経路探索装置、コンピュータプログラム及び経路探索方法
【課題】交差点における半感応制御の有無を考慮して目的地までの誘導経路を探索することができる経路探索装置を提供する。
【解決手段】路上装置２は、交通信号機３から各交差点Ｉが半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための半感応交差点情報を受信し、経路探索装置１に送信する。経路探索装置１は、受信した半感応交差点情報に基づいて、半感応制御が許可されている交差点に流入する主道路のリンクのリンクコストを小さくするなど、リンクコストを補正して、目的地までの誘導経路を探索し、この誘導経路を道路地図に重畳した画像データをモニターに表示する。
【解決手段】路上装置２は、交通信号機３から各交差点Ｉが半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための半感応交差点情報を受信し、経路探索装置１に送信する。経路探索装置１は、受信した半感応交差点情報に基づいて、半感応制御が許可されている交差点に流入する主道路のリンクのリンクコストを小さくするなど、リンクコストを補正して、目的地までの誘導経路を探索し、この誘導経路を道路地図に重畳した画像データをモニターに表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、交差点における半感応制御の有無を考慮して目的地までの誘導経路を探索することができる経路探索装置、コンピュータプログラム及び経路探索方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
リンク（交差点間の道路）を通過するのに要するコストと、交差点を通過するのに要するコスト、すなわち、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストとを考慮して、目的地までの誘導経路の探索を行うナビゲーション装置が知られている。例えば、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストはそれぞれ３秒、１０秒、３０秒などのように設定される。
【０００３】
半感応制御を実行する交通信号機として、交通量の多い主道路と交通量の少ない従道路とが合流する交差点において、従道路の停止線付近に設置した車両感知器によって従道路から交差点に進入しようとする車両を検知すると、所定の待ち時間を経過した後、従道路側の信号灯色を青に切り替える交通信号機が知られている（例えば、特許文献１）。
【特許文献１】特開平１１−２０３５９２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
半感応制御を実行する交通信号機が設置された交差点を車両が通過する場合、当該車両が主道路から当該交差点に進入する場合には、当該交差点を青信号で通過できる可能性は高い。一方、当該車両が従道路から当該交差点に進入する場合には、当該交差点を青信号で通過できる可能性が低い。車両感知器が従道路から当該交差点に進入しようとする車両を感知することにより主道路側が赤信号となっている間を除いて、通常、主道路側は青信号、従道路側は赤信号となっているからである。
【０００５】
ところが、従来のナビゲーション装置では、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストにはそれぞれ一定値が設定され、当該交差点で半感応制御が実行される可能性があるか否かは全く考慮されていなかった。そのため、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストには現実に則した値が設定されておらず、探索される誘導経路も現実に則したものではない可能性があった。
【０００６】
そこで、本発明は、交差点における半感応制御の有無を考慮して目的地までの誘導経路を探索することができる経路探索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
第１発明の経路探索装置は、目的地までの誘導経路を探索する経路探索装置であって、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得する取得手段と、前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段とを備えることを特徴とする（請求項１）。
【０００８】
ここで、半感応制御とは、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含むものである。
【０００９】
第１半感応制御は、通常、主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持し、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を感知すると、所定時間の経過後（例えば、１０秒経過後）に従道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持する。
【００１０】
一方、第２半感応制御は、通常、主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持し、路上装置が従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報（例えば、車両を識別するための車両ＩＤを含むアップリンク情報）を受信すると、当該車両が交差点に到達する時刻を予測し、その予測した時刻に従道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持する。
【００１１】
第１発明にあっては、予め定められた対象となる交差点（例えば、経路探索装置に記憶している道路地図データに含まれる交差点）が、半感応制御が許可されている交差点（半感応制御を実行可能な交差点）であるか否かを識別するための半感応交差点情報を取得し、それぞれの交差点において半感応制御が許可されているか否かを考慮して、当該交差点を直進、左折、右折するのに要するコストを設定する。そして、この設定されたコストを用いて目的地までの誘導経路を探索し、運転者に提供する。これにより、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストにより現実に則した値を設定することができるとともに、より現実に則した最良の誘導経路を探索することができるので、運転者にとって非常に有用となる。
【００１２】
前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することが好ましい（請求項２）。
【００１３】
主道路から第１半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、車両感知器が従道路側の車両を感知することにより主道路側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点を青信号で通過できることから、交差点を青信号で通過できる可能性は高い。また、主道路から第２半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、路上装置が従道路側の車両から所定の情報を受信することにより主道路側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点を青信号で通過できることから、交差点を青信号で通過できる可能性は高い。
【００１４】
従って、半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されている交差点に流入する道路が主道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも小さく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００１５】
また、前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、前記半感応交差点情報には、前記第１半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することが好ましい（請求項３）。
【００１６】
従道路から第１半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、車両感知器が従道路側の車両を感知して従道路側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点を青信号で通過できないことから、交差点を青信号で通過できる可能性は低い。従って、第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも大きく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００１７】
また、前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、前記経路探索装置は、前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備え、前記半感応交差点情報には、前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することが好ましい（請求項４）。
【００１８】
従道路から第２半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、当該車両が所定の情報を送信する機能を備える経路探索装置を搭載している場合には、当該車両が交差点に到達する時刻に従道路側の信号灯色が青に切り替わるため、当該車両は交差点を青信号で通過できる可能性が高い。従って、第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも小さく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００１９】
また、前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、前記経路探索装置は、前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備えず、前記半感応交差点情報には、前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することが好ましい（請求項５）。
【００２０】
従道路から第２半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、当該車両が所定の情報を送信する機能を備えない経路探索装置を搭載している場合には、従道路側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点を青信号で通過できないことから、交差点を青信号で通過できる可能性は低い。従って、第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも大きく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００２１】
また、前記半感応交差点情報には、前記交差点の識別情報と前記交差点に流入する道路の識別情報の少なくとも１つが含まれることが好ましい（請求項６）。
【００２２】
例えば、半感応交差点情報は、交差点を識別する番号と当該交差点が半感応制御が許可されている交差点であるか否かを示すフラグとを対応づけた情報とすれば良い。あるいは、半感応交差点情報は、交差点に流入する道路を識別する番号と当該交差点が半感応制御が許可されている交差点であるか否かを示すフラグとを対応づけた情報としても良い。このようにすると、運転者は道路毎にその先の交差点で半感応制御が実行される可能性があるか否かを予め認識することができるため、有用である。また、半感応交差点情報は、交差点を識別する番号と当該交差点に流入する道路を識別する番号と当該交差点が半感応制御が許可されている交差点であるか否かを示すフラグとを対応づけた情報としても良い。
