説明

経時温度変化の変換を行うトランスデューサ、このトランスデューサを組み込んである電子チップ、およびこの電子チップの製造方法

【課題】 従来用いられている大きな焦電係数を有する焦電材料で得られる感度に近い感度を有し、かつマイクロ電子製造方法によって容易に作製可能な焦電材料を用いた、経時温度変化から電位差への変換を行うトランスデューサを提供する。
【解決手段】 このトランスデューサは、測定される経時温度変化をもたらす物体に対向するように作られている導電性の上部電極(40)と、導電性の下部電極(42)と、上部電極と下部電極との間に、機械的な外部応力が存在していない場合にも、経時温度変化に対応する電位差を発生させるために、上部電極と下部電極との間に配置されている少なくとも一層の焦電材料層(44)とを備えており、焦電材料層の少なくとも一層は、III−V窒化物をベースにしている層である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時温度変化から電位差への変換を行うトランスデューサに関する。また本発明は、このトランスデューサを組み込んである、温度パターンを検出するための電子チップ、およびこの電子チップの製造方法に関する。
【0002】
通常、電子チップは、マイクロ電子製造方法によって、すなわち、基板上ヘの連続的な層の被着、および例えばフォトリソグラフィを用いて、これらの層の一部分をエッチングすることによって製造される。
【背景技術】
【0003】
従来のトランスデューサは、次のものを備えている。
− 測定される経時温度変化をもたらす物体に対向するように作られている導電性の上部電極と、
− 導電性の下部電極と、
− 上部電極と下部電極との間に、機械的な外部応力が存在していない場合にも、温度変化に対応する電位差を発生させるために、上部電極と下部電極との間に配置されている少なくとも一層の焦電材料層。
【0004】
このようなトランスデューサは、例えば指紋検出器に関する特許文献1に開示されている。
【0005】
機械的な外部応力は、トランスデューサに相対的に移動可能な外部物体によって、上部導電性電極に印加される機械的な応力である。
【0006】
重要なことは、用いられる焦電材料が、可能な限り大きな焦電係数を有する必要があるということである。用語「焦電係数」は、本明細書においては、次の関係式、すなわち(y=ΔP/ΔT)によって定義される比を意味している。この関係式において、
− ΔTは、温度変化であり、
− ΔPは、温度変化ΔTに対して得られる電位差である。
【0007】
検出される温度変化が非常に小さく、1℃未満、場合によっては0.1℃未満であるから、焦電係数yは大きくなければならない。さらに、トランスデューサと、このトランスデューサに押し付けられる物体との間の熱交換面の面積は、極めて小さい場合が多く、すなわち1mm2未満、典型的には5000μm2未満または3000μm2未満である。したがって、大きな信号を得るために、このように小さな温度変化に対して、可能な限り、大きな電位差を与えることができる焦電材料を用いる必要がある。
【0008】
したがって、従来のトランスデューサは、もっぱら、大きな焦電係数、すなわち20μC/m2/Kを超過する焦電係数を有する焦電材料で作られている。従来用いられている焦電材料には、例えば次のものがある。
a)焦電係数が約40μC/m2/Kであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの重合体。
b)焦電係数が約350μC/m2/Kである、頭字語LZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で知られているセラミックスなどのセラミックス。
c)頭字語TGS(硫酸トリグリシン)またはLiTaO3で知られている結晶などの結晶。
【0009】
さらに、空間分解能を大きくするために、トランスデューサの寸法は、可能な限り小さいことが望ましい。例えばトランスデューサの検知面は、1mm2未満、好ましくは0.5mm2未満または0.3mm2未満であるべきである。
【0010】
トランスデューサの検知面は、電位差に変換された温度変化が収集される、このトランスデューサの面である。
【0011】
寸法を小さくするために、マイクロ電子製造方法によって、すなわち、コンピュータなどを作るために用いられる電子チップを製造するための製造方法と同じ集合的な製造方法によって、トランスデューサを製造することが好ましい。これらの集合的な製造方法では、例えば基板上への積層の被着およびエッチングを用いる。通常、基板は、シリコンまたはガラスから成るウエハである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4429413号公報
【特許文献2】米国特許第7032454号公報
【特許文献3】米国特許第6091837号公報
【特許文献4】米国特許第6289114号公報
【特許文献5】ヨーロッパ特許第0825831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術における、大きな焦電係数を有する焦電材料を、マイクロ電子製造方法で用いることは困難である。
【0014】
例えばPVDF重合体の場合には、その被着後に、数百ボルトの電圧でPVDF重合体を分極させなければならず、また分極化の後には、PVDF重合体の焦電特性が失われないように、他の製造プロセスを、120℃未満の温度で行わなければならない。
【0015】
セラミックスの場合には、高い製造温度、すなわち600℃を超過する製造温度、したがって、マイクロ電子製造方法の遂行のための上限として一般に与えられている400〜450℃よりはるかに高い温度が必要になる。したがって、マイクロ電子製造方法によって、従来のトランスデューサを製造することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような問題を解決するために、本発明は、マイクロ電子製造方法で、より容易に製造することができるトランスデューサを提供することを目的としている。この目的を達成するために、本発明は、焦電材料がIII−V窒化物をベースにしている、経時温度変化の変換を行うトランスデューサを提供する。
【0017】
用語「III−V窒化物をベースにしている」は、焦電材料層が、III−V窒化物またはIII−V窒化物の混合物を、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、50質量%、または75質量%含んでいることを意味している。
【0018】
III−V窒化物は、元素周期律表のIII族の1つ以上の元素(アルミニウム、ガリウムなど)と、V族の1つ以上の元素(窒素、リン、ヒ素、アンチモンなど)とから成る化合物半導体のグループに属する窒化物である。III−V窒化物には、特に、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウムが含まれる。
【0019】
III−V窒化物が、焦電性を有していることは知られている。しかしながら、III−V窒化物は、6μC/m2/K未満、または8μC/m2/K未満と小さい焦電係数しか有していないために、従来、トランスデューサの焦電材料層の形成のために用いられていなかった。
【0020】
より詳細には、通常、トランスデューサを製造するために、窒化アルミニウムなどのIII−V窒化物が用いられる場合には、動作原理として圧電特性が用いられている。したがって、III−V窒化物を用いて製造されたトランスデューサは、温度の変換を行うトランスデューサではなくて、圧力の変換を行うトランスデューサである(例えば特許文献2を参照)。窒化アルミニウムの圧電特性を利用する場合には、窒化アルミニウムを変形させることができるスペースを設けなければならない。
