説明

経路探索装置、経路探索方法

【課題】時間帯によって変化するコストを用いて精度良く経路を探索する。
【解決手段】経路探索装置1では、設定された出発地と目的地とに最も近いノードを出発地ノードおよび目的地ノードとして設定する。そして、出発地ノードと、目的地ノードと、記憶部11に記憶されているリンクデータとに基づいて、経路探索用グラフを生成し、経路探索用グラフの最上位の階層にある出発地ノードから目的地ノードまでの経路をダイクストラ法等により探索する。記憶部11に記憶されているリンクデータには、各リンクについて、旅行時間に関するリンクコストを所定の複数の時間帯ごとに含む。経路探索用グラフの各階層は、複数の時間帯に対応し、それぞれ同一のノードを含み、経階層間には旅行時間に関するリンクコストを階層の移動に置き換えた階層間リンクが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置および経路探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、メッシュに含まれるリンクについて日の種類および時間帯に対応付けられて旅行時間が記憶されており、その旅行時間に基づいて旅行時間コストを算出し、その旅行時間コストに基づいて推奨経路を探索することが記載されている。
【0003】
また、リンクコストに基づいて経路探索を行う方法として、ダイクストラ法と呼ばれる単一始点最短路問題のアルゴリズムを用いることが周知となっている。ダイクストラ法により経路探索を行う場合、経路探索を開始する前にリンクごとのコストを予め算出しておく必要があることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−209416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リンクに対して時間帯ごとに異なるコストを割り当てて、ダイクストラ法により経路を探索する場合、予めそのリンクに到達する時間帯を予め算出しておく必要がある。従来、リンクを通過する時間は、メッシュ単位で大まかに推定されており、精度が十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である経路探索装置は、道路地図に含まれる複数のノードに関するノードデータと、道路地図に含まれる複数のリンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、複数のノードのうち出発地とする出発地ノードを設定する出発地設定手段と、複数のノードのうち目的地とする目的地ノードを設定する目的地設定手段と、互いに異なる所定の時間帯にそれぞれ対応する複数の階層を有し、各階層が複数のノードの所定の部分集合からなる有向グラフを、地図データに基づいて生成するグラフ生成手順と、有向グラフの最上位の階層にある出発地ノードから目的地ノードまでの経路を探索する経路探索手段と、を備え、リンクデータは、各リンクについて、旅行時間に関するリンクコストを所定の複数の時間帯ごとに有し、有向グラフは、第1のノードを始点とし、第2のノードを終点とするリンクについて、第1の階層にある第1のノードを始点とし、第1のノードから旅行時間に対応した階層数だけ下位にある第2の階層にある第2のノードを終点とする階層間リンクを含むことを特徴とする。
本発明の別の一態様である経路探索方法は、道路地図に含まれる複数のノードに関するノードデータと、道路地図に含まれる複数のリンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶する記録媒体を備えるコンピュータが予め設定された出発地から予め設定された目的地までの経路を探索する経路探索方法であって、複数のノードのうち出発地に対応する出発地ノードを設定する出発地設定手順と、複数のノードのうち目的地に対応する目的地ノードを設定する目的地設定手順と、互いに異なる所定の時間帯にそれぞれ対応する複数の階層を有し、各階層が複数のノードの所定の部分集合からなる有向グラフを、地図データに基づいて生成するグラフ生成手順と、有向グラフの最上位の階層にある出発地ノードから目的地ノードまでの経路を探索する経路探索手順と、を備え、リンクデータは、各リンクについて、旅行時間に関するリンクコストを所定の複数の時間帯ごとに有し、有向グラフは、第1のノードを始点とし、第2のノードを終点とするリンクについて、第1の階層にある第1のノードを始点とし、第1のノードから旅行時間に対応した階層数だけ下位にある第2の階層にある第2のノードを終点とする階層間リンクを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、時間帯によって変化するコストを用いて精度良く経路を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による経路探索装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】時間帯に対応したリンクコストを記憶するリンクデータの一例である。
