説明

経口溶解性フィルム

【課題】口腔内での活性剤の迅速な放出のための迅速溶解性経口フィルム調製物、特に、良好なバッカル経由吸収を達成し、ニコチン渇望軽減を個体に提供するニコチン・アクティブを含んでなる迅速溶解性経口フィルム組成物を提供する。
【解決手段】a)腸溶性ポリマー、b)少なくとも1つのアルカリ性緩衝剤;およびc)少なくとも1つの活性剤を含む経口溶解性フィルムの形態の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、口腔内での活性剤の放出のための迅速に溶解する経口フィルム調製物に関する。一の具体例において、本発明は、良好なバッカル経由吸収を達成し、ニコチン渇望軽減を提供するニコチン・アクティブ(nicotine active)を含んでなる迅速に溶解する経口フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般に、紙巻きタバコ、葉巻およびパイプタバコなどのタバコ製品の喫煙は、深刻な健康上のリスクを使用者および間接的な喫煙に曝された人々に与えることが知られている。また、噛みタバコなどの他の形態のタバコの使用もまた、深刻な健康上のリスクを使用者にもたらすことが知られている。
【0003】
喫煙の有害な影響はよく知られているが、ニコチン依存症の多数の個体は、その依存を克服するのに非常に困難する。この困難性は、主に、ニコチンの耽溺性質から生じるものである。ニコチン渇望を克服することは、ニコチン依存を打破しようとしている人々にとって厳しい試練なのである。これらの渇望は、いく通りかの経路において起こりうる。例えば、禁煙の試みの後、喫煙者らは、その日の間中、中程度のレベルの一定のニコチン渇望を報告することを示した研究がある。より激しくニコチンを渇望する人々は、タバコの使用に逆戻りする傾向が強い。一定の渇望のほかにも、喫煙者らは、発作的または急性の渇望を経験する。これらの発作的な渇望は、種々の刺激、例えば、喫煙に関連する刺激に曝されたり、喫煙道具や喫煙している人を見たり、または間接的に煙を吸い込んだりすることによって誘発されることがある。かかる発作的渇望は、適当な対抗処置が用いられない場合、逆戻りをもたらすこともある。
【0004】
近年、喫煙、噛みタバコまたは他の形態のタバコの使用を減らすか、またはやめる手段として、ニコチン置換療法(NRT)が首尾よく商品化されてきている。NRTは、一般に、喫煙者がタバコの使用をやめたときに喪失されるニコチンのいくらかを一時的に代替するのに有効である。かかる商業的NRTには、ニコチンガム(例えば、ニコレット(NICORETTE)(登録商標))およびニコチン経皮パッチ系(例えば、ニコダーム(NICODERM)、ニコトロール(NICOTROLR)、プロステップ(PROSTEPR)、およびハビトロール(HABITROLR))がある。一般に、ニコチン経皮パッチは、該パッチを付けている間、ニコチンの実質的に連続的な注入を使用者に提供することによって、比較的一定の血中濃度を長期にわたって維持するのに有用である。同様に、定期的に使用する場合、ニコチンガムは、比較的一定の血中ニコチン濃度を長期にわたって維持することができる。かくして、ニコチンパッチおよびニコチンガムはどちらも、タバコの使用をやめる過程において、個体が経験する一定のニコチン渇望に対して有効である。しかしながら、激しいニコチン渇望および発作的なニコチン渇望の傾向が強い個体は、ニコチン経皮パッチによって典型的に提供されるよりも迅速な、または断続的な渇望軽減を所望する場合がある。
【0005】
ある状況下では、ニコチンガムを用いて、喫煙または他の形態のタバコの使用を止めようとしている個体が経験する発作的渇望を軽減することができる。例えば、発作的ニコチン渇望に応えて、個体自身が1個のガムを投与すればよい。かかるニコチンガムの使用は、典型的に、血中ニコチンレベルの増加をもたらしてニコチン渇望を中和するが、該ガムは、口腔内で幾分ゆっくりとニコチンを放出する傾向があり、個体が欲しているほど迅速に軽減をもたらさないこともある。さらに、この断続的なガムの使用は、より不変的なニコチン渇望に対して有効ではないであろう。
【0006】
ニコチンロゼンジもまた、商業的に入手可能であり、急性ニコチン渇望の軽減を提供するための同様な手段において利用してもよい。現在入手可能なニコチンロゼンジには、例えば、コミット(COMMITR)、ストッパーズ(STOPPERSR)、ニクイチン(NIQUITINR)およびニコチネル(NICOTINELLR)ブランドのロゼンジがある。ニコチンガムと同様に、使用者は、ニコチン渇望に応じて、該ロゼンジを自分で投与すればよく、該ロゼンジは、口腔内でゆっくりとニコチンを放出するであろう。
【0007】
しかしながら、ガムおよびロゼンジNRT製品形態のどちらにも、それらが各々、最大の利益を得るために、約20分という平均口内保持時間を要するという制限がある。かくして、渇望軽減は、個体が欲するほど速くないこともある。さらに、この必要な口内保持時間のために、使用者は、ガムまたはロゼンジを実際に必要とされる、または推奨されるほど頻繁に投与することができず、その結果、より頻繁なニコチン渇望がもたらされることもある。例えば、個体は、利用可能なニコチン・アクティブの大部分が消費されてしまった後もずっとニコチンガムを噛み続け、ガムが消費され尽くされたことが分からないこともあり、次いで、ニコチン渇望が生じることもある。
【0008】
かくして、現存するNRT手段は、一定のタバコ渇望および急性のタバコ渇望に対処するのに役立ついくらかの有用性を有しうるが、より迅速かつより有効な渇望軽減を提供することに対し、ならびにより便利な他の製品形態を提供することに対して、今だ、継続中の要望が存在する。