【0021】
しかしながら、この小さな焦電係数は、およそ10の小さな比誘電率によって補われる。実際、III−V窒化物の比誘電率が小さいために、上部電極と下部電極との間に大きな電位差が生じ、したがって感度が上昇する。この小さな比誘電率に伴う、感度のこの上昇によって、小さな焦電係数によってもたらされる感度の低下が、少なくとも部分的に補われる。したがって、III−V窒化物は、はるかに大きな焦電係数を有する他の焦電材料で得られる感度に近い感度を有する、経時温度変化の変換を行うトランスデューサの創出を可能にする。
【0022】
さらに、III−V窒化物は、マイクロ電子製造方法によって、極めて容易に作製されるという利点を有する。この利点は、とりわけ、窒化アルミニウム(AlN)の場合に顕著であるが、他のIII−V窒化物においても見出されている。例えば窒化アルミニウムの場合には、PVDF重合体の場合のような、焦電特性を与えるための、電位の印加による分極を必要としない。したがって、窒化アルミニウム層の焦電効果は、基板上への被着の直後に機能し、したがって測定可能である。したがって、この製造方法で得られる窒化アルミニウム層は、他の焦電材料よりもはるかに迅速に、有効に動作しているか否かをテストすることができ、したがって、いかなる異常または故障も検出することができる。
【0023】
窒化アルミニウムは、いかなるキュリー温度すなわちキュリー点(その温度を超過すると、焦電特性が失われる)も有していない。したがって、窒化アルミニウムの場合には、窒化アルミニウム層の被着に続くプロセス、例えばはんだ付けや、さらなる層の被着などのプロセスは、約125℃のキュリー温度を有するPVDF重合体などの他の焦電材料の場合のように、温度によって制約されるということはない。
【0024】
したがって、III−V窒化物をベースにした層を、焦電材料として用いる本発明のトランスデューサは、大きな焦電係数を有する材料を用いるトランスデューサの性能特性に近い性能特性を示すとともに、マイクロ電子製造方法によって、はるかに容易に製造される。
【0025】
このトランスデューサの実施形態は、次の特性のうちの1つ以上を有している場合がある。
・ 焦電材料は、窒化アルミニウムをベースにしている。
・ 上部電極は、モリブデンまたはチタンで作られている。
・ 上部電極は、焦電材料層に接している面と反対側の上面だけが酸化されている導電性の金属で作られており、したがって、この上面の色は、上部電極が酸化されていない場合に比して変更されている。
・ トランスデューサは、少なくとも下部電極、焦電材料層および上部電極を積み上げられた基板を有している。
【0026】
さらに、このトランスデューサのこれらの実施形態は、次の利点を有している。
− モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)は、摩耗および化学的腐食に対して強い耐性を有する材料であるから、モリブデンまたはチタンで上部電極を作製することによって、トランスデューサの保護が強化される。
− 上部電極の酸化によって、トランスデューサを熱的に絶縁しがちなニスやカラーペイントに頼らずに、単純な方法でトランスデューサの感知面に色を付けることができる。
【0027】
本発明は、さらに、次のものを備えている、温度パターンを検出するための電子チップを提供する。
− 経時温度変化から電位差への変換を行う少なくとも1つの上述のトランスデューサと、
− トランスデューサの下部電極、および/または上部電極の作製のための層と同じ層のエッチングによって形成された帯状抵抗体の形態を呈しており、かつ電流を流されることによって、トランスデューサの焦電材料層を加熱する少なくとも1つのレジスタであって、帯状抵抗体は、下部電極および/または上部電極を、空間的に分離した少なくとも2つのプレートに分割するように、これらのプレートの間を通っているレジスタと、
− 帯状抵抗体が形成されている層の高さの上方/下方で、空間的に分離したプレート同士を短絡させるために用いられている導電ピン。
【0028】
電極を互いに分離されたいくつかのプレートに分割する帯状抵抗体を用いることによって、加熱レジスタの作製が単純化されるとともに、トランスデューサ中で、この帯状抵抗体によって占められる表面積が最小化される。このような構造を用いることによって、さらに、各トランスデューサ内の温度分布を、より一様にすることができる。
【0029】
この電子チップの実施形態は、次の特性を有している場合がある。
− 電子チップは、温度パターンをもたらす物体を載せることができる検知面を形成するように、互いに近接して配置された複数のトランスデューサから成るマトリクスを有しており、
− トランスデューサの各々の上部電極または下部電極は、最大で0.5mm2の表面積を有しており、この上部電極または下部電極の中心は、隣接するトランスデューサの上部電極または下部電極の中心から、最長で0.5mmだけ隔てられている。
【0030】
さらに、電子チップのこの実施形態は、次の利点を有している。
− 互いに極めて近接して配置された、サイズの小さな多数のトランスデューサを用いることによって、指紋の検出が可能になる。
【0031】
最後に、本発明は、さらに、各々が、少なくとも1つの上述のトランスデューサと、このトランスデューサから読み取りを行うための回路とを備えている複数の電子チップを集合的に製造する、次のステップを含んでいる方法を提供するものである。
− 同一の基板上に製造される全電子チップのトランスデューサの領域の全てに対して、同時に、この基板上に導電性の下部電極を、被着プロセスおよびエッチングプロセスによって形成するステップと、
− 同一の基板上に製造される全電子チップのトランスデューサの領域の全てに対して、同時に、少なくとも一層の焦電材料層を、該焦電材料層の少なくとも一層はIII−V窒化物をベースとして作製されるように、被着プロセスによって形成するステップと、
− 機械的な外部応力が存在していない場合にも発生する、経時温度変化に対応する電位差を、焦電材料層から検出することを可能にするために、導電性の上部電極を、同一の基板上に製造される全電子チップのトランスデューサの領域の全てに対して同時に、被着プロセスおよび/またはエッチングプロセスによって形成するステップと、
− 製造された各電子チップを機械的に分離するために、基板の切断を行うステップ。
【0032】
この集合的な製造の方法の実施形態は、次の特性を有する場合がある。
− この方法は、同一の基板上に製造された全電子チップのトランスデューサの全てに対して同時に、上部電極の、焦電材料層が形成されている側と反対側の上面の酸化を行うステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による温度パターン検出器の概要図である。
【図2】図1の温度パターン検出器の検知面上のピクセルの分布を示す部分概要図である。
【図3】相異なる2つの状況において、図1の温度パターン検出器の検出ピクセルによって測定される温度変化を示すグラフである。
【図4】図1の温度パターン検出器の通常ピクセルの断面概要図である。
【図5】図4の通常ピクセルの下部電極の平面概要図である。
【図6】図1の温度パターン検出器の較正ピクセルの断面概要図である。
【図7】図1の温度パターン検出器の検出ピクセルの読み取り回路の概要図である。
【図8】図1の温度パターン検出器の電子チップの製造方法を説明するフローチャートである。
【図9】図1の温度パターン検出器の電子チップを較正する方法を説明するフローチャートである。
【図10】図9の方法の遂行中になされる測定の結果を示すグラフである。
