経皮医薬組成物
本発明は、経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するためのポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルに関するものである。更に本発明は、エステロゲンおよびプロゲスチン成分、並びに液晶ゲルポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体よりなる経皮医薬組成物に関するものである。本発明は、経皮ホルマン補充療法および関与した活性成分に依存する他の経皮用途に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための、ポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルに関するものである。
【0002】
更に本発明は、エストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなる経皮医薬組成物にも関するものである。
【0003】
更に本発明は、医薬組成物がエストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す経皮ホルモン補充療法のための処置方法にも関するものである
【0004】
更に本発明は、1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなる経皮医薬組成物に関するものである。
【0005】
更に本発明は、医薬組成物が1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す経皮療法のための処置方法にも関するものである。
【0006】
軟膏の貴重かつ有力なベースとしての液晶系の経皮学的用途は、先ず最初にワールグリーン・S等により1984年に提案された(ジャーナル・ファーマコロジカル・サイエンス、第73巻(1984)、第1484頁)。
【0007】
薬剤処方物における液晶およびミクロエマルジョン系の用途が数種の刊行物に記載された。ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルの概念はニュルンベルグ・Eおよび共同研究者(Dtsch.Apoth.Ztg、第123巻(1983)、第1933頁:ファーマコロジカル・インダストリー、第48巻(1986)、第1191頁:ファーマコロジカル・アクタ・エルベチカ、第65巻(1990)、第105頁)により明らかにされると共に、薬剤処方物におけるこれら系の用途も強調された。
【0008】
流動学的検討によるミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルの特性化およびその処方の物理化学的背景はスチュパー・Mおよび共同研究者(ファルマジエ、第41巻(1986)、第516頁)により検討された。
【0009】
調節薬物供給の技術はタイル・Pおよび共同研究者により1989年に集約、系統化および刊行された(Ed:ロショッフ・M;薬物の調節放出:ポリマーおよびアグリゲート系、VCHパブリッシャーズ・インコーポレイテッド(1989)、第125〜162頁;薬物供給における液晶およびその用途)、この刊行物は液晶系(表面活性剤が特定凝集体を形成する場合)、その分類、可能性、並びにその安定性および用途につき取り扱っている。
【0010】
表面活性剤は表面活性もしくは毛管活性剤であって、同じ有機化合物内に極性部分と非極性部分とを有する。これら2つの部分は非対称的に位置することが重要である。通常、表面活性剤は水の表面張力を顕著に低下させると共に乳化剤、湿潤剤および薬物処方における可溶化添加剤として使用される。
【0011】
補助表面活性剤は全く或いは表面活性剤よりずっと低い表面活性しか持たないが、その機能を助け、従って表面活性剤の量を減少させうる有機分子である。表面活性剤は生理学的には異ならないが皮膚を害しうると共に、より高い濃度にて粘膜を害しうる。
【0012】
表面活性剤から生成された系は一般に2成分もしくは多成分系として分類される。
【0013】
2成分系は1種もしくは2種の表面活性剤と溶剤(一般に水)とで構成され、低度もしくは高度の会合を有する系として分類することができる。液晶は会合の点でこれらに属する。
【0014】
ミセル、逆ミセルおよびポリマーミセルは低度の会合を有する系である。生物学的膜およびリポ蛋白は高度の会合を有する系である。液晶系は中程度の会合を有する(ブイヤス、S.P等、ファルマジエ、第52巻(1997)、第259頁)。その配置は結晶固体と同一である。
【0015】
種々のシステムが溶剤の濃度に応じて形成される。これら系はブラウン・G.H.およびウォルケン・J.J(液晶および生物学的構造、アカデミックプレス社、ニューヨーク(1979)により次のように分類された:
0% 水 結晶状態、緻密な固体物質
5〜22% 水 ラメラ液晶状態
23〜40% 水 液晶状態、立方格子にて配列
34〜80% 水 液晶状態、六角相
30〜99.9% 水 ミセラ溶液
【0016】
ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルは多成分系(少なくとも3成分、一般に4成分)である。ミクロエマルジョンと液晶との間には高い類似性も存在するが、その組成は互いに相違する。ミクロエマルジョンは少なくとも3成分:すなわち表面活性剤(しばしば補助表面活性剤と組み合わせる)、油および水で構成される。ミクロエマルジョンは流体、クリア、透明、等方性かつ熱力学的に安定なシステムである[ニュルンベルグ・Eの規定による(ファルマシア・アクタ・エルベチカ、第65巻(1990)、第105頁)。これらは少なくとも1種の表面活性剤、より好ましくは2種の表面活性剤の混合物を含有し、2種の不混和性もしくは部分混和性の液体で構成される。その存在は3種の成分の臨界的比を必要とする。
【0017】
ミクロエマルジョンゲルは室温にてその形状を保持するが、これらは展延性であると共に一般に高粘度を有する粘弾性系である。これらは表面活性剤と補助表面活性剤と親油性成分としての油と水とで構成される。顕微鏡的には、これらは透明性または僅かな不透明性を示す。ミクロエマルジョンゲルは適宜等方性かつ熱力学的に安定な系である。
【0018】
ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルは表面活性剤(しばしば補助表面活性剤と組み合わせる)と油と水との或る相対量にて自然に形成される。
【0019】
ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルの形成につき必要とされる相対量は相ダイヤグラムにより決定することができる。これら3成分相ダイヤグラムの各領域は、3種の成分の或る相対量に相当するシステムおよび構造を示す。三角形の3辺は表面活性剤および補助表面活性剤の一緒の濃度、油相の濃度および水相の濃度をそれぞれ示す。ミクロエマルジョンもしくはミクロエマルジョンゲルの形成をもたらす各成分の濃度範囲はダイヤグラムに基づき実験的に決定することができる。
【0020】
ミクロエマルジョン系の特性(光学等方性または非等方性、構造、粘度、並びに安定性)は光学技術、流動学的技術および熱分析技術により検討することができる。
【0021】
分子配列(結晶様特性)は偏光化顕微鏡の使用により証明することができる。液晶状態の証明として典型的な干渉パターン(「マルテーゼクロス」)は、コンピュータを接続した高倍率画像顕微鏡により示される。
【0022】
合着構造は流動学的技術により証明することができ、液晶の存在は比較的簡単な方法により定量的に記載することができる(シャンビル・Fおよび共同研究者:ファッテ・ウント・エレ、第144巻(1988)、第295頁)。すなわち、溶液における表面活性剤濃度を増大させることにより、粘度の劇的増加が所定の濃度にて生ずる。
【0023】
ホルモン補充療法(HRT)は、閉経後症候群を処置するため並びに心臓欠陥症および骨粗鬆症を予防するためのエストロゲンの投与およびエストロゲンとプロゲスチンとの組合せの投与を含む。HRTにおける薬物投与として与えられるホルモンは、閉経期前に生成される女性の性ホルモンに類似する。閉経の際またはその開始時点で施されるHRTは、女性の性ホルモン(すなわちエストロゲンおよびプロゲスチン)の生理学的平衡を回復する。従って、性ホルモンの血漿濃度は正常化されると共に、薬物投与により繁殖年のレベルまで増大し、これにより身体的および感情的不満が解除される。HRTは閉経症候群の有効処置として1950年以来施されている。
【0024】
閉経期におけるHRTの施用の利点はクリスチャンセン・C(マツリタス、第38巻、補遺1、2001)により要約された。閉経症候群、血管運動障害、ホットフラッシュおよび精神障害、並びにエストロゲン欠損に基づく症候(すなわち膣乾燥、疫痛性交、下部尿道管における粘膜変化の結果として頻繁および急激な尿通過の必要性、並びに種々異なる尿道疾患は短期間でHRTにより排除される。更に閉経後の尿失禁もHRTにより排除される。
【0025】
徴候的改善の他に、HRTは長期施用の場合に更なる利点、(すなわち骨粗鬆症、心臓血管病、アルツハイマー病および大腸癌の発生の予防、並びに閉経後の婦人の生活品位の改善)を有する。
【0026】
HRTにおけるプロゲスチンの施用は主として保護的役割を有する。或る徴候の撲滅、並びにその頻繁な投与単独に貢献する他、プロゲスチンの施用は主としてエストロゲンの副作用に対するその保護により正当化される。その投与は子宮内膜増殖効果、並びに二次的子宮内膜癌の危険性に対する保護を与えてエストロゲンの能力を増大させるのに必須である。
【0027】
HRTにおいてプロゲスチンは順次にまたは連続的に用いられる。両療法形態は子宮内膜の保護につき有効である。順次の療法は月経期間に類似する出血消退を含む。何故なら投与が妊娠年齢の婦人におけるホルモンの血漿レベルのパターンを倍化するからである。プロゲスチンは、連続組合せ投与と比較して一層高い投与量にて、月経サイクルの規定の日数にわたり与えられる。この場合、プロゲスチンの望ましくない作用(吐き気、乳房圧通、乳房緊張、頭痛、出血消退)が一層頻繁に生ずる。月経出血は、プロゲスチンの小投与量の連続組合せ投与により行われるHRTによって除去することができ、従ってプロゲスチンによって生ずる悪作用を緩和することができる。
【0028】
HRTにつき天然エストロゲン(エストラジオール、エストロン、エストロンサルフェート、エストリオール)、並びに結合および平衡−エストロゲンも使用される。これらの殆どは化学合成により作成される。
【0029】
エストラジオールが最も効果的なエストロゲンである。エストロンの効果はそれより50〜70%低い。エストリオールは3種の古典的エストロゲンのうち最も効果が低く、その活性はエストラジオールの効果と比較して10%である。
【0030】
エストロゲンの効果はルギエロ・R.J.およびリキス・E(ジャーナル・ミッドワイフェリー・ウーマンズ・ヘルス、第47巻(2002)、第130頁)により記載された。エストロゲンは非ゲノムメカニズムにより両短期作用効果を果たし、遅い効果はゲノムメカニズムの媒介によって生ずる。エストロゲンは遺伝子発現の制御により作用すると思われる。エストロゲン応答組織(乳房、視床下部、脳下垂体)の細胞に入るエストロゲンは細胞内リセプタに結合する。エストロゲンリセプタは核ホルモンリセプタの上位種類に入り、影響遺伝子の特定ヌクレオチド配列と相互作用する。後者は制御遺伝子の転写を増大させる。或る種の組織におけるエストロゲン作用は主として1種もしくは数種の遺伝子の直接的活性化にて証明される(たとえば蛋白の合成および/もしくは分泌における鋭敏な増加)。多くの複合反応(子宮内膜増殖、骨物質の増加)の場合、エストロゲンリセプタは現定数の複雑な「急速反応性」遺伝子の転写を開始させ、形成される生成物は一連の二次的イベントを開始して組織反応をもたらす。エストラジオールの急性非ゲノム作用は血漿膜のエストロゲンリセプタにより媒介される。
【0031】
HRTの過程で、投与されるエストラジオールは内生エストラジオールの全生理学的作用を補充することができる。HRTで施されるエストラジオールは子宮頸管分泌、子宮内膜増殖、並びに子宮筋層のトーンを増大させる。エストロゲン欠損、血管運動の徴候、ホットフラッシュ、夜汗症、並びに心悸亢進(パルピテーション)が排除される。HRTにて施されるエストラジオールは内生オピオイド生成、血漿蛋白に結合されたトリプトファンの排除を増大させると共に更にCNSにおけるモノアミノオキシダーゼ活性の増加を減少させることにより、神経障害に対するその好適作用を果たす。HRTにて施されるエストラジオール療法は尿生殖管のエストロゲンリセプタに対して作用し、従って老齢の膣炎、尿道不全、疫痛性交の発生、並びに閉経後の尿失禁(すなわち尿道管の粘膜のアトロピー)を顕著に減少させる。
【0032】
エストロゲンの重要な生理学的作用は、骨組織の代謝ユニットの活性化の阻止である。エストロゲンはインタロイキン(IL)の合成を阻止し、これらインタロイキンは骨形成性オステオブラストに形成されると共に骨の再吸収を効果的に刺激する。更にエストロゲンはIL−6の活性を阻止すると共に副甲状腺ホルモンの骨再吸収刺激作用をリセプタレベルにて妨げ、これはインタロイキンの作用に関係すると思われる。ミネラル類の代謝もエストロゲンの全身作用により影響を受け、これによりカルシウムホメオスタシスの維持が支援される。特に、これらはビタミンDを1,25−ジヒドロキシ−コレカルシフェロールまで腎臓にて活性化させる加水分解酵素の活性を強化する。
【0033】
閉経の悪結果は、複合メカニズムによりHRTにて施されるエストラジオールによって排除される。エストラジオールの投与の後、数分間以内にホルモン媒介の血管拡張が誘発される。各種の血管拡張性物質をコードする遺伝子の発現が増大し、血漿のリピド組成が好適に改変され、これにより動脈硬化の進行も長い潜伏期のエストラジオール作用により緩和することができる。全体的なコレステロールおよびLDL(低密度リポ蛋白質)の血漿レベルが低下し、HDL−コレステロール(高密度リポ蛋白質)レベル(特にHDL2−フラクションのそれがエストラジオールにより上昇する。HDL−コレステロールレベルの増大は肝臓リパーゼ活性の阻止に起因する。LDL−コレステロールレベルの減少は、肝臓および周辺組織の両者におけるLDLリセプタ発現の増加の結果として血漿からのコレステロール吸収の増加に基づく。
【0034】
血漿トリグリセリドレベルは、VLDL(極低密度リポ蛋白質)の肝臓生成の増加に基づき経口投与されるエストロゲンによって増加する。更に炭水化物および遊離脂肪酸からのトリグリセリドの形成も、インシュリンに対する末梢組織の感受性の増大によって促進される。
【0035】
エストロゲン補充の結果、血液リピドプロフィルは好適に変化し、すなわちその動脈硬化誘発作用が減少する。エストロゲンは更に血液凝固(アンチスロンビン活性および/または血小板凝集が減少する)、炭水化物代謝(空腹時血糖が上昇する)、血圧(レニン基質供給が増大する)または静脈トーン(局部プロスタサイクリン形成の増加によると思われる)に対し実質的に心臓保護作用をも有する。
【0036】
非糖尿病婦人の空腹時ブドウ糖およびインシュリンレベルはHRTにより低下する。閉経後、HRTはタイプ2型糖尿病を有する婦人においてインシュリンに対する組織の感受性を改善する。
【0037】
閉経後の婦人の皮膚アトロピーは皮膚におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸の減少の結果である。エストロゲンはヒアルロン酸シンターゼの誘発剤として機能し、従って高分子量ヒアルロン酸の合成がHRTにて増大し、皮膚の結合組織の水含有量が増大する。
【0038】
HRTにて施されるプロゲスチンの作用はシトラック−ウェアー・Rにより要約された(ジャーナル・ステロイド・バイオケミカル・モレキュラ・バイオロジー、第69巻(1999)、第185頁)。HRTにて施されるプロゲスチンは、特定リセプタに結合することによりその作用を果たす。これらは雌生物の繁殖機能および子宮内膜変換に影響を及ぼす。これらは骨のメタボリズムに対し効果を有して、エストロゲンの骨組織保持能力を増大させる。その代謝作用を介しプロゲスチンはリポ蛋白リパーゼの活性を刺激し、これはリピド沈着をもたらすと共にLDL−Cレベルを増大させ、かつHDL−Cレベルを減少させて心臓血管病の危険を増大させる。エストロゲンは反対の作用を有するので、エストロゲンの作用を減少させる心臓血管病はプロゲスチンにより減少する。乳癌の危険がプロゲスチンにより増大するかしないかを示す充分なデータは存在しない。或る種のデータは、プロゲスチンの循環的投与がこの危険を増大させることを示す。
【0039】
プロゲスチン類のうちプレグナー誘導体(酢酸メドロキシプロゲステロン)および19−ノルテストステロン誘導体(ノルエチンドロン)がHRTにて広く使用される。心臓血管病の危険性は高HDL−コレステロールレベルにより減少すると共に高LDL−コレステロールレベルにより増大することが知られている。HRT製剤のエストロゲン成分はHDL−コレステロールレベルとHDL/LDL比とを増大させるが、これら好適な作用はそのアンドロゲン作用の結果としてプロゲスチンにより弱化し、或いはプロセスが悪い方向にさえ移動する。これら好適でない作用は新規かつ選択的な第2および第3世代プロゲスチン成分の施用により除去され、これら成分はアンドロゲン作用をもたない(ゲストデン、エトノゲストレル、レボノルゲストレル)。
【0040】
HRTにおいて、アンドロゲン作用を持たない新規かつ選択的なプロゲスチンの施用は血漿リピドの比率における望ましくない変化が存在しないよう確保し、すなわちエストロゲン成分により誘起される好適HDL/LDL比が維持される(ソベル・N.B:オブステット・ギネコロジー・クリニック・ノース・アメリカ、第21巻(1994)、第299頁)。HDL内にてHDL2−サブフラクションのレベルは減少せず、これは心臓血管病の観点から顕著な重要性を有すると共に高アンドロゲノミア(アンドロゲン型アロペシア、ヒルスチズム)の徴候に対し好適作用を有する。
【0041】
経口投与の場合と比較し、経皮投与(経皮ゲル、パッチ)の薬物動的プロフィルは一層有利である(スチーブンソンJ.C:マツリタス、第33巻(1999)、第31頁)。経口摂取の場合、ホルモンの高い投与量が必要とされる。何故なら、ホルモンの90%が活性の低いエストロンまで変換されて胃腸管および肝臓にて代謝物と結合し、従ってエストロンの血漿レベルがエストラジオールのレベルよりも高くなるからである。経皮投与の場合、皮膚における生物変換はずっと低く、従ってホルモンを一層低い投与量にて施すことができ、血漿のエストラジオール/エストロン比は閉経前に生理学的状態をもたらす。HRT製剤を経口投与すれば定期的かつ急激な高血漿ホルモンレベルの結果、各種蛋白質(レニン基質、血液凝固因子)の合成が門脈循環にて誘発され、これは観察される副作用の原因となる。HRTの経皮施用の場合、レニン基質合成における増加は存在せず或いは血液凝固システム、インシュリン代謝およびトリグリセリドレベルの機能の変化は増加しないことが強調される。これら相違は経皮施用の場合に心臓血管病の危険性を減少させ、従って経皮投与がたとえば不安定な高血圧もしくは高トリグリセリド症を有する婦人および血塞栓症の履歴を有する婦人のような或る種の患者につき好適である。
【0042】
乳癌に関し低投与量の経皮エストロゲン処置は最高の安全性を与える。何故なら、代謝物(これは有力にはオンコジーンとなりうる)の形成に対する刺激作用が最小となるからである。
【0043】
HRTはパッチおよびゲルによって施される。パッチを施せば刺激、紅斑、アレルギー皮膚炎によって現われる皮膚反応は患者のコンプライアンスを減少させると共に、多くの婦人はHRTの適用を停止する。経皮ゲルを施せば皮膚反応の発生がずっと低くなり、患者のコンプライアンスは一層高くなる。経皮ゲルからホルモンの必要量が急速に皮膚に浸入し、次いでこれが外側角質化層(「角質層」)に蓄積し、そこから連続吸収が必要ホルモンレベルを供給する。
【0044】
現在市販されている経皮ゲルはエストラジオール含有の1成分ゲルであり、従ってプロゲスチンは婦人の大半(完全子宮を有する婦人)の場合は、これら製剤を用いて他の投与ルートにより補充すべきであり、これは経口処置を施した場合は悪作用をもたらす。
【0045】
更に市販されている経皮ゲルはアルコール系ゲルである。
【0046】
ステロイドの経皮投与のためのゲルは多くの特許にて従来記載されており、それらから最も重要なものを下記のリストに示す。しかしながら、これらゲルは全て本発明による液晶ゲルとは異なる。
【0047】
仏国特許出願公開第2772270号明細書は、産後うつ病を処置するための唯一のエストラジオールからなっている。このゲルはカルボマー、トリエタノールアミンおよび多量のエタノールとそれぞれ約45%および50%の水とを含有する。
【0048】
米国特許第4559222号明細書は、エストラジオールのみを含有する経皮組成物を記載している。施されるマトリックスはミネラルオイルとポリイソブチレンとコロイド二酸化珪素とを含有する。
【0049】
欧州特許出願公開第371496号明細書は、エストラジオールとオレイン酸と線状アルコールラクテートとジプロピレン−グリコールもしくはm−ピロール(N−メチル−2−ピロリドン)とを含有する経皮組成物を開示している。
【0050】
米国特許第4956171号明細書は、エストラジオールと蔗糖ココエートとラウリン酸メチルとを含有する経皮システムを開示している。
【0051】
日本国特許出願公開第02−233621号明細書は、エストラジオールとグリコール酸のモノカプリング酸エステルとを含有するゲルを開示している。
【0052】
欧州特許出願公開第409383号明細書は経皮組成物を開示している。エストラジオールを含有するゲルは水不溶性のビニル−ピロリドンコポリマーを含む。
【0053】
欧州特許出願公開第137278号明細書は、活性薬物としてステロイドを含有する経皮ゲルを開示している。例示されるステロイド薬物はエストラジオール、レボノルゲストレルもしくはゲストデンを包含する。ゲルマトリックスは架橋シリコンエラストマーを含有する。
【0054】
英国特許出願公開第2158355号明細書は、プロピレン−グリコールおよびグリセレンの溶剤混合物に分散されたエストラジオールもしくはレボノルゲストレルを活性薬物として含有しうる経皮組成物を開示している。
【0055】
独国特許出願公開第3836862号明細書は、多量の接着剤、並びに吸収促進剤としての脂肪酸エステルを含有する経皮組成物を開示している。ステロイド薬物はエストラジオール、レボノルゲストレル、ゲストデンおよびその組合せ物を包含する。このように作成されたゲルをパッチ充填につき用いることができる。
【0056】
欧州特許出願公開第367431号明細書は、エストラジオールとプロゲスチンとを含有する経皮組成物を開示している。ステロイドはイソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの45〜55%の混合物にて並びに水とメチルセルロースとを含有するゲルにて皮膚に供給される。
【0057】
米国特許第5019395号明細書は、活性薬物としてエストラジオールとプロゲステロンとの組合せ物、並びに溶剤としてのカプリル酸のプロピレン−グリコールジエステル、ゲル化剤としてのココナッツ油、エタノールおよび二酸化珪素を含有する経皮組成物を開示している。
【0058】
欧州特許出願公開第587047号明細書は、特にエストラジオールおよびゲストデンもしくはレボノルゲストレルを組み合わせても含有するHRT用の組成物を開示している。ゲル化剤はカルボキシビニルポリマーである。
【0059】
独国特許出願公開第4405898号明細書は、特にエストラジオールおよびゲストデンもしくはレボノゲストレルを組合せにおいても含有するHRT用の組成物を開示している。このゲルはジメチルイソソルバイドを含有する。
【0060】
米国特許第5453279号明細書は、特にエストラジオールおよびレボノルゲストレルを組み合わせても含有するHRT用の組成物を開示している。ゲルはクエン酸ジアルキル、デシル−もしくはラウリルアルコール、並びにプロピレン−グリコールを含有する。
【0061】
国際公開第96/03119号パンフレットは、エストラジオールおよびレボノルゲストレルを組合せにおいても含有するエストロゲン補充療法のための組成物を開示している。ゲルは接着剤としてのアクリレートおよびリノレン酸を含有する。
【0062】
国際公開第96/30000号パンフレットは、活性薬物としてエストラジオールおよびノルエチンドンアセテート、並びにエチルセルロース、イソプロピルミリステートおよび70%より多いエタノールを含有する経皮組成物を開示しており、これは急速蒸発後に皮膚上で柔軟性フィルムを形成する。
【0063】
欧州特許出願公開第811381号明細書は、エストロゲンとプロゲスチンとの混合物を含有する経皮組成物の処方を開示している。エストラジオールはエストロゲン成分として施され、主としてノルエチンドンアセテートであるがプロゲステロン、メドロキシプロゲステロンおよびゲスタデンもプロゲスチン成分として施される。ゲルの各成分は次の通りである:吸収促進剤としての10〜18個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、アクリル酸ポリマーもしくはコポリマー、トリエタノールアミン、プロピレン−グリコール、並びに約45%のエタノールおよび約40%の水。
【0064】
国際公開第第98/03156号パンフレットは、エストロゲンとプロゲスチンとの混合物をリポソームに包封して含有する局部的化粧用ホルモン補充組成物を開示している。
【0065】
独国特許出願公開第19701949号明細書は、特に活性薬物としてエストラジオールを有するホルモン供給用の経皮療法システムを開示している。ヒドロゲルは構造分解性添加剤および構造形成性添加剤と組み合わせて薬物を固体分散物中にて含有する。
【0066】
国際公開第99/20257号パンフレットは、活性薬物としてエストロゲンとプロゲステロンとの混合物を含有する経皮組成物を開示している。ゲルの各成分は吸収促進剤としてのジオキソラン−もしくはジオキシン−誘導体またはアセタール、並びに増粘剤としてのプロピレン−グリコール、35〜75%のエタノール、水およびセルロースである。
【0067】
米国特許第5912009号明細書はラウリルグリコール酸を含有する経皮組成物を開示しており、ここでエストラジオールが活性薬物として挙げられる。
【0068】
仏国特許出願公開第2774595号明細書は、水中油型エマルジョンとエーテルとの混合物の適用により形成されたエストラジオールを含有する経皮組成物を開示している。
【0069】
仏国特許出願公開第2777784号明細書は、プロゲステロン懸濁物が親油性薬剤にエストラジオールを溶解させて作成された溶液にて形成されるホルモン補充組成物を開示している。
【0070】
国際公開第99/62497号パンフレットにおいて開示された組成物は油性ゲルと水性ゲルとの混合物である。エストラジオールは油性ゲルに溶解され、プロゲステロンは水性ゲルに溶解され、更にセルロースポリマーをこれらゲルの混合物に添加する。
【0071】
欧州特許出願公開第656213号明細書は閉経後におけるエストロゲン補充用の組成物を記載しており、これは150,000〜225,000の分子量を有すると共に体重70kgの人間に対し10mgより多い投与量を与えるヒアルロン酸ナトリウムを含有する。
【0072】
経皮ゲルの投与は、本発明に挙げられた更なる活性薬物の場合は稀である。最も近い従来技術は次の通りである:
【0073】
国際公開第2003/013482号パンフレットは、接着性架橋コポリマー中にオンダンセトロンを含有する経皮パッチの施用を開示している。
【0074】
国際公開第2000/047208号パンフレットは、活性薬物としてのオンダンセトロン、並びに20〜80%のアルコール、1〜50%の脂肪酸誘導体および15〜80%の水を含有する経皮パッチを開示している。
【0075】
ハンガリー国特許出願公開第207795号明細書は、活性成分としてメトロニダゾールおよびたとえばセルロースもしくはアクリル酸ポリマーのようなゲル化剤を含有すると共に3.0〜4.25のpHに緩衝された局部ゲル組成物を開示している。
【0076】
カナダ国特許第2423836号明細書は、活性薬物としてフェンタニルをアクリレートコポリマーと共に含有する経皮組成物を開示している。
【0077】
カナダ国特許第1325381号明細書は、活性薬物としてフェンタニルを含有するラミネート構造の経皮組成物を開示している。
【0078】
独国特許出願公開第10141650号明細書は、活性薬物としてフェンタニルを含有する経皮パッチを開示している。
【0079】
欧州特許出願公開第710491号明細書は、活性薬物としてネストロンを含有する皮下移植物を開示している。
【0080】
米国特許第6238284号明細書は、ノルエチステロンを活性成分として含有する経皮パッチを開示している。
【0081】
欧州特許出願公開第1197212号明細書は、ノルエチステロンをスチレン−イソプレン−スチレンコポリマーと共に含有する経皮吸収接着性組成物を開示している。
【0082】
日本国特許出願公開第07−267860号明細書は、エペリソンおよびトルペリソンを活性薬物として含有する経皮組成物、パッチ、軟膏およびクリームを開示している。
【0083】
日本国特許出願公開第06−211696号明細書は、活性薬物としてのエペリソンおよびトルペリソンをジ−およびトリ−カルボン酸もしくは架橋ポリビニルピロリドンと共に含有する経皮吸収組成物を開示している。
【0084】
欧州特許出願公開第454089号明細書は、活性薬物としてのエペリソンおよびトルペリソンを架橋ポリビニルピロリドンと共に含有する経皮組成物を開示している。
【0085】
欧州特許出願公開第295411号明細書は、活性薬物としてのエペリソンおよびトルペリソンを脂肪酸および/または乳酸のエステルのモノグリセリドと共に含有する経皮組成物を開示している。
【0086】
米国特許出願公開第2002028789号明細書は、活性薬物としてケタミンを含有する局部クリーム組成物を開示している。
【0087】
国際公開第90/10020号パンフレットにおける新規なヒアルロン酸亜鉛結合体(錯体)は特にゲル、クリームもしくは軟膏の形態にて医療および化粧の用途につき保護を得た。
【0088】
市販されかつ従来技術のゲル医薬組成物は幾つかの欠点を有する。
【0089】
この種の欠点は、皮膚刺激をもたらす高アルコール含有量および/または有機溶剤含有量である。水に僅かな溶解性または不溶性である活性薬物を含有する既知の経皮システムは相当量の有機溶剤を含む。有機相の比率は完成ゲルにて45%より高く、しばしば70%もしくは75%程度に高い。有機溶剤として45〜55%の多価アルコール(イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール)を含有するこの種の製剤が存在する。
【0090】
他の欠点は処方物の美的の特徴に関する。施す添加物の結果として透明でない生産物が存在する。これら種類の添加物はコロイド性の二酸化珪素であって、粘度増加剤として或いは水中で容易に膨潤するが僅かに不透明な処方物を与えるメチルセルロースである。
【0091】
不溶解の活性薬物を含む懸濁処方物は活性薬物粒子の不均質性に基づき不均質となりうる。
【0092】
ゲル処方物からの活性薬物の不完全な溶解が他の重要な問題となる。ポリマーマトリックスは溶解を阻害すると共に、この望ましくない現象をもたらす。カルボキシビニルポリマーまたは異なるセルロース系ポリマーのような或る種のフレーム形成材料は溶剤の蒸発後にフィルムを形成するが、このフィルム層からの活性薬物の経皮吸収は分散阻害のプロセスである。
【0093】
最後に、貧弱な水溶性を有する活性薬物の溶解を容易化させるべくしばしば使用されるリポゲルにも欠点がある。リポゲルの望ましくない特徴は、皮膚上へこれらを汗出すことにより、これらが油性−グリース性感覚をもたらすことである。何故なら、これらは皮膚気孔を覆うと共に栓塞するので、通常の皮膚呼吸を阻害するからである。この種の作用を有する材料はシリコーン油、オレイン酸誘導を包含するが、グリンス性でなく粘着性と感ぜられるグリセロールをも包含する。
【0094】
上記諸問題を解決する目的で、本出願人等は従来技術では決して得られなかった新規かつ近代的な経皮ゲル医薬組成物を開発した。
【0095】
本発明の目的は、更にホルモン補充療法に適すると共にエストラジオール含有モノゲルだけでなく、エストロゲンと組み合わせてアンドロゲン作用を持たない有利な作用を与えるプロゲスチン成分をも含有する2成分製剤としても適する経皮ゲル医薬組成物を開発することであった。
【0096】
更に、従来技術では知られていない特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチンおよびビンブラスチンを包含する活性薬物を含む経皮ゲル医薬組成物を開発することでもあった。
【0097】
実験を介し、本発明者等は従来技術に示されなかった組成を有し、1種もしくはそれ以上の活性薬物を含有する新規な医薬組成物および治癒化粧品を製造する際に使用するための液晶ゲルを製造することができた。
【0098】
本発明は、経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルに関するものであり、このゲルはポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する。
【0099】
更に本発明は、エストロゲンおよびプロゲスチン成分、並びにポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルよりなる経皮医薬組成物に関するものである。
【0100】
更に本発明は、経皮ホルモン補充療法のための処置方法に関するものでもあり、ここで医薬組成物はエストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成され、これを処置すべき表面に施す。
【0101】
本発明は更に1種もしくはそれ以上の活性薬物(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成される経皮医薬組成物にも関するものである。
【0102】
