経編生地の製造方法及び経編生地
【課題】 経編生地において、薄い生地の特徴を生かしつつ、曲率の大きなカーブを形成することが可能で、見栄えが良くて装着感も好ましい経編生地を提供する。
【解決手段】 経編生地1は、経糸2にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸3を経方向に編み込むとともに緯糸4をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成し、その際に、帯状となる経編組織の外側ライン1bの挿入糸31から内側ライン1aの挿入糸38となるに従ってこれら挿入糸31−38にかかる張力を段階的に強く設定することで所定のカーブを形成する。
【解決手段】 経編生地1は、経糸2にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸3を経方向に編み込むとともに緯糸4をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成し、その際に、帯状となる経編組織の外側ライン1bの挿入糸31から内側ライン1aの挿入糸38となるに従ってこれら挿入糸31−38にかかる張力を段階的に強く設定することで所定のカーブを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経編生地の製造方法及び経編生地に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、経編生地は、衣服や装身具の一部に用いられ補強やデザイン上のアクセント等として広く適用されている。身体には、様々な凹凸や曲線があることから、所定形状のカーブを形成した経編生地の要求も高まりつつある。
【0003】
特許文献1は、襟芯に関し、ポリエステル系繊維を、経糸緯糸の少なくとも一方の糸に用い、他方に他の繊維を用いて襟芯を形成し、前者の繊維に対し一方向に凸部を形成するように曲面を形成し、140℃以上で熱処理することで、襟芯が横方向には外に湾曲した形状が安定するとの記述がある(その段落0032)。
【0004】
特許文献2は、ファスナーテープに関し、左右のテープにそれぞれ伸縮性部材をずれた位置で取り付けることでカーブ(Sの字カーブ)を形成することが記載されている。その背景技術として、直線状に連続して織成又は編成したテープを、所定長さに切断した後に、湾曲形態に変形させていると記述されている。そして、一般にテープを所定の曲率で湾曲するように織成することは、織成方向に並列して直線状に走行する複数の縦糸が伸縮性に乏しく、織成方向に加える糸張力を調整するだけでは、テープをテープ面に対して水平に湾曲させることが出来ず、また仮に伸縮性の縦糸を用いたとしても、張力制御が複雑化するばかりでなく、各種メンテナンスの煩雑化を招き、効率のよい生産が困難であるとの記述がある(その段落0003)。
【0005】
特許文献3は、パイピングテープに関し、織生地からなり、縦糸として伸縮性のある糸を用いて織成された長手方向の伸縮性を備えたパイピングテープにおいて、縦糸に張力を掛けていない自然状態での縦糸長さのテープ幅方向における実質的な逓減又は逓増に起因する所定曲率の曲りが付与されているパイピングテープであるとの記載があり(その請求項1)、その製造方法としては、テープの製織時又は製編時に、縦糸にかける張力をテープの幅方向一方から他方へと連続的又は段階的に逓減又は逓増した状態で製織又は製編する方法、縦糸として伸び強度(1本の縦糸を単位の伸び率だけ伸ばすのに必要な張力)がテープの幅方向一方から他方へと連続的又は段階的に、一般的には段階的に、逓減又は逓増する複数本の縦糸を用いてテープを製織又は製編する方法、縦糸密度(テープ単位幅における縦糸の本数)をテープの幅方向の一方から他方へと連続的に又は段階的に逓減又は逓増してテープを製織する方法、テープの幅方向一方の側から他方の側へとテープの単位長さ当りの縦糸の交絡点(織物では緯糸との交織点)の数が段階的に逓減又は逓増する組織を採用する方法、及び、これらの方法を適宜組み合わせた方法で製造することができる、との記述がある(その段落0012)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−31727号公報
【特許文献2】特開2008−93210号公報
【特許文献3】特開2007−138323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の方法は、生地に熱処理を施すものであり、熱による生地へのダメージを十分に考慮しなければならず、生地を構成する糸の材質が限定される。そして、熱処理を施したとしても曲率の大きなカーブを形成することが困難である。また、特許文献2記載のファスナーテープは、テープ生地に伸縮性部材を組み合わせてカーブを形成する構成であることから凸状部分が出来てしまい、見栄えが良くない上、この凸状部分の影響で装着感が悪く、薄い生地の特徴を生かせていないという問題点がある。そして、特許文献3記載のパイピングテープは、織生地からなり、縦糸長さのテープ幅方向における実質的な逓減(又は逓増)によってカーブを形成する構成であって、そもそもパイピングテープとは芯入りテープのことであるから、芯材を入れることを前提としているものと考えられ、薄い生地は想定していないと考えられる。そして、これら特許文献1−3には、経編生地の編み方によって所定のカーブを形成することは記載されておらず、長手方向に伸縮するという経編生地の特徴を考慮したカーブの形成方法とは異質なものである。つまり、従来、経編生地においては、曲率の大きなカーブを形成することが実現できていなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、経編生地の特徴を生かしつつ、曲率の大きなカーブを形成することが可能な経編生地の製造方法と、外観上も見栄えをよくした経編生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の経編生地の製造方法は、経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成し、その際に、帯状となる経編組織の外側ラインの挿入糸から内側ラインの挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することで所定のカーブを形成することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成することで、一様な模様となり、帯状となる経編組織の外側ライン(外周ライン)の挿入糸から内側ライン(内周ライン)の挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、これら挿入糸にかかる張力の設定で曲率の大きなカーブについても対応することができる。
【0011】
本発明では、前記内周ラインの挿入糸にかける張力を前記外周ラインの挿入糸にかける張力の2倍以上に設定することができ、曲率の大きなカーブを形成することが容易となる。
【0012】
本発明は、前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定して前記カーブを形成し、その後、前記カーブと反対向きの逆カーブを形成するため、前記内側ラインから前記外側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記カーブと反対向きの逆カーブを無縫製で連続的に形成することができる。
【0014】
本発明は、前記内側ラインを前記帯状となる経編組織の中ほどに設定しスリットを形成することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、経編生地を編みながら経編組織の中ほどに一体的にスリットを形成することができる。
【0016】
