説明

経皮投薬デバイス及びその製造方法、並びにその輸送用コンテナ

【課題】 従来の微細糖質針を臨床施行する際、微細糖質針を設けた基板が掴み難く、皮膚に対する角度調整も難しく、また手より発生する湿気の為に微細糖質針が一部溶解したり、微細糖質針が少しでも他に触れると破損したりして形状欠損が発生し、微細糖質針の皮膚挿入に支障をきたすことが多く、微細糖質針の操作(ハンドリング)に関して、簡便、確実かつ安全に行う手段、方法を開発することが重要課題であった。
【解決手段】 本発明の経皮投薬デバイスにおいては、基板側面に微細糖質針を一列に複数個配列した基板に対して、更にその基板を複数個重ね合わせて微細糖質針を多数列に配列した基板に対して、ハンドル(持ち柄)及び微細糖質針保護用ガードを取付けることにより、また前記デバイスの収納に輸送用コンテナを用いることにより、諸々の課題を解決し、微細糖質針の操作を簡便、確実かつ安全に行なえるという効果を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の皮膚に対して、医療に供する薬剤、生体物質を微細糖質針により挿入する経皮系投薬技術及びその製造方法、並びにその輸送用コンテナに関するものである。また、本発明は、人の皮膚に対して、美肌に供する栄養剤、栄養補助剤、又は美容に供する色素である化粧材を微細糖質針により挿入する経皮系投与技術、又は肌修飾技術及びその製造方法、並びにその輸送用コンテナに関するものである。更に、本発明は、DNA、アミノ酸、蛋白質、ヒトIgG抗体、ワクチン等の生体物質を、安全かつ確実に経皮投与する技術及びその製造方法、並びにその輸送用コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無痛状態での経皮系投薬を目的とした微細針が盛んに開発されてきたが、微細針の素材として金属やプラスチックのような工業材料を使うものが大半であった。しかしながら、近年、安全性を重視し、実用性の高い、生体に馴染む糖質素材の微細針、すなわち微細糖質針が製品化される段階に達した。
【0003】
微細糖質針による薬剤の投与方法としては、薬剤を微細針素材である糖質に混在する方法をとっていた。その為、薬剤投与量を確保するべく、多数の微細糖質針を立てた剣山形状の微細糖質針が開発され、その製造方法として射出成形法が適用された。
【0004】
他方、皮膚に刺さり易く、かつ折れ易くすることを目的として、実用性に富む、一列に微細針を基板上に並べた櫛形状の微細糖質針が開発され、更には、基板上に設ける剣山状引き上げ微細糖質針等が開発された。
【0005】
このような開発状況下、安全性、簡便性を大きく向上させた皮膚用微細針として、無痛状態にて皮膚又は皮膚角質層への機能付与(例えば、皮膚美容修飾、皮膚機能再生等)を行う、マイクロパイル及びその製造方法(例えば、特許文献1参照)が提供されている。
【特許文献1】 特開2003−238347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一列に微細針を配列した微細糖質針において、経皮系薬剤投与を目的として臨床にて使用するとき、皮膚表面に対して針が挿入しやすいように角度調節する必要がある。しかし、手で持つところの微細糖質針を設けた基板は小さいため手で掴みにくく、場合によっては、手より発生する湿気のために微細糖質針が一部溶解して形状欠損が発生したりして、微細糖質針の皮膚への挿入に支障をきたすことが多く、これらのことが大きな課題となっていた。
【0007】
また、薬剤量確保のため、上記一列配列の微細糖質針を多数列に配列した微細糖質針を臨床施行する際、手で持つところの微細糖質針を設けた基板が小さいうえに、更には重なった基板の厚みが障壁となり、前記一列配列の微細糖質針の場合よりも手で掴みにくく、微細糖質針の皮膚への挿入に支障をきたすことととなり、このことも重要課題となっていた。
【0008】
更には、臨床において、上記の微細糖質針を皮膚に挿入する際、微細糖質針が少しでも他に触れると破損するほど脆く、また基板以外に手でつかむところは無く、これらのことが微細糖質針の操作(ハンドリング)を困難としていた。従って、前記微細糖質針の操作を、簡便かつ安全に行う手段、方法を開発することが喫緊の課題となっていた。
【0009】
従来の薬剤等を混在させる微細糖質針においては、微細針を設ける基板も糖質であって微細針と連係して製造するため、基板に薬剤等が無駄に混在することとなる。そこで、微細針と基板を分離するべく、糖質とは異なる素材を基板に使用することにより、薬剤等が基板に無駄に混入することを防止できる。しかしながら、その際、微細針部と基板との接着が脆弱になり、微細針部を皮膚に挿入させる際、針部がその脆弱な接着部位近傍で折れて皮膚に刺さらずに実用性が極度に低下するという点が重要課題となっていた。従って、実用性のより高い形状である櫛形状、剣山形状の微細糖質針でさえ、基板が糖質とは異なる材質であるため、皮膚に挿入する時には折れるほど脆く、実用面で耐え得るものではなかった。尚、従来の櫛形状の微細糖質針の外形及びその断面を図1及び図2に示すが、ここでは微細糖質針1の材質(糖質)と基板2の材質が異なり、微細糖質針1と糖質以外の素材からなる基板2とは接着状態にあり、その接着部位3が脆くなり、皮膚挿入時に微細糖質針1が接着部位3近傍で非常に折れ易くなるという欠点がある。
【0010】
また、従来の微細糖質針においては、微細針部と基板部を分けて微細糖質針を製作する場合、微細針上面と基板上面とに段差が生じることに起因して、微細針の根元において十分に平滑な面の成形ができないため、微細針の根元の強度が低下し、その脆弱な根元近傍で微細針が非常に折れ易くなり、皮膚に刺さらないという点も重要課題となっていた。
【0011】
従来の微細糖質針では、微細針以外の基板等の材質として工業材料を画一的に利用しており、臨床施行における被験者、使用環境等の諸条件に柔軟に対応できるものでなく、また、使用後の廃棄において、前記基板等の材質が画一的な工業材料の場合には環境汚染及び破壊につながる危惧があり、この点が問題となっていた。従って、前記基板等の材質として、前述の諸条件に柔軟に対応できるものを開発することが課題であった。
【0012】
更に、従来の微細糖質針においては、皮膚内に挿入できる微細針部の体積が小さ過ぎるため、糖質からなる針部に混在させた薬剤だけでは、十分な投与量が確保できないという欠点があった。そこで、この欠点を解決すべく、微細針に薬剤、化粧材、生体物質等を混在させた上で、更には前記薬剤等を断片(チップ)化し、これらを微細針に内包、搭載させたものが開発されてきたが、微細針が微小のため、前記薬剤等の混在量が少なく、また前記薬剤チップ等も微小化され、その分だけ薬剤等の皮膚への投与量が制限されるという点が大きな課題となっていた。また、微細糖質針において薬剤や生体物質等を含有、内包することにより、前述の脆弱な接着部位3を有する微細糖質針では、微細糖質針の根元近傍だけでなく微細針自体の強度も低下するため、臨床施行の際に微細針が脆くなり皮膚へ挿入できないという点も課題であった。
【0013】
前述の微細糖質針の操作を簡便かつ安全に行う手段、方法の開発においては、臨床で微細糖質針を皮膚へ挿入する際、挿入角度によっては基板をもつ手が邪魔をして微細針先端の目視が困難になるという欠点があった。しかるに、たとえ微細針部の目視が可能であったとしても、もともと微小な針先端そのものの目視が困難であるということも大きな問題となっていた。
【0014】
従来、微細糖質針を簡便に輸送、運搬する場合には袋包装が使用されてきたが、脆弱な微細糖質針先端が袋の包装壁に触れて破損する事故が多く発生することが問題であった。そこで、微細糖質針を保護するための手段、方法を開発することが課題となっていた。
【0015】
微細糖質針の素材が糖質であるため、特に糖質素材がマルトースの場合には、大気の湿気でマルトースが容易に溶解するので、微細糖質針の通常使用時において、微細糖質針の皮膚への挿入に要する時間が長くなり過ぎると、微細針部が溶解喪失する事故が多々発生するという点が問題であった。また、従来は、複数個の微細糖質針を同一防湿ケースに収めていたため、1個使用する度に残りの微細糖質針が大気の湿気に晒されて一部溶解したり、脆くなったりして、微細針の形状欠損が危惧される点が問題であった。そこで、微細糖質針については、個別に、他に接触することなく安定に、湿気から守るための手段、方法を開発することが大きな課題となっていた。
【0016】
一列に配列された微細糖質針を有する基板を重ね合せて接着することにより、多数列に配列された微細糖質針を製作する際、高精度の重ね合わせを行うには、顕微鏡の使用を前提する緻密で困難な作業を要し、このことが重要課題となっていた。そこで、多数列に配列された微細糖質針の製作については、簡便、確実かつ高精度に、前記基板の重ね合わせを行うための手段、方法を開発することが重要課題となっていた。すなわち、簡便、確実かつ高精度に、如何なる手段、方法にて前記基板を重ね合わせるか、また如何なる手段等にて前記基板同士を接着させるか、ということが解決すべき課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した諸々の課題を解決するべく、本発明者らは鋭意研究開発を行ったところ、本発明においては、これらの課題を解決するための手段、方法として、
(1)基板側面に、針長さが200μmから1mm、針先端部の太さが1μmから50μm、針末端部の太さが50μmから300μmの微細糖質針を一列に複数個配列し、ハンドルの基板取付け部に前記基板を取付けた構造であることを特徴とする経皮投薬デバイス、並びに、
(2)基板側面に、針長さが200μmから1mm、針先端部の太さが1μmから50μm、針末端部の太さが50μmから300μmの微細糖質針を一列に複数個配列し、さらに前記基板を複数個重ね合わせて前記微細糖質針を多数列に配列し、ハンドルの基板取付け部に前記複数個重ね合わせた基板を取付けた構造であることを特徴とする経皮投薬デバイス、並びに、
(3)前記ハンドルが短冊形状又は棒形状であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(4)前記ハンドルがL字形状であり、前記基板取付け部における基板取付け面が、前記L字形状ハンドルの基板取付け部の外側面又は内側面であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(5)前記基板側面が、基板上面側端に位置する嵌入部に溶接された微細糖質針取付け部の側面であることを特徴とする前記(1)から(4)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(6)前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面とが連続平滑面をなすことを特徴とする前記(5)記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(7)前記基板の素材が、プラスチック、木、金属、紙、糖質材、ゼラチン、蛋白固形物、から選ばれる1又は2以上であることを特徴とする前記(1)から(6)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(8)前記微細糖質針の糖質素材がマルトース、前記基板の素材が紙又はプルランであることを特徴とする前記(1)から(6)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(9)前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して前記グルコース被覆面上に薬剤をチップ化して搭載したこと、及び/又は前記微細糖質針内部に薬剤を含有したことを特徴とする前記(6)から(8)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(10)前記薬剤が、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ヒアルロン酸、コラーゲン、ヒトIgG、ヒトIgM、抗体医薬、核酸医薬、色素、ビタミンA、ビタミン類、インスリン、ホルモン、から選ばれる1又は2以上であることを特徴とする前記(9)記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(11)前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して前記グルコース被覆面上に生体物質をチップ化して搭載したこと、及び/又は前記微細糖質針内部に生体物質を内包したことを特徴とする前記(6)から(8)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(12)前記生体物質が、DNA、アミノ酸、蛋白質、ヒトIgG抗体、ワクチン、細胞内微小体、細胞、微生物、から選ばれる1又は2以上であることを特徴とする前記(11)記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(13)前記ハンドルが透明材からなることを特徴とする前記(1)から(12)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(14)前記L字形状ハンドルに前記微細糖質針先端部の拡大視用レンズが設けられたことを特徴とする前記(4)から(13)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(15)前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガード、及び前記ハンドルの端部に前記保護用ガードの取付け部を有することを特徴とする前記(1)から(14)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(16)前記ハンドルの端部にある、ハンドル及びガード両面接着部を介して、前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガードを有することを特徴とする前記(1)から(14)いずれかに記載の経皮投薬デバイス、並びに、
