説明

経路探索装置、経路探索方法、経路探索プログラムおよび地図データ

【課題】歩行者のために好適な経路を探索することが可能な経路探索装置、経路探索方法、経路探索プログラムおよび地図データを提供する。
【解決手段】経路案内サーバ30は、歩行路を表すリンクデータと、リンクの端点を示すノードデータと、リンクの種別を示すリンク種別データと、リンクコストデータとを含む地図データが格納される地図情報記憶部37と、出発地から目的地までの経路に含まれるリンクコストデータから合計コストを演算して最適経路を探索する最適経路探索部340と、最適経路探索部340が探索した最適経路にリンク種別データとしてリンクを通行するための所要時間が不確定な横断リンクが含まれる場合に、横断リンクのリンクコストを、待ち時間なしコストデータから待ち時間ありコストデータに変更して、一以上の他の経路を最適経路探索部340に探索させ、最適経路と共に一以上の他の経路を経路候補とする再探索部341とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者が出発地から目的地までを歩く際に、好適な経路を探索することが可能な経路探索装置、経路探索方法、経路探索プログラムおよび地図データに関する。
【背景技術】
【0002】
地図上の経路を探索することで、出発地から目的地までを短時間で到達することが可能な経路探索装置が知られている。
例えば、特許文献1には、地図データや公共交通機関に関するデータに基づいて、距離コストを道路種別に応じて設定された車速で除算することで車両経路のコストを時間単位とすると共に、駅間の所要時間や待ち時間を加算することで公共交通機関経路のコストも時間単位とし、車両経路と公共交通機関経路との比較を可能とする経路案内装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の経路案内装置では、公共交通機関経路のコストを時間単位で算出するためのデータとして、時刻表データや周辺データなどを用いている。周辺データとは、公共交通機関が鉄道の場合では、各駅の構内施設に関するデータであり、乗り換えに必要な階段の有無やエスカレータ、エレベータの有無、駅の出入口からプラットホームまでの所要時間を示すデータである。これらは、鉄道を利用するときの容易度を評価する際の基準となるもので、例えば、乗り換えに必要な階段数が増大すればするほどコストとしては増大するように設定されている。また、エレベータやエスカレータの数が多ければ多いほど、利用の容易度は大きくなりコストとしては低下するように設定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−165683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の経路案内装置では、出発地から目的地までの移動が車両だけでなく公共交通機関を利用する場合が考慮されている。公共交通機関を利用する場合に考慮されるコストは、時刻表データや駅の構内施設に関する周辺データなどから、駅での待ち時間や乗り換え時間などの待ち時間を演算することで決定されるので、現在時刻がわかれば固定的に目的地までのコストを演算することができる。
しかし、出発地から目的地までを徒歩で移動する場合には、車両や公共交通機関とは異なる考慮が必要である。
【0006】
例えば、横断歩道が設置された道幅の広い通りを横切ることが、案内された目的地までの最適経路である場合には、歩行者用信号機の赤信号に遭遇してしまえば、すぐには横断できないことがある。通りが交通量の多い大通りであれば赤信号が長く、多大な時間の損失が発生する。そうなると、その横断歩道を渡ることが最適経路であったとしても、迂回した方が早く目的地まで到着できることがあり、歩行者にとっては案内された経路が満足のいかない結果となってしまう。つまり、出発地から目的地までを徒歩で移動する際のコストは、予告無く状況が変化するために不確実な面があるので、コストデータとして準備することが困難である、従って、公共交通機関を利用する場合と異なる特異性がある。
【0007】
そこで本発明は、歩行者のために好適な経路を探索することが可能な経路探索装置、経路探索方法、経路探索プログラムおよび地図データを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の経路案内装置は、歩行路を表すリンクデータと、該リンクの端点を示すノードデータと、前記リンクの種別を示すリンク種別データと、前記リンクごとに設定されたリンクコストデータとを含む地図データが格納される記憶手段と、出発地から目的地までの各経路に含まれるそれぞれのリンクのリンクコストデータから合計コストを演算し、該合計コストに基づいて最適経路を探索する最適経路探索手段と、前記最適経路探索手段に最適経路を探索させ、当該最適経路に、前記リンク種別データとしてリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクが含まれるか否かを判定し、当該最適経路中に不確定リンクが含まれる場合に、最適経路探索手段の探索条件を変更して、一以上の他の経路を前記最適経路探索手段に探索させ、前記最適経路と共に前記一以上の他の経路を経路候補とする再探索手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、最適経路探索手段が出発地から目的地までに含まれるリンクのリンクコストデータから合計コストを演算して最適経路を探索したときに、この最適経路に不確定リンクが含まれているときには、最適経路に所要時間が不確定な要素が含まれているため、再探索手段が、最適経路探索手段の探索条件を変更して、一以上の他の経路を探索することで、最適経路と同等またはより以上の最適な経路を経路候補とすることができる。本発明は、経路探索方法としても、経路探索プログラムとしても、実施することが可能である。
【0010】
前記再探索手段は、最適経路探索手段の探索条件を変更して、前記一以上の他の経路を探索するときに、前記最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータを変更して探索することができる。再探索手段が最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータを変更すると、最適経路として探索された経路の合計コストが変更されるので、再探索手段が出発地から目的地までの経路を、再度、最適探索手段に探索させることで、一以上の他の経路を探索することができる。
【0011】
前記記憶手段には、前記リンク種別が不確定リンクであるリンクのリンクコストデータとして、待ち時間が発生した場合の待ち時間ありコストデータと、待ち時間が発生しない場合の待ち時間なしコストデータとが格納され、前記再探索手段は、前記最適経路探索手段に不確定リンクのリンクコストデータを変更して探索させるときに、前記待ち時間なしコストデータから前記待ち時間ありコストデータへ変更して合計コストを演算させるのが望ましい。再探索手段が、不確定リンクのリンクコストデータを、記憶手段に格納されている待ち時間なしコストと待ち時間ありコストデータとに設定することで、不確定リンクに応じたリンクコストを設定することができる。
【0012】
前記再検索手段は、前記一以上の他の経路について探索するときに、(A)前記最適経路探索手段により最初に探索された最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータを待ち時間ありコストデータに設定して新たな最適経路を前記最適経路探索手段に探索させ、(B)前記最適経路探索手段により新たな最適経路が探索されると、当該新たな最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータを待ち時間ありコストデータに設定して、再度、前記最適経路探索手段により最適経路を探索させ、(C)前記最適経路探索手段により探索された経路が、以前に探索されていない新たな経路であれば、更に(B)を処理し、(D)前記最適経路探索手段により探索された経路が、探索された経路に含まれている場合には、探索を終了するのが望ましい。
再探索手段は、最適経路に不確定リンクが含まれている場合には、当該最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータを待ち時間ありコストデータにして新たな最適経路の探索をする。そうすることで、新たな最適経路として好適な経路が存在するか否かが確かめられる。従って、再探索手段は、新たな最適経路が以前に探索された最適経路に一致するまで探索を繰り返すことで、不確定リンクを渡っても目的地まで早く到達できるかもしれない経路を探索することができる。
【0013】
前記再探索手段は、探索された新たな最適経路に不確定リンクが含まれていない場合に、探索を終了するのが望ましい。そうすることで、再探索手段は、他の経路より合計コストが高いかもしれないが、不確定リンクを通行する必要のない経路を探索することができる。
【0014】
前記再探索手段は、前記経路候補に含まれるそれぞれの不確定リンクの出発地側のノードを始点として設定し、前記最適経路探索手段にそれぞれの始点から目的地までの最適経路について局所経路として探索する局所経路探索処理を実行して、それぞれの始点ごとの局所経路グループを探索するのが望ましい。再探索手段が、不確定リンクの出発地側のノードを最適経路を探索する始点とすることで、出発地を始点した場合と始点が異なるので、新たな経路を探索することができる。
【0015】
また、前記再探索手段は、前記局所経路探索処理を実行するときに、前記最適経路探索手段により前記(A)から(D)までの処理を実行して前記局所経路を探索することができる。
【0016】
前記記憶手段には、前記不確定リンクごとに待ち時間の発生の有無の確率を示す待ち発生確率値が格納され、前記再探索手段は、前記局所経路グループに含まれる全ての不確定リンクの待ち時間の発生有無の組み合わせ事象ごとに最適な局所経路を選択し、選択された局所経路の合計コストおよび始点としたノードに至るまでの最適経路の合計コストを合算して組み合わせ事象ごとの合計コストを演算し、前記待ち発生確率値に基づいて組み合わせ事象が発生する事象発生確率値を演算し、この事象発生確率値と組み合わせ事象ごとの合計コストとを乗算して全体を合算することで局所経路グループの合計コストを演算し、前記局所経路グループごとの合計コストに基づいて推奨経路を決定するのが望ましい。
再探索手段は、まず、前記局所経路グループに含まれる全ての不確定リンクの待ち時間の発生有無の組み合わせ事象ごとに最適な局所経路を選択する。次に、再探索手段は、選択された局所経路の合計コストおよび始点としたノードに至るまでの最適経路の合計コストを合算して組み合わせ事象ごとの合計コストを演算する。次に、再探索手段は、待ち発生確率値に基づいて組み合わせ事象が発生する事象発生確率値を演算し、この事象発生確率値と組み合わせ事象ごとの合計コストとを乗算して全体を合算することで局所経路グループの合計コストを演算する。そして、再探索手段は、局所経路グループごとの合計コストに基づいて推奨経路を決定することで、最良の局所経路グループを選択することができる。つまり、最初に探索された最適経路では、不確定リンクによる遅れが発生すると回避できない可能性があるが、最良の局所経路グループの始点まで進行しておけば、不確定リンクに到達した時点で待ちの状態となったとしても、他の経路へ分岐することが可能であるので、少し遠回りとなってしまうかもしればないが、なるべく待ちが発生しないような経路を選択することで、結果として目的地まで早く到達できる経路を探索することができる。
【0017】