【００２３】
また、前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点における許可の時間帯についての情報が含まれることが好ましい（請求項７）。
【００２４】
交差点によっては半感応制御が許可されている時間帯が限られている場合があるため、半感応交差点情報に当該時間帯についての情報が含まれていれば、現在又は将来のどの時間帯にどの交差点において半感応制御が許可されているかを正確に把握して、交差点を通過するのに要するコストを設定することができるため、より現実に則した値を設定することができる。
【００２５】
第２発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに、目的地までの誘導経路を探索させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報に基づいて、半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段として機能させることを特徴とする（請求項８）。
第２発明のコンピュータプログラムは、第１発明と実質同一のコンピュータプログラムである。
【００２６】
第３発明の経路探索方法は、目的地までの誘導経路を探索する経路探索方法であって、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得するステップと、前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定するステップと、前記設定されたコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索するステップとを備えることを特徴とする（請求項９）。
第３発明の経路探索方法は、第１発明と実質同一の方法である。
【発明の効果】
【００２７】
以上のように、本発明によれば、交差点において半感応制御が許可されているか否かを考慮して交差点を直進、左折、右折するのに要するコストを設定し、そのコストを用いて目的地までの誘導経路を探索するため、現実に則した誘導経路を探索し、運転者に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図１は、本発明に係る経路探索装置を含む情報提供システムの概要を示す模式図である。情報提供システムは、経路探索装置１、路上装置２、交通信号機３、中央装置４などを含む。中央装置４は、交通情報の提供などを行う装置であり、交通管制センター内に設置されている。なお、中央装置４は、交通管制センター内に設置されず、道路上に設置されていても良い。中央装置４は、複数の交差点Ｉのそれぞれに設置された交通信号機３と電話回線などの通信回線を介して接続されている。交通信号機３は、道路Ｒを含む交差点Ｉに流入する複数の道路のそれぞれに設置された路上装置２と電話回線などの通信回線を介して接続されている。
【００２９】
路上装置２は、光ビーコン、電波ビーコン、ＤＳＲＣ（Dedicated Short Range Commun
ication : 専用狭域通信）、ＷｉＭＡＸ（Worldwide interoperability for microwave a
ccess）などであり、車両１０に搭載された経路探索装置１との間で各種情報を無線通信する。路上装置２は、経路探索装置１と各種情報の通信を行う通信部２ａと、通信部２ａを制御する通信制御装置２ｂとを含んでいる。路上装置２は、交通信号機３から交通情報、後述する半感応交差点情報を受信し、これらの情報を経路探索装置１に送信する。また、経路探索装置１が車両を識別するための車両ＩＤを含むアップリンク情報を送信する機能を備えている場合は、路上装置２は経路探索装置１からアップリンク情報を受信し、これを交通信号機３に送信する。なお、路上装置２は、交通情報、半感応交差点情報を中央装置４から直接受信する構成であっても良く、また、これらの情報が記憶部に予め記憶されている構成であっても良い。
【００３０】
交通信号機３は、交通信号制御機３ａと複数の信号灯器３ｂなどを含んでいる。交通信号制御機３ａは、中央装置４から信号制御指令を受信し、当該信号制御指令に基づいて信号灯器３ｂの青、赤、黄、右折矢の各信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する。また、交通信号制御機３ａは、中央装置４から、信号制御指令の他、交通情報、半感応交差点情報を受信する。また、交通信号制御機３ａは、受信した交通情報、半感応交差点情報を当該交通信号制御機３ａに接続されている複数の路上装置２に送信する。また、交通信号制御機３ａは、路上装置２からアップリンク情報を受信し、これを中央装置４に送信する。
【００３１】
交通信号制御機３ａには、半感応制御を実行するものとしないものとが存在し、半感応制御を実行するものには、従来の半感応制御（以下、半感応制御Ａ）を実行するものと、新規の半感応制御（以下、半感応制御Ｂ）を実行するものとがある。以下、半感応制御Ａと半感応制御Ｂについて説明する。
【００３２】
図２は半感応制御Ａを実行する例を説明するための説明図である。交差点Ｉでは、交通量の多い主道路ＲＭ１、ＲＭ２と交通量の少ない従道路ＲＳ１、ＲＳ２とが合流している。半感応制御Ａを実行する交通信号制御機３ａは、中央装置４から受信した信号制御指令に含まれる半感応制御の許否を示す情報が許可を示している時間帯（半感応制御Ａが許可されている時間帯）においては、通常、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持している。車両感知器Ｄが従道路ＲＳ１から交差点Ｉに進入しようとする車両１０を感知すると、交通信号制御機３ａは所定時間の経過後（例えば、１０秒経過後）に従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、交通信号制御機３ａは所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持する。
【００３３】
従って、主道路ＲＭ１、ＲＭ２から交差点Ｉに進入する車両は、半感応制御Ａが許可されている時間帯においては、車両感知器Ｄが従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の車両を感知することにより主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できることから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は高い。逆に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２から交差点Ｉに進入する車両は、同時間帯においては、車両感知器Ｄが従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の車両を感知して従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できないことから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は低い。
【００３４】
一方、図３は半感応制御Ｂを実行する例を説明するための説明図である。半感応制御Ｂでは車両感知器Ｄの代わりに路上装置２が用いられる。判感応制御Ｂを実行する交通信号制御機３ａは、半感応制御Ａの場合と同様、中央装置４から受信した信号制御指令に含まれる半感応制御の許否を示す情報が許可を示している時間帯（半感応制御Ｂが許可されている時間帯）においては、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持している。路上装置２が従道路ＲＳ１から交差点Ｉに進入しようとする車両１０からアップリンク情報を受信すると、交通信号制御機３ａは路上装置２から交差点Ｉまでの距離と所定の走行速度（例えば、４０ｋｍ／ｈ）とに基づいて車両１０が交差点Ｉに到達する時刻を予測し、その予測した時刻に従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、交通信号制御機３ａは所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持する。
【００３５】
従って、半感応制御Ａの場合と同様に、主道路ＲＭ１、ＲＭ２から交差点Ｉに進入する車両は、半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、路上装置２が従道路ＲＳ１側の車両１０からアップリンク情報を受信することにより主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できることから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は高い。また、半感応制御Ｂでは、半感応制御Ａとは異なり、アップリンク情報を送信した車両１０が交差点Ｉに到達する時刻に従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色が青に切り替わるため、従道路ＲＳ１、ＲＳ２から交差点Ｉに進入する車両がアップリンク情報を送信可能な場合には、当該車両は同時間帯においては、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が高い。逆に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２から交差点Ｉに進入する車両がアップリンク情報を送信できない場合は、当該車両は同時間帯においては、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できないことから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は低い。
【００３６】
中央装置４は、所定時間毎（例えば、５分毎）に交通情報を複数の交通信号機３に送信する。また、中央装置４は、所定時間毎（例えば、５分毎）に半感応制御の許否を示す情報等を含む信号制御指令を、半感応制御を実行可能な複数の交通信号機３に送信する。また、中央装置４は、各交差点Ｉにおける半感応制御の許否等を示す半感応交差点テーブル、各交差点に流入するリンクの主道路・従道路の別を示す主従道路テーブルを当該装置の記憶部に記憶しており、所定時間毎（例えば、５分毎）にこれらのテーブルに基づいて半感応交差点情報を作成し、複数の交通信号機３に送信する。ここで、リンクとは、上り方向と下り方向で区別した交差点間の道路のことをいう。
【００３７】
図４は半感応交差点テーブルの例を示す説明図である。半感応交差点テーブルは、交差点Ｉを識別するための交差点ＩＤ、当該交差点Ｉにおける半感応制御の種別（半感応制御Ａ、半感応制御Ｂ、半感応制御に対応しない）を区別するための半感応種別フラグ、当該交差点Ｉにおいて半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが現時点で許可されているか否かを区別するための半感応許可・不許可フラグ、当該交差点Ｉにおける半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂの許可開始時刻及び許可終了時刻の各欄から構成されている。なお、中央装置４は、交差点Ｉにおける半感応制御の許可開始時刻から許可終了時刻までの間、信号制御指令に含まれる半感応制御の許否を示す情報を、許可を示すように構成し、当該信号制御指令を当該交差点Ｉに設置された交通信号機３に送信する。
【００３８】