(17)前記(1)から(16)いずれかに記載の経皮投薬デバイスの輸送用コンテナであって、前記微細糖質針の溶解防止用に乾燥機能を有する乾燥剤保持部、及び前記ハンドルに取付けられた微細糖質針の振動防止用に防振機能を有する蓋部を内蔵したことにより、前記微細糖質針の形状欠損を防止すること特徴とする経皮投薬デバイスの輸送用コンテナ、並びに、
(18)前記蓋部に、前記ハンドルを押さえて固定する為の押さえを有することを特徴とする前記(17)記載の経皮投薬デバイスの輸送用コンテナ、並びに、
(19)前記(2)記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板後部を基準当て板にあてて、前記基準当て板に対応して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法、並びに、
(20)前記(2)記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により前記各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように前記各基板を駆動して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法、並びに、
(21)前記(2)記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板の一部にアパーチャーを設け、光線により前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法、並びに、
(22)前記光線がレーザー光線であることを特徴とする前記(21)記載の経皮投薬デバイスの製造方法、並びに、
(23)前記(1)又は(2)記載の経皮投薬デバイスの製造方法において、前記基板と前記ハンドル間の接着剤として両面粘着テープ又は多糖類を使用することを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法、並びに、
(24)前記(2)記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板間の接着剤として多糖類を使用することを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法、としたものである。
【0018】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、基板側面に一列に複数個配列された微細糖質針を取付けた基板に対して、更に前記基板を複数個重ね合わせて前記微細糖質針を多数列に配列した微細糖質針を取り付けた基板に対して、臨床施行の際に前記基板を簡便、確実かつ安全に操作するための持ち柄、或は取っ手としてのハンドルを取付けることにより、臨床施行では、前記基板をより掴み易くなり、また手と微細糖質針の距離を十分に保つことができるので、手からの湿気による微細針の形状欠損事故を回避することができる。従って、このハンドルの取付けにより、前述の微細糖質針を設けた基板が小さいために手で掴みにくいという問題、並びに手より発生する湿気のために微細糖質針が一部溶解して形状欠損が発生するという問題、また重なった基板の厚みが障壁となり、一列に配列された前記微細糖質針の場合よりも手で掴みにくくなるという問題、更に臨床で問題となる微細糖質針の接触破損の問題をも解決することが可能となった。尚、このハンドルを短冊形状又は棒形状とすることにより、臨床施行では、容易に皮膚表面に対する微細糖質針の挿入角度を調節しながら、薬剤や生体物質を投与することが可能となった。更には、このハンドルをL字形状とすることにより、臨床施行において、微細糖質針の先の押し付け圧力を軽減しても、安定に、皮膚表面に微妙な角度調節をしながら、より的確に薬剤や生体物質を投与することが可能となった。
【0019】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記基板側面が、基板上面側端に位置する嵌入部に溶接された微細糖質針取付け部の側面であることにより、皮膚に対する臨床施行時の微細針部と基板との接着部位近傍における脆弱さに起因する破損を防止することが可能となった。すなわち、微細糖質針と同じ素材の糖質からなる微細糖質針取付け部と微細糖質針を一体として金型成型加工して微細針根元の強度を向上させた上で、前記微細糖質針取付け部を基板上面側端に嵌入させるために設けられた、基板上面側端に位置する嵌入部に対して、前記微細糖質針取付け部を溶接することにより、基板全体の強度を向上させることが可能となった。このことにより、簡便、確実かつ安全に微細糖質針が皮膚へ挿入することとなる。
【0020】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面とが連続平滑面をなすことにより、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面とに段差が生じす、前記微細糖質針の根元において十分に平滑な面の成形ができるため、前記微細針根元近傍で強度を向上させることが可能となった。このことにより、皮膚への挿入時に微細糖質針が折れることなく、簡便、確実かつ安全に臨床施行できることとなった。
【0021】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記基板の素材が、プラスチック、木、金属、紙、糖質材、ゼラチン、蛋白固形物、から選ばれる1又は2以上であるとすることにより、臨床施行における被験者、使用環境等の諸条件に柔軟に対応することが可能となる。例えば、基板を糖質素材で製作すると、被験者にも優しい素材であり、また水溶性であるので廃棄が容易で環境保全型にもなる。その他に例えば、ガードを糖質素材で製作すると、水溶性であるので廃棄が容易で環境保全型になる。
【0022】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して前記グルコース被覆面上に薬剤や生体物質をチップ化して搭載したこと、及び/又は前記微細糖質針内部に薬剤や生体物質を含有、内包したことにより、従来と比べてより大きな薬剤チップや生体物質チップを搭載することが可能となり、また微細糖質針内部にだけ薬剤等を含有、内包するので薬剤等が無駄にならないこととなった。このことにより、従来の微細糖質針において問題視されていた、薬剤や生体物質の皮膚への投与量が制限されるという点が大きく改善された。また、グルコース被覆面を介して、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面と、薬剤等のチップが接着されるため、グルコースの素材としての性質に由来する、安全性、接着性、安定性においても非常に優れたものとなった。
【0023】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記ハンドルが透明材からなることにより、微細糖質針先端や皮膚表面がハンドルによって視認阻害されることがなくなったため、臨床施行において、微細糖質針の針先から皮膚表面までの距離が把握しやすく、微細糖質針の先の押し付け圧力を軽減しても安定に、皮膚表面に微妙な角度調節しながら、微細糖質針の接触破損なく、より的確に皮膚へ薬剤を投与することが可能となった。
【0024】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記L字形状ハンドルに前記微細糖質針先端部の拡大視用レンズが設けられたことにより、皮膚上の患部を拡大して見ることでき、より正確に臨床施行を行うことが可能となった。
【0025】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガード、及び前記ハンドルの端部に前記保護用ガードの取付け部を有する構造をとることにより、すなわち、臨床において、脆弱な一列配列の微細糖質針を保護するために短冊形状ハンドルには短冊形状適合ガードを、棒形状ハンドルには棒形状適合ガードを、L字形状ハンドルにはL字形状適合ガードをつけると、輸送、運搬においても、更には、簡易な樹脂薄膜のような柔軟な包装内においても接触破損を防止することができる。また、本発明の経皮投薬デバイスにおいては、 前記ハンドルの端部にある、ハンドル及びガード両面接着部を介して、前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガードを有する構造をとることにより、上記の各形状適合ガードをつけることにより、輸送等においても、更には、柔軟な包装内においても接触破損を防止することができる。
【0026】
本発明の経皮投薬デバイスの輸送コンテナにおいては、前記微細糖質針の溶解防止用に乾燥機能を有する乾燥剤保持部、及び前記ハンドルに取付けられた微細糖質針の振動防止用に防振機能を有する蓋部を内蔵したことにより、前記微細糖質針の形状欠損を防止し、ケース内収納あるいは輸送、運搬において経皮投薬デバイスを安定にし、取り出し時に前記微細糖質針のケース側壁接触を防止することが可能となった。すなわち、ケース内に収めたハンドル付きの微細糖質針を取り出すとき、破損するため脆弱な針先が少しでもケース側壁に触れないようなケース内収納時の安定と、取り出す際に側壁接触がないような構造に纏めた乾燥剤保持部を内蔵したケース内に収めることによって、微細糖質針は大気中の湿気で起こる溶解形状劣化をなくすことができる。ただし、複数包装における1個使用後の残りが大気に晒される危険性をさけるため、1ケースには1個の微細糖質針だけが個包装に収めることとする。また、本発明の経皮投薬デバイスの輸送コンテナにおいては、前記蓋部に、前記ハンドルを押さえて固定する為の押さえを有することにより、ケース内収納あるいは輸送、運搬において安定にし、取り出し時にケース側壁接触を防止することが可能となった。
【0027】
本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、本発明の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板後部を各種形状の基準当て板にあてて、前記基準当て板に対応して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることにより、簡便かつ高精度で微細糖質針の多数列配列が可能となった。すなわち、前記一列配列の微細糖質針を有する基板を重ね合せて多数列に微細糖質針を配列する際、微細糖質針が面一に高精度に並べる必要があるが、通常は顕微鏡を通した効率の悪いに作業となるが、前記一列配列の微細糖質針の基板後部を基準当て板に当てることによって容易に高精度配列が可能になる。また、重ね合せ用の基準当て板面を変形させることによって、それに対応するように一列配列の微細糖質針の針先の配列も変形でき、皮膚表面の変形にも対応できる柔軟な構造とすることが可能となった。
【0028】
本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、本発明の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により前記各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように前記各基板を駆動して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることにより、簡便かつ高精度で微細糖質針の多数列配列が可能となった。従って、幅を持たせた光線より得られる基板の画像を捉えるシステムで、基板の画像間を重ね合わせについて画像処理すれば、より高精度の重ね合わせ機構が得られることとなる。その際には、基板の端にノッチを切り込むと焦点が得られ、ノッチの特徴形状のパターン認識(画像処理技術)によって針先端の位置決めが容易になる。また、本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、本発明の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板の一部にアパーチャーを設け、光線により前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることにより、簡便かつ高精度で微細糖質針の多数列配列が可能となった。尚、重ね合わせ精度を向上させる方法としては、光線の直進性を利用する方法があるが、そのためには、基板の一部に穴を開けてアパーチャーを設けて、光線を透過できるようにすればよいこととなる。また、光線には、レーザー光を採用すれば、精度がさらに上がることとなる。