また本発明は経皮療法のため処置方法にも関するものであり、ここで医薬組成物は1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする。
【0103】
本発明の詳細な説明を以下に示す。
【0104】
理解を容易にするため次の規定を設ける:
表面活性剤ポリオキシエチレン−グリセロール−トリオレエートとと言う名称は「タガットTO V」として使用した。
「室温」は20〜25℃の温度値を意味する。
「HRT」と言う略語はホルモン補充療法を意味する。
「ファースト−パスメタボリズム」は、経口投与した活性薬物が胃腸管からの吸収の後に門脈を介し肝臓に達する強力なメタボリズムを示すべく医療慣行にて一般的に用いられる用語である。
【0105】
本発明は、タガットTO Vとプロピレン−グリコールとイソプロピルミリステートとヒアルロン酸塩もしくは錯体とを含有する、医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルに関するものである。
【0106】
種々異なる組成のゲル形成に関する実験の結果は各成分の特定濃度範囲を用いて従来技術では知られていない新規な液晶ゲルを見出したと言う驚くべき知見をもたらした。
【0107】
本発明による液晶経皮ゲルは表面活性剤と油相および水相とで構成される。更に開発されたゲルの構造はヒアルロン酸塩もしくは錯体、すなわち皮膚のノーマル成分である巨大分子を含有するミクロエマルジョンゲルである。コロイド化学の観点から本発明によるゲルの構造は同時にミクロエマルジョン、すなわちヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶およびコロイド系である。このように形成する錯体ゲルシステムは経皮薬剤投与につき決して施されていなかった。
【0108】
本発明による液晶経皮ゲルは次の各成分で構成される:
表面活性剤として、本発明者等はタガットTO V、すなわち植物オリジンの表面活性剤であるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート(製造業者:ゴールドシュミットAG社)を使用した。ゲルにおけるタガットTO Vの量はゲルの総重量の26.7〜40%の範囲、好ましくは30〜35%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは33.3%(w/w)である。
【0109】
表面活性剤の他に、プロピレングリコールが補助表面活性剤として施される。ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量はゲルの総重量の13.3〜20%の範囲、好ましくは15〜18%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは16.7%(w/w)である。
【0110】
本発明による液晶経皮ゲルにおいて表面活性剤(すなわちタガットTO V)と補助表面活性剤(プロピレン−グリコール)との比は常に2:1である。
【0111】
ゲルの油相はイソプロピルミリステートで構成される。ゲルに添加されるイソプロピルミリステートの量はゲルの総重量の5〜35%の範囲、好ましくは17〜20%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは19%(w/w)である。
【0112】
本発明による液晶経皮ゲルにおいて、水相は水とエタノールとベンジルアルコールとヒアルロン酸塩もしくは錯体(好ましくはヒアルロン酸ナトリウムまたはヒアルロン酸亜鉛錯体)との混合物を意味する。
【0113】
ゲルに添加される水の量はゲルの総重量の12.5〜26.5%の範囲、好ましくは20〜25%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは24.9%(w/w)である。
【0114】
ゲルに貧弱な水溶性の活性薬物を均質分散させるにはエタノールが必要とされる。本発明によるゲルにおけるエタノールの量はゲルの総重量の0.01〜10%の範囲、好ましくは4〜6%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは5%(w/w)である。従ってエタノールは本発明によるゲルにおいては市販入手しうる経皮ゲル組成物におけるよりも低比率で使用される。
【0115】
水相における水とエタノールとの比は5:1〜3:1の範囲で変化することができる。
【0116】
保存料としてはベンジルアルコールが使用され、その量はゲルの総重量の0.5〜1.5%の範囲、好ましくは0.7〜1.3%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは1.0%(w/w)である。
【0117】
本発明による液晶経皮ゲルは更にヒアルロン酸塩もしくは錯体をも含有する。ヒアルロン酸ナトリウムが好適ヒアルロン酸塩であり、本発明の目的では580,000〜620,000および1,350,000〜1,400,000の平均分子量を有するフラクションが使用される。ヒアルロン酸亜鉛錯体が好適ヒアルロン酸錯体であり、本発明の目的には600,000〜650,000の平均分子量を有するフラクションが使用される。ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムおよびヒアルロン酸亜鉛錯体の量はゲルの総重量の0.01〜2%の範囲、好ましくは0.05〜0.15%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは0.1%(w/w)である。
【0118】
本発明による液晶経皮ゲルの形成は、示した各成分の良く規定された濃度範囲内でなければ生じ得ないことを強調するのが重要である。
【0119】
本発明による液晶ゲルに基づく経皮医薬組成物および治癒化粧品の利点は次の通りである:
油/水型ミクロエマルジョンから生ずる利点:
−油/水型ミクロエマルジョンが形成される。油はコロイド分散物として存在し、これにより非極性媒体に可溶性である活性薬物の溶解速度が増大し、すなわちミクロエマルジョンは多くの場合に溶液処方物の作成を可能にする。活性薬物がこれをゲルに均質分散させるには溶解することが必要であること、および懸濁物型活性薬物の均質分散が信頼できないことは周知されている。上記のことは重要な生物医薬上の利点と関連する:油溶性薬物の分散は極めて大きい表面で生じて、極めて急速な薬物放出を確保する。
−このように生成される組成物は透明であって、好適な美的外観を有する。美的特性の他に、透明性は何らかの変化(分解)が肉眼検査のより巨視的に検出されうると言う利点をも与える。
−このように生成される組成物は熱力学的に安定である。(マクロエマルジョンおよびクリームは熱力学的に安定でなく、これらは運動安定性のみを特徴とする)。
【0120】
液晶構造から生ずる利点:
−液晶構造はこの系に高い剛性を与え、組成物は流動性でないがオーダーラインのレベルに応じて可塑性もしくは若干粘弾性である。この種の流動学的性質を有する系を用いれば、流体を用いる場合よりも投与がずっと容易になる。選択皮膚領域への液晶ゲルの分配は、液体処方物の場合よりもずっと容易かつ正確となる。
−液晶特性は表面活性剤の配列構造の結果である。表面活性剤の認めうる量は次の利点を有する:
a)これは不溶性の懸濁活性薬物(固体粒子で存在)につき良好な加湿剤となり、これにより溶解の速度を増大させる。
b)この組成物は皮膚中へ容易かつ迅速に吸収され、従ってグリース様スポットまたは他の不快な残渣を残さない。
c)表面活性剤は一般にその浸透向上作用が知られ、従って表面活性剤はこれら活性薬物の生物学的膜を介し浸入を促進し、これは表面活性剤の不存在下では細胞壁を通過することができない。本発明による組成物に一体化される活性薬物は皮膚の外側層に容易に浸入することができ、非極性角質層にも浸入しうるが、これらは高度に水性の生存真皮への貧弱な浸入性を示す。表面活性剤はこの後者の浸入を顕著に増大させることができ、すなわち真皮への浸入を増大させることができる。
【0121】
水溶性ヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有するコロイド系により与えられる利点:
−天然皮膚成分に関しヒアルロン酸塩もしくは錯体は組成物の粘度を増大させるという利点を与え、従ってその投与量および分配の精度を増大させるという利点を有する。
−ヒアルロン酸塩もしくは錯体は更に、水および半極性媒体に貧弱にしか溶解しない活性薬物の加湿を促進する。
−バイオポリマー(生存生物の天然巨大分子成分)は一般にその浸透構造作用についても知られる。
【0122】
結論として、本発明による液晶ゲルに基づく経皮医薬組成物および治癒化粧品は生理化学的、医薬技術的および生物医薬的の複合利点を有する。上記利点に基づき、本発明による組成物は従来のベヒクル(たとえばマクロエマルジョン、クリームおよびポリマーゲル)よりも明らかに優れている。
【0123】
本発明者等は液晶経皮ゲル医薬組成物における液晶領域を形成するべく各成分につき必要な濃度範囲を決定し、これらを図1の3成分相ダイヤグラムに示す。三角形の各頂点は頂点にて示された成分の100%比率を示すのに対し、任意の頂点に反対側の3角形の1辺は所定成分の0%比率を示す。三角形の1辺は表面活性剤と補助表面活性剤(タガットTO Vおよびプロピレン−グリコール)の2:1混合物の濃度を示し、第2辺は油相(この場合にはイソプロピルミリステート)を示すのに対し、第3辺は水相の比率、本発明の場合には水、エタノール、ベンジルアルコールおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体(好ましくはヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体)の比率を示す。水相における水:エタノールの比は5:1〜3:1の範囲で変化することができる。本発明によるゲルの3種の成分の濃度はダイヤグラムから読み取ることも必要とする。従って本発明による液晶経皮ゲルの形成は、ダイヤグラムに示した各成分の次の濃度比を必要とする:
タガットTO V表面活性剤およびプロピレン−グリコール補助表面活性剤(2:1) =40−60%
イソプロピルミリステート =5−35%
水相 =25−40%
(水相がヒアルロン酸塩もしくは錯体のコロイド溶液とエタノールおよびベンジルアルコールとの混合物である場合)。
【0124】
本発明による液晶経皮ゲルの各成分は次の濃度範囲を有する:
タガットTO V 26.7−40.0%
プロピレン−グリコール 13.3−20.0%
イソプロピルミリステート 5.0−35.0%
エタノール 0.01−10.0%
ベンジルアルコール 0.5−1.5%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01−2.00%
精製水 12.5−26.5%
または
タガットTO V 26.7−40.0%
プロピレン−グリコール 13.3−20.0%
イソプロピルミリステート 5.0−35.0%
エタノール 0.01−10.0%
ベンジルアルコール 0.5−1.5%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.01−2.00%
精製水 12.5−26.5%
【0125】
本発明による液晶経皮ゲルの各成分は好ましくは次の濃度範囲を有する:
タガットTO V 30.0−35.0%
プロピレン−グリコール 15.0−18.0%
イソプロピルミリステート 17.0−20.0%
エタノール 4.0−6.0%
ベンジルアルコール 0.7−1.3%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05−0.15%
精製水 20.0−25.0%
または
タガットTO V 30.0−35.0%
プロピレン−グリコール 15.0−18.0%
イソプロピルミリステート 17.0−20.0%
エタノール 4.0−6.0%
ベンジルアルコール 0.7−1.3%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.05−0.15%
精製水 20.0−25.0%
【0126】
本発明による液晶経皮ゲルの各成分は特に好ましくは次の濃度範囲を有する:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%
精製水を補充 100.0%
または
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.1%
精製水を補充 100.0%
【0127】
本発明による液晶経皮ゲルは、タガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとを室温にて混合し次いで混合物を好ましくは1500r.p.m.未満で5分間にわたりホモゲナイズすることによりシステムができる限り空気を含まないよう確保し続けることにより製造される。非通気条件は低攪拌速度および好ましくは減圧の印加の両者により確保することができる。各成分を混合する順序は変化させることができる。
【0128】
活性薬物(たとえばエストロゲンおよびプロゲスチン成分)は連続攪拌下にエタノール(またはその溶解度が許す限り他の活性薬物の場合には水性エタノール)に溶解させる。
【0129】
活性薬物溶液をタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に添加し、この混合物を1500r.p.m.未満で少なくとも30分間にわたり攪拌することによりホモゲナイズする。
【0130】
活性薬物溶液を含有する混合物、並びにタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物にイソプロピルミリステートを添加し、この混合物を1500r.p.m.未満にて少なくとも30分間にわたり攪拌することによりホモゲナイズする。
【0131】
上記プロセスと並行平行して水溶液をヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体で作成し、これには好ましくは1500r.p.m.未満で作動するミキサを使用する。このように得られた溶液は高粘度の濃厚流体である。完全な膨潤が得られた後(最小1時間を要するが、ミキサの性能に応じて4時間より長くかかることもある)、ヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の水溶液を上記混合物に混合し、次いで得られた混合物を精製水により所定容積まで増大させる。このように構成された系を好ましくは1500r.p.m.未満で作動する撹拌器によりホモゲナイズして、ゲル構造の形成を可能にする。ホモゲナイズの時間は少なくとも30分間である。
【0132】
このように製造されたゲル系の粘度はブルックフィールド型粘度計を用いグレード2.5にて監視する。ゲルのコンシステンシーは、その粘度が1000−15000cPsの範囲に入れば充分である。
【0133】
液晶は、偏光顕微鏡検査にてライカ・画像分析機器(ライカQ500MC画像処理および分析システム)によって同定させる。
【0134】
本発明による経皮ゲルの液晶構造を証明するためラメラ液層領域のラメラ間反復間隔を設けるX線回折分析を行った。
【0135】
ゲルのX線回折分析を次のように行った:1週間にわたり蓄えた試料を銅試料ホルダーに入れてマイラーフォイルで覆った。分析をフィリップスPW1820回折計により行い、その銅Kα1照射線源はλ=1.54nm波長にて操作した。照射源を40kVの電圧および35mAの電流にて操作すると共に、固体粒子検出器を用いた。入射線が自動拡散スリットおよびモノクロメータを介して試料に達した。ゴニオメータを0.05°2θ/秒の速度で操作すると共に0.02°2θのステップ幅を用いた。試料を1°〜10°2θ値の間で走査させた。分析は室温にて行った。
【0136】
最も特徴的な位置および強度は二次派生ピーク評価法により決定した。
【0137】
液晶におけるオーダーラインの程度を特性化するラメラ間反復処理をブラッグス式により計算した:
λ=2dsinθ ここで
λ:波長(nm)
d:ラメラ間反復間隔(nm)
2θ:回折角度(度)。
【0138】
全部で3種類の試料をX線解析分析にかけた:すなわちヒアルロン酸の無いゲル(試料1)、ヒアルロン酸亜鉛錯体を含有するゲル(試料2)、および高分子量(平均分子量1,350,000−1,400,000)のヒアルロン酸ナトリウムを含有するゲル(試料3)。これらは次のような正確な組成を有した:
【0139】
試料1:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
精製水を補充 100.0%
【0140】
試料2:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0141】
試料3:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム(高分子量) 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0142】
図2、3および4はゲル試料1、2および3のそれぞれX線回折パターンを示す。横軸は回折2θ角度(°)を示す一方、縦軸は毎秒のピーク強度値を示す。
【0143】
ゲル試料1につきX線回折により決定されたラメラ間反復間隔は50.75Å(オングストローム)であり、試料2については51.02Åであり、試料3については49.13Åであった。3種の試料のX線回折分析の結果に基づき、本発明による経皮ゲルは液晶オーダーラインを有すると共に、この液晶構造はヒアルロン酸の添加により破壊されないと言うことができる。
【0144】
本発明により開発された経皮ゲルは、最も有用な活性薬物含有量を有する医薬組成物の製造につき優秀な材料である。
【0145】
本発明は、エストロゲンおよびプロゲスチン成分とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなる経皮医薬組成物に関するものである。
【0146】
本発明による経皮医薬組成物において、好適エストロゲン成分はエストラジオールである一方、プロゲスチン成分はアンドロゲン作用を持たないプロゲスチン(好ましくはゲストデン、エトノゲストレルもしくはレボノルゲストレル)である。
【0147】
エストラジオールの化学名(17−β−エストラジオールとも称される)は3,17β−ジヒドロキシ−エストロ−1,3,5−トリエンである。
【0148】
ゲストデンの化学名は13−エチル−17−ヒドロキシ−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4,15−ジエン−20−イン−3−オンである。
【0149】
エトノゲストレルの化学名(3−ケト−デゾゲストレルとも称される)は13−エチル−17−ヒドロキシ−11−メチレン−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4−エン−20−イン−3−オンである。
【0150】
レボノルゲストレルの化学名は13−エチル−17−ヒドロキシ−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4−エン−20−イン−3−オンである。
【0151】
本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物において、エストロゲンおよびプロゲスチン成分は次の濃度範囲にて使用される:エストラジオール:0.001−0.7%(w/w);ゲストデン:0.001−0.5%(w/w);エトノゲストレル:0.001−0.7%(w/w);レボノルゲストレル:0.001−0.05%(w/w)。
【0152】
本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物からの活性薬物(エストロゲンおよびプロゲスチン成分)の放出を、ミクロエッテ・ハンソン垂直拡散セル(ハンソン・リサーチ・コーポレーション、USA)により検討し、これは予備設定されたプロトコールに基づき自動試料採取により操作した。
【0153】
ハンソン・セル研究の根幹は次の通りである:ゲルに溶解された活性薬剤は膜まで拡散すると共に、膜とベヒクルとの間で分割される。膜を横切って物質は他の部門にかけられ、今回は膜と水性系であるアクセプタ相との間に分配される。この検討はCM型、マシェリー・ナジェル・ポラフィル膜フィルタを用いて行なわれ、この膜フィルタは0.2μm気孔寸法および2.5cmの直径を有すると共に、イソプロピルミリステートを浸漬させたセルロースエーテルで作成した。これにより膜モデルは皮膚の親油性構造に良く馴染む。実験は450r.p.m.にて6個の並列セルで32℃の温度にて行った。試料採取容積は0.8mlとし、洗浄液の容積は0.5mlとした。試料採取時点は次の通りとした:0.5h、1h、2h、3h、4h、5h、6h。
【0154】
集めた試料のステロイド含有量は、HPLC方法により決定した。HPLC装置は、3個のDR5媒体圧力ポンプおよびHP−1090DADダイオード−アレー検出器を装着したヒューレット−パッカード−1090モデルとした。PH−ケミスタチオン(Ver.4.01)制御、データ獲得およびデータ処理はDTK 081ペンティアム(登録商標)IIパーソナルコンピュータで行った。クロマトグラフ条件は次の通りとした:LiChroCart 125−4、Purospher RP18e 5μm(メルク 968264)をクロマトグラフカラムとして使用した。移動相はアセトニトリルと水との混合物とし、ここでアセトニトリルの比率を次の勾配プログラムにしたがって変化させた:初期:0−30th分:20−80%、30th−31st分80−100%、30st−36th分100%。流速、カラム温度および検出波長はそれぞれ1ml/min、35℃および205−244nmとした。
【0155】
本発明によるゲルの安定性試験につき、ゲル試料を40℃で運転するサーモスタットにて75%の相対湿度に2ヶ月間保った。貯蔵期間の終了後、各試料を上記活性薬物放出試験にて検査した。
【0156】
幾つかの代表的試験結果を下記に示す:
種々異なる賦形薬組成物および0.1%エストラジオールと0.05%ゲストデンとを活性薬剤として含有するゲルを試験した。
【0157】
試験した本発明による液晶ゲルは次の組成を有した:
エストラジオール 0.10%
ゲストデン 0.05%
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸塩もしくは錯体 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0158】
実験において、3種の異なる種類のヒアルロン酸塩もしくは錯体用いて液晶ゲルを生成させた。これらは次の通りとした:ヒアルロン酸亜鉛錯体(分子量600,000−650,000)、低分子量(580,000−620,000)ヒアルロン酸ナトリウムおよび高分子量(1,350,000−1,400,000)ヒアルロン酸ナトリウム。実験は亜鉛誘導体とナトリウム誘導体との使用の間および低分子量ヒアルロン酸ナトリウムと高分子量ヒアルロン酸ナトリウムとの使用の間で比較を可能にした。
【0159】
参考ゲルとしては、高エタノール含有量および次の正確な組成を有するカルボポール系ゲルを作成した:
エストラジオール 0.10%
ゲストデン 0.05%
カルボポール 0.20%
トリエタノールアミン 0.30%
エタノール 40.00%
精製水を補充 100.0%
【0160】
新たに作成されたゲル試料および40℃にて2ヶ月にわたり貯蔵した試料の両者の400mgずつを各ハンソンセルに秤り込み、従って検査した各試料のエストラジオールおよびゲストデン含有量はそれぞれ400μgおよび200μgであった。表1は4th時間により膜を横切って拡散されたエストラジオールの領域基準化量を示すのに対し、表2はゲストデンにつき同じ数値を示す(4−時間の試料採取時点は、ゲルが4時間より長く皮膚上に留まるとは思われないので選択した)。
【0161】
表1および2における結果で示されるように、エストラジオールおよびゲストデンの両者につき最高の活性薬物放出はヒアルロン酸亜鉛錯体含有の液晶で得られた。低分子量ヒアルロン酸ナトリウムを含有する液晶ゲルからの活性薬物放出は顕著には異ならなかった。活性薬物放出は高分子量ヒアルロン酸ナトリウムで作成された液晶ゲルからのみ一層低かったが、その差は顕著でなかった。
【0162】
【0163】
最低の活性薬物放出はカルボポール含有の参考ゲルで得られ、これは主として活性物質の吸着に起因した。水性−アルコール性カルボポールゲルにおいて、活性薬物の大半は懸濁物の形態で存在する。拡散を可能にするため、活性薬物を先ず溶解させねばならなかった。
【0164】
ゲル安定性の指標として、表1および2における数値は40℃における2ヶ月貯蔵が活性薬物の放出を顕著な程度まで減少させなかったことを示す。
【0165】
表1および2における結果は更に、ヒアルロン酸亜鉛錯体もしくはヒアルロン酸ナトリウムのいずれかを有する本発明による液晶ゲルがベヒクルとしてカルボポール系水性−アルコール性ゲルよりも優秀であることを示した。
【0166】
【表2】
【0167】
本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物からの活性薬物放出(エストロゲン成分およびプロゲスチン成分)をも、エトノゲストレルの存在下にハンソンセル研究にて検討した。同じ研究にて、40℃で数ヶ月にわたり貯蔵したゲル組成物からの活性薬物放出を検討することにより安定性をも同じ研究にて再び試験した:
エストラジオール 0.10%
エトノゲストレル 0.05%
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0168】
上記エストラジオール−およびエトノゲストレル含有の組合せゲル組成物の活性薬物放出試験および安定性試験にて時間の関数として得られた結果を、エストラジオールにつき図5およびエトノゲストレルにつき図6に示す。x軸は時間(hr)、すなわちハンソンセル実験における試料採取時点を示す。y軸は放出された活性薬物の量(図5にエストラジオールおよび図6にエトノゲストレル)をμg/cm2単位で示す。両図面は新鮮ゲルおよび2ヶ月ゲルにつき得られた活性薬物放出曲線を示す。
【0169】
ハンソンセル・モデルにて図5および6に示した結果から明らかなように、2種の活性薬物は6時間長さの試料採取時間に際し一様な放出を示した。更に図5および6は、新鮮ゲルと比較して40℃における2ヶ月長さの貯蔵がゲルからの活性薬物の放出に影響を及ぼさなかったことをも示す。
【0170】
ゲルからの活性薬物(エストロゲンおよびプロゲスチン成分)の放出に対するヒアルロン酸ナトリウム含有量の効果を、40℃にて2ヶ月にわたり貯蔵された同じゲル組成物からの活性薬物放出を測定して検査される安定性試験を含む他の実験にて試験した。ハンソンセル研究は、低分子量および高分子量のヒアルロン酸ナトリウムを含有する液晶経皮ゲル医薬組成物を用いて行った。この実験にて試験した液晶ゲルは3種の異なるヒアルロン酸ナトリウム組成物で作成した:すなわち0.10%の低分子量(580,000−620,000)ヒアルロン酸ナトリウム、0.10%の高分子量(1,350,000−1,400,000)ヒアルロン酸ナトリウムおよび0.05%の高分子量(1,350,000−1,400,000)ヒアルロン酸ナトリウムを用いた。
【0171】
この実験において、本発明による液晶ゲルの組成は次の通りとした:
エストラジオール 0.10%
ゲストデン 0.05%
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10%および0.05%
(低および高分子量)
精製水を補充 100.0%
【0172】
新たに作成されたゲル試料および2ヶ月にわたり40℃で貯蔵された試料の両者につき400mg部分を各ハンソンセルに秤り込み、かくして検査した各試料のエストラジオールおよびゲストデン含有量はそれぞれ400μgおよび200μgであった。表3は4時間にわたり膜を横切って拡散されたエストラジオールの領域基準化量を示すのに対し、表4はゲストデンにつき同じ数値を示す。
【0173】
【表3】
【0174】
表3および4における結果で示されるように、0.10%の低分子量ヒアルロン酸ナトリウムを含有するゲルからの活性薬物放出は、高分子量ヒアルロン酸ナトリウムを半分量(すなわち0.05%濃度)にて含有するゲルで観察された数値とほぼ同じである。
【0175】
更に、表3および4で示される結果から明らかなように、高分子量ヒアルロン酸ナトリウムは、同じ濃度レベル(0.10%)で使用すれば低分子量が示すよりも低い活性薬物放出を与える。この現象は恐らくポリマーへの活性薬物の吸着により説明することができる。
【0176】
結論として、実験結果は本発明による液晶経皮ゲルからの活性薬物放出がポリマー分子の分子量および濃度の両者によって影響を受けることを示す。
【0177】
【表4】
【0178】
更に本発明は経皮ホルモン補充療方の処置方法に関するものでもあり、ここでは医薬組成物をエスロゲンおよびプロゲスチン成分とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成し、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする。
【0179】
本発明による液晶ゲルで製造された医薬組成物の経皮用途は好ましくは以下の処置方法にて推奨される:
1. 閉経後のエストロゲン欠損に基づく中程度〜重症の血管運動徴候、ホットフラッシュ、夜汗症および心悸亢進の処置、
2. 閉経後のエストロゲン欠損に基づく尿性器アトロピー、膣乾燥、再発性膣炎、再発性膀胱炎疫痛性性交および失禁症の徴候の処置、
3. 閉経後のエストロゲン欠損に基づく精神的徴候および疲労、不安、パニック、興奮、傾眠、うつ病、気分障害、睡眠障害、記憶問題、精神集中困難および性欲減少の処置、
4. 一次排卵不全もしくは去勢に基づくエストロゲン欠損の処置、
5. 有機変換を有せずかつ子宮内膜発育不全を有するホルモン障害に関連した月経困難の処置、
6. 閉経後の骨粗鬆症の予防、
7. 閉経後の婦人における子宮筋腫の寸法の減少および出血障害の処置、
8. 不安定高血圧における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
9. 高トリグリセリド症を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
10. 血栓塞栓の履歴を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
11. 高アンドロゲン徴候(アンドロゲン型アロペシア、ヒルスチズム)を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
12. 外科的閉経の早期術後期間における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
13. 2型糖尿病を有する閉経後の婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
14. 経口薬剤投与の副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
15. 経皮パッチに関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
16. アルコール系経皮ゲルの使用に関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減。
【0180】
アルコール系水性ゲルとは異なり、本発明により開発されたエストラジオール−およびプロゲスチン含有の液晶ゲルはホルモン成分を溶液中に含有し、これは角質層へのホルモン吸収の速度および程度を増大させる。エストラジオールの1部は全身循環に直接達するのに対し、他の部分は角質層にて沈積物を形成すると共に徐々に循環に吸収される。経口薬物投与に関連した血清レベルのピークはかくして回避され、処置は肝臓における生理学的ホルモンレベルより高い結果をもたさない。
【0181】
アルコール系水性ゲルと比べ、本発明により開発された液晶ゲルはより低い皮膚刺激しかもたらさない。
【0182】
本発明により開発された液晶ゲルの新規な選択的プロゲスチンホルモン成分は他のルートによるプロゲスチン代替を不必要にする。
【0183】
更なる利点としては、ホルモン組合せ物を含む液晶ゲルはアルコール系水性ゲルにより必要とされる表面積(200−400cm2)よりも小さい表面積(150−200cm2)に施すことができる。
【0184】
更に本発明は、1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成される経皮医薬組成物にも関するものである。
【0185】
オンダンセトロンの化学名は1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−メチル]−4H−カルバゾール−4オンである。
【0186】
テルビナフィンの化学名はN−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−(E)−ナフタル−1−エン−メタン−アミンである。
【0187】
フルコナゾールの化学名はα−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−α−(1H−1,2,4−トリアゾロ−1−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾロ−1−エタノールである。
【0188】
メトロニダゾールの化学名は1−(2−ヒドロキシ−1−エチル)−2−メチル−5−ニトロ−イミダゾールである。
【0189】
フェンタニルの化学名はN−[1−(フェニル−エチル)−4−ピペリジル]−プロピオンアニリードヒドロクロライドである。
【0190】
ナンドロロン デカノエートの化学名は17β−ヒドロキシ−エスト−4−エン−3−オンデカノエートである。
【0191】
ネストロンの化学名は16−メチレン−17α−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−4−エン−3,20−ジオンアセテートである。
【0192】
ノルエチステロンの化学名は17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4−エン−20−イン−3−オンである。
