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経口組成物
説明

経口組成物

【課題】酢酸および杜仲加工物のそれぞれが有する独特の臭気を抑制し、経口摂取しやすい組成物を提供する。
【解決手段】酢酸および杜仲加工物を含有する経口組成物である。また、杜仲加工物を酢酸の臭気と接触させることを特徴とする酢酸の消臭方法、および酢酸を杜仲加工物の臭気と接触させることを特徴とする杜仲加工物の消臭方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸および杜仲加工物を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
古来より、酢は単なる調味料としてだけではなく、健康増進効果のあるものとして飲用されてきた。酢には、アミノ酸、クエン酸、酢酸などの有機酸をはじめとした有用な栄養成分が含まれている。しかしながら、その栄養成分、特に酢酸が原因で酢には独特の酢酸臭が生じ、飲用時にむせ返ることも多く、常用するのが難しいという問題がある。現在、市販の酢にはリンゴ、グレープフルーツ、ブルーベリーなどのフルーツから作られたものがあり、このような飲みやすさが考慮された製品も増えてきているが、酢酸臭が消失したものではなく、常用するにはやはり問題があった。
【0003】
一方、中国原産の落葉性植物である杜仲科杜仲は、生薬として神農本草経の上品に収載されている。現在、生薬として用いられている杜仲は、ほとんど中国大陸で自生または栽培されているものであって、樹齢20年程度の成木を伐採し、その樹皮を剥離し、得られた皮部分を薬用原料として用いている。杜仲の薬効としては、中薬大辞典、中華人民共和国薬典には「肝腎を補う、肋骨を強める、胎を安らげる効能があり、腰、背の酸痛、足膝萎弱(膝の麻痺)、残尿、女性の不正出血、早流産、高血圧を治す」などと記載されており、薬効成分としてピノレジノール・ジ−O−β−D−グルコシド(Pinoresinol−di−O−β−D−glucoside)などのイリドイド類化合物やその他のリグナン(Lignan)類化合物が含まれていると報告されている。このような有効性が広く知られているため、生薬を調理したり、葉を焙煎して茶として飲用されているが、やはり独特な臭気があるため、一般的には受け入れにくいものとなっている。
【0004】
ところで、杜仲には、例えばニンニク臭を抑制できることが知られているが(特許文献1参照)、ニンニク臭をマスキングするものであって、杜仲そのものの臭気を抑えることは知られていなかった。また、杜仲が他の臭気を抑制できることも知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−289952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酢酸および杜仲加工物のそれぞれが有する独特の臭気をともに抑制し、経口摂取しやすい組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、酢酸および杜仲加工物を含有する経口組成物に関する。また、本発明は、杜仲加工物を酢酸の臭気に接触させることを特徴とする酢酸の消臭方法、および酢酸を杜仲加工物の臭気と接触させることを特徴とする杜仲加工物の消臭方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酢酸および杜仲加工物をともに使用することで、酢酸および杜仲加工物のそれぞれが有する独特の臭気を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の経口組成物は、酢酸および杜仲加工物を含有する。
【0010】
本発明に用いられる酢酸としては、酢酸、氷酢酸など種々のものが挙げられる。また、酢酸を含有する酢を用いることもできる。酢としては、特に限定されないが、たとえば、米酢、米黒酢、大麦黒酢などの穀物酢、りんご酢、ぶどう酢などの果実酢、合成酢などが挙げられる。酢には、主原料や発酵、合成方法などによるが、2〜10重量%程度の酢酸が含まれている。本発明において、酢酸として酢を用いる場合、酢は液体としても、粉末としても使用することができるが、粉末として使用することが好ましい。なかでも、酸度が高く、杜仲加工物の臭気を効果的に抑制できる点から、米酢酸および米黒酢酸が好ましく、米黒酢酸がより好ましい。
【0011】
本発明において、酢を粉末として使用する場合、酢を乾燥処理に供して得ることができる。以下に、酢の乾燥条件について説明する。
【0012】
酢は濾過等により不溶物が除去され、必要に応じて、濃縮した後に、乾燥処理に供される。酢の乾燥方法としては、特に制限されず、例えば、スプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、スプレードライ法が好適である。
【0013】
酢を乾燥処理(特に、スプレードライによる乾燥処理)に供する場合、酢に賦形剤を添加することが望ましい。このように賦形剤を添加することにより、酢由来成分(酢酸、アミノ酸、クエン酸など)の含有量を高めることができるだけでなく、乾燥時間を短縮すると共に、乾燥後の酢粉末の吸湿性を低減させることが可能となり、その後の取り扱いも容易になる。
【0014】
酢の乾燥処理に際して添加される賦形剤としては、特に制限されず、例えば、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、夕ルク、酸化チタン等の無機賦形剤;セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のデンプン類;デキストリン、ゼラチン等が挙げられる。これらの賦形剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
