説明

経口用分散性医薬組成物

本発明は、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた、カルシウム、場合によりビタミンD及び/又はフッ素を含む経口用分散性錠剤の形態をとり、そして骨粗鬆症及び骨量の喪失によって特徴付けられる他の疾患の治療又は予防のために用いることができる、経口医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨粗鬆症及び骨量の減少によって特徴付けられる他の疾患の治療及び/又は予防に有用な、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて、カルシウム及び場合によりビタミンD及び/又はフッ素を含む経口用分散性錠剤の形態での経口用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の記載
骨格は、柔臓器の支持及び保護での機能、並びにミネラル恒常性及び酸塩基恒常性での機能を果たす。かかる機能を果たすためには、骨は、複雑な解剖学的-機能上の構成を有する。
【0003】
骨組成において、我々は、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩、炭酸塩、クエン塩、塩化物及びフッ化物のミネラル塩の沈着物により強化された、I型コラーゲンによって形成される固体有機マトリックス(類骨)を区別する。ほとんどの塩は、コラーゲン繊維が混合された結晶を形成する、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)である。
【0004】
健常な成人の骨では、コラーゲン繊維は、好ましくは層状態で配置され、層構造を形成する。骨ラメラは、細胞(破骨細胞、骨芽細胞及び骨細胞)を収容する空洞を有し、それを介して間質液及び血液が循環するハバース管によって連結されている。
【0005】
構造的構成に関して、2種類の骨が認識されている:皮質の、緻密性で、石化類骨の厚い層を有するもの、及び脾柱の、緻密性が低く、多数の先端が鋭くとがった骨。
【0006】
骨形成は子宮で始まり、幼年期及び青年期の間続き、骨成熟に至る。残りの寿命の間、骨は、固定的な因子ではなく、再構成のメカニズムによって絶えず新しくなる非常に活性な組織である。そのメカニズムは、破骨細胞によって行われる少量の破壊(骨再吸収)、続いて骨芽細胞による置換(骨形成)からなる。この活性は、全身性因子(副甲状腺ホルモン、カルシトニン、ビタミンD)及び局所的因子(サイトカイン、成長因子及びペプチド)によって制御され、薬物、習慣及び様々な病因により影響を受ける。
【0007】
骨粗鬆症は、特定の年齢、性別及び人種に一般的であると考えられるものについて、骨量の減少が単位体積当たりで起こる、最も一般的な骨格の変化であるが、有機相とミネラル相との関連は維持される。この関係は、他の代謝性骨疾患、例えば骨軟化症では変化し得る。
【0008】
骨粗鬆症には、区別可能なタイプがある:原発性、続発性、特発性及び局所性。原発性骨粗鬆症は、偶然の因子として閉経を有し(I型、脾柱骨の喪失によって特徴付けられる)、加齢を有する(II型、皮質骨の喪失によって特徴付けられる)。続発性の骨粗鬆症は、異なった疾患、ある薬物又は長期間の固定化によって起こり得る。特発性骨粗鬆症は、未知の原因を有する。
【0009】
通常の条件下で、破骨細胞活性によって起こる骨喪失は、骨芽細胞活性により回復する。しかしながら、特発性骨粗鬆症において、形成と再吸収とのアンバランスは、破骨細胞の異常の活性化又は骨芽細胞の活性化の減少のいずれかから起こる。I型骨粗鬆症では、破骨細胞活性が優先し、骨量の喪失は通常の条件下では大きく、骨芽細胞活性は通常であるが、骨量の喪失を補うことができない。II型骨粗鬆症では、破骨細胞活性は通常であるが、骨芽細胞活性は減少し、その喪失を埋めることができない。
【0010】
カルシウムは、骨中の主なミネラルであり、一般的に、摂食により身体に供給される。しかしながら、場合によっては、この供給は十分でなく、このミネラルの栄養補助食品が、骨粗鬆症及び骨量の喪失によって特徴付けられる他の疾患を予防又治療するために処方される必要がある。
【0011】
推奨されるカルシウム量は、本人の機能、年齢及び投与される塩により変動する。一般的には、成人について推奨される量は、800〜1500 mg/日である。
【0012】
用語「ビタミンD」は、ステロイド構造を有する分子群を称する。コレカルシフェロール(ビタミンD3)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、その生物的に活性な代謝物(特に、1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール)及びその前駆体(植物起源の食品に存在するプロビタミンD2、動物起源の食品から得られるプロビタミンD3)を含む。
