説明

経口消臭組成物

【課題】メントンを6〜30重量%含有する経口消臭組成物、及びメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする経口消臭組成物の消臭効果向上方法を提供することを目的とする。
【解決手段】メントンを6〜30重量%含有する経口消臭組成物、及び経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする経口消臭組成物の消臭効果向上方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口消臭組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の周囲には様々な臭いが存在しており、従来、不快臭の消臭が強く求められている。これまでにも、消臭作用を備えたサプリメントやオーラルケア製品、消臭効果を高めた石鹸や洗剤、消臭作用を付与した衣類や寝具、家庭用消臭剤などの多様な消臭関連商品が数多く販売されていることからも、消臭に対する関心の高さがうかがえる。
【0003】
不快臭は様々な原因により発生し、例えば、その原因として喫食、喫煙、体質などが挙げられる。特に、臭いの強い飲食物やアルコールの喫食に伴い口臭や体臭等が強くなる傾向があり、このような不快臭は数十時間持続されることもある。近年、このような不快臭の解消は自己の不快感の解消に加えてエチケットの観点からも重要視されており、従って、年齢や性別を問わず消臭関連商品のニーズが高まっている。
【0004】
例えば、これまでに、渋皮、カテキン、ガジュツなどが配合された消臭組成物(特許文献1)、丁子やオリーブ油が配合されたニンニク臭消臭食品(特許文献2)などが報告されている。
【0005】
しかしながら、このように多種多様な消臭関連商品が存在する今日においても、消臭効果の一層の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4641073号公報
【特許文献2】特開平1−128772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、メントンを6〜30重量%含有する経口消臭組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、メントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする、経口消臭組成物の消臭効果向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、消臭組成物におけるメントンの配合割合を6〜30重量%に調整することで、不快臭の消臭効果が高まることを見出した。本発明は、当該知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。即ち、本発明は、以下に掲げる発明を提供する。
項1.メントンを6〜30重量%含有する、経口消臭組成物。
項2.消臭対象が口臭及び/または体臭である、項1に記載の経口消臭組成物。
項3.消臭対象がニンニク臭である、項1又は2に記載の経口消臭組成物。
項4.消臭対象が呼気に排泄されるニンニク臭である、項1〜3のいずれかに記載の経口消臭組成物。
項5.消臭対象がアリルメチルスルフィド類である、項1に記載の経口消臭組成物。
項6.消臭対象がアリルメチルスルフィドである、項1に記載の経口消臭組成物。
項7.消臭対象がアリルスルフィド類及び/または揮発性有機イオウ化合物である、項1に記載の経口消臭組成物。
項8.消臭対象がジアリルジスルフィドである、項1に記載の経口消臭組成物。
項9.メントン油を含有するものである、項1〜8のいずれかに記載の経口消臭組成物。
項10.項1〜9のいずれかに記載の経口消臭組成物が充填されたカプセル剤。
項11.経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする、経口消臭組成物の消臭効果向上方法。
項12.経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする、経口消臭組成物の口臭及び/または体臭に対する消臭効果を向上させる方法。
項13.経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする、経口消臭組成物のニンニク臭に対する消臭効果を向上させる方法。
項14.経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする、経口消臭組成物の呼気に排泄されるニンニク臭に対する消臭効果を向上させる方法。