【0009】
ニコチンは水溶性フィルム中に組み込まれており、該水溶性フィルムは一般に、口腔内で溶解し、次いで、バッカル吸収のためにニコチンを放出するような高親水性ポリマーからなる。急速な溶解を達成するために、これらのフィルムにおいて典型的に用いられる水溶性ポリマーは、高い水和率を有し、非常に吸湿性のフィルムをもたらす。しかしながら、ニコチンの揮発性質のため、該タイプのフィルムは、一般に、ニコチン安定性の低下をもたらす。
【0010】
同一パテントファミリー内の粘膜接着性フィルムに関するいくつかの特許がZerbeらに対して発行された。米国特許第5,948,430号(90/005887で再審査された)は、少なくとも1つの水溶性ポリマー;単独の界面活性剤、あるいはポリアルコールおよび可塑剤からなる群から選択された少なくとも1つのメンバーと、またはポリアルコールおよび可塑剤と組み合わせた界面活性剤;少なくとも1つの美容または医薬成分およびフレーバー剤を含んでなる粘膜接着性組成物から形成された単層フィルムに関し、該フィルムは、口内環境下において迅速に軟化し、完全に崩壊するものであり、口内に不快な感覚を引き起こすことがない、口内への適用に適する乾燥フィルム厚を有するフィルムである。米国特許第6,709,671号は、少なくとも1つの水溶性ポリマー;界面活性剤;活性な付加的な成分、例えば、水分散可能なポリマーを含んでなる粘膜接着性組成物から形成された種々の単層フィルムに関する。米国特許第6,177,096号は、少なくとも1つの水溶性ポリマー、少なくとも1つのポリアルコール、および少なくとも1つの活性剤を含んでなる組成物であって、粘膜接着性を有する組成物に関する。米国特許第6,284,264号は、活性剤を含んでなる粘膜接着性フィルムを人の口腔に適用し、該粘膜接着性フィルムを口腔内で溶解させ、該活性剤を口腔に放出させ、より特別には、粘膜を介して活性剤を患者に放出することによる、口腔内に活性剤を放出する方法に関する。米国特許第6,592,887号は、口腔内に活性剤を放出するための同じ方法であるが、特に、活性剤がニコチンであることを要求する方法に関する。これらの各特許の開示は、使用される医薬成分がニコチンサリチル酸塩である乾燥フィルムであって、該組成物がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フレーバー剤および着色料も含んでいる例を含む。
【0011】
Kyukyu Pharmaceutical Co.の欧州特許出願第EP1 008 343 A1号は、主に薬物、食用ポリマーおよび糖類を含んでなる、口腔内で迅速に溶解するフィルム調製物に関する。
【0012】
PCT出願WO00/42992は、水溶性親水コロイド、粘膜面被覆形成フィルムであって、有効投与量の活性剤を含むフィルムを含んでなる投与単位に関する。該フィルムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーであることができ、該活性剤は、ニコチンであることができる。該フィルムは、口内の湿った粘膜面に接触すると、粘膜面に接着するコーティングとなり、次いで、崩壊、溶解して、活性剤を放出する。
PCT出願WO02/43657は、有効量の少なくとも1つのフィルム形成剤、少なくとも1つのバルク充填剤および少なくとも1つの可塑剤を含んでなるプルラン不含食用フィルム組成物を開示する。
Warner Lambert CompanyのPCT出願WO01/70194は、広く、消費者の口内に接着し、溶解するように適応させた消費可能なフィルムであって、少なくとも1つの水溶性ポリマー、少なくとも1つの活性剤および少なくとも1つの味マスキング剤を含むフィルムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,948,430号明細書
【特許文献2】米国特許第6,709,671号明細書
【特許文献3】米国特許第6,177,096号明細書
【特許文献4】米国特許第6,284,264号明細書
【特許文献5】米国特許第6,592,887号明細書
【特許文献6】EP1008343A1号
【特許文献7】PCT WO00/42992
【特許文献8】PCT WO02/43657
【特許文献9】PCT WO01/70194
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明者らの知るかぎりでは、上記のニコチン含有経口溶解性フィルムは、ニコチンのバッカル経由吸収を有効に促進し、かつ、ニコチン安定性を維持することに関連する困難性に取り組んではいない。したがって、タバコの使用をやめることに関連した一定または急性のニコチン渇望を減らすか、または無くすのに十分な量でニコチン・アクティブを使用者に有効に送達する迅速溶解性経口フィルムに対する要望が残存する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、口腔における活性剤の放出のための迅速溶解性経口フィルム組成物に関する。一の具体例において、該迅速溶解性経口フィルムは、腸溶性ポリマー、アルカリ性中和剤、および活性剤、例えば、ニコチン塩基を含んでなる。該活性剤は、腸溶性ポリマーと共に水不溶性複合体を形成し、得られる疎水性フィルムは水に溶解せず、かくして、該活性剤の貯蔵寿命および安定性が改善されると考えられる。口腔への適用時、アルカリ性中和剤が溶解して、口内のpHレベルが上がる。pHが上がるにつれて、腸溶性ポリマーが溶解し、バッカル経由吸収のために口腔にニコチンを放出する。口腔pHの上昇は、また、ニコチンのバッカル経由吸収を増強するように働くであろう。別法では、ニコチンのバッカル経由吸収を増強するために、付加的なアルカリ性緩衝剤を本発明のフィルム組成物内に供給してもよい。
