説明

経口用液体組成物

【課題】グルクロノラクトンとチアミン類との配合による外観および香味の変化が抑制された経口用液体組成物の提供。
【解決手段】(A)グルクロノラクトンと、(B)チアミン、チアミン誘導体およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、(C)ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖およびラフィノースからなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴ糖と、を含有することを特徴とする経口用液体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口用液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルクロノラクトンは肝機能改善効果を有することが知られており、従来、肉体疲労時の栄養補給や滋養強壮を目的とした経口用液体組成物に有効成分として配合することが行われている。
グルクロノラクトンを経口用液体組成物に配合した場合、経時的にえぐ味が増すなど、味が悪くなる問題がある。このような問題に対し、例えば特許文献1では、リン酸や塩酸を配合する方法が開示されている。また特許文献2では、甘味生薬を配合する方法が開示されている。
【0003】
また、消耗性疾患の改善効果があるチアミン類(チアミン(ビタミンB)やその誘導体、それらの塩)を、経口用液体組成物に有効成分として配合することが行われている。
チアミン類など、ビタミンB群の化合物を経口用液体組成物に配合した場合、苦味があることが知られている。このような問題に対し、例えば特許文献3では、ビタミンB類の不快風味を改善するために糖アルコールおよびスレオニンを配合する方法が開示されている。また特許文献4では、ビタミンB群の苦味のマスキングのために転化型液糖を配合する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−104960号公報
【特許文献2】特開2007−176852号公報
【特許文献3】特開平11−079997号公報
【特許文献4】特開2002−322062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グルクロノラクトン、チアミン類はそれぞれ疲労回復効果があり、これら成分を同時に配合するとより高い効果が得られると推測される。
しかし本発明者らの検討によれば、これら2成分を液体組成物中に同時に配合すると、経時的に無色透明から褐色透明に変化するなど、外観(色)の経時的安定性に問題がある。このような外観の変化は、各成分のいずれか一方を単独で配合した場合には見られない問題である。また、該液体組成物は、それら2成分に由来する独特の香味(グルクロノラクトンの酸味と、チアミン類の硫黄系の独特の味とが合わさった香味)があるが、経時的にえぐ味や苦味が出てくるなど、該香味の経時的安定性にも問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、グルクロノラクトンとチアミン類との配合による外観および香味の変化が抑制された経口用液体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討の結果、特定のオリゴ糖を配合することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の経口用液体組成物は、(A)グルクロノラクトンと、(B)チアミン、チアミン誘導体およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、(C)ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖およびラフィノースからなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴ糖と、を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グルクロノラクトンとチアミン類との配合による外観および香味の変化が抑制された経口用液体組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の経口用液体組成物は、(A)グルクロノラクトン(以下、(A)成分という。)と、(B)チアミン、チアミン誘導体およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、(B)成分という。)と、(C)ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖およびラフィノースからなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴ糖(以下、(C)成分という。)と、を含有する。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分はグルクロノラクトンである。グルクロノラクトンは、グルクロン酸の構造から、さらに分子内でカルボキシル基と3位のヒドロキシル基とが脱水縮合してエステルとなった構造をもつ、代表的なラクトンの一種である。グルクロノラクトンを水溶液とするとグルクロン酸との平衡状態へ達することが知られている。
(A)成分は、肝臓の血流を良くして働きを高める作用を有する肝機能改善薬であり、本発明の経口用液体組成物の有効成分として配合される。
(A)成分は、適宜合成したものであってもよいし、市販品(例えば、中外製薬(株)製など)であってもよい。グルクロノラクトンを合成する方法は、特に制限はなく、公知の合成方法のなかから適宜選択することができる。
本発明の経口用液体組成物中、(A)成分の配合量は、特に制限はなく、所望の効果等、目的に応じて適宜選択することができる。通常、0.01〜10質量/容量%(以下、W/V%と記載)が好ましく、0.1〜5W/V%がより好ましい。該範囲の下限値以上であると、グルクロノラクトンによる効果が充分に得られる。上限値以下であると、製剤化しやすい。
【0010】
<(B)成分>
