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経皮吸収製剤
説明

経皮吸収製剤

【課題】ドネペジルまたはその塩酸塩を経皮吸収させるための経皮吸収型製剤であって、貼付時においても粘着剤層の凝集力の低下を生じにくく、剥離除去の際の凝集破壊による糊残りの生じにくい安定な経皮吸収製剤を提供すること。
【解決手段】粘着剤層に2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オンおよび/またはその塩酸塩と金属塩化物とを含み、粘着剤層が架橋されていることを特徴とする経皮吸収製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オン(以下、「ドネペジル」とも称する。)および/またはその塩酸塩である2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オン モノハイドロクロライド(以下、「塩酸ドネペジル」とも称する。)を含有する経皮吸収製剤に関する。具体的には、皮膚面に貼付して、上記薬物を皮膚から生体内へ連続的に投与するための経皮吸収製剤である。
【背景技術】
【0002】
塩基性薬物であるドネペジルまたはその塩酸塩である塩酸ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有し、抗アルツハイマー型認知症薬として使用されている。アルツハイマー型認知症患者には、高齢者が多く、高齢者には経口剤の嚥下が困難な者も多い。また、アルツハイマー型認知症の症状が進行した患者でも、経口剤の服薬が困難となる場合がある。これらのような場合には非経口投与が有用である。
【0003】
ドネペジルまたは塩酸ドネペジルを用いた経皮吸収製剤自体は公知であり、例えば、下記の特許文献1には、塩酸ドネペジルを含む経皮適用製剤(例えば軟膏剤、貼付剤等)が提案されている。また、下記の特許文献2には、粘着組成物がドネペジルまたはその塩酸塩を含む経皮吸収型痴呆治療製剤が提案され、ドネペジルの塩酸塩を用いる時には、酢酸塩を粘着組成物に含有させることにより、十分な皮膚透過速度を得ることができることが記載されている。
【0004】
一般に、疾患に対する薬物の投与を考慮した場合、投与期間については、短期間であることが望ましいが、現実的には長期投与されることが多い。その長期投与期間中に経皮吸収製剤の適応を受けた場合は、ほぼ毎日のように貼付と剥離が繰り返されることになる。また、貼付される部位についても体の可動部を避けることが望ましく、貼付される部位にも制限があることが理解できる。従って、繰り返しの貼付を想定すると、経皮吸収製剤にはできるだけ皮膚に優しく、皮膚面に対しては角質損傷などによる刺激の抑制、すなわち、低皮膚刺激性が要求される。しかし、特許文献1および特許文献2には、経皮吸収製剤の皮膚への貼付感や皮膚に対する刺激性という課題やその対策については何ら言及されていない。
【0005】
一方、低刺激性の経皮吸収製剤を得るためには、粘着剤自体の組成を変更して皮膚接着力を適度に低下させる方法、または、粘着剤層に液状成分を含有させてゲルとし、粘着剤層にソフト感を与える方法などが挙げられる。このゲルの作製については、これまで粘着剤を架橋して凝集力を向上させ、その粘着剤層に相溶する液状成分を保持させる方法が用いられている。
【0006】
このゲルの作製のための粘着剤の架橋には任意の架橋剤を利用できる。
【0007】
しかし、近年、ある種の塩基性薬物とある種の架橋剤との組み合わせよりなるゲルを利用した経皮吸収製剤について、ヒトに貼付した場合に、皮膚貼付時に粘着剤層中の凝集力低下を生じ、剥離時に凝集破壊を引き起こすことが報告されている。
【0008】
これに対し、架橋剤とともにポリオール化合物を添加し、架橋剤本来の効果をより発揮させる方法(特許文献3)、さらに、皮膚接着層には、剥離時に凝集破壊を起こしにくい架橋剤を利用したプラセボ層を設計し、その下層に塩基性薬物を含み、塩基性薬物の存在下でも凝集力が低下しにくい架橋剤で架橋された粘着剤層を積層させることにより回避する方法も提案されている(特許文献4)。
【0009】
しかしながら、前者の方法(特許文献3)については、ポリオール化合物が親水性化合物であるため、疎水性環境にある粘着剤層を使用する場合には、多くても約5重量%程度しか均一に溶解することができず、それ以上となると粘着剤層からブルーミングが起こる可能性がある。そのため塩基性薬物を粘着剤層に比較的多量に含有させた場合には、粘着剤層と均一に溶解するポリオール化合物の含有量がさらに減少し、粘着剤層の凝集破壊を十分に防止できない可能性がある。また、粘着剤層中のポリオール化合物の含有率を高くすることも考えられるが、その場合、粘着剤層中の粘着剤の含有率が低くなるので、粘着力が低下する可能性がある。また、後者の方法(特許文献4)については、貼付面における剥離時の凝集破壊を抑制できるが、貼付時において経皮吸収製剤のエッジ部における側面が皮膚に触れる場合には、エッジ部での凝集破壊が起こる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−315016号公報
【特許文献2】WO2003/032960号公報
【特許文献3】特開2003−62058号公報
【特許文献4】特開2004−10525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルを経皮吸収させるための経皮吸収型製剤であって、良好な粘着性及び凝集力を有し、皮膚貼付時においても粘着剤層の凝集力低下が生じにくく、剥離除去の際に凝集破壊による糊残りが生じにくい経皮吸収製剤を提供することである。
【0012】
また、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルを経皮吸収させるための経皮吸収型製剤であって、良好な粘着性及び凝集力を有し、貼付感に優れるとともに、剥離時の皮膚への低刺激性が得られ、皮膚貼付時においても粘着剤層の凝集力低下が生じにくく、剥離除去の際に凝集破壊による糊残りが生じにくい経皮吸収製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルを含有し、架橋処理された粘着剤層中に金属塩化物を含有させると、皮膚貼付時の粘着剤層の凝集力低下が抑制され、剥離除去の際の糊残りが生じにくくなることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0014】
(1)粘着剤層に2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オンおよび/またはその塩酸塩と金属塩化物とを含み、粘着剤層が架橋されていることを特徴とする経皮吸収製剤。
(2)粘着剤層が、架橋剤を使用して架橋されている、上記(1)に記載の経皮吸収製剤。
(3)架橋剤が、金属アルコラート又は金属キレート化合物である、上記(2)記載の経皮吸収製剤。
(4)粘着剤がアクリル系粘着剤である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
(5)粘着剤層がさらに液状可塑剤を含む、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
(6)液状可塑剤が、炭素数12〜16の高級脂肪酸と炭素数が1〜4の低級1価アルコールからなる脂肪酸アルキルエステルである、上記(5)記載の経皮吸収製剤。