【0013】
このビタミンは、リン酸カルシウム及びマグネシウムイオンの腸吸収を促進し、血漿中で、骨の形成と再吸収の過程で作用することによってカルシウムの制御に役立ち、腎臓におけるカルシウムの再吸収を刺激する。総合すると、骨に対するビタミンDの重要な効果は、カルシウム及びリンの好適なバランスを提供して、石灰化に役立つことである。
【0014】
ビタミンDは、食品から得られる前駆体に対する太陽光線の作用により、体内に生産される。しかしながら、摂食の欠如及び/又は太陽光線への曝露がほとんどない状況では、骨粗鬆症及び他の骨疾患を予防又は治療するために、ビタミンDを有する栄養補助食品を投与する必要があるだろう。
【0015】
ビタミンDの全ての形態は、脂溶性であり、体内に蓄積する。これらは、腎臓、神経及び消化機能を変化させるので、生理学的濃度を越えて投与されるべきではない。ビタミンDの推奨される量は、年齢及び人の栄養状態によって200〜800 IU/日で変動する。
【0016】
フッ素は、主に石灰化組織(骨及び歯)に関連する。それは、良く知られた骨芽細胞増殖のインンデューサーである。一般的に、水及び食品を介して体に供給されるが、場合によっては、唯一、臨床的に許容される塩である、フッ化ナトリウム(NaF)及びモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)である栄養補助食品を処方する必要があり得る。
【0017】
フッ素イオンの最適治療範囲は、ヒト成人で、10〜50 mg/日である。60 mg NaF/日の用量が使用されるときに異常骨の形成が起こるので、30 mg フッ素/日以下が投与されることが望ましい。
【0018】
骨粗鬆症の予防又は治療における、カルシウム及び場合によりビタミンD及び/又はフッ素を含む組成物の使用は幅広く知られている。
【0019】
特許出願WO 99/06051では、塩の形態、好ましくはリン酸カルシウム、ビタミンD、及びプロピレングリコール、300〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールから選ばれる結合剤、液状パラフィン又はシリコーン油を含む医薬組成物が記載されている。
【0020】
文献WO 96/09036では、希釈剤と共同作用的に組み合わせた第一結合剤、第二結合剤及び滑剤を含む、ビタミンD及びカルシウム塩、好ましくは炭酸カルシウムの治療的併用が記載されている。当該組成物では、希釈剤であり、第二結合剤は甘味料である。第一結合剤は、セルロース、マルトデキストリン及びポリビニルピロリドンから選ばれ、希釈剤は好ましくはキシリトールであり、好ましい形態の第二結合剤は、ソルビトールであり、滑剤は一般的にステアリン酸マグネシウムである。
【0021】
カルシウム、特にマレイン酸カルシウム-クエン酸塩の形態で、ビタミンD及び場合によりエストロゲンを含む栄養物質は、WO 92/19251の文献に記載されている。
【0022】
カルシウム塩の中心コア及びフッ素の外側コーティングを有する多層の経口錠剤は、妊娠中の栄養物質として有用であり、米国特許第3345265号明細書の文献に記載されている。
【0023】
しかしながら、今日の商業上入手可能なカルシウムの医薬製剤は、全ての人に許容されない多数の問題を有している。
【0024】
正確に投薬することができ、大量スケールで容易に生産され、治療に良好なコンプライアンスを与えることができるため、錠剤及びカプセル剤は、薬物の投与に好ましい医薬形態である。
【0025】
しかしながら、患者の中には、錠剤及び硬いゼラチンカプセル剤を飲むことが困難な患者もおり、結果として、処方した医薬品を採用できない。
【0026】
経口用分散性錠剤は、容易に飲める溶液又は懸濁液を形成する液体を投与する必要なく、口腔内で瞬時に又は迅速に崩壊又は溶解する固体形態として定義することができる。それらは、速溶融性錠剤、速溶解性錠剤、口腔内分散性錠剤(orodispersible)頬内崩壊性(bucointegrable)錠剤、口腔内崩壊性(orodisintegrable)錠剤、又は頬内溶解性(bucosoluble) 錠剤とも称される。
【0027】
これらの医薬形態は、嚥下障害に罹患し、錠剤又は古典的なカプセル剤を嚥下することが難しい人には非常に有用である。老人及び子供においては、特に痛みが激しいという事実がある。それらは、水を容易に入手できない人、例えば車の運転手、長時間のミーティングの参加者等、にも有用である。
【0028】
経口用分散性錠剤は、異なった方法、主にフリーズドライ(凍結乾燥)、型作りによる形成及び直接圧縮法により、調製することができる。
【0029】
最初の2つの方法は、約30秒間で崩壊するが低物理的強度及び高破砕性を有する、経口用分散性錠剤の調製を可能にする。一方、直接圧縮法は、より破砕性を有するが、長時間にわたって崩壊する錠剤を提供する。
【発明の開示】
【0030】
発明の概要
