説明

経路探索システム及びプログラム

【課題】精度の高い探索を行うことができるようにする。
【解決手段】車両の座席に対する太陽光の照射を回避するための探索モードを設定する探索モード設定処理手段と、出発地から目的地までの道路上における所定の箇所を通過する時刻を推定する通過時刻推定処理手段と、道路について、推定通過時刻に道路を走行したときの、探索モードで設定された座席側における太陽光の照射状態に基づいて、探索コストを算出する探索コスト算出処理手段と、算出された探索コストに基づいて経路を探索する経路決定処理手段とを有する。探索モードで設定された座席側における太陽光の照射状態に基づいて探索コストが算出されるので、探索モードに基づいて精度の高い探索を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、GPS(グローバルポジショニングシステム)によって自車である車両の現在の位置、すなわち、現在地が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部に地図画面が形成され、該地図画面に、現在地を表す自車位置、該自車位置の周辺の地図等が表示されるようになっている。したがって、操作者である運転者は、前記地図画面に表示された自車位置等に従って車両を走行させることができる。
【0003】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、経路探索処理が行われ、前記地図データに基づいて現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示され、探索経路の案内、すなわち、経路案内が行われる。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【0004】
ところで、日差しが強い日中に車両を運転していると、日差しによって無用に日焼けをしたり、体力を消耗したりしてしまう。
【0005】
そこで、目的地までの経路を探索するに当たり、太陽光の照射を避けることができる道路を選択して経路を探索するようにしたナビゲーション装置が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−226199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、その目的が太陽光の照射によって車内の温度が高くなるのを防止することにあるので、仮に、太陽光が、運転者側及び助手席側の少なくとも一方に照射される場合は、その道路を回避するように経路が探索されることになる。
【0007】
したがって、例えば、助手席に乗員がいない場合において、太陽光が、助手席側には照射されるが、運転席側には照射されない場合には、運転者が日焼けをしたり、体力を消耗したりする恐れがないにもかかわらず、その道路を回避するように経路が探索されてしまうので、精度の高い探索を行うことができない。
【0008】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、精度の高い探索を行うことができる経路探索システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の経路探索システムにおいては、車両の座席に対する太陽光の照射を回避するための探索モードを設定する探索モード設定処理手段と、出発地から目的地までの道路上における所定の箇所を通過する時刻を推定し、推定通過時刻とする通過時刻推定処理手段と、前記道路について、前記推定通過時刻に道路を走行したときの、前記探索モードで設定された座席側における太陽光の照射状態に基づいて、探索コストを算出する探索コスト算出処理手段と、算出された探索コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索し、決定する経路決定処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の座席に対する太陽光の照射を回避するための探索モードが設定され、推定通過時刻に道路を走行したときの、探索モードで設定された座席側における太陽光の照射状態に基づいて探索コストが算出されるので、探索モードに基づいて精度の高い探索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、経路探索システムとしてのナビゲーションシステムについて説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【0013】
図において、14は情報端末としての、かつ、車両に搭載された装置である車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、前記ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0014】
前記ナビゲーション装置14は、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、図示されない地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、運転者が音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声出力を行い、各種の情報を運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。また、前記ナビゲーション処理部17には車速を検出する車速検出部としての車速センサ44等が接続される。そして、前記GPSセンサ15は、自車位置及び自車方位のほかに時刻を検出する。なお、GPSセンサ15とは独立させて方位センサを配設し、該方位センサによって自車方位を検出することもできる。
