説明

経路探索装置

【課題】限られた探索枝でも効率良く経路探索を行うことができ、かつ、施設内部での通行を優先させることができる経路探索装置を提供する。
【解決手段】経路探索装置12は、複数の出入口を有する施設のそれぞれの出入口がネットワークに接続している地図情報を用いて、当該複数の出入口を有する施設を出発地および/または目的地として経路探索を実行する経路探索装置12であって、複数の出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードを抽出する代表ノード抽出手段125と、該代表ノード抽出手段により抽出されたノードを仮の出発地および/または目的地として設定して経路探索を実行するノード選択経路探索手段126と、該ノード選択経路探索手段により最適ルートとして選定されたノードに接続している前記出入口を前記施設の出発地および/または目的地として決定する施設出入口決定手段127とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の接続状態をリンクとノードのネットワークとして模式化するとともに複数の出入口を有する施設のそれぞれの出入口が前記ネットワークに接続している地図情報を用いて、最適な施設の出入口を探索することができる経路探索装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の出入口が存在する施設が目的地あるいは出発地となったとき、最適な出入口を案内する技術が提案されている。中でも、施設の内部構造を施設内ノードと施設内リンクとにより模式化し、その施設の複数の出入口を表す出入口ノードと外部の歩道を表すリンクとが接続される電子地図データを利用する経路探索装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この様な電子地図データを利用すれば、条件入力部から出発地および目的地が入力されると、経路探索部は、出発地が施設外であり目的地が施設内である場合や、出発地が施設内であり目的地が施設外である場合、あるいは出発地と目的地が別の施設の中にある場合に、通常のノードやリンクと併せて、施設内のノードやリンクを用いて経路探索を行う。このとき、その施設の出入口ノードを経由した経路を探索することとなるため、利用者に最適な出入口を案内することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−148983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の経路探索装置は、その機能の大部分を施設の内部構造までも施設内ノード、施設内リンクおよび出入口ノードとして整備した電子地図データに依存しており、時間的変化の大きな施設について頻繁に電子地図データを更新しなければならない。また、施設内部までもデータ化した膨大なデータ処理が必要であるため、経路探索装置として大容量の電子地図データの記憶部や高速の経路探索エンジンなどが必要であり、高価かつ大規模な装置構成となっている。しかも、施設の大規模化により、1つの施設に設けられる出入口ノードが二桁となることも普通である。この様な場合、経路探索に際して多数の探索枝を有効にして探索する必要があり、その処理には大きなメモリ空間を必要とする。
また、従来の経路探索装置は、施設内ノードまでの最短経路となる出入口を案内することを目的としている。しかし、施設内部は風雪の影響も無く過ごし易い温度に調節され、その内部移動には交差点なども無く円滑かつ安全に移動することができる。このため、複数の出入口が存在する施設においては、できるだけ目的地に近い出入口から出たり、できるだけ近い出入口から入ることが求められている。従来の経路探索装置は、この様な一般的な利用方法に配慮することができない。
本発明は、上記の課題を解決することのできる経路探索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、道路の接続状態をリンクとノードのネットワークとして模式化するとともに複数の出入口を有する施設のそれぞれの出入口が前記ネットワークに接続している地図情報を用いて、当該複数の出入口を有する施設を出発地および/または目的地として経路探索を実行する経路探索装置であって、前記複数の出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードを抽出する代表ノード抽出手段と、該代表ノード抽出手段により抽出されたノードを仮の出発地および/または目的地として設定して経路探索を実行するノード選択経路探索手段と、該ノード選択経路探索手段により最適ルートとして選定されたノードに接続している前記出入口を前記施設の出発地および/または目的地として決定する施設出入口決定手段とを備えることを特徴としている。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明の経路探索装置によれば、多数の出入口を有する施設であっても、代表ノード抽出手段により複数の出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードが抽出され、この抽出されたノードを仮の出発地および/または目的地として設定して経路探索が実行され、最適ルートとして選定されたノードに接続している出入口を施設の出発地および/または目的地として決定する。このため、限られた探索枝でも効率良く経路探索を行うことができ、かつ、施設内部での通行を優先させることができる。