【図11】図1の温度パターン検出器の読み取り回路の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付図面を参照して、単に非限定的な例として示す以下の説明を読むことによって、本発明をより明瞭に理解することができると思う。
【0035】
添付図面において、同等の要素には、同一の符号が付してある。
【0036】
以下の記述において、当業者に公知の特性および機能については、詳細に説明しない。
【0037】
図1は、温度パターン検出器2を示している。
【0038】
温度パターンは、温度パターン検出器2の電子チップ3によって検出可能な物体の熱的特性の非一様な空間分布を示している。物体は、一般に、このような温度パターンをもたらす。この実施形態においては、温度パターン検出器2によって、指紋から温度パターンが検出される。
【0039】
用語「熱的特性」は、熱容量および熱伝導率の関数である、物体の特性を意味している。
【0040】
以下の記述において、温度パターン検出器2は、特に指紋を検出するように適合化されている特定の場合について説明する。この特定の場合には、温度パターン検出器2は、指紋検出器として、より一般的に知られている。
【0041】
電子チップ3は、読み取られる温度パターンを発生させる物体が押し付けられるべき検知面4を有している。本明細書においては、この物体は、その表皮を検知面4に密着させられる指6である。指6の表皮上の指紋は、凸部8が凹部10によって分離されている形状を呈している。図1においては、凸部8および凹部10がはっきりと識別されるように、指6は相当に拡大されている。
【0042】
指6が検知面4上にあるときに、凸部8だけが、検知面4に直接接している。対照的に、凹部10は、空気によって、検知面4から空間的に離されている。したがって、指6と検知面4との間の熱伝導は、凹部10におけるよりも、凸部8において、より良好である。したがって、指紋は、電子チップ3によって読み取ることができる温度パターンと一致する。
【0043】
この読み取りのために、電子チップ3は、その検知面4の全体にわたって、互いに近接して配置されている多数の検出ピクセルPijを有している。検出ピクセルPijは、温度変化を検出することができる最小単位の面エリアを形成している。検出される温度変化は、検出ピクセルPijが凸部8に接しているか、または凹部10に面しているかによって、検出ピクセルPij毎に変化する。
【0044】
これらの検出ピクセルPijは、同一の基板16上に形成されている。
【0045】
互いに近接して分布している検出ピクセルPijの一例を、図2に示す。この例においては、検出ピクセルPijは、行および列状に分布しており、検出ピクセルのマトリクスを形成している。例えば電子チップ3は、それぞれに少なくとも100個または150個の検出ピクセルから成る、少なくとも2つまたは5つの行を有している。
【0046】
各検出ピクセルは、検知面4の一区画を定めている。検知面4のこれらの区画は矩形形状を呈しており、図2において破線で画定されている。各区画の表面積は1mm2未満であり、好ましくは0.05mm2未満、または0.01mm2未満、または0.005mm2未満である。この例においては、各検出ピクセルPijによって定められる、検知面4のこの区画は、各辺が50μmの正方形状を呈している。隣接し合う2つの検出ピクセルの幾何学的中心間の距離は1mm未満であり、好ましくは0.5mm未満、または0.1mm未満、または0.01mm未満、または0.001mm未満である。この例においては、隣接し合う2つの検出ピクセルの幾何学的中心間の距離は50μmである。
【0047】
各検出ピクセルには、次のものが設けられている。
− 温度変化を電位差に変換することができるトランスデューサ。
− このトランスデューサに接する物体を加熱することができる加熱レジスタ。
【0048】
電位差は、電子チップ3の較正後に、この電位差を温度変化に直接変換することができるという意味で、温度変化の「測定結果」を表している。
【0049】
この加熱レジスタは、特許文献3に開示されているような能動的検出方法の実行を可能にする。この能動的検出方法の動作原理を、図3を参照して説明する。図3において、実線は、指6の凸部8に直接接しているトランスデューサの温度の時間変化を表わしている。一方、破線の曲線は、凹部10に面しているトランスデューサの温度の時間変化を表わしている。ある検出ピクセルのトランスデューサが、凸部8に直接接しているときには、この検出ピクセルの加熱レジスタから放出された熱の一部分が、指6に直接伝達されるから、このトランスデューサの温度は、相対的にゆるやかに上昇する。対照的に、ある検出ピクセルのトランスデューサが、凹部10に面しているときには、このトランスデューサと指6との間の熱伝導は比較的小さく、この検出ピクセルの加熱レジスタから放出された熱によって、この検出ピクセルの温度は比較的急速に上昇する。したがって、時刻t0とt1との間の温度変化が、トランスデューサによって測定されたときに、凸部8に直接接している検出ピクセルのトランスデューサによって測定される温度変化ΔTdは、凹部10に面している検出ピクセルのトランスデューサによって測定される温度変化ΔT1よりも小さい。温度変化のこの違いによって、検知面4のそれぞれの位置上に凹部が存在しているのか、それとも凸部が存在しているのかを検出することができる。
【0050】
能動的検出方法は、とりわけ、検出ピクセルの初期温度が、温度パターンをもたらす物体の初期温度に近接しているか、もしくは同一である場合にも動作することができるという事実を含めて、いくつかの利点を有している。さらに、各検出ピクセルの加熱レジスタから放出される熱量の制御によって、コントラストを調整することが可能である。
【0051】
各検出ピクセルPijは、各検出ピクセルPijによって行われる、温度変化の測定値を読み取るための読み取り回路14に電気的に接続されている。読み取り回路14は、より詳細には、次のことを行うことができる。
− 読み取るべき1つ以上の検出ピクセルPijの選択。
− 選択された1つ以上の検出ピクセルの加熱レジスタの制御。
− 選択された1つ以上の検出ピクセルのトランスデューサによって測定された温度変化の読み取り。
【0052】
通常、この読み取り回路は、検出ピクセルPijが形成される基板である剛性の基板16のエッチング、および/または基板16への被着によって形成される。基板16は、例えばシリコンまたはガラスから成っている。
【0053】
温度パターン検出器2は、さらに、有線リンク22を介して電子チップ3に接続されている電子計算機20を備えている。この電子計算機20は、例えば電子チップ3を駆動するための駆動モジュール24、および処理モジュール26を具備している。
【0054】
駆動モジュール24は、検出ピクセルによってなされた測定に基づいて温度パターンを読み取るために用いられる。より詳細には、この駆動モジュール24は、検出ピクセルの測定値、および検出ピクセル同士のあらかじめ知られている位置関係の関数として、各ピクセルによって検出された凸部と凹部とのマップを作成することができる。
【0055】
この駆動モジュール24は、さらに、電子チップ3の較正のための較正サブモジュール28を具備している。この較正サブモジュール28の動作を、図9を参照して、後で説明する。
【0056】
処理モジュール26は、読み取られた温度パターンと、あらかじめ記憶されている、温度パターンのデータベースとを比較して、特定の温度パターンを識別することができ、その結果に応じて、例えば建物への進入などのいくつかの行動を許可するか、またはその逆に禁止する。
【0057】