(B)成分は、チアミン、チアミン誘導体およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(B)成分は、強度の労作や、消耗性疾患の罹患の改善を有し、本発明の経口用液体組成物の有効成分として配合される。
チアミンは、ビタミンB(vitamin B)とも呼ばれ、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質であり、サイアミン、アノイリンとも呼ばれる。チアミンは、糖質および分岐脂肪酸の代謝に用いられ、不足すると脚気や神経炎などの症状を生じる。卵、乳、豆類に多く含有される。
チアミン誘導体としては、公知のものが利用でき、例えばビスチアミン、ジセチアミン、チアミンジスルフィド、フルスルチアミン、ビスベンチアミン、ビスイブチアミン、ベンフォチアミン等が挙げられる。
チアミンおよびチアミン誘導体の塩としては、薬学的に許容可能な塩であればよく、例えば硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
(B)成分は、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。(B)成分を合成する方法は、特に制限はなく、公知の合成方法のなかから適宜選択することができる。市販品としては、例えば、日本薬局方チアミン塩化物塩酸塩、日本薬局方チアミン硝化物(DSM Nutritional Products社製、アルプス薬品工業(株)製、渡辺ケミカル(株)製等)、チアミン硝酸塩(和光純薬工業(株)製)等が挙げられる。
【0011】
(B)成分としては、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の経口用液体組成物中、(B)成分の配合量は、0.001〜1W/V%が好ましく、0.001〜0.2W/V%がより好ましい。該範囲の下限値以上であると、(B)成分による効果が充分に得られる。上限値以下であると、(B)成分による不快な味がなく、香味が良好である。
また、本発明の経口用液体組成物中、(A)成分および(B)成分の配合量の比率(質量比)は、(A)成分:(B)成分=2000:1〜1:1が好ましく、1000:1〜10:1がより好ましい。
【0012】
<(C)成分>
(C)成分は、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖およびラフィノースからなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴ糖である。
「オリゴ糖」は、単糖類同士がグリコシド結合によって結合した化合物の中で、多糖類というほどは分子量が大きくないものを指す。
(C)成分を配合することで、(A)成分および(B)成分を同時配合した場合に生じる液体組成物の外観(色調)の経時変化、香味の経時変化を抑制できる。
上記のうち、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖は、通常、2糖〜10糖程度の混合物である。
(C)成分としては、上記の中でも、外観(色調)および香味の経時変化の抑制効果に加えて、殺菌加熱時の安定性が高い、低pH条件下での経時的安定性が高いなどの製剤化の観点から、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ラフィノースが好ましい。
【0013】
(C)成分は、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。(C)成分を合成する方法は、特に制限はなく、オリゴ糖の公知の合成方法(抽出法、発酵法、合成法、異性化法など)のなかから適宜選択することができる。市販品としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
ガラクトオリゴ糖:ヤクルト薬品工業(株)製(オリゴメイト55N、オリゴメイト55NP)など。
フラクトオリゴ糖:(株)明治フードマテリアル製(メイオリゴGY、メイオリゴG、メイオリゴP)など。
イソマルトオリゴ糖:昭和産業(株)製(イソマルト500、イソマルト900、イソマルト900P)など。
キシロオリゴ糖:サントリーウェルネス(株)製(キシロオリゴ70、キシロオリゴ95P、キシロオリゴ35P)など。
ニゲロオリゴ糖:日本食品化工(株)製(テイストオリゴ)など。
ラフィノース:日本甜菜製糖(株)製(ニッテンラフィノース)など。
【0014】
(C)成分としては、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の経口用液体組成物中、(C)成分の配合量は、0.1〜20W/V%が好ましく、0.5〜10W/V%がより好ましい。該範囲の下限値以上であると、本発明の効果が充分に得られる。上限値以下であると、(C)成分が充分に溶解し、製剤上の問題がなく、液体組成物の安定性も良好である。
また、(C)成分の配合量は、(A)成分および(B)成分の合計量に対し、0.1〜2000質量%が好ましく、1〜1000質量%がより好ましい。
【0015】
<その他配合成分>
本発明の経口用液体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、前記(A)〜(C)成分以外の他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、例えばビタミン類、生薬、生理活性成分、甘味剤、保存剤(防腐剤)、安定化剤、pH調整剤、可溶化剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁剤、酸化防止剤、着香剤・香料、清涼化剤、着色剤、緩衝剤、水等が挙げられる。これらの成分は1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの成分は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合することができる。
【0016】
前記ビタミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、リボフラビンリン酸エステルナトリウム等のビタミンB2、ニコチン酸アミド、ピリドキシン塩酸塩等のビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、アスコルビン酸等のビタミンC、パントテン酸カルシウム等のビタミン類が挙げられる。上記のビタミン類は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
