説明

経路探索方法、ナビゲーション装置及びコンピュータプログラム

【課題】走行難易度を考慮した経路の優先順位を、ドライバに提示することが可能な経路探索方法を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、複数の候補となる経路を探索する。イベント情報テーブル31には、道路走行時におけるイベントに対応付けて、走行難易度に応じた点数が記憶されている。ナビゲーション装置1は探索された各経路に含まれるイベントを抽出し、イベント情報テーブル31から、抽出したイベントに対応する点数を算出する。そして、算出した点数に基づいて、探索した候補となる経路の優先順位を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を探索する経路探索方法、ナビゲーション装置及び該ナビゲーション装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、移動体に積載され、地球の周りを周回する複数の衛星から発せられる電波に基づき、移動体の現在位置を特定する機能を持つ。そして、この移動体の現在位置を特定する機能を利用して、移動体の現在位置から、目的地までの経路を探索する。この経路を探索する場合、従来のナビゲーション装置は、目的地までの距離を算出し、この距離が近い経路を算出している。その他に、VICS(道路交通情報通信システム:Vehicle Information & Communication System)またはATIS(交通情報サービス:Advanced Traffic Information Service)等から取得される交通情報を加味して、目的地までの到達予想時間を算出し、到達予想時間の早い経路を探索し、これをディスプレイに表示していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなナビゲーション装置においては、ドライバの好みを反映させるべく、高速道路または一般道路の別を入力させて、いずれかを優先させて経路を探索させている。さらに、複数の候補となる経路を探索後、過去の走行履歴に応じて探索した経路の優先順位を適宜変更させる技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−304561号公報
【特許文献2】特開2004−317428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置は、目的地への到達予想時間、目的地までの距離、または有料道路の有無等により複数の候補となる経路がドライバに提示されるものの、これらの経路が必ずしもドライバにとって最適なものとはいえないことが多かった。すなわちドライバによっては、運転技術が未熟な初心者または運転が好きではないが、必要に迫られて運転を行うドライバも多数存在する。このようなドライバにとって現状の時間または距離優先の経路では、運転時に大きな負担を与えるという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、探索された各経路に含まれる道路走行時におけるイベントを抽出し、イベントに対応する走行難易度に応じた点数を算出することにより、走行難易度を考慮した経路の優先順位を、ドライバに提示することが可能な経路探索方法、ナビゲーション装置及び該ナビゲーション装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、走行難易度に応じた点数及び到達予想時間に基づく点数の合計点数により、優先順位を決定することにより、これら双方の条件に合致する最適な経路をドライバに提供することが可能なナビゲーション装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、算出した合計点数を表示することにより、ドライバが走行難易度を容易に把握することが可能なナビゲーション装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、イベント情報テーブルに記憶したイベントに対応する点数の変更情報を受け付けることにより、ドライバのスキルに応じた点数の算出が可能なナビゲーション装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、算出した走行難易度に応じた点数または到達予想時間に対する重みを受け付け、この重みに基づいて候補となる経路の優先順位を決定することにより、ドライバの好みに応じて最適な優先順位を探索することが可能なナビゲーション装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、時刻または天候情報を取得し、この情報に応じて、イベントに対応付けられる点数を補正することにより、優先順位を時刻または天候に応じてきめ細かく補正することが可能なナビゲーション装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、時刻または天候情報を取得し、この情報に応じて、重みを補正することにより、優先順位を時刻または天候に応じてきめ細かく補正することが可能なナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る経路探索方法は、経路を探索するナビゲーション装置で実行される経路探索方法において、複数の候補となる経路を探索する経路探索ステップと、該経路探索ステップにより探索された各経路に含まれる道路走行時におけるイベントを抽出する抽出ステップと、道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数を記憶したイベント情報テーブルに基づき、前記抽出ステップにより抽出したイベントに対応する点数を算出する算出ステップと、該算出ステップにより算出した点数に基づいて、前記経路探索ステップにより探索した候補となる経路の優先順位を決定する優先順位決定ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るナビゲーション装置は、経路を探索するナビゲーション装置において、複数の候補となる経路を探索する経路探索手段と、道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数を記憶したイベント情報テーブルと、前記経路探索手段により探索された各経路に含まれるイベントを抽出する抽出手段と、前記イベント情報テーブルに基づき、前記抽出手段により抽出したイベントに対応する点数を算出する算出手段と、該算出手段により算出した点数に基づいて、前記経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定する優先順位決定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るナビゲーション装置は、前記経路探索手段は、到達予想時間に基づき複数の候補を算出するよう構成してあり、前記経路探索手段により探索した複数の