項15.不快臭の消臭が求められる動物に、メントンを6〜30重量%含有する経口消臭組成物を摂取させる工程を含む、当該動物の不快臭の消臭方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口消臭組成物によれば、不快臭を効果的に消臭することができる。特に、本発明の経口消臭組成物は、飲食物やアルコールの喫食、喫煙、体質に由来する口臭や体臭を効果的に消臭することができる。また、本発明の経口消臭組成物は、飲食物のなかでも、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等の臭いの強い飲食物の喫食が原因で生じる口臭や体臭であっても優れた消臭効果を発揮することができ、特に、臭いの残存防止が強く求められているニンニク臭であっても効果的に消臭することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、アリルメチルスルフィド(AMS)の残存率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する
本発明の経口消臭組成物は、メントンを6〜30重量%含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の経口消臭組成物は、メントンそのもの及び/またはメントンを含有する物質(以下、メントン含有物質と表記する)を含有する。メントンそのものとしてはl−メントン、d−メントン、l−イソメントン、dl−メントン、d−イソメントン、dl−イソメントンが例示される。また、メントン含有物質としては、メントンを含む油脂が例示される。メントンを含む油脂としては、メントンを含む限り制限されないが、ミント油、ケイガイ精油、ペニーロイヤル精油、アップルゼラニウム精油、ブッコノキ精油等が例示される。
【0013】
これらの中でも、好ましくはメントン油、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油などのミント油が例示される。また、メントンを高い割合で含有している点から、これらの中でもメントン油を使用することが好ましい。本発明を限定するものではないが、メントン油の含有量として、本発明の経口消臭組成物中にメントン油6重量%以上、好ましくは6〜43重量%、更に好ましくは10〜30重量%が例示される。
【0014】
なお、これらは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本発明の経口消臭組成物におけるメントンの配合割合は以下のように計算される。すなわち、例えば、メントン含有物質としてメントン10%を含有する物質Aを使用する場合、その経口消臭組成物におけるメントンの配合割合(重量%)は、経口消臭組成物における物質Aの配合割合(重量%)×10÷100として計算される。また、メントン含有物質としてメントン10%を含有する物質Aとメントン含有物質としてメントン20%を含有する物質Bとを使用する場合、その経口消臭組成物におけるメントンの配合割合(重量%)は、(経口消臭組成物における物質Aの配合割合(重量%)×10÷100)+(経口消臭組成物における物質Bの配合割合(重量%)×20÷100)として計算される。
【0016】
本発明の経口消臭組成物において、メントンの配合割合は6〜30重量%であり、好ましくは6〜30重量%、より好ましくは10〜21重量%である。
【0017】
なお、経口消臭組成物中のメントンの配合割合は、従来公知の方法を用いて測定できる。例えば、経口消臭組成物中のメントンの配合割合は、HP−6890ガスクロマトグラフ/HP−5973質量分析計を用い、初期温度50℃から10℃/分で300℃まで昇温する条件で測定できる。
【0018】
本発明の経口消臭組成物には、このほか必要に応じて任意の成分を含有させることができる。任意の成分としては、例えば可食性又は薬学的に許容される添加物や担体等の当該分野で従来公知のものを広く使用することができる。可食性又は薬学的に許容される添加物や担体としては、増粘剤、甘味料、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、滑沢剤、界面活性剤、充填剤、防腐剤、安定剤、可溶化剤、pH調整剤、酸味料、乳化剤、香料、色素等が例示される。これらは当業者により公知であり、適宜選択して使用される。
【0019】
これらの一例として、ゼラチン、アラビアガム、デキストリン、メチルチセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ペクチン、トラガントガム、カゼイン、アルギン酸等の増粘剤;
ステビア、サッカリン、アセスルファムK、アスパラテーム、スクラロース、ソーマチン等の甘味料等;乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、ケイ酸カカオ脂、結晶セルロース、リン酸カリウム、硬化植物油、タルク、コーンスターチ、デキストリン等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム末、トラガント末等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、クロスポビドン、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン等保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤等が挙げられる。