【0193】
エペリソンの化学名は1−(4−エチル−フェニル)−2−メチル−3−(1−ピペリジニル)−1−プロパノンである。
【0194】
トルペリソンの化学名は1−ピペリジノ−2−メチル−3−(p−トリル)−3−プロパノンである。
【0195】
ビンポセチンの化学名は(3α,16α)−エブルナメニン−14−カルボン酸エチルエステルである。
【0196】
ケタミンの化学名は2−(2−クロル−フェニル)−2−(メチル−アミノ)−シクロヘキサノンである。
【0197】
ビンクリスチンの化学名は22−オキソ−ビンカレウコブラスチンである。
【0198】
ビンブラスチンの化学名は22−(シクロヘキシル−オキシ)ビンカレウコブラスチンである。
【0199】
本発明による活性薬物成分としてオンダンセトロンを含有する経皮医薬組成物において、オンダンセトロンの比率はゲルの総重量の0.001−1.2%(w/w)である。
【0200】
本発明による活性薬物成分としてテルビナフィンを含有する経皮医薬組成物において、テルビナフィンの比率はゲルの総重量の0.001−2%(w/w)である。
【0201】
本発明による活性薬物成分としてフルコナゾールを含有する経皮医薬組成物において、フルコナゾールの比率はゲルの総重量の0.001−2.5%(w/w)である。
【0202】
本発明による活性薬物成分としてメトロニダゾールを含有する経皮医薬組成物において、メトロニダゾールの比率はゲルの総重量の0.001−0.9%(w/w)である。
【0203】
本発明による活性薬物成分としてフェンタニルを含有する経皮医薬組成物において、フェンタニルの比率はゲルの総重量の0.001−1.0%(w/w)である。
【0204】
本発明による活性薬物成分としてナンドロロン デカノエートを含有する経皮医薬組成物において、ナンドロロン デカノエートの比率はゲルの総重量の0.001−4.5%(w/w)である。
【0205】
本発明による活性薬物成分としてネストロンを含有する経皮医薬組成物において、ネストロンの比率はゲルの総重量の0.001−2.0%(w/w)である。
【0206】
本発明による活性薬物成分としてノルエチステロンを含有する経皮医薬組成物において、ノルエチステロンの比率はゲルの総重量の0.001−0.5%(w/w)である。
【0207】
本発明による活性薬物成分としてエペリソンを含有する経皮医薬組成物において、エペリソンの比率はゲルの総重量の0.001−0.8%(w/w)である。
【0208】
本発明による活性薬物成分としてトルペリソンを含有する経皮医薬組成物において、トルペリソンの比率はゲルの総重量の0.001−2.0%(w/w)である。
【0209】
本発明による活性薬物成分としてビンポセチンを含有する経皮医薬組成物において、ビンポセチンの比率はゲルの総重量の0.001−0.6%(w/w)である。
【0210】
本発明による活性薬物成分としてケタミンを含有する経皮医薬組成物において、ケタミンの比率はゲルの総重量の0.001−1.0%(w/w)である。
【0211】
本発明による活性薬物成分としてビンクリスチンを含有する経皮医薬組成物において、ビンクリスチンの比率はゲルの総重量の0.001−1.0%(w/w)である。
【0212】
本発明による活性薬物成分としてビンブラスチンを含有する経皮医薬組成物において、ビンブラスチンの比率はゲルの総重量の0.001−0.1%(w/w)である。
【0213】
本発明者等は本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物における活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の放出を検討すると共に、その流動学的および顕微鏡的性質、並びにゲルの安定性を検討した。
【0214】
1.2%のオンダンセトロンもしくは2.0%のテルビナフィンもしくは0.9%のメトロニダゾールもしくは0.8%のエペリソンもしくは1.0および2.0%のトルペリソンもしくは1.0%のケタミンの活性薬物含有量に加え、実験で使用した本発明による液晶ゲル医薬組成物の組成は次の通りであった:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 0.10%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10%
(低分子量)
精製水を補充 100.0%
【0215】
実験ゲル試料の作成は、活性薬物を親油性ベース系(タガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステート、ベンジルアルコール)に添加すると共に懸濁物を超音波水浴中で15分間にわたり混合して行った。この系の親水相(エタノール、ヒアルロン酸ナトリウム溶液、水)を次いで添加して、全ての場合に綺麗な透明の形状保持ゲルを得た。使用した活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)は、透明なゲル系の快適外観に何ら不都合な巨視的変化をもたらすことなくゲルに良好に混入しうることが証明された。
【0216】
予め本発明者等は、ミクロエッテ・ハンソン垂直拡散シェル法(ステロイドゲル試料の検討にて説明)による活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の放出を検討した。相違点は、実験をここまで使用したイソプロピルミリステートで浸漬された親油性膜および水で浸漬された親水性膜の両者を用いて行った点である。本発明者等は、各活性薬物につき4回の並行実験を行った。
【0217】
オンダンセトロンもしくはテルビナフィンもしくはメトロニダゾールもしくはエペリソンもしくはトルペリソンのいずれかを含有する上記液晶ゲルにて得られた活性薬物放出試験の結果を時間の関数として図7−14に示す。横軸はハンソンセル実験にて使用した試料採取時点に相当する時間(hr)を示す。縦軸は放出された活性薬物の量(μg/cm2の単位)を示す。従って親水性膜におけるオンダンセトロンにつき活性薬物放出を図7に示し、親水性膜におけるテルビナフィンについては図8に示し、親水性膜におけるメトロニダゾールについては図9に示し、親油性膜におけるメトロニダゾールについては図10に示し、親水性膜におけるエペリソンについては図11に示し、親油性膜におけるエペリソンについては図12に示し、親水性膜におけるトルペリソンについては図13に示し、親油性膜におけるトルペリソンについては図14に示す。
【0218】
図7−14に示した結果から明らかなように、ハンソンセル・モデルにおいて活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン)は6時間の試験時間にわたり均一な放出を示した。
【0219】
図7−14に示した活性薬物放出実験の結果から明らかなように、充分または中庸に親水性膜を横切って水中に迅速かつ効果的であるが明らかに貧弱な分割に基づき、溶解する親水特性の化合物(たとえばオンダンセトロン、テルビナフィン、ケタミン)は、親油性流体が含浸された膜を通過しない。メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソンは全て親水性膜および親油性膜の両者を通過しうるが特性的には異なる性質を有する。顕著に多量の活性薬物が親水性膜を横切る。
【0220】
曲線の経過から、拡散プロセスは次の対数関数により説明しうると結論することができる:
Q=Q0tm
[t:時間、
Q:膜表面単位(1cm2)に対する時間tにて放出(膜を横切って)される活性薬物の量、
Q0:t=0時間(この数値は実験において理論的に0であるが、しばしば通過活性薬物での膜の一時的飽和に関しマイナス数値を得ることもあり、更に活性薬物はアクセプタ相に生じた後に完全に飽和する)に属する活性薬物の量、
m:一般に1より低い数値であるプロセスの速度恒数。
【0221】
mの数値が約0.5であれば、プロセスはヒグチ様平方根関係に基づき線状化することができる:
Q=Q0+nt0.5
[ここでn:放出の速度恒数]
【0222】
本発明により作成された液晶経皮ゲル医薬組成物において、活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の放出運動論は一般にヒグチ様関係に従うと言うことができる。
【0223】
【表5】
【0224】
実験の4時間まで表面積1単位当たり親水性もしくは親油性の膜を横切った活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の量を表5に示す。
【0225】
表5に示した活性薬物放出実験の結果から明らかなように、試験の過程でテルビナフィンおよびメトロニダゾールの両者は顕著な量で放出されると共に親水性膜を通過した。トルペリソンの場合、ゲルにおける活性薬物の濃度は放出の過程に影響を与えない。何故なら、1%のトルペリソンを含有するゲルから、2%の活性薬物を含有するものとほぼ同程度に親油性膜から放出されるからである。試験した活性薬物のうち、ケタミンはハンソン装置の膜から最小程度に放出され或いは膜を通過する。
【0226】
本発明者等は、上記ゲル試料の粘度測定を行った。溶解された活性薬物はゲル試料の流動学的性質を不可逆的には変化させない。上記ゲル試料をライカ画像分析装置により顕微鏡的にも検査し、これにより光学方法によって本発明によるゲル系の構造を証明した。顕微鏡的画像は、試料が光学的可視構造を有すると共に画像において「マルテーゼクロス」が液晶特性の指標としても見られることを証明した。
【0227】
安定性試験の目的で、本発明者等は本発明による液晶ゲル試料(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)を室温2−5℃および40℃にて2ヶ月間にわたり充分密封されたガラス容器に貯蔵し、次いでこれらを室温に1日間保った後、巨視的観察(肉眼検査および室温で貯蔵された試料との対比)、流動学的検査(作成後に行った測定の場合と同一の環境下での流動曲線の記録)、および遠心分離を試料につき行った(3000r.p.m.にて10分間にわたるJanetzki K23アングルロータ遠心分離器を用いる)。
【0228】
室温およびそれより低温度(2−5℃)における2ヶ月間の貯蔵の過程で、本発明による液晶ゲルの物理的性質には変化が見られなかったが、より高温度(40℃)にて小程度の軟化が経験されたが、不可逆的変化は生じなかった。巨視的に(皮膚に展延することによる)変化は観察されえなかった。各試料はその良好な展延特性を保持した。
【0229】
遠心分離の下で、試料は全て安定であると証明され、液体分離も濁りも他の巨視的変化も観察されなかった。
【0230】
本発明は更に経皮療法のための処置方法にも関するものであり、ここで医薬組成物は1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする。
【0231】
経皮施用がオンダンセトロンを投与する好適ルートである。何故なら、これは活性薬物が高度の催吐性化学療法処置または催吐作用(たとえば産婦人科、頭および首、胃腸の各手術)を有する外科的介入にて胃腸管を迂回すれば療法的利点を与えるからである。オンダンセトロン、すなわち選択的5−HT3−リセプタ拮抗剤は、強催吐性薬物(シスプラチン、カルボプラチン)による化学療法に際し催吐防止性薬物として経口もしくは静脈内投与により広く使用を有する外科的介入の場合にも広く使用される(一般的鎮痛薬における予備薬物投与につき使用される薬物、或いは外科的介入に際し放出される生物学的物質に関連)。静脈内投与は浸襲的であると考えられ、医療管理を必要とする。幾分かの水と共に薬物摂取を含む経口投与はそれ自体流体摂取を介し高催吐性化学療法剤で処置されている患者に嘔吐を誘発し、液体摂取はしばしば外科的介入の前に望ましくない。水なしに摂取される他の舌経由もしくは舌下製剤と同様に、経皮投与は嘔吐の危険性を減少させるのに有利である。
【0232】
経皮薬剤供給システムで投与する場合、テルビナフィン、フルコナゾールおよびメトロニダゾールの抗真菌作用、並びに嫌気性細菌に対するメトロニダゾールの抗細菌作用は局部的に発生するが、良好な経皮吸収の場合には全身的にも生じうる。テルビナフィンに関しクリーム、溶液およびゲルによるその施用が臨床慣行に普及しているが局部的処置についてのみである。その高いアルコール含有量に基づき局部的副作用がこれら処方物により頻発する。全身的効果を形成するのにも適するゲル型経皮処方物は有利には、一層重度の皮膚感染を処置するのに使用することができる。良好な経皮吸収の場合、局部的および全身的な組合せ作用は3種の活性薬物の全てで達成することができる。フルコナゾールに関し、経皮施用はそのファーストパス・メタボリズム(first−pass metabolism)に際しフルコナゾールによる阻止チトクロームP−450酵素に基づいて生ずる薬物相互作用を回避する手段を与える。メトロニダゾールの場合、経皮施用は経口投与に関連する胃腸副作用(悪心、嘔吐および金属味覚)を減少させうる。
【0233】
フェンタニル(すなわちオピオイド鎮痛薬)は全身的、静脈内および筋肉内の投与により使用されるが、更に経皮パッチでも用いられる。全身的投与は浸襲介入であって医療監視を必要とする。フェンタニルは作用の極く短い作用期間を有し、従って主として手術前および術後の鎮痛に使用される。フェンタニルパッチ(デュロゲシックTTS)は72時間にわたり持続する長期鎮痛を与えるが、急性疼痛の軽減には適さない。これに対し、経皮ゲルによるフェンタニルの投与は疼痛症候群および急性疼痛の場合の両者に必要な鎮痛を与えると共に、浸襲性投与を不必要にする。
【0234】
アンドロゲン性薬物、同化性薬物、並びにプロゲスチン化合物(ナンドロロン デカノエート、ネストロンおよびノルエチステロン)はしばしば経皮パッチを介し小投与量で施されて貧弱な生物利用性の問題を克服し、すなわち強度のファースト−パスメタポリズム基づく低活性薬物レベルを克服する。その接着性成分により、パッチ型経皮組成物はしばしば局部皮膚刺激をもたらし、これにより施用の部位を頻繁に変化させねばならない。本発明によるホルモン補充療法および同化処置につき設定された経皮医薬組成物を用いて局部的刺激を回避することができる。
【0235】
ゲル系経皮薬物供給システムの使用は中心作用する局部鎮痛型のナトリウムチャンネルの筋肉弛緩剤(エペリソン、トルペリソン)の場合にも有利である。何故なら、低ファースト−パスメタボリズム(すなわち改善された生物利用性)をこのようにして達成しうるからである。両活性薬物は極めて低い生物利用性を有すると共に、両者は経口投与後に強力なメタボリズムを受ける。経皮パッチ処方物は既にエペリソンにつき開発されている。
【0236】
経皮薬物投与は好ましくは極めて低い(6−8%)のビンポセチン(活性薬物)の生物利用性を増大させることができ、これにより脳メタボリズムおよび微小循環を改善する。経口投与と比較し、経皮投与は一層多量の活性薬物が全身的循環に到達するのを確保する。何故なら、そのメタボリズムは胃腸管および肝臓を迂回するのを減少させるからである。
【0237】
医療管理および多くの場合には入院を必要とする静脈内投与の現在の慣行と比較し、NMDA拮抗剤(ケタミン)の鎮痛作用は患者外設定(out−patient settings)にて達成することができる。ここでも経皮投与は薬物の貧弱な経口生物利用性を克服することができる。
【0238】
イオン浸透療法の局部投与を介し全身的投与により施しうるビンクリスチンおよびビンブラスチン(化学療法剤)は各種の疼痛症候群にて効果的鎮痛剤として使用することができることを示す種々の刊行物がある。何故なら、これらは神経末端を破壊しうるからである[シリック・B等:ニューロサイエンス・レターズ、第31巻、第87−90頁(1982)およびクニハール−シリック・E等:アクタ・ニューロロジー・スカンジナビア;第66巻、第401−412頁(1982)]。これら活性薬物は疼痛徴候群を経皮薬物供給システムにて投与される場合にも効果的に処置することができ、これはイオン浸透療法の使用を不必要にすると共に全身的投与に関連した副作用の回避を助ける。
【0239】
本発明による液晶ゲル医薬組成物の経皮施用は、特に下記する処置の方法にて推奨される:
強力な催吐、化学療法および外科介入の際の経皮抗嘔吐療法のための処置方法:ここで医薬組成物はオンダンセトロンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0240】
経皮抗真菌療法のための処置方法;ここで医薬組成物はテルビナフィンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0241】
経皮抗真菌療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がフルコナゾールとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成され、これを処置すべき表面に施す。
【0242】
経皮抗真菌療法および抗細菌療法(嫌気性病原体およびトリコモナスに対する)のための処置方法;ここでは医薬組成物がメトロニダゾールとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成され、これを処置すべき表面に施す。
【0243】
疼痛症候群および他の急性疼痛における経皮鎮痛療法のための処置方法;医薬組成物はフェンタニルとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0244】
経皮ホルモン補充および同化療法のための処置方法、ここでは組成物がナンドロロン デカノエートとタガットTO Vとプロピレン−グリコールとイソプロピルミリステートとヒアルロン酸塩もしくは錯体とを含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0245】
経皮ホルモン補充および同化(anabolic)療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がネストロンとタガットTO Vとプロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0246】
経皮ホルモン補充および同化療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がノルエチステロンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0247】
経皮筋肉弛緩療法の処置方法;ここでは医薬組成物がエペリソンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0248】
経皮筋肉弛緩療法の処置方法;ここでは医薬組成物がトルペリソンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0249】
脳メタボリズムおよび微小循環を改善する経皮療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がビンポセチンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0250】
経皮鎮痛療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がケタミンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0251】
各種の疼痛症候群における神経末端破壊による経皮鎮痛療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がビンクリスチンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0252】
各種の疼痛症候群における神経末端破壊による経皮鎮痛療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がビンブラスチン、タガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0253】
結論として、本発明により開発された医薬組成物は現在の技術におけるものと比較して次の利点を与える経皮ゲルである:
−全く或いは殆ど水溶解性を持たない活性薬物の経皮供給に適する;
−僅かのアルコールしか含有せず、従って皮膚刺激をもたらさない;
−分子分散系の形成(真性溶液)を介し、活性薬物をゲルに均質分配することができる;
−投与が容易である;
−熱力学的に安定なゲルである;
−透明かつ美的であって魅力的外観を有する。美的観点に加え、透明性は任意の変化(たとえば分解)を容易に巨視的に認識しうると言う利点を与える;
−ゲルが液晶構造を有する;
−形状保持性である;
−一層容易かつより正確な特定領域の皮膚にわたる分散;
−皮膚中への迅速かつ容易な吸収;
−迅速な薬物放出。
【0254】
本発明の更なる詳細を以下の実施例にて示す。これら実施例は本発明を何ら限定することを意図しない。
【0255】
実施例1−6は、ホルモン補充療法のため本発明により開発された液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法を示す。
【0256】
実施例7−32は、ホルモン補充療法のための本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物の組成に関する幾つかの代表的実施例を示す。
【0257】
実施例33−60は、その他の活性薬物を含有すべく本発明により開発された液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法を示す。
【0258】
実施例61−88は、種々の活性薬物含有量を有する本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物の組成に関する幾つかの代表的実施例を示す。
【0259】
実施例1
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびゲストデン−含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
医薬製造に適する化学的および微生物学的に綺麗なポットに、33.3gのタガットTO Vと16.7gのプロピレン−グリコールと1.0gのベンジルアルコールとを室温にて秤量して入れ、この混合物を好ましくは1500r.p.m未満で操作するミキサにより、システムができるだけ空気を含まないよう確保するように、5分間ホモゲナイズした。非通気条件は、低い攪拌速度および好ましくは減圧の印加の両者により確保することができる。各成分を混合する順序は変化させることができる。
【0260】
100%空気乾燥活性薬物含有量に調整されると共に0.10gエストラジオールおよび0.05gゲストデンに相当する活性薬物の必要量を秤量して入れると共に、連続混合下に5.0gのエタノール中に1500r.p.m.未満の速度にて溶解させる。溶解には約30分間を要する。
【0261】
活性薬物溶液をタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に添加し、この混合物を1500r.p.m.未満の攪拌により少なくとも30分間にわたりホモゲナイズさせる。
【0262】
活性薬物溶液、並びにタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物を含有する混合物に19.0gのイソプロピルミリステートを添加し、この混合物を1500r.p.m.未満の攪拌により少なくとも30分間にわたりホモゲナイズさせる。
【0263】
上記プロセスと並行して、好ましくは1500r.p.m.未満で作動するミキサを用いてヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を作成する。このように得られた溶液は高粘度の濃厚な流体である。完全な膨潤が達成された後(これには最少1時間を要するが、ミキサの性能に応じて4時間程度に長時間を要することもある)、10.0gのヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を上記混合物に混合すると共に、得られた混合物を精製水で100gにする。このように構成された系を好ましくは1500r.p.m.未満で作動する撹拌器によりホモゲナイズして、ゲル構造の形成を可能する。ホモゲナイズの時間は少なくとも30分間である。このようにして得られた透明ゲルを、施用しうる適する容器に充填する。
【0264】
このように生成されたゲル系の粘度を回転粘度計を用いて監視する一方、液晶は偏光顕微鏡により同定する。
【0265】
実施例2
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびゲストデン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例1に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で置換した。
【0266】
実施例3
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびエトノゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例1に記載したプロセスに従ったが、ただしゲストデンを0.05gのエトノゲストレルで置換した。
【0267】
実施例4
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびエトノゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例3に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムの代わりに10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液を使用した。
【0268】
実施例5
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびレボノルゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例1に記載したプロセスに従ったが、ただしゲストデンの代わりに0.05gのレボノルゲストレルを使用した。
【0269】
実施例6
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびレボノルゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例5に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0270】
実施例7
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0271】
実施例8
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0272】
実施例9
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0273】
実施例10
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0274】
実施例11
エストラジオール 0.01g
ゲストデン 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0275】
実施例12
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0276】
実施例13
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0277】
実施例14
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0278】
実施例15
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0279】
実施例16
エストラジオール 0.01g
ゲストデン 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0280】
実施例17
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0281】
実施例18
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0282】
実施例19
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0283】
実施例20
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0284】
実施例21
エストラジオール 0.01g
エトノゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0285】
実施例22
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0286】
実施例23
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0287】
実施例24
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0288】
実施例25
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0289】
実施例26
エストラジオール 0.01g
エトノゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0290】
実施例27
エストラジオール 0.10g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0291】
実施例28
エストラジオール 0.70g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0292】
実施例29
エストラジオール 0.01g
レボノルゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0293】
実施例30
エストラジオール 0.10g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0294】
実施例31
エストラジオール 0.70g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0295】
実施例32
エストラジオール 0.01g
レボノルゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0296】
実施例33
オンダンセトロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
医薬製造に適する化学的および微生物学的に綺麗なポットに、33.3gのタガットTO Vと16.7gのプロピレン−グリコールと1.0gのベンジルアルコールとを室温にて秤量して入れると共に、混合物を好ましくは1500r.p.m未満で作動するミキサにより5分間にわたり、この系ができるだけ空気を含まないよう確保すべくホモゲナイズする。非通気条件は低い攪拌速度および好ましくは減圧の印加の両者により確保することができる。各成分を混合する順序は変化させることができる。
【0297】
100%空気乾燥活性薬物含有量に調整すると共に1.2gのオンダンセトロンに相当する所要量を秤量して入れると共に、25.0gの水:エタノール4:1混合物に連続混合下で1500r.p.m.未満の速度にて溶解させる。溶解には約30分間を要する。
【0298】
この活性薬物溶液をタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に添加し、この混合物を1500r.p.m.未満にて少なくとも30分間にわたる攪拌によりホモゲナイズさせる。
【0299】
活性薬物溶液を含有する混合物、並びにタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に19.0gのイソプロピルミリステートを室温にて添加し、この混合物を1500r.p.m.未満にて少なくとも30分間の攪拌によりホモゲナイズさせる。
【0300】
上記プロセスに並行して、好ましくは1500r.p.m.未満で作動するミキサを用いてヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を作成する。このように得られた溶液は高粘度の濃厚流体である。完全な膨潤が達成された後(これには最少1時間を要するが、ミキサの性能に応じて4時間程度の長時間を要することもある)、10.0gのヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を上記混合物に混合し、得られた混合物を精製水で100gにする。このように構成された系を好ましくは1500r.p.m.未満で作動する撹拌器によりホモゲナイズさせて、ゲル構造を形成させる。ホモゲナイズの時間は少なくとも30分間である。このように得られた透明ゲルを、施用しうるようにする適する容器に充填する。
【0301】
このように生成されたゲル系の粘度は回転粘度計により監視する一方、液晶は偏光顕微鏡により同定する。
【0302】
実施例34
オンダンセトロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムの代わりに10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液を使用する。
【0303】
実施例35
テルビナフィン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンの代わりに2.0gのテルビナフィンを使用する。
【0304】
実施例36
テルビナフィン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例35に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0305】