候補の到達予想時間に基づき、点数を算出する補助算出手段をさらに備え、前記優先順位決定手段は、前記算出手段及び前記補助算出手段により算出した点数に基づいて、前記経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定するよう構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るナビゲーション装置は、前記算出手段及び補助算出手段により算出した点数の合計点数を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るナビゲーション装置は、前記イベント情報テーブルに記憶したイベントに対応する点数の変更情報を受け付ける受け付け手段をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るナビゲーション装置は、前記算出手段及び補助算出手段により算出した各点数に対する重みを受け付ける重み受け付け手段をさらに備え、前記優先順位決定手段は、前記算出手段及び前記補助算出手段により算出した点数及び前記重み受け付け手段により受け付けた重みに基づいて、前記経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定するよう構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るナビゲーション装置は、時刻または天候情報を取得する取得手段と、該取得手段により取得した時刻または天候情報に応じて、前記イベント情報テーブルのイベントに対応付けられる点数を補正する補正手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るナビゲーション装置は、時刻または天候情報を取得する取得手段と、該取得手段により取得した時刻または天候情報に応じて、前記重み受け付け手段により受け付けた重みを補正する補正手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るコンピュータプログラムは、経路を探索するコンピュータで実行されるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、複数の候補となる経路を探索する経路探索ステップと、該経路探索ステップにより探索された各経路に含まれる道路走行時におけるイベントを抽出する抽出ステップと、道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数を記憶したイベント情報テーブルに基づき、前記抽出ステップにより抽出したイベントに対応する点数を算出する算出ステップと、該算出ステップにより算出した点数に基づいて、前記経路探索ステップにより探索した候補となる経路の優先順位を決定する優先順位決定ステップとを実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、経路探索手段により、複数の候補となる経路を探索する。イベント情報テーブルには、道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数が記憶されている。抽出手段は、経路探索手段により探索された各経路に含まれるイベントを抽出する。イベント情報テーブルから、抽出手段により抽出したイベントに対応する点数を算出する。そして、算出した点数に基づいて、経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定するので、走行難易度に応じた経路が優先的にドライバに提供される。
【0022】
本発明にあっては、経路探索手段は、到達予想時間に基づき複数の候補を算出する。補助算出手段においては、探索した複数の候補の到達予想時間に基づき、点数を算出する。そして、優先順位を決定する場合、算出手段及び補助算出手段により算出した点数に基づいて、経路の優先順位を決定するので、到達予想時間及び走行難易度の双方を加味した経路をドライバに提示することが可能となる。
【0023】
本発明にあっては、算出手段及び補助算出手段により算出した点数の合計点数を表示するので、ドライバは各経路の優先度を客観的に把握することが可能となる。
【0024】
本発明にあっては、イベント情報テーブルに記憶したイベントに対応する点数の変更情報を受け付けるので、ドライバは容易に走行難易度に応じた点数を変更することが可能となる。
【0025】
本発明にあっては、算出手段及び補助算出手段により算出した各点数に対する重みを受け付ける。そして、算出手段及び前記補助算出手段により算出した点数及び受け付けた重みに基づいて、経路の優先順位を決定するので、走行難易度を優先するか時間を優先するか、ドライバの好みを反映させた最適な経路を提示することが可能となる。
【0026】
本発明にあっては、時刻または天候情報を取得し、取得した時刻または天候情報に応じて、イベント情報テーブルのイベントに対応付けられる点数を補正するので、周囲の環境及びドライバのスキルに応じて、より好ましい経路を提示することが可能となる。
【0027】
本発明にあっては、時刻または天候情報を取得し、取得した時刻または天候情報に応じて、受け付けた重みを補正するので、周囲の環境に応じて、走行難易度または時間のいずれかが優先され、より好ましい経路を提示することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にあっては、経路探索手段により、複数の候補となる経路を探索し、イベント情報テーブルから、抽出したイベントに対応する点数を算出する。そして、算出した点数に基づいて、経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定するので、走行難易度に応じた経路が優先的にドライバに提供される。従って、運転が未熟な初心者等にとって好ましい経路が表示され、より運転負担及び心理負担の少ない経路を推奨することが可能となる。
【0029】
本発明にあっては、探索した複数の候補の到達予想時間に基づき、点数を算出する。そして、優先順位を決定する場合、算出手段及び補助算出手段により算出した点数に基づいて、経路の優先順位を決定するので、到達予想時間及び走行難易度の双方を加味した経路をドライバに提示することが可能となる。
【0030】
本発明にあっては、算出手段及び補助算出手段により算出した点数の合計点数を表示するので、ドライバは各経路の優先度を定量的に把握することが可能となる。特に優先順位が少ししか変わらない場合でも、点数差が大きい場合には、ドライバは点数が高くまた優先順位の高い経路を積極的に選択でき、走行が難しい経路を容易に回避することが可能となる。
【0031】
本発明にあっては、イベント情報テーブルに記憶したイベントに対応する点数の変更情報を受け付けるので、ドライバは容易に走行難易度に応じた点数を変更することが可能となる。その結果ドライバのスキルに応じて最適な経路を提示することが可能となる。
【0032】