施設出入口決定手段が、選定されたノードに接続している出入口が複数あるとき、当該選定されたノードと複数の出入口との離隔距離から一つの出入口を決定する離隔距離比較部を備えることが最適である。この様な離隔距離比較部によれば、施設外部の通行距離をより短くすることができる。
また、施設出入口決定手段は、選定されたノードに接続している出入口が複数あるとき、当該選定されたノードが表す交差点から前記最適ルートへの案内に際して前記交差点の横断の有無から一つの出入口を決定する横断比較部を備えることが有用である。この様な横断比較部によれば、施設外部での交差点の横断回数を最小にすることができる。
さらに、代表ノード抽出手段は、施設ごとに複数の出入口と当該出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードとを予め抽出し、記憶している代表ノード記憶部を備えることも有用である。代表ノード記憶部に複数の出入口とノードとの関係が記憶されているため、ノード抽出の処理を省略することができ、装置構成を簡略化し、かつ、処理速度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例の経路探索装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例のナビゲーションシステムが経路探索を実行する処理を示すフローチャートである。
【図3】本実施例のナビゲーションシステムが経路探索を実行する処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施例のナビゲーションシステムが経路探索を実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施例のナビゲーションシステムが経路探索を実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施例の案内画像を示す図である。
【図7】選定されたノードに接続するリンクに対応する道路の横断を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
【0009】
図1は、本実施例のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
本実施例におけるナビゲーションシステム1は、地図情報記憶装置11、経路探索装置12、案内制御装置13、表示装置14および入力装置15を備えるPND(Personal Navigation Device)であり、車両用ナビゲーション装置としては勿論のこと、歩行者用ナビゲーション端末としても利用される。
【0010】
地図情報記憶装置11は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の外部記憶装置である。経路探索装置12および案内制御装置13は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等を備えた小型のコンピュータである。表示装置14は、LCD(Liquid Crystal Display)等であって画像を表示するデバイスである。入力装置15は、表示装置14の画像表示面に備えられたタッチパネルである。
【0011】
地図情報記憶装置11が記憶している地図情報は、施設に対する到着地点が対応付けられているリンクを有するネットワークデータ、および行政界図、道路図および家形図等を生成するためのポリラインやポリゴンのデータ等の描画用データを含む地図情報である。
【0012】
経路探索装置12は、最適なルートを求めるために、コンピュータプログラムを実行することにより実現される所定の機能を複数有しており、それぞれの機能に対応するユニットをそれぞれ備えている。具体的には、地図情報取得手段121、地点設定手段122、施設内外判定手段123、複数出入口確認手段124、代表ノード抽出手段125、ノード選択経路探索手段126、施設出入口決定手段127、および2点間経路探索手段128を備えている。
【0013】
地図情報取得手段121は、地図情報記憶装置11にアクセスして当該地図情報記憶装置11が記憶している地図情報を取得するとともに、経路探索装置12の図示しない内部記憶装置に地図情報を蓄える機能を有する。
【0014】
