸ナトリウムの浸透作用によるものであることが示唆された。米国特許出願明細書第20040204475号には、重炭酸ナトリウムとエレトリプタン(eletriptan)を含む配合剤が記載されている。重炭酸ナトリウムは、漿液を用いてほぼ等張性の十二指腸濃度が得られるような量で投与される(150ミリモル)。例示した配合剤は全て630mgの重炭酸ナトリウムが含まれていた。
【0007】
米国特許出願明細書第20050032867号には、約5から約50重量%の塩基成分を含み、素早く崩壊および分散するスマトリプタン(sumatriptan)配合剤が記載されている。配合剤の塩基成分は、胃の酸成分か、スマトリプタンか、錠剤の酸成分と反応することによって、錠剤の崩壊および分散が容易になるようにガスを発生させる。
【0008】
pHが大きくなると塩着性化合物の溶出が阻害されることが広く認められている。国際公開公報第2004/017976号には、塩基性化合物のシルデナフィル(sildenafil)を含んでいて、素早く溶解し、味が覆い隠された経口服用形態が記載されている。その説明書には、シルデナフィルの溶解を阻害するために薬学的に許容されるpH上昇剤を使用することによって、口の中でシルデナフィルが溶け出さないようにし、そのためシルデナフィルの味が覆い隠せることが記載されている。pHを上昇させる、即ち大きくする物質には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムが挙げられる。
【0009】
さらに、重炭酸ナトリウムを含むアルカリ性溶液中で塩基性化合物のオンダンセトロン(ondansetron)を沈殿させることが報告されている(Jaronsinski P FおよびHirschfeld S,N.Eng.J.Med.325:1315−1316,1991)。
【0010】
酸性の薬物、特定すると酸性の非−ステロイド性抗−炎症薬(NSAID)およびそれらの塩の吸収に影響を与える重炭酸ナトリウム、また他のpH調整剤の利用を取り扱っているかなり多くの従来技術がある。国際公開公報第9744023号では、ジクロフェナク塩の吸収を高めるために重炭酸ナトリウム、および重炭酸カリウムを使用することが取り上げられている。米国特許出願明細書第4,834,966号などでは、イブプロフェンの吸収性を高めるために、アルギニン、イブプロフェン、および重炭酸ナトリウムの配合剤を利用することが取り扱われている。米国特許明細書第4704405号では、スリンダクのナトリウム塩、塩基および重炭酸塩を利用することによって、スリンダクの吸収を高められることが取り扱われている。高いpHでは酸性基のイオン化度が高まることによって酸性薬物の溶解度が大きくなり、結果的に吸収性が高まる。Neuvonen,P.J.およびKivisto,K.T.(Clin.Pharmacokinet.27(2)12−8.1994)は、重炭酸ナトリウムおよび水酸化マグネシウムからなる一般的な制酸剤のようなpH調整剤が存在する場合に、これらの制酸剤が胃のpHを上昇させ、したがって数種の薬物の溶解度が大きくなることによって、その数種の薬物の吸収性が高められると述べている。
【0011】
これらの開示に基づくと、塩基、塩基の塩、両性化合物、または両性化合物の塩からなる治療用化合物に炭酸塩のような塩基を添加すると、pHが増加することから結果的にそれらの溶解度が減少し、したがって溶出が減少すると予測される。予想に反して私たちは、pHが大きくなると溶解度が低くなる傾向があり、そのため溶解性と吸収性が悪くなってしまう塩基性の薬物の場合には、pH調整剤を用いると溶解度の増加をさらに達成でき、すると潜在的に吸収度が増加する。
【0012】
本発明にかかる治療用組成物は、塩基、塩基の塩、両性化合物または両性化合物の塩からなる治療用化合物に炭酸塩のような塩基を添加すると、インビトロでその治療薬の溶解性を高めることができるものであると定義される。
【特許文献1】米国特許明細書第4,704,269号
【特許文献2】米国特許明細書第4,309,408号
【特許文献3】米国特許明細書第4,942,039号
【特許文献4】米国特許明細書第6,316,025号
【特許文献5】米国特許出願明細書第2004/0204475号
【特許文献6】米国特許出願明細書第2005/0032867号
【特許文献7】米国特許出願明細書第4,834,966号
【特許文献8】国際公開公報第9744023号
【特許文献9】米国特許明細書第4704405号
【非特許文献1】Grattanら、Eur.J.Pharm.Biopharm 49(3):225−229,2000
【非特許文献2】Jaronsinski P FおよびHirschfeld S,N.Eng.J.Med.325:1315−1316,1991
【非特許文献3】Neuvonen,P.J.およびKivisto,K.T.,Clin.Pharmacokinet.27(2)120−8,1994
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は概して治療用配合剤に関し、さらに特定すると、薬理学的、生理学的または生化学的な作用を備えた塩基、塩基の塩、両性化合物もしくは両性化合物の塩からなるか、またはそれらの前駆作用的形態からなる治療用化合物のための素早く溶解する服用配合剤に関する。特定すると本発明は、塩基、塩基の塩、両性化合物、または両性化合物の塩からなる治療用化合物を、一種またはそれより多くのpH調整剤であってその少なくとも一つのpH調整剤が炭酸塩であるようなpH調整剤の適当量とともに含む服用配合剤を提供する。好ましくはその服用配合剤は、水分の取り込みを容易化する薬剤をさらに含んでいる。本発明の服用配合剤は、その配合剤からの治療用化合物の溶解性が高められていることを示す。
【0014】