【0020】
また、本発明の経口消臭組成物にはアミノ酸、ビタミン類、有機酸塩類等の他の活性成分を含有させても良い。他の活性成分としては、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等のアミノ酸;ビタミンA1、ビタミンA2、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB6、ビタミンB1、ビタミンB2、アスコルビン酸、ニコチン酸アミド、ビオチン等のビタミン類;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩や、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
【0021】
配合される成分やその割合は当業者であれは適宜選択設計可能であり、目的とする形態や嗜好等に適合するよう、本発明の効果を妨げない範囲で適宜調整すればよい。
【0022】
本発明の経口消臭組成物の形態は特に制限されないが、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等の液状形態、ゼリー状、クリーム状のような半固形形態、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、トローチ、シート等の固形形態が挙げられる。本発明の製剤を液状製剤の形態とする場合、凍結保存することもでき、また凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤やドライシロップ等は、使用時に滅菌水等を加え、再度溶解して使用される。
【0023】
このような形態を備えた本発明の経口消臭組成物は、更にマイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセル、シームレスカプセル等に充填されて、カプセル剤とすることもできる。また、本発明の経口消臭組成物が固形形態の場合、更に必要に応じて剤皮を施すことができ、本発明の経口消臭組成物の周囲に剤皮を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠とすることもできる。これらの形態の製造方法は、当業界で公知の方法に従って行うことができる。
【0024】
本発明の経口消臭組成物がカプセルに充填されている形態の例としては、後述の実施例を例示できる。実施例では、前述に従い調製された本発明の経口消臭組成物が、ゼラチンやグリセリンを含有するカプセルに充填されている。また、本発明の経口消臭組成物がカプセルに充填される場合、本発明の経口消臭組成物とカプセルの重量比は、本発明の効果を奏する限り制限されないが、例えばカプセル100重量部に対して、本発明の経口消臭組成物40〜400重量部、好ましくは50〜400重量部が例示される。ここでは本発明の経口消臭組成物がカプセルに充填される例についてこのように説明したが、これは本発明を制限するものではなく、いずれの形態であっても従来の公知の方法に従い製造できる。
【0025】
本発明の経口消臭組成物の摂取量は、通常、不快臭の強さによって適宜調整されるが、成人一回あたりの摂取量として、メントン18mg以上、好ましくは18〜90mg、更に好ましくは30〜60mgとなるよう摂取することが例示される。また、本発明の経口消臭組成物の摂取は1日1回であってもよく数回であってもよく、特に、本発明の経口消臭組成物は、自己の不快臭が気になる場合に摂取すればよい。例えば、本発明の経口消臭組成物は、臭いの強い飲食物やアルコールの喫食、喫煙に伴い摂取することが好ましく、当該摂取は喫食や喫煙の前であって後であってもよく喫食や喫煙の途中であってもよく、より好ましくは、喫食や喫煙の妨げにならない点から喫食や喫煙の直前や直後である。
【0026】
本発明における適用対象は、不快臭の消臭が求められる動物であれば制限されない。例えば、当該動物としてヒトが挙げられるが、このほか、ヒト以外の哺乳動物、また、哺乳動物以外のペットや家畜をはじめとする多様な動物が挙げられる。また、本発明においては、適用対象の年齢や性別も問わない。
【0027】
このような本発明の経口消臭組成物によれば、不快臭を効果的に消臭することができる。特に、本発明の経口消臭組成物は、飲食物やアルコールの喫食、喫煙、体質に由来する口臭や体臭を効果的に消臭することができる。また、本発明の経口消臭組成物は、飲食物のなかでも、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等のユリ科ニラ属に由来する臭いの強い飲食物の喫食が原因で生じる口臭や体臭であっても優れた消臭効果を発揮することができる。