【0029】
本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、前記基板と前記ハンドル間の接着剤として両面粘着テープ又は多糖類を使用することにより、簡便かつ確実に、基板とハンドル間の接着を強固なものとすることが可能となった。また、本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、本発明の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板間の接着剤として多糖類を使用することにより、簡便かつ確実に、基板間の接着を強固なものとすることが可能となった。すなわち、紙からなる基板間に粘着性の多糖類を使用して接着することによって、石油系素材を一切含まず、環境に良好な製品とすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記一列配列又は前記多数列配列の微細糖質針における前記基板に対してハンドルを取付けることにより、臨床施行では前記基板を掴み易くなり、また微細針の形状欠損事故を避けられるという効果が得られる。また、このハンドルを短冊形状又は棒形状とすることにより、臨床施行では容易に皮膚表面に対する微細糖質針の挿入角度を調節しながら、薬剤や生体物質を投与できるという効果が得られる。更に、このハンドルをL字形状とすることにより、臨床施行において微細糖質針の先の押し付け圧力を軽減しても、安定に、皮膚表面に微妙な角度調節をしながら、より的確に薬剤や生体物質を投与できるという効果が得られる。
【0031】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記基板側面が、基板上面側端に位置する嵌入部に溶接された微細糖質針取付け部の側面であるとすることにより、皮膚に対する臨床施行時の微細針部と基板との接着部位近傍における脆弱さに起因する破損を防止でき、また、簡便、確実かつ安全に微細糖質針が皮膚へ挿入できるという効果が得られる。更には、本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面とが連続平滑面をなすことにより、微細針根元近傍で強度を向上させること、また、皮膚への挿入時に微細糖質針が折れることなく、簡便、確実かつ安全に臨床施行できるという効果が得られる。
【0032】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記基板の素材が、プラスチック、木、金属、紙、糖質材、ゼラチン、蛋白固形物、から選ばれる1又は2以上であるとすることにより、臨床施行における被験者、使用環境等の諸条件に柔軟に対応し、環境保全型の経皮投薬デバイスと成すという効果が得られる。
【0033】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記グルコース被覆面上に薬剤等チップを搭載、及び/又は前記微細糖質針内部に薬剤等を含有、内包したことにより、従来と比べてより大きな薬剤チップや生体物質チップを搭載することが可能となり、また微細針内部に薬剤等を含有、内包するので薬剤や生体物質が無駄にならないこととなり、薬剤等の皮膚への投与量が制限されるという点が大きく改善される効果が得られる。更に前記グルコース被覆面を利用するため、安全性、接着性、安定性においても非常に優れた効果が得られる。
【0034】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記ハンドルが透明材であるため、微細針の針先から皮膚表面までの距離が把握でき、より的確に皮膚へ薬剤を投与できるという効果が得られる。また、前記拡大視用レンズを設けたことにより、皮膚上の患部を拡大して見ることでき、より正確に臨床施行できるという効果が得られる。
【0035】
本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記微細糖質針保護用ガード及び前記保護用ガードの取付け部を有する構造をとることにより、又は前記ハンドル及びガード両面接着部を介して前記微細糖質針保護用ガードを有する構造をとることにより、臨床施行、又は輸送、運搬、更には柔軟な包装内においても接触破損を防止できるという効果が得られる。
【0036】
本発明の経皮投薬デバイスの輸送コンテナにおいては、前記乾燥剤保持部及び前記蓋部を内蔵したことにより、前記微細糖質針の形状欠損を防止でき、ケース内収納あるいは輸送、運搬において経皮投薬デバイスを安定にし、取り出し時に前記微細糖質針のケース側壁接触を防止できるという効果が得られる。また、前記蓋部に、前記ハンドルを押さえて固定する為の押さえを有することにより、ケース内収納あるいは輸送、運搬において安定にし、取り出し時にケース側壁接触を防止できるという効果が得られる。
【0037】
本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、前記多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板後部を基準当て板にあてて、前記基準当て板に対応して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることにより、簡便かつ高精度で微細糖質針の多数列配列ができるという効果が得られる。また、重ね合せ用の基準当て板面を変形させることにより、それに対応するように一列配列の微細糖質針の針先の配列も変形でき、皮膚表面の変形にも対応できる柔軟な構造とすることができるという効果が得られる。
【0038】
本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、前記多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により前記各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように前記各基板を駆動して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることにより、又は、前記基板の一部にアパーチャーを設け、光線により前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることにより、簡便かつ高精度で微細糖質針の多数列配列ができるという効果が得られる。また、光線にレーザー光を採用すれば精度をさらに上げられ、更には、幅を持たせた光線より得られる基板の画像を捉えるシステムで、基板の画像間を重ね合わせについて画像処理すれば、より高精度の重ね合わせ機構が得ることができるという効果が得られる。
【0039】
本発明の経皮投薬デバイスの製造方法においては、前記多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板間の接着剤として多糖類を使用することにより、簡便かつ確実に、基板間の接着を強固なものとすることができるという効果が得られる。また、前記基板と前記ハンドル間の接着剤として両面粘着テープ又は多糖類を使用することにより、簡便かつ確実に、基板とハンドル間の接着を強固なものとすることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明における経皮投薬デバイス及びその製造方法、並びにその輸送用コンテナの実施形態について以下に詳述するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0041】
本発明において、微細糖質針とは糖質からなる微細針を意味し、経皮投薬デバイスとは皮膚を経由して薬剤、生体物質等を人体内へ投入するデバイスを意味し、更には薬剤等を人体内へ経皮投与する治具を意味するものである。この微細糖質針の糖質には、人体内で容易に溶解し、生体に適合しやすいという理由から、マルトース、プルラン、トレハロース等の糖類が好適に使用される。その微細糖質針の具体的な大きさとしては、針長さが200μmから1mm、針先端部の太さが1μmから50μm、針末端部の太さが50μmから300μmが好適である。尚、図3は本発明の短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの外形を示す概略図であり、図4は、図3における微細糖質針の周辺部位10(波線状円内)を拡大した概略図である。ここで、図4には微細糖質針1の具体的な大きさの説明のために、微細糖質針先端から底部までの垂線長さを表す補助線12、微細糖質針底部の横長さを表す補助線13、微細糖質針底部の縦長さを表す補助線14を仮想的に図示した。微細糖質針の針長さとは前記補助線12の長さを意味し、また、微細糖質針の針先端部の太さとは微細糖質針を真正面に見た時の針先端部の最大幅を意味する。更に、微細糖質針の末端部の太さとは、仮想的に微細糖質針の底部を真正面に見た時の前記横長さを表す補助線13と前記縦長さを表す補助線14のうち大きい方の長さを意味するものである。尚、微細糖質針底部の形状は図4では三角形状であるが、多角形状、半円形状等の様々な形状をとることができ、特にその形状は限定されない。また、微細糖質針の外形は図4では四角錐の片割れ形状(四角錐の先端点及び四角錐底部の対角線を通る平面で四角錐を切り取った残りの片割れ形状)であるが、多角錐、円錐等の片割れ形状等、又は任意の針形状等の様々な形状をとることができ、特にその形状は限定されない。ここで、前記の針長さが200μmより小さい場合は、皮膚表面の凹凸より前記針長さが小さくなり、針先端の大半は皮膚表面に届かず、十分に微細糖質針を皮膚へ挿入させることが困難になるという理由から、前記針長さが1mmより大きい場合は、無痛状態での挿入が困難になるという理由から好ましくない。また、前記の針先端部の太さが1μmより小さい場合は、超微細加工を必要とするために低コストでの製造が不可能になるという理由から、前記針先端部の太さが50μmより大きい場合は、挿入の困難さに伴い無痛状態が保てなくなるという理由から好ましくない。更に、前記の針末端部の太さが50μmより小さい場合は、挿入時に微細糖質針の根元近傍で折れやすくなるという理由から、前記針末端部の太さが300μmより大きい場合は、前記末端部が太すぎて、針挿入の際に針が折れにくく、皮膚内への針残留が困難になるという理由から好ましくない。そして、本発明の経皮投薬デバイスにおいては、前記微細糖質針を一列に複数個配列し、ハンドルの基板取付け部に前記基板を取付けた構造であることが好適であり、また、前記微細糖質針を一列に複数個配列し、さらに前記基板を複数個重ね合わせて前記微細糖質針を多数列に配列し、ハンドルの基板取付け部に前記複数個重ね合わせた基板を取付けた構造であることが好ましい。次に、本発明の前記経皮投薬デバイスにおいては、特にハンドルの形状は限定されないが、臨床施行の際の使い易さの観点から、前記ハンドルが、短冊形状又は棒形状、更にはL字形状であることが好適である。また、前記の微細糖質針を多数列配列にした前記経皮投薬デバイスにおいては、特にハンドルの形状は限定されないが、臨床施行の際の使い易さの観点から、前記ハンドルが短冊形状又は棒形状、更にはL字形状が好適であり、また、L字形状ハンドルの場合には、前記基板取付け部における基板取付け面が、前記L字形状ハンドルの基板取付け部の外側面又は内側面であることが好適である。尚、前記ハンドルの材質は特に限定されず、一般的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレイト、ポリカーボネイト、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体(アクリル)等のプラスチック樹脂やポリ乳酸等の生分解性樹脂などが好適に使用される。ちなみに、本発明の短冊形状ハンドル、棒形状ハンドル、またL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの外形を表す概略図を各々図3、図8、図17(基板取付け面8が基板取付け部9の外側面の場合)、図20(基板取付け面8が基板取付け部9の内側面の場合)に示し、それらの断面を表す概略図を各々図5、図9、図18、図21に示すが、各図では微細糖質針を前記基板に一列に配列したものを図示しており、但し、図18及び図21では微細糖質針上面と微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆し、そのグルコース被覆面上に薬剤チップ15を搭載したものを図示している。各図では、各々の形状のハンドルの場合について、前記基板は各ハンドルの基板取付け部9において基板取付け面8上にある接着剤としての両面粘着テープ又は多糖類16を介して各ハンドルに取付けられている。尚、微細糖質針を前記基板に多数列に配列した、短冊形状ハンドル又はL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を表す概略図を図7、又は図19(基板取付け面8が基板取付け部9の外側面の場合)、図22(基板取付け面8が基板取付け部9の内側面の場合)に示す。但し、これら各図では微細糖質針上面と微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆し、そのグルコース被覆面上に薬剤チップ15を搭載したものを図示しており、これら各図では、各々の形状のハンドルの場合について、前記基板は各ハンドルの基板取付け部9において基板取付け面8上にある接着剤としての両面粘着テープ又は多糖類16を介して各ハンドルに取付けられている。また、これら微細糖質針の多数列配列の経皮投薬デバイスでは、接着剤としての多糖類28を各基板間の接着剤として使用しているが、これらの各図では前記多糖類28を敢えて図示していないことに留意する必要がある。
