説明

経肺投与用の吸入式デバイス

経肺投与用の吸入式デバイスは、空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納する収納室と、
前記医薬組成物に空気衝撃を与える外部空気を前記収納室内に導入して前記医薬組成物に向けて放射するための空気導入流路と、
微粒子化した医薬組成物を吸引するために吸引口が前記収納室に臨むように設けられた吸引流路と、
前記収納室、前記空気導入流路及び前記吸引流路を収めるハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられるマウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、前記吸引流路と連通するマウス側流路と、前記吸引流路及び前記マウス側流路に合流することなく外部空気を直接吸引するための補助流路とを有し、
被験者が吸気したときには、その吸気圧により前記収納室内に流入した外部空気により前記医薬組成物に空気衝撃が与えられ、微粒子化した前記医薬組成物が前記マウス側流路に導入され、同時に、前記吸気圧により外部空気が前記補助流路に直接導入されるように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己吸入型の経肺投与用の吸入式デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吸入式デバイスは、医薬組成物を収めるための収納室を備え、被験者の吸気圧によって外部空気を前記収納室に導入して前記医薬組成物に空気衝撃を与え、前記医薬組成物を微粒子化してマウスピースのマウス側流路から肺内に吸引できるようになっている(特許文献1)。
【0003】
しかし、肺活量が低下した患者や子供の患者にとっては、吸気圧によって空気衝撃を発生させるのは大きな負担となる。
【0004】
そこで、前記収納室を通過しないで直接マウスピースのマウス側流路に至る補助流路を設け、空気衝撃に寄与しない外部空気(以下、補助空気という。)を吸引させることによって患者負担の軽減を図ることが考えられる。また、この補助空気は生成した微粒子を効率良く肺へ送り込む役目も担っている。
【0005】
しかし、微粒子は凝集し易い性質を有するので、マウスピースのマウス側流路において前記補助空気が微粒子化した前記医薬組成物を含む空気と合流して空気流が乱される等することにより、微粒子が合体・凝集して凝集塊が生成され易くなり、微粒子化した医薬組成物の一部が肺内に至らず喉に付着するという問題がある。
【0006】
また、前記医薬組成物に空気衝撃を与えても衝撃が不十分であるために前記医薬組成物の一部が微粒子の凝集塊の状態で分散するという問題がある。
【特許文献1】特開平11―221280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、医薬組成物の微粒子の凝集塊が被験者の口腔内に入るのを防止することができる経肺投与用の吸入式デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、経肺投与用の吸入式デバイスは、空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納する収納室と、
前記医薬組成物に空気衝撃を与える外部空気を前記収納室内に導入して前記医薬組成物に向けて放射するための空気導入流路と、
微粒子化した医薬組成物を吸引するために吸引口が前記収納室に臨むように設けられた吸引流路と、
前記収納室、前記空気導入流路及び前記吸引流路を収めるハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられるマウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、前記吸引流路と連通するマウス側流路と、前記吸引流路及び前記マウス側流路に合流することなく外部空気を直接吸引するための補助流路とを有し、
被験者が吸気したときには、その吸気圧により前記収納室内に流入した外部空気により前記医薬組成物に空気衝撃が与えられ、微粒子化した前記医薬組成物が前記マウス側流路に導入され、同時に、前記吸気圧により外部空気が前記補助流路に直接導入されるように構成したことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様によれば、経肺投与用の吸入式デバイスは、空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納する収納室と、
前記医薬組成物に空気衝撃を与える外部空気を前記収納室内に導入して前記医薬組成物に向けて放射するための空気導入流路と、
微粒子化した医薬組成物を吸引するために吸引口が前記収納室に臨むように設けられた吸引流路と、
前記収納室、前記空気導入流路及び前記吸引流路を収めるハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられるマウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、前記吸引流路と連通するマウス側流路を有し、該マウス側流路及び前記吸引流路の少なくとも一方に、段部を経て流路径を小さくするためのオリフィスを有する仕切り部を形成し、
被験者が吸気したときには、その吸気圧により前記収納室内に流入する外部空気により前記医薬組成物に空気衝撃が与えられ、微粒子化した前記医薬組成物が前記吸引流路及び前記マウス側流路に導入されると共に前記オリフィスを通過するように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、前記オリフィスを有する仕切り部を適宜間隔を置いて複数形成するのが望ましい。
【0011】
また、前記マウスピースは、前記吸引流路及び前記マウス側流路と合流することなく外部空気を直接吸引するための補助流路を有し、
