説明

経皮吸収型製剤

【課題】 皮膚からの吸収性の低い、膀胱に選択的なムスカリン受容体M3及びM1拮抗作用を有する4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミド(KRP−197)を、皮膚から持続的かつ効率良く体内へ吸収させることにより、副作用発現が少なく持続的な有効性が得られ、しかも皮膚刺激性の低い経皮吸収型製剤を提供する。
【解決手段】 KRP−197と外用剤基剤からなる組成物を、経皮吸収製剤構造形成体に展延・乾燥、あるいは貯留し、粘着単層型経皮吸収製剤或いはリザーバー型経皮吸収製剤とすることにより、KRP−197の皮膚透過性及び持続的な体内吸収性に優れ、かつ皮膚刺激性の低い製剤が提供された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膀胱に選択的なムスカリン受容体M3及びM1拮抗作用を有する過活動膀胱患者における頻尿・尿失禁治療薬である、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミド(以下、KRP−197と略す)を有効成分として含有する経皮吸収製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
KRP−197は選択的ムスカリン受容体M3及びM1拮抗作用を有する新規化合物であり(特許文献1)、頻尿・尿失禁治療薬として有望である(非特許文献1)。
【0003】
KRP−197を臨床適用するに当たっては、既に市販されている頻尿・尿失禁治療薬の剤形と同様に、KRP−197を含有する経口固形製剤(錠剤)が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−15943号公報
【特許文献2】WO01/34147 A1パンフレット
【非特許文献1】Bioorg.Med.Chem.,1999,7,1151−1161.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、医療の高度化に伴う人口の高齢化が進んでおり、社会に様々な影響を及ぼしている。例えば、寝たきりや痴呆等の介護が必要な高齢者の約半数が頻尿・尿失禁を起こすとも言われている。さらに将来的には、頻尿・尿失禁患者数の増大及び患者層の変化が生じるものと予想される。例えば、頻尿・尿失禁は脳梗塞及び脳出血等の脳血管障害、脳脊髄外傷または各種腫瘍手術後の長期寝たきり患者によく起こる。またこれらの高齢者は嚥下困難な場合も多く、一定時間毎に服用する経口剤は、施薬が困難な場合が多い。また、経口投与は肝臓への薬物暴露量が増加し、最高血中濃度も上昇するため副作用発現率が増加する。よって、経口投与が困難な患者の生活の質的向上を図る観点から、より患者指向性の高い非経口型製剤が望まれている。
【0005】
非経口型製剤として考えられる剤形としては、注射剤や外用剤(液剤、軟膏剤、貼付剤、注入剤)が挙げられる。注射剤の特徴として、即効性は期待される反面、他の剤形に比べ医療関係者による十分な用法及び用量の管理が必要であり、在宅医療が困難、投薬に痛みを伴う、投与後薬物の除去が不能等、患者への負担は大きい。一方、外用剤の特徴としては、在宅医療が可能、投薬に痛みを伴わない、投薬後の薬物の除去が可能等、注射剤に比べれば、患者への負担は軽減されメリットもある。しかし、投薬が患者本人或いは介護者に委ねられ、用法及び用量の管理が低下し薬剤の適正使用率の低下を招く危険性があること、また貼付剤においては皮膚のかぶれ等、改善すべき課題が未だ残されている。よって、注射剤や一般的に考えられる外用剤は、幅広い年齢層の患者や介護者に受け入れられる剤形として満足のいくものではない。
【0006】
近年、治療の最適化を目的とした薬物送達システムすなわちドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System)の概念から、上述した外用剤の課題を打破し、かつ従来の外用剤とは一線を画する機能、つまり従来の外用剤の特徴の他に、薬物の効果の持続化及び副作用の低減化機能を有する経皮吸収製剤が注目され、数多くの研究が行われている。詳しくは、効果的な薬物投与経路として非経口型投与経路、特に軟膏剤や貼付剤に代表される経皮投与システム(Transdermal Drug Delivery System)が注目されている。これは薬物が皮下毛細血管内に直接入るため、肝初回通過効果がなく、殆ど代謝・分解を受けることなく静脈、心臓を経て目的部位に到達するため、薬物の生物学的利用率が高くなる。よって、薬物量も比較的少量で足り、薬物の徐放化方法として有効なシステムである。また、経口剤や注射剤の場合の一時的に高い薬物血中濃度のために起こる副作用が回避できること、皮膚から徐々に持続的に吸収させることができるため経口剤よりも投与回数が少なくて済むこと、さらに副作用が発生した場合に直ちに適用を中断できること等の利点を有する投与経路と考えられている。
【0007】
しかし、皮膚のバリヤー機能により、概して薬物の経皮吸収性は乏しく、実用的な貼付面積で薬効発現に必要な薬物量を皮膚から送達することは困難なことが多い。また親水性薬物や塩である薬物は、それ自体の極性が大きく、皮膚からの吸収は困難であることがよく知られている。薬物の経皮吸収において最も大きなバリヤーは、細胞外脂質領域によって分離された小さな角質化細胞残存物の複雑構造である角質層であり、口または胃の粘膜と比較して、はるかに薬物の透過性は低い。
【0008】
これらの問題を解決するために種々検討がなされている。例えば、経皮投与システム内で薬物の濃度を増加させて皮膚への薬物分配量を増加させる方法、水分透過率の低い材料を用いて汗や水分の放出を遮断して皮膚を水化させる方法、皮膚の外部物質に対する障壁機能を低下させる経皮吸収促進剤等を用いる方法、または超音波や電流等を利用する方法が挙げられる。現在までに、例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、エストラジオール、スコポラミン、クロニジン、ニコチン、テストステロン、フェンタニル、及びツロブテロール等の経皮投与システムを利用した製剤等が開発され市販されている。
【0009】
この様な実体から、頻尿・尿失禁の治療薬においても経皮投与型製剤が期待されており、ムスカリン受容体拮抗薬においても長期間持続的に血中濃度を維持する製剤が望まれている。近年、これらの経皮吸収性外用剤についても提案されているが、尚、経皮吸収剤型製剤の使用において安定性、持続性、効果、接着性、違和感、皮膚刺激性等問題点も多い。
【0010】
一方、頻尿・尿失禁治療薬として用いられているムスカリン受容体拮抗薬は、一般的に副作用として、口渇、便秘、腹痛、排尿困難、尿閉、散瞳らが発現し、臨床上大きな問題となっている。これらを改良する目的で、膀胱選択的ムスカリン受容体M3及びM1選択的拮抗薬であるKRP−197が見出され、過活動膀胱患者の頻尿・尿失禁を対象に検討されている。しかし経口投与の場合、一時的な血中濃度の上昇によりなお副作用が発現する可能性がある。よって、安定した持続的な血中濃度を得るために、経皮投与システムが考えられる。しかし、KRP−197の経皮吸収製剤への適用を考えた場合においても、KRP−197単独での皮膚からの吸収性は非常に低く、薬効発現に十分な血中濃度を確保するのは困難であった。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、その目的はムスカリン受容体拮抗薬、特にKRP−197を、安定的に、持続的かつ効率良く体内へ吸収させることができ、しかも皮膚刺激性が少なく、更に充分な薬理学的効果を有する優れた経皮吸収製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上述した目的を達成すべく鋭意検討した結果、ムスカリン受容体拮抗薬を有効成分とし、外用剤基剤及び経皮吸収製剤構造形成体からなることを特徴とする経皮吸収型製剤とすることにより、本目的を達することを見出し、本発明を完成した。
【0013】
また、言い換えれば、発明者らは、上述した目的を達成すべく鋭意検討した結果、KRP−197と外用剤基剤を含有する混合物を、経皮吸収製剤構造形成体に展延・乾燥あるいは貯留し、粘着単層型経皮吸収製剤或いはリザーバー型経皮吸収製剤とすることにより、KRP−197の皮膚透過性及び持続的な体内吸収性に優れ、かつ皮膚刺激性が低い性能を有することを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)ムスカリン受容体拮抗薬と外用剤基剤を含有することを特徴とする経皮吸収型製剤、