例えば、交差点ＩＤが０００００１である交差点Ｉでは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されており、半感応制御Ａの許可開始時刻が０６：００であり、許可終了時刻が２０：００であることを示している。
【００３９】
また、例えば、交差点ＩＤが０００００２である交差点Ｉでは、半感応制御Ｂに対応しており、現時点で半感応制御Ｂが許可されており、半感応制御Ｂの許可開始時刻が０７：００であり、許可終了時刻が１９：００であることを示している。
【００４０】
また、例えば、交差点ＩＤが００００５０である交差点Ｉでは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されておらず、半感応制御Ａの許可開始時刻が１６：００であり、許可終了時刻が１８：００であることを示している。
【００４１】
また、例えば、交差点ＩＤが００００５１である交差点Ｉでは、半感応制御Ａ、Ｂいずれにも対応していないことを示している。
【００４２】
図５は主従道路テーブルの例を示す説明図である。主従道路テーブルは、交差点Ｉを識別するための交差点ＩＤ、当該交差点Ｉに流入するリンクを識別するためのリンクＩＤ、リンクが主道路、従道路のいずれであるかを区別するための主従フラグの各欄から構成されている。
【００４３】
例えば、交差点ＩＤが０００００１である交差点Ｉに流入する、リンクＩＤが００００００１であるリンクは、主道路であることを示している。また、例えば、交差点ＩＤが０００００２である交差点Ｉに流入する、リンクＩＤが０００００１０であるリンクは、従道路であることを示している。なお、交差点ＩＤが０００００１、０００００２である交差点と、リンクＩＤが００００００１から０００００１４までのリンクの対応関係は、図６に示すようになっている。
【００４４】
図７は半感応交差点情報の例を示す説明図である。半感応交差点情報は、交差点Ｉを識別するための交差点ＩＤ、当該交差点Ｉに流入するリンクを識別するためのリンクＩＤ、当該交差点Ｉにおける半感応制御の種別（半感応制御Ａ、半感応制御Ｂ、半感応制御に対応しない）を区別するための半感応種別フラグ、当該交差点Ｉにおいて半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが現時点で許可されているか否かを区別するための半感応許可・不許可フラグ、当該交差点Ｉにおける半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂの許可開始時刻及び許可終了時刻、リンクが主道路、従道路のいずれであるかを区別するための主従フラグの各欄から構成されている。
【００４５】
例えば、リンクＩＤが００００００１であるリンクの先の、交差点ＩＤが０００００１である交差点Ｉは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されており、半感応制御Ａの許可開始時刻が０６：００であり、許可終了時刻が２０：００であり、上記リンクが主道路であることを示している。
【００４６】
また、例えば、リンクＩＤが００００２５３であるリンクの先の、交差点ＩＤが００００５０である交差点Ｉは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されておらず、半感応制御Ａの許可開始時刻が１６：００であり、許可終了時刻が１８：００であり、上記リンクが従道路であることを示している。
【００４７】
また、例えば、リンクＩＤが００００２６２であるリンクの先の、交差点ＩＤが００００５１である交差点Ｉは、半感応制御Ａ、Ｂいずれにも対応しておらず、上記リンクが主道路であることを示している。
【００４８】
車両１０には経路探索装置１が搭載されており、経路探索装置１は路上装置２との間で各種情報を無線通信する。経路探索装置１を搭載した車両１０は、路上装置２の通信領域を通過する際に、路上装置２との間で無線通信を行い、交通情報及び半感応交差点情報を受信するとともに、アップリンク情報を送信する機能を備えていれば、アップリンク情報を送信する。経路探索装置１は、半感応交差点情報を取得すると、後述する経路探索処理を実行し、運転者に目的地までの誘導経路を提供する。
【００４９】
図８は車両１０に搭載されている経路探索装置１の構成を示すブロック図である。ＧＰＳ処理部１０１は、ＧＰＳ衛星からのＧＰＳ信号を受信し、ＧＰＳ信号に含まれる時刻情報、ＧＰＳ衛星の軌道、測位補正情報に基づいて、車両１０の位置（緯度、経度及び高度）を計測する。方位センサ１０２は、光ファイバジャイロなどで構成されており、車両１０の方位及び角速度を計測する。車速取得部１０３は、車速センサ１００１が車輪の角速度を検出することにより計測した車両１０の速度のデータを取得する。通信部１０４は、路上装置２から交通情報、半感応交差点情報を受信する。また、通信部１０４は、アップリンク情報を送信する機能を備えている場合には、路上装置２にアップリンク情報を送信する。
【００５０】
記憶部１０５は、道路地図データを記憶している。道路地図データには、交差点ＩＤと交差点Ｉの位置とを対応付けた交差点データ、リンクＩＤと、リンクの始点・終点・補間点（道路が折れ曲がる地点に対応）それぞれの位置と、リンクコスト、リンクの始点に接続するリンクのリンクＩＤと、リンクの終点に接続するリンクのリンクＩＤとを対応付けたリンクデータなどから構成されている。
【００５１】
リンクコストは、例えば、リンクと次に接続するリンクの組合せの数だけ設定されており、リンクの始点に進入してから当該リンクの終点を退出し、次に接続するリンクの始点に進入するまでに要する時間が設定されている。この場合、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコストと、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト、すなわち、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。交差点を通過するのに要するコストは、交差点を直進するのに要するコスト（以下、直進コストという）、交差点を左折するのに要するコスト（以下、左折コストという）、交差点を右折するのに要するコスト（以下、右折コストという）に分類することができ、次に接続するリンクとの接続関係が直進、左折、右折のいずれに該当するかによって定まる。直進コスト、左折コスト、右折コストは、例えば、それぞれ３秒、１０秒、４５秒が設定される。左折コストが直進コストよりも大きいのは、横断歩道での歩行者横断待ちの時間などを考慮しているためである。また、右折コストが直進コスト、左折コストよりも大きいのは、交差点での対向車の直進通過待ちの時間や、青信号の間に交差点を右折しきれずに、赤信号待ちとなった場合の時間などを考慮しているためである。
【００５２】
表示部１０６は、処理部１０８が後述する経路探索処理において作成した画像データをモニター１００２に表示する。音声出力部１０７は、処理部１０８が後述する経路探索処理において作成した音声データをスピーカー１００３から出力する。
【００５３】
処理部１０８は、１又は複数のマイクロコンピュータにより構成されており、ＣＤ−ＲＯＭやハードディスクなどの所定の記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する経路探索処理を行う。また、処理部１０８は、上記のコンピュータプログラムを実行することにより、ＧＰＳ処理部１０１が計測した位置、方位センサ１０２が計測した方位及び角速度、車速取得部１０３が取得した速度の各データに基づいてマップマッチング処理を行い、記憶部１０５に記憶している道路地図データのリンク上における車両１０の位置を求める。
【００５４】
次に、経路探索装置１の経路探索処理の手順について説明する。経路探索装置１は、路上装置２から半感応交差点情報を取得すると、半感応交差点情報に含まれる半感応制御種別フラグ、半感応許可・不許可フラグ、主従フラグに基づいて、リンクコストを補正する。
【００５５】
具体的には、半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが許可されている交差点Ｉに流入する主道路のリンクについては、リンクコストを小さくなるように補正する（例えば、リンクコストから２秒を差し引く）。上述したように、半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、主道路から交差点Ｉに進入する車両１０は当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が高く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が短くなるためである。
【００５６】
一方、半感応制御Ａが許可されている交差点Ｉに流入する従道路のリンクについては、リンクコストを大きくなるように補正する（例えば、リンクコストに２秒を加える）。上述したように、半感応制御Ａが許可されている時間帯においては、従道路から交差点Ｉに進入する車両１０は当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が低く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が長くなるためである。
【００５７】
また、半感応制御Ｂが許可されている交差点Ｉに流入する従道路のリンクについては、経路探索装置１の通信部１０４が路上装置２にアップリンク情報を送信する機能を備えている場合には、リンクコストを小さくなるように補正する（例えば、リンクコストから２秒を差し引く）。上述したように、半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、従道路から交差点Ｉに進入する車両１０は、当該車両１０がアップリンク情報を送信可能な場合は、当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が高く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が短くなるためである。
【００５８】
また、半可能制御Ｂが許可されている交差点Ｉに流入する従道路のリンクについては、経路探索装置１の通信部１０４が路上装置２にアップリンク情報を送信する機能を備えていない場合には、リンクコストを大きくなるように補正する（例えば、リンクコストに２秒を加える）。上述したように、半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、従道路から交差点Ｉに進入する車両１０は、当該車両１０がアップリンク情報を送信できない場合は、当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が低く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が長くなるためである。
【００５９】
以上に述べた半感応交差点情報に基づくリンクコストの補正についてまとめると、図９のようになる。
【００６０】
ここで、半感応交差点情報に基づくリンクコストの補正について、図７に示したリンクの例を用いて、具体的に説明する。
【００６１】
リンクＩＤが００００００１であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ａ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「主」であるため、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から１秒、１０秒から８秒、４５秒から４３秒に補正する。
【００６２】