別の具体例において、フィルム組成物において使用される腸溶性ポリマーは、フィルム組成物の調製の間に、予め中和される。予め中和された腸溶性ポリマーを用いる場合、最終的な処方は、ニコチン吸収の促進を助けるために、少なくとも1つの付加的なアルカリ性緩衝剤を含有する。本発明において使用されるアルカリ性中和剤および/または付加的なアルカリ性緩衝剤は、投与前に、ニコチン・アクティブと該アルカリ性緩衝剤との不利な反応を回避するために、フィルム処方内において2つの分離した成分中に配合されていてもよい。
【0016】
本発明のフィルム組成物は、さらに、可塑剤、付加的な活性剤、フレーバー、甘味料、味マスキング剤、感覚的インパクト剤、水溶性充填剤、表面修飾剤および放出修飾剤、着色料、キレート剤、ポリグリコール、増粘剤などを含んでいてもよい。
一の具体例において、該フィルムは、ニコチン・アクティブ、中和された腸溶性ポリマーおよび可塑剤を含む第1成分、および緩衝剤および水溶性充填剤を含む第2成分を含んでなる。
【0017】
本発明は、また、活性剤の迅速な放出および持続した放出の両方を送達する経口溶解性フィルム組成物に関する。一の具体例において、該組成物は、腸溶性ポリマーまたはフィルム形成ポリマー、ニコチン・アクティブのような活性剤、および分離して維持されていてもよい少なくとも1つのアルカリ性中和剤を含む第1成分;および活性剤および生体接着性ポリマーを含む第2成分を含んでなり、ここに、該第2成分は、ニコチンの持続した放出を個体に提供する。一の具体例において、生体接着性ポリマーは、ニコチンと水素結合を形成することのできるポリマーである。
これらの経口溶解性フィルム組成物は、独立型のニコチン置換療法(NRT)として、または別のニコチン置換療法と一緒にコンプライアンスを改善するのに有用である。かかる経口溶解性フィルム組成物は、迅速なニコチン渇望軽減、持続したニコチン渇望軽減、またはそれらを組み合わせたニコチン渇望軽減をそれを必要とする個体に提供するために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
限定するものではないが、本明細書において引用する特許および特許出願を包含する全ての出版物は、出典明示により、あたかも完全に示されているかの如く、本明細書の一部とされる。
【0019】
別記しないかぎり、本明細書中に示される全ての部およびパーセンテージは、記載の関連する経口溶解性フィルムの全重量に基づく重量パーセンテージである。
別記しないかぎり、本明細書中で使用される場合、「a」または「an」なる語は、その語で修飾された成分の1以上を包含する。
本発明は、別記しないかぎり、下記で示される成分を含んでいてもよく、該成分から構成されていてもよく、または実質的に該成分から構成されていてもよい。
【0020】
本発明は、活性剤の放出のための迅速に溶解する経口フィルム調製物に関する。一の具体例において、本発明は、良好なバッカル経由吸収を達成し、ニコチン渇望軽減をそれを必要とする個体に提供する、ニコチン・アクティブを含む迅速溶解性経口フィルムに関する。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「ニコチン・アクティブ」なる語は、ニコチン;ニコチンの誘導体、例えば、ニコチン塩およびニコチン複合体;タバコ抽出物または葉;ニコチンと類似の生理学的影響を生じるいずれかの化合物または組成物、例えば、ロベリン;およびその混合物から選択される1以上の化合物をいう。種々のニコチン・アクティブが当該分野でよく知られており、商業的に入手可能である。本明細書中での使用に適当なニコチン・アクティブは、限定するものではないが、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチン油、シクロデキストリンと複合体形成したニコチン、ニコチン・ポラクリレックス(polacrilex)のようなポリマー樹脂、およびその混合物を包含する。該ニコチン・アクティブは、遊離塩基形態、カプセルで包まれた形態、イオン化された形態およびスプレー乾燥された形態を包含する、当該分野でよく知られた1以上の別個の物理的形態において使用されてもよい。
【0022】
本発明の経口溶解性フィルムは、1以上のニコチン・アクティブを、ニコチン渇望を減少するのに十分な量で含む。ある特定の具体例において、ニコチン・アクティブの量は、ニコチン渇望を迅速に(例えば、約10分以内に、一の具体例において、約5分以内に)、持続した期間にわたり(例えば、5時間まで、または2時間まで、または約1時間まで)、またはその両方で減少させるのに有効である。一の具体例において、該処方中に存在するニコチン・アクティブは、約0.1mg〜約5mgのレベルのニコチンである。別の具体例において、該処方中のニコチン・アクティブは、0.1mg〜約5mgのロベリンである。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「腸溶性ポリマー」なる語は、pH感受性溶解度を有するイオン化可能なポリマー、例えば、フタレートエステルおよびアクリル系ポリマーを記載するために使用される。一般に、これらのポリマーは、イオン化されないで酸性の胃を通過するが、腸の高pH環境下でイオン化し、それにより溶解する、イオン化可能なカルボキシル基を有する。本発明において、フィルム組成物中に存在するアルカリ性緩衝剤は、いったん個体の口腔に投与され、唾液と接触すると、口腔内でのpH上昇を引き起こす。結果として、これらの腸溶性ポリマーは、かくして、口腔内でイオン化され、フィルム組成物は迅速に崩壊する。本発明の一の具体例において、活性剤は、腸溶性ポリマーと水不溶性複合体を形成するニコチン塩基である。