説明

経肺薬剤投与器具および経肺薬剤投与装置

【課題】本発明は、微粒子状の薬剤を少ない損失で哺乳類の肺に投与できる経肺薬剤投与器具および経肺薬剤投与装置の提供。
【解決手段】哺乳類に投与しようとする薬剤を投入するための拡大管路11Aと、拡大管路11Aの端部に形成され、前記哺乳類の気管に挿入される第1管路11Bと、第1管路11Bに連通し、拡大管路11Aとは反対方向の気流を発生させる第2管路12と、を有する経肺薬剤投与器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経肺薬剤投与器具および経肺薬剤投与装置にかかり、特に、微粒子状の薬剤を少ない損失で哺乳類の肺に投与できる経肺薬剤投与器具および経肺薬剤投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種抗癌剤や抗生物質の経肺投与について検討されている。抗癌剤の経肺投与の検討例としては、たとえば、抗癌剤として6−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−3−ヒドロキシル−7H−インデノ[2,1−c]キノリン1塩酸塩を用い、これをラクチド−グリコリド共重合体(PLGA)のマイクロセルに封入した粒子をラットに吸引させ、このラットの血液中および肺における前記抗癌剤の濃度を調べた研究がある(非特許文献1)
【0003】
また、別の例としては、結核菌に感染させたモルモットに、抗生物質としてのリファンピシンをPLGAのマイクロセルに封入した粒子を吸引させ、肺組織の変化を調べた例がある(非特許文献2)
【0004】
これらの研究において、ラットやモルモットの肺を通して薬剤を投与する経肺薬剤投与システムとしては、米国のPenn-Century社製のdry powder insufflatorを使用した。この経肺薬剤投与システムは、シリンジと、前記シリンジの先端部に接続された薬剤を収納するコンテナと、前記コンテナの先端部に接続され、薬剤を投与しようとする哺乳類の気管に挿入される針状部とからなっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Keishiro Tomoda, et al., "Preparation and properties of inhalable nanocomposite particles for treatment of lung cancer", Colloids and Surfaces B, Biointerfaces 71(2009), pp177-182
【非特許文献2】Sandra Suarez, et al., "Airways delivery of rifampicin microparticles for the treatment of tuberculosis", Journal of Antimicrobial Chemotherapy(2001) 48, pp431-434
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記dry powder insufflatorは、粉末状の薬剤を強い圧力で針状部から噴射するため、薬剤が針状部から噴出されたとたんに気管に付着し、肺に効率よく薬剤を到達させることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、微粒子状の薬剤を少ない損失で哺乳類の肺に投与できる経肺薬剤投与器具および経肺薬剤投与装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、哺乳類に投与しようとする薬剤を投入するための拡大管路と、前記拡大管路の端部に形成され、前記哺乳類の気管に挿入される第1管路と、前記第1管路と連通し、前記拡大管路とは反対側へ向かう気流を発生させる第2管路と、を有する経肺薬剤投与器具に関する。
【0009】
請求項1に記載の経肺薬剤投与器具においては、第2管路から第1管路に気流を送り込むことにより、第1管路における第2管路との合流部がベンチュリ効果によって陰圧になる。これにより、拡大管路の開口部から外気が吸引され、第1管路の内部に拡大管路に向かう方向とは反対方向の気流が生じる。
【0010】
したがって、前記拡大管路の開口部に微粒子状の薬剤を投入すると、投入した薬剤の粒子は、第1管路内の気流に乗って第1管路の端部へと運ばれて放出される。ここで、第1管路は、端部が哺乳類の気管支の近傍に到達する深さまで挿入されるから、第1管路の端部から気流とともに放出された薬剤粒子は、前記気流に乗って前記哺乳類の肺に到達する。
【0011】
拡大管路の開口部から投入された薬剤粒子には、第1管路内を流れる気流からの剪断力が作用する。したがって、前記粒子中に塊状の粒子が混在している場合においても、前記塊状粒子は前記剪断力によって解されて微粒子となるから、前記塊状の粒子がそのまま第1管路の端部から放出されることはない。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記拡大管路と前記第1管路とが同一の軸線上に形成されている請求項1に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0013】