それに替えて、またはそれに加えて、処理モジュール26は、さらに、読み取られた温度パターンを、スクリーン上に表示することができる。これによって、例えば読み取られた温度パターンを拡大することができる。
【0058】
通常、電子計算機20は、情報記録媒体にあらかじめ記録されている命令を実行することができる、プログラム可能な少なくとも1つの電子計算機である。この実行を可能にするために、電子計算機20は、図9および図11の方法を実行するために必要な命令、およびデータを記憶しているメモリ30に接続されている。具体的には、メモリ30は、電子チップ3の較正に必要な温度変化ΔT1ref、ΔT2ref、およびΔTcrefの値を記憶している。これらの値については、図9を参照して、後に説明する。
【0059】
電子チップ3は、次の2つのタイプの検出ピクセルPij、すなわち、Pnijとして表示されている「通常」ピクセル、およびPcijとして示されている「較正」ピクセルを有している。通常ピクセルPnijは、それらが電子チップ3の検出ピクセルの大多数(例えば検出ピクセルPijの90%を超過する)を占めているために、「通常」の名称が冠せられている。通常ピクセルPnijは全て、互いに同等である。用語「同等」は、通常ピクセルPnijの全てが、同一の熱特性を有しており、かつ同一の作製方法によって作製されているということを意味している。図4は、電子チップ3の通常ピクセルPnijの特定の一実施例を示している。
【0060】
通常ピクセルPnijは、上部電極40および下部電極42を有しており、それらの間には、焦電材料層44が被着されている。
【0061】
上部電極40は、電子チップ3の全ての検出ピクセルに対して共通である。この上部電極40は、パッド46を介して接地されている。検知面4に指6が押し付けられているときには、上部電極40は、この指6と焦電材料層44との間に位置している電極である。したがって、上部電極40は、焦電材料層44に、熱を効果的かつ迅速に導くように作られている。この例においては、上部電極40は、良好な熱伝導体、すなわち10W・m-1・K-1を超過する熱伝導率を有する材料で作られている。さらに、上部電極40の厚さは薄い、すなわち100μm未満、好ましくは1μm未満の厚さである。この例においては、上部電極40は、モリブデン(Mo)で作られている。
【0062】
この実施形態においては、焦電材料層44は、窒化アルミニウムで作られている。用語「作られている」は、層がほとんど同一の材料で作られていることを意味している。したがって、窒化アルミニウムは、焦電材料層44の90質量%、好ましくは95質量%を超過している。さらに、焦電材料層44は、電子チップ3の全ての検出ピクセルに対して共通である。焦電材料層44の厚さは、0.5μmまたは0.6μmを超えており、1μmを超えていると有利である。焦電材料層44の厚さが厚いほど、焦電材料層に発生する電荷量は、より多くなる。この例においては、焦電材料層44の厚さは、およそ2〜3μmである。この焦電材料層44は、温度変化を、上部電極40と下部電極42との間の電位差に変換する。
【0063】
下部電極42の各々は、対応する検出ピクセルに専用の電極であり、他の検出ピクセルの下部電極から電気的に絶縁されている。下部電極42から、検出ピクセルPijにおける焦電材料層44によって発生した電位差を読み取ることができる。この下部電極は、例えばモリブデンで作られており、その厚さは50nmである。
【0064】
通常ピクセルPnijは、さらに、下部電極42を形成するために用いられた層と同じ層から形成された加熱レジスタ46を有している。この加熱レジスタ46は、能動的検出方法を遂行するために、焦電材料層44を加熱する。
【0065】
下部電極42および加熱レジスタ46は、導電トラック48(図4において、破線で表わされた矩形で示されている)を介して、読み取り回路14に接続されている。
【0066】
通常ピクセルPnijは、さらに、摩耗、化学的腐食、および酸化から上部電極40を保護するための保護層49を、上部電極40上に被着されている。この保護層は、良好な熱伝導体である材料で作られている。さらに、この保護層の厚さは薄い。例えば保護層49の厚さは100μmより相当に薄く、好ましくは10μm未満である。例えば保護層49は、数μmの厚さを有する窒化アルミニウム(AlN)の層である。
【0067】
図5は、各加熱レジスタ46が、1kΩを超過する抵抗を有しており、同時に、各通常ピクセルPnijの表面積の15%未満の表面積しか占めていない、加熱レジスタ46の特定の一レイアウトを示している。加熱レジスタ46は、下部電極42の作製に用いた層と同じ層のエッチングによって得られるから、この例においては、下部電極42と同じく、モリブデンで作られている。加熱レジスタ46は、蛇行形状の帯状抵抗体である。より詳細には、この帯状抵抗体は、互いに平行に延在している、いくつかの第1ストランド52〜55を、その構成要素としている。これらの第1ストランドは、直列に接続されている。この直列接続を可能にするために、第1ストランド52〜55の一端または両端が、これらの第1ストランドに直交している第2ストランド56〜58によって互いに接続されている。加熱レジスタ46は、下部電極42を、3つの同等の矩形形状のプレート60〜62に分割している。各プレート60〜62は、例えば49μmの長さ、および15μmの幅を有している。帯状抵抗体を、プレート60〜62から電気的に絶縁するために、帯状抵抗体は、各プレート60〜62から、0.5μmだけ隔てられている。帯状抵抗体の幅は0.5μmであり、全長は250μmである。帯状抵抗体の厚さが下部電極の厚さに等しい、すなわち50nmであるから、帯状抵抗体が、10μΩ・cmの抵抗率を有するモリブデンで作られている場合には、2つの端64と66との間のこの帯状抵抗体の抵抗は約1kΩである。このような構造においては、加熱レジスタ46は、通常ピクセルPnijの表面積の12%未満の表面積しか占めない。
【0068】
プレート60〜62は、垂直ピン70〜72を介して互いに短絡されている(図4)。
【0069】
さらに、加熱レジスタ46の2つの端64および66は、垂直ピンを介して、導電トラック48に接続されている。
【0070】
電子チップ3の較正を容易にするために、通常ピクセルPnijの熱的特性と異なる熱的特性を有する少なくとも1つの較正ピクセルPcijが、さらに、電子チップ3に設けられている。
【0071】
図6は、そのような較正ピクセルPcijの一例を示している。較正ピクセルPcijは、保護層49上に追加層70が被着されているという点を除いて、通常ピクセルPnijと同等である。この追加層70のために、較正ピクセルPcijの熱容量および/または熱伝導は、通常ピクセルPnijの熱容量、および/または熱伝導と異なっている。したがって、同一の条件下では、加熱レジスタ46の電源が入れられた後の、ある時刻t1において、較正ピクセルPcijで測定された温度変化は、通常ピクセルPnijで測定された温度変化と異なる。
【0072】
図7は、読み取り回路14の一実施例を示している。図7において、読み取られる検出ピクセルPijが、上部電極40を接地されており、かつ下部電極42を読み取り回路14に接続されているキャパシタとして、記号で表わされている。
【0073】
読み取り回路14は、電子チップ3の検出ピクセルのうちの任意の1つの下部電極42の電位をリセットするための1セットのトランジスタを有している。図7を単純化するために、このセットのうちの1つのトランジスタ80しか示されていない。このトランジスタ80は、導通時に、下部電極42を初期電位、すなわちリセット電位Vrに電気的に接続し、非導通時に、下部電極42の電位を浮遊状態にする。下部電極42の電位が浮遊状態にあるときに、上部電極40と下部電極42との間の電位差ΔVpは、温度変化ΔTの関数である。電位差ΔVpと温度変化ΔTとの間の関係は、例えば関係式〔ΔVp=y×C×ΔT/(ε0×εr)〕によってモデル化される。この関係式において、