(7)金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズおよび塩化第二鉄から選ばれる少なくとも1種である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
(8)金属塩化物が、塩化ナトリウムである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
(9)金属塩化物が、2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オンの塩酸塩を金属を含む無機塩基で中和して生じさせた塩である、上記(1)記載の経皮吸収製剤。
(10)金属を含む無機塩基が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩基である、上記(9)記載の経皮吸収製剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明の経皮吸収製剤によれば、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルを含有し、架橋されている粘着剤層中に金属塩化物を含有させたことにより、皮膚貼付時に粘着剤層の凝集力低下が抑制でき、その結果、剥離時の凝集破壊による糊残りが生じくい安定な経皮吸収製剤を実現できる。
【0016】
特に、粘着剤層が液状可塑剤を含有する態様の製剤においては、皮膚貼付時に粘着剤層の凝集力低下が抑制されて、粘着剤層中の液状可塑剤が安定に保持されるので、貼付感に優れかつ剥離時の皮膚刺激も少なく、剥離時の凝集破壊による糊残りが生じくい安定な低皮膚刺激性の経皮吸収製剤を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明の経皮吸収製剤は、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジル(以下、「ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジル」を総称して「ドネペジル等」とも呼ぶことがある。)を経皮吸収させるためのものであり、粘着剤層にドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルと金属塩化物とを含み、粘着剤層が架橋されていることを特徴とする。なお、経皮吸収性の観点から粘着剤層は少なくともドネペジルを含有するのが好ましい。
【0018】
本発明の経皮吸収製剤は、抗アルツハイマー型認知症薬として用いられうる。また、その他の用途としては、抗脳血管性認知症、片頭痛予防などが挙げられる。
【0019】
本発明の経皮吸収製剤において、粘着剤層中のドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルの含有量は、粘着剤層の総重量の通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲である。含有量が1重量%に満たない場合は治療に有効な量の放出が期待できず、また、30重量%を超えると治療効果に限界が生じると共に経済的に不利となるおそれがある。
【0020】
本発明の経皮吸収製剤おいて、粘着剤層を形成する粘着剤としては、架橋可能である限り特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤;シリコーンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム等のゴム系粘着剤;シリコーン系粘着剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ酢酸ビニル等のビニル系高分子粘着剤等が挙げられる。
【0021】
本発明の経皮吸収製剤では、粘着剤層の架橋されていることが必須であり、例えば、公知の化学的架橋処理や物理的架橋処理(例えば、物理的架橋処理としてのγ線のような電子線照射や紫外線照射による架橋処理や、化学的架橋処理としての架橋剤添加による架橋処理等)が施し得る。よって、粘着剤には水酸基、カルボキシル基、ビニル基等の架橋反応に関与できる官能基が導入されていることが好ましく、かかる粘着剤への架橋反応に関与できる官能基の導入は自体公知の方法で行われる。例えば、上記粘着剤となるポリマーの合成の際に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、アクリル酸やマレイン酸などのカルボキシル基を有するモノマーなどを添加して共重合させる等で行うことができる。なお、粘着剤層の架橋処理は、上記粘着剤となるポリマーの合成の際にジビニルベンゼンやジメタクリル酸エチレングリコール等の2以上のビニル基を有するモノマー等を添加して共重合させることで、共重合反応時に分子間又は分子内架橋を生じさせる方法で行ってもよい。
【0022】
本発明における粘着剤は、上述したもののなかでも、架橋処理がし易く、また、経皮吸収製剤としての皮膚への粘着性が良好である観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0023】
本発明におけるアクリル系粘着剤は、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むアクリル系粘着剤であり、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分(主たる構成単位)とするアクリル系粘着剤であり、主成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)との共重合体か、或いは、これら以外の他のモノマー(第3モノマー成分)がさらに共重合した共重合体が、架橋処理のしやすさ、人間の皮膚への貼接着剤、薬物溶解の操作性等の観点から特に好ましい。
【0024】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)の例としては、アルキル基の炭素数が1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、アルキル基の炭素数が4〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。さらに、常温で粘着性を与えるために、重合体のガラス転移温度を低下させるモノマー成分の使用がさらに好適であることから、アルキル基の炭素数が4〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシルなど、好ましくは、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、特に好ましくは2−エチルヘキシル)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。具体的にはアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸シクロへキシルなどがより好ましく、中でも、アクリル酸2−エチルへキシルが最も好ましい。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