本発明の経編生地は、編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成され、前記経編組織の一方を外側ラインとし前記経編組織の他方を内側ラインとしたカーブが半周以上連続して形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成されているので、薄くて一様な経編生地となり、継ぎ目のないカーブが半周以上連続して形成されているので、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【0018】
本発明は、前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることで、前記テープの長手方向への伸縮が一様となる。そして、前記編目毎に前記挿入糸及び前記緯糸を編み込む構成とすれば、ほつれ難くストレッチ性の高い経編生地となる。
【0020】
前記伸縮性の挿入糸としては、ポリウレタン、ラテックス、エラストマー、天然ゴムなどからなる伸縮性の糸や、これらを複合した糸や、撚り合わせた糸等が適用される。前記経糸並びに前記緯糸には、非伸縮性の糸が適用されるが、前記伸縮性の糸を適用することもある。非伸縮性の糸としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、天然繊維等からなる非伸縮性の糸や、これらを複合した糸や、撚り合わせた糸等がある。
【0021】
一般には、前記経糸の材質は前記挿入糸と異なる材質であるが、前記経糸の材質を前記挿入糸と同じ材質とすることもある。前記経糸の材質を前記挿入糸と同じ材質とすることで、前記経糸と前記挿入糸との伸び具合の差異が小さく、経編生地の長さ方向に一様な伸縮性を示すこととなる。これに加えて、前記緯糸の材質を前記挿入糸と同じ材質とするならば、経編生地の伸縮性をさらに高めることができ、ストレッチ性の高い経編生地となる。
【0022】
本発明は、前記内周ラインから前記外周ラインに向かって前記経糸の太さが段階的に大きく設定されており、前記外周ラインにおける前記経糸の太さが前記内周ラインにおける前記経糸の太さの2倍以上に設定されている構成とすることができ、この構成によれば、厚みの異なる経編生地を複数組み合わせたものと同じものが無縫製で得られる。
【0023】
本発明は、前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記カーブが形成され、前記カーブと反対向きの逆カーブが連続的に形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記カーブを有する生地を複数組み合わせたものと同じものが無縫製で得られる。
【0025】
本発明は、前記内側ラインが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリットとなっていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、経編組織の中ほどにスリットが一体的に形成されており、前記スリットは無縫製であるから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の経編生地の製造方法によれば、経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成することで、一様な模様となり、帯状となる経編組織の外側ライン(外周ライン)の挿入糸から内側ライン(内周ライン)の挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、これら挿入糸にかかる張力の設定で曲率の大きなカーブについても対応することができる。そして、前記内周ラインの挿入糸にかける張力を前記外周ラインの挿入糸にかける張力の2倍以上に設定することで、曲率の大きなカーブを形成することが容易となる。また、Sの字カーブを連続的に無縫製で製造することができる。そして、経編生地を編みながら経編組織の中ほどに一体的にスリットを形成することができる。
【0028】
本発明の経編生地によれば、編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成されているので、薄くて一様な経編生地となり、継ぎ目のないカーブが半周以上連続して形成されているので、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。本発明によれば、前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることで、前記テープの長手方向への伸縮が一様となり、ほつれ難くストレッチ性の高い経編生地となる。そして、前記カーブと反対向きの逆カーブが連続的に形成されている生地や、前記内側ラインが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリットとなっている生地が、無縫製で一体的に形成されていることから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態の経編生地を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の経編生地の他の例を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の経編生地の編組織を示す構造図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の経編生地の編組織の他の例を示す構造図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の経編生地を適用した白衣のキャップの着用状態を示す斜視図である。
【図6】既知の経編生地を適用した白衣のキャップの着用状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の経編生地の編組織を示す構造図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の経編生地の編組織を組み合わせた構造図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の経編生地を適用した腰ベルトを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は背面図である。
【図10】既知の経編生地を適用した腰ベルトを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は背面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の経編生地を適用した腰ベルトの着用状態を示す斜視図であり、(a)は正面側から見た図であり、(b)は斜め背面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を図面を引用しながら説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は本発明を適用した経編生地を示す正面図である。本実施形態の経編生地1は帯状のテープ生地であり、その長手方向には高い伸縮性を示し、その幅方向には非伸縮性を示す。そして、経編組織の一方を内周ライン(符号1a)とし経編組織の他方を外周ライン(符号1b)としたカーブが半周以上連続して形成されている。ここでは、符号1cを編み始め地点とし、符号1dを編み終わり地点とする。
【0032】
図3は、本実施形態の経編生地1の編組織を示す構造図である。符号2(21,22,23)は編目を形成した経糸であり、符号3(31,32,33)は経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸であり、符号4はコース方向に編み込まれた緯糸であり、これらの糸によって帯状の経編組織が形成されている。ここでは、経糸2と緯糸4は、非伸縮性の糸であり、例えばレーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、天然繊維等からなる。そして、挿入糸3は、伸縮性の糸であり、より具体的にはポリウレタン、ラテックス、エラストマー、天然ゴム等からなる。