地点設定手段122は、ユーザによる入力装置15の操作によって入力されたユーザの指定に基づいて、出発地および目的地のそれぞれに対応する指定点を決定する機能を有している。
【0015】
施設内外判定手段123は、施設の領域内に存在する指定点を抽出し、抽出した指定点が指定する施設を出発地や目的地に決定するとともに、施設に出入口が複数存在するか否かを判定する機能を有する。また、施設内外判定手段123は、指定点が施設の領域内に存在しない場合に、指定点を最寄のリンクに引き込み、引き込んだ点をユーザの指定に対応させて出発地または目的地として決定する機能も有している。
【0016】
代表ノード抽出手段125は、施設に接続する最適ルートを選定する経路探索のためのノードであって、複数の出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードを抽出する機能を有している。また、代表ノード抽出手段125は、施設ごとに複数の出入口と当該出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードとを予め抽出し、施設に対応する代表ノードとして記憶する代表ノード記憶部125Aを備えている。代表ノード記憶部125Aに複数の出入口とノードとの関係が記憶されているため、ノード抽出の処理を省略することができ、装置構成を簡略化し、かつ、処理速度を高めることができる。
【0017】
ノード選択経路探索手段126は、代表ノード抽出手段125により抽出された代表ノードを仮の出発地または目的地として設定して経路探索を実行する機能を有する。
【0018】
施設出入口決定手段127は、ノード選択経路探索手段126により最適ルートとして選定された代表ノードに接続している出入口を施設の出発地および/または目的地として決定する機能を有している。
【0019】
本実施例の経路探索装置12によれば、多数の出入口を有する施設であっても、代表ノード抽出手段125により複数の出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードが抽出され、この抽出されたノードを仮の出発地および/または目的地として設定して経路探索が実行され、最適ルートとして選定されたノードに接続している出入口を施設の出発地および/または目的地として決定する。このため、限られた探索枝でも効率良く経路探索を行うことができ、かつ、施設内部での通行を優先させることができる。
【0020】
また、施設出入口決定手段127は、離隔距離比較部127A、横断比較部127B、および施設内経路比較部127Cをそれぞれ備えている。
離隔距離比較部127Aは、ノード選択経路探索手段126により最適ルートとして選定された代表ノードに接続している出入口が複数あるとき、当該選定された代表ノードと複数の出入口との離隔距離から一つの出入口を決定する機能を有している。この様な離隔距離比較部127Aによれば、施設外部の通行距離をより短くすることができる。
【0021】
横断比較部127Bは、選定された代表ノードに接続している出入口が複数あるとき、当該選定された代表ノードが表す交差点から前記最適ルートへの案内に際して交差点の横断の有無から一つの出入口を決定する機能を有している。この様な横断比較部127Bによれば、施設外部での交差点の横断回数を最小にすることができる。
【0022】
施設内経路比較部127Cは、施設内にリンクおよびノードがある場合は、施設内のリンクまたはノード上の点を出発地または目的地として決定し、最適な施設内のルートを選定する機能を有している。
【0023】
2点間経路探索手段128は、出発地から目的地に到る通常の経路探索を実行する機能を有する。
【0024】
案内制御装置13は、経路探索装置12により決定されたルートに基づいて案内地図画像を生成し表示装置14に表示させ、PNDの進行状況に応じてユーザを案内する処理を実行する。また、案内制御装置13は、ナビゲーションシステム1全体の動作制御を行なう機能を有している。
【0025】
次に、本実施例のナビゲーションシステム1が、ユーザの入力に基づいて経路探索する処理について説明する。図2〜図5は、本実施例のナビゲーションシステム1が経路探索を実行する処理を示すフローチャートである。
【0026】
本実施例の処理は、出発地のみ複数の出入口を有する施設となる場合の処理である。図6は、本実施例の案内画像を示す図である。リンクおよびノードで構成されるネットワークに対応する道路に、複数の出入口D1〜D10を介して地下街UTが接続されている。
【0027】
まず、図2に示すように、経路探索装置12は、地点指定手段122により、入力装置15の操作によって入力されたユーザの指定に基づいて、出発地および目的地のそれぞれに対応する指定点を決定する処理を実行する(ステップS101)。本実施例においては、ユーザによって地下街UTが出発地として指定されるとともに、ビルBLが目的地として指定された場合について説明する。
【0028】