(2)ムスカリン受容体拮抗薬が、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミド、(+)−(R)−2−[α−[2−(ジイソプロピルアミノ)エチル]ベンゾイル]−p−クレゾール酒石酸塩、(S)−1−[2−(2,3−ジヒドロ−5−ベンゾフラニル)エチル]−α,α−ジフェニル−3−ピロリジンアセトアミド臭化水素酸塩、(+)−(1S,3’R)−キヌクリジン−3’−イル−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボキシラートコハク酸塩、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル(±)−α−シクロヘキシル−α−フェニルグリコレート塩酸塩、1−メチル−4−ピペリジル−α,α−ジフェニル−α−n−プロポキシアセテート塩酸塩、(±)−N−t−ブチル−1−メチル−3,3−ジフェニルプロピルアミン塩酸塩及び2−ピペリジノエチル−3−メチル−4−オキソ−2−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−8−カルボキシレートから選択される1種または2種以上である(1)に記載の製剤、
(3)ムスカリン受容体拮抗薬が、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドである(2)に記載の製剤、
(4)過活動膀胱患者に対する頻尿・尿失禁、喘息、慢性気道閉塞性疾患及び過敏性腸症候群から選ばれる疾患の予防及び治療剤である(1)に記載の製剤、
(5)疾患が過活動膀胱患者に対する頻尿・尿失禁である(4)に記載の製剤、
(6)形態が貼付剤である(1)に記載の製剤、
(7)粘着単層型またはリザーバー型経皮吸収型製剤である(6)に記載の製剤、
(8)溶解型の4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドのみを有効成分として含有する(7)に記載の製剤、
(9)溶解型及び非溶解型の4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドを有効成分として含有する(7)に記載の製剤、
(10)外用剤基剤が、両親媒性溶解助剤、懸濁性基剤、軟化剤、乳化剤、緩衝剤、経皮透過促進剤、粘着剤、粘着増強剤、接着剤、皮膚刺激緩和剤及び添加剤からなる群より選ばれる単独、或いは2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする(1)に記載の製剤、
(11)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドを有効成分とし、外用剤基剤及び経皮吸収製剤構造形成体からなることを特徴とする(1)に記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤、
(12)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドと外用剤基剤単独或いは2種以上を組み合わせることにより形成した粘着性を有する粘着層と、支持体及び剥離ライナーからなる経皮吸収製剤構造形成体より構成されることを特徴とする粘着単層型の(11)記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤、
(13)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドと外用剤基剤単独或いは2種以上を組み合わせたものからなる混合物と、薬物透過制御膜、粘着層、支持体及び剥離ライナーからなる経皮吸収製剤構造形成体より構成されることを特徴とするリザーバー型の(11)記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤、
(14)外用剤基剤が、水溶性高分子化合物、脂溶性高分子化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、動植物性油脂、アルコール類、テルペン系化合物及び水からなる群より選ばれる単独、或いは2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする(11)〜(13)のいずれか1つに記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤、に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、皮膚からの吸収性が低いムスカリン受容体拮抗薬、特にKRP−197を、皮膚から持続的かつ効率良く安定的に体内へ吸収させることができ、しかも皮膚刺激性の低い経皮吸収型治療製剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】粘着単層型経皮吸収製剤の一例の断面図
【図2】リザーバー型経皮吸収製剤の一例の断面図
【図3】各種製剤に配合されたKRP−197のin vitro皮膚透過実験模式図であり、(a)は実施例1〜4の粘着単層型経皮吸収製剤を、(b)実施例5を、(c)は比較例1を示す。
【図4】実施例1及び実施例6を雄性ヘアレスラットに適用した時の血清中KRP−197の濃度推移を示すグラフ
【符号の説明】
【0017】
1 支持体
2 粘着層
3 剥離ライナー
4 リザーバー内容物
5 粘着層(薬物透過制御膜としての機能も有する)
6 粘着単層型経皮吸収製剤
7 雄性ヘアレスラットの腹部摘出除毛皮膚
8 角質層側セル内のKRP−197分散液
9 薬物透過制御膜
10 角質層側セル内のKRP−197単独の皮膚透過性評価用試料液
11 真皮層側セル内の1%硫酸ゲンタマイシン含有リン酸緩衝液(pH7.4)
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の経皮吸収型治療剤の有効成分であるKRP−197とは、膀胱に選択的であり、かつムスカリン受容体M3及びM1に対して選択的に拮抗する作用を有する頻尿・尿失禁治療薬である、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドである。
【0019】
本発明の経皮吸収製剤の有効成分として用いられているKRP−197は、遊離型又はその医学的に許容しうる塩共に使用できる。その配合量は、経皮投与製剤として薬理学的に要求される有効量であればよい。特に、有効成分の配合量は経皮投与製剤形態や、その経皮投与製剤に用いられる外用剤基剤やそれらの配合量等によっても異なるが、処方固形分中の重量比として、約0.01〜約10重量%が好適である。
【0020】
本発明に用いる経皮吸収製剤の外用剤基剤とは、外用剤の基剤として用いられるものであれば特に限定されないが、例えば水溶性高分子化合物(ポリアクリル酸及びその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、ポリエチレングリコール、アラビアゴム、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、天然多糖類等)、脂溶性高分子化合物(天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、スチレンイソブチレンブロック共重合体、スチレンブタジエン共重合体、シリコーン、ラノリン、ワセリン、プラスティベース、蜜蝋、鯨蝋、固形パラフィン等)、脂肪酸及びその誘導体(炭素原子数3〜40の脂肪酸、その脂肪酸エステル、またはその脂肪酸アルカリ金属塩)、動植物性油脂(オリーブ油、ハッカ油、ダイズ油、綿実油、トウモロコシ油、ユーカリ油、ヒマシ油、ゴマ油、アーモンド油、ツバキ油、パーシック油、ミンク油、サフラワー油、ヤシ油等)、アルコール類(炭素原子数1〜40を有し、且つ分子中に水酸基1〜10個を有するアルコール類、例えば、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オクタンジオール、ブタンジオール、D−ソルビット等)、テルペン系化合物(メントール、メントン、リモネン、ピネン、ピペリトン、テリピネン、テルピノレン、テルピノール、カルベオール等)、界面活性剤(非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤)及び水であり、それぞれ単独、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