【0033】
前記経糸2は、鎖編みとなっており、その編目に挿入糸3がSの字状に経方向に編み込まれているとともに、緯糸4がコース方向に編み込まれている(図3)。ここでは、挿入糸3の編目への編み込む位置と緯糸4の編目への編み込む位置とが一対一で対応しており、前記編目毎に挿入糸3及び緯糸4を編み込む構成となっている。これによって、テープ生地1の長手方向への伸縮が一様となり、ほつれ難くストレッチ性の高い経編生地1となっている。
【0034】
本実施形態の経編生地1は、既知のラッセル編機やトリコット編機等で製造される。本実施形態では、帯状となる経編組織の外側ライン(外周ライン)1bの挿入糸33から内側ライン(内周ライン)1aの挿入糸31となるに従ってこれら挿入糸33,32,31にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸33,32,31にかかる張力の設定で対応する製造方法となっている(図3を参照)。なお、図3では、その説明の都合上、3本の経糸2(及び3本の挿入糸3)で示されているが、経糸2(及び挿入糸3)は2本以上あれば良く、経編生地1のテープ幅の設定条件に応じて適宜設定され、経糸2(及び挿入糸3)の本数が多くなるに従って経編生地1のテープ幅が大きくなる(幅広となる)。
【0035】
ここで、例えば、内周ライン1aの挿入糸21にかける張力を外周ライン1bの挿入糸23にかける張力の2倍以上に設定する方法によれば、曲率の大きなカーブを形成することがさらに容易となる。
【0036】
図4は、本実施形態の経編生地1の編組織を示す構造図の他の例である。符号2(21,22,23,24,25,26)は編目を形成した経糸であり、符号3(31,32,33,34,35,36)は経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸であり、符号4(41,42,43,44,45)はコース方向に編み込まれた緯糸であり、これらの糸によって帯状の経編組織が形成されている。ここでは、経糸2と緯糸4は、非伸縮性の糸であり、例えばレーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、天然繊維等からなる。そして、挿入糸3は、伸縮性の糸であり、より具体的にはポリウレタン、ラテックス、エラストマー、天然ゴム等からなる。そして、経糸21,22,23の太さ(径)が、経糸24,25,26の太さ(径)よりも小さい値に設定され、挿入糸31,32,33の太さ(径)が、挿入糸34,35,36の太さ(径)よりも小さい値に設定され、緯糸41,42の太さ(径)が、緯糸43,44,45の太さ(径)よりも小さい値に設定されている(図4)。この構成によれば、厚みの異なる経編生地を複数組み合わせたものと同じものが無縫製で得られる。
【0037】
図4に示す例では、帯状となる経編組織の外周ライン1bの挿入糸36から内周ライン1aの挿入糸31となるに従ってこれら挿入糸36,35,34、33,32,31にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸36,35,34、33,32,31にかかる張力の設定で対応する製造方法となっており、また、内周ライン1aの挿入糸31にかける張力を外周ライン1bの挿入糸36にかける張力の2倍以上に設定することで、曲率の大きなカーブを形成することがさらに容易となる。
【0038】
図2は本発明を適用した経編生地を示す正面図の他の例である。本実施形態の経編生地1は、テープ長手方向には高い伸縮性を示し、テープ幅方向には非伸縮性を示す。そして、第1のライン11bから第2のライン11aに向かって挿入糸3にかかる張力を段階的に強く設定してカーブを形成し、その後、前記第2のライン11aから第1のライン11bに向かって挿入糸3にかかる張力を段階的に強く設定することで前記カーブと反対向きの逆カーブを形成している。この方法によれば、Sの字カーブを連続的に無縫製で製造することができる。
【0039】
図6は、既知の経編生地101を適用した白衣のキャップ100の着用状態を示す斜視図である。既知の技術では、経編生地で曲率の大きなカーブを形成することが出来なかったことから、直線状に連続して編成したテープ生地101を、所定長さに切断した後に、湾曲形態に変形させて、それぞれの端部を縫製ライン102にて縫製している。このため、縫製ライン102が目立つ状態となっており、外観上好ましくない。また、縫製ライン102の縫い目付近では生地同士が繋がることで膨らんだ状態となり、全体的にでこぼこしていることで、テープ生地101の顔面への接触が不安定で違和感があり(ごろつき感があり)、付け心地が良くなかった。
【0040】
図5は、本発明の第1の実施形態の経編生地1を適用した白衣のキャップ10の着用状態を示す斜視図である。本実施形態の経編生地1は、薄くて一様な経編生地によって、継ぎ目のないカーブが半周以上連続して形成されていることから、その製造方法によって、前記縫製ライン102というものがなく、見栄えが良い。そして、縫製ライン102がないことで、縫い目に起因した膨らんだ状態や全体的にでこぼこしていることがなく、なめらかな曲面が形成されることから、テープ生地1の顔面への接触が安定してフィットしており、付け心地が良い。その上、縫製コストが削減される。
【0041】
本発明の実施形態の経編生地1は、上述の白衣のキャップ10(食品取り扱い用のキャップや、クリーンルーム内の作業用キャップ)に加えて、帽子のインナー部分、サポータ、パンツ等各種の衣服や装身具の一部に用いられ補強やストレッチ性の付与やデザイン上のアクセント等として広く適用可能である。
【0042】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2の実施形態の経編生地の編組織を示す構造図である。ここで、同一の符号は同じ機能を示しており、その説明を一部省略する。本実施形態の経編生地1は、帯状生地の長手方向には高い伸縮性を示し、帯状生地の幅方向には非伸縮性を示す。そして、図7では下から上に向かって編んでおり、カーブした編組織からストレートな経編組織となっている。ここでは、前記カーブは、経編組織の一方を内側ライン(符号1a)とし経編組織の他方を外側ライン(符号1b)としたカーブが形成されている。符号4はコース方向に編み込まれた緯糸であり、1本の緯糸を通した構成としても良いし、複数本の緯糸を通した構成としても良い。図7に示す例では、内側ライン1aにおいては前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾が狭くなっており、外側ライン1bにおいては前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾が広くなっており、自然なカーブが形成されている。なお、内側ライン1aにて前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾を広くして、外側ライン1bにて前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾を狭くすることで、前記カーブと逆向きのカーブが得られることとなる。
【0043】
図8は、上記第2の実施形態の経編生地の編組織を左右組み合わせた構造図である。前記経糸2は、鎖編みとなっており、その編目に挿入糸3がSの字状に経方向に編み込まれているとともに、2本の緯糸4(41,42)が同じコースで編み込まれ、図8に示す例では、途中でそれぞれのコースが左半分のコースと右半分のコースに分岐し、緯糸41が左半分のコースに編み込まれ、緯糸42が右半分のコースに編み込まれ、一定の長さ編み込まれた後、緯糸41と緯糸42が合流して2本の緯糸4(41,42)が再び同じコースで編み込まれている。本実施形態では、内側ライン12aと13aを前記帯状となる経編組織の中ほどに形成し両者を繋げて一体的なスリット6としている。図8に示す例では、左側の外側ライン12bから内側ライン12aまでの編組織と、右側の外側ライン13bから内側ライン13aまでの編組織とが左右対称となっている。分岐した前記左側の編組織と前記右側の編組織は、非対称な編組織の構成とすることができ、スリット6の開口形状を任意の形状に設定することができる。