請求項2に記載の経肺薬剤投与器具においては、前記拡大管路と前記第1管路とが一直線上に形成されているから、前記拡大管路の開口部から投入された薬剤の粉末が第1管路の内壁に付着することが効果的に防止される。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記拡大管路が外側に向かって徐々に拡径している請求項2に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0015】
請求項3に記載の経肺薬剤投与器具においては、拡大管路の内部に段差がないから、拡大管路に投入した薬剤が拡大管路の内部に付着して哺乳類の肺に供給されないことが防止される。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記第2管路の内径は前記第1管路の内径よりも小さい請求項1〜3の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0017】
請求項4に記載の経肺薬剤投与器具においては、前記第2管路の内径は前記第1管路の内径よりも小さいから、前記第2管路が前記第1管路に連通している部分において確実にベンチュリ効果が獲られる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記第2管路が、前記第1管路における拡大管路の近傍に接続されている請求項2〜4の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0019】
請求項5に記載の経肺薬剤投与器具においては、第2管路は、第1管路における拡大管路の近傍に接続されているから、第2管路から第1管路に気流を供給すると、第1管路における第2管路との合流部においてベンチュリ効果よる減圧が確実に生じる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記第2管路が前記拡大管路の内側に配設されている請求項2〜4の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0021】
請求項6に記載の経肺薬剤投与器具においては、前記第2管路が、前記拡大管路の内側に設けられているから、第2管路から送出された気流は拡大管路の縮径部に導入され、前記縮径部に、ベンチュリ効果による減圧が生じる。これにより、前記第1管路の内部には、拡大管路の開口部から第1管路の先端に向かう方向の気流が生じる。
【0022】
したがって、前記拡大管路の開口部に微粒子状の薬剤を投入すると、投入した薬剤は、第1管路内の気流に乗って拡大管路から第1管路へと運ばれ、第1管路の先端から放出されて哺乳類の肺に到達する。
【0023】
請求項7に記載の発明は、前記第1管路と前記第2管路とが、前記第1管路における拡大管路の軸線と前記第2管路の軸線とのなす角度のうち拡大管路側の角度が90度以下となるように接続されている請求項5に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0024】
請求項7に記載の経肺薬剤投与器具においては、第2管路に気流を供給することにより、第1管路の内部に拡大管路から第1管路に向かう方向の気流を生じさせることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記第1管路と前記第2管路とは、前記第1管路における拡大管路の軸線と前記第2管路の軸線とのなす角度のうち拡大管路側の角度が30〜60度の範囲となるように接続されている請求項7に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0026】
請求項8に記載の経肺薬剤投与器具においては、第2管路に気流を供給することにより、第1管路の内部に拡大管路から第1管路に向かう方向の気流を特に安定に生じさせることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、前記第2管路の先端部が、前記第1管路の内側に位置している請求項5、7、または8に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0028】
請求項9に記載の経肺薬剤投与器具においては、第2管路の先端部が第1管路の内側に開口しているために、前記第2管路に供給した気流は、前記第1管路の内部に直接に導入されるから、前記第1管路内部においては、ベンチュリ効果による減圧が特に効果的に行われる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、前記第2管路の先端開口部が、前記第1管路の出口側に向かって屈曲している請求項9に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0030】
請求項10に記載の経肺薬剤投与器具においては、前記第2管路の先端部開口部が、前記第1管路の出口側に屈曲しているから、第2管路から導入される気流の方向は、第1管路の出口に向かう方向と実質的に一致する。
【0031】