実施例37
フルコナゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを2.5gのフルコナゾールで代替した。
【0306】
実施例38
フルコナゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例37に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0307】
実施例39
メトロニダゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.9gのメトロニダゾールで代替した。
【0308】
実施例40
メトロニダゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例39に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0309】
実施例41
フェンタニル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを1.0gのフェンタニルで代替した。
【0310】
実施例42
フェンタニル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例41に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0311】
実施例43
ナンドロロン デカノエート含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを4.5gのナンドロロン デカノエートで代替した。
【0312】
実施例44
ナンドロロン デカノエート含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例43に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0313】
実施例45
ネストロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを2.0gのネストロンで代替した。
【0314】
実施例46
ネストロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例45に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0315】
実施例47
ノルエチステロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.5gのノルエチステロンで代替した。
【0316】
実施例48
ノルエチステロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例47に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0317】
実施例49
エペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.8gのエペリソンで代替した。
【0318】
実施例50
エペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例49に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0319】
実施例51
トルペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを2.0gのトルペリソンで代替した。
【0320】
実施例52
トルペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例51に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0321】
実施例53
ビンポセチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.6gのビンポセチンで代替した。
【0322】
実施例54
ビンポセチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例53に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0323】
実施例55
ケタミン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを1.0gのケタミンで代替した。
【0324】
実施例56
ケタミン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例55に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0325】
実施例57
ビンクリスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを1.0gのビンクリスチンで代替した。
【0326】
実施例58
ビンクリスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例57に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0327】
実施例59
ビンブラスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.1gのビンブラスチンで代替した。
【0328】
実施例60
ビンブラスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例59に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0329】
実施例61
オンダンセトロン 1.20g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0330】
実施例62
オンダンセトロン 1.20g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0331】
実施例63
テルビナフィン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0332】
実施例64
テルビナフィン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0333】
実施例65
フルコナゾール 2.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0334】
実施例66
フルコナゾール 2.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0335】
実施例67
メトロニダゾール 0.90g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0336】
実施例68
メトロニダゾール 0.90g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0337】
実施例69
フェンタニル 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0338】
実施例70
フェンタニル 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0339】
実施例71
ナンドロロン デカノエート 4.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0340】
実施例72
ナンドロロン デカノエート 4.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0341】
実施例73
ネストロン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0342】
実施例74
ネストロン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0343】
実施例75
ノルエチステロン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0344】
実施例76
ノルエチステロン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0345】
実施例77
エペリソン 0.80g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0346】
実施例78
エペリソン 0.80g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0347】
実施例79
トルペリソン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0348】
実施例80
トルペリソン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0349】
実施例81
ビンポセチン 0.60g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0350】
実施例82
ビンポセチン 0.60g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0351】
実施例83
ケタミン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0352】
実施例84
ケタミン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0353】
実施例85
ビンクリスチン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0354】
実施例86
ビンクリスチン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0355】
実施例87
ビンブラスチン 0.10g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0356】
実施例88
ビンブラスチン 0.10g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【図面の簡単な説明】
【0357】
【図1】液晶経皮ゲル医薬組成物における液晶領域を形成する各成分につき必要とされる濃度範囲を示す3成分相ダイヤグラムを示す。三角形の1辺は表面活性剤相の濃度を示し、他方の辺は油性相の濃度を示す一方、第3辺は水相の割合を示す。
【図2】ヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有しないゲル試料のx線回折図を示す。x軸は回折2θ角度(°)を示す一方、y軸は第2数値当たりのピーク強度を示す。
【図3】ヒアルロン酸−亜鉛錯体を含有するゲル試料のx線回折パターンを示す。x軸は回折2θ角度(°)を示す一方、y軸は第2数値当たりのピーク強度を示す。
【図4】高分子量のヒアルロン酸ナトリウムを含有するゲル試料のX線回折パターンを示す。x軸は回折2θ角度(°)を示す一方、y軸は第2数値当たりのピーク強度を示す。
【図5】ハンソン細胞検討にてエストラジオールおよびエトノゲストレルを活性薬物として含有する新鮮および2ヶ月のゲル試料におけるエストラジオールの放出およびエストラジオールの安定性を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エストラジオールの量(μg/cm2単位)を示す。
【図6】ハンソン細胞検討にて、エストラジオールおよびエトノゲストレルを活性薬物として含有する新鮮および2ヶ月のゲル試料におけるエトノゲストレルの放出およびエトノゲストレルの安定性を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エトノゲストレルの量(μg/cm2単位)を示す。
【図7】親水性膜でのハンソン細胞研究にてオンダンセトロンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのオンダンセトロンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出オンダンセトロンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図8】親水性膜でのハンソン細胞研究にてテルビナフィンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのテルビナフィンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出テルビナフィンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図9】親水性膜でのハンソン細胞研究にてメトロニダゾールを活性剤として含有する新鮮ゲル試料からのメトロニダゾールの放出を示す。x軸は経時的な試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出メトロニダゾールの量(μg/cm2単位)を示す。
【図10】親油性膜でのハンソン細胞研究にてメトロニダゾールを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのメトロニダゾールの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出メトロニダゾールの量(μg/cm2単位)を示す。
【図11】親水性膜でのハンソン細胞研究にてエペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのエペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図12】親油性膜でのハンソン細胞検討にてエペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのエペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図13】親水性膜でのハンソン細胞検討にてトルペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのトルペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出トルペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図14】親油性膜でのハンソン細胞検討にてトルペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのトルペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点を示す一方、y軸は放出トルペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための、ポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルに関するものである。
【0002】
更に本発明は、エストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなる経皮医薬組成物にも関するものである。
【0003】
更に本発明は、医薬組成物がエストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す経皮ホルモン補充療法のための処置方法にも関するものである
【0004】
更に本発明は、1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなる経皮医薬組成物に関するものである。
【0005】
更に本発明は、医薬組成物が1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す経皮療法のための処置方法にも関するものである。
【0006】
軟膏の貴重かつ有力なベースとしての液晶系の経皮学的用途は、先ず最初にワールグリーン・S等により1984年に提案された(ジャーナル・ファーマコロジカル・サイエンス、第73巻(1984)、第1484頁)。
【0007】
薬剤処方物における液晶およびミクロエマルジョン系の用途が数種の刊行物に記載された。ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルの概念はニュルンベルグ・Eおよび共同研究者(Dtsch.Apoth.Ztg、第123巻(1983)、第1933頁:ファーマコロジカル・インダストリー、第48巻(1986)、第1191頁:ファーマコロジカル・アクタ・エルベチカ、第65巻(1990)、第105頁)により明らかにされると共に、薬剤処方物におけるこれら系の用途も強調された。
【0008】
流動学的検討によるミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルの特性化およびその処方の物理化学的背景はスチュパー・Mおよび共同研究者(ファルマジエ、第41巻(1986)、第516頁)により検討された。
【0009】
調節薬物供給の技術はタイル・Pおよび共同研究者により1989年に集約、系統化および刊行された(Ed:ロショッフ・M;薬物の調節放出:ポリマーおよびアグリゲート系、VCHパブリッシャーズ・インコーポレイテッド(1989)、第125〜162頁;薬物供給における液晶およびその用途)、この刊行物は液晶系(表面活性剤が特定凝集体を形成する場合)、その分類、可能性、並びにその安定性および用途につき取り扱っている。
【0010】
表面活性剤は表面活性もしくは毛管活性剤であって、同じ有機化合物内に極性部分と非極性部分とを有する。これら2つの部分は非対称的に位置することが重要である。通常、表面活性剤は水の表面張力を顕著に低下させると共に乳化剤、湿潤剤および薬物処方における可溶化添加剤として使用される。
【0011】
補助表面活性剤は全く或いは表面活性剤よりずっと低い表面活性しか持たないが、その機能を助け、従って表面活性剤の量を減少させうる有機分子である。表面活性剤は生理学的には異ならないが皮膚を害しうると共に、より高い濃度にて粘膜を害しうる。
【0012】
表面活性剤から生成された系は一般に2成分もしくは多成分系として分類される。
【0013】
2成分系は1種もしくは2種の表面活性剤と溶剤(一般に水)とで構成され、低度もしくは高度の会合を有する系として分類することができる。液晶は会合の点でこれらに属する。
【0014】
ミセル、逆ミセルおよびポリマーミセルは低度の会合を有する系である。生物学的膜およびリポ蛋白は高度の会合を有する系である。液晶系は中程度の会合を有する(ブイヤス、S.P等、ファルマジエ、第52巻(1997)、第259頁)。その配置は結晶固体と同一である。
【0015】
種々のシステムが溶剤の濃度に応じて形成される。これら系はブラウン・G.H.およびウォルケン・J.J(液晶および生物学的構造、アカデミックプレス社、ニューヨーク(1979)により次のように分類された:
0% 水 結晶状態、緻密な固体物質
5〜22% 水 ラメラ液晶状態
23〜40% 水 液晶状態、立方格子にて配列
34〜80% 水 液晶状態、六角相
30〜99.9% 水 ミセラ溶液
【0016】
ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルは多成分系(少なくとも3成分、一般に4成分)である。ミクロエマルジョンと液晶との間には高い類似性も存在するが、その組成は互いに相違する。ミクロエマルジョンは少なくとも3成分:すなわち表面活性剤(しばしば補助表面活性剤と組み合わせる)、油および水で構成される。ミクロエマルジョンは流体、クリア、透明、等方性かつ熱力学的に安定なシステムである[ニュルンベルグ・Eの規定による(ファルマシア・アクタ・エルベチカ、第65巻(1990)、第105頁)。これらは少なくとも1種の表面活性剤、より好ましくは2種の表面活性剤の混合物を含有し、2種の不混和性もしくは部分混和性の液体で構成される。その存在は3種の成分の臨界的比を必要とする。
【0017】
ミクロエマルジョンゲルは室温にてその形状を保持するが、これらは展延性であると共に一般に高粘度を有する粘弾性系である。これらは表面活性剤と補助表面活性剤と親油性成分としての油と水とで構成される。顕微鏡的には、これらは透明性または僅かな不透明性を示す。ミクロエマルジョンゲルは適宜等方性かつ熱力学的に安定な系である。
【0018】
ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルは表面活性剤(しばしば補助表面活性剤と組み合わせる)と油と水との或る相対量にて自然に形成される。
【0019】
ミクロエマルジョンおよびミクロエマルジョンゲルの形成につき必要とされる相対量は相ダイヤグラムにより決定することができる。これら3成分相ダイヤグラムの各領域は、3種の成分の或る相対量に相当するシステムおよび構造を示す。三角形の3辺は表面活性剤および補助表面活性剤の一緒の濃度、油相の濃度および水相の濃度をそれぞれ示す。ミクロエマルジョンもしくはミクロエマルジョンゲルの形成をもたらす各成分の濃度範囲はダイヤグラムに基づき実験的に決定することができる。
【0020】
ミクロエマルジョン系の特性(光学等方性または非等方性、構造、粘度、並びに安定性)は光学技術、流動学的技術および熱分析技術により検討することができる。
【0021】
分子配列(結晶様特性)は偏光化顕微鏡の使用により証明することができる。液晶状態の証明として典型的な干渉パターン(「マルテーゼクロス」)は、コンピュータを接続した高倍率画像顕微鏡により示される。
【0022】
合着構造は流動学的技術により証明することができ、液晶の存在は比較的簡単な方法により定量的に記載することができる(シャンビル・Fおよび共同研究者:ファッテ・ウント・エレ、第144巻(1988)、第295頁)。すなわち、溶液における表面活性剤濃度を増大させることにより、粘度の劇的増加が所定の濃度にて生ずる。
【0023】
ホルモン補充療法(HRT)は、閉経後症候群を処置するため並びに心臓欠陥症および骨粗鬆症を予防するためのエストロゲンの投与およびエストロゲンとプロゲスチンとの組合せの投与を含む。HRTにおける薬物投与として与えられるホルモンは、閉経期前に生成される女性の性ホルモンに類似する。閉経の際またはその開始時点で施されるHRTは、女性の性ホルモン(すなわちエストロゲンおよびプロゲスチン)の生理学的平衡を回復する。従って、性ホルモンの血漿濃度は正常化されると共に、薬物投与により繁殖年のレベルまで増大し、これにより身体的および感情的不満が解除される。HRTは閉経症候群の有効処置として1950年以来施されている。
【0024】
閉経期におけるHRTの施用の利点はクリスチャンセン・C(マツリタス、第38巻、補遺1、2001)により要約された。閉経症候群、血管運動障害、ホットフラッシュおよび精神障害、並びにエストロゲン欠損に基づく症候(すなわち膣乾燥、疫痛性交、下部尿道管における粘膜変化の結果として頻繁および急激な尿通過の必要性、並びに種々異なる尿道疾患は短期間でHRTにより排除される。更に閉経後の尿失禁もHRTにより排除される。
【0025】
徴候的改善の他に、HRTは長期施用の場合に更なる利点、(すなわち骨粗鬆症、心臓血管病、アルツハイマー病および大腸癌の発生の予防、並びに閉経後の婦人の生活品位の改善)を有する。
【0026】
HRTにおけるプロゲスチンの施用は主として保護的役割を有する。或る徴候の撲滅、並びにその頻繁な投与単独に貢献する他、プロゲスチンの施用は主としてエストロゲンの副作用に対するその保護により正当化される。その投与は子宮内膜増殖効果、並びに二次的子宮内膜癌の危険性に対する保護を与えてエストロゲンの能力を増大させるのに必須である。
【0027】
HRTにおいてプロゲスチンは順次にまたは連続的に用いられる。両療法形態は子宮内膜の保護につき有効である。順次の療法は月経期間に類似する出血消退を含む。何故なら投与が妊娠年齢の婦人におけるホルモンの血漿レベルのパターンを倍化するからである。プロゲスチンは、連続組合せ投与と比較して一層高い投与量にて、月経サイクルの規定の日数にわたり与えられる。この場合、プロゲスチンの望ましくない作用(吐き気、乳房圧通、乳房緊張、頭痛、出血消退)が一層頻繁に生ずる。月経出血は、プロゲスチンの小投与量の連続組合せ投与により行われるHRTによって除去することができ、従ってプロゲスチンによって生ずる悪作用を緩和することができる。
【0028】
HRTにつき天然エストロゲン(エストラジオール、エストロン、エストロンサルフェート、エストリオール)、並びに結合および平衡−エストロゲンも使用される。これらの殆どは化学合成により作成される。
【0029】
エストラジオールが最も効果的なエストロゲンである。エストロンの効果はそれより50〜70%低い。エストリオールは3種の古典的エストロゲンのうち最も効果が低く、その活性はエストラジオールの効果と比較して10%である。
【0030】
エストロゲンの効果はルギエロ・R.J.およびリキス・E(ジャーナル・ミッドワイフェリー・ウーマンズ・ヘルス、第47巻(2002)、第130頁)により記載された。エストロゲンは非ゲノムメカニズムにより両短期作用効果を果たし、遅い効果はゲノムメカニズムの媒介によって生ずる。エストロゲンは遺伝子発現の制御により作用すると思われる。エストロゲン応答組織(乳房、視床下部、脳下垂体)の細胞に入るエストロゲンは細胞内リセプタに結合する。エストロゲンリセプタは核ホルモンリセプタの上位種類に入り、影響遺伝子の特定ヌクレオチド配列と相互作用する。後者は制御遺伝子の転写を増大させる。或る種の組織におけるエストロゲン作用は主として1種もしくは数種の遺伝子の直接的活性化にて証明される(たとえば蛋白の合成および/もしくは分泌における鋭敏な増加)。多くの複合反応(子宮内膜増殖、骨物質の増加)の場合、エストロゲンリセプタは現定数の複雑な「急速反応性」遺伝子の転写を開始させ、形成される生成物は一連の二次的イベントを開始して組織反応をもたらす。エストラジオールの急性非ゲノム作用は血漿膜のエストロゲンリセプタにより媒介される。
【0031】
HRTの過程で、投与されるエストラジオールは内生エストラジオールの全生理学的作用を補充することができる。HRTで施されるエストラジオールは子宮頸管分泌、子宮内膜増殖、並びに子宮筋層のトーンを増大させる。エストロゲン欠損、血管運動の徴候、ホットフラッシュ、夜汗症、並びに心悸亢進(パルピテーション)が排除される。HRTにて施されるエストラジオールは内生オピオイド生成、血漿蛋白に結合されたトリプトファンの排除を増大させると共に更にCNSにおけるモノアミノオキシダーゼ活性の増加を減少させることにより、神経障害に対するその好適作用を果たす。HRTにて施されるエストラジオール療法は尿生殖管のエストロゲンリセプタに対して作用し、従って老齢の膣炎、尿道不全、疫痛性交の発生、並びに閉経後の尿失禁(すなわち尿道管の粘膜のアトロピー)を顕著に減少させる。
【0032】
エストロゲンの重要な生理学的作用は、骨組織の代謝ユニットの活性化の阻止である。エストロゲンはインタロイキン(IL)の合成を阻止し、これらインタロイキンは骨形成性オステオブラストに形成されると共に骨の再吸収を効果的に刺激する。更にエストロゲンはIL−6の活性を阻止すると共に副甲状腺ホルモンの骨再吸収刺激作用をリセプタレベルにて妨げ、これはインタロイキンの作用に関係すると思われる。ミネラル類の代謝もエストロゲンの全身作用により影響を受け、これによりカルシウムホメオスタシスの維持が支援される。特に、これらはビタミンDを1,25−ジヒドロキシ−コレカルシフェロールまで腎臓にて活性化させる加水分解酵素の活性を強化する。
【0033】
閉経の悪結果は、複合メカニズムによりHRTにて施されるエストラジオールによって排除される。エストラジオールの投与の後、数分間以内にホルモン媒介の血管拡張が誘発される。各種の血管拡張性物質をコードする遺伝子の発現が増大し、血漿のリピド組成が好適に改変され、これにより動脈硬化の進行も長い潜伏期のエストラジオール作用により緩和することができる。全体的なコレステロールおよびLDL(低密度リポ蛋白質)の血漿レベルが低下し、HDL−コレステロール(高密度リポ蛋白質)レベル(特にHDL2−フラクションのそれがエストラジオールにより上昇する。HDL−コレステロールレベルの増大は肝臓リパーゼ活性の阻止に起因する。LDL−コレステロールレベルの減少は、肝臓および周辺組織の両者におけるLDLリセプタ発現の増加の結果として血漿からのコレステロール吸収の増加に基づく。
【0034】
血漿トリグリセリドレベルは、VLDL(極低密度リポ蛋白質)の肝臓生成の増加に基づき経口投与されるエストロゲンによって増加する。更に炭水化物および遊離脂肪酸からのトリグリセリドの形成も、インシュリンに対する末梢組織の感受性の増大によって促進される。
【0035】
エストロゲン補充の結果、血液リピドプロフィルは好適に変化し、すなわちその動脈硬化誘発作用が減少する。エストロゲンは更に血液凝固(アンチスロンビン活性および/または血小板凝集が減少する)、炭水化物代謝(空腹時血糖が上昇する)、血圧(レニン基質供給が増大する)または静脈トーン(局部プロスタサイクリン形成の増加によると思われる)に対し実質的に心臓保護作用をも有する。
【0036】
非糖尿病婦人の空腹時ブドウ糖およびインシュリンレベルはHRTにより低下する。閉経後、HRTはタイプ2型糖尿病を有する婦人においてインシュリンに対する組織の感受性を改善する。
【0037】
閉経後の婦人の皮膚アトロピーは皮膚におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸の減少の結果である。エストロゲンはヒアルロン酸シンターゼの誘発剤として機能し、従って高分子量ヒアルロン酸の合成がHRTにて増大し、皮膚の結合組織の水含有量が増大する。
【0038】
HRTにて施されるプロゲスチンの作用はシトラック−ウェアー・Rにより要約された(ジャーナル・ステロイド・バイオケミカル・モレキュラ・バイオロジー、第69巻(1999)、第185頁)。HRTにて施されるプロゲスチンは、特定リセプタに結合することによりその作用を果たす。これらは雌生物の繁殖機能および子宮内膜変換に影響を及ぼす。これらは骨のメタボリズムに対し効果を有して、エストロゲンの骨組織保持能力を増大させる。その代謝作用を介しプロゲスチンはリポ蛋白リパーゼの活性を刺激し、これはリピド沈着をもたらすと共にLDL−Cレベルを増大させ、かつHDL−Cレベルを減少させて心臓血管病の危険を増大させる。エストロゲンは反対の作用を有するので、エストロゲンの作用を減少させる心臓血管病はプロゲスチンにより減少する。乳癌の危険がプロゲスチンにより増大するかしないかを示す充分なデータは存在しない。或る種のデータは、プロゲスチンの循環的投与がこの危険を増大させることを示す。
【0039】
プロゲスチン類のうちプレグナー誘導体(酢酸メドロキシプロゲステロン)および19−ノルテストステロン誘導体(ノルエチンドロン)がHRTにて広く使用される。心臓血管病の危険性は高HDL−コレステロールレベルにより減少すると共に高LDL−コレステロールレベルにより増大することが知られている。HRT製剤のエストロゲン成分はHDL−コレステロールレベルとHDL/LDL比とを増大させるが、これら好適な作用はそのアンドロゲン作用の結果としてプロゲスチンにより弱化し、或いはプロセスが悪い方向にさえ移動する。これら好適でない作用は新規かつ選択的な第2および第3世代プロゲスチン成分の施用により除去され、これら成分はアンドロゲン作用をもたない(ゲストデン、エトノゲストレル、レボノルゲストレル)。
【0040】
HRTにおいて、アンドロゲン作用を持たない新規かつ選択的なプロゲスチンの施用は血漿リピドの比率における望ましくない変化が存在しないよう確保し、すなわちエストロゲン成分により誘起される好適HDL/LDL比が維持される(ソベル・N.B:オブステット・ギネコロジー・クリニック・ノース・アメリカ、第21巻(1994)、第299頁)。HDL内にてHDL2−サブフラクションのレベルは減少せず、これは心臓血管病の観点から顕著な重要性を有すると共に高アンドロゲノミア(アンドロゲン型アロペシア、ヒルスチズム)の徴候に対し好適作用を有する。
【0041】
経口投与の場合と比較し、経皮投与(経皮ゲル、パッチ)の薬物動的プロフィルは一層有利である(スチーブンソンJ.C:マツリタス、第33巻(1999)、第31頁)。経口摂取の場合、ホルモンの高い投与量が必要とされる。何故なら、ホルモンの90%が活性の低いエストロンまで変換されて胃腸管および肝臓にて代謝物と結合し、従ってエストロンの血漿レベルがエストラジオールのレベルよりも高くなるからである。経皮投与の場合、皮膚における生物変換はずっと低く、従ってホルモンを一層低い投与量にて施すことができ、血漿のエストラジオール/エストロン比は閉経前に生理学的状態をもたらす。HRT製剤を経口投与すれば定期的かつ急激な高血漿ホルモンレベルの結果、各種蛋白質(レニン基質、血液凝固因子)の合成が門脈循環にて誘発され、これは観察される副作用の原因となる。HRTの経皮施用の場合、レニン基質合成における増加は存在せず或いは血液凝固システム、インシュリン代謝およびトリグリセリドレベルの機能の変化は増加しないことが強調される。これら相違は経皮施用の場合に心臓血管病の危険性を減少させ、従って経皮投与がたとえば不安定な高血圧もしくは高トリグリセリド症を有する婦人および血塞栓症の履歴を有する婦人のような或る種の患者につき好適である。
【0042】
乳癌に関し低投与量の経皮エストロゲン処置は最高の安全性を与える。何故なら、代謝物(これは有力にはオンコジーンとなりうる)の形成に対する刺激作用が最小となるからである。
【0043】
HRTはパッチおよびゲルによって施される。パッチを施せば刺激、紅斑、アレルギー皮膚炎によって現われる皮膚反応は患者のコンプライアンスを減少させると共に、多くの婦人はHRTの適用を停止する。経皮ゲルを施せば皮膚反応の発生がずっと低くなり、患者のコンプライアンスは一層高くなる。経皮ゲルからホルモンの必要量が急速に皮膚に浸入し、次いでこれが外側角質化層(「角質層」)に蓄積し、そこから連続吸収が必要ホルモンレベルを供給する。