一方、上記の架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)において、架橋反応に関与できる官能基としては、水酸基、カルボキシル基、ビニル基などが挙げられ、水酸基及びカルボキシル基が好ましい。当該モノマー(第2モノマー成分)の具体例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸などが挙げられる。これらのうち、入手の容易性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル(特に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)が好ましく、アクリル酸が最も好ましい。これらのモノマー(第2モノマー成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
上記他のモノマー(第3モノマー成分)は、主として、粘着剤層の凝集力調整やドネペジル等の溶解性・放出性の調整などのために使用される。当該モノマー(第3モノマー成分)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニルアミド類;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシエステル;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー(第3モノマー成分としての使用なので架橋点とはしない);(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコールエステル;(メタ)アクリロニトリル;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルスルホン酸などのスルホン酸を有するモノマー;ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどのビニル基含有モノマーなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルエステル類、ビニルアミド類が好ましく、ビニルエステル類は酢酸ビニルが好ましく、ビニルアミド類はN−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。これらのモノマー(第3モノマー成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
当該アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー=99〜85:1〜15の重量比で配合して共重合させることが好ましく、99〜90:1〜10の重量比がより好ましい。
【0028】
また、当該アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)と、これら以外の他のモノマー(第3モノマー成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーと、これら以外の他のモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー:これら以外の他のモノマー=40〜94:1〜15:5〜50の重量比で配合して共重合させることが好ましく、50〜89:1〜10:10〜40の重量比がより好ましい。
【0029】
重合反応は、自体公知の方法で行えばよく特に限定されないが、例えば、上記のモノマーを、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなど)を添加して、溶媒(例えば、酢酸エチルなど)中で、50〜70℃で5〜48時間反応させる方法が挙げられる。
【0030】
本発明における特に好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル/酢酸ビニルの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸の共重合体等であり、より好ましくは、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体である。
【0031】
また、本発明におけるアクリル系粘着剤のガラス転移温度は、共重合組成によっても異なるが、経皮吸収製剤としての粘着性の観点から、通常−100〜−10℃であることが好ましく、より好ましくは−90〜−20℃である。
【0032】
本発明の経皮吸収製剤においては、粘着剤層へのソフト感の付与、経皮吸収製剤を皮膚から剥離する時の皮膚接着力に起因する痛みや皮膚刺激性の軽減等の観点から、粘着剤層に液状可塑剤を含有させることができる。当該液状可塑剤としては、それ自体室温で液状であり、可塑化作用を示し、上記の粘着剤を構成する粘着性ポリマーと相溶するものであれば特に制限なく使用できるが、ドネペジル等の経皮吸収性、保存安定性を向上させるものが好ましい。また、粘着剤中へのドネペジル等の溶解性等をさらに高める目的でも配合することができる。このような液状可塑剤としては、脂肪酸アルキルエステル〔例えば、炭素数1〜4の低級1価アルコールと炭素数12〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸とのエステル等〕; 炭素数8〜10の飽和又は不飽和の脂肪酸〔例えば、カプリル酸(オクタン酸、C8)、ペラルゴン酸(ノナン酸、C9)、カプリン酸(デカン酸、C10)、ラウリン酸(C12)等〕;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;オリーブ油、ヒマシ油、スクアレン、ラノリン等の油脂類;酢酸エチル、エチルアルコール、ジメチルデシルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、オレイルアルコール等の有機溶剤;液状の界面活性剤;ジイソプロピルアジぺ−ト、フタル酸エステル、ジエチルセバケート等の可塑剤類;流動パラフィン等の炭化水素類等が挙げられる。また、エトキシ化ステアリルアルコール、グリセリンエステル(室温で液状の物)、ミリスチン酸イソトリデシル、N−メチルピロリドン、オレイン酸エチル、オレイン酸、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸オクチル、1,3−プロパンジオール、グリセリン等も挙げられる。これらの中でも、製剤の安定性等の観点から、脂肪酸アルキルエステル、飽和脂肪酸、炭化水素類、有機溶剤が好ましく、より好ましくは脂肪酸アルキルエステルである。これらの液状可塑剤はいずれかを単独でまたは2種以上の組み合わせで使用される。
【0033】
また、粘着剤にアクリル系粘着剤を使用する場合、液状可塑剤は、上記の中でも、アクリル系粘着剤との相溶性等の観点から、脂肪酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4の低級1価アルコールと炭素数12〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸とのエステルである。ここで、炭素数12〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸は飽和脂肪酸が好ましく、また、炭素数1〜4の低級1価アルコールは直鎖でも分岐鎖でもよい。炭素数12〜16の脂肪酸の好適な例としては、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)等が挙げられ、炭素数1〜4の低級1価アルコールの好適な例としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール等が挙げられる。特に好ましい脂肪酸アルキルエステルの具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル等が挙げられる。