また、本発明の地図データは、コンピュータによる経路探索に利用される地図データ であって、歩行路であるリンクを表すリンクデータおよび該リンクの端点であるノードデータと、前記リンクの種別を示すためのリンク種別データと、前記リンクごとに設定されたリンクコストデータと、前記リンク種別データがリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクであるリンクのリンクコストデータとして、待ち時間が発生した場合の待ち時間ありコストデータ、および待ち時間が発生しない場合の待ち時間なしコストデータとを備え、コンピュータが、出発地から目的地までの各経路に含まれるリンクデータに設定されたリンクコストデータを読み込み、読み込まれたリンクコストデータから合計コストを演算し、該合計コストに基づいて最適経路を探索し、当該最適経路に含まれるリンク種別データを読み込み、読み込まれたリンク種別データがリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクが含まれるか否かを判定し、当該最適経路中に不確定リンクが含まれる場合に、該不確定リンクに対応するコストデータを待ち時間なしコストデータから待ち時間ありコストデータへ変更して合計コストを演算して一以上の他の経路を探索し、前記最適経路と共に前記一以上の他の経路を経路候補とすることを特徴とする。
このような構成の地図データとすることで、経路中に不確定リンクを示すリンク種別が含まれているときに、待ち時間ありコストまたは待ち時間なしコストに基づいて合計コストを演算することができるので、より実際に即した最適経路の探索を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、最適経路に所要時間が不確定な要素が含まれているため、一以上の他の経路を探索することで、最適経路と同等またはより以上の最適な経路を経路候補とすることができるので、歩行者のために好適な経路を探索することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る経路案内システムを図面に基づいて説明する。
図1に示すように、経路案内システム10は、ユーザである歩行者が携行する携帯電話20と、経路探索装置として機能し、探索された経路を案内する経路案内サーバ30と、電子地図データ生成装置として機能する電子地図データ生成サーバ40とが、それぞれ電気通信回線の一例であるインターネットWを介して通信可能に接続されている。ユーザは、携帯電話20を携行して、経路案内サーバ30から送信された地図画像を参照することで、目的地までを歩行する。
【0020】
携帯電話20は、図2に示すように、携帯端末として機能するものであり、通信部21と、通話部22と、インターネット制御部23と、GPS(Global Positioning System)部24と、時計部25と、操作部26と、表示部27と、主制御部28とを備えている。
【0021】
通信部21は、無線信号により基地局または中継局と通信する無線手段として機能するものであり、送信パケットを変調したり、受信パケットに復調したりする機能を備えている。
通話部22は、電話機能を実現するもので、図示しないマイクからの音声信号を送信パケットに変換したり、受信パケットから音声データを抽出してスピーカーから出力したりする機能を備えている。
インターネット制御部23は、インターネットWへのアクセス機能を実現するもので、URL(Uniform Resource Locator)に基づいてウェブサイトへアクセスして、表示部27に表示されたブラウザにウェブサイトからの情報を表示する機能を備えている。
GPS部24は、現在位置を現在位置情報として出力する機能を備えている。現在位置情報としては、経度情報と緯度情報とすることができる。GPS部24は、GPS(全地球測位システム)とする以外に、衛星測位システム(ガリレオ)なども採用できる。
時計部25は、現在時刻を現在時刻情報として出力する機能を備えている。
操作部26は、数字キー、記号キー、機能キー、十字キー(カーソルキーまたは選択キー)などを備え、入力手段として機能するものである。表示部27は、表示データを表示する機能を備えている。表示部27としては、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro-Luminescence)などが使用できる。主制御部28は、携帯電話20全体を統括制御する機能を備えている。主制御部28は、GPS部24からの現在位置情報と、時計部25からの現在時刻情報と、送信した携帯電話20を特定する歩行者識別情報とを歩行者情報として、電子地図データ生成サーバ40へ通信部21を介して、所定時間間隔ごとに送信する機能を備えている。この所定時間間隔は、本実施の形態では例えば3秒とすることができる。
【0022】
次に、経路案内サーバ30の構成について、図3に基づいて説明する。コンピュータである経路案内サーバ30は、経路探索プログラムを動作させることで、地図画像上に経路を重畳させたウェブページを送信する機能を備えている。
【0023】
経路案内サーバ30は、上述した機能を実現するために、通信部31と、地図要求受付部32と、地図送信部33と、経路探索部34と、経路提供部35と、地図送信部33と、情報報知部36と、地図情報記憶部37と、地図データ更新部38とを備えている。
通信部31は、インターネットWを介して携帯電話20と通信する機能を備えており、例えば、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)や、FTTP(Fiber To The Premises)と接続するLAN(Local Area Network)とすることができる。
地図要求受付部32は、インターネットWを介して送信された地図画像の表示要求コマンドを受け付け、所定地域周辺の地図画像の要求であれば、表示要求コマンドと共に受信した位置情報を地図送信部33へ地図画像の送信を指示する。また、地図要求受付部32は、経路探索であれば、表示要求コマンドと共に受信した出発地情報および目的地情報に基づいて経路探索部34へ経路探索を指示する。
地図送信部33は、地図情報記憶部37から読み込んだ地図画像を通信部31を介してインターネットWに送信する機能を備えている。
【0024】
経路探索部34は、ユーザから指定されたコマンドに基づき経路探索を行う機能を備えている。経路探索には、例えば、ダイクストラ法などの周知の方法が利用可能である。この経路探索部34は、最適経路探索部340と、再探索部341とを備えている。
最適経路探索部340は、出発地から目的地までの経路のうち、合計コストが最も小さい経路を最適経路として探索する最適経路探索手段として機能するものである。
再探索部341は、最適経路探索部340により最初に探索された最適経路に、通行するときの所要時間が不確定な不確定リンクが含まれるか否かを判定し、不確定リンクが含まれていれば、一以上の他の経路を最適経路探索部340に探索させる再探索手段として機能するものである。再探索部341は、初期経路探索部341aと、局所経路探索部341bと、コスト演算部341cを備えている。
【0025】
初期経路探索部341aは、初期経路探索処理を実行することで、最適経路探索部340に探索させた最適経路以外の一以上の他の経路を探索する機能を備えている。
局所経路探索部341bは、局所経路探索処理を実行することで、初期経路探索部341aにより探索された一以上の他の経路について、更に局所的な経路探索を行う機能を備えている。
コスト演算部341cは、局所経路探索部341bにより探索された局所経路グループに基づいて、不確定リンクの待ち発生確率を考慮した合計コストを演算する機能を備えている。
経路提供部35は、経路探索部34が探索した経路を地図画像に重畳させる機能を備えている。情報報知部36は、文字や音声などのメッセージを通信部31を介してインターネットWへ送信する機能を備えている。
【0026】
地図情報記憶部37は、経路探索や地図表示に使用される電子地図データベースである。この地図情報記憶部37は、大容量で高速アクセスが可能なハードディスクドライブを採用することができる。地図情報記憶部37には、車路や歩行路を表すリンクデータと、このリンクの端点であるノードデータと、リンクの種別を示すリンク種別データと、リンクごとに設定されたリンクコストデータとを含む地図データが、それぞれ関連付けられて格納されている。リンクコストデータは、リンク種別データが不確定リンクを示す場合には、待ち時間が発生する場合のコストである待ち時間ありコストデータと、待ち時間が発生しない場合のコストである待ち時間なしコストデータとが設けられている。
また、地図情報記憶部37には、リンク種別データがリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクである場合には、このリンクに、待ち時間が発生する確率を示す待ち時間あり発生確率値と、待ち時間が発生しない確率を示す待ち時間なし発生確率値とが関連付けられている。この待ち時間あり発生確率と待ち時間なし発生確率は、後述するように、実際に横断歩道を歩行している歩行者の移動軌跡情報を用いて作成されても良い。また、横断歩道にある信号機は一般的に、待ち時間がある場合とない場合の2つの場合に大別されるため、例えば待ち時間ありの場合の確率を0.5、待ち時間のない場合の確率を0.5と予め設定しておいても良い。また、予め設定する基準は、例えば横断歩道が、渡ろうとする道路に交わる他の道路と平行な場合と単純に道路を横断する場合で差を設けても良い、さらに、横断しようとする道路に交わる他の道路と平行な横断歩道の場合には交わる道路の道路種別や幅と横断する道路の種別や幅に応じて差異を設けても良い。また、3差路以上の交差点の場合には交差点にかかる各信号の待ちなし確率を1/3、待ちあり確率を2/3とする等、交差点の形状によって均等に待ちありと待ちなしの確率を設定しても良い。こうすることによって、予めデータを作成することなく、現実の状況により近い,待ちありおよび待ちなしの確率を用いた経路案内を行うことが可能となる。
【0027】
地図データ更新部38は、通信部31を介して電子地図データ生成サーバ40と通信して、地図情報記憶部37に格納されている待ち時間あり発生確率値と、時間なし発生確率値を更新する機能を備えている。
【0028】
次に、電子地図データ生成サーバ40の構成について、図4に基づいて説明する。コンピュータである電子地図データ生成サーバ40は、電子地図データ生成プログラムを動作させることで、実際の状況に応じた不確定リンクの待ち時間あり発生確率値を算出して、経路案内サーバ30の経路探索を行う際の精度を向上させる機能を備えている。
【0029】
電子地図データ生成サーバ40は、上述した機能を実現するために、通信部41と、位置情報収集部42と、軌跡補間部43と、軌跡抽出部44と、ノイズ除去部45と、確率演算部46と、地図データ送信部47と、地図情報記憶部48とを備えている。
通信部41は、インターネットWを介して携帯電話20と通信する機能を備えており、経路案内サーバ30と同様に、LANとすることができる。
位置情報収集部42は、携帯電話20からの歩行者位置情報、または図示しない車両に搭載されたナビゲーション装置やプローブ車両からの車両位置情報を、通信部41を介して収集し、記憶手段である地図情報記憶部48へ収集した歩行者位置情報および車両位置情報を格納する機能を備えている。
軌跡補間部43は、順次受信した歩行者位置情報または車両位置情報に含まれる現在位置情報により得られた移動軌跡に対して、現在位置情報の送信時間間隔が大きい場合、現在位置情報が示すそれぞれの位置の間を補間して、移動軌跡の構成点を密にする機能を備えている。
軌跡抽出部44は、現在位置情報が描く軌跡が不確定リンクを通過したものか否かを判定し、不確定リンクを通過した軌跡を抽出する機能を備えている。