【0044】
現在市販されている経皮ゲルはエストラジオール含有の1成分ゲルであり、従ってプロゲスチンは婦人の大半(完全子宮を有する婦人)の場合は、これら製剤を用いて他の投与ルートにより補充すべきであり、これは経口処置を施した場合は悪作用をもたらす。
【0045】
更に市販されている経皮ゲルはアルコール系ゲルである。
【0046】
ステロイドの経皮投与のためのゲルは多くの特許にて従来記載されており、それらから最も重要なものを下記のリストに示す。しかしながら、これらゲルは全て本発明による液晶ゲルとは異なる。
【0047】
仏国特許出願公開第2772270号明細書は、産後うつ病を処置するための唯一のエストラジオールからなっている。このゲルはカルボマー、トリエタノールアミンおよび多量のエタノールとそれぞれ約45%および50%の水とを含有する。
【0048】
米国特許第4559222号明細書は、エストラジオールのみを含有する経皮組成物を記載している。施されるマトリックスはミネラルオイルとポリイソブチレンとコロイド二酸化珪素とを含有する。
【0049】
欧州特許出願公開第371496号明細書は、エストラジオールとオレイン酸と線状アルコールラクテートとジプロピレン−グリコールもしくはm−ピロール(N−メチル−2−ピロリドン)とを含有する経皮組成物を開示している。
【0050】
米国特許第4956171号明細書は、エストラジオールと蔗糖ココエートとラウリン酸メチルとを含有する経皮システムを開示している。
【0051】
日本国特許出願公開第02−233621号明細書は、エストラジオールとグリコール酸のモノカプリング酸エステルとを含有するゲルを開示している。
【0052】
欧州特許出願公開第409383号明細書は経皮組成物を開示している。エストラジオールを含有するゲルは水不溶性のビニル−ピロリドンコポリマーを含む。
【0053】
欧州特許出願公開第137278号明細書は、活性薬物としてステロイドを含有する経皮ゲルを開示している。例示されるステロイド薬物はエストラジオール、レボノルゲストレルもしくはゲストデンを包含する。ゲルマトリックスは架橋シリコンエラストマーを含有する。
【0054】
英国特許出願公開第2158355号明細書は、プロピレン−グリコールおよびグリセレンの溶剤混合物に分散されたエストラジオールもしくはレボノルゲストレルを活性薬物として含有しうる経皮組成物を開示している。
【0055】
独国特許出願公開第3836862号明細書は、多量の接着剤、並びに吸収促進剤としての脂肪酸エステルを含有する経皮組成物を開示している。ステロイド薬物はエストラジオール、レボノルゲストレル、ゲストデンおよびその組合せ物を包含する。このように作成されたゲルをパッチ充填につき用いることができる。
【0056】
欧州特許出願公開第367431号明細書は、エストラジオールとプロゲスチンとを含有する経皮組成物を開示している。ステロイドはイソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの45〜55%の混合物にて並びに水とメチルセルロースとを含有するゲルにて皮膚に供給される。
【0057】
米国特許第5019395号明細書は、活性薬物としてエストラジオールとプロゲステロンとの組合せ物、並びに溶剤としてのカプリル酸のプロピレン−グリコールジエステル、ゲル化剤としてのココナッツ油、エタノールおよび二酸化珪素を含有する経皮組成物を開示している。
【0058】
欧州特許出願公開第587047号明細書は、特にエストラジオールおよびゲストデンもしくはレボノルゲストレルを組み合わせても含有するHRT用の組成物を開示している。ゲル化剤はカルボキシビニルポリマーである。
【0059】
独国特許出願公開第4405898号明細書は、特にエストラジオールおよびゲストデンもしくはレボノゲストレルを組合せにおいても含有するHRT用の組成物を開示している。このゲルはジメチルイソソルバイドを含有する。
【0060】
米国特許第5453279号明細書は、特にエストラジオールおよびレボノルゲストレルを組み合わせても含有するHRT用の組成物を開示している。ゲルはクエン酸ジアルキル、デシル−もしくはラウリルアルコール、並びにプロピレン−グリコールを含有する。
【0061】
国際公開第96/03119号パンフレットは、エストラジオールおよびレボノルゲストレルを組合せにおいても含有するエストロゲン補充療法のための組成物を開示している。ゲルは接着剤としてのアクリレートおよびリノレン酸を含有する。
【0062】
国際公開第96/30000号パンフレットは、活性薬物としてエストラジオールおよびノルエチンドンアセテート、並びにエチルセルロース、イソプロピルミリステートおよび70%より多いエタノールを含有する経皮組成物を開示しており、これは急速蒸発後に皮膚上で柔軟性フィルムを形成する。
【0063】
欧州特許出願公開第811381号明細書は、エストロゲンとプロゲスチンとの混合物を含有する経皮組成物の処方を開示している。エストラジオールはエストロゲン成分として施され、主としてノルエチンドンアセテートであるがプロゲステロン、メドロキシプロゲステロンおよびゲスタデンもプロゲスチン成分として施される。ゲルの各成分は次の通りである:吸収促進剤としての10〜18個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、アクリル酸ポリマーもしくはコポリマー、トリエタノールアミン、プロピレン−グリコール、並びに約45%のエタノールおよび約40%の水。
【0064】
国際公開第第98/03156号パンフレットは、エストロゲンとプロゲスチンとの混合物をリポソームに包封して含有する局部的化粧用ホルモン補充組成物を開示している。
【0065】
独国特許出願公開第19701949号明細書は、特に活性薬物としてエストラジオールを有するホルモン供給用の経皮療法システムを開示している。ヒドロゲルは構造分解性添加剤および構造形成性添加剤と組み合わせて薬物を固体分散物中にて含有する。
【0066】
国際公開第99/20257号パンフレットは、活性薬物としてエストロゲンとプロゲステロンとの混合物を含有する経皮組成物を開示している。ゲルの各成分は吸収促進剤としてのジオキソラン−もしくはジオキシン−誘導体またはアセタール、並びに増粘剤としてのプロピレン−グリコール、35〜75%のエタノール、水およびセルロースである。
【0067】
米国特許第5912009号明細書はラウリルグリコール酸を含有する経皮組成物を開示しており、ここでエストラジオールが活性薬物として挙げられる。
【0068】
仏国特許出願公開第2774595号明細書は、水中油型エマルジョンとエーテルとの混合物の適用により形成されたエストラジオールを含有する経皮組成物を開示している。
【0069】
仏国特許出願公開第2777784号明細書は、プロゲステロン懸濁物が親油性薬剤にエストラジオールを溶解させて作成された溶液にて形成されるホルモン補充組成物を開示している。
【0070】
国際公開第99/62497号パンフレットにおいて開示された組成物は油性ゲルと水性ゲルとの混合物である。エストラジオールは油性ゲルに溶解され、プロゲステロンは水性ゲルに溶解され、更にセルロースポリマーをこれらゲルの混合物に添加する。
【0071】
欧州特許出願公開第656213号明細書は閉経後におけるエストロゲン補充用の組成物を記載しており、これは150,000〜225,000の分子量を有すると共に体重70kgの人間に対し10mgより多い投与量を与えるヒアルロン酸ナトリウムを含有する。
【0072】
経皮ゲルの投与は、本発明に挙げられた更なる活性薬物の場合は稀である。最も近い従来技術は次の通りである:
【0073】
国際公開第2003/013482号パンフレットは、接着性架橋コポリマー中にオンダンセトロンを含有する経皮パッチの施用を開示している。
【0074】
国際公開第2000/047208号パンフレットは、活性薬物としてのオンダンセトロン、並びに20〜80%のアルコール、1〜50%の脂肪酸誘導体および15〜80%の水を含有する経皮パッチを開示している。
【0075】
ハンガリー国特許出願公開第207795号明細書は、活性成分としてメトロニダゾールおよびたとえばセルロースもしくはアクリル酸ポリマーのようなゲル化剤を含有すると共に3.0〜4.25のpHに緩衝された局部ゲル組成物を開示している。
【0076】
カナダ国特許第2423836号明細書は、活性薬物としてフェンタニルをアクリレートコポリマーと共に含有する経皮組成物を開示している。
【0077】
カナダ国特許第1325381号明細書は、活性薬物としてフェンタニルを含有するラミネート構造の経皮組成物を開示している。
【0078】
独国特許出願公開第10141650号明細書は、活性薬物としてフェンタニルを含有する経皮パッチを開示している。
【0079】
欧州特許出願公開第710491号明細書は、活性薬物としてネストロンを含有する皮下移植物を開示している。
【0080】
米国特許第6238284号明細書は、ノルエチステロンを活性成分として含有する経皮パッチを開示している。
【0081】
欧州特許出願公開第1197212号明細書は、ノルエチステロンをスチレン−イソプレン−スチレンコポリマーと共に含有する経皮吸収接着性組成物を開示している。
【0082】
日本国特許出願公開第07−267860号明細書は、エペリソンおよびトルペリソンを活性薬物として含有する経皮組成物、パッチ、軟膏およびクリームを開示している。
【0083】
日本国特許出願公開第06−211696号明細書は、活性薬物としてのエペリソンおよびトルペリソンをジ−およびトリ−カルボン酸もしくは架橋ポリビニルピロリドンと共に含有する経皮吸収組成物を開示している。
【0084】
欧州特許出願公開第454089号明細書は、活性薬物としてのエペリソンおよびトルペリソンを架橋ポリビニルピロリドンと共に含有する経皮組成物を開示している。
【0085】
欧州特許出願公開第295411号明細書は、活性薬物としてのエペリソンおよびトルペリソンを脂肪酸および/または乳酸のエステルのモノグリセリドと共に含有する経皮組成物を開示している。
【0086】
米国特許出願公開第2002028789号明細書は、活性薬物としてケタミンを含有する局部クリーム組成物を開示している。
【0087】
国際公開第90/10020号パンフレットにおける新規なヒアルロン酸亜鉛結合体(錯体)は特にゲル、クリームもしくは軟膏の形態にて医療および化粧の用途につき保護を得た。
【0088】
市販されかつ従来技術のゲル医薬組成物は幾つかの欠点を有する。
【0089】
この種の欠点は、皮膚刺激をもたらす高アルコール含有量および/または有機溶剤含有量である。水に僅かな溶解性または不溶性である活性薬物を含有する既知の経皮システムは相当量の有機溶剤を含む。有機相の比率は完成ゲルにて45%より高く、しばしば70%もしくは75%程度に高い。有機溶剤として45〜55%の多価アルコール(イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール)を含有するこの種の製剤が存在する。
【0090】
他の欠点は処方物の美的の特徴に関する。施す添加物の結果として透明でない生産物が存在する。これら種類の添加物はコロイド性の二酸化珪素であって、粘度増加剤として或いは水中で容易に膨潤するが僅かに不透明な処方物を与えるメチルセルロースである。
【0091】
不溶解の活性薬物を含む懸濁処方物は活性薬物粒子の不均質性に基づき不均質となりうる。
【0092】
ゲル処方物からの活性薬物の不完全な溶解が他の重要な問題となる。ポリマーマトリックスは溶解を阻害すると共に、この望ましくない現象をもたらす。カルボキシビニルポリマーまたは異なるセルロース系ポリマーのような或る種のフレーム形成材料は溶剤の蒸発後にフィルムを形成するが、このフィルム層からの活性薬物の経皮吸収は分散阻害のプロセスである。
【0093】
最後に、貧弱な水溶性を有する活性薬物の溶解を容易化させるべくしばしば使用されるリポゲルにも欠点がある。リポゲルの望ましくない特徴は、皮膚上へこれらを汗出すことにより、これらが油性−グリース性感覚をもたらすことである。何故なら、これらは皮膚気孔を覆うと共に栓塞するので、通常の皮膚呼吸を阻害するからである。この種の作用を有する材料はシリコーン油、オレイン酸誘導を包含するが、グリンス性でなく粘着性と感ぜられるグリセロールをも包含する。
【0094】
上記諸問題を解決する目的で、本出願人等は従来技術では決して得られなかった新規かつ近代的な経皮ゲル医薬組成物を開発した。
【0095】
本発明の目的は、更にホルモン補充療法に適すると共にエストラジオール含有モノゲルだけでなく、エストロゲンと組み合わせてアンドロゲン作用を持たない有利な作用を与えるプロゲスチン成分をも含有する2成分製剤としても適する経皮ゲル医薬組成物を開発することであった。
【0096】
更に、従来技術では知られていない特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチンおよびビンブラスチンを包含する活性薬物を含む経皮ゲル医薬組成物を開発することでもあった。
【0097】
実験を介し、本発明者等は従来技術に示されなかった組成を有し、1種もしくはそれ以上の活性薬物を含有する新規な医薬組成物および治癒化粧品を製造する際に使用するための液晶ゲルを製造することができた。
【0098】
本発明は、経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルに関するものであり、このゲルはポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する。
【0099】
更に本発明は、エストロゲンおよびプロゲスチン成分、並びにポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルよりなる経皮医薬組成物に関するものである。
【0100】
更に本発明は、経皮ホルモン補充療法のための処置方法に関するものでもあり、ここで医薬組成物はエストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成され、これを処置すべき表面に施す。
【0101】
本発明は更に1種もしくはそれ以上の活性薬物(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成される経皮医薬組成物にも関するものである。
【0102】
また本発明は経皮療法のため処置方法にも関するものであり、ここで医薬組成物は1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする。
【0103】
本発明の詳細な説明を以下に示す。
【0104】
理解を容易にするため次の規定を設ける:
表面活性剤ポリオキシエチレン−グリセロール−トリオレエートとと言う名称は「タガットTO V」として使用した。
「室温」は20〜25℃の温度値を意味する。
「HRT」と言う略語はホルモン補充療法を意味する。
「ファースト−パスメタボリズム」は、経口投与した活性薬物が胃腸管からの吸収の後に門脈を介し肝臓に達する強力なメタボリズムを示すべく医療慣行にて一般的に用いられる用語である。
【0105】
本発明は、タガットTO Vとプロピレン−グリコールとイソプロピルミリステートとヒアルロン酸塩もしくは錯体とを含有する、医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルに関するものである。
【0106】
種々異なる組成のゲル形成に関する実験の結果は各成分の特定濃度範囲を用いて従来技術では知られていない新規な液晶ゲルを見出したと言う驚くべき知見をもたらした。
【0107】
本発明による液晶経皮ゲルは表面活性剤と油相および水相とで構成される。更に開発されたゲルの構造はヒアルロン酸塩もしくは錯体、すなわち皮膚のノーマル成分である巨大分子を含有するミクロエマルジョンゲルである。コロイド化学の観点から本発明によるゲルの構造は同時にミクロエマルジョン、すなわちヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶およびコロイド系である。このように形成する錯体ゲルシステムは経皮薬剤投与につき決して施されていなかった。
【0108】
本発明による液晶経皮ゲルは次の各成分で構成される:
表面活性剤として、本発明者等はタガットTO V、すなわち植物オリジンの表面活性剤であるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート(製造業者:ゴールドシュミットAG社)を使用した。ゲルにおけるタガットTO Vの量はゲルの総重量の26.7〜40%の範囲、好ましくは30〜35%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは33.3%(w/w)である。
【0109】
表面活性剤の他に、プロピレングリコールが補助表面活性剤として施される。ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量はゲルの総重量の13.3〜20%の範囲、好ましくは15〜18%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは16.7%(w/w)である。
【0110】
本発明による液晶経皮ゲルにおいて表面活性剤(すなわちタガットTO V)と補助表面活性剤(プロピレン−グリコール)との比は常に2:1である。
【0111】
ゲルの油相はイソプロピルミリステートで構成される。ゲルに添加されるイソプロピルミリステートの量はゲルの総重量の5〜35%の範囲、好ましくは17〜20%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは19%(w/w)である。
【0112】
本発明による液晶経皮ゲルにおいて、水相は水とエタノールとベンジルアルコールとヒアルロン酸塩もしくは錯体(好ましくはヒアルロン酸ナトリウムまたはヒアルロン酸亜鉛錯体)との混合物を意味する。
【0113】
ゲルに添加される水の量はゲルの総重量の12.5〜26.5%の範囲、好ましくは20〜25%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは24.9%(w/w)である。
【0114】
ゲルに貧弱な水溶性の活性薬物を均質分散させるにはエタノールが必要とされる。本発明によるゲルにおけるエタノールの量はゲルの総重量の0.01〜10%の範囲、好ましくは4〜6%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは5%(w/w)である。従ってエタノールは本発明によるゲルにおいては市販入手しうる経皮ゲル組成物におけるよりも低比率で使用される。
【0115】
水相における水とエタノールとの比は5:1〜3:1の範囲で変化することができる。
【0116】
保存料としてはベンジルアルコールが使用され、その量はゲルの総重量の0.5〜1.5%の範囲、好ましくは0.7〜1.3%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは1.0%(w/w)である。
【0117】
本発明による液晶経皮ゲルは更にヒアルロン酸塩もしくは錯体をも含有する。ヒアルロン酸ナトリウムが好適ヒアルロン酸塩であり、本発明の目的では580,000〜620,000および1,350,000〜1,400,000の平均分子量を有するフラクションが使用される。ヒアルロン酸亜鉛錯体が好適ヒアルロン酸錯体であり、本発明の目的には600,000〜650,000の平均分子量を有するフラクションが使用される。ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムおよびヒアルロン酸亜鉛錯体の量はゲルの総重量の0.01〜2%の範囲、好ましくは0.05〜0.15%(w/w)の範囲で変化し、特に好ましくは0.1%(w/w)である。
【0118】
本発明による液晶経皮ゲルの形成は、示した各成分の良く規定された濃度範囲内でなければ生じ得ないことを強調するのが重要である。
【0119】
本発明による液晶ゲルに基づく経皮医薬組成物および治癒化粧品の利点は次の通りである:
油/水型ミクロエマルジョンから生ずる利点:
−油/水型ミクロエマルジョンが形成される。油はコロイド分散物として存在し、これにより非極性媒体に可溶性である活性薬物の溶解速度が増大し、すなわちミクロエマルジョンは多くの場合に溶液処方物の作成を可能にする。活性薬物がこれをゲルに均質分散させるには溶解することが必要であること、および懸濁物型活性薬物の均質分散が信頼できないことは周知されている。上記のことは重要な生物医薬上の利点と関連する:油溶性薬物の分散は極めて大きい表面で生じて、極めて急速な薬物放出を確保する。
−このように生成される組成物は透明であって、好適な美的外観を有する。美的特性の他に、透明性は何らかの変化(分解)が肉眼検査のより巨視的に検出されうると言う利点をも与える。
−このように生成される組成物は熱力学的に安定である。(マクロエマルジョンおよびクリームは熱力学的に安定でなく、これらは運動安定性のみを特徴とする)。
【0120】
液晶構造から生ずる利点:
−液晶構造はこの系に高い剛性を与え、組成物は流動性でないがオーダーラインのレベルに応じて可塑性もしくは若干粘弾性である。この種の流動学的性質を有する系を用いれば、流体を用いる場合よりも投与がずっと容易になる。選択皮膚領域への液晶ゲルの分配は、液体処方物の場合よりもずっと容易かつ正確となる。
−液晶特性は表面活性剤の配列構造の結果である。表面活性剤の認めうる量は次の利点を有する:
a)これは不溶性の懸濁活性薬物(固体粒子で存在)につき良好な加湿剤となり、これにより溶解の速度を増大させる。
b)この組成物は皮膚中へ容易かつ迅速に吸収され、従ってグリース様スポットまたは他の不快な残渣を残さない。
c)表面活性剤は一般にその浸透向上作用が知られ、従って表面活性剤はこれら活性薬物の生物学的膜を介し浸入を促進し、これは表面活性剤の不存在下では細胞壁を通過することができない。本発明による組成物に一体化される活性薬物は皮膚の外側層に容易に浸入することができ、非極性角質層にも浸入しうるが、これらは高度に水性の生存真皮への貧弱な浸入性を示す。表面活性剤はこの後者の浸入を顕著に増大させることができ、すなわち真皮への浸入を増大させることができる。
【0121】
水溶性ヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有するコロイド系により与えられる利点:
−天然皮膚成分に関しヒアルロン酸塩もしくは錯体は組成物の粘度を増大させるという利点を与え、従ってその投与量および分配の精度を増大させるという利点を有する。
−ヒアルロン酸塩もしくは錯体は更に、水および半極性媒体に貧弱にしか溶解しない活性薬物の加湿を促進する。
−バイオポリマー(生存生物の天然巨大分子成分)は一般にその浸透構造作用についても知られる。
【0122】
結論として、本発明による液晶ゲルに基づく経皮医薬組成物および治癒化粧品は生理化学的、医薬技術的および生物医薬的の複合利点を有する。上記利点に基づき、本発明による組成物は従来のベヒクル(たとえばマクロエマルジョン、クリームおよびポリマーゲル)よりも明らかに優れている。
【0123】
本発明者等は液晶経皮ゲル医薬組成物における液晶領域を形成するべく各成分につき必要な濃度範囲を決定し、これらを図1の3成分相ダイヤグラムに示す。三角形の各頂点は頂点にて示された成分の100%比率を示すのに対し、任意の頂点に反対側の3角形の1辺は所定成分の0%比率を示す。三角形の1辺は表面活性剤と補助表面活性剤(タガットTO Vおよびプロピレン−グリコール)の2:1混合物の濃度を示し、第2辺は油相(この場合にはイソプロピルミリステート)を示すのに対し、第3辺は水相の比率、本発明の場合には水、エタノール、ベンジルアルコールおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体(好ましくはヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体)の比率を示す。水相における水:エタノールの比は5:1〜3:1の範囲で変化することができる。本発明によるゲルの3種の成分の濃度はダイヤグラムから読み取ることも必要とする。従って本発明による液晶経皮ゲルの形成は、ダイヤグラムに示した各成分の次の濃度比を必要とする:
タガットTO V表面活性剤およびプロピレン−グリコール補助表面活性剤(2:1) =40−60%
イソプロピルミリステート =5−35%
水相 =25−40%
(水相がヒアルロン酸塩もしくは錯体のコロイド溶液とエタノールおよびベンジルアルコールとの混合物である場合)。
【0124】
本発明による液晶経皮ゲルの各成分は次の濃度範囲を有する:
タガットTO V 26.7−40.0%
プロピレン−グリコール 13.3−20.0%
イソプロピルミリステート 5.0−35.0%
エタノール 0.01−10.0%
ベンジルアルコール 0.5−1.5%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01−2.00%
精製水 12.5−26.5%
または
タガットTO V 26.7−40.0%
プロピレン−グリコール 13.3−20.0%
イソプロピルミリステート 5.0−35.0%
エタノール 0.01−10.0%
ベンジルアルコール 0.5−1.5%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.01−2.00%
精製水 12.5−26.5%
【0125】
本発明による液晶経皮ゲルの各成分は好ましくは次の濃度範囲を有する:
タガットTO V 30.0−35.0%
プロピレン−グリコール 15.0−18.0%
イソプロピルミリステート 17.0−20.0%
エタノール 4.0−6.0%
ベンジルアルコール 0.7−1.3%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05−0.15%
精製水 20.0−25.0%
または
タガットTO V 30.0−35.0%
プロピレン−グリコール 15.0−18.0%
イソプロピルミリステート 17.0−20.0%
エタノール 4.0−6.0%
ベンジルアルコール 0.7−1.3%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.05−0.15%
精製水 20.0−25.0%
【0126】
本発明による液晶経皮ゲルの各成分は特に好ましくは次の濃度範囲を有する:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%
精製水を補充 100.0%
または
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.1%
精製水を補充 100.0%
【0127】
本発明による液晶経皮ゲルは、タガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとを室温にて混合し次いで混合物を好ましくは1500r.p.m.未満で5分間にわたりホモゲナイズすることによりシステムができる限り空気を含まないよう確保し続けることにより製造される。非通気条件は低攪拌速度および好ましくは減圧の印加の両者により確保することができる。各成分を混合する順序は変化させることができる。
【0128】
活性薬物(たとえばエストロゲンおよびプロゲスチン成分)は連続攪拌下にエタノール(またはその溶解度が許す限り他の活性薬物の場合には水性エタノール)に溶解させる。
【0129】
活性薬物溶液をタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に添加し、この混合物を1500r.p.m.未満で少なくとも30分間にわたり攪拌することによりホモゲナイズする。
【0130】
活性薬物溶液を含有する混合物、並びにタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物にイソプロピルミリステートを添加し、この混合物を1500r.p.m.未満にて少なくとも30分間にわたり攪拌することによりホモゲナイズする。
【0131】
上記プロセスと並行平行して水溶液をヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体で作成し、これには好ましくは1500r.p.m.未満で作動するミキサを使用する。このように得られた溶液は高粘度の濃厚流体である。完全な膨潤が得られた後(最小1時間を要するが、ミキサの性能に応じて4時間より長くかかることもある)、ヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の水溶液を上記混合物に混合し、次いで得られた混合物を精製水により所定容積まで増大させる。このように構成された系を好ましくは1500r.p.m.未満で作動する撹拌器によりホモゲナイズして、ゲル構造の形成を可能にする。ホモゲナイズの時間は少なくとも30分間である。
【0132】
このように製造されたゲル系の粘度はブルックフィールド型粘度計を用いグレード2.5にて監視する。ゲルのコンシステンシーは、その粘度が1000−15000cPsの範囲に入れば充分である。
【0133】
液晶は、偏光顕微鏡検査にてライカ・画像分析機器(ライカQ500MC画像処理および分析システム)によって同定させる。
【0134】
本発明による経皮ゲルの液晶構造を証明するためラメラ液層領域のラメラ間反復間隔を設けるX線回折分析を行った。
【0135】
ゲルのX線回折分析を次のように行った:1週間にわたり蓄えた試料を銅試料ホルダーに入れてマイラーフォイルで覆った。分析をフィリップスPW1820回折計により行い、その銅Kα1照射線源はλ=1.54nm波長にて操作した。照射源を40kVの電圧および35mAの電流にて操作すると共に、固体粒子検出器を用いた。入射線が自動拡散スリットおよびモノクロメータを介して試料に達した。ゴニオメータを0.05°2θ/秒の速度で操作すると共に0.02°2θのステップ幅を用いた。試料を1°〜10°2θ値の間で走査させた。分析は室温にて行った。
【0136】
最も特徴的な位置および強度は二次派生ピーク評価法により決定した。
【0137】
液晶におけるオーダーラインの程度を特性化するラメラ間反復処理をブラッグス式により計算した:
λ=2dsinθ ここで
λ:波長(nm)
d:ラメラ間反復間隔(nm)
2θ:回折角度(度)。
【0138】
全部で3種類の試料をX線解析分析にかけた:すなわちヒアルロン酸の無いゲル(試料1)、ヒアルロン酸亜鉛錯体を含有するゲル(試料2)、および高分子量(平均分子量1,350,000−1,400,000)のヒアルロン酸ナトリウムを含有するゲル(試料3)。これらは次のような正確な組成を有した:
【0139】
試料1:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
精製水を補充 100.0%
【0140】
試料2:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0141】
試料3:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム(高分子量) 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0142】
図2、3および4はゲル試料1、2および3のそれぞれX線回折パターンを示す。横軸は回折2θ角度(°)を示す一方、縦軸は毎秒のピーク強度値を示す。
【0143】
ゲル試料1につきX線回折により決定されたラメラ間反復間隔は50.75Å(オングストローム)であり、試料2については51.02Åであり、試料3については49.13Åであった。3種の試料のX線回折分析の結果に基づき、本発明による経皮ゲルは液晶オーダーラインを有すると共に、この液晶構造はヒアルロン酸の添加により破壊されないと言うことができる。
【0144】
本発明により開発された経皮ゲルは、最も有用な活性薬物含有量を有する医薬組成物の製造につき優秀な材料である。
【0145】
本発明は、エストロゲンおよびプロゲスチン成分とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなる経皮医薬組成物に関するものである。
【0146】
本発明による経皮医薬組成物において、好適エストロゲン成分はエストラジオールである一方、プロゲスチン成分はアンドロゲン作用を持たないプロゲスチン(好ましくはゲストデン、エトノゲストレルもしくはレボノルゲストレル)である。
【0147】
エストラジオールの化学名(17−β−エストラジオールとも称される)は3,17β−ジヒドロキシ−エストロ−1,3,5−トリエンである。
【0148】
ゲストデンの化学名は13−エチル−17−ヒドロキシ−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4,15−ジエン−20−イン−3−オンである。
【0149】
エトノゲストレルの化学名(3−ケト−デゾゲストレルとも称される)は13−エチル−17−ヒドロキシ−11−メチレン−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4−エン−20−イン−3−オンである。
【0150】
レボノルゲストレルの化学名は13−エチル−17−ヒドロキシ−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4−エン−20−イン−3−オンである。
【0151】
本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物において、エストロゲンおよびプロゲスチン成分は次の濃度範囲にて使用される:エストラジオール:0.001−0.7%(w/w);ゲストデン:0.001−0.5%(w/w);エトノゲストレル:0.001−0.7%(w/w);レボノルゲストレル:0.001−0.05%(w/w)。
【0152】
本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物からの活性薬物(エストロゲンおよびプロゲスチン成分)の放出を、ミクロエッテ・ハンソン垂直拡散セル(ハンソン・リサーチ・コーポレーション、USA)により検討し、これは予備設定されたプロトコールに基づき自動試料採取により操作した。