さらに、外用剤基剤としては、両親媒性溶解助剤、懸濁性基剤、軟化剤、乳化剤、緩衝剤、経皮透過促進剤、粘着剤、粘着増強剤、接着剤、皮膚刺激緩和剤及び添加剤からなる群より選ばれる基剤を、それぞれ単独、或いは2種以上を組み合わせて、または前記した外用剤基剤と組み合わせて使用することもできる。
【0022】
両親媒性溶解助剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、L−メントール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、高級脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル等)、ラウリン酸ジエタノールアミド、クエン酸トリエチル、ジメチルイミダゾリジノン、グリセリン脂肪酸エステル(親油型モノオレイン酸グリセリン等)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等)、ポリオキシエチレンアルキルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、リン酸ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ラウロマクロゴール等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール2000、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、ポリビニルアルコール、ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、モノ脂肪酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、エトキシグリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール400、メタノール、アセトン、酢酸エチル、乳酸エチル、トリアセチン、パントテニールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパンジオール、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、ドデシルスルフォキシド、ゲラニオール変性アルコール、8−アセチル蔗糖変性アルコール、リナリールアセテート変性アルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール、ベンジルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、グリセリン、高級アルコール(ラウリルアルコール、イソプロパノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール等)、ゲラニオール、ジエチレングリコール、エトキシジグリコール、ジイソプロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノカプレート(S−218)、炭酸プロピレン、チオグリコール酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、氷酢酸、乳酸、酪酸、クエン酸、塩酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ヨウ化カリウム、脂肪酸(カプリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ミリスチン酸、オレイン酸等)イクタモール、安息香酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジルエステル、二塩基酸ジエステル類(セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル等)、ナタネ油、大豆油、大豆レシチン、D−マンニトール、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、チオ硫酸ナトリウム、中鎖脂肪酸トリグリセリド、β−シクロデキストリン、流動パラフィンが挙げられる。
【0023】
懸濁性基剤としては、例えば、エタノール、ステアリルアルコール、セタノール、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール600、マクロゴール1500等)、セトマクロゴール1000、グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、等)、高級脂肪酸エステル類(ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、グリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル等)、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、トリオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80等)、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、マクロゴール6000、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、ポビドン、メチレン−β−ナフタリンスルホン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、液状炭化水素類(流動パラフィン等)、動植物油(アーモンド油、ツバキ油、パーシック油、ミンク油、サフラワー油、ヤシ油、ユーカリ油、大豆油、ごま油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ヒマシ油、落花生油、小麦胚芽油等)、大豆レシチン、ミツロウ、サラシミツロウ、硬化油、スクワラン、スクワレン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、アラビアゴム、アラビアゴム末、キサンタンガム、ペクチン、ベントナイト、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、塩化ナトリム、塩化ベンザルコニウム、カオリン、カラギーナンカルナウバロウ、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、リン酸が挙げられる。
【0024】
軟化剤としては、例えば、アラントイン、アルモンド油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油・大豆油混合物、プロセス油、牛脂、プロピレングリコール、ポリブテン、グリセリン、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、結晶セルロース、マクロゴール1500、スクワラン、スクワレン、精製ラノリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、モノステアリン酸グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、生ゴム、乳酸セチル、ノニル酸ワニリルアミド、ハイシスポリイソプレンゴムが挙げられる。
【0025】
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノオレイン酸グリセリン、親油型モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸グリセリン・ジオレイン酸グリセリン・プロピレングリコール混合乳化剤等)、
