経路探索装置、経路探索方法、及び経路探索システム
【課題】経路探索開始時における通信方式を利用可能な状態を極力維持できる経路を探索する技術を提供する。
【解決手段】経路探索を行う経路探索装置であって、移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、を備える。
【解決手段】経路探索を行う経路探索装置であって、移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置、経路探索方法、及び経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体とともに移動する通信装置における通信データの受信レートを確保することを目的とする技術として特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、移動体の移動経路を探索する経路探索装置が開示され、この経路探索装置は、複数の領域のそれぞれについての日時情報に関連付けられた通信状態情報を含む通信環境情報が記憶される記憶手段と、通信環境情報を利用し、所定の通信環境条件の維持を考慮しつつ、移動体の目的地までの移動経路を探索する探索手段と、を備える。
【0003】
また、特許文献2には、利用する通信回線と目的地情報とに基づいて、当該移動通信端末装置が現在地から目的地までの移動中において、最も効率の良い通信を行うことができる経路を探索することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−48590号公報
【特許文献2】特開2008−236381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体の通信システムとして第3世代(3G:3rd Generation)が普及しているが、より高速・大容量のネットワークを実現するための無線通信技術として、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)などの通信方式が普及しつつある。また、複数の通信方式に対応した通信装置を搭載する、ナビゲーション機能を有する車載機や携帯端末(携帯電話機やスマートフォン)が普及しつつある。
【0006】
WiMAXやLTEなどの新たな通信方式によれば、より高速・大容量のネットワークが実現可能となる。但し、このような新たな通信方式は、基地局が少なくカバーエリアが少ないため、車載機や携帯端末を搭載する移動体の走行経路によっては、通信が途絶することが懸念される。
【0007】
従来技術として、通信状態を維持するため通信方式を切り替える技術が存在する。但し、係る技術では、通信状態の維持は図ることができても、通信速度や通信容量を考慮せずに切り替えているため、高速・大容量のデータ通信を維持することができない場合がある。
【0008】
本発明では、上記した背景に鑑み、経路探索開始時における通信方式を利用可能な状態を極力維持できる経路を探索する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上述した課題を解決するため、経路探索開始時の通信方式に関する通信方式情報を取得し、通信方式情報を考慮して、現在地から目的地までの経路を探索する。
【0010】
より詳細には、本発明は、経路探索を行う経路探索装置であって、移動体と共に移動す
る情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、を備える。
【0011】
本発明に係る経路探索装置によれば、経路探索開始時の通信方式による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。経路探索装置には、ネットワーク上のサーバ、車両などの移動体に搭載されるナビゲーション機能を有する車載機、ナビゲーション機能を有する携帯端末(携帯電話機やスマートフォン)が例示される。換言すると、本発明は、経路探索の処理はサーバで行い、探索結果を車載機や携帯端末に送ることで車載機や携帯端末で経路誘導を行うこと、車載機や携帯端末で経路探索を行い、その際に、必要な情報をサーバから取得すること、更に、車載機や携帯端末で経路探索を行う際、その一部の処理をサーバで行うこと(例えば、通信方式を考慮しない経路探索は車載機や携帯端末で行い、通信方式を考慮した経路探索はサーバで行うこと)ができる。通信方式情報とは、無線通信方式であり、3G(3rd Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)が例示される。例えば、WiMAXやLTEは、3Gに比べて基地局が少なくカバーエリアが狭く通信が途絶することが懸念される。本発明に係る経路探索装置によれば、例えば、経路誘導開始時において、WiMAXやLTEが利用されている場合でも、WiMAXやLTEを利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。情報出力部の出力には、サーバから車載機や携帯端末へ経路の探索結果を送信する態様、車載機や携帯端末による探索結果を表示装置に表示する態様が含まれる。
【0012】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部を更に備え、前記情報出力部は、探索した経路に、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間が含まれる場合その旨を出力するようにしてもよい。本発明では、情報処理部は、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索するが、基地局の整備がされていない地域など、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない地域も存在する。経路上にそのような地域(区間)が存在する場合には、その旨を出力することで、ユーザは、経路上にそのような地域(区間)が存在することを知ることができる。そして、ユーザは、そのような情報も考慮して最適な経路を選択することができる。
【0013】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報出力部は、探索した経路に、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間が含まれる場合その旨を出力し、更に、該区間において処理中のコンテンツがある場合には、前記情報処理装置から出力する、前記コンテンツに代替するコンテンツを既定されたコンテンツから選択して、前記情報処理装置から出力させるようにしてもよい。例えば、経路探索開始時の通信方式を利用して、情報処理装置が楽曲や動画などのコンテンツの配信を受けている場合、通信を維持できない区間では既定の代替のコンテンツを用いることで、通信を維持できない区間を走行時に突然楽曲や動画の再生が停止するといった事態を防止することができる。
【0014】
なお、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部は、前記現在地情報と前記目的地情報のみに基づいて目的地までの一般経路を探索し、前記情報出力部は、前記経路と前記一般経路を出力するようにしてもよい。通信方式を考慮した経路と、現在地情報と目的地情報のみに基づく一般経路(通信方式を考慮しない経路)との双方を探索し、出力することで、両者の比較が可能となる。
【0015】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部は、前記経路による、目的地までの所要時間、目的地までの使用燃料、ネットワークへの接続可能時間のうち少なくとも何れか一つを算出し、前記情報出力部は、前記情報処理部によって算出された、前記所要時間、前記使用燃料、前記接続情報を出力するようにしてもよい。目的地までの所要時間、目的地までの使用燃料、ネットワークへの接続可能時間を算出し、出力することで、ユーザは、より多くの情報を考慮して最適な経路を選択することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部は、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を複数探索し、前記複数の経路の夫々について、目的地までの所要時間、目的地までの使用燃料、ネットワークへの接続可能時間のうち少なくとも何れか一つを算出し、前記情報出力部は、前記情報処理部によって算出された、前記所要時間、前記使用燃料、前記接続情報を出力するようにしてもよい。本発明によれば、複数の経路から最適な経路を選択することが可能となる。
【0017】
上述したように、前記経路探索装置は、ネットワークに接続自在なサーバによって構成することができる。すなわち、本発明に係る経路探索装置は、ネットワークに接続自在なサーバからなり、前記情報取得部は、前記通信方式情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を前記情報処理装置から取得し、前記通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記情報処理装置の通信方式に対応するエリア情報を取得し、前記情報処理部は、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できる目的地までの経路を探索し、前記情報出力部は、前記情報処理部による経路の探索結果を、前記情報処理装置へ送信するようにしてもよい。
【0018】
また、前記経路探索装置は、ネットワークに接続自在な移動体と共に移動する前記情報処理装置からなり、前記情報取得部は、前記通信方式情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を取得し、前記通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記情報処理装置の通信方式に対応するエリア情報を取得し、前記情報処理部は、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できる目的地までの経路を探索し、前記情報出力部は、前記情報処理部による経路の探索結果を、表示装置へ表示するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明は、経路探索方法として特定することもできる。すなわち、本発明は、経路探索を行う経路探索方法であって、移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理ステップと、を含む。本発明に係る経路探索方法によれば、経路探索開始時の通信方式による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。
【0020】
また、本発明は、経路探索を行うサーバからなる経路探索装置と、経路探索装置とネットワークを介して接続され、移動体と共に移動する情報処理装置とを備える経路探索システムとして特定することもできる。すなわち、本発明は、経路探索を行うサーバからなる経路探索装置と、前記経路探索装置とネットワークを介して接続され、移動体と共に移動する情報処理装置とを備える経路探索システムであって、前記経路探索装置は、前記情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に
関する目的地情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部と、を備え、前記情報処理装置は、前記情報出力部から出力された経路の探索結果に基づいて経路誘導を行う、経路探索システムである。
【0021】