− Cは、焦電材料層44の厚さであり、
− yは、焦電材料層44を作るために用いられた焦電材料の焦電係数であり、
− ε0およびεrは、それぞれ真空の絶対誘電率および用いられた焦電材料の比誘電率である。
【0074】
読み取り回路14は、さらに、電子チップ3の検出ピクセルPijのうちの任意の1つの選択を、その検出ピクセルの導通時に可能にする1セットのトランジスタを有している。図7では、単純化のために、このセットのうちのただ1つのトランジスタ82しか示していない。トランジスタ82は、その導通時に、選択された検出ピクセルの下部電極42を、その検出ピクセルの電位差ΔVpを増幅するアナログ増幅器84に電気的に接続する。
【0075】
読み取り回路14は、さらに、アナログ増幅器84から出力された、増幅されたアナログ信号をサンプルしてデジタル化し、そのデジタル化された信号を、電子計算機20に伝達することができるアナログ/デジタルコンバータ86を有している。このアナログ/デジタルコンバータ86は、アナログ/デジタルコンバータ86によってサンプルされるべき電圧の範囲を定める極限値BminおよびBmaxを記憶する揮発性メモリ88に接続されている。
【0076】
最大感度を得るためには、理想的には、極限値Bminは、通常ピクセルPnijが、最大可能な熱伝導率を有する凸部8に直接接しているときに、通常ピクセルPnijによって測定される温度変化ΔTdに一致しているべきである。同様に、理想的には、極限値Bmaxは、通常ピクセルPnijが、空気にしか接していないときに、通常ピクセルPnijによって測定される温度変化ΔT1に一致しているべきである。
【0077】
これらの極限値BminおよびBmaxは、通常ピクセルPnijの熱的特性に依存するが、さらに、とりわけ、読み取り回路14の各電子部品の電気的特性に依存する。実際には、通常ピクセルの特性寸法は、1マイクロメートルよりかなり大きく、10マイクロメートルの程度である。したがって、通常ピクセルのトランスデューサを作製する際の、1マイクロメートル未満のいかなるわずかの不正確さも、通常ピクセルの熱的特性にほとんど影響を与えない。したがって、通常ピクセルの熱的特性の反復性および再現性は良好である。
【0078】
対照的に、トランジスタ80および82などの、読み取り回路14の電子部品は、1マイクロメートルよりかなり小さい特性寸法を有している。したがって、電子部品のうちの1つの作製中に、上述の不正確さと等しい、1マイクロメートル未満の不正確さが発生すると、その不正確さによって、その電子部品の動作モードは非常に異なったものになる。したがって、読み取り回路14の電気的特性の反復性および再現性は、はるかに劣る。したがって、同一の製造方法が用いられている場合には、電子チップ間で、通常ピクセルの熱的特性は、実質的に一定であるとみなすことができる。対照的に、同一の製造方法が用いられたとしても、電子部品の電気的特性は、電子チップ間で、はるかに大きく変化する。
【0079】
電子チップ3の集合的な製造方法を、図8を参照して、より詳細に説明する。いくつかの電子チップが、同一の基板上に同時に製造されるから、この製造方法は集合的である。
【0080】
最初に、ステップ100において、製造される各電子チップの読み取り回路14および各導電トラック48を、同一の基板16のエッチングによって形成する。
【0081】
次に、ステップ102において、下部電極、および加熱レジスタの2つの端64および66を、導電トラック48に接続するために、垂直ピン70〜72などの垂直ピンを作製する。
【0082】
次いで、ステップ104において、ステップ102で作製された各垂直ピンと電気的に接続されるように、基板の上面全体上に、モリブデン層を一様に被着する。
【0083】
ステップ106において、ただ1回の操作によって、各電子チップの各トランスデューサの各下部電極と、同時に、各電子チップの各検出ピクセルの各加熱レジスタ46とを形成するために、このモリブデン層を、例えばフォトリソグラフィによってエッチングする。
【0084】
その後、ステップ108において、ただ1回の操作によって、各電子チップの各トランスデューサの焦電材料層44を形成するために、基板の上面全体上に、窒化アルミニウム層を被着する。
【0085】
ステップ110において、上部電極の接地接続のためのパッド46を形成するために、例えばフォトリソグラフィによって、この窒化アルミニウム層をエッチングする。
【0086】
ステップ112において、各電子チップの全トランスデューサに対して共通の上部電極を形成するために、基板の上面全体に、モリブデン層を被着する。
【0087】
ステップ114において、所望の色を得るために、上部電極を、あらかじめ定められた深さまで酸化させる。得られる色は、酸化の深さに依存する。この酸化は、上部電極の上面の全体にわたって一様に行ってもよいし、または例えばロゴを描くために、上部電極の上面の若干の部分だけに選択的に行ってもよい。
【0088】
上部電極は、モリブデンの熱的・電気的性質を最大限に保つために、その厚さの一部分だけが酸化される。
【0089】
次に、ステップ116において、基板の上面全体上に、保護層49が被着される。
【0090】
このステップ116中に、較正ピクセルPcijの追加層70も作製される。例えば保護層49に用いられる材料と同じ材料が、較正ピクセルPcij上だけに、他の部分より厚く被着される。
【0091】
最後に、ステップ118において、同一の基板上に製造された各電子チップを、機械的に互いに分離するために、この基板を分割する。
【0092】
このように製造されると、各電子チップは、温度パターン検出器2のような検出器に用いられる。しかしながら、温度パターン検出器としての使用前に、その感度を最大にするために、各電子チップは較正される。
【0093】
このような電子チップの較正方法を、図9を参照して説明する。
【0094】
図9の方法においては、最初に、基準電子チップにおける測定を行い、次いで、その測定結果を、各電子チップの較正のために用いる。基準電子チップは、較正される電子チップのトランスデューサと同等のトランスデューサを有している。例えば基準電子チップは、較正される電子チップと同等である、すなわち、基準電子チップと較正される電子チップとは、同じ製造方法によって製造される。同じ製造方法を用いたとしても、製造の不正確さのために、基準電子チップと較正される電子チップとの読み取り回路14は、同一の電気的特性を有しないということが起こり得る。
【0095】
最初に、ステップ130において、基準電子チップの通常ピクセルPnijの少なくとも1つを、第1の熱的特性を有する第1の要素に直接接するように配置する。この第1の要素は、温度パターン検出器2の使用中に遭遇する可能性のある最低の熱伝導を有する要素に一致するように選ばれる。この例においては、第1の要素は例えば周囲空気である。
【0096】
次に、ステップ132において、この通常ピクセルPnijによって測定された温度変化ΔT1refを、基準電子チップの読み取り回路14によって読み取る。検出ピクセルを介して、温度変化ΔTを読み取る方法については、図11を参照して、後に、より詳細に説明する。
【0097】
ステップ130と同時に、ステップ134において、基準電子チップの較正ピクセルPcijも、第1の要素すなわち周囲空気に接するように配置する。次いで、ステップ136において、読み取り回路14が、較正ピクセルPcijによって測定された、対応する温度変化ΔTcrefを読み取る。