従って、以下の錠剤の要求がある:
−骨粗鬆症及び骨量の喪失に関連する他の疾患の治療のための、効果的な投薬を可能にし、カルシウム及び場合によりビタミンD及び/又はフッ素の点から非毒性である;
−唾液と接触したときの迅速な崩壊性及び良好な味覚を経験する、これは、治療の効力として、同時に、患者による簡便性及びコンプライアンスを改善する;
−薬理学的技術的性質、例えば、それらの成分の十分な流動性及び簡便な圧縮、及び破砕性、並びに最終的な機能性形態の十分な硬度、を示す;
−競争できるコスト及び他の医薬形態に匹敵する利点を有する。
【0031】
第一の段階では、1又は2錠剤/日で投与されるカルシウムの推奨される一日の摂取を達成するために、製剤の45〜90重量%のカルシウム塩の含量を有する錠剤を有することが好ましい、ことに留意されたい。しかしながら、増加したパーセンテージでのこの活性剤は、承認できない口当たりを生じ、製剤中に取り込むことができる賦形剤の量を限定する。そのため、許容されがたい味覚及びテクスチャは、この種の製剤において解決するのが困難な問題である。
【0032】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、大量のカルシウム塩と、特定の特徴を有する賦形剤との組み合わせは、カルシウム塩の増加したパーセンテージ及び許容される官能性を有する経口用分散性錠剤を得ることを可能にする、ことを見出した。
【0033】
一方、一般的に、崩壊性の有効性は、経口用分散性錠剤の大きさ及び硬度によって強く影響される、ことに留意されたい。最適な崩壊性は、通常、媒体又は小さなサイズ及び/又は低物理的強度(高破砕性及び低硬度)に関連する。
【0034】
結果として、経口用分散性錠剤の形態での製剤に固有な困難性は、十分な破砕性及び硬度値、並びに許容される崩壊時間を得ることである。
【0035】
ヨーロッパ薬局方4.1,2002によれば、経口用分散性錠剤の崩壊時間は、3分未満でなければならない。
【0036】
本発明の発明者らは、組成物に取り込むことができる賦形剤の量によって示される限界にもかかわらず、ある賦形剤の使用は、薬局方により必要とされる崩壊時間を満足し、同時に十分なサイズ、安全な状態及び易損性なく輸送することができる機械強度を有する直接圧縮法によって、経口用分散性錠剤が、カルシウム塩及び場合によりビタミンD及び/又はフッ素塩から得られることを可能にする。同時に、十分な破砕性及び硬度を有する経口用分散性錠剤が得られる。
【0037】
纏めると、本発明で使用される賦形剤は、口内での迅速崩壊性、同時に許容される味覚及びテクスチャを有する錠剤を可能にし、患者に利便性を提供し、結果として治療のコンプライアンスを改善する。
【0038】
加えて、慣用的製造及び包装設備、限られた工程数での通常入手可能な賦形剤を使用するので、直接圧縮法により得られる本発明の経口用分散性錠剤は、例えば、凍結乾燥錠剤よりもより低い製造コストを有する。
【0039】
同時に、本発明の経口用分散性錠剤は、他の医薬形態に関する明確な利点を享受する。液体形態との比較では、本発明の経口用分散性錠剤は、活性成分の正確な用量の投与を可能にし、より良好な化学的安定性及び微生物学的性質を有する。噛むことができる経口形態と比べて、本発明の経口用分散性錠剤は、液体の投与の必要なく又は噛む必要なく、口腔内で迅速に溶解する。発泡性錠剤との比較では、本発明の経口用分散性錠剤は、生産性及び保存性の困難性が少なく、同時に、患者によってより高い許容性を享受することができるように、投与前に調製を必要としない(水に予め分散する必要がない)。
【0040】
加えて、経口用分散性錠剤は、活性成分を迅速に利用して吸収することを可能にし、経口粘膜、咽頭粘膜及び食道を介して胃に到達する前にそうすることができる。
【0041】
結果として、本発明の第一の局面は、活性成分(複数)、元素カルシウム及び場合によりビタミンD及び/又はフッ素を薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む、経口用分散性錠剤の形態での経口用医薬組成物に関する。
【0042】
本発明の第二の局面は、骨粗鬆症及び骨量の喪失により特徴付けられる他の疾患の予防又は治療における、カルシウム及び場合によりビタミンD及び/又はフッ素の経口用分散性錠剤の使用に関する。
【0043】
本発明の第三の局面は、直接圧縮法による、カルシウム及び場合によりビタミンD及び/又はフッ素の経口用分散性錠剤の製造法に関する。
【0044】
詳細な説明
本発明の製剤は、好ましくは、製剤の15〜35重量%の量で元素カルシウム、少なくとも1つの崩壊剤及び少なくとも1つの甘味料を含む。
【0045】
好ましい態様では、本発明の経口用分散性錠剤は以下を含む:
−400〜700 mgの元素カルシウム;
−少なくとも1つの崩壊剤;及び
−少なくとも1つの甘味料。
【0046】
別の好ましい態様では、本発明の経口用分散性錠剤は以下を含む。