【0044】
本実施形態の経編生地1は、既知のラッセル編機やトリコット編機等で製造される。図8に示す例では、帯状となる経編組織の外側ライン12bの挿入糸31から内側ライン12aの挿入糸34となるに従ってこれら挿入糸31,32,33,34にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸34,33,32,31にかかる張力の設定で対応する製造方法となっている(図8を参照)。また、同様に、帯状となる経編組織の外側ライン13bの挿入糸38から内側ライン13aの挿入糸35となるに従ってこれら挿入糸38,37,36,35にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸38,37,36,35にかかる張力の設定で対応する製造方法となっている。なお、経糸2と挿入糸3とを組み合わせたライン数は、図8に示す例ではスリット6の左右で対称となっているが、これに限定されるものではなく、スリット6の左右の編組織の巾を異ならせた非対称としても良い。また、用途に応じて、前記左側の編組織の伸縮度と前記右側の編組織の伸縮度とを異ならせることができる。
【0045】
本実施形態によれば、前記内側ライン12a,13aが前記帯状となる経編組織1の中ほどに形成されてスリット6となっている生地が、無縫製で一体的に形成されていることから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【0046】
図10は、既知の経編生地211,212を適用した腰ベルト200を示す図である。図10(a)は正面図であり、図10(b)は平面図であり、図10(c)は背面図である。既知の技術では、経編生地で周回するカーブを形成することが出来なかったことから、直線状に連続して編成した経編生地211,212を、所定長さに切断した後に、湾曲形態に変形させてそれぞれの内側同士を縫製ライン213にて縫製し、形成されたスリット216の長手方向端部がほつれないようにジグザグの縫製ライン214にて縫製し、縫製ライン213,214が目立つ状態となっている。また、縫製ライン213,214の縫い目の編組織が異なることで、伸縮度合いが一様ではなく、付け心地が良くなかった。また、縫製ライン213,214に応力が集中して痛み易かった。ここで、符号108は面ファスナの一方側部材であり、符号109は面ファスナの他方側部材である。また、符号107は、腰ベルトの外周を補強する補強テープである。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態の経編生地11を適用した腰ベルト20を示す図である。図9(a)は正面図であり、図9(b)は平面図であり、図9(c)は背面図である。本実施形態の経編生地11を適用することで、前記内側ライン12a,13aが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリット6となっている生地が、無縫製で一体的に形成されている。図11は、上記第2の実施形態の経編生地11を適用した腰ベルト20の着用状態を示す斜視図である。図11(a)は正面側から見た図であり、図11(b)は斜め背面側から見た図である。腰ベルト20は、長手方向の中央部が幅広の帯状体からなり、長手方向に伸縮する伸縮性の経編生地11の長手方向にスリット6が一体的に形成されるとともに、経編生地11と面ファスナ108,109が縫製され、経編生地11の外周が補強テープ107によって補強されている。腰ベルト20は、その長手方向の中央部を身体の背面側に装着し身体の正面側の左右で留め合わせることで(図11(a))、前記スリット6の開口が開いて、下側の帯状部が身体の臀部を持ち上げるとともに、上側の帯状部が身体の腰部を締め付ける(図11(b))。本物品によれば、前記スリット6の開口状態を調整することにより、臀部に対する力のかかり方、つまり持ち上げ状態やカバーする箇所を調整可能なものとしている。
【0048】
本実施形態によれば、スリット6が無縫製で一体的に形成されていることから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなっており、その上、縫製コストが削減される。また、用途に応じて、図11(b)に示す臀部側の編組織の伸縮度と背中側の編組織の伸縮度とを異ならせることができる。例えば、臀部側の編組織の伸縮度を強くしてヒップアップ効果を高めるとともに、背中側の編組織の伸縮度を弱くして締め付け感を軽減させる構成とすることが可能である。
【0049】
本発明の実施形態の経編生地11は、上述の腰ベルト11(医療用の腰ベルトや、シェイプアップ用の腰ベルト)に加えて、サポータ、パンツ等各種の衣服や装身具の一部に用いられ補強やストレッチ性の付与やデザイン上のアクセント等として広く適用可能である。
【0050】
前記経糸2と挿入糸3とは同じ材質の糸でもよいし、異なる材質、径、色合いの糸とすることができ、同様に前記緯糸4と挿入糸3とは同じ材質の糸でもよいし、異なる材質、径、色合いの糸とすることができる。前記挿入糸3と緯糸4との位置関係は実施例に限定されない。経編の編み方は、上述の実施例に限定されず、いわゆるシングル・デンピー、ヴァンダイク、シングル・コードが適用できる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 経編生地、
1a,11a,12a,13a 内側ライン(内周ライン)、
1b,11b,12b,13b 外側ライン(外周ライン)、
2 経糸、
3 挿入糸、
4 緯糸、
6 スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、経編生地の製造方法及び経編生地に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、経編生地は、衣服や装身具の一部に用いられ補強やデザイン上のアクセント等として広く適用されている。身体には、様々な凹凸や曲線があることから、所定形状のカーブを形成した経編生地の要求も高まりつつある。
【0003】
特許文献1は、襟芯に関し、ポリエステル系繊維を、経糸緯糸の少なくとも一方の糸に用い、他方に他の繊維を用いて襟芯を形成し、前者の繊維に対し一方向に凸部を形成するように曲面を形成し、140℃以上で熱処理することで、襟芯が横方向には外に湾曲した形状が安定するとの記述がある(その段落0032)。
【0004】
特許文献2は、ファスナーテープに関し、左右のテープにそれぞれ伸縮性部材をずれた位置で取り付けることでカーブ(Sの字カーブ)を形成することが記載されている。その背景技術として、直線状に連続して織成又は編成したテープを、所定長さに切断した後に、湾曲形態に変形させていると記述されている。そして、一般にテープを所定の曲率で湾曲するように織成することは、織成方向に並列して直線状に走行する複数の縦糸が伸縮性に乏しく、織成方向に加える糸張力を調整するだけでは、テープをテープ面に対して水平に湾曲させることが出来ず、また仮に伸縮性の縦糸を用いたとしても、張力制御が複雑化するばかりでなく、各種メンテナンスの煩雑化を招き、効率のよい生産が困難であるとの記述がある(その段落0003)。
【0005】