【0098】
したがって、ステップ132および136における測定は、周囲空気に対してなされる。この場合に、本明細書においては、「非接触測定」という用語を用いる。
【0099】
その後、ステップ138において、基準電子チップの通常ピクセルPnijの少なくとも1つを、第1の要素の熱的特性と異なる熱的特性を有する第2の要素と接するように配置する。第2の要素は、温度パターン検出器2の通常の使用中に遭遇する可能性のある最高の熱伝導を示す要素と一致するように選ばれる。皮膚すなわち表皮は、相当に水を含んでいるから、本明細書においては、第2の要素は、近似的に水とする。
【0100】
ステップ140において、この通常ピクセルPnijによって測定された温度変化ΔT2refを読み取るために、基準電子チップの読み取り回路14を用いる。
【0101】
ステップ142において、温度変化ΔT1ref、ΔTcref、およびΔT2refが、基準電子チップの製造に用いられた製造方法と同じ製造方法によって製造された電子チップを用いている任意の温度パターン検出器2のメモリ30に記憶される。これらの温度変化は、例えば較正サブモジュール28のコードに記録される。
【0102】
一般に、温度変化ΔTcrefは、通常ピクセルPnijが、第1の要素と第2の要素との熱的特性の中間の熱的特性を有する物体と接するように配置されたならば測定されると思われる温度変化に相当する。したがって、ステップ130〜140において、基準電子チップで測定された温度変化ΔT1ref、ΔTcref、およびΔT2refは、通常ピクセルPnijと接するように配置される物体の熱的特性の関数として、同一のグラフ(図10)上に表わすことができる。このグラフにおいて、測定される温度変化は、物体の熱的特性の関数として、線形に変化すると仮定されている。
【0103】
第2の段階として、較正される電子チップが組み込まれている温度パターン検出器2のメモリ30に記憶されている温度変化ΔT1ref、ΔTcref、およびΔT2refを用いて、較正される電子チップが較正される。
【0104】
より詳細には、ステップ144において、第2の(較正される)電子チップの通常ピクセルPnijの少なくとも1つ、および較正ピクセルPcijの少なくとも1つが、ステップ130の場合と同様に、第1の要素すなわち周囲空気と接するように配置される。
【0105】
ステップ146において、較正される電子チップの読み取り回路14が、通常ピクセルPnijおよび較正ピクセルPcijによってそれぞれ測定された温度変化ΔT1およびΔTcを読み取る。したがって、非接触測定が、ステップ146において行われる。
【0106】
次に、ステップ154において、較正される電子チップのいずれかの通常ピクセルPnijが、第2の要素、すなわち水と接するように配置されたとすれば、その通常ピクセルPnijによって測定されると思われる温度変化ΔT2が、実際には、その通常ピクセルPnijを水と接するように配置することなく決定される。より詳細には、温度変化ΔT2は、それを、測定された温度変化ΔT1およびΔTcに関連付ける、あらかじめ定められた関係式に基づいて決定される。この関係式は、温度変化ΔT1ref、ΔT2ref、およびΔTcrefから決定される。
【0107】
説明を簡単にするために、測定される温度変化ΔTは、検知面4に押し付けられる物体の熱的特性の関数として、線形に変化すると仮定する。したがって、例えば物体の熱的特性に比例する、差(ΔT2ref−ΔT1ref)と(ΔT1ref−ΔTcref)との比αを定めることができる。この比αは、全ての電子チップにわたって一定に維持されると仮定する。検出ピクセルの熱的特性が、全ての電子チップにわたって、読み取り回路14の電気的特性より安定しているから、この仮定は妥当である。これらの条件においては、温度変化ΔT2を、測定された温度変化ΔT1およびΔTcに関連付ける、あらかじめ定められた関係式は、例えば次のようになる。
ΔT2=ΔT1−(ΔT2ref−ΔT1ref)(ΔT1−ΔTc)/(ΔT1ref−ΔTcref
【0108】
ステップ156において、較正サブモジュール28は、電子チップの設定、すなわち電子チップの設定のための少なくとも1つのパラメータの決定のために、温度変化ΔT1およびΔT2を用いる。電子チップの設定のための各パラメータが変更されると、その変更によって、電子チップの動作または性能も変更される。この電子チップの設定には、読み取り回路14の感度の調整が含まれる。より詳細には、電子チップの設定のためのパラメータは、アナログ/デジタルコンバータ86の2つの極限値BminおよびBmaxである。これらの極限値は、温度変化ΔT1およびΔT2に基づいて、読み取り回路14の感度を最大にするように計算される。例えば極限値Bminは温度変化ΔT2と一致し、極限値Bmaxは温度変化ΔT1と一致する。この計算は、例えば較正サブモジュール28によって行われる。次いで、極限値BminおよびBmaxの値が、揮発性メモリ88に記憶される。
【0109】
ステップ154および156は、電子チップの較正の段階を形成している。この較正の段階は、電子チップの電源が入れられるたびに、温度パターンの検出のために電子チップが使用される前に、常に実行される。
【0110】
電子チップの電源が入れられるたびに、較正サブモジュール28によって、この較正方法を実行することが好ましい。その場合には、温度変化ΔT1ref、ΔT2refおよびΔTcref、または比αを、電子チップ3自体に記憶させる必要はない。
【0111】
ここで、温度パターン検出器2、より詳細には読み取り回路14の動作を、図11を参照して、説明する。
【0112】
読み取り回路14は、温度パターンを読み取るために、電子チップ3の各通常ピクセルPnijによる測定値を得る。これを可能にするために、最初に、ステップ160において、下部電極42をリセット電位Vrに接続するように、トランジスタ80が駆動される。通常、測定される温度変化が電圧増加をもたらす場合には、リセット電位はローであり、その反対に、測定される温度変化が電圧減少をもたらす場合には、リセット電位はハイである。
【0113】
次に、ステップ162において、読み取り回路14は、通常ピクセルPnijを加熱するために、加熱レジスタ46に電流を流す。必要に応じて、ステップ162において、読み取り回路14は、さらに、測定に用いられる通常ピクセルに直接隣接している全ての通常ピクセルの加熱レジスタの両端間に電流を流してもよい。これによって、伝達される熱量が増す。
【0114】
次いで、ステップ164において、トランジスタ80は、非導通状態になるように駆動される。したがって、下部電極42の電圧は浮遊状態になり、この時点から、温度変化が追跡される。トランジスタ80のこの非導通状態の開始は、もっぱら、加熱レジスタ46の電源が入れられた後に行なわれ、したがって、加熱レジスタの始動に伴う擾乱は、通常ピクセルPnijのその後の動作に影響を及ぼさない。
【0115】
ステップ166において、通常ピクセルPnijを選択するためのトランジスタ82が駆動される。この時点から、下部電極42は、アナログ増幅器84を介して、アナログ/デジタルコンバータ86に電気的に接続される。次に、上部電極40と下部電極42との間の電位差がサンプルされ、次いで、電子計算機20に伝達される。
【0116】
その後、ステップ168において、上部電極40と下部電極42との間の電位差の読み取りの後に、加熱レジスタ46への給電が停止される。
【0117】
電子チップ3の全ての通常ピクセルPnijに対して、ステップ160〜168が繰り返される。電子チップ3の全ての通常ピクセルPnijに対するこの繰り返しによって、温度パターンのマップを作成することができる。通常、毎秒100枚または1000枚を超過するマップを作成することができる。