本発明にあっては、算出手段及び補助算出手段により算出した各点数に対する重みを受け付ける。そして、算出手段及び前記補助算出手段により算出した点数及び受け付けた重みに基づいて、経路の優先順位を決定するので、走行難易度を優先するか時間を優先するか、ドライバの好みを反映させた最適な経路を提示することが可能となる。
【0033】
本発明にあっては、時刻または天候情報を取得し、取得した時刻または天候情報に応じて、イベント情報テーブルのイベントに対応付けられる点数を補正するので、周囲の環境及びドライバのスキルに応じて、より好ましい経路を提示することが可能となる。
【0034】
本発明にあっては、時刻または天候情報を取得し、取得した時刻または天候情報に応じて、受け付けた重みを補正するので、周囲の環境に応じて、走行難易度または時間のいずれかが優先され、より好ましい経路を提示することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
実施の形態1
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、GPS受信機10、自立航法用センサ11、VICS・FM多重レシーバ12、操作パネル20、音声入力部21、リモコン22、入力インターフェース23、地図データ等を記憶する記憶装置30、イベント情報テーブル31、音声出力部40、スピーカ41、表示制御部50、ディスプレイ51、プログラムメモリ60、データメモリ70、および各部を制御する制御部80を含んで構成される。
【0036】
GPS受信機10は、人工衛星(GPS衛星)からの電波を受信し車両の現在位置と現在方位を測定する。測定された位置情報は、車両の緯度、経度、および標高についてのデータを含む。自立航法用センサ11は、車両の移動距離を検出する車速センサや車両の回転角度を検出する角度センサを含む。GPS受信機10および自立航法用センサ11の出力信号は、制御部80に供給され、制御部80はこれらの出力信号に基づき車両の現在位置および方位を算出する。
【0037】
VICS・FM多重レシーバ12は、アンテナ13を介して車両外部の現在の道路交通情報を逐次受信する。VICSは、道路交通情報をリアルタイムで提供するもので、FM多重(文字放送)、電波ビーコン、光ビーコンにより情報を送信する。
【0038】
操作パネル20、音声入力部21およびリモコン22は、ナビゲーション装置1の入力部を構成する。ユーザーは、これらの入力部を介してナビゲーション装置1に対して目的地の検索、目的地までの経路の探索、ディスプレイ画面の設定変更等の各種の指示や設定を与える。操作パネル20は、例えば、ディスプレイ51の下部に設けられた複数の操作キー52を用いることができる。音声入力部21は、図示されない音声入力マイクからユーザーの音声入力を入力インターフェース23へ伝達し、ここで音声アナログ信号をデジタル信号に変換する。リモコン22は複数の入力キーを含み、ユーザーが入力キーを操作したとき、その入力操作を、無線を介して入力インターフェース23へ伝達する。入力インターフェース23は、操作パネル20、音声入力部21、リモコン22に接続され、ユーザーにより入力された入力情報を制御部80に伝える。
【0039】
記憶装置30は、ハードディスクドライブ(HDD)、DVD、CD−ROM等の記録媒体であって、ナビゲーション装置1に必要とされる地図データ、住所、電話、施設等のデータベース等を記憶する。地図データには、地図上に施設等を描画するための描画データ、道路データ等が含まれ、道路データには、リンク情報とリンクに接続されるノード情報が含まれる。リンク情報には、リンクの位置情報を初めとする道幅、距離、道路種別等の情報が含まれる。ノード情報には、交差点の位置、種別、交差点のレーン情報等が含まれる。また、記憶装置30は、ナビゲーション装置1の各種の機能を実行させるためのプログラムを記憶することができ、ナビゲーション装置1がオーディオ機能を有する場合には、楽曲データを記憶する。
【0040】
イベント情報テーブル31は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD、CD−ROM等の記録媒体から構成され、道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数を記憶している。図2はイベント情報テーブル31のレコードレイアウトを示す説明図である。イベント情報テーブル31はイベントフィールド及び点数フィールドを含んで構成される。イベントフィールドには、道路走行時に遭遇するイベントが記憶されている。このイベントは例えば、VICS・FM多重レシーバ12から得られる渋滞、信号、複数車線、一車線、右折、路地、一方通行、道路工事または事故等の情報が記憶されている。
【0041】
点数フィールドには、イベントに対応付けて走行難易度を示す点数が記憶されている。これはドライバが運転中に渋滞または右折等のイベントに遭遇した場合に、道路の走行が難しくなるにつれ高い点数が記憶されている。例えば、複数の候補となる一の経路に「大渋滞」が存在する場合、走行難易度は5点となる。一方、大渋滞より渋滞の程度が低い「渋滞」が存在する場合、走行難易度は3点となる。これらの情報は予め初期値が設定されているが、操作パネル20から点数の変更情報を受け付け適宜変更することが可能である。なお、本実施の形態においてはイベント情報テーブル31を独立して設けているが、記憶装置30内の一領域に記憶するようにしても良い。
【0042】
図3は点数の変更情報を受け付ける際のイメージを示す説明図である。ドライバは操作パネル20を操作することにより図3に示す点数を変更する画面を表示させる。制御部80は操作パネル20から入力された要求に応じて、図3に示す画面を記憶装置30及びイベント情報テーブル31から読み出して表示する。図3に示すように各イベントに並列して点数及び点数を増減させるための増加ボタン513及び減少ボタン514が表示される。なお、制御部80はイベント情報テーブル31のイベントフィールドのイベント及びこれに対応する点数を読み出してディスプレイ51へ表示する。
【0043】
ドライバは操作パネル20から増加ボタン513または減少ボタン514を操作して変更情報を入力する。例えば、渋滞の点数を「+1」と変更でき、またドライバによっては単車線よりも複数車線の運転が容易と考えるので、その場合負の値である点数「−1」を設定する。制御部80はこの増加または減少を示す変更情報を操作パネル20から受け付け、ディスプレイ51に表示する点数を変更する。制御部80は変更後の点数をイベントに対応づけてイベント情報テーブル31に記憶する。なお、ドライバはイベントに対応する点数を予め記憶された初期値に戻したい場合は、初期値に戻すボタン511を操作する。制御部80は操作パネル20から初期値に戻すボタン511の入力を受け付けた場合、イベント情報テーブル31に予め記憶された初期値に各イベントの点数を変更する。
【0044】
