説明

経粘膜送達デバイスとともに使用のための溶解可能な裏打ち層

経粘膜薬剤送達デバイスとともに使用のための溶解可能な裏打ち層には溶解可能な親水性領域及び、裏打ち層をとおる水、薬剤、他の有効物質又は他の分子の移動を抑制し又は遅らせる非親水性領域が含まれる。非親水性領域は気孔、疎水性液体の液滴、疎水性物質の固形粒子又は必ずしも疎水性ではない非水溶性粒子の分散相であることができる。あるいはまた、非親水性領域は親水性領域の溶解時に容易に分散性の、連続層又は成分を含んでなることができる。裏打ち層は粘膜表面をとおって薬剤又は他の有効物質を送達するために使用される任意の経粘膜送達デバイス内に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経粘膜薬剤送達デバイスの分野、とりわけ薬剤又は他の有効物質のそれのをとおる拡散を促進するために粘膜表面に対して薬剤又は他の有効成分を隔離し、維持する際に使用のための経粘膜パッチ剤の分野、そして更にとりわけ経粘膜パッチ剤のための裏打ち層の分野にある。
【背景技術】
【0002】
経粘膜薬剤送達は全身薬剤送達の代替方法である。それは注射可能送達及び経腸送達双方より優れた幾つかの利点を提供する。粘膜(例えば、口腔、肛門又は膣粘膜)を介して吸収される薬剤は低pHの胃液及びプロテアーゼ並びに肝臓内の初回通過代謝(first−pass metabolism)を回避する。作用開始は経口投与より早い。注射と異なり、経粘膜送達は非侵襲的で、痛くない。更に、患者は医学専門家からの補助なしに、医薬を投与することができる。
【0003】
ヒト及び哺乳動物の粘膜をとおして薬剤及び他の有効物質を送達することができる新規投与形態の開発にはかなりの興味が示されている。概して、口腔及び他の経粘膜投与形態は3種のカテゴリー:(1)固形形態、(2)ガム及び(3)パッチ剤、の1つに分類することができる。一般的な固形投与形態の例にはトローチ剤(lozenges)、持手付きトローチ剤(例えば、ローリーポップ)、口内錠及び舌下錠が含まれる。固形マトリックスは口腔内で溶解する時に薬剤を放出し、それが口腔粘膜により吸収される。この種類の投与形態は、調製物を溶解するために唾液が投与形態にそして投与形態から自由に流動することができるので、「開放システム」と呼ばれる。薬剤濃度は概括的に、患者がその単位物質を吸う速度により制御される、マトリックスが溶解される速度により制御される。ガムはトローチ剤及び錠剤のように、開放システムである。この投与形態が噛まれると、薬剤はガムから口腔内に放出され、そこで、それは口腔粘膜により吸収されることができる。ガムからの薬剤放出は送達デバイスの構造並びにガムが噛まれる速度により制御される。概して、ガムの投与形態はトローチ剤又は錠剤より長く持続する。
【0004】
「口内パッチ剤」の用語は典型的には、一定期間中、口腔粘膜に接着し、薬剤を送達する柔軟なフィルムを表わす。口内パッチ剤の投与形態は更に3種又は3副カテゴリー:(1)溶解可能なマトリックスのパッチ剤、(2)非溶解可能な裏地を有するパッチ剤及び(3)溶解可能な裏地をもつパッチ剤、に分類することができる。口内パッチ剤の技術分野で知られた例に対しては特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26及び27を参照されたい(特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26及び27参照)。
【0005】
溶解可能なマトリックスのパッチ剤はガム、トローチ剤及び錠剤の投与形態と同様に作用する。溶解しているマトリックスは口腔粘膜による吸収のために口腔内に薬剤を放出する。それらは通常、トローチ剤又は錠剤より長く持続する。溶解可能マトリックスのパッチ剤はガムと異なり、積極的ではなく、むしろ受動的に薬剤を放出する。これらのシステムすべての1つの限界は口内の薬剤濃度が十分には制御されないことである。薬剤送達の期間中の薬剤濃度を制御するために、裏地を伴う口内パッチ剤が開発された。薬剤濃度を制御することは透過エンハンサーの補助を必要とする薬剤を粘膜経由で送達する時に特に重要である。透過エンハンサーは薬剤送達を促進することができる、口腔粘膜の保全性(integrity)を一時的に妥協させることができる化学薬品である。エンハンサー
の濃度は注意して制御されることが必要である。濃度が高すぎるとエンハンサーは粘膜刺激又は損傷をもたらす可能性がある。低すぎると、それは薬品送達の所望される促進を与えないかも知れない。薬剤及びエンハンサー濃度双方の制御を維持する1方法は口内パッチ剤の有効調製物が周囲の環境、特に口腔の唾液から完全に隔離されるように裏地を含むことである。
【0006】
口内パッチ剤の投与形態には2種の裏地システム:溶解可能及び非溶解可能な裏地システム、が存在する。非溶解可能裏地は通常柔軟である。それらは長時間、例えば、10〜15時間まで口腔内に滞留することが意図される。その欠点は薬剤投与後、パッチ剤を患者により口腔粘膜から取り外さなければならないことである。
【0007】
溶解可能裏地をもつパッチ剤は短時間口腔内に滞留することが意図される。制御された方法で有効度の高い薬剤送達を達成することができるように、裏地はパッチ剤内部の局所的環境を制御する。裏地は送達デバイスの全体又は一部が消失するように、やがて口腔内で(例えば、唾液にさらされる時に)溶解又は崩壊する。このようなデバイスは処置完了後にパッチ剤を取り外す必要を排除する。
【0008】
溶解可能な及び/又は崩壊可能な裏地をもつパッチ剤を提供することの課題の1つは、やがてはまだ溶解そして/又は崩壊可能であるが、薬剤送達期間中に薬剤及び/又は透過エンハンサーの濃度を制御するために適当なバリヤーを提供することができる物質を提供する必要であった。水分にさらされるとやがては溶解そして/又は崩壊することができそして更に、裏打ち層をとおって拡散する薬剤又は他の有効物質の傾向を防止し、又は少なくとも一部抑制するか又は遅らせるのに十分なバリヤー性を提供する経粘膜送達デバイス、特に口腔の経粘膜送達デバイスとともに使用のための改良された裏打ち層を開発する、現在進行中の需要が存在する。本発明は先行技術のデバイスの欠点を克服する。
【特許文献1】米国特許第3,598,122号明細書
【特許文献2】米国特許第3,972,995号明細書
【特許文献3】米国特許第4,517,173号明細書
【特許文献4】米国特許第4,573,996号明細書
【特許文献5】米国特許第4,572,832号明細書
【特許文献6】米国特許第4,704,119号明細書
【特許文献7】米国特許第4,713,243号明細書
【特許文献8】米国特許第4,715,369号明細書
【特許文献9】米国特許第4,740,365号明細書
【特許文献10】米国特許第4,855,142号明細書
【特許文献11】米国特許第4,876,092号明細書
【特許文献12】米国特許第4,900,552号明細書
【特許文献13】米国特許第4,900,554号明細書
【特許文献14】米国特許第5,137,729号明細書
【特許文献15】米国特許第5,298,256号明細書
【特許文献16】米国特許第5,346,701号明細書
【特許文献17】米国特許第5,516,523号明細書
【特許文献18】米国特許第5,578,315号明細書
【特許文献19】米国特許第5,599,554号明細書
【特許文献20】米国特許第5,639,469号明細書
【特許文献21】米国特許第5,766,620号明細書
【特許文献22】米国特許第5,800,832号明細書
【特許文献23】米国特許第5,863,555号明細書
【特許文献24】米国特許第5,900,247号明細書
【特許文献25】米国特許第6,159,498号明細書
【特許文献26】米国特許第6,210,699号明細書
【特許文献27】米国特許第6,319,510号明細書
【発明の開示】
【0009】
本発明は水分(例えば、口腔内に認められる唾液)にさらされるとやがて溶解又は崩壊することができ、そして水、薬剤、他の有効物質又は他の分子のそこをとおる拡散を防止する、又は少なくとも一部抑制する又は遅らせることができる経粘膜薬剤送達デバイスとともに使用のための裏打ち層に関する。明細書及び特許請求の範囲中で使用される「溶解する(dissolve)」、「溶解している(dissoliving)」及び「溶解可能な(dissolvable)」の用語には必ずしもそれらに限定はされないがそれぞれ、「溶解する(dissolve)」及び「崩壊する(disintegrate)」、「溶解している(dissolving)」及び「崩壊している(disintegrating)」又は「溶解可能な(dissolvable)」及び「崩壊可能な(disintegratable)」の用語により意味されるものが含まれる。同様に「水溶解可能(water−dissolvable)」の用語はそれらに限定はされないが、「水崩壊可能(water−disintegratable)」が含まれる。例えば、本明細書で使用される溶解可能層は水分にさらされると成分に分離して、場合により溶液に変わるか又は、水分にさらされると直接溶液に変わることができる。「有効物質」の用語には広義に、経粘膜送達を意図される任意の薬剤、ホルモン、ビタミン、栄養物又は分子が含まれる。