また、本発明は、上述した経路探索方法を実現させるプログラムとして特定することもできる。更に、本発明は、上記プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この場合、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。なお、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、経路探索開始時における通信方式を利用可能な状態を極力維持できる経路を探索する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施形態に係る経路探索システムの概要を示す。
【図2】第一実施形態に係るサーバの機能ブロック図を示す。
【図3】第一実施形態に係る車載機の構成を示す。
【図4】経路探索処理フローを示す。
【図5】サービスエリアマップの一例を示す。
【図6】経路探索結果データベースの一例を示す。
【図7】経路決定処理フローを示す。
【図8】車載機の表示部に表示される算出結果の一例を示す。
【図9】第二実施形態に係る車載機のナビゲーション部の機能ブロック図を示す。
【図10】第二実施形態に係る経路探索処理・経路決定処理フローを示す。
【図11】第三実施形態に係る経路探索処理フローを示す。
【図12】WiMAXによる通信を維持できない区間が特定された様子を示す。
【図13】経路探索結果データベースのその他の例を示す。
【図14】車載機の表示部に表示される算出結果の他の例を示す。
【図15】地図及び経路を含む算出結果のイメージ画像の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の第一実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明は例示であり、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されない。
【0025】
[第一実施形態]
<構成>
≪経路探索システム≫
図1に示すように、第一実施形態に係る経路探索システムAは、サーバ1、車載機3を備える。サーバ1、車載機3は、互いにネットワーク4を介して接続されている。ネットワーク4には、電話回線網を利用したインターネットが例示されるが、ネットワーク4は、サーバ1、車載機3を電気的に接続し、通信可能とできるものであれば良くその態様は特に限定されない。
【0026】
≪サーバ≫
図2は、第一実施形態に係るサーバの機能ブロック図を示す。サーバ1は、本発明の経路探索装置に相当する。サーバ1は、ハードウェア構成として、サーバの制御部15、サーバの表示装置11、サーバの入力装置12、サーバの通信装置13、サーバの記憶装置14を備え、サーバの制御部15は、CPU16、メモリ17を有する。また、サーバの制御部15は、情報取得部18、情報処理部19、情報出力部20を備える。
【0027】
サーバの表示装置11は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT(Cathode Ray Tube)、エレクトロルミネッセンスパネル等を含む。サーバの入力装置12は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、操作ボタン等を含む。サーバの通信装置13には、例えば、ネットワーク4への接続を実現する通信モジュール(例えば、ネットワークカード)が例示される。サーバの記憶装置14は、ハードディスクドライブ(以下、HDDとする。)や半導体メモリ等により構成することができる。第一実施形態では、サーバの記憶装置14がサーバ1内に設けられているが、記憶装置はサーバ1の外部に設けられていてもよい。
【0028】
サーバのCPU16は、各ハードウェアを制御し、また、サーバのメモリ17に登録された制御プログラムに従って、情報取得部18、情報処理部19、情報出力部20といった各機能部を機能させる。その結果、サーバの制御部15は、これらの各機能部を備える制御部15として機能する。各機能部は、サーバのCPU16上で実行されるコンピュータプログラムとして構成することができる。また、これらの各機能部は、専用のプロセッサとして構成してもよい。
【0029】
情報取得部18は、車両に搭載された車載機3の通信方式に関する通信方式情報と、通信方式の通信状態に関するエリア情報と、車両の現在地に関する現在地情報と、車両の目的地に関する目的地情報と、を取得する。
【0030】
情報処理部19は、情報取得部18で取得された、通信方式情報、エリア情報、現在地情報、及び目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できる目的地までの経路を探索する。
【0031】
情報出力部20は、情報処理部19による経路の探索結果を、車載機3に送信する。
【0032】
≪車載機≫
車載機3は、直接ネットワークに接続できる他、例えば、携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末と接続されることで携帯端末を介してネットワークに接続することができる。車載機3は、コンテンツ配信サーバ5への接続が可能であり、楽曲や動画の配信を始め、ネットワークを介して種々のサービス提供を受けることができる。
【0033】
図3は、車載機の一例を示すが、第一実施形態に係る車載機3は、制御部101、放送受信部102、ディスク再生部103、HD再生部104、ナビゲーション部105(図2では、単に「ナビ」と記載する。)、VICS情報受信部106、GPS情報受信部107、分配回路108、画像調整回路109、音声調整回路110、スピーカ111、画像出力部112、表示部113、操作部114、メモリ115、第一通信装置部121、第二通信装置部122を備える。
【0034】
制御部101は、車載機3(AVN一体機)の各部、或いは接続された外部機器からの信号、また使用者(ユーザ)の操作に基づく各操作部からの操作指示信号等を入力し、それら信号に基づき車載機3の各部、或いは外部機器を統括的に制御する。車載機の制御部
101は、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)により構成され、ROM等のメモリに記憶されたプログラムに従い動作する。
【0035】
放送受信部102は、アンテナにより受信された放送波から、特定の周波数の放送波を選択受信し、復調して当該放送の音声信号および、画像信号(テレビ放送の場合)を出力する。ディスク再生部103は、ディスクに記憶されているデータをピックアップにより読込み、読込んだデータに基づく音声信号、画像信号(例えばCD、DVD、BD(Blu-ray Disc)の場合)の出力を行う。HD再生部104は、磁気記録媒体であるハードディスク
(HD)にMP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション
用の地図データ等が記憶され、記憶された各種データから所望のデータを読み出し、画像信号、音声信号、文字信号を出力する。
【0036】
ナビゲーション部105(図3では、単に「ナビ」と記載する)は、地図上に自車位置や目的地までの経路を表示したり、交差点等で音声等により右左折等の進行方向案内を行い、また後述するVICS情報受信部106から交通情報、GPS情報受信部107から自車位置情報を入手して表示したりして、目的地までの経路案内を行う。第一実施形態では、サーバ1が経路探索を行うが、ナビゲーション部105がサーバ1の機能を持つようにしてもよい。ナビゲーション部105が経路探索を行う態様については第二実施形態で説明する。
【0037】
VICS情報受信部106は、交通情報通信システム(VICS(登録商標))に係る交通情報を受信し、受信した交通情報を出力する。GPS情報受信部107は、GPS(登録商標)衛星からのGPS信号に基づき自車位置を検出し、検出した現在地情報を出力する。
【0038】
分配回路108は、制御部101の制御信号により、出力することが指定された各種ソース(ディスク再生部103、放送受信部102、HD再生部104及びナビゲーション部105)の音声信号と画像信号を音声調整回路110及び画像調整回路109に出力する。画像調整回路109は、制御部101の制御信号により、入力された画像信号に対し、輝度や色調、コントラストなどを調整し、調整した各画像信号を出力する。
【0039】
音声調整回路110は、車載機の制御部101の制御信号により、入力された音声信号に対し、音量、音声を調整し、調整した音声信号を出力する。スピーカ111は、音声調整回路110により入力された音声信号を、音声出力する。
【0040】
画像出力部112は、画像調整部から入力された画像信号と、車載機の制御部101から表示部に表示させる表示画像信号とを入力して画像合成等の処理を施し、当該処理を施した画像信号に基づき表示部113を駆動する。画像出力部112は、例えば、演算処理により画像処理を行なう画像用に特化された演算処理回路である画像ASIC、画像処理・出力用に画像データを記憶するビデオメモリ、画像出力用ビデオメモリに記憶された画像データに基づき表示部を駆動する画像駆動回路等で構成される。第一実施形態では、画像出力部112が機能することで、種々の画像が車載機の表示部113に表示される。
【0041】
表示部113は、画像出力部112により入力された画像信号に基づき画像を表示する。表示部113は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、冷陰極フラットパネルディスプレイ等で構成される。第一実施形態の表示部113は、タッチパネルによって構成されている。
【0042】
操作部114は、装置の使用者が各種操作を行う。操作部114は、例えばタッチパネルや、押釦スイッチ、回転操作スイッチ、ジョイスティック等により構成される。第一実
施形態の操作部は、タッチパネル及び各種ボタンによって構成されている。
【0043】
メモリ115は、各種データや制御プログラムを記憶するメモリ(記憶媒体)で、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、書換え可能なフラッシュメモリ等により構成される。
【0044】
第一通信装置部121は、ネットワークへ接続する専用モジュールであり、例えば3G(3rd Generation)用モジュールによって構成される。
【0045】
第二通信装置部122も、ネットワークへ接続する専用モジュールであり、例えばWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)用モジュールによって構
成される。
【0046】
なお、第一通信装置部121又は第二通信装置部122は、DCM(Data Communication Module)や、LTE(Long Term Evolution)用モジュールによって構成してもよい。また、車載機3は、第一通信装置部121や第二通信装置部122に加えて、若しくはこれらに代えて、無線装置部を備える構成でもよい。無線装置部と携帯端末とを無線接続することで、携帯端末を介したネットワークへの接続が可能となる。無線装置部には、Bluetoothモジュール(Bluetoothは、登録商標)、WiFiモジュール(WiFi:Wireless
Fidelity)が例示される。
【0047】
<処理フロー>
≪経路探索処理≫
次に、通信方式も考慮した経路探索処理について図面に基づいて説明する。以下の説明では、経路探索処理をサーバで実行する場合を例に説明する。
【0048】
図4は、経路探索処理フローを示す。経路探索処理は、車載機3に電源が供給され、車載機3に設けられた経路探索を開始するボタンが選択されることで開始される。なお、通信制御、換言するとコンテンツ配信サーバ1からのコンテンツのダウンロードなどの送受信は、例えば、以下に説明する経路探索処理のバックグラウンドで、サーバの制御部15が別途実行する。また、第一実施形態では、ネットワークへの接続が、第二通信装置部122(WiMAX)を利用して行われているものとする。
【0049】