口腔に投与すると、アルカリ性バッファーが口腔のpHを改変し、それにより、腸溶性ポリマーを溶解し、バッカル経由吸収のためにニコチンを口腔内に迅速に放出する。本発明の別の具体例において、腸溶性ポリマーは、フィルム組成物の加工の間に、予め中和される。かくして、口腔への適用時、フィルムは唾液中で溶解するであろう。本発明における使用に適当な腸溶性ポリマーは、限定するものではないが、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(エチルアクリレートメタクリル酸)コポリマー、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノエチルエステル、およびポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)n−ブチルエステルを包含する。
【0024】
アルカリ性中和剤または緩衝剤は、本発明のフィルム中に配合される。該緩衝剤は、本発明のフィルムにおいて、2つの目的にかなう。該緩衝剤は、フィルム組成物中に存在する腸溶性ポリマーを中和するために、また、口内唾液のpHをアルカリ性レベルに上げることによってニコチン・アクティブのバッカル経由吸収を増強するために十分な量で存在するべきである。一の具体例において、腸溶性ポリマーの中和は、口腔内で起こる。フィルム組成物は、腸溶性ポリマー、アルカリ性中和剤、ニコチン・アクティブ、および所望により、付加的なアルカリ性緩衝成分を含む。該アルカリ性中和剤は、アルカリ性緩衝剤と同一であっても、なくてもよい。本発明の場合、アルカリ性中和剤、アルカリ性緩衝剤、ニコチン・アクティブ、またはいずれかのその組み合わせは、投与前に、別々に維持されていてもよい。
【0025】
一の具体例において、腸溶性ポリマーは、フィルム組成物を形成する前に、予め中和される。腸溶性ポリマーが予め中和されている場合、ニコチンのバッカル経由吸収を増強するために、付加的なアルカリ性緩衝剤をフィルム中に配合する。該緩衝剤は、投与前に、ニコチン・アクティブとは別に維持されるべきである。ニコチン吸収を促進するために、使用に適当なバッファー材料は、口内唾液にpH7〜約pH12、一の具体例において、pH7〜約pH11、別の具体例において、pH7.5〜pH約10、また別の具体例において、pH7.5〜pH約9を提供する能力のある有機および無機塩基を包含する。
【0026】
本発明における使用に適当なバッファーの例は、限定するものではないが、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、第2リン酸ナトリウム、第3リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第3リン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、およびその組み合わせを包含する。
【0027】
少なくとも1つの中和剤または緩衝剤あるいはその一部がニコチン・アクティブと分離して維持される場合、これは、当該分野で既知のいずれかの手段、例えば、処方する前に、1または両方の成分を独立したカプセルに入れる、薄層構造におけるような別個の層に該成分を分離する、または他の成分を含有するフィルム上に1の成分をジェットプリントするなどによって、達成すればよい。
【0028】
別の具体例において、本発明は、活性剤の迅速放出および持続放出の両方を提供する。活性剤がニコチン・アクティブである場合、フィルム組成物は、ニコチン速放成分およびニコチン持続放出成分を提供することによって、迅速なニコチン渇望軽減および持続したニコチン渇望軽減の両方を提供する。速放性ニコチン・アクティブ成分は、腸溶性ポリマーまたはフィルム形成ポリマーまたはその混合物;第1ニコチン・アクティブ;および少なくとも1つの緩衝剤を含む。該緩衝剤およびニコチン・アクティブは、投与前の相互作用を回避するために、当該分野で既知のいずれかの手段によって、分離されていてもよい。持続放出成分は、第2ニコチン・アクティブ、および該第2ニコチン・アクティブと水素結合を形成することのできる生体接着性材料を含む。該速放性成分および該持続放出成分は、別々に調製した後、当該分野で既知のいずれかの手段によって合わせ、経口溶解性フィルム形態に加工してもよい。別法では、該成分は、個体へ投与するまで、例えば、多層フィルムの別々の層において、または1または両方の成分をカプセルに入れることによって、分離して維持されていてもよい。
【0029】
フィルムの投与時に、該速放成分は、口腔内で溶解し、ニコチンを放出する。持続放出成分内で、ニコチン・アクティブおよび生体接着性材料が生体接着性ニコチン複合体を形成し、次いで、口腔粘膜に接着すると考えられる。該生体接着性ニコチン複合体は、口内の粘膜組織に接着したままであり、口腔に徐々にニコチンを放出し、それにより、長時間にわたってニコチンのバッカル吸収を提供する。該生体接着性ニコチン複合体は、5時間まで、一の具体例において、2時間まで、別の具体例において、約1時間まで、口腔粘膜に接着したままであることができる。
【0030】
本発明における使用に適当な生体接着性材料は、ニコチン・アクティブと水素結合を形成することのできるいずれの生体接着性材料も包含する。例えば、水素結合官能基、例えば、アルコール、アルデヒド、ケトンおよびアミドを含有する生体接着性ポリマーがニコチン・アクティブと水素結合を形成しうる。適当な生体接着性材料は、限定するものではないが、ポリエチレンオキシド、キトサン、カルボマー、例えば、カルボポール(Carbopol)934、非イオン性ブロックポリマー プルロニック(Pluronic)F127、デキストラン、ポリカルボフィル、アルギン酸ナトリウム、およびマレイン酸(MA)とアルキルビニルエーテル(AVE)のコポリマー、例えば、ISP Corporationによって販売されているGantrez型のポリマー、特にGantrez S−97を包含する。一の具体例において、該生体接着性ポリマーは、ポリカルボフィルである。別の具体例において、該生体接着性ポリマーは、Gantrez型のポリマーである。生体接着性ポリマーは、フィルムの全重量の約1%〜約85%配合されていてもよい。一の具体例において、生体接着性ポリマーは、フィルムの全重量の約5%〜約10%配合される。