図1において、通信制御部310は、無線によりデータの送受信を行う。通信制御部310は、データの送受信を行う通信装置をナビゲーション装置1に内蔵するものであってもよいし、携帯電話機や通信機能を有する電子装置をナビゲーション装置1に外付けするものであってもよい。通信制御部310は、外部のサーバー等とネットワークを介して通信を行い、例えばATIS等の交通情報センターと、道路交通情報に関するデータの送受を行うことで、リアルタイムの動的な情報を逐次得ることができる。さらに、所定のサーバーから、最新の道路、地図データ、施設データ、最新の楽曲データをダウンロードし、記憶装置30の内容を更新することができる。また、通信制御部310は、携帯電話機などに対して、ナビゲーション装置1が保有している施設、レストランなどの娯楽情報や道路交通情報を与えることも可能である。
【0045】
音声出力部40はスピーカ41を含み、制御部80の制御によりスピーカ41から音声を出力させる。例えば、目的地に到達するまでの情報として交差点の手前で進路方向の注意を促す音声を出力、あるいは、ユーザーがナビゲーション装置1に対して対話形式により入力を行うときに、ユーザーに操作入力の音声指示を出力する。さらに、音声出力部40は、ナビゲーション装置1がオーディオ機能を実行するとき、楽曲を出力する。
【0046】
表示制御部50は、ディスプレイ51に接続され、制御部80の制御下において、記憶装置30またはデータメモリ70から読み出されたデータに基づき、ディスプレイ51に地図を表示、あるいは地図上に、車両の現在位置を示す車両マーク、目的地までのルート、交差点等の分岐点での案内表示および施設のランドマーク等を合成させる。さらに、ユーザーによって操作パネル20等から入力された指示や操作に関する情報が地図上にあるいはそれとは別の画面上に表示される。表示制御部50は、好ましくはFIFO等のVRAMを含み、記憶装置30やデータメモリ70から読み出された地図、道路、案内表示に関するデータをVRAMに記憶し、VRAMから読み出された地図データに各種データを合成させる。ディスプレイ51は、例えば、液晶やプラズマを用いた横長のワイド画面であり、表示制御部50の制御下において、2画面表示をすることも可能である。
【0047】
プログラムメモリ60は、ナビゲーション装置1において実行される各種プログラムを記憶し、これらのプログラムは制御部80によって実行される。プログラムメモリ60は、例えば書き換え可能なRAMを用いて構成され、記憶装置30に記憶されたプログラムを読み出すようにしても良い。あるいは、予めプログラムを記憶したROMを用いることもできる。プログラムの内容は、例えば、目的地までの経路を探索するプログラム、ディスプレイ51上に表示される地図の設定・変更を行うプログラム等を含む。さらに、本発明では、探索プログラムによって目的地までの複数の経路が探索されたとき、算出した点数に基づき、複数の探索経路を表示させるときの優先順位を決定する優先順位決定プログラム等を含む。これらプログラムの動作については後に詳述する。
【0048】
データメモリ70は、制御部80によって処理された各種演算の処理結果や記憶装置30から読み出された地図のデータ等を記憶する。さらに、データメモリ70は、制御部80により目的地までの経路の探索処理が行われたとき、その探索された誘導経路データ、VICS・FM多重レシーバ12から受信した道路交通情報を記憶する。データメモリ70は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ等を用いることができる。ナビゲーション装置1の使用後に、データメモリ70の内容を記憶装置30に転送するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1に装着可能な外部メモリ76をデータメモリ70と併用するものであってもよい。
【0049】
次に、経路の検索及び点数の算出処理について説明する。以下では、ナビゲーション装置1を搭載する車両の近傍に存在する複数の目的地となる施設(例えばコンビニエンスストア、ガソリンスタンド等)から、複数の候補となる施設への経路を探索し、これらの候補となる経路から、点数に基づき優先順位を決定する処理について説明する。なお、各処理はこの例に限るものではなく、一の目的地に対する複数の候補となる経路を探索し、これらの候補から点数に基づき優先順位を決定する場合にも同様に適用しても良いことはもちろんである。
【0050】
図4は点数算出処理のイメージを示す説明図である。まず制御部80はデータメモリ70に記憶した地図データ及びGPS受信機10から得られる車両65の位置情報に基づき、候補となる複数の施設61、62、63・・・を抽出する。これは、例えば車両65から半径10km以内に存在する施設を、100個を上限として地図データを参照して抽出する。なお、100個以上の施設が存在する場合は、制御部80は車両65と施設61、62、63・・・との直線距離Lが短いものを優先して100個の施設を抽出する。
【0051】
続いて、制御部80は車両65と施設61との間の経路探索を行う。これは車両65と施設61との間の走行距離が最小となる経路、または到達予想時刻が最も早くなる経路を探索すれば良く、この探索手順は公知の手法を用いればよい。図4の例においては、車両65と施設61との間の経路は、到達予想時間が最も早い経路61Rが探索されている。同様に、車両65と施設62との間の経路は、到達予想時間が最も早い経路62Rが探索され、車両65と施設63との間の経路は、到達予想時間が最も早い経路63Rが探索される。このように走行距離または到達予想時間に基づき複数の候補となる経路61R、62R、63R・・・が探索される。なお、目的地が一つの場合、車両から目的地までの走行距離順に候補となる複数の経路が探索され、または到達予想時間が早い順に複数の候補となる経路が探索される。
【0052】
制御部80は到達予想時間が早い順に点数を算出する(補助算出手段)。これは例えば100ある施設から到達予想時間が早いものに100点を付与し、以降順位が下がるにつれ1点ずつ減算し、到達予想時間が早いほど得点が高くなるよう設定する。この場合、到達予想時間の最も早い経路63Rが100点、次に到達予想時間の早い経路61Rが99点、さらに到達予想時間が次いで早い経路62Rが98点となる。なお、この決定した点数は施設に対応付けてデータメモリ70に逐次記憶される。その他、各施設に対する到達予想時間の差分(例えば5分)を算出し、最も早い到達予想時間に100点を付与し、この100点からこの差分に対応する点数(例えば5点)を減算するようにしても良い。
【0053】
続いて、制御部80は各経路に存在するイベントを抽出する。制御部80は、データメモリ70内の地図データを参照して、走行経路内のイベント、例えば渋滞、信号、複数車線、右折、路地を抽出し、抽出するたびに各イベントのカウンタをインクリメントする。例えば、経路61Rにおいては、車両65が施設61へ到達するまでに、信号が3つ、複数車線が1つ、右折が1回、路地が1カ所、渋滞はないと、データメモリ70の地図データ及びVICS・FM多重レシーバ12からの渋滞情報をもとに抽出する。
【0054】