ノイズ除去部45は、軌跡抽出部44により抽出された軌跡から、不確定リンクの待ち発生確率値の精度を向上させるのに阻害となる軌跡(以下、この軌跡をノイズと称すことがある。)を除外する機能を備えている。
確率演算部46は、ノイズ除去部45によりノイズが除去され、残った軌跡から不確定リンクの待ち発生確率値を演算する機能を備えている。
地図データ送信部47は、地図情報記憶部48に格納された不確定リンクの待ち発生確率値を経路案内サーバ30へ通信部41を介して送信する機能を備えている。
地図情報記憶部48には、車路や歩行路を表すリンクデータと、このリンクの端点であるノードデータと、リンクの種別を示すリンク種別データとを含む電子地図データが、それぞれ関連付けられて格納されている。また、地図情報記憶部48には、位置情報収集部42により収集された歩行者位置情報や車両位置情報などの位置情報と、軌跡抽出部44により生成された移動軌跡情報テーブルと、確率演算部46により演算された待ち時間あり発生確率値および待ち時間なし発生確率値とが格納されている。この地図情報記憶部48は、大容量で高速アクセスが可能なハードディスクドライブを採用することができる。
【0030】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る経路案内システム10の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
【0031】
まず、図5に基づいて、経路案内サーバ30の動作について、全体の流れを説明した後に、経路探索の方法について詳細に説明する。
携帯電話20を携行する歩行者は、携帯電話20の操作部26を操作してブラウザを起動し、現在位置の周辺地域の地図画像を経路案内サーバ30へ表示要求する。この操作によりインターネット制御部23は、GPS部24からの現在位置情報と共に表示要求コマンドを経路案内サーバ30へ通信部21を介して送信する(ステップS110)。
【0032】
表示要求コマンドを受け付けた経路案内サーバ30の地図要求受付部32は、地図送信部33へ周辺地域の地図画像を、現在地情報に基づいて地図情報記憶部37から取得する(ステップS120)。地図送信部33は、地図情報記憶部37から取得した周辺地域の地図画像を通信部31を介して携帯電話20へ送信する(ステップS130)。
地図画像を受信した携帯電話20のインターネット制御部23は、地図画像をブラウザに表示する(ステップS140)。
【0033】
次に、歩行者は、表示部27に表示された地図画像を見ながら操作部26を操作して目的地を指定し、現在地である出発地から目的地までの経路探索を経路案内サーバ30へ依頼する。この操作によりインターネット制御部23は、経路探索を依頼するコマンドである経路探索要求コマンドと共に、GPS部24からの取得した現在位置情報を出発地情報とし、指定された目的地の位置情報を目的地情報として経路案内サーバ30へ送信する(ステップS150)。
【0034】
経路探索要求コマンドを受け付けた経路案内サーバ30の地図要求受付部32は、経路探索部34へ出発地から目的地までの推奨経路の探索を指示する(ステップS160)。
経路提供部35は、経路探索部34が探索した推奨経路を周辺地域の地図画像に重畳させる(ステップS170)。そして、推奨経路が重畳された周辺地域の地図画像を地図送信部33が通信部31を介して携帯電話20へ送信する(ステップS180)。
地図画像を受信した携帯電話20のインターネット制御部23は、地図画像をブラウザに表示する(ステップS190)。
このような手順で、ユーザである歩行者は現在地である出発地から目的地までの経路を探索することができる。
【0035】
次に、ステップS160での推奨経路の探索方法について詳細に説明する。本実施の形態では、図6に示す経路図1についての経路探索処理例(1)と、図22に示す経路図2についての経路探索処理例(2)とに基づいて説明する。なお、経路探索処理例(1)と経路探索処理例(2)とについて、不確定リンクとして、信号機付きの横断歩道を示す横断リンクを例に説明する。また、リンクコストデータ、待ち時間ありコストデータ、待ち時間なしコストデータを、コスト演算の説明においては、単にリンクコスト、待ち時間ありコスト、待ち時間なしコストと称する。
【0036】
経路探索処理例(1)
図6に示す経路図1は、地図情報記憶部37に格納された地図データの一部を模式的に表したものである。経路図1には、出発地ST1から目的地GL1までの歩行路を表すリンクL1〜リンクL23と、このリンクL1〜リンクL23の端点であるノードA〜ノードOと、リンクL1〜リンクL23のそれぞれに割り付けられたリンクコストとが示されている。リンクL1〜リンクL6およびリンクL23は、道幅の狭い道路であり、ノードD〜ノードIとノードJ〜ノードOのそれぞれに接続されるリンクL7〜リンクL22は大通りである。
【0037】
つまり、リンクL7〜リンクL11とリンクL18〜リンクL22は大通りの両側に敷設された歩道を示し、リンクL12〜リンクL17はこの大通りを横断する信号付きの横断歩道である。従って、リンクL12〜リンク17には、横断歩道であることを示すリンク種別データが割り付けられている。以下、このリンクL12〜リンクL17を横断リンクL12〜横断リンクL17と称する。また、横断リンクL12〜横断リンクL17のリンクコストには、信号待ちが発生しない場合の待ち時間なしコスト「20」と、信号待ちが発生したことによる時間の損失を考慮した待ち時間ありコスト「40」との2つのコストが割り付けられている。
【0038】
このような経路図1において、携帯電話20から送信された出発地情報および目的地情報に基づいて、まず経路探索部34が初期経路探索処理(一次経路探索処理)を行う。
【0039】
図7に示すように、初期経路探索処理は、最初に最適経路探索部340に最適経路を探索させる(ステップS210)。この最適経路の探索は、横断リンクL12〜横断リンクL17の全てのリンクコストを待ち時間なし「20」とし、出発地ST1から目的地GL1まで各経路に含まれるそれぞれのリンクのリンクコストから合計コストを演算することで、合計コストが最小の経路を探索して最適経路とする。この探索は、信号待ちによる時間の損失を考慮しない従来の方法と同じである。
【0040】
この経路図1の場合では、図8に示す出発地ST1→ノードA→ノードB→ノードC→ノードH→ノードN→目的地GL1の順に歩行する経路(A)が、コスト「88」であるので最小のコストである。
【0041】
次に、再探索部341の初期経路探索部341aは、最適経路として探索された経路(A)について、リンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンク、つまり横断リンクが含まれるか否かを判定する(ステップS220)。経路(A)には、ノードH,Nにて接続された横断リンクL16が含まれているので、横断リンク有りの判定となる。
【0042】
初期経路探索部341aは、経路(A)に横断リンクが含まれていると判定することにより、横断リンクL16のリンクコストを待ち時間なしコスト「20」から待ち時間ありコスト「40」へ変更する(ステップS230)。つまり、横断歩道で待ち時間が発生していない場合から、待ち時間が発生した場合へと変更する。そして、初期経路探索部341aは、再度、最適経路探索部340に出発地ST1から目的地GL1までの最適経路を探索させる(ステップS240)。
【0043】
横断リンクL16のリンクコストを待ち時間なしコスト「20」として演算した場合には、経路(A)の合計コストが「88」であったが、待ち時間ありコスト「40」へ変更することで、経路(A)の合計コストは「108」となる。従って、最適経路探索部340による結果は、出発地ST1→ノードA→ノードB→ノードC→ノードG→ノードM→ノードN→目的地GL1の順に歩行する図9に示す経路(B)がコスト「90」であるので、最小のコストとなる。従って、2回目の経路探索では、経路(B)が最適経路として探索される。
【0044】
初期経路探索部341aは、経路(B)について、横断リンクが含まれるか否かを判定する(ステップS250)。経路(B)には、ノードG,Mにて接続された横断リンクL15が含まれているので、横断リンク有りとの判定となる。
【0045】
次に、初期経路探索部341aは、探索された経路が新たな経路か否かを判定する(ステップS260)。この場合には、探索された経路(B)は、経路(A)と異なり新たな経路なので、ステップS230へ移行する。
このようにして、初期経路探索部341aは、順次、ステップS230からステップS260を繰り返して、最適経路探索部340に最適経路を探索させることで、図10に示すように、最初に経路(A)が探索された後、経路(B)から経路(F)が順番に探索される。ここで、経路(A)から経路(F)について図11に合計コストを示す。図11では、それぞれの経路に含まれる横断リンクのリンクコストを待ち時間なしコストとした場合と、待ち時間ありコストとした場合との合計コストを示している。
図11から待ち時間なしコストから待ち時間ありコストへ変更して、合計コストを算出し、最小のコストとなる経路を最適経路とすると、経路(A)から経路(F)までが順次、探索されることがわかる。
【0046】
そして、経路(F)の横断リンクL13について、リンクコストを待ち時間なしコスト「20」から待ち時間ありコスト「40」へ変更して(ステップS230)、最適経路を探索すると(ステップS240)、経路(F)の合計コストは「120」なので、合計コスト「108」の経路(A)が最適経路として、再度探索される。つまり、初期経路探索部341aは、横断リンク有りの判定をした後に(ステップS250)、以前に探索された経路と同じ経路であるとの判定をして(ステップS260)、初期経路探索処理を終了する。これらの経路(A)〜経路(F)は、初期経路探索部341aにより、地図情報記憶部37に初期探索経路情報として格納される。
【0047】
本実施の形態では、経路(A)〜経路(F)の全てに横断リンクが含まれているが、最適経路として探索された経路に、横断リンクが含まれていなければ、初期経路探索部341aは、初期経路探索処理を終了するように判定する(ステップS220,ステップS250)。それは、横断リンクが含まれていないために、待ち時間なしコストから待ち時間ありコストへと変更できないため、再度、ステップS240にて最適経路探索を行っても同じ結果となるためである。
【0048】
このようにして探索された経路(A)〜経路(F)について、局所経路探索処理(二次経路探索処理)を行う。局所経路探索処理は、各経路を局所的にコスト演算して、より最適な経路を探索する処理である。
【0049】
図12に示すように、局所経路探索処理では、まず、局所経路探索部341bが、経路(A)〜経路(F)のそれぞれに含まれる横断リンクの出発地ST1側の端点であるノードを探索する(ステップS310)。これにより、図13に示すノードE〜ノードHが探索される。
【0050】
次に、探索されたノードE〜ノードHの各ノードのうち、一のノードを始点(出発地)として設定する(ステップS320)。そして、始点として設定されたノード(ノードE〜ノードF)から目的地GL1までの最適経路を探索する(ステップS330)。本実施の形態では、まず、目的地GL1に近いノードHから局所経路探索するものとする。
【0051】
ここで、ステップS330にて行われる局所経路探索での経路探索について、図14に基づいて詳細に説明する。
全部の横断リンク(横断リンクL12〜横断リンクL17)のリンクコストを待ち時間なしコスト「20」とする(ステップS410)。次に、ノードHを始点とした経路の合計コストが最小の経路を最適経路として探索する(ステップS420)。以下、局所経路探索における合計コストを局所コストと称する。
【0052】