前記甘味剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ショ糖、液糖、果糖、果糖ブドウ糖液、ブドウ糖果糖液糖、黒砂糖、高果糖液糖、ブドウ糖、乳糖、白糖、精製白糖、精製白糖球状顆粒、ハチミツ、精製ハチミツ、単シロップなどの糖、エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、マルチトール、マルチトール液、マルトース、D−マンニトールなどの糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アマチャ抽出物、甘草抽出物、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア抽出物、ネオテーム、ソーマチン、グリシン、グリセリン、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、甘草等の甘味剤が挙げられる。上記の甘味剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経口用液体組成物における甘味剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.0001〜20W/V%程度である。
【0018】
前記保存剤(防腐剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル等の保存剤が挙げられる。上記の保存剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸、DL−アラニン、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L−アルギニン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルブミン、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、カカオ脂、カルボキシビニルポリマー、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、キサンタンガム、キシリトール、グリシン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、グリチルリチン酸二ナトリウム、グルコノ−δ−ラクトン、グルコン酸カルシウム、結晶セルロース、酢酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸フェニル、β−シクロデキストリン、ジブチルヒドロキシトルエン、酒石酸、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、精製ゼラチン、精製大豆レシチン、セスキオレイン酸ソルビタン、セタノール、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、大豆油不けん化物、デキストラン、天然ビタミンE、トコフェロール、d−δ−トコフェロール、ニコチン酸アミド、濃グリセリン、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、氷酢酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、フマル酸、フマル酸−ナトリウム、プロピレングリコール、ベントナイト、ホウ酸、没食子酸プロピル、ポビドン、ポリアクリル酸部分中和物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ジブチルエーテル混合物、マクロゴール、マレイン酸、マロン酸、D−マンニトール、無水クエン酸、無水クエン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、無水マレイン酸、メタリン酸ナトリウム、メチルセルロース、l−メントール、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、卵白アルブミン、DL−リンゴ酸等の安定化剤が挙げられる。上記の安定化剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、希塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリシン、グルコノ−δ−ラクトン、コハク酸、酢酸、酒石酸、D−酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸、乳酸カルシウム、氷酢酸、フマル酸−ナトリウム、マレイン酸、無水クエン酸、DL−リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルコン酸、フマル酸、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤が挙げられる。上記のpH調整剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
本発明の経口用液体組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の経口用液体組成物の製造方法を適宜用いることができる。例えば、第十五改正日本薬局方「製剤総則」の「液剤」の項に準じて製造し、ろ過、殺菌して製造することができる。
【0022】
本発明の経口用液体組成物のpH(25℃)は、本発明の効果に優れることから、1.5〜3.0が好ましく、2.0〜3.0がより好ましく、2.1〜2.8が特に好ましい。一方、pHが1.5未満だと、酸味が強すぎて風味を損なう恐れがある。pHが3.0を超えると、(A)成分の安定性が悪くなり、本発明の効果が損なわれるおそれがある。
【0023】
本発明の経口用液体組成物は、内服液剤または飲料として経口投与または経口摂取される。投与量または摂取量は、特に制限はなく、目的に応じ適宜選択することができる。例えば成人においては、一回当たりの(A)成分の摂取量(投与量)が0.03〜10g、(B)成分の摂取量(投与量)が0.1〜250mgの範囲内となるように摂取(投与)することが好ましい。1日の摂取(投与)回数は、通常1〜6回程度であり、1回が好ましい。