ソルビタン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、セトマクロゴール1000、マクロゴール20000、マクロゴール300、マクロゴール400、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラノリン、ラウロマクロゴール、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(1)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、プロピレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、蔗糖脂肪酸エステル、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、液状炭化水素類(流動パラフィン、パラフィン等)、動物油、植物油、ミネラル油、綿実油・大豆油混合物、卵黄油、卵黄リン脂質、炭化水素、脂肪酸(ステアリン酸等)、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル45、ステアリン酸ポリオキシル55、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、高級アルコールシリコンオイル、ミツロウ、サラシミツロウ、パラフィンワックス、鯨ロウ、スクワラン、スクワレン、カラギーナン、カリ石ケン、薬用石ケン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、還元ラノリン、硫酸化ヒマシ油カリウム塩・アルキルベンゼンスルホン酸塩混合物、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、セバシン酸ジエチル、エタノール、グリセリン、セタノール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール・ポリオキシエチレンステアリルエーテル混合物、セタノール・ポリオキシエチレンセチルエーテル混合ワックス、セタノール・ポリソルベート60混合ワックス、セタノール・モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン混合ワックス、セトステアリルアルコール・セトステアリル硫酸ナトリウム混合物、ペンタエリスチルクエン酸高級脂肪酸エステル・ミツロウ・ノニオン乳化剤混合物、リン酸ジセチル、N−ラルロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、アンソッコウチンキ、中鎖脂肪酸トリグリセリド、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、精製ラノリン、タルク、セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、水素添加大豆リン脂質、部分水素廉価大豆リン脂質、水素添加ラノリンアルコール、ペクチンが挙げられる。
【0026】
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸、dl−リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、乳酸ナトリウム液、ホウ酸、ホウ砂、酢酸、氷酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、無水リン酸−水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、第一、第二または第三リン酸塩(第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、無水リン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム等)、メタリン酸ナトリウム、ε−アミノカプロン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、アミノ酸もしくはそのアミノ酸の塩(グリシン、L−アルギニン等)、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、塩酸トリエタノールアミン、トリエタノールアミンリン酸エステルナトリウム液、クロロブタノール、ブドウ糖、ローズ油が挙げられる。
【0027】
経皮透過促進剤としては、例えば、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、クロタミトン、尿素、エタノール、デシルメチルスルホキシド、天然精油、テルペン油(ハッカ油、オレンジ油、テレビン油、L−メントール、d−リモネン、メントン、ピネン、ピペリトン、テルピネン、テルピノレン、テルピノール、カルベオール等)、脂肪酸エステル(グリセリルモノラウレート、グリセリルモノオレエート、乳酸セチル、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノオレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等)、二塩基酸ジエステル類(ジエチルセバケート、アジピン酸ジイソプロピル等)、アザシクロアルカン類(エイゾン、1−(2−(デシルチオ)エチル)アザシクロペンタン−2−オン等)、脂肪酸もしくは脂肪族アルコール類(オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイルアルコール、イソプロパノール、ラウリルアルコール等)、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、ラウリルジエタノールアミド、イソプロピルミリステート、N−ヒドロキシメチルラクテート、ソルビトール、スクワレン等が挙げられる。
【0028】
粘着剤または粘着増強剤としては、例えば、天然ゴム、生ゴム、RSSNo.1生ゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シスポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ハイシスポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、シリコンゴム、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、アクリル系共重合体((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体溶液、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチルコポリマー、アクリル酸シルクフィブロイン共重合樹脂、アクリル樹脂アルカノールアミン液等)、ポリブテン、マレイン化ロジングリセリンエステル、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、高級水性高分子(アクリル酸デンプン等)、親水性高分子(ポリアクリル酸、ポリアクリル酸水溶液、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910等)、マクロゴール400、マクロゴール6000、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、ザンタンガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアノガラクタン、ヒアルロン酸ナトリウム等)、ロジン、超淡色系ロジン誘導体、水素添加ロジングリセリンエステル、プロピレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエン、グリセリン、グルコノ−δ−ラクトン、アラビアゴム、アラビアゴム末、エステルガム、ダンマルゴム、加水ラノリン、ゼラチン、デキストリン、カゼインナトリウム、コロジオン、トラガント、トラガント末、コムギデンプン、白色ワセリン、ワセリン・ラノリンアルコール混合物、カルナウバロウ、水アメ、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸、トウモロコシ油、ヒマシ油、硫酸化ヒマシ油カリウム塩・アルキルベンゼンスルホン酸塩混合物、酢酸ベンジル、タルク、ポリイソブチレンが挙げられる。
【0029】
接着剤としては、架橋及び非架橋のアクリル系コポリマー、ビニルアセテート接着剤、ポリイソブチレン、メオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンビニルアセテートコポリマー、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミドコポリマー、スチレンゴムブロックコポリマーが挙げられる。
【0030】
皮膚刺激緩和剤としては、グリセリン、クロタミトン等が挙げられる。
【0031】
