説明

経路探索装置

【課題】施設検索の条件として指定された施設の種別(施設のジャンル)に応じて施設群エリアを検索し、検索された施設群エリアにおける代表地点を目的地として設定できるようにする。
【解決手段】経路探索装置10は、地図情報を記憶する地図記憶手段150と、施設の種別を選択するための入力手段120と、目的地までの経路を、地図記憶手段を参照して探索する経路探索手段140と、施設検索手段180と、を備え、施設検索手段180は、入力手段120を用いて選択された施設の種別と同一種別の施設が密集している施設群エリアを、地図記憶手段150を用いて検索し、経路探索手段140は、施設検索手段180が検索した施設群エリア内の代表地点を目的地として経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の施設を検索して当該施設を目的地として経路を探索して案内する経路探索装置に関するものであり、特に、施設検索の条件として指定された施設の種別(施設のジャンル)に応じて施設群エリア(同一ジャンルに属する複数の施設が密集する地域)を検索し、検索された施設群エリアにおける代表地点を目的地として設定するようにした経路探索装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所望の出発地、目的地を設定して、最適経路または複数の候補経路を探索してユーザを案内する経路探索装置(ナビゲーション装置)が用いられている。経路探索装置には車両に搭載される車載経路探索装置、歩行者が携帯し、徒歩経路と交通機関を用いた経路を総合的に探索して案内する携帯経路探索装置、あるいは、車載、携帯兼用の経路探索装置が提供されている。このような経路探索装置には、経路探索のための地図情報や施設情報、経路探索エンジンを内蔵したスタンドアロンタイプの装置と、通信手段を有し、経路探索サーバに経路探索依頼し、経路探索サーバから探索された経路の情報を受信する通信型の経路探索装置も提供されている。
【0003】
一般的に、出発地は経路探索装置の現在位置やユーザが指定した特定の地点、例えば、自宅、勤務先などであり、自宅や勤務先を出発地として指定する場合は、住所や電話番号を入力することにより、当該地点の緯度、経度を特定する。現在位置を出発地とする場合は、GPS衛星信号を受信して算出(測位)した緯度、経度により地点が特定される。
【0004】
一方、目的地を指定する方法は、ユーザが指定した特定の地点、例えば、旅行先のホテルや旅館あるいはイベント会場などの住所や電話番号を入力することにより、当該地点の緯度、経度を特定する方法がある。また、ユーザが所望の施設を検索し、検索された施設の緯度、経度を特定する方法もある。更に、過去に利用した経路履歴を蓄積しておき、ユーザが経路履歴から選択した特定経路における到着地を目的地として設定する方法も知られている。
【0005】
所望の施設を検索して目的地を設定する場合には、施設を検索する手順が簡便であることが好ましい。通常、検索の対照となる施設には、旅館、ホテル、イベント会場、博物館、美術館、各種公共施設、病院、レストラン、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ショッピングモール、公園や遊園地、テーマパークなど多種、多様である。このため、施設の種別(ジャンル)毎に施設情報が区分され、ユーザが入力したジャンルに基づいて、予め定められた地理的範囲の条件(エリア条件)に従って検索するようにされる。
【0006】
地理的範囲の条件は、例えば、経路探索装置に所望エリアの地図を表示し、表示された地図のエリア内の該当するジャンルの施設一覧を表示してユーザ選択が可能なようにされるのが一般的である。例えば、下記の特許文献1(特開2007−322370号公報)には、各施設が属するジャンルを属性情報として記憶した施設情報を用い同じジャンルの施設が密集した地理的なエリアを特定し、特定された地理的エリアを経路探索装置の表示画面に表示するようにした地図表示装置が開示されている。
【0007】
ところで、ユーザが所望の施設検索を行って、ある特定の施設を選択し、選択した施設を目的地に設定して経路探索、経路案内を受けて移動する場合、当該設定した施設に到着した時刻が施設の営業時間外であったり、営業時間内であっても混雑していて長い待ち時間が必要になったりする場合があるなどの問題点があった。このような問題を解消するため、例えば、下記の特許文献2(特開平11−142174号公報)には、目的地に至る道路経路を表示、教示するだけでなく目的地施設に自動的に電話をかけて事前確認、連絡を可能とし、利便性を向上させたナビゲーションシステムの発明が開示されている。
【0008】