また、リンクＩＤが００００００２であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ａ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「従」であるため、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から５秒、１０秒から１２秒、４５秒から４７秒に補正する。
【００６３】
また、リンクＩＤが００００００５であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ｂ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「主」であるため、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から１秒、１０秒から８秒、４５秒から４３秒に補正する。
【００６４】
また、リンクＩＤが０００００１０であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ｂ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「従」であるため、通信部１０４がアップリンク情報を送信する機能を備えている場合には、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から１秒、１０秒から８秒、４５秒から４３秒に補正し、通信部１０４がアップリンク情報を送信する機能を備えていない場合には、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から５秒、１０秒から１２秒、４５秒から４７秒に補正する。
【００６５】
また、リンクＩＤが００００２５３であるリンクについては、半感応許可・不許可フラグが「不許可」であるため、リンクコストは補正しない。
【００６６】
また、リンクＩＤが００００２６２であるリンクについては、半感応種別フラグが「−」であるため、リンクコストは補正しない。
【００６７】
以上のように、本発明に係る経路探索装置は、交差点Ｉにおける半感応制御の許否を考慮してリンクコスト（具体的には、リンクコストに含まれる交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要するコスト）を補正することにより、リンクコストに現実に則した値を設定することができる。
【００６８】
次いで、経路探索装置１は、目的地までの誘導経路を探索する。具体的には、目的地までの誘導経路を構成するリンクコストの合計値が最小となるように、ダイクストラ法などを用いて誘導経路を探索する。なお、目的地は運転者などにより予め設定されている。
【００６９】
次いで、経路探索装置１は、探索した誘導経路を道路地図に重畳した画像データを作成してモニター１００２に表示する。また、経路探索装置１は、誘導経路に沿った運転を案内するための音声データを作成して、車両１０がそれぞれの交差点Ｉを通過する際などの所定のタイミングでスピーカー１００３から出力する。
【００７０】
以上のように、経路探索装置１は、交差点における半感応制御の許否を考慮したリンクコスト（具体的には、リンクコストに含まれる交差点を直進、左折、右折するのに要するコスト）を用いて目的地までの誘導経路を探索し、表示するため、運転者はより現実に則した最良の誘導経路を取得でき、運転者にとって非常に有用となる。
【００７１】
上述の実施の形態においては、経路探索装置１は路上装置２から半感応交差点情報を取得する構成であったが、これに限定されるものではなく、経路探索装置１に接続した携帯電話を通じて取得する構成や、ラジオ放送などのメディアを通じて取得する構成であっても良い。また、予め記憶部１０５に半感応交差点情報を記憶しておき、記憶部１０５から取得する構成であってもよく、あるいは、半感応交差点情報を記録したＣＤ−ＲＯＭなどの記録媒体から取得する構成であっても良い。
【００７２】
また、経路探索装置１は半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが現時点で許可されている交差点Ｉに流入するリンクのリンクコストを補正する構成に限られない。例えば、現在の時刻にリンクコストを積算することにより車両１０が誘導経路情の各交差点Ｉに流入する時刻を予測して、その時刻が当該交差点Ｉにおける許可開始時刻から許可終了時刻までの範囲に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合には、当該交差点Ｉに流入するリンクコストを補正する構成であっても良い。これにより、現在又は将来のどの時間帯にどの交差点において半感応制御が許可されているかを正確に把握して、交差点を通過するのに要するコストを設定することができるため、より現実に則した値を設定することができる。
【００７３】
また、経路探索装置１はリンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをともに同じ値（上記では２秒）を加減算する構成に限られない。例えば、直進コストの場合は、減算する補正は２秒、加算する補正は３秒、左折コストの場合は、減算する補正は３秒、加算する補正は５秒、右折コストの場合は、減算する補正は１５秒、加算する補正は３０秒、といったように、それぞれ異なる値を加減算する構成であっても良い。
【００７４】
また、半感応制御を実行する交通信号機３は、半感応制御Ａ、半感応制御Ｂのいずれかを実行する構成に限られず、半感応制御Ａと半感応制御Ｂの両方を、時間帯等に応じて切り替えて実行する構成であっても良い。
【００７５】
また、経路探索装置１は、半感応交差点情報に含まれる半感応制御種別フラグ、半感応許可・不許可フラグ、主従フラグに基づいてリンクコストを補正する構成に限られない。例えば、経路探索装置１が主道路を走行する車両に搭載されている場合、経路探索装置１は従道路の車両感知器Ｄによる車両の感知状況や従道路の路上装置２による車両からのアップリンク情報の受信状況を取得し、これらの感知状況や受信状況をさらに考慮してリンクコストを補正する構成であっても良い。具体的には、経路探索装置１は、取得した感知状況や受信状況に基づいて、車両感知器Ｄが従道路を走行する車両を感知した、あるいは、路上装置２が従道路を走行する車両からアップリンク情報を受信したと判断した場合には、主道路側の信号灯色がまもなく赤に切り替わる可能性があることから、当該主道路のリンクのリンクコストを大きくなるように補正する。
【００７６】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【００７７】
【図１】本発明に係る経路探索装置を含む情報提供システムの概要を示す模式図である。
【図２】半感応制御Ａを実行する例を説明するための説明図である。
【図３】半感応制御Ｂを実行する例を説明するための説明図である。
【図４】半感応交差点テーブルの例を示す説明図である。
【図５】主従道路テーブルの例を示す説明図である。
【図６】交差点とリンクの対応関係を示す説明図である。
【図７】半感応交差点情報の例を示す説明図である。
【図８】車両に搭載されている経路探索装置の構成を示すブロック図である。
【図９】半感応交差点情報に基づくリンクコストの補正の例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【００７８】
１ 経路探索装置
１０１ ＧＰＳ処理部
１０２ 方位センサ
１０３ 車速取得部
１０４ 通信部
１０５ 記憶部
１０６ 表示部
１０７ 音声出力部
１０８ 処理部
２ 路上装置
２ａ 通信部
２ｂ 通信制御部
３ 交通信号機
３ａ 交通信号制御機
３ｂ 信号灯器
４ 中央装置
１０ 車両
１００１ 車速センサ
１００２ モニター
１００３ スピーカー
Ｄ 車両感知器
Ｉ 交差点
Ｒ 道路
ＲＭ１、ＲＭ２ 主道路
ＲＳ１、ＲＭ２ 従道路
【技術分野】
【０００１】
本発明は、交差点における半感応制御の有無を考慮して目的地までの誘導経路を探索することができる経路探索装置、コンピュータプログラム及び経路探索方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
リンク（交差点間の道路）を通過するのに要するコストと、交差点を通過するのに要するコスト、すなわち、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストとを考慮して、目的地までの誘導経路の探索を行うナビゲーション装置が知られている。例えば、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストはそれぞれ３秒、１０秒、３０秒などのように設定される。
【０００３】
半感応制御を実行する交通信号機として、交通量の多い主道路と交通量の少ない従道路とが合流する交差点において、従道路の停止線付近に設置した車両感知器によって従道路から交差点に進入しようとする車両を検知すると、所定の待ち時間を経過した後、従道路側の信号灯色を青に切り替える交通信号機が知られている（例えば、特許文献１）。
【特許文献１】特開平１１−２０３５９２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
半感応制御を実行する交通信号機が設置された交差点を車両が通過する場合、当該車両が主道路から当該交差点に進入する場合には、当該交差点を青信号で通過できる可能性は高い。一方、当該車両が従道路から当該交差点に進入する場合には、当該交差点を青信号で通過できる可能性が低い。車両感知器が従道路から当該交差点に進入しようとする車両を感知することにより主道路側が赤信号となっている間を除いて、通常、主道路側は青信号、従道路側は赤信号となっているからである。
【０００５】
ところが、従来のナビゲーション装置では、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストにはそれぞれ一定値が設定され、当該交差点で半感応制御が実行される可能性があるか否かは全く考慮されていなかった。そのため、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストには現実に則した値が設定されておらず、探索される誘導経路も現実に則したものではない可能性があった。
【０００６】
そこで、本発明は、交差点における半感応制御の有無を考慮して目的地までの誘導経路を探索することができる経路探索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
第１発明の経路探索装置は、目的地までの誘導経路を探索する経路探索装置であって、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得する取得手段と、前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段とを備えることを特徴とする（請求項１）。
【０００８】
ここで、半感応制御とは、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含むものである。
【０００９】
第１半感応制御は、通常、主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持し、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を感知すると、所定時間の経過後（例えば、１０秒経過後）に従道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持する。
【００１０】
一方、第２半感応制御は、通常、主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持し、路上装置が従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報（例えば、車両を識別するための車両ＩＤを含むアップリンク情報）を受信すると、当該車両が交差点に到達する時刻を予測し、その予測した時刻に従道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路側の信号灯色を青に、従道路側の信号灯色を赤に保持する。
