説明

経皮アナライトセンサアセンブリおよびその使用方法

流体試料のアナライト濃度を測定するようになされた経皮試験センサアセンブリが開示される。アセンブリは、液体を保持するようになされた少なくとも1つのリザーバを含むセンサ支持体を含む。アセンブリは、センサ支持体に連結された試験センサをさらに含む。試験センサは、その中に少なくとも1つの開口を形成する。少なくとも1つの開口の少なくとも一部分は、少なくとも1つのリザーバに隣接する。アセンブリは、試験センサ上に配置されたヒドロゲル組成物をさらに含む。ヒドロゲル組成物は、少なくとも1つの開口を通して少なくとも1つのリザーバへとリンクされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して経皮試験センサアセンブリに関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つのアナライトの濃度の測定を助けるようになされた経皮試験センサアセンブリにして、水和性の特徴を有する試験センサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
体液中のアナライトの定量的測定は、ある種の生理学的異常の診断および管理にとって非常に重要である。例えば、ある患者では、乳酸塩、コレステロール、およびビリルビンを監視するべきである。特に、体液中のグルコース値を頻繁にチェックして食事でのグルコース摂取を調節しなければならない糖尿病患者にとって、体液中のグルコースの測定は重要である。そのような試験の結果を使用して、該当する場合はどのインスリンまたは他の薬物を投与する必要があるかを判断することができる。試験システムの1つのタイプでは、試験センサを使用して、血液試料などの流体を試験する。
【0003】
いくつかの既存の手法では、ランセットを使用して、ユーザの皮膚を穿刺してユーザから流体(例えば血液)を抽出することができる。次いで、この流体を使用して、機器または計測器で、アナライト(例えばグルコース)濃度を測定する。アナライト濃度の読み取りに毎回ユーザの皮膚の穿刺が要求されることは、不便で侵襲的な方法である。さらに、この方法はユーザが結果的に痛みや不快感を経験することが多いため、望ましくない。
【0004】
アナライト濃度を測定するために試料を取得するための1つの非侵襲的な方法には、例えば、間質液(ISF)中に見られる1つまたは複数のアナライトの経皮試料を使用することを含む。この方法では、経皮試験センサがユーザの皮膚の上に置かれる。経皮センサは一般に、対象のアナライトをISFからユーザの皮膚を通してアナライト試験機器または計測器へと抽出しやすくするために、ヒドロゲル組成物を含む。ヒドロゲルは、皮膚のサンプリング部位とアナライト試験機器との間で、比較的静的で反応性の良い水の伝導をもたらすように、十分な機械的安定性および熱的安定性を持つものでなければならない。
【0005】
既存の経皮試験センサの1つの問題は、十分に水和され且つそのような水和性を維持することができるヒドロゲルを有することに関するものである。不十分な水和は、外部環境への露出および/または皮膚と試験センサの間の気密シールの欠如によって生じることがある。ヒドロゲルの水和の値(例えば溶媒の含有量)は、一般に時間の経過とともに減少する。ヒドロゲルの水和の値がある値を下回ると、ヒドロゲルは、皮膚とヒドロゲルとの間および/またはヒドロゲルと試験センサとの間に密接な接触をもたらさなくなることがある。そのような密接な接触は、正確な試験結果にとって必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記の短所の1つまたは複数に対処する際の助けとなる、経皮試験センサを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態では、流体試料のアナライト濃度を測定するようになされた、経皮試験センサアセンブリが開示される。アセンブリは、液体を保持するようになされた少なくとも1つのリザーバを含むセンサ支持体を含む。アセンブリは、センサ支持体に連結された試験センサをさらに含む。試験センサは、その中に少なくとも1つの開口を形成する。少なくとも1つの開口の少なくとも一部分は、少なくとも1つのリザーバに隣接する。アセンブリは、試験センサ上に配置されたヒドロゲル組成物をさらに含む。ヒドロゲル組成物は、少なくとも1つの開口を通して少なくとも1つのリザーバへとリンクされている。
【0008】