このナビゲーションシステムは、目的地に至る道路経路を表示、教示するだけでなく、予め目的地に関する電話番号情報やインターネットホームページアドレス等の付加情報をメモリに格納しておき、指定された目的地に対応する電話番号やインターネットホームページアドレスにアクセスして必要な情報(定休日、営業時間、料金等)を問い合わせることができるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−322370号公報
【特許文献2】特開平11−142174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献2に開示されたナビゲーションシステムによれば、目的地として設定した施設へ自動的に電話を発信することで、営業日や営業時間(必要な情報)を確認することを可能としている。そして、営業日や営業時間内であれば、その施設への経路探索を続行し、経路案内を行なっている。
【0011】
しかしながら、施設へ電話をかけて、ユーザの所望する施設(例えば、飲食店+営業時間内+混雑していない施設)が見つかるまでに時間を要することが考えられる。その場合、所望する施設が見つかるまでの間、目的地となる施設の位置が定まらないため、ユーザは移動することができず、時間を無駄に消費してしまうという問題点が生じる。
【0012】
また、ある施設に電話をかけている最中に、当該施設を目的地として案内しておくことも考えられるが、当該施設がユーザの所望する施設ではあるが利用できない場合(例えば、営業時間外)、別の施設へ電話をかけ、当該別の施設への経路探索がなされることになる。そのため、当初案内していた施設と、次に案内する施設とが逆方向の施設であれば、無駄な走行(遠回り)を余儀なくされるという問題点が生じる。
【0013】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、施設検索の条件として指定された施設の種別(施設のジャンル)に応じて施設群エリアを検索し、検索された施設群エリアにおける代表地点を目的地として設定することができる経路探索装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、地図情報及び施設情報を記憶する地図記憶手段と、施設の種別を選択するための入力手段と、目的地までの経路を前記地図記憶手段を参照して探索する経路探索手段と、施設検索手段と、を備え、前記施設検索手段は、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別の施設が密集している施設群エリアを前記地図記憶手段を用いて検索し、前記経路探索手段は、前記施設検索手段が検索した施設群エリア内の代表地点を目的地として経路を探索することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記施設検索手段は、エリア特定手段を含み、前記エリア特定手段は、前記検索された施設群エリアのうち前記経路探索装置の現在位置から最も近い施設群エリアを特定し、前記経路探索手段は、前記エリア特定手段が特定した施設群エリア内の代表地点を目的地として経路を探索することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる発明において、前記エリア特定手段は、前記特定した施設群エリアに属し、且つ、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別の全ての施設が利用不可能と判定された場合、次に前記経路探索装置の現在位置から近い施設群エリアを特定することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3の何れかにかかる発明において、前記経路探索手段は、目的地設定手段を含み、前記目的地設定手段は、前記施設検索手段が検索した施設群エリアの中心地点を前記代表地点として目的地に設定することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1〜3の何れかにかかる発明において、前記経路探索手段は、目的地設定手段を含み、前記目的地設定手段は、前記施設検索手段が検索した施設群エリアに属する施設のうち、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別で、且つ、前記経路探索装置の現在位置から最も近い施設の位置を前記代表地点として目的地に設定することを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1〜5の何れかにかかる発明において、前記経路探索装置は、通信手段と、制御手段と、を備え、前記制御手段は、該通信手段を介して、前記施設検索手段が検索した施設群エリアに属し、且つ、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別の施設が利用可能か否かを判定し、前記経路探索手段は、前記制御手段により利用可能と判定された施設を目的地として経路を探索することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1にかかる構成によれば、施設検索の条件として指定された施設の種別(施設のジャンル)に応じて施設群エリアを検索し、検索された施設群エリアにおける代表地点を目的地として設定し、当該施設群エリアを目的地とする経路を探索することができるようになるため、1つの施設が利用できなくても他の施設が近くに存在するため無駄な移動(無駄な時間経過)をなくすことができる