ステップS101が終了すると、経路探索装置12は、施設内外判定手段123により、出発地に対応する指定点が施設内に存在するか否かを判定する処理を実行する(ステップS102)。具体的には、指定点が施設を描画している形状ポリゴンの内側にあれば、指定点が施設内に存在すると判定し、指定点が施設を描画している形状ポリゴンの外側にあれば、指定点が施設内に存在しないと判定する。経路探索装置12は、ステップS102において、出発地に対応する指定点が施設内に存在すると判定した場合は(ステップS102:Yes)、施設内外判定手段123により、指定点が存在する施設を出発地として決定する処理を実行する(ステップS103)。本実施例においては、指定点が地下街UTに存在する施設を指定しているので、地下街UTが出発地として決定される。
【0029】
ステップS103が終了すると、経路探索装置12は、複数出入口確認手段124により、出発地に対応する指定点が存在する施設に出入口が複数存在するか否かを判定する処理を実行する(ステップS104)。経路探索装置12は、ステップS104において、出発地に対応する指定点が存在する施設に出入口が複数存在すると判定した場合は(ステップS104:Yes)、代表ノード抽出手段125により、施設に接続する最適ルートを選定する経路探索のためのノードを抽出する処理を実行する(ステップS105)。具体的には、経路探索装置12は、代表ノード抽出手段125の代表ノード記憶部125Aにより、施設ごとに複数の出入口と当該出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードとを予め抽出し、代表ノードとして記憶する。本実施例においては、図6に示すように、地下街UTに複数の出入口D1〜D10が存在しているので、経路探索装置12は、地下街UTのすべての出入口D1〜D10について接続するリンクL1,L2,L3,L5の両端のノードとなる、ノードN1〜N5を代表ノードN1〜N5として記憶することになる。
【0030】
ステップS105が終了すると、経路探索装置12は、ステップS107に移行する。
【0031】
経路探索装置12は、ステップS104において、出発地に対応する指定点が存在する施設に出入口が複数存在しないと判定した場合は(ステップS104:No)、ステップS107に移行する。
【0032】
経路探索装置12は、ステップS102において、出発地に対応する指定点が施設内に存在しないと判定した場合は(ステップS102:No)、施設が存在する指定点として抽出されない指定点について、施設内外判定手段123により、最寄のリンクに引き込み、引き込んだ点をユーザの指定に対応させて出発地として決定する処理を実行する(ステップS106)。
【0033】
ステップS106が終了すると、経路探索装置12は、ステップS107に移行する。
【0034】
図3に示すように、ステップS107において、経路探索装置12は、施設内外判定手段123により、目的地に対応する指定点が施設内に存在するか否かを判定する処理を実行する(ステップS107)。経路探索装置12は、ステップS107において、目的地に対応する指定点が施設内に存在すると判定した場合は(ステップS107:Yes)、施設内外判定手段123により、指定点が存在する施設を目的地として決定する処理を実行する(ステップS108)。なお、本実施例においては、指定点が存在するビルBLは、リンクに到着地点PAが対応付けられている施設であるため、ステップS108の時点では、到着地点PAが代用の目的地として決定される。
【0035】
ステップS108が終了すると、経路探索装置12は、複数出入口確認手段124により、目的地に対応する指定点が存在する施設に出入口が複数存在するか否かを判定する処理を実行する(ステップS109)。経路探索装置12は、ステップS109において、出発地に対応する指定点が存在する施設に出入口が複数存在すると判定した場合は(ステップS109:Yes)、代表ノード抽出手段125により、施設に接続する最適ルートを選定する経路探索のための代表ノードを抽出する処理を実行する(ステップS110)。具体的には、上述したステップS105の処理と同様の処理を行なう。すなわち、経路探索装置12は、代表ノード抽出手段125の代表ノード記憶部125Aにより、施設ごとに複数の出入口と当該出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードとを予め抽出し、代表ノードとして記憶する。
【0036】
ステップS110が終了すると、経路探索装置12は、ステップS201に移行する。
【0037】
経路探索装置12は、ステップS109において、目的地に対応する指定点が存在する施設に出入口が複数存在しないと判定した場合は(ステップS109:No)、ステップS201に移行する。
【0038】