本発明の一実施形態では、試料のアナライト濃度を測定するようになされた、経皮アナライト試験センサアセンブリが開示される。アセンブリは、液体を保持するようになされた少なくとも1つのリザーバを含むセンサ支持体を含む。アセンブリは、センサ支持体に連結された試験センサをさらに含む。試験センサは、その中に少なくとも1つの開口を形成する。少なくとも1つの開口の少なくとも一部分は、少なくとも1つのリザーバに隣接する。アセンブリは、少なくとも1つの開口を通して少なくとも1つのリザーバにリンクされたヒドロゲル組成物をさらに含む。アセンブリは、センサ支持体に連結されたアナライト試験機器をさらに含む。アナライト試験機器は、試料のアナライト濃度を測定するようになされている。
【0009】
本発明の別の実施形態では、体液中の少なくとも1つのアナライトの濃度を測定する非侵襲的方法が開示される。方法は、センサ支持体、試験センサ、およびヒドロゲル組成物を含む経皮試験センサアセンブリを提供するステップを含む。センサ支持体は少なくとも1つのリザーバを含む。少なくとも1つのリザーバは液体を含む。試験センサはセンサ支持体に連結されている。試験センサは、その中に少なくとも1つの開口を形成する。少なくとも1つの開口の少なくとも一部分は、少なくとも1つのリザーバに隣接する。ヒドロゲル組成物は、少なくとも1つの開口を通して少なくとも1つのリザーバへとリンクされている。方法は、ヒドロゲル組成物が皮膚と試験センサの間に配置されるように、経皮センサを皮膚の領域に接触させるステップをさらに含む。方法は、アナライト試験機器を経皮試験センサアセンブリに連結するステップをさらに含む。方法は、アナライト試験機器を使用して、アナライトの濃度を測定するステップをさらに含む。
【0010】
上記の本発明の開示は、本発明のそれぞれの実施形態、またはそれぞれの態様を代表するものではない。本発明の他の特徴または利益は、以下に記載された詳細な説明および図から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、少なくとも1つのアナライトの濃度の測定を助けるようになされた経皮試験センサアセンブリを対象とする。経皮試験センサアセンブリは水和性の特徴を有する。
経皮試験センサは、センサと皮膚の間のインターフェースとして機能することができるヒドロゲル組成物を含む。ヒドロゲル組成物は、本明細書では架橋結合されたポリマーゲルとして定義されている。ヒドロゲル組成物は、一般に少なくとも1つのモノマーおよび溶媒を含む。溶媒は、一般に実質的に皮膚との生体適合性がある。ヒドロゲル組成物中に使用することのできる溶媒の非限定的な例には、水および水混合物がある。ヒドロゲル中の溶媒の量は、一般に約10から約95重量パーセントであり、モノマー量、架橋結合、および/または所望のゲルの組成に応じて変えることができる。
【0012】
経皮試験センサは、ISFなどの流体からアナライトを抽出するための浸透剤としてヒドロゲルを使用することによって、所望のアナライト濃度の測定を助ける。測定することのできるアナライトには、グルコース、脂質プロフィール(例えばコレステロール、トリグリセリド、LDLおよびHDL)、フルクトース、乳酸塩および/またはビリルビンがある。他のアナライト濃度を測定することもできることが企図されている。経皮センサの使用の1つの非限定的な例は、ユーザのISF中のグルコース濃度を測定することである。
【0013】
図1a、1bの実施形態では、経皮試験センサアセンブリ10が本発明の一実施形態に従って示されている。この実施形態では試験センサは電気化学的センサであるが、本発明を他のセンサ(例えば光学試験センサ)に適用することもできることが企図されている。電気化学的センサの例には、触媒、プラチナを含有する作用電極、カウンター電極および基準電極を利用する、標準的な3電極の設計を含む。カウンター電極および作用電極を含む2電極の電気化学的センサなど、より電極の少ないものを含む他の電気化学的センサを使用することもできることが企図されている。
【0014】
試験センサアセンブリ10は、センサ支持体12および試験センサ14を含む。試験センサ14は、一般にセンサ支持体12と平行に隣接して配置されている。図1a、1bのセンサ支持体12は、試験センサ14の寸法と全体的に同様の寸法を有する陥凹領域16を含む。陥凹領域16は、センサ支持体12に対する試験センサ14の動きを阻止するように、試験センサ14の寸法と実質的に同様の寸法を有することが望ましい。本発明の試験センサアセンブリは、センサ支持体12に対する試験センサ14の動きをさらに阻止する機構を含むこともできることが企図されている。例えば、図1a、1bの試験センサ14は、センサ支持体12の対応する湾曲要素18bに取り付けられるように適合することのできる可撓性要素18aを含む。センサ支持体12に対する試験センサ14の動きを阻止するために適切な他の機構を使用することもできることが企図されている。例えば、センサ14とセンサ支持体12の間に接着剤を配置することができる。あるいは、センサ支持体12は、試験センサ14内の対応する開口を通って陥凹領域16から延びる、プラスチック成型ピンを含むことができる。ピンは、センサ14を定位置に維持するように、例えば熱固定またはソニック溶接することができる。