【0034】
なお、脂肪酸アルキルエステルを使用する場合、ドネペジル等の経皮吸収性向上の観点から、脂肪酸アルキルエステルとともに炭素数8〜10の脂肪酸および/またはグリセリンを併用しても良い。
【0035】
本発明において、液状可塑剤の配合量は上記粘着剤100重量部当たり、好ましくは10〜160重量部であり、より好ましくは40〜150重量部である。配合量が10重量部未満のとき、粘着剤層の可塑化が不充分なために良好なソフト感が得られなかったり、皮膚刺激性の低減効果が十分に得られない場合があり、逆に160重量部を超えるとき、粘着剤が有する凝集力によっても液状可塑剤を粘着剤中に保持できず、粘着剤層表面にブルーミングして粘着力が弱くなり過ぎて、貼付使用中に皮膚面から製剤が脱落する可能性が高くなる。
【0036】
本発明の経皮吸収製剤では、粘着剤層には、前記のとおり、公知の化学的架橋処理(架橋剤添加による架橋処理等)や物理的架橋処理(γ線のような電子線照射や紫外線照射による架橋処理)等で架橋処理が施されるが、当該架橋処理は、当分野で一般的に行われている手法により行うことができる。なお、薬物に影響を及ぼしにくいという観点から、架橋剤添加による架橋処理が好ましい。
【0037】
架橋剤を用いた化学的架橋処理を施す場合、架橋剤にはドネペジル等により架橋の形成が阻害されない架橋剤であれば特に制限されないが、例えば、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)等)、金属酸化物(例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、多官能性イソシアネート化合物、有機金属化合物(例えば、ジルコニウムアラニネート、亜鉛アラニネート、酢酸亜鉛、グリシンアンモニウム亜鉛、チタン化合物等)、金属アルコラート(例えば、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、アルミニウムイソプレピレート、アルミニウムsec−ブチレート等)、および金属キレート化合物(例えば、ジプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、テトラオクチレングリコールチタン、アルミニウムイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等)が挙げられる。これらの中でも、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルの存在下で効率的に架橋を形成し得るという観点から、過酸化物、金属酸化物、有機金属化合物、金属アルコラート、金属キレート化合物が好ましく、より好ましくは金属アルコラート、金属キレート化合物であり、適度な架橋密度の架橋構造が得られ易いという観点から、最も好ましくは金属キレート化合物である。また、金属キレート化合物のなかでもエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが特に好ましい。これらの架橋剤は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
架橋剤の配合量は、架橋剤や粘着剤の種類によって異なるが、一般に、粘着剤100重量部に対して0.1〜0.6重量部であり、好ましくは0.15〜0.5重量部である。0.1重量部より少ないと架橋点が少なすぎて粘着剤層に充分な凝集力が付与できず、剥離時に凝集破壊に起因する糊残りや強い皮膚刺激が発現するおそれがあり、0.6重量部より多いと、凝集力は大きいが充分な皮膚接着力が得られなくなる場合がある。また、未反応の架橋剤の残留によって皮膚刺激がおこるおそれがある。
【0039】
化学的架橋処理は、架橋剤の添加後、架橋反応温度以上に加熱することにより行うことができ、このときの加熱温度は、架橋剤の種類に応じて適宜選択されるが、好ましくは60〜90℃であり、より好ましくは60〜80℃である。加熱時間としては、好ましくは12〜96時間であり、より好ましくは24〜72時間である。
【0040】
本発明の経皮吸収製剤では、架橋処理された粘着剤層がドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルとともに金属塩化物を含有することが重要である。粘着剤層が金属塩化物を含むことで、経皮吸収製剤をヒト皮膚に貼付した状態で、粘着剤層の凝集力の低下が軽減され、粘着剤層を剥離する際の凝集破壊が生じ難いものとなる。
【0041】
かかる金属塩化物としては、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩化物;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物;塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄等が挙げられる。安全性及び粘着剤層の凝集力低下抑制能に優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄が好ましく、塩化ナトリウム、塩化カルシウムがより好ましく、とりわけ好ましくは塩化ナトリウムである。これらはいずれかを単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0042】
金属塩化物の粒径は、一般に一次粒径と二次粒径とに大別される。金属塩化物を光学顕微鏡または電子顕微鏡下で観察した場合、小粒子として観察されるのが、一次粒子であり、複数の一次粒子が集合して形成され大粒子として観察されるものが二次粒子である。本明細書では、それぞれの最大粒径を一次粒径および二次粒径と称する。これらの金属塩化物の粒径は特に限定されないが、小さいほど、製造時のハンドリング性、並びに、粘着剤層の貼付面における平滑性に起因する良好な貼付感および外観の観点から好ましい。従って、金属塩化物の二次粒径は好ましく300μm以下、より好ましくは250μm以下、最も好ましくは200μm以下である。なお、二次粒径の下限は特に限定されないが、1μm以上であるのが好ましい。二次粒径が1μm未満であると、そのような金属塩化物の1次粒径はさらに小さいため、粒子の飛散など、製造時のハンドリング性が低下するおそれがある。
【0043】
なお、粘着剤層中、金属塩化物の二次粒子は、扁平状、無定形状等の種々の形状で存在するが、予測できないことに、該粒子は粘着剤層にうまく収容されるので、金属塩化物の二次粒径が粘着剤層の厚さよりも大きい場合であっても、金属塩化物の二次粒径が上記の好ましい粒径であれば、粘着剤層の粘着面の平滑性が低下しにくく、かつ、外観の点でも問題のない製剤を得ることができる。後述するように、支持体が紙、織布、不織布等を粘着剤層側に含む比較的柔軟性の高い支持体である場合は、金属塩化物の粒子はその一部が支持体にめり込んだ状態で存在し得、金属塩化物の二次粒径が粘着剤層の厚さよりも大きい場合でも、平滑性の高い貼付面が極めて容易に得られる。支持体が比較的柔軟性に乏しいものであるときには、平滑性が十分に高い貼付面を効率的に得る観点から、金属塩化物の二次粒径は粘着剤層の厚さ以下であるのが好ましく、粘着剤層の厚さの1/2以下であるのがより好ましく、粘着剤層の厚さの1/3以下であるのがとりわけ好ましい。