制御部80はこの抽出結果に応じて、イベント情報テーブル31を参照して点数を算出する。制御部80はイベントに対応する点数をイベント情報テーブル31から読み出し、抽出数、すなわち当該イベントの数を乗じて点数を算出する。経路61Rにおいては、信号(1点×3)+複数車線(2点×1)+右折(1点×2)+路地(2点×1)で合計の走行難易度は9点となる。そして、最も高得点を100点とした場合、この走行難易度9点を減じて、最終的に点数91点を得る。制御部80は各経路の点数をデータメモリ70に逐次記憶する。なお、本実施の形態における点数の設定はあくまで一例であり負の値を付与するなど自由な値を設定すればよい。
【0055】
そして、この走行難易度に基づき算出された点数91点と、経路61Rの到達予想時間に基づき算出(補助算出)された点数99点とをデータメモリ70から読み出し加算することにより合計点数190点を算出する。この合計点数は経路に対応付けてデータメモリ70に記憶する。同様に制御部80は、他の経路62R、63R・・・についても合計点数を算出しデータメモリ70に記憶する。制御部80はデータメモリ70に記憶した合計点数を高い経路順にソートし、各経路に優先順位を付与する。制御部80は合計点数の高いものから順に優先順位1,2,3・・・を付与する。
【0056】
図5は優先順位に従う経路探索の結果を示すイメージ図である。制御部80はデータメモリ70に記憶した優先順位に係る経路に対応する施設名及び点数を図5の如くディスプレイ51へ表示する。優先順位は、合計点数の高いものから順に付与されており、これに対応させて、施設名及び点数が表示されている。ドライバはこのようにして優先順位が示された一の施設を、操作パネル20を介して選択する。制御部80はこの選択を受け付け、データメモリ70から地図データを読み出し経路をディスプレイ51に表示する。またディスプレイ51には優先順位を決定する根拠となる点数もあわせて表示される。
【0057】
例えば、優先順位1位の施設61は、点数が190点と表示される。また施設63も185点と高得点が表示されている。これらに対し、優先順位3位以降の施設68及び66は点数が大幅に低い150点以下となっている。このように点数を経路に対応付けて表示することで、各経路がどれだけ走行が安易か定量的に把握することができ、ドライバも安心して一つの経路を選択することが可能となる。ここでドライバは一の施設に係る経路を操作パネル20から選択した場合、制御部80は当該施設に対応する経路及び到達予想時間をデータメモリ70内から読み出してディスプレイ51へ表示する。なお、以下では施設及び経路に係る符号の記載は省略する。
【0058】
図6は経路を探索する際の処理手順を示すフローチャートである。ドライバは操作パネル20から目的となる施設名を入力または選択する。制御部80は操作パネル20から入力された施設名の入力を受け付ける(ステップS61)。制御部80はデータメモリ70に記憶した地図データ及びGPS受信機10から得られる車両65の位置情報に基づき、車両65から所定距離内に存在する複数の候補となる施設を抽出する(ステップS62)。制御部80は抽出した候補となる施設をデータメモリ70に記憶する。
【0059】
制御部80は車両65から一の施設までの経路を複数探索する(ステップS63)。具体的には、制御部80は、GPS受信機10から車両65の位置情報を取得し、また地図データをデータメモリ70から読み出す。そしてプログラムメモリ60にロードされた公知の経路探索プログラムに従い、ダイクストラ法等を用いて経路を探索する。次いで、制御部80は探索した経路を、道路幅、信号数、及び渋滞状況等を考慮して車両65が走行した場合に予想される到達予想時間を算出する。制御部80は、算出した各経路の到達予想時間の最も早い一の経路を抽出する(ステップS64)。制御部80は施設に対応付けて抽出した到達予想時間をデータメモリ70に記憶する(ステップS65)。
【0060】
制御部80は、ステップS62で抽出した全ての施設の到達予想時間を記憶したか否かを、データメモリ70を参照して判断する(ステップS66)。制御部80は全ての施設の到達予想時間を記憶していないと判断した場合(ステップS66でNO)、ステップS63へ移行し、他の施設に対する到達予想時間を算出する処理を行う。一方、制御部80は全ての施設の到達予想時間を記憶したと判断した場合(ステップS66でYES)、一連の処理を終了する。これにより、候補となる複数の施設に対する経路を取得することができる。
【0061】
図7は走行難易度に基づく点数算出処理の手順を示すフローチャートである。制御部80は、データメモリ70から地図データ及びVICS・FM多重レシーバ12から出力される交通情報に基づき、車両65から施設までの経路に存在するイベントを抽出する(ステップS71)。具体的には制御部80は、イベント情報テーブル31のイベントフィールドに記憶した各イベントを基に、経路内に存在するイベント(渋滞または信号等)を抽出する。制御部80は抽出したイベントのイベント数をカウントする(ステップS72)。
【0062】
制御部80は抽出したイベントに対応する点数をイベント情報テーブル31から読み出す(ステップS73)。制御部80は読み出したイベントの点数に抽出したイベント数を乗じ、これらの総和をとることにより走行難易度に基づく点数を算出する(ステップS74)。制御部80は、施設に対応付けて走行難易度に基づく点数をデータメモリ70に記憶する(ステップS75)。制御部80は全ての施設に対する走行難易度に基づく点数を記憶したか否かを判断する(ステップS76)。制御部80は全ての施設に対する走行難易度に基づく点数を記憶していないと判断した場合(ステップS76でNO)、ステップS71へ移行し、他の施設の走行難易度に基づく点数算出処理を行う。一方、制御部80は、全ての施設に対する走行難易度に基づく点数を記憶したと判断した場合(ステップS76でYES)、一連の処理を終了する。
【0063】
図8は到達予想時間に基づく点数算出処理の手順を示すフローチャートである。制御部80はデータメモリ70からステップS65において記憶した各施設への到達予想時間を読み出す(ステップS81)。制御部80は施設に対して到達予想時間の早いもの順に並び替えを行う(ステップS82)。そして、制御部80は到達予想時間が早い順に高得点を付与する(ステップS83)。これは例えば到達予想時間が早いものに100点を付与し、以降順位が下がるにつれ1点ずつ減算し、到達予想時間が早いほど得点が高くなるよう設定する。最後に制御部80は各施設に対応付けて到達予想時間に基づく点数をデータメモリ70に記憶する(ステップS84)。
【0064】
図9は優先順位決定処理の手順を示すフローチャートである。制御部80はステップS84において記憶した各施設への経路を走行した場合の到達予想時間に基づく点数をデータメモリ70から読み出す(ステップS91)。同様に、制御部80はステップS75で記憶した各施設への経路を走行した場合の走行難易度に基づく点数を読み出す(ステップS92)。制御部80は各施設への経路を走行した場合の到達予想時間に基づく点数を走行難易度に基づく点数に加算して(ステップS93)、合計点数を算出する。
【0065】
