説明

経口組成物

【課題】しわやたるみ等を有効に予防又は改善することができる経口組成物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、[A]ツバキ種子エキス、及び[B]N−アセチルグルコサミンを含有し、[A]ツバキ種子エキス100質量部に対する[B]N−アセチルグルコサミンの配合量が50質量部以上100質量部以下である経口組成物である。上記経口組成物は、さらにコラーゲン、大豆ペプチド及びアスタキサンチンからなる群より選択される1種又は2種以上を含有するとよい。上記経口組成物は、医薬品、医薬部外品又は食品であるとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老化によって皮膚に生じるしわやたるみは、女性にとって大きな関心事であり、多くの美肌に関連する化粧品や食品が市販されている。皮膚のしわやたるみは、主に、乾燥、紫外線、活性酸素及び加齢によって真皮中のコラーゲンやエラスチン等が変性、破壊されることにより生じる。皮膚は外側から角層、表皮層、基底膜及び真皮より構成されており、真皮はその中でも最も領域の広い部分である。この真皮は、コラーゲンとエラスチンからなる網目構造の隙間に、ヒアルロン酸等のムコ多糖類が充填されて構成されている。
【0003】
特に、加齢と共にしわやたるみ等が増え、皮膚のつややハリが失われる原因としては、真皮中に含まれるコラーゲンやヒアルロン酸の減少が挙げられる。これは、加齢と共にコラーゲンやヒアルロン酸の分解量の方が、その合成量を上回るためである。従来、しわやたるみの解消方法として、コラーゲンを含む食品等を経口摂取する方法や皮膚に直接コラーゲンを注入する方法が採用されているが、コラーゲンは経口摂取しても体内で消化、分解されてしまうためコラーゲンの形態で真皮まで届かず、また皮膚に直接注入されるコラーゲンは皮膚から速やかに消失してしまうため、いずれもしわやたるみを有効に改善することができない。
【0004】
このコラーゲンは、真皮中の線維芽細胞により生産される。このため、近年、しわやたるみを解消する有効成分として、真皮中の線維芽細胞の増殖を促進する成分の探索が盛んに行われている。このような成分としては、クロレラ水抽出物、アロエベラ抽出物、ウチワサボテン抽出物、キョウニン抽出物、パッションフラワー抽出物等の植物成分が多く報告されている。
【0005】
このような状況において、ツバキ科ツバキ属に属するツバキ(Camellia japonica)の種子から得られるエキスを有効成分として含有する繊維芽細胞増殖促進剤が提案されているが(例えば特開2008−137998号公報)、より美肌改善効果に優れ、また美肌改善以外の効果をも同時に得られる経口組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−137998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、線維芽細胞を活性化させ美肌効果、つまりしわやたるみの予防又は改善効果が高く、またむくみ、関節痛、疲れ目の予防又は改善効果等が得られる経口組成物の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、ツバキ科ツバキ属に属するツバキ種子エキス、及びN−アセチルグルコサミンを組み合わせた組成物を経口摂取した場合、真皮中の線維芽細胞が活性化され、コラーゲン及びヒアルロン酸の産生が促進されるため、しわやたるみ等の予防又は改善効果が得られるだけでなく、例えばむくみ、関節痛、疲れ目の予防又は改善効果、髪の伸長促進効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、[A]ツバキ種子エキス、及び[B]N−アセチルグルコサミンを含有し、[A]ツバキ種子エキス100質量部に対する[B]N−アセチルグルコサミンの配合量が50質量部以上100質量部以下である経口組成物である。
【0010】
当該経口組成物は、[A]ツバキ種子エキス100質量部に対して[B]N−アセチルグルコサミンを50質量部以上100質量部以下という特定の割合で配合することで、当該組成物を経口摂取した場合、真皮中に含まれる線維芽細胞を飛躍的に活性化させることでコラーゲン及びヒアルロン酸の産生を促進し、しわやたるみ等を有効に予防又は改善することができる。また、むくみ、関節痛、疲れ目の予防又は改善効果、髪の伸長促進効果をも得ることができる。
【0011】