【0010】
本発明の裏打ち層は典型的には経粘膜送達デバイス内に1又は複数の層と組み合わせて使用される。本発明の1アスペクトにおいて、本発明の裏打ち層は粘膜表面からのそして周囲の環境中への有効物質の拡散を防止しする又は少なくとも一部抑制する又は遅らせながら、粘膜表面に対して有効物質を隔離するために、1又は複数の活性層と組み合わせて使用される。例えば口腔パッチ剤の場合には、本発明の裏打ち層は、それを嚥下又は吐出することができる口腔中への有効物質の注入(infusion)を防止し、抑制し又は遅らせる。
【0011】
本発明に従う裏打ち層には、これも周囲の環境から投与形態中への水の拡散を抑制し又は遅らせながら、そして投与形態からそして周囲の環境中への有効物質の拡散を抑制し又は遅らせながら、裏打ち層に、規定期間中、水分中に良好な溶解可能性を提供させる、親水性及び非親水性領域が含まれる。「非親水性領域」の用語は「親水性領域」以外のあらゆる領域と定義される。非親水性領域の例には疎水性液相(例えば、油滴又は油層)、疎水性半固体相(例えば、硬化植物油滴又は油層)、疎水性固相(例えば、脂肪酸、ワックス粒子)、気孔(例えば、気泡)及び固体(例えば、非溶解可能な固体粒子)が含まれる。非親水性領域は1又は複数の疎水性相を含んでなることができる。
【0012】
「親水性領域」は概して、使用前に裏打ち層を保持するマトリックスを形成するが水分(例えば、患者の口腔内に認められる唾液)にさらされるとやがては溶解する、少なくとも1種の親水性重合体物質を含んでなる。
【0013】
非親水性領域は、裏打ち層が溶解する前の期間中に裏打ち層をとおる水、薬剤又は他の有効物質の拡散に対するバリヤーを提供するために、裏打ち層内(例えば、親水性領域内)に含まれる。非親水性領域は連続バリヤーを形成することができるか、又はその代わりに、実際的に、薬剤又は有効物質が裏打ち層をとおってずっと拡散することができる前にそれに沿って移動しなければならない、よりネジ曲がった又は遠回りの経路を形成する不連続的バリヤーを形成することができる。
【0014】
1態様において、非親水性領域は連続的親水性領域内の分散相(例えば、気孔、油滴、
ワックス粒子、プラスチック又は他の固体、あるいは不溶性無機粒状物の形態の)を含んでなる。分散相として非親水性領域を提供する利点は、それが親水性領域の溶解時に非親水性領域の分散能力を高めることである。連続的非親水性領域又は、比較的大きい非親水性領域の場合には、概括的に非親水性領域が体温で気体又は液体である、あるいは親水性領域の溶解時に容易に分散するように意図されている物質を含んでなることが望ましいであろう。これは粘膜層をとおって薬剤又は他の有効物質を送達するために使用される時に、やがては容易に溶解する裏打ち層の一般的能力を補助する。
【0015】
本発明に従う裏打ち層は当該技術分野で知られたあらゆる経粘膜送達デバイスに使用することができる。それらは閉鎖環境下で薬剤又は他の有効物質を送達するために使用される経粘膜送達デバイスとともに使用のために特に適する。本発明に従う裏打ち層は規定の期間中、溶解に抵抗し、有効なバリヤー層を提供するように調製することができる。このように、本発明に従う裏打ち層は非溶解可能な口内パッチ剤又は当該技術分野で知られた他の送達デバイスにより必要とされる通常の方法で、剥離され、廃棄される必要のない送達デバイスの製造を容易にすることができる。
【0016】
本発明の以上の及び他の特徴物は以下の説明及び付記の請求項からより完全に明白になるであろうし、又は以下に示される本発明の実施により確認することができる。
【0017】
本発明の前記の及び他の利点及び特徴物を更に明確にするために、本発明のより特別な説明を付記の図面に示されるそれらの特定の態様に関連して提供するであろう。これらの図面は本発明のごく典型的な態様を表わし、従ってその範囲を限定することは考慮されていないことが理解される。本発明は付記の図面の使用により更なる特異性及び詳細を伴って記載、説明される。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、裏打ち層をとおる水、薬剤、他の有効物質又は他の分子の拡散を抑制し又は遅らせながら、やがて水分にさらされると溶解することができる二重機能を提供するために、親水性及び非親水性領域又は成分を含む経粘膜薬剤送達デバイスとともに使用のための裏打ち層に関する。本発明の裏打ち層は当該技術分野で知られたあらゆる経粘膜送達デバイスと一緒の使用に適する。
【0018】
本発明に従う本発明の裏打ち層は、水分にさらされると溶解可能であり、非親水性領域を含まない裏打ち層に比較して、それをとおる水、薬剤又は他の分子の移動を抑制し又は遅らせる裏打ち層を生成する、親水性及び非親水性領域を一緒に形成する様々な成分を含むことができる。与えられる数値の前に「約」の用語が付く時には、「約」の用語の効果は与えられた数値の±10%の範囲を規定することができる。
親水性領域又は成分
親水性領域又は成分は概括的に唾液中で溶解可能そして/又は崩壊可能である特性を有する1又は複数の親水性重合体を含んでなる。本発明に従って使用することができる親水性重合体の例にはそれらに限定はされないが、タンパク質基剤の物質(例えば、ゼラチン及びカゼイン)、ペクチン、アガロース、寒天、キトサン、カラゲーナン、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体[例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋重合体(例えば、クロスカルメルロースナトリウム)、微細結晶セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、他のセルロースエーテル、セルロースアセテート及びセルロースアセテートフタレート]、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋ポビドン、グアーガム、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、他の天然のヒドロゲル及び天然産物から誘導さ
れるヒドロゲルが含まれる。
【0019】
親水性重合体の外に、裏打ち層をより柔軟性にする溶媒又は可塑剤を使用することができる。可塑剤の例にはそれらに限定はされないが、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、糖アルコール及びコーンシロップが含まれる。親水性領域はまた、非親水性領域が親水性領域中でより安定であるように界面活性剤又は乳化剤を含むことができる。親水性領域にはまた、パッチ剤がより安定で、患者のより良いコンプライアンスを促進するように、フレーバー付与剤、甘味剤、着色剤、消毒剤、保存剤及び他の材料(ingredients)のようなその他の成分(components)、も含まれることができる。
【0020】
1態様において、親水性領域は非親水性領域を実質的に又は完全に囲む又は包含する連続相を含んでなるであろう。しかし、2又はそれを超える明白な副領域、層又は成分を含んでなる非親水性領域を提供することは確実に本発明の範囲内に入る。親水性領域又は成分が水分(例えば、唾液)にさらされると溶解する時間は多数の因子に左右される。これらには親水性領域内の様々な成分の本質及び濃度、以下により詳細に考察される非親水性領域内の成分、並びにそれらのサイズ、全体の裏打ち層の厚さ、裏打ち層がさらされる水分の量及び裏打ち層の溶解を加速することができる掻き混ぜ、運動又は他の外力(例えば、舌の動き)の存在、が含まれる。
【0021】
概して、親水性領域内の親水性重合体の濃度は親水性領域の約1重量%〜100重量%の範囲内、より好ましくは、約5%〜約90%の範囲内、そしてもっとも好ましくは、親水性領域の約10重量%〜約80重量%の範囲内にあるであろう。
【0022】
親水性領域内の溶媒又は可塑剤の濃度は親水性領域の0重量%〜約80重量%の範囲内、より好ましくは、約2%〜約60%の範囲内、そしてもっとも好ましくは、親水性領域の約5重量%〜約50重量%の範囲内にあるであろう。
【0023】
親水性領域は好ましくは、全体の裏打ち層の約10容量%〜95容量%の範囲内、より好ましくは、約15%〜約90%の範囲内、そしてもっとも好ましくは、裏打ち層の約20容量%〜約85容量%を含んでなるであろう。
【0024】