経路探索装置12は、ステップS107において、目的地に対応する指定点が施設内に存在しないと判定した場合は(ステップS107:No)、施設が存在する指定点として抽出されない指定点について、施設内外判定手段123により、最寄のリンクに引き込み、引き込んだ点をユーザの指定に対応させて目的地として決定する処理を実行する(ステップS111)。
【0039】
ステップS111が終了すると、経路探索装置12は、ステップS201に移行する。
【0040】
経路探索のための出発地および目的地決定する処理、代表ノードを抽出する処理等の一連の処理(ステップS101〜S111)が終了すると、経路探索装置12は、ステップS201に移行する。
【0041】
図4に示すように、ステップS201において、経路探索装置12は、施設内外判定手段123により、出発地および目的地のいずれかに施設の出入口が存在するか否かを判定する処理を実行する(ステップS201)。ステップS201において、出発地および目的地のいずれにも施設の出入口が存在しないと判定した場合は(ステップS201:No)、経路探索装置12は、2点間経路探索手段128により、出発地から目的地に到るまでの経路探索を行ない、最適ルートを選定する処理を実行する(ステップS202)。
【0042】
ステップS202が終了すると、出発地から目的地へ到る最適ルートが完成したことになり、ナビゲーションシステム1は経路探索を終了する。ナビゲーションシステム1は、経路探索が終了すると、案内制御装置13により案内地図画像を表示装置14に表示させ、PNDの進行状況に応じてユーザを案内する処理を実行する。
【0043】
ステップS201において、出発地および目的地のいずれかに施設の出入口が存在すると判定した場合は(ステップS201:Yes)、経路探索装置12は、ノード選択経路探索手段126により、代表ノードが存在する施設は出発地側のみであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS203)。なお、ステップS201において、出発地および目的地のいずれかに施設の出入口が存在するということは、先に行なわれたステップS104において、代表ノードが抽出されているということを示している。
【0044】
ステップS203において、代表ノードが存在する施設は出発地側のみであると判定した場合は(ステップS203:Yes)、経路探索装置12は、ノード選択経路探索手段126により、出発地側の施設に対応する代表ノードを仮の出発地として設定し出発地から目的地に到る経路探索をすべての代表ノードに対して行ない、最適ルートを選定する処理を実行する(ステップS204)。本実施例においては、出発地側の施設に対応する代表ノードN1〜N5を仮の出発地として設定して経路探索を行なった結果、ノードN2を仮の出発地とした最適ルートGL1が選定される。
【0045】
ステップS204が終了すると、経路探索装置12は、施設出入口決定手段127により、ノード選択経路探索手段126によって最適ルートとして選定された代表ノードに接続している出入口を施設の出発地として決定する処理を実行する(ステップS205)。本実施例においては、出発地の地下街UTには選定された代表ノードN2に接続している複数の出入口D1〜D10があり、それぞれの出入口D1〜D10が地下街UTの出発地として決定される。
【0046】
ステップS205が終了すると、経路探索装置12は、施設出入口決定手段127により、地下街UTの複数の出発地から一つの出入口を決定する処理を実行する(ステップS206)。ステップS206の処理には、離隔距離比較部127Aによる処理、および横断比較部127Bによる処理が含まれている。離隔距離比較部127Aによる処理は、選定されたノードと複数の出入口との離隔距離を算出するものである。また、横断比較部127Bによる処理は、選定されたノードが表す交差点から最適ルートへの案内に際して交差点の横断の有無を算出するものである。
【0047】
横断比較部127Bによる交差点の横断の有無は、少なくとも選定されたノードに接続するリンクに対応する道路のそれぞれについて横断するか否かを判定して算出するものである。道路の横断の判定は、経路探索において出入口から最適ルートまでリンクをたどっていく際に、選択したリンクにおけるPNDの位置について、PNDの進行方向を想定したときに道路の右側に位置しているか左側に位置しているか判定しながらリンクをたどっていくようにする。これにより、交差点における右左折の際にPNDの位置が右側から左側へ変更する場合、または左側から右側へ変更する場合などについて、道路の横断として算出することができる。なお、出入口から最初に接続するリンクを選択した際、PNDの進行方向を想定して左折する場合はリンクの左に位置するものとし、右折する場合はリンクの右に位置するものとする。このように、本実施例においては、車道の脇に整備されている歩行者専用通路に対応するリンクのデータを持たない地図情報であっても歩行者による道路の横断の有無を判定することができる。また、道路の横断の判定を選定されたノードに接続するリンクに対応する道路に限定して道路の横断の有無を判定すればよいので、判定の処理の負荷は少ない。