【図3】本発明の一実施形態による経路探索方法の流れを示すフローチャートである。
【図4】経路探索用グラフに含まれる第1の階層間リンクについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による経路探索装置の一構成例を示すブロック図である。図1に示す経路探索装置1は、ナビゲーション装置であって、制御部10と、記憶部11と、表示モニタ12と、スピーカ13と、GPS受信部14と、入力装置15とを備える。
【0010】
制御部10は、マイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成される。制御部10は、経路探索装置1の各構成を制御して経路探索処理などの各種処理を実行する。
【0011】
記憶部11は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部材である。記憶部11には、地図データが記憶されている。地図データには、制御部10が経路探索処理に用いるノードデータと、リンクデータとが含まれる。ノードデータは、道路地図上の所定の地点を表すノードに関する情報である。ノードデータは、各ノードのIDと、各ノードが表す地点の位置情報を含む。リンクデータは、道路地図上の道路を表すリンクに関する情報である。各リンクは、リンクコストという重みを有する有向リンクである。そのリンクのリンクデータは、各リンクのIDと、各リンクの始点のノードIDと、終点のノードIDと、リンクコストとを含む。リンクコストには、リンク旅行時間や、燃料消費量などの種類があり、それらのリンクコストはリンクが表す道路を通過する時間帯ごとに分類されて記憶されている。
【0012】
図2は、時間帯ごとに分類されたリンクコストの一例を示す。図2に示すリンクコストテーブル20は、リンクIDがL1で、始点のノードのノードIDがN1、終点のノードのノードIDがN2のリンクに関するリンクコストを示す。リンクコストテーブル20は、時間帯列21と、旅行時間列22と、燃料消費量列23とを有する。時間帯列21には、「8:00〜8:30」、「8:30〜9:00」のように、1日の時刻を30分刻みで分割した時間帯が示されている。旅行時間列22には、リンクL1に対応する道路を通過するために要する旅行時間が時間帯ごとに示されている。燃料消費量23には、リンクL1に対応する道路を通過するために消費する燃料が時間帯ごとに示されている。たとえば、「9:00〜9:30」の時間帯にリンクL1を通過する場合、「60」分かかり、「1200cc」の燃料を消費することが示されている。
【0013】
表示モニタ12は、たとえば液晶モニタであって、制御部10の制御にしたがって道路地図や、経路探索処理で探索した経路などをその画面に表示する。スピーカ13は、制御部10の制御に従って所定の音声を出力する。GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、制御部10に送信する。制御部10は、GPS受信部14から受信したGPS信号に基づいて、経路探索装置1を搭載した車両の現在位置を算出することができる。また、制御部10は、GPS受信部14から受信したGPS信号に基づいて現在時刻を算出することができる。
【0014】
入力装置15は、各種スイッチ類や、操作パネル、表示モニタ12と一体化されたタッチパネルなどで構成される。ユーザは、入力装置15を用いて出発地や目的地の設定など、経路探索装置1の操作をすることができる。制御部10は、経路探索処理において、入力装置15を介して設定された出発地から目的地までの経路を探索する。
【0015】
制御部10が実行する経路探索処理について図を用いて説明する。図3は、制御部10が実行する経路探索処理の流れを示すフローチャートである。
【0016】