【0118】
ステップ172において、温度パターンを明示するために、またそれに呼応して何らかのアクションを起こすために、作成された各マップが、処理モジュール26によって処理される。
【0119】
多くの他の実施形態が可能である。例えば上部電極および下部電極は、タングステンまたはチタンなどの、他の材料で作られる場合がある。
【0120】
上部電極は、必ずしも、全ピクセルに対して共通である必要はない。
【0121】
保護層は省略されるか、または窒化アルミニウム以外の材料で作られる場合がある。保護層が省略された場合には、検出すべき温度パターンをもたらす物体は、上部電極上に直接載せられることになる。保護層を別の材料で作る場合には、窒化ケイ素で作ることができる。
【0122】
焦電材料層は、必ずしも、窒化アルミニウムで作られる必要はない。実際、焦電材料層は、窒化アルミニウムと、上部電極と下部電極との間の電荷の流れを妨げない1つ以上の他の材料との混合物であってもよい。この場合に、この混合物中の窒化アルミニウムの割合は、少なくとも10、25、50、または75質量%である。他の材料は、それ自体が焦電材料である場合もあるし、焦電材料でない場合もある。
【0123】
本明細書の全ての実施形態において、窒化アルミニウムを、III−V窒化物で構成されるグループから選ばれた窒化物、または窒化物の混合物に置き換えることができる。具体的には、焦電材料層は、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウムで構成されるグループから選ばれた窒化物、または窒化物の混合物をベースとしている場合がある。
【0124】
下部電極と上部電極との間に、III−V窒化物をベースとした焦電材料層に加えて、1層以上の他の層が組み込まれている場合がある。トランスデューサが動作するように、この組み込み層、またはこれらの組み込み層の各々は、下部電極と上部電極との間の電荷の流れを妨げない材料で作られている。この組み込み層、またはこれらの組み込み層は、別の焦電材料で作られている場合がある。例えば下部電極と上部電極との間に、少なくとも1層の窒化アルミニウム層が、LZT(チタン酸ジルコン酸鉛)または炭素から成る組み込み層の上または下に積層されている。
【0125】
加熱レジスタは、上部電極を形成するためにエッチングされた材料層と同じ材料層から形成されている場合がある。
【0126】
帯状抵抗体を薄くすることによって、加熱レジスタ46の抵抗を増やすことができる。
【0127】
別の実施形態において、加熱レジスタは、いくつかの検出ピクセルに対して共通である場合がある。この場合には、例えば帯状抵抗体の2つの端64と66との間に、いくつかの検出ピクセルが配置されている。
【0128】
別の一実施形態において、加熱レジスタは、下部電極を、いくつかのプレートに分割していない。例えば加熱レジスタは、下部電極の外側周縁に沿って延在するように形作られている場合がある。例えば加熱レジスタは、この下部電極の外側周縁の80%を超過して、その外側周縁に延在している。
【0129】
さらに、加熱レジスタは、下部電極の下部に埋め込まれており、必ずしも、下部電極と同じ高さに作られていない場合がある。
【0130】
さらに、較正サブモジュール28が、電子チップ内に組み込まれている場合がある。その場合には、較正サブモジュール28は、基板16内に、ハードウェアの形態で組み込まれていることが好ましい。
【0131】
温度変化ΔT1およびΔT2の値を、アナログ/デジタルコンバータの感度の設定以外の用途にも用いることができる。電子チップを第2の要素に接するように配置することなく決定された温度変化ΔT2を用いるいかなるステップも、較正ステップであるとみなすことができる。例えばこれらの温度変化ΔT1およびΔT2は、測定された信号が限界値BminAとBmaxAとの間に含まれている場合にのみ、測定された信号を増幅するようにアナログ増幅器を設定するために用いられる。例えば限界値BminAは、温度変化ΔT1の関数として調整され、増幅器の利得は、温度変化ΔT1およびΔT2の関数として設定される。
【0132】
いくつかの較正ピクセルPcijを用いることができる。これらの較正ピクセルは、必ずしも、それらの全てが同じ熱的特性を有している必要はない。特に、温度変化ΔTc、ΔT1、ΔT2の間の関係が線形でない場合には、第2の要素を電子チップに押し付ける必要なく、温度変化ΔT2を決定するために、相異なる熱的特性を有する、いくつかの較正ピクセルが用いられる。
【0133】
さらに、相異なる熱的特性を有するいくつかの較正ピクセルが用いられる場合には、温度変化ΔT1を特定するために、通常ピクセルPnijの非接触測定による電位差の測定を必要としない。例えば温度変化と物体の熱的特性の変化との間の関係が線形である場合には、通常ピクセルPnijでなんらの測定もなすことなく温度変化ΔT2を特定するために、相異なる熱的特性を有する2つの較正ピクセルがあるだけで十分である。
【0134】
上述の較正方法において、通常ピクセルPnijと較正ピクセルPcijとの役割を反対にすることができる。
【0135】
さらに、較正ピクセルが第1の要素に接しているときに、第2の要素に接しているときの温度変化と一致する温度変化を測定することができるように、熱的特性を変更された較正ピクセルを設けることも可能である。例えば追加層70を、水カプセルに替えることができる。
【0136】
較正ピクセルPcijのいくつかの別の実施形態が可能である。ヒートシンクとして働かせて、較正ピクセルPcijがあまりにも急速に加熱されることを防止するために、例えばかなりの量の金属を、その加熱レジスタの近傍に配置することができる。
【0137】
別の一実施形態においては、較正ピクセルPcijの加熱レジスタを、通常ピクセルPnijの加熱レジスタに比して、小さくする。
【0138】
トランスデューサの読み取り回路は、必ずしも、温度パターン検出器の全ての検出ピクセルに対して共通である必要はない。例えば一変形例として、第1の読み取り回路は、通常ピクセルの読み取り用に作られており、第1の読み取り回路から独立した第2の読み取り回路は、較正ピクセルの読み取り用に作られている。
【0139】
焦電材料としてIII−V窒化物、詳細には窒化アルミニウムをベースとした焦電材料層を、受動検出ピクセルと能動検出ピクセルとの両方に用いることができる。受動検出ピクセルは、加熱レジスタを欠いている検出ピクセルである。したがって、受動検出ピクセルは、温度パターンを明示するために物体を加熱せずに、物体の温度だけを利用する。
【0140】
検知面に接した物体を静止させることもできるし、対照的に、その検知面に沿って移動させることもできる。例えば指を、検知面に沿ってスイープさせることができる。このようなスイープによって、検知面の表面積より相当に広い面積にわたる温度パターンを読み取ることが可能になる。このような方法は、特許文献4に開示されている。
【0141】
単一の電子チップが、この電子チップの基板のエッチングまたは基板上への被着によって形成された、検出ピクセルの1つ以上のマトリクスおよび1つ以上の読み取り回路を備えている場合がある。
【0142】
温度パターン検出器2の多くの他の応用が可能である。温度パターン検出器2は、指紋における温度パターンの検出だけではなく、特に、紙幣や織物などの、温度パターンをもたらす任意の物体における温度パターンの検出を可能にする。
【0143】
例えば、検知面と物体とを直接接するように配置することは、すべての応用例において必須であるわけではない。したがって、本明細書における電子チップを、温度カメラとして用いることもできる。
【0144】