制御部80は各施設に対する合計点数順に優先順位を付与する(ステップS94)。そして制御部80はディスプレイ51へ優先順位、当該優先順位に係る経路に対応する施設名、点数を合計点数順に表示する(ステップS95)。
【0066】
実施の形態2
実施の形態2は到達予想時間に基づく点数及び走行難易度に基づく点数に重みを設定する形態に関する。図10は実施の形態2に係るナビゲーション装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。実施の形態1の構成に加えて、到達予想時間に基づく点数及び走行難易度に基づく点数のそれぞれに付与される重みを記憶した重み記憶部311が制御部80に接続されている。
【0067】
図11は重みを受け付ける際のイメージを示す説明図である。制御部80は図11に示す画面データを記憶装置30から読み出しディスプレイ51へ表示する。図11に示すように、走行難易度の重み及び到達予想時間に基づく重みがそれぞれ表示される。なお、この重みは制御部80が重み記憶部311に、走行難易度または到達予想時間に対応付けて記憶された重みを読み出して表示している。なお、重みの初期設定値は、走行難易度及び到達予想時間が均等に評価されるよう、共に1.0と記憶されている。
【0068】
ドライバは、走行難易度または到達予想時間のいずれかを優先させたい場合は、操作パネル20から、ディスプレイ51に表示される増加ボタン513または減少ボタン514を操作して変更情報を入力し、重みを増減させる。図の例では走行難易度を優先させるべく、重みを「1.0」と設定し、到達予想時間の重みを「0.5」としている。この重みは「0」〜「1.0」の値をとることができ、いずれか一方のみの点数を活用する場合は、他方の重みを「0」とする。制御部80は操作パネル20から入力された重みを受け付け、この受け付けた重みを重み記憶部311に記憶する。そして制御部80は、重み記憶部311に記憶した走行難易度に対応する重みと点数とを乗算する。同様に制御部80は重み記憶部311に記憶した到達予想時間に対応する重みと点数とを乗算する。そして乗算後の双方の点数を加算して合計点数を算出する。
【0069】
図12は重み処理に基づく優先順位決定処理の手順を示すフローチャートである。制御部80は図11に示す画面データを記憶装置30から読み出しディスプレイ51へ表示する(ステップS121)。走行難易度に基づく重み及び到達予想時間に基づく重みは、重み記憶部311に走行難易度または到達予想時間に対応付けて記憶された重みを、制御部80が読み出すことにより表示している。ドライバは、走行難易度または到達予想時間のいずれかを優先させたい場合は、操作パネル20から、ディスプレイ51に表示される増加ボタン513または減少ボタン514を操作して重みを増減させる。
【0070】
制御部80は操作パネル20から入力された重みを受け付け(ステップS122)、この受け付けた重みを重み記憶部311に記憶する(ステップS123)。以上の処理により重みの設定処理が終了する。その後、経路の探索が行われ、ステップS84の処理により、到達予想時間に基づく各施設の点数が記憶され、またステップS75の処理により走行難易度に基づく各施設の点数が記憶される。
【0071】
次に、重み付け付与処理へ移行する。制御部80はステップS84により記憶した各施設の到達予想時間に基づく点数をデータメモリ70から読み出す(ステップS124)。そして制御部80は、ステップS123で記憶した到達予想時間に基づく重みを、重み記憶部311から読み出し、読み出した重みを到達予想時間に基づく点数に乗じて、各施設の到達予想時間に基づく点数を算出する(ステップS125)。同様に、制御部80はステップS75により記憶した各施設の走行難易度に基づく点数をデータメモリ70から読み出す(ステップS126)。そして制御部80は、ステップS123で記憶した走行難易度に基づく重みを、重み記憶部311から読み出し、読み出した重みを走行難易度に基づく点数に乗じて、各施設の走行難易度に基づく点数を算出する(ステップS127)。
【0072】
制御部80は、到達予想時間に基づく点数を走行難易度に基づく点数に加算して(ステップS128)、合計点数を算出する。制御部80は重みが考慮された各施設に対する合計点数順に優先順位を付与する(ステップS129)。そして制御部80はディスプレイ51へ重みが考慮された優先順位、優先順位に係る経路に対応する施設名、及び点数を合計点数順に表示する(ステップS1210)。これにより、ドライバにより時間を優先するか、あるいは走行が容易な経路を優先するか、そのスキルに応じて好ましい経路を選択することが可能となる。特に初心者に対しては、到達予想時間に係る重みを0とすることにより、到達予想時間に基づく点数に0が乗じられ、走行難易度のみが考慮された経路を提案することが可能となる。一方、上級者に対しては、逆に走行難易度に係る重みを0とすることにより、到達予想時間のみが考慮された経路を提案することが可能となる。
【0073】
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0074】
実施の形態3
実施の形態3は車両65の周囲の環境に応じてイベント情報テーブル31に記憶した点数、または重み記憶部311に記憶した重みを適宜補正する形態に関する。図13は実施の形態3に係るナビゲーション装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は実施の形態2の構成に加えて、雨滴感知センサ120、夜間時重み記憶部312、雨天時重み記憶部313、夜間時イベント情報テーブル314及び雨天時イベント情報テーブル315をさらに含んで構成される。
【0075】
重み記憶部311は上述したように初期設定において、到達予想時間に基づく重みと、走行難易度に基づく重みとが均等に設定されている。しかし、夜間時または雨天時等、車両65の周囲の環境によって、運転が困難となることが多い。また、夜間時または雨天時は初心者にとって大きな負担となる。そのため、夜間時は制御部80に、夜間時重み記憶部312を選択させて重みを補正し、また雨天時は制御部80に雨天時重み記憶部313を選択させて重みを補正する。
【0076】
夜間時重み記憶部312は重み記憶部311の初期設定値を補正すべく、初期設定値とは異なる値が記憶されている。例えば、走行難易度に基づく重みが高く(例えば1.0)、到達予想時間に基づく重みをこれよりも低く(例えば0.3)設定している。同様に、雨天時重み記憶部313は重み記憶部311の初期設定値を補正すべく、初期設定値とは異なる値が記憶されている。例えば、走行難易度に基づく重みが高く(例えば1.0)、到達予想時間に基づく重みをこれよりも低く(例えば0.5)設定している。
【0077】
時刻の取得は、車両65の図示しない時計部またはVICS・FM多重レシーバ12から受信した時刻により取得する。その他、図示しないヘッドランプ制御部からヘッドランプ点灯を示す信号が出力された場合に夜間の時刻であると判断しても良い。制御部80は車両65の図示しない時計部またはVICS・FM多重レシーバ12から受信した時刻が例えば17時以降、または、図示しないヘッドランプ制御部からヘッドランプ点灯を示す信号が出力された場合に、重み記憶部311から夜間時重み記憶部312へ重みの読み出し先を切り替え、重みを補正する。以下では時刻の取得をVICS・FM多重レシーバ12から受信した時刻を利用する形態につき説明する。