本明細書で開示される親水性領域又は成分は場合によりフレーバー付与剤及び/又は甘味剤を含むことができる。当業者に知られたフレーバー付与剤の外の、フレーバー付与剤の例にはそれらに限定はされないが、ミント(例えば、ペパーミント又はスペアミント)、柑橘油(例えば、レモン、ライム、オレンジ又はグレープフルーツ)、フルーツエッセンス(例えば、ベリー又はチェリー)、葡萄、ココナツ、チョコレート、クローブ、ウインターグリーン、アニス、バニラ又はそれらの組み合わせ物が含まれる。当業者に知られた甘味剤の外の甘味剤の例にはそれらに限定はされないが、単糖類、二糖類及び多糖類のような水溶性甘味剤(例えば、キシロース、リボース、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、果糖、デキストロース、蔗糖、麦芽糖、一部加水分解したデンプン又はコーンシロップの固体)及び糖アルコール(例えば、ソルビトール、キシリトール、マンニトール及びそれらの混合物)並びに水溶性の人工甘味剤(例えばサッカリン塩、シクラメート塩、ステビア、アスパルテーム及びアセスルフェーム・カリウム)が含まれる。
非親水性領域又は成分
非親水性領域は親水性領域に対して分散相又は連続相のいずれかを含んでなることができる。非親水性領域の主目的は非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、裏打ち層をとおる水、薬剤又は他の有効物質又は分子の移動を抑制し又は遅らせることである。移動の抑制又は遅延の程度は劇的である必要はないが、認め得るほどに適度でなければならない。しかし、本発明に従うより好ましい態様においては移動の抑制又は遅延は実質的であ
ろう(例えば、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、標的分子が裏打ち層をとおって拡散するのに数倍長くかかるように)。
【0025】
親水性領域内の分散相として使用することができる非親水性物質の例にはそれらに限定はされないが、空気又は他の気泡又は気孔、1又は複数の疎水性液体の液滴、1又は複数の種類の固体の疎水性粒子、必ずしも疎水性ではないが、容易に水溶性ではない1又は複数の種類の粒子、及びそれらの混合物が含まれる。
【0026】
分散非親水性領域を形成するために親水性領域中に液滴形態で分散されることができる疎水性液体の例にはそれらに限定はされないが、油、植物油、鉱油、シリコーン及び有機重合体が含まれる。
【0027】
分散非親水性領域を形成するために親水性領域中に分散されることができる固体又は半固体の非親水性物質の例には、それらに限定はされないが広範な種類のワックス、ステアリン酸マグネシウム、脂肪、脂肪酸、脂肪の塩、重合体、重合体ビーズ及びシリコーン粒子が含まれる。
【0028】
必ずしも化学的には疎水性ではないが容易には水溶性でなく、そして分散非親水性領域を形成するために親水性領域中に分散されることができる固体粒子の例には非水溶性無機充填剤粒子が含まれ、その例にはそれらに限定はされないがタルク、砂、シリカ、アルミナ、遷移金属酸化物(例えば、二酸化チタン)、シリケート、粉砕地質学的物質及び石灰岩が含まれる。
【0029】
容易に認めることができるように、気相、液相又は固相に拘わらず、実質的にあらゆる物質が非親水性領域を含んでなることができるが、ここで唯一の制約は、これらの物質が水、薬剤又は他の有効物質に対して、親水性領域よりも実質的に高いバリヤーを提供することである。概して、口内パッチ剤又は他の経粘膜送達デバイス中に使用を意図される裏打ち層の場合に、あらゆるGRAS(「generally regarded as safe(一般に安全と認められる)」)物質を口腔内に安全に使用することができると予期される。分散相の代わりに、非親水性領域は、裏打ち層をとおる水、薬剤、有効物質又は他の分子の移動を防止し、抑制し又は遅らせるように連続シールド又はバリヤーを有効に形成する連続相を含んでなることができる。1態様において、連続的非親水性領域は親水性領域内に完全に封入されるか又は親水性領域を2種以上の副領域又は層に二分する連続相を含んでなることができる。何が複数の連続相でなく分散相を構成するかの概念は滑動的規模(sliding scale)であるが、非親水性領域は分散相よりもむしろ複数の連続相を有効に構成するために十分に大きい複数の副領域を含んでなることができる。連続的非親水性領域又は成分は、薬剤又は他の標的分子を含む活性層又は領域と、親水性領域の少なくとも一部の間に挟まれる液体又は固体の非親水性物質の薄い層を含んでなることができる。
【0030】
非親水性領域が比較的小さい気孔、液滴又は粒子の分散相を含んでなる場合は、非親水性物質は概括的に任意の所望の非親水性物質を含んでなることができる。これは、親水性領域は水分にさらされると、やがて崩壊するので、親水性領域とともに分散される非親水性液滴又は粒子もまた口腔又は送達デバイスの接着の他の部分内で容易に分散するであろうためである。
【0031】
他方、非親水性領域が1又は複数の実質的なサイズの連続領域を含んでなる場合は、非親水性領域を形成するために使用される物質は少なくとも体温において、実質的に液体であるかあるいは容易に分解されて分散される物質を含んでなることが好ましいかも知れない。非親水性領域を含んでなる物質が室温で液体である場合、それは概括的に親水性領域
の崩壊時に容易に分散するであろう。室温で固体又は半固体であることができるが、親水性領域の崩壊時により容易に分散性になるように、体温に上昇させると十分に軟化する物質を選択することもまた、本発明の範囲内にある。
【0032】
非親水性領域は好ましくは、全体の裏打ち層の約5容量%〜約90容量%、より好ましくは、約10%〜約85%、そしてもっとも好ましくは、裏打ち層の約15容量%〜約80容量%を含んでなるであろう。
【0033】
前記のように、裏打ち層の厚さは概括的に水分(例えば、唾液)にさらされると裏打ち層が実質的に崩壊されるのに要する時間と相関する。概して、乾燥後の完成製品としての裏打ち層は好ましくは、約0.1mm〜約5mmの範囲内、より好ましくは約0.2mm〜約3.5mmの範囲内、そしてもっとも好ましくは約0.3mm〜約2mmの範囲内の厚さを有するであろう。
【0034】
裏打ち層は規定の時間又は範囲内に唾液にさらされると(又は身体の何か他の部分の水分にさらされると)口腔内で溶解される裏打ち層を生成するように調製され、サイズをもつことができる。例えば、本発明に従う裏打ち層は、裏打ち層が約1分〜約2時間の範囲内、より好ましくは、約10分〜約1時間の一定の期間及び範囲内、唾液にさらされると、口腔内で溶解されるような調製物及び厚さを有することができる。
【0035】
前記のように、非親水性領域は、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、いくらかの適度な量だけ、裏打ち層をとおる水、薬剤、他の有効物質又は他の分子の移動を抑制し又は遅らせることが必要なだけである。概して、本発明に従う裏打ち層は好ましくは、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、少なくとも約25%、より好ましくは、少なくとも約50%だけ、そしてもっとも好ましくは、少なくとも約75%だけ、水、薬剤、他の有効物質又は少なくとも1種の他の分子の透過係数を減少するであろう。
代表的裏打ち層及び送達デバイス
次に、本発明の範囲内の多数の代表的裏打ち層並びに本発明に従う代表的裏打ち層を含む経粘膜送達デバイスを示す図面を参照する。
【0036】
図1は親水性領域12及び、分散非親水性領域としてその中に分散された複数の気孔14、を含む裏打ち層10を示す。親水性領域の当初の固体の本質のために、気孔14は裏打ち層を取り入れている送達デバイスによる粘膜層をとおる有効物質の送達のために前以て規定された時間の少なくとも一部中は実質的にそのまま維持されるであろう。分子は空気又は他の気孔をとおって拡散する傾向がないので、それらは概括的に気孔の周辺に拡散することを強いられ、それが裏打ち層をとおる、より曲がりくねった経路を採らせる。
【0037】
分散された非親水性領域の目的は、粘膜表面(図示されていない)をとおって薬剤又は他の有効物質を送達するための送達デバイスの使用中に、裏打ち層をとおる活性層内に含まれる薬剤又は他の有効物質の移動を抑制することである。分散された非親水性領域を含むことは、薬剤又は他の有効物質がそれに沿って移動して、分散非親水性領域により形成される断続的バリヤーを回避しなければならない、曲がりくねった又は遠回りの経路を形成することにより、分子の移動を抑制することが発見された。このようにして、分散非親水性領域は裏打ち層の実際の厚さより大きい有効な拡散経路を形成する。更に、非親水性領域は、薬剤又は他の有効物質がそれをとおって拡散することができる表面積を減少する。このようにして、拡散のための有効面積は裏打ち層の実際の表面積より小さい。
【0038】
限定はされない例示により、気孔14の存在が裏打ち層の厚さの2倍長い拡散経路をもたらす場合、裏打ち層をとおる分子の拡散時間はほぼ2倍になると期待されると考えられる。このようにして、厚さxを有する裏打ち層は厚さ2xを有する裏打ち層のものに匹敵