特許文献3は、パイピングテープに関し、織生地からなり、縦糸として伸縮性のある糸を用いて織成された長手方向の伸縮性を備えたパイピングテープにおいて、縦糸に張力を掛けていない自然状態での縦糸長さのテープ幅方向における実質的な逓減又は逓増に起因する所定曲率の曲りが付与されているパイピングテープであるとの記載があり(その請求項1)、その製造方法としては、テープの製織時又は製編時に、縦糸にかける張力をテープの幅方向一方から他方へと連続的又は段階的に逓減又は逓増した状態で製織又は製編する方法、縦糸として伸び強度(1本の縦糸を単位の伸び率だけ伸ばすのに必要な張力)がテープの幅方向一方から他方へと連続的又は段階的に、一般的には段階的に、逓減又は逓増する複数本の縦糸を用いてテープを製織又は製編する方法、縦糸密度(テープ単位幅における縦糸の本数)をテープの幅方向の一方から他方へと連続的に又は段階的に逓減又は逓増してテープを製織する方法、テープの幅方向一方の側から他方の側へとテープの単位長さ当りの縦糸の交絡点(織物では緯糸との交織点)の数が段階的に逓減又は逓増する組織を採用する方法、及び、これらの方法を適宜組み合わせた方法で製造することができる、との記述がある(その段落0012)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−31727号公報
【特許文献2】特開2008−93210号公報
【特許文献3】特開2007−138323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の方法は、生地に熱処理を施すものであり、熱による生地へのダメージを十分に考慮しなければならず、生地を構成する糸の材質が限定される。そして、熱処理を施したとしても曲率の大きなカーブを形成することが困難である。また、特許文献2記載のファスナーテープは、テープ生地に伸縮性部材を組み合わせてカーブを形成する構成であることから凸状部分が出来てしまい、見栄えが良くない上、この凸状部分の影響で装着感が悪く、薄い生地の特徴を生かせていないという問題点がある。そして、特許文献3記載のパイピングテープは、織生地からなり、縦糸長さのテープ幅方向における実質的な逓減(又は逓増)によってカーブを形成する構成であって、そもそもパイピングテープとは芯入りテープのことであるから、芯材を入れることを前提としているものと考えられ、薄い生地は想定していないと考えられる。そして、これら特許文献1−3には、経編生地の編み方によって所定のカーブを形成することは記載されておらず、長手方向に伸縮するという経編生地の特徴を考慮したカーブの形成方法とは異質なものである。つまり、従来、経編生地においては、曲率の大きなカーブを形成することが実現できていなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、経編生地の特徴を生かしつつ、曲率の大きなカーブを形成することが可能な経編生地の製造方法と、外観上も見栄えをよくした経編生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の経編生地の製造方法は、経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成し、その際に、帯状となる経編組織の外側ラインの挿入糸から内側ラインの挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することで所定のカーブを形成することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成することで、一様な模様となり、帯状となる経編組織の外側ライン(外周ライン)の挿入糸から内側ライン(内周ライン)の挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、これら挿入糸にかかる張力の設定で曲率の大きなカーブについても対応することができる。
【0011】
本発明では、前記内周ラインの挿入糸にかける張力を前記外周ラインの挿入糸にかける張力の2倍以上に設定することができ、曲率の大きなカーブを形成することが容易となる。
【0012】
本発明は、前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定して前記カーブを形成し、その後、前記カーブと反対向きの逆カーブを形成するため、前記内側ラインから前記外側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記カーブと反対向きの逆カーブを無縫製で連続的に形成することができる。
【0014】
本発明は、前記内側ラインを前記帯状となる経編組織の中ほどに設定しスリットを形成することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、経編生地を編みながら経編組織の中ほどに一体的にスリットを形成することができる。
【0016】
本発明の経編生地は、編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成され、前記経編組織の一方を外側ラインとし前記経編組織の他方を内側ラインとしたカーブが半周以上連続して形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成されているので、薄くて一様な経編生地となり、継ぎ目のないカーブが半周以上連続して形成されているので、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【0018】
本発明は、前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることで、前記テープの長手方向への伸縮が一様となる。そして、前記編目毎に前記挿入糸及び前記緯糸を編み込む構成とすれば、ほつれ難くストレッチ性の高い経編生地となる。
【0020】
前記伸縮性の挿入糸としては、ポリウレタン、ラテックス、エラストマー、天然ゴムなどからなる伸縮性の糸や、これらを複合した糸や、撚り合わせた糸等が適用される。前記経糸並びに前記緯糸には、非伸縮性の糸が適用されるが、前記伸縮性の糸を適用することもある。非伸縮性の糸としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、天然繊維等からなる非伸縮性の糸や、これらを複合した糸や、撚り合わせた糸等がある。
【0021】
一般には、前記経糸の材質は前記挿入糸と異なる材質であるが、前記経糸の材質を前記挿入糸と同じ材質とすることもある。前記経糸の材質を前記挿入糸と同じ材質とすることで、前記経糸と前記挿入糸との伸び具合の差異が小さく、経編生地の長さ方向に一様な伸縮性を示すこととなる。これに加えて、前記緯糸の材質を前記挿入糸と同じ材質とするならば、経編生地の伸縮性をさらに高めることができ、ストレッチ性の高い経編生地となる。
【0022】
本発明は、前記内周ラインから前記外周ラインに向かって前記経糸の太さが段階的に大きく設定されており、前記外周ラインにおける前記経糸の太さが前記内周ラインにおける前記経糸の太さの2倍以上に設定されている構成とすることができ、この構成によれば、厚みの異なる経編生地を複数組み合わせたものと同じものが無縫製で得られる。
【0023】
本発明は、前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記カーブが形成され、前記カーブと反対向きの逆カーブが連続的に形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記カーブを有する生地を複数組み合わせたものと同じものが無縫製で得られる。
【0025】
本発明は、前記内側ラインが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリットとなっていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、経編組織の中ほどにスリットが一体的に形成されており、前記スリットは無縫製であるから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の経編生地の製造方法によれば、経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成することで、一様な模様となり、帯状となる経編組織の外側ライン(外周ライン)の挿入糸から内側ライン(内周ライン)の挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、これら挿入糸にかかる張力の設定で曲率の大きなカーブについても対応することができる。そして、前記内周ラインの挿入糸にかける張力を前記外周ラインの挿入糸にかける張力の2倍以上に設定することで、曲率の大きなカーブを形成することが容易となる。また、Sの字カーブを連続的に無縫製で製造することができる。そして、経編生地を編みながら経編組織の中ほどに一体的にスリットを形成することができる。