さらなる添加剤としては、例えば、泥状化剤(ゼラチン等);粉末賦形剤(カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛等);石油樹脂(クイントン、アルコン等);D−ソルビトール;D−ソルビトール液;白糖;界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(ステアリン酸ポリオキシル40等)、ソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、蔗糖脂肪酸エステル、マクロゴール400、ラウロマクロゴール、リン酸ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、リン酸ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、アルキルアリルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリルアルコール、二塩基酸ジエステル類(セバシン酸ジエチル等)、スクワラン、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステルDL−ピロリドンカルボン酸塩、N−ココイル−N−メチルアミノエチルスルホン酸ナトリウム、セタノール、セトマクロゴール1000、ラウリル硫酸ナトリウム;防腐剤及び/または酸化防止剤(パラベン類(メチルパラベン等)、ソルビン酸またはその塩類、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ノルジヒドロキシグアイアレチン酸、グアヤコールエステル類、1,3−ブチレングリコール、デヒドロ酢酸ナトリウム等)、三価金属イオンを生成する塩(塩化アルミニウム、ミョウバン、アルミニウムアラントイネート等);保湿剤(アルカリ土類金属類(塩化マグネシウム等)、尿素、グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム等);着香料(ハッカ油、オレンジ油、カミツレ油、スペアミント油、チョウジ油、テレビン油、パインオイル、ハッカ水、ヒマラヤスギ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ水、ローズ油、ローマカミツレ油、ペルーバルサム、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、dl−メントール、1−メントール、ゲラニオール、サリチル酸メチル、シンナムアルデヒド、ピペロナール等);溶剤(有機溶媒(メタノール、エタノール、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、イソプロパノール、ジエチルエーテル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、メタノール変性アルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等)、塩酸、水、生理食塩水、含水エタノール、不飽和脂肪酸(オレイン酸等)、合成スクワラン、ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、石油ベンジン、トリクロロエタン、8−アセチル蔗糖変性アルコール等)が挙げられる。
【0032】
また、経皮吸収製剤、特に貼付剤において薬物の良好な皮膚移行性を得るためには、確実に貼付剤を皮膚面に固定する必要がある。しかし皮膚接着性が大きすぎると、使用後の剥離除去時に物理的刺激により角質剥離を伴い、皮膚刺激性が生じる。そのため本発明においては、貼付剤の皮膚密着性を高め、物理的皮膚刺激性を低減する方法として、油性ゲル粘着技術等を用いてもよい。油性ゲル粘着技術には、易剥離性吸着剤、皮膚面固定用粘着層を形成する粘着剤および液状成分等が用いられる。易剥離性吸着剤としては、例えば、架橋アクリル系粘着ポリマー、エチレン−酢酸−ビニル共重合体、またはエチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられ、皮膚面固定用粘着層を形成する粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ビニルエーテル系等が挙げられ、液状成分としては、例えば脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0033】
本発明の経皮吸収製剤は、KRP−197と外用剤基剤を含有することを特徴とする貼付剤、より詳しくは粘着単層型経皮吸収製剤またはリザーバー型経皮吸収製剤である。
【0034】
本発明の粘着単層型の経皮吸収型治療製剤は、有効成分であるKRP−197と、先述した外用剤基剤から選ばれる基剤を単独或いは2種以上を組み合わせることにより形成した粘着性を有する粘着層、支持体と粘着層を保護する剥離ライナーからなる経皮吸収製剤構造形成体より構成される(以下、「粘着単層型経皮吸収製剤」と呼ぶ)。粘着単層型経皮吸収製剤の一実施態様を断面図により図1に示した。
【0035】
粘着単層型経皮吸収製剤の構造形成体を構成する支持体は特に限定されないが、皮膚面に貼付した際に著しく違和感を生じない程度に柔軟性を有するものが好ましく、例えば、プラスチックフィルム(ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)、金属箔(アルミニウム箔等)、不織布、綿布、織布、紙等からなる単層フィルムやこれらの積層フィルムが使用できる。剥離ライナーは特に限定されないが、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等で剥離処理を施した紙やプラスチックフィルムなどを使用できる。
【0036】
また、本発明には、前記KRP−197及び外用剤基剤からなる粘着層に実質的に溶解型KRP−197のみを、及び溶解型及び非溶解型KRP−197を有効成分として含有する粘着単層型経皮吸収製剤が含まれる。
【0037】
一般的に、非溶解型状態の薬物は経皮吸収に関与しないが、粘着層中の溶解型薬物の含有量が多いほど、速く経皮吸収される薬物量も多くなり、長時間薬効を持続させることが可能になる。言い換えれば、薬理作用の持続時間は、外用剤基剤に対する薬物の飽和溶解度によって制限されることになる。しかし薬物の溶解度が低い外用剤基剤の場合は、薬物の持続時間や安定した有効血中濃度の持続が充分でないこともある。良好な薬効の持続性を得るためには、さらに溶解度の高い粘着層を使用するか、薬物を溶解させた粘着層を厚くするか、薬物の含有率を高めるか、皮膚面に接する粘着層の面積を大きくするかなどの手段により投与量を増大させる。しかし、これらの方法は、違和感、接着性、皮膚刺激性、経済性等に問題点も多い。
【0038】
粘着層中の溶解型薬物の濃度は、経皮吸収速度に直接的に影響を与え、皮膚へ吸収されることにより減少する。使用する粘着層に対する飽和溶解度を超える過剰な薬物は、非溶解型薬物として粘着層中に分散されるので、粘着層中に含有される溶解型薬物の量は、使用する外用剤基剤により決定される。
【0039】
一方、非溶解型薬物は粘着層中に溶解した薬物が皮膚に吸収されて減少した溶解型薬物を粘着層中に供給し、補う機能を持つ。その結果、長時間にわたり高い経皮吸収速度が保持され、有効血中濃度が長時間維持される。
【0040】
従って、本発明によると薬物の飽和溶解度の高い粘着層を選択して、実質的に溶解型KRP−197のみを有効成分として含有する製剤を作製するか、または溶解型及び非溶解型KRP−197を有効成分として含有する製剤により、経皮吸収性、安定した血中動態パターン、薬効持続性が良好な粘着単層型経皮吸収製剤を提供することができる。
【0041】
本発明において、溶解型KRP−197とは、KRP−197が溶解状態で存在することであり、詳しくは粘着層中にKRP−197の結晶が目視または光学顕微鏡で観察されず、粘着層が均一であることである。また、高濃度でも薬物が析出することなく、粘着層中に完全に溶解された状態で薬物を保持できることが好ましい。これにより、投与初期における経皮吸収速度に優れ、有効血中濃度を長時間維持することができる。溶解型KRP−197は、粘着層重量中、約0.01重量%以上、好ましくは約1重量%以上含まれる。
【0042】