微粒子化した前記医薬組成物が前記吸引流路及び前記マウス側流路に導入されると同時に、前記吸気圧により外部空気が前記補助流路に直接導入されるように構成するのが望ましい。
【0012】
本発明の他の態様によれば、空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納する収納室と、
前記医薬組成物に空気衝撃を与える外部空気を前記収納室内に導入して前記医薬組成物に向けて放射するための空気導入流路と、
微粒子化した前記医薬組成物を吸引するための吸引流路と、
前記収納室、前記空気導入流路及び前記吸引流路を収めるハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられるマウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、
前記吸引流路と連通するマウス側流路と、
前記医薬組成物への空気衝撃に寄与しない外部空気を、前記収容室を経由せずに吸引し、且つ、前記マウス側流路内に開口する空気流出口を通じて前記マウス側流路内に流入させるための補助流路を備え、
前記空気流出口は、前記マウス側流路の空気流出方向に向けて開口すると共に前記マウス側流路の内周壁面に沿って環状に形成され、
被験者が吸気したときには、その吸気圧により前記収納室内に流入する外部空気による空気衝撃で微粒子化した前記医薬組成物は、前記吸引流路を通じて前記マウス側流路内に導入され、且つ、環状の前記空気流出口から前記マウス側流路内に流出する外部空気に囲繞された状態で前記マウス側流路内を流れるように構成したことを特徴とする経肺投与用の吸入式デバイス。
【0013】
また、流路径を小さくするためのオリフィスを有する仕切り部を前記マウス側流路に形成し、微粒子化した前記医薬組成物を含む外部空気は、前記オリフィスを通過した後に、環状の前記空気流出口から前記マウス側流路内に流出する外部空気によって囲繞されるように構成するのが望ましい。
【0014】
また、前記オリフィスは前記マウス側流路の空気流出方向に細長くなるように形成され、前記医薬組成物の微粒子が前記オリフィス内を通過する間に、前記オリフィスの内周壁面への前記微粒子の衝突が繰り返されるように構成するのが望ましい。
【0015】
また、空気衝撃を受けることによって空気中に微粒子が分散する非粉末のケーキ状形態の凍結乾燥型医薬組成物が収容され且つ封止体で密封された容器を収納する前記収納室と、
前記封止体による封止を解除するための封止解除手段と、を備え、
前記封止解除手段によって前記容器の封止状態を解除して前記収納室と前記容器内とを連通させ、
前記吸気圧により前記容器内の前記医薬組成物に空気衝撃を与えるように構成するのが望ましい。
【0016】
また、微粒子化した前記医薬組成物を前記空気導入流路から外部に流出するのを防ぐ逆止弁を設けるのが望ましい。
【0017】
本発明の他の態様によれば、経肺投与用の吸入式デバイスは、筒状の本体と、
前記本体の一端に設けられるマウスピースと、
前記本体の他端に設けられ、空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納するための容器と、
前記本体と前記マウスピースと前記容器とで形成され、前記医薬組成物の微粒子を含む外部空気を前記容器側から前記マウスピース側に向けて流すための吸引流路と、
前記吸引流路内に外部空気を導入するための空気導入口と、
前記吸引流路の流路径を小さくするためのオリフィスを有し、前記空気導入口よりも下流側に位置し、前記吸引流路を仕切るための仕切り部と、を備え、
前記吸引流路は、被験者の吸気によって前記空気導入口から前記仕切り部よりも上流側に位置する前記吸引流路内に流入する外部空気によって前記医薬組成物に空気衝撃を加えることができる容量であることを特徴とする。
【0018】
また、前記吸引流路内に開口する空気流出口と、被験者の吸気によって前記空気流出口を通して前記吸引流路内に外部空気を流入するための補助流路と、を備え、前記空気流出口は、該空気流出口から流入する外部空気が前記オリフィスを通過することなく被験者の口腔内に吸引されるような位置に設けられるのが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の吸入式デバイスの実施形態について図面を参照して説明する。図1から図8は第1の実施形態を示し、図9から図12は第2の実施形態を示し、図13から図16は第3の実施形態を示している。
【0020】
実施形態1の説明
本実施形態の吸入式デバイスは、吸引流路1及び空気導入流路2が形成された針部(封止解除手段の一例)3と、1回投与量の医薬組成物Aが収容されて口栓(封止体の一例)4aで密封された容器4を保持するためのホルダー部5と、該ホルダー部5の容器4を収納するための収納室6と、ホルダー部5を針部3の軸線方向にガイドするためのガイド部7と、ホルダー部5をガイド部7に沿って前進及び後退させるホルダー作動部15とを備えており、これらは筒状のハウジング9に収納されている。また、ハウジング9の先部にはマウスピース10が設けられている。
【0021】
医薬組成物Aは容器内に流入される空気の衝撃を受けることにより、瞬時もしくは速やかに経肺投与に適した粒子径まで微粒子化できるものであり、本実施形態では凍結乾燥型が採用されている。なお、凍結乾燥型医薬組成物の詳細については後述する。
【0022】
図5に示すように、ハウジング9は、ホルダー部5が後退した位置に出し入れ口9Aが形成されたハウジング本体9Bと、出し入れ口9Aを開閉する蓋9Cとを備えている。蓋9Cはハウジング本体9Bにヒンジ9Dにて連結され、また、蓋9Cには容器4の装填を確認するための窓9Eが設けられている。
【0023】
ハウジング9の壁部には外気を導入するための導入口9Fが設けられ、導入口9Fには該導入口9Fから微粒子化した医薬組成物Aが流出するのを防ぐ逆止弁9Gが装着されている。
【0024】