【0015】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、道路上の地物に関する地物データが含まれる。なお、前記地物は、運転者に各種の走行上の情報を提供したり、各種の走行上の案内を行ったりするために道路上に設置、又は形成された表示物であり、表示線、路上標識、横断歩道、マンホール、信号機等から成る。
【0016】
そして、前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって第1の記憶装置としての外部記憶装置が構成される。
【0017】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース等が形成されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース等を形成することもできる。
【0018】
そして、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、第2の記憶装置としての内部記憶装置が構成される。
【0019】
前記操作部34として、表示部35とは独立して配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0020】
前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、自車位置、自車方位等を表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができる。
【0021】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0022】
前記通信部38は、図示されない道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するための図示されないビーコンレシーバ、前記各種の情報をFM放送局を介してFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。そして、通信部38は、前記情報センタ51から、前記地図データ等のデータのほか、交通情報、一般情報等の各種の情報をネットワーク63を介して受信することができる。
【0023】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57、情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータが記録される。
【0024】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、前記データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0025】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0026】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されない現在地読込処理手段は、現在地読込処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車位置及び自車方位を読み込む。次に、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた自車位置の軌跡、及び自車位置の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、車両がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、自車位置を特定する。
【0027】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又はネットワーク63及び通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ51等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。
【0028】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の地図表示処理手段は、地図表示処理を行い、表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に周囲の地図を表示するとともに、自車位置及び自車方位を表示する。
【0029】
したがって、運転者は、前記地図、自車位置及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0030】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することができる。続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【0031】
このようにして目的地及び探索条件が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記自車位置、自車方位、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、自車位置、自車方位、目的地、探索データ等に基づいて、自車位置で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。このとき、経路探索処理においては、各道路リンクごとに付与された探索コスト(リンクコスト)の合計が最も小さい経路が探索経路とされる。なお、出発地を、自車位置に代えて、運転者が設定した所定の地点とし、所定の地点から目的地までの経路を探索することもできる。
【0032】