ステップS10では、制御部10は、探索すべき経路の出発地と目的地とを道路地図上に設定する。出発地や目的地の設定方法については、様々な方法が周知となっている。出発地は、たとえば制御部10がGPS信号に基づいて算出した車両の現在位置とすればよい。目的地は、たとえば表示モニタ12に表示した地図の中から入力装置15を介してユーザに選択させればよい。制御部10は、設定された出発地の最近傍の位置にあるノードを出発地ノードとして抽出する。また、制御部10は、設定された目的地の位置にあるノードを目的地ノードとして抽出する。
【0017】
ステップS20では、制御部10は、記憶部11に記憶された地図データに基づいて、経路を探索する道路地図内の地図領域を決定する。たとえば、出発地ノードが表す位置と、目的地ノードが表す位置とを焦点とする所定の大きさの楕円形状の地図領域を、経路探索用の地図領域に決定する。
【0018】
ステップS30では、制御部10は、ステップS20で決定した地図領域内にあるノードのノードデータと、リンクのリンクデータとをすべて抽出する。なお、始点または終点が地図領域の外にあるリンクについては、リンクデータを抽出しない。このようにして、ステップS20にて決定した地図領域に対応する重み付き有向グラフが抽出される。抽出される重み付き有向グラフに含まれるノードの集合は、地図データに含まれるノードの集合の部分集合となる。
【0019】
ステップS40では、制御部10は、現在時刻を取得する。たとえば、GPS信号に基づいて現在時刻を算出することにすればよい。
【0020】
ステップS50では、制御部10は、ステップS30で抽出されたノードデータおよびリンクデータと、ステップS40で取得した現在時刻とに基づいて、後述する処理により経路探索用のグラフを生成する。ここでグラフとは、グラフ理論と呼ばれる技術分野におけるグラフを指し、ノードの集合と、リンクの集合とからなる。
【0021】
ステップS60では、制御部10は、ステップS50で生成した経路探索用のグラフに基づいて、ステップS10で設定された出発地ノードから目的地ノードまでの経路であり、燃料消費量に関するリンクコストの和が最小である経路をダイクストラ法等により探索する。
【0022】
図3のステップS50において、制御部10が生成する経路探索用のグラフについて説明する。以降では、制御部10が生成する経路探索用のグラフのことを経路探索用グラフと呼称する。
【0023】
制御部10が生成する経路探索用グラフは、複数の階層を有する。複数の階層の各々は所定の時間帯に対応し、階層の順番はそれぞれが対応する時間帯の順番に従う。経路探索用グラフにおいて、最上位の階層はステップS40で取得された現在時刻が属する時間帯に対応する。経路探索用グラフの各階層には、ステップS30で抽出した地図領域内のノードが含まれる。
【0024】
各階層の時間帯の長さは、ステップS30で抽出した各リンクの旅行時間の最大公約数を算出することにより決定できる。また、階層数は、24時間などの所定時間を各階層の時間帯の長さで除することにより算出してもよい。なお、各階層の時間帯の長さは、リンクデータのリンクコストを分類する時間帯の長さ以下であることが望ましい。
【0025】
また、階層数は、ステップS30で抽出した各リンクについて、リンクコストテーブルの中から旅行時間に関するリンクコストの最大値をそれぞれ決定し、そのリンクコストを基にダイクストラ法による経路探索を行い、探索された経路のコスト合計に基づいて算出してもよい。たとえば、コスト合計を前述の各階層の時間帯の長さで除した値にすればよい。
【0026】
図2の例では、各階層は、30分刻みの時間帯に対応し、経路探索用グラフは48個の階層を有する。ステップS40において現在時刻として「8:40」が取得されたとすると、最上位の階層は時間帯列21の「8:30〜9:00」に対応するものとされる。そして、時間帯「8:30〜9:00」に対応する階層の下には、時間帯「9:00〜9:30」、時間帯「9:30〜10:00」、・・・、時間帯「23:30〜24:00」、時間帯「0:00〜0:30」、・・・、時間帯「8:00〜8:30」に対応する階層が重ねられる。
【0027】
また、経路探索用グラフには、階層間を跨ぐリンクが含まれる。この階層間を跨ぐリンクのことを、階層間リンクと呼称する。各階層間リンクは、ステップS30で抽出したリンクのリンクデータや、ステップS10で抽出した出発地ノードおよび目的地ノードなどに基づいて、下記の〔規則1〕〜〔規則3〕に従って生成される。
【0028】
〔規則1〕