針部3の基端部にはフランジ状の隔壁部3Aが形成され、針部3の空気導入流路2の端部は隔壁部3A内を通って該隔壁部3Aの外周壁面に開口している。また、隔壁部3Aの外周端から前方に向けて周壁部3Bが延設され、該周壁部3Bには嵌合孔3Cが形成されている。また、針部3から前方に向けて嵌合突起3Dが設けられ、吸引流路1は嵌合突起3Dを通って該嵌合突起3Dの先端に開口している。
【0025】
そして、針部3の隔壁部3Aをハウジング9の先端部に嵌着することにより針部3がハウジング9に取り付けられる。なお、ハウジング9の軸線方向と針部3の軸線方向とは合致する。
【0026】
マウスピース10は、針部3の吸引流路1と連通して微粒子化した医薬組成物Aを導入するためのマウス側流路11と、該マウス側流路11と合流することなく外部空気を被験者の口腔内に導入するための補助流路12とを有する。
【0027】
マウス側流路11はマウスピース10を貫通し、マウス側流路11の先端及び後端はマウスピース10の前面側及び後面側に開口することにより前開口部11A及び後開口部11Bが形成され、また、後開口部11Bには嵌合凹部11Cが形成されている。図3のようにマウス側流路11にはオリフィス13Aを有する仕切り部13が設けられ、オリフィス13Aの中心はマウスピース10のマウス側流路11の中心軸線上に位置している。
【0028】
補助流路12は、図4のようにマウス側流路11の周囲に環状に形成され、補助流路12の後端はマウスピース10の後面側に開口して外気を導入するための補助空気導入口12Cが形成され、補助流路12の先部は複数の吸入枝路12Aに分岐している。これら吸入枝路12Aはマウスピース10の前面側に開口して補助開口部12Bが形成され、これら補助開口部12Bはマウス側流路11の前開口部11Aを囲繞し、患者がマウスピース10をくわえたときには、マウス側流路11の前開口部11A及び補助流路12の補助開口部12Bが患者の口腔内に位置するようになっている。
【0029】
また、マウスピース10には後方に延びる取付片14が上下に一対形成され、各取付片14には嵌合突起14Aが形成されている。
【0030】
そして、針部3の嵌合突起3Dをマウスピース10のマウス側流路11の後開口部11Bの嵌合凹部11Cに嵌合して吸引流路1とマウス側流路11とを連通させ、また、マウスピース10の上下一対の取付片14を針部3の周壁部3B内に嵌め込んで、針部3の周壁部3Bに形成される嵌合孔3Cに取付片14の嵌合突起14Aを嵌合することによりマウスピース10が針部3に固定されている。
【0031】
これにより、針部3の吸引流路1とマウスピース10のマウス側流路11とによって患者の口腔内に微粒子化した医薬組成物Aを吸入させるメイン流路と、補助流路12によって補助空気導入口12Cから導入される補助空気を患者の口腔内に吸入させるサブ流路との2つルートが交わらず、補助空気を直接患者の口腔内に流入することができる。
【0032】
吸入式デバイスのその他の構成であるホルダー作動部15は、ホルダー部5をハウジング9の軸線方向に往復動させるための機構部15Aと、該機構部15Aを操作する操作レバーとを備えている。機構部15Aは連結体15Bを備えている。連結体15Bの一端はホルダー部5にヒンジ5Aにて連結され、連結体15Bの他端は蓋9Cにヒンジ91Aにて連結されている。蓋9Cは前記操作レバーを兼ね、蓋9Cの開閉操作によってホルダー部5をガイド部7に沿って前進及び後退させる。また、ホルダー部5には容器4をホルダー部5の底部から起こして取り出すための取り出し体16が取り付けられ、取り出し体16には容器4を起こすためのレバー17が形成されている。
【0033】
そして、吸入式デバイスは次のようにして使用されるものである。まず、図5のように蓋9Cを起こしてハウジング9の出し入れ口9Aを開くことにより、ホルダー部5が後方に引き寄せられてハウジング9の出し入れ口9Aまで後退する。次に、容器4を口栓4aを前向きにしてホルダー部5に取り付ける。次に、図6のように蓋9Cを倒してハウジング9の出し入れ口9Aを閉じることにより、連結体15Bによってホルダー部5が針部3の方に押し込まれて容器4の口栓4aが針部3の先端に突き刺さり、針部3の吸引流路1及び空気導入流路2と容器4の内部とが連通する。
【0034】
次に、患者がマウスピース10をくわえて患者の吸気圧によってマウスピース10のマウス側流路11から針部3の吸引流路1を介して容器4内の空気を吸引する。このとき容器4内は負圧になって逆止弁9Gが開き、外気が針部3の空気導入流路2を通って容器4内に外気が流入する。これにより、容器4内において空気衝撃が発生して医薬組成物Aが微粒子化し、該微粒子は吸引流路1及びマウス側流路11から患者の肺器官内に送られる。それと同時に、補助空気は補助空気導入口12Cから補助流路12を通って患者の口腔に直接吸入される。このように、補助空気は吸引流路1及びマウス側流路11を流れる微粒子化した医薬組成物Aを含んだ空気と混ざることがないので、微粒子が補助空気の流れに影響されて合体・凝集することがない。なお、肺活量が低下した患者や子供の患者であっても、補助空気を吸入することにより、負担がかからずに吸入式デバイスを使用できる。
【0035】
また、患者の吸気力不足等により医薬組成物Aの一部が微粒子の凝集塊の状態で分散した場合であっても、マウスピース10のマウス側流路11内には仕切り部13が存在するので、凝集塊はオリフィス13Aを通過する際にオリフィス13Aの周囲に位置する仕切り部13に衝突して分散されて微粒子化される。また、マウス側流路11を通過するときに生成される凝集塊も仕切り部13によって分散される。
【0036】
また、逆止弁9Gが存在するので、患者が誤ってマウスピース10のマウス側流路11から容器4内に空気を吹き込んでも、微粒子化した医薬組成物Aが導入口9Fから外部に排出されない。
【0037】
そして、経肺投与が完了した後は、図7のように蓋9Cを起こしてホルダー部5をハウジング9の出し入れ口9Aまで引き寄せ、図8のようにレバー17で取り出し体16を起こして容器4をホルダー部5から取り出す。
【0038】
また、本吸入式デバイスを使用しないときには、図1のようにマウスピース10はキャップ18で塞がれる。
【0039】