【0048】
本実施例においては、選定されたノードN2に接続するリンクL1〜L4に対応する道路のそれぞれについて横断するか否かを判定して算出することになる。但し、最適ルートGL1については進行方向に対して右側および左側のいずれに位置しているかを判定していないので、最適ルートGL1に含まれているリンクL4は横断の判定の対象としない。出入口に関する道路の横断についてのいくつかの例を図7を用いて説明する。図7は、選定されたノードN2に接続するリンクL1〜L4に対応する道路の横断を説明する図である。出入口D2からルートGL1への案内に際しては、道路の横断が発生しない。出入口D4からルートGL1への案内に際しての道路の横断としてはリンクL1に対応する道路の横断が発生する。出入口D7からルートGL1への案内に際しては、リンクL2に対応する道路の横断が発生する。そして、出入口D5からルートGL1への案内に際しては、道路の横断が発生しない。なお、図7で示した出入口D2,D4,D5,D7以外の出入口に関する道路の横断についても、同様の判定を行なうことができる。
【0049】
経路探索装置12は、ステップS206において、離隔距離および交差点の横断の有無の両方を用いて出入口から選定された代表ノードまでのコストを計算することにより、最適な一つの出入口を決定する処理を実行する。本実施例においては、選定されたノードN2に接続するリンクリンクL1〜L4について横断することが無く、選定されたノードN2との離隔距離が短くなる出入口D5が最適な出入口として決定される。
【0050】
ステップS206が終了すると、出発地から目的地へ到る最適ルートGL2−GL1が完成したことになり、ナビゲーションシステム1は経路探索を終了する。ナビゲーションシステム1は、経路探索が終了すると、案内制御装置13により案内地図画像を表示装置14に表示させ、決定したルートを用いてユーザを案内する処理を実行する。本実施例においては、図6に示す案内画像にPNDの位置を重畳して表示するとともに、PNDの進行方向に合わせてヘディングアップすることによりユーザを案内する。
【0051】
ステップS203において、代表ノードが存在する施設は出発地側のみではないと判定した場合は(ステップS203:No)、経路探索装置12は、ステップS301に移行する。
【0052】
図5に示すように、ステップS301において、経路探索装置12は、ノード選択経路探索手段126により、代表ノードが存在する施設は目的地側のみであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS301)。ステップS301において、代表ノードが存在する施設は目的地側のみであると判定した場合は(ステップS301:Yes)、経路探索装置12は、ノード選択経路探索手段126により、出発地側の施設に対応する代表ノードを仮の目的地として設定し出発地から目的地に到る経路探索をすべての代表ノードに対して行ない、最適ルートを選定する処理を実行する(ステップS302)。
【0053】
ステップS302が終了すると、経路探索装置12は、施設出入口決定手段127により、ノード選択経路探索手段126によって最適ルートとして選定された代表ノードに接続している出入口を施設の目的地として決定する処理を実行する(ステップS303)。
【0054】
ステップS303が終了すると、経路探索装置12は、施設出入口決定手段127により、複数の目的地から一つの出入口を決定する処理を実行する(ステップS304)。ステップS304の処理には、ステップS206の処理と同様に、離隔距離比較部127Aによる処理、および横断比較部127Bによる処理が含まれている。
【0055】
ステップS304が終了すると、出発地から目的地へ到る最適ルートが完成したことになり、ナビゲーションシステム1は経路探索を終了する。ナビゲーションシステム1は、経路探索が終了すると、案内制御装置13により案内地図画像を表示装置14に表示させ、PNDの進行状況に応じてユーザを案内する処理を実行する。
【0056】
ステップS301において、代表ノードが存在する施設は出発地側のみではないと判定した場合は(ステップS301:No)、経路探索装置12は、ステップS305に移行する。
【0057】
ステップS305以降では、出発地および目的地の両方に施設の出入口が存在する場合の処理が実行される。ステップS305において、経路探索装置12は、ノード選択経路探索手段126により、出発地側の施設に対応する代表ノードを仮の出発地、目的地側の施設に対応する代表ノードを仮の目的地として設定し出発地から目的地に到る経路探索をすべての仮の出発地と仮の目的地との組み合わせに対して行ない、最適ルートを選定する処理を実行する(ステップS305)。
【0058】
ステップS305が終了すると、経路探索装置12は、施設出入口決定手段127により、ノード選択経路探索手段126によって最適ルートとして選定された代表ノードに接続している出入口を施設の出発地および目的地として決定する処理を実行する(ステップS306)。