(前提)ステップS30で抽出したリンクLnにおいて、リンクLnの始点がノードNx、終点がノードNy、旅行時間に関するリンクコストがTn、燃料消費量に関するリンクコストがFnである。また、記憶部11に記憶されているリンクデータは、リンクコストをM分刻みで記憶しており、旅行時間に関するリンクコストがTnと、燃料消費量に関するリンクコストがFnとは時間帯ごとに異なる可能性がある。
(生成する階層間リンク)
経路探索用グラフの各階層s1に含まれるノードNxを始点とし、階層s2=s1+Tn/Mに含まれるノードNyを終点とし、旅行時間に関するリンクコストが零、燃料消費量に関するリンクコストがFnである階層間リンクを追加する。ただし、算出されたs2に相当する階層がない場合は、階層間リンクを追加しない。
【0029】
〔規則2〕
(生成する階層間リンク)
最下位の階層以外の階層sにある出発地ノードNpを始点とし、階層s+1にある出発地ノードNpを終点とする階層間リンクを追加する。
【0030】
〔規則3〕
(生成する階層間リンク)
最上位の階層以外の階層sにある目的地ノードNqを始点とし、階層s−1にある目的地ノードNqを終点とする階層間リンクを追加する。
【0031】
図4は、〔規則1〕を説明するための図である。図4は、ステップS30において図2のリンクL1を含む複数のリンクと、リンクL1の始点のノードN1およびリンクL1の終点のノードN2を含む複数のノードが抽出された状態において、各階層に含まれる複数のノードのうちノードN1およびノードN2のみを図示したものである。図4では、時間帯列21の「8:30〜9:00」に対応する第1階層が最上位の階層であって、第1階層から第48階層までの48個の階層がある。
【0032】
時間帯「8:30〜9:00」に対応する第1階層において、リンクL1の旅行時間に関するリンクコストは「60分」である。そのため、第1階層のノードN1を始点とする階層間リンクL101は、第3(=1+60/30)階層のノードN2を終点とする。また、階層間リンクL101の燃料消費量に関するリンクコストは、リンクL1の時間帯「8:30〜9:00」の燃料消費量に関するリンクコストである「1000cc」になる。
【0033】
同様に時間帯「9:00〜9:30」に対応する第2階層において、リンクL1の旅行時間に関するリンクコストは「60分」である。そのため、第2階層のノードN1を始点とする階層間リンクL102は、第4階層のノードN2を終点とする。また、階層間リンクL102の燃料消費量に関するリンクコストは、リンクL1の時間帯「9:00〜9:30」の燃料消費量に関するリンクコストである「1200cc」になる。
【0034】
そして、時間帯「9:30〜10:00」に対応する第3階層において、リンクL1の旅行時間に関するリンクコストは「30分」である。そのため、第3階層のノードN1を始点とする階層間リンクL103は、階層間リンクL102と同じ第4階層のノードN2を終点とする。また、階層間リンクL103の燃料消費量に関するリンクコストは、リンクL1の時間帯「9:30〜10:00」の燃料消費量に関するリンクコストである「800cc」になる。
【0035】
時間帯「8:00〜8:30」に対応する第48階層において、リンクL1の第1階層のノードN1と、第3階層のノードN2との間には、リンクL1の旅行時間に関するリンクコストは「30分」である。しかし、図4において、第48階層は最下位の階層であり、それよりも下位の階層s2=49=48+30/30>48が存在しないため、階層間リンクを追加しない。
【0036】
ステップS30において抽出された他のリンクについても、対応する階層間リンクが〔規則1〕に則って追加される。また、ノードN2が目的地ノードであった場合については、第1階層以外の階層のノードN2から〔規則3〕に基づいた階層間リンクが追加される。また、ノードN1が出発地ノードであった場合については、第48階層以外の階層のノードN1から〔規則2〕に基づいた階層間リンクが追加される。
【0037】
制御部10は、ステップS60において、経路探索用グラフに基づいて経路を探索する。このとき、最上位の階層にある出発地ノードから最上位の階層にある目的地ノードまでの経路を探索する。
【0038】
〔規則1〕に基づく階層間リンクは、階層間の遷移により、車両走行中の時間変化を表現している。このようにすることにより、時間帯ごとに個別にリンクコストを有するリンクについて、ダイクストラ法による経路探索を行う前に、到達する時間帯を推定する必要がない。
【0039】
また、〔規則3〕に基づく階層間リンクが存在するため、必ずダイクストラ法による経路探索処理は最上位の階層で終結することができる。