【0044】
金属塩化物が、後述の、粘着剤層の形成過程で、塩酸ドネペジルを金属を含有する無機塩基で中和して生じさせた塩である場合、上記の好ましい二次粒径を容易に再現することができる。
【0045】
本発明の経皮吸収製剤中における金属塩化物の粒径(一次粒径、二次粒径)は次の測定方法で測定される値である。
経皮吸収製剤(試料)の粘着剤層の粘着面を目視観察する(なお、製剤に剥離シートが存在する場合は剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の粘着面を目視観察する。)。次に、光学顕微鏡ステージ上に、試料を粘着剤層の粘着面を上にしてのせ、目視により大きいと思われる粒子から順に少なくとも20粒、光学顕微鏡下でスケールと共に撮像する。このとき、観察対象が一次粒子であれば一次粒子のみ、観察対象が二次粒子であれば二次粒子のみを少なくとも20粒撮像する。撮像された一次粒子または二次粒子のうち、スケール測定によって最大径を有する粒子として判別した粒子の粒径を、それぞれ、一次粒径または二次粒径として採用する。なお、ここでいう「粒径」とは、粒子の投映像に外接する円の直径を意味する(外接円相当径)。なお、「外接円相当径」は顕微鏡観察による粒径測定での便宜上からの粒径の定義として既知であり、例えば、「粉体−理論と応用−」(改訂第二版、第55頁、昭和54年5月12日発行、丸善株式会社刊)に記載されている。
【0046】
金属塩化物の配合量としては、上記の粘着剤100重量部当たり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、最も好ましくは3〜10重量部である。この配合量が0.1重量部未満の場合、粘着剤層の凝集力低下を抑制する効果が不充分となる場合があり、逆に20重量部を超えた場合、抑制効果はあるものの粘着剤(粘着性ポリマー)中に均一に分散出来ず、製剤が外観不良を引き起こすことがある。
【0047】
ところで、塩酸ドネペジルはドネペジルよりもより安定であり、ドネペジルは結晶多形を有するので扱いにくく、このような取扱い上の観点からは、塩酸ドネペジルがドネペジルよりも有利である。一方、ドネペジルの遊離形(フリー体)は、塩酸ドネペジルよりも経皮吸収性が高い。これら両者の利点を活かすために、本発明における金属塩化物は、粘着剤層を形成する際に、塩酸ドネペジルを金属を含有する無機塩基で中和して生じさせた塩であってもよい。当該塩としては、例えば、塩酸ドネペジルを水酸化ナトリウム等の金属を含有する無機塩基とともに溶媒中で混合攪拌して中和することによって生成する金属塩化物が該当する。これにより金属塩化物を添加しなくても金属塩化物を含む薬物含有液を調製することができ、該金属塩化物を含む薬物含有液を使用することで、最終的な粘着剤層中に金属塩化物とドネペジルが共存する。なお、塩酸ドネペジルを金属を含有する無機塩基とともに溶媒中で混合攪拌して金属塩化物を生成させた後、こうして得られた薬物(ドネペジル)含有液にさらに金属塩化物を添加してもよい。なお、金属を含有する無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機塩基等が挙げられ、副生成物を生じ難いという観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムであり、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0048】
本発明の経皮吸収製剤において、粘着剤層には必要に応じて、抗酸化剤や各種顔料、各種充填剤、安定化剤、薬物溶解補助剤、薬物溶解抑制剤などの添加剤を配合することができる。例えば、そのような安定化剤または抗酸化剤は特に限定されないが、2−メルカプトベンゾイミダゾール、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等が好ましく、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用できる。かかる安定化剤または抗酸化剤の粘着剤層中の含有量は、粘着剤層全体当たり、好ましくは約0.0005〜5重量%、より好ましくは0.001〜3重量%、最も好ましくは0.01〜1重量%である。
【0049】
本発明の経皮吸収製剤において、粘着剤層の厚みは20〜300μmが好ましく、30〜300μmがより好ましく、50〜300μmが最も好ましい。粘着剤層の厚みが20μm未満であると、十分な粘着力を得ること、有効量のドネペジル等を含有させること、金属塩化物の二次粒子を収容することが困難となるおそれがあり、粘着剤層の厚みが300μmを超えると塗工困難のおそれがある。
【0050】
本発明の経皮吸収製剤は、通常、支持体、粘着剤層及び剥離シートを備える。すなわち、本発明の経皮吸収製剤は、前述の粘着剤層を支持体の少なくとも片面に積層した構造を有し、粘着剤層の粘着面(粘着剤層の支持体に積層した面と反対の面)は、使用の直前まで剥離シートで被覆して保護されていることが好ましい。また、シリコーン系、フッ素系、ワックス等の背面処理剤を支持体上に塗布し、剥離シートを用いずにロール状の形態とすることもできる。
【0051】
支持体は、特に限定はされないが、粘着剤層中のドネペジル等が支持体中を通ってその背面から失われて含有量が低下しないもの(即ち、ドネペジル等に対して不透過性を有する材料)が好ましく、また、後述するように粘着剤層中に液状可塑剤を含有させる態様の場合は、ドネペジル等と液状可塑剤が支持体中を通って背面から失われてそれらの含有量が低下しないもの(即ち、液状可塑剤及びドネペジル等に対して不透過性を有する材料)が好ましい。
【0052】
具体的には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂などの単独フィルム、金属箔、又はこれらから選ばれる2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなどが挙げられる。これらのうち、支持体として粘着剤層との接着性(投錨性)を向上させるために支持体を上記材質からなる無孔性フィルムと下記の多孔性フィルムとのラミネートフィルムとし、多孔性フィルム側に粘着剤層を形成することが好ましい。
【0053】
当該多孔性フィルムとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものであれば特に限定されず、例えば紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)不織布など)、上記のフィルム(例えば、ポリエステル、ナイロン、サラン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、金属箔、ポリエチレンテレフタレートなどの単独フィルム、及びこれらの1種または2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなど)に機械的に穿孔処理したフィルムなどが挙げられ、特に紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布など)が支持体の柔軟性の点から好ましい。多孔性フィルムの厚みは投錨性向上及び粘着剤層の柔軟性を考慮すると通常10〜500μm、プラスタータイプや粘着テープタイプのような薄手の経皮吸収製剤の場合は通常1〜200μm程度である。織布や不織布の場合は、これらの目付量を5〜30g/m2とすることが投錨力の向上の点で好ましい。