酢の乾燥処理に際して添加される賦形剤の量(即ち、酢粉末に含まれる賦形剤量)としては、特に制限されるものではないが、例えば、酢の乾燥重量100重量部当たり、賦形剤が20〜300重量部、好ましくは50〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部が挙げられる。
【0016】
本発明において、酢は、市販の酢および酢粉末を制限なく使用することができる。例えば、酢粉末としては、サンライフ株式会社製「禄豊香酢粉末」、タマノイ酢株式会社製「粉末酢」等を挙げることができる。市販の酢粉末には、3〜8重量%程度の酢酸が含有されており、本発明において好適に使用される。
【0017】
本発明の経口組成物において、酢酸の含有量は、特に制限されないが、例えば、当該経口組成物の総量当たり、0.1〜2.5重量%であることが好ましく、0.1〜2重量%であることがより好ましく、0.1〜1.5重量%であることがさらに好ましい。この範囲内であれば、杜仲加工物の杜仲臭を効果的に抑制することができる。
【0018】
また、本発明の経口組成物において、酢を含有する場合、酢に含まれる酢酸量によって変動するが、例えば、当該経口組成物の総量当たり、酢の酢成分量換算で1〜20重量%であることが好ましく、2〜10重量%であることがより好ましい。本明細書において、「酢成分量」とは酢由来の固形分量であり、酢粉末に賦形剤が含まれている場合には、当該賦形剤含量を除いて換算される値である。
【0019】
本発明に用いられる杜仲加工物は、杜仲(Eucommia ulmoides oliver)の粉砕物(粗粉末、細粉末のいずれも含む)、杜仲を溶剤で抽出して得られる抽出物、その希釈液、濃縮液、乾燥末、顆粒又はペースト等が包含される。
【0020】
杜仲の使用部位は、特に限定されず、適宜選択することが可能であるが、例えば、葉、樹皮、果実、種子、葉柄、木部、根、根茎等が例示される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、酢酸臭を効果的に抑制できる点から、葉を用いるのが好ましい。
【0021】
本発明の経口組成物が含有する杜仲の粉砕物および抽出物は、特開2005−289952号公報に記載の方法で製造することができる。
【0022】
例えば、杜仲粉砕物は、採取した杜仲葉を乾燥させた後に、乾燥物を粉砕することによって得ることができる。本発明において、乾燥および粉砕は、公知のあらゆる方法によることができる。また、乾燥工程および粉砕工程の順序は、特に限定されず、両工程の回数も特に限定されない。さらに、両工程を同時に行うこともできる。乾燥方法も、特に限定されず、例えば、加熱して乾燥させる方法、天日による乾燥、除湿乾燥、凍結乾燥などを挙げることができる。粉砕工程も、特に限定されず、乾式でも湿式でもよい。
【0023】
本発明の経口組成物が含有する杜仲加工物としては、杜仲を原料として得られるものであれば、特に制限されないが、酢酸臭を抑制できる点から杜仲抽出物およびその乾燥粉末が好ましい。
【0024】
杜仲抽出物を製造する場合、原料である杜仲をそのまま使用しても、粉砕、切断、乾燥等の前処理を行ってもよい。抽出方法は、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超臨界抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出等のいずれでもよい。抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他菜種油、オリーブ油、大豆油などのオイルなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶剤を変えて繰り返し行うことも可能である。なかでも、水、アルコール類を用いるのが好ましい。水としては、例えば、水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水が例示される。
【0025】
抽出は、例えば杜仲の葉を使用する場合、葉1重量部に対して1〜50重量部の溶剤を用い、室温(25℃)〜100℃で5分〜数時間、好ましくは30〜60分浸漬又は加熱還流するのが好ましい。
【0026】
本発明に用いられる杜仲抽出物は、食品上・医薬品上許容し得る規格に適合し本発明の効果を発揮するものであれば粗精製物であってもよく、さらに得られた粗精製物を公知の分離精製方法を適宜組み合わせてこれらの純度を高めてもよい。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。本発明において、杜仲加工物として杜仲抽出物をそのまま使用してもよいが、従来公知の方法により乾燥処理に供することで、乾燥粉末とすることができる。乾燥方法としては、特に制限されず、例えば、スプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、スプレードライ法が好適である。乾燥処理する際には、必要に応じて賦形剤を添加してもよいが、酢酸の独特の臭気を効果的に抑制することができる点から賦形剤を添加しない方が好ましい。
【0027】
本発明の経口組成物において、杜仲加工物の含有量については、特に限定されないが、例えば、当該経口組成物の総量当たり、杜仲加工物の杜仲成分量換算で1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%が挙げられる。本明細書において、「杜仲成分量換算」とは、杜仲加工物中に含まれる杜仲由来成分の固形分量であり、例えば、杜仲加工物に賦形剤が含まれている場合には、当該賦形剤含量を除いて換算される値である。