−400〜700 mgの元素カルシウム;
−100〜500 IUのビタミンD;及び
−少なくとも1つの崩壊剤;
−少なくとも1つの甘味料。
【0047】
別の好ましい態様では、本発明の経口用分散性錠剤は以下を含む。
−400〜700 mgの元素カルシウム;
−100〜500 IUのビタミンD;
−2〜30 mgフッ素;
−少なくとも1つの崩壊剤;及び
−少なくとも1つの甘味料。
【0048】
元素カルシウムは、塩の形態で供給される。
【0049】
好ましくは、カルシウム塩は、炭酸カルシウム、カルシウムピドレイト、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムグルコヘプトネイト、グリセロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム及びそれらの混合物から選ばれる。
【0050】
より好ましい態様では、カルシウム塩は、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群より選ばれる。
【0051】
更により好ましい態様では、カルシウム塩は、製剤の45〜90重量%、より好ましくは70〜80重量%のパーセンテージの炭酸カルシウムである。特に、2000〜2200 mgの重量を有し、1000〜1750 mgの炭酸カルシウムの含量を有する錠剤が好ましく、より好ましくは、1250〜1750 mgの炭酸カルシウムの含量を有する錠剤である。この塩は、カルシウム源、及び酸の存在下、二酸化炭素(CO2)を放出することができる薬剤という2つの機能を有し、そして同時に、他の塩よりも、カルシウム塩の重量で元素カルシウムの多量の供給を提供し、より大きな生物学的利用性を有する。
【0052】
場合により、十分な血流及び圧縮性を有する原料を得るために、カルシウム塩は、マルトデキストリン又はアルファ化デンプンで予め粒状にすることができる。
【0053】
好ましくは、95/5〜90/10の重量比の炭酸カルシウム/マルトデキストリンの混合物は、使用される。
【0054】
場合により、ビタミンDは、抗酸化剤により安定化することができる。
【0055】
好ましくは、DL-α-トコフェロールにより安定化されるビタミンDを使用した。
【0056】
フッ素は、塩の形態で提供される。
【0057】
好ましくは、フッ素塩は、モノフルオロリン酸塩及びフッ化ナトリウムから選ばれる。
【0058】
より好ましい態様では、フッ素塩は、15〜230 mg、より好ましくは50〜200 mgの量のモノフルオロリン酸ナトリウムである。
【0059】
崩壊剤は、好ましくは、クロスポピドン、グルコン酸デンプンナトリウム及びセルロース誘導体、例えば低置換度のヒドロキシプロピルセルロースより選ばれる。
【0060】
より好ましい態様では、崩壊剤は、クロスポピドン、クロスカルメロースナトリウム、グルコン酸デンプンナトリウム及び低置換度のヒドロキシプロピルセルロースより選ばれ、製剤の1〜10重量%の量で組み込まれる。
【0061】
更により好ましい態様では、崩壊剤は、製剤の4〜6重量%の量で加えられる、低置換度のヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)である。
【0062】
好ましくは、L-HPCは、異なった粒径、密度及び置換度を有する、多種(LH-11及びLH-21)から選ばれる。
【0063】
甘味料は、アルパルターム、サッカリンナトリウム、シクラメートナトリウム、アセスルファムカリウム及びそれらの混合物からなる群より選ばれる強烈な風味を有する甘味料であり、組成物の0.1〜1重量%の量で加えられる。
【0064】
より好ましい態様では、強烈な風味を有する甘味料は、アルパルターム及びそれを含む混合物から選ばれる。
【0065】
更により好ましい態様では、強烈な風味を有する甘味料は、製剤の0.15〜0.55重量%の量で加えられるアルパルタームである。
【0066】
強烈な風味を有する甘味料は、場合により、オレンジ、レモン、ストロベリーエッセンシャルオイル、森果実、ミント及びアニスからなる群より選ばれる1以上の香味料を、組成物の0.01〜1重量%の量で含むことができる。
【0067】
本発明の経口用分散性錠剤は、他の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。
【0068】
好ましい形態では、発泡剤は、CO2の放出を誘導する薬剤と組み合わせてCO2を放出することができる薬剤からなる。
【0069】
CO2を放出することができる薬剤は、アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩から選ばれる。
【0070】
特に好ましい態様では、CO2を放出することができる薬剤は、炭酸カルシウムである。
【0071】
CO2の放出を誘導する薬剤は、有機酸、それらの酸塩及びそれらの混合物から選ばれる。