【0040】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果を奏する。
経路探索装置1では、記憶部11は、ノードデータおよびリンクデータを含む地図データを記憶している。また、制御部10は、設定された出発地と目的地とに最も近いノードを出発地ノードおよび目的地ノードとして設定する(図3のステップS10)。そして、出発地ノードと、目的地ノードと、地図データに記憶されているリンクデータとに基づいて、経路探索用グラフを生成し(ステップS50)、経路探索用グラフの最上位の階層にある出発地ノードから目的地ノードまでの経路を燃料消費量に関するコストをリンクコストとしてダイクストラ法により探索する(ステップS60)。記憶部11に記憶されているリンクデータは、各リンクについて、燃料消費量に関するリンクコストを所定の複数の時間帯ごとに有する(図2)。経路探索用グラフの各階層は、複数の時間帯に対応し、それぞれ同一のノードを含む。また、経路探索用グラフは、前述の〔規則1〕に基づいた階層間リンクが含まれる。これにより、時間帯によって変化するコストを用いて燃料消費量が最小の経路を精度良く探索することができる。
【0041】
また、上記の実施形態における経路探索用グラフでは、始点ノード間に〔規則2〕に基づいた階層間リンクが存在する。これにより、出発時間を遅らせた方が少ない燃料消費量で到達できる場合についても対応できる。
【0042】
さらに、上記の実施形態における経路探索用グラフでは、終点ノード間に〔規則3〕に基づいた階層間リンクが存在する。これにより、経路探索処理の終了を一つの目的地ノードで判定することができる。
【0043】
以上で説明した実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(1)〔規則2〕に基づいた階層間リンクは、駐停車可能な道路上のノードすべてについて追加してもよい。これにより、途中のノードで駐停車して待機する場合についても考慮した経路探索を行うことができる。
【0044】
(2)ユーザが目的地に到達する希望時刻を指定できるようにしてもよい。この場合、指定された時刻が属する時間帯の目的地ノードを、ダイクストラ法の処理を終結させる目的地ノードとすればよい。なお、この場合、〔規則2〕に基づいた階層間リンクを目的地ノードについても追加しておくことが望ましい。また、希望時刻に到達できない場合は、最も早く目的地に到着できる経路を提示した上で希望時刻には到着できない旨を表示モニタ12またはスピーカ13等を介して報知することが望ましい。
【0045】
(3)経路探索装置1の記憶部11に記憶されているリンクコストのうち、燃料消費量に関するリンクコストは他のリンクコストであってもよい。また、リンクデータに記憶するリンクコストは3種類以上存在してもよい。たとえば、時間帯割引により料金が変化する高速料金等をリンクコストとしてもよい。また、旅行時間に関するコストをリンクコストとしてダイクストラ法を実行することにより、旅行時間が最小の経路を精度よく探索することもできる。
【0046】
(4)本実施例では、経路探索にダイクストラ法を用いたが、経路探索処理はこれに限らない。ベルマンフォード法などの他の手法を用いて経路探索を行ってもよい。
【0047】
(5)図2のリンクデータは、記憶部11に記憶されているものとしたが、基地局などから送信される道路交通情報などに含まれるものとしてもよい。この場合、経路探索装置1は、インターネット回線や携帯電話網などの通信回線網に接続可能な通信部を有することが望ましい。
【0048】
(6)出発地と目的地のほかにさらに経由地を設定してもよい。経由地に到達する時間をユーザが指定できるようにしてもよく、その場合、経路探索用グラフのその到達時刻に対応する階層に経由地を設定してもよい。
【0049】
(7)経路探索装置1はナビゲーション装置であるとしたが、ナビゲーション装置だけに限定しない。経路探索処理を実行可能な制御部を備えるコンピュータであればよく、たとえばノートPCや携帯端末などの記憶媒体とあってもよい。
【0050】
以上で説明した実施の形態および各種変形例は、あくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0051】
1 経路探索装置
10 制御部
11 記憶部
12 表示モニタ
13 スピーカ
14 GPS受信部