したがって、拡大管路に投入された薬剤を、哺乳類の肺により効率的に投与できる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、前記第1管路の端部に長手方向の切込みが形成されている請求項1〜10の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0033】
請求項11に記載の経肺薬剤投与器具においては、第1管路の端部、即ち第1管路の出口近傍に長手方向の切込みが形成されているから、第1管路の出口近傍に切込みがないものと比較して第1管路の出口の面積を大きくとることができる。したがって第1管路の出口から空気が放出され易くなるから、第1管路において薬剤を経肺投与する際の気流の抵抗を切込みがないものと比較して低減させることができる。
【0034】
請求項12に記載の発明は、前記第1管路の端部の周面にドーナツ状であって膨張、収縮可能なカフバルーンが装着されている請求項1〜11の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0035】
請求項12に記載の経肺薬剤投与器具においては、薬剤を投与しようとする哺乳類の気管に第1管路の挿入間の部分を挿入後、カフバルーンを膨張させることにより、第1管路と気管との間の気流の漏れをなくすることができるから、カフバルーンを有しないものと比較してより効率的に薬剤を投与できる。
【0036】
請求項13に記載の発明は、前記第1管路の端部に気管に挿入される第3管路が被せられている請求項1〜11の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0037】
請求項13に記載の経肺薬剤投与器具においては、哺乳類の呼気を第1管路と第3管路との隙間から排出させることができるから、薬剤を投与する際に哺乳類の呼吸を妨げることが前記第3の管路がない場合としてより少ない。
【0038】
請求項14に記載の発明は、前記第1管路が前記第2管路の接続部分よりも前記第1管路の出口側において2つに分割可能とされている請求項1〜11の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具に関する。
【0039】
請求項14に記載の経肺薬剤投与器具においては、薬剤を投与しようとする哺乳類の体格の大小に応じて種々の外径、内径を有する第1管路を選択できる。
【0040】
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14の何れか1項に記載の1または複数の経肺薬剤投与器具と、前記経肺薬剤投与器具の第2管路に接続された空気供給装置と、前記経肺薬剤投与器具における拡大管路の開口部に投与しようとする薬剤を投入する薬剤投入装置と、を有する経肺薬剤投与装置に関する。
【0041】
請求項15に記載の経肺薬剤投与装置においては、空気供給装置から前記経肺薬剤投与器具の第2管路に気流を供給すると、前記経肺薬剤投与器具の第1管路と第2管路との合流部が減圧されるから、第1管路内部においては拡大管路から第1管路に向かう気流が生じる。このとき、薬剤投入装置によって前記経肺薬剤投与器具における拡大管路の開口部に薬剤を投入すると、投入された薬剤は、前記第1管路内の気流によって前記第1管路の他端側に運ばれ、哺乳類の肺の近傍に薬剤が到達する。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように本発明によれば、微粒子状の薬剤を少ない損失で哺乳類の肺に投与できる経肺薬剤投与器具および経肺薬剤投与装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は実施形態1に係る経肺薬剤投与器具の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は実施形態1に係る経肺薬剤投与器具を備える経肺薬剤投与装置の構成を示す概略図である。
【図3】図3は実施形態1に係る経肺薬剤投与器具の作用を示す説明図である。
【図4】図4は実施形態2に係る経肺薬剤投与器具の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は実施形態3に係る経肺薬剤投与器具の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は実施形態4に係る経肺薬剤投与器具の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は実施形態5に係る経肺薬剤投与器具の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は実施形態6に係る経肺薬剤投与器具の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は実施形態7に係る経肺薬剤投与器具の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
1.実施形態1
(1)構成
以下、本発明に係る経肺薬剤投与器具の一例につき、図面を用いて説明する。
【0045】