また、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は、自車位置、自車方位、目的地、探索条件等をネットワーク63を介して情報センタ51に送信する。そして、該情報センタ51が自車位置、自車方位、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、自車位置、自車方位、目的地、探索データ等に基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、経路データを出力する。次に、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをネットワーク63を介してナビゲーション装置14に送信する。
【0033】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の案内表示処理手段は、案内表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに基づいて前記地図画面に探索経路を表示する。
【0034】
なお、例えば、経路案内の対象となる地点である交差点で車両を右左折させる必要がある場合、前記交差点が、車両を進行させる方向の案内を行う対象となる案内交差点として設定され、該案内交差点に車両が到達する前に、音声を出力することによって経路案内が行われるようになっている。
【0035】
また、前記案内処理手段の案内地点拡大図形成処理手段は、案内地点拡大図形成処理を行い、車両が案内交差点に到達する前に、地図画面の所定の領域に案内交差点の拡大図、すなわち、案内地点拡大図としての交差点拡大図を形成し、交差点拡大図による経路案内を行う。そのために、探索経路上の前記案内交差点より手前(自車位置側)の、設定された距離だけ離れた箇所に車両が到達すると、前記交差点拡大図が表示される。この場合、該交差点拡大図に、案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標が表示される。
【0036】
ところで、日差しが強い日中に車両を運転していると、日差しによって無用に日焼けをしたり、体力を消耗したりしてしまう。そこで、本実施の形態においては、太陽光の照射に応じて経路を探索するようにしている。
【0037】
図2は本発明の実施の形態におけるCPUの動作を示すメインフローチャート、図3は本発明の実施の形態における経路探索処理のサブルーチンを示す図、図4は本発明の実施の形態における通過時刻推定処理を説明する図、図5は本発明の実施の形態における通過時刻推定マップを示す図である。
【0038】
まず、運転者が操作部34(図1)を操作して目的地を入力すると、前記目的地設定処理手段は目的地を設定する。
【0039】
ところで、通常の車両において、車体は、座席の上方にルーフ部を備えた構造を有するので、太陽光が車両を照射すると、車内にルーフ部の陰になる箇所が生じ、運転席側だけが照射されたり、助手席側だけが照射されたりすることがある。
【0040】
そこで、本実施の形態においては、車両を走行させるに当たり、運転者は、運転席側及び助手席側への太陽光の照射を回避して車両を走行させる第1の走行方法、運転席側への太陽光の照射を回避して車両を走行させる第2の走行方法、助手席側への太陽光の照射を回避して車両を走行させる第3の走行方法、並びに運転席側及び助手席側への太陽光の照射を回避することなく、通常どおりに車両を走行させる第4の走行方法を選択することができるようになっている。
【0041】
そのために、運転者が、操作部34を操作して、経路を探索するモード、すなわち、探索モードを選択するための指示をCPU31に送ると、CPU31の図示されない探索モード設定処理手段は、探索モード設定処理を行い、表示部35に、運転席側への太陽光の照射を回避するかどうか、及び助手席側への太陽光の照射を回避するかどうかの問合せの表示を行うことによって、運転者が第1〜第4の走行方法のうちのいずれの走行方向を選択したかどうかを判断する。
【0042】
そして、前記探索モード設定処理手段は、運転者が選択した探索モードを設定する。すなわち、前記探索モード設定処理手段は、運転者が第1の走行方法を選択していると判断すると、完全照射回避モードを、運転者が第2の走行方法を選択していると判断すると、運転席側照射回避モードを、運転者が第3の走行方法を選択していると判断すると、助手席側照射回避モードを、運転者が第4の走行方法を選択していると判断すると、通常モードを設定する。
【0043】
続いて、前記経路探索処理手段は、設定された探索モードに従って経路を探索する。
【0044】
次に、経路探索処理手段の動作について説明する。
【0045】
前述されたように、探索モードが設定されると、経路探索処理手段の照射回避条件判定処理手段は、照射回避条件判定処理を行い、自車位置pr及び目的地peを読み込むとともに、設定された探索モードを読み込む。
【0046】
続いて、経路探索処理手段の通過時刻推定処理手段は、通過時刻推定処理を行い、現在の時刻(現在時刻)を読み込み、自車位置prを出発地psとして、出発地psからの距離に応じた通過時刻を推定する。そのために、前記通過時刻推定処理手段は、図4に示されるように、出発地psから目的地peまでの領域を出発地psからの半径を等分割することによって区画して、複数の走行領域Li(i=1、2、…、5)を設定する。
【0047】
次に、通過時刻推定処理手段は、RAM32に設定された、図5に示されるような通過時刻推定マップを参照し、各走行領域Liごとの、車両が走行領域Liを通過する時刻である推定通過時刻を読み込むことによって推定する。なお、該推定通過時刻は、出発地psから各走行領域Liに到達してから、該走行領域Liを退出するまでの時間の実績値から、所定の時刻を選択することによってあらかじめ推定により算出され、前記各走行領域Liと対応させて、現在の時刻からの経過時刻を表すものとして記録される。
【0048】
したがって、図5に示されるように、車両は、走行領域L1を、現在の時刻から0時間30分が経過したときに通過し、走行領域L2を、現在の時刻から1時間00分が経過したときに通過し、走行領域L3を、現在の時刻から1時間30分が経過したときに通過し、走行領域L4を、現在の時刻から2時間00分が経過したときに通過し、走行領域L5を、現在の時刻から2時間30分が経過したときに通過し、目的地peに到達することが推定される。