最適経路の探索は、ノードHを始点として設定しているので、図15(A)に示すような、ノードHから横断リンクL16を介してノードNへ向かう経路(a)が探索される。そして、以前に探索された経路と同じ経路か否かを判定する(ステップS430)。まだ、最初の経路(a)を探索したばかりなので、次の経路を探索するために横断リンクのリンクコストを待ち時間なしコストから待ち時間ありコストへ変更する(ステップS440)。つまり、横断リンクL16のリンクコストを「20」から「40」へ変更する。
【0053】
横断リンクL16のリンクコストを「20」から「40」へ変更して最適経路の探索をした結果、経路(a)の局所コストが「50」であるのに対し、最小となる他の経路の局所コストも「50」であるため、最適経路としてはやはり経路(a)が最適経路として探索される(ステップS420)。従って、1回目と2回目とで同じ最適経路が探索されるので、局所経路探索での最適経路の探索を終了する(ステップS430)。
【0054】
図12に戻って、経路探索が終了すると、全ての出発地(ノードE〜ノードH)について経路探索したか否かを判定する(ステップS340)。全ての経路探索が終わっていれば処理を終了する。終わっていなければ、次のノード、例えば、ノードHについて終了していればノードGを出発地として設定する(ステップS320)。
【0055】
このようにして、ノードHからノードEまで順番に行うことで、図15(A)から同図(D)までに示すように、ノードHを始点した局所経路グループには経路(a)が探索され、ノードGを始点とした局所経路グループには経路(b),(c)が探索され、ノードFを始点とした局所経路グループには経路(d)〜経路(f)が探索され、ノードEを始点とした局所経路グループには経路(g)〜経路(j)が探索される。これらの局所経路グループに属するそれぞれの経路(a)〜経路(j)は、局所経路探索部341bにより、地図情報記憶部37に局所探索経路情報として格納される。
【0056】
経路(a)〜経路(j)が探索されたことで、コスト演算部341cは、次に、経路(a)〜経路(j)と、この経路(a)〜経路(j)へ至るまでの最適経路との合計コストを演算する。ノードE〜ノードHを経由する経路は、例えば、経路(a)であれば、図10に示す経路(A)の出発地ST1→ノードA→ノードB→ノードC→ノードHの経路が最も小さいコストとなるため、合計コストは、横断リンクL16のコストを待ち時間なしコストとした場合で「88」、待ち時間ありコストとした場合で「108」となる。このようにして演算された経路(a)〜経路(j)の局所コストと合計コストとを局所経路グループごとに図16(A)〜同図(D)に示す。
【0057】
このように局所経路探索処理を行うことで、初期経路探索処理では探索されなかった経路が探索される。例えば、初期経路探索処理ではノードFを通過する経路は、図10に示すように横断リンクL14を通る経路(D)と、横断リンクL15を通る経路(E)とが探索されたが、ノードFを始点とした局所経路探索処理では、図15(C)に示すように、更に横断リンクL16を通る経路(f)が探索される。
【0058】
局所経路探索処理による経路の探索が終了すると、次に、コスト演算部341cは、横断リンクの待ち時間の発生確率を考慮した合計コストの演算を行う。本実施の形態では、待ち時間あり発生確率値を1/2、待ち時間なし確率値を1/2とする。
【0059】
まず、最初にノードHを始点として局所経路探索された経路(a)を経由点とした経路について合計コストの演算を行う。経路(a)を経由点とした経路の合計コストは、横断リンクとして横断リンクL16が一つのみなので、横断リンクL16が待ち時間が発生する場合としない場合との2通りとなる。すなわち、図17に示すように、待ち時間が発生する場合の合計コストは「88」であり、待ち時間が発生しない場合の合計コストは「108」である。従って、横断リンクL16の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC1は、式(1)によって演算することができる。
合計コストC1=88×1/2+108×1/2=98 …(1)
【0060】
次に、ノードGを経由点とする経路(経路(b),(c)を含む経路)について合計コストの演算を行う。経路(b),(c)を含む経路の合計コストは、横断リンクとして2つの横断リンクL15,L16が含まれるので、図18に示すように4通りとなる。従って、それぞれの組み合わせ事象が発生する確率は1/2×1/2となり1/4となる。
【0061】
例えば、横断リンクL15,L16の両方で待ち時間が発生しない場合には、まずノードGを端点とする横断可能な横断リンクL15(待ち時間の発生しない横断リンクL15)を渡る経路(c)が選択されるので、合計コストが「90」となる。
次に、横断リンクL15で待ち時間が発生せず、横断リンクL16で待ち時間が発生する場合には、ノードGにいる歩行者は、横断リンクL16より手前にある横断リンクL15を横断リンクL16より先に渡った方が、目的地に到達するまでに所要時間が不確定な要因を排除できる。結果、横断リンクL15で待ち時間が発生せず、横断リンクL16で待ち時間が発生する場合には、経路(c)が選択されるので、合計コストは「90」となる。
【0062】
次に、横断リンクL15で待ち時間が発生し、横断リンクL16で待ち時間が発生しない場合には、ノードGにて横断リンクL15が横断可能な状態となるまで待つよりも、ノードHに向かう方が効率がよい。結果、経路(b)が選択されるので、合計コストは「90」となる。
【0063】
横断リンクL15,L16の両方で待ち時間が発生する場合には、横断リンクL15の端点であるノードGで待たずに歩行者は先へ進み、ノードHに到達するまでに横断可能となることが期待できるので、横断リンクL16を通過する経路(b)を選択した方がよい。従って、経路(b)が選択されるので、合計コストは「110」となる。
このようにして経路が選択されるので、横断リンクL15,L16の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC2は、式(2)によって演算することができる。
合計コストC2=90×1/4+90×1/4+90×1/4+110×1/4=95 …(2)
【0064】
次に、ノードFを経由点とする経路(経路(d)〜経路(f)を含む経路)について合計コストの演算を行う。経路(d)〜経路(f)を含む経路の合計コストは、横断リンクとして3つの横断リンクL14〜横断リンクL16が含まれるので、図19に示すように4通りとなる。従って、それぞれの組み合わせ事象が発生する確率は1/2×1/2×1/2となり1/8となるので、横断リンクL14〜横断リンクL16の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC3は、式(3)によって演算することができる。
合計コストC3=90×1/8+90×1/8+90×1/8+90×1/8+95×1/8+95×1/8+95×1/8+115×1/8=95 …(3)
【0065】
次に、ノードEを経由点とする経路(経路(g)〜経路(j)を含む経路)について合計コストの演算を行う。経路(g)〜経路(j)を含む経路の合計コストは、横断リンクとして4つの横断リンクL13〜横断リンクL16が含まれるので、図20に示すように16通りとなる。従って、それぞれの事象が発生する確率は1/2×1/2×1/2×1/2となり1/16となるので、横断リンクL13〜横断リンクL16の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC4は、式(4)によって演算することができる。
合計コストC4=100×1/16+100×1/16+100×1/16+100×1/16+100×1/16+100×1/16+100×1/16+100×1/16+90×1/16+90×1/16+90×1/16+90×1/16+95×1/16+95×1/16+95×1/16+115×1/16=97.5 …(4)
このようにして、コスト演算部341cは、各経路での合計コストC1〜C4を演算する。
【0066】
初期経路探索処理では、図11に示すように、経路(A)が最小コストであった。この経路(A)について、横断リンクの待ち時間の発生確率を考慮した合計コストを演算すると、合計コストC5は、横断リンクとして横断リンクL16のみ含んでいるので、式(5)によって演算することができる。
合計コストC5=88×1/2+108×1/2=98 …(5)
【0067】
つまり、初期経路探索処理によって探索された経路(A)では合計コストが98となるが、局所経路探索処理により経路を探索し、合計コストを演算すると、ノードFを始点した局所経路グループが合計コストが95となって、ノードEを始点した局所経路グループの合計コストと同じ値で、最も小さい値であるが、この場合、ノードFとノードEとで出発地ST1に近い方が選択される。
つまり、出発地ST1からノードAおよびノードEを経由してノードFへ至り、ノードFを通過した後に、横断リンクL14〜横断リンクL16の状態に応じて経路(d)〜経路(f)のいずれかの経路を歩行する方が最適な経路を選択できることを示している。これは、歩行者がノードFまで到達した時点で、横断リンクが赤信号であれば青信号の横断リンクを選択しながら歩行することができるからである。
更に、ノードFから経路(d)〜経路(f)のうち、横断リンクL14が青信号であれば、経路(d)を選択することが最もよいことを示している。
【0068】
経路提供部35は、このように経路が探索されると、推奨経路を周辺地域の地図画像に重畳させる。例えば、図21に示すように出発地ST1からノードFまでに至るまでの一つの経路と、ノードFから目的地GL1へ至る複数の経路(経路(d)〜経路(f))とにより歩行者に案内する。このとき、最も良い経路である経路(d)について目立つようにして案内するようにしてもよい。更に、情報報知部36により、まずノードFまで歩行し、更に横断リンクL14〜横断リンクL16を順に青であれば渡ってよい旨のメッセージまたは音声を、地図画像と共に携帯電話20へ送信することで更に利便性を向上させることができる。また、最も良い経路である経路(d)についても文字や音声で案内するようにしてもよい。
【0069】
経路探索処理例(2)
図22に示す経路図2は、出発地ST2から目的地GL2までのいずれの経路中にも複数の横断リンクが含まれている例を示すものである。
経路図2には、出発地ST2から目的地GL2までの歩行路を表すリンクL24〜リンクL35と、このリンクL24〜リンクL35の端点であるノードP〜ノードWと、リンクL24〜リンクL35のそれぞれに割り付けられたリンクコストとが示されている。
【0070】
リンクL25とリンクL26とは大通りの両側に敷設された歩道を示し、リンクL31とリンクL32とはこの大通りを横断する信号付きの横断歩道である。また、リンクL29とリンクL30も同様に大通りの両側に敷設された歩道を示し、リンクL33とリンクL34はこの大通りを横断する信号付きの横断歩道である。従って、経路図1と同様に、リンクL31〜リンク34には、横断歩道であることを示すリンク種別データが割り付けられている。以下、このリンクL31〜リンク34を横断リンクと称する。また、横断リンクL31〜横断リンクL34のリンクコストには、信号待ちが発生しない場合の待ち時間なしコスト「20」と、信号待ちが発生したことによる時間の損失を考慮した待ち時間ありコスト「40」との2つのコストが割り付けられている。
【0071】
このような経路図2において、携帯電話20から送信された出発地情報および目的地情報に基づいて、経路図1を用いて説明したように、まず経路探索部34が初期経路探索処理(一次経路探索処理)を行う。
【0072】