【0028】
例えば、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等のユリ科ニラ属に属する食材が臭いとされる成分はジアリルジスルフィド(diallyl disulfide)、メチルアリルジスルフィド(methyl allyl disulfide)、メチルアリルポリスルフィド(methyl allyl polysulfide)などのアリルスルフィド類、アリルメルカプタン(allyl mercaptan)、アリシン(allicin)、ビニルジチイン(vinyldithiin)、アホエン(ajoene)などの揮発性有機イオウ化合物であることが知られており、本発明によれば、これらの臭いであっても効果的に消臭することができる。また、これらの成分は体内でアリルメチルスルフィド(allyl methyl sulfide)、アリルメチルジスルフィド(allyl methyl disulfide)などのアリルメチルスルフィド類などへと分解され、このようにして生じたアリルメチルスルフィド類が口腔粘膜や各種臓器などを介して体外へ排出されることが、これらの食材の喫食に伴う不快臭、特に口臭や体臭の主な原因となることが知られている。このように、呼気に排泄されるニンニク臭などの口臭や体臭は、アリルスルフィド類や揮発性有機イオウ化合物などの飲食物に含有されている不快臭成分だけでなく、アリルメチルスルフィド類のような体内において新たに産生される不快臭成分に起因する。本発明によれば、このような臭いであっても効果的にその発生を抑えることができ、従って、これらの臭いであっても効果的に消臭することができる。このことは、後述する実施例からも明らかである。このように本発明の経口消臭組成物によれば、アリルスルフィド類や揮発性有機イオウ化合物に起因する不快臭であっても、更にアリルメチルスルフィド類に起因する不快臭であっても、その両者に起因する不快臭いであっても効果的に消臭することができる。
【0029】
この点からも、本発明の経口消臭組成物は口臭や体臭などの不快臭の消臭に有用であり、特に、飲食物やアルコールの喫食、喫煙、体質に由来する口臭や体臭の消臭に有用である。更に、本発明の経口消臭組成物は、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等のユリ科ニラ属そのものに由来する臭いの消臭だけでなく、これらが消化吸収等されることにより生じる不快臭の発生自体も効果的に抑制することができ、従って、このような不快臭であっても効果的に消臭することができる。また、いわゆるニンニク臭の消臭が強く望まれているところ、このように本発明の経口消臭組成物はニンニク臭に起因する口臭や体臭、特に呼気に排泄されるニンニク臭であっても効果的に消臭することができる。
【0030】
このように本発明の経口消臭組成物によれば不快臭を効果的に消臭できることから、本発明は更に、不快臭の消臭が求められる動物に、メントンを6〜30重量%含有する経口消臭組成物を摂取させる工程を含む、当該動物の不快臭の消臭方法を提供する。当該方法は、前述の記載に基づき、本発明の経口消臭組成物を動物に摂食させることにより実施することができる。
【0031】
また、本発明の経口消臭組成物によれば、メントンの配合割合を6〜30重量%とすることによって不快臭の消臭効果を高めることができることから、本発明は更に、経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする経口消臭組成物の消臭効果向上方法、また、経口消臭組成物の口臭や体臭に対する消臭効果を向上させる方法を提供する。
【0032】
また、本発明の経口消臭組成物によれば、メントンの配合割合を6〜30重量%とすることによって特にニンニク臭等のユリ科ニラ属に起因する不快臭の消臭効果を高めることができることから、本発明は更に、経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする、経口消臭組成物のニンニク臭等のユリ科ニラ属に起因する不快臭に対する消臭効果を向上させる方法を提供する。
【0033】
これらの方法は、前述の記載に基づき、経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることにより実施することができる。
【0034】
また、本発明は前述するように、不快臭の発生自体を抑えることができることから、本発明は、更に、不快臭の発生抑制組成物、また、不快臭の発生抑制方法を提供する。
【0035】
従来、6〜30重量%という非常に高濃度のメントンが配合されてなる経口組成物は一切知られておらず、従って、本発明の経口消臭組成物は従来公知の経口組成物とは全く異なるものである。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:メントンを6.1重量%、10.8重量%又は15.6重量%含有する含有する経口消臭組成物