15 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図に含まれる複数のノードに関するノードデータと、前記道路地図に含まれる複数のリンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記複数のノードのうち出発地とする出発地ノードを設定する出発地設定手段と、
前記複数のノードのうち目的地とする目的地ノードを設定する目的地設定手段と、
互いに異なる所定の時間帯にそれぞれ対応する複数の階層を有し、各階層が前記複数のノードの所定の部分集合からなる有向グラフを、前記地図データに基づいて生成するグラフ生成手段と、
前記有向グラフの最上位の階層にある前記出発地ノードから前記目的地ノードまでの経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記リンクデータは、各リンクについて、旅行時間に関するリンクコストを所定の複数の時間帯ごとに有し、
前記有向グラフは、第1のノードを始点とし、第2のノードを終点とするリンクについて、第1の階層にある前記第1のノードを始点とし、前記第1のノードから前記旅行時間に対応した階層数だけ下位にある第2の階層にある前記第2のノードを終点とする階層間リンクを含むことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路探索装置において、
前記有向グラフは、最下位層でない第3の階層にある第3のノードを始点とし、前記第3の階層より一階層下位にある前記第3のノードを終点とする第2の階層間リンクを含むことを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の経路探索装置において、
前記有向グラフは、最上位層でない第4の階層にある前記目的地ノードを始点とし、前記第4の階層より一階層上位にある前記目的地ノードを終点とする第3の階層間リンクを含み、
前記経路探索手段は、前記有向グラフの最上位の階層にある前記目的地ノードまでの経路を探索することを特徴とする経路探索装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の経路探索装置において、
前記リンクデータは、各リンクについて、旅行時間以外のリンクコストを所定の複数の時間帯ごとにさらに有し、
前記経路探索手段は、前記旅行時間以外のリンクコストに基づいて、前記有向グラフの最上位の階層にある前記出発地ノードからの経路を探索することを特徴とする経路探索装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の経路探索装置において、
経路探索を開始する時刻を取得する時刻情報取得手段をさらに備え、
前記最上位の階層は、前記時刻情報取得手段が取得した時刻が属する時間帯に対応することを特徴とする経路探索装置。
【請求項6】
道路地図に含まれる複数のノードに関するノードデータと、前記道路地図に含まれる複数のリンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶する記録媒体を備えるコンピュータが予め設定された出発地から予め設定された目的地までの経路を探索する経路探索方法であって、
前記複数のノードのうち前記出発地に対応する出発地ノードを設定する出発地設定手順と、
前記複数のノードのうち前記目的地に対応する目的地ノードを設定する目的地設定手順と、
互いに異なる所定の時間帯にそれぞれ対応する複数の階層を有し、各階層が前記複数のノードの所定の部分集合からなる有向グラフを、前記地図データに基づいて生成するグラフ生成手順と、
前記有向グラフの最上位の階層にある前記出発地ノードから前記目的地ノードまでの経路を探索する経路探索手順と、を備え、
前記リンクデータは、各リンクについて、旅行時間に関するリンクコストを所定の複数の時間帯ごとに有し、
前記有向グラフは、第1のノードを始点とし、第2のノードを終点とするリンクについて、第1の階層にある前記第1のノードを始点とし、前記第1のノードから前記旅行時間に対応した階層数だけ下位にある第2の階層にある前記第2のノードを終点とする階層間リンクを含むことを特徴とする経路探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−83588(P2013−83588A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224611(P2011−224611)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】