図23に示すように、初期経路探索処理は、最初に最適経路探索部340が最適経路を探索する(ステップS510)。この最適経路の探索は、横断リンクL31〜横断リンク34の全てのリンクコストを待ち時間なし「20」とし、出発地ST2から目的地GL2まで各経路に含まれるそれぞれのリンクのリンクコストから合計コストを演算することで、合計コストが最小の経路を探索して最適経路とする。この探索は、信号待ちによる時間の損失を考慮しない従来の方法と同じである。
【0073】
この経路図2の場合では、図24に示す出発地ST2→ノードP→ノードQ→ノードS→ノードU→ノードW→目的地GL2の順に歩行する経路(G)が、コスト「90」で最小のコストである。しかし、最小コストいう点では、例えば、出発地ST2→ノードP→ノードR→ノードS→ノードU→ノードW→目的地GL2の順に歩行する経路でもコスト「90」であり、出発地ST2→ノードP→ノードR→ノードT→ノードU→ノードW→目的地GL2の順に歩行する経路でもコスト「90」である。この場合、最適経路探索部340は、いずれの経路を選択して最適経路としてもよいが、本実施の形態では、最初に探索された経路(G)を最適経路として設定したものとする。このようにして、経路としては一つであるが、まず経路(G)が最適経路グループ(ア)として、図25に示すように探索される。
【0074】
次に、再探索部341の初期経路探索部341aは、最適経路として探索された経路(G)について、リンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンク、つまり横断リンクが含まれるか否かを判定する(ステップS520)。経路(G)には、ノードQ,Sにて接続された横断リンクL32と、ノードU,Wにて接続された横断リンクL34とが含まれているので、横断リンク有りの判定となる。
【0075】
初期経路探索部341aは、経路(G)に横断リンクが含まれていると判定することにより、次の最適経路グループを探索する。
経路(G)には、横断リンクL32,L34が含まれているので、この横断リンクL32,L34について、いずれか一方、または両方のリンクコストを、順次、待ち時間なしコスト「20」から待ち時間ありコスト「40」へ変更して、それぞれ変更したときの最適経路の探索を行う。
この場合、まず横断リンクL32のリンクコストを変更する(ステップS530)。そして、初期経路探索部341aは、再度、最適経路探索部340に出発地ST2から目的地GL2までの最適経路を探索させる(ステップS540)。
【0076】
横断リンクL32のリンクコストを待ち時間なしコスト「20」として演算した場合には、経路(G)の合計コストが「90」であったが、待ち時間ありコスト「40」へ変更することで、経路(G)の合計コストは「110」となる。従って、最適経路探索部340による結果は、出発地ST2→ノードP→ノードR→ノードT→ノードU→ノードW→目的地GL2の順に歩行する図24に示す経路(H)がコスト「90」であるので、経路(G)より小さいコストとなる。従って、図25に示すように2回目の経路探索では、経路(H)が、最適経路グループ(イ−1)として探索される。
【0077】
初期経路探索部341aは、経路(H)について、横断リンクが含まれるか否かを判定する(ステップS550)。経路(H)には、横断リンクL31,L34が含まれているので、横断リンク有りとの判定となる。
【0078】
次に、初期経路探索部341aは、最適経路グループ(ア)の経路(G)に含まれる横断リンクL32,L34について、リンクコストを変更したか否かを判定する(ステップS560)。この時点では、まだ横断リンクL32のみ変更しただけなので、残りの経路を探索するためにステップS530へ移行する。
【0079】
次に、横断リンクL34を待ち時間なしコスト「20」から待ち時間ありコスト「40」へ変更する。このとき、横断リンクL32のコストは待ち時間なしコスト「20」とする(ステップS530)。そして、初期経路探索部341aは、最適経路探索部340に出発地ST2から目的地GL2までの最適経路を探索させる(ステップS540)。そうすることで、最適経路として合計リンクコストが「90」の経路(I)(図25に示す最適経路グループ(イ−2)参照)が探索される。
【0080】
初期経路探索部341aは、経路(I)について、横断リンクが含まれるか否かを判定する(ステップS550)。経路(I)には、横断リンクL31,L33が含まれているので、横断リンク有りとの判定となる。
【0081】
次に、初期経路探索部341aは、最適経路グループ(ア)の経路(G)に含まれる横断リンクL32,L34について、リンクコストを変更したか否かを判定する(ステップS560)。この場合、横断リンクL32,L34の両方のリンクコストを待ち時間ありコストとするケースが残っているため、ステップS530へ移行する。
次に、横断リンクL32を待ち時間なしコスト「20」から待ち時間ありコスト「40」へ変更する。つまり、横断リンクL32,L34のコストを待ち時間ありコスト「40」とする(ステップS530)。そして、初期経路探索部341aは、最適経路探索部340に出発地ST2から目的地GL2までの最適経路を探索させる(ステップS540)。そうすることで、最適経路として合計リンクコストが「90」の経路(I)(図25に示す最適経路グループ(イ−3)参照)が探索される。
【0082】
初期経路探索部341aは、経路(I)について、横断リンクが含まれるか否かを判定する(ステップS550)。経路(I)には、横断リンクL31,L33が含まれているので、横断リンク有りとの判定となる。
【0083】
次に、初期経路探索部341aは、最適経路グループ(ア)の経路(G)に含まれる横断リンクL32,L34について、リンクコストを変更したか否かを判定する(ステップS560)。横断リンクL32,L34のリンクコストを変更して、全てのケースについて最適経路を探索したので、最適経路グループ(イ)については終了する。
次に、最適経路グループに以前に探索されていない新たな経路が含まれているか否かを判定する(ステップS570)。
最適経路グループ(イ)には、最適経路グループ(ア)には含まれていない経路(H)や経路(I)が探索されたため、ステップS530へ移行する。
【0084】
経路(H)および経路(I)について、経路(H)には横断リンクL31,L34が含まれ、経路(I)には横断リンクL31,L33が含まれている。従って、ステップS530からステップS560を繰り返して、これらの横断リンクについて、いずれか一方、または両方のリンクコストを、順次、待ち時間なしコスト「20」から待ち時間ありコスト「40」へ変更して、それぞれ変更したときの最適経路の探索を行う。その際、経路探索グループ(ア)の経路(G)に含まれる横断リンクL32,L34について、経路探索グループ(イ)を探索したときと同様に、全てのケースについて行う。
【0085】
初期経路探索部341aは、横断リンクのリンクコストを変更し最適経路を探索することで、図25に示す最適経路グループ(ウ)として(ウ−1)〜(ウ−9)を抽出する。なお、図25の最適経路グループ(ウ)については、他の経路と重複するケースは省略している。初期経路探索部341aは、最適経路を最適経路探索部340に探索させる際に、横断リンクL31〜横断リンクL34の状態の組み合わせが以前にあったか否かを予め判断してから最適経路の探索をさせるようにしてもよいし、最適経路探索部340に探索させてから重複した組み合わせについて削除するようにしてもよい。これら図25に示す抽出された経路は、初期経路探索部341aにより、地図情報記憶部37に初期探索経路情報として格納される。
【0086】
このようにして探索された経路(G)〜経路(I)について、局所経路探索処理(二次経路探索処理)を行う。
局所経路探索処理は、局所経路探索部341bが、まず横断リンクの出発地側のノードを始点として横断リンクのリンクコストを変更しながら順次、最適経路を探索し、次にこのノードを経由点とした経路の合計リンクを算出する。この方法については、経路図1における経路探索処理例(1)と同じである。
【0087】
経路図2における局所経路探索処理を行った結果を、図26から図29に示す。図26は、局所経路探索部341bによりノードPを始点(経由点)とした局所経路探索処理を行い、コスト演算部341cにより算出したその経路の合計コストを示したものである。
【0088】
ノードPを始点とした場合、まず、横断リンクL31が待ち時間ありの場合には、リンクL25を経由してノードQまで到達し、横断リンクL32を渡る経路を選択する。これは、ノードPにて横断リンクL31が横断可能な状態となるまで待つよりも、ノードQに向かう方が効率がよいためである。従って、横断リンクL32が待ち時間ありの場合には、全て経路(G)が選択され、経路(G)に含まれる横断リンクL32および横断リンクL34の状態に応じて合計コストが算出される。
【0089】
横断リンクL31が待ち時間なしの場合には、まず横断リンクL31を渡る経路が選択される。これは、横断可能な横断リンクL31を先に渡った方が、早く目的地GL2の近い位置へ行けるためである。従って、横断リンクL31を渡り、リンクL27を通過してノードTへ到達する。そして、ノードTから横断リンクL33が待ち時間なしの状態であれば、横断リンクL33を渡る経路(I)が選択され、横断リンクL33が待ち時間ありであれば経路(H)が選択される。このようにして経路(I)または経路(H)が選択されると、経路(I)または経路(H)に含まれる横断リンクL31,L33,L34の状態に応じて合計コストが算出される。
【0090】
次に、コスト演算部341cは、横断リンクの待ち時間の発生確率を考慮した合計コストの演算を行う。本実施の形態では、待ち時間あり発生確率値を1/2、待ち時間なし確率値を1/2とする。
【0091】
ノードPを始点(経由点)とした経路は、横断リンクL31〜横断リンクL34がそれぞれ待ち時間の発生ありと待ち時間発生なしとの組み合わせとなるため、それぞれの組み合わせ事象が発生する確率は1/16となる。従って、横断リンクL31〜横断リンクL34の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC6は、式(6)によって演算することができる。
合計コストC6=130×1/16+110×1/16+130×1/16+110×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+90×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+90×1/16+90×1/16=102.5 …(6)
【0092】
ノードQを始点(経由点)とした局所経路探索処理は、図27に示すように、横断リンクL32が待ち時間あり、または待ち時間なしに関わらず、全て経路(G)を選択することになるため、横断リンクL31〜横断リンクL34の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC7は、式(7)によって演算することができる。
合計コストC7=130×1/16+110×1/16+130×1/16+110×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+130×1/16+110×1/16+130×1/16+110×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16=110 …(7)
【0093】
ノードTを始点(経由点)とした局所経路探索処理は、図28に示すように、横断リンクL33が待ち時間ありとなった場合には、横断リンクL34へ向かう経路(H)、横断リンクL33が待ち時間なしとなった場合には、そのまま横断リンクL33を渡る経路(I)を選択することになるため、横断リンクL31〜横断リンクL34の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC8は、式(8)によって演算することができる。