【0049】
なお、出発地psから移動を開始した後、各走行領域Liを通過する時刻は、季節、曜日、時間等の時間的なパラメータによって異なるので、時間的なパラメータを複数に分けて、複数の通過時刻推定マップをRAM32に設定することができる。したがって、通過時刻推定処理手段は、時間的なパラメータに基づいて、所定の通過時刻推定マップを参照し、推定通過時刻を算出する。
【0050】
また、前記通過時刻推定処理手段は、自車位置pr以外の所定の地点を出発地psとして、出発地psから目的地peまでの領域を出発地psからの半径を等分割することによって区画して、複数の走行領域Liを設定し、出発地psを出発する時刻からの経過時刻を、走行領域Liにおける推定通過時刻として推定することができる。
【0051】
続いて、経路探索処理手段の探索コスト算出処理手段は、探索コスト算出処理を行い、各走行領域Liについて、走行領域Li内の探索の対象となる各道路について、前記推定通過時刻に道路を走行したときの太陽光の照射状態に基づいて、探索コストを算出する。そのために、前記探索コスト算出処理手段の道路照射判定処理手段は、道路照射判定処理を行い、前記走行領域Liにおける推定通過時刻を読み込み、RAM32に設定された太陽光照射マップを参照し、前記道路が、推定通過時刻に太陽光によって照射されるかどうかを判断する。
【0052】
そのために、前記太陽光照射マップには、走行領域Li内の各道路について、終日中の太陽光照射情報が、時間と、照射の有無と、照射方向とを互いに対応させて記録される。なお、照射の有無には、日出時刻から日没時刻までの日照時間内にあるかどうかによる照射の有無のほかに、道路の周囲の環境、例えば、オフィス街等のビル、防音壁、トンネル等による照射の有無が含まれる。
【0053】
なお、通信部38は、道路交通情報センタから送信された一般情報等のうちの天気情報をビーコンレシーバを介して、FM放送局から送信されたFM多重放送の各種の情報のうちの天気情報をFM受信機等を介して受信する。そこで、前記道路照射判定処理手段は、前記天気情報に基づいて、付加的に、前記道路が太陽光によって照射されるかどうかを判断する。例えば、曇り、雨天等の場合、前記道路は太陽光によって照射されないと判断する。
【0054】
続いて、前記探索コスト算出処理手段の座席照射判定処理手段は、座席照射判定処理を行い、探索モードを読み込み、道路照射判定処理手段によって太陽光が照射されると判断された道路について、探索モードで設定された座席側に太陽光が照射されるかどうかを判断する。そして、探索モードで設定された座席側に太陽光が照射される場合、前記探索コスト算出処理手段の探索コスト増加処理手段は、探索コスト増加処理を行い、探索コストを増加させる。
【0055】
なお、探索モードで設定された座席側に太陽光が照射されるかどうかは、該各走行領域Liの前記各道路に沿って車両を走行させたときの、車両を走行させる方向、道路の角度等に基づいて判定される。
【0056】
例えば、完全照射回避モードが設定されている場合、座席照射判定処理手段は、運転席側及び助手席側のうちの少なくとも一方に太陽光が照射されるかどうかを判断し、少なくとも一方に太陽光が照射される場合、探索コスト増加処理手段は、探索コストを増加させる。また、運転席側照射回避モードが設定されている場合、座席照射判定処理手段は、運転席側に太陽光が照射されるかどうかを判断し、運転席側に太陽光が照射される場合、探索コスト増加処理手段は、探索コストを増加させる。そして、助手席側照射回避モードが設定されている場合、座席照射判定処理手段は、助手席側に太陽光が照射されるかどうかを判断し、助手席側に太陽光が照射される場合、探索コスト増加処理手段は、探索コストを増加させる。また、通常モードが設定されている場合、運転席側及び助手席側のいずれに太陽光が照射されても、探索コストを増加させない。
【0057】
なお、前記探索モード設定処理手段は、探索モードを設定するに当たり、ステアリングホイール(ハンドル)が車両の右側にあるかどうかの車両情報を読み込み、ステアリングホイールが車両の右側にある場合、車両の右側を運転席側とし、車両の左側を助手席側とし、ステアリングホイールが車両の左側にある場合、車両の左側を運転席側とし、車両の右側を助手席側とする。
【0058】
そして、前記座席照射判定処理手段は、前記車両情報を読み込み、ステアリングホイールが車両の右側にある場合で、かつ、太陽光が車両の右側を照射する場合、運転席側に太陽光が照射されると判断し、ステアリングホイールが車両の左側にある場合で、かつ、太陽光が車両の左側を照射する場合、運転席側に太陽光が照射されると判断する。
【0059】
このようにして、前記探索コスト算出処理手段は、道路照射判定処理手段及び前記座席照射判定処理手段による判断結果に基づいて、各走行領域Li内の探索の対象となる各道路について、探索コストを算出する。
【0060】
続いて、前記経路探索処理手段の経路決定処理手段は、経路決定処理を行い、各走行領域Li内の探索の対象となる各探索コストに基づいて、出発地psから目的地peまでの経路を探索し、決定する。
【0061】
このように、本実施の形態においては、車両の座席に対する太陽光の照射を回避するための探索モードが設定され、推定通過時刻に道路を走行したときの、前記探索モードで設定された座席側における太陽光の照射状態に基づいて探索コストが算出されるので、例えば、太陽光が、助手席には照射されるが、運転席側には照射されない場合には、運転者が日焼けをしたり、体力を消耗したりする恐れがないので、その道路を回避するように経路が探索されることがなくなる。したがって、探索モードに基づいて精度の高い探索を行うことができる。
【0062】
次に、図2のフローチャートについて説明する。
ステップS1 目的地設定処理を行う。
ステップS2 運転席側への照射を回避するかどうかを判断する。運転席側への照射を回避する場合はステップS3に、回避しない場合はステップS6に進む。