【0015】
試験センサ14の外部に面した面20はヒドロゲル組成物22a、bを含む。図示された実施形態では、ヒドロゲル22a、bは全体的に円形であるが、ヒドロゲル22a、bをどのような形状とすることもできることが企図されている。さらに、2つのヒドロゲル組成物22a、bが図示されているが、試験センサ14の表面20にはどのような数のヒドロゲル組成物22a、bを含むこともできることが企図されている。ヒドロゲル22a、bは、一般に約0.05mmから約5mmの厚さであり、より詳細には約0.01mmから約1mmの厚さである。一実施形態では、ヒドロゲル22a、bによって覆われる試験センサ14の表面積は約0.1cmから約100cmである。ヒドロゲル22a、bは一般に複数の電極23の上に配置される。複数の電極23は、カウンター電極、基準電極、および作用(測定)電極を含む。他の電極構造を使用することもできることが企図されている。
【0016】
図1a、bおよび2の実施形態では、試験センサ14はデュアルセンサの試験センサであり、2つのセンサ27a、bのそれぞれは他方から独立している。試験センサアセンブリ10は2つの対応するリザーバ24a、bを含む(図1bを参照)。本発明では異なる数のセンサ27および対応するリザーバ24を使用することもできることが企図されている。
【0017】
図示された実施形態のリザーバ24a、bは陥凹領域16内に置かれている。リザーバ24a、bは、ヒドロゲル組成物22a、bを水和するための液体26を保存するようになされている。リザーバ24a、bに保存することのできる液体のタイプは、第2のヒドロゲル、溶媒等を含む。溶媒は、ヒドロゲル組成物22a、b中に使用した溶媒と同じまたは異なるものとすることができる。図1bの図示された実施形態では、リザーバ24a、bは全体的に円形であるが、リザーバ24a、bは他の形状とすることもできることが企図されている。
【0018】
試験センサ14は、センサ27a、bに対してその中に形成された少なくとも1つの開口28a、bを含み、これらは全体的にヒドロゲル22a、bの下および全体的にリザーバ24a、bの上に配置されている。少なくとも1つの開口28a、bが、液体26とヒドロゲル22a、bのための導管として働く。したがって、ヒドロゲル22a、bの水和物が減少し始めると、リザーバ24a、b内の液体26はヒドロゲル22a、bにさらなる水和物を供給する。液体26は、ヒドロゲル22a、bが液体26をより簡単に吸収することができるように、一般にヒドロゲル22a、bより多い割合の溶媒を含むことが望ましい。ヒドロゲル22a、bはある時点で飽和して、それ以上液体26を吸収することができないようにすることができる。ヒドロゲル22a、bの脱水を低減または実質的に排除することによって、ヒドロゲル22a、bの輸送特性が変化せず、より正確な試験結果を得ることができる。
【0019】
本発明の試験センサアセンブリは、図2の実施形態に示すように、アナライト試験機器、または計測器に連結することができる。図2を参照すると、計測器アセンブリ100が、計測器111に連結された試験センサアセンブリ110を含む。図2の試験センサアセンブリ110は、上記の図1a、bの試験センサアセンブリ10と実質的に同様である。図示された実施形態では、計測器111は、試験センサ114の反対側のセンサ支持体112の表面に連結される。計測器111は試験センサアセンブリ110の他の部分と連結することもできることが企図されている。試験センサアセンブリ110および計測器111を実質的に固定位置に維持するために、スナップ嵌め、ねじ、または他の締結具を含むがこれに限定されない、適切な何らかの機構を使用することができることが企図されている。計測器111は、ISF試料などの流体試料中の所望のアナライトの濃度を測定するようになされている。
【0020】
ISF試料中のアナライト(例えばグルコース)濃度を試験するために、試験センサ114上のヒドロゲル組成物128a、bをユーザの皮膚の上に置き、それにより皮膚と試験センサ114を連結する。試験センサアセンブリ110を、手首と肘の間の前腕掌側などの皮膚部位に適用し、ヒドロゲル122a、bが全体的に皮膚部位と試験センサ114の間に配置されるようにすることができる。試験センサアセンブリ110は、腹部などの他の皮膚部位に適用することもできることが企図されている。計測器111および/または試験センサアセンブリ110は、持続的グルコース監視または非持続的グルコース監視のために使用することもできることが企図されている。
【0021】
皮膚の浸透性を高めるために、試験センサアセンブリ110を適用する前に、皮膚に前処置を施すことが望ましいことがある。前処置の1つの例は、皮膚の浸透性を高めるために、超音波エネルギーを使用して角質層の脂質二重層を分断することである。皮膚の浸透性を高めることによって、経皮サンプリングにおいて使用されるISFの量が増加する。これにより、ISF中に見られる対象のアナライトのサンプリングが改善されることになる。