当該経口組成物は、上記成分に加えてさらに、コラーゲン、大豆ペプチド及びアスタキサンチンからなる群より選択される1種又は2種以上を含有するとよい。これらの成分はいずれも保湿作用、抗酸化作用、血行促進作用等の美肌を促進する効果があるため、上記成分と共に経口摂取することによりしわやたるみだけでなく、皮膚のかさつき、くすみ、シミ・ソバカス、吹き出物を予防又は抑制したり、肌のキメを揃え、化粧のノリを良くすることができる。また、むくみ、関節痛、疲れ目の予防又は改善効果、髪の伸長促進効果をより向上することができる。
【0012】
当該経口組成物は、医薬品、医薬部外品、又は食品であるとよい。当該経口組成物は、上述の各種成分を含有し、いずれの成分も経口摂取可能であるため医薬品、医薬部外品、又は食品としての用途が好ましい。特に、サプリメントやドリンク等の食品としての用途が毎日の生活で気軽に取り入れることができるためより好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、当該経口組成物は、[A]ツバキ種子エキス、及び[B]N−アセチルグルコサミンを含有することにより、しわやたるみ等を有効に予防又は改善し、優れた美肌効果を有するうえに、むくみ、関節痛、疲れ目の予防又は改善効果、髪の伸長促進効果をも得ることができる。また、当該経口組成物をサプリメントやドリンク等の食品に配合し、あるいは医薬品又は医薬部外品として継続して経口摂取することにより、真皮中のコラーゲン及びヒアルロン酸の合成を促進し、肌のハリや潤いを維持し、しわやたるみだけでなく、シミ、クスミ、乾燥肌、日焼け肌を有効に防止、抑制することができ、更にむくみ、関節痛、疲れ目の予防又は改善効果等をも得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当該経口組成物は、[A]ツバキ種子エキス、及び[B]N−アセチルグルコサミンを必須成分として含有し、任意成分としてコラーゲン、大豆ペプチド及びアスタキサンチンからなる群より選択される1種又は2種以上を含有する。
【0015】
<[A]ツバキ種子エキス>
ツバキ種子エキスは、ツバキ科ツバキ属(Camellia japonica)に属するツバキの種子から得られる抽出物である。このようなツバキとしては、例えば、ヤブツバキ(C.japonica var.japonica)、ユキツバキ(C.japonica subsp.rusticana)、リンゴツバキ(C.japonica
var.macrocarpa)、ホウザンツバキ(C.japonica subsp.hozanensis)、ホンコンツバキ(C.hongkongenesis)、トウツバキ(C.reticulata)、サルウィンツバキ(C.saluenensis)、ピタールツバキのピタルディー種(C.pitardii var.pitardii)及びユンナン種(C.pitardii var.yunnanica)、金花茶(C.nitidissima)、ヤマツバキ(ヤブツバキと同種)、山茶花(ヤブツバキと同種)、ヤクシマツバキ(リンゴツバキと同種)等が挙げられる。
【0016】
ツバキ種子エキスは、上記ツバキから得られる種子を粉砕、圧搾後、公知の方法で精製して得られる水性成分であり、主にサポニン、タンニン、ケンフェロール及びこれらの配糖体等が含まれる。ツバキ種子エキスの製造方法としては、例えばツバキの種子を粉砕、圧搾後、ヘキサンやヘプタン等の疎水性有機溶媒又は液化二酸化炭素、液化プロパン等の液化ガスを用いて油性成分を抽出除去し、その残渣である脱脂粕から公知の水性溶媒を用いて抽出する方法が挙げられる。具体的には、上記脱脂粕を水及び/又は低級アルコールを用いて抽出処理する方法が好ましく、油性成分が混ざらないように、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノールなどの炭素数が小さい低級アルコール及び/又は水を用いることがより好ましい。炭素数が大きい低級アルコールを使用する場合には、脱脂粕中の油性成分の抽出を抑制するために含水率を高めることが好ましく、例えば、プロパノールを用いる場合は含水率を20重量%以上50重量%以下程度とし、ブタノールを用いる場合は含水率を40重量%以上70重量%以下程度とすることが好ましい。脱脂粕からの水性成分の抽出には、脱脂粕1重量部に対して上記水性溶媒を1重量倍〜30重量倍程度加え、常圧又は1〜5気圧の加圧下にて、常温〜約120℃の範囲で、約10分〜約3時間、必要に応じて撹拌しながら抽出すればよい。この抽出液を、常温に冷却して濾過し、濾液を減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の適当な手段により濃縮、乾燥させてもよい。なお、乾燥物は適宜に粉砕処理してもよいし、精製処理に供してもよい。