【００１１】
第１発明にあっては、予め定められた対象となる交差点（例えば、経路探索装置に記憶している道路地図データに含まれる交差点）が、半感応制御が許可されている交差点（半感応制御を実行可能な交差点）であるか否かを識別するための半感応交差点情報を取得し、それぞれの交差点において半感応制御が許可されているか否かを考慮して、当該交差点を直進、左折、右折するのに要するコストを設定する。そして、この設定されたコストを用いて目的地までの誘導経路を探索し、運転者に提供する。これにより、交差点を直進、左折、右折するのに要するコストにより現実に則した値を設定することができるとともに、より現実に則した最良の誘導経路を探索することができるので、運転者にとって非常に有用となる。
【００１２】
前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することが好ましい（請求項２）。
【００１３】
主道路から第１半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、車両感知器が従道路側の車両を感知することにより主道路側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点を青信号で通過できることから、交差点を青信号で通過できる可能性は高い。また、主道路から第２半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、路上装置が従道路側の車両から所定の情報を受信することにより主道路側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点を青信号で通過できることから、交差点を青信号で通過できる可能性は高い。
【００１４】
従って、半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されている交差点に流入する道路が主道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも小さく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００１５】
また、前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、前記半感応交差点情報には、前記第１半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することが好ましい（請求項３）。
【００１６】
従道路から第１半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、車両感知器が従道路側の車両を感知して従道路側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点を青信号で通過できないことから、交差点を青信号で通過できる可能性は低い。従って、第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも大きく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００１７】
また、前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、前記経路探索装置は、前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備え、前記半感応交差点情報には、前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することが好ましい（請求項４）。
【００１８】
従道路から第２半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、当該車両が所定の情報を送信する機能を備える経路探索装置を搭載している場合には、当該車両が交差点に到達する時刻に従道路側の信号灯色が青に切り替わるため、当該車両は交差点を青信号で通過できる可能性が高い。従って、第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも小さく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００１９】
また、前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、前記経路探索装置は、前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備えず、前記半感応交差点情報には、前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することが好ましい（請求項５）。
【００２０】
従道路から第２半感応制御が許可されている交差点に進入する車両は、当該車両が所定の情報を送信する機能を備えない経路探索装置を搭載している場合には、従道路側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点を青信号で通過できないことから、交差点を青信号で通過できる可能性は低い。従って、第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御（第１半感応制御又は第２半感応制御）が許可されていない交差点（第１半感応制御及び第２半感応制御の両方に対応していない交差点も含む）に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも大きく設定すれば、現実に則した値を設定することができる。
【００２１】
また、前記半感応交差点情報には、前記交差点の識別情報と前記交差点に流入する道路の識別情報の少なくとも１つが含まれることが好ましい（請求項６）。
【００２２】
例えば、半感応交差点情報は、交差点を識別する番号と当該交差点が半感応制御が許可されている交差点であるか否かを示すフラグとを対応づけた情報とすれば良い。あるいは、半感応交差点情報は、交差点に流入する道路を識別する番号と当該交差点が半感応制御が許可されている交差点であるか否かを示すフラグとを対応づけた情報としても良い。このようにすると、運転者は道路毎にその先の交差点で半感応制御が実行される可能性があるか否かを予め認識することができるため、有用である。また、半感応交差点情報は、交差点を識別する番号と当該交差点に流入する道路を識別する番号と当該交差点が半感応制御が許可されている交差点であるか否かを示すフラグとを対応づけた情報としても良い。
【００２３】
また、前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点における許可の時間帯についての情報が含まれることが好ましい（請求項７）。
【００２４】
交差点によっては半感応制御が許可されている時間帯が限られている場合があるため、半感応交差点情報に当該時間帯についての情報が含まれていれば、現在又は将来のどの時間帯にどの交差点において半感応制御が許可されているかを正確に把握して、交差点を通過するのに要するコストを設定することができるため、より現実に則した値を設定することができる。
【００２５】
第２発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに、目的地までの誘導経路を探索させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報に基づいて、半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段として機能させることを特徴とする（請求項８）。
第２発明のコンピュータプログラムは、第１発明と実質同一のコンピュータプログラムである。
【００２６】
第３発明の経路探索方法は、目的地までの誘導経路を探索する経路探索方法であって、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得するステップと、前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定するステップと、前記設定されたコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索するステップとを備えることを特徴とする（請求項９）。
第３発明の経路探索方法は、第１発明と実質同一の方法である。
【発明の効果】
【００２７】
以上のように、本発明によれば、交差点において半感応制御が許可されているか否かを考慮して交差点を直進、左折、右折するのに要するコストを設定し、そのコストを用いて目的地までの誘導経路を探索するため、現実に則した誘導経路を探索し、運転者に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図１は、本発明に係る経路探索装置を含む情報提供システムの概要を示す模式図である。情報提供システムは、経路探索装置１、路上装置２、交通信号機３、中央装置４などを含む。中央装置４は、交通情報の提供などを行う装置であり、交通管制センター内に設置されている。なお、中央装置４は、交通管制センター内に設置されず、道路上に設置されていても良い。中央装置４は、複数の交差点Ｉのそれぞれに設置された交通信号機３と電話回線などの通信回線を介して接続されている。交通信号機３は、道路Ｒを含む交差点Ｉに流入する複数の道路のそれぞれに設置された路上装置２と電話回線などの通信回線を介して接続されている。
【００２９】
路上装置２は、光ビーコン、電波ビーコン、ＤＳＲＣ（Dedicated Short Range Commun
ication : 専用狭域通信）、ＷｉＭＡＸ（Worldwide interoperability for microwave a
ccess）などであり、車両１０に搭載された経路探索装置１との間で各種情報を無線通信する。路上装置２は、経路探索装置１と各種情報の通信を行う通信部２ａと、通信部２ａを制御する通信制御装置２ｂとを含んでいる。路上装置２は、交通信号機３から交通情報、後述する半感応交差点情報を受信し、これらの情報を経路探索装置１に送信する。また、経路探索装置１が車両を識別するための車両ＩＤを含むアップリンク情報を送信する機能を備えている場合は、路上装置２は経路探索装置１からアップリンク情報を受信し、これを交通信号機３に送信する。なお、路上装置２は、交通情報、半感応交差点情報を中央装置４から直接受信する構成であっても良く、また、これらの情報が記憶部に予め記憶されている構成であっても良い。
【００３０】
交通信号機３は、交通信号制御機３ａと複数の信号灯器３ｂなどを含んでいる。交通信号制御機３ａは、中央装置４から信号制御指令を受信し、当該信号制御指令に基づいて信号灯器３ｂの青、赤、黄、右折矢の各信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する。また、交通信号制御機３ａは、中央装置４から、信号制御指令の他、交通情報、半感応交差点情報を受信する。また、交通信号制御機３ａは、受信した交通情報、半感応交差点情報を当該交通信号制御機３ａに接続されている複数の路上装置２に送信する。また、交通信号制御機３ａは、路上装置２からアップリンク情報を受信し、これを中央装置４に送信する。
【００３１】
交通信号制御機３ａには、半感応制御を実行するものとしないものとが存在し、半感応制御を実行するものには、従来の半感応制御（以下、半感応制御Ａ）を実行するものと、新規の半感応制御（以下、半感応制御Ｂ）を実行するものとがある。以下、半感応制御Ａと半感応制御Ｂについて説明する。
【００３２】