【0078】
また天候状態の取得は、VICS・FM多重レシーバ12から受信した天候情報、または雨滴感知センサ120により、または図示しないワイパー制御部から出力されるワイパー駆動信号を参照して判断する。雨滴感知センサ120は車両65外部に設けられ、雨滴を感知した場合に感知信号を制御部80へ出力する。制御部80は、VICS・FM多重レシーバ12から受信した天候情報により、雨天時であると判断した場合、または雨滴感知センサ120から感知信号が出力された場合、または、図示しないワイパー制御部からワイパー駆動信号が出力された場合に雨天時と判断する。以下では、雨滴感知センサ120により天候を判断する形態につき説明する。
【0079】
制御部80は雨天時であると判断した場合は、重み記憶部311から雨天時重み記憶部313へ重みの読み出し先を変更し、重みを補正する。夜間時イベント情報テーブル314及び雨天時イベント情報テーブル315は、図2に示すイベント情報テーブル31と同様にイベントフィールド及び点数フィールドを含んで構成される。夜間時には街灯の少ない路地の運転は困難となることから、例えば路地の走行難易度に係る点数をイベント情報テーブル31の初期設定値「2点」から「4点」へ補正する。このように夜間時イベント情報テーブル314には、イベント情報テーブル31の初期設定値とは異なる点数が補正のため記憶されている。
【0080】
同様に、雨天時は、対向車及び横断歩道上の歩行者の視認が困難となることから、例えば右折の走行難易度に係る点数をイベント情報テーブル31の初期設定値「1点」から「4点」へ補正する。このように雨天時イベント情報テーブル315には、イベント情報テーブル31の初期設定値とは異なる点数が補正のため記憶されている。制御部80は、VICS・FM多重レシーバ12から受信した時刻により、夜間時であると判断した場合は、イベント情報テーブル31から夜間時イベント情報テーブル314へ切り替え、イベントに対応する点数を補正する。同様に、制御部80は、雨滴感知センサ120により感知信号が出力された場合、雨天であると判断し、イベント情報テーブル31から雨天時イベント情報テーブル315へ切り替え、イベントに対応する点数を補正する。なお、本実施の形態においては説明を容易にするために、イベント情報テーブル31、夜間時イベント情報テーブル314、雨天時イベント情報テーブル315、重み記憶部311、夜間時重み記憶部312及び雨天時重み記憶部313を別々に記載しているが、データの持ち方は自由であり、例えば記憶装置30等の一つの記憶領域に複数のデータフィールドを設けて、まとめて記憶するようにしても良い。
【0081】
図14は時刻に応じた補正処理の手順を示すフローチャートである。制御部80はVICS・FM多重レシーバ12から時刻を受信する(ステップS141)。制御部80は、このようにして取得した時刻が夜間時間帯であるか否かを判断する(ステップS142)。なお、上述したように夜間時間帯は記憶装置30内に例えば夕方の17時〜未明の5時と記憶されており、制御部80は時刻がこの時間帯に該当するか否かにより判断する。制御部80は夜間時間帯でないと判断した場合(ステップS142でNO)、重み及びイベントに対応する点数を補正する必要はないので、重みの読み出し先として重み記憶部311を選択し(ステップS145)、またイベントに対応する点数の読み出し先として、イベント情報テーブル31を選択する(ステップS146)。
【0082】
一方、制御部80は夜間時間帯であると判断した場合(ステップS142でYES)、重み及びイベントに対応する点数を補正する必要があるので、重みの読み出し先として夜間時重み記憶部312を選択し、重みを補正する(ステップS143)。またイベントに対応する点数の読み出し先として、夜間時イベント情報テーブル314を選択し、イベントに対応する点数を補正する(ステップS144)。
【0083】
図15は天候情報に応じた補正処理の手順を示すフローチャートである。制御部80は、雨滴感知センサ120から感知信号が出力されたか否かを判断する(ステップS151)。制御部80は感知信号が出力されていないと判断した場合(ステップS151でNO)、天候が雨でないとする天候情報を取得したので重み及びイベントに対応する点数を補正する必要はなく、重みの読み出し先として重み記憶部311を選択し(ステップS154)、またイベントに対応する点数の読み出し先として、イベント情報テーブル31を選択する(ステップS155)。
【0084】
一方、制御部80は雨滴感知センサ120から感知信号が出力されたと判断した場合(ステップS151でYES)、天候が雨とする天候情報を取得したので重み及びイベントに対応する点数を補正する必要があり、重みの読み出し先として雨天時重み記憶部313を選択し、重みを補正する(ステップS152)。またイベントに対応する点数の読み出し先として、雨天時イベント情報テーブル315を選択し、イベントに対応する点数を補正する(ステップS153)。このように時間情報及び天候情報に応じて適宜重み及びイベントに対応する点数を補正したので、常に変化する車両65の周囲環境に応じた最適な経路をドライバに提供することが可能となる。
【0085】
本実施の形態3は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1及び2と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0086】
実施の形態4
図16は実施の形態4に係るナビゲーション装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図16に示すように本発明に係るナビゲーション装置1の機能を実現するためのコンピュータプログラムは図示しない記録媒体読み取り機に挿入される記録媒体に記録された、経路を探索し、イベントを抽出し、点数を算出し、優先順位を決定するコンピュータプログラムを記憶装置30へインストールし、これをプログラムメモリ60上でロードさせても良い。さらに、通信制御部310と図示しないサーバコンピュータとの間で通信を確立し、係るコンピュータプログラムを記憶装置30へダウンロードし、このダウンロードしたコンピュータプログラムをプログラムメモリ60上でロードするようにしても良い。
【0087】
本実施の形態4は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1乃至3と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】イベント情報テーブルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図3】点数の変更情報を受け付ける際のイメージを示す説明図である。