するバリヤー性を与えることができる。しかし、前記の関係は純粋に説明図により与えられ、本発明に従う代表的裏打ち層の厚さ及び/又は気孔の濃度及び特定の分子が裏打ち層をとおって拡散するために要する時間の間の何か特定の関係を示唆するものと理解してはならない。
【0039】
拡散に利用できる表面積は、曲がりくねった経路を提供することの外に更に、気孔、液滴又は粒子により減少される。半分が気孔、液滴又は粒子により占められる表面積に対しては、流量は約半分だけ減少する、従って裏打ち層のバリヤー性が本質的に2倍になる。
【0040】
図2は連続親水性領域22及び、疎水性液体又は固体又は容易に水溶性ではない固体を含んでなる分散非親水性領域24を含む、本発明に従う、代わりの裏打ち層20を示す。容易に想像することができるように、親水性領域22の溶解時に、非親水性領域24を含んでなる液滴又は固体粒子は患者の口腔又は他の部位内で容易に分散するであろう。
【0041】
図3は、親水性領域22及び液体又は固体を含んでなる分散非親水性領域24を含んでなる裏打ち層20のような、本発明の裏打ち層をとおる仮定的拡散経路26を示す。図3に示されるように、拡散経路26は直線から逸脱し、従って必然的に、他の場合に分散非親水性領域24の不在下で存在すると考えられる拡散経路を長くする。
【0042】
図4は連続的非親水性領域又は成分34を完全に囲む又は封入する連続的親水性領域32を含む、本発明に従う、代わりの裏打ち層30を表わす。連続的非親水性領域34は、薬剤又は他の標的分子のあらゆる拡散が連続的非親水性領域34を完全に迂回する拡散経路36を通らなければならないようなバリヤーを有効に形成する。
【0043】
図5は親水性領域42の2半分の部分の間に挟まれた又は層状になった、非親水性領域44により少なくとも一部は二分された親水性領域42を含む、代わりの裏打ち層40を表わす。図5は単に断面図であるので、非親水性領域44は親水性領域42が連続相を含んでなることができるように親水性領域42の足りない、図示されないディメンションで終結する可能性があることを理解しなければならない。非親水性領域44は親水性領域42の末端まで延伸するので、それは拡散経路46に非親水性領域42を迂回させて、裏打ち層40の上部でなく、側部の拡散経路を通させる。
【0044】
図6は連続的親水性領域52及び、裏打ち層50をとおる非直線的拡散経路56を形成するような方法で重複する複数の細長い非親水性領域54を含む、本発明に従う、代わりの裏打ち層50を表わす。非親水性領域54はある意味では分散相である。しかし、それらが細長いために、それらはある意味で図4及び5で示された連続的非親水性領域のように働く。図6の主目的は図1及び2に示された高度に分散した相と、図4及び5に示された連続相との間に広範な可能な非親水性領域が存在することを示すことである。
【0045】
図7は親水性領域64及び分散非親水性領域66を含む、本発明に従う裏打ち層62を含んでなる送達デバイス60を表わす。裏打ち層62に、患者又は動物中に送達のための薬剤又は他の有効物質を含んでなる活性層68が隣接する。好ましい態様において、唾液又は他の水分源にさらされると、その中の薬剤又は他の有効物質が所望に応じて送達され、標的の送達部位から口腔又は他の部位中に拡散してしまわない十分な時間中、送達デバイス60が送達部位に対して活性層68を隔離し、維持するように、裏打ち層62は規定された期間中、溶解に抵抗するであろう。
【0046】
図8は親水性領域74及び分散非親水性領域76を有する本発明の裏打ち層72を含んでなる、代わりの送達デバイス70を表わす。薬剤又は他の有効物質を含んでなる活性層78は裏打ち層72の全長に沿って延伸するように示されている。
【0047】
図9は、本発明に従う本発明の裏打ち層82、裏打ち層の一部に隣接する接着層84及び裏打ち層の一部に隣接する活性層86を含んでなり、そこで接着層84が活性層86の少なくとも一部を囲む、代わりの送達デバイス80を表わす。このように、接着層は標的の送達領域内に活性層86内の薬剤又は他の有効成分を隔離し、維持する点で裏打ち層を補助することができる。
【0048】
図10は本発明に従う代表的裏打ち層92、裏打ち層92に隣接し、その全長にわたり延伸する接着層94及び接着層94の一部に隣接する活性層96を含んでなる、代わりの送達デバイス90を表わす。この態様において、接着層94はまた、少なくとも図10に示した断面図内で活性層96の少なくとも一部を囲む。
【0049】
図1〜10に示した送達デバイスは単に説明図であることを理解しなければならない。様々な層(例えば、裏打ち層、接着層及び活性層)の相対的長さ、幅及び厚さは所望に応じて調節されて、所望の特性を有する送達デバイスをもたらすことができる。
【0050】
本発明に従う本発明の裏打ち層は任意の所望の薬剤又は他の有効物質を有する経粘膜送達デバイスの製造に使用することができる。薬剤又は他の有効物質は典型的には、本発明に従う本発明の裏打ち層に隣接した分散した活性層又は領域を含んでなるであろう。本発明の裏打ち層は、経粘膜送達デバイスが製造される当初は薬剤又は有効物質を含まないことが推定されるが、経粘膜送達デバイスが製造された後のいつかには、活性層又は領域が本発明の裏打ち層内に少なくとも一部は分散されることは本発明の範囲内にある。好ましい態様において、本発明に従う経粘膜送達デバイスの活性層又は領域は、薬剤又は他の有効物質及び少なくとも1種のエンハンサーを含む。
【0051】
本発明に従う経粘膜送達デバイス中に使用することができる薬剤又は他の有効物質の例には、フェンタニル、コデイン、スフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、アルフェンチュニル、モルフィネ、他のアヘン剤、スマトリプタン、他のトリプタン、インターフェロン、ヘパリン、タンパク質、ペプチド及びバルビタール剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗不安薬、鎮静剤、抗鬱剤、カンナビノイド、抗凝固剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、血圧調節剤及び抗コレステロール剤、ビタミン、栄養物、等が含まれる。本発明に従う経粘膜送達デバイスに使用することができる薬剤又は他の有効物質の好ましい例には、フェンタニル、コデイン、スフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、アルフェンチュニル、モルフィネ、他のアヘン剤、トリプタン、とりわけスマトリプタン、インターフェロン、タンパク質及びペプチドが含まれる。本発明に従う経粘膜送達デバイスに使用することができる薬剤又は他の有効物質の好ましい例には、トリプタン、とりわけスマトリプタン、インターフェロン、タンパク質、ペプチド及び経粘膜送達において薬剤又は他の有効物質の拡散を促進するためにエンハンサーを必要とするあらゆる薬剤が含まれる。
【0052】
粘膜層をとおる薬剤又は他の有効物質、とりわけそれなしでは粘膜をとおる拡散に抵抗する可能性がある高分子の送達を容易にし、又は促進するために使用することができるエンハンサーの例にはそれらに限定はされないが、胆汁酸、それらの塩形態及び誘導体、アシルカルニチン、ドデシル硫酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、ラウリル硫酸ナトリウム、飽和及び不飽和脂肪酸の塩及び他の誘導体、界面活性剤、アルコール、テルペン、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、サポニン及びそれらの誘導体、キトサン、及びキレート形成剤(例えば、EDTA、クエン酸及びサリチル酸塩)が含まれる。胆汁酸、それらの塩形態及び誘導体の例にはそれらに限定はされないが、コール酸ナトリウム、デヒドロコール酸塩、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、リソコール酸ケノコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸塩、グリコケノコール酸塩、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸塩、
タウロケノコール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、ウルソコール酸塩、ウルソデオキシコール酸塩、及びヒオデオキシコール酸塩、等が含まれる。
【0053】
薬剤及びエンハンサーに加えて場合により含むことができる適したマトリックス物質の例には、それらに限定はされないが、アルギン酸、その塩及び誘導体、セルロース、セルロースエーテル、それらの塩及び誘導体、デンプン、カラゲーナン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシア及びポリアクリル酸が含まれる。