患者の1回の吸入の空気流量は通常5〜300L/分の範囲にある。本発明の吸入デバイスは、かかる患者の呼吸能力に応じて、容器4の容量を約5mlに、空気導入流路2の口径(直径)を約2mmに、吸引流路1の口径を約2mmに、吸入枝路12Aの口径を約1mmに設定している。
【0040】
実施形態2の説明
本実施形態の吸入式デバイスは、図9及び図10のように2つの仕切り部13、131がマウスピース10のマウス側流路11,111に沿って適宜間隔を置いて形成されている。なお、マウスピース10以外の構成は第1実施形態と同一又は類似しており、該同一又は類似の構成については図面に同符号を付してその説明を省略する。
【0041】
前側の仕切り部13には一個のオリフィス13Aが形成され、該オリフィス13Aの中心はマウスピース10のマウス側流路11の中心軸線上に位置している。また、後側の仕切り部131は図11のように複数個のオリフィス131Aがほぼ均一に配設されている。
【0042】
マウスピース10は前後に2分割可能に構成され、前側分割体101には仕切り部13が、後側分割体102には仕切り部131がそれぞれ形成されている。
【0043】
図12のように前分割体101は、第1の実施形態のマウスピース10と同様に、マウス側流路11と補助流路12とを有し、マウス側流路11の後開口部11Bには嵌合凹部11Cが形成され、補助流路12の内壁面には嵌合凹部101Aが形成されている。また、図11のように後分割体102はマウス側流路111を有する内管部102Aと外管部102Bとを一体化して構成されている。外管部102Bには嵌合突起102C,102Dが形成されている。
【0044】
そして、後分割体102の内管102Aの先端を前分割体101の嵌合凹部11Cに挿着すると共に外管部102Bの嵌合突起102Dを前分割体101の嵌合凹部101Aに嵌合する。これにより、前後の側分割体101,102同士は連結される。また、後分割体102の外管部102Bを針部3の周壁部3B内に嵌合し、外管部102Bの嵌合突起102Cを周壁部3Bの嵌合孔3Cに嵌合すると共に内管部102Aを針部3の嵌合突起3Dに嵌合する。これによりマウスピース10をハウジング1の先に位置させる。
【0045】
本実施形態の吸入式デバイスも上述のようにして使用され、補助空気は図10の矢印のようにマウスピース10の前分割体101の補助空気導入口12Cから導入される。
【0046】
また、マウスピース10のマウス側流路11内の2箇所に仕切り部13,131が存在するので、仕切り部13,131による医薬組成物の微粒子の凝集塊の分散を促進することができる。なお、仕切り部を3つ以上の箇所に設けても良い。
【0047】
実施形態3の説明
図13から図15のようにマウスピース10は、外殻体10Aと、仕切り部10Bを有する円筒状の内部部材10Cと、仕切り体10Dとを備えている。なお、マウスピース10以外の吸入式デバイスの構成は第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0048】
マウスピース10は、外殻体10A内に内部部材10Cを後方から嵌め込み、内部部材10C内に仕切り体10Dを後方から嵌め込むことによって組み立てられる。また、内部部材10Cの後部側の外周面には周方向に所定間隔で複数のスペーサー101Cが突設されている。外殻体10Aの後部側の内周面には周方向全長にわたって段部101Aが形成されている。そして、スペーサー101Cを外殻体10Aの段部101Aの嵌め込むことにより、外殻体10Aと内部部材10Cとの間の円筒状の隙間が形成され、該隙間は補助流路12となる。
【0049】
補助流路12の先端部には環状の空気流出口12Dが形成されている。空気流出口12Dは、マウス側流路11の途中に位置しており、また、マウス側流路11の空気流出方向に向けて開口している。そして、補助空気導入口12Cから導入された補助空気は、スペーサー101Cの間から補助流路12内に流入し、補助流路12を通って空気流出口12Dからマウス側流路11内に環状に流入する。
【0050】
内部部材10Cの仕切り部10B及び仕切り体10Dのそれぞれには、均一に分散する複数個のオリフィス10E,10Fが形成されている。また、内部部材10Cの仕切り部10B及び仕切り体10Dの厚さを大きくすることにより、オリフィス10E,10Fはマウス側流路11の空気流出方向に細長くなっている。また、オリフィス10E,10Fは、空気流出口12Dよりも前方に位置するものではない。
【0051】
そして、本実施形態の吸入式デバイスは次のようにして使用されるものである。まず、上述の要領で針部3の吸引流路1及び空気導入流路2と容器4の内部とを連通させる。次に、患者がマウスピース10をくわえて吸引することにより、補助空気は、補助空気導入口12Cから補助流路12に流入し、空気流出口12Dからマウス側流路11内に層流状態で環状に流出する。一方、針部3の空気導入流路2から流入する外部空気による空気衝撃によって医薬組成物は微粉化する。医薬組成物の微粒子を含む外部空気は、吸引流路1からマウス側流路11に流れ、オリフィス10Eを通過した後は、該空気流出口12Dから流出する補助空気によって囲繞されてマウスピース10の前開口部11Aから流出する。これによって医薬組成物の微粒子を含む外部空気の流れが乱れるのを防止できて医薬組成物の微粒子の拡散が抑えられる。
また、マウスピース10は、微粒子を含む外部空気がオリフィス10Eを通過する前に、補助空気が空気流出口12Dからマウス側流路11内に流出するように設定されている。したがって、微粒子を含む外部空気を層流の補助空気によって確実に囲繞することができる。
【0052】
また、微粒子を含む外部空気の流れとマウス側流路11の内周壁面との間に、補助空気の流れが介在するので、マウスピース10がプラスチック等のように静電気が発生し易い材質で形成されている場合であっても、マウス側流路11等の壁面への医薬組成物の微粒子の付着を防止できる。
【0053】
図16は、マウスピース10の前側にのみオリフィス10Eを形成した吸入式デバイスを示している。
【0054】
実施態様4の説明