【0022】
超音波エネルギーシステムの1つの非限定的な供給源は、Sontra Medical Corporation(マサチューセッツ州、Franklin)から販売されている、Sontra SonoPrep(登録商標)超音波皮膚浸透システムである。SonoPrep(登録商標)システムは、限られた時間(約10から20秒)、皮膚に比較的低周波の超音波エネルギーを与える。デバイスに含まれる超音波ホーンが、毎秒約55,000回(55KHz)振動し、結合媒体中で拡張および収縮するキャビテーション気泡を生成するように液体結合媒体を通してエネルギーを皮膚に与える。
【0023】
図2を再び参照すると、1つの方法に従って、アナライト(例えばグルコース)の持続的な経皮監視のために計測器アセンブリ100が使用される。持続的監視システムでは、計測器アセンブリ100は、ミリ秒から分まで様々とすることのできる一定間隔でアナライト濃度(例えばグルコース)を測定する。計測器111は、長期間、センサ支持体112に連結したままとすることができるので、ユーザにとってかさ張りおよび不便さを最小限に抑えるために、計測器111をコンパクトなサイズとすることが望ましい。計測器111はまた、試験データを例えば遠隔コンピュータのデータ管理システム130へとワイヤレスで送信するように適合させることもできる。
【0024】
上述のように、ヒドロゲルは一般に1つまたは複数のモノマーおよび溶媒を含む。モノマーおよび溶媒に加えて、ヒドロゲル組成物は他の材料を含むこともできることが企図されている。例えば、電解質をヒドロゲル組成物に加えることができる。電解質は望ましくは、皮膚に浸透圧を加える助けとなる高い塩分濃度を含む。皮膚に浸透圧を加えることによって、電解質は、アナライトを含むISFを押し出すことを助ける。使用することのできる電解質の非限定的な例には、塩化物、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、および乳酸塩のナトリウムおよびカリウム塩がある。
【0025】
ヒドロゲル組成物は液体をさらに含むことができる。液体は電解質を含むことができる。液体中の電解質の濃度は、アナライト濃度の測定プロセスの機能性を保証するには一般に十分に高いが、試験される体液(例えばISF)と比較して液体を低浸透圧のままとするには十分に低い。電解質は、多くの溶質を低浸透圧液体へと拡散する推進力が生じることができる。推進力によって、センサ面へと向かうアナライト(例えばグルコース)の輸送を強化することもできる。その代わりに、またはそれに加えて、液体は一般にアナライト濃度の測定プロセスに関与する反応の効率を増加するための組成物を含むことができる。例えば、液体はヒドロゲル中のグルコースのグルコースオキシダーゼ変換を促すpH値を有する緩衝剤を含むことができる。
【0026】
ヒドロゲル組成物は、アナライト濃度の測定を助ける酵素をさらに含むことができる。アナライトによっては、酵素が、電気化学的検出などの検出に適した種へのアナライトの変換を助けることができる。グルコースを測定する際に使用することのできる酵素の1つの例はグルコースオキシダーゼである。グルコースデヒドロゲナーゼなど、他の酵素を使用することもできることが企図されている。他のアナライトが対象である場合、適切に選択された酵素が、そのアナライトの濃度の測定を助けることができる。
【0027】
ヒドロゲル組成物は浸透促進剤をさらに含むことができる。浸透促進剤は、ヒドロゲル組成物が皮膚に塗布される適用において望ましい。浸透促進剤は皮膚の孔を開くことを助ける。使用することのできる浸透促進剤の非限定的な例は、スクアレン、非飽和脂肪酸、脂肪アルコールのグリセロール誘導体、ジメチルスルホキシド、および脂肪酸のアルキルエステルを含むが、これに限定されない。
【0028】
ヒドロゲル組成物に追加することのできる他の材料は、殺生物剤、湿潤剤、界面活性剤およびそれらの組合せを含むが、これに限定はされない。殺生物剤は細菌の成長を示すことを助ける。使用することのできる殺生物剤の非限定的な例には、防腐剤のパラベン類、安息香酸ナトリウム、塩化ベンズアルコニウム、およびトリアルキルアミンがある。湿潤剤は、皮膚の保湿を維持することが望ましい適用を助ける。使用することのできる湿潤剤の非限定的な例には、グリセロール、ヘキシレングリコールおよびソルビトール、マルチトール、ポリデキストロース、プロピレングリコール、乳酸、および乳酸金属塩がある。界面活性剤はヒドロゲル組成物と皮膚の結合を助け、それらの間の接触を改善する。使用することのできる界面活性剤の非限定的な例には、TRITON(登録商標)X−100(分子式がC1422O(CO)でありnの平均が9または10である、オクチルフェノールエトキシレート)などのアルキルフェノール、あるいはソルビトールおよびTWEEN(商標)シリーズなどのソルビトール誘導体がある。