請求項2にかかる構成によれば、施設検索の条件として指定された施設の種別(施設のジャンル)に応じて検索された施設群エリアのうち、現在位置から最も近い施設群エリアを目的地として経路探索することができるようになる。
【0021】
請求項3にかかる構成によれば、特定した施設群エリア内のどの施設も利用可能でなかった場合には、車両の現在位置から、次に近い施設群エリアを特定して当該新たな施設群エリアまでの最適経路を探索して案内するから、ある施設群エリアに属する施設の全てが利用可能でない場合であって、他の施設群エリアに目的地が変更されても、ある施設群エリアに向かって最適経路を走行していた方向と次の施設群エリアまでの最適経路の走行方向が全く逆の方向になったりすることがない。
【0022】
請求項4または請求項5にかかる構成によれば、検索された施設群エリアにおける中心地点または現在位置から最も近い施設を代表地点として、当該施設群エリアを目的地とする経路を探索することができるようになる。
【0023】
請求項6にかかる構成によれば、施設群エリアに属する施設と通信して利用可能な状態であるか否かを判断し、利用可能であればその施設までの経路を探索して案内することができるので、利用可能な施設が見つかるまでの無駄な時間を必要とせず、また、車両に無駄な走行をさせることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例にかかる経路探索装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例における施設情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図3】本実施例における施設検索、目的地設定、経路探索の概念を示す模式図である。
【図4】本実施例における施設検索、目的地設定、経路探索の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートに続く処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための経路探索装置を例示して説明するものであって、本発明をこの経路探索装置に特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなくその他の経路探索装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例に係る経路探索装置10を、図1を参照して説明する。なお、図1は、本発明の実施例に係る経路探索装置10の構成を示すブロック図である。経路探索装置10は、制御手段100、現在位置検出手段110、表示入力手段120、通信手段130、経路探索手段140、記憶手段150、経路案内手段160、地図記憶手段170、施設検索手段180を備えて構成される。
【0027】
制御手段100は、CPU101、RAM102、ROM103を備えて構成されており、RAM102及び/又はROM103に記憶されたファームウエア等の制御プログラムをCPU101において実行することにより、下記に説明する各部の動作を制御・統括する。
【0028】
現在位置検出手段110は、GPS受信手段111を備えており、GPS受信手段111が所定の時間間隔で地球上空を周回している複数のGPS衛星から受信する時刻情報を含む電波(GPS衛星信号)に基づき車両の位置情報(GPS測位位置)を算出する。
【0029】
現在位置検出手段110は、また、加速度センサや、ジャイロスコープなどの自律航法手段112を備えることで、自律航法手段112からの出力に基づき、GPS受信手段111が受信したGPS衛星信号に基づき算出した位置情報を補完することもできる。
【0030】
また、自律航法手段112を備えることで、GPS衛星信号が受信できないトンネルや地下街、地下駐車場、建物内の駐車場、あるいは、高層ビル街などGPS衛星信号の反射によるマルチパスの影響を受ける場所でも自律航法手段112からの出力により経路探索装置10(経路探索装置10が備えられた移動体(例えば、車両、バイク、歩行者など))の現在位置を算出することができる。
【0031】