【0017】
当該経口組成物における上記ツバキ種子エキスの含有量の上限としては、例えばソフトカプセル一粒あたり250mgが好ましく、150mgがより好ましく、100mgが更に好ましい。一方、ツバキ種子エキスの上記含有量の下限としては、例えば、1mgが好ましく、5mgがより好ましく、10mgが更に好ましい。当該経口組成物における上記ツバキ種子エキスの含有量を上記範囲とすることにより、ツバキ種子エキスの有する繊維芽細胞の賦活作用、ひいてはコラーゲン産生促進作用及びヒアルロン酸産生促進作用等を有効に得ることができる。
【0018】
<[B]N−アセチルグルコサミン>
N−アセチルグルコサミンは、グルコースから誘導される単糖で、体内で代謝されヒアルロン酸の原料となる成分である。N−アセチルグルコサミンは、D−グルコサミン塩酸塩を化学合成によりアセチル化して得られる合成物や、発酵産物、カニ、エビ等のキチンを加水分解して得られる天然物由来の分解産物等、いずれのものも使用することが出来るが、キチンを分解して得られる天然物由来のものが好ましい。
【0019】
当該経口組成物における、上記N−アセチルグルコサミンの含有量の上限としては、例えばソフトカプセル一粒あたり200mgが好ましく、150mgがより好ましく、100mgが更に好ましい。一方、N−アセチルグルコサミンの上記含有量の下限としては、例えば、1mgが好ましく、5mgがより好ましく、10mgが更に好ましい。当該経口組成物における上記N−アセチルグルコサミンの含有量を上記範囲とすることにより、N−アセチルグルコサミンの有する皮膚の老化防止作用や細胞の賦活作用、コラーゲン産生促進作用及びヒアルロン酸産生促進作用等を有効に得ることができる。
【0020】
当該経口組成物における、上記[A]ツバキ種子エキス、及び[B]N−アセチルグルコサミンの含有比率は[A]ツバキ種子エキス100質量部に対する[B]N−アセチルグルコサミンの配合量が50質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましく、65質量部以上85質量部以下であることがさらに好ましく、75質量部の割合で配合することが最も好ましい。当該経口組成物における、ツバキ種子エキス及びN−アセチルグルコサミンの含有比率を上記範囲とすることにより、真皮中の繊維芽細胞をより活性化させ、コラーゲン及びヒアルロン酸の合成を促進することができる。その結果、真皮中に含まれるコラーゲン及びヒアルロン酸の分解量よりも、その合成量の方が上回ることで、皮膚のしわやたるみ等の症状を予防又は改善することができる。
【0021】
<コラーゲン>
コラーゲンは商業上容易に入手可能な成分であり、当該経口組成物に用いられるコラーゲンには、例えば牛、豚、鶏等動物由来の皮脂や骨等から抽出して得られるもの、魚類由来の皮、骨、軟骨又は鱗等を原料として常法により処理して得られるもの、もしくはそれらの抽出液を酸、アルカリ又は酵素で加水分解して得られるコラーゲンペプチド、又はコラーゲン蛋白の熱水抽出物であるゼラチンも含まれる。これらのコラーゲンは、市販品を利用すればよく、1種を単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。なかでも、魚類由来のコラーゲンが好ましく、魚類由来のコラーゲンを加水分解して得られるコラーゲンペプチドがより好ましい。コラーゲンペプチドの分子量は体内で効果的に吸収されるように約1,000〜約100,000が好ましく、約5,000〜約70,000がより好ましい。
【0022】
当該経口組成物における、上記コラーゲンの含有量の上限としては、例えばソフトカプセル一粒あたり150mgが好ましく、100mgがより好ましく、80mgが更に好ましい。一方、コラーゲンの上記含有量の下限としては、例えば1mgが好ましく、5mgがより好ましく、10mgが更に好ましい。当該経口組成物における上記コラーゲンの含有量を上記範囲とすることにより、コラーゲンの有する保湿作用等を有効に得ることができる。
【0023】
当該経口組成物における、[A]ツバキ種子エキスに対する上記コラーゲンの含有比率としては、[A]ツバキ種子エキス100質量部に対してコラーゲンの配合量が50質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましく、65質量部以上85質量部以下であることがさらに好ましく、75質量部の割合で配合することが最も好ましい。当該経口組成物におけるコラーゲンの含有比率を上記範囲とすることにより、[A]ツバキ種子エキスの繊維芽細胞賦活作用がより活性化され、コラーゲン及びヒアルロン酸の合成をさらに促進することができる。