【0153】
ハンソン・セル研究の根幹は次の通りである:ゲルに溶解された活性薬剤は膜まで拡散すると共に、膜とベヒクルとの間で分割される。膜を横切って物質は他の部門にかけられ、今回は膜と水性系であるアクセプタ相との間に分配される。この検討はCM型、マシェリー・ナジェル・ポラフィル膜フィルタを用いて行なわれ、この膜フィルタは0.2μm気孔寸法および2.5cmの直径を有すると共に、イソプロピルミリステートを浸漬させたセルロースエーテルで作成した。これにより膜モデルは皮膚の親油性構造に良く馴染む。実験は450r.p.m.にて6個の並列セルで32℃の温度にて行った。試料採取容積は0.8mlとし、洗浄液の容積は0.5mlとした。試料採取時点は次の通りとした:0.5h、1h、2h、3h、4h、5h、6h。
【0154】
集めた試料のステロイド含有量は、HPLC方法により決定した。HPLC装置は、3個のDR5媒体圧力ポンプおよびHP−1090DADダイオード−アレー検出器を装着したヒューレット−パッカード−1090モデルとした。PH−ケミスタチオン(Ver.4.01)制御、データ獲得およびデータ処理はDTK 081ペンティアム(登録商標)IIパーソナルコンピュータで行った。クロマトグラフ条件は次の通りとした:LiChroCart 125−4、Purospher RP18e 5μm(メルク 968264)をクロマトグラフカラムとして使用した。移動相はアセトニトリルと水との混合物とし、ここでアセトニトリルの比率を次の勾配プログラムにしたがって変化させた:初期:0−30th分:20−80%、30th−31st分80−100%、30st−36th分100%。流速、カラム温度および検出波長はそれぞれ1ml/min、35℃および205−244nmとした。
【0155】
本発明によるゲルの安定性試験につき、ゲル試料を40℃で運転するサーモスタットにて75%の相対湿度に2ヶ月間保った。貯蔵期間の終了後、各試料を上記活性薬物放出試験にて検査した。
【0156】
幾つかの代表的試験結果を下記に示す:
種々異なる賦形薬組成物および0.1%エストラジオールと0.05%ゲストデンとを活性薬剤として含有するゲルを試験した。
【0157】
試験した本発明による液晶ゲルは次の組成を有した:
エストラジオール 0.10%
ゲストデン 0.05%
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸塩もしくは錯体 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0158】
実験において、3種の異なる種類のヒアルロン酸塩もしくは錯体用いて液晶ゲルを生成させた。これらは次の通りとした:ヒアルロン酸亜鉛錯体(分子量600,000−650,000)、低分子量(580,000−620,000)ヒアルロン酸ナトリウムおよび高分子量(1,350,000−1,400,000)ヒアルロン酸ナトリウム。実験は亜鉛誘導体とナトリウム誘導体との使用の間および低分子量ヒアルロン酸ナトリウムと高分子量ヒアルロン酸ナトリウムとの使用の間で比較を可能にした。
【0159】
参考ゲルとしては、高エタノール含有量および次の正確な組成を有するカルボポール系ゲルを作成した:
エストラジオール 0.10%
ゲストデン 0.05%
カルボポール 0.20%
トリエタノールアミン 0.30%
エタノール 40.00%
精製水を補充 100.0%
【0160】
新たに作成されたゲル試料および40℃にて2ヶ月にわたり貯蔵した試料の両者の400mgずつを各ハンソンセルに秤り込み、従って検査した各試料のエストラジオールおよびゲストデン含有量はそれぞれ400μgおよび200μgであった。表1は4th時間により膜を横切って拡散されたエストラジオールの領域基準化量を示すのに対し、表2はゲストデンにつき同じ数値を示す(4−時間の試料採取時点は、ゲルが4時間より長く皮膚上に留まるとは思われないので選択した)。
【0161】
表1および2における結果で示されるように、エストラジオールおよびゲストデンの両者につき最高の活性薬物放出はヒアルロン酸亜鉛錯体含有の液晶で得られた。低分子量ヒアルロン酸ナトリウムを含有する液晶ゲルからの活性薬物放出は顕著には異ならなかった。活性薬物放出は高分子量ヒアルロン酸ナトリウムで作成された液晶ゲルからのみ一層低かったが、その差は顕著でなかった。
【0162】
【0163】
最低の活性薬物放出はカルボポール含有の参考ゲルで得られ、これは主として活性物質の吸着に起因した。水性−アルコール性カルボポールゲルにおいて、活性薬物の大半は懸濁物の形態で存在する。拡散を可能にするため、活性薬物を先ず溶解させねばならなかった。
【0164】
ゲル安定性の指標として、表1および2における数値は40℃における2ヶ月貯蔵が活性薬物の放出を顕著な程度まで減少させなかったことを示す。
【0165】
表1および2における結果は更に、ヒアルロン酸亜鉛錯体もしくはヒアルロン酸ナトリウムのいずれかを有する本発明による液晶ゲルがベヒクルとしてカルボポール系水性−アルコール性ゲルよりも優秀であることを示した。
【0166】
【表2】
【0167】
本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物からの活性薬物放出(エストロゲン成分およびプロゲスチン成分)をも、エトノゲストレルの存在下にハンソンセル研究にて検討した。同じ研究にて、40℃で数ヶ月にわたり貯蔵したゲル組成物からの活性薬物放出を検討することにより安定性をも同じ研究にて再び試験した:
エストラジオール 0.10%
エトノゲストレル 0.05%
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10%
精製水を補充 100.0%
【0168】
上記エストラジオール−およびエトノゲストレル含有の組合せゲル組成物の活性薬物放出試験および安定性試験にて時間の関数として得られた結果を、エストラジオールにつき図5およびエトノゲストレルにつき図6に示す。x軸は時間(hr)、すなわちハンソンセル実験における試料採取時点を示す。y軸は放出された活性薬物の量(図5にエストラジオールおよび図6にエトノゲストレル)をμg/cm2単位で示す。両図面は新鮮ゲルおよび2ヶ月ゲルにつき得られた活性薬物放出曲線を示す。
【0169】
ハンソンセル・モデルにて図5および6に示した結果から明らかなように、2種の活性薬物は6時間長さの試料採取時間に際し一様な放出を示した。更に図5および6は、新鮮ゲルと比較して40℃における2ヶ月長さの貯蔵がゲルからの活性薬物の放出に影響を及ぼさなかったことをも示す。
【0170】
ゲルからの活性薬物(エストロゲンおよびプロゲスチン成分)の放出に対するヒアルロン酸ナトリウム含有量の効果を、40℃にて2ヶ月にわたり貯蔵された同じゲル組成物からの活性薬物放出を測定して検査される安定性試験を含む他の実験にて試験した。ハンソンセル研究は、低分子量および高分子量のヒアルロン酸ナトリウムを含有する液晶経皮ゲル医薬組成物を用いて行った。この実験にて試験した液晶ゲルは3種の異なるヒアルロン酸ナトリウム組成物で作成した:すなわち0.10%の低分子量(580,000−620,000)ヒアルロン酸ナトリウム、0.10%の高分子量(1,350,000−1,400,000)ヒアルロン酸ナトリウムおよび0.05%の高分子量(1,350,000−1,400,000)ヒアルロン酸ナトリウムを用いた。
【0171】
この実験において、本発明による液晶ゲルの組成は次の通りとした:
エストラジオール 0.10%
ゲストデン 0.05%
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 5.00%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10%および0.05%
(低および高分子量)
精製水を補充 100.0%
【0172】
新たに作成されたゲル試料および2ヶ月にわたり40℃で貯蔵された試料の両者につき400mg部分を各ハンソンセルに秤り込み、かくして検査した各試料のエストラジオールおよびゲストデン含有量はそれぞれ400μgおよび200μgであった。表3は4時間にわたり膜を横切って拡散されたエストラジオールの領域基準化量を示すのに対し、表4はゲストデンにつき同じ数値を示す。
【0173】
【表3】
【0174】
表3および4における結果で示されるように、0.10%の低分子量ヒアルロン酸ナトリウムを含有するゲルからの活性薬物放出は、高分子量ヒアルロン酸ナトリウムを半分量(すなわち0.05%濃度)にて含有するゲルで観察された数値とほぼ同じである。
【0175】
更に、表3および4で示される結果から明らかなように、高分子量ヒアルロン酸ナトリウムは、同じ濃度レベル(0.10%)で使用すれば低分子量が示すよりも低い活性薬物放出を与える。この現象は恐らくポリマーへの活性薬物の吸着により説明することができる。
【0176】
結論として、実験結果は本発明による液晶経皮ゲルからの活性薬物放出がポリマー分子の分子量および濃度の両者によって影響を受けることを示す。
【0177】
【表4】
【0178】
更に本発明は経皮ホルモン補充療方の処置方法に関するものでもあり、ここでは医薬組成物をエスロゲンおよびプロゲスチン成分とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成し、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする。
【0179】
本発明による液晶ゲルで製造された医薬組成物の経皮用途は好ましくは以下の処置方法にて推奨される:
1. 閉経後のエストロゲン欠損に基づく中程度〜重症の血管運動徴候、ホットフラッシュ、夜汗症および心悸亢進の処置、
2. 閉経後のエストロゲン欠損に基づく尿性器アトロピー、膣乾燥、再発性膣炎、再発性膀胱炎疫痛性性交および失禁症の徴候の処置、
3. 閉経後のエストロゲン欠損に基づく精神的徴候および疲労、不安、パニック、興奮、傾眠、うつ病、気分障害、睡眠障害、記憶問題、精神集中困難および性欲減少の処置、
4. 一次排卵不全もしくは去勢に基づくエストロゲン欠損の処置、
5. 有機変換を有せずかつ子宮内膜発育不全を有するホルモン障害に関連した月経困難の処置、
6. 閉経後の骨粗鬆症の予防、
7. 閉経後の婦人における子宮筋腫の寸法の減少および出血障害の処置、
8. 不安定高血圧における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
9. 高トリグリセリド症を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
10. 血栓塞栓の履歴を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
11. 高アンドロゲン徴候(アンドロゲン型アロペシア、ヒルスチズム)を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
12. 外科的閉経の早期術後期間における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
13. 2型糖尿病を有する閉経後の婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
14. 経口薬剤投与の副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
15. 経皮パッチに関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減、
16. アルコール系経皮ゲルの使用に関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の徴候の軽減。
【0180】
アルコール系水性ゲルとは異なり、本発明により開発されたエストラジオール−およびプロゲスチン含有の液晶ゲルはホルモン成分を溶液中に含有し、これは角質層へのホルモン吸収の速度および程度を増大させる。エストラジオールの1部は全身循環に直接達するのに対し、他の部分は角質層にて沈積物を形成すると共に徐々に循環に吸収される。経口薬物投与に関連した血清レベルのピークはかくして回避され、処置は肝臓における生理学的ホルモンレベルより高い結果をもたさない。
【0181】
アルコール系水性ゲルと比べ、本発明により開発された液晶ゲルはより低い皮膚刺激しかもたらさない。
【0182】
本発明により開発された液晶ゲルの新規な選択的プロゲスチンホルモン成分は他のルートによるプロゲスチン代替を不必要にする。
【0183】
更なる利点としては、ホルモン組合せ物を含む液晶ゲルはアルコール系水性ゲルにより必要とされる表面積(200−400cm2)よりも小さい表面積(150−200cm2)に施すことができる。
【0184】
更に本発明は、1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成される経皮医薬組成物にも関するものである。
【0185】
オンダンセトロンの化学名は1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−メチル]−4H−カルバゾール−4オンである。
【0186】
テルビナフィンの化学名はN−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−(E)−ナフタル−1−エン−メタン−アミンである。
【0187】
フルコナゾールの化学名はα−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−α−(1H−1,2,4−トリアゾロ−1−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾロ−1−エタノールである。
【0188】
メトロニダゾールの化学名は1−(2−ヒドロキシ−1−エチル)−2−メチル−5−ニトロ−イミダゾールである。
【0189】
フェンタニルの化学名はN−[1−(フェニル−エチル)−4−ピペリジル]−プロピオンアニリードヒドロクロライドである。
【0190】
ナンドロロン デカノエートの化学名は17β−ヒドロキシ−エスト−4−エン−3−オンデカノエートである。
【0191】
ネストロンの化学名は16−メチレン−17α−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−4−エン−3,20−ジオンアセテートである。
【0192】
ノルエチステロンの化学名は17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4−エン−20−イン−3−オンである。
【0193】
エペリソンの化学名は1−(4−エチル−フェニル)−2−メチル−3−(1−ピペリジニル)−1−プロパノンである。
【0194】
トルペリソンの化学名は1−ピペリジノ−2−メチル−3−(p−トリル)−3−プロパノンである。
【0195】
ビンポセチンの化学名は(3α,16α)−エブルナメニン−14−カルボン酸エチルエステルである。
【0196】
ケタミンの化学名は2−(2−クロル−フェニル)−2−(メチル−アミノ)−シクロヘキサノンである。
【0197】
ビンクリスチンの化学名は22−オキソ−ビンカレウコブラスチンである。
【0198】
ビンブラスチンの化学名は22−(シクロヘキシル−オキシ)ビンカレウコブラスチンである。
【0199】
本発明による活性薬物成分としてオンダンセトロンを含有する経皮医薬組成物において、オンダンセトロンの比率はゲルの総重量の0.001−1.2%(w/w)である。
【0200】
本発明による活性薬物成分としてテルビナフィンを含有する経皮医薬組成物において、テルビナフィンの比率はゲルの総重量の0.001−2%(w/w)である。
【0201】
本発明による活性薬物成分としてフルコナゾールを含有する経皮医薬組成物において、フルコナゾールの比率はゲルの総重量の0.001−2.5%(w/w)である。
【0202】
本発明による活性薬物成分としてメトロニダゾールを含有する経皮医薬組成物において、メトロニダゾールの比率はゲルの総重量の0.001−0.9%(w/w)である。
【0203】
本発明による活性薬物成分としてフェンタニルを含有する経皮医薬組成物において、フェンタニルの比率はゲルの総重量の0.001−1.0%(w/w)である。
【0204】
本発明による活性薬物成分としてナンドロロン デカノエートを含有する経皮医薬組成物において、ナンドロロン デカノエートの比率はゲルの総重量の0.001−4.5%(w/w)である。
【0205】
本発明による活性薬物成分としてネストロンを含有する経皮医薬組成物において、ネストロンの比率はゲルの総重量の0.001−2.0%(w/w)である。
【0206】
本発明による活性薬物成分としてノルエチステロンを含有する経皮医薬組成物において、ノルエチステロンの比率はゲルの総重量の0.001−0.5%(w/w)である。
【0207】
本発明による活性薬物成分としてエペリソンを含有する経皮医薬組成物において、エペリソンの比率はゲルの総重量の0.001−0.8%(w/w)である。
【0208】
本発明による活性薬物成分としてトルペリソンを含有する経皮医薬組成物において、トルペリソンの比率はゲルの総重量の0.001−2.0%(w/w)である。
【0209】
本発明による活性薬物成分としてビンポセチンを含有する経皮医薬組成物において、ビンポセチンの比率はゲルの総重量の0.001−0.6%(w/w)である。
【0210】
本発明による活性薬物成分としてケタミンを含有する経皮医薬組成物において、ケタミンの比率はゲルの総重量の0.001−1.0%(w/w)である。
【0211】
本発明による活性薬物成分としてビンクリスチンを含有する経皮医薬組成物において、ビンクリスチンの比率はゲルの総重量の0.001−1.0%(w/w)である。
【0212】
本発明による活性薬物成分としてビンブラスチンを含有する経皮医薬組成物において、ビンブラスチンの比率はゲルの総重量の0.001−0.1%(w/w)である。
【0213】
本発明者等は本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物における活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の放出を検討すると共に、その流動学的および顕微鏡的性質、並びにゲルの安定性を検討した。
【0214】
1.2%のオンダンセトロンもしくは2.0%のテルビナフィンもしくは0.9%のメトロニダゾールもしくは0.8%のエペリソンもしくは1.0および2.0%のトルペリソンもしくは1.0%のケタミンの活性薬物含有量に加え、実験で使用した本発明による液晶ゲル医薬組成物の組成は次の通りであった:
タガットTO V 33.30%
プロピレン−グリコール 16.70%
イソプロピルミリステート 19.00%
エタノール 0.10%
ベンジルアルコール 1.00%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10%
(低分子量)
精製水を補充 100.0%
【0215】
実験ゲル試料の作成は、活性薬物を親油性ベース系(タガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステート、ベンジルアルコール)に添加すると共に懸濁物を超音波水浴中で15分間にわたり混合して行った。この系の親水相(エタノール、ヒアルロン酸ナトリウム溶液、水)を次いで添加して、全ての場合に綺麗な透明の形状保持ゲルを得た。使用した活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)は、透明なゲル系の快適外観に何ら不都合な巨視的変化をもたらすことなくゲルに良好に混入しうることが証明された。
【0216】
予め本発明者等は、ミクロエッテ・ハンソン垂直拡散シェル法(ステロイドゲル試料の検討にて説明)による活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の放出を検討した。相違点は、実験をここまで使用したイソプロピルミリステートで浸漬された親油性膜および水で浸漬された親水性膜の両者を用いて行った点である。本発明者等は、各活性薬物につき4回の並行実験を行った。
【0217】
オンダンセトロンもしくはテルビナフィンもしくはメトロニダゾールもしくはエペリソンもしくはトルペリソンのいずれかを含有する上記液晶ゲルにて得られた活性薬物放出試験の結果を時間の関数として図7−14に示す。横軸はハンソンセル実験にて使用した試料採取時点に相当する時間(hr)を示す。縦軸は放出された活性薬物の量(μg/cm2の単位)を示す。従って親水性膜におけるオンダンセトロンにつき活性薬物放出を図7に示し、親水性膜におけるテルビナフィンについては図8に示し、親水性膜におけるメトロニダゾールについては図9に示し、親油性膜におけるメトロニダゾールについては図10に示し、親水性膜におけるエペリソンについては図11に示し、親油性膜におけるエペリソンについては図12に示し、親水性膜におけるトルペリソンについては図13に示し、親油性膜におけるトルペリソンについては図14に示す。
【0218】
図7−14に示した結果から明らかなように、ハンソンセル・モデルにおいて活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン)は6時間の試験時間にわたり均一な放出を示した。
【0219】
図7−14に示した活性薬物放出実験の結果から明らかなように、充分または中庸に親水性膜を横切って水中に迅速かつ効果的であるが明らかに貧弱な分割に基づき、溶解する親水特性の化合物(たとえばオンダンセトロン、テルビナフィン、ケタミン)は、親油性流体が含浸された膜を通過しない。メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソンは全て親水性膜および親油性膜の両者を通過しうるが特性的には異なる性質を有する。顕著に多量の活性薬物が親水性膜を横切る。
【0220】
曲線の経過から、拡散プロセスは次の対数関数により説明しうると結論することができる:
Q=Q0tm
[t:時間、
Q:膜表面単位(1cm2)に対する時間tにて放出(膜を横切って)される活性薬物の量、
Q0:t=0時間(この数値は実験において理論的に0であるが、しばしば通過活性薬物での膜の一時的飽和に関しマイナス数値を得ることもあり、更に活性薬物はアクセプタ相に生じた後に完全に飽和する)に属する活性薬物の量、
m:一般に1より低い数値であるプロセスの速度恒数。
【0221】
mの数値が約0.5であれば、プロセスはヒグチ様平方根関係に基づき線状化することができる:
Q=Q0+nt0.5
[ここでn:放出の速度恒数]
【0222】
本発明により作成された液晶経皮ゲル医薬組成物において、活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の放出運動論は一般にヒグチ様関係に従うと言うことができる。
【0223】
【表5】
【0224】
実験の4時間まで表面積1単位当たり親水性もしくは親油性の膜を横切った活性薬物(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)の量を表5に示す。
【0225】
表5に示した活性薬物放出実験の結果から明らかなように、試験の過程でテルビナフィンおよびメトロニダゾールの両者は顕著な量で放出されると共に親水性膜を通過した。トルペリソンの場合、ゲルにおける活性薬物の濃度は放出の過程に影響を与えない。何故なら、1%のトルペリソンを含有するゲルから、2%の活性薬物を含有するものとほぼ同程度に親油性膜から放出されるからである。試験した活性薬物のうち、ケタミンはハンソン装置の膜から最小程度に放出され或いは膜を通過する。
【0226】
本発明者等は、上記ゲル試料の粘度測定を行った。溶解された活性薬物はゲル試料の流動学的性質を不可逆的には変化させない。上記ゲル試料をライカ画像分析装置により顕微鏡的にも検査し、これにより光学方法によって本発明によるゲル系の構造を証明した。顕微鏡的画像は、試料が光学的可視構造を有すると共に画像において「マルテーゼクロス」が液晶特性の指標としても見られることを証明した。
【0227】
安定性試験の目的で、本発明者等は本発明による液晶ゲル試料(オンダンセトロン、テルビナフィン、メトロニダゾール、エペリソン、トルペリソン、ケタミン)を室温2−5℃および40℃にて2ヶ月間にわたり充分密封されたガラス容器に貯蔵し、次いでこれらを室温に1日間保った後、巨視的観察(肉眼検査および室温で貯蔵された試料との対比)、流動学的検査(作成後に行った測定の場合と同一の環境下での流動曲線の記録)、および遠心分離を試料につき行った(3000r.p.m.にて10分間にわたるJanetzki K23アングルロータ遠心分離器を用いる)。
【0228】
室温およびそれより低温度(2−5℃)における2ヶ月間の貯蔵の過程で、本発明による液晶ゲルの物理的性質には変化が見られなかったが、より高温度(40℃)にて小程度の軟化が経験されたが、不可逆的変化は生じなかった。巨視的に(皮膚に展延することによる)変化は観察されえなかった。各試料はその良好な展延特性を保持した。
【0229】
遠心分離の下で、試料は全て安定であると証明され、液体分離も濁りも他の巨視的変化も観察されなかった。
【0230】
本発明は更に経皮療法のための処置方法にも関するものであり、ここで医薬組成物は1種もしくはそれ以上の活性薬物成分(特にオンダンセトロン、テルビナフィン、フルコナゾール、メトロニダゾール、フェンタニル、ナンドロロン デカノエート、ネストロン、ノルエチステロン、エペリソン、トルペリソン、ビンポセチン、ケタミン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)とタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする。
【0231】
経皮施用がオンダンセトロンを投与する好適ルートである。何故なら、これは活性薬物が高度の催吐性化学療法処置または催吐作用(たとえば産婦人科、頭および首、胃腸の各手術)を有する外科的介入にて胃腸管を迂回すれば療法的利点を与えるからである。オンダンセトロン、すなわち選択的5−HT3−リセプタ拮抗剤は、強催吐性薬物(シスプラチン、カルボプラチン)による化学療法に際し催吐防止性薬物として経口もしくは静脈内投与により広く使用を有する外科的介入の場合にも広く使用される(一般的鎮痛薬における予備薬物投与につき使用される薬物、或いは外科的介入に際し放出される生物学的物質に関連)。静脈内投与は浸襲的であると考えられ、医療管理を必要とする。幾分かの水と共に薬物摂取を含む経口投与はそれ自体流体摂取を介し高催吐性化学療法剤で処置されている患者に嘔吐を誘発し、液体摂取はしばしば外科的介入の前に望ましくない。水なしに摂取される他の舌経由もしくは舌下製剤と同様に、経皮投与は嘔吐の危険性を減少させるのに有利である。
【0232】
経皮薬剤供給システムで投与する場合、テルビナフィン、フルコナゾールおよびメトロニダゾールの抗真菌作用、並びに嫌気性細菌に対するメトロニダゾールの抗細菌作用は局部的に発生するが、良好な経皮吸収の場合には全身的にも生じうる。テルビナフィンに関しクリーム、溶液およびゲルによるその施用が臨床慣行に普及しているが局部的処置についてのみである。その高いアルコール含有量に基づき局部的副作用がこれら処方物により頻発する。全身的効果を形成するのにも適するゲル型経皮処方物は有利には、一層重度の皮膚感染を処置するのに使用することができる。良好な経皮吸収の場合、局部的および全身的な組合せ作用は3種の活性薬物の全てで達成することができる。フルコナゾールに関し、経皮施用はそのファーストパス・メタボリズム(first−pass metabolism)に際しフルコナゾールによる阻止チトクロームP−450酵素に基づいて生ずる薬物相互作用を回避する手段を与える。メトロニダゾールの場合、経皮施用は経口投与に関連する胃腸副作用(悪心、嘔吐および金属味覚)を減少させうる。
【0233】
フェンタニル(すなわちオピオイド鎮痛薬)は全身的、静脈内および筋肉内の投与により使用されるが、更に経皮パッチでも用いられる。全身的投与は浸襲介入であって医療監視を必要とする。フェンタニルは作用の極く短い作用期間を有し、従って主として手術前および術後の鎮痛に使用される。フェンタニルパッチ(デュロゲシックTTS)は72時間にわたり持続する長期鎮痛を与えるが、急性疼痛の軽減には適さない。これに対し、経皮ゲルによるフェンタニルの投与は疼痛症候群および急性疼痛の場合の両者に必要な鎮痛を与えると共に、浸襲性投与を不必要にする。
【0234】
アンドロゲン性薬物、同化性薬物、並びにプロゲスチン化合物(ナンドロロン デカノエート、ネストロンおよびノルエチステロン)はしばしば経皮パッチを介し小投与量で施されて貧弱な生物利用性の問題を克服し、すなわち強度のファースト−パスメタポリズム基づく低活性薬物レベルを克服する。その接着性成分により、パッチ型経皮組成物はしばしば局部皮膚刺激をもたらし、これにより施用の部位を頻繁に変化させねばならない。本発明によるホルモン補充療法および同化処置につき設定された経皮医薬組成物を用いて局部的刺激を回避することができる。
【0235】
ゲル系経皮薬物供給システムの使用は中心作用する局部鎮痛型のナトリウムチャンネルの筋肉弛緩剤(エペリソン、トルペリソン)の場合にも有利である。何故なら、低ファースト−パスメタボリズム(すなわち改善された生物利用性)をこのようにして達成しうるからである。両活性薬物は極めて低い生物利用性を有すると共に、両者は経口投与後に強力なメタボリズムを受ける。経皮パッチ処方物は既にエペリソンにつき開発されている。
【0236】
経皮薬物投与は好ましくは極めて低い(6−8%)のビンポセチン(活性薬物)の生物利用性を増大させることができ、これにより脳メタボリズムおよび微小循環を改善する。経口投与と比較し、経皮投与は一層多量の活性薬物が全身的循環に到達するのを確保する。何故なら、そのメタボリズムは胃腸管および肝臓を迂回するのを減少させるからである。
【0237】
医療管理および多くの場合には入院を必要とする静脈内投与の現在の慣行と比較し、NMDA拮抗剤(ケタミン)の鎮痛作用は患者外設定(out−patient settings)にて達成することができる。ここでも経皮投与は薬物の貧弱な経口生物利用性を克服することができる。
【0238】
イオン浸透療法の局部投与を介し全身的投与により施しうるビンクリスチンおよびビンブラスチン(化学療法剤)は各種の疼痛症候群にて効果的鎮痛剤として使用することができることを示す種々の刊行物がある。何故なら、これらは神経末端を破壊しうるからである[シリック・B等:ニューロサイエンス・レターズ、第31巻、第87−90頁(1982)およびクニハール−シリック・E等:アクタ・ニューロロジー・スカンジナビア;第66巻、第401−412頁(1982)]。これら活性薬物は疼痛徴候群を経皮薬物供給システムにて投与される場合にも効果的に処置することができ、これはイオン浸透療法の使用を不必要にすると共に全身的投与に関連した副作用の回避を助ける。
【0239】
本発明による液晶ゲル医薬組成物の経皮施用は、特に下記する処置の方法にて推奨される:
強力な催吐、化学療法および外科介入の際の経皮抗嘔吐療法のための処置方法:ここで医薬組成物はオンダンセトロンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0240】
経皮抗真菌療法のための処置方法;ここで医薬組成物はテルビナフィンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0241】
経皮抗真菌療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がフルコナゾールとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成され、これを処置すべき表面に施す。
【0242】
経皮抗真菌療法および抗細菌療法(嫌気性病原体およびトリコモナスに対する)のための処置方法;ここでは医薬組成物がメトロニダゾールとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとで構成され、これを処置すべき表面に施す。
【0243】
疼痛症候群および他の急性疼痛における経皮鎮痛療法のための処置方法;医薬組成物はフェンタニルとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0244】
経皮ホルモン補充および同化療法のための処置方法、ここでは組成物がナンドロロン デカノエートとタガットTO Vとプロピレン−グリコールとイソプロピルミリステートとヒアルロン酸塩もしくは錯体とを含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0245】
経皮ホルモン補充および同化(anabolic)療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がネストロンとタガットTO Vとプロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0246】
経皮ホルモン補充および同化療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がノルエチステロンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0247】
経皮筋肉弛緩療法の処置方法;ここでは医薬組成物がエペリソンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0248】
経皮筋肉弛緩療法の処置方法;ここでは医薬組成物がトルペリソンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0249】
脳メタボリズムおよび微小循環を改善する経皮療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がビンポセチンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0250】