【0072】
より好ましい態様では、CO2の放出を誘導する薬剤は、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、クエン酸、当該酸の塩、及びそれらの混合物から選ばれる有機酸である。
【0073】
更により好ましい態様では、有機酸は、無水クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸及びそれらの混合物から選ばれる。そして、より好ましくは、組成物の2〜25重量%の量の無水クエン酸である。
【0074】
CO2の放出を誘導する薬剤は、好ましくは固体形態であり、粉末及び顆粒形態から選ばれる異なった粒径で使用することができる。
【0075】
特に好ましい態様では、発泡剤は、10/1〜2/1、好ましくは8/4〜4/1の重量比の炭酸カルシウム/クエン酸からなる。
【0076】
好ましくは、本発明の錠剤は、組成物の1〜10重量%の量で、ラクトース、プラスドン、マルトデキストリン、微結晶性セルロース及びデキストレートからなる群より選ばれる少なくとも1つの希釈剤-結合剤も含むだろう。
【0077】
特に好ましい態様では、希釈剤は、組成物の1〜5重量%の量で組み込まれるラクトースである。
【0078】
好ましくは、製剤は、組成物の0.5〜5重量%の量で、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1つの滑剤も含むだろう。
【0079】
特に好ましい態様では、滑剤は、製剤の1〜3重量%の量で加えられるステアリン酸である。
【0080】
本発明の錠剤は、製剤の1〜20重量%の量で、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、フルクトース、マルトース、マルチトール、ラクチトール及びそれらの混合物からなる群より選ばれるそれほど強烈でない風味を有する少なくとも1つの甘味料を含むこともできる。
【0081】
それにもかかわらず、好ましい態様では、錠剤は、温和な香味の甘味料を含まないだろう。
【0082】
特に好ましい態様では、本発明の経口用分散性錠剤は、以下を含む:
−1250 mg〜1750 mgの炭酸カルシウム;
−50 mg〜150 mgの、低置換度のヒドロキシプロピルセルロース;
−100 mg〜450 mgのクエン酸;
−4 mg〜15 mgのアスパルターム;
−場合により、300 IU〜500 IUのビタミンD;
−場合により、50 mg〜200 mgのモノフルオロリン酸塩。
【0083】
本発明の錠剤中で用いられる賦形剤及び活性成分は、公知であり、商業的な供給元から入手することができる。
【0084】
本発明の経口用分散性錠剤は、骨粗鬆症及び骨量の喪失により特徴付けられる他の疾患の治療又は予防において有用である。
【実施例】
【0085】
本発明を以下の非限定的な実施例により説明する。
【0086】
実施例1.製造法
直接的圧縮法に従って、本発明の錠剤を調製した。
【0087】
具体的な態様では、甘味料、崩壊剤及び場合によりビタミンDを混合した。
【0088】
このプレミックスを、カルシウム塩及び場合により有機酸、香料、希釈剤-結合剤及び/又は滑剤を混合したミキサーに入れた。回転圧縮機で、得られた混合物を圧縮した。
【0089】
別の具体的な態様では、カルシウム塩、崩壊剤及び場合により有機酸及び/又は希釈剤-結合剤を予め混合した。このプレミックスをミキサーから取り出し、その重量の4分の1を同一のミキサーに入れた。甘味料及び場合よりビタミンD及び/又は香料を(内部で)サンドイッチの形態で入れ、混合した。
【0090】
プレミックスの別の4分の1を添加し、混合した。この工程を、残っているプレミックスの各4分の1について繰り返した。滑剤を場合により加え、混合した。最後に、得られた混合物を回転機で圧縮した。
【0091】
実施例2.製剤
得られた経口用分散性錠剤は、十分な技術的特徴を有することができ、健康なボランティアによるテストで十分に受け入れられた。
【0092】
以下の詳細な製剤においては、炭酸カルシウム95% MD、及び90% MDは、各々、5重量%、10重量%の粒状にされた炭酸カルシウムを称する;コレカルシフェロールは、DL-α-トコフェロールで安定化されたビタミンD3を示す。ここで、1 mgのコレカルシフェロールは100 IUの活性成分と等しい。
【0093】
崩壊時間の引っ張り強度、破砕性及び崩壊性を決定する試験は、国立スペイン薬局方第2版,2002に従って行った。
【0094】
製剤A (mg) (%)
炭酸カルシウム95% MD 1578.95 73.34
粒状クエン酸 394.74 18.34
ラクトース一水和物 64.73 3.01
カルメロースナトリウム 86.30 4.01
ステアリン酸マグネシウム 21.58 1.00
アスパルターム 4.32 0.20
オレンジ油 2.16 0.10