【0054】
本発明の経皮吸収製剤の支持体の厚みは、特に限定されないが、好ましくは2〜200μm、より好ましくは10〜50μmである。2μm未満であると、自己支持性等の取扱い性が低下する傾向となり、200μmを超えると、違和感(ごわごわ感)を生じ、追従性が低下する傾向となる。
【0055】
剥離シートとしては、特に制限されず、公知の剥離シートを用いることができる。具体的には、剥離シートとしては、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が剥離シート用の基材の表面に形成された剥離シートや、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム、剥離シート用の基材の表面に、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材による剥離層を形成した構成の剥離シートなどが挙げられる。剥離シートの剥離面は、基材の片面のみであってもよく、両面であってもよい。
【0056】
このような剥離シートにおいて、剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、長鎖アルキル基含有ポリマー、シリコーンポリマー(シリコーン系剥離剤)、フッ素系ポリマー(フッ素系剥離剤)などの剥離剤が挙げられる。剥離シート用の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステル(PETを除く)フィルムなどのプラスチックフィルムやこれらのフィルムに金属を蒸着した金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;金属箔などが挙げられる。
【0057】
また、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体又はランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなどを用いることができる。
【0058】
なお、前記剥離シート用の基材の表面に形成される剥離層は、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材を、前記剥離シート用の基材上に、ラミネート又はコーティングすることにより形成することができる。
【0059】
剥離シートの厚み(全体厚)としては、特に限定するものではないが、通常200μm以下、好ましくは25〜100μmである。
【0060】
本発明の経皮吸収製剤の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、下記の(i)〜(iii)の製造方法により製造するのが好ましい。
【0061】
(i)ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルを、粘着剤、必要に応じて液状可塑剤やその他の添加剤などと共に溶媒へ溶解乃至分散させた薬物含有粘着剤液を調製し、これと、金属塩化物、或いは、エタノールなどの溶媒に金属塩化物を分散した分散液とを混合攪拌し、さらに架橋剤を添加する。そして、このようにして得られた混合液を支持体の片面もしくは剥離シートの剥離処理面に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成し、該粘着剤層に剥離シートもしくは支持体を貼り合わせた後、架橋のためのエージング処理を行う。
【0062】
(ii)液状可塑剤を使用する場合は、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジル、粘着剤、液状可塑剤、必要に応じて使用する添加剤を、そのまま混合攪拌し、これと、金属塩化物、或いは、エタノールなどの溶媒に金属塩化物を分散した分散液とを、混合、攪拌し、さらに架橋剤を添加して得た混合液を、支持体の片面もしくは剥離シートの剥離処理面に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成し、該粘着剤層に剥離シートもしくは支持体を貼り合わせた後、架橋のためのエージング処理を行う。
【0063】
(iii)エタノールなどの溶媒に金属塩化物を分散した分散液とドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルを混合攪拌して薬物含有溶液を調製する。薬物に塩酸ドネペジルを用いる場合は、塩酸ドネペジル、金属水酸化物及び必要によりエタノールなどの溶媒を混合攪拌して中和することによって金属塩化物を生成させ、さらに必要に応じて金属塩化物を添加、混合して、薬物含有溶液を調製する。一方、粘着剤を、必要に応じて液状可塑剤やその他の添加剤などと共に溶媒へ溶解乃至分散させた粘着剤含有液を調製するか、或いは、液状可塑剤を使用する場合は、粘着剤、液状可塑剤、必要に応じて使用する添加剤を、そのまま混合攪拌して粘着剤含有液を調製する。この後、粘着剤含有液に上記の薬物含有溶液を添加、攪拌し、さらに架橋剤を添加し、こうして得られた混合液を支持体の片面もしくは剥離シートの剥離処理面に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成し、該粘着剤層に剥離シートもしくは支持体を貼り合わせた後、架橋のためのエージング処理を行なう。
【0064】
上記(i)〜(iii)の方法において、粘着剤等を溶解乃至分散させる溶媒には、例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、2−プロパノール、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。また、架橋剤を添加した後、これらを粘度調整のために使用することもできる。
【0065】
なお、上記(iii)の方法では、ドネペジルよりも安定で取扱いやすい塩酸ドネペジルを使用して、最終的に粘着剤層中の薬物が経皮吸収性に優れるドネペジル(フリー体)が主体の製剤を製造できるので、優れた経皮吸収性の製剤を確実に製造することができる。
【0066】
本発明の経皮吸収製剤の形状は限定されず、例えば、テープ状、シート状などを含む。また、本発明の経皮吸収製剤の投与量は、使用する粘着剤や液状可塑剤の種類や量、患者の年齢、体重、症状などにより異なるが、通常、成人に対して、ドネペジルまたは塩酸ドネペジル2〜150mgを含有した経皮吸収製剤を皮膚5〜120cm2に、7日に1回〜1日に1回程度貼り付けるのが好ましい。
【実施例】
【0067】
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の文中で部とあるのは全て重量部を意味する。
【0068】
1.アクリル系粘着剤の調製
(1)アクリル系粘着剤溶液A
不活性ガス雰囲気下、アクリル酸2−エチルへキシル75部、N−ビニル−2−ピロリドン22部、アクリル酸3部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2部を酢酸エチル中60℃にて溶液重合させて粘着剤溶液A(粘着剤固形分:28重量%)を得た。