経皮鎮痛療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がケタミンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0251】
各種の疼痛症候群における神経末端破壊による経皮鎮痛療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がビンクリスチンとタガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0252】
各種の疼痛症候群における神経末端破壊による経皮鎮痛療法のための処置方法;ここでは医薬組成物がビンブラスチン、タガットTO V、プロピレン−グリコール、イソプロピルミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施す。
【0253】
結論として、本発明により開発された医薬組成物は現在の技術におけるものと比較して次の利点を与える経皮ゲルである:
−全く或いは殆ど水溶解性を持たない活性薬物の経皮供給に適する;
−僅かのアルコールしか含有せず、従って皮膚刺激をもたらさない;
−分子分散系の形成(真性溶液)を介し、活性薬物をゲルに均質分配することができる;
−投与が容易である;
−熱力学的に安定なゲルである;
−透明かつ美的であって魅力的外観を有する。美的観点に加え、透明性は任意の変化(たとえば分解)を容易に巨視的に認識しうると言う利点を与える;
−ゲルが液晶構造を有する;
−形状保持性である;
−一層容易かつより正確な特定領域の皮膚にわたる分散;
−皮膚中への迅速かつ容易な吸収;
−迅速な薬物放出。
【0254】
本発明の更なる詳細を以下の実施例にて示す。これら実施例は本発明を何ら限定することを意図しない。
【0255】
実施例1−6は、ホルモン補充療法のため本発明により開発された液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法を示す。
【0256】
実施例7−32は、ホルモン補充療法のための本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物の組成に関する幾つかの代表的実施例を示す。
【0257】
実施例33−60は、その他の活性薬物を含有すべく本発明により開発された液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法を示す。
【0258】
実施例61−88は、種々の活性薬物含有量を有する本発明による液晶経皮ゲル医薬組成物の組成に関する幾つかの代表的実施例を示す。
【0259】
実施例1
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびゲストデン−含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
医薬製造に適する化学的および微生物学的に綺麗なポットに、33.3gのタガットTO Vと16.7gのプロピレン−グリコールと1.0gのベンジルアルコールとを室温にて秤量して入れ、この混合物を好ましくは1500r.p.m未満で操作するミキサにより、システムができるだけ空気を含まないよう確保するように、5分間ホモゲナイズした。非通気条件は、低い攪拌速度および好ましくは減圧の印加の両者により確保することができる。各成分を混合する順序は変化させることができる。
【0260】
100%空気乾燥活性薬物含有量に調整されると共に0.10gエストラジオールおよび0.05gゲストデンに相当する活性薬物の必要量を秤量して入れると共に、連続混合下に5.0gのエタノール中に1500r.p.m.未満の速度にて溶解させる。溶解には約30分間を要する。
【0261】
活性薬物溶液をタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に添加し、この混合物を1500r.p.m.未満の攪拌により少なくとも30分間にわたりホモゲナイズさせる。
【0262】
活性薬物溶液、並びにタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物を含有する混合物に19.0gのイソプロピルミリステートを添加し、この混合物を1500r.p.m.未満の攪拌により少なくとも30分間にわたりホモゲナイズさせる。
【0263】
上記プロセスと並行して、好ましくは1500r.p.m.未満で作動するミキサを用いてヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を作成する。このように得られた溶液は高粘度の濃厚な流体である。完全な膨潤が達成された後(これには最少1時間を要するが、ミキサの性能に応じて4時間程度に長時間を要することもある)、10.0gのヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を上記混合物に混合すると共に、得られた混合物を精製水で100gにする。このように構成された系を好ましくは1500r.p.m.未満で作動する撹拌器によりホモゲナイズして、ゲル構造の形成を可能する。ホモゲナイズの時間は少なくとも30分間である。このようにして得られた透明ゲルを、施用しうる適する容器に充填する。
【0264】
このように生成されたゲル系の粘度を回転粘度計を用いて監視する一方、液晶は偏光顕微鏡により同定する。
【0265】
実施例2
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびゲストデン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例1に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で置換した。
【0266】
実施例3
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびエトノゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例1に記載したプロセスに従ったが、ただしゲストデンを0.05gのエトノゲストレルで置換した。
【0267】
実施例4
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびエトノゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例3に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムの代わりに10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液を使用した。
【0268】
実施例5
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびレボノルゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例1に記載したプロセスに従ったが、ただしゲストデンの代わりに0.05gのレボノルゲストレルを使用した。
【0269】
実施例6
ホルモン補充療法のためのエストラジオール−およびレボノルゲストレル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例5に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0270】
実施例7
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0271】
実施例8
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0272】
実施例9
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0273】
実施例10
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0274】
実施例11
エストラジオール 0.01g
ゲストデン 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0275】
実施例12
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0276】
実施例13
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0277】
実施例14
エストラジオール 0.10g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0278】
実施例15
エストラジオール 0.70g
ゲストデン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0279】
実施例16
エストラジオール 0.01g
ゲストデン 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0280】
実施例17
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0281】
実施例18
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0282】
実施例19
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0283】
実施例20
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0284】
実施例21
エストラジオール 0.01g
エトノゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0285】
実施例22
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0286】
実施例23
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0287】
実施例24
エストラジオール 0.10g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0288】
実施例25
エストラジオール 0.70g
エトノゲストレル 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0289】
実施例26
エストラジオール 0.01g
エトノゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0290】
実施例27
エストラジオール 0.10g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0291】
実施例28
エストラジオール 0.70g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0292】
実施例29
エストラジオール 0.01g
レボノルゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0293】
実施例30
エストラジオール 0.10g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0294】
実施例31
エストラジオール 0.70g
レボノルゲストレル 0.05g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0295】
実施例32
エストラジオール 0.01g
レボノルゲストレル 0.01g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0296】
実施例33
オンダンセトロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
医薬製造に適する化学的および微生物学的に綺麗なポットに、33.3gのタガットTO Vと16.7gのプロピレン−グリコールと1.0gのベンジルアルコールとを室温にて秤量して入れると共に、混合物を好ましくは1500r.p.m未満で作動するミキサにより5分間にわたり、この系ができるだけ空気を含まないよう確保すべくホモゲナイズする。非通気条件は低い攪拌速度および好ましくは減圧の印加の両者により確保することができる。各成分を混合する順序は変化させることができる。
【0297】
100%空気乾燥活性薬物含有量に調整すると共に1.2gのオンダンセトロンに相当する所要量を秤量して入れると共に、25.0gの水:エタノール4:1混合物に連続混合下で1500r.p.m.未満の速度にて溶解させる。溶解には約30分間を要する。
【0298】
この活性薬物溶液をタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に添加し、この混合物を1500r.p.m.未満にて少なくとも30分間にわたる攪拌によりホモゲナイズさせる。
【0299】
活性薬物溶液を含有する混合物、並びにタガットTO Vとプロピレン−グリコールとベンジルアルコールとの混合物に19.0gのイソプロピルミリステートを室温にて添加し、この混合物を1500r.p.m.未満にて少なくとも30分間の攪拌によりホモゲナイズさせる。
【0300】
上記プロセスに並行して、好ましくは1500r.p.m.未満で作動するミキサを用いてヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を作成する。このように得られた溶液は高粘度の濃厚流体である。完全な膨潤が達成された後(これには最少1時間を要するが、ミキサの性能に応じて4時間程度の長時間を要することもある)、10.0gのヒアルロン酸ナトリウムの1%水溶液を上記混合物に混合し、得られた混合物を精製水で100gにする。このように構成された系を好ましくは1500r.p.m.未満で作動する撹拌器によりホモゲナイズさせて、ゲル構造を形成させる。ホモゲナイズの時間は少なくとも30分間である。このように得られた透明ゲルを、施用しうるようにする適する容器に充填する。
【0301】
このように生成されたゲル系の粘度は回転粘度計により監視する一方、液晶は偏光顕微鏡により同定する。
【0302】
実施例34
オンダンセトロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムの代わりに10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液を使用する。
【0303】
実施例35
テルビナフィン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンの代わりに2.0gのテルビナフィンを使用する。
【0304】
実施例36
テルビナフィン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例35に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0305】
実施例37
フルコナゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを2.5gのフルコナゾールで代替した。
【0306】
実施例38
フルコナゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例37に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0307】
実施例39
メトロニダゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.9gのメトロニダゾールで代替した。
【0308】
実施例40
メトロニダゾール含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例39に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0309】
実施例41
フェンタニル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを1.0gのフェンタニルで代替した。
【0310】
実施例42
フェンタニル含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例41に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0311】
実施例43
ナンドロロン デカノエート含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを4.5gのナンドロロン デカノエートで代替した。
【0312】
実施例44
ナンドロロン デカノエート含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例43に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0313】
実施例45
ネストロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを2.0gのネストロンで代替した。
【0314】
実施例46
ネストロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例45に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0315】
実施例47
ノルエチステロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.5gのノルエチステロンで代替した。
【0316】
実施例48
ノルエチステロン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例47に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0317】
実施例49
エペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.8gのエペリソンで代替した。
【0318】
実施例50
エペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例49に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0319】
実施例51
トルペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを2.0gのトルペリソンで代替した。
【0320】
実施例52
トルペリソン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例51に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0321】
実施例53
ビンポセチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.6gのビンポセチンで代替した。
【0322】
実施例54
ビンポセチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例53に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0323】
実施例55
ケタミン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを1.0gのケタミンで代替した。
【0324】
実施例56
ケタミン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例55に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0325】
実施例57
ビンクリスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを1.0gのビンクリスチンで代替した。
【0326】
実施例58
ビンクリスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例57に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0327】
実施例59
ビンブラスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例33に記載したプロセスに従ったが、ただしオンダンセトロンを0.1gのビンブラスチンで代替した。
【0328】
実施例60
ビンブラスチン含有の液晶経皮ゲル医薬組成物の製造方法
実施例59に記載したプロセスに従ったが、ただしヒアルロン酸ナトリウムを10.0gのヒアルロン酸亜鉛錯体の1%水溶液で代替した。
【0329】
実施例61
オンダンセトロン 1.20g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0330】
実施例62
オンダンセトロン 1.20g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0331】
実施例63
テルビナフィン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0332】
実施例64
テルビナフィン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0333】
実施例65
フルコナゾール 2.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0334】
実施例66
フルコナゾール 2.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0335】
実施例67
メトロニダゾール 0.90g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0336】
実施例68
メトロニダゾール 0.90g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0337】
実施例69
フェンタニル 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0338】
実施例70
フェンタニル 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0339】
実施例71
ナンドロロン デカノエート 4.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0340】
実施例72
ナンドロロン デカノエート 4.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0341】
実施例73
ネストロン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0342】
実施例74
ネストロン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0343】
実施例75
ノルエチステロン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0344】
実施例76
ノルエチステロン 0.50g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0345】
実施例77
エペリソン 0.80g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0346】
実施例78
エペリソン 0.80g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0347】
実施例79
トルペリソン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0348】
実施例80
トルペリソン 2.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0349】
実施例81
ビンポセチン 0.60g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0350】
実施例82
ビンポセチン 0.60g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0351】
実施例83
ケタミン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0352】
実施例84
ケタミン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0353】
実施例85
ビンクリスチン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0354】
実施例86
ビンクリスチン 1.00g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0355】
実施例87
ビンブラスチン 0.10g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.10g
精製水を補充 100.0g
【0356】
実施例88
ビンブラスチン 0.10g
タガットTO V 33.30g
プロピレン−グリコール 16.70g
イソプロピルミリステート 19.00g
エタノール 5.00g
ベンジルアルコール 1.00g
ヒアルロン酸亜鉛錯体 0.10g
精製水を補充 100.0g
【図面の簡単な説明】
【0357】
【図1】液晶経皮ゲル医薬組成物における液晶領域を形成する各成分につき必要とされる濃度範囲を示す3成分相ダイヤグラムを示す。三角形の1辺は表面活性剤相の濃度を示し、他方の辺は油性相の濃度を示す一方、第3辺は水相の割合を示す。
【図2】ヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有しないゲル試料のx線回折図を示す。x軸は回折2θ角度(°)を示す一方、y軸は第2数値当たりのピーク強度を示す。
【図3】ヒアルロン酸−亜鉛錯体を含有するゲル試料のx線回折パターンを示す。x軸は回折2θ角度(°)を示す一方、y軸は第2数値当たりのピーク強度を示す。
【図4】高分子量のヒアルロン酸ナトリウムを含有するゲル試料のX線回折パターンを示す。x軸は回折2θ角度(°)を示す一方、y軸は第2数値当たりのピーク強度を示す。
【図5】ハンソン細胞検討にてエストラジオールおよびエトノゲストレルを活性薬物として含有する新鮮および2ヶ月のゲル試料におけるエストラジオールの放出およびエストラジオールの安定性を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エストラジオールの量(μg/cm2単位)を示す。
【図6】ハンソン細胞検討にて、エストラジオールおよびエトノゲストレルを活性薬物として含有する新鮮および2ヶ月のゲル試料におけるエトノゲストレルの放出およびエトノゲストレルの安定性を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エトノゲストレルの量(μg/cm2単位)を示す。
【図7】親水性膜でのハンソン細胞研究にてオンダンセトロンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのオンダンセトロンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出オンダンセトロンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図8】親水性膜でのハンソン細胞研究にてテルビナフィンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのテルビナフィンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出テルビナフィンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図9】親水性膜でのハンソン細胞研究にてメトロニダゾールを活性剤として含有する新鮮ゲル試料からのメトロニダゾールの放出を示す。x軸は経時的な試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出メトロニダゾールの量(μg/cm2単位)を示す。
【図10】親油性膜でのハンソン細胞研究にてメトロニダゾールを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのメトロニダゾールの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出メトロニダゾールの量(μg/cm2単位)を示す。
【図11】親水性膜でのハンソン細胞研究にてエペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのエペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図12】親油性膜でのハンソン細胞検討にてエペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのエペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出エペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図13】親水性膜でのハンソン細胞検討にてトルペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのトルペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点(hr)を示す一方、y軸は放出トルペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【図14】親油性膜でのハンソン細胞検討にてトルペリソンを活性薬物として含有する新鮮ゲル試料からのトルペリソンの放出を示す。x軸は試料採取時点を示す一方、y軸は放出トルペリソンの量(μg/cm2単位)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルはポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有することを特徴とする液晶ゲル。
【請求項2】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートの量がゲルの総重量の26.7〜40%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1に記載の液晶ゲル。
【請求項3】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートの量が好ましくはゲルの総重量の30〜35%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1に記載の液晶ゲル。
【請求項4】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートの量が特に好ましくはゲルの総重量の33.3%(w/w)であることを特徴とする請求項1に記載の液晶ゲル。
【請求項5】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量がゲルの総重量の13.3〜20%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項6】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量が好ましくはゲルの総重量の15〜18%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項7】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量が特に好ましくはゲルの総重量の16.7%(w/w)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項8】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートとプロピレン−グリコールとの比が2:1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項9】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるイソプロピル−ミリステートの量がゲルの総重量の5〜35%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項10】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるイソプロピル−ミリステートの量が好ましくはゲルの総重量の17〜20%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項11】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるイソプロピル−ミリステートの量が特に好ましくはゲルの総重量の19%(w/w)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項12】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ヒアルロン酸ナトリウムがヒアルロン酸塩として用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項13】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ヒアルロン酸亜鉛錯体がヒアルロン酸錯体として用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項14】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の量がゲルの総重量の0.01〜2%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項12〜13のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項15】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の量が好ましくはゲルの総重量の0.05〜0.15%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項12〜13のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項16】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の量が特に好ましくはゲルの総重量の0.1%(w/w)であることを特徴とする請求項12〜13のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項17】