【0028】
本発明の経編生地によれば、編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成されているので、薄くて一様な経編生地となり、継ぎ目のないカーブが半周以上連続して形成されているので、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。本発明によれば、前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることで、前記テープの長手方向への伸縮が一様となり、ほつれ難くストレッチ性の高い経編生地となる。そして、前記カーブと反対向きの逆カーブが連続的に形成されている生地や、前記内側ラインが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリットとなっている生地が、無縫製で一体的に形成されていることから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態の経編生地を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の経編生地の他の例を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の経編生地の編組織を示す構造図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の経編生地の編組織の他の例を示す構造図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の経編生地を適用した白衣のキャップの着用状態を示す斜視図である。
【図6】既知の経編生地を適用した白衣のキャップの着用状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の経編生地の編組織を示す構造図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の経編生地の編組織を組み合わせた構造図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の経編生地を適用した腰ベルトを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は背面図である。
【図10】既知の経編生地を適用した腰ベルトを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は背面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の経編生地を適用した腰ベルトの着用状態を示す斜視図であり、(a)は正面側から見た図であり、(b)は斜め背面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を図面を引用しながら説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は本発明を適用した経編生地を示す正面図である。本実施形態の経編生地1は帯状のテープ生地であり、その長手方向には高い伸縮性を示し、その幅方向には非伸縮性を示す。そして、経編組織の一方を内周ライン(符号1a)とし経編組織の他方を外周ライン(符号1b)としたカーブが半周以上連続して形成されている。ここでは、符号1cを編み始め地点とし、符号1dを編み終わり地点とする。
【0032】
図3は、本実施形態の経編生地1の編組織を示す構造図である。符号2(21,22,23)は編目を形成した経糸であり、符号3(31,32,33)は経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸であり、符号4はコース方向に編み込まれた緯糸であり、これらの糸によって帯状の経編組織が形成されている。ここでは、経糸2と緯糸4は、非伸縮性の糸であり、例えばレーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、天然繊維等からなる。そして、挿入糸3は、伸縮性の糸であり、より具体的にはポリウレタン、ラテックス、エラストマー、天然ゴム等からなる。
【0033】
前記経糸2は、鎖編みとなっており、その編目に挿入糸3がSの字状に経方向に編み込まれているとともに、緯糸4がコース方向に編み込まれている(図3)。ここでは、挿入糸3の編目への編み込む位置と緯糸4の編目への編み込む位置とが一対一で対応しており、前記編目毎に挿入糸3及び緯糸4を編み込む構成となっている。これによって、テープ生地1の長手方向への伸縮が一様となり、ほつれ難くストレッチ性の高い経編生地1となっている。
【0034】
本実施形態の経編生地1は、既知のラッセル編機やトリコット編機等で製造される。本実施形態では、帯状となる経編組織の外側ライン(外周ライン)1bの挿入糸33から内側ライン(内周ライン)1aの挿入糸31となるに従ってこれら挿入糸33,32,31にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸33,32,31にかかる張力の設定で対応する製造方法となっている(図3を参照)。なお、図3では、その説明の都合上、3本の経糸2(及び3本の挿入糸3)で示されているが、経糸2(及び挿入糸3)は2本以上あれば良く、経編生地1のテープ幅の設定条件に応じて適宜設定され、経糸2(及び挿入糸3)の本数が多くなるに従って経編生地1のテープ幅が大きくなる(幅広となる)。
【0035】
ここで、例えば、内周ライン1aの挿入糸21にかける張力を外周ライン1bの挿入糸23にかける張力の2倍以上に設定する方法によれば、曲率の大きなカーブを形成することがさらに容易となる。
【0036】
図4は、本実施形態の経編生地1の編組織を示す構造図の他の例である。符号2(21,22,23,24,25,26)は編目を形成した経糸であり、符号3(31,32,33,34,35,36)は経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸であり、符号4(41,42,43,44,45)はコース方向に編み込まれた緯糸であり、これらの糸によって帯状の経編組織が形成されている。ここでは、経糸2と緯糸4は、非伸縮性の糸であり、例えばレーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、天然繊維等からなる。そして、挿入糸3は、伸縮性の糸であり、より具体的にはポリウレタン、ラテックス、エラストマー、天然ゴム等からなる。そして、経糸21,22,23の太さ(径)が、経糸24,25,26の太さ(径)よりも小さい値に設定され、挿入糸31,32,33の太さ(径)が、挿入糸34,35,36の太さ(径)よりも小さい値に設定され、緯糸41,42の太さ(径)が、緯糸43,44,45の太さ(径)よりも小さい値に設定されている(図4)。この構成によれば、厚みの異なる経編生地を複数組み合わせたものと同じものが無縫製で得られる。
【0037】
図4に示す例では、帯状となる経編組織の外周ライン1bの挿入糸36から内周ライン1aの挿入糸31となるに従ってこれら挿入糸36,35,34、33,32,31にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸36,35,34、33,32,31にかかる張力の設定で対応する製造方法となっており、また、内周ライン1aの挿入糸31にかける張力を外周ライン1bの挿入糸36にかける張力の2倍以上に設定することで、曲率の大きなカーブを形成することがさらに容易となる。