ステップS3 助手席側への照射を回避するかどうかを判断する。助手席側への照射を回避する場合はステップS4に、回避しない場合はステップS5に進む。
ステップS4 完全照射回避モードを設定する。
ステップS5 運転席側照射回避モードを設定する。
ステップS6 助手席側への照射を回避するかどうかを判断する。助手席側への照射を回避する場合はステップS7に、回避しない場合はステップS8に進む。
ステップS7 助手席側照射回避モードを設定する。
ステップS8 通常モードを設定する。
ステップS9 経路探索処理を行い、処理を終了する。
【0063】
次に、図2のステップS9における経路探索処理のサブルーチンについて説明する。
ステップS9−1 自車位置pr及び目的地peを読み込む。
ステップS9−2 探索モードを読み込む。
ステップS9−3 現在時刻を読み込む。
ステップS9−4 自車位置prからの距離に応じた推定通過時刻を推定する。
ステップS9−5 走行領域Li内の道路についてループを開始する。
ステップR1 推定通過時刻に太陽光によって照射される道路であるかどうかを判断する。推定通過時刻に太陽光によって照射される道路である場合はステップR2に、道路でない場合はステップS9−6に進む。
ステップR2 探索モードで設定された座席側に太陽光が照射されるかどうかを判断する。探索モードで設定された座席側に太陽光が照射される場合はステップR3に、照射されない場合はステップS9−6に進む。
ステップR3 探索コストを増加する。
ステップS9−6 ループを終了する。
ステップS9−7 経路を決定し、処理を終了する。
【0064】
本実施の形態において、通過時刻推定処理手段は、図4に示されるような複数の走行領域Liを設定し、該各走行領域Liを車両が通過する時刻を推定するようになっているが、出発地から目的地までの道路上の所定の箇所を車両が通過する時刻を推定することもできる。
【0065】
その場合、前記CPU31の図示されない候補経路探索処理手段は、候補経路処理を行い、出発地から目的地までの経路を複数個探索し、各経路を候補経路とする。続いて、前記探索コスト算出処理手段は、各候補経路ごとに、太陽光の照射状態に基づいて探索コストを算出する。そして、前記経路決定処理手段は、各候補経路のうちの探索コストが最も低い候補経路を探索経路として決定する。
【0066】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるCPUの動作を示すメインフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における経路探索処理のサブルーチンを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における通過時刻推定処理を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態における通過時刻推定マップを示す図である。
【符号の説明】
【0068】
14 ナビゲーション装置
31、54 CPU
51 情報センタ
53 サーバ
63 ネットワーク
17 ナビゲーション処理部
Li、L1〜L5 走行領域
pe 目的地
pr 自車位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席に対する太陽光の照射を回避するための探索モードを設定する探索モード設定処理手段と、出発地から目的地までの道路上における所定の箇所を通過する時刻を推定し、推定通過時刻とする通過時刻推定処理手段と、前記道路について、前記推定通過時刻に道路を走行したときの、前記探索モードで設定された座席側における太陽光の照射状態に基づいて、探索コストを算出する探索コスト算出処理手段と、算出された探索コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索し、決定する経路決定処理手段とを有することを特徴とする経路探索システム。
【請求項2】
前記通過時刻推定処理手段は、出発地から目的地までの領域を区画して複数の走行領域を設定し、車両が各走行領域を通過する時刻を推定し、前記探索コスト算出処理手段は、前記各走行領域内の道路について探索コストを算出する請求項1に記載の経路探索システム。
【請求項3】
前記探索コスト算出処理手段は、前記道路が推定通過時刻に太陽光によって照射されるかどうかを判断し、前記道路が推定通過時刻に太陽光によって照射される場合に、探索モードで設定された座席側に太陽光が照射されるかどうかを判断し、判断結果に基づいて探索コストを算出する請求項1又は2に記載の経路探索システム。
【請求項4】
前記探索モード設定処理手段は、運転席側への太陽光の照射を回避するかどうか、及び助手席側への太陽光の照射を回避するかどうかに基づいて、探索モードを設定する請求項1又は2に記載の経路探索システム。
【請求項5】
コンピュータを、車両の座席に対する太陽光の照射を回避するための探索モードを設定する探索モード設定処理手段、出発地から目的地までの道路上における所定の箇所を通過する時刻を推定し、推定通過時刻とする通過時刻推定処理手段、前記道路について、前記推定通過時刻に道路を走行したときの、前記探索モードで設定された座席側における太陽光の照射状態に基づいて、探索コストを算出する探索コスト算出処理手段、及び算出された探索コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索し、決定する経路決定処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−97881(P2009−97881A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266882(P2007−266882)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】