図２は半感応制御Ａを実行する例を説明するための説明図である。交差点Ｉでは、交通量の多い主道路ＲＭ１、ＲＭ２と交通量の少ない従道路ＲＳ１、ＲＳ２とが合流している。半感応制御Ａを実行する交通信号制御機３ａは、中央装置４から受信した信号制御指令に含まれる半感応制御の許否を示す情報が許可を示している時間帯（半感応制御Ａが許可されている時間帯）においては、通常、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持している。車両感知器Ｄが従道路ＲＳ１から交差点Ｉに進入しようとする車両１０を感知すると、交通信号制御機３ａは所定時間の経過後（例えば、１０秒経過後）に従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、交通信号制御機３ａは所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持する。
【００３３】
従って、主道路ＲＭ１、ＲＭ２から交差点Ｉに進入する車両は、半感応制御Ａが許可されている時間帯においては、車両感知器Ｄが従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の車両を感知することにより主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できることから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は高い。逆に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２から交差点Ｉに進入する車両は、同時間帯においては、車両感知器Ｄが従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の車両を感知して従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できないことから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は低い。
【００３４】
一方、図３は半感応制御Ｂを実行する例を説明するための説明図である。半感応制御Ｂでは車両感知器Ｄの代わりに路上装置２が用いられる。判感応制御Ｂを実行する交通信号制御機３ａは、半感応制御Ａの場合と同様、中央装置４から受信した信号制御指令に含まれる半感応制御の許否を示す情報が許可を示している時間帯（半感応制御Ｂが許可されている時間帯）においては、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持している。路上装置２が従道路ＲＳ１から交差点Ｉに進入しようとする車両１０からアップリンク情報を受信すると、交通信号制御機３ａは路上装置２から交差点Ｉまでの距離と所定の走行速度（例えば、４０ｋｍ／ｈ）とに基づいて車両１０が交差点Ｉに到達する時刻を予測し、その予測した時刻に従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替える。そして、交通信号制御機３ａは所定時間の経過後（例えば、３０秒後）に主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を赤から青に切り替え、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を青から黄、黄から赤に切り替え、再び主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色を青に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色を赤に保持する。
【００３５】
従って、半感応制御Ａの場合と同様に、主道路ＲＭ１、ＲＭ２から交差点Ｉに進入する車両は、半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、路上装置２が従道路ＲＳ１側の車両１０からアップリンク情報を受信することにより主道路ＲＭ１、ＲＭ２側の信号灯色が赤となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できることから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は高い。また、半感応制御Ｂでは、半感応制御Ａとは異なり、アップリンク情報を送信した車両１０が交差点Ｉに到達する時刻に従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色が青に切り替わるため、従道路ＲＳ１、ＲＳ２から交差点Ｉに進入する車両がアップリンク情報を送信可能な場合には、当該車両は同時間帯においては、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が高い。逆に、従道路ＲＳ１、ＲＳ２から交差点Ｉに進入する車両がアップリンク情報を送信できない場合は、当該車両は同時間帯においては、従道路ＲＳ１、ＲＳ２側の信号灯色が青となっている間を除いて交差点Ｉを青信号で通過できないことから、交差点Ｉを青信号で通過できる可能性は低い。
【００３６】
中央装置４は、所定時間毎（例えば、５分毎）に交通情報を複数の交通信号機３に送信する。また、中央装置４は、所定時間毎（例えば、５分毎）に半感応制御の許否を示す情報等を含む信号制御指令を、半感応制御を実行可能な複数の交通信号機３に送信する。また、中央装置４は、各交差点Ｉにおける半感応制御の許否等を示す半感応交差点テーブル、各交差点に流入するリンクの主道路・従道路の別を示す主従道路テーブルを当該装置の記憶部に記憶しており、所定時間毎（例えば、５分毎）にこれらのテーブルに基づいて半感応交差点情報を作成し、複数の交通信号機３に送信する。ここで、リンクとは、上り方向と下り方向で区別した交差点間の道路のことをいう。
【００３７】
図４は半感応交差点テーブルの例を示す説明図である。半感応交差点テーブルは、交差点Ｉを識別するための交差点ＩＤ、当該交差点Ｉにおける半感応制御の種別（半感応制御Ａ、半感応制御Ｂ、半感応制御に対応しない）を区別するための半感応種別フラグ、当該交差点Ｉにおいて半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが現時点で許可されているか否かを区別するための半感応許可・不許可フラグ、当該交差点Ｉにおける半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂの許可開始時刻及び許可終了時刻の各欄から構成されている。なお、中央装置４は、交差点Ｉにおける半感応制御の許可開始時刻から許可終了時刻までの間、信号制御指令に含まれる半感応制御の許否を示す情報を、許可を示すように構成し、当該信号制御指令を当該交差点Ｉに設置された交通信号機３に送信する。
【００３８】
例えば、交差点ＩＤが０００００１である交差点Ｉでは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されており、半感応制御Ａの許可開始時刻が０６：００であり、許可終了時刻が２０：００であることを示している。
【００３９】
また、例えば、交差点ＩＤが０００００２である交差点Ｉでは、半感応制御Ｂに対応しており、現時点で半感応制御Ｂが許可されており、半感応制御Ｂの許可開始時刻が０７：００であり、許可終了時刻が１９：００であることを示している。
【００４０】
また、例えば、交差点ＩＤが００００５０である交差点Ｉでは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されておらず、半感応制御Ａの許可開始時刻が１６：００であり、許可終了時刻が１８：００であることを示している。
【００４１】
また、例えば、交差点ＩＤが００００５１である交差点Ｉでは、半感応制御Ａ、Ｂいずれにも対応していないことを示している。
【００４２】
図５は主従道路テーブルの例を示す説明図である。主従道路テーブルは、交差点Ｉを識別するための交差点ＩＤ、当該交差点Ｉに流入するリンクを識別するためのリンクＩＤ、リンクが主道路、従道路のいずれであるかを区別するための主従フラグの各欄から構成されている。
【００４３】
例えば、交差点ＩＤが０００００１である交差点Ｉに流入する、リンクＩＤが００００００１であるリンクは、主道路であることを示している。また、例えば、交差点ＩＤが０００００２である交差点Ｉに流入する、リンクＩＤが０００００１０であるリンクは、従道路であることを示している。なお、交差点ＩＤが０００００１、０００００２である交差点と、リンクＩＤが００００００１から０００００１４までのリンクの対応関係は、図６に示すようになっている。
【００４４】
図７は半感応交差点情報の例を示す説明図である。半感応交差点情報は、交差点Ｉを識別するための交差点ＩＤ、当該交差点Ｉに流入するリンクを識別するためのリンクＩＤ、当該交差点Ｉにおける半感応制御の種別（半感応制御Ａ、半感応制御Ｂ、半感応制御に対応しない）を区別するための半感応種別フラグ、当該交差点Ｉにおいて半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが現時点で許可されているか否かを区別するための半感応許可・不許可フラグ、当該交差点Ｉにおける半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂの許可開始時刻及び許可終了時刻、リンクが主道路、従道路のいずれであるかを区別するための主従フラグの各欄から構成されている。
【００４５】
例えば、リンクＩＤが００００００１であるリンクの先の、交差点ＩＤが０００００１である交差点Ｉは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されており、半感応制御Ａの許可開始時刻が０６：００であり、許可終了時刻が２０：００であり、上記リンクが主道路であることを示している。
【００４６】
また、例えば、リンクＩＤが００００２５３であるリンクの先の、交差点ＩＤが００００５０である交差点Ｉは、半感応制御Ａに対応しており、現時点で半感応制御Ａが許可されておらず、半感応制御Ａの許可開始時刻が１６：００であり、許可終了時刻が１８：００であり、上記リンクが従道路であることを示している。
【００４７】
また、例えば、リンクＩＤが００００２６２であるリンクの先の、交差点ＩＤが００００５１である交差点Ｉは、半感応制御Ａ、Ｂいずれにも対応しておらず、上記リンクが主道路であることを示している。
【００４８】
車両１０には経路探索装置１が搭載されており、経路探索装置１は路上装置２との間で各種情報を無線通信する。経路探索装置１を搭載した車両１０は、路上装置２の通信領域を通過する際に、路上装置２との間で無線通信を行い、交通情報及び半感応交差点情報を受信するとともに、アップリンク情報を送信する機能を備えていれば、アップリンク情報を送信する。経路探索装置１は、半感応交差点情報を取得すると、後述する経路探索処理を実行し、運転者に目的地までの誘導経路を提供する。
【００４９】
図８は車両１０に搭載されている経路探索装置１の構成を示すブロック図である。ＧＰＳ処理部１０１は、ＧＰＳ衛星からのＧＰＳ信号を受信し、ＧＰＳ信号に含まれる時刻情報、ＧＰＳ衛星の軌道、測位補正情報に基づいて、車両１０の位置（緯度、経度及び高度）を計測する。方位センサ１０２は、光ファイバジャイロなどで構成されており、車両１０の方位及び角速度を計測する。車速取得部１０３は、車速センサ１００１が車輪の角速度を検出することにより計測した車両１０の速度のデータを取得する。通信部１０４は、路上装置２から交通情報、半感応交差点情報を受信する。また、通信部１０４は、アップリンク情報を送信する機能を備えている場合には、路上装置２にアップリンク情報を送信する。
【００５０】