【0031】
迅速かつ持続放出性フィルムが意図される場合、速放成分は、中和剤と組み合わせた腸溶性ポリマー、予め中和された腸溶性ポリマー、フィルム形成ポリマーまたはその混合物からなる群から選択されるポリマー成分;アルカリ性緩衝剤、およびニコチン・アクティブのような活性剤を含んでいてもよい。本発明における使用に適当なフィルム形成ポリマーは、限定するものではないが、一般式(I)
【化1】

で示されるポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアゴム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、アミロース、高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エリサン(elisan)、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、ダイズ蛋白単離物、ホエー蛋白単離物、カゼイン、およびその混合物を包含する。一の具体例において、フィルム形成ポリマーは、一般式(I)のポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである。一般に、該ポリマー材料は、約0.1%〜約99%、一の具体例において、約30%〜約80%、別の具体例において、約45%〜約70%の量で速放成分中に配合される。
【0032】
喫煙および他の形態のタバコの使用によって導かれる満足は、ニコチンの薬理学的影響だけではなく、かかる使用に付随する感覚刺激にも依存する。例えば、「気管を引っ掻くような感覚(tracheal scratch)」は、喫煙時に起こる特に顕著で頻繁な感覚刺激である。タバコ使用によって経験されるのと類似の感覚刺激、または別の「気を紛らす」刺激、例えば、フレーバーの強烈なバーストを個体に提供する感覚的インパクト剤は、ニコチン渇望軽減を提供するのに有用でありうる。かくして、本発明の経口溶解性フィルムは、ニコチン渇望軽減を提供するのに効果的な感覚的シグナルを提供するためのいずれかの速放性非薬理学的成分であってもよい少なくとも1つの感覚的インパクト剤を含んでいてもよい。影響を受ける感覚的シグナルは、味、触感または香りを包含しうる。適当な感覚的インパクト剤は、限定するものではないが、カプサイシン、マスタード、西洋ワサビ、ショウガ、ワサビ、煙、および黒コショウのようなインパクト・フレーバー;ニコチンを除いた煙、クエン酸、アスコルビン酸のようなマイルドな刺激剤;およびその混合物を包含する。かかる感覚的インパクト剤は、迅速な渇望軽減を個体に提供するのに適当な量で、本発明のフィルムに加えればよい。感覚的インパクト剤は、十分量で存在する場合、十分な「気の紛れ」を個体に提供することができ、該個体は、ニコチン渇望軽減を達成するために、付加的なニコチン速放成分を提供される必要がない。
【0033】
本発明のフィルム組成物は、所望により、少なくとも1つの可塑剤を含んでいてもよい。適当な可塑剤は、限定するものではないが、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、トリアセチンおよびクエン酸トリエチルを包含する。一の具体例において、可塑剤はクエン酸トリエチルである。
【0034】
本発明の経口溶解性フィルムは、味修飾剤、例えば、フレーバー(flavorant)、甘味料、および味マスキング剤;着色料;ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロール;酸化を防ぐためのキレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);充填剤、例えば、ソルビトール、マンニトール、スクロロース(sucrolose)、ラクトース、シュークロース、キシリトール、シリカ、デキストレート、グルコース、フラクトース、砂糖およびトレハロース;および乳化剤、例えば、界面活性剤、および限定するものではないが、ヒマシ油、セチルアルコールおよび水添植物油を包含する放出修飾剤を包含する1以上の付加的な任意の成分を含有していてもよい。
【0035】
高強度甘味料は、本発明における使用に適し、限定するものではないが、可溶性サッカリン塩(例えば、ナトリウムおよびカルシウム塩);サッカリンの遊離酸形態;シクラメート塩;アスパルテーム;および3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム、カルシウム、ナトリウム、およびアンモニウム塩を包含する。
適当な着色料は、食品および薬品への適用に適当ないずれかの顔料、色素、レーキまたは天然食用着色料、例えば、FD&C色素およびレーキを包含する。
【0036】