本質的にこの服用配合剤は、塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物と、一種またはそれより多くのpH調整剤の適当量とが含まれる服用配合剤であり、その際その少なくとも一種のpH調整剤は、0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であって、かつ服用配合剤の約1重量%から約50重量%の量で含まれる炭酸塩であり、また治療用化合物の少なくとも約70%は、アメリカ合衆国薬局方(USP)の溶解装置2にて900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される。この分量の溶出媒体は、3ミリモルの塩酸を含んでいる。さらに急速溶解性の経口供給系は、薬学的に許容される賦形剤または他の成分である、例えば水分取り込み剤、崩壊剤、保存料、着色料、抗−酸化剤、乳化剤、甘味料、風味料、結着剤、滑剤、および潤滑剤の組み合わせを含むとよい。代表的な形態での急速溶解供給系はまた、一種またはそれより多くの薬学的に活性な薬剤を含むこともできる。経口の固形製剤は水または何らかの他の液体とともに飲むことによって投与できる。
【0015】
特定すると有用な作用薬には、鎮痛薬、抗−アレルギー薬、抗−吐き気薬、抗−頭痛薬、勃起機能不全症の治療薬、および睡眠薬が含まれる。
【0016】
pH調整剤の適当量とは、服用配合剤からの治療用化合物の溶解性を高めるのに充分な量である。この量は治療用化合物によって異なるであろう。好ましくはpH調整剤は、3ミリモルの塩酸を含んでいる900mLの0.0033N塩酸の溶解媒体のpHを6を超えて大きくさせないような量になっている。
【0017】
本発明の別の観点は、被覆錠剤、被覆のない錠剤、カプセル剤、粉末剤、ペースト剤、カシェ剤、コロイド剤、ゲル剤、または融解剤のような服用形態を提供する。
【0018】
本発明ではさらに、塩基、塩基の塩、両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物を、例えば服用による投与法などの経口供給によって供給するための方法が企画されており、その方法は、投与行程を含む経口供給行程を含んでいて、また配合剤は、治療用化合物を一種またはそれより多くのpH調整剤の適当量とともに含んでいて、そのpH調整剤の少なくとも一種は、服用配合剤からの治療用化合物の溶解性を高めることのできる炭酸塩である。
【0019】
この明細書を通してその文章の中で別途断らない限り、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」のような変化形は、述べられている要素もしくは整数、または要素もしくは整数のグループを包含することを意味するが、何らかの他の要素もしくは整数、または要素または整数のグループの除外部分は意味しないと理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、薬理学的、生理学的または生化学的な作用を備えた塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなるか、またはそれらの前駆作用的形態からなる治療用化合物のための服用配合剤を含む、急速溶解性の経口投与形態、特定すると服用配合剤を提供する。経口投与剤形は一般に、塩基、塩基の塩、両性化合物、または両性化合物の塩からなる治療用化合物が、一種またはそれより多くのpH調整剤であってそのpH調整剤のうちの少なくとも一つが炭酸塩であるようなpH調整剤と組み合わせて含まれる。本発明の経口投与形態は水分取り込みを容易化する薬剤をさらに含んでいる。本発明の服用配合剤は、水分取り込み剤を含んでいてもよいし、また任意で水を用いて投与してもよい。以後、「治療用化合物」に関しては、何らかの薬理学的、生理学的、または生化学的に活性な化合物またはその前駆作用的形態を含む。
【0021】
したがって本発明は、塩基、塩基の塩、両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物と、一種またはそれより多くのpH調整剤とを含む服用配合剤を提供し、この場合のその少なくとも一種のpH調整剤は0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であって、かつ服用配合剤の約1重量%から約50重量%の量で含まれる炭酸塩であり、またその治療用化合物の少なくとも約70%は、USPの溶解装置2にて900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される。
【0022】
別記して指示しない限り本発明は、特定の配合剤成分、製造方法、投薬計画などに限定されず、例えば変化してもよい。またここで用いた用語法は、特定の態様のみを説明する目的のためのものであって、限定する意図はないことも理解すべきである。
【0023】
また本発明の明細書で用いられている場合、冠詞の型「a」、「an」および「the」は、この文章で別記して明らかに指示しない限り複数の見方も含むことに気づくべきである。したがって例えば「治療用化合物」に関しては、単独の治療用化合物だけでなく二種またはそれより多くの治療用化合物も含まれ、「pH調整剤(a pH mojulating agent)」に関しては、単独のpH調整剤だけでなく二種またはそれより多くのpH調整剤も含まれ、「水分取り込み剤(a water uptake agent)」に関しては、単独の水分取り込み剤だけでなく二種またはそれより多くの水分取り込み剤も含まれ、さらに他のも同様である。
【0024】
本発明を説明し、範囲を特定する際、以下の用語法が以下に列挙した定義に従って用いられる。
【0025】
「服用配合剤」は、投薬剤形そのままを服用する行為によって患者に投与される何らかの配合剤である。服用配合剤を含む投薬剤形は、皮膜が施された錠剤であってもよいし、または中に含まれる服用配合剤の特性とは溶解度が同じではないはカプセルであってもよい。
【0026】
「治療用化合物」、「化合物」、「薬理学的に活性な薬剤」、「医薬品」、「活性剤」、「活性成分」、「薬物」および「薬物成分」という用語は、この明細書を通して相互変換可能に用いられる。これらの用語は、限定するわけではないが、塩類、エステル類、アミド類、プロ−ドラッグ類、活性な代謝産物、アナログなどを含むここで特別に述べられている活性剤の薬学的に許容され、かつ薬理学的に活性な成分も包含する。「活性剤」、「化合物」、「薬理学的に活性な薬剤」、「医薬品」、「活性剤」、「薬物」、および「薬物成分」という用語が用いられる場合、これにはそれらの化合物はもちろん、それらと本質的に同様の薬学的に許容され、薬理学的に活性な塩類、エステル類、アミド類、プロ−ドラッグ類、代謝産物、アナログなども含まれると解釈すべきである。「薬物」、「化合物」などの用語は、単独の分子であってもよいし、または分子の複合物であってもよい。