記憶部１０５は、道路地図データを記憶している。道路地図データには、交差点ＩＤと交差点Ｉの位置とを対応付けた交差点データ、リンクＩＤと、リンクの始点・終点・補間点（道路が折れ曲がる地点に対応）それぞれの位置と、リンクコスト、リンクの始点に接続するリンクのリンクＩＤと、リンクの終点に接続するリンクのリンクＩＤとを対応付けたリンクデータなどから構成されている。
【００５１】
リンクコストは、例えば、リンクと次に接続するリンクの組合せの数だけ設定されており、リンクの始点に進入してから当該リンクの終点を退出し、次に接続するリンクの始点に進入するまでに要する時間が設定されている。この場合、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコストと、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト、すなわち、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。交差点を通過するのに要するコストは、交差点を直進するのに要するコスト（以下、直進コストという）、交差点を左折するのに要するコスト（以下、左折コストという）、交差点を右折するのに要するコスト（以下、右折コストという）に分類することができ、次に接続するリンクとの接続関係が直進、左折、右折のいずれに該当するかによって定まる。直進コスト、左折コスト、右折コストは、例えば、それぞれ３秒、１０秒、４５秒が設定される。左折コストが直進コストよりも大きいのは、横断歩道での歩行者横断待ちの時間などを考慮しているためである。また、右折コストが直進コスト、左折コストよりも大きいのは、交差点での対向車の直進通過待ちの時間や、青信号の間に交差点を右折しきれずに、赤信号待ちとなった場合の時間などを考慮しているためである。
【００５２】
表示部１０６は、処理部１０８が後述する経路探索処理において作成した画像データをモニター１００２に表示する。音声出力部１０７は、処理部１０８が後述する経路探索処理において作成した音声データをスピーカー１００３から出力する。
【００５３】
処理部１０８は、１又は複数のマイクロコンピュータにより構成されており、ＣＤ−ＲＯＭやハードディスクなどの所定の記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する経路探索処理を行う。また、処理部１０８は、上記のコンピュータプログラムを実行することにより、ＧＰＳ処理部１０１が計測した位置、方位センサ１０２が計測した方位及び角速度、車速取得部１０３が取得した速度の各データに基づいてマップマッチング処理を行い、記憶部１０５に記憶している道路地図データのリンク上における車両１０の位置を求める。
【００５４】
次に、経路探索装置１の経路探索処理の手順について説明する。経路探索装置１は、路上装置２から半感応交差点情報を取得すると、半感応交差点情報に含まれる半感応制御種別フラグ、半感応許可・不許可フラグ、主従フラグに基づいて、リンクコストを補正する。
【００５５】
具体的には、半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが許可されている交差点Ｉに流入する主道路のリンクについては、リンクコストを小さくなるように補正する（例えば、リンクコストから２秒を差し引く）。上述したように、半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、主道路から交差点Ｉに進入する車両１０は当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が高く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が短くなるためである。
【００５６】
一方、半感応制御Ａが許可されている交差点Ｉに流入する従道路のリンクについては、リンクコストを大きくなるように補正する（例えば、リンクコストに２秒を加える）。上述したように、半感応制御Ａが許可されている時間帯においては、従道路から交差点Ｉに進入する車両１０は当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が低く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が長くなるためである。
【００５７】
また、半感応制御Ｂが許可されている交差点Ｉに流入する従道路のリンクについては、経路探索装置１の通信部１０４が路上装置２にアップリンク情報を送信する機能を備えている場合には、リンクコストを小さくなるように補正する（例えば、リンクコストから２秒を差し引く）。上述したように、半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、従道路から交差点Ｉに進入する車両１０は、当該車両１０がアップリンク情報を送信可能な場合は、当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が高く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が短くなるためである。
【００５８】
また、半可能制御Ｂが許可されている交差点Ｉに流入する従道路のリンクについては、経路探索装置１の通信部１０４が路上装置２にアップリンク情報を送信する機能を備えていない場合には、リンクコストを大きくなるように補正する（例えば、リンクコストに２秒を加える）。上述したように、半感応制御Ｂが許可されている時間帯においては、従道路から交差点Ｉに進入する車両１０は、当該車両１０がアップリンク情報を送信できない場合は、当該交差点Ｉを青信号で通過できる可能性が低く、当該交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要する時間が長くなるためである。
【００５９】
以上に述べた半感応交差点情報に基づくリンクコストの補正についてまとめると、図９のようになる。
【００６０】
ここで、半感応交差点情報に基づくリンクコストの補正について、図７に示したリンクの例を用いて、具体的に説明する。
【００６１】
リンクＩＤが００００００１であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ａ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「主」であるため、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から１秒、１０秒から８秒、４５秒から４３秒に補正する。
【００６２】
また、リンクＩＤが００００００２であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ａ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「従」であるため、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から５秒、１０秒から１２秒、４５秒から４７秒に補正する。
【００６３】
また、リンクＩＤが００００００５であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ｂ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「主」であるため、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から１秒、１０秒から８秒、４５秒から４３秒に補正する。
【００６４】
また、リンクＩＤが０００００１０であるリンクについては、半感応種別フラグが「Ｂ」であり、半感応許可・不許可フラグが「許可」であり、主従フラグが「従」であるため、通信部１０４がアップリンク情報を送信する機能を備えている場合には、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から１秒、１０秒から８秒、４５秒から４３秒に補正し、通信部１０４がアップリンク情報を送信する機能を備えていない場合には、リンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをそれぞれ３秒から５秒、１０秒から１２秒、４５秒から４７秒に補正する。
【００６５】
また、リンクＩＤが００００２５３であるリンクについては、半感応許可・不許可フラグが「不許可」であるため、リンクコストは補正しない。
【００６６】
また、リンクＩＤが００００２６２であるリンクについては、半感応種別フラグが「−」であるため、リンクコストは補正しない。
【００６７】
以上のように、本発明に係る経路探索装置は、交差点Ｉにおける半感応制御の許否を考慮してリンクコスト（具体的には、リンクコストに含まれる交差点Ｉを直進、左折、右折するのに要するコスト）を補正することにより、リンクコストに現実に則した値を設定することができる。
【００６８】
次いで、経路探索装置１は、目的地までの誘導経路を探索する。具体的には、目的地までの誘導経路を構成するリンクコストの合計値が最小となるように、ダイクストラ法などを用いて誘導経路を探索する。なお、目的地は運転者などにより予め設定されている。
【００６９】
次いで、経路探索装置１は、探索した誘導経路を道路地図に重畳した画像データを作成してモニター１００２に表示する。また、経路探索装置１は、誘導経路に沿った運転を案内するための音声データを作成して、車両１０がそれぞれの交差点Ｉを通過する際などの所定のタイミングでスピーカー１００３から出力する。
【００７０】
以上のように、経路探索装置１は、交差点における半感応制御の許否を考慮したリンクコスト（具体的には、リンクコストに含まれる交差点を直進、左折、右折するのに要するコスト）を用いて目的地までの誘導経路を探索し、表示するため、運転者はより現実に則した最良の誘導経路を取得でき、運転者にとって非常に有用となる。
【００７１】
上述の実施の形態においては、経路探索装置１は路上装置２から半感応交差点情報を取得する構成であったが、これに限定されるものではなく、経路探索装置１に接続した携帯電話を通じて取得する構成や、ラジオ放送などのメディアを通じて取得する構成であっても良い。また、予め記憶部１０５に半感応交差点情報を記憶しておき、記憶部１０５から取得する構成であってもよく、あるいは、半感応交差点情報を記録したＣＤ−ＲＯＭなどの記録媒体から取得する構成であっても良い。
【００７２】
また、経路探索装置１は半感応制御Ａ又は半感応制御Ｂが現時点で許可されている交差点Ｉに流入するリンクのリンクコストを補正する構成に限られない。例えば、現在の時刻にリンクコストを積算することにより車両１０が誘導経路情の各交差点Ｉに流入する時刻を予測して、その時刻が当該交差点Ｉにおける許可開始時刻から許可終了時刻までの範囲に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合には、当該交差点Ｉに流入するリンクコストを補正する構成であっても良い。これにより、現在又は将来のどの時間帯にどの交差点において半感応制御が許可されているかを正確に把握して、交差点を通過するのに要するコストを設定することができるため、より現実に則した値を設定することができる。
【００７３】
また、経路探索装置１はリンクコストに含まれる直進コスト、左折コスト、右折コストをともに同じ値（上記では２秒）を加減算する構成に限られない。例えば、直進コストの場合は、減算する補正は２秒、加算する補正は３秒、左折コストの場合は、減算する補正は３秒、加算する補正は５秒、右折コストの場合は、減算する補正は１５秒、加算する補正は３０秒、といったように、それぞれ異なる値を加減算する構成であっても良い。
【００７４】
また、半感応制御を実行する交通信号機３は、半感応制御Ａ、半感応制御Ｂのいずれかを実行する構成に限られず、半感応制御Ａと半感応制御Ｂの両方を、時間帯等に応じて切り替えて実行する構成であっても良い。
【００７５】