【0024】
本発明の経口用液体組成物は、(A)成分および(B)成分を同時に含むことによる外観(色)および香味の経時変化が抑制されており、経時安定性に優れる。また、(A)成分および(B)成分を同時に含むことから、該経口用液体組成物を内服液剤または飲料として経口投与または経口摂取することにより、高い疲労回復効果が期待される。
さらに、肉体疲労時の栄養補給や滋養強壮を目的としたドリンク剤には一般的に、味の調整を目的として、比較的多量(20〜60w/v%程度)の砂糖が配合されているが、近年、カロリー低減のため低糖化が求められる傾向がある。本発明の経口用液体組成物は、(C)成分を配合することで香味の経時変化が抑制されているため、味の調整のために砂糖を配合する場合でも、(C)成分を含まない場合に比べて少ない配合量で所望の効果が得られる。
【実施例】
【0025】
本発明について、実施例を示してさらに具体的に説明する。ただし本発明はこれらの限定されるものではない。
本実施例で用いた原料は以下のとおりである。
グルクロノラクトン:中外製薬(株)製「グロンサン原末」。
チアミン硝化物:和光純薬工業(株)製「チアミン硝酸塩」。
ガラクトオリゴ糖:ヤクルト薬品工業(株)製「オリゴメイト55N」(主に2〜6糖)。
フラクトオリゴ糖:(株)明治フードマテリアル製「メイオリゴP」(主に2〜5糖)。
イソマルトオリゴ糖:昭和産業(株)製「イソマルト900」(主に2〜4糖)。
キシロオリゴ糖:サントリーウェルネス(株)製「キシロオリゴ70」(主に2〜12糖)。
ニゲロオリゴ糖:日本食品化工(株)製「テイストオリゴ」(主に2〜4糖)。
ラフィノース:日本甜菜製糖(株)製「ニッテンラフィノース」(3糖)。
乳果オリゴ糖:塩水港精糖(株)製「L−55L」(主に2〜3糖)。
【0026】
<実施例1〜6、比較例1〜3、実施例7〜18>
表1〜3に示す組成の経口用液体組成物を調製した。表中、各成分の配合量の単位はg/100mLであり、精製水の「残部」は経口用液体組成物の全量が100mLとなる量である。表中、pHは、25℃におけるpHであり、pH計(HM−30R:東亜ディーケーケー(株)製)を用いて測定した。
得られた経口用液体組成物を容量50mL充填用ガラス瓶に50mL充填し、スクリュー栓をした後、70℃の恒温槽中に2日間保存した。この経口用液体組成物(70℃2日間保存品)について、以下の評価を行った。結果を表1〜3に示す。
・外観(色)の評価:
保存後室温まで放冷した後、色差計(Spectro Color Meter:日本電色工業(株)製)を用いて、5℃2日間保存品を対照として色差(ΔE*ab値)を測定した。
【0027】
・香味の評価:
健康な成人10名を選び、70℃2日間保存品の香味を5℃2日間保存品と比較して以下の基準で評価し、10名の平均値を算出した。
[香味の評価基準]
0点:5℃2日間保存品に比べて、変化していない。
1点:5℃2日間保存品に比べて、極わずかに変化している。
2点:5℃2日間保存品に比べて、少し変化している。
3点:5℃2日間保存品に比べて、明らかに変化している。
4点:5℃2日間保存品に比べて、かなり変化している。
5点:5℃2日間保存品に比べて、非常に変化している。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
上記結果に示すとおり、実施例1〜18の経口用液体組成物はいずれも、ΔE*ab値が5.50未満であり、外観(色)の経時安定性が良好であった。また、香味についても、評価の平均値が2.0点以下であり、経時安定性が良好であった。
一方、(A)成分および(B)成分のみを含有する比較例1、(C)成分の代わりに乳果オリゴ糖または白糖を配合した比較例2、3は、いずれも、ΔE*ab値が5.50を超えており、香味評価の平均値も4.0点を超えており、外観、香味ともに経時安定性が悪かった。
なお、グルクロノラクトンの3W/V%水溶液、チアミン硝化物の0.03W/V%水溶液についてそれぞれ上記と同様の評価を行ったところ、グルクロノラクトンの3W/V%水溶液のΔE*ab値は0.50、香味評価の平均値は0.1であり、チアミン硝化物の0.03W/V%水溶液ΔE*ab値は0.10、香味評価の平均値は0.2であり、外観および香味の変化はほとんど生じていなかった。
【0032】
<実施例19〜43>
内服液剤の処方例として、表4〜6に示す組成の経口用液体組成物を常法により調製した。表中、各成分の配合量の単位はg/100mLであり、精製水の「残部」は経口用液体組成物の全量が100mLとなる量である。また、希塩酸、水酸化ナトリウムの「適量」は、所定のpHに調節するために用いた量である。pHは、前記と同様、25℃におけるpHである。
得られた経口用液体組成物について、香味の評価を前記と同様にして行った。結果を表4〜6に示す。
該結果に示すとおり、実施例19〜43の経口用液体組成物はいずれも香味評価の平均値が2.0点以下であり、経時安定性が良好であった。また、70℃2日間保存品を目視にて観察し、5℃2日間保存品と比較したところ、外観(色)の変化は認められなかった。
【0033】
【表4】

【0034】
【表5】

【0035】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グルクロノラクトンと、(B)チアミン、チアミン誘導体およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、(C)ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖およびラフィノースからなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴ糖と、を含有することを特徴とする経口用液体組成物。

【公開番号】特開2011−132156(P2011−132156A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292067(P2009−292067)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】