所望により、他の美容または医薬上活性な剤を本発明のフィルム中に含ませてもよい。他の適当な活性剤の例は、限定するものではないが、歯科用ホワイトニング材料、ブレス・フレッシュナー、抗虫歯化合物、抗歯石化合物、抗酸化剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、抗菌化合物、殺菌剤、血管収縮剤、止血剤、化学療法剤、抗生物質、歯科用脱感剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗高血圧剤、制吐剤、抗偏頭痛剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗鬱剤、ワクチン、ペプチドまたはプロドラッグ、ホルモン、プロトンポンプ阻害剤、H2受容体アンタゴニストを包含する。さらに、ビタミンならびに他の食事および栄養サプリメント、例えば、ビタミンCおよびEが、本明細書に記載のフィルム組成物における使用に適当である。
【0037】
本発明の経口溶解性フィルムは、タバコ代替物として有用である。該フィルム組成物は、喫煙(紙巻きタバコ、葉巻、パイプタバコ)および噛みタバコを包含するタバコの使用を減らすか、または止める手段として有用である。該フィルムは、タバコの全体的または部分的な代替として使用してもよく、いずれかの計画されたタバコ削減計画において、タバコと同時に使用することができる。かくして、本発明は、また、1以上の本発明の経口溶解性フィルムをかかる削減を必要とする人に経口投与することを特徴とする、タバコの使用を減らす方法に関する。本発明は、また、1以上の本発明の経口溶解性フィルムをその必要のある個体に投与することによって、ニコチン渇望の迅速および/または持続した軽減を提供する方法に関する。
【0038】
一般に、該フィルムは、いずれかの推奨または許可された制限内で、ニコチン渇望を防止または減少するよう、必要に応じて投与される。該経口溶解性フィルムは、典型的には、ニコチン・アクティブが口内で、主としてバッカル経由で送達されるように投与される。有用な投与方針は、約6ng/ml〜約35ng/mlの持続されたニコチン血漿レベルを提供するものを包含しうる。例えば、該組成物が投与開始後約10分以内に、特に、投与後約5分以内に、少なくとも約6ng/ml、特に、少なくとも約12ng/mlの血漿濃度を提供するように形成された場合、急速な渇望軽減が使用者によって知覚されうる。
【0039】
一の具体例において、渇望軽減を達成するために、個体は、ニコチン渇望の軽減を提供するか、または該渇望を防止するよう、必要に応じて1投与単位の該経口溶解性フィルムを消費するであろう。本発明のフィルムは、頻繁に、1時間に約2〜約4回服用する場合、独立型のNRT計画として有効である。
【実施例】
【0040】
さらに工夫することなく、当業者は、上記の記載を用いて、本発明をその完全な範囲まで利用することができると確信される。したがって、下記の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、本発明の範囲の制限として解釈されるべきではない。
【0041】
実施例1
本発明の溶解性フィルム処方の実例を下記する。
単層フィルムを下記の方法によって製造する。
溶液調製:
(a)オイドラギット(Eudragit)L100−55およびニコチン油を除く全ての賦形剤をヒドロアルコール/水溶液(エタノール/水 60/40)中に量り入れる。
(b)高速ミキサーを用いて、全ての固体を該ヒドロアルコール/水溶液中に溶解する。
(c)混合速度を上げ、徐々に、オイドラギットL100−55粉末を該ヒドロアルコール混合液中に加える。
(d)中和過程が完了し、もはや発泡が検出されなくなるまで混合を続ける。
(e)混合速度を下げ、オイドラギット・ヒドロアルコール溶液中にニコチン油を加える。
(f)瓶の蓋を閉め、さらなる混合および脱気のために、それをローラーミキサー上に少なくとも2時間置く。
キャスティング工程:
(a)上記の溶液を約10〜約20milのウェット膜厚(wet thickness)で、ポリエチレンキャスティングライナー上にキャストし、それを約60℃で約10分間、乾燥させる。
(b)約2〜約4milの厚さの乾燥フィルム厚が得られ、該フィルムを約2mgのニコチン単位投与量にダイカットしてもよい。
【0042】
実施例1.単層ニコチン含有フィルム
【表1】

【0043】
実施例2.単層ニコチン含有フィルム
【表2】

【0044】
二層フィルムを製造するために、腸溶性ポリマー(オイドラギットL100−55)、可塑剤(クエン酸トリエチル)、甘味料(マガスウィート(Magasweet))、味マスキング剤(Intensates)、キレート剤(EDTA)、中和剤(重炭酸ナトリウム)および活性成分(ニコチン油)を、下記するように、pH4〜7の60/40(エタノール/水)ヒドロアルコール中に溶解する。
腸溶性ポリマー層:
(a)オイドラギットL100−55およびニコチン油を除く全ての賦形剤をヒドロアルコール/水溶液(エタノール/水 60/40)中に量り入れる。
(b)高速ミキサーを用いて、全ての固体を該ヒドロアルコール/水溶液中に溶解する。
(c)混合速度を上げ、徐々に、オイドラギットL100−55粉末を該ヒドロアルコール混合液中に加える。
(d)中和過程が完了し、もはや発泡が検出されなくなるまで混合を続ける。
(e)混合速度を下げ、オイドラギット・ヒドロアルコール溶液中にニコチン油を加える。
(f)瓶の蓋を閉め、さらなる混合および脱気のために、それをローラーミキサー上に少なくとも2時間置く。
第2溶液、すなわち、緩衝溶液は、アルカリ化剤を含むが、フィルム形成ポリマーを含まない。該緩衝溶液は、アルカリ化剤(リン酸二ナトリウム)、水溶性充填剤(ラクトース)、甘味料(メガスウィート)、ポリグリコール(グリセリン)、フレーバー剤(メントール)、増粘剤(シリカ)および非イオン性乳化剤(ポリソルベート80)を水中において含有する。緩衝層は、下記のように調製される。
緩衝層:
(a)シリカを除く全ての賦形剤を水中に量り入れる。
(a)高速ホモジナイザーを用いて、該混合物をホモジナイズする。