粘着層中の外用剤基剤のうち粘着剤としては、KRP−197が溶解し、その溶解性が粘着層重量中、約0.01重量%以上となるものであれば限定されない。より好ましくは、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤が用いられる。また、アクリル系粘着剤には、無溶媒型、エマルション型、及び溶剤型等がある。アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体からなり、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、あるいはこれらの共重合体が挙げられる。さらに、高濃度のKRP−197を溶解型で保持するために、好ましくは添加剤が用いられる。添加剤は粘着剤との相溶性に優れ、KRP−197を充分に溶解し、経時的に粘着剤と添加剤と分離しないものであれば限定されない。
【0043】
また、溶解型KRP−197を含有する粘着層への添加物としては、薬物の溶解度が充分であり、かつ粘着層中添加物の官能基とイオン結合などにより薬物がトラップされる等の悪影響を及ぼさないことが必要である。
【0044】
本発明において、溶解型及び非溶解型KRP−197とは、KRP−197の溶解状態と非溶解状態、詳しくは溶解状態と結晶状態または非結晶状態が混在することである。溶解型による速やかな吸収による粘着層中のKRP−197の減少を補うべく、非溶解型KRP−197の再溶解が速やかに起こり、溶解したKRP−197の吸収により薬効持続性が保持される。粘着層中の全KRP−197の消失速度に対する、非溶解型KRP−197の消失速度の比は、好ましくは約0.1以上である。消失速度の比が少ない場合には、溶解型薬物の減少に対する非溶解型薬物の再溶解が不充分となるので、薬効の持続性は良くない。
【0045】
また、粘着層中における溶解型KRP−197に対する非溶解型KRP−197の含量比は、約0.1以上が好ましい。含量比が少ない場合は、充分に薬効が持続せず、また含量比が10を越える多い場合には、粘着層表面に多量の非溶解型KRP−197が析出するので、皮膚表面に接触する溶解型KRP−197含量が減少し、経皮吸収速度が低くなるとともに、皮膚接着力が低下する。これらの条件により、粘着層への添加剤は、薬物の物性により異なる。
【0046】
なお、非溶解型KRP−197としては、結晶状態のKRP−197、つまり結晶型KRP−197がより好ましい。
【0047】
粘着単層型経皮吸収製剤の製造において、KRP−197は溶解剤に溶解させて用いられる。溶解剤としては、例えば、水、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、C2〜5のアルカンジオール(グリセリン等)、C2〜5のアルカントリオール(プロピレングリコール等)、クロロホルム及びKRP−197が溶解する揮発性溶媒から選ばれる1種または2種以上の混合液が挙げられる。しかし、非溶解型と溶解型が混在する製剤の場合は、溶解剤の種類、製剤の乾燥温度や時間により結晶型や結晶径が異なる場合がある。
【0048】
KRP−197と粘着剤とを溶媒中に溶解後、例えば、約10〜50℃で乾燥させ、平均粒子径約1〜50マイクロメートルの範囲の微細な再結晶が均一に分散している粘着層を得ることが出来る。
【0049】
請求項3に記載した本発明のリザーバー型の経皮吸収型治療製剤は、有効成分であるKRP−197と先述した外用剤基剤から選ばれる基剤を単独或いは2種以上を組み合わせたものからなる混合物(リザーバー内容物)と、薬物透過制御膜、粘着層、リザーバー内容物を貯留可能な支持体及び剥離ライナーからなる経皮吸収製剤構造形成体より構成される。リザーバー型の経皮吸収型治療製剤の一実施形態を断面図により図2に示した。
【0050】
リザーバー型経皮吸収製剤の構造形成体を構成する支持体は、リザーバー内容物を貯留可能なものであれば特に限定されないが、粘着単層型経皮吸収製剤と同様のものを使用できる。剥離ライナーは特に限定されないが、粘着単層型経皮吸収製剤と同様のものを使用できる。薬物透過制御膜としては、微多孔質ポリプロピレンなどの微多孔質膜、その他の薬物透過の制御が可能な膜材料が使用できる。粘着層としては、薬物透過性を有するゴム系、アクリル系、シリコーン系などの粘着剤により形成する、或いは両面粘着テープを用いて形成することもできる。また、これら粘着層は薬物透過制御膜としても使用できる。
【0051】
リザーバー型経皮吸収製剤の製造において、KRP−197は溶解剤に溶解させて用いられる。溶解剤としては、例えば、水、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、C2〜5のアルカンジオール(グリセリン等)、C2〜5のアルカントリオール(プロピレングリコール等)、クロロホルムまたはそれらから選ばれる2種以上の混合液が好ましい。
【0052】
本発明の製剤の投与方法としては、1日1回または2日から7日に1回貼り替えても良く、2日〜7日に1日のみ貼付しても良い。また、就寝前、または必要な時に貼付する方法もある。貼付部位は、例えば耳の後、腕、腹部、胸部、背部または脚の表面などに貼付する。
【0053】
本発明の製剤に含まれるKRP−197の投与量は、1回あたり約0.01mg〜約50mgが好ましく、より好ましくは約0.1mg〜約10mgである。
【0054】
本発明に用いられるKRP−197は、膀胱、気管、消化管における平滑筋のムスカリン受容体のM3及びM1に選択的に拮抗作用を有するため、頻尿・尿失禁のみならず、喘息、慢性気道閉塞性疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)、過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)等の予防及び/または治療にも有用である。従って、本発明のKRP−197を有効成分として含有する経皮吸収製剤は、経口剤や注射剤の場合の一時的に高い薬物血中濃度のために起こる副作用が回避できること、皮膚から持続的に吸収させることができるため経口剤よりも投与回数が少ないこと、さらに副作用が発生した場合に直ちに適用を中断できること等の利点を有する。これにより、本発明の経皮吸収製剤は高齢者や経口投与が困難な患者の生活の質を向上させた頻尿・尿失禁、喘息、COPDまたはIBS等の持続的な予防及び/または治療薬として大変有用である。
【0055】
本発明の経皮吸収製剤の有効成分は、KRP−197に限定されず、ムスカリン拮抗作用を有する化合物はすべて本発明に用いることができる。本発明に用いられるムスカリン拮抗作用を有する化合物としては、KRP−197の他に、例えば、トルテロジン((+)−(R)−2−[α−[2−(ジイソプロピルアミノ)エチル]ベンゾイル]−p−クレゾール酒石酸塩)、ダルフェナシン((S)−1−[2−(2,3−ジヒドロ−5−ベンゾフラニル)エチル]−α,α−ジフェニル−3−ピロリジンアセトアミド臭化水素酸塩)、ソリフェナシン((+)−(1S,3’R)−キヌクリジン−3’−イル−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボキシラートコハク酸塩)、塩酸オキシブチニン(4−ジエチルアミノ−2−ブチニル(±)−α−シクロヘキシル−α−フェニルグリコレート塩酸塩)、塩酸プロピベリン(1−メチル−4−ピペリジル−α,α−ジフェニル−α−n−プロポキシアセテート塩酸塩)、塩酸テロジリン((±)−N−t−ブチル−1−メチル−3,3−ジフェニルプロピルアミン塩酸塩)、及び塩酸フラボキサート(2−ピペリジノエチル−3−メチル−4−オキソ−2−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−8−カルボキシレート塩酸塩)等が挙げられる。
【0056】
本発明のKRP−197を有効成分として含有する経皮吸収製剤として、前記した粘着単層型経皮吸収製剤及びリザーバー型経皮吸収製剤の他に、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、乳剤、ローション剤または液剤等の製剤形態も好ましい。とりわけプラスター製剤やテープ製剤が好ましい。これらの経皮吸収製剤は、前記した外用剤基剤及び/または各製剤に相応しいさらなる外用剤基剤から単独または2種以上を適宜選択し、製剤及び化粧料の分野において使用される通常の製剤化手段を適用して調製することができる。
【0057】
例えば、ゲル剤における相応しいさらなる外用剤基剤としては、懸濁性基剤があり、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールモノカプレート、クロタミトン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルピロリドン、L−メントールが挙げられる。