【0024】
<大豆ペプチド>
大豆ペプチドは、大豆に含まれるタンパク質を加水分解して得られる成分である。大豆ペプチドの調製・入手方法は特に限定されるものではなく、例えば、大豆を脱脂して脱脂豆乳を製造した後、これをそのままタンパク質分解酵素により処理するか、あるいはさらに大豆タンパク質を分離してこれを酵素処理することにより得ることができる。また、精製した大豆ペプチドも市販されており、好適に用いることができる。
【0025】
当該経口組成物における、上記大豆ペプチドの上限としては、例えばソフトカプセル一粒あたり100mgが好ましく、80mgがより好ましく、50mgが更に好ましい。一方、大豆ペプチドの上記含有量の下限としては、例えば0.1mgが好ましく、0.5mgがより好ましく、1mgが更に好ましい。当該経口組成物における上記大豆ペプチドの含有量を上記範囲とすることにより、大豆ペプチドの有する保湿作用、エネルギー代謝促進作用等を有効に得ることができる。
【0026】
当該経口組成物における、[A]ツバキ種子エキスに対する上記大豆ペプチドの含有比率としては[A]ツバキ種子エキス100質量部に対して大豆ペプチドの配合量が10質量部以上40質量部以下であることが好ましく、15質量部以上35質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部の割合で配合することが最も好ましい。当該経口組成物における大豆ペプチドの含有比率を上記範囲とすることにより、[A]ツバキ種子エキスの繊維芽細胞賦活作用がより活性化され、コラーゲン及びヒアルロン酸の合成をさらに促進することができる。
【0027】
<アスタキサンチン>
アスタキサンチンは、甲殻類やサケ科魚類の赤身部分等に含まれる色素物質であり、β−カロテンやリコピン等と同じカロテノイドの一種である。当該経口組成物に用いられるアスタキサンチンは、上記天然物由来のものの他、常法に従って得られるものであればいずれも使用可能であり、アスタキサンチンだけでなくアスタキサンキチンのエステル等の誘導体も含まれる。アスタキサンチンを天然物から分離する場合、例えば、赤色酵母ファフィア、ヘマトコッカス藻、海洋性微生物等を培養し、その培養物からヘキサン、エタノール等の溶剤で抽出したもの、オキアミ等から溶剤で抽出した抽出物を挙げることができる。
【0028】
当該経口組成物における、上記アスタキサンチンの上限としては、例えば、ソフトカプセル一粒あたり100mgが好ましく、80mgがより好ましく、50mgが更に好ましい。一方、アスタキサンチンの上記含有量の下限としては、例えば、0.1mgが好ましく、0.5mgがより好ましく、1mgが更に好ましい。当該経口組成物における上記アスタキサンチンの含有量を上記範囲とすることにより、アスタキサンチンの有する抗酸化作用等を有効に得ることができる。
【0029】
当該経口組成物における、[A]ツバキ種子エキスに対する上記アスタキサンチンの含有比率としては、[A]ツバキ種子エキス100質量部に対してアスタキサンチンの配合量が5質量部以上20質量部以下であることが好ましく、7質量部以上18質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましく、12.5質量部の割合で配合することが最も好ましい。当該経口組成物におけるアスタキサンチンの含有比率を上記範囲とすることにより、[A]ツバキ種子エキスの繊維芽細胞賦活作用がより活性化され、コラーゲン及びヒアルロン酸の合成をさらに促進することができる。
【0030】
<任意成分>
当該経口組成物にはさらに、医薬品、医薬部外品及び食品用添加物として使用される成分、例えばビタミンE、賦形剤、酸味剤、人口甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、増量剤等を本発明の効果を損なわない範囲において適宜添加することができる。
【0031】
<ビタミンE>