(b)該混合物を真空ミキサー容器中に移す。
(c)該混合物にシリカを加え、シリカを該分散液中に真空混合する。
(d)該分散液を蓋付き瓶に移し、使用するまで、それをローラーミキサー上に置く。
次いで、該ポリマー溶液をポリエチレンキャスティングライナー上に、約2〜約4milのウェット膜厚でキャストし、オーブン中で乾燥させる。乾燥後、透明で光沢のあるフィルムが得られる。次いで、該緩衝層を該ポリマー層の上にキャストし、次いで、オーブン中で乾燥させる。該フィルムは、室内条件で1または2日間、平衡化させるべきであり、次いで、約2mgのニコチン単位投与量にダイカットしてもよい。
【0045】
実施例3A−3H 二層フィルムについて記述する。
【表3−1】

【0046】
【表3−2】

【0047】
実施例4は、速放成分および持続放出成分の両方を含んでなる溶解性フィルムに関する。
【0048】
実施例4A:速放成分
【表4−1】

*最終的な処方中には存在しない。
【0049】
実施例4B:持続放出成分
【表4−2】

* 全ポリマーの%w/wで計算される。
** 最終的な処方中には存在しない。
【0050】
実施例5−感覚的なインパクトを与える急速溶解性フィルム
【表5】

【0051】
実施例4および5のフィルムは、下記の方法によって製造される。連続的に攪拌しながら、ポリマー成分を脱イオン水に加え、よく混合する。次に、ニコチン・アクティブおよび全ての任意の成分を加え、成分が該脱イオン水−ポリマー混合物中に完全に溶解するまで攪拌を続ける。得られた組成物をいずれかの適当な表面、例えば、プレキシガラスプレート上にキャストするか、または当該分野で既知のいずれかの手段によって押出し、次いで、乾燥させて、最終生産物からほとんどの水分を除去する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)腸溶性ポリマー
b)少なくとも1つのアルカリ性緩衝剤;および
c)少なくとも1つの活性剤
を含む経口溶解性フィルム組成物。
【請求項2】
活性剤がニコチン・アクティブである請求項1記載のフィルム組成物。
【請求項3】
腸溶性ポリマーが予め中和されている請求項1記載のフィルム組成物。
【請求項4】
予め中和された腸溶性ポリマーがセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(エチルアクリレートメタクリル酸)コポリマー、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノエチルエステル、およびポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)n−ブチルエステルおよびその混合物からなる群から選択される請求項3記載のフィルム組成物。
【請求項5】
予め中和された腸溶性ポリマーがポリ(エチルアクリレート−メタクリル酸)コポリマーである請求項4記載のフィルム組成物。
【請求項6】
アルカリ性緩衝剤が炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、第2リン酸ナトリウム、第3リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第3リン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、およびその混合物からなる群から選択される請求項1記載のフィルム組成物。
【請求項7】
ニコチン・アクティブがニコチン一酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチン油、シクロデキストリンと複合体形成したニコチン、ニコチン・ポラクリレックスのようなポリマー樹脂、およびその混合物からなる群から選択される請求項2記載のフィルム組成物。
【請求項8】
ニコチン・アクティブがニコチン油である請求項7記載のフィルム組成物。
【請求項9】
経口投与前のフィルム内に、アルカリ性緩衝剤およびニコチン・アクティブが別々に維持されている請求項2記載のフィルム。
【請求項10】
さらに可塑剤を含む請求項1記載のフィルム組成物。
【請求項11】
(a)アルカリ性緩衝剤および水溶性充填剤を含む第1成分;および
(b)ニコチン・アクティブ、腸溶性ポリマーおよび可塑剤を含む第2成分
を含む多成分経口溶解性フィルム。
【請求項12】
腸溶性ポリマーが予め中和されている請求項11記載のフィルム。
【請求項13】
予め中和された腸溶性ポリマーがセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(エチルアクリレートメタクリル酸)コポリマー、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノエチルエステル、およびポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)n−ブチルエステルおよびその混合物からなる群から選択される請求項12記載のフィルム。
【請求項14】
予め中和された腸溶性ポリマーがポリ(エチルアクリレート−メタクリル酸)コポリマーである請求項13記載のフィルム。
【請求項15】
第2成分がさらにアルカリ性中和剤を含む請求項11記載のフィルム。
【請求項16】
アルカリ性緩衝剤およびアルカリ性中和剤が各々、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、第2リン酸ナトリウム、第3リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第3リン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、およびその混合物からなる群から選択される請求項15記載のフィルム。