【0069】
(2)アクリル系粘着剤溶液B
不活性ガス雰囲気下、アクリル酸2−エチルヘキシル95部、アクリル酸5部および過酸化ベンゾイル0.2部を酢酸エチル中60℃にて溶液重合させてアクリル系粘着剤溶液B(粘着剤固形分:35重量%)を得た。
【0070】
2.ドネペジルを用いて製造する経皮吸収製剤
実施例1
粘着剤固形分51部を含む量のアクリル系粘着剤溶液A、ミリスチン酸イソプロピル40部、ドネペジル8部を容器中で均一になるように混合攪拌を行った。その後、この混合物にエタノールに分散した一次粒径が約10μm、二次粒径が約50μmの塩化ナトリウム1部をさらに添加して攪拌し、次に、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを粘着剤固形分100部当たり0.4部となる量添加し、酢酸エチルで粘度を調整し、この液状物をPETフィルム(75μm厚)に乾燥後の厚みが60μmになるように塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、シリコーン剥離処理したPETフィルム(12μm厚)に貼りあわせ、70℃で48時間エージング処理(粘着剤層の架橋処理)を行って、ドネペジルの経皮吸収製剤を得た。
【0071】
実施例2
アクリル系粘着剤溶液Aの量を粘着剤固形分含量が49部となる量に変更し、エタノールに分散した塩化ナトリウムの添加量を3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ドネペジルの経皮吸収製剤を得た。
【0072】
実施例3
アクリル系粘着剤溶液Aの量を粘着剤固形分含量が47部となる量に変更し、エタノールに分散した塩化ナトリウムの添加量を5部に変更した以外は実施例1と同様にして、ドネペジルの経皮吸収製剤を得た。
【0073】
実施例4
粘着剤固形分49部を含む量のアクリル系粘着剤溶液B、ミリスチン酸イソプロピル40部、ドネペジル8部を容器中で均一になるように混合攪拌を行った。その後、この混合物にエタノールに分散した実施例1と同様の塩化ナトリウム3部をさらに添加して攪拌し、次に、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを粘着剤固形分100部当たり0.4部となる量添加し、酢酸エチルで粘度を調整し、この後は、実施例1と同様の操作を行ってドネペジルの経皮吸収製剤を得た。
【0074】
比較例1
粘着剤固形分52部を含む量のアクリル系粘着剤溶液A、ミリスチン酸イソプロピル40部、ドネペジル8部を容器中で均一になるように混合攪拌を行い、さらにエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを粘着剤固形分100部当たり0.4部となる量添加し、酢酸エチルで粘度を調整し、この後は、実施例1と同様の操作を行ってドネペジルの経皮吸収製剤を得た。
【0075】
比較例2
粘着剤固形分52部を含む量のアクリル系粘着剤溶液Aを、粘着剤固形分52部を含む量のアクリル系粘着剤溶液Bに変更した以外は比較例1と同様にしてドネペジルの経皮吸収製剤を得た。
【0076】
3.実験例1
上記各実施例および各比較例にて作製した経皮吸収製剤について、以下に示す凝集破壊評価試験を行った。
【0077】
[凝集破壊評価試験]
実際の皮膚に貼付された場合を想定し、粘着剤層の凝集力を次の方法で評価した。得られた製剤から10cm2(3.16cm×3.16cm)の試料を打ち抜いた。皮膚表面の環境を再現するために、0.4wt%乳酸を含む生理食塩水をガラス製シャーレに5mL添加し、そこに試料をセパレーターを剥がし粘着面が下になるように浸漬した(浮かせた)。浸漬開始から1日(24時間)経過後にその製剤を取り出し、表面を乾燥させた後、指で触ることにより評価した。結果を表1に示した。
【0078】
【表1】

【0079】
表1の結果から、粘着剤層にドネペジルとともに金属塩化物を含有させることで、皮膚貼付時の粘着剤層の凝集破壊が生じ難い製剤を得ることができることが分かった。
【0080】
4.塩酸ドネペジルを用いて製造する経皮吸収製剤
実施例5
粘着剤固形分を50.13部含む量のアクリル系粘着剤溶液A、ミリスチン酸イソプロピル40部を容器中で均一になるように混合攪拌を行い、別な容器で、塩酸ドネペジル9部と水酸化ナトリウムの10wt%エタノール溶液0.87部とを混合攪拌した。そして、かかる薬液含有混合液を前記の粘着剤溶液Aとミリスチン酸イソプロピルの混合液に添加して、攪拌を行い、さらにエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを粘着剤固形分100部当たり0.4部となる量添加し、酢酸エチルで粘度を調整し、この液状物を、PETフィルム(75μm厚)に乾燥後の厚みが60μmになるように塗布し、乾燥して、シリコーン離型処理したPETフィルム(12μm厚)に貼りあわせた後、70℃で48時間エージング処理を行い、経皮吸収製剤を得た。
【0081】
実施例6
アクリル系粘着剤溶液Aの量を粘着剤固形分含量が46.85部となる量に変更し、塩酸ドネペジルの量を12部に変更し、水酸化ナトリウムの10wt%エタノール溶液の量を1.15部に変更した以外は実施例5と同様にして、経皮吸収製剤を得た。
【0082】
実施例7
アクリル系粘着剤溶液Aの量を粘着剤固形分含量が43.56部となる量に変更し、塩酸ドネペジルの量を15部に変更し、水酸化ナトリウムの10wt%エタノール溶液の量を1.44部に変更した以外は実施例5と同様にして、経皮吸収製剤を得た。
【0083】
実施例8
粘着剤固形分を50.13部含む粘着剤溶液Aの代わりに粘着剤固形分を50.13部含む粘着剤溶液Bを使用した以外は実施例5と同様にして、経皮吸収製剤を得た。
【0084】
実施例9
アクリル系粘着剤溶液Aの量を粘着剤固形分含量が60.13部となる量に変更し、ミリスチン酸イソプロピルの量を30部に変更した以外は実施例5と同様にして、経皮吸収製剤を得た。
【0085】
実施例10
アクリル系粘着剤溶液Aの量を粘着剤固形分含量が40.13部となる量に変更し、ミリスチン酸イソプロピルの量を50部に変更した以外は実施例5と同様にして、経皮吸収製剤を得た。
【0086】
比較例3
粘着剤固形分を49.42部含む量のアクリル系粘着剤溶液A、ミリスチン酸イソプロピル40部を容器中で均一になるように混合攪拌を行い、別な容器で、塩酸ドネペジル9部、n−ブチルアミンの10wt%2−プロパノール溶液1.58部とを混合攪拌した。そして、かかる薬液含有混合液を前記の粘着剤溶液Aとミリスチン酸イソプロピルの混合液に添加して、攪拌を行い、さらにエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを粘着剤固形分100部当たり0.4部となる量添加し、酢酸エチルで粘度を調整し、この液状物を用いて、実施例5と同様の操作で経皮吸収製剤を得た。
【0087】
比較例4
粘着剤固形分を49.09部含む量のアクリル系粘着剤溶液B、ミリスチン酸イソプロピル40部を容器中で均一になるように混合攪拌を行い、別な容器で、塩酸ドネペジル9部、N,N−ジメチルジアミンの10wt%2−プロパノール溶液1.91部とを混合攪拌した。そして、かかる薬液含有混合液を前記の粘着剤溶液Bとミリスチン酸イソプロピルの混合液に添加して、攪拌を行い、さらにエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを粘着剤固形分100部当たり0.4部となる量添加し、酢酸エチルで粘度を調整し、この液状物を用いて、実施例5と同様の操作で経皮吸収製剤を得た。