ステップS01では、サーバの制御部15は、経路探索情報を取得する。経路探索情報は、経路探索を実行する上で必要とされる情報であり、現在地情報、目的地情報を含む。現在地情報は、車両の現在地に関する情報であり、車載機3のGPS情報受信部107によって取得される。目的地情報は、車両の目的地に関する情報であり、車載機3の表示部113又は操作部114を介して入力される。経路探索情報が取得されると、ステップS02へ進む。
【0050】
ステップS02では、サーバの制御部15は、経路探索情報に基づいて経路探索を行う。すなわち、サーバの制御部15は、現在地情報と目的地情報に基づいて目的地までの経路を探索する。例えば、高速道路優先、一般道路優先、渋滞考慮といった設定を予め行うことも可能であり、このような設定が行われている場合には、設定条件に従った経路探索が実行される。経路探索が行われると、ステップS03へ進む。
【0051】
ステップS03では、サーバの制御部15は、通信方式情報及びエリア情報を取得する。通信方式情報は、車載機3の通信方式に関する情報であり、サーバの制御部15は、経路探索時に利用している通信方式に関する情報を取得する。第一実施形態では、第二通信装置部122が利用されていることから、通信方式として「WiMAX」が取得される。なお、経路探索時に第一通信装置121が利用されていた場合には、通信方式として[3
G]が取得される。エリア情報は、通信方式の通信状態、換言すると、通信方式のサービスエリアに関する情報である。第一実施形態では、「WiMAX」のサービスエリアに関する情報が取得される。ここで、図5は、サービスエリアマップの一例を示す。網掛け領域は、基地局が設置されることで「WiMAX」を利用した通信が可能な領域を示す。図5は、経路1は現在地から目的地まで全てサービスエリアでカバーされているが、経路2はエリア2とエリア4との間に「WiMAX」による通信ができない領域が存在していることを示す。このような、エリア情報(サービスエリアマップ)は、外部のサーバから取得してもよく、また、サーバの記憶装置に予め記憶させておいてもよい。通信方式情報及びエリア情報が取得されると、ステップS04へ進む。
【0052】
ステップS04では、サーバの制御部15は、探索した経路における接続時間を算出する。すなわち、サーバの制御部15は、探索した経路とエリア情報とを比較し、サービスエリア内に存在する経路を特定し、特定した経路の距離と経路を走行する際の車両の速度情報に基づいて、「WiMAX」を利用したネットワークへの接続時間を算出する。経路を走行する際の車両の速度情報は、制限速度などを考慮して予め設定することができる。接続時間が算出されると、ステップS05へ進む。
【0053】
ステップS05では、サーバの制御部15は、算出した接続時間を保存する。すなわち、サーバの制御部15は、記憶装置14に格納される経路探索結果データベースに、ステップS04で算出した接続時間を記録する。その際、サーバの制御部15は、走行時間の他、経路の距離、経路全体の走行時間も合わせて記録する。図6は、経路探索結果データベースの一例を示す。経路探索結果データベースは、「経路」、「時間」、「距離」、「ネットワーク接続時間」、「配信できる時間」の項目が設けられ、各項目に対応する情報が記録されている。接続時間が保存されると、ステップS06へ進む。
【0054】
ステップS06では、サーバの制御部15は、保存した接続時間が最大であるか判定する。すなわち、サーバの制御部15は、経路探索結果データベースにアクセスし、保存した接続時間が、経路探索結果データベースに記録されている接続時間の中で最大であるか判定する。なお、経路探索結果データベースに記録がない場合には、保存した接続時間が最大となる。また、既に、経路探索結果データベースに接続時間が記録されている場合には、既に記録されている接続時間の最大とこの度保存した接続時間とを比較し、保存した接続時間が最大であるか判定する。保存した接続時間が最大である場合には、ステップS07へ進む。一方、保存した接続時間が最大でない場合には、ステップS08へ進む。
【0055】
ステップS07では、サーバの制御部15は、接続最大時間を保存する。すなわち、サーバの制御部15は、経路探索結果データベースに、保存した接続時間を接続最大時間として記録する(図6参照)。接続最大時間が保存されると、ステップS08へ進む。
【0056】
ステップS08では、サーバの制御部15は、全ての経路を探索したか判定する。すなわち、サーバの制御部15は、予め設定されている経路の探索条件毎の経路探索が全て行われているか判定する。つまり、探索条件数(例えば、高速優先、一般道優先、渋滞考慮)に対応する経路が探索されているか判定される。全ての経路が探索されている場合には、ステップS09へ進む。一方、全ての経路が探索されていない場合には、ステップS02へ戻り、再度経路探索を実行する。例えば、高速優先条件でのみ経路探索が実行済みの場合、次に、一般道優先条件に基づく経路探索が実行される。
【0057】
ステップS09では、サーバの制御部15は、配信できる時間を算出する。配信できる時間とは、コンテンツ配信サーバ5から配信されるコンテンツを配信できる時間であり、コンテンツ毎に定められる。例えば、楽曲であれば、楽曲のデータ量、「WiMAX」の通信速度、楽曲の長さ、接続最大時間に基づいて楽曲の再生時間が算出される。なお、再
生時間に代えて再生回数を算出するようにしてもよい。また、動画であれば、動画のデータ量、「WiMAX」の通信速度、動画の長さ、接続最大時間に基づいて動画の再生時間が算出される。算出された配信できる時間は、経路探索結果データベースに記録される。図6に示すように、「配信できる時間」の項目には、各経路において配信できる時間が、コンテンツと対応付けられて記録される。例えば、経路1では、動画が2時間再生可能と記録されている。なお、一つの経路に対して複数のコンテンツの夫々に対応した配信できる時間を記録するようにしてもよい。例えば、図6では、経路1において、「動画が2時間再生可能」のみ記録されているが、更に、「楽曲が2.0時間再生可能」を記録するようにしてもよい。また、コンテンツを統一せずに、各経路で最大限配信できる時間のみを表示するようにしてもよい。例えば、経路1は、「2時間の動画が再生可能」、経路2は、「1時間の楽曲が再生可能」、経路3は、「Webの参照のみ可能」といった記録でもよい。上記は、例えば、経路1では、最大2時間の映画が再生可能であり、経路2では、2時間の映画の再生はできないが、最大1時間の楽曲が再生可能であることを意味する。そして、経路3では、動画や楽曲の再生は難しいが、Webの参照が可能であることを意味する。
【0058】
また、ステップS09では、サーバの制御部15は、配信できる時間の他、経路毎の消費燃料、経路毎のコストを算出し、算出結果を経路探索結果データベースへ記録するようにしてもよい。配信できる時間が算出されると、ステップS10へ進む。
【0059】
ステップS10では、サーバの制御部15は、算出結果を車載機3へ送信する。すなわち、サーバの制御部15は、経路探索結果データベースに対応する算出結果を車載機3へ送信する。算出結果が送信されると、本処理が終了する。
【0060】
≪経路決定処理≫
算出結果が車載機3へ送信されると、車載機3では、経路の決定処理が開始される。図7は、経路決定処理フローを示す。ステップS11では、車載機の制御部101が第二通信装置部122を介して算出結果を受信する。次に、ステップS12では、車載機の制御部101は、受信した算出結果を表示部113に表示させる。ここで、図8は、車載機の表示部に表示される算出結果の一例を示す。図8に示す例では、表示部113に「時間」、「距離」、「ネットワーク接続時間」、「配信できる時間」の項目が設けられ、各経路毎にこれらの項目に対応する情報が記録されている。例えば、経路1は、時間:2時間、距離:150km、ネットワーク接続時間:2.0時間、配信できる時間:動画再生が2.0時間となっている。また、経路2は、時間:1.7時間、距離:140km、ネットワーク接続時間:1.7時間、配信できる時間:動画再生が1.7時間となっている。このような表示から、ユーザは、経路1は経路2よりも時間と距離が多くなるものの、動画再生を2.0時間楽しむことができるといった判断を下すことができる。算出結果が表示部113に表示されると、ステップS13へ進む。
【0061】
ステップS13では、車載機の制御部101は、経路の選択指示を、表示部113又は操作部114を介して受け付ける。次に、ステップS14では、車載機の制御部101は、表示部113又は操作部114に対するユーザの選択指示に基づいて、経路を決定する。経路が決定されると、ステップS15では、車載機の制御部101は、経路誘導処理を実行する。すなわち、選択された経路を第二通信装置部122を介して選択された経路に関する情報をサーバ1へ送信する。サーバの制御部15は、車載機3から送信された経路に対応に対する経路誘導を実行し、経路誘導に必要な情報(地図情報、車両の位置情報、音声情報等)を車載機3へ随時送信する。車載機の制御部101は、第二通信装置部122を介して、サーバ1から送信される経路誘導に必要な情報を随時受信し、受信した情報を表示部113に表示し、また、必要な音声案内をスピーカ111を通じて出力することで、経路誘導処理を実行する。車両が目的地に到着すると、経路選択処理が終了する。
【0062】
<効果>
以上説明した第一実施形態に係る経路探索システムAによれば、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。また、各経路毎の目的地までの所要時間、目的地までの距離、ネットワーク接続時間、配信できる時間といった情報がユーザに対して提供される。従って、ユーザは、このような有用な情報を踏まえて、自身の嗜好に合った目的地までの経路を決定することができる。
【0063】
[第二実施形態]
<構成>
第二実施形態に係る経路探索システムでは、第一実施形態においてサーバ1が実行した経路探索処理を車載機3が実行する。図9は、第二実施形態に係る車載機のナビゲーション部105の機能ブロック図を示す。図9に示すように、第二実施形態では、車載機のナビゲーション部105が、第一実施形態に係るサーバの制御部15と同様の構成を備える。その結果、車載機3側で、第一実施形態で説明した経路探索処理を行うことができる。なお、サーバの制御部15に相当する構成は、車載機の制御部101が備えていてもよい。
【0064】
<処理フロー>
≪経路探索処理・経路決定処理≫
図10は、第二実施形態に係る経路探索処理・経路決定処理フローを示す。ステップS01では、ナビゲーション部105は、経路探索情報を取得する。経路探索情報に含まれる現在地情報や目的地情報は、メモリ115に記憶することができ、ナビゲーション部105は、現在地情報や目的地情報をメモリ115から取得することができる。
【0065】
ステップS02では、ナビゲーション部105は、経路探索情報に基づいて経路探索を行う。次に、ステップS03では、ナビゲーション部105は、通信方式情報及びエリア情報を取得する。通信方式情報は、メモリ115に記憶することができ、ナビゲーション部105は、通信方式情報及びエリア情報をメモリ115から取得することができる。一方、エリア情報(サービスエリアマップ)は、外部のサーバから取得してもよく、また、サーバの記憶装置に予め記憶させておき、サーバの記憶装置から取得するようにしてもよい。
【0066】
ステップS04では、ナビゲーション部105は、探索した経路における接続時間を算出する。次に、ステップS05では、ナビゲーション部105は、算出した接続時間を保存する。なお、保存先となる経路探索結果データベースは、車載機のメモリ115に格納してもよく、また、サーバの記憶装置14に格納してもよい。
【0067】
ステップS06では、ナビゲーション部105は、保存した接続時間が最大であるか判定する。保存した接続時間が最大である場合には、ステップS07へ進む。一方、保存した接続時間が最大でない場合には、ステップS08へ進む。ステップS07では、ナビゲーション部105は、接続最大時間を保存する。