【図4】点数算出処理のイメージを示す説明図である。
【図5】優先順位に従う経路探索の結果を示すイメージ図である。
【図6】経路を探索する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】走行難易度に基づく点数算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】到達予想時間に基づく点数算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】優先順位決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図11】重みを受け付ける際のイメージを示す説明図である。
【図12】重み処理に基づく優先順位決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態3に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図14】時刻に応じた補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】天候情報に応じた補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態4に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
1 ナビゲーション装置
10 GPS受信機
11 自立航法用センサ
12 VICS・FM多重レシーバ
20 操作パネル
21 音声入力部
22 リモコン
23 入力インターフェース
30 記憶装置
31 イベント情報テーブル
40 音声出力部
41 スピーカ
50 表示制御部
51 ディスプレイ
60 プログラムメモリ
70 データメモリ
76 外部メモリ
80 制御部
120 雨滴感知センサ
310 通信制御部
312 夜間時重み記憶部
313 雨天時重み記憶部
314 夜間時イベント情報テーブル
315 雨天時イベント情報テーブル
311 重み記憶部
513 増加ボタン
514 減少ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路を探索するナビゲーション装置で実行される経路探索方法において、
複数の候補となる経路を探索する経路探索ステップと、
該経路探索ステップにより探索された各経路に含まれる道路走行時におけるイベントを抽出する抽出ステップと、
道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数を記憶したイベント情報テーブルに基づき、前記抽出ステップにより抽出したイベントに対応する点数を算出する算出ステップと、
該算出ステップにより算出した点数に基づいて、前記経路探索ステップにより探索した候補となる経路の優先順位を決定する優先順位決定ステップと
を備えることを特徴とする経路探索方法。
【請求項2】
経路を探索するナビゲーション装置において、
複数の候補となる経路を探索する経路探索手段と、
道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数を記憶したイベント情報テーブルと、
前記経路探索手段により探索された各経路に含まれるイベントを抽出する抽出手段と、
前記イベント情報テーブルに基づき、前記抽出手段により抽出したイベントに対応する点数を算出する算出手段と、
該算出手段により算出した点数に基づいて、前記経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定する優先順位決定手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索手段は、到達予想時間に基づき複数の候補を算出するよう構成してあり、
前記経路探索手段により探索した複数の候補の到達予想時間に基づき、点数を算出する補助算出手段をさらに備え、
前記優先順位決定手段は、前記算出手段及び前記補助算出手段により算出した点数に基づいて、前記経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定するよう構成してあることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記算出手段及び補助算出手段により算出した点数の合計点数を表示する表示手段
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記イベント情報テーブルに記憶したイベントに対応する点数の変更情報を受け付ける受け付け手段
をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記算出手段及び補助算出手段により算出した各点数に対する重みを受け付ける重み受け付け手段をさらに備え、
前記優先順位決定手段は、前記算出手段及び前記補助算出手段により算出した点数及び前記重み受け付け手段により受け付けた重みに基づいて、前記経路探索手段により探索した候補となる経路の優先順位を決定するよう構成してあることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
時刻または天候情報を取得する取得手段と、
該取得手段により取得した時刻または天候情報に応じて、前記イベント情報テーブルのイベントに対応付けられる点数を補正する補正手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
時刻または天候情報を取得する取得手段と、
該取得手段により取得した時刻または天候情報に応じて、前記重み受け付け手段により受け付けた重みを補正する補正手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
経路を探索するコンピュータで実行されるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
複数の候補となる経路を探索する経路探索ステップと、
該経路探索ステップにより探索された各経路に含まれる道路走行時におけるイベントを抽出する抽出ステップと、
道路走行時におけるイベントに対応付けて、イベントを走行する際の走行難易度に応じた点数を記憶したイベント情報テーブルに基づき、前記抽出ステップにより抽出したイベントに対応する点数を算出する算出ステップと、
該算出ステップにより算出した点数に基づいて、前記経路探索ステップにより探索した候補となる経路の優先順位を決定する優先順位決定ステップと
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−263666(P2007−263666A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87630(P2006−87630)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】