【0029】
ヒドロゲル組成物は、望ましくは、皮膚のサンプリング部位とセンサの間で、比較的静的であり、反応性かつ水性の導管をもたらすように、十分な機械および熱安定性を持つ。より詳細には、ヒドロゲル組成物は物理的均一性および可撓性、およびせん断力に対する機械安定性を有することが望ましい。ヒドロゲル組成物は皮膚の多孔性を維持することも望ましい。ヒドロゲル組成物は、望ましくは、良好な皮膚とセンサの結合性または皮膚接着性の確保を助ける比較的高い圧縮度も示す。
【0030】
ヒドロゲル組成物は酵素を取り込むために十分に大きい多孔性を有することも望ましい。例えば、グルコース濃度の測定を伴ういくつかの適用では、ヒドロゲル組成物はグルコースオキシダーゼのマトリクスおよびグルコースおよび過酸化水素のための拡散経路を設けることが望ましい。
【0031】
本発明で使用することのできるヒドロゲルは、第1のモノマー、第2のモノマー、架橋結合剤、および溶媒を含むことができる。第1のモノマーは、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アクリルアミド、およびN,Nジアルキルアクリルアミドからなる群から選択される。第2のモノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、N−ビニルアクリルアミド、ビニルエステル、およびビニルエーテルからなる群から選択される。第1のモノマー対第2のモノマーの比は、約0.1:99.9から約99.9:0.1である。
【0032】
使用することのできるヒドロゲルの一例は、第1のモノマーとしてN−ビニルピロリドンおよび第2のモノマーとして酢酸ビニルを含む。ヒドロゲルは、Ciba Specialty Chemicals Pty Ltd.からIrgacure(登録商標)2959として販売されている光開始剤(2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン)、および架橋結合剤(ジエチレングリコールジビニルエーテル)をさらに含む。コポリマー混合物は、50部のN−ビニルピロリドン、50部の酢酸ビニル、0.5部のIrgacure(登録商標)2959、および0.5部のジエチレングリコールジビニルエーテルを含む。
代替実施形態A
流体試料のアナライト濃度を測定するようになされた経皮試験センサアセンブリであって、
液体を保持するようになされた少なくとも1つのリザーバを含むセンサ支持体と、
センサ支持体に連結された試験センサであって、その中に少なくとも1つの開口を形成し、少なくとも1つの開口の少なくとも一部分が少なくとも1つのリザーバに隣接する試験センサと、
試験センサ上に配置されたヒドロゲル組成物であって、少なくとも1つの開口を通して少なくとも1つのリザーバにリンクされたヒドロゲル組成物とを含む試験センサアセンブリ。
代替実施形態B
少なくとも1つのリザーバが液体をさらに含む、代替実施形態Aのアセンブリ。
代替実施形態C
ヒドロゲルが溶媒を含み、少なくとも1つのリザーバの液体が溶媒を含み、液体の溶媒の割合がヒドロゲルの溶媒の割合より大きい、代替実施形態Bのアセンブリ。
代替実施形態D
センサ支持体が試験センサの寸法と全体的に同様の寸法を有する陥凹領域をさらに含み、陥凹領域が試験センサに隣接し、少なくとも1つのリザーバが陥凹領域内に配置されている、代替実施形態Aのアセンブリ。
代替実施形態E
アセンブリが試験センサアセンブリをアナライト試験機器に連結するための連結機構をさらに含む、代替実施形態Aのアセンブリ。
代替実施形態F
ヒドロゲル組成物が少なくとも1つのモノマーおよび溶媒を含む、代替実施形態Aのアセンブリ。
代替実施形態G
試料のアナライト濃度を測定するようになされた経皮アナライト試験アセンブリであって、
液体を保持するようになされた少なくとも1つのリザーバを含むセンサ支持体と、
センサ支持体に連結された試験センサであって、その中に少なくとも1つの開口を形成し、少なくとも1つの開口の少なくとも一部分が少なくとも1つのリザーバに隣接する試験センサと、
少なくとも1つの開口を通して少なくとも1つのリザーバへとリンクされるヒドロゲル組成物と、
センサ支持体に連結されたアナライト試験機器であって、試料のアナライト濃度を測定するようになされたアナライト試験機器とを含む、アナライト試験アセンブリ。
代替実施形態H
少なくとも1つのリザーバが液体をさらに含む、代替実施形態Gのアセンブリ。
代替実施形態I
ヒドロゲルが溶媒を含み、少なくとも1つのリザーバの液体が溶媒を含み、液体の溶媒の割合がヒドロゲルの溶媒の割合より大きい、代替実施形態Gのアセンブリ。