ビタミンEは、特に限定されず、例えば、トコフェロール及びその誘導体、トコトリエノール及びその誘導体等を挙げることができる。これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。トコフェロール及びその誘導体としては、例えば、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等が挙げられる。また、トコフェロール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。トコトリエノール及びその誘導体としては、例えばα−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が挙げられる。また、トコトリエノール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。なお、トコトリエノールとは麦類、米糠、パーム油等に含まれるトコフェロール類似化合物であり、トコフェロールの側鎖部分に二重結合が3個含まれ、優れた酸化防止性能を有する成分である。
【0032】
当該経口組成物における上記ビタミンEの含有量の上限としては、例えば、ソフトカプセル一粒あたり100mgが好ましく、80mgがより好ましく、50mgが更に好ましい。一方、ビタミンEの上記含有量の下限としては、例えば、0.1mgが好ましく、0.5mgがより好ましく、1mgが更に好ましい。当該経口組成物における上記ビタミンEの含有量を上記範囲とすることにより、ビタミンEの有する抗酸化作用、血行促進作用等を有効に得ることができる。
【0033】
当該経口組成物における、[A]ツバキ種子エキスに対する上記ビタミンEの含有比率としては、[A]ツバキ種子エキス100質量部に対してビタミンEの配合量が5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、6質量部以上9質量部以下であることがより好ましく、7.5質量部の割合で配合することが最も好ましい。当該経口組成物におけるビタミンEの含有比率を上記範囲とすることにより、[A]ツバキ種子エキスの繊維芽細胞賦活作用がより活性化され、コラーゲン及びヒアルロン酸の合成をさらに促進することができる。
【0034】
上記賦形剤としては特に制限されないが、例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
【0035】
上記酸味剤としては特に制限されないが、例えばクエン酸(無水クエン酸)、酒石酸、リンゴ酸等を挙げることができる。
【0036】
上記人口甘味料としては特に制限されないが、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチンニカリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等を挙げることができる。
【0037】
上記香料としては特に制限されないが、合成香料又は天然香料のいずれでもよく、例えばメントール、レモン、ライム、オレンジ、ストロベリー等を挙げることができる。
【0038】
上記滑沢剤としては特に制限されないが、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、硬化植物油等を挙げることができる。また、該滑沢剤としてポリエチレングリコールを用いる場合には、有効成分の経日的分解が抑制されることにより安定な固形剤を得ることができる。
【0039】
上記着色剤としては特に制限されないが、例えば、食用赤色2号、食用黄色5号、食用青色2号等の医薬品又は食品に添加可能なものを挙げることができる。
【0040】
上記増量剤としては特に制限されないが、例えば、デンプン、D−マンニット、ブドウ糖、食塩等を挙げることができる。
【0041】
当該経口組成物は、医薬品、医薬部外品及び食品として使用できる。当該経口組成物をこれらの用途で使用する際の上記各種成分の含有量、剤型等は用途に応じて適宜決定すればよい。当該経口組成物は、上記各種成分を含有する組成物として、固体又は液体等いずれの形態でも使用することができ、例えば、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル)、錠剤、シロップ、飲料等の形態に加工しても良く、なかでもカプセル剤の形態が好ましく、とりわけ、ソフトカプセルの形態がより好ましい。カプセル剤のカプセルを構成する基材としては特に制限されず、例えば、牛骨、牛皮、豚皮、魚皮等を由来とするゼラチン、カラギーナン、アルギン酸等の海藻由来成分、ローカストビーンガムやグアーガム等の植物種子由来成分、プルラン、カードラン等の微生物由来成分やセルロース類を含む成分を適宜使用すればよい。
【0042】