【0027】
ここで用いたような治療用化合物の「有効量」または「治療上の有効量」という用語については、治療用化合物の充分量を用いれば、治療したり抑制したりされる症状の緩和、というような望まれる治療効果または望まれる生理学的もしくは生化学的イベントが提供される。当然のことながら望ましくない作用である、例えば副作用が時として望ましい治療効果とともに現れる。したがって実務者が適当な「有効量」がどれだけであるかを決定する際には、潜在的な利点と潜在的なリスクとのバランスを図る。
【0028】
「供給」および「投与」という用語はこの明細書を通して相互変換可能に用いられ、個人に経口服用剤を与える行為を意味する。「投与する」という用語はここでは、「供給する」、「与える」、「導入する」、または「服用する」と同義語であると考えられる。
【0029】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、生物学的にまたは他の意味でも望ましくないわけではない材料からなる薬学的なビヒクルを意味しており、即ち経口服用剤形が幾分かの、または一つの実質的に反する反応を引き起こすことなく治療用化合物とともに患者に投与することができる。賦形剤は担体や、希釈剤、結着剤、洗浄剤、着色剤、風味剤、湿潤剤もしくは乳化剤、保存料、滑剤、潤滑剤のような他の添加剤を含んでいてもよく、崩壊剤も同様である。
【0030】
ここで用いられる「治療する」および「治療」という用語は、症状の重症度および/もしくは頻度を減少させたり緩和させたりすること、症状および/もしくは基になる原因を減らすこと、並びに/または症状および/もしくは基になる原因の出現を抑制することを言う。このように例えば患者を「治療する」ことには、特定の症状の後戻りを阻止したり引き起こしたりすることによって臨床的症状のある人を治療することはもちろん、疑いのある人の特定の異常または悪い生理学的イベントを抑制することも関連している。したがって例えば痛みを解放する必要のある患者を治療する方法には、痛みの状態を治療することだけでなく、痛みを抑制することの両方が包含される。
【0031】
ここで用いられる「患者」とは、本発明の薬学的配合剤および方法から恩恵を受けることができる動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくは人のことを言う。ここに記載された薬学的配合剤および方法から恩恵を受けることのできる動物のタイプに制限はない。人であるか人ではない動物であるかにかかわらず、患者は個体、被検者、動物、ホストまたは受容者と言われる可能性がある。本発明の化合物および方法は、一般的な、家畜用または野生の動物の酪農で応用できるし、同様に人の医薬品、獣医の医薬品としても応用できる。簡便化するために「動物」には、飼われている鳥、鳥類飼育場の鳥、または猟鳥のような飼育されている種も含まれる。
【0032】
好ましい動物は人もしくは他の霊長類、家畜動物、実験動物、友愛的動物、または捕らえられた野生動物である。人が最も好ましいターゲットである。
【0033】
「pH調整剤」には、水性溶液のpHを変える一種またはそれより多くのpH調整剤が含まれる。これらには、酸、塩基、または一種もしくはそれより多くの酸および/または塩基の組み合わせが含まれる。
【0034】
炭酸塩は、薬学的に許容される炭酸塩であってもよいし、またはそれらの混合物であってもよい。「炭酸塩」に関しては、単独の薬剤または複数(即ち、二種またはそれより多く)の薬剤を含む。好ましい炭酸塩には、限定するわけではないが炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸カリウム、ナトリウムグリシン炭酸塩、ジナトリウム グリシン炭酸塩、アルギニン炭酸塩、リジン炭酸塩および/もしくは他の薬学的に許容される炭酸塩、またはそれらの相同体もしくは機能的等価物、並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0035】
他のpH調整剤は薬学的に許容される酸または酸性塩であってもよく、それにはクエン酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸、メタ酒石酸、アジピン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グリシンクエン酸塩、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、チロシン、プリプトファン、グリシンフマル酸塩、グリシン塩酸塩、グリシンモノホスフェート、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0036】
「水分取り込み剤」とは、単独か組み合わせて用いられ、水を吸収したり、水に溶解したり、または水を動かしたりすることによって水を容易に取り込ませる薬剤である。これらには、導水剤(Wicking agents)、崩壊剤、結着剤、担体、および他の親水性賦形剤が含まれる。排他的ではないが一般に、「水分取り込み剤」は服用配合剤への水の取り込みを容易にする。
【0037】
したがって本発明の一観点では、治療用化合物のための急速溶解性の経口投与形態が、特定すると治療用化合物を含む服用配合剤が提供される。経口投与形態は一般に、塩基、塩基の塩、両性化合物、または両性化合物の塩からなる治療用化合物と、一種またはそれより多くのpH調整剤とを含んでいて、その場合、少なくとも一種のpH調整剤は0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であって、かつ服用配合剤の約1重量%から約50重量%の量で含まれる炭酸塩であり、またその治療用化合物の少なくとも約70%は、USPの溶解装置2にて900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される。
【0038】