合計コストC8=130×1/16+110×1/16+110×1/16+110×1/16+130×1/16+110×1/16+110×1/16+110×1/16+110×1/16+90×1/16+90×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+90×1/16+90×1/16=105 …(8)
【0094】
ノードUを始点(経由点)とした局所経路探索処理は、図29に示すように、横断リンクL31が待ち時間ありとなった場合には、横断リンクL32へ向かう経路(G)、横断リンクL31が待ち時間なしとなった場合には、そのまま横断リンクL31を渡り、ノードUへ向かう経路(H)を選択することになるため、横断リンクL31〜横断リンクL34の待ち時間の発生確率を考慮した合計コストC9は、式(9)によって演算することができる。
合計コストC9=130×1/16+110×1/16+130×1/16+110×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16+110×1/16+90×1/16=105 …(9)
【0095】
局所経路探索処理により式(6)から式(9)から得られた待ち時間の発生確率を考慮した合計コストでは、ノードPを始点(経由点)とした場合が最も小さい値である。従って、出発地ST2からノードPへ至り、横断リンクL31の状態に応じて横断リンクL31を渡るか、またはノードQへ向かうか選択して歩行する方が最適な経路であることを示している。
【0096】
経路提供部35は、このように経路が探索されると、推奨経路を周辺地域の地図画像に重畳させる。例えば、図30に示すように出発地ST2からノードPまでに至るまでの一つの経路と、ノードPにて2つに分岐する経路と、更にノードTにて2つに分岐する経路とを重畳させた地図画像(図24に示す経路(G)〜経路(I)参照)を、通信部31を介して携帯電話20へ送信する。経路(G)〜経路(I)は、横断リンクのリンクコストが同じ条件であれば、経路の合計コストは同じである。この場合、経路提供部35は、特に経路(G)〜経路(I)のいずれの経路も強調せずに地図画像に重畳させて提供する。
【0097】
また、情報報知部36が音声またはメッセージにより、まずノードPまで歩行し、更に横断リンクL31の状態に応じて青であれば渡ってよいことを、歩行者に報知することで、更に利便性を向上させることができる。
【0098】
このように、初期経路探索処理により最初に探索された経路に、横断リンクが含まれているときに、探索条件として、横断リンクのリンクコストを、待ち時間なしコストから待ち時間なしコストへ変更して他の経路を探索して歩行者へ提供することで、歩行者のために好適な経路を探索することが可能である。
また、再探索部341の局所経路探索部341bは、局所経路探索処理において横断リンクの出発地側のノードを、最適経路を探索する始点として最適経路を探索することで、出発地を始点した場合と始点が異なるので、初期経路探索処理では探索できなかった新たな経路を探索することができる。
【0099】
更に、地図情報記憶部37に、リンク種別がリンクを通行するための所要時間が不確定な横断リンクのリンクコストとして、待ち時間ありコストと、待ち時間なしコストとを備えた地図データが格納されているので、経路中に横断リンクを示すリンク種別が含まれているときに、待ち時間ありコストまたは待ち時間なしコストに基づいて合計コストを演算することができるので、より実際に即した最適経路の探索を行うことができる。
【0100】
なお、本実施の形態では、初期経路探索処理により最初に探索された経路に、横断リンクが含まれているときに、変更する探索条件として横断リンクのリンクコストを変更したが、横断リンクを回避することを条件として再探索することも可能である。
また、本実施の形態では、不確定リンクとして横断歩道を示す横断リンクを例に説明したが、通行する際にリンクコストが不確定なリンクであれば、他のリンクでも本発明を適用することが可能である。例えば、列車が通過する時間が一定ではない踏切や、信号機無しの横断歩道、横断歩道はないが横断可能な場所なども不確定リンクとする待ち時間ありコストと待ち時間なしコストして整備することができる。
【0101】
次に、電子地図データ生成サーバ40の動作について、図31から図43に基づいて説明する。
図31に示すように、まず、電子地図データ生成サーバ40の位置情報収集部42は、携帯電話20から送信される歩行者位置情報を地図情報記憶部48に蓄積する(ステップS610)。
【0102】
次に、蓄積された歩行者位置情報の歩行者識別情報から特定された携帯電話20が同じ現在位置情報を抽出して、順次受信した現在位置情報により得られた移動軌跡に対して、補間処理を行う(ステップS620)。この補間処理は、図32(A)に示すように、3秒間隔に送信される現在位置情報では、現在位置情報が示すそれぞれの構成点P1が疎となる場合には、図32(B)に示すように、軌跡補間部43が移動軌跡の構成点を密にするために、1秒間隔と想定される位置に補間構成点P2を生成する。そして軌跡補間部43は、補間構成点P2により補間された移動軌跡を地図情報記憶部48に格納する。この補間方法としては、線形補間法が使用できる。
【0103】
次に、横断リンク選定処理により横断待ち確率を整備する横断リンクを選定する(ステップS621)、更に軌跡抽出部44により軌跡抽出処理が行われる(ステップS630)。軌跡抽出処理は、まず、収集された歩行者の移動軌跡のうち横断リンク付近を通過する移動軌跡を抽出する。例えば、横断リンクを中心とした1km四方の領域を通過する移動軌跡を抽出する。
【0104】
次に、抽出された移動軌跡の中から横断リンクに沿って通過した移動軌跡を抽出する。例えば、図33(A)に示すように道路R1にノードaとノードbとを端点に有する横断リンクLK1が設けられていたとすると、軌跡抽出部44はまず横断リンクLK1の中間位置を中点cに設定する。次に、図33(B)に示すように軌跡抽出部44は、中点cを中心した所定半径(例えば、半径2m。)の円内を通過した移動軌跡を選択することで、横断リンクLK1を通過した移動軌跡を抽出することができる。
【0105】
しかし、図33(C)に示すようにノードaを通過し、中点cを中心とした円内を通過した移動軌跡T2も抽出されてしまう。この場合には、中点cを中心とした円内を通過することを条件とするだけでなく、ノードaおよびノードbのいずれか一方または両方を中心とした円内を通過することを条件とすることで移動軌跡の抽出精度を向上させる。
【0106】
このようにして軌跡抽出部44により抽出された移動軌跡は、移動軌跡情報テーブルとして地図情報記憶部48に格納される。ここで、移動軌跡情報テーブルについて図34に基づいて詳細に説明する。
【0107】
図34に示すように、移動軌跡情報テーブルは、軌跡IDと、日付と、到着時刻と、進入時刻と、優先度ポイントとが関連付けられたテーブルである。
軌跡IDは、それぞれの移動軌跡を識別するために付与された識別情報である。日付は収集された日にちを示すもので、現在時間情報に含まれる日付情報である。到着時刻は、歩行者が横断リンクの進入側のノードに到着した時刻を示す情報で、進入側のノードを中心とした円内にいた時刻のうち最も早い時刻である。この到着時刻は、現在時間情報に含まれる時間情報である。進入時刻は、横断リンクに進入した時刻を示す情報で、進入側のノードを中心とした円内にいた時刻のうち最も遅い時刻である。優先度ポイントは、ノイズを除去するために計数されるポイント情報である。初期値は0である。
【0108】
この移動軌跡情報テーブルに基づいて、ノイズ除去部45はノイズ除去処理を行う(ステップS640)。
このノイズ除去処理は、まず、横断リンクを同時に通行しようとする歩行者を検出して優先度ポイントを増加させる加算処理を行うことで、横断リンクに到着したが、すぐに横断リンクを通行しない移動軌跡に対する優先度ポイントを相対的に下げる処理を行う。これは、歩行者が横断リンクに到着したが、携帯電話20による通話のために一旦停止した場合や、横断リンク付近に位置する自動販売機を利用するために停止した場合などを排除するためである。
【0109】
図35に示すように、ノイズ除去部45は、まず軌跡の選択を行う(ステップS710)。例えば軌跡IDが「00101」である移動軌跡(図34参照)を対象移動軌跡として着目する。次に、軌跡IDが「00101」の移動軌跡が横断リンクの進入前に停止したか否かを判定する(ステップS720)。この判定は、進入時刻と到着時刻との差分が所定値より大きい場合に停止していたとすることができる。
【0110】
例えば、「00101」の移動軌跡は、到着時刻が15:30:00で、進入時刻が15:30:40であるので、40秒間ほど横断リンクの進入側のノードを中心とした円内にいたことになる。従って、「00101」の移動軌跡は、40秒停止していたことになる。例えば、停止を5秒以上であるとしたときには、「00101」の移動軌跡は40秒間停止していたことになるので、横断リンクの進入側のノードで停止していたと判定することができる。
【0111】
次に、進入時刻が同じ他の移動軌跡があるか否かを判定する(ステップS730)。進入時刻が同じ移動軌跡が他にある場合には、その移動軌跡の優先度ポイントも増加させる加算処理を行う。これは、複数の歩行者が同時に横断リンクに進入したということは、横断リンクが待ちの状態から待ちなしの状態へ遷移して一斉に移動し始めたことを示す確度が高いためである。
【0112】
図34に示す移動軌跡情報テーブルでは、「00101」の移動軌跡は、軌跡IDが「00102」,「00104」,「00105」の移動軌跡と進入時刻が同時刻なので、図36(A)に示すように、進入前の停止が「あり」で、同時進入する軌跡が「あり」なので、「00101」の移動軌跡の優先度+50ポイント加算される。他の軌跡「00102」,「00104」,「00105」についても同様な処理が行なわれ、これらの移動軌跡の優先度も+50ポイント加算される(ステップS740)。
また、「00106」の移動軌跡は、「00107」の移動軌跡と進入時刻が同時刻なので、「00106」の移動軌跡が選択された処理のときに、+50ポイント加算される。
【0113】
次に、対象軌跡として全ての移動軌跡を処理したか否かが判定される(ステップS750)。全ての移動軌跡について処理していれば終了する。処理していなければステップS710へ移行する。
【0114】
例えば、軌跡IDが「00105」の移動軌跡であれば、到着時刻と進入時刻とが同時刻であるので、横断リンクの進入側のノードでは一旦停止していないため優先度ポイントが+50加算される(ステップS760)。
【0115】
また、軌跡IDが「00103」の移動軌跡は、進入時刻と到着時刻との差分が15秒なので、一旦停止したものと判定されるが、進入時刻が他の移動軌跡と異なるので、進入側のノードでの停止は、赤信号による待ちではなく、他の目的によるものと推定できるため、優先度ポイントを増加する加算処理は行わず、ステップS750へ移行する。このため赤信号待ち以外の理由で待っている場合には、他の場合と比べて相対的に優先度ポイントが加算されないままとなる。このようにして、図36(B)の移動軌跡情報テーブルに示すように優先度ポイントが加算される。
【0116】
次に、ノイズ除去部45は、ノイズ除去処理として車両の移動軌跡を利用して優先度ポイントを増加させる加算処理を行う。この加算処理は、図37に示すように、車両Cが横断歩道を通過する際に、信号機SG1が赤信号であれば、逆に歩行者側の信号機SG2が青信号の状態であることを利用するものである。