【0095】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=7.4
破砕性(%)=3.54
崩壊時間(分)=1.8
【0096】
製剤B (mg) (%)
コレカルシフェロール 4.00 0.19
炭酸カルシウム95% MD 1666.00 79.26
無水粒状クエン酸 208.11 9.90
L-HPC LH11 105.08 5.00
ラクトース一水和物 63.05 3.00
ステアリン酸 42.03 2.00
アスパルターム 9.46 0.45
オレンジ油 4.20 0.20
【0097】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=8.7
破砕性(%)=0.28
崩壊時間(分)=0.7
【0098】
製剤C (mg) (%)
コレカルシフェロール 4.00 0.19
炭酸カルシウム95% MD 1578.95 73.26
粒状クエン酸 394.74 18.31
クロスカルメロースナトリウム 86.06 4.00
ラクトース一水和物 64.54 3.00
ステアリン酸マグネシウム 21.51 1.00
アスパルターム 4.30 0.20
レモン油 1.29 0.06
【0099】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=5.5
崩壊時間(分)=1.0〜1.5
【0100】
製剤D (mg) (%)
コレカルシフェロール 4.00 0.19
炭酸カルシウム95% MD 1578.95 73.26
粒状クエン酸 394.74 18.31
クロスポピドン 86.06 4.00
ラクトース一水和物 64.54 3.00
ステアリン酸 21.51 1.00
アスパルターム 4.30 0.20
オレンジ油 1.29 0.06
【0101】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=7.3
破砕性(%)=2.23
崩壊時間(分)=1.0〜1.5
【0102】
製剤E (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1 578.95
粒状クエン酸 394.74
ラクトース一水和物 63.16
グリコール酸デンプンナトリウム 42.11
ステアリン酸マグネシウム 21.05
アスパルターム 4.21
オレンジ油 1.26
【0103】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=6.2
崩壊時間(分)=1.0〜1.5
【0104】
製剤F (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1578.95
粒状クエン酸 394.74
マンニトール 244.45
L-HPC LH-21 122.23
ラクトース一水和物 73.34
ステアリン酸マグネシウム 24.45
アスパルターム 4.89
ストロベリー油 1.47
【0105】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=8.7
崩壊時間(分)=1.0〜1.8
【0106】
製剤G (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1578.95
粒状クエン酸 394.74
L-HPC LH-21 109.07
ラクトース一水和物 65.44
ステアリン酸 21.82
アスパルターム 4.36
オレンジ油 2.18
【0107】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=8.7
破砕性(%)=2.75
崩壊時間(分)=1.4
【0108】
製剤H (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1578.95
無水粒状クエン酸 394.74
グアールガム 86.06
ラクトース一水和物 64.54
ステアリン酸マグネシウム 21.51
アスパルターム 4.30
オレンジ油 1.29
【0109】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=5.8
崩壊時間(分)=1.0〜1.5
【0110】
製剤I (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1578.95
無水粒状クエン酸 394.74
L-HPC LH-21 113.77
クロスカルメロースナトリウム 91.02
ラクトース一水和物 68.26
ステアリン酸 22.75
アスパルターム 4.55
オレンジ油 1.37
【0111】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=7.0
崩壊時間(分)=1.5〜2.0
【0112】