【0058】
以下、実施例を挙げて、更に本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0059】
粘着単層型経皮吸収製剤に関する実施例を以下1〜4に、リザーバー型経皮吸収製剤に関する実施例を以下5と6に示す。
【実施例1】
【0060】
KRP−197 0.1重量部に対し、クロロホルム37.5重量部に溶解した後、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(商品名「KRATON D1107CU」、クレイトンポリマージャパン(株)製)3.95重量部、超淡色ロジンエステル(商品名「超淡色ロジンエステル KE−311」、荒川化学工業(株)製)4.95重量部及びミリスチン酸イソプロピル1重量部を加え攪拌溶解して粘着層を調製した。調製した粘着層を、支持体(商品名「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のポリエステル面、住友スリーエム(株)製)に、調厚メモリを10に設定し、かつ両脚部に両面粘着テープを3枚貼付したベーカー式アプリケーターを用いて展延した。室温で約15分間乾燥した後、乾燥温度60℃に設定した乾燥機内で、更に約15分間乾燥し、粘着面を剥離ライナー(商品名「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のフッ素ポリマー面、住友スリーエム(株)製)で覆い、厚さ0.1mm、薬物含有量0.1mg/cmの粘着単層型経皮吸収製剤を得た。
【実施例2】
【0061】
KRP−197 0.1重量部に対し、クロロホルム37.5重量部に溶解した後、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(商品名「KRATON D1107CU」、クレイトンポリマージャパン(株)製)2.85重量部、超淡色ロジンエステル(商品名「超淡色ロジンエステル KE−311」、荒川化学工業(株)製)5.05重量部、ミリスチン酸イソプロピル1重量部及び流動パラフィン1重量部を加え攪拌溶解して粘着層を調製した。調製した粘着層を、支持体(商品名「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のポリエステル面、住友スリーエム(株)製)に、調厚メモリを10に設定し、かつ両脚部に両面粘着テープ3枚貼付したベーカー式アプリケーターを用いて展延した。室温で約15分間乾燥した後、乾燥温度60℃に設定した乾燥機で、更に約15分間乾燥し、粘着面を剥離ライナー(商品名「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のフッ素ポリマー面、住友スリーエム(株)製)で覆い、厚さ0.1mm、薬物含有量0.1mg/cmの粘着単層型経皮吸収製剤を得た。
【実施例3】
【0062】
KRP−197 0.1重量部に対し、クロロホルム37.5重量部に溶解した後、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(商品名「KRATON D1107CU」、クレイトンポリマージャパン(株)製)3.95重量部、超淡色ロジンエステル(商品名「超淡色ロジンエステル KE−311」、荒川化学工業(株)製)4.95重量部及びオレイルアルコール1重量部を加え攪拌溶解して粘着層を調製した。調製した粘着層を、支持体(商品名「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のポリエステル面、住友スリーエム(株)製)に、調厚メモリを10に設定し、かつ両脚部に両面粘着テープ3枚貼付したベーカー式アプリケーターを用いて展延した。室温で約15分間乾燥した後、乾燥温度60℃に設定した乾燥機内で、更に約15分間乾燥し、粘着面を(商品名「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のフッ素ポリマー面、住友スリーエム(株)製)で覆い、厚さ0.1mm、薬物含有量0.1mg/cmの粘着単層型経皮吸収製剤を得た。
【実施例4】
【0063】
KRP−197 0.1重量部に対し、クロロホルム37.5重量部に溶解した後、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体商品名「KRATON D1107CU」、クレイトンポリマージャパン(株)製)3.95重量部、超淡色ロジンエステル(商品名「超淡色ロジンエステル KE−311」、荒川化学工業(株)製)4.9重量部、オリーブオイル1重量部及びL−メントール0.5重量部を加え攪拌溶解して粘着層を調製した。調製した粘着層を、支持体(商品名「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のポリエステル面、住友スリーエム(株)製)に、調厚メモリを10に設定し、かつ両脚部に両面粘着テープ3枚貼付したベーカー式アプリケーターを用いて展延した。室温で約15分間乾燥した後、乾燥温度60℃に設定した乾燥機内で、更に約15分間乾燥し、粘着面を(商品名、「3M Scotchpak 9742 Release Liner」のフッ素ポリマー面、住友スリーエム(株)製)で覆い、厚さ0.1mm、薬物含有量0.1mg/cmの粘着単層型経皮吸収製剤を得た。
【実施例5】
【0064】
KRP−197分散液は、KRP−197 0.2重量部に対し、L−メントール0.05重量部、エタノール(99.5)−水混液(混合比1:1.3)9.75重量部を加え分散し調製した。薬物透過制御膜かつ粘着層は両面粘着テープ(商品名「両面紙粘着テープ」、コクヨ(株)製)を用いた。
【実施例6】
【0065】
KRP−197 0.2重量部に対し、L−メントール0.05重量部、HPMC 0.2重量部、エタノール(99.5)−水混液(混合比1:1.3)9.75重量部を加え分散したものをリザーバー内容物とし、これを支持体である(商品名「コスモパックPTP」、カナエ(株)製)に0.9g充填した後、薬物透過制御膜かつ粘着層である両面粘着テープ(商品名「両面紙粘着テープ」、コクヨ(株)製)で封をし、リザーバー型経皮吸収製剤を得た。
比較例1
【0066】
KRP−197 0.2重量部に対し、硫酸ゲンタマイシン0.1重量部及び水9.7重量部を加え分散し、KRP−197単独の皮膚透過性評価用試料液を得た。
【0067】
<試験例1>(in vitro皮膚透過実験)
雄性ヘアレスラット(体重229.7〜328.1g)の腹部摘出除毛皮膚を、横型拡散セル(有効拡散面積:0.95cm、セル容積:2.5mL)に装着した。実施例1〜4の粘着単層型経皮吸収製剤を図3(a)に示すように、腹部摘出除毛皮膚の角質層に貼付した。貼付面積は約0.95cmとした。実施例5は図3(b)に示すように、角質層側セルにKRP−197分散液を入れ、腹部摘出除毛皮膚の角質層に薬物透過制御膜であり、かつ粘着層である両面粘着テープを貼付した.比較例1は図3(c)に示すように、角質層側セルにKRP−197単独の皮膚透過性評価用試料液を入れた。実施例1〜5及び比較例1共に、真皮層側セルには1%硫酸ゲンタマイシン含有リン酸緩衝液(pH7.4)を適用した。経時的に真皮層側セルの1%硫酸ゲンタマイシン含有リン酸緩衝液(pH7.4)の一部を採取し、HPLC法で透過したKRP−197量を測定した。測定結果を基に時間に対する累積透過量をプロットし、その傾きから皮膚透過速度を算出した。その結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
表1の結果から、全ての実施例においてKRP−197の低い皮膚透過性(比較例1)は改善された。粘着単層型経皮吸収製剤の中では、粘着層の基剤としてスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、超淡色ロジンエステル及びミリスチン酸イソプロピルを用いた実施例1の製剤が最もKRP−197の皮膚透過性に優れており、比較例1に比べ約5倍高い皮膚透過速度を示した。リザーバー型経皮吸収製剤のリザーバー内容物の基剤として、L−メントール、エタノール(99.5)及び水を用い、粘着層かつ薬物透過制御膜として、両面粘着テープを用いた実施例5は、比較例1に比べ約12倍高い皮膚透過速度を示した。
【0070】
<試験例2>(in vivo皮膚適用試験)