適当な活性薬の例としては、例えばアヘンおよびアヘンアナログのような鎮痛薬、解熱薬、抗−頭痛薬、鎮痛薬、催眠薬、抗−不安薬、抗精神病薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗悪心薬、去痰薬、鎮咳薬および充血除去剤、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬および抗−アレルギー薬、下痢止め、鎮痙薬および運動薬、胃酸過多症、灌流および潰瘍薬、抗生物質、抗ウイルス薬および抗真菌薬、解毒剤および薬物依存性/離脱に用いられる薬物、並びに勃起不全症治療薬が挙げられる。
【0039】
好ましい治療用化合物は、ジザトリプタン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、フェキソフェナジン、ロラタジン、オンダンセトロン、タダラフィル、バルデナフィル、シルデナフィル、ラニチジン、ファモチジン、セレコキシブ、コデイン、フェンタニール、トラマドール、シュードエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、デキシトロメトルファン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、およびシメチジン、並びに薬学的に許容されるそれらの塩に限定されないような、一個またはそれより多くの塩基の基を持つものである。
【0040】
好ましい炭酸塩は、服用配合剤の約1重量%から約45重量%の量であって、かつ0.01ミリモルと9.0ミリモルの間の塩酸を中和できる量で存在している。さらに好ましくは炭酸塩は、服用配合剤の約1重量%から約40重量%の量であって、かつ0.02ミリモルと8.0ミリモルの間の塩酸を中和できる量で存在している。
【0041】
炭酸塩の特定量の例は、服用配合剤の重量あたり、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%である。
【0042】
都合が良いほどのpH調整剤の炭酸塩組成物は、服用配合剤の約1mgから約450mgの量で存在している。
【0043】
炭酸塩の特定量の例は、服用配合剤あたり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、または450mgである。
【0044】
さらに好ましくは炭酸塩は、約2mgから400mgの量で存在している。
【0045】
好ましくは、その炭酸塩の少なくとも一つは可溶性および/または分散性である。
【0046】
適当な炭酸塩の例には、限定するわけではないが、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸カリウム、ナトリウムグリシン炭酸塩、ジナトリウム グリシン炭酸塩、アルギニン炭酸塩、リジン炭酸塩および/もしくは他の薬学的に許容される炭酸塩、またはそれらの相同体もしくは機能的等価物、並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0047】
好ましくは、服用配合剤の炭酸塩は、重炭酸ナトリウム、もしくは重炭酸カリウム、もしくは炭酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせのような可溶性および/または分散性の炭酸塩である。
【0048】
任意で服用配合剤には、薬学的に許容される酸または酸性塩のようなpH調整剤が更に含まれていてもよく、それにはクエン酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸、メタ酒石酸、アジピン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グリシンクエン酸塩、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、チロシン、プリプトファン、グリシンフマル酸塩、グリシン塩酸塩、グリシンモノホスフェート、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0049】
一つの服用配合剤の態様では、炭酸塩は重炭酸ナトリウム、および/または重炭酸カリウム、および/または炭酸マグネシウムであり、服用配合剤の約1重量%から50重量%の量で存在している。
【0050】
好ましい水分取り込み剤としては、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン(crospovidone))、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、デンプン、スターチ誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ドクセート(docusate)ナトリウム、グアーガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、ポラクリリン、カリウム、ケイ化ミクロクリスタリンセルロース、酸化マグネシウム、トラガカント、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、ポリエチレングリコール、アミノ酸、シクロデキストリン、尿素および/またはポリビニルピロリドン(ポビドン(povidone)、PVP)が挙げられる。
【0051】
水分取り込み剤は服用配合剤の5重量%から95重量%の量で、より好ましくは服用配合剤の10重量%から90重量%の間の量で存在しているとよい。
【0052】
pH調整剤に対する水分取り込み剤の比率は好ましくは、重量比で0.1:1から20:1の間であり、例えば0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.8:1、0.9:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1または20:1である。pH調整剤に対する水分取り込み剤の比率はより好ましくは、重量比で0.3:1および15:1の間である。
【0053】