図17乃至図20のように吸入式デバイスは、本体100aと、マウスピース100bと、空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物Aを収納するための容器100cと、を備えている。
【0055】
図18のようにマウスピース100bは円筒状に形成され、マウスピース100b内には仕切り部材100dによって仕切り部100eが形成されている。仕切り部材100dが円盤状に形成され、仕切り部材100dには複数のオリフィス100fが形成され、仕切り部材100dの外周面には切り欠き部100gが形成されている。切り欠き部100gによってマウスピース100bと仕切り部材100dとの間には、補助空気をマウスピース100b内に吸引するための補助流路100hが形成されている。補助流路100hの一端には空気導入口100iが形成され、補助流路100hの他端は空気流出口100jが形成されている。なお、実施形態3の説明で述べたように空気流出口100jを環状に形成しても良い。
【0056】
図19のように本体100aは円筒状に形成され、本体100aの端部には空気導入口100kを形成するための切り欠き部100mが形成されている。
【0057】
図20のように容器100cは円筒状に形成され、底部100pを有する。
【0058】
吸入式デバイスは、本体100aの一端にマウスピース100bを取り付けると共に本体100aの他端に容器100cを着脱自在に取り付けることにより組み立てられる。図20(a)(b)のように容器100cの深さは適宜設計変更される。
【0059】
図17のように吸入式デバイスには、本体100aとマウスピース100bと容器100cとによって、医薬組成物Aの微粒子を含む外部空気を吸引するための、吸引流路100q及びマウスピース側の吸引流路100rが形成されている。吸引流路100qには容器100c内の空間が含まれる。
【0060】
吸引流路100q及び吸引流路100rを合わせた容量は、患者の吸気によって空気導入口100kから流入する外部空気が、仕切り部100eよりも上流側に位置する吸引流路100q内に充満して医薬組成物Aに空気衝撃を加えることができる大きさである。前記容量としては3〜100mlを例示することができる。吸入式デバイスをシガレットとほぼ同じサイズあるいはそれよりも小さい形にまで小型化することができる。全長が80mm、外径が10mm、内径が8mmの寸法の吸入式デバイスを例示することができる。
【0061】
このように本実施形態の吸入式デバイスによれば、筒状の本体100aとマウスピース100bと医薬組成物Aの容器100cとを繋げ、外部空気の空気導入口100k及びオリフィス100fを有する仕切り部100eを設けるだけで形成されるので、シガレットとほぼ同じサイズにまで小型化することができ、また、構造が簡単になって故障し難くなる。
【0062】
容器100cの開口部100sをシール材で塞ぐことによって容器100c内に医薬組成物Aが封入される。吸入式デバイスを使用する時には、シール材を剥がした後に容器100cを本体100aに取り付ける。シール材はアルミニウム、プラスチックなどで形成されている。
【0063】
また、容器100cを取り付けた吸入式デバイスを防湿ケースや防湿袋に入れ、使用時に防湿ケースや防湿袋から吸入式デバイスを取り出すようにしても良い。このようにすれば、シール材は不要になる。
本実施形態の吸入式デバイスは次のようにして使用される。患者の吸気によって吸引流路100q内に外部空気が充満して空気の衝撃によって医薬組成物Aを微粒子化させる。医薬組成物Aの微粒子を含む外部空気は、オリフィス100fを通過した後にマウスピース100b内の吸引流路100rを通って患者の口腔内に吸引され、また、医薬組成物Aの微粒子の凝集塊を、オリフィス100fを通過することによって分散させることができる。一方、患者の吸気によって補助流路100hからマウスピース100b内に補助空気が流入して患者の負担の軽減が図れる。
【0064】
図21から図23はその他の実施態様例を示す。図21に示す吸入式デバイスでは、操作体19が矢印のようにハウジング9の周方向に正逆回転可能となるように配設されている。図示しないホルダー作動部の機構部は、螺旋溝とこれに係合するフォロワーを備え、操作体19の正逆回転運動によりホルダー部5を針部3の軸線方向への直線運動(往復運動)に変換させる。操作体19の回転角度はほぼ180度に設定されている。また、図18及び図19に示す吸入式デバイスは、ハウジング9に環状の操作体19が回転自在に取り付けられている。図示しないホルダー作動部の機構部は、送りねじを備え、操作体19の回転運動によりホルダー部5を針部3の軸線方向への直線運動に変換させる。ホルダー部5はハウジング9の後部から引き出し自在となっている。なお、マウスピース10などのその他の構成は第1又は第2の実施形態と同じである。
【0065】
凍結乾燥型医薬組成物の説明
凍結乾燥型医薬組成物は、単回投与の有効量の薬物を含む溶液を容器に液充填し、そのまま凍結乾燥することによって非粉末の乾燥状態に調製されてなるものである。かかる非粉末状態の凍結乾燥型医薬組成物は、用時溶解型の注射剤等の凍結乾燥製剤(凍結乾燥型医薬組成物)の製造に一般的に用いられる製造方法を用いて製造されるが、調製される凍結乾燥型医薬組成物の崩壊指数が0.015以上となるように適切な組成(有効成分、並びに該有効成分と併用する担体の種類及びその量)を選択することにより、容器内で空気の衝撃を受けて経肺投与に適した粒子径まで微粒子化することができる。
【0066】
なお、本発明でいう崩壊指数は、凍結乾燥型医薬組成物について下記の方法に従って測定することによって得ることができる当該凍結乾燥型医薬組成物固有の値である。
<崩壊指数>
胴径φ18mmあるいは胴径φ23mmの容器に、対象とする凍結乾燥型医薬組成物を構成する目的の成分を含有する溶液を0.2〜0.5mlの範囲で液充填して、それを凍結乾燥する。次いで得られた非粉末状の凍結乾燥型医薬組成物に,n-ヘキサンを容器の壁を通じて静かに1.0ml滴下する。これを3000rpmで約10秒間攪拌させた混合液を光路長1mm,光路幅10mmのUVセルに投入し,速やかに分光光度計を用いて測定波長500nmで濁度を測定する。得られた濁度を凍結乾燥型医薬組成物を構成する成分の総量(重量)で割り、得られた値を崩壊指数と定義する。