【0042】
本発明においては、微細糖質針を皮膚へ挿入する際に微細糖質針が安定強固となって皮膚への挿入が可能となるという理由から、前記基板側面が、基板上面側端に位置する嵌入部に溶接された微細針糖質取付け部の側面であることが好ましい。また、微細糖質針を皮膚へ容易に挿入したり、医療行為者側で治療上必要となる薬剤の搭載が非常に容易になるという理由から、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面とが連続平滑面をなすことが好ましい。また、前記微細糖質針取付け部の材質は特に限定されないが、微細糖質針と同一素材であるという理由から、マルトース、プルラン、トレハロース等の微細糖質針と馴染む糖質材が好適に使用され得る。尚、図4では、基板上面側端に位置する嵌入部に溶接された微細糖質針取付け部6が図示されているが、前記嵌入部とは基板上面側端に位置する空間部を意味し、その空間部に前記取付け部6が嵌まり込み、前記取付け部6は基板とは基板上面側端部における溶接面11とで接することになる。但し、この溶接には、基板材質が糖質材の場合には前記取付け部6の材質と同じであるため、前記溶接面11にて溶解して接着効果を奏するが、基板材質が糖質以外であっても前記取付け部6の糖質材が前記溶接面11にて溶解して接着効果を奏するものである。
【0043】
本発明においては、低コストで、容易に入手可能な安定強固な基板素材になるという理由から、前記基板の素材が、プラスチック、木、金属、紙、糖質材、ゼラチン、蛋白固形物、から選ばれる1又は2以上であることが好適であり、従ってこれらの組合せ(例えば、紙と糖質材の組合せ等)も使用され得る。特に、前記糖質材には、マルトース、プルラン、トレハロース等が好適に使用され、前記蛋白固形物には、コラーゲン、カゼイン、ケラチン等が好適に使用され得る。また、微細糖質針の溶解による体内適合あるいは環境負荷の低減という理由から、前記微細糖質針の糖質素材がマルトース、前記基板の素材が紙又はプルランであることが好ましい。
【0044】
本発明においては、前記被覆面の材質には粘着性の糖質材が適し、また薬剤を微細糖質針内部に混入させる際の加熱劣化を避けるという理由から、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して前記グルコース被覆面上に薬剤をチップ化して搭載することが好ましく、また、微細糖質針のサイズに収まるように薬剤を微細化するという理由から、前記微細糖質針内部に薬剤を含有、内包することが好適である。尚、グルコースには、体内適合という理由から加熱溶解、又は微量の水を含有させた粘着状態が好適に使用され得る。更に、本発明においては、経皮投与が薬剤効果を発揮するという理由から、前記薬剤が、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ヒアルロン酸、コラーゲン、ヒトIgG、ヒトIgM、抗体医薬、核酸医薬、色素、ビタミンA、ビタミン類、インスリン、ホルモン、から選ばれる1又は2以上であることが好ましい。尚、図6は、本発明の薬剤チップを搭載した、短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図であり、薬剤チップ15は、微細糖質針上面と微細糖質針の取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して、このグルコース被覆面上に搭載されているが、グルコースの粘着力により薬剤チップは固定化されている。
【0045】
本発明においては、前記被覆面の材質には粘着性の糖質材が適し、また生体物質を微細糖質針内部に混入させる際の加熱劣化を避けるという理由から、前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して前記グルコース被覆面上に生体物質をチップ化して搭載することが好適であり、また、安定に生体物質を体内に経皮投与するという理由から、前記微細糖質針内部に生体物質を内包したことが好ましい。更に、本発明においては、経皮投与が生体物質の効果を発揮するという理由から、前記生体物質が、DNA、アミノ酸、蛋白質、ヒトIgG抗体、ワクチン、細胞内微小体、細胞、微生物、から選ばれる1又は2以上であることが好ましい。尚、図6は、本発明の薬剤チップを搭載した、短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図であるが、この薬剤チップ15の代わりに前記の生体物質チップを搭載すれば良いことになる。
【0046】
本発明においては、皮膚患部の直視が可能になるという理由から、前記ハンドルが透明材からなることが好ましく、また、微細糖質針の針先を視認しながら皮膚表面に対し垂直に保って挿入しやすくするという理由から、前記L字形状ハンドルに前記微細糖質針先端部の拡大視用レンズが設けられることが好ましい。また、前記透明材としては、十分に透明で安定的に硬く、入手が容易で低コストであるという理由から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレイト、ポリカーボネイト、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体(アクリル)等の透明樹脂板などが好適に使用され得る。尚、図23は、本発明の微細糖質針先端部の拡大視用レンズ及びL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図であるが、拡大視用レンズ26のハンドル内での取り付け位置は特に限定されず、臨床施行の際に微細糖質針先端が目視できるような位置に前記レンズ26を取り付ければ良いことになる。図23では、目視方向を表す矢印線27を図示しているが、前記レンズ26の取り付け位置には、この図のように微細糖質針先端が視認可能になることが要求される。
【0047】
本発明においては、輸送、運搬中の振動や衝撃の時、微細糖質針の先端を保護するという理由から、前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガード、及び前記ハンドルの端部に前記保護用ガードの取付け部を有することが好ましい。また、本発明においては、使用の際には、簡便に外せるという理由から、前記ハンドルの端部にある、ハンドル及びガード両面接着部を介して、前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガードを有することが好ましい。尚、前記ガードの材質としては、低コストで、廃棄処理において公害の問題を発生しない樹脂という理由から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレイト、ポリカーボネイト、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体(アクリル)等の樹脂などが好適に使用され得る。また、前記保護用ガードの取付け部の材質としては、前記保護用ガードと同一材質という理由から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレイト、ポリカーボネイト、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体(アクリル)等の樹脂などが好適に使用され得る。更に、微細糖質針と前記保護用ガードの取付け部を取付ける方法としては、接着剤を用いて取付ける方法、両者をはめ込み式にして取付ける方法等があるが、前記保護用ガードを容易に取り付け、また容易に外すことができるという理由からは接着剤を用いて取付ける方法が好ましく、その接着剤にはメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体であるアクリル樹脂の両面テープなどが好適に使用され得る。尚、図10は本発明の微細糖質針保護用ガード及びその取付け部を有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図であり、図13は本発明のハンドル及びガード両面接着部を介して微細糖質針保護用ガード、並びに短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。ここで、図10における微細糖質針保護用ガードを取外す際の経皮投薬デバイスの断面、外形を示す概略図を表したものが図11、図12である。また、図24は本発明の微細糖質針保護用ガード及びその取付け部を有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図であり、図27は本発明のハンドル及びガード両面接着部を介して微細糖質針保護用ガード、並びにL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。ここで、図24における微細糖質針保護用ガードを取外す際の経皮投薬デバイスの断面、外形を示す概略図を表したものが図25、図26である。
【0048】
本発明においては、湿気に弱い微細糖質針の保護と輸送、運搬時の接触による形状欠損事故を避けるという理由から、前記の経皮投薬デバイスの輸送用コンテナであって、前記微細糖質針の溶解防止用に乾燥機能を有する乾燥剤保持部、及び前記ハンドルに取付けられた微細糖質針の振動防止用に防振機能を有する蓋部を内蔵したことにより、前記微細糖質針の形状欠損を防止することが好適である。また、本発明においては、経皮投薬デバイスを安定して固定させ、湿気や水分から微細糖質針を保護するという理由から、前記蓋部に、前記ハンドルを押さえて固定する為の押さえを有することが好適である。尚、前記輸送コンテナの材質としては、防湿性で十分に強度な材質であるという理由から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレイト等の空気中の水分子が通過しない樹脂などが好適に使用され、前記輸送用コンテナの大きさ、形状は、経皮投薬デバイスを内蔵するのに適するように設計されていれば良く、それら大きさ、形状は特に限定されず、例えば、形状としては一般的に直方体が使用され得る。また、前記蓋部の材質としては、十分な防湿性が必要という理由からポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレイト等の樹脂が好適に使用され得る。更には、前記押さえの材質としては、蓋と一体化するため同一材質にする方が、低コスト化が図れるという理由からポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレイト等の樹脂が好適に使用され得る。尚、図14は本発明の短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスを収納した輸送用コンテナの断面を示す概略図であり、図16は本発明の短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスを収納した、蓋部に押さえを有する輸送用コンテナの断面を示す概略図である。ここで、図14の輸送用コンテナにおける蓋部及び経皮投薬デバイスの取外し時の断面を示す概略図を表したものが図15である。また、乾燥剤保持部21は乾燥機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、乾燥剤を内蔵した通気孔付の樹脂ケース等が好適に使用され得る。更には、蓋部22は防湿性かつ空気中の水分子を通過させないことが要求されるが、蓋部を閉じた状態の輸送用コンテナにも、防湿性かつ空気中の水分子を通過させないことが求められ、すなわち密閉性が要求される。また、図28は本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスを収納した輸送用コンテナの断面を示す概略図であり、図30は本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスを収納した、蓋部に押さえを有する輸送用コンテナの断面を示す概略図である。ここで、図28の輸送用コンテナにおける蓋部及び経皮投薬デバイスの取外し時の断面を示す概略図を表したものが図29である。
【0049】
本発明においては、簡単に微細糖質針の先端を精度よく揃えるという理由から、前記の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板後部を各種形状の基準当て板にあてて、前記基準当て板に対応して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることが好ましい。また、前記の基準当て板の材質としては、高精度な平面を要するという理由から、ステンレスのような錆びない金属板などが好適に使用され得る。