なお、以下の説明では、経路探索装置10が備えられた移動体として車両を例示して説明を行なう。
【0032】
表示入力手段120は表示手段121と入力手段122より構成される。表示手段121は、例えば液晶表示ユニットであり、入力手段122は液晶表示ユニットの液晶画面上に取り付けられたタッチパネルである。表示手段121は、本実施例の経路探索装置10で表示される地図画像、最適経路を示す表示画像等を表示し、入力手段122はユーザにより操作されて、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件の入力・設定を行うのに用いられ他、所望の施設を検索して目的地を設定するための施設検索条件の入力・設定を行うのに用いられる。なお、上記に限らず、入力手段122は、リモコンやハードキーなどで構成されてもよい。
【0033】
表示手段121は、現在位置に基づいて地図記憶手段170から抽出された地図情報に基づく地図画像を表示する。その際、地図画像に最適経路を示す表示画像や経路探索装置10(車両)の現在位置を示す現在位置マークを重ねて表示するものである。また、出発地から目的地までの経路の所要時間、さらにユーザが入力手段122を用いて到着時刻を入力した場合には、目的地までの経路の所要時間に基づく出発時刻を所定の態様で表示するように構成することもできる。
【0034】
通信手段130は経路探索装置10と外部との通信を行う手段であり、ここでは、経路探索装置10にハンズフリー接続された携帯電話による通話を行う公衆電話回線網への接続制御を行うものとして説明する。すなわち、通信手段130は図示しない携帯電話と近距離無線通信などで接続(ハンズフリ−接続)し、当該携帯電話が公衆電話回線へ接続することで、経路探索装置10から特定の施設へ電話をかけることができる。なお、通信手段130は上記の他、インターネットなどを用いて外部の各種サーバとの間で通信を行うネットワーク接続インタフェースを備えたものであってもよい。
【0035】
地図記憶手段170は経路探索のための地図情報、および、各種施設の情報(施設情報)を記憶するものである。地図情報は、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータと、地形図データとを含む。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が含まれる。道路リンクデータには、始点および終点となる道路ノード番号、道路種別、ノード間の距離情報であるリンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータには、さらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所、制限速度等のデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。地形図データには、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ等が含まれる。また、地図記憶手段には、上記の地図情報とともに、主要なランドマークや各種の施設について、その位置や種別、施設名称、営業情報を含む施設情報が記憶される。なお、地図情報や施設情報は通信手段130を介して適宜外部サーバから最新の情報を取得更新してもよい。
【0036】
経路探索手段140は、最適経路探索手段141、目的地特定手段142を備えて構成される。最適経路探索手段141は、後述する本発明にかかる施設検索によって得られた所望種別の施設群の代表地点(目的地)、または入力手段122からユーザによって入力された出発地や目的地に基づいて、出発地(現在位置を出発地とする場合もある)から目的地に至るまでの最短経路(最適経路)を、地図記憶手段170を参照して探索するものである。経路の探索は実際にはダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて行われ、出発地のノードから順次各リンク及びノードを、リンクコストを累積しながら目的地に到達するまでたどっていき、累積リンクコストが最小となる経路を最適経路とする。
【0037】
目的地特定手段142は、後述する本発明にかかる施設検索の結果として得られる施設種別毎の施設群エリアを対象に、当該施設群エリアの位置を代表的に示す代表地点を特定して目的地として設定するものである。
【0038】
探索された最適経路は、記憶手段150に一時記憶され、経路案内手段160は、記憶手段150に記憶された案内すべき最適経路を読み出すとともに、地図記憶手段170から現在位置周辺の地図情報や、最適経路を案内するための案内情報(音声データや交差点拡大図等)などを抽出し、表示手段121にそれらの画像(地図情報に基づく地図画像や交差点拡大図等)を表示し、また、図示しない音声出力手段(スピーカ等で構成)から音声ガイダンスを出力して経路案内を行う。例えば、交差点等の分岐地点から所定距離だけ手前に設定された案内地点において、右左折、直進、交差点名等の案内情報が表示および/または音声ガイダンスとして出力される。