ここで本発明の凍結乾燥型医薬組成物が備える崩壊指数の下限値としては、上記の0.015、好ましくは0.02、より好ましくは0.03、さらに好ましくは0.04、更により好ましくは0.05、特に好ましくは0.1を挙げることができる。また本発明の凍結乾燥型医薬組成物が備える崩壊指数の上限値としては特に制限されないが、1.5、好ましくは1、より好ましくは0.9、さらに好ましくは0.8、更により好ましくは0.7を挙げることができる。好適には本発明の凍結乾燥型医薬組成物は、0.015以上であることを限度として、上記から任意に選択される下限値と上限値から構成される範囲内にある崩壊指数を有することが望ましい。例えば、崩壊指数の範囲として具体的には0.015〜1.5、0.02〜1、0.03〜0.9、0.04〜0.8、0.05〜0.7、0.1〜0.7を例示することができる。
また、本発明の凍結乾燥型医薬組成物は、凍結乾燥によって非粉末のケーキ状の形態に調製されることが望ましい。本発明において非粉末状の凍結乾燥型医薬組成物とは、溶液を凍結乾燥して得られる乾燥固体であり、通常、凍結乾燥ケーキと呼ばれるものを意味する。但し、凍結乾燥工程あるいはその後のハンドリングでケーキにひびが入ったり、数個の大きな塊になったり、一部が破損して粉状になったものも、本発明の効果を損なわないことを限度として本発明が対象とする非粉末状の凍結乾燥型医薬組成物に包含される。
【0067】
本発明の凍結乾燥型医薬組成物は、前述するように、0.015以上の崩壊指数と、非粉末のケーキ状の形態を備えており、上記崩壊指数で表現される該凍結乾燥型医薬組成物の固有の性質に基づいて、少なくとも1m/secの空気速度及び少なくとも17ml/secの空気流量を有する空気の衝撃を受けることによって、平均粒子径が10ミクロン以下または有効粒子割合が10%以上の微粒子になることを特徴とするものである。
【0068】
好ましい凍結乾燥型医薬組成物としては、上記空気衝撃を受けることによって、平均粒子径が10ミクロン以下、好ましくは5ミクロン以下、または有効粒子割合が10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは35%以上の微粒子になるものを挙げることができる。
【0069】
なお、凍結乾燥型医薬組成物に与える空気衝撃は、前述するように1m/sec以上の空気速度及び17ml/sec以上の空気流量を有する空気によって生じる衝撃であれば特に制限されない。具体的には、上記の空気衝撃としては、1m/sec以上、好ましくは2m/sec以上、より好ましくは5m/sec以上、よりさらに好ましくは10m/sec以上の空気速度によって生じる衝撃を例示することができる。ここで空気速度の上限としては、特に制限されないが、通常300m/sec、好ましくは250m/sec、より好ましくは200m/sec、よりさらに好ましくは150m/secを挙げることができる。なお、空気速度は、上記から任意に選択される下限と上限から構成される範囲内にあれば特に制限されないが、具体的には1〜300m/sec、1〜250m/sec、2〜250m/sec、5〜250m/sec、5〜200m/sec、10〜200m/sec、10〜150m/secの範囲を挙げることができる。
【0070】
また、上記の空気衝撃としては、通常17ml/sec以上、好ましくは20ml/sec以上、より好ましくは25ml/sec以上の空気流量によって生じる衝撃を例示することができる。ここで空気流量の上限は、特に制限されないが、900L/min、好ましくは15L/sec、より好ましくは10L/sec、さらに好ましくは5L/sec、さらにより好ましくは4L/sec、特に好ましくは3L/secである。具体的には、空気流量は上記から任意に選択される下限と上限から構成される範囲内にあればよく、特に制限されないが、かかる範囲としては例えば17ml/sec〜15L/sec、20ml/sec〜10L/sec、20ml/sec〜5L/sec、20ml/sec〜4L/sec、20ml/sec〜3L/sec、25ml/sec〜3L/secを挙げることができる。
【0071】
本発明に係る経肺投与用の吸入式デバイスは、以上に説明したとおり構成されているので、その効果は以下の通り多大である。
【0072】
以上から明らかなように、本発明の吸入式デバイスによれば、前記マウスピースは、前記吸引流路と連通するマウス側流路と、前記吸引流路及び前記マウス側流路と合流することなく外部空気を直接吸引するための補助流路とを有し、被験者の吸気圧により外部空気を前記補助流路に直接導入するように構成したので、補助空気は微粒子化した医薬組成物を含んだ空気と衝突することがなく、微粒子が補助空気の流れに影響されて合体・凝集するのを防止できる。また、医薬組成物を含まない補助空気がストレートに吸引されることにより、空気流を更に増強することができ、生成された微粒子を効率良く肺に送り込むことができる。
【0073】
また、本発明の吸入式デバイスによれば、前記マウス側流路及び前記吸引流路の少なくとも一方に、段部を経て流路径を小さくするためのオリフィスを有する仕切り部を形成したので、マウスピースのマウス側流路を通過する医薬組成物の微粒子の凝集塊を分散させることができる。
【0074】
また、前記オリフィスを有する仕切り部を適宜間隔を置いて複数形成すれば、医薬組成物の凝集塊の分散を更に促進できる。
【0075】
また、従来技術にみられる補助空気の流れによる微粒子の合体・凝集を防止できると共にマウスピースのマウス側流路を通過する医薬組成物の微粒子の凝集塊を分散できるので、医薬組成物の微粒子の凝集塊が被験者の口腔内に入るのを防止できる。
【0076】