代替実施形態J
センサ支持体が試験センサの寸法と全体的に同様の寸法を有する陥凹領域をさらに含み、陥凹領域が試験センサに隣接し、少なくとも1つのリザーバが陥凹領域内に配置されている、代替実施形態Gのアセンブリ。
代替実施形態K
ヒドロゲル組成物が少なくとも1つのモノマーおよび溶媒を含む、代替実施形態Gのアセンブリ。
代替実施形態L
アナライト試験機器があらかじめ選択された時間間隔でアナライト濃度を測定するようになされた、代替実施形態Gのアセンブリ。
代替プロセスM
体液中の少なくとも1つのアナライトの濃度を測定する非侵襲的方法であって、
センサ支持体、試験センサ、およびヒドロゲル組成物を含む経皮試験センサアセンブリを提供するステップであって、試験センサ支持体が少なくとも1つのリザーバを含み、少なくとも1つのリザーバが液体を含み、試験センサがセンサ支持体に連結され、試験センサがその中に少なくとも1つの開口を形成し、少なくとも1つの開口の少なくとも一部分が少なくとも1つのリザーバに隣接し、ヒドロゲル組成物が少なくとも1つの開口を通して少なくとも1つのリザーバにリンクされるステップと、
ヒドロゲル組成物が皮膚と試験センサの間に配置されるように、経皮センサを皮膚の領域に接触させるステップと、
アナライト試験機器を経皮試験センサアセンブリに連結するステップと、
アナライト試験機器を使用して、アナライトの濃度を測定するステップとを含む方法。
代替プロセスN
皮膚の領域が前処置されている、代替プロセスMの方法。
代替プロセスO
アナライト試験機器を使用してアナライトの濃度を測定するステップがあらかじめ選択された時間間隔で反復される、代替プロセスMの方法。
代替プロセスP
ヒドロゲルが溶媒を含み、少なくとも1つのリザーバの液体が溶媒を含み、液体の溶媒の割合がヒドロゲルの溶媒の割合より大きい、代替プロセスMの方法。
代替プロセスQ
センサ支持体が試験センサの寸法と全体的に同様の寸法を有する陥凹領域をさらに含み、陥凹領域が試験センサに隣接し、少なくとも1つのリザーバが陥凹領域内に配置されている、代替プロセスMの方法。
代替プロセスR
ヒドロゲル組成物が少なくとも1つのモノマーおよび溶媒を含む、代替プロセスMの方法。
【0033】
本発明は様々な修正および代替形態の余地があるが、図面の例を使用してその特定の実施形態および方法を示し、詳細に説明した。しかし、これは本発明を特定の形態または開示された方法に制限するものではなく、その反対にその意図は、添付の特許請求に記載された通り、本発明の精神および範囲内に該当するすべての修正、等価物、および代替例をカバーするものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1aは本発明の一実施形態による試験センサアセンブリの斜視図である。図1bは図1aの試験センサアセンブリの分解斜視図である。
【図2】アナライト試験機器に連結された、本発明の試験センサアセンブリの斜視図である。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料のアナライト濃度を測定するようになされた経皮試験センサアセンブリであって、
液体を保持するようになされた少なくとも1つのリザーバを含むセンサ支持体と、
前記センサ支持体に連結された試験センサであって、その中に少なくとも1つの開口を形成し、前記少なくとも1つの開口の少なくとも一部分が前記少なくとも1つのリザーバに隣接する試験センサと、
前記試験センサ上に配置されたヒドロゲル組成物であって、前記少なくとも1つの開口を通して前記少なくとも1つのリザーバにリンクされたヒドロゲル組成物と、を含む試験センサアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのリザーバが液体をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ヒドロゲルが溶媒を含み、前記少なくとも1つのリザーバの液体が溶媒を含み、前記液体の溶媒の割合が前記ヒドロゲルの溶媒の割合より大きい、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記センサ支持体が前記試験センサの寸法と全体的に同様の寸法を有する陥凹領域をさらに含み、前記陥凹領域が前記試験センサに隣接し、前記少なくとも1つのリザーバが前記陥凹領域内に配置されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記アセンブリが前記試験センサアセンブリをアナライト試験機器に連結するための連結機構をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ヒドロゲル組成物が少なくとも1つのモノマーおよび溶媒を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