まず、図38に示すように、予め位置情報収集部42が、車両に搭載されたナビゲーション装置やプローブ車両からの車両位置情報を、通信部41を介して収集し、地図情報記憶部48へ格納する(ステップS810)。次に、必要に応じて軌跡補間部43が、蓄積された車両位置情報のうち、車両識別情報から特定された車両が同じ現在位置情報を抽出して、車両位置情報に含まれる現在位置情報により得られる軌跡に対して補間処理を行う(ステップS820)。
【0117】
次に、軌跡抽出部44が軌跡抽出処理を行う(ステップS830)。軌跡抽出処理は、まず歩行者の場合と同様に、収集された車両の移動軌跡のうち横断リンク付近を通過する移動軌跡を抽出する。例えば、横断リンクを中心とする1km四方の領域を通過する移動軌跡を抽出する。次に、抽出された移動軌跡の中から横断リンクを横切る移動軌跡を抽出する(図37(B)参照)。
【0118】
軌跡抽出部44は、抽出した横断リンクを横切る車両の移動軌跡のうち、横断リンクの手前で停止した移動軌跡の抽出を行う(ステップS840)。ここで停止とは、時間経過による車両位置の変化が小さいことをいう。軌跡抽出部44は、抽出された移動軌跡に基づき、対象となる横断リンクに対して車両ごとに停止時間帯を記録したテーブル(図39(A)参照)を作成し、このテーブルに基づいて対象の横断リンクの車両停止時間テーブル(図39(B)参照)を作成する(ステップS850)。
図39(A)に示す例では、車両Aが、車両A〜車両Cの中で最も早く横断リンクに到着し、そして最も早く移動を開始して横断リンクを横切っていることから、車両の停止時間、つまり横断リンクで歩行者が通行可能である状態が15:30:35〜15:31:00であることがわかる(停止時間A)。
ここまでの処理(ステップS810からステップS850)は、図31に示す位置情報収集部42による位置情報の収集処理(ステップS610)から軌跡抽出部44による軌跡抽出処理(ステップS630)と並行して行われる。
【0119】
ノイズ除去部45は、車両停止時間テーブルに基づいて移動軌跡情報テーブルの優先度ポイントを増加させる加算処理を行う(ステップS860)。この加算処理は、図40に示す移動軌跡情報テーブルの進入時刻が、図39(B)に示す車両停止時間テーブルの停止時間に含まれていれば、車両が停止した後に、歩行者が横断リンク内に進入したことを示しているので、優先度ポイントを+20ポイント加算する。
このようにして、車両の移動軌跡を利用した優先度ポイントを増加させる加算処理を行う。
【0120】
次に、ノイズ除去部45は、ノイズ除去処理として横断リンクへ進入する前に通過したリンク(以下、進入前リンクと称す。)と、横断リンクから退出した後に通過したリンク(以下、退出後リンクと称す。)とに応じて、優先度ポイントを増加させる加算処理を行う。
【0121】
この加算処理は、図41(A)に示すように対象となる横断リンクLK1に、曲がりながら進入したり退出したりした移動軌跡T4よりも、直線的に通過した移動軌跡T5の優先度を上げるために行う処理である。これは、移動軌跡T4が示すように、歩行者が、まず横断リンクLK2を横断しようとしたが赤信号であったため道路R2に沿って歩き、横断リンクLK1へ通行可能な状態となるまでタイミングを図りながら向かった可能性があるためである。また、歩行者が、横断リンクLK1を横断した後に道路R2に沿って歩行する場合には、次の横断リンクを探しながら渡ろうとする可能性があるためである。
【0122】
従って、図41(B)に示すように、移動軌跡が通過する、横断リンクLK2と、横断リンクLK1へ進入する進入前リンクLK3とのなす角αが、180°に近い所定角度以上であれば、その移動軌跡の優先度ポイントに+15ポイント加算する。また、図41(C)に示すように、移動軌跡が通過した、横断リンクLK1と、横断リンクLK1から退出する退出後リンクLK4とのなす角βが、180°に近い所定角度以上であれば、その移動軌跡の優先度ポイントに+15ポイント加算する。
【0123】
例えば、それぞれの移動軌跡が図41(D)に示すような軌跡である場合には、軌跡IDが「00102」,「00104」,「00105」は、横断リンクLK1に対して進入時のなす角と退出時のなす角が両方とも180°であるので、優先度ポイントとして進入時と退出時とで合計+30ポイントが加算される。また軌跡IDが「00101」,「00107」は進入時と退出時とでほぼ直角なので加算されない。軌跡IDが「00103」は進入時が、「00106」は退出時が横断リンクLK1に対してなす角が180°であるので、+15ポイントのみ加算される。このようにノイズ除去部45によって優先度ポイントを増加させる加算処理が行われた結果を、図42に示す。
【0124】
図41(A)に示す横断リンクLK1,LK2は、一本の道路R2に沿って敷設された一方の歩道から他方の歩道に並行して設けられている。ここで、図43に示すような道幅の広い道路R21,R22同士が交差する交差点では、横断リンクLK3〜LK6を連結するリンク(以下、このリンクを交差点内リンクLKCと称す。)が存在する。このような場合には、移動軌跡が通過する横断リンクLK3〜LK6と交差点リンクLKCとのなす角だけでは判断できない。従って、移動軌跡が次に通過するリンクまでを考慮する。つまり、横断リンクLK3〜LK6のいずれかを渡った後に交差点内リンクLKCを通過し、更に次のどのリンクを移動軌跡が通過したかによって、優先度ポイントの加算を行う。例えば、交差点内リンクLKCを通過した後に、横断リンクLK3〜LK6を通過したのであれば、加算せず、通常のリンクへ向かったのであれば+15ポイント加算するなどである。
【0125】
次に、ノイズ除去部45は、加算された移動軌跡情報テーブルの優先度ポイントに基づいてノイズの除去を行う。例えば、優先度ポイントが高い移動軌跡のみを採用し、他の移動軌跡は削除することでノイズ除去を行うことができる。優先度ポイントが高い移動軌跡とは、優先度ポイント上位70%以内に含まれる移動軌跡とすることができる。
また、優先度ポイントが高い移動軌跡に対して重み付けを行ってもよい。重み付けは、優先度ポイント上位40%の移動軌跡の重みを2倍とするなどで、確率演算処理を行う際に優先度ポイント上位40%の移動軌跡を2重にカウントすることができる。優先度ポイントが高い移動軌跡に対して重み付けを行う場合には、ノイズ除去部45は重み付けを行う旨のフラグを立てることで、確率演算部46に指示する。
この上位70%や、上位40%などの範囲は適宜決定することが可能である。
【0126】
ノイズ除去部45によるノイズ除去処理が終了すると、確率演算部46による確率演算処理を行う(ステップS650)。
確率演算部46による確率演算処理は、まず、横断リンクに到着してから横断リンクへ進入するまでの横断待ち時間として、移動軌跡情報テーブルの各移動軌跡の進入時刻から到着時刻を引いた差分値を演算する。次に、確率演算部46は、横断待ち時間を所定値ごとに区分した範囲に含まれる移動軌跡のカウントを行う。本実施の形態では、横断待ち時間が0〜10秒、10〜20秒と、10秒ごとの範囲で集計を行っている。このように集計された移動軌跡を図44(A)に示す。また、図44(B)に同図(A)の表に基づいて作成されたヒストグラムを示す。図44(A)では、一つの移動軌跡を一人として示している。このとき、重み付けを行う旨のフラグが立っていた場合には、確率演算部46は優先度ポイント上位40%に含まれる移動軌跡のカウントを2重にカウントする。
【0127】
次に、確率演算部46は、待ち時間あり発生確率値を演算する。この待ち時間あり発生確率値は、以下の式から算出することができる。
待ち時間あり発生確率値=1−(待ちなし移動軌跡の総数)÷(移動軌跡の総数)
ここで、待ちなし移動軌跡とは、横断待ち時間が閾値以下である移動軌跡である。本実施の形態では閾値を10秒としている。つまり、横断待ち時間が10秒以下であれば、横断リンクによる待ちが発生しなかった移動軌跡である。
【0128】
図44(A)の例では、待ち時間あり発生確率値=1−(105÷260)から、待ち時間あり発生確率値が約0.60であることが算出される。従って、待ち時間なし発生確率値は、約0.4となり、横断リンクの実際の待ち時間あり発生確率値および待ち時間なし発生確率は、1/2ではないことがわかる。
【0129】
このように順次、歩行者からの歩行者位置情報と車両からの車両位置情報とを収集し、対象となる横断リンクを変更しながら地図情報記憶部48の待ち時間あり発生確率値および待ち時間なし発生確率値を設定または変更する。
【0130】
地図データ送信部47は、経路案内サーバ30の地図データ更新部38と通信して、設定または変更された横断リンクの待ち時間あり発生確率値および待ち時間なし発生確率値を経路案内サーバ30へ、対象となる横断リンクを識別する情報と共に送信する。地図データ更新部38は、受信した待ち時間あり発生確率値および待ち時間なし発生確率値を地図情報記憶部37を参照して更新する。
【0131】
このように、電子地図データ生成サーバ40は、実際の状況に応じた不確定リンクである横断リンクの待ち時間あり発生確率値を算出して、経路案内サーバ30の経路探索を行う際の精度を向上させることができると共に、出発地から目的地までの到達予測時間の精度を向上させることができる。
【0132】
また、優先度ポイントを、横断リンクを同時に通行しようとする歩行者を検出して増加したり、車両の移動軌跡を利用して増加したり、進入前リンクや退出後リンクに応じて増加したりすることで、精度として信頼性の低い移動軌跡の優先度ポイントを相対的に下げることができる。
【0133】
本実施の形態では、優先度ポイントを増加させる加算を行うことで、ノイズとなる移動軌跡の優先度ポイントを相対的に低下させているが、収集された歩行者の移動軌跡に予め所定ポイントを付与しておき、加算処理の代わりに減算処理を行うようにして、最終的に優先度ポイントが低いものを上位とすることも可能である。
また、本実施の形態では、経路案内サーバ30と電子地図データ生成サーバ40とは別体としているが、同じサーバ内に構築してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、歩行者が携行する携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)が通信回線を介して経路探索結果を送信するサーバや、携帯型ナビゲーション装置などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】経路案内システムを示す図である。
【図2】携帯電話の構成を示すブロック部である。
【図3】経路案内サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】地図データ生成サーバを示すブロック図である。
【図5】経路案内サーバの動作全体を説明するためのフローチャートである。
【図6】経路探索処理例(1)における経路例を示す図である。
【図7】初期経路探索処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】探索された経路(A)を示す図である。
【図9】探索された経路(B)を示す図である。
【図10】初期経路探索処理により探索された経路を示す図である。
【図11】初期経路探索処理により探索された経路の合計コストを示す表である。
【図12】局所経路探索処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】始点となるノードを示す図である。
【図14】局所経路探索処理における経路探索を説明するためのフローチャートである。
【図15】(A)〜(D)は局所経路グループごとの経路を示す図である。
【図16】(A)〜(D)は局所経路グループごとの局所コストと合計コストとを示す表である。