ヒマワリ油(商品名Jひまわり白絞油NS、株式会社J−オイルミルズ製)、ミントオイル(ペパーミントオイル ウィラメット、長岡実業社製)、メントン油(商品名メントン油95%、長岡実業社製)を使用して、本発明の経口消臭組成物の一例としてメントンを6.1重量%含有する経口消臭組成物(経口消臭組成物1)を製造した。また、同様にして、メントンを10.8重量%含有する経口消臭組成物(経口消臭組成物2)を製造した。また、同様にして、メントンを15.6重量%含有する経口消臭組成物(経口消臭組成物3)を製造した。
【0037】
実施例2:メントンを6.1重量%、10.8重量%又は15.6重量%含有する経口消臭組成物を充填したカプセル剤
実施例1で製造した経口消臭組成物1〜3を、ゼラチン、グリセリン及び水を含有するカプセルにそれぞれ充填することにより、メントンを6.1重量%、10.8重量%又は15.6重量%含有する経口消臭組成物が充填されたカプセル剤を製造した。
【0038】
実施例3:消臭効果の評価
以下の経口消臭組成物の消臭効果を、次の手順で評価した。
1.ハードカプセル剤の製造
(ハードカプセル剤1〜4)
実施例1で製造した経口消臭組成物1〜3を、市販のハードカプセル(商品名HFカプセル 1号、株式会社松屋製)100重量部あたり223重量部となるように充填することにより、ハードカプセル剤を製造した。
【0039】
ここで、メントンを6.1重量%含有する経口消臭組成物を充填したハードカプセル剤をハードカプセル剤1、メントンを10.8重量%含有する経口消臭組成物を充填したハードカプセル剤をハードカプセル剤2、メントンを15.6重量%含有する経口消臭組成物を充填したハードカプセル剤をハードカプセル剤3とした。なお、ハードカプセル剤一粒あたり経口消臭組成物を約0.3g充填した。
【0040】
また、メントンの配合割合を20.3重量%とする以外は実施例1と同様にして得た経口消臭組成物を、前記市販のハードカプセルに同様にして充填することによりハードカプセル剤4を製造した。
【0041】
(比較ハードカプセル剤1〜3)
また、メントンの配合割合を1.3重量%とする以外は実施例1と同様にして得た組成物を、前記市販のハードカプセルに同様にして充填することにより製造したハードカプセル剤を比較ハードカプセル剤1とした。また、メントンの配合割合を48.8重量%とする以外は実施例1と同様にして得た組成物を、前記市販のハードカプセルに同様にして充填することにより製造したハードカプセル剤を比較ハードカプセル剤2とした。
【0042】
また、アネトールの配合割合を10重量%含有した組成物を、前記市販のハードカプセルに同様にして充填することにより製造したハードカプセル剤を比較ハードカプセル剤3とした。なお、アネトールを10重量%含有した組成物もヒマワリ油等を使用してアネトールが10重量%となるように製造することにより得た。
【0043】
2.消臭実験の手順
次に、被験者にニンニクを摂取させたのちに前記ハードカプセル剤1〜4及び比較ハードカプセル剤1〜3のいずれかを摂取させ、次いで口臭中のアリルメチルスルフィド(AMS)の残存率を算出することにより、ハードカプセル剤1〜4及び比較ハードカプセル剤1〜3の消臭効果を評価した。
【0044】
具体的には、まず、朝食を食べていない被験者にニンニク(商品名 名匠にんにく、エスビー食品株式会社製)5.5gをオブラートで包んで摂取させ、その後、香料を含有しない歯磨き粉を使用して歯を磨かせ、舌ブラシ及びデンタルフロスを使用して口腔内の清掃を行わせた。次いで、ニンニク摂取15分後に、前記のいずれかのカプセル剤3粒を湯と共に摂取させ、ニンニク摂取1時間10分後に、各被験者の呼気をテフロン(登録商標)チューブを使用してテドラーバック(3リットル、コックなし)に回収した。カプセル剤を摂食させていない以外は同様にして回収した呼気をコントロールとした。
【0045】
ATD加熱脱着装置(商品名TurboMatrix 350ATD、PerkinElmer社製)を用いたGC/MS分析を行うため、回収した呼気をTenax管(商品名Tenax TA、シグマアルドリッチジャパン社製)に移動させるために、テドラーバックに付けていたテフロン(登録商標)チューブを新しいものへと交換し、テフロン(登録商標)チューブを介してテドラーバックとTenax管とを接続した。また、シリコンチューブを介してTenax管と接続させたポンプを用いて吸引することにより、テドラーバック中の呼気をTenax管内に回収した。全ての呼気が吸引された後、ポンプでテドラーバック中に3Lの清浄空気を送り込み、その後、再度吸引することによりTenax管に呼気を回収した。この操作を3回繰り返した。
【0046】