【0059】
ステップS306が終了すると、経路探索装置12は、施設出入口決定手段127により、複数の出発地から一つの出入口を決定するとともに、複数の目的地から一つの出入口を決定する処理を実行する(ステップS307)。ステップS307の処理には、ステップS206,S304の処理と同様に、離隔距離比較部127Aによる処理、および横断比較部127Bによる処理が含まれている。
【0060】
ステップS307が終了すると、出発地から目的地へ到る最適ルートが完成したことになり、ナビゲーションシステム1は経路探索を終了する。ナビゲーションシステム1は、経路探索が終了すると、案内制御装置13により案内地図画像を表示装置14に表示させ、PNDの進行状況に応じてユーザを案内する処理を実行する。
【0061】
<その他の例>
なお、本発明は上述の実施例の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施例は、施設内のルートについては考慮していないが、取得した地図情報の施設内にリンクおよびノードがある場合は、施設内の点を出発地または目的地として決定してもよい。この場合は、施設出入口決定手段127に備わる施設通路比較部127Cにより施設内を通行する通路の距離を各出入口について算出し、算出した距離を離隔距離比較部127Aによって算出した各出入口に対する隔離距離に加算することにより、施設の複数の出入口から一つの出入口を決定することができる。
【0062】
また、上述した実施例によれば、横断比較部127Bは、選定した代表ノードに接続するリンクL1〜L4に対応する道路についてそれぞれ横断するか否かを判定しているが、横断するか否かを判定する対象の道路を増やしてもよい。例えば図6に示す案内図の例であれば、代表ノードN1〜N5に接続するリンクL1〜L5に対応する道路のそれぞれについて横断するか否かを判定するようにしてもよい。この様な横断比較部127Bによれば、例えば図6に示す案内図の例であれば、リンクL6,7に対応する道路についてもそれぞれ横断するか否かを判定することになるので、施設の出入口の数が多い場合や、施設の出入口が接続する道路の数が多い場合であっても、一つの出入口を適切に決定することができる。
【符号の説明】
【0063】
12…経路探索装置
125…代表ノード抽出手段
126…ノード選択経路探索手段
127…施設出入口決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の接続状態をリンクとノードのネットワークとして模式化するとともに複数の出入口を有する施設のそれぞれの出入口が前記ネットワークに接続している地図情報を用いて、当該複数の出入口を有する施設を出発地および/または目的地として経路探索を実行する経路探索装置であって、
前記複数の出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードを抽出する代表ノード抽出手段と、
該代表ノード抽出手段により抽出されたノードを仮の出発地および/または目的地として設定して経路探索を実行するノード選択経路探索手段と、
該ノード選択経路探索手段により最適ルートとして選定されたノードに接続している前記出入口を前記施設の出発地および/または目的地として決定する施設出入口決定手段と、
を備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
請求項1記載の経路探索装置であって、
前記施設出入口決定手段は、選定されたノードに接続している出入口が複数あるとき、当該選定されたノードと複数の出入口との離隔距離から一つの出入口を決定する離隔距離比較部を備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の経路探索装置であって、
前記施設出入口決定手段は、選定されたノードに接続している出入口が複数あるとき、
当該選定されたノードが表す交差点から前記最適ルートへの案内に際して前記交差点の横断の有無から一つの出入口を決定する横断比較部を備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか記載の経路探索装置であって、
前記代表ノード抽出手段は、前記施設ごとに複数の出入口と当該出入口が接続しているリンクの両端のノードまたは接続しているノードとを予め抽出し、記憶している代表ノード記憶部を備えることを特徴とする経路探索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−202974(P2011−202974A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67845(P2010−67845)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】