【0038】
図2は本発明を適用した経編生地を示す正面図の他の例である。本実施形態の経編生地1は、テープ長手方向には高い伸縮性を示し、テープ幅方向には非伸縮性を示す。そして、第1のライン11bから第2のライン11aに向かって挿入糸3にかかる張力を段階的に強く設定してカーブを形成し、その後、前記第2のライン11aから第1のライン11bに向かって挿入糸3にかかる張力を段階的に強く設定することで前記カーブと反対向きの逆カーブを形成している。この方法によれば、Sの字カーブを連続的に無縫製で製造することができる。
【0039】
図6は、既知の経編生地101を適用した白衣のキャップ100の着用状態を示す斜視図である。既知の技術では、経編生地で曲率の大きなカーブを形成することが出来なかったことから、直線状に連続して編成したテープ生地101を、所定長さに切断した後に、湾曲形態に変形させて、それぞれの端部を縫製ライン102にて縫製している。このため、縫製ライン102が目立つ状態となっており、外観上好ましくない。また、縫製ライン102の縫い目付近では生地同士が繋がることで膨らんだ状態となり、全体的にでこぼこしていることで、テープ生地101の顔面への接触が不安定で違和感があり(ごろつき感があり)、付け心地が良くなかった。
【0040】
図5は、本発明の第1の実施形態の経編生地1を適用した白衣のキャップ10の着用状態を示す斜視図である。本実施形態の経編生地1は、薄くて一様な経編生地によって、継ぎ目のないカーブが半周以上連続して形成されていることから、その製造方法によって、前記縫製ライン102というものがなく、見栄えが良い。そして、縫製ライン102がないことで、縫い目に起因した膨らんだ状態や全体的にでこぼこしていることがなく、なめらかな曲面が形成されることから、テープ生地1の顔面への接触が安定してフィットしており、付け心地が良い。その上、縫製コストが削減される。
【0041】
本発明の実施形態の経編生地1は、上述の白衣のキャップ10(食品取り扱い用のキャップや、クリーンルーム内の作業用キャップ)に加えて、帽子のインナー部分、サポータ、パンツ等各種の衣服や装身具の一部に用いられ補強やストレッチ性の付与やデザイン上のアクセント等として広く適用可能である。
【0042】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2の実施形態の経編生地の編組織を示す構造図である。ここで、同一の符号は同じ機能を示しており、その説明を一部省略する。本実施形態の経編生地1は、帯状生地の長手方向には高い伸縮性を示し、帯状生地の幅方向には非伸縮性を示す。そして、図7では下から上に向かって編んでおり、カーブした編組織からストレートな経編組織となっている。ここでは、前記カーブは、経編組織の一方を内側ライン(符号1a)とし経編組織の他方を外側ライン(符号1b)としたカーブが形成されている。符号4はコース方向に編み込まれた緯糸であり、1本の緯糸を通した構成としても良いし、複数本の緯糸を通した構成としても良い。図7に示す例では、内側ライン1aにおいては前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾が狭くなっており、外側ライン1bにおいては前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾が広くなっており、自然なカーブが形成されている。なお、内側ライン1aにて前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾を広くして、外側ライン1bにて前記コース方向に編み込まれた緯糸4の折り返し地点での巾を狭くすることで、前記カーブと逆向きのカーブが得られることとなる。
【0043】
図8は、上記第2の実施形態の経編生地の編組織を左右組み合わせた構造図である。前記経糸2は、鎖編みとなっており、その編目に挿入糸3がSの字状に経方向に編み込まれているとともに、2本の緯糸4(41,42)が同じコースで編み込まれ、図8に示す例では、途中でそれぞれのコースが左半分のコースと右半分のコースに分岐し、緯糸41が左半分のコースに編み込まれ、緯糸42が右半分のコースに編み込まれ、一定の長さ編み込まれた後、緯糸41と緯糸42が合流して2本の緯糸4(41,42)が再び同じコースで編み込まれている。本実施形態では、内側ライン12aと13aを前記帯状となる経編組織の中ほどに形成し両者を繋げて一体的なスリット6としている。図8に示す例では、左側の外側ライン12bから内側ライン12aまでの編組織と、右側の外側ライン13bから内側ライン13aまでの編組織とが左右対称となっている。分岐した前記左側の編組織と前記右側の編組織は、非対称な編組織の構成とすることができ、スリット6の開口形状を任意の形状に設定することができる。
【0044】
本実施形態の経編生地1は、既知のラッセル編機やトリコット編機等で製造される。図8に示す例では、帯状となる経編組織の外側ライン12bの挿入糸31から内側ライン12aの挿入糸34となるに従ってこれら挿入糸31,32,33,34にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸34,33,32,31にかかる張力の設定で対応する製造方法となっている(図8を参照)。また、同様に、帯状となる経編組織の外側ライン13bの挿入糸38から内側ライン13aの挿入糸35となるに従ってこれら挿入糸38,37,36,35にかかる張力を段階的に強く設定しておくことで、所定のカーブを高い再現性で形成し、曲率の大きなカーブについてもこれら挿入糸38,37,36,35にかかる張力の設定で対応する製造方法となっている。なお、経糸2と挿入糸3とを組み合わせたライン数は、図8に示す例ではスリット6の左右で対称となっているが、これに限定されるものではなく、スリット6の左右の編組織の巾を異ならせた非対称としても良い。また、用途に応じて、前記左側の編組織の伸縮度と前記右側の編組織の伸縮度とを異ならせることができる。
【0045】
本実施形態によれば、前記内側ライン12a,13aが前記帯状となる経編組織1の中ほどに形成されてスリット6となっている生地が、無縫製で一体的に形成されていることから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなる。
【0046】
図10は、既知の経編生地211,212を適用した腰ベルト200を示す図である。図10(a)は正面図であり、図10(b)は平面図であり、図10(c)は背面図である。既知の技術では、経編生地で周回するカーブを形成することが出来なかったことから、直線状に連続して編成した経編生地211,212を、所定長さに切断した後に、湾曲形態に変形させてそれぞれの内側同士を縫製ライン213にて縫製し、形成されたスリット216の長手方向端部がほつれないようにジグザグの縫製ライン214にて縫製し、縫製ライン213,214が目立つ状態となっている。また、縫製ライン213,214の縫い目の編組織が異なることで、伸縮度合いが一様ではなく、付け心地が良くなかった。また、縫製ライン213,214に応力が集中して痛み易かった。ここで、符号108は面ファスナの一方側部材であり、符号109は面ファスナの他方側部材である。また、符号107は、腰ベルトの外周を補強する補強テープである。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態の経編生地11を適用した腰ベルト20を示す図である。図9(a)は正面図であり、図9(b)は平面図であり、図9(c)は背面図である。本実施形態の経編生地11を適用することで、前記内側ライン12a,13aが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリット6となっている生地が、無縫製で一体的に形成されている。図11は、上記第2の実施形態の経編生地11を適用した腰ベルト20の着用状態を示す斜視図である。図11(a)は正面側から見た図であり、図11(b)は斜め背面側から見た図である。腰ベルト20は、長手方向の中央部が幅広の帯状体からなり、長手方向に伸縮する伸縮性の経編生地11の長手方向にスリット6が一体的に形成されるとともに、経編生地11と面ファスナ108,109が縫製され、経編生地11の外周が補強テープ107によって補強されている。腰ベルト20は、その長手方向の中央部を身体の背面側に装着し身体の正面側の左右で留め合わせることで(図11(a))、前記スリット6の開口が開いて、下側の帯状部が身体の臀部を持ち上げるとともに、上側の帯状部が身体の腰部を締め付ける(図11(b))。本物品によれば、前記スリット6の開口状態を調整することにより、臀部に対する力のかかり方、つまり持ち上げ状態やカバーする箇所を調整可能なものとしている。