尚、図31は本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の各基板を接着剤により重ね合わせて、多数列配列型微細糖質針の基板を作製する前工程を表す模式図であるが、各基板間には接着剤としての多糖類28が膜様にて図示されているが、工業材料をできるだけ避けるという理由から、多糖類としては、プルラン、カルメロースメチルセルロースが好適に使用され得る。また、図32は本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の各基板を接着剤により重ね合わせて、多数列配列型微細糖質針の基板を作製した後工程を表す模式図であるが、各基板間に前記多糖類28が図示されており、多数列に配列された微細糖質針は全て同方向を向くように各基板が重ね合わせられていることに留意する必要がある。このような多数列配列型微細糖質針の基板を作製するべく、図33には、本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板後部を基準当て板にあて、多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めする工程を表す模式図を示している。また、図34には、本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板後部を基準当て板にあて、多数列配列型微細糖質針の先端をずらして配列するように位置決めする工程を表す模式図を示している。更には、図35には、本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板後部の角を傾斜した基準当て板にあて、多数列配列型微細糖質針の先端をずらして配列するように位置決めする工程を表す模式図を示している。このように、如何なる形で微細糖質針を多数列に配列するか、によって各種形状の基準当て板29が使用され得る。また、本発明においては、微細糖質針の針先端を高精度に合わせ、しかも低コスト化を図るために針を合わせるよりも基板同士を合わせる方策をとるという理由から、前記の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により前記各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように前記基板を駆動して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることが好ましい。尚、図36は本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、各基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように各基板を駆動して、多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めする前工程を表す模式図であるが、ノッチ32は種々の形状の切り込みであれば良く、その形状、大きさは特に限定されない。従って、各基板を重ね合わせる際には、ノッチ全体の形状をパターン認識する必要はなく、各ノッチの特徴形状、すなわち形状の一部についてパターン認識により、前記基板を駆動して前記微細糖質針先端の配列を位置決めしても良い。また、図37は本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、各基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように各基板を駆動して、多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めした後工程を表す模式図であるが、この図37では、ノッチ形状の特徴形状である円弧部分についてパターン認識を行うことにより、各基板を駆動して、多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めしていることとしている。
【0050】
本発明においては、低コストにて基板間の位置を決める機構を設けるという理由から、前記の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板の一部にアパーチャーを設け、光線により前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることが好ましく、更には、光波長の広がりに依存する光分散を避けるという理由から、前記光線が、レーザー光線であることが好適である。尚、ここでいうアパーチャーとは、光線を通過させる微細孔を意味するものである。また、前記の光線は特に限定されず、一般的には白熱光が使用され得るが、光波長の広がりに依存する光分散を避けるという理由から、レーザー光線が好適に使用され得る。尚、図38は本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板の一部にアパーチャーを設け、光線により多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めする工程を表す模式図であるが、光源30からの基準光線31が各基板のアパーチャーを通過するように各基板を重ね合わせれば良く、場合によっては、1基板に対して複数のアパーチャーを設け、その際には複数の基準光線31が使用されても良いこととなる。
【0051】
本発明においては、安定して臨床施行を行うという理由から、前記の経皮投薬デバイスの製造方法において、前記基板と前記ハンドル間の接着剤として両面粘着テープ又は多糖類を使用することが好ましい。更には、化学物質あるいは工業材料を極力避けるという理由から、前記の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板間の接着剤として多糖類を使用することが好適である。また前記の両面粘着テープとしては、粘着性によって安定して固定するという理由から、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体(アクリル)樹脂等が好適に使用され得る。そして、前記の多糖類の材質としては、十分な粘着性と固定性を要するという理由から、プルラン、カルメロース、セルロース等が好適に使用され得る。
【実施例】
【0052】
本発明について以下に実施例により具体的説明を行うが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下にハンドル、微細糖質針取付け部、嵌入部、微細糖質針保護用ガード及びその取付け部、輸送用コンテナ及びその蓋部、押さえ等の大きさについての記述に際して、横長さ、全長、縦長さとは、各々が図3、図4に示された微細糖質針底部の横長さを表す補助線13を軸とする方向の長さ、微細糖質針先端から底部までの垂線長さを表す補助線12を軸とする方向の長さ、微細糖質針底部の縦長さを表す補助線14を軸とする方向の長さ、を表すものとする。
【0053】
(実施例1)棒形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製及び皮膚への挿入試験
プルランからなる基板(一辺が10mmの正方形、厚さ1mm)の側面に、針長さが400μm、針先端部の太さが10μm、針末端部の太さが100μmの四角錐の片割れ形状(四角錐の先端点及び四角錐底部の対角線を通る平面で四角錐を切り取った残りの片割れ形状)のマルトースからなる微細糖質針を一列に32個配列したものを所定の金型成型加工により作製した。次に、その作製された基板を透明のポリカーボネイト製棒形状ハンドル(横長さ10mm、全長60mmで、基板取付け部の厚さ2mm、棒状部分の長さ40mm及び直径10mm)の基板取付け部(基板取付け面)に対してアクリル系接着剤を使用した両面粘着テープを接着剤として取り付け、図8、図9に示された経皮投薬デバイス(但し、図8、図9では微細糖質針の数は4個であり、本実施例では微細糖質針の数は32個であることに留意)を作製した。この棒形状ハンドルを手で掴み、人の皮膚への挿入試験を試みたところ、透明ハンドルを透して皮膚面がよく見え、棒形状ハンドルは十分に硬くて安定しており、微細糖質針の先端を確実に皮膚に挿入でき、挿入後は一列配列のすべての針を折ることにより、全微細糖質針を皮膚内へ容易に残留させることができ、すなわち本経皮投薬デバイスを用いることにより、簡便に、確実に、安全に皮膚内へ微細糖質針を挿入、残留させることが可能となった。尚、これらの皮膚内に残留した微細糖質針はすべて糖質であるために、挿入後すみやかに皮膚内で溶解することとなった。ちなみに、上記の微細糖質針の大きさ及び底部の形状については、図4の図示に従えば、垂線長さが400μm、底部の横長さが100μm、底部の縦長さが100μmであり、微細糖質針の底部形状は三角形である。また、本実施例における微細糖質針上面と基板上面との高低差は、図9の図示に従えば0.3mmである。
【0054】
(実施例2)短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製及び皮膚への挿入試験
プルランからなる微細糖質針取付け部(横長さ10mm、全長0.3mm、縦長さ0.3mm)の側面に、針長さが400μm、針先端部の太さが5μm、針末端部の太さが100μmの四角錐の片割れ形状(四角錐の先端点及び四角錐底部の対角線を通る平面で四角錐を切り取った残りの片割れ形状)のマルトースからなる微細糖質針を一列に32個配列したものを所定の金型成型加工により作製した。次に、その微細糖質針取付け部を食品用衛生紙からなる基板(一辺が10mmの正方形、厚さ1mm)の上面側端に位置する嵌入部(横長さ10mm、全長0.3mm、縦長さ0.3mm)に対して溶接により取り付け、次にその作製された基板を透明のポリカーボネイト製短冊形状ハンドル(横長さ10mm、全長50mm、厚さ1mm)の基板取付け部(基板取付け面)に対してアクリル系接着剤を使用した両面粘着テープを接着剤として取り付け、図3、図5に示された経皮投薬デバイス(但し、図3、図5では微細糖質針の数は4個であり、本実施例では微細糖質針の数は32個であることに留意)を作製した。この短冊形状ハンドルを手で掴み、人の皮膚への挿入試験を試みたところ、透明ハンドルを透して皮膚面がよく見え、短冊形状ハンドルは十分に硬くて安定しており、微細糖質針の先端を確実に皮膚に挿入でき、挿入後は一列配列のすべての針を折ることにより、全微細糖質針を皮膚内へ容易に残留させることができた。すなわち本経皮投薬デバイスを用いることにより、簡便に、確実に、安全に皮膚内へ微細糖質針を挿入、残留させることが可能になった。尚、これらの皮膚内に残留した微細糖質針はすべて糖質であるために、挿入後すみやかに皮膚内で溶解することとなった。ちなみに、上記の微細糖質針の大きさ及び底部の形状については、図4の図示に従えば、垂線長さが400μm、底部の横長さが100μm、底部の縦長さが100μmであり、微細糖質針の底部形状は三角形である。また、本実施例における微細糖質針上面と基板取付け部上面との高低差、また基板取付け部上面と基板上面との高低差は、図5の図示に従えば各々0mmであり、すなわち、本実施例においては、微細糖質針上面と基板取付け部上面とは連続平滑面をなし、また特に必要ではないが、基板取付け部上面と基板上面とは連続平滑面をなすこととなる。
【0055】
(実施例3)L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製及び皮膚への挿入試験
実施例2と同様に、所定の金型成型加工により、基板、基板取付け部及び微細糖質針を作製し、その作製された基板を透明のポリカーボネイト製L字形状ハンドル(横長さ10mm、全長60mm、厚さ1mmのポリカーボネイト板を、基板取付け面が一辺10mmの正方形となるように折り曲げたもの)の基板取付け部の内側面(基板取付け面)に対してアクリル系接着剤を使用した両面粘着テープを接着剤として取り付け、図20、図21に示された経皮投薬デバイス(但し、図20、図21では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは搭載していないことに留意)を作製した。このL字形状ハンドルを手で掴み、人の皮膚への挿入試験を試みたところ、透明ハンドルを透して皮膚面がよく見え、L字形状ハンドルは十分に硬くて安定しており、L字のハンドル折り曲げ効果により微細糖質針の先端を確実に皮膚表面に対して垂直に挿入でき、挿入後は一列配列のすべての針を折ることにより、全微細糖質針を皮膚内へ容易に残留させることができ、すなわち本経皮投薬デバイスを用いることにより、簡便に、確実に、安全に皮膚内へ微細糖質針を挿入、残留させることが可能となった。尚、これらの皮膚内に残留した微細糖質針はすべて糖質であるために、挿入後すみやかに皮膚内で溶解することとなった。ちなみに、本実施例における微細糖質針上面と基板取付け部上面との高低差、また基板取付け部上面と基板上面との高低差は、図21の図示に従えば各々0mmであり、すなわち、本実施例においては、微細糖質針上面と基板取付け部上面とは連続平滑面をなし、また特に必要ではないが、基板取付け部上面と基板上面とは連続平滑面をなすこととなる。