【0068】
ステップS08では、ナビゲーション部105は、全ての経路を探索したか判定する。全ての経路が探索されている場合には、ステップS09へ進む。一方、全ての経路が探索されていない場合には、ステップS02へ戻り、ナビゲーション部105は、再度経路探索を実行する。ステップS09では、ナビゲーション部105は、配信できる時間を算出する。配信できる時間が算出されると、ステップS12へ進む。
【0069】
ステップS12では、ナビゲーション部105は、受信した算出結果を表示部113に
表示させる。次に、ステップS13では、ナビゲーション部105は、経路の選択指示を、表示部113又は操作部114を介して受け付ける。次に、ステップS14では、ナビゲーション部105は、表示部113又は操作部114に対するユーザの選択指示に基づいて、経路を決定する。経路が決定されると、ステップS15では、ナビゲーション部105は、経路誘導処理を実行する。すなわち、ナビゲーション部105は、経路誘導に必要な情報(地図情報、車両の位置情報、音声情報等)を表示部113に表示し、また、必要な音声案内をスピーカ111を通じて出力することで、経路誘導処理を実行する。車両が目的地に到着すると、経路探索処理・経路決定処理が終了する。
【0070】
<効果>
以上説明した第二実施形態に係る経路探索システムによれば、車載機3において、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。また、各経路毎の目的地までの所要時間、目的地までの距離ネットワーク接続時間、配信できる時間といった情報がユーザに対して提供される。従って、ユーザは、このような有用な情報を踏まえて、自身の嗜好に合った目的地までの経路を決定することができる。
【0071】
[第三実施形態]
第三実施形態に係る経路探索システムでは、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を維持できない区間が、車載機の表示部113に表示され、また、通信を維持できない区間において提供可能なメディアが表示される。なお、経路検索システムの構成は、第一実施形態又は第二実施形態と同様とすることができる。従って、構成の説明は、割愛する。
【0072】
≪経路探索処理≫
図11は、第三実施形態に係る経路探索処理フローを示す。サーバの制御部15は、ステップS01からステップS03までの処理を実行する。ステップS03で通信方式情報及びエリア情報が取得されると、ステップS04−1へ進む。ステップS04−1では、サーバの制御部15は、探索した経路における接続時間を算出すると共に、通信を維持できない区間を特定する。図12は、WiMAXによる通信を維持できない区間が特定された様子を示す。図12では、経路1と経路2が共にWiMAXによる通信を維持できない区間が存在する。具体的には、経路1は、エリア1とエリア2の間にWiMAXによる通信を維持できない区間が存在し、また、経路2は、エリア1とエリア4との間にWiMAXによる通信を維持できない区間が存在している。接続時間が算出され、かつ通信を維持できない区間が特定されると、ステップS05−1へ進む。
【0073】
ステップS05−1では、サーバの制御部15は、算出した接続時間、及びWiMAXによる通信を維持できない区間を保存する。すなわち、サーバの制御部15は、記憶装置14に格納される経路探索結果データベースに、ステップS04で算出した接続時間を記録する。その際、サーバの制御部15は、走行時間の他、経路の距離、経路全体の走行時間も合わせて記録する。更に、サーバの制御部15は、WiMAXによる通信を維持できない区間(通信不可区間)の走行時間、区間の距離、ネットワーク切断時間、及び通信を維持できない区間で提供可能なメディアを記録する。提供可能なメディアには、CD/DVD、ラジオ、NEWS/広告(配信済み)が例示される。なお、本来通信が必要とされるコンテンツでも、配信が既に完了しているコンテンツは、提供可能なメディアに含めることができる。図13は、経路探索結果データベースのその他の例を示す。なお、提供可能なメディアは、項目だけ記録しておいてもよく、また、予め特定の楽曲名やラジオ局を特定しておいてもよい。接続時間、及びWiMAXによる通信を維持できない区間が保存されると、ステップS06へ進む。
【0074】
サーバの制御部15は、ステップS06からステップS09までの処理を実行する。そして、ステップS10では、算出結果を車載機3へ送信する。すなわち、サーバの制御部15は、図13の経路探索結果データベースに対応する算出結果を車載機3へ送信する。算出結果が送信されると、本処理が終了する。
【0075】
≪経路決定処理≫
算出結果が車載機3へ送信されると、車載機3では、経路の決定処理が開始される。第一実施形態で説明したように(図8参照)、ステップS11では、車載機の制御部101が第二通信装置部122を介して算出結果を受信する。次に、ステップS12では、車載機の制御部101は、受信した算出結果を表示部113に表示させる。ここで、図14は、車載機の表示部に表示される算出結果の他の例を示す。図14に示す例では、表示部113に「時間」、「距離」、「ネットワーク接続時間」、「配信できる時間」の項目が設けられ、各経路毎にこれらの項目に対応する情報が記録されている。また、図14に示す例では、WiMAXによる通信を維持できない区間(通信不可区間)の走行時間、区間の距離、ネットワーク切断時間、及び通信を維持できない区間で提供可能なメディアが表示される。なお、車載機の表示部113に表示する算出結果は、地図及び経路を含むイメージ画像としてもよい。図15は、地図及び経路を含む算出結果のイメージ画像の一例を示す。図14や図15に示す算出結果を表示部113に表示することで、ユーザは、自身の嗜好に合った経路を選択することができる。また、WiMAXによる通信を維持できない区間において提供可能なメディアが表示され、何れかを選択することで、対応するメディアの再生が実行される。その結果、ユーザは、WiMAXによる通信を維持できない区間を認識することができる。また、後述するように、自信の嗜好に合ったメディアを容易に選択することができる。算出結果が表示部113に表示されると、ステップS13へ進む。
【0076】
ステップS13では、車載機の制御部101は、経路の選択指示を、表示部113又は操作部114を介して受け付ける。また、車載機の制御部101は、メディアの選択も合わせて受け付ける。次に、ステップS14では、車載機の制御部101は、表示部113又は操作部114に対するユーザの選択指示に基づいて、経路を決定する。経路が決定されると、ステップS15では、車載機の制御部101は、経路誘導処理を実行する。すなわち、選択された経路を第二通信装置部122を介して選択された経路に関する情報をサーバ1へ送信する。サーバの制御部15は、車載機3から送信された経路に対応に対する経路誘導を実行し、経路誘導に必要な情報(地図情報、車両の位置情報、音声情報等)を車載機3へ随時送信する。車載機の制御部101は、第二通信装置部122を介して、サーバ1から送信される経路誘導に必要な情報を随時受信し、受信した情報を表示部113に表示し、また、必要な音声案内をスピーカ111を通じて出力することで、経路誘導処理を実行する。車両が目的地に到着すると、経路選択処理が終了する。また、車載機の制御部101は、WiMAXによる通信を維持できない区間では、ユーザによって選択されたメディアの再生を実行する。例えば、CD/DVDが選択された場合には、車載機の制御部101は、ディスク再生部103を起動し、楽曲の再生を実行する。なお、選曲は、ディスク再生部103の起動後に受け付けてもよく、また、予めユーザからの選曲を受け付けておき、WiMAXによる通信を維持できない区間では、自動的に再生を行うようにしてもよい。また、車載機の制御部101は、WiMAXによる通信を維持できない区間に侵入する前に、スピーカ111を通じて警告音や、WiMAXによる通信を維持できない区間に侵入するメッセージを出力するようにしてもよい。
【0077】
<効果>
以上説明した第三実施形態に係る経路探索システムによれば、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。また、各経路毎の目的地までの所要時間、目的地までの距離ネットワーク接続時間、配信でき
る時間といった情報がユーザに対して提供される。従って、ユーザは、このような有用な情報を踏まえて、自身の嗜好に合った目的地までの経路を決定することができる。また、第三実施形態に係る経路探索システムによれば、ユーザは、WiMAXによる通信を維持できない区間を認識することができる。また、ユーザは、WiMAXによる通信を維持できない区間で再生するメディアを容易に選択することができる。
【0078】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る車載機はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。また、上述した第一実施形態から第三実施形態の説明では、サーバ又は車載機が経路探索処理を実行する場合を例に説明したが、端末装置(携帯電話機やスマートフォン)の制御部にサーバの制御部15の構成を含め、端末装置で経路探索処理を行うこともできる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・サーバ
3・・・車載機
5・・・ネットワーク
6・・・コンテンツ配信サーバ
121・・・第一通信装置部
122・・・第二通信制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置、経路探索方法、及び経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体とともに移動する通信装置における通信データの受信レートを確保することを目的とする技術として特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、移動体の移動経路を探索する経路探索装置が開示され、この経路探索装置は、複数の領域のそれぞれについての日時情報に関連付けられた通信状態情報を含む通信環境情報が記憶される記憶手段と、通信環境情報を利用し、所定の通信環境条件の維持を考慮しつつ、移動体の目的地までの移動経路を探索する探索手段と、を備える。
【0003】
また、特許文献2には、利用する通信回線と目的地情報とに基づいて、当該移動通信端末装置が現在地から目的地までの移動中において、最も効率の良い通信を行うことができる経路を探索することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−48590号公報
【特許文献2】特開2008−236381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体の通信システムとして第3世代(3G:3rd Generation)が普及しているが、より高速・大容量のネットワークを実現するための無線通信技術として、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)などの通信方式が普及しつつある。また、複数の通信方式に対応した通信装置を搭載する、ナビゲーション機能を有する車載機や携帯端末(携帯電話機やスマートフォン)が普及しつつある。
【0006】
WiMAXやLTEなどの新たな通信方式によれば、より高速・大容量のネットワークが実現可能となる。但し、このような新たな通信方式は、基地局が少なくカバーエリアが少ないため、車載機や携帯端末を搭載する移動体の走行経路によっては、通信が途絶することが懸念される。
【0007】
従来技術として、通信状態を維持するため通信方式を切り替える技術が存在する。但し、係る技術では、通信状態の維持は図ることができても、通信速度や通信容量を考慮せずに切り替えているため、高速・大容量のデータ通信を維持することができない場合がある。