試料のアナライト濃度を測定するようになされた経皮アナライト試験アセンブリであって、
液体を保持するようになされた少なくとも1つのリザーバを含むセンサ支持体と、
前記センサ支持体に連結された試験センサであって、その中に少なくとも1つの開口を形成し、前記少なくとも1つの開口の少なくとも一部分が前記少なくとも1つのリザーバに隣接する試験センサと、
前記少なくとも1つの開口を通して前記少なくとも1つのリザーバへとリンクされるヒドロゲル組成物と、
前記センサ支持体に連結されたアナライト試験機器であって、試料のアナライト濃度を測定するようになされたアナライト試験機器と、を含む、アナライト試験アセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのリザーバが液体をさらに含む、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ヒドロゲルが溶媒を含み、前記少なくとも1つのリザーバの液体が溶媒を含み、前記液体の溶媒の割合が前記ヒドロゲルの溶媒の割合より大きい、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記センサ支持体が前記試験センサの寸法と全体的に同様の寸法を有する陥凹領域をさらに含み、前記陥凹領域が前記試験センサに隣接し、前記少なくとも1つのリザーバが前記陥凹領域内に配置されている、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ヒドロゲル組成物が少なくとも1つのモノマーおよび溶媒を含む、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記アナライト試験機器があらかじめ選択された時間間隔でアナライト濃度を測定するようになされた、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項13】
体液中の少なくとも1つのアナライトの濃度を測定する非侵襲的方法であって、
センサ支持体、試験センサ、およびヒドロゲル組成物を含む経皮試験センサアセンブリを提供するステップであって、前記試験センサ支持体が少なくとも1つのリザーバを含み、前記少なくとも1つのリザーバが液体を含み、前記試験センサが前記センサ支持体に連結され、前記試験センサがその中に少なくとも1つの開口を形成し、前記少なくとも1つの開口の少なくとも一部分が前記少なくとも1つのリザーバに隣接し、前記ヒドロゲル組成物が前記少なくとも1つの開口を通して前記少なくとも1つのリザーバにリンクされるステップと、
前記ヒドロゲル組成物が皮膚と前記試験センサとの間に配置されるようにして、前記経皮センサを前記皮膚の領域に接触させるステップと、
アナライト試験機器を前記経皮試験センサアセンブリに連結するステップと、
前記アナライト試験機器を使用してアナライトの濃度を測定するステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記皮膚の領域が前処置されているものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アナライト試験機器を使用してアナライトの濃度を測定するステップが、あらかじめ選択された時間間隔で反復される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒドロゲルが溶媒を含み、前記少なくとも1つのリザーバの液体が溶媒を含み、前記液体の溶媒の割合が前記ヒドロゲルの溶媒の割合より大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記センサ支持体が前記試験センサの寸法と全体的に同様の寸法を有する陥凹領域をさらに含み、前記陥凹領域が前記試験センサに隣接し、前記少なくとも1つのリザーバが前記陥凹領域内に配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒドロゲル組成物が少なくとも1つのモノマーおよび溶媒を含む、請求項13に記載の方法。

【図2】
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【公表番号】特表2009−520187(P2009−520187A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545825(P2008−545825)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/047803
【国際公開番号】WO2007/075368
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】