更に、図23に示されたように、上記の経皮投薬デバイスにおけるL字形状ハンドルの全長方向の中程に拡大視用レンズ(大きさが8mm×8mmの正方形、最大厚さ2mm、焦点距離30mmの凸レンズ)を設置、すなわち皮膚表面を見る際、視線とハンドル板の交点周辺部に拡大視用レンズを設けると、皮膚表面を拡大して見ることができ、微細糖質針による皮膚への挿入及び投薬時、微細糖質針の先端と挿入皮膚部も拡大して見え、狙いの患部に精度よく微細糖質針を挿入できたので、小さな疾患部も的確に経皮投薬が可能となった。
【0056】
(実施例4)短冊形状ハンドル及び三列に配列された微細糖質針を有する経皮投薬デバイスの作製及び皮膚への挿入試験
実施例2と同様に、所定の金型成型加工により、基板、基板取付け部及び微細糖質針について同様のものを3個作製した。次に、それらの各微細糖質針取付け部を食品用衛生紙からなる3個の各基板(一辺が10mmの正方形、10mm×9.5mmの長方形、10mm×9mmの長方形、厚さはすべて1mm)の上面側端に位置する各嵌入部(横長さ10mm、全長0.3mm、縦長さ0.3mm)に対して溶接により取り付け、その作製された各基板について、図34に示されたように各基板後部を基準当て板(平滑面を有するステンレス製板であり、その大きさが15mm×10mmの長方形、厚さ1mmである)にあてて、各基板間の接着剤としてプルラン30重量%水溶液(本水溶液を20μmの厚さに塗布して乾燥)を用いて三列に配列された微細糖質針を有する基板を作製した。更に、その上記三列配列の基板を透明のポリカーボネイト製短冊形状ハンドル(横長さ10mm、全長50mm、厚さ1mm)の基板取付け部(基板取付け面)に対して接着剤としてアクリル系接着剤を使用した両面粘着テープを用いて取り付け、図7に示された経皮投薬デバイス(但し、図7では微細糖質針の数は12個で薬剤チップを搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32×3個で薬剤チップは搭載していないことに留意)を作製した。この短冊形状ハンドルを手で掴み、人の皮膚への挿入試験を試みたところ、透明ハンドルを透して皮膚面がよく見え、短冊形状ハンドルは十分に硬くて安定しており、微細糖質針の先端を確実に皮膚表面に対して垂直に挿入でき、挿入後は三列配列のすべての針を折ることにより、全微細糖質針を皮膚内へ容易に残留させることができた。すなわち本経皮投薬デバイスを用いることにより、簡便に、確実に、安全に皮膚内へ微細糖質針を挿入、残留させることが可能になった。また、微細糖質針を三列に配列したことにより、薬剤や生体物質についてそのチップを搭載、及び/又は薬剤等について含有、内包させることにより、それらの経皮投与量を増やすことが可能となった。尚、これらの皮膚内に残留した微細糖質針はすべて糖質であるために、挿入後すみやかに皮膚内で溶解することとなった。ちなみに、本実施例における微細糖質針上面と基板取付け部上面との高低差、また基板取付け部上面と基板上面との高低差は、図7の図示に従えば各々0mmであり、すなわち、本実施例においては、微細糖質針上面と基板取付け部上面とは連続平滑面をなし、また特に必要ではないが、基板取付け部上面と基板上面とは連続平滑面をなすこととなる。
【0057】
(実施例5)L字形状ハンドル及び三列に配列された微細糖質針を有する経皮投薬デバイスの作製及び皮膚への挿入試験
実施例2と同様に、所定の金型成型加工により、基板、基板取付け部及び微細糖質針について同様のものを3個作製した。次に、それらの各微細糖質針取付け部を食品用衛生紙からなる3個の各基板(一辺が10mmの正方形、10mm×9.5mの長方形、10mm×9mmの長方形、厚さはすべて1mm)の上面側端に位置する各嵌入部(横長さ10mm、全長0.3mm、縦長さ0.3mm)に対して溶接により取り付け、その作製された各基板について、図38に示されたように各基板の一部にアパーチャーを設け、レーザー光線により各微細糖質針先端の配列を位置決めした。すなわち、パワー2W発信源によるNeレーザーのビームを使用すれば、各基板に設けた10μmの十字状に並んだ5個の穴から重ね合わせの適切は軸を見つけることができ、合わせ精度±10μm以内に収めることが可能となり、十分な高精度で微細糖質針先端を揃えることができた。そして、各基板間の接着剤としてプルラン30重量%水溶液(本水溶液を20μmの厚さに塗布して乾燥)を用いて三列に配列された微細糖質針を有する基板を作製した。更に、その上記三列配列の基板を透明のポリカーボネイト製L字形状ハンドル(横長さ10mm、全長60mm、厚さ1mmのポリカーボネイト板を、基板取付け面が一辺10mmの正方形となるように折り曲げたもの)の基板取付け部の外側面(基板取付け面)に対して接着剤としてアクリル系接着剤を使用した両面粘着テープを用いて取り付け、図17、図18に示された経皮投薬デバイス(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32×3個で薬剤チップは搭載していないことに留意)を作製した。このL字形状ハンドルを手で掴み、人の皮膚への挿入試験を試みたところ、透明ハンドルを透して皮膚面がよく見え、L字形状ハンドルは十分に硬くて安定しており、L字のハンドル折り曲げ効果により微細糖質針の先端を確実に皮膚表面に対して垂直に挿入でき、挿入後は三列配列のすべての針を折ることにより、全微細糖質針を皮膚内へ容易に残留させることができた。すなわち本経皮投薬デバイスを用いることにより、簡便に、確実に、安全に皮膚内へ微細糖質針を挿入、残留させることが可能になった。また、微細糖質針を三列に配列したことにより、薬剤や生体物質についてそのチップを搭載、及び/又は薬剤等について含有、内包させることにより、それらの経皮投与量を増やすことが可能となった。尚、これらの皮膚内に残留した微細糖質針はすべて糖質であるために、挿入後すみやかに皮膚内で溶解することとなった。ちなみに、本実施例における微細糖質針上面と基板取付け部上面との高低差、また基板取付け部上面と基板上面との高低差は、図18の図示に従えば各々0mmであり、すなわち、本実施例においては、微細糖質針上面と基板取付け部上面とは連続平滑面をなし、また特に必要ではないが、基板取付け部上面と基板上面とは連続平滑面をなすこととなる。
【0058】
(実施例6)短冊形状ハンドル及びガードを有する経皮投薬デバイスの作製及び輸送試験
実施例2と同様にして作製された経皮投薬デバイスに対して、微細糖質針保護用ガードとしてL字形状のポリプロピレン製ガード(横長さ10mm、全長80mm、厚さ1mmのポリプロピレン板を曲げた微細糖質針の保護面が10mm×20mmの長方形となるように折り曲げたもの)をポリプロピレン製微細糖質針保護用ガード取り付け部(横長さ10mm、全長5mm、厚さ2mm)に取り付けて、図10に示されたように、短冊形状ハンドル及びガードを有する経皮投薬デバイス(但し、図10では薬剤チップを搭載しているが、本実施例では薬剤チップは搭載していないことに留意)を作製した。尚、本実施例では、微細糖質針保護用ガード取付け部と経皮投薬デバイス、更にこの取付け部と微細糖質針保護用ガードとの接着にはアクリル系接着剤を使用した。本実施例のガードを有する経皮投薬デバイスにより、輸送、運搬時に微細糖質針が他に触れて起こる形状欠損事故を防ぐことができ、図11、図12に示されたように使用時には容易に取り外して臨床施行を行うことが可能になった(但し、図11、図12では薬剤チップを搭載しているが、本実施例では薬剤チップは搭載していないことに留意)。
次に、本実施例の経皮投薬デバイスについて、シリカゲル乾燥粒同封でポロプロピレン袋に収めて宅配便による輸送試験を行ったところ、長期日程においても、湿気によっても、あるいは接触事故によっても、針先端の形状欠損も起きず、無事に目的地に届けることができた。
【0059】
(実施例7)L字形状ハンドル及びガードを有する経皮投薬デバイスの作製及び輸送試験
実施例3と同様にして作製された経皮投薬デバイスに対して、微細糖質針保護用ガードとしてステップ形状のポリプロピレン製ガード(横長さ10mm、全長80mm、厚さ1mmのポリプロピレン板を曲げた微細糖質針先端保護面が10mm×20mmの長方形、及び微細糖質針上面保護面が10mm×20mmの長方形となるように折り曲げたもの)をポリプロピレン製微細糖質針保護用ガード取り付け部(横長さ10mm、全長5mm、厚さ2mm)に取り付けて、図24に示されたように、L字形状ハンドル及びガードを有する経皮投薬デバイス(但し、図24では薬剤チップを搭載しているが、本実施例では薬剤チップは搭載していないことに留意)を作製した。尚、本実施例では、微細糖質針保護用ガード取付け部と経皮投薬デバイス、更にこの取付け部と微細糖質針保護用ガードとの接着にはアクリル系接着剤を使用した。本実施例のガードを有する経皮投薬デバイスにより、輸送、運搬時に微細糖質針が他に触れて起こる形状欠損事故を防ぐことができ、図25、図26に示されたように使用時には容易に取り外して臨床施行を行うことが可能になった(但し、図25、図26では薬剤チップを搭載しているが、本実施例では薬剤チップは搭載していないことに留意)。
次に、本実施例の経皮投薬デバイスについて、シリカゲル乾燥粒同封でポロプロピレン袋に収めて宅配便による輸送試験を行ったところ、長期日程においても、湿気によっても、あるいは接触事故によっても、針先端の形状欠損も起きず、無事に目的地に届けることができた。
【0060】
(実施例8)短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの輸送用コンテナ及び輸送試験
実施例2と同様にして作製された経皮投薬デバイスについて、輸送用コンテナとして、図14に示されたように、直径2mm以下のシリカゲル粒を乾燥剤保持部に適量収めた、ポリプロピレン製輸送用コンテナ(外形の大きさが、横長さ12mm、全長100mm、縦長さ10mmであり、ポリプロピレン製板厚さ1mm)を用いて収納し、その宅配便による輸送試験を行ったところ、長期日程においても、湿気によっても、あるいは接触事故によっても、針先端の形状欠損も起きず、無事に目的地に届けることができた。尚、本実施例の輸送用コンテナにおいては、ポリプロピレン製蓋部(横長さ12mm、全長100mm、厚さ1mm)を用いており、図14に示されたように蓋部は経皮投薬デバイスのハンドルを均等に押さえて固定するように取付けられている。
【0061】
(実施例9)L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの輸送用コンテナ及び輸送試験
実施例3と同様にして作製された経皮投薬デバイスについて、輸送用コンテナとして、図30に示されたように、直径2mm以下のシリカゲル粒を乾燥剤保持部に適量収めた、ポリプロピレン製輸送用コンテナ(外形の大きさが、横長さ12mm、全長100mm、縦長さ20mmであり、ポリプロピレン製板厚さ1mm)を用いて収納し、その宅配便による輸送試験を行ったところ、長期日程においても、湿気によっても、あるいは接触事故によっても、針先端の形状欠損も起きず、無事に目的地に届けることができた。尚、本実施例の輸送用コンテナにおいては、ポリプロピレン製蓋部(横長さ12mm、全長100mm、厚さ1mm)、及びポリプロピレン製押さえ(横長さ10mm、全長15mm、縦長さ5mm)2個を用いており、図30に示されたように蓋部の押さえは経皮投薬デバイスのハンドルを押さえて固定するように蓋部に取付けられている。
【0062】
(実施例10)アスコルビン酸リン酸ナトリウム含有の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
微細糖質針の材質としてマルトースにアスコルビン酸リン酸ナトリウムを1重量%含有させたものを用いた以外は実施例2と同様にして、図3、図5に示されたように、短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図3、図5では微細糖質針の数は4個であるが、本実施例では微細糖質針の数は32個であることに留意)。顔面美白を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の顔面皮膚内へ微細糖質針を週2回挿入し微細糖質針を残留させて経皮投薬試験を行ったところ、試験部位の一連の写真撮影とスキンアナライザーの結果の比較検討により、試験開始から3ヶ月後には美白効果が現れた。
更に、ニキビ肌の治療を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の顔面上ニキビ部位へ微細糖質針を毎週1回挿入し微細糖質針を残留させて経皮投薬試験を行ったところ、試験部位の一連の写真撮影結果の比較検討により、試験開始から1ヶ月後には上記部位のニキビが消失し、ニキビ肌治療効果が現れた。
【0063】
(実施例11)アスコルビン酸リン酸マグネシウム含有の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
微細糖質針の材質としてマルトースにアスコルビン酸リン酸マグネシウムを1重量%含有させたものを用いた以外は実施例3と同様にして、図17、図18に示されたように、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは搭載していないことに留意)。顔面の褐色シミ取りを目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の顔面皮膚表面より200μm程度の皮膚内の浅い部分へ微細糖質針を週2回挿入し微細糖質針を残留させて経皮投薬試験を行ったところ、浅い部分へも確実に挿入、残留でき、試験部位の一連の写真撮影結果の比較検討により、試験開始から2ヶ月ほどで、顔面の褐色シミを薄めることができた。