【図17】ノードHを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図18】ノードGを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図19】ノードFを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図20】ノードEを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図21】経路図1における推奨経路の案内例を示す図である。
【図22】経路探索処理例(2)における経路例を示す図である。
【図23】初期経路探索処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】探索された経路(G)〜経路(I)を示す図である。
【図25】初期経路探索処理により探索された経路の合計コストを示す表である。
【図26】ノードPを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図27】ノードQを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図28】ノードTを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図29】ノードUを始点としたときの合計コストを示す表である。
【図30】経路図2における推奨経路の案内例を示す図である。
【図31】電子地図データ生成サーバの動作を説明するためのフローチャートである。
【図32】(A)は補間処理を行う前の移動軌跡を示す図、(B)は補間処理を行った後の移動軌跡を示す図である。
【図33】(A)は道路に設けられた横断リンクを示す図、(B)は横断リンクを通過した移動軌跡の一例を示す図、(C)は横断リンクを通過していない移動軌跡の一例を示す図である。
【図34】移動軌跡情報テーブルを示す図である。
【図35】ノイズ除去処理を動作を説明するためのフローチャートである。
【図36】(A)は優先度ポイントの加算方法を説明するための図、(B)は進入時刻が同じ移動軌跡に対して加算された移動軌跡情報テーブルを示す図である。
【図37】(A)および(B)は車両を利用したノイズ除去処理を説明するための図である。
【図38】車両の移動軌跡を利用したノイズ除去処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図39】(A)は車両ごとに停止時間帯を記録したテーブルを示す図、(B)は横断リンクの車両停止時間テーブルを示す図である。
【図40】車両停止時間テーブルに基づいて優先度ポイントを増加する加算処理を行った移動軌跡情報テーブルを示す図である。
【図41】(A)は曲がりながら進入したり退出したりした移動軌跡と、直線的に通過した移動軌跡とを示す図、(B)は進入前リンクと横断リンクとのなす角を示す図、(C)は退出後リンクと横断リンクとのなす角を示す図、(D)は移動軌跡ごとの加算処理を説明するための図である。
【図42】進入前リンクおよび退出後リンクに基づいて優先度ポイントを増加する加算処理を行った移動軌跡情報テーブルを示す図である。
【図43】交差点内リンクがある交差点を示す図である。
【図44】(A)は横断待ち時間を所定値ごとに区分した範囲に含まれる移動軌跡のカウントを行った表であり、(B)は(A)に示す表に基づいて作成されたヒストグラムである。
【符号の説明】
【0136】
30…経路案内サーバ、340…最適経路探索部、341…再探索部、37…地図情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行路を表すリンクデータと、該リンクの端点を示すノードデータと、前記リンクの種別を示すリンク種別データと、前記リンクごとに設定されたリンクコストデータとを含む地図データが格納される記憶手段と、
出発地から目的地までの各経路に含まれるそれぞれのリンクのリンクコストデータから合計コストを演算し、該合計コストに基づいて最適経路を探索する最適経路探索手段と、
前記最適経路探索手段に最適経路を探索させ、当該最適経路に、前記リンク種別データとしてリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクが含まれるか否かを判定し、当該最適経路中に不確定リンクが含まれる場合に、前記最適経路探索手段の探索条件を変更して、一以上の他の経路を前記最適経路探索手段に探索させ、前記最適経路と共に前記一以上の他の経路を経路候補とする再探索手段とを備えたことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記最適経路探索手段の探索条件の変更は、前記最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータの変更である請求項1記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記記憶手段には、前記リンク種別が不確定リンクであるリンクのリンクコストデータとして、待ち時間が発生した場合の待ち時間ありコストデータと、待ち時間が発生しない場合の待ち時間なしコストデータとが格納され、
前記再探索手段は、前記最適経路探索手段に不確定リンクのリンクコストデータを変更して探索させるときに、前記待ち時間なしコストデータから前記待ち時間ありコストデータへ変更して合計コストを演算させる請求項2記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記再探索手段は、前記一以上の他の経路について探索するときに、
(A)前記最適経路探索手段により最初に探索された最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータを待ち時間ありコストデータに設定して新たな最適経路を前記最適経路探索手段に探索させ、
(B)前記最適経路探索手段により新たな最適経路が探索されると、当該新たな最適経路に含まれる不確定リンクのリンクコストデータを待ち時間ありコストデータに設定して、再度、前記最適経路探索手段により最適経路を探索させ、
(C)前記最適経路探索手段により探索された経路が、以前に探索されていない新たな経路であれば、更に(B)を処理し、
(D)前記最適経路探索手段により探索された経路が、以前に探索された経路に含まれている場合には、探索を終了する請求項3記載の経路探索装置。
【請求項5】
前記再探索手段は、探索された新たな最適経路に不確定リンクが含まれていない場合に、探索を終了する請求項3記載の経路探索装置。
【請求項6】
前記再探索手段は、前記経路候補に含まれるそれぞれの不確定リンクの出発地側のノードを始点として設定し、前記最適経路探索手段にそれぞれの始点から目的地までの最適経路について局所経路として探索する局所経路探索処理を実行して、それぞれの始点ごとの局所経路をグループとした局所経路グループを探索する請求項4または5記載の経路探索装置。
【請求項7】
前記再探索手段は、前記局所経路探索処理を実行するときに、前記最適経路探索手段により前記(A)から(D)までの処理を実行して前記局所経路を探索する請求項6記載の経路探索装置。
【請求項8】
前記記憶手段には、前記不確定リンクごとに待ち時間の発生の有無の確率を示す待ち発生確率値が格納され、
前記再探索手段は、前記局所経路グループに含まれる全ての不確定リンクの待ち時間の発生有無の組み合わせ事象ごとに最適な局所経路を選択し、選択された局所経路の合計コストおよび始点としたノードに至るまでの最適経路の合計コストを合算して組み合わせ事象ごとの合計コストを演算し、前記待ち発生確率値に基づいて組み合わせ事象が発生する事象発生確率値を演算し、この事象発生確率値と組み合わせ事象ごとの合計コストとを乗算して全体を合算することで局所経路グループごとの合計コストを演算し、前記局所経路グループごとの合計コストに基づいて推奨経路を決定する請求項6または7記載の経路探索装置。
【請求項9】
最適経路探索手段が、歩行路を表すリンクデータと、該リンクの端点を示すノードデータと、前記リンクの種別を示すリンク種別データと、前記リンクごとに設定されたリンクコストデータとを含む地図データが格納された記憶手段を参照して、出発地から目的地まで各経路に含まれるそれぞれのリンクのリンクコストデータから合計コストを演算し、該合計コストに基づいて最適経路を探索する最適経路探索ステップと、
再探索手段が、前記最適経路に、前記リンク種別データとしてリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクが含まれるか否かを判定し、当該最適経路中に不確定リンクが含まれる場合に、一以上の他の経路を前記最適経路探索ステップを実行して、前記最適経路と共に前記一以上の他の経路を経路候補とする再探索ステップとを備えたことを特徴とする経路探索方法。
【請求項10】
コンピュータを、
歩行路を表すリンクデータと、該リンクの端点を示すノードデータと、前記リンクの種別を示すリンク種別データと、前記リンクごとに設定されたリンクコストデータとを含む地図データが格納された記憶手段を参照して、出発地から目的地まで各経路に含まれるそれぞれのリンクのリンクコストデータから合計コストを演算し、前記合計コストに基づいて最適経路を探索する最適経路探索手段、
前記最適経路に、前記リンク種別データとしてリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクが含まれるか否かを判定し、当該最適経路中に不確定リンクが含まれる場合に、一以上の他の経路を前記最適経路探索ステップを実行して、前記最適経路と共に前記一以上の他の経路を経路候補とする再探索手段
として機能させるための経路探索プログラム。
【請求項11】
コンピュータによる経路探索に利用される地図データであって、
歩行路であるリンクを表すリンクデータおよび該リンクの端点であるノードデータと、
前記リンクの種別を示すためのリンク種別データと、
前記リンクごとに設定されたリンクコストデータと、
前記リンク種別データがリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクであるリンクのリンクコストデータとして、待ち時間が発生した場合の待ち時間ありコストデータ、および待ち時間が発生しない場合の待ち時間なしコストデータと
を備え、
コンピュータが、出発地から目的地までの各経路に含まれるリンクデータに設定されたリンクコストデータを読み込み、読み込まれたリンクコストデータから合計コストを演算し、該合計コストに基づいて最適経路を探索し、当該最適経路に含まれるリンク種別データを読み込み、読み込まれたリンク種別データがリンクを通行するための所要時間が不確定な不確定リンクが含まれるか否かを判定し、当該最適経路中に不確定リンクが含まれると判定した場合に、該不確定リンクに対応するコストデータを待ち時間なしコストデータから待ち時間ありコストデータへ変更して合計コストを演算して一以上の他の経路を探索し、前記最適経路と共に前記一以上の他の経路を経路候補とすることを特徴とする地図データ。
【請求項12】
前記リンクコストデータに前記不確定リンクの待ち時間ありまたはなしの発生の確率を示す確率情報データを備えたことを特徴とする請求項11記載の地図データ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2009−294153(P2009−294153A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149773(P2008−149773)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】