【0048】
本実施形態によれば、スリット6が無縫製で一体的に形成されていることから、ほつれ難くて一様な伸縮が得られ、見栄えが良くて装着感も好ましいものとなっており、その上、縫製コストが削減される。また、用途に応じて、図11(b)に示す臀部側の編組織の伸縮度と背中側の編組織の伸縮度とを異ならせることができる。例えば、臀部側の編組織の伸縮度を強くしてヒップアップ効果を高めるとともに、背中側の編組織の伸縮度を弱くして締め付け感を軽減させる構成とすることが可能である。
【0049】
本発明の実施形態の経編生地11は、上述の腰ベルト11(医療用の腰ベルトや、シェイプアップ用の腰ベルト)に加えて、サポータ、パンツ等各種の衣服や装身具の一部に用いられ補強やストレッチ性の付与やデザイン上のアクセント等として広く適用可能である。
【0050】
前記経糸2と挿入糸3とは同じ材質の糸でもよいし、異なる材質、径、色合いの糸とすることができ、同様に前記緯糸4と挿入糸3とは同じ材質の糸でもよいし、異なる材質、径、色合いの糸とすることができる。前記挿入糸3と緯糸4との位置関係は実施例に限定されない。経編の編み方は、上述の実施例に限定されず、いわゆるシングル・デンピー、ヴァンダイク、シングル・コードが適用できる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 経編生地、
1a,11a,12a,13a 内側ライン(内周ライン)、
1b,11b,12b,13b 外側ライン(外周ライン)、
2 経糸、
3 挿入糸、
4 緯糸、
6 スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成し、その際に、帯状となる経編組織の外側ラインの挿入糸から内側ラインの挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することで所定のカーブを形成することを特徴とする経編生地の製造方法。
【請求項2】
前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とを対応させることを特徴とする請求項1記載の経編生地の製造方法。
【請求項3】
前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定して前記カーブを形成し、その後、前記カーブと反対向きの逆カーブを形成するため、前記内側ラインから前記外側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することを特徴とする請求項1または2記載の経編生地の製造方法。
【請求項4】
前記内側ラインを前記帯状となる経編組織の中ほどに設定しスリットを形成することを特徴とする請求項1または2記載の経編生地の製造方法。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれか一項に記載の経編生地の製造方法によって製造された経編生地。
【請求項6】
編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成され、前記経編組織の一方を外側ラインとし前記経編組織の他方を内側ラインとしたカーブが半周以上連続して形成されていることを特徴とする経編生地。
【請求項7】
前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることを特徴とする請求項6記載の経編生地。
【請求項8】
前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記カーブが形成され、前記カーブと反対向きの逆カーブが連続的に形成されていることを特徴とする請求項6または7記載の経編生地。
【請求項9】
前記内側ラインが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリットとなっていることを特徴とする請求項6または7記載の経編生地。
【請求項1】
経糸にて編目を作りながら伸縮性の挿入糸を経方向に編み込むとともに緯糸をコース方向に編み込んで帯状の経編組織を形成し、その際に、帯状となる経編組織の外側ラインの挿入糸から内側ラインの挿入糸となるに従ってこれら挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することで所定のカーブを形成することを特徴とする経編生地の製造方法。
【請求項2】
前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とを対応させることを特徴とする請求項1記載の経編生地の製造方法。
【請求項3】
前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定して前記カーブを形成し、その後、前記カーブと反対向きの逆カーブを形成するため、前記内側ラインから前記外側ラインに向かって前記挿入糸にかかる張力を段階的に強く設定することを特徴とする請求項1または2記載の経編生地の製造方法。
【請求項4】
前記内側ラインを前記帯状となる経編組織の中ほどに設定しスリットを形成することを特徴とする請求項1または2記載の経編生地の製造方法。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれか一項に記載の経編生地の製造方法によって製造された経編生地。
【請求項6】
編目を形成した経糸と、経方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸と、コース方向に編み込まれた緯糸とで、帯状の経編組織が形成され、前記経編組織の一方を外側ラインとし前記経編組織の他方を内側ラインとしたカーブが半周以上連続して形成されていることを特徴とする経編生地。
【請求項7】
前記挿入糸の前記編目への編み込む位置と前記緯糸の前記編目への編み込む位置とが対応していることを特徴とする請求項6記載の経編生地。
【請求項8】
前記外側ラインから前記内側ラインに向かって前記カーブが形成され、前記カーブと反対向きの逆カーブが連続的に形成されていることを特徴とする請求項6または7記載の経編生地。
【請求項9】
前記内側ラインが前記帯状となる経編組織の中ほどに形成されてスリットとなっていることを特徴とする請求項6または7記載の経編生地。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−19074(P2013−19074A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153432(P2011−153432)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(503328399)竹中繊維株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(503328399)竹中繊維株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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