【0028】
本発明の経口組成物において、酢酸と杜仲加工物とが配合されていれば、その割合は特に限定されないが、酢酸1重量部に対して杜仲加工物の杜仲成分量換算0.5重量部以上が好ましく、0.5〜35重量部がより好ましく、1〜30重量部がさらに好ましく、3〜25重量部が特に好ましく、5〜20重量部が最も好ましい。この範囲内とすることで、酢酸臭および杜仲臭それぞれの臭気を効果的に抑えることができる。
【0029】
本発明の経口組成物は、種々の剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤などとすることができるが、これらには限定されない。当該経口組成物は、一般に用いられる各種成分を含み得るものであり、例えば、1種もしくはそれ以上の薬学的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等を含みうる。また、本発明の経口組成物は、特に酢の効能を利用したサプリメント等の健康食品に好適に使用することができる。
【0030】
本発明の酢酸の消臭方法は、杜仲加工物を酢酸の臭気に接触させることを特徴とするものである。また、本発明の杜仲加工物の消臭方法は、酢酸を杜仲加工物の臭気と接触させることを特徴とする。酢酸および杜仲加工物は、前述のものを使用することができる。
【0031】
杜仲加工物を酢酸の臭気に接触させる、または酢酸を杜仲加工物の臭気に接触させるとは、単に酢酸に杜仲加工物を混合すること以外に、カプセルなどの外皮に酢酸または杜仲加工物を配合し、カプセル内容物に杜仲加工物または酢酸を配合することなどをいう。両者を必ずしも均一に混合させる(物理的に接触させる)必要はなく、ひとつの剤形中に酢酸と杜仲加工物が存在すればよい。
【実施例】
【0032】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0033】
(製造例)
実施例で使用する「杜仲葉エキス粉末」は以下の方法により製造した。
杜仲の生葉5kgを、日本茶製造用の送帯蒸機により110℃で90秒間蒸熱した。生葉を送帯蒸し機の投入口から機内に投入し、コンベヤ上を移動する間に上下スチーム供給装置からスチームを当て、110℃で90秒間蒸熱した。
次にこの蒸熱後の杜仲葉を、揉捻機を用いて30分間揉捻した後、揉捻物を乾燥機を用いて80℃で5時間、水分量を5%以下に乾燥させた。その後、炒葉機(IR−10SP型:寺田製作所)を用いて110℃で30分間焙煎した。
焙煎した杜仲茶葉1kgを90℃の熱水15kgに投入し、90℃で30分間抽出し14kg得た。その後150メッシュのフィルターを用いて濾過し、濾液を5℃に冷却し一晩放置した。上澄み液を取り出し、減圧下50℃で濾液を濃縮し1kg得た。濃縮液をクボタ株式会社製、遠心分離器で処理し、1800rpmの回転速度により遠心分離により沈殿物を除去し、得られた上澄み液を加熱殺菌(85℃、2時間)し、杜仲葉水抽出エキスを得た。当該濃縮エキス液をスプレードライ法により乾燥し、杜仲葉エキス粉末(300g)を得た。
【0034】
(実施例1〜7及び比較例1〜2)
ガラススクリューバイアル中において、表1に記載の割合で、酢粉末(サンライフ株式会社、禄豊香酢粉末(シクロデキストリン50重量%、酢酸約4.6重量%含有))および製造例で製造した杜仲葉エキス粉末を、臭気評価のために水10mlに懸濁させて、酢酸臭および杜仲臭をそれぞれ10段階で評価した。具体的には、被験者10名に懸濁液を嗅いでもらい、「10」は臭気を不快に感じない状態、「0」は臭気を不快に感じる状態とした1刻みの評価スケールを用いて、酢酸および杜仲加工物のそれぞれの臭いについて評価した。評価は被験者10名の合計点にもとづいて行なった。
【0035】
【表1】

【0036】
表1の結果から、酢粉末に対し杜仲葉エキス粉末を配合すると、酢酸臭および杜仲臭をともに抑制できることがわかる。特に酢酸1重量部に対して杜仲葉エキスを3.26〜26.1重量部とすることで格段に評価が高くなり、6.52〜19.6重量部とすることで酢酸臭、杜仲臭についてともに不快に感じることがなくなった。また「禄豊香酢粉末」に代えて、米酢、りんご酢または合成酢を用いた場合、さらには「杜仲葉エキス粉末」に代えて、粉末化前の杜仲抽出液を用いた場合も、同様に優れた臭気抑制効果を奏した。
【0037】
(処方例1〜20)
表2および3に記載の割合で、液剤(飲料)およびソフトカプセル剤を常法に従い作製した。当該液剤およびカプセル剤についても、実施例と同様に酢酸臭、杜仲臭をともに抑制できた。なお、処方例11〜20において使用した「禄豊香酢粉末」および「酢粉末」は、いずれも賦形剤としてシクロデキストリンを50重量%含有したものであった。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の経口組成物は、酢酸臭および杜仲臭がともに抑制されているため、サプリメントなどの食品に好適に使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸および杜仲加工物を含有する経口組成物。
【請求項2】
杜仲加工物を酢酸の臭気と接触させることを特徴とする酢酸の消臭方法。
【請求項3】
酢酸を杜仲加工物の臭気と接触させることを特徴とする杜仲加工物の消臭方法。


【公開番号】特開2013−74846(P2013−74846A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217062(P2011−217062)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】