実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1は、図1に示すように、哺乳類に投与する薬剤を投入するための拡大管路11Aと、拡大管路11Aの端部に設けられ、前記哺乳類の気管に挿入される第1管路11Bと、第1管路11Bに連通し、拡大管路11Aに向かう方向とは反対方向の気流を発生させる第2管路12と、を備える。拡大管路11Aと第1管路11Bとは、同一の軸線上に形成され、言い換えれば一直線上に形成されている。拡大管路11Aは、拡大側が薬剤を例えば粉末製剤や霧化された液体製剤の形で投入するための開口部11Cとされている。一方、第1管路11Bの末端は、開口部Cから投入された粉末製剤が送出される開口部11Dとされている。
【0046】
第2管路12は、第1管路11Aに気流を導入するための開口部12Bを有する。そして、開口部12B近傍は開口部12Bに向かって内径が拡大する拡大部12Aとされている。
【0047】
第2管路12は、第1管路11Bの軸線h1と第2管路12の軸線h2とのなす角度θのうち、拡大管路11Aに近い側の角度が90度以下、好ましくは30〜60度の範囲となるように第1管路11Bにおける拡大管路11A側の端部に接続されている。
【0048】
第1管路11Bの外径および内径は、通常、外径1.0mmおよび内径0.5mmから外径12.7mmおよび内径9.5mmの範囲とすることができるが、薬剤を投与しようとする哺乳類の体格に応じて適宜定めることができる。たとえば前記哺乳類がヒトである場合は、外径3.3mmおよび内径2.5mm〜外径12.7mmおよび内径9.5mmの範囲が一般的である。一方、前記哺乳類がマウスの場合は、外径1.3mm以下内径0.5mm以上が好ましい。また、ラットおよびモルモットの場合は、外径2mm以下内径0.5mm以上が好ましい。
【0049】
実施形態1の経肺薬剤投与器具1においては、第1管路11Bの内径は一様とされているが、第1管路11Bは、第2管路12が接続された部分が最も絞られ、言い換えれば内径が最も小さく、先端に向かって内径が拡大したベンチュリ管様の構成とされていてもよい。
【0050】
第1管路11Bにおける第2管路が接続された部分よりも先端側の部分、即ち哺乳類の気管に挿入される気管挿入部の長さは、対象とする哺乳類の体格に応じて適宜定めることができる。前記気管挿入部の長さは、たとえばヒト用では130〜300mm、マウス用では30〜50mm、ラット用では40〜80mm、モルモット用では50〜100mmの範囲が好ましい。
【0051】
拡大管路11Aの内径は、粉末状の薬剤を投入する都合から、開口部においては第1管路11Bの内径よりも大きく、縮径側末端においては第1管路11Bの内径と同一とされていることが好ましい。具体的には、拡大部11Aの開口部の内径は4〜30mm程度が、薬剤の投入の容易さ、および経肺薬剤投与器具1の取り回しの容易さの観点から好ましい。
【0052】
第2管路12における第1管路11Aに接続されている部分の管路の外径および内径は、夫々4.5mm以下および3.5mm以下が好ましい。前記外径および内径は、たとえばヒト用では1.0mm以下および0.5mm以下が、マウス用、ラット用、およびモルモット用では0.4mm以下および0.19mm以下が好ましい。また、第2管路12における開口部12Bの内径および拡大部12Aの外径は、後述する空気供給管14の内径または外径に応じて決定できる。
【0053】
経肺薬剤投与器具1の材質にはとくに制限はないが、具体的にはポリプロピレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン・プロピレン共重合体樹脂、エチレン・ポリビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン・酢酸ビニル共重合体樹脂などの各種合成樹脂、ガラス、およびステンレス鋼のような金属材料などが挙げられる。
【0054】
また、第1管路11および第2管路の内壁面に薬剤の粒子が付着するのを防止するために、第1管路11および第2管路12の内面にフッ素樹脂やシリコン樹脂などを塗布することが好ましい。
【0055】
なお、粉末製剤においては粒子が正または負の表面電荷を有していることが一般的であるので、前記粒子の表面電荷に応じて経肺薬剤投与器具1の材質を選択することが好ましい。たとえば、粉末製剤がポリ(乳酸−グリコール酸)を賦形剤として含有する粉末製剤の場合には粒子の表面が負に帯電しているから、第1管路11および第2管路12の材質としてはポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂が好ましい。また、ステンレス鋼を使用する場合は、内面をフッ素樹脂やシリコン樹脂でコーティングすることが好ましい。
【0056】
経肺薬剤投与器具1を用いた経肺薬剤投与装置の一例を図2に示す。図2に示すように、経肺薬剤投与装置10は、経肺薬剤投与器具1と、第2管路12から経肺薬剤投与器具1の第1管路11Bに気流を供給する空気供給装置13と、拡大管路11Aの開口部11Cに薬剤を投入する薬剤投入装置15と、第2管路12の拡大部12Aと空気供給装置13の空気供給口とを接続する空気供給管14と、を備える。
【0057】
空気供給装置13から第2管路に一度に供給される空気量は通常は1〜5000mlであるが、対象とする哺乳類の体格に応じて適宜設定できる。例えば、ヒト用では100ml以上、特に100〜4000ml程度が好ましく、マウス、ラット、およびモルモット用においては1〜20mlの範囲が好ましい。