【0064】
(実施例12)ヒトIgG抗体チップ搭載の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
実施例3と同様にしてL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った後、図17、図18に示されたように、微細糖質針上面及び基板取付け部上面のグルコース被覆面上に、ヒトIgG抗体をチップ化したもの(円柱形状で、直径50μm、高さ10μm、重量比30%のIgG抗体混合マルトースチップ)を32個搭載させて、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは32個搭載していることに留意)。皮膚内へのヒトIgG抗体の投与を目的として、その経皮投薬デバイスを用いてラットの皮膚に投与する経皮投薬試験(In−Vivo試験)を行ったところ、ラットの皮膚内に確実に微細糖質針及びIgG抗体チップを挿入、残留でき、皮膚内にヒトIgG抗体の投与を行うことができた。
【0065】
(実施例13)ホルモン含有の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
微細糖質針1個あたりホルモンであるエストロディオールを0.3重量%含有するようにマルトースを調整された以外は実施例2と同様にして、図3、図5に示されたように、短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図3、図5では微細糖質針の数は4個であるが、本実施例では微細糖質針の数は32個であることに留意)。皮膚内へのエストロディオールの投与を目的として、その経皮投薬デバイスを用いてラットの皮膚に投与する経皮投薬試験(In−Vivo試験)を行ったところ、ラットの皮膚内に確実に微細糖質針を挿入、残留でき、皮膚内にエストロディオールの投与を行うことができた。すなわち、エストロディオールのようなホルモンをngオーダーで投与量を微調整する必要があるが、従来の注射針ではその微調整が困難であったところ、本実施例の経皮投薬デバイスにおいて微細糖質針の個数を調節することによって、定量的に精度よくホルモン投与が可能になった。
【0066】
(実施例14)色素含有の経皮投薬デバイスの作製及び簡易刺青試験
微細糖質針の材質としてマルトースに赤色素を0.1重量%含有させたものを用いた以外は実施例3と同様にして、図17、図18に示されたように、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは搭載していないことに留意)。簡易刺青を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の背中の皮膚角質層内へ微細糖質針を挿入し微細糖質針を角質層内へ残留させて簡易刺青試験を行ったところ、L字形状のハンドル効果により皮膚に対して垂直に微細糖質針を挿入ができ、皮膚角質層に赤色素を残すことができた。本実施例の結果、本実施例の経皮投薬デバイスを使用すれば、簡易で安全な刺青が可能になり、色素によって任意形状の皮膚内の表記が可能になり、文字、眉毛等の表記も可能となった。
【0067】
(実施例15)ヒアルロン酸チップ搭載の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
実施例3と同様にしてL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った後、図17、図18に示されたように、微細糖質針上面及び基板取付け部上面のグルコース被覆面上に、ヒアルロン酸抗体をチップ化したもの(円柱形状で、直径50μm、高さ10μm、重量比3%のヒアルロン酸混合マルトースチップ)を32個搭載させて、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは32個搭載していることに留意)。皮膚角質層内へのヒアルロン酸の投与を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の上腕の皮膚角質層内への経皮投薬試験を行ったところ、上記角質層内に確実に微細糖質針及びヒアルロン酸チップを挿入、残留でき、皮膚角質層内にヒアルロン酸の投与を行うことができた。すなわち、本実施例の経皮投薬デバイスにおいては、ヒアルロン酸をチップ化することにより成型加工等の際の加熱を避けることができたので、皮膚角質層内にヒアルロン酸のような耐熱性のない物質も容易に所定量を皮膚に投与することできた。
【0068】
(実施例16)栄養剤ビタミンA含有の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
微細糖質針の材質としてマルトースにビタミンAの一種カロテノイドを1重量%含有させたものを用いた以外は実施例3と同様にしてL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った後、図17、図18に示されたように、微細糖質針上面及び基板取付け部上面のグルコース被覆面上に、カルテノイドをチップ化したもの(円柱形状で、直径50μm、高さ10μm、重量比50%のカルテノイド混合マルトースチップ)を32個搭載させて、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは32個搭載していることに留意)。皮膚角質層内へのカルテノイドの投与を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の上腕の皮膚角質層内への経皮投薬試験を行ったところ、上記角質層内に確実に微細糖質針及びカルテノイドチップを挿入、残留でき、皮膚角質層内にカルテノイドの投与を行うことができた。すなわち、本実施例の経皮投薬デバイスにおいては、ヒアルロン酸を含有及びそのチップを搭載することにより、皮膚角質層にカロテノイドを多量に残留させることができ、本実施例の経皮投薬デバイスによりサプリメント投与も可能になった。
【0069】
(実施例17)インスリンチップ搭載の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
実施例3と同様にしてL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った後、図17、図18に示されたように、微細糖質針上面及び基板取付け部上面のグルコース被覆面上に、インスリンをチップ化したもの(円柱形状で、直径50μm、高さ10μm、重量比5%のインスリン混合マルトースチップ)を32個搭載させて、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは32個搭載していることに留意)。皮膚角質層内へのインスリン投与を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の上腕の皮膚角質層内への経皮投薬試験を行ったところ、上記角質層内に確実に微細糖質針及びインスリンチップを挿入、残留でき、皮膚角質層内にインスリンの投与を行うことができた。すなわち、本実施例の経皮投薬デバイスにおいては、インスリンをチップ化することにより、効率よく皮膚角質層にインスリンを残留させることができた。
【0070】
(実施例18)コラーゲンチップ搭載の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
実施例3と同様にしてL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った後、図17、図18に示されたように、微細糖質針上面及び基板取付け部上面のグルコース被覆面上に、コラーゲンをチップ化したもの(円柱形状で、直径50μm、高さ10μm、重量比50%のコラーゲン混合マルトースチップ)を32個搭載させて、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは32個搭載していることに留意)。皮膚角質層内へのコラーゲン投与を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の上腕の皮膚角質層内への経皮投薬試験を行ったところ、上記角質層内に確実に微細糖質針及びコラーゲンチップを挿入、残留でき、皮膚角質層内にコラーゲンの投与を行うことができた。すなわち、本実施例の経皮投薬デバイスにおいては、インスリンをチップ化することにより、効率よく皮膚角質層にコラーゲンのような蛋白質を残留させることができた。
【0071】
(実施例19)BCGワクチンチップ搭載の経皮投薬デバイスの作製及びその経皮投薬試験
実施例3と同様にしてL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った後、図17、図18に示されたように、微細糖質針上面及び基板取付け部上面のグルコース被覆面上に、抗体医薬であるBCGワクチンをチップ化したもの(円柱形状で、直径50μm、高さ10μm、重量比1%のBCGワクチン混在マルトースチップ)を32個搭載させて、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの作製を行った(但し、図17、図18では微細糖質針の数は4個で薬剤チップを4個搭載しているが、本実施例では微細糖質針の数は32個で薬剤チップは32個搭載していることに留意)。皮膚角質層内へのBCGワクチン投与を目的として、その経皮投薬デバイスを用いて被験者の上腕の皮膚角質層内への経皮投薬試験を行ったところ、上記角質層内に確実に微細糖質針及びBCGワクチンチップを挿入、残留でき、皮膚角質層内にBCGワクチンの投与を行うことができた。すなわち、本実施例の経皮投薬デバイスにおいては、BCGワクチンをチップ化することにより成型加工等の際の加熱を避けることができたので、皮膚角質層内にBCGワクチンのような生きた物質を死滅させることなく残留させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の経皮投薬デバイス及びその製造方法、並びにその輸送用コンテナは前述の種々の特徴的効果を有するが、これらにより、薬剤や生体物質を用いる医療分野、美容分野等において実用的に利用できる。また、本発明の経皮投薬デバイス及びその製造方法、並びにその輸送用コンテナは量産実施が可能なものであり、産業上利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】 従来の微細糖質針の外形を示す概略図である。
【図2】 従来の微細糖質針の断面を示す概略図である。
【図3】 本発明の短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの外形を示す概略図である。
【図4】 図3における微細糖質針の周辺部位10(波線状円内)を拡大した概略図である。
【図5】 本発明の短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図6】 本発明の薬剤チップを搭載した、短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図7】 本発明の微細糖質針を多数列配列した、短冊形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図8】 本発明の棒形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの外形を示す概略図である。
【図9】 本発明の棒形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図10】 本発明の微細糖質針保護用ガード及びその取付け部を有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図11】 本発明の微細糖質針保護用ガードを取外す際の経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図12】 本発明の微細糖質針保護用ガードを取外す際の経皮投薬デバイスの外形を示す概略図である。
【図13】 本発明のハンドル及びガード両面接着部を介して微細糖質針保護用ガードを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図14】 本発明の経皮投薬デバイスを収納した輸送用コンテナの断面を示す概略図である。
【図15】 本発明の輸送用コンテナについて蓋部及び経皮投薬デバイスの取外し時の断面を示す概略図である。
【図16】 本発明の経皮投薬デバイスを収納した、蓋部に押さえを有する輸送用コンテナの断面を示す概略図である。
【図17】 本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイス(基板取付け部の外側面に基板を取付けた場合)の外形を示す概略図である。