当該経口組成物を食品として用いる場合、例えばパン、ビスケット、キャンディー、ゼリーなどのパン・菓子類;ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品;味噌、ソース、タレ、ドレッシングなどの調味料;豆腐、めん類などの加工食品;マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品;粉末飲料、粉末スープなどの粉末食品;カプセル状、タブレット状、粉末状、顆粒状などにしたサプリメントタイプの健康食品等が挙げられる。また、当該経口組成物を飲料として用いる場合は、例えば、スポーツ飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、アルコール飲料、ビタミン・ミネラル飲料等に添加することが挙げられる。さらに、加工乳、豆乳、体質改善のための飲料、生理効果を期待できる天然素材を組み合わせた飲料、ドリンク剤などの経口医薬品等に添加することも可能である。例えば、清涼飲料に添加する場合は、ベースとなる飲料の濃縮液に必要量の当該経口組成物を添加し、撹拌混合した後、飲用水を用いて希釈し、更に、これをビン又はペットボトル等の包材に充填した後、加熱殺菌処理を適宜施せばよい。
【0043】
当該経口組成物は、どのような年齢の人でも男女問わずに使用可能であるが、特に、しわやたるみが気になる例えば40歳以上の中高年齢の男女が好適に使用できる。また、健常人の他、皮膚(特に真皮)に損傷を受けた人も好適に使用できる。
【0044】
当該経口組成物の摂取方法としては、例えば、上記各種成分をソフトカプセルに充填した場合、一日に3粒程度摂取すればよく、特に朝に1粒、夜に2粒摂取することがより好ましい。これは、肌の代謝が午後8時頃から午前4時頃にかけて最も活発になるためである。
【0045】
本発明における「美肌」とはしわやたるみを予防又は改善することの他、皮膚の張り、弾力性、透明感を向上させること、皮膚のかさつき、くすみ、シミ・ソバカス、吹き出物を予防又は抑制すること、肌のキメを揃え、お化粧のノリを良くすること等が含まれる。
【0046】
また、本発明における「予防」とは、しわやたるみ等を完全に抑えることのほか、しわやたるみ等の症状の進行を抑制することを含み、「改善」とは、しわやたるみ等を完全に解消することのほか、これらの症状を軽減することを含むものとする。
【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。以下の実施例において、特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
【0048】
[製造例1]
下記の処方により各成分を混合して、常法によりゼラチンカプセルに充填しサプリメントを作成した。
【0049】
【表1】

【0050】
<試験例1:水分及び油分の変化量(その1)>
40代の女性10名を被験者として、上記製造例1で得られたサプリメントを1日2回(朝1粒、夜就寝前に2粒)、3週間継続して摂取してもらい、肌の水分量と油分量を測定し、その変化率の平均値を算出した。なお、水分の測定はコルネオメーター(Corneometer)(登録商標)CM825(株式会社インテグラル)、油分の測定はセブメーター(Sebumeter)(登録商標)SM815(株式会社インテグラル)を用いた。結果を下記の表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
<試験例2:水分及び油分の変化量(その2)>
40代の女性10名を被験者として、上記製造例1で得られたサプリメントを1日2回(朝1粒、夜就寝前に2粒)、4週間継続して摂取した後、サプリメントを服用しない期間を2週間設けた。摂取開始前から2週間毎の肌の水分量と油分量を測定し、その変化率の平均値を算出した。なお、水分及び油分の測定は上記試験例1と同様の機器を用いて測定した。結果を下記の表3に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
上記表2から、製造例1で得られたサプリメントを1日2回継続して服用することによって肌の水分量及び油分量が増加することがわかる。よって、本願発明のサプリメントは加齢等の理由により水分及び油分が不足している肌への水分及び油分の補給に好適に用いることができる。また、上記表3からは、サプリメントを4週間継続して摂取した後は、サプリメントの摂取を止めた後でも2週間の間は、肌の水分量は徐々に低下するものの、肌の油分量はそのまま上昇していることがわかる。よって、本願発明のサプリメントは、連続して服用する期間と、服用しない期間とを交互に設けても一定の効果を持続して得られることが推測される。