【0058】
空気供給装置13においては、薬剤を投与しようとする哺乳類の自然呼吸のパターンに呼応させて空気を供給すれば、前記哺乳類が呼気を吸い込むときに経肺薬剤投与器具1によって薬剤が投与されるから、薬剤が肺の奥まで浸透し、吐き出した息によって薬剤が気管の外に吐き出されることがない故に好ましい。例えば、哺乳類がヒトの場合には約12回/分の頻度で、マウスの場合は約100〜130回/分の頻度で、ラットおよびモルモットでは約60〜80回/分の頻度で空気を供給することが好ましい。
【0059】
薬剤投入装置15としては、投入しようとする粉末製剤が載置される薬剤皿15Aと、薬剤皿15Aを振動させる加振装置15Bとを有する。
【0060】
薬剤投入装置15によって、経肺薬剤投与器具1の拡大管路11Aに薬剤を投入するときは、薬剤投入装置15の薬剤皿15Aに投入しようとする薬剤を載置して拡大管路11Aの開口部11Cに挿入し、加振装置15Bで薬剤皿15Aを振動させて薬剤皿15A上の薬剤を拡大管路11Aの内側に落下させればよい。
【0061】
また、薬剤投入装置15に代えて従来公知のエアロゾル化吸入器で粉末製剤または液体製剤をエアロゾル化して開口部11Cから拡大管路11Aの内側に投入してもよい。
【0062】
(2)投与できる薬剤
経肺薬剤投与装置10で投与できる薬剤としては、対象とする哺乳動物に特定の薬理作用を生じさせる活性作用物質の他、各種食品、栄養補助食品、栄養素、ビタミン類などが包含される。
【0063】
前記活性作用物質としては、たとえば催眠剤、精神賦活薬、精神安定剤、呼吸器系薬剤、筋弛緩剤、ドーパミン拮抗剤、鎮痛剤、抗炎症剤、抗不安薬、食欲抑制剤、筋収縮剤、抗生物質や抗ウイルス剤、抗真菌剤、ワクチンなどの抗感染薬、抗関節炎薬、抗マラリア薬、鎮吐薬、抗癲癇薬、気管支拡張剤、サイトカイン、成長因子、抗癌剤、抗血栓剤、血圧降下剤、心臓血管薬、抗不整脈薬、抗酸化剤、抗喘息剤、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経興奮剤、利尿剤、脂質調整剤、抗アンドロゲン剤、抗寄生虫剤、抗高血圧剤、新生剤(neoplastics)、抗新生剤、血糖降下剤、栄養剤(nutritional agent)、栄養補助食品、成長補助食品、抗腸炎剤、診断約、および造影剤などがある。
【0064】
前記活性作用物質は、対象とする哺乳動物に特定の薬理作用を生じさせることができるものであれば上に挙げた薬剤には限定されず、小分子、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、多糖類、ステロイド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、電解質なども前記活性物質に包含される。
【0065】
前記活性作用物質には、他に、裸の核酸分子、ベクター、会合ウイルス粒子、プラスミドDNA、プラスミドRNAなど、遺伝子療法に好適な各種核酸構造も包含される。
【0066】
更に、ワクチンとして使用するのに好適な弱毒化ウイルスや死滅ウイルスも前記活性作用物質に包含される。
【0067】
これらの薬剤は、たとえば粉末製剤の形でも投与できるし、液体状の製剤に加工してこれを霧滴の形で投与してもよい。
【0068】
前記薬剤を粉末製剤とする場合には、通常医薬品に使用される賦形剤を、全製剤の質量に対して0.01〜95質量%、好適には0.5〜80質量%、更に好適には1〜60質量%配合することができる。
【0069】
前記賦形剤には、アミノ酸、ペプチド蛋白質、非生物学的ポリマー、生物学的ポリマー、炭水化物、単糖類、二糖類、セルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルジトールやアルドン酸、糖エステル、糖ポリマーなどの糖誘導体、および多糖類などが挙げられる。
【0070】
前記粉末製剤には、他にpH調整剤などを配合できる。
【0071】
(3)作用
以下、経肺薬剤投与器具1および経肺薬剤投与装置10の作用について説明する。図3に示すように、薬剤を投与しようとする哺乳動物の気管に経肺薬剤投与器具1における第1管路11Bを挿入し、第1管路11Bの先端を前記哺乳動物の気管の分岐部近傍に位置させた状態で第2管路12の開口部12Bから空気を供給すると、供給された空気により、矢印Aに示すように第2管路12および第1管路11Bを経由して前記哺乳動物の肺に向かう気流が生じる。
【0072】
これによって、第1管路11と第2管路12との交差部分が減圧され、図3において矢印Bで示すように、拡大管路11Aの開口部11Cから外気が巻き込まれて開口部11Dに向かう気流が生じる。
【0073】
ここで、投与しようとする薬剤の粉末製剤または液体状の製剤を開口部11Cから拡大管路11Aに投入すると、投入された製剤は、気流Bに乗って第1管路11内部を移動し、開口部11Dから前記肺の近傍に放出される。
【0074】
第1管路11の内部を移動する間に、製剤には気流Bからの剪断力が作用するから、製剤中に塊状粒子や粗大粒子が混在している場合においても、前記塊状粒子や粗大粒子は前記剪断力によって解されて微粒子に分解する。したがって、塊状粒子や粗大粒子がそのまま第1管路の端部から放出されて肺に投与されることはない。