また、経路探索装置１は、半感応交差点情報に含まれる半感応制御種別フラグ、半感応許可・不許可フラグ、主従フラグに基づいてリンクコストを補正する構成に限られない。例えば、経路探索装置１が主道路を走行する車両に搭載されている場合、経路探索装置１は従道路の車両感知器Ｄによる車両の感知状況や従道路の路上装置２による車両からのアップリンク情報の受信状況を取得し、これらの感知状況や受信状況をさらに考慮してリンクコストを補正する構成であっても良い。具体的には、経路探索装置１は、取得した感知状況や受信状況に基づいて、車両感知器Ｄが従道路を走行する車両を感知した、あるいは、路上装置２が従道路を走行する車両からアップリンク情報を受信したと判断した場合には、主道路側の信号灯色がまもなく赤に切り替わる可能性があることから、当該主道路のリンクのリンクコストを大きくなるように補正する。
【００７６】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【００７７】
【図１】本発明に係る経路探索装置を含む情報提供システムの概要を示す模式図である。
【図２】半感応制御Ａを実行する例を説明するための説明図である。
【図３】半感応制御Ｂを実行する例を説明するための説明図である。
【図４】半感応交差点テーブルの例を示す説明図である。
【図５】主従道路テーブルの例を示す説明図である。
【図６】交差点とリンクの対応関係を示す説明図である。
【図７】半感応交差点情報の例を示す説明図である。
【図８】車両に搭載されている経路探索装置の構成を示すブロック図である。
【図９】半感応交差点情報に基づくリンクコストの補正の例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【００７８】
１ 経路探索装置
１０１ ＧＰＳ処理部
１０２ 方位センサ
１０３ 車速取得部
１０４ 通信部
１０５ 記憶部
１０６ 表示部
１０７ 音声出力部
１０８ 処理部
２ 路上装置
２ａ 通信部
２ｂ 通信制御部
３ 交通信号機
３ａ 交通信号制御機
３ｂ 信号灯器
４ 中央装置
１０ 車両
１００１ 車速センサ
１００２ モニター
１００３ スピーカー
Ｄ 車両感知器
Ｉ 交差点
Ｒ 道路
ＲＭ１、ＲＭ２ 主道路
ＲＳ１、ＲＭ２ 従道路
【特許請求の範囲】
【請求項１】
目的地までの誘導経路を探索する経路探索装置であって、
予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得する取得手段と、
前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、
前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段とを備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項２】
前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項３】
前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、
前記半感応交差点情報には、
前記第１半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、
前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項４】
前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、
前記経路探索装置は、
前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備え、
前記半感応交差点情報には、
前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、
前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項５】
前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、
前記経路探索装置は、
前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備えず、
前記半感応交差点情報には、
前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、
前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項６】
前記半感応交差点情報には、前記交差点の識別情報と前記交差点に流入する道路の識別情報の少なくとも１つが含まれることを特徴とする請求項１乃至請求項５のいずれか１つに記載の経路探索装置。
【請求項７】
前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点における許可の時間帯についての情報が含まれることを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれか１つに記載の経路探索装置。
【請求項８】
コンピュータに、目的地までの誘導経路を探索させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報に基づいて、半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、
前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項９】
目的地までの誘導経路を探索する経路探索方法であって、
予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得するステップと、
前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定するステップと、
前記設定されたコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索するステップとを備えることを特徴とする経路探索方法。
【請求項１】
目的地までの誘導経路を探索する経路探索装置であって、
予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得する取得手段と、
前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、
前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段とを備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項２】
前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項３】
前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、
前記半感応交差点情報には、
前記第１半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、
前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、前記第１半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項４】
前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、
前記経路探索装置は、
前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備え、
前記半感応交差点情報には、
前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、
前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、小さく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項５】
前記半感応制御は、車両感知器が従道路から交差点に進入しようとする車両を検知した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第１半感応制御と、従道路から交差点に進入しようとする車両から所定の情報を受信した場合に当該従道路側の信号灯色を切り替える第２半感応制御とを含み、
前記経路探索装置は、
前記所定の情報を外部に送信する送信手段を備えず、
前記半感応交差点情報には、
前記第２半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための情報と、
前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が主道路又は従道路のいずれであるかを識別するための情報が含まれ、
前記設定手段は、前記第２半感応制御が許可されている交差点に流入する道路が従道路である場合に当該道路から当該交差点を通過するのに要するコストを、前記半感応制御が許可されていない交差点に流入する道路から当該交差点を通過するのに要するコストよりも、大きく設定することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項６】
前記半感応交差点情報には、前記交差点の識別情報と前記交差点に流入する道路の識別情報の少なくとも１つが含まれることを特徴とする請求項１乃至請求項５のいずれか１つに記載の経路探索装置。
【請求項７】
前記半感応交差点情報には、半感応制御が許可されている交差点における許可の時間帯についての情報が含まれることを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれか１つに記載の経路探索装置。
【請求項８】
コンピュータに、目的地までの誘導経路を探索させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報に基づいて、半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定する設定手段と、
前記設定手段が設定したコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索する探索手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項９】
目的地までの誘導経路を探索する経路探索方法であって、
予め定められた対象となる交差点が、半感応制御が許可されている交差点であるか否かを識別するための、半感応交差点情報を取得するステップと、
前記半感応交差点情報に基づいて半感応制御が許可されている交差点の通過に要するコストを設定するステップと、
前記設定されたコストに基づいて目的地までの誘導経路を探索するステップとを備えることを特徴とする経路探索方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００９−１９２２７８（Ｐ２００９−１９２２７８Ａ）
【公開日】平成２１年８月２７日（２００９．８．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３１１８６（Ｐ２００８−３１１８６）
【出願日】平成２０年２月１３日（２００８．２．１３）
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年８月２７日（２００９．８．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月１３日（２００８．２．１３）
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
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