製剤J (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1676.91
粒状クエン酸 209.62
粒状酒石酸 209.62
L-HPC LH-21 116.27
ラクトース一水和物 69.76
ステアリン酸 23.25
アスパルターム 10.46
オレンジ油 4.65
【0113】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=8.0
破砕性(%)=1.64
崩壊時間(分)=0.9
【0114】
製剤K (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1578.95
無水粒状クエン酸 394.74
L-HPC LH-11 109.81
ラクトース一水和物 65.88
ステアリン酸 21.96
アスパルターム 5.00
サッカリンナトリウム 5.00
オレンジ油 10.00
【0115】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=8.0
破砕性(%)=2.61
崩壊時間(分)=1.3
【0116】
製剤L (mg)
コレカルシフェロール 4.00
炭酸カルシウム95% MD 1578.95
無水粒状クエン酸 197.37
粒状アスコルビン酸 197.37
L-HPC LH-11 109.53
ラクトース一水和物 65.72
ステアリン酸 21.91
アスパルターム 10.00
オレンジ油 5.00
【0117】
錠剤の引っ張り強度(kgf)=8.7
破砕性(%)=2.51
崩壊時間(分)=1.7
【0118】
製剤M (mg) (%)
コレカルシフェロール 4.00 0.19
炭酸カルシウム90% MD 1666.67 79.11
モノフルオロリン酸ナトリウム 100.00 4.75
クエン酸 200.00 9.49
L-HPC LH-11 100.00 4.75
ステアリン酸マグネシウム 24.00 1.14
アスパルターム 10.00 0.47
森果実油 2.50 0.12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口用分散性医薬組成物であって、以下:
−組成物の15〜35重量%の元素カルシウム;
−少なくとも1つの崩壊剤;及び
−少なくとも1つの甘味料
を含む、前記組成物。
【請求項2】
400 mg〜700 mgの元素カルシウムを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
100 IU〜500 IUのビタミンDを更に含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
2 mg〜30 mgのフッ素を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記元素カルシウムが、炭酸カルシウム、カルシウムピドレイト、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムグルコヘプトネイト、リン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群より選ばれるカルシウム塩であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記の採用したカルシウム塩が、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記カルシウム塩が、組成物の45〜90重量%の量の炭酸カルシウムであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記炭酸カルシウムが、1000〜1750 mgの量であることを特徴とする、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記カルシウム塩が、マルトデキストリン及びアルファ化デンプンからなる群より選ばれる結合剤により粒状にされることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記崩壊剤が、組成物の1〜10重量%の量の、クロスポピドン、グルコン酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低度の置換を有するヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
前記崩壊剤が、組成物の4〜6重量%の量の、低度の置換を有するヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記甘味料が、組成物の0.1〜1重量%の量の、アルパルターム、サッカリンナトリウム、シクラメートナトリウム、アセスルファムカリウム及びそれらの混合物からなる群より選ばれる強烈な風味を有する甘味料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