また、本発明の吸入式デバイスによれば、空気衝撃で微粒子化した前記医薬組成物は、補助空気に囲繞された状態で前記マウス側流路内を流れるように構成したので、乱流による医薬組成物の微粒子の拡散を抑えることができ、医薬組成物の微粒子はマウス側流路内を速やかに流れて肺内に至ることができ、のどへの医薬組成物の微粒子の付着を防止できる。また、静電気によるマウスピースへの医薬組成物の微粒子の付着を防止できる。
また、微粒子化した前記医薬組成物を含む外部空気は、前記オリフィスを通過した後に、補助空気によって囲繞すれば、補助空気の流れがオリフィスによって乱されることがなくなる。
【0077】
また、前記オリフィスの流路長を前記マウス側流路の空気流出方向に長くなるように形成すれば、前記医薬組成物を含む前記外部空気の乱流が前記オリフィス内で加速されて層流状態になり、前記医薬組成物を含む前記外部空気が補助空気によって囲繞され易くなる。
【0078】
また、微粒子化した凍結乾燥型医薬組成物を含んだ空気と補助空気とが混ざることがなく、仕切り部によって医薬組成物の微粒子の凝集塊を分散させることができる。
【0079】
また、被験者が空気を吸引するのではなく、誤って息を吐いた場合でも逆支弁を装備すれば、前記微粒子を前記空気導入流路から外部に流出するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の吸入式デバイスの第1実施形態の斜視図である。
【図2】同実施形態の縦断面図である。
【図3】(a)は同実施形態の拡大した縦断面図、(b)は同実施形態の拡大した横断面図である。
【図4】(a)は同実施形態のマウスピースの拡大した正面図、(b)は同マウスピースの拡大した縦断面図、(c)は同マウスピースの拡大した横断面図、(d)は同マウスピースの拡大した背面図である。
【図5】同実施形態の動作を説明する縦断面図である。
【図6】同実施形態の動作を説明する縦断面図である。
【図7】同実施形態の動作を説明する縦断面図である。
【図8】同実施形態の動作を説明する縦断面図である。
【図9】本発明の吸入式デバイスの第2実施形態の斜視図である。
【図10】同実施形態の拡大した縦断面図である。
【図11】(a)は同実施形態のマウスピースを構成する後側分割体の拡大した正面図、(b)は同マウスピースの拡大した縦断面図、(c)は同マウスピースの拡大した横断面図、(d)は同マウスピースの拡大した背面図である。
【図12】(a)は同実施形態のマウスピースを構成する前側分割体の拡大した正面図、(b)は同マウスピースの拡大した縦断面図、(c)は同マウスピースの拡大した横断面図、(d)は同マウスピースの拡大した背面図である。
【図13】本発明の吸入式デバイスの第3実施形態の正面図である。
【図14】図13のX−X断面図である。
【図15】図13のY−Y断面図である。
【図16】マウスピースの前側にのみオリフィスを形成した吸入式デバイスを示す断面図である。
【図17】(a)は本発明の吸入式デバイスの第4実施形態を示す斜視図、(b)では同実施形態の断面図ある。
【図18】(a)は同実施形態のマウスピースの正面図、(b)は同マウスピースの断面図、(c)は同マウスピースの背面図である。
【図19】(a)は同実施形態の本体の部分を示す平面図、(b)は同本体の断面図、(c)は同本体の背面図である。
【図20】(a)は同実施形態の容器ぼ断面図、(b)は深さ寸法の大きい容器の断面図である。
【図21】本発明のその他の実施態様である吸入式デバイスの斜視図である。
【図22】本発明のその他の実施形態の乾燥粉末吸入デバイスの斜視図である。
【図23】本発明のその他の実施形態の乾燥粉末吸入デバイスの不使用時の斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
A 医薬組成物
1 吸引流路
2 空気導入流路
3 針部(封止解除手段)
6 収納室
9 ハウジング
9G 逆止弁
10 マウスピース
11 マウスピースのマウス側流路
12 マウスピースの補助流路
13 仕切り部
13A オリフィス




【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納する収納室と、
前記医薬組成物に空気衝撃を与える外部空気を前記収納室内に導入して前記医薬組成物に向けて放射するための空気導入流路と、
微粒子化した医薬組成物を吸引するために吸引口が前記収納室に臨むように設けられた吸引流路と、
前記収納室、前記空気導入流路及び前記吸引流路を収めるハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられるマウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、前記吸引流路と連通するマウス側流路と、前記吸引流路及び前記マウス側流路に合流することなく外部空気を直接吸引するための補助流路とを有し、
被験者が吸気したときには、その吸気圧により前記収納室内に流入した外部空気により前記医薬組成物に空気衝撃が与えられ、微粒子化した前記医薬組成物が前記マウス側流路に導入され、同時に、前記吸気圧により外部空気が前記補助流路に直接導入されるように構成したことを特徴とする経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項2】
空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納する収納室と、
前記医薬組成物に空気衝撃を与える外部空気を前記収納室内に導入して前記医薬組成物に向けて放射するための空気導入流路と、
微粒子化した医薬組成物を吸引するために吸引口が前記収納室に臨むように設けられた吸引流路と、
前記収納室、前記空気導入流路及び前記吸引流路を収めるハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられるマウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、前記吸引流路と連通するマウス側流路を有し、該マウス側流路及び前記吸引流路の少なくとも一方に、段部を経て流路径を小さくするためのオリフィスを有する仕切り部を形成し、