一態様において治療用化合物の少なくとも80%は、USPの溶解装置2にて900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される。さらにより好ましくは、少なくとも90%が180秒以内に溶出される。
【0054】
別の態様においては治療用化合物の少なくとも70%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で120秒以内に服用配合剤から溶出される。さらにより好ましくは、少なくとも80%が120秒以内に溶出され、さらにより好ましくは、少なくとも90%が120秒以内に溶出される。
【0055】
塩基性化合物の一態様においては、治療用化合物はゾルミトリプタンである。好ましくは炭酸塩は、服用配合剤の1重量%から50重量%の間の量で存在する。より好ましくは炭酸塩は、1重量%から40重量%の間の量で存在する。さらに好ましくは炭酸塩は、1mgから450mgの間の量で存在する。炭酸塩は好ましくは、重炭酸ナトリウムである。任意であるが服用配合剤はさらに、薬学的に許容される酸を50重量%まで含んでいる。
【0056】
一態様において塩基性の治療用化合物の塩はクエン酸シルデナフィルである。その炭酸塩は好ましくは、服用配合剤の1重量%から50重量%の間の量で存在する。より好ましくは炭酸塩は、服用配合剤の1重量%から40重量%の間の量で存在する。さらに好ましくは炭酸塩は、1mgから450mgの間の量で存在する。炭酸塩は好ましくは、重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウム、またはそれらの混合物のような重炭酸塩である。任意であるが服用配合剤はさらに、薬学的に許容される酸を50重量%まで含んでいる。
【0057】
さらに別の態様において塩基性の治療用化合物の塩は酒石酸ゾルピデムである。その炭酸塩は好ましくは、服用配合剤の1重量%から50重量%の間の量で存在する。より好ましくは炭酸塩は、服用配合剤の1重量%から40重量%の間の量で存在する。さらに好ましくは炭酸塩は、1mgから450mgの間の量で存在する。その炭酸塩は好ましくは重炭酸ナトリウムである。任意であるが服用配合剤はさらに、薬学的に許容される酸を50重量%まで含んでいてもよい。
【0058】
またさらに別の態様において塩基性の治療用化合物の塩はオンダンセトロン塩酸塩である。その炭酸塩は好ましくは、服用配合剤の1重量%から50重量%の間の量で存在する。より好ましくはその炭酸塩は、1mgから450mgの間の量で存在する。さらに好ましくはその炭酸塩は、1重量%から40重量%の間の量で存在する。炭酸塩は好ましくは、重炭酸ナトリウムである。任意であるが服用配合剤は、例えばグリシンのような薬学的に許容される酸を50重量%まで含んでいてもよい。
【0059】
一態様において治療用化合物は両性化合物であるセトリジンまたはその塩である。好ましくはその炭酸塩は、服用配合剤の1重量%から50重量%の間の量で存在する。より好ましくは炭酸塩は、服用配合剤の1重量%から40重量%の間の量で存在する。さらに好ましくは炭酸塩は、1mgから450mgの間の量で存在する。その炭酸塩は好ましくは重炭酸ナトリウムである。任意であるが服用配合剤は、例えば酒石酸のような薬学的に許容される酸を50重量%まで含んでいてもよい。
【0060】
任意であるが服用配合剤はまた、一種もしくはそれより多くの薬学的に許容される賦形剤、または担体、滑剤、乳化剤、希釈剤、結着剤、保存料、ウィック剤、および/または崩壊剤のような他の成分を含むこともできる。
【0061】
服用配合剤はさらに、風味剤、着色料および甘味料を含んでいてもよい。
【0062】
一態様において服用配合剤は、水などの水性の液体とともに同時投与される。同時投与される液体は、服用配合剤の前、後、または共に投与することができる。
【0063】
本発明の一観点は、塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物を、一種またはそれより多くのpH調整剤の適当量とともに含む服用配合剤に向けられており、その際の少なくとも一種のpH調整剤は炭酸塩であって、また少なくとも約70%の治療用化合物が、USPの溶解装置2にて900mLの0.0033 N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出可能なものであり、その投与形態はさらに、一種またはそれより多くの薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含んでいて、その服用配合剤は液体と同時に投与される。
【0064】
服用配合剤は、一種類、二種類、三種類またはそれより多くの治療薬を含んでいてもよい。
【0065】
したがって好ましい態様では本発明は、二種またはそれより多くの治療用化合物と一種またはそれより多くの炭酸塩を適切な量で含む服用配合剤を提供しており、この場合、治療用化合物の少なくとも一つは塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩であり、そして前記治療用化合物の少なくとも約70%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される。
【0066】
本発明の別の観点では、塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物と、一種またはそれより多くのpH調整剤とを含む服用配合剤であって、その少なくとも一種のpH調整剤が、服用配合剤の約1重量%から約50重量%の量で含まれる炭酸塩であり、また治療用化合物の少なくとも約70%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されるような服用配合剤を含む投与形態を提供する。
【0067】
投与形態は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、カシェ剤、ペースト剤、コロイド剤、ゲル剤または融解剤であることができる。投与形態は任意でチュアブル型であってもよい。
【0068】