【0075】
一方、余剰の空気や呼気は、図3において矢印Cで示すように第1管路11内部を逆流して開口部11Cから外気に放出される。
【0076】
したがって、粉末製剤や液体製剤を単に従来公知のエアロゾル化吸入器でエアロゾル化して投入する場合とは異なり、薬剤投与中においても前記哺乳類の呼吸が妨げられることが少ないから、前記哺乳類に与える負担が少ない。
【0077】
更に、空気供給装置13において、哺乳動物の呼吸のタイミングに会わせて空気を供給することにより、薬剤を前記哺乳動物の肺全体に行き渡らせることができる。
【0078】
加えて、拡大管路11Aの開口部11Cは大気中に開放されているから、製剤を開口部11Cから追加しながら投与できるという特長もある。
【0079】
2.実施形態2
本発明に係る経肺薬剤投与器具の別の一例につき、図面を用いて説明する。図4に示すように、実施形態2に係る経肺薬剤投与器具2においては、第2管路12の先端部12Cが第1管路11Bの内側に貫入した構成とされている。そして、先端部12Cの先端は、第1管路11Bの出口側の開口部11Dに向かって屈曲している。
【0080】
経肺薬剤投与器具2は、上述の点を除いては実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1と同様の構成を有する。したがって、第1管路11B、拡大管路11Aおよび第1管路11B、並びに第2管路12における先端部12Cを除いた部分の構成は実施形態1のところで述べたとおりである。
【0081】
経肺薬剤投与器具2においては、第2管路12の先端部12Cの開口が、第1管路11Bの出口側の開口部11Dを向いているから、第2管路12からは、第1管路11Bの開口部11Dに向かう方向と実質的に一致する方向の気流が供給される。
【0082】
したがって、第2管路12から導入された気流によって、第1管路11Bにおける第2管路の貫入部およびその近傍には、第2管路12が先端部12Cを有していない場合と比較してより強い減圧が生じるから、第1管路11Bの内部には開口部11Cから開口部11Dに向かう方向に沿ったより強い気流が生じる。
【0083】
したがって、開口部11Cから投入された粉末製剤に塊状粒子や粗大粒子が含まれている場合には、第1管路11B内部の気流から塊状粒子や粗大粒子により強い剪断力が及ぼされてこれらの塊状粒子や粗大粒子は微細粒子に解される。
【0084】
3.実施形態3
本発明に係る経肺薬剤投与器具の更に別の一例につき、説明する。図5に示すように、実施形態3に係る経肺薬剤投与器具3においては、第2管路12が拡大管路11Aの内側に挿入され、第2管路12の先端部12Cが第1管路11Bの内部に挿入された構成とされている。なお、第2管路12の外壁と拡大管路11Aおよび第1管路11Bの内壁との間には全周に亘って間隙が設けられている。
【0085】
実施形態1と同様に、第1管路11においては拡大管路11Aと第1管路11Bとは同一軸線上に、言い換えれば一直線上に形成されている。
【0086】
拡大管路11Aの内壁と第2管路12の外壁との間には、板状の支持部材11Eが設けられ、第2管路12は、支持部材11Eによって拡大管路11Aと同心に支持されている。
【0087】
経肺薬剤投与器具3は、上述の点を除いては実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1と同様の構成を有する。したがって、第1管路11、拡大管路11Aおよび第1管路11B、並びに第2管路12における先端部12Cを除いた部分の構成は実施形態1のところで述べたとおりである。
【0088】
以下、経肺薬剤投与器具3の作用について説明する。
第2管路12から第1管路11に向かって気流を供給すると、第1管路11Bにおける第2管路12の先端部12Cの近傍にベンチュリ効果に起因して減圧状態が生じる。
【0089】
したがって、拡大管路11Aと第2管路12との間の間隙から外気が巻き込まれて開口部11Dに向かう気流が生じる。
【0090】
ここで、投与しようとする薬剤の粉末製剤または液体状の製剤を開口部11Cから拡大管路11Aに投入すると、投入された製剤は、気流Bに乗って第1管路11内部を移動し、開口部11Dから薬剤の投与対象である哺乳類の肺の近傍に放出される。
【0091】
経肺薬剤投与器具3においては、上述したように、第2管路12は拡大管路11Aの内側に配設されているから、第1管路11Bに第2管路12が接続された形態の経肺薬剤投与器具と比較してよりコンパクトに形成できるという特長がある。
【0092】
4.実施形態4
本発明に係る経肺薬剤投与器具の更に別の一例につき、説明する。図6に示すように、実施形態4に係る経肺薬剤投与器具4においては、第1管路11Bの先端部に、長手方向に沿った切込み11Fが、開口部11Dに連通するように形成されている。
【0093】
経肺薬剤投与器具4は、上述の点を除いては実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1と同様の構成および作用を有する。
【0094】