【0054】
1態様において、本発明に従う裏打ち層は活性層と一緒に使用されて、2層の経粘膜送達デバイス又は投与形態を形成することができる。もう1つの態様において、送達デバイスは裏打ち層と、使用中それが接着される粘膜表面又は膜、の間の接着を促進するために活性層を囲む、裏打ち層に隣接した接着層を含むことができる(例えば、図9及び10)。
【0055】
本発明に従う経粘膜送達デバイスは、粘膜(例えば、口腔、膣又は腸内)をとおって1又は複数の有効物質を送達するために哺乳動物の粘膜表面又は膜に対して配置することができる。粘膜をとおして有効物質を送達する典型的な方法は(1)粘膜表面に対して経粘膜送達デバイスを配置すること及び(2)所望の処置を提供するように粘膜表面に対して経粘膜送達デバイスを滞留させることを含んでなる。好ましい処置の方法において、経粘膜送達デバイスは哺乳動物の口腔内の粘膜表面に対して配置される。経粘膜送達デバイスは典型的には、(3)それが溶解するまで口腔内又は他の粘膜に対して滞留することを許される。
【0056】
経粘膜送達デバイスは任意の所望の処置を提供するために任意の有効物質を送達するために使用することができる。これらのデバイスはスマトリプタンを送達するために特に有用である。それらはまた例えば、疼痛のためにすでに投薬されている患者により感じられる疼痛を意味する、「押さえ切れない疼痛」として知られているものを含む疼痛を処置するためのアヘン剤又は他の鎮痛剤を送達するために使用することができる。
【0057】
以下の実施例は限定ではなく、具体例により与えられる。過去形で表わされる実施例は製造された裏打ち層の実際の組成物を規定する。現在形で表わされる実施例は単に仮定的又は予測的性状であるが、製造された実際の組成物に基づくか又はそれらから推定されている。
【実施例1】
【0058】
溶解可能な裏打ち層を、70部の水中にゼラチン20部及びグリセリン10部を溶解することにより製造した。混合物を50℃に加熱してゼラチンを溶解した。混合物を完全に溶解後、9,000±1000rpmの高速ホモジナイザーによりゲル中に気泡を導入した。数分間の混合後、ゲルが透明から不透明に変化した。ゲル試料を採取して、ゲル内の気孔の百分率を測定した。気孔が分散非親水性領域としてゲル/空気混合物の50%±5%(v/v)からなった後にホモジナイズ処理を停止した。次に泡立てたゲルをプラスチックの剥離ライナー上に成形して、2mmの厚さを有する成形裏打ち層を形成した。裏打ち層を室温で1晩乾燥すると、水蒸発の結果として約0.7mmの厚さを有する最終的裏打ち層をもたらした。
【実施例2】
【0059】
溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部、アルギン酸ナトリウム1部及び水69部並びに分散した非親水性領域として親水性領域全体に分散される気孔、から製造した。形成方法は実施例1と同様であり、ほぼ同濃度
の気孔を有するゲル/空気混合物及びその後の成形裏打ち層を生成した。調製物中へのアルギン酸ナトリウムの添加が実施例1に比較して、より強度で、より長く持続した裏打ち層を生成した。
【実施例3】
【0060】
溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部及び水70部並びに、親水性領域の20重量%の、分散非親水性領域として親水性領域全体に分散された粉末タルク(ケイ酸マグネシウム)、から製造した。親水性領域及び裏打ち層を製造する方法は実施例1と同様であった。
【実施例4】
【0061】
溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部及び水70部並びに、親水性領域の5重量%の、分散非親水性領域として親水性領域全体に分散されたCrisco(R)油(部分硬化植物油)、から製造した。親水性領域及び裏打ち層を製造する方法は実施例1と同様であった。
【実施例5】
【0062】
溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部及び水70部並びに、親水性領域の10重量%の、分散非親水性領域として親水性領域全体に分散されたLubritab(R)油(硬化植物油)、から製造した。混合物を70℃に加熱して、ゼラチンを親水性領域中に溶解し、そして硬化植物油を疎水性相として液体にさせた。高速ホモジナイザーを使用して、2相を一緒に泡立てると、混合物は水中油エマルションを形成した。次にホモジナイザーを走行させながら温度を約40℃に低下させた。この温度で、硬化植物油は固化し、他方ゼラチンゲルは液体のままであった。従って混合物は液体中固体の懸濁物になった。プラスチックの剥離ライナー上に混合物を成形すると、ゼラチンゲルは固化し、固体の硬化植物油粒子が連続的親水性ゼラチンマトリックス内の非親水性領域として恒久的に分散したままであった。成形裏打ち層の厚さは1.5mmであった。裏打ち層は室温で1晩乾燥すると、水蒸発の結果として、約0.35mmの厚さを有する最終裏打ち層をもたらした。
【実施例6】
【0063】
溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部及び水70部並びに、親水性領域の5重量%の、分散非親水性領域として親水性領域全体に分散されたステアリン酸マグネシウム、から製造した。親水性領域の製造及び裏打ち層の成形方法は実施例1と同様であった。
【実施例7】
【0064】
溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部、アガロース0.5部及び水69.5部並びに、分散非親水性領域として親水性領域全体に分散された気孔から製造した。製造方法は実施例1と同様であった。アガロースの添加は実施例1に比較して、より強力で、より持続する裏打ち層をもたらした。
【実施例8】
【0065】
溶解可能な裏打ち層を、一緒にフレーバー付き親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部、ペパーミント油0.53部、アセスルフェームカリウム2.19部及び水67.28部並びに、分散非親水性領域として親水性領域全体に分散された気孔、から製造した。製造方法は実施例1と同様であった。フレーバー付け剤及び甘味剤の添加はより味の良い裏打ち層をもたらした。これは患者のコンプライアンスを改善すると期待されるであろう。
【実施例9】
【0066】
溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成したゼラチン20部、グリセリン10部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部及び水69.9部並びに、分散非親水性領域として親水性領域全体に分散された気孔、から製造した。製造方法は実施例1と同様であった。界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を使用して、親水性領域中の気孔を安定化させた。
【比較例1】
【0067】
比較試験のための裏打ち層の1群を、実施例1(通気)、実施例3(タルク)、実施例5(硬化植物油)及び実施例6(ステアリン酸Mg)に記載の調製物及び方法を使用して製造した。透明な裏打ち層(透明な)を実施例1に従う比較の目的で、しかし非親水性領域を伴わずに製造した、すなわち裏打ち層は通気された裏打ち層と同様な親水性領域を有したがその中にどんな非親水性領域をも分散されなかった。隣り合った拡散室を使用して前記の様々な裏地のバリヤー機能を試験するための拡散研究を実施した。
【0068】
図11はHPLCを使用して決定された、それぞれの裏打ち層に対するやがて膜を横断するスマトリプタンの量をグラフで表わすチャートである。容易に示されるように、裏打ち層をとおるスマトリプタンの拡散は非親水性領域を含まない「透明な」裏打ち層に対して最大であった。非親水性領域を含む裏打ち層はすべて、特に試験の早期段階中、裏打ち層をとおるスマトリプタンの有意に減少した拡散を示した。更なるデータ(図示されていない)により、非親水性領域の添加は裏打ち層のバリヤー機能を増加したのみならずまた、ゼラチンゲルを含んでなる親水性領域の水和速度を低下させ、従って、その水和期間中、裏打ち層のバリヤー機能を更に増加したことが示されている。
【比較例2】
【0069】
経粘膜パッチ剤のための被覆層としての本発明の裏打ち層の実際的使用を更に具体的に示すために、3種の裏地材を実施例1(通気)、実施例4(部分的硬化植物油)及び実施例6(ステアリン酸Mg)に従って製造した。本研究において、有効な調製物はスマトリプタン10mg、タウロコール酸ナトリウム5mg及びアルギン酸ナトリウムからなった。活性層は0.75インチ(1.9cm)の直径を有した。裏打ち層は0.875インチ(2.22cm)の直径を有した。活性層及び裏打ち層をインビボの実験の前に水でそれらを湿らせることにより一緒に「接着」させた。