本発明の投与形態は、皮膜が施されているか、皮膜がないか、および/または層状にされている錠剤であることができる。適切な皮膜としては、例えばポビドンまたはヒプロメロースのような、水溶性ポリマーをベースとした皮膜が挙げられる。適当な皮膜ポリマーはまた、セルロースの誘導体(セルロースアセトフタレート、ヒプロメロースフタレート)であってもよいし、あるいはアクリル酸ポリマーの誘導体(メタクリレート酸ポリマー)であってもよい。任意であるが、投与形態はゼラチンで被覆されている場合もある。
【0069】
投与形態には、一種またはそれより多くの別の薬学的に活性な薬剤が含まれていてもよい。
【0070】
一態様における投与形態は、USPの溶解装置2において900mLの0.0033 N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に少なくとも約70%が溶出するような別の治療用化合物を含む、多−相放出型投与形態である。
【0071】
本発明の服用配合剤は、同時に、または連続的に各成分を混合し、その後で錠剤やカプセル剤、カシェ剤などの投与ユニットに形成することによって製造できる。
【0072】
本発明の錠剤は例えば、直接圧縮したり、または顆粒化してから圧縮したりして製造することができる。
【0073】
本発明はさらに、被検者における痛み、熱、不快感、片頭痛、吐き気、不眠、睡眠異常、アレルギー性鼻炎、アトピーおよび勃起機能不全を含む疾患または異常が関与する症状を緩和させたり抑制したりするための方法も意図しており、その方法では、前記被検者に塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物と一種またはそれより多くのpH調整剤とを含む服用配合剤を投与する行程が行われていて、この場合、その少なくとも一種のpH調整剤は服用配合剤の重量あたり約1%から約50%の量で含まれる炭酸塩であり、また治療用化合物は服用配合剤からの溶出性が高められており、投与はある期間、この病気の症状を抑制したり緩和したりできる条件下で行われる。
【0074】
ここで考慮されている症状は、治療を必要としている疾患または異常と関連する症状である。症状としては限定するわけではないが、中枢神経系、消化管系、心臓血管系、骨格筋系、呼吸器系、アレルギーおよび免疫系、並びに尿生殖器系を伴う痛みおよび/または熱が関連する症状、細菌感染症、ホルモンおよびステロイド治療を必要とする症状、並びに代謝と関連する症状が挙げられる。
【0075】
本発明の別の観点は、症状が生じているか、またはその症状が生じることを予期している患者の症状を管理するための方法を意図しており、その方法は、塩基、塩基の塩、両性化合物または両性化合物の塩からなるその症状を治療するための治療用化合物と、一種またはそれより多くのpH調整剤とを含む経口供給系を前記の患者に投与する行程を含んでいて、この場合のpH調整剤の少なくとも一つは服用配合剤の重量あたり約1%から約50%の量で含まれる炭酸塩であり、また治療用化合物は服用配合剤からの溶出性が高められており、投与はある期間、この病気の症状を抑制したり緩和したりできる条件下で行われる。
【0076】
これらの方法にも、一種またはそれより多くの薬学的に許容される賦形剤を用いた経口投与形態が関与するとよい。
【0077】
上記に示したように本発明は、人、家畜、および酪農への適用に、範囲が広がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0078】
本発明はさらに、以下の非−限定的な実施例によって説明される。
【0079】
パラセタモールは、胃の空腹度、および溶解度が高くかつ浸透性が高い薬物の吸収度に対するマーカーとして広く用いられている。シンチグラフィーによるとパラセタモールは、吸収速度を測定するための極めて良いスタンダードとして認められている。出願人によって行われた26人の健康な食事を抜いた患者において急速吸収されるパラセタモールの錠剤についての研究では、インビトロ−インビボ相関(IVIVC)がパラセタモールに対するAUC10(R2=0.951)およびAUC20(R2=0.911)と、USP溶解装置2において900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に溶出したインビトロでの薬物%との間で確立された。この溶出媒体の中には、3ミリモルの塩酸が含まれている。
【0080】
これらの相関関係に基づいて、USP溶解装置2において900mLの0.0033N塩酸を用いて30rpm、37℃で180秒以内に溶出したターゲットのインビトロでの70%溶出速度が、急速吸収できるように設計された配合剤についてのターゲット溶出性能としてセットされた。
【0081】
下記の実施例のそれぞれにおいては、別途特定しない限り、配合剤の全ては圧縮前に成分を混合することによって調整された圧縮配合剤についてのものである。配合剤1はどれも、炭酸塩を含まない比較例である。多の全ての配合剤は、本発明に係る炭酸塩を含んでいる。
【0082】
本発明に係る炭酸塩のような塩基を追加すると、例示した塩基性活性薬の溶出が実質的に増加する。これらの化合物では、炭酸塩のみを添加しても適切な溶解性をもたらさないが、驚くべきことに酸を添加すると有意に溶解性が改善される。
【0083】
実施例1は塩基であり、実施例2−4は塩基の塩であり、そして実施例5は両性化合物の塩である。
【実施例1】
【0084】
塩基性化合物
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【実施例2】
【0087】
塩基性化合物の塩
【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【実施例3】
【0091】
塩基性化合物の塩
【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【実施例4】
【0094】
塩基性化合物の塩
【0095】
【表8】

【0096】
【表9】

【実施例5】
【0097】
両性化合物の塩
【0098】
【表10】

【0099】
【表11】

【0100】