雄性ヘアレスラット(体重202.9〜252.3g)の腹部を電気カミソリにより除毛した。粘着単層型経皮吸収製剤である実施例1、又はin vitro皮膚透過実験結果(実施例5)を基に作製した実施例6のリザーバー型経皮吸収製剤を各ラットに1個ずつ貼付(実施例1の貼付面積約3cm、実施例6の貼付面積約9cm)した後、試験中の剥離を防止するため、市販のサージカルテープで固定した。鎖骨下静脈より経時的に採血を行い、血清を分取した。KRP−197の血清中薬物濃度を、LC−MS/MS法で定量した。結果を図4に示す。
【0071】
図4から明らかなように、実施例1の粘着単層型経皮吸収製剤及び実施例6のリザーバー型経皮吸収製剤は、優れたKRP−197持続放出性を有していた。
【0072】
<試験例3>(Draize法による皮膚一次刺激性の評価)
雄性ウサギ(体重2.90〜2.96kg)を用いた。実施例1及び6貼付の前日(24時間前)、背部の被毛を電気バリカンと電気カミソリで取り除き、貼付部位を4箇所作製した。その内、2箇所を正常皮膚、残りの2箇所は注射針で角質層に傷をつけ(出血しない程度)損傷皮膚とした。実施例1或いは実施例6をそれぞれ正常皮膚と損傷皮膚に貼付(実施例1の貼付面積3cm、実施例6の貼付面積約9cm)した後、これをニチバン粘着包帯で固定した。貼付時間は48時間とし、剥離直後(0時間)から、24、48時間後までの皮膚の状態を表2に示すDraizeの評価基準に従って評価した。
【0073】
【表2】

【0074】
健常皮膚と損傷皮膚の評点を合計し、この合計を6で割って、皮膚一次刺激性指数を算出した。安全性区分は、皮膚一次刺激性指数が0〜2の時は弱い刺激物、皮膚一次刺激性指数が3〜5の時は中等度の刺激物、皮膚一次刺激性指数が6以上の時は強い刺激物とした。その結果を表3に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
表3から明らかなように、実施例1の粘着単層型経皮吸収製剤と実施例6のリザーバー型経皮吸収製剤は皮膚一次刺激性が弱いことが分り、刺激性には問題ないことが分った。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、皮膚からの吸収性の低いKRP−197を、皮膚から持続的かつ効率良く体内へ吸収させることができ、しかも皮膚刺激性の低い経皮吸収型製剤が提供される。また、本発明の製剤は、薬効の持続及び嚥下機能の低い小児や高齢者などへの投薬が困難という経口固形製剤(錠剤)の課題を改善し、更には一般的な非経口型製剤(注射剤や外用剤)の課題(投薬に痛みを伴う、投与後薬物の除去及び在宅医療が困難等の課題、投薬が患者本人或いは介護者に委ねられ用法及び用量の管理が低下し薬物の適正使用率の低下を招く)をも改善可能なことから、幅広い年齢層の患者やその介護者及び医療従事者に受け入れられ易い製剤である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムスカリン受容体拮抗薬と外用剤基剤を含有することを特徴とする経皮吸収型製剤。
【請求項2】
ムスカリン受容体拮抗薬が、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミド、(+)−(R)−2−[α−[2−(ジイソプロピルアミノ)エチル]ベンゾイル]−p−クレゾール酒石酸塩、(S)−1−[2−(2,3−ジヒドロ−5−ベンゾフラニル)エチル]−α,α−ジフェニル−3−ピロリジンアセトアミド臭化水素酸塩、(+)−(1S,3’R)−キヌクリジン−3’−イル−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボキシラートコハク酸塩、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル(±)−α−シクロヘキシル−α−フェニルグリコレート塩酸塩、1−メチル−4−ピペリジル−α,α−ジフェニル−α−n−プロポキシアセテート塩酸塩、(±)−N−t−ブチル−1−メチル−3,3−ジフェニルプロピルアミン塩酸塩及び2−ピペリジノエチル−3−メチル−4−オキソ−2−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−8−カルボキシレート塩酸塩から選択される1種または2種以上である請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
ムスカリン受容体拮抗薬が、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドである請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
過活動膀胱患者に対する頻尿・尿失禁、喘息、慢性気道閉塞性疾患及び過敏性腸症候群から選ばれる疾患の予防及び治療剤である請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
疾患が過活動膀胱患者に対する頻尿・尿失禁である請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
形態が貼付剤である請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
粘着単層型またはリザーバー型経皮吸収製剤である請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
溶解型の4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドのみを有効成分として含有する請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
溶解型及び非溶解型の4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドを有効成分として含有する請求項7に記載の製剤。
【請求項10】
外用剤基剤が、両親媒性溶解助剤、懸濁性基剤、軟化剤、乳化剤、緩衝剤、経皮透過促進剤、粘着剤、粘着増強剤、接着剤、皮膚刺激緩和剤及び添加剤からなる群より選ばれる単独、或いは2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドを有効成分とし、外用剤基剤及び経皮吸収製剤構造形成体からなることを特徴とする請求項1に記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤。
【請求項12】
4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドと外用剤基剤単独或いは2種以上を組み合わせることにより形成した粘着性を有する粘着層と、支持体及び剥離ライナーからなる経皮吸収製剤構造形成体より構成されることを特徴とする粘着単層型の請求項11記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤。
【請求項13】
4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドと外用剤基剤単独或いは2種以上を組み合わせたものからなる混合物と、薬物透過制御膜、粘着層、支持体及び剥離ライナーからなる経皮吸収製剤構造形成体より構成されることを特徴とするリザーバー型の請求項11記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤。
【請求項14】
外用剤基剤が、水溶性高分子化合物、脂溶性高分子化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、動植物性油脂、アルコール類、テルペン系化合物及び水からなる群より選ばれる単独、或いは2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の経皮吸収型頻尿・尿失禁治療製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【国際公開番号】WO2005/011683
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512547(P2005−512547)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011068
【国際出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】