【0055】
<試験例3:美肌作用>
20代から60代の女性10名を被験者として、下記のサプリメントA〜Cを1日2回(朝1粒、夜就寝前に2粒)、1ヶ月間ずつ継続して摂取してもらい、肌に対する変化を調査した。なお、サプリメントA〜Cの外観はいずれも同一で、サプリメントAを1ヶ月間継続して摂取した後、次のサプリメントBの服用を開始する前に、準備期間としてサプリメントを服用しない期間を1ヶ月間設けた。
【0056】
【表4】

【0057】
サプリメントを1ヶ月間継続して摂取した後の肌状態(しっとり感、キメ、張り等)の評価を下記の評価点基準に基づいて評価した。次いで、各評価点の平均を算出した。
【0058】
(肌状態の評価点基準)
5点:非常に良くなった。
4点:良くなった。
3点:変化なし。
2点:悪化した。
1点:非常に悪化した。
【0059】
(結果)
上記評価の結果を下記表5に示す。
【0060】
【表5】

【0061】
ツバキ種子エキス末のみを含有するサプリメントAを摂取した後は、例えば何となく肌がしっとりした気がする、肌質が良くなった気がする等、何らかの効果は得られたものの肌状態の改善効果の実感はあまり得られなかった。また、ツバキ種子エキス末とN−アセチルグルコサミンを含有するサプリメントBを摂取した後は、肌がしっとりしたという実感に加え、例えば、肌に艶が出た、カサツキが改善された等の具体的な改善効果が得られた。さらに、ツバキ種子エキス末、N−アセチルグルコサミン及びアスタキサンチンを含有するサプリメントCを摂取した後は、肌の張り、艶、キメが改善された、肌荒れやシミが消失した、化粧のノリが良くなった、むくみがとれた、関節痛がやわらいだ、目の疲れが軽くなった等全ての被験者に肌状態の確かな改善効果が得られた。
【0062】
<試験例4:発毛、育毛、養毛作用>
上記試験例1と同様に、10人の被験者に3種類のサプリメントをそれぞれ1ヶ月間継続して摂取してもらい、摂取した後の毛髪の状態(発毛、育毛、養毛作用)の評価を上記の評価点基準に基づいて評価した。次いで、各評価点の平均を算出した。評価結果を下記表6に示す。
【0063】
【表6】

【0064】
サプリメントA及びサプリメントBを摂取した後は、毛髪に関する変化があまり得られなかったのに対して、ツバキ種子エキス末、N−アセチルグルコサミン及びアスタキサンチンを含有するサプリメントCを摂取した後は、抜け毛が減った、髪の毛に張りやコシがでた、毛が太くなった、毛の弾力が増した、毛髪の本数が増えた等全ての被験者に毛髪の発毛、育毛、養毛効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
当該経口組成物は、真皮中に含まれる線維芽細胞を活性化させることでコラーゲン及びヒアルロン酸の産生を促進することができ、しわやたるみ等を有効に予防又は改善することができ、更にむくみ、関節痛、疲れ目の予防又は改善効果、髪の伸長促進効果をも得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]ツバキ種子エキス、及び
[B]N−アセチルグルコサミン
を含有し、
[A]ツバキ種子エキス100質量部に対する[B]N−アセチルグルコサミンの配合量が50質量部以上100質量部以下である経口組成物。
【請求項2】
さらに、コラーゲン、大豆ペプチド及びアスタキサンチンからなる群より選択される1種又は2種以上を含有する請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
美肌促進剤である請求項1又は請求項2に記載の経口組成物。
【請求項4】
発毛、育毛及び/又は養毛剤である請求項1又は請求項2に記載の経口組成物。
【請求項5】
100mg/kg体重以上150mg/kg体重以下の[A]ツバキ種子エキスが、1日当たりヒトに対して経口投与されるように用いられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の経口組成物。

【公開番号】特開2012−67082(P2012−67082A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174025(P2011−174025)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(510227872)
【出願人】(510228190)
【Fターム(参考)】