【0039】
また、案内情報には、右左折、直進、交差点名等の音声ガイダンスを行なうための音声データや交差点等の分岐地点周辺の詳細な地図画像である交差点拡大画像だけでなく、案内地点又は交差点等の分岐地点の近傍にあるガソリンスタンド、駐車場、ショッピングセンタ、美術館などの施設のランドマークや、施設名称、施設位置、施設種別、観光情報(施設の説明情報)等の情報が含まれてもよい。
【0040】
施設検索手段180は、施設群検索手段181、エリア特定手段182を備えて構成される。施設群検索手段181は、入力手段122を用いてユーザにより選択(指定)された施設の種別と同一種別の施設群エリアを、地図記憶部170に地図情報とともに記憶された施設情報を参照して検索する。施設検索手段180は本発明にかかる施設検索を行うためのものであり、以下、その詳細を説明する。
【0041】
図2は、地図記憶手段170に記憶される施設情報のデータ構成の一例を示している。本発明にかかる施設情報は個々の施設のデータが施設の種別(ジャンル)毎に、同一種別の施設が密集している施設群エリアに属するように区分されている。例えば、図2に示すように、施設の種別(ジャンル)が飲食店においては、洋食、中華、・・のように区分され、かつ同一種別の施設が密集(2以上の予め定められた数以上所在)している一定の距離範囲の施設群エリア(図2の施設群エリア1〜4等を参照)に区分されている。なお、施設の種別として、洋食、中華、和食・・のように区分されている例を示すが、これに限ることはなく、施設の種別として「飲食店」とし、飲食店が密集している地域を施設群エリアとしてもよい。
【0042】
施設群エリアにはそのエリアの中心位置の座標(緯度・経度)が記憶されるとともにそのエリア内の施設数が記憶される。図2の例では、「洋食」についての施設群エリア1には7つの施設が属し、その個々の施設A等に関する施設位置(緯度・経度)施設名、電話番号などの情報が記憶されている。施設群エリア2〜4等についても同様である。また、他の施設種別(和食、中華・・・病院)についても同様のデータ構成である。
【0043】
施設群検索手段181は、ユーザにより所望の施設の種別(ジャンル)が検索条件として指定されると、図2に示す施設情報を参照して該当する種別の施設が密集する施設群エリアを検索する。例えば、施設の種別として「洋食」が検索条件として指定されると施設群エリア1〜4等が検索される。これら検索された施設群エリアに基づいて、エリア特定手段182は、最初にまず1つの施設群エリアを特定する。最初に特定する施設群エリアは、例えば、車両(経路探索装置)の現在位置から最も近い施設群エリアであってよい。現在位置から最も近い施設群エリアの特定は、例えば、各施設群エリアの中心位置を比較することで行なわれる。
【0044】
エリア特定手段182により施設群エリアの1つが特定されると、目的地特定手段142は、施設群エリアを目的地とするためその代表地点を緯度・経度の座標により特定する。代表地点は特定された施設群エリアの中心位置の緯度・経度とすることができる。施設群エリアの中心位置は、エリアの東西方向、南北方向の中点としてもよく、エリアの重心位置であってもよい。また、代表地点は別の方法によって特定してもよい。例えば、特定された施設群エリアに属する施設(例えば、洋食のジャンルについて、図2の施設群エリア1が特定された場合、該施設エリア群1に属する施設A〜施設C等)のうち、車両の現在位置に最も近い施設の位置(緯度・経度)を代表地点としてもよい。
【0045】
目的地特定手段142により、施設群エリアを示す代表地点が特定されると、最適経路探索手段141は、その代表地点を目的地として、出発地あるいは現在位置からの最適経路を探索する。探索された最適経路は記憶手段150に一時記憶され、経路案内手段160は、記憶手段150に記憶された案内すべき最適経路と、現在位置検出手段110によって検出された現在位置とに基づいて、地図記憶手段170から現在位置周辺の地図情報や、最適経路を案内するための案内情報などを抽出し、表示手段121にそれらの画像を表示し、また、図示しない音声出力手段から音声ガイダンスを出力して経路の案内を行う。
【0046】