被験者が吸気したときには、その吸気圧により前記収納室内に流入する外部空気により前記医薬組成物に空気衝撃が与えられ、微粒子化した前記医薬組成物が前記吸引流路及び前記マウス側流路に導入されると共に前記オリフィスを通過するように構成したことを特徴とする経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項3】
前記オリフィスを有する仕切り部を適宜間隔を置いて複数形成したことを特徴とする請求項2に記載の経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項4】
前記マウスピースは、前記吸引流路及び前記マウス側流路と合流することなく外部空気を直接吸引するための補助流路を有し、
微粒子化した前記医薬組成物が前記吸引流路及び前記マウス側流路に導入されると同時に、前記吸気圧により外部空気が前記補助流路に直接導入されるように構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項5】
空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納する収納室と、
前記医薬組成物に空気衝撃を与える外部空気を前記収納室内に導入して前記医薬組成物に向けて放射するための空気導入流路と、
微粒子化した医薬組成物を吸引するための吸引流路と、
前記収納室、前記空気導入流路及び前記吸引流路を収めるハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられるマウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、
前記吸引流路と連通するマウス側流路と、
前記医薬組成物への空気衝撃に寄与しない外部空気を、前記収容室を経由せずに吸引し、且つ、前記マウス側流路内に開口する空気流出口を通じて前記マウス側流路内に流入させるための補助流路を備え、
前記空気流出口は、前記マウス側流路の空気流出方向に向けて開口すると共に前記マウス側流路の内周壁面に沿って環状に形成され、
被験者が吸気したときには、その吸気圧により前記収納室内に流入する外部空気による空気衝撃で微粒子化した前記医薬組成物は、前記吸引流路を通じて前記マウス側流路内に導入され、且つ、環状の前記空気流出口から前記マウス側流路内に流出する外部空気に囲繞された状態で前記マウス側流路内を流れるように構成したことを特徴とする経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項6】
流路径を小さくするためのオリフィスを有する仕切り部を前記マウス側流路に形成し、
微粒子化した前記医薬組成物を含む外部空気は、前記オリフィスを通過した後に、環状の前記空気流出口から前記マウス側流路内に流出する外部空気によって囲繞されるように構成したことを特徴とする請求項5に記載の経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項7】
前記オリフィスの流路長を前記マウス側流路の空気流出方向に長くなるように形成したことを特徴とする請求項6に記載の経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項8】
空気衝撃を受けることによって空気中に微粒子が分散する非粉末のケーキ状形態の凍結乾燥型医薬組成物が収容され且つ封止体で密封された容器を収納する前記収納室と、
前記封止体による封止を解除するための封止解除手段と、を備え、
前記封止解除手段によって前記容器の封止状態を解除して前記収納室と前記容器内とを連通させ、
前記吸気圧により前記容器内の前記医薬組成物に空気衝撃を与えるように構成したことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項9】
微粒子化した前記医薬組成物を前記空気導入流路から外部に流出するのを防ぐ逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の経肺投与用の吸入式デバイス。
【請求項10】
筒状の本体と、
前記本体の一端に設けられるマウスピースと、
前記本体の他端に設けられ、空気衝撃を受けることによって微粒子化して空気中に分散する医薬組成物を収納するための容器と、
前記本体と前記マウスピースと前記容器とで形成され、前記医薬組成物の微粒子を含む外部空気を前記容器側から前記マウスピース側に向けて流すための吸引流路と、
前記吸引流路内に外部空気を導入するための空気導入口と、
前記吸引流路の流路径を小さくするためのオリフィスを有し、前記空気導入口よりも下流側に位置し、前記吸引流路を仕切るための仕切り部と、を備え、
前記吸引流路は、被験者の吸気によって前記空気導入口から前記仕切り部よりも上流側に位置する前記吸引流路内に流入する外部空気によって前記医薬組成物に空気衝撃を加えることができる容量であることを特徴とする吸入式デバイス。
【請求項11】
前記吸引流路内に開口する空気流出口と、被験者の吸気によって前記空気流出口を通して前記吸引流路内に外部空気を流入するための補助流路と、を備え、
前記空気流出口は、該空気流出口から流入する外部空気が前記オリフィスを通過することなく被験者の口腔内に吸引されるような位置に設けられたことを特徴とする請求項10に記載の吸入式デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公表番号】特表2006−509582(P2006−509582A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560628(P2004−560628)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015943
【国際公開番号】WO2004/054647
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)