このようにして呼気を回収したTenax管をATD化熱脱着装置にセットして280℃で加熱脱着した後、カラムに保持されている呼気成分をHP−6890ガスクロマトグラフ/HP−5973質量分析計で初期温度30℃から10℃/分で300℃まで昇温してから5分間保持する条件でアリルメチルスルフィドのピーク面積を解析した。コントロールのアリルメチルスルフィドのピーク面積を100%として、各ハードカプセル剤を飲んだ後の発生量を比較した。
【0047】
3.結果
アリルメチルスルフィド(AMS)の残存率を図1に示す。図1では、コントロール(カプセル剤非摂取)におけるアリルメチルスルフィドの残存率を100と示した。
【0048】
また、図1においてコントロールを「ニンニク」と記載した。また、図1において、ハードカプセル剤1を「ニンニク+メントン6.1%」、ハードカプセル剤2を「ニンニク+メントン10.8%」、ハードカプセル剤3を「ニンニク+メントン15.6%」、ハードカプセル剤4を「ニンニク+メントン20.3%」と記載した。また、同様に、比較ハードカプセル剤1を「ニンニク+メントン1.3%」、比較ハードカプセル剤2を「ニンニク+メントン48.8%」、比較ハードカプセル剤3を「ニンニク+アネトール10%」と記載した。
【0049】
図1から明らかなように、ハードカプセル剤1〜4において、アリルメチルスルフィドの残存率が顕著に低減された。これらのハードカプセル剤におけるアリルメチルスルフィド残存率は、比較ハードカプセル剤1及び2におけるアリルメチルスルフィドの残存率を有意に下回るものであった。また、ハードカプセル剤1〜4による消臭効果は、アネトールを含有した比較ハードカプセル剤4と比較しても、有意に優れていた。
【0050】
このことから、本発明の経口消臭組成物によれば、アリルメチルスルフィドの残存率を有意に低減できることが分かった。また、本発明の経口消臭組成物によれば、アリルスルフィド類からアリルメチルスルフィド類への分解過程におけるアリルメチルスルフィド類の発生を顕著に抑制できることが分かった。また、アリルメチルスルフィドは、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等を使用した飲食物の摂取に伴い生じる口臭や体臭の主な原因物質とされるアリルメチルスルフィド類の一種である。このことから、本発明の経口消臭組成物によれば、従来臭いが強いとして敬遠されがちなニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等を使用した飲食物の摂取に伴い生じる口臭や体臭であっても、効果的にその発生を抑制でき、また、消臭できることが分かった。また、このことから、本発明の経口消臭組成物によれば、従来消臭が強く求められながらも、その消臭が比較的困難であるとされてきた不快臭に対しても有用であることが分かった。
【0051】
更に、次の表1には、メントンのジアリルジスルフィド(DADS)に対する消臭効果を示す。
【0052】
【表1】

【0053】
表1におけるDADSの消臭実験の手順は次の通りであった。l−メントン1mlをメタノールで25mlになるよう希釈した。10ppmのDADS 2mlを入れたGCバイアルに、前記希釈したl−メントン 0.2mlを加えて、HS/GCを実施した。HS/GC分析装置としてヘッドスペースサンプラー(商品名HP7694、ヒューレットパッカード)、ガスクロマトグラフ(HP6890、ヒューレットパッカード)を使用し、50℃で10分間加熱した際のヘッドスペース中の成分を60℃から250℃まで8℃/分で昇温する条件下で分析を行った。アネトールについても同様に希釈、添加等して分析を行った。なお、l−メントンやアネトールを添加することなくDADSを分析したものをコントロールとした。
【0054】
表1において、l−メントンやアネトールを添加することなくDADSを分析して得た結果を100とする。
【0055】
表1から明らかなように、メントンを使用した場合、ジアリルジスルフィドの残存率は25.7と顕著に低減されている。このことから、メントンは、ジアリルジスルフィドに対しても顕著に優れた消臭効果を備えていることが分かった。
【0056】
また、ジアリルジスルフィドは、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等のユリ科ニラ属に属する食材が臭いとされる主成分アリルスルフィド類の一種である。このことから、本発明の経口消臭組成物によれば、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギなどの食材そのものの不快臭であっても効果的に消臭できることが分かった。
【0057】