【0088】
比較例5
粘着剤固形分を46.86部含む量のアクリル系粘着剤溶液B、ミリスチン酸イソプロピル40部を容器中で均一になるように混合攪拌を行い、別な容器で、塩酸ドネペジル9部、トリイソプロパノールアミンの10wt%2−プロパノール溶液4.14部とを混合攪拌した。そして、かかる薬液含有混合液を前記の粘着剤溶液Bとミリスチン酸イソプロピルの混合液に添加して、攪拌を行い、さらにエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを粘着剤固形分100部当たり0.4部となる量添加し、酢酸エチルで粘度を調整し、この液状物を用いて、実施例5と同様の操作で経皮吸収製剤を得た。
【0089】
5.実験例2
上記実施例5〜10および比較例3〜5にて作製した経皮吸収製剤について、前記の凝集破壊評価試験を行なった。結果を下記の表2に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
表2の結果から、塩酸ドネペジルと金属を含む無機塩基の混合溶液を使用して粘着剤層を形成した実施例5〜10の製剤は、粘着剤層にドネペジルとともに金属塩化物を含有させた実施例1〜4の製剤と同様に皮膚貼付時の粘着剤層の凝集破壊を抑制できることが分かった。一方、塩酸ドネペジルと金属を含まない塩基性化合物(n−ブチルアミン、N,N−ジメチルジアミン、トリイソプロパノールアミン)の混合溶液を使用して粘着剤層を形成した比較例3〜5の製剤は、粘着剤層にドネペジルとともに金属塩化物を含有させなかった比較例1、2の製剤と同様に皮膚貼付時に粘着剤層の凝集破壊し易いものであった。従って、塩酸ドネペジルと金属を含む無機塩基の混合溶液の調製時の中和反応によって金属塩化物が生じ、該金属塩化物の存在によって、粘着剤層にドネペジルとともに金属塩化物を含有させた場合と同様の皮膚貼付時の粘着剤層の凝集破壊が生じにくい製剤を達成できることを確認できた。
【0092】
6.実験例3
前記の方法で実施例1〜10の製剤の塩化ナトリウムの一次粒径及び二次粒径を測定した。実施例1〜5の製剤の塩化ナトリウムの一次粒径は約10μmであり、二次粒径は約50μmであった。実施例6〜10の製剤の塩化ナトリウムの一次粒径はそれぞれ約2〜3μmであり、二次粒径はそれぞれ約20μmであった。それぞれの実施例について、粘着剤層表面の平滑性を目視評価し、および貼付感を粘着剤層表面に指で触れて官能評価した。実施例6〜10が、実施例1〜5と比較して、より平滑性および貼付感が良好である傾向がみられた。
【0093】
7.その他の製剤例
実施例11
実施例5の製剤の製造工程に準拠して下記構成の経皮吸収製剤を作製した。なお、粘着剤層中のメタ重亜硫酸ナトリウムとアスコルビン酸は、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートの添加前に添加した。
(A)支持体
PET不織布(目付け量12g/m2)/PETフィルム(2.0μm)の積層体
(B)粘着剤層
組成(粘着剤層重量基準)
ドネペジル(フリー塩基) 7.57重量%
アクリル系粘着剤A 40.53重量%
ミリスチン酸イソプロピル 50.00重量%
塩化ナトリウム 1.16重量%
水酸化ナトリウム 0.01重量%
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.50重量%
アスコルビン酸 0.05重量%
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート0.18重量%
(合計 100.00重量%)
(C)剥離シート
表面をシリコーン剥離処理した75μm厚PETフィルム
【0094】
実施例12
実施例5の製剤の製造工程に準拠して下記組成の粘着剤層を有する経皮吸収製剤を作製した。なお、支持体と剥離シートは実施例11と同じものを使用した。
ドネペジル(フリー塩基) 7.57重量%
アクリル系粘着剤A 41.08重量%
ミリスチン酸イソプロピル 50.00重量%
塩化ナトリウム 1.16重量%
水酸化ナトリウム 0.01重量%
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート0.18重量%
(合計 100.00重量%)
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したとおり、本発明の経皮吸収製剤によれば、ドネペジルおよび/または塩酸ドネペジルを含有し、架橋されている粘着剤層中に金属塩化物を含有させたことにより、皮膚貼付時に粘着剤層の凝集力低下が抑制でき、その結果、剥離時の凝集破壊による糊残りが生じくい安定な経皮吸収製剤を実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層に2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オンおよび/またはその塩酸塩と金属塩化物とを含み、粘着剤層が架橋されていることを特徴とする経皮吸収製剤。
【請求項2】
粘着層が、架橋剤を使用して架橋されている、請求項1に記載の経皮吸収製剤。
【請求項3】
架橋剤が、金属アルコラート又は金属キレート化合物である、請求項2記載の経皮吸収製剤。
【請求項4】
粘着剤がアクリル系粘着剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項5】
粘着剤層がさらに液状可塑剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項6】
液状可塑剤が、炭素数12〜16の高級脂肪酸と炭素数が1〜4の低級1価アルコールからなる脂肪酸アルキルエステルである、請求項5に記載の経皮吸収製剤。
【請求項7】
金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズおよび塩化第二鉄から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項8】
金属塩化物が、塩化ナトリウムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項9】
金属塩化物が、2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オンの塩酸塩を金属を含む無機塩基で中和して生じさせた塩である、請求項1に記載の経皮吸収製剤。
【請求項10】
金属を含む無機塩基が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩基である、請求項9記載の経皮吸収製剤。

【公開番号】特開2013−75900(P2013−75900A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−267249(P2012−267249)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2008−547064(P2008−547064)の分割
【原出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】