経肺薬剤投与器具4においては、開口部11Cから投入された薬剤の微粒子は、第1管路11Bの出口側に切込み11Fが設けられているにも拘らず、慣性力によって直線状に放出されて投与対象の哺乳類の肺に到達する。
【0095】
一方、開口部11Cから巻き込まれた外気は、開口部11Dからだけでなく、切込み11Fからも排出されるから、外気の排出が切込み11Fがない場合と比較してより容易になる。
【0096】
5.実施形態5
本発明に係る経肺薬剤投与器具の更に別の一例につき、説明する。図7に示すように、実施形態5に係る経肺薬剤投与器具5においては、第1管路11Bの外側に第3管路の一例としての覆い管16が被せられている。
【0097】
経肺薬剤投与器具5は、上述の点を除いては実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1と同様の構成および作用を有する。
【0098】
経肺薬剤投与器具5においては、薬剤を投与されている哺乳類の呼気は、第1管路11Bからだけでなく、第1管路11Bと覆い管16との間の間隙からも排出される。
【0099】
したがって、哺乳動物の呼吸を妨げる度合いが、第3管路を有しない場合と比較して更に少ない。
【0100】
6.実施形態6
本発明に係る経肺薬剤投与器具の更に別の一例につき、説明する。図8に示すように、実施形態6に係る経肺薬剤投与器具6においては、第1管路11Bの開口部11D近傍における周面に膨張収縮可能であって膨張時にはドーナツ状となるカフバルーン17が装着されている。
【0101】
経肺薬剤投与器具6は、上述の点を除いては実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1と同様の構成および作用を有する。
【0102】
経肺薬剤投与器具6においては、カフバルーン17を膨張させることにより、哺乳類の気管と第1管路11Bとの間の隙間を塞ぐことができるから、投与された製剤が、前記隙間から哺乳類の呼気とともに漏洩して損失することが防止される。
【0103】
したがって、極微量の薬剤を投与する場合などのように薬剤の漏洩による損失が問題となる場合において特に好適に使用される。
【0104】
7.実施形態7
本発明に係る経肺薬剤投与器具の更に別の一例につき、説明する。図9に示すように、実施形態7に係る経肺薬剤投与器具7においては、拡大管路11Aおよび第1管路11Bは長手方向に沿った仕切り11Gによって全長に亘って2つに区画されている。
【0105】
そして、第2管路12は、第1管路11Bに、仕切り11Gを挟むように2つ接続されている。
【0106】
経肺薬剤投与器具7は、上述の点を除いては実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1と同様の構成および作用を有する。
【0107】
経肺薬剤投与器具7においては、仕切り11Gで仕切られた2つの開口部11Cの一方と他方とで異なる薬剤を投入することにより、異なる2種類の薬剤を同時に投与できるから、2種類の薬剤を同時に投与する場合に好適に使用される。
【実施例】
【0108】
1.実施例1
実施形態1に係る経肺薬剤投与器具1および経肺薬剤投与装置10を用いて蛍光染料粉末をラットに経肺投与して蛍光染料の肺への分布状態を調べた。
【0109】
経肺薬剤投与器具1としては、第1管路11Bと拡張管路11Aとの合計長さが80mmであって拡大管路11Aの長さが30mm、第1管路11Bの長さが50mm、拡大管路11Aの開口部11Cの内径が5.0mm、第1管路11Bの内径が0.8mm、外径が1.3mm、第2管路12は全長が24mmであって内径が0.5mm、外径が1.0mm、拡大部12Aの長さが12mm、開口部12Bの内径が4.2mmのものを使用した。
【0110】
蛍光染料としては、Ir(tpy)錯体(tpy=2−(4−トリル)ピリジン)およびIr(ppy)錯体(ppy=2−フェニルピリジン)を使用した。
【0111】
ラットとしては、体重350gの雄のWistar ratを使用し、粉末状の蛍光染料を5mgまたは10mg投与した。
【0112】
空気供給装置13としては、Metran社製、Compos β-EA(商品名)を用い、圧力0.7MPa、頻度60回/分、1回当たり吐出時間0.15秒の条件で第2管路12から空気を供給した。
【0113】
蛍光染料を投与後、ラットを、ヘパリンを配合した燐酸緩衝溶液(PBS)で還流虚血して血液を除去し、その後肺を取り出して2枚のシャーレの間で肺を押しつぶして広げ、紫外線を照射して蛍光を観察した。
【0114】
その結果、蛍光染料の投与量が5mgおよび10mgのいずれの場合においても、肺全体が一様に蛍光を発することが認められた。このことから、蛍光染料がラットの肺全体に一様に行き渡ったことが分かった。
【0115】
2.比較例1
Penn-Century社製のdry powder insufflatorを用いた蛍光染料の投与を行った以外は、実施例1と同様の手順に従ってラットに蛍光染料を経肺投与し、肺への蛍光染料の分布状態を調べた。蛍光染料の経肺投与は圧縮空気2mlで10〜15回行った。
【0116】