組成物がエストロゲンおよびプロゲスチン成分、並びにポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルよりなることを特徴とする経皮医薬組成物。
【請求項18】
エストロゲン成分がエストラジオールであることを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
使用するエストラジオールの量が組成物の総重量の0.001〜0.7%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
プロゲスチン成分がゲストデンであることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
使用するゲストデンの量が組成物の総重量の0.001〜0.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
プロゲスチン成分がエトノゲストレルであることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
使用するエトノゲストレルの量が組成物の総重量の0.001〜0.7%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
プロゲスチン成分がレボノルゲストレルであることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
使用するレボノルゲストレルの量が組成物の総重量の0.001〜0.05%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
経皮ホルモン補充療法のための処置方法において、医薬組成物がエストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする経皮ホルモン補充療法のための処置方法。
【請求項27】
ホルモン補充療法を、
a)閉経後のエストロゲン欠損に基づく中庸〜重症の血管運動症候群、並びにホットフラッシュ、夜汗症および心悸亢進の治療のため;
b)閉経後のエストロゲン欠損に基づく尿生殖器アトロピー、膣乾燥、再発性膣炎、再発性膀胱炎。疼痛性交渉および失禁症の症候群の治療のため;
c)閉経後のエストロゲン欠損に基づく心的徴候群、並びに疲労、不安、パニック、興奮、昏睡、鬱症、気分障害、睡眠障害、記憶問題、精神集中困難症および性欲減少の処置のため;
d)一次卵巣不全症もしくは無精症に基づくエストロゲン欠損の処置のため;
e)有機変化なしかつ発育不全子宮内膜症を伴うホルモン障害に関連した月経困難症の処置のため;
f)閉経後の骨粗鬆症の予防のため;
g)子宮筋腫の寸法の減少のため、および閉経後の婦人における出血障害の処置のため;
h)不安定高血圧症における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
i)高トリグリセリド血症を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損症症候群の軽減のため;
j)血塞栓症の履歴を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
k)高アンドロゲン症候群(アンドロゲン型脱毛症、多毛症)を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
l)外科的閉経の早期術後期間における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
m)タイプ2型糖尿病を有する閉経後の婦人における閉経後エストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
n)口腔薬剤投与の副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
o)経皮パッチに関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
p)アルコール系経皮ゲルの使用に関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため
に施すことを特徴とする請求項26に記載の処置方法。
【請求項28】
組成物が1種もしくはそれ以上の活性薬物成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなることを特徴とする経皮医薬組成物。
【請求項29】
活性薬物成分がオンダンセトロンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
使用するオンダンセトロンの量が組成物の総重量の0.001〜1.2%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28または29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
活性薬物成分がテルビナフィンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
使用するテルビナフィンの量が組成物の総重量の0.001〜2.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
活性薬物成分がフルコナゾールであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項34】
使用するフルコナゾールの量が組成物の総重量の0.001〜2.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
活性薬物成分がメトロニダゾールであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項36】
使用するメトロニダゾールの量が組成物の総重量の0.001〜0.9%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
活性薬物成分がフェンタニルであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項38】
使用するフェンタニルの量が組成物の総重量の0.001〜1.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
活性薬物成分がナンドロロン デカノエートであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項40】
使用するナンドロロン デカノエートの量が組成物の総重量の0.001〜4.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
活性薬物成分がネストロンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項42】
使用するネストロンの量が組成物の総重量の0.001〜2.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
活性薬物成分がノルエチステロンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項44】
使用するノルエチステロンの量が組成物の総重量の0.001〜0.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
活性薬物成分がエペリソンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項46】
使用するエペリソンの量が組成物の総重量の0.001〜0.8%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および45のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
活性薬物成分がトルペリソンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項48】
使用するトルペリソンの量が組成物の総重量の0.001〜2.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
活性薬物成分がビンポセチンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項50】
使用するビンポセチンの量が組成物の総重量の0.001〜0.6%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
活性薬物成分がケタミンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項52】
使用するケタミンの量が組成物の総重量の0.001〜1.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
活性薬物成分がビンクリスチンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項54】
使用するビンクリスチンの量が組成物の総重量の0.001〜1.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
活性薬物成分がビンブラスチンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項56】
使用するビンブラスチンの量が組成物の総重量の0.001〜0.1%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および55のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
強力な催吐化学療法および外科的介入の際の経皮催吐防止療法の処置方法において、医薬組成物がオンダンセトロンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項58】
経皮抗真菌療法の処置方法において、医薬組成物がテルビナフィンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項59】
経皮抗真菌療法の処置方法において、医薬組成物がフルコナゾールとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項60】
嫌気性細菌およびトリコモナスに対する経皮抗真菌および抗生物質療法の処置方法において、医薬組成物がメトロニダゾールとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項61】
疫痛症候群および他の急性疫痛の経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がフェンタニルとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項62】
経皮ホルモン補充およびアナボリック療法のための処置方法において、医薬組成物がナンドロロン デカノエートとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項63】
経皮ホルモン補充およびアナボリック療法のための処置方法において、医薬組成物がネストロンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項64】
経皮ホルモン補充およびアナボリック療法のための処置方法において、医薬組成物がノルエチステロンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項65】
経皮筋肉弛緩療法のための処置方法において、医薬組成物がエペリソンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項66】
経皮筋肉弛緩療法のための処置方法において、医薬組成物がトルペリソンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項67】
脳代謝−および微小循環−改善経皮療法のための処置方法において、医薬組成物がビンポセチンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項68】
経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がケタミンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項69】
各種の疫痛症候群における神経末端破壊を介する経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がビンクリスチンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項70】
各種の疫痛症候群における神経末端破壊を介する経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がビンブラスチンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項1】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルはポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有することを特徴とする液晶ゲル。
【請求項2】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートの量がゲルの総重量の26.7〜40%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1に記載の液晶ゲル。
【請求項3】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートの量が好ましくはゲルの総重量の30〜35%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1に記載の液晶ゲル。
【請求項4】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートの量が特に好ましくはゲルの総重量の33.3%(w/w)であることを特徴とする請求項1に記載の液晶ゲル。
【請求項5】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量がゲルの総重量の13.3〜20%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項6】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量が好ましくはゲルの総重量の15〜18%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項7】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるプロピレン−グリコールの量が特に好ましくはゲルの総重量の16.7%(w/w)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項8】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエートとプロピレン−グリコールとの比が2:1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項9】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるイソプロピル−ミリステートの量がゲルの総重量の5〜35%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項10】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるイソプロピル−ミリステートの量が好ましくはゲルの総重量の17〜20%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項11】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルに添加されるイソプロピル−ミリステートの量が特に好ましくはゲルの総重量の19%(w/w)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項12】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ヒアルロン酸ナトリウムがヒアルロン酸塩として用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項13】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ヒアルロン酸亜鉛錯体がヒアルロン酸錯体として用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項14】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の量がゲルの総重量の0.01〜2%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項12〜13のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項15】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の量が好ましくはゲルの総重量の0.05〜0.15%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項12〜13のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項16】
経皮医薬組成物および治癒化粧品の製造に使用するための液晶ゲルにおいて、ゲルにおけるヒアルロン酸ナトリウムもしくはヒアルロン酸亜鉛錯体の量が特に好ましくはゲルの総重量の0.1%(w/w)であることを特徴とする請求項12〜13のいずれか一項に記載の液晶ゲル。
【請求項17】
組成物がエストロゲンおよびプロゲスチン成分、並びにポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルよりなることを特徴とする経皮医薬組成物。
【請求項18】
エストロゲン成分がエストラジオールであることを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
使用するエストラジオールの量が組成物の総重量の0.001〜0.7%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
プロゲスチン成分がゲストデンであることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
使用するゲストデンの量が組成物の総重量の0.001〜0.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
プロゲスチン成分がエトノゲストレルであることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
使用するエトノゲストレルの量が組成物の総重量の0.001〜0.7%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
プロゲスチン成分がレボノルゲストレルであることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
使用するレボノルゲストレルの量が組成物の総重量の0.001〜0.05%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
経皮ホルモン補充療法のための処置方法において、医薬組成物がエストロゲンおよびプロゲスチン成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする経皮ホルモン補充療法のための処置方法。
【請求項27】
ホルモン補充療法を、
a)閉経後のエストロゲン欠損に基づく中庸〜重症の血管運動症候群、並びにホットフラッシュ、夜汗症および心悸亢進の治療のため;
b)閉経後のエストロゲン欠損に基づく尿生殖器アトロピー、膣乾燥、再発性膣炎、再発性膀胱炎。疼痛性交渉および失禁症の症候群の治療のため;
c)閉経後のエストロゲン欠損に基づく心的徴候群、並びに疲労、不安、パニック、興奮、昏睡、鬱症、気分障害、睡眠障害、記憶問題、精神集中困難症および性欲減少の処置のため;
d)一次卵巣不全症もしくは無精症に基づくエストロゲン欠損の処置のため;
e)有機変化なしかつ発育不全子宮内膜症を伴うホルモン障害に関連した月経困難症の処置のため;
f)閉経後の骨粗鬆症の予防のため;
g)子宮筋腫の寸法の減少のため、および閉経後の婦人における出血障害の処置のため;
h)不安定高血圧症における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
i)高トリグリセリド血症を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損症症候群の軽減のため;
j)血塞栓症の履歴を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
k)高アンドロゲン症候群(アンドロゲン型脱毛症、多毛症)を有する婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
l)外科的閉経の早期術後期間における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
m)タイプ2型糖尿病を有する閉経後の婦人における閉経後エストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
n)口腔薬剤投与の副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
o)経皮パッチに関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため;
p)アルコール系経皮ゲルの使用に関連した副作用に耐え得ない婦人における閉経後のエストロゲン欠損の症候群の軽減のため
に施すことを特徴とする請求項26に記載の処置方法。
【請求項28】
組成物が1種もしくはそれ以上の活性薬物成分とポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなることを特徴とする経皮医薬組成物。
【請求項29】
活性薬物成分がオンダンセトロンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
使用するオンダンセトロンの量が組成物の総重量の0.001〜1.2%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28または29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
活性薬物成分がテルビナフィンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
使用するテルビナフィンの量が組成物の総重量の0.001〜2.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
活性薬物成分がフルコナゾールであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項34】
使用するフルコナゾールの量が組成物の総重量の0.001〜2.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
活性薬物成分がメトロニダゾールであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項36】
使用するメトロニダゾールの量が組成物の総重量の0.001〜0.9%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
活性薬物成分がフェンタニルであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項38】
使用するフェンタニルの量が組成物の総重量の0.001〜1.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
活性薬物成分がナンドロロン デカノエートであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項40】
使用するナンドロロン デカノエートの量が組成物の総重量の0.001〜4.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
活性薬物成分がネストロンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項42】
使用するネストロンの量が組成物の総重量の0.001〜2.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
活性薬物成分がノルエチステロンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項44】
使用するノルエチステロンの量が組成物の総重量の0.001〜0.5%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
活性薬物成分がエペリソンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項46】
使用するエペリソンの量が組成物の総重量の0.001〜0.8%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および45のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
活性薬物成分がトルペリソンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項48】
使用するトルペリソンの量が組成物の総重量の0.001〜2.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
活性薬物成分がビンポセチンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項50】
使用するビンポセチンの量が組成物の総重量の0.001〜0.6%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
活性薬物成分がケタミンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項52】
使用するケタミンの量が組成物の総重量の0.001〜1.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
活性薬物成分がビンクリスチンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項54】
使用するビンクリスチンの量が組成物の総重量の0.001〜1.0%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
活性薬物成分がビンブラスチンであることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項56】
使用するビンブラスチンの量が組成物の総重量の0.001〜0.1%(w/w)の範囲で変化することを特徴とする請求項28および55のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
強力な催吐化学療法および外科的介入の際の経皮催吐防止療法の処置方法において、医薬組成物がオンダンセトロンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項58】
経皮抗真菌療法の処置方法において、医薬組成物がテルビナフィンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項59】
経皮抗真菌療法の処置方法において、医薬組成物がフルコナゾールとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項60】
嫌気性細菌およびトリコモナスに対する経皮抗真菌および抗生物質療法の処置方法において、医薬組成物がメトロニダゾールとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項61】
疫痛症候群および他の急性疫痛の経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がフェンタニルとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項62】
経皮ホルモン補充およびアナボリック療法のための処置方法において、医薬組成物がナンドロロン デカノエートとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項63】
経皮ホルモン補充およびアナボリック療法のための処置方法において、医薬組成物がネストロンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項64】
経皮ホルモン補充およびアナボリック療法のための処置方法において、医薬組成物がノルエチステロンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項65】
経皮筋肉弛緩療法のための処置方法において、医薬組成物がエペリソンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項66】
経皮筋肉弛緩療法のための処置方法において、医薬組成物がトルペリソンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項67】
脳代謝−および微小循環−改善経皮療法のための処置方法において、医薬組成物がビンポセチンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項68】
経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がケタミンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項69】
各種の疫痛症候群における神経末端破壊を介する経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がビンクリスチンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【請求項70】
各種の疫痛症候群における神経末端破壊を介する経皮鎮痛療法のための処置方法において、医薬組成物がビンブラスチンとポリオキシエチレン−グリセリル−トリオレエート、プロピレン−グリコール、イソプロピル−ミリステートおよびヒアルロン酸塩もしくは錯体を含有する液晶ゲルとよりなり、これを処置すべき表面に施すことを特徴とする処置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−508287(P2007−508287A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530614(P2006−530614)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/HU2004/000092
【国際公開番号】WO2005/032514
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ベジェセティ ジャール アール.テー. (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/HU2004/000092
【国際公開番号】WO2005/032514
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ベジェセティ ジャール アール.テー. (33)
【Fターム(参考)】
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