【0008】
本発明では、上記した背景に鑑み、経路探索開始時における通信方式を利用可能な状態を極力維持できる経路を探索する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上述した課題を解決するため、経路探索開始時の通信方式に関する通信方式情報を取得し、通信方式情報を考慮して、現在地から目的地までの経路を探索する。
【0010】
より詳細には、本発明は、経路探索を行う経路探索装置であって、移動体と共に移動す
る情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、を備える。
【0011】
本発明に係る経路探索装置によれば、経路探索開始時の通信方式による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。経路探索装置には、ネットワーク上のサーバ、車両などの移動体に搭載されるナビゲーション機能を有する車載機、ナビゲーション機能を有する携帯端末(携帯電話機やスマートフォン)が例示される。換言すると、本発明は、経路探索の処理はサーバで行い、探索結果を車載機や携帯端末に送ることで車載機や携帯端末で経路誘導を行うこと、車載機や携帯端末で経路探索を行い、その際に、必要な情報をサーバから取得すること、更に、車載機や携帯端末で経路探索を行う際、その一部の処理をサーバで行うこと(例えば、通信方式を考慮しない経路探索は車載機や携帯端末で行い、通信方式を考慮した経路探索はサーバで行うこと)ができる。通信方式情報とは、無線通信方式であり、3G(3rd Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)が例示される。例えば、WiMAXやLTEは、3Gに比べて基地局が少なくカバーエリアが狭く通信が途絶することが懸念される。本発明に係る経路探索装置によれば、例えば、経路誘導開始時において、WiMAXやLTEが利用されている場合でも、WiMAXやLTEを利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。情報出力部の出力には、サーバから車載機や携帯端末へ経路の探索結果を送信する態様、車載機や携帯端末による探索結果を表示装置に表示する態様が含まれる。
【0012】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部を更に備え、前記情報出力部は、探索した経路に、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間が含まれる場合その旨を出力するようにしてもよい。本発明では、情報処理部は、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索するが、基地局の整備がされていない地域など、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない地域も存在する。経路上にそのような地域(区間)が存在する場合には、その旨を出力することで、ユーザは、経路上にそのような地域(区間)が存在することを知ることができる。そして、ユーザは、そのような情報も考慮して最適な経路を選択することができる。
【0013】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報出力部は、探索した経路に、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間が含まれる場合その旨を出力し、更に、該区間において処理中のコンテンツがある場合には、前記情報処理装置から出力する、前記コンテンツに代替するコンテンツを既定されたコンテンツから選択して、前記情報処理装置から出力させるようにしてもよい。例えば、経路探索開始時の通信方式を利用して、情報処理装置が楽曲や動画などのコンテンツの配信を受けている場合、通信を維持できない区間では既定の代替のコンテンツを用いることで、通信を維持できない区間を走行時に突然楽曲や動画の再生が停止するといった事態を防止することができる。
【0014】
なお、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部は、前記現在地情報と前記目的地情報のみに基づいて目的地までの一般経路を探索し、前記情報出力部は、前記経路と前記一般経路を出力するようにしてもよい。通信方式を考慮した経路と、現在地情報と目的地情報のみに基づく一般経路(通信方式を考慮しない経路)との双方を探索し、出力することで、両者の比較が可能となる。
【0015】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部は、前記経路による、目的地までの所要時間、目的地までの使用燃料、ネットワークへの接続可能時間のうち少なくとも何れか一つを算出し、前記情報出力部は、前記情報処理部によって算出された、前記所要時間、前記使用燃料、前記接続情報を出力するようにしてもよい。目的地までの所要時間、目的地までの使用燃料、ネットワークへの接続可能時間を算出し、出力することで、ユーザは、より多くの情報を考慮して最適な経路を選択することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る経路探索装置において、前記情報処理部は、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を複数探索し、前記複数の経路の夫々について、目的地までの所要時間、目的地までの使用燃料、ネットワークへの接続可能時間のうち少なくとも何れか一つを算出し、前記情報出力部は、前記情報処理部によって算出された、前記所要時間、前記使用燃料、前記接続情報を出力するようにしてもよい。本発明によれば、複数の経路から最適な経路を選択することが可能となる。
【0017】
上述したように、前記経路探索装置は、ネットワークに接続自在なサーバによって構成することができる。すなわち、本発明に係る経路探索装置は、ネットワークに接続自在なサーバからなり、前記情報取得部は、前記通信方式情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を前記情報処理装置から取得し、前記通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記情報処理装置の通信方式に対応するエリア情報を取得し、前記情報処理部は、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できる目的地までの経路を探索し、前記情報出力部は、前記情報処理部による経路の探索結果を、前記情報処理装置へ送信するようにしてもよい。
【0018】
また、前記経路探索装置は、ネットワークに接続自在な移動体と共に移動する前記情報処理装置からなり、前記情報取得部は、前記通信方式情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を取得し、前記通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記情報処理装置の通信方式に対応するエリア情報を取得し、前記情報処理部は、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できる目的地までの経路を探索し、前記情報出力部は、前記情報処理部による経路の探索結果を、表示装置へ表示するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明は、経路探索方法として特定することもできる。すなわち、本発明は、経路探索を行う経路探索方法であって、移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理ステップと、を含む。本発明に係る経路探索方法によれば、経路探索開始時の通信方式による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。
【0020】
また、本発明は、経路探索を行うサーバからなる経路探索装置と、経路探索装置とネットワークを介して接続され、移動体と共に移動する情報処理装置とを備える経路探索システムとして特定することもできる。すなわち、本発明は、経路探索を行うサーバからなる経路探索装置と、前記経路探索装置とネットワークを介して接続され、移動体と共に移動する情報処理装置とを備える経路探索システムであって、前記経路探索装置は、前記情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に
関する目的地情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部と、を備え、前記情報処理装置は、前記情報出力部から出力された経路の探索結果に基づいて経路誘導を行う、経路探索システムである。
【0021】
また、本発明は、上述した経路探索方法を実現させるプログラムとして特定することもできる。更に、本発明は、上記プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この場合、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。なお、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、経路探索開始時における通信方式を利用可能な状態を極力維持できる経路を探索する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施形態に係る経路探索システムの概要を示す。
【図2】第一実施形態に係るサーバの機能ブロック図を示す。
【図3】第一実施形態に係る車載機の構成を示す。
【図4】経路探索処理フローを示す。
【図5】サービスエリアマップの一例を示す。
【図6】経路探索結果データベースの一例を示す。
【図7】経路決定処理フローを示す。
【図8】車載機の表示部に表示される算出結果の一例を示す。
【図9】第二実施形態に係る車載機のナビゲーション部の機能ブロック図を示す。
【図10】第二実施形態に係る経路探索処理・経路決定処理フローを示す。
【図11】第三実施形態に係る経路探索処理フローを示す。
【図12】WiMAXによる通信を維持できない区間が特定された様子を示す。
【図13】経路探索結果データベースのその他の例を示す。
【図14】車載機の表示部に表示される算出結果の他の例を示す。
【図15】地図及び経路を含む算出結果のイメージ画像の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の第一実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明は例示であり、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されない。
【0025】
[第一実施形態]
<構成>
≪経路探索システム≫
図1に示すように、第一実施形態に係る経路探索システムAは、サーバ1、車載機3を備える。サーバ1、車載機3は、互いにネットワーク4を介して接続されている。ネットワーク4には、電話回線網を利用したインターネットが例示されるが、ネットワーク4は、サーバ1、車載機3を電気的に接続し、通信可能とできるものであれば良くその態様は特に限定されない。
【0026】
≪サーバ≫
図2は、第一実施形態に係るサーバの機能ブロック図を示す。サーバ1は、本発明の経路探索装置に相当する。サーバ1は、ハードウェア構成として、サーバの制御部15、サーバの表示装置11、サーバの入力装置12、サーバの通信装置13、サーバの記憶装置14を備え、サーバの制御部15は、CPU16、メモリ17を有する。また、サーバの制御部15は、情報取得部18、情報処理部19、情報出力部20を備える。