図3は、以上説明した本実施例にかかる経路探索装置10における施設検索、目的地設定、経路探索の概念を示す模式図である。図3において参照符号Sは出発地を示しており、ここでは、出発地Sは車両の現在位置であるものとし、施設検索の条件として、施設の種別「洋食」が指定されたものとする。施設群検索手段181による施設群エリアの検索結果として施設の種別が「洋食」である施設群エリア1〜3が検索される(△印の施設群エリア)。なお、図3の〇印や□印、△印は、夫々施設の種別(ジャンル)を表しており、同一の種別が密集しているエリアが施設群エリアとなる。エリア特定手段182は、現在位置(出発地)Sから最も近い施設の種別が「洋食」である施設群エリア3を特定する。目的地特定手段142は、特定された施設群エリア3の代表地点(中心位置)を目的地Gとし、最適経路探索手段141は出発地S(現在位置)から目的地Gまでの最適経路Rを探索する。
【0047】
このようにして、施設群エリアを目的地とした最適経路を案内する一方、制御手段100は特定された施設群エリアに属する施設に対して、通信手段130を介して順次通信し、利用可能か否か(営業時間内か、満席かなど当該施設を利用することができるか否かなど)を判別する。施設が利用可能であれば、最適経路探索手段141はその施設を目的地として再度、最適経路を探索し、当該施設に車両を案内する。もしもその施設が利用可能でなかった場合には、次の施設について同様の判断を繰り返す。利用可能か否かの判断を行う施設の順序は、車両の現在位置から近い順とすればよい。
【0048】
以上のように、本発明によれば、施設検索の条件として指定された施設の種別(施設のジャンル)に応じて施設群エリアを検索し、検索された施設群エリアにおける代表地点を目的地として設定し、当該施設群エリアを目的地とする経路を探索することができるようになる。
【0049】
また、選択した施設種別に該当する施設が密集した施設群エリアを検索し、当該施設群エリアを代表する代表地点を目的地として探索した経路を案内するとともに、その施設群エリアに属する施設毎に、施設と通信して利用可能な状態であるか否かを判断し、利用可能であればその施設までの経路を探索して案内することができるので、利用可能な施設が見つかるまでの無駄な時間を必要とせず、また、車両に無駄な走行をさせることがなくなる。すなわち、選択した施設種別に該当する施設が密集した施設群エリアへ案内しているため、ある1つの施設が利用不可能であっても、周囲に他の「選択した施設種別に該当する施設」が存在するため、1つの施設が利用不可能であることを理由に、急に逆方向に案内されたり、遠い他の施設へ案内されることがなくなる。
【0050】
通信手段130がハンズフリー接続した携帯電話や移動体電話装置を介して特定の施設(特定した施設群エリア内の現在位置から最も近い施設)に電話をかけることができる。この際、経路探索装置側、施設側に音声自動応答機能を利用できる環境にあれば、これを利用して施設が利用可能な状態か否かを自動的に判断する構成とすることもできる。また、音声自動応答機能が利用できなければ、自動的に特定の施設をかけるとともに、表示手段121が利用可能か否かを選択するアイコンなどを表示し、ユーザが電話応答によって得た結果から入力手段122を用いて利用可能か否かを選択することで、施設が利用可能な状態か否かを判定してもよい。また、施設側がインターネット通信により、施設の空席情報、営業時間情報等を提供する環境にあれば、インターネット通信を用いる構成とすることもできる。
【0051】
特定した施設群エリアに属する全ての施設について利用可能か否かを判断した結果、どの施設も利用可能でなかった場合には、車両の現在位置から、次に近い施設群エリアを特定し、当該施設群エリアの代表地点を目的地として当該新たな施設群エリアまでの最適経路を探索して案内する。例えば、図3に示す施設の種別が「洋食」である施設群エリア2を特定する。従って、施設群エリアの検索は、図3に示すように、一定の地理的範囲内、例えば、車両の現在位置からみて、同じ方向に一定の距離範囲内に存在する施設群エリアを検索することが好ましい。そのようにすれば、ある施設群エリアに属する施設の全てが利用可能でない場合であって、他の施設群エリアに目的地が変更されても、ある施設群エリアに向かって最適経路を走行していた方向と次の施設群エリアまでの最適経路の走行方向が全く逆の方向になったりすることがない。
【0052】
次に、図4、図5に示すフローチャートを参照して、本発明の実施例にかかる施設検索、目的地設定、経路探索の処理手順について説明する。
【0053】
先ず、ユーザはメニュー画面から目的地設定を選択する(図4、ステップS101)。次いで、本実施例にかかる施設検索を選択し(ステップS102)、施設のジャンル(種別)を選択する(ステップS103)。
【0054】
ステップS103の処理において施設のジャンルが指定されると、施設群検索手段181は、図2に示す施設情報を参照して該当する種別の施設が密集する施設群エリアを検索する。例えば、施設の種別として「洋食」が検索条件として指定されると施設群エリア1〜4等を検索し、エリア特定手段182は、最初にまず1つの施設群エリアを特定する(ステップS104)。最初に特定する施設群エリアは、例えば、車両(経路探索装置)の現在位置から最も近い施設群エリアであってよい(図3参照)。