【0070】
インビボの実験を、2時間にわたり、麻酔イヌの口腔粘膜上で実施した。口腔粘膜をパッチ剤の適用前に生理食塩水で洗浄し、湿らせた。実験中、口腔内の実際の環境に似せるために温生理食塩水で浸したTelfa(R)パッド(外科用包帯、Kendall Co.)をパッチ剤の上に置いた。パッチ剤が溶解するまで、5分毎にパッドを取り替えた。その考えは口腔内のパッチ剤の通常の摩耗及び破損を模倣することであった。血清試料を前以て規定された間隔で採取した。試料をMS検出デバイスの付いたHPLCを使用して分析した。
【0071】
この研究からのデータは図12に示したチャートに示される。それらは、裏打ち層が最初の30〜40分間、適当な被覆を提供して、スマトリプタンのイヌによる急速な取り込みをもたらしたことを示す。裏地及び有効パッチ剤の溶解時に、血清濃度は降下し始めた。血清データはパッチ剤投与と密接に相関し、そこでパッチ剤は口腔内で30〜50分間持続した。
【実施例10】
【0072】
溶解可能な裏打ち層、接着層及び活性層を有する経粘膜薬剤送達デバイスを製造した。溶解可能な裏打ち層を、親水性領域を一緒に形成し、水でバランスさせた、ゼラチン20
%及びグリセリン10%からなるゲル並びに分散非親水性領域として親水性領域全体に分散された気孔、から製造した。親水性領域は裏打ち層の50容量%からなり、他方気孔は50容量%からなった。裏打ち層はプラスチック基材上に成形された。裏打ち層の厚さは最初に成形された時に2mmであった。裏打ち層は乾燥せずに固化させた。
【0073】
接着層を、水でバランスさせて、Polyox(R)750(ポリエチレンオキシド)2.5%,Carbopol(R)971(ポリアクリル酸)0.5%からなる水性ゲルから形成した。ゲルを固化裏打ち層上に直接成形して、接着層を形成し、それは最初に成形された時に1mmの厚さを有した。合せた裏打ち層及び接着層を室温で1晩乾燥した。活性層を、水でバランスさせて、アルギン酸ナトリウム6%、コハク酸塩としてのスマトリプタン4%、タウロコール酸ナトリウム2%からなる水性混合物から形成した。混合物を乾燥した接着層の露出表面上に直接成形して、最初に成形した時に1mmを有する活性層を形成した。次に投与形態を室温で1晩乾燥した。
【実施例11】
【0074】
有効物質としてインターフェロンを含む口腔経粘膜送達パッチ剤を本発明に従って製造した。パッチ剤は3層、(1)活性層、(2)接着層及び(3)裏打ち層、を有した。3層の調製物は下表に挙げられる。

活性層の成分
成分名 濃度(%)
アルギン酸ナトリウム 2%
インターフェロンα2b 0.1%
タウロコール酸ナトリウム、 0.8%
水 97.1%

接着層の成分
成分名 濃度(%)
ポリエチレンオキシド 2.5%
ポリアクリル酸 0.5%
水 97.5%

裏打ち層の成分
成分名 濃度(%)
ゼラチン 20%
グリセリン 10%
ドデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド 0.1%
水 70%

活性層を形成するために使用されるゲル組成物を、混合カン中で、乾燥成分としてアルギン酸ナトリウム、インターフェロンα2b及びタウロコール酸ナトリウムを混合することにより調製した。次に適量の水を添加した。混合カンをローラーミキサー上で緩徐に回転させて、ゲル中に過剰な空気を捕捉することを回避した。ゲルが適当に混合された後に(すなわち固形のアルギン酸塩粒子がなくなった後に)、1ディスク当たり1mlで複数の0.875インチ(2.22cm)のポリスチレンディスク上にピペットで滴下して活性層を形成した。ゲルを室温で1晩乾燥すると最終活性層を形成した。
【0075】
裏打ち層を形成するために使用されるゲル組成物を、55℃の水中にゼラチン、グリセリン及びドデシルトリメチルアンモニウム・ブロミドを混合することにより調製した。ゼラチンが完全に溶解後に、オーバーヘッドミキサーを使用して、ゲルが白色に変化し、容量が2倍になって、発泡ゲル組成物を形成するまで、1500rpmでゲルを泡立てた。次に泡立てたゲル組成物を1インチ(2.54cm)の直径及び0.125インチ(0.32cm)の厚さを有するプラスチック型中で成形した。成形されたゲル組成物を室温で1晩乾燥させると最終裏打ち層を形成した。
【0076】
接着層を形成するために使用されるゲル組成物を、混合カン中で成分を回転混合することにより調製した。約1mmの厚さの薄い層を乾燥した裏打ち層の露出表面に適用した。合せた裏打ち層及び接着層を室温で1晩一緒に乾燥した。裏打ち層、接着層及び活性層が準備された後、水25μlを接着層の露出面上にピペットで滴下し、接着層をポリスチレンのディスクから剥離し、湿らせた接着層の表面上に置いた。活性層を接着層/裏打ち層の上部に平らに収まるまで穏やかに圧迫した。次に合せたパッチ剤を室温で乾燥させた。
【実施例12】
【0077】
有効物質としてスマトリプタンを含有する口腔経粘膜送達パッチ剤を本発明に従って製造した。パッチ剤は3層、(1)活性層、(2)接着層及び(3)裏打ち層を有した。3層の調製物は下表に挙げられる。

活性層の成分
成分名 濃度(%)
アルギン酸ナトリウム 4%
コハク酸スマトリプタン 11.2%
タウロコール酸ナトリウム 4%
水 80.8%

接着層の成分
成分名 濃度(%)
ポリエチレンオキシド 2.5%
ポリアクリル酸 0.5%
水 97.5%

裏打ち層の成分
成分名 濃度(%)
ゼラチン 20%
グリセリン 10%
アルギン酸ナトリウム 0.25%
アセスルフェームカリウム 0.075%
水 69.675%

裏打ち層を形成するために使用されるゲル組成物をグリセリン及びアルギン酸ナトリウムを含有する50℃の水中にゼラチンを溶解することにより調製した。ゲルを50℃に加熱されたオーブン中に入れて、ゼラチンを完全に溶解させた。ゼラチンが完全に溶解後に、甘味剤としてアセスルフェームカリウムを添加した。ゲル組成物を高剪断ホモジナイザーにより通気して発泡ゲル組成物を形成した。ゲル組成物をプラスチック剥離ライナー上に成形して、成形ブロックを使用して2.2mmの厚さを有する未固化シートを形成した。シートを乾燥せずに固化させた。
【0078】
接着層を形成するために使用されるゲル組成物を水中に水以外の成分を溶解することにより調製した。接着性ゲル組成物を、ゲルが塊をもたず透明になるまで約6時間真空下で混合した。接着性ゲル組成物を直前の節で形成された固化した裏打ち層上に成形した。成形ブロックの設定は2.2mmに維持された。裏打ち層は固化時に約1.2mmに収縮したので、接着層の実際の厚さは約1mmであった。合せた裏地/接着層を室温で1晩乾燥させた。
【0079】
活性層を形成するために使用されるゲル組成物を混合容器中に水以外の成分を乾燥混合し、次に水の添加後、ローラー上でゲルを6時間回転混合することにより製造した。有効ゲル組成物を数分間音波処理して、気泡を排除した。0.6875インチ(1.75cm)の直径及び0.5mmの厚さをもつ複数の型穴を有するプラスチック型を裏打ち層/接着層の一部の上に配置した。有効ゲル組成物をプラスチック型穴中で成形し、過剰なゲル
組成物をステンレス鋼の刃を使用して切断した。次にプラスチック型を外した。活性層を乾燥後に、3層のパッチ剤を0.8125インチ(2.06cm)直径のダイカッターを使用して切断した。最終製品は活性層が裏打ち層/接着層より小さい(すなわちそれらに囲まれた)3層パッチ剤であった。
【0080】
本発明はその精神又は本質的特徴から逸脱せずに他の特別の形態に具体化されることができる。説明された態様はすべての点で、具体例としてのみ考慮され、限定するものと考えるべきではない。従って本発明の範囲は以上の説明によるよりむしろ、付記の請求の範囲により示される。請求の範囲の意味及び同等物の範囲内に入るすべての変更がそれらの範囲内に包含されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】連続的親水性領域又は成分及び、気孔を含んでなる分散非親水性領域又は成分を含む、本発明に従う代表的裏打ち層を表わす断面図である。
【図2】連続的親水性領域又は成分及び、液体又は固体物質を含んでなる分散非親水性領域又は成分を含んでなる、本発明に従う代わりの裏打ち層を表わす断面図である。
【図3】裏打ち層を通って拡散するために薬剤又は他の有効分子が採らなければならないねじれた又は遠回りの経路の概念を表わす、本発明の裏打ち層の断面図である。
【図4】親水性領域内に完全に封入されている連続的非親水性領域又は成分を囲む連続的親水性領域又は成分を含む、本発明に従う、代わりの裏打ち層を表わす断面図である。
【図5】それらの間に挟まれた非親水性領域により分離された親水性領域の2枚の連続層を含んでなる、代わりの裏打ち層を表わす断面図である。
【図6】連続的親水性領域又は成分及び、親水性領域内に分散された複数の細長い非親水性領域を含んでなる、代わりの裏打ち層を表わす断面図である。