前記の強烈な風味を有する甘味料が、組成物の0.15〜0.55重量%のアスパルタームであることを特徴とする、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
組成物の0.01〜1重量%の量で、オレンジ、レモン、ストロベリーエッセンシャルオイル、森果実、ミント及びアニスからなる群より選ばれる1以上の香味料を更に含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
炭酸アルカリ金属又は重炭酸アルカリ金属からなる群より選ばれるCO2を遊離するための少なくとも1つの薬剤からなる発泡剤を、有機酸、有機酸の酸塩及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのCO2の遊離を誘導する薬剤と組み合わせて更に含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
前記のCO2を遊離する薬剤が、炭酸カルシウムであることを特徴とする、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記のCO2の遊離を誘導する薬剤が、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、クエン酸、それらの酸の塩、及びそれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
前記のCO2の遊離を誘導する薬剤が、組成物の2〜25重量%の量の無水クエン酸であることを特徴とする、請求項15又は17記載の組成物。
【請求項19】
組成物の1〜10重量%の量で、ラクトース、プラスドン、マルトデキストリン、微結晶性セルロース及びデキストレートからなる群より選ばれる希釈剤-結合剤を更に含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項記載の組成物。
【請求項20】
組成物の0.5〜5重量%の量で、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる滑剤を更に含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項記載の組成物。
【請求項21】
−1250 mg〜1750 mgの炭酸カルシウム;
−50 mg〜150 mgの、低置換度のヒドロキシプロピルセルロース;
−100 mg〜450 mgのクエン酸;及び
−4 mg〜15 mgのアスパルターム
を含む、請求項1〜20のいずれか1項記載の組成物。
【請求項22】
300 IU〜500 IUのビタミンDを更に含む、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
50 mg〜200 mgのモノフルオロリン酸ナトリウムを更に含む、請求項21記載の組成物。
【請求項24】
骨粗鬆症及び骨量の減少によって特徴付けられる他の疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、請求項1〜23のいずれか1項記載の医薬組成物の使用。
【請求項25】
−甘味料、崩壊剤及び場合によりビタミンDをプレミックスし;
−当該プレミックスを、カルシウム塩及び場合により有機酸、香味料、希釈剤-結合剤及び/又は滑剤と混合し;並びに
−得られた混合物を圧縮すること
を含む、請求項1〜23のいずれか1記載の医薬組成物の製造法。
【請求項26】
−カルシウム塩、崩壊剤及び場合によりビタミンD、有機酸及び/又は希釈剤-結合剤をプレミックスし;
−ミキサーからプレミックスを取り出し、その一部を同じミキサーに投入し;
−甘味料、場合によりビタミンD及び/又は香味料をサンドイッチ形態で加え;
−混合し;
−プレミックスの別の一部分を加え、混合し;
−プレミックスの残りの部分について、この操作を繰り返し;
−場合により滑剤を添加し、最終混合物を製造し;並びに
−当該最終混合物を圧縮すること
を含む、請求項1〜23のいずれか1記載の医薬組成物の製造法。

【公表番号】特表2008−517981(P2008−517981A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538445(P2007−538445)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/ES2005/000566
【国際公開番号】WO2006/045870
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(506330210)イタルファルマコ,ソシエダ アノニマ (2)
【Fターム(参考)】