【0055】
エリア特定手段182により施設群エリアの1つが特定されると、次に、目的地特定手段142は、施設群エリアを目的地とするためその代表地点を緯度・経度の座標により特定する(ステップS105)。代表地点は特定された施設群エリアの中心位置の緯度・経度とすることができる。
【0056】
目的地特定手段142により、施設群エリアを示す代表地点が特定されると、最適経路探索手段141は、その代表地点を目的地として、出発地あるいは現在位置からの最適経路を探索し(ステップS106)、経路案内手段160は、探索された経路を案内する(ステップS107)。例えば、図3に示すように、現在位置(出発地)Sから最も近い施設群エリア3が特定されると、目的地特定手段142は、特定された施設群エリア3の代表地点(中心位置)を目的地Gとし、最適経路探索手段141は出発地S(現在位置)から目的地Gまでの最適経路Rを探索する。
【0057】
経路探索装置10は、ステップS107において、経路案内手段160により経路案内を行う一方で、図5のステップ201に進み、制御手段100は、特定された施設群エリアに属する施設に対して、通信手段130を介して順次通信する(ここでは、経路探索装置10にハンズフリー接続された携帯電話を用いて当該施設に自動発信する例で説明する)。通信の順序は、例えば、車両の現在位置から近い施設から順に行うようにする。
【0058】
施設に電話を自動発信すると、制御手段100は、その施設が利用可能な状態か否かを(営業時間内か、満席かなど当該施設を利用することができるか否かなど)を判別する(ステップS202)。施設が利用可能(ステップS202のYES)であれば、最適経路探索手段141はその施設を目的地として設定し(ステップS203)、再度、最適経路を探索し(ステップS204)、経路案内手段160が当該施設に車両を案内して(ステップS205)、処理を終了する。
【0059】
もしもその施設が利用可能でなかった(ステップS202のNO)場合には、制御手段100は、特定された施設群エリアに内の全ての施設について利用可能か否かの判別のための通信(電話)が終了したか否かを判別する(ステップS206)。全ての施設についての処理が完了していなければ(ステップS206のNO)、次の施設について同様の判断を繰り返す(ステップS208)。
【0060】
全ての施設についての処理が完了していた場合(ステップS206のYES)、すなわち、特定した施設群エリアに属する全ての施設について利用可能か否かを判断した結果、どの施設も利用可能でなかった場合には、エリア特定手段182は、車両の現在位置から、次に近い施設群エリアを特定して、図4のステップ105の処理に戻り、当該施設群エリアの代表地点を目的地として当該新たな施設群エリアまでの最適経路を探索し、探索された経路を案内する。
【0061】
なお、上記実施例の説明においては、施設群エリアとそれに属する施設の情報を予め地図記憶手段170に地図情報とともに記憶しておく場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。施設検索条件が設定され、施設検索を行う際に、地図記憶手段170に地図情報とともに記憶された個々の施設の情報を参照して、施設検索条件に合致する施設が密集しているエリア(所定範囲内に同一の種別の施設が所定数以上存在するエリア)を、施設群エリアとして判別して施設群エリアを検索するように構成することもできる。なお、所定範囲内に同一の種別の施設が所定数以上存在するエリアは、状況に応じて所定範囲や所定数を変更してもよい。例えば、東京などの都会では施設数が多いため、所定範囲を狭くする、或いは、所定数を増やし、田舎では施設数が少ないため、所定範囲を広くする、或いは、所定数を少なくすることが望ましい。
【0062】
また、上記実施例の説明においては、通信手段130を介して特定の施設(特定した施設群エリア内の施設)が利用可能か否かを判定したが、予め施設情報に施設ごとの営業時間などの情報が含まれている場合、当該現在時刻と当該施設への至るまでの所要時間に基づいて到着時刻を算出し、到着時刻が営業時間に含まれるか否かで利用可能か否かを判定してもよい。
【0063】