【図7】本発明に従う裏打ち層及び、裏打ち層に隣接した薬剤又は他の有効物質を含んでなる活性層を含んでなる、経粘膜デバイスを表わす断面図である。
【図8】裏打ち層の全長に沿って延伸する活性層に隣接する、本発明に従う裏打ち層を含んでなる送達デバイスを表わす断面図である。
【図9】本発明に従う裏打ち層、裏打ち層に隣接する活性層及び、裏打ち層に隣接し、活性層を囲む接着層を含んでなる送達デバイスを表わす、断面図である。
【図10】本発明に従う裏打ち層、裏打ち層に隣接する接着層及び、接着層に隣接し、接着層の一部が活性層を囲むか又はそれを越えて延伸するサイズを有する活性層、を含んでなる送達デバイスを表わす、断面図である。
【図11】本発明に従って製造された様々な裏打ち層並びに基底線対照としての透明な裏打ち層をとおる、スマトリプタンの拡散速度を比較した拡散研究の結果を表わす図である。
【図12】本発明に従う異なる裏打ち層を使用する、時間の関数として血清スマトリプタン濃度を測定したインビボ試験の結果を表わすグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分にさらされるとやがては溶解するようになっている少なくとも1種の親水性重合体を含んでなる親水性領域、及び
該親水性領域内に少なくとも一部は封入され、そして裏打ち層をとおる水、有効物質又は他の分子の移動を少なくとも一部は抑制するようになっており、そして該親水性領域内にもはや封入されない時に分散するようになっている非親水性領域
を含んでなる、粘膜に対して配置するようになっている経粘膜送達デバイスとともに使用のための溶解可能な裏打ち層。
【請求項2】
該親水性重合体がゼラチン、他のタンパク質、ペクチン、寒天、キトサン、カラゲーナン、デンプン、加工デンプン、セルロースエーテル、セルロースエステル、他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、架橋ポビドン、グアーガム、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム及び他の誘導体からなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項3】
該親水性重合体が該親水性領域の約1重量%〜100重量%の範囲内の濃度を有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項4】
該親水性重合体が該親水性領域の約5重量%〜約90重量%の範囲内の濃度を有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項5】
該親水性重合体が該親水性領域の約10重量%〜約80重量%の範囲内の濃度を有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項6】
該親水性領域が更に少なくとも1種の可塑剤を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項7】
該可塑剤がグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、糖アルコール及びコーンシロップからなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項6の溶解可能な裏打ち層。
【請求項8】
該可塑剤が該親水性領域の0%〜約80重量%の範囲内の濃度を有する、請求項6の溶解可能な裏打ち層。
【請求項9】
該可塑剤が該親水性領域の約2%〜約60重量%の範囲内の濃度を有する、請求項6の溶解可能な裏打ち層。
【請求項10】
該可塑剤が該親水性領域の約5%〜約50重量%の範囲内の濃度を有する、請求項6の溶解可能な裏打ち層。
【請求項11】
該親水性領域が連続相を含んでなり、そして該非親水性領域が分散相を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項12】
該非親水性領域が該親水性領域中に分散された複数の気孔(gaseous voids)を含んでなる、請求項11の溶解可能な裏打ち層。
【請求項13】
該非親水性領域が該親水性領域中に分散された複数の疎水性液滴又は疎水性固体粒子を含んでなる、請求項11の溶解可能な裏打ち層。
【請求項14】
該疎水性液滴又は疎水性固体粒子が油、植物油、鉱油、シリコーン液、ワックス、ステアリン酸マグネシウム、脂肪、脂肪酸、脂肪酸の塩、ワックス、重合体、重合体ビーズ及び固体シリコーン粒子からなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項13の溶解可能な裏打ち層。
【請求項15】
該非親水性領域が該親水性領域全体に分散された複数の非水溶性の無機の充填剤粒子を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項16】
該非水溶性無機充填剤粒子がタルク、砂、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、他の遷移金属酸化物、シリケート、石灰岩及び粉砕地質学的物質からなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項15の溶解可能な裏打ち層。
【請求項17】
該親水性及び非親水性領域がそれぞれ連続相を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項18】
該非親水性領域が疎水性液体、疎水性固体又は非水溶性固体の少なくとも1種を含んでなる、請求項17の溶解可能な裏打ち層。
【請求項19】
該非親水性領域が油、植物油、鉱油、ワックス、ステアリン酸マグネシウム、脂肪、脂肪酸、脂肪酸の塩、ワックス、重合体ビーズ、重合体及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項17の溶解可能な裏打ち層。
【請求項20】
該非親水性領域が、体温に暖められると液体又は軟化固体に転化する(transform)少なくとも1種の最初は固体の成分を含んでなる、請求項17の溶解可能な裏打ち層。
【請求項21】
該非親水性領域が気孔、疎水性液体、疎水性固体及び非水溶性無機充填剤粒子からなる群から選択される少なくとも2種の異なるタイプの成分を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項22】
該親水性領域が裏打ち層の約10容量%〜約95容量%を含んでなり、そして該非親水性領域が裏打ち層の約5容量%〜約90容量%を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項23】
該親水性領域が裏打ち層の約15容量%〜約90容量%の含んでなり、そして該非疎水性領域が裏打ち層の約10容量%〜約85容量%を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項24】
該親水性領域が裏打ち層の約20容量%〜約85容量%を含んでなり、そして該非疎水性領域が裏打ち層の約15容量%〜約80容量%を含んでなる、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項25】
裏打ち層が約0.1mm〜約5mmの範囲内の厚さを有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項26】
裏打ち層が約0.2mm〜約3.5mmの範囲内の厚さを有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項27】
裏打ち層が約0.3mm〜約2mmの範囲内の厚さを有する、請求項1の溶解可能な裏
打ち層。
【請求項28】
裏打ち層が、所定の期間又は範囲内中、唾液にさらされる時に、裏打ち層が口腔内で溶解されるような調製物(formulation)及び厚さを有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項29】
裏打ち層が、約1分〜約2時間の範囲内の期間中、唾液にさらされると、裏打ち層が口腔内で溶解されるような調製物及び厚さを有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項30】
裏打ち層が、約10分〜約1時間の範囲内の期間中、唾液にさらされると、裏打ち層が口腔内で溶解されるような調製物及び厚さを有する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項31】
裏打ち層が、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して少なくとも約25%だけ1又は複数の水溶性分子の透過係数を減少する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項32】