また、前述したように、本発明の経口消臭組成物によれば、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等の摂取に伴い生じる口臭や体臭の主な原因物質とされるアリルメチルスルフィド類に由来する不快臭であっても効果的に消臭できる。このことから、本発明の経口消臭組成物は、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギなどの食材そのものに由来する不快臭と、これらの消化吸収等に伴い発生する不快臭の両者を、共に効果的に消臭することができるという極めて優れた特性を備えていることが分かった。この点からも、本発明の経口消臭組成物は、従来消臭が強く求められながらも、その消臭が比較的困難であるとされてきた不快臭の消臭に対して有用であることが分かった。
【0058】
また、表1から明らかなように、アリルスルフィド類の消臭に対してはメントンよりアネトールのほうが優れていたが、図1から明らかなように、アリルメチルスルフィド類の発生の抑制に対してはアネトールよりメントンのほうが優れていた。
【0059】
前述したように、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギなどの食材そのものに由来する不快臭の主な原因物質はアリルスルフィド類であり、アリルスルフィド類に対する消臭効果はメントンよりアネトールのほうが優れていた。このことから、当初、当該アリルスルフィド類が消化吸収されることにより生じる、口臭や体臭の主な原因とされてきたアリルメチルスルフィド類に対する消臭効果も、メントンよりアネトールのほうが優れているであろうことが予想された。しかしながら、前記図1から明らかなように、驚くべきことに、アリルメチルスルフィド類に対する消臭効果は、アネトールよりメントンのほうが優れていた。アリルスルフィド類からアリルメチルスルフィド類への分解過程におけるメントンの作用機序は不明であるが、当該実験により、メントンによればアリルメチルスルフィド類の発生を顕著に抑制できることが見出された。
【0060】
このことから、本発明の経口消臭組成物によれば、驚くべきことに、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ等のユリ科ニラ属に由来する食材などの臭いの強い飲食物の喫食が原因で生じる口臭や体臭に対しても、優れた発生抑制、消臭効果を発揮できることが分かった。
【0061】
実施例4:消臭効果の評価
経口消臭組成物の消臭効果を、次の手順で評価した。
【0062】
まず、本実施例では、前記実施例3と同様にして、メントン10.8重量%又は14重量%を含有する経口消臭組成物を充填したハードカプセル剤をそれぞれ製造した。また、同様にして、メントン1.3重量%又は4重量%を含有する組成物を充填した比較ハードカプセル剤をそれぞれ製造した。
【0063】
次いで、被験者延べ48人に、ニンニク(商品名 名匠にんにく、エスビー食品株式会社製)とハードカプセル剤又は比較ハードカプセル剤とを同時に服用させ、服用後1時間の時点でのニンニク臭の消臭感を評価させた。なお、ハードカプセル剤又は比較ハードカプセル剤1種あたりの被験者を12人とした。また、評価は5段階、すなわち満足〜不満の程度を順に2点、1点、0点、−1点、−2点とし、スコアの高いほうが満足度(消臭感)が高いことを示す。当該評価結果を以下の表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
判定: ◎ 平均スコアが1.5以上
○ 平均スコアが1〜1.5未満
△ 平均スコアが0.5〜1未満
× 平均スコアが0〜0.5未満
×× 平均スコアが0未満
【0066】
表2では、メントン1.3重量%含有する比較ハードカプセル剤をサンプルA、メントン4重量%含有する比較ハードカプセル剤をサンプルB、メントン10.8重量%含有するハードカプセル剤をサンプルC、メントン14重量%含有するハードカプセル剤をサンプルDと示した。
【0067】
表2から明らかなように、サンプルC及びDでは12人の合計スコアがそれぞれ14及び18という非常に高く判定も優れており、ニンニク臭に対する良好な消臭感が確認された。これに対して、サンプルA及びBでは12人の合計スコアがそれぞれ−1及び2であり、サンプルC及びDと比較して、消臭感は乏しいものであった。
【0068】
このように、本発明の経口消臭組成物は消臭感も高く、非常に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メントンを6〜30重量%含有する、経口消臭組成物。
【請求項2】
消臭対象が口臭及び/または体臭である、請求項1に記載の経口消臭組成物。
【請求項3】
消臭対象がニンニク臭である、請求項1又は2に記載の経口消臭組成物。
【請求項4】
経口消臭組成物中のメントンの配合割合を6〜30重量%とすることを特徴とする、経口消臭組成物の消臭効果向上方法。
【請求項5】
消臭効果が、経口消臭組成物の口臭及び/または体臭に対する消臭効果である、請求項4に記載の消臭効果向上方法。
【請求項6】
消臭効果が、ニンニク臭に対する消臭効果である、請求項4又は5に記載の消臭効果向上方法。

【図1】
image rotate