【0027】
サーバの表示装置11は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT(Cathode Ray Tube)、エレクトロルミネッセンスパネル等を含む。サーバの入力装置12は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、操作ボタン等を含む。サーバの通信装置13には、例えば、ネットワーク4への接続を実現する通信モジュール(例えば、ネットワークカード)が例示される。サーバの記憶装置14は、ハードディスクドライブ(以下、HDDとする。)や半導体メモリ等により構成することができる。第一実施形態では、サーバの記憶装置14がサーバ1内に設けられているが、記憶装置はサーバ1の外部に設けられていてもよい。
【0028】
サーバのCPU16は、各ハードウェアを制御し、また、サーバのメモリ17に登録された制御プログラムに従って、情報取得部18、情報処理部19、情報出力部20といった各機能部を機能させる。その結果、サーバの制御部15は、これらの各機能部を備える制御部15として機能する。各機能部は、サーバのCPU16上で実行されるコンピュータプログラムとして構成することができる。また、これらの各機能部は、専用のプロセッサとして構成してもよい。
【0029】
情報取得部18は、車両に搭載された車載機3の通信方式に関する通信方式情報と、通信方式の通信状態に関するエリア情報と、車両の現在地に関する現在地情報と、車両の目的地に関する目的地情報と、を取得する。
【0030】
情報処理部19は、情報取得部18で取得された、通信方式情報、エリア情報、現在地情報、及び目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できる目的地までの経路を探索する。
【0031】
情報出力部20は、情報処理部19による経路の探索結果を、車載機3に送信する。
【0032】
≪車載機≫
車載機3は、直接ネットワークに接続できる他、例えば、携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末と接続されることで携帯端末を介してネットワークに接続することができる。車載機3は、コンテンツ配信サーバ5への接続が可能であり、楽曲や動画の配信を始め、ネットワークを介して種々のサービス提供を受けることができる。
【0033】
図3は、車載機の一例を示すが、第一実施形態に係る車載機3は、制御部101、放送受信部102、ディスク再生部103、HD再生部104、ナビゲーション部105(図2では、単に「ナビ」と記載する。)、VICS情報受信部106、GPS情報受信部107、分配回路108、画像調整回路109、音声調整回路110、スピーカ111、画像出力部112、表示部113、操作部114、メモリ115、第一通信装置部121、第二通信装置部122を備える。
【0034】
制御部101は、車載機3(AVN一体機)の各部、或いは接続された外部機器からの信号、また使用者(ユーザ)の操作に基づく各操作部からの操作指示信号等を入力し、それら信号に基づき車載機3の各部、或いは外部機器を統括的に制御する。車載機の制御部
101は、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)により構成され、ROM等のメモリに記憶されたプログラムに従い動作する。
【0035】
放送受信部102は、アンテナにより受信された放送波から、特定の周波数の放送波を選択受信し、復調して当該放送の音声信号および、画像信号(テレビ放送の場合)を出力する。ディスク再生部103は、ディスクに記憶されているデータをピックアップにより読込み、読込んだデータに基づく音声信号、画像信号(例えばCD、DVD、BD(Blu-ray Disc)の場合)の出力を行う。HD再生部104は、磁気記録媒体であるハードディスク
(HD)にMP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション
用の地図データ等が記憶され、記憶された各種データから所望のデータを読み出し、画像信号、音声信号、文字信号を出力する。
【0036】
ナビゲーション部105(図3では、単に「ナビ」と記載する)は、地図上に自車位置や目的地までの経路を表示したり、交差点等で音声等により右左折等の進行方向案内を行い、また後述するVICS情報受信部106から交通情報、GPS情報受信部107から自車位置情報を入手して表示したりして、目的地までの経路案内を行う。第一実施形態では、サーバ1が経路探索を行うが、ナビゲーション部105がサーバ1の機能を持つようにしてもよい。ナビゲーション部105が経路探索を行う態様については第二実施形態で説明する。
【0037】
VICS情報受信部106は、交通情報通信システム(VICS(登録商標))に係る交通情報を受信し、受信した交通情報を出力する。GPS情報受信部107は、GPS(登録商標)衛星からのGPS信号に基づき自車位置を検出し、検出した現在地情報を出力する。
【0038】
分配回路108は、制御部101の制御信号により、出力することが指定された各種ソース(ディスク再生部103、放送受信部102、HD再生部104及びナビゲーション部105)の音声信号と画像信号を音声調整回路110及び画像調整回路109に出力する。画像調整回路109は、制御部101の制御信号により、入力された画像信号に対し、輝度や色調、コントラストなどを調整し、調整した各画像信号を出力する。
【0039】
音声調整回路110は、車載機の制御部101の制御信号により、入力された音声信号に対し、音量、音声を調整し、調整した音声信号を出力する。スピーカ111は、音声調整回路110により入力された音声信号を、音声出力する。
【0040】
画像出力部112は、画像調整部から入力された画像信号と、車載機の制御部101から表示部に表示させる表示画像信号とを入力して画像合成等の処理を施し、当該処理を施した画像信号に基づき表示部113を駆動する。画像出力部112は、例えば、演算処理により画像処理を行なう画像用に特化された演算処理回路である画像ASIC、画像処理・出力用に画像データを記憶するビデオメモリ、画像出力用ビデオメモリに記憶された画像データに基づき表示部を駆動する画像駆動回路等で構成される。第一実施形態では、画像出力部112が機能することで、種々の画像が車載機の表示部113に表示される。
【0041】
表示部113は、画像出力部112により入力された画像信号に基づき画像を表示する。表示部113は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、冷陰極フラットパネルディスプレイ等で構成される。第一実施形態の表示部113は、タッチパネルによって構成されている。
【0042】
操作部114は、装置の使用者が各種操作を行う。操作部114は、例えばタッチパネルや、押釦スイッチ、回転操作スイッチ、ジョイスティック等により構成される。第一実
施形態の操作部は、タッチパネル及び各種ボタンによって構成されている。
【0043】
メモリ115は、各種データや制御プログラムを記憶するメモリ(記憶媒体)で、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、書換え可能なフラッシュメモリ等により構成される。
【0044】
第一通信装置部121は、ネットワークへ接続する専用モジュールであり、例えば3G(3rd Generation)用モジュールによって構成される。
【0045】
第二通信装置部122も、ネットワークへ接続する専用モジュールであり、例えばWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)用モジュールによって構
成される。
【0046】
なお、第一通信装置部121又は第二通信装置部122は、DCM(Data Communication Module)や、LTE(Long Term Evolution)用モジュールによって構成してもよい。また、車載機3は、第一通信装置部121や第二通信装置部122に加えて、若しくはこれらに代えて、無線装置部を備える構成でもよい。無線装置部と携帯端末とを無線接続することで、携帯端末を介したネットワークへの接続が可能となる。無線装置部には、Bluetoothモジュール(Bluetoothは、登録商標)、WiFiモジュール(WiFi:Wireless
Fidelity)が例示される。
【0047】
<処理フロー>
≪経路探索処理≫
次に、通信方式も考慮した経路探索処理について図面に基づいて説明する。以下の説明では、経路探索処理をサーバで実行する場合を例に説明する。
【0048】
図4は、経路探索処理フローを示す。経路探索処理は、車載機3に電源が供給され、車載機3に設けられた経路探索を開始するボタンが選択されることで開始される。なお、通信制御、換言するとコンテンツ配信サーバ1からのコンテンツのダウンロードなどの送受信は、例えば、以下に説明する経路探索処理のバックグラウンドで、サーバの制御部15が別途実行する。また、第一実施形態では、ネットワークへの接続が、第二通信装置部122(WiMAX)を利用して行われているものとする。
【0049】
ステップS01では、サーバの制御部15は、経路探索情報を取得する。経路探索情報は、経路探索を実行する上で必要とされる情報であり、現在地情報、目的地情報を含む。現在地情報は、車両の現在地に関する情報であり、車載機3のGPS情報受信部107によって取得される。目的地情報は、車両の目的地に関する情報であり、車載機3の表示部113又は操作部114を介して入力される。経路探索情報が取得されると、ステップS02へ進む。
【0050】
ステップS02では、サーバの制御部15は、経路探索情報に基づいて経路探索を行う。すなわち、サーバの制御部15は、現在地情報と目的地情報に基づいて目的地までの経路を探索する。例えば、高速道路優先、一般道路優先、渋滞考慮といった設定を予め行うことも可能であり、このような設定が行われている場合には、設定条件に従った経路探索が実行される。経路探索が行われると、ステップS03へ進む。
【0051】
ステップS03では、サーバの制御部15は、通信方式情報及びエリア情報を取得する。通信方式情報は、車載機3の通信方式に関する情報であり、サーバの制御部15は、経路探索時に利用している通信方式に関する情報を取得する。第一実施形態では、第二通信装置部122が利用されていることから、通信方式として「WiMAX」が取得される。なお、経路探索時に第一通信装置121が利用されていた場合には、通信方式として[3
G]が取得される。エリア情報は、通信方式の通信状態、換言すると、通信方式のサービスエリアに関する情報である。第一実施形態では、「WiMAX」のサービスエリアに関する情報が取得される。ここで、図5は、サービスエリアマップの一例を示す。網掛け領域は、基地局が設置されることで「WiMAX」を利用した通信が可能な領域を示す。図5は、経路1は現在地から目的地まで全てサービスエリアでカバーされているが、経路2はエリア2とエリア4との間に「WiMAX」による通信ができない領域が存在していることを示す。このような、エリア情報(サービスエリアマップ)は、外部のサーバから取得してもよく、また、サーバの記憶装置に予め記憶させておいてもよい。通信方式情報及びエリア情報が取得されると、ステップS04へ進む。
【0052】
ステップS04では、サーバの制御部15は、探索した経路における接続時間を算出する。すなわち、サーバの制御部15は、探索した経路とエリア情報とを比較し、サービスエリア内に存在する経路を特定し、特定した経路の距離と経路を走行する際の車両の速度情報に基づいて、「WiMAX」を利用したネットワークへの接続時間を算出する。経路を走行する際の車両の速度情報は、制限速度などを考慮して予め設定することができる。接続時間が算出されると、ステップS05へ進む。
【0053】