さらに、温度パターンを示すために、物体が凸部と凹部とを有していることは必須ではない。実際、物体の表面は、一様に平坦である場合がある。この場合には、温度パターンは、電子チップの検出ピクセルによって検出可能な、熱的特性の局所的な差に対応している。物体は、例えば指紋が完全に摩滅した指である場合がある。実際、特許文献5に開示されているように、表皮は、もはやいかなる凹部も凸部も有していない場合でさえ、依然として、電子チップによって検出可能な、熱的特性の局所的な差を有している。
【0145】
上部電極の上面の酸化を、上述の検出ピクセルの他の特性と無関係に行うことができる。例えば上部電極の酸化を、窒化アルミニウムまたはIII−V窒化物をベースとした焦電材料層と異なる焦電材料層で行うことができる。
【0146】
同様に、本発明の加熱レジスタの種々の実施形態を、トランスデューサの他の特性と無関係に施すことができる。例えば電極をいくつかのプレートに分割する帯状抵抗体による、加熱レジスタの形成を、上述の検出ピクセルの他の特性と無関係に行うことができる。特に、電極のこの構造を、焦電材料が用いられるいかなる場合にも応用することができる。
【0147】
最後に、本発明の較正方法を実行するために必要な温度パターン検出器の種々の特性を、この温度パターン検出器の他の特性と無関係に、特に、用いられている焦電材料と無関係に組み込むことができる。
【符号の説明】
【0148】
2 温度パターン検出器
3 電子チップ
4 検知面
6 指
8 凸部
10 凹部
14 読み取り回路
16 基板
20 電子計算機
22 有線リンク
24 駆動モジュール
26 処理モジュール
28 較正サブモジュール
30 メモリ
40 上部電極
42 下部電極
44 焦電材料層
46 加熱レジスタ、パッド
48 導電トラック
49 保護層
52〜55 第1ストランド
56〜58 第2ストランド
60〜62 プレート
64、66 端
70 垂直ピン、追加層
71、72 垂直ピン
80、82 トランジスタ
84 アナログ増幅器
86 アナログ/デジタルコンバータ
88 揮発性メモリ
C 厚さ
ij 検出ピクセル
cij 較正ピクセル
nij 通常ピクセル
0、t1 時刻
ΔT1、ΔT2、ΔTc、ΔTd、ΔT1ref、ΔT2ref、ΔTcref 温度変化
r リセット電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定される経時温度変化をもたらす物体に対向するように作られている導電性の上部電極(40)と、
導電性の下部電極(42)と、
前記上部電極と前記下部電極との間に、機械的な外部応力が存在していない場合にも、前記経時温度変化に対応する電位差を発生させるために、前記上部電極と前記下部電極との間に配置されている少なくとも一層の焦電材料層(44)とを備えている、経時温度変化から電位差への変換を行うトランスデューサであって、
前記焦電材料層の少なくとも一層は、III−V窒化物をベースにしている層であることを特徴とするトランスデューサ。
【請求項2】
前記焦電材料層の少なくとも一層は、窒化アルミニウムをベースにしている層である、請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項3】
前記上部電極(40)は、モリブデンまたはチタンで作られている、請求項1または2に記載のトランスデューサ。
【請求項4】
前記上部電極(40)は、前記焦電材料層に接している面と反対側の上面だけが酸化されている導電性の金属で作られており、したがって、この上面の色は、前記上部電極が酸化されていない場合に比して変更されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスデューサ。
【請求項5】
少なくとも前記下部電極、前記焦電材料層および前記上部電極を積み上げられた基板(16)を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトランスデューサ。
【請求項6】
前記焦電材料層(44)の厚さは0.5μmまたは0.6μmまたは1μmを超過している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトランスデューサ。
【請求項7】
経時温度変化から電位差への変換を行う少なくとも1つの、請求項1〜6のいずれか1つに記載のトランスデューサと、
前記トランスデューサの下部電極および/または上部電極の作製のための層と同じ層のエッチングによって形成された帯状抵抗体の形態を呈しており、かつ電流を流されることによって、前記トランスデューサの焦電材料層(44)を加熱する少なくとも1つのレジスタ(46)であって、前記帯状抵抗体は、前記下部電極および/または上部電極を、空間的に分離した少なくとも2つのプレート(60、61、62)に分割するように、該プレートの間を通っているレジスタと、
前記帯状抵抗体が形成されている層の高さの上方/下方で、前記空間的に分離した前記プレート同士を短絡させるために用いられている導電ピン(70、71、72)とを備えている、温度パターンを検出するための電子チップ。
【請求項8】
前記電子チップは、温度パターンをもたらす物体を載せることができる検知面(4)を形成するように、互いに近接して配置された複数のトランスデューサから成るマトリクスを有しており、
前記トランスデューサの各々の上部電極(40)または下部電極(42)は、最大で0.5mm2の表面積を有しており、該上部電極または下部電極の中心は、隣接するトランスデューサの上部電極または下部電極の中心から、最長で0.5mmだけ隔てられている、請求項7に記載の電子チップ。
【請求項9】
各々が、少なくとも1つの、請求項1〜6のいずれか1つに記載のトランスデューサと、該トランスデューサから読み取りを行うための回路とを備えている複数の電子チップを集合的に製造する方法であって、
同一の基板上に製造される全電子チップのトランスデューサの領域の全てに対して同時に、該基板上に導電性の下部電極を、被着プロセス(104)およびエッチングプロセス(106)によって形成するステップと、
前記同一の基板上に製造される全電子チップのトランスデューサの領域の全てに対して同時に、少なくとも一層の焦電材料層を、被着プロセス(108)によって形成するステップと、
機械的な外部応力が存在していない場合にも発生する、経時温度変化に対応する電位差を、前記焦電材料層から検出することを可能にするために、導電性の上部電極を、前記同一の基板上に製造される全電子チップのトランスデューサの領域の全てに対して同時に、被着プロセス(112)および/またはエッチングプロセスによって形成するステップと、
製造された各電子チップを機械的に分離するために、前記基板の切断(118)を行うステップとを含んでいる方法において、
前記焦電材料層の被着プロセス(108)において、前記焦電材料層の少なくとも一層は、III−V窒化物をベースとするように作製されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記同一の基板上に製造された全電子チップのトランスデューサの全てに対して同時に、前記上部電極の、前記焦電材料層が形成されている側と反対側の上面の酸化を行うステップを含んでいる、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−237433(P2011−237433A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−103397(P2011−103397)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【Fターム(参考)】