その結果、マウスの気管および気管支には強い蛍光が認められたものの、肺には殆ど蛍光が認められなかった。このことから、dry powder insufflatorで投与された蛍光染料は主に気管や気管支に付着し、肺には殆ど行き渡っていないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の経肺薬剤投与器具および経肺薬剤投与装置は、ヒトの肺に直接に薬剤を投与して肺癌や肺気腫などの各種肺疾患を治療するのに使用されるだけでなく、人の肺が高い浸透性を有することを利用して、肺疾患以外の各種疾患の治療薬を投与するのに使用される。
【0118】
また、マウスやラット、モルモット、ウサギ、サルなど各種の実験動物に薬剤を経肺投与して薬効試験を行うのにも使用される。
【符号の説明】
【0119】
1 経肺薬剤投与器具
2 経肺薬剤投与器具
3 経肺薬剤投与器具
4 経肺薬剤投与器具
5 経肺薬剤投与器具
6 経肺薬剤投与器具
7 経肺薬剤投与器具
10 経肺薬剤投与装置
11A 拡大管路
11B 第1管路
11C 開口部
11D 開口部
11E 支持部材
11F 切込み
11G 仕切り
12 第2管路
12A 拡大管路
12B 開口部
12C 先端部
13 空気供給装置
14 空気供給管
15 薬剤投入装置
15A 薬剤皿
15B 加振装置
16 覆い管
17 カフバルーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類に投与しようとする薬剤を投入するための拡大管路と、
前記拡大管路の端部に形成され、前記哺乳類の気管に挿入される第1管路と、
前記第1管路と連通し、前記拡大管路とは反対側へ向かう気流を発生させる第2管路と、
を有する経肺薬剤投与器具。
【請求項2】
前記拡大管路と前記第1管路とは同一の軸線上に形成されている請求項1に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項3】
前記拡大管路は外側に向かって徐々に拡径している請求項2に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項4】
前記第2管路の内径は前記第1管路の内径よりも小さい請求項1〜3の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項5】
前記第2管路は、前記第1管路における拡大管路の近傍に接続されている請求項2〜4の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項6】
前記第2管路は、前記拡大管路の内側に配設されている請求項2〜4の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項7】
前記第2管路は、前記第1管路の軸線と前記第2管路の軸線とのなす角度のうち拡大管路側の角度が90度以下となるように配設されている請求項5に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項8】
前記第2管路は、前記第1管路の軸線と前記第2管路の軸線とのなす角度のうち拡大管路側の角度が30〜60度の範囲となるように前記第1管路に接続されている請求項7に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項9】
前記第2管路の先端は、前記第1管路の内側に位置している請求項5、7、または8に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項10】
前記第2管路の先端開口部は、前記第1管路の出口側に向かって屈曲している請求項9に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項11】
前記第1管路の端部には長手方向の切込みが形成されている請求項1〜10の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項12】
前記第1管路の端部の周面に、ドーナツ状であって膨張、収縮可能なカフバルーンが装着されている請求項1〜11の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項13】
前記第1管路の端部には気管に挿入される第3の管路が被せられている請求項1〜12の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項14】
前記第1管路は、前記第2管路の接続部分よりも第1管路の出口側において2つに分割可能とされている請求項1〜11の何れか1項に記載の経肺薬剤投与器具。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の1または複数の経肺薬剤投与器具と、
前記経肺薬剤投与器具の第2管路に接続された空気供給装置と、
前記経肺薬剤投与器具における拡大管路の開口部に投与しようとする薬剤を投入する薬剤投入装置と、
を有する経肺薬剤投与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−239957(P2011−239957A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114759(P2010−114759)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)