ステップS05では、サーバの制御部15は、算出した接続時間を保存する。すなわち、サーバの制御部15は、記憶装置14に格納される経路探索結果データベースに、ステップS04で算出した接続時間を記録する。その際、サーバの制御部15は、走行時間の他、経路の距離、経路全体の走行時間も合わせて記録する。図6は、経路探索結果データベースの一例を示す。経路探索結果データベースは、「経路」、「時間」、「距離」、「ネットワーク接続時間」、「配信できる時間」の項目が設けられ、各項目に対応する情報が記録されている。接続時間が保存されると、ステップS06へ進む。
【0054】
ステップS06では、サーバの制御部15は、保存した接続時間が最大であるか判定する。すなわち、サーバの制御部15は、経路探索結果データベースにアクセスし、保存した接続時間が、経路探索結果データベースに記録されている接続時間の中で最大であるか判定する。なお、経路探索結果データベースに記録がない場合には、保存した接続時間が最大となる。また、既に、経路探索結果データベースに接続時間が記録されている場合には、既に記録されている接続時間の最大とこの度保存した接続時間とを比較し、保存した接続時間が最大であるか判定する。保存した接続時間が最大である場合には、ステップS07へ進む。一方、保存した接続時間が最大でない場合には、ステップS08へ進む。
【0055】
ステップS07では、サーバの制御部15は、接続最大時間を保存する。すなわち、サーバの制御部15は、経路探索結果データベースに、保存した接続時間を接続最大時間として記録する(図6参照)。接続最大時間が保存されると、ステップS08へ進む。
【0056】
ステップS08では、サーバの制御部15は、全ての経路を探索したか判定する。すなわち、サーバの制御部15は、予め設定されている経路の探索条件毎の経路探索が全て行われているか判定する。つまり、探索条件数(例えば、高速優先、一般道優先、渋滞考慮)に対応する経路が探索されているか判定される。全ての経路が探索されている場合には、ステップS09へ進む。一方、全ての経路が探索されていない場合には、ステップS02へ戻り、再度経路探索を実行する。例えば、高速優先条件でのみ経路探索が実行済みの場合、次に、一般道優先条件に基づく経路探索が実行される。
【0057】
ステップS09では、サーバの制御部15は、配信できる時間を算出する。配信できる時間とは、コンテンツ配信サーバ5から配信されるコンテンツを配信できる時間であり、コンテンツ毎に定められる。例えば、楽曲であれば、楽曲のデータ量、「WiMAX」の通信速度、楽曲の長さ、接続最大時間に基づいて楽曲の再生時間が算出される。なお、再
生時間に代えて再生回数を算出するようにしてもよい。また、動画であれば、動画のデータ量、「WiMAX」の通信速度、動画の長さ、接続最大時間に基づいて動画の再生時間が算出される。算出された配信できる時間は、経路探索結果データベースに記録される。図6に示すように、「配信できる時間」の項目には、各経路において配信できる時間が、コンテンツと対応付けられて記録される。例えば、経路1では、動画が2時間再生可能と記録されている。なお、一つの経路に対して複数のコンテンツの夫々に対応した配信できる時間を記録するようにしてもよい。例えば、図6では、経路1において、「動画が2時間再生可能」のみ記録されているが、更に、「楽曲が2.0時間再生可能」を記録するようにしてもよい。また、コンテンツを統一せずに、各経路で最大限配信できる時間のみを表示するようにしてもよい。例えば、経路1は、「2時間の動画が再生可能」、経路2は、「1時間の楽曲が再生可能」、経路3は、「Webの参照のみ可能」といった記録でもよい。上記は、例えば、経路1では、最大2時間の映画が再生可能であり、経路2では、2時間の映画の再生はできないが、最大1時間の楽曲が再生可能であることを意味する。そして、経路3では、動画や楽曲の再生は難しいが、Webの参照が可能であることを意味する。
【0058】
また、ステップS09では、サーバの制御部15は、配信できる時間の他、経路毎の消費燃料、経路毎のコストを算出し、算出結果を経路探索結果データベースへ記録するようにしてもよい。配信できる時間が算出されると、ステップS10へ進む。
【0059】
ステップS10では、サーバの制御部15は、算出結果を車載機3へ送信する。すなわち、サーバの制御部15は、経路探索結果データベースに対応する算出結果を車載機3へ送信する。算出結果が送信されると、本処理が終了する。
【0060】
≪経路決定処理≫
算出結果が車載機3へ送信されると、車載機3では、経路の決定処理が開始される。図7は、経路決定処理フローを示す。ステップS11では、車載機の制御部101が第二通信装置部122を介して算出結果を受信する。次に、ステップS12では、車載機の制御部101は、受信した算出結果を表示部113に表示させる。ここで、図8は、車載機の表示部に表示される算出結果の一例を示す。図8に示す例では、表示部113に「時間」、「距離」、「ネットワーク接続時間」、「配信できる時間」の項目が設けられ、各経路毎にこれらの項目に対応する情報が記録されている。例えば、経路1は、時間:2時間、距離:150km、ネットワーク接続時間:2.0時間、配信できる時間:動画再生が2.0時間となっている。また、経路2は、時間:1.7時間、距離:140km、ネットワーク接続時間:1.7時間、配信できる時間:動画再生が1.7時間となっている。このような表示から、ユーザは、経路1は経路2よりも時間と距離が多くなるものの、動画再生を2.0時間楽しむことができるといった判断を下すことができる。算出結果が表示部113に表示されると、ステップS13へ進む。
【0061】
ステップS13では、車載機の制御部101は、経路の選択指示を、表示部113又は操作部114を介して受け付ける。次に、ステップS14では、車載機の制御部101は、表示部113又は操作部114に対するユーザの選択指示に基づいて、経路を決定する。経路が決定されると、ステップS15では、車載機の制御部101は、経路誘導処理を実行する。すなわち、選択された経路を第二通信装置部122を介して選択された経路に関する情報をサーバ1へ送信する。サーバの制御部15は、車載機3から送信された経路に対応に対する経路誘導を実行し、経路誘導に必要な情報(地図情報、車両の位置情報、音声情報等)を車載機3へ随時送信する。車載機の制御部101は、第二通信装置部122を介して、サーバ1から送信される経路誘導に必要な情報を随時受信し、受信した情報を表示部113に表示し、また、必要な音声案内をスピーカ111を通じて出力することで、経路誘導処理を実行する。車両が目的地に到着すると、経路選択処理が終了する。
【0062】
<効果>
以上説明した第一実施形態に係る経路探索システムAによれば、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。また、各経路毎の目的地までの所要時間、目的地までの距離、ネットワーク接続時間、配信できる時間といった情報がユーザに対して提供される。従って、ユーザは、このような有用な情報を踏まえて、自身の嗜好に合った目的地までの経路を決定することができる。
【0063】
[第二実施形態]
<構成>
第二実施形態に係る経路探索システムでは、第一実施形態においてサーバ1が実行した経路探索処理を車載機3が実行する。図9は、第二実施形態に係る車載機のナビゲーション部105の機能ブロック図を示す。図9に示すように、第二実施形態では、車載機のナビゲーション部105が、第一実施形態に係るサーバの制御部15と同様の構成を備える。その結果、車載機3側で、第一実施形態で説明した経路探索処理を行うことができる。なお、サーバの制御部15に相当する構成は、車載機の制御部101が備えていてもよい。
【0064】
<処理フロー>
≪経路探索処理・経路決定処理≫
図10は、第二実施形態に係る経路探索処理・経路決定処理フローを示す。ステップS01では、ナビゲーション部105は、経路探索情報を取得する。経路探索情報に含まれる現在地情報や目的地情報は、メモリ115に記憶することができ、ナビゲーション部105は、現在地情報や目的地情報をメモリ115から取得することができる。
【0065】
ステップS02では、ナビゲーション部105は、経路探索情報に基づいて経路探索を行う。次に、ステップS03では、ナビゲーション部105は、通信方式情報及びエリア情報を取得する。通信方式情報は、メモリ115に記憶することができ、ナビゲーション部105は、通信方式情報及びエリア情報をメモリ115から取得することができる。一方、エリア情報(サービスエリアマップ)は、外部のサーバから取得してもよく、また、サーバの記憶装置に予め記憶させておき、サーバの記憶装置から取得するようにしてもよい。
【0066】
ステップS04では、ナビゲーション部105は、探索した経路における接続時間を算出する。次に、ステップS05では、ナビゲーション部105は、算出した接続時間を保存する。なお、保存先となる経路探索結果データベースは、車載機のメモリ115に格納してもよく、また、サーバの記憶装置14に格納してもよい。
【0067】
ステップS06では、ナビゲーション部105は、保存した接続時間が最大であるか判定する。保存した接続時間が最大である場合には、ステップS07へ進む。一方、保存した接続時間が最大でない場合には、ステップS08へ進む。ステップS07では、ナビゲーション部105は、接続最大時間を保存する。
【0068】
ステップS08では、ナビゲーション部105は、全ての経路を探索したか判定する。全ての経路が探索されている場合には、ステップS09へ進む。一方、全ての経路が探索されていない場合には、ステップS02へ戻り、ナビゲーション部105は、再度経路探索を実行する。ステップS09では、ナビゲーション部105は、配信できる時間を算出する。配信できる時間が算出されると、ステップS12へ進む。
【0069】
ステップS12では、ナビゲーション部105は、受信した算出結果を表示部113に
表示させる。次に、ステップS13では、ナビゲーション部105は、経路の選択指示を、表示部113又は操作部114を介して受け付ける。次に、ステップS14では、ナビゲーション部105は、表示部113又は操作部114に対するユーザの選択指示に基づいて、経路を決定する。経路が決定されると、ステップS15では、ナビゲーション部105は、経路誘導処理を実行する。すなわち、ナビゲーション部105は、経路誘導に必要な情報(地図情報、車両の位置情報、音声情報等)を表示部113に表示し、また、必要な音声案内をスピーカ111を通じて出力することで、経路誘導処理を実行する。車両が目的地に到着すると、経路探索処理・経路決定処理が終了する。
【0070】
<効果>
以上説明した第二実施形態に係る経路探索システムによれば、車載機3において、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。また、各経路毎の目的地までの所要時間、目的地までの距離ネットワーク接続時間、配信できる時間といった情報がユーザに対して提供される。従って、ユーザは、このような有用な情報を踏まえて、自身の嗜好に合った目的地までの経路を決定することができる。
【0071】
[第三実施形態]
第三実施形態に係る経路探索システムでは、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を維持できない区間が、車載機の表示部113に表示され、また、通信を維持できない区間において提供可能なメディアが表示される。なお、経路検索システムの構成は、第一実施形態又は第二実施形態と同様とすることができる。従って、構成の説明は、割愛する。
【0072】
≪経路探索処理≫