なお、施設検索の条件として、施設の種別以外にも検索範囲を含めてもよい。例えば、現在位置を中心とした半径3km以内や、特定の位置(例えば渋谷駅)を中心とした半径1kmなどを指定しても良い。これにより所望しない施設群エリア(例えば非常に遠い施設群エリア)に案内されることがなくなる。また、検索範囲も施設検索の条件として入力された場合、或いは、検索範囲が予め定められている場合において、その検索範囲内に、指定された施設の種別に該当する施設群エリアがないときは、一般的な施設検索、すなわち、検索範囲内で、且つ、指定された施設の種別に該当する施設のリスト表示や、当該該当する施設のうち最も現在位置に近い施設を目的地として設定するなどを行なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、同種の施設が密集するエリア検索し、当該エリアを示す代表地点を目的地として設定し、当該目的地までの経路を探索し、経路案内を実行する間に利用可能な施設を特定するものであるから、利用可能な施設を特定するまでの無駄な時間を伴わず、あるいは、目的地とした施設が利用不可能なことが移動開始後に判明して別の施設に向かう場合に生じる無駄な移動を伴わず、効率的に目的とする施設までの経路が探索されるから、特に、対象とする施設種別を病院とし、救急車等の救急搬送車による救急患者の搬送に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 経路探索装置
100 制御手段
101 CPU
102 RAM
103 ROM
110 現在位置検出手段
111 GPS受信手段
112 自律航法手段
120 表示入力手段
121 表示手段
122 入力手段
130 通信手段
140 経路探索手段
141 最適経路探索手段
150 記憶手段
160 経路案内手段
170 地図記憶手段
180 施設検索手段
181 施設群検索手段
182 エリア特定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報及び施設情報を記憶する地図記憶手段と、施設の種別を選択するための入力手段と、目的地までの経路を前記地図記憶手段を参照して探索する経路探索手段と、施設検索手段と、を備え、
前記施設検索手段は、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別の施設が密集している施設群エリアを前記地図記憶手段を用いて検索し、前記経路探索手段は、前記施設検索手段が検索した施設群エリア内の代表地点を目的地として経路を探索することを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記施設検索手段は、エリア特定手段を含み、
前記エリア特定手段は、前記検索された施設群エリアのうち前記経路探索装置の現在位置から最も近い施設群エリアを特定し、前記経路探索手段は、前記エリア特定手段が特定した施設群エリア内の代表地点を目的地として経路を探索することを特徴とする請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記エリア特定手段は、前記特定した施設群エリアに属し、且つ、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別の全ての施設が利用不可能と判定された場合、次に前記経路探索装置の現在位置から近い施設群エリアを特定することを特徴とする請求項2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記経路探索手段は、目的地設定手段を含み、
前記目的地設定手段は、前記施設検索手段が検索した施設群エリアの中心地点を前記代表地点として目的地に設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の経路探索装置。
【請求項5】
前記経路探索手段は、目的地設定手段を含み、
前記目的地設定手段は、前記施設検索手段が検索した施設群エリアに属する施設のうち、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別で、且つ、前記経路探索装置の現在位置から最も近い施設の位置を前記代表地点として目的地に設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の経路探索装置。
【請求項6】
前記経路探索装置は、通信手段と、制御手段と、を備え、
前記制御手段は、該通信手段を介して、前記施設検索手段が検索した施設群エリアに属し、且つ、前記入力手段を用いて選択された前記施設の種別と同一種別の施設が利用可能か否かを判定し、前記経路探索手段は、前記制御手段により利用可能と判定された施設を目的地として経路を探索することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の経路探索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−93119(P2012−93119A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238660(P2010−238660)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】