当業者は、ここに記載された発明が特定して記載されたもの以外に変形および修飾が可能であることを高く評価できる。本発明にはそのような変形および修飾の全てが含まれると理解すべきである。本発明はまた、この明細書に個別に、またはまとめて記載されているか、あるいは指示されている行程、特徴、組成物および化合物の全てと、前記行程または特徴のどれか二つまたはそれより多くからなるどれかおよび全ての組み合わせとを含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物、及び
(b)適当量の一種またはそれより多くのpH調整剤であって、その少なくとも一種のpH調整剤が0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であり、かつ服用配合剤の重量あたり約1%から50%の量で含まれる炭酸塩であるようなpH調整剤
を含む服用配合剤であって、
アメリカ合衆国薬局方(USP)の溶解装置2において900mLの0.0033N塩酸を用い、37℃にて溶解度を測定した場合、前記治療用化合物の少なくとも約70%が30rpmで180秒以内に前記服用配合剤から溶出されることを特徴とする、服用配合剤。
【請求項2】
前記治療用化合物の少なくとも約90%が、USPの溶解装置2おいて900mLの0.0033N塩酸を用いた場合、30rpm、37℃で180秒以内に前記服用配合剤から溶出される、請求項1記載の服用配合剤。
【請求項3】
(a)塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物、及び
(b)適当量の一種またはそれより多くのpH調整剤であって、その少なくとも一種のpH調整剤が0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であり、かつ服用配合剤の重量あたり約1%から50%の量で含まれる炭酸塩であるようなpH調整剤
を含む服用配合剤であって、
アメリカ合衆国薬局方(USP)の溶解装置2において900mLの0.0033N塩酸を用い、37℃にて溶解度を測定した場合、前記治療用化合物の少なくとも約5%が0rpmで300秒以内に前記服用配合剤から溶出されることを特徴とする、服用配合剤。
【請求項4】
前記治療用化合物の少なくとも約20%が、USPの溶解装置2において900mLの0.0033N塩酸を用いた場合、37℃、0rpmで300秒以内に前記服用配合剤から溶出される、請求項2に記載の服用配合剤。
【請求項5】
(a)塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物、及び
(b)適当量の一種またはそれより多くのpH調整剤であって、その少なくとも一種のpH調整剤が0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であり、かつ服用配合剤の重量あたり約1%から50%の量で含まれる炭酸塩であるようなpH調整剤
を含む服用配合剤であって、
アメリカ合衆国薬局方(USP)の溶解装置2において900mLの0.0033N塩酸を用い、37℃にて溶解度を測定した場合、
(i)前記治療用化合物の少なくとも約70%が、30rpmで180秒以内に前記服用配合剤から溶出され、かつ
(ii)前記治療用化合物の少なくとも約5%が、0rpmで300秒以内に前記服用配合剤から溶出される
ことを特徴とする服用配合剤。
【請求項6】
前記服用配合剤のpH調整剤が、酸性のpH調整剤が含まれない場合には塩基であり、また溶解速度が0rpmにおいて300秒で5%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項7】
前記溶出速度が、0rpmにおいて300秒で20%以上である、請求項6記載の服用配合剤。
【請求項8】
前記服用配合剤のpH調整剤が塩基及び酸であり、また溶解速度が0rpmにおいて300秒で5%以上である、請求項5記載の服用配合剤。
【請求項9】
前記溶出速度が、0rpmにおいて300秒で20%以上である、請求項8記載の服用配合剤。
【請求項10】
(a)塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物、及び
(b)適当量の一種またはそれより多くのpH調整剤であって、その少なくとも一種のpH調整剤が服用配合剤の重量あたり3%から48%の量で含まれ、その少なくとも一種のpH調整剤が0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であり、かつ服用配合剤の重量あたり約3%から27%の量で含まれる炭酸塩であり、
(c)水分取り込み剤であって、水分取り込み剤と服用配合剤との重量比が3.5:1〜223:1であることを特徴とする、服用配合剤。
【請求項11】
(a)塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物、及び
(b)適当量の一種またはそれより多くのpH調整剤であって、その少なくとも一種のpH調整剤が服用配合剤の重量あたり3%から48%の量で含まれ、その少なくとも一種のpH調整剤が0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であり、かつ服用配合剤の重量あたり約3%から25%の量で含まれる炭酸塩であり、
(c)水分取り込み剤であって、水分取り込み剤と服用配合剤との重量比が3.5:1〜43:1であることを特徴とする、服用配合剤。
【請求項12】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸カリウム、ナトリウムグリシン炭酸塩、ジナトリウム グリシン炭酸塩、アルギニン炭酸塩、およびリジン炭酸塩から選択される請求項1〜11のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項13】
前記炭酸塩が水溶性である請求項12記載の服用配合剤。
【請求項14】
前記炭酸塩が炭酸ナトリウムである請求項13記載の服用配合剤。
【請求項15】
前記炭酸塩が重炭酸ナトリウムである請求項14記載の服用配合剤。
【請求項16】
pH調整剤の少なくとも一種が薬学的に許容される酸である請求項1〜5及び10〜11のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項17】