裏打ち層が非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して少なくとも約50%だけ1又は複数の水溶性分子の透過係数を減少する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項33】
裏打ち層が非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、少なくとも約75%だけ1又は複数の水溶性分子の透過係数を減少する、請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項34】
親水性領域の約10重量%〜約80重量%の範囲内の濃度を有する少なくとも1種の親水性重合体及び該親水性領域の約5重量%〜約50重量%の範囲内の濃度を有する少なくとも1種の可塑剤を含んでなる親水性領域(ここで該親水性領域は水分にさらされるとやがて溶解するようになっている)、並びに
気孔、疎水性液体、疎水性固体又は非水溶性固体のうちの少なくとも1種を含んでなる該親水性領域内に少なくとも一部は封入され、そして裏打ち層をとおる水、有効物質又は他の分子の移動を少なくとも一部は抑制するようになっており、そして該親水性領域内にもはや封入されない時に分散するようになっている、非親水性領域、(ここで該裏打ち層は約0.1mm〜約5mmの範囲内の厚さを有する)、
を含んでなる請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項35】
水分にさらされるとやがて溶解するようになっている、ゼラチン及びグリセリンを含んでなる親水性領域及び
気孔、疎水性液体、疎水性固体又は非水溶性固体のうちの少なくとも1種を含んでなる該親水性領域内に少なくとも一部は封入され、そして裏打ち層をとおる水、有効物質又は他の分子の移動を少なくとも一部は抑制するようになっておりそして該親水性領域内にもはや封入されない時には分散するようになっている、非親水性領域、
(ここで該裏打ち層は約0.1mm〜約5mmの範囲内の厚さを有する)、
を含んでなる請求項1の溶解可能な裏打ち層。
【請求項36】
ゼラチン及びグリセリンを含んでなりそして唾液にさらされるとやがて溶解するようになっている親水性領域及び
該裏打ち層をとおる水、有効物質又は他の分子の移動を少なくとも一部は抑制するような方法で該親水性領域内に封入された分散相を含んでなる気孔
(ここで該裏打ち層は約0.1mm〜約5mmの範囲内の厚さを有するシート又はフィルムを含んでなる)、
を含んでなる、粘膜に対して配置するようになっている経粘膜送達デバイスとともに使用のための溶解可能な裏打ち層。
【請求項37】
該親水性領域が裏打ち層の約20容量%〜約85容量%を含んでなり、そして該気孔が裏打ち層の約15容量%〜約80容量%を含んでなる、請求項36の溶解可能な裏打ち層。
【請求項38】
裏打ち層が約0.2mm〜約3.5mmの範囲内の厚さを有するシート又はフィルムを含んでなる、請求項36の溶解可能な裏打ち層。
【請求項39】
裏打ち層が約0.3mm〜約2mmの範囲の厚さを有するシート又はフィルムを含んでなる、請求項36の溶解可能な裏打ち層。
【請求項40】
裏打ち層が約1分〜約2時間の期間及び範囲内、唾液にさらされると口腔内で溶解される、請求項36に記載の溶解可能な裏打ち層。
【請求項41】
裏打ち層が約10分〜約1時間の期間及び範囲内、唾液にさらされると口腔内で溶解される、請求項36に記載の溶解可能な裏打ち層。
【請求項42】
少なくとも1種の有効物質を含んでなる活性層及び
該活性領域の1面を覆うようなサイズ及び形態を有する溶解可能な裏打ち層を含んでなる、有効物質の経粘膜送達をするようになっている投与形態
(ここで、該裏打ち層が
水分にさらされるとやがて溶解するようになっている少なくとも1種の親水性重合体を含んでなる親水性領域及び
該裏打ち層をとおる該有効物質の移動を少なくとも一部は抑制するようになっており、そして該親水性領域中にもはや封入されない時には分散するようになっている、該親水性領域内に少なくとも一部は封入された非親水性領域、を含んでなる)。
【請求項43】
該有効物質が少なくとも1種の薬剤を含んでなる、請求項42の投与形態。
【請求項44】
該有効物質がスマトリプタンを含んでなる、請求項42の投与形態。
【請求項45】
該有効物質が少なくとも1種の天然の又は合成のアヘン剤を含んでなる、請求項42の投与形態。
【請求項46】
該有効物質がビタミン又は栄養物の少なくとも一方を含んでなる、請求項42の投与形態。
【請求項47】
該有効物質がフェンタニル、コデイン、スフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、アルフェンチュニル、モルフィネ、他のアヘン剤、トリプタン、インターフェロン、ヘパリン、タンパク質、ペプチド及びバルビタール剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗不安薬、鎮静剤、抗鬱剤、カンナビノイド、抗凝固剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、血圧調節剤及び抗コレステロール剤からなる群から選択される少なくとも1員を含んでなる、請求項42の投与形態。
【請求項48】
該裏打ち層が、裏打ち層が該活性層を越えて延伸し、それを囲むようなサイズをもちそして、そのように活性層に対して配置されている、請求項42の投与形態。
【請求項49】
投与形態が哺乳動物の口腔内に使用するようになっている、請求項42の投与形態。
【請求項50】
投与形態が該活性層及び該裏打ち層の外に少なくとも1枚の他層を含んでなる、請求項42の投与形態。
【請求項51】
該他層が該活性層と該裏打ち層の間に少なくとも一部は挟まれている、請求項50の投与形態。
【請求項52】
粘膜表面に対して経粘膜送達デバイスを配置すること
(ここで該経粘膜送達デバイスは
少なくとも1種の有効物質を含んでなる活性層及び
該活性領域の1面を覆うようなサイズ及び形態を有する溶解可能な裏打ち層を含んでなり、
ここで、該裏打ち層は、
唾液にさらされるとやがて溶解するようになっている少なくとも1種の親水性重合体を含んでなる親水性領域及び
該裏打ち層をとおる該有効物質の移動を少なくとも一部は抑制するようになっており、そして該親水性領域内にもはや封入されない時には分散するようになっている、該親水性領域内に少なくとも一部は封入された非親水性領域、を含んでなる)、並びに
所望の処置を提供するために、該経粘膜送達デバイスを該粘膜の表面に対して滞留させること、を含んでなる、
粘膜をとおして有効物質を送達する方法。
【請求項53】
該経粘膜送達デバイスが哺乳動物の口腔内に配置される、請求項52の方法。
【請求項54】
該経粘膜送達デバイスが、それが溶解するまで口腔内に滞留することを許される、請求項53の方法。
【請求項55】
該有効物質が少なくとも1種の薬剤を含んでなる、請求項52の方法。
【請求項56】
該有効物質がスマトリプタンを含んでなる、請求項52の方法。
【請求項57】
該有効物質が少なくとも1種の天然の又は合成のアヘン剤を含んでなる、請求項52の方法。
【請求項58】
該経粘膜送達デバイスが押さえ切れない疼痛を処置するために使用される、請求項57の方法。
【請求項59】
該有効物質がフェンタニル、コデイン、スフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、アルフェンチュニル、モルフィネ、他のアヘン剤、トリプタン、インターフェロン、ヘパリン、タンパク質、ペプチド及びバルビタール剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗不安薬、鎮静剤、抗鬱剤、カンナビノイド、抗凝固剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、血圧調節剤及び抗コレステロール剤からなる群から選択される少なくとも1員を含んでなる、請求項52の方法。
【請求項60】
該経粘膜送達デバイスが更に、該活性層と該裏打ち層との間に少なくとも一部は挟まれた少なくとも1枚の更なる層を含んでなる、請求項52の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−516222(P2007−516222A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532911(P2006−532911)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014550
【国際公開番号】WO2004/100925
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505158024)セフアロン・インコーポレーテツド (21)
【Fターム(参考)】