【請求項17】
ニコチン・アクティブがニコチン一酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチン油、シクロデキストリンと複合体形成したニコチン、ニコチン・ポラクリレックスのようなポリマー樹脂、およびその混合物からなる群から選択される請求項11記載のフィルム。
【請求項18】
少なくとも1つの腸溶性ポリマー、少なくとも1つのアルカリ性緩衝剤、およびニコチン渇望軽減を迅速に提供するのに有効な量の少なくとも1つのニコチン・アクティブを含む第1成分;およびニコチンと水素結合を形成することのできる少なくとも1つの生体接着性ポリマー、および持続したニコチン渇望軽減を提供するのに有効な量の少なくとも1つのニコチン・アクティブを含む第2成分を含む経口溶解性フィルム組成物。
【請求項19】
腸溶性ポリマーが予め中和されている請求項18記載のフィルム組成物。
【請求項20】
予め中和された腸溶性ポリマーがセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(エチルアクリレートメタクリル酸)コポリマー、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノエチルエステル、およびポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)n−ブチルエステルおよびその混合物からなる群から選択される請求項19記載のフィルム組成物。
【請求項21】
請求項18記載の経口溶解性フィルム組成物を個体に投与することによって、ニコチン渇望の迅速かつ持続した軽減を提供する方法。
【請求項22】
請求項11記載の経口溶解性フィルム組成物を個体に投与することによって、ニコチン渇望の迅速な軽減を提供する方法。
【請求項23】
少なくとも1つの腸溶性ポリマー、少なくとも1つのニコチン・アクティブおよび少なくとも1つのアルカリ性緩衝剤を含む経口溶解性フィルムを個体に投与することによって、該個体によるタバコの消費量を減らす、または無くす方法。
【請求項24】
少なくとも1つの腸溶性ポリマー、少なくとも1つのニコチン・アクティブおよび少なくとも1つのアルカリ性緩衝剤を含む経口溶解性フィルムを個体に投与することによって、迅速なニコチン渇望軽減を該個体に提供する方法。
【請求項25】
a)少なくとも1つのニコチン・アクティブ、
b)ニコチン・アクティブと水素結合を形成することのできる少なくとも1つの生体接着性材料、および
c)少なくとも1つの速放性感覚的インパクト剤
を含み、該速放性感覚的インパクト剤が迅速なニコチン渇望軽減を提供するのに有効な量で配合されている経口投与形態であって、迅速な渇望軽減および持続した渇望軽減の両方を個体に提供する投与形態。
【請求項26】
感覚的インパクト剤が、カプサイシン、マスタード、西洋ワサビ、ショウガ、ワサビ、煙、および黒コショウのようなインパクト・フレーバー;ニコチンを除いた煙、クエン酸、アスコルビン酸のようなマイルドな刺激剤;およびその混合物からなる群から選択される請求項25記載の投与形態。
【請求項27】
さらにアルカリ性緩衝剤を含む請求項25記載の投与形態。
【請求項28】
さらに可塑剤を含む請求項25記載の投与形態。
【請求項29】
少なくとも1つのニコチン・アクティブ、少なくとも1つ生体接着性成分および少なくとも1つの速放性感覚的インパクト剤を含み、該感覚的インパクト剤が迅速な渇望軽減を個体に提供するのに有効な量で配合されている経口投与形態を個体に投与することによって、迅速かつ持続したニコチン渇望軽減を提供する方法。
【請求項30】
感覚的インパクト剤が、カプサイシン、マスタード、西洋ワサビ、ショウガ、ワサビ、煙、および黒コショウのようなインパクト・フレーバー;ニコチンを除いた煙、クエン酸、アスコルビン酸のようなマイルドな刺激剤;およびその混合物からなる群から選択される請求項29記載の方法。
【請求項31】
a)美容または医薬活性物質;および
b)一般式
【化1】

で示されるポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー
を含む経口溶解性フィルム。
【請求項32】
美容または治療活性物質がニコチン・アクティブである請求項31記載の経口溶解性フィルム組成物。
【請求項33】
(a)溶媒の存在下でアルカリ性中和剤と混合することによって腸溶性ポリマーを中和して、ポリマー混合物を提供し;
(b)さらに、該ポリマー混合物に活性剤を加え;
(c)該ポリマー混合物を適当な表面上にキャストし;
(d)該ポリマー混合物を乾燥させて、ポリマーフィルムを提供する
工程を含む経口溶解性フィルム組成物の製造法。
【請求項34】
さらに、
(e)アルカリ性緩衝剤および水溶性充填剤を水に溶解して、バッファー混合物を提供し;
(f)該バッファー混合物を該ポリマーフィルム上にキャストし、被覆ポリマーフィルムを提供し;
(g)該被覆ポリマーフィルムを乾燥させる
工程を含む請求項33記載の方法。

【公開番号】特開2011−225620(P2011−225620A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172951(P2011−172951)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【分割の表示】特願2010−228787(P2010−228787)の分割
【原出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】