前記薬学的に許容される酸が、クエン酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸、メタ酒石酸、アジピン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グリシンクエン酸塩、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、チロシン、トリプトファン、グリシンフマル酸塩、グリシン塩酸塩、グリシンモノホスフェート、およびそれらの組み合わせから選択される請求項16記載の服用配合剤。
【請求項18】
水分取り込み剤をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項19】
前記水分取り込み剤が、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン(crospovidone))、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ドキュセート(docusate)ナトリウム、グアーガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ケイ化ミクロクリスタリンセルロース、酸化マグネシウム、トラガカント、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、ポリエチレングリコール、アミノ酸、シクロデキストリン、尿素および/またはポリビニルピロリドン(ポビドン(povidone)、PVP)から選択される、請求項10〜11及び18のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項20】
前記治療用化合物が、フェキソフェナジン、シュードエフェドリン、エレトリプタン、リザトリプタン、メトクロプラミド、ロペラミド、コデイン、トラマドール、ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、シルデナフィル、オンダンセトロン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、セチリジン、トラマドールもしくはそれらの塩、またはそれらの組み合わせからなるグループより選択される請求項1〜5及び10〜11のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項21】
前記炭酸塩が、前記服用配合剤の重量あたり1%から50%の間の量で存在している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項22】
前記炭酸塩が、前記服用配合剤の重量あたり3%から27%の間の量で存在している、請求項1〜5及び21のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項23】
前記炭酸塩が、前記服用配合剤の重量あたり3%から25%の間の量で存在している、請求項1〜5及び21〜22のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項24】
前記服用配合剤の重量あたり50%までの量で薬学的に許容される酸を含む、請求項21〜23のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項25】
前記少なくとも一種のpH調整剤が服用配合剤の重量あたり3%から48%の量で含まれる請求項1〜5のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項26】
水分取り込み剤と服用配合剤との重量比が3.5:1〜223:1である請求項18記載の服用配合剤。
【請求項27】
水分取り込み剤と服用配合剤との重量比が3.5:1〜43:1である請求項18記載の服用配合剤。
【請求項28】
塩基性薬物、両性薬物、塩基性薬物の塩、または両性薬物の塩からなるグループより選択される二種またはそれより多くの治療用化合物を含む、前述した請求項のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項29】
酸性薬物、中性薬物、酸性薬物の塩、または中性薬物の塩からなるグループより選択される治療用化合物をさらに含む、前述した請求項のいずれか1項に記載の服用配合剤。
【請求項30】
被検者における痛み、熱、不快感、片頭痛、吐き気、不眠、睡眠異常、アレルギー性鼻炎、アトピーおよび勃起機能不全を含む疾患または異常が関与する症状を緩和させるための方法において、その方法が、前記被検者に塩基、塩基の塩、または両性化合物もしくは両性化合物の塩からなる治療用化合物と一種またはそれより多くのpH調整剤とを含む服用配合剤を投与する行程を含んでいて、その少なくとも一種のpH調整剤は0.01から9.0ミリモルの塩酸を中和できる量であって、かつ服用配合剤の重量あたり約1%から約50%の量で含まれる炭酸塩であり、また治療用化合物は服用配合剤からの溶出性が高められており、投与はある時間、この病気の症状を抑制したり緩和したりできる条件下でなされることを特徴とする方法。
【請求項31】
前記被検者がヒトである請求項26の方法。
【請求項32】
疾患または異常と関連する症状を緩和するための、前述した請求項のいずれか1項に記載されたとおりの配合剤を含む服用配合剤の利用。
【請求項33】
実施例に関する前述した請求項のいずれか1項に記載の服用配合剤。

【公開番号】特開2012−162581(P2012−162581A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129097(P2012−129097)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2007−513611(P2007−513611)の分割
【原出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(506362244)イメイジノット ピーティーワイ エルティーディー (4)
【Fターム(参考)】