図11は、第三実施形態に係る経路探索処理フローを示す。サーバの制御部15は、ステップS01からステップS03までの処理を実行する。ステップS03で通信方式情報及びエリア情報が取得されると、ステップS04−1へ進む。ステップS04−1では、サーバの制御部15は、探索した経路における接続時間を算出すると共に、通信を維持できない区間を特定する。図12は、WiMAXによる通信を維持できない区間が特定された様子を示す。図12では、経路1と経路2が共にWiMAXによる通信を維持できない区間が存在する。具体的には、経路1は、エリア1とエリア2の間にWiMAXによる通信を維持できない区間が存在し、また、経路2は、エリア1とエリア4との間にWiMAXによる通信を維持できない区間が存在している。接続時間が算出され、かつ通信を維持できない区間が特定されると、ステップS05−1へ進む。
【0073】
ステップS05−1では、サーバの制御部15は、算出した接続時間、及びWiMAXによる通信を維持できない区間を保存する。すなわち、サーバの制御部15は、記憶装置14に格納される経路探索結果データベースに、ステップS04で算出した接続時間を記録する。その際、サーバの制御部15は、走行時間の他、経路の距離、経路全体の走行時間も合わせて記録する。更に、サーバの制御部15は、WiMAXによる通信を維持できない区間(通信不可区間)の走行時間、区間の距離、ネットワーク切断時間、及び通信を維持できない区間で提供可能なメディアを記録する。提供可能なメディアには、CD/DVD、ラジオ、NEWS/広告(配信済み)が例示される。なお、本来通信が必要とされるコンテンツでも、配信が既に完了しているコンテンツは、提供可能なメディアに含めることができる。図13は、経路探索結果データベースのその他の例を示す。なお、提供可能なメディアは、項目だけ記録しておいてもよく、また、予め特定の楽曲名やラジオ局を特定しておいてもよい。接続時間、及びWiMAXによる通信を維持できない区間が保存されると、ステップS06へ進む。
【0074】
サーバの制御部15は、ステップS06からステップS09までの処理を実行する。そして、ステップS10では、算出結果を車載機3へ送信する。すなわち、サーバの制御部15は、図13の経路探索結果データベースに対応する算出結果を車載機3へ送信する。算出結果が送信されると、本処理が終了する。
【0075】
≪経路決定処理≫
算出結果が車載機3へ送信されると、車載機3では、経路の決定処理が開始される。第一実施形態で説明したように(図8参照)、ステップS11では、車載機の制御部101が第二通信装置部122を介して算出結果を受信する。次に、ステップS12では、車載機の制御部101は、受信した算出結果を表示部113に表示させる。ここで、図14は、車載機の表示部に表示される算出結果の他の例を示す。図14に示す例では、表示部113に「時間」、「距離」、「ネットワーク接続時間」、「配信できる時間」の項目が設けられ、各経路毎にこれらの項目に対応する情報が記録されている。また、図14に示す例では、WiMAXによる通信を維持できない区間(通信不可区間)の走行時間、区間の距離、ネットワーク切断時間、及び通信を維持できない区間で提供可能なメディアが表示される。なお、車載機の表示部113に表示する算出結果は、地図及び経路を含むイメージ画像としてもよい。図15は、地図及び経路を含む算出結果のイメージ画像の一例を示す。図14や図15に示す算出結果を表示部113に表示することで、ユーザは、自身の嗜好に合った経路を選択することができる。また、WiMAXによる通信を維持できない区間において提供可能なメディアが表示され、何れかを選択することで、対応するメディアの再生が実行される。その結果、ユーザは、WiMAXによる通信を維持できない区間を認識することができる。また、後述するように、自信の嗜好に合ったメディアを容易に選択することができる。算出結果が表示部113に表示されると、ステップS13へ進む。
【0076】
ステップS13では、車載機の制御部101は、経路の選択指示を、表示部113又は操作部114を介して受け付ける。また、車載機の制御部101は、メディアの選択も合わせて受け付ける。次に、ステップS14では、車載機の制御部101は、表示部113又は操作部114に対するユーザの選択指示に基づいて、経路を決定する。経路が決定されると、ステップS15では、車載機の制御部101は、経路誘導処理を実行する。すなわち、選択された経路を第二通信装置部122を介して選択された経路に関する情報をサーバ1へ送信する。サーバの制御部15は、車載機3から送信された経路に対応に対する経路誘導を実行し、経路誘導に必要な情報(地図情報、車両の位置情報、音声情報等)を車載機3へ随時送信する。車載機の制御部101は、第二通信装置部122を介して、サーバ1から送信される経路誘導に必要な情報を随時受信し、受信した情報を表示部113に表示し、また、必要な音声案内をスピーカ111を通じて出力することで、経路誘導処理を実行する。車両が目的地に到着すると、経路選択処理が終了する。また、車載機の制御部101は、WiMAXによる通信を維持できない区間では、ユーザによって選択されたメディアの再生を実行する。例えば、CD/DVDが選択された場合には、車載機の制御部101は、ディスク再生部103を起動し、楽曲の再生を実行する。なお、選曲は、ディスク再生部103の起動後に受け付けてもよく、また、予めユーザからの選曲を受け付けておき、WiMAXによる通信を維持できない区間では、自動的に再生を行うようにしてもよい。また、車載機の制御部101は、WiMAXによる通信を維持できない区間に侵入する前に、スピーカ111を通じて警告音や、WiMAXによる通信を維持できない区間に侵入するメッセージを出力するようにしてもよい。
【0077】
<効果>
以上説明した第三実施形態に係る経路探索システムによれば、経路探索開始時の通信方式(WiMAX)による通信を極力維持できる目的地までの経路探索が可能となる。また、各経路毎の目的地までの所要時間、目的地までの距離ネットワーク接続時間、配信でき
る時間といった情報がユーザに対して提供される。従って、ユーザは、このような有用な情報を踏まえて、自身の嗜好に合った目的地までの経路を決定することができる。また、第三実施形態に係る経路探索システムによれば、ユーザは、WiMAXによる通信を維持できない区間を認識することができる。また、ユーザは、WiMAXによる通信を維持できない区間で再生するメディアを容易に選択することができる。
【0078】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る車載機はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。また、上述した第一実施形態から第三実施形態の説明では、サーバ又は車載機が経路探索処理を実行する場合を例に説明したが、端末装置(携帯電話機やスマートフォン)の制御部にサーバの制御部15の構成を含め、端末装置で経路探索処理を行うこともできる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・サーバ
3・・・車載機
5・・・ネットワーク
6・・・コンテンツ配信サーバ
121・・・第一通信装置部
122・・・第二通信制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索を行う経路探索装置であって、
移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、を備える経路探索装置。
【請求項2】
前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部を更に備え、
前記情報出力部は、探索した経路に、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間が含まれる場合その旨を出力する、請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記情報出力部は、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間において処理中のコンテンツがある場合には、前記コンテンツに代替して処理可能なコンテンツを出力する、請求項2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
経路探索を行う経路探索方法であって、
移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理ステップと、を含む経路探索方法。
【請求項5】
経路探索を行うサーバからなる経路探索装置と、前記経路探索装置とネットワークを介して接続され、移動体と共に移動する情報処理装置とを備える経路探索システムであって、
前記経路探索装置は、
前記情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、
前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部と、を備え、
前記情報処理装置は、前記情報出力部から出力された経路の探索結果に基づいて経路誘導を行う、経路探索システム。
【請求項1】
経路探索を行う経路探索装置であって、
移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、を備える経路探索装置。
【請求項2】
前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部を更に備え、
前記情報出力部は、探索した経路に、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間が含まれる場合その旨を出力する、請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記情報出力部は、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を維持できない区間において処理中のコンテンツがある場合には、前記コンテンツに代替して処理可能なコンテンツを出力する、請求項2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
経路探索を行う経路探索方法であって、
移動体と共に移動する情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理ステップと、を含む経路探索方法。
【請求項5】
経路探索を行うサーバからなる経路探索装置と、前記経路探索装置とネットワークを介して接続され、移動体と共に移動する情報処理装置とを備える経路探索システムであって、
前記経路探索装置は、
前記情報処理装置の通信方式に関する通信方式情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報と、前記移動体の現在地に関する現在地情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、前記情報処理装置の通信方式の通信状態に関するエリア情報を記憶する記憶装置にアクセスし、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得された、前記通信方式情報、前記エリア情報、前記現在地情報、及び前記目的地情報に基づいて、前記経路探索開始時の通信方式を利用可能な状態を極力維持できる目的地までの経路を探索する情報処理部と、
前記情報処理部による経路の探索結果を出力する情報出力部と、を備え、
前記情報処理装置は、前記情報出力部から出力された経路の探索結果に基づいて経路誘導を行う、経路探索システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−229965(P2012−229965A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97811(P2011−97811)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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