【図18】 本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイス(基板取付け部の外側面に基板を取付けた場合)の断面を示す概略図である。
【図19】 本発明の微細糖質針を多数列配列した、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイス(基板取付け部の外側面に基板を取付けた場合)の外形を示す概略図である。
【図20】 本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイス(基板取付け部の内側面に基板を取付けた場合)の外形を示す概略図である。
【図21】 本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイス(基板取付け部の内側面に基板を取付けた場合)の断面を示す概略図である。
【図22】 本発明の微細糖質針を多数列配列した、L字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイス(基板取付け部の内側面に基板を取付けた場合)の断面を示す概略図である。
【図23】 本発明の微細糖質針先端部の拡大視用レンズ及びL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図24】 本発明の微細糖質針保護用ガード及びその取付け部、並びにL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図25】 本発明の微細糖質針保護用ガードを取外す際の経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図26】 本発明の微細糖質針保護用ガードを取外す際の経皮投薬デバイスの外形を示す概略図である。
【図27】 本発明のハンドル及びガード両面接着部を介して微細糖質針保護用ガード、並びにL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスの断面を示す概略図である。
【図28】 本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスを収納した輸送用コンテナの断面を示す概略図である。
【図29】 本発明の輸送用コンテナについて蓋部及び経皮投薬デバイスの取外し時の断面を示す概略図である。
【図30】 本発明のL字形状ハンドルを有する経皮投薬デバイスを収納した、蓋部に押さえを有する輸送用コンテナの断面を示す概略図である。
【図31】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の各基板を接着剤により重ね合わせて、多数列配列型微細糖質針の基板を作製する前工程を表す模式図である。
【図32】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の各基板を接着剤により重ね合わせて、多数列配列型微細糖質針の基板を作製した後工程を表す模式図である。
【図33】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板後部を基準当て板にあて、多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めする工程を表す模式図である。
【図34】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板後部を基準当て板にあて、多数列配列型微細糖質針の先端をずらして配列するように位置決めする工程を表す模式図である。
【図35】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板後部の角を傾斜した基準当て板にあて、多数列配列型微細糖質針の先端をずらして配列するように位置決めする工程を表す模式図である。
【図36】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、各基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように各基板を駆動して、多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めする前工程を表す模式図である。
【図37】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、各基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように各基板を駆動して、多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めした後工程を表す模式図である。
【図38】 本発明の経皮投薬デバイスの製造方法の際、一列配列型微細糖質針の基板の一部にアパーチャーを設け、光線により多数列配列型微細糖質針の先端を揃えて配列するように位置決めする工程を表す模式図である。
【符号の説明】
【0074】
1 微細糖質針
2 糖質以外の素材からなる基板
3 接着部位
4 基板
5 基板上面
6 基板上面側端に位置する嵌入部に溶接された微細糖質針取付け部
7 短冊形状ハンドル
8 基板取付け面
9 基板取付け部
10 微細糖質針の周辺部位(波線状円内)
11 基板上面側端部における溶接面
12 微細糖質針先端から底部までの垂線長さを表す補助線
13 微細糖質針底部の横長さを表す補助線
14 微細糖質針底部の縦長さを表す補助線
15 薬剤チップ
16 接着剤としての両面粘着テープ又は多糖類
17 棒形状ハンドル
18 微細糖質針保護用ガード
19 微細糖質針保護用ガードの取付け部
20 ハンドル及びガード両面接着部
21 乾燥剤保持部
22 蓋部
23 輪送用コンテナ
24 押さえ
25 L字形状ハンドル
26 拡大視用レンズ
27 目視方向を表す矢印線
28 接着剤としての多糖類
29 基準当て板
30 光源
31 基準光線
32 ノッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板側面に、針長さが200μmから1mm、針先端部の太さが1μmから50μm、針末端部の太さが50μmから300μmの微細糖質針を一列に複数個配列し、ハンドルの基板取付け部に前記基板を取付けた構造であることを特徴とする経皮投薬デバイス。
【請求項2】
基板側面に、針長さが200μmから1mm、針先端部の太さが1μmから50μm、針末端部の太さが50μmから300μmの微細糖質針を一列に複数個配列し、さらに前記基板を複数個重ね合わせて前記微細糖質針を多数列に配列し、ハンドルの基板取付け部に前記複数個重ね合わせた基板を取付けた構造であることを特徴とする経皮投薬デバイス。
【請求項3】
前記ハンドルが短冊形状又は棒形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の経皮投薬デバイス。
【請求項4】
前記ハンドルがL字形状であり、前記基板取付け部における基板取付け面が、前記L字形状ハンドルの基板取付け部の外側面又は内側面であることを特徴とする請求項1又は2記載の経皮投薬デバイス。
【請求項5】
前記基板側面が、基板上面側端に位置する嵌入部に溶接された微細糖質針取付け部の側面であることを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項6】
前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面とが連続平滑面をなすことを特徴とする請求項5記載の経皮投薬デバイス。
【請求項7】
前記基板の素材が、プラスチック、木、金属、紙、糖質材、ゼラチン、蛋白固形物、から選ばれる1又は2以上であることを特徴とする請求項1から6いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項8】
前記微細糖質針の糖質素材がマルトース、前記基板の素材が紙又はプルランであることを特徴とする請求項1から6いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項9】
前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して前記グルコース被覆面上に薬剤をチップ化して搭載したこと、及び/又は前記微細糖質針内部に薬剤を含有したことを特徴とする請求項6から8いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項10】
前記薬剤が、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ヒアルロン酸、コラーゲン、ヒトIgG、ヒトIgM、抗体医薬、核酸医薬、色素、ビタミンA、ビタミン類、インスリン、ホルモン、から選ばれる1又は2以上であることを特徴とする請求項9記載の経皮投薬デバイス。
【請求項11】
前記微細糖質針上面と前記微細糖質針取付け部上面の両上面にグルコースを被覆して前記グルコース被覆面上に生体物質をチップ化して搭載したこと、及び/又は前記微細糖質針内部に生体物質を内包したことを特徴とする請求項6から8いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項12】
前記生体物質が、DNA、アミノ酸、蛋白質、ヒトIgG抗体、ワクチン、細胞内微小体、細胞、微生物、から選ばれる1又は2以上であることを特徴とする請求項11記載の経皮投薬デバイス。
【請求項13】
前記ハンドルが透明材からなることを特徴とする請求項1から12いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項14】
前記L字形状ハンドルに前記微細糖質針先端部の拡大視用レンズが設けられたことを特徴とする請求項4から13いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項15】
前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガード、及び前記ハンドルの端部に前記保護用ガードの取付け部を有することを特徴とする請求項1から14いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項16】
前記ハンドルの端部にある、ハンドル及びガード両面接着部を介して、前記微細糖質針を囲む微細糖質針保護用ガードを有することを特徴とする請求項1から14いずれか一項記載の経皮投薬デバイス。
【請求項17】
請求項1から16いずれか一項記載の経皮投薬デバイスの輸送用コンテナであって、前記微細糖質針の溶解防止用に乾燥機能を有する乾燥剤保持部、及び前記ハンドルに取付けられた微細糖質針の振動防止用に防振機能を有する蓋部を内蔵したことにより、前記微細糖質針の形状欠損を防止すること特徴とする経皮投薬デバイスの輸送用コンテナ。
【請求項18】
前記蓋部に、前記ハンドルを押さえて固定する為の押さえを有することを特徴とする請求項17記載の経皮投薬デバイスの輸送用コンテナ。
【請求項19】
請求項2記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板後部を基準当て板にあてて、前記基準当て板に対応して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法。
【請求項20】
請求項2記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板にノッチを切り込み、ノッチ形状のパターン認識により前記各ノッチ同士の特徴形状を合わせるように前記各基板を駆動して前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法。
【請求項21】
請求項2記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板の一部にアパーチャーを設け、光線により前記微細糖質針先端の配列を位置決めすることを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法。
【請求項22】
前記光線がレーザー光線であることを特徴とする請求項21記載の経皮投薬デバイスの製造方法。
【請求項23】
請求項1又は2記載の経皮投薬デバイスの製造方法において、前記基板と前記ハンドル間の接着剤として両面粘着テープ又は多糖類を使用することを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法。
【請求項24】
請求項2記載の経皮投薬デバイスにおける多数列に配列された微細糖質針を製作する際、前記基板間の接着剤として多糖類を使用することを特徴とする経皮投薬デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2009−297478(P2009−297478A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178419